ハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置
【課題】 PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができるハニカムフィルタを提供すること。
【解決手段】 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【解決手段】 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が重視されるようになり、自動車業界では燃費が良く、かつ、環境負荷の小さいエンジンが求められている。
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて燃費に優れるという長所がある。一方、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が発生するため、排ガス浄化装置を搭載して排ガスに含まれるPMを浄化する必要がある。
【0003】
ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べてPMの排出量が少ないという長所がある。そのため、通常は、PMを浄化するための排ガス浄化装置を搭載する必要がない。一方、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べて燃費が劣るという欠点がある。
【0004】
近年、自動車購入者が自動車の燃費を重視する傾向があることから、ガソリンエンジンの中でも、燃費に優れた直噴ガソリンエンジン(GDI:Gasoline Direct Injection)を搭載した自動車台数が増大することが予想されている。しかしながら、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガス中には少量のPMが含まれており、排ガス浄化装置を搭載して排ガス中のPMを浄化する必要があることが予想される。
【0005】
ディーゼルエンジンから排出される排ガスの浄化に用いられる排ガス浄化装置は、セラミック等の材料からなるハニカムフィルタを金属容器(ケーシング)内に収納することにより作製される。排ガス浄化装置のガス入口側から排ガスを排ガス浄化装置内に導入し、フィルタ内に排ガスを通過させて、排ガス浄化装置のガス出口側から排ガスを排出することによって排ガスを浄化することができる。
【0006】
このようなフィルタでは、多数のセルが、セル壁を隔てて長手方向に並設されている。また、多数のセルはすべて、いずれか一方の端部が封止されているため、一のセルに流入した排ガスは、必ずセル同士を隔てるセル壁を通過した後、他のセルから流出するようになっている。すなわち、このようなフィルタが排ガス浄化装置に備えられていると、排ガス中に含まれるPMは、フィルタを通過する際に、セル壁により捕捉され、その結果、排ガスが浄化される。
【0007】
特許文献1には、このような構造を有するハニカムフィルタ、及び、ハニカムフィルタをケーシング内に備えた排ガス浄化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−96113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ガソリンエンジンは、上述したように、ディーゼルエンジンに比べて燃費が劣るという欠点がある。従って、ガソリンエンジンを使用する際には、燃費の悪化を防ぐ必要がある。そのため、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化することを考えた場合、排ガスを浄化するためのフィルタには、圧力損失が低いことが求められる。一方、ガソリンエンジンから排出される排ガス中に含まれるPMの量は微量である。そのため、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化するためのフィルタにおいては、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを浄化するためのフィルタと比べて、PMの捕集効率は低くてもよいと考えられる。すなわち、ガソリンエンジン用のフィルタには、ディーゼルエンジン用のフィルタに比べて、PMの捕集効率を低下させても圧力損失が低いことが求められる。
【0010】
本発明者は、上述したように、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガス中のPMを浄化することが必要になる可能性が高いことを踏まえて、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含まれる排ガスを浄化するためのハニカムフィルタ、及び、上記ハニカムフィルタを用いた排ガス浄化装置の開発を試みた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、排ガスを浄化する際に、ハニカムフィルタの圧力損失に影響を与える要因について検討した。
ハニカムフィルタの圧力損失に影響を及ぼす主な要因としては、排ガスがフィルタに流入する際の抵抗、排ガスがフィルタから流出する際の抵抗、セル(流入側セル及び流出側セル)を通過する際の摩擦、セル壁を通過する際の抵抗等が挙げられる。
【0012】
ここで、圧力損失を低下させるための1つの方法として、ハニカムフィルタのセルについて両方の端部を開放することが考えられる。
しかしながら、ハニカムフィルタのセルについて両方の端部を開放すると、圧力損失を低下させることはできるものの、セル壁を通過しない排ガスに含まれるPMは、セル壁に捕集されないため、PMの捕集効率は大きく低下してしまう。
【0013】
そのような中、本発明者は、ハニカムフィルタにおけるPMの捕集効率と圧力損失との間の関係を詳細に検討した。その結果、多数のセルの個数に対する、両方の端部が封止されていないセルの個数の割合を所定の範囲にすることによって、多数のセルがすべて交互に封止されている場合に比べてPMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、請求項1に記載のハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、
上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載のハニカムフィルタは、多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有している。従って、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタと比べて圧力損失を低下させることができる。
【0016】
請求項1に記載のハニカムフィルタでは、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
そして、請求項1に記載のハニカムフィルタは、ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含まれる排ガスを浄化する場合に適している。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
【0017】
請求項2に記載のハニカムフィルタにおいては、上記開口セルの個数が、上記多数のセル個数の0.2〜1.1%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であると、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を低下させることができる。
【0018】
請求項3に記載のハニカムフィルタにおいては、上記ハニカムフィルタの一方の端面側において、上記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された上記開口セルである。
請求項3に記載のハニカムフィルタでは、端部が開放されたセルが、一方の端面側よりも他方の端面側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより低下させることができる。
【0019】
請求項4に記載の排ガス浄化装置は、ガス入口側及びガス出口側を備えた金属容器と、
上記金属容器内に収容されたハニカムフィルタとを備えた排ガス浄化装置であって、
上記ハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されており、
上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の排ガス浄化装置は、多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有したハニカムフィルタを備えている。従って、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタを備える排ガス浄化装置と比べて圧力損失を低下させることができる。
【0021】
請求項4に記載の排ガス浄化装置を構成するハニカムフィルタでは、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
【0022】
請求項5に記載の排ガス浄化装置では、上記開口セルの個数が、上記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であると、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を低下させることができる。
【0023】
請求項6に記載の排ガス浄化装置では、上記ハニカムフィルタの一方の端面側において、上記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された上記開口セルであり、
上記ハニカムフィルタの一方の端面側が、上記金属容器のガス入口側に配置されており、
上記ハニカムフィルタの他方の端面側が、上記金属容器のガス出口側に配置されている。
請求項6に記載の排ガス浄化装置では、端部が開放されたセルが、ガス入口側に比べてガス出口側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより大幅に低下させることができる。
【0024】
請求項7に記載の排ガス浄化装置では、上記ガスは、ガソリンエンジンから排出された排ガスである。
このような排ガス浄化装置は、排ガス中に含まれるPMの量が少ないガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図3(b)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【図4】図4(a)は、図2に示したハニカム焼成体の一方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図であり、図4(b)は、図2に示したハニカム焼成体の他方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図である。
【図5】図5(a)は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【図6】図6は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程の一例を模式的に示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程において第1のハニカム焼成体と第2のハニカム焼成体とを配置する位置を模式的に示す説明図である。
【図9】図9は、PMの捕集効率測定装置を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、圧力損失測定装置を模式的に示す断面図である。
【図11】図11は、実施例及び比較例におけるハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合とPMの捕集効率との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例及び比較例におけるハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合と圧力損失との関係を示すグラフである。
【図13】図13(a)は、第二実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す斜視図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタのB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置の一実施形態である第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、本発明の実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
図1は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示したハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(a)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図3(b)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【0028】
図1に示すハニカムフィルタ10は、一方の端面14及び他方の端面15を有している。また、多孔質セラミックからなるハニカム焼成体20が、接着材層11を介して複数個結束されてセラミックブロック13を構成している。そして、セラミックブロック13の周囲には、排ガスの漏れを防止するためのコート層12が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
このような、複数個のハニカム焼成体が結束されてなるハニカムフィルタは、集合型ハニカムフィルタともいう。
また、ハニカム焼成体20は、図2に示す形状を有している。
【0029】
図2に示すハニカム焼成体20は、一方の端面24及び他方の端面25を有している。また、ハニカム焼成体20には、多数のセル21a、21b及び21cが、セル壁23を隔てて長手方向(図2中、矢印aの方向)に並設されている。
【0030】
図3(a)に示すように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側においては、端部が封止材22で封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。
そして、図3(b)に示すように、セル21aは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が開放されている。一方、ハニカム焼成体20の一方の端面24側の端部が開放されたセルについて、大部分のセルであるセル21bは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が封止材22で封止されており、一部のセルであるセル21cは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が開放されている。
そのため、ハニカム焼成体20の他方の端面25側においては、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカム焼成体20の一方の端面24側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
【0031】
このように、ハニカム焼成体20に設けられている多数のセルの大部分は、ハニカム焼成体20のいずれか一方の端部が封止された封止セルとなっており、多数のセルの一部は、ハニカム焼成体20の両方の端部が開放された開口セルとなっている。すなわち、図2、図3(a)及び図3(b)に示すハニカム焼成体20においては、セル21a及びセル21bが封止セルであり、セル21cが開口セルである。
なお、セル21aのように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側の端部が封止された封止セルを第1の封止セルともいい、また、セル21bのように、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が封止された封止セルを第2の封止セルともいうこととする。
【0032】
なお、本発明において、封止セルの個数は、ハニカムフィルタ又はハニカム焼成体が有する多数のセルの個数から開口セルの個数を除いた個数に一致する。従って、本明細書においては、例えば、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であるとき、「多数のセルの一部」とは、「多数のセルの個数の0.1〜4.9%」を意味し、「多数のセルの大部分」とは、「多数のセルの個数の95.1〜99.9%」を意味する。
【0033】
また、本実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体には、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、ハニカムフィルタ全体が有する多数のセルの個数の0.1〜4.9%となるように開口セルが設けられている。なお、ハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、ハニカムフィルタ全体が有する多数のセルの個数の0.2〜1.1%となるように開口セルが設けられていることが望ましい。
ハニカム焼成体に開口セルが設けられていると、ハニカム焼成体に開口セルが設けられていない場合と比べて圧力損失を低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
特に、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0034】
例えば、図2、図3(a)及び図3(b)に示したような、縦18個、横18個の計324個のセルを有するハニカム焼成体が、16個結束されることにより構成されるハニカムフィルタを考えた場合、ハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、5〜220個程度となるように、ハニカム焼成体に開口セルが設けられていることが望ましい。この際、開口セルが設けられたハニカム焼成体1個と、開口セルが設けられていないハニカム焼成体15個とを結束させてもよいし、所定の個数の開口セルが設けられたハニカム焼成体と、開口セルが設けられていないハニカム焼成体とを所定の個数結束させてもよい。さらに、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体が有する開口セルの個数は、すべてのハニカム焼成体について同一でもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0035】
次に、ハニカム焼成体に流入する排ガスの流れについて説明する。
図4(a)は、図2に示したハニカム焼成体の一方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図であり、図4(b)は、図2に示したハニカム焼成体の他方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図である。
なお、図4(a)及び図4(b)では、図2に示したハニカム焼成体20のA−A線断面を模式的に示しており、ハニカム焼成体20が有する縦方向のセルの個数を模式的に9個としている。
【0036】
図4(a)に示すように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側から第2の封止セル21bに流入した排ガスG1は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過した後、第1の封止セル21aから流出するようになっている。従って、セル壁23は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカム焼成体20の一方の端面24側から開口セル21cに流入した排ガスG2は、そのまま開口セル21cを通過する。
【0037】
また、図4(b)に示すように、ハニカム焼成体20の他方の端面25側から第1の封止セル21aに流入した排ガスG3は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過した後、第2の封止セル21bから流出するようになっている。従って、セル壁23は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカム焼成体20の他方の端面25側から開口セル21cに流入した排ガスG4は、そのまま開口セル21cを通過する。
【0038】
このように、ハニカム焼成体20のいずれかの端面24又は25側から流入した排ガスにおいては、大部分の排ガスG1及びG3は、セル壁23を通過し、一部の排ガスG2及びG4は、そのまま開口セルを通過する。
【0039】
本実施形態のハニカムフィルタは、複数のハニカム焼成体が、接着材層を介して結束されたものである。
なお、複数のハニカム焼成体のうち、少なくとも1つのハニカム焼成体は、上述したような、多数のセルの一部に開口セルを有するハニカム焼成体である。従って、本実施形態のハニカムフィルタは、多数のセルの一部に開口セルを有するハニカム焼成体のみから構成されていてもよいし、開口セルを有していないハニカム焼成体を含んでいてもよい。
【0040】
図5(a)は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す側面図である。
ハニカムフィルタ10では、図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体20が、接着材層11を介して複数個結束されている。なお、図5(a)及び図5(b)においては、1つのハニカム焼成体20が有するセルの個数を模式的に縦9個、横9個としている。
また、図5(a)及び図5(b)では、後述するように、ハニカムフィルタ10の外周に切削加工が施されているため、ハニカムフィルタ10の外周部に位置するハニカム焼成体の断面形状(その長手方向に垂直な断面の形状)は、4本の直線で囲まれた形状ではない。そのため、ハニカムフィルタ10は、4本の直線で囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体20、2本の直線と1本の曲線とで囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体26、及び、3本の直線と1本の曲線とで囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体27という3種類のハニカム焼成体からなると考えることもできる。
【0041】
ハニカムフィルタ10を構成するハニカム焼成体20、26及び27は、図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体20の一方の端面24(端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている側の端面)同士が、すべて同じ向き(ハニカムフィルタ10の一方の端面14側)に配置されるように結束されている。
【0042】
そのため、ハニカムフィルタ10は、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側の端部が封止され、かつ、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側の端部が開放された第1の封止セル21a、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側の端部が開放され、かつ、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側の端部が封止された第2の封止セル21b、及び、ハニカムフィルタ10の両方の端部が開放された開口セル21cを有している。
【0043】
ハニカムフィルタ10の一方の端面14側においては、端部が封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。
一方、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側においては、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
【0044】
本実施形態のハニカムフィルタにおいては、開口セルの個数は、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴としている。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であることが望ましい。
【0045】
なお、本明細書において、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を求める場合、多数のセルの個数には、後述する切削加工によって一部が欠けたセルの個数は含まないこととする。
これを図5(a)を参照して説明する。セル21dは、ハニカムフィルタ10の外周部に存在するセルであり、四角形ではない断面形状を有する。セル21dのように、ハニカムフィルタ10の外周部に存在するセルのほとんどは、セルの断面形状が四角形ではない。一方、ハニカムフィルタ10の外周部以外に存在するセルについては、セルの断面形状が四角形である。このように、ハニカムフィルタの外周部に存在するセルであって、ハニカムフィルタの外周部以外に存在するセルと異なる断面形状を有するセルを「一部が欠けたセル」という。
従って、図5(a)に示したハニカムフィルタにおいて、多数のセルの個数は、断面形状が四角形である封止セル21a及び21bの個数、並びに、開口セル21cの個数を合わせた個数である。
【0046】
次に、本実施形態のハニカムフィルタの製造方法の一例について説明する。なお、ここでは、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する方法について説明する。
まず、セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用のセラミック原料(湿潤混合物)を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形した後、所定の長さに切断する切断処理を行うことにより、所定の形状を有する生のハニカム成形体を作製する。
続いて、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて生のハニカム成形体を乾燥させる乾燥処理を行うことにより、乾燥させたハニカム成形体を作製する。
【0047】
続いて、乾燥させたハニカム成形体の所定のセルに封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体を例にして封止工程を説明する。まず、ハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材となる封止材ペーストを充填する。次に、ハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルに対して、大部分のセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填し、一部のセルについては、他方の端面側の端部にも封止材ペーストを充填しない。また、ハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填したセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填しない。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物と同様の組成のものを用いることができる。
【0048】
次に、封止処理を行ったハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程を行う。
封止工程の後、セルの端部が封止されたハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱して除去する脱脂処理を行い、その後、焼成処理を行うことにより、図2、図3(a)及び図3(b)に示したようなハニカム焼成体を作製することができる。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。
また、切断処理、乾燥処理、封止処理、脱脂処理、及び、焼成処理の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0049】
次に、複数個のハニカム焼成体間に接着材層を形成して、複数個のハニカム焼成体を接着材層を介して接着する結束工程を行う。
図6は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程の一例を模式的に示す側面図である。
結束工程では、例えば、図6に示すように、ハニカム焼成体20が斜めに傾斜した状態で積み上げることができるように、上部の断面がV字形状に構成された台100の上に、ハニカム焼成体20を傾斜した状態で載置する。その後、上側を向いたハニカム焼成体20の2つの側面28a、28bに、接着材ペースト16を均一な厚さで塗布する。そして、この接着材ペースト16の上に、順次他のハニカム焼成体20を積層する工程を繰り返す。
このとき、ハニカム焼成体20において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面24が、すべて同じ向きに配置されるようにハニカム焼成体20を積層する。
このような方法により、ハニカム焼成体の側面に接着材ペーストが塗布されてなるハニカム焼成体の集合体を作製する。
なお、図6においては、1つのハニカム焼成体20が有するセルの個数を模式的に縦5個、横5個としている。
【0050】
接着材ペーストとしては、例えば、アルミナファイバ等の無機繊維と、炭化ケイ素等の無機粒子と、シリカゾル等の無機バインダとを含むペースト等を用いる。また、接着材ペーストには、さらにウィスカが含まれていてもよい。
【0051】
続いて、ハニカム焼成体の集合体を乾燥機等を用いて加熱して、接着材ペーストを乾燥固化させることによって、ハニカム焼成体間に接着材層が形成されたセラミックブロックを作製する乾燥固化工程を行う。
【0052】
その後、セラミックブロックに切削加工を施す外周加工工程を行う。
具体的には、セラミックブロックに対して、ダイヤモンドカッターを用いて切削加工を施すことにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
【0053】
続いて、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布し、上記コート材ペーストを乾燥固化させることによりコート層を形成するコート層形成工程を行う。
まず、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布する。次に、コート材ペーストを乾燥固化させることにより、外周面にコート層が形成されたハニカムフィルタを作製する。
ここで、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同じ材料からなるものを使用することができる。
以上の工程によって、本実施形態のハニカムフィルタ(図5(a)及び図5(b)参照)を製造することができる。
【0054】
続いて、本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置について説明する。
本実施形態の排ガス浄化装置には、上述した本実施形態のハニカムフィルタが用いられている。
【0055】
図7は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す排ガス浄化装置30は、ガス入口側33及びガス出口側34を備えた金属容器31と、金属容器31内に収容されたハニカムフィルタ10とを備えている。
排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10として、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタが用いられている。上述したように、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側は、端部が封止材22で封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。一方、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側は、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側が、金属容器31のガス入口側33に配置されており、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側が、金属容器31のガス出口側34に配置されている。
【0056】
また、ハニカムフィルタ10と金属容器31との間には、保持シール材32が配設されており、保持シール材32によりハニカムフィルタ10が保持されている。
保持シール材は、主にアルミナ等の無機繊維からなる平面視略矩形状のマット状の部材である。
【0057】
さらに、金属容器31のガス入口側33には、直噴ガソリンエンジン等の内燃機関から排出された排ガスを排ガス浄化装置30内に導入するための導入管が接続される。一方、金属容器31のガス出口側34には、排ガス浄化装置30内を通過した排ガスを外部に排出する排出管が接続される。
【0058】
次に、このようなハニカムフィルタ10を備えた排ガス浄化装置30を用いて排ガスを浄化する方法について、図7を参照して以下に説明する。
図7に示したように、内燃機関から排出され、ガス入口側33から排ガス浄化装置30に流入した排ガス(図7中、排ガスをG5及びG6で示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側からハニカムフィルタ10に流入する。ハニカムフィルタ10の一方の端面14側においては、排ガスG5は、第2の封止セル21bに流入し、排ガスG6は、開口セル21cに流入する。
このうち、第2の封止セル21bに流入した排ガスG5は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過する。この際、排ガスG5中のPMが、セル壁23で捕集され、排ガスG5が浄化される。
浄化された排ガスG5は、第1の封止セル21aに流入し、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側からハニカムフィルタ10の外に排出される。そして、排ガスG5は、排ガス浄化装置30のガス出口側34から排ガス浄化装置30の外に排出される。
【0059】
開口セル21cに流入した排ガスG6は、そのまま開口セル21cを通過し、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側からハニカムフィルタ10の外に排出される。そして、排ガスG6は、排ガス浄化装置30のガス出口側34から排ガス浄化装置30の外に排出される。
【0060】
このように、排ガス浄化装置30では、大部分の排ガスである排ガスG5は浄化される。一方、一部の排ガスである排ガスG6は、開口セル21cを通過する。そのため、排ガス浄化装置30においては、開口セルを有していないハニカムフィルタを備える排ガス浄化装置と比べて圧力損失が低くなる。
【0061】
また、排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10全体が有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数が、所定の割合であるため、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
そのため、本実施形態の排ガス浄化装置は、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化するためのガソリンパティキュレートフィルタとして用いることができる。
【0062】
本実施形態の排ガス浄化装置では、金属容器内に、本実施形態のハニカムフィルタが1つ収容されていてもよいし、他の触媒担体として用いられるハニカム構造体と一緒に配置されていてもよい。
【0063】
以下、本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
上記の方法で製造した本実施形態のハニカムフィルタを金属容器内に配置する。例えば、図7に示した排ガス浄化装置を製造する場合、ハニカムフィルタにおいて、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面側が金属容器のガス入口側になるように、他方の端面側が金属容器のガス出口側になるように金属容器内に配置する。
具体的には、保持シール材として、主に無機繊維からなる平面視略矩形状のマットを準備し、このマットをハニカムフィルタに巻き付ける。そして、略円筒状の金属容器にマットが巻き付けられたハニカムフィルタを圧入することによって排ガス浄化装置とすることができる。
また、金属容器を、第一の金属容器及び第二の金属容器の2つの部品に分離可能な形状としておき、無機繊維からなるマットを巻き付けたハニカムフィルタを第一の金属容器上に載置した後に第二の金属容器を被せて密封することによって排ガス浄化装置とすることもできる。
【0064】
以下、本実施形態のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置の作用効果について説明する。
(1)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、ハニカムフィルタに設けられている多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルである。
多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有していると、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタと比べて圧力損失を低下させることができる。
【0065】
(2)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、開口セルの個数が、ハニカムフィルタに設けられている多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0066】
(3)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放されており、上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止されており、上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放されている。
つまり、本実施形態のハニカムフィルタでは、端部が開放されたセルが、一方の端面側よりも他方の端面側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより低下させることができる。
【0067】
(4)本実施形態の排ガス浄化装置には、本実施形態のハニカムフィルタが用いられており、ハニカムフィルタの、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置された一方の端面側が、ガス入口側に配置されており、ハニカムフィルタの他方の端面側が、ガス出口側に配置されている。
つまり、本実施形態の排ガス浄化装置では、端部が開放されたセルが、ガス入口側に比べてガス出口側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより大幅に低下させることができる。
【0068】
(5)本実施形態の排ガス浄化装置では、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する。
ガソリンエンジンから排出される排ガスに含まれるPMの量は、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれるPMの量に比べて少ない。そのため、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができるハニカムフィルタを備えた本実施形態の排ガス浄化装置を用いることによって、圧力損失の増加に起因する燃費の悪化を防ぐことができるとともに、排ガスに含まれるPMを充分に捕集することができる。
【0069】
(6)本実施形態の排ガス浄化装置では、金属容器内に、1つのハニカムフィルタが収容されている。
本実施形態の排ガス浄化装置を用いて、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する場合、排ガスに含まれるPMの量は少ないため、ハニカムフィルタの個数が1つであっても、PMを充分に捕集することができる。
また、複数のハニカムフィルタを金属容器内に収容する必要がないため、排ガス浄化装置全体のサイズを小さくすることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
(1)ハニカムフィルタの製造
(実施例1)
平均粒子径22μmの炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た。そして、湿潤混合物を押出成形した後、切断することにより、図2、図3(a)及び図3(b)に示した形状と略同様の形状であって、セルを封止していない生のハニカム成形体を作製した。次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、乾燥させたハニカム成形体を作製した。
【0072】
乾燥させたハニカム成形体の所定のセルに、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。
本実施例では、後述するように、1個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有さない第2のハニカム焼成体を作製する。そして、第1のハニカム焼成体となるハニカム成形体には、第1の封止を行い、一方、第2のハニカム焼成体となるハニカム成形体には、第2の封止を行った。
第1の封止では、まず、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材ペーストを充填した。次に、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルのうち、1個のセルについては、他方の端面側の端部にも封止材ペーストを充填せず、残りのセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填した。また、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填したセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填しなかった。
第2の封止では、まず、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材ペーストを充填した。次に、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルのすべてについて、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填した。
セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0073】
セルの封止を行ったハニカム成形体を焼成用治具に載置した後、400℃で脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行うことにより、気孔率が42%、平均気孔径が11μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が31.0個/cm2(200個/inch2)、セル壁の厚さが0.4mm(16mil)の炭化ケイ素焼結体からなる第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を作製した。
なお、第1の封止を行った第1のハニカム焼成体のセル構造は、図3(a)及び図3(b)に示したセル構造と同様であり、1個の開口セルが存在している。
一方、第2の封止を行った第2のハニカム焼成体のセル構造は、ハニカム焼成体の両端面側において図3(a)に示したセル構造と同様であり、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されている。
【0074】
なお、各実施例及び比較例においては、上記第1の封止を行ったハニカム焼成体のように、開口セルを有するハニカム焼成体を第1のハニカム焼成体ということとする。また、上記第2の封止を行ったハニカム焼成体のように、開口セルを有していないハニカム焼成体を第2のハニカム焼成体ということとする。
【0075】
次に、平均繊維長20μm、平均繊維径2μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル(固形分30重量%)15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを調製した。
そして、第1のハニカム焼成体を5個、第2のハニカム焼成体を11個用いて、図6に示したように、ハニカム焼成体の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して第1のハニカム焼成体又は第2のハニカム焼成体を縦4個、横4個の計16個接着させる結束工程を行うことにより、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
【0076】
図8は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程において第1のハニカム焼成体と第2のハニカム焼成体とを配置する位置を模式的に示す説明図である。
ハニカム焼成体の集合体を構成する16個のハニカム焼成体の位置を、図8に示すように位置101a〜101pとした場合、第1のハニカム焼成体が、位置101f、101g、101j、101k及び101oに配置され、第2のハニカム焼成体が、残りの位置(101a〜101e、101h、101i、101l〜101n及び101p)に配置されるように第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を積層した。
また、第1のハニカム焼成体については、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている端面が、すべて同じ向きに配置されるように第1のハニカム焼成体を積層した。
【0077】
さらに、ハニカム焼成体の集合体を120℃で加熱して、接着材ペーストを乾燥固化させることにより、厚さが1.0mmの接着材層が形成された四角柱状のセラミックブロックを作製した。
【0078】
次に、ダイヤモンドカッターを用いて、セラミックブロックの外周を切断することにより、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックを作製した。
次に、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布し、コート材ペースト層を形成した。そして、このコート材ペースト層を120℃で乾燥固化させてコート層を形成することにより、外周にコート層が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカムフィルタを製造した。
この際、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同一の組成のペーストを使用した。
【0079】
実施例1で製造したハニカムフィルタは、5個の開口セルを有していた。そして、開口セルの個数は、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)の0.1%であった。
【0080】
(実施例2)
まず、実施例1と同様の方法により、1個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有していない第2のハニカム焼成体を作製した。
次に、第1のハニカム焼成体を10個、第2のハニカム焼成体を6個用いて、実施例1と同様の方法により、ハニカム焼成体の集合体を作製した。この際、図8において、第1のハニカム焼成体が、位置101b、101e〜101l及び101oに配置され、第2のハニカム焼成体が、残りの位置(位置101a、101c、101d、101m、101n及び101p)に配置されるように第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を積層した。
その後、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
実施例2で製造したハニカムフィルタが有する開口セルの個数は、10個であり、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は0.2%であった。
【0081】
(実施例3〜7)
第1のハニカム焼成体が有する開口セルの個数を表1に示すように変更することによって、ハニカムフィルタが有する開口セルの個数、及び、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を表1に示すように変更した他は、実施例2と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
実施例3〜7のハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は、それぞれ、1.1%、2.2%、3.3%、4.4%、4.9%であった。
【0082】
(比較例1)
まず、実施例1と同様の方法により、23個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有していない第2のハニカム焼成体を作製した。
次に、第1のハニカム焼成体を10個、第2のハニカム焼成体を6個用いて、実施例2と同様の方法により、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
その後、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
比較例1で製造したハニカムフィルタが有する開口セルの個数は、230個であり、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は5.1%であった。
【0083】
(比較例2)
第1のハニカム焼成体を用いず、第2のハニカム焼成体を16個用いてハニカム焼成体の集合体を作製した他は、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
比較例2で製造したハニカムフィルタでは、すべてのセルが交互に封止されており、開口セルは存在しなかった。すなわち、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は0%である。
【0084】
(2)ハニカムフィルタの特性評価
実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタにおいて、PMの捕集効率及び圧力損失を評価した。
なお、PMの捕集効率及び圧力損失を評価するために、実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタを備えた排ガス浄化装置を製造し、この排ガス浄化装置を用いてPMの捕集効率及び圧力損失を測定した。
【0085】
(2−1)排ガス浄化装置の作製
実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタにアルミナからなるマット状の保持シール材を巻き付け、金属容器内に配置することによって排ガス浄化装置を作製した。
なお、実施例1〜7及び比較例1で製造したハニカムフィルタを金属容器内に配置する際には、ハニカムフィルタにおいて、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置した。
【0086】
(2−2)PMの捕集効率の測定
PMの捕集効率の測定は、図9に示すようなPMの捕集効率測定装置を用いて行った。図9は、PMの捕集効率測定装置を模式的に示す断面図である。
PMの捕集効率測定装置40は、1.6Lのコモンレール式ディーゼルエンジン41の排ガス管42に、排ガス浄化装置30のガス入口側33を配置している。さらに、PMの捕集効率測定装置40は、ハニカムフィルタ110を流通する前の排ガスをサンプリングするサンプラー43と、ハニカムフィルタ110を流通した後の排ガスをサンプリングするサンプラー44と、サンプラー43又は44によりサンプリングされた排ガスを希釈する希釈器45と、希釈された排ガスに含まれるパティキュレートの量を測定するPMカウンタ46(TSI社製、凝集粒子カウンタ3022A−S)とを備えており、走査型モビリティ粒径分析装置(Scanning Mobility Particle Sizer SMPS)として構成されている。
なお、PMの捕集効率の測定は、測定時間が短縮され、また、精度良く測定することができるように、排ガス中のPM含有量が多いディーゼルエンジンを用いて行った。
【0087】
そして、エンジン41の回転数が2500min−1、トルクが40Nmとなるようにエンジン41を2時間運転し、エンジン41からの排ガスをハニカムフィルタ110に流通させた。このとき、ハニカムフィルタ110を流通する前のPM量P0と、ハニカムフィルタ110を通過した後のPM量P1とをPMカウンタ46を用いて、PM粒子数から把握した。そして、下記計算式(1)を用いてPMの捕集効率を算出した。
PMの捕集効率(%)=(P0−P1)/P0×100・・・(1)
PMの捕集効率の測定結果を表1に示す。
【0088】
(2−3)圧力損失の測定
圧力損失の測定は、図10に示すような圧力損失測定装置を用いて行った。図10は、圧力損失測定装置を模式的に示す断面図である。
圧力損失測定装置50は、送風機51の排ガス管52に、排ガス浄化装置30のガス入口側33を配置し、ハニカムフィルタ110の前後の圧力の検出が可能になるように圧力計53が取り付けられている。
【0089】
ガス(空気)の流通量が750m3/hになるように送風機51を運転し、運転開始から5分後の差圧(圧力損失)を測定した。
圧力損失の測定結果を表1に示す。
【0090】
実施例1〜7並びに比較例1及び2のハニカムフィルタについて、第1のハニカム焼成体が有する開口セルの個数、ハニカム焼成体の集合体を構成する第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体の個数、ハニカムフィルタが有する開口セルの個数、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合、PMの捕集効率の測定結果、並びに、圧力損失の測定結果をまとめて表1に示した。
また、実施例1〜7並びに比較例1及び2におけるPMの捕集効率の測定結果から、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合とPMの捕集効率との関係を図11のグラフに示した。さらに、実施例1〜7並びに比較例1及び2における圧力損失の測定結果から、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合と圧力損失との関係を図12のグラフに示した。
なお、表1、図11のグラフ及び図12のグラフでは、「ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合」を単に「開口セルの割合」と記載している。
【0091】
【表1】
【0092】
まず、PMの捕集効率を測定した結果、比較例2のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0%である場合、すなわち、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合、PMの捕集効率は、99.9%であった。
一方、実施例1〜7のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.1〜4.9%である場合、PMの捕集効率は、60〜99%であった。つまり、ハニカムフィルタが開口セルを有している場合、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合と比べてPMの捕集効率が低下することがわかる。
一方、比較例1のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が5.1%である場合、PMの捕集効率は、59%であった。
【0093】
また、図11より、PMの捕集効率は、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合の増加に対して、略直線的に低下することがわかる。
【0094】
次に、圧力損失を測定した結果を示す。比較例2のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0%である場合、すなわち、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合、圧力損失は、5.5kPaと高い値であった。
一方、実施例1〜7のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.1〜4.9%である場合、圧力損失は、3.0〜4.8kPaであった。つまり、ハニカムフィルタが開口セルを有している場合、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合と比べて圧力損失が低下することがわかる。
一方、比較例1のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が5.1%である場合、圧力損失は、2.9kPaであった。
【0095】
また、図12より、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.2〜1.1%である場合、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が増加すれば、圧力損失が大幅に低下することがわかる。
【0096】
以上より、ハニカムフィルタに開口セルを設け、多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を0.1〜4.9%とすることによって、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができることがわかった。
特に、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率については、91〜98%と高い値を維持しつつ、圧力損失については、3.8〜4.4kPaと低い値を得ることができた。
【0097】
なお、PMの捕集効率が60%以上、圧力損失が5kPa以下であれば、ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含む排ガスを浄化するためのハニカムフィルタとして実用的に使用することができるレベルであると考えることができる。そのため、開口セルを所定の割合で有するハニカムフィルタは、ガソリンパティキュレートフィルタとして用いることができると考えられる。
【0098】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
本実施形態では、ハニカムフィルタが、1つのハニカム焼成体からなる。このような、1つのハニカム焼成体からなるハニカムフィルタは、一体型ハニカムフィルタともいう。
【0099】
図13(a)は、第二実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す斜視図である。図14(a)及び図14(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタのB−B線断面図である。
【0100】
図13(a)に示すハニカムフィルタ60は、一方の端面64及び他方の端面65を有している。また、ハニカムフィルタ60は、多数のセル71a、71b及び71cがセル壁73を隔てて長手方向に並設された柱状の1つのハニカム焼成体からなるセラミックブロック63を有し、セラミックブロック63の周囲にコート層62が形成されてなる。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の主な構成材料としては、コージェライトやチタン酸アルミニウムを用いることができる。
【0101】
図13(a)及び図13(b)に示すように、ハニカムフィルタ60は、一方の端面64側の端部が封止材72で封止され、かつ、他方の端面側65の端部が開放された第1の封止セル71aと、一方の端面64側の端部が開放され、かつ、他方の端面65側の端部が封止材72で封止された第2の封止セル71bと、一方の端面64側と他方の端面65側の両方の端部が開放された開口セル71cとを有している。
【0102】
そして、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側においては、端部が封止されたセル71aと、端部が開放されたセル71b又は71cとが交互に配置されている。
一方、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側においては、開口セル71cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
このように、ハニカムフィルタ60においては、多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルとなっており、多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルとなっている。
【0103】
さらに、本実施形態のハニカムフィルタにおいては、第一実施形態のハニカムフィルタと同様、開口セルの個数は、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴としている。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であることが望ましい。
ハニカムフィルタに開口セルが設けられていると、ハニカムフィルタに開口セルが設けられていない場合と比べて圧力損失を低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
特に、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0104】
次に、ハニカムフィルタに流入する排ガスの流れについて説明する。
図14(a)に示すように、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側から第2の封止セル71bに流入した排ガスG7は、第1の封止セル71aと第2の封止セル71bとを隔てるセル壁73を通過した後、第1の封止セル71aから流出するようになっている。従って、セル壁73は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側から開口セル71cに流入した排ガスG8は、そのまま開口セル71cを通過する。
【0105】
また、図14(b)に示すように、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側から第1の封止セル71aに流入した排ガスG9は、第1の封止セル71aと第2の封止セル71bとを隔てるセル壁73を通過した後、第2の封止セル71bから流出するようになっている。従って、セル壁73は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側から開口セル71cに流入した排ガスG10は、そのまま開口セル71cを通過する。
【0106】
このように、ハニカムフィルタ60のいずれかの端面64又は65側から流入した排ガスにおいては、大部分の排ガスG7及びG9は、セル壁73を通過し、一部の排ガスG8及びG10は、そのまま開口セルを通過する。
【0107】
本実施形態の排ガス浄化装置は、このようなハニカムフィルタを、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置してなる排ガス浄化装置である。本実施形態の排ガス浄化装置では、第一実施形態の排ガス浄化装置を用いた場合と同様にして排ガスを浄化する。
【0108】
本実施形態のハニカムフィルタを製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、第一実施形態において説明したハニカム成形体の大きさに比べて大きく、その外形が異なる他は、第一実施形態と同様にしてハニカム成形体を作製する。
【0109】
その他の工程は、第一実施形態におけるハニカムフィルタの製造工程とほぼ同様である。ただし、本実施形態では、ハニカムフィルタが1つのハニカム焼成体からなるため、結束工程を行う必要はなく、外周加工工程を行う必要もない。
【0110】
そして、製造したハニカムフィルタを用いて、第一実施形態と同様にして排ガス浄化装置を製造することができる。
本実施形態のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置においても、第一実施形態において説明した効果(1)〜(6)を発揮することができる。
【0111】
(その他の実施形態)
第一実施形態及び第二実施形態に示したハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されている。しかし、本発明のハニカムフィルタにおいては、多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が、所定の範囲であればよく、開口セルが設けられている位置は特に限定されない。そのため、ハニカムフィルタの両方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されていなくてもよい。
【0112】
また、第一実施形態及び第二実施形態に示した排ガス浄化装置では、ハニカムフィルタの一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されたハニカムフィルタを用いて、上記一方の端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置している。しかし、本発明の排ガス浄化装置においては、セルの一部に開口セルを有するハニカムフィルタを用いていればよく、また、ハニカムフィルタを配置する向きについても特に限定されない。
【0113】
本発明のハニカムフィルタが、集合型ハニカムフィルタである場合、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体については、ハニカムフィルタ全体として所定の割合の開口セルが設けられている限り、開口セルが設けられているハニカム焼成体の個数は特に限定されない。
例えば、集合型ハニカムフィルタを構成するすべてのハニカム焼成体に開口セルが設けられていてもよいし、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の1つだけに開口セルが設けられていてもよい。
【0114】
本発明のハニカムフィルタの形状は、略円柱状に限定されるものではなく、略楕円柱状、略多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0115】
本発明のハニカムフィルタにおいて、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の気孔率は、特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカムフィルタがすぐに目詰まりを起こすことがある。一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカムフィルタの強度が低下して容易に破壊されることがある。
【0116】
また、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがある。
【0117】
なお、上記気孔率及び気孔径は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
【0118】
ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.2〜0.4mmであることが望ましい。
セル壁の厚さが0.2mm未満であると、セル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなるおそれがある。一方、セル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカムフィルタの圧力損失の上昇を引き起こす場合がある。
【0119】
ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、望ましい上限は、93.0個/cm2(600個/inch2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。
なお、上述したように、多数のセルの個数は、封止セルの個数と開口セルの個数とを合わせた個数であり、他のセルの断面形状と異なる断面形状を有するセルの個数は含まない。
【0120】
本発明のハニカムフィルタにおいて、各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略五角形、略六角形、略台形、又は、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
【0121】
集合型ハニカムフィルタを製造する際の結束工程は、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【0122】
また、集合型ハニカムフィルタを製造する際に、断面形状が異なる複数種類のハニカム焼成体を作製し、複数種類のハニカム焼成体を組み合わせて、ハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックを作製することにより、外周加工工程を省略してもよい。
例えば、以下のような断面形状が異なる3種類のハニカム焼成体を作製してもよい。第1のハニカム焼成体は、断面形状が2本の直線と1本の円弧とで囲まれた形状である。第2のハニカム焼成体は、断面形状が3本の直線と1本の円弧とで囲まれた形状である。第3のハニカム焼成体は、断面形状が4本の直線で囲まれた形状(略四角形)である。断面形状の異なるこれら3種類のハニカム焼成体は、押出形成において用いるダイスの形状を変更することにより作製することができる。そして、第1のハニカム焼成体を8個、第2のハニカム焼成体及び第3のハニカム焼成体をそれぞれ4個ずつ組み合わせることにより、略円柱状のハニカムフィルタを作製することができる。
【0123】
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分としては、これらの中で、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、上述したセラミックがケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらの中では、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、炭化ケイ素を60重量%以上含むケイ素含有炭化ケイ素質セラミックが望ましい。
また、一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分としては、コージェライト又はチタン酸アルミニウムが望ましい。
【0124】
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を製造する際に用いられる湿潤混合物に含まれる有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0125】
湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0126】
また、湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0127】
さらに、湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0128】
第一実施形態では、セルを封止する封止材ペーストとして、湿潤混合物と同様のものを用いている。しかし、封止材ペーストとしては、特に限定されず、後工程を経て製造される封止材の気孔率が、30〜75%となるものが望ましい。
【0129】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
【0130】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0131】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。
【0132】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0133】
さらに、接着材ペースト及びコート材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0134】
本発明のハニカムフィルタのセル壁には、触媒が担持されていてもよい。
ハニカムフィルタのセル壁にCO、HC及びNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することが可能となる触媒を担持させることにより、触媒反応により排ガス中の有害なガス成分を充分に浄化することが可能となる。また、PMの燃焼を助ける触媒をハニカムフィルタのセル壁に担持させることにより、PMをより容易に燃焼除去することが可能となる。
【0135】
上記触媒の担持は、ハニカムフィルタのセル壁に対して行ってもよく、ハニカム焼成体のセル壁に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカムフィルタ又はハニカム焼成体のセル壁の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0136】
ハニカムフィルタのセル壁の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO3)3等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO3)3等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3、白金濃度約4.53重量%)等をハニカムフィルタのセル壁に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカムフィルタのセル壁に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【符号の説明】
【0137】
10、60、110 ハニカムフィルタ
14、64 ハニカムフィルタの一方の端面
15、65 ハニカムフィルタの他方の端面
21a、21b、71a、71b 封止セル
21c、71c 開口セル
23、73 セル壁
24 ハニカム焼成体の一方の端面
25 ハニカム焼成体の他方の端面
30 排ガス浄化装置
31 金属容器
33 ガス入口側
34 ガス出口側
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が重視されるようになり、自動車業界では燃費が良く、かつ、環境負荷の小さいエンジンが求められている。
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて燃費に優れるという長所がある。一方、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が発生するため、排ガス浄化装置を搭載して排ガスに含まれるPMを浄化する必要がある。
【0003】
ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べてPMの排出量が少ないという長所がある。そのため、通常は、PMを浄化するための排ガス浄化装置を搭載する必要がない。一方、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べて燃費が劣るという欠点がある。
【0004】
近年、自動車購入者が自動車の燃費を重視する傾向があることから、ガソリンエンジンの中でも、燃費に優れた直噴ガソリンエンジン(GDI:Gasoline Direct Injection)を搭載した自動車台数が増大することが予想されている。しかしながら、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガス中には少量のPMが含まれており、排ガス浄化装置を搭載して排ガス中のPMを浄化する必要があることが予想される。
【0005】
ディーゼルエンジンから排出される排ガスの浄化に用いられる排ガス浄化装置は、セラミック等の材料からなるハニカムフィルタを金属容器(ケーシング)内に収納することにより作製される。排ガス浄化装置のガス入口側から排ガスを排ガス浄化装置内に導入し、フィルタ内に排ガスを通過させて、排ガス浄化装置のガス出口側から排ガスを排出することによって排ガスを浄化することができる。
【0006】
このようなフィルタでは、多数のセルが、セル壁を隔てて長手方向に並設されている。また、多数のセルはすべて、いずれか一方の端部が封止されているため、一のセルに流入した排ガスは、必ずセル同士を隔てるセル壁を通過した後、他のセルから流出するようになっている。すなわち、このようなフィルタが排ガス浄化装置に備えられていると、排ガス中に含まれるPMは、フィルタを通過する際に、セル壁により捕捉され、その結果、排ガスが浄化される。
【0007】
特許文献1には、このような構造を有するハニカムフィルタ、及び、ハニカムフィルタをケーシング内に備えた排ガス浄化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−96113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ガソリンエンジンは、上述したように、ディーゼルエンジンに比べて燃費が劣るという欠点がある。従って、ガソリンエンジンを使用する際には、燃費の悪化を防ぐ必要がある。そのため、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化することを考えた場合、排ガスを浄化するためのフィルタには、圧力損失が低いことが求められる。一方、ガソリンエンジンから排出される排ガス中に含まれるPMの量は微量である。そのため、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化するためのフィルタにおいては、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを浄化するためのフィルタと比べて、PMの捕集効率は低くてもよいと考えられる。すなわち、ガソリンエンジン用のフィルタには、ディーゼルエンジン用のフィルタに比べて、PMの捕集効率を低下させても圧力損失が低いことが求められる。
【0010】
本発明者は、上述したように、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガス中のPMを浄化することが必要になる可能性が高いことを踏まえて、直噴ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含まれる排ガスを浄化するためのハニカムフィルタ、及び、上記ハニカムフィルタを用いた排ガス浄化装置の開発を試みた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、排ガスを浄化する際に、ハニカムフィルタの圧力損失に影響を与える要因について検討した。
ハニカムフィルタの圧力損失に影響を及ぼす主な要因としては、排ガスがフィルタに流入する際の抵抗、排ガスがフィルタから流出する際の抵抗、セル(流入側セル及び流出側セル)を通過する際の摩擦、セル壁を通過する際の抵抗等が挙げられる。
【0012】
ここで、圧力損失を低下させるための1つの方法として、ハニカムフィルタのセルについて両方の端部を開放することが考えられる。
しかしながら、ハニカムフィルタのセルについて両方の端部を開放すると、圧力損失を低下させることはできるものの、セル壁を通過しない排ガスに含まれるPMは、セル壁に捕集されないため、PMの捕集効率は大きく低下してしまう。
【0013】
そのような中、本発明者は、ハニカムフィルタにおけるPMの捕集効率と圧力損失との間の関係を詳細に検討した。その結果、多数のセルの個数に対する、両方の端部が封止されていないセルの個数の割合を所定の範囲にすることによって、多数のセルがすべて交互に封止されている場合に比べてPMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、請求項1に記載のハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、
上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載のハニカムフィルタは、多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有している。従って、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタと比べて圧力損失を低下させることができる。
【0016】
請求項1に記載のハニカムフィルタでは、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
そして、請求項1に記載のハニカムフィルタは、ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含まれる排ガスを浄化する場合に適している。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
【0017】
請求項2に記載のハニカムフィルタにおいては、上記開口セルの個数が、上記多数のセル個数の0.2〜1.1%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であると、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を低下させることができる。
【0018】
請求項3に記載のハニカムフィルタにおいては、上記ハニカムフィルタの一方の端面側において、上記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された上記開口セルである。
請求項3に記載のハニカムフィルタでは、端部が開放されたセルが、一方の端面側よりも他方の端面側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより低下させることができる。
【0019】
請求項4に記載の排ガス浄化装置は、ガス入口側及びガス出口側を備えた金属容器と、
上記金属容器内に収容されたハニカムフィルタとを備えた排ガス浄化装置であって、
上記ハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されており、
上記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
上記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
上記開口セルの個数は、上記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の排ガス浄化装置は、多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有したハニカムフィルタを備えている。従って、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタを備える排ガス浄化装置と比べて圧力損失を低下させることができる。
【0021】
請求項4に記載の排ガス浄化装置を構成するハニカムフィルタでは、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
【0022】
請求項5に記載の排ガス浄化装置では、上記開口セルの個数が、上記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であると、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を低下させることができる。
【0023】
請求項6に記載の排ガス浄化装置では、上記ハニカムフィルタの一方の端面側において、上記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された上記封止セルであり、
上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された上記開口セルであり、
上記ハニカムフィルタの一方の端面側が、上記金属容器のガス入口側に配置されており、
上記ハニカムフィルタの他方の端面側が、上記金属容器のガス出口側に配置されている。
請求項6に記載の排ガス浄化装置では、端部が開放されたセルが、ガス入口側に比べてガス出口側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより大幅に低下させることができる。
【0024】
請求項7に記載の排ガス浄化装置では、上記ガスは、ガソリンエンジンから排出された排ガスである。
このような排ガス浄化装置は、排ガス中に含まれるPMの量が少ないガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図3(b)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【図4】図4(a)は、図2に示したハニカム焼成体の一方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図であり、図4(b)は、図2に示したハニカム焼成体の他方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図である。
【図5】図5(a)は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【図6】図6は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程の一例を模式的に示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程において第1のハニカム焼成体と第2のハニカム焼成体とを配置する位置を模式的に示す説明図である。
【図9】図9は、PMの捕集効率測定装置を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、圧力損失測定装置を模式的に示す断面図である。
【図11】図11は、実施例及び比較例におけるハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合とPMの捕集効率との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例及び比較例におけるハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合と圧力損失との関係を示すグラフである。
【図13】図13(a)は、第二実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す斜視図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタのB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置の一実施形態である第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、本発明の実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
図1は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示したハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図3(a)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図3(b)は、図2に示したハニカム焼成体のセル構造を他方の端面側から模式的に示す側面図である。
【0028】
図1に示すハニカムフィルタ10は、一方の端面14及び他方の端面15を有している。また、多孔質セラミックからなるハニカム焼成体20が、接着材層11を介して複数個結束されてセラミックブロック13を構成している。そして、セラミックブロック13の周囲には、排ガスの漏れを防止するためのコート層12が形成されている。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
このような、複数個のハニカム焼成体が結束されてなるハニカムフィルタは、集合型ハニカムフィルタともいう。
また、ハニカム焼成体20は、図2に示す形状を有している。
【0029】
図2に示すハニカム焼成体20は、一方の端面24及び他方の端面25を有している。また、ハニカム焼成体20には、多数のセル21a、21b及び21cが、セル壁23を隔てて長手方向(図2中、矢印aの方向)に並設されている。
【0030】
図3(a)に示すように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側においては、端部が封止材22で封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。
そして、図3(b)に示すように、セル21aは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が開放されている。一方、ハニカム焼成体20の一方の端面24側の端部が開放されたセルについて、大部分のセルであるセル21bは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が封止材22で封止されており、一部のセルであるセル21cは、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が開放されている。
そのため、ハニカム焼成体20の他方の端面25側においては、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカム焼成体20の一方の端面24側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
【0031】
このように、ハニカム焼成体20に設けられている多数のセルの大部分は、ハニカム焼成体20のいずれか一方の端部が封止された封止セルとなっており、多数のセルの一部は、ハニカム焼成体20の両方の端部が開放された開口セルとなっている。すなわち、図2、図3(a)及び図3(b)に示すハニカム焼成体20においては、セル21a及びセル21bが封止セルであり、セル21cが開口セルである。
なお、セル21aのように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側の端部が封止された封止セルを第1の封止セルともいい、また、セル21bのように、ハニカム焼成体20の他方の端面25側の端部が封止された封止セルを第2の封止セルともいうこととする。
【0032】
なお、本発明において、封止セルの個数は、ハニカムフィルタ又はハニカム焼成体が有する多数のセルの個数から開口セルの個数を除いた個数に一致する。従って、本明細書においては、例えば、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であるとき、「多数のセルの一部」とは、「多数のセルの個数の0.1〜4.9%」を意味し、「多数のセルの大部分」とは、「多数のセルの個数の95.1〜99.9%」を意味する。
【0033】
また、本実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体には、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、ハニカムフィルタ全体が有する多数のセルの個数の0.1〜4.9%となるように開口セルが設けられている。なお、ハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、ハニカムフィルタ全体が有する多数のセルの個数の0.2〜1.1%となるように開口セルが設けられていることが望ましい。
ハニカム焼成体に開口セルが設けられていると、ハニカム焼成体に開口セルが設けられていない場合と比べて圧力損失を低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
特に、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0034】
例えば、図2、図3(a)及び図3(b)に示したような、縦18個、横18個の計324個のセルを有するハニカム焼成体が、16個結束されることにより構成されるハニカムフィルタを考えた場合、ハニカムフィルタ全体における開口セルの個数が、5〜220個程度となるように、ハニカム焼成体に開口セルが設けられていることが望ましい。この際、開口セルが設けられたハニカム焼成体1個と、開口セルが設けられていないハニカム焼成体15個とを結束させてもよいし、所定の個数の開口セルが設けられたハニカム焼成体と、開口セルが設けられていないハニカム焼成体とを所定の個数結束させてもよい。さらに、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体が有する開口セルの個数は、すべてのハニカム焼成体について同一でもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0035】
次に、ハニカム焼成体に流入する排ガスの流れについて説明する。
図4(a)は、図2に示したハニカム焼成体の一方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図であり、図4(b)は、図2に示したハニカム焼成体の他方の端面側から流入する排ガスの流れを模式的に示すA−A線断面図である。
なお、図4(a)及び図4(b)では、図2に示したハニカム焼成体20のA−A線断面を模式的に示しており、ハニカム焼成体20が有する縦方向のセルの個数を模式的に9個としている。
【0036】
図4(a)に示すように、ハニカム焼成体20の一方の端面24側から第2の封止セル21bに流入した排ガスG1は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過した後、第1の封止セル21aから流出するようになっている。従って、セル壁23は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカム焼成体20の一方の端面24側から開口セル21cに流入した排ガスG2は、そのまま開口セル21cを通過する。
【0037】
また、図4(b)に示すように、ハニカム焼成体20の他方の端面25側から第1の封止セル21aに流入した排ガスG3は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過した後、第2の封止セル21bから流出するようになっている。従って、セル壁23は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカム焼成体20の他方の端面25側から開口セル21cに流入した排ガスG4は、そのまま開口セル21cを通過する。
【0038】
このように、ハニカム焼成体20のいずれかの端面24又は25側から流入した排ガスにおいては、大部分の排ガスG1及びG3は、セル壁23を通過し、一部の排ガスG2及びG4は、そのまま開口セルを通過する。
【0039】
本実施形態のハニカムフィルタは、複数のハニカム焼成体が、接着材層を介して結束されたものである。
なお、複数のハニカム焼成体のうち、少なくとも1つのハニカム焼成体は、上述したような、多数のセルの一部に開口セルを有するハニカム焼成体である。従って、本実施形態のハニカムフィルタは、多数のセルの一部に開口セルを有するハニカム焼成体のみから構成されていてもよいし、開口セルを有していないハニカム焼成体を含んでいてもよい。
【0040】
図5(a)は、第一実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す側面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す側面図である。
ハニカムフィルタ10では、図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体20が、接着材層11を介して複数個結束されている。なお、図5(a)及び図5(b)においては、1つのハニカム焼成体20が有するセルの個数を模式的に縦9個、横9個としている。
また、図5(a)及び図5(b)では、後述するように、ハニカムフィルタ10の外周に切削加工が施されているため、ハニカムフィルタ10の外周部に位置するハニカム焼成体の断面形状(その長手方向に垂直な断面の形状)は、4本の直線で囲まれた形状ではない。そのため、ハニカムフィルタ10は、4本の直線で囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体20、2本の直線と1本の曲線とで囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体26、及び、3本の直線と1本の曲線とで囲まれた断面形状を有するハニカム焼成体27という3種類のハニカム焼成体からなると考えることもできる。
【0041】
ハニカムフィルタ10を構成するハニカム焼成体20、26及び27は、図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体20の一方の端面24(端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている側の端面)同士が、すべて同じ向き(ハニカムフィルタ10の一方の端面14側)に配置されるように結束されている。
【0042】
そのため、ハニカムフィルタ10は、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側の端部が封止され、かつ、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側の端部が開放された第1の封止セル21a、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側の端部が開放され、かつ、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側の端部が封止された第2の封止セル21b、及び、ハニカムフィルタ10の両方の端部が開放された開口セル21cを有している。
【0043】
ハニカムフィルタ10の一方の端面14側においては、端部が封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。
一方、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側においては、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
【0044】
本実施形態のハニカムフィルタにおいては、開口セルの個数は、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴としている。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であることが望ましい。
【0045】
なお、本明細書において、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を求める場合、多数のセルの個数には、後述する切削加工によって一部が欠けたセルの個数は含まないこととする。
これを図5(a)を参照して説明する。セル21dは、ハニカムフィルタ10の外周部に存在するセルであり、四角形ではない断面形状を有する。セル21dのように、ハニカムフィルタ10の外周部に存在するセルのほとんどは、セルの断面形状が四角形ではない。一方、ハニカムフィルタ10の外周部以外に存在するセルについては、セルの断面形状が四角形である。このように、ハニカムフィルタの外周部に存在するセルであって、ハニカムフィルタの外周部以外に存在するセルと異なる断面形状を有するセルを「一部が欠けたセル」という。
従って、図5(a)に示したハニカムフィルタにおいて、多数のセルの個数は、断面形状が四角形である封止セル21a及び21bの個数、並びに、開口セル21cの個数を合わせた個数である。
【0046】
次に、本実施形態のハニカムフィルタの製造方法の一例について説明する。なお、ここでは、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する方法について説明する。
まず、セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用のセラミック原料(湿潤混合物)を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形した後、所定の長さに切断する切断処理を行うことにより、所定の形状を有する生のハニカム成形体を作製する。
続いて、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて生のハニカム成形体を乾燥させる乾燥処理を行うことにより、乾燥させたハニカム成形体を作製する。
【0047】
続いて、乾燥させたハニカム成形体の所定のセルに封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
図2、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム焼成体を例にして封止工程を説明する。まず、ハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材となる封止材ペーストを充填する。次に、ハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルに対して、大部分のセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填し、一部のセルについては、他方の端面側の端部にも封止材ペーストを充填しない。また、ハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填したセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填しない。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物と同様の組成のものを用いることができる。
【0048】
次に、封止処理を行ったハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程を行う。
封止工程の後、セルの端部が封止されたハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱して除去する脱脂処理を行い、その後、焼成処理を行うことにより、図2、図3(a)及び図3(b)に示したようなハニカム焼成体を作製することができる。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。
また、切断処理、乾燥処理、封止処理、脱脂処理、及び、焼成処理の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0049】
次に、複数個のハニカム焼成体間に接着材層を形成して、複数個のハニカム焼成体を接着材層を介して接着する結束工程を行う。
図6は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程の一例を模式的に示す側面図である。
結束工程では、例えば、図6に示すように、ハニカム焼成体20が斜めに傾斜した状態で積み上げることができるように、上部の断面がV字形状に構成された台100の上に、ハニカム焼成体20を傾斜した状態で載置する。その後、上側を向いたハニカム焼成体20の2つの側面28a、28bに、接着材ペースト16を均一な厚さで塗布する。そして、この接着材ペースト16の上に、順次他のハニカム焼成体20を積層する工程を繰り返す。
このとき、ハニカム焼成体20において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面24が、すべて同じ向きに配置されるようにハニカム焼成体20を積層する。
このような方法により、ハニカム焼成体の側面に接着材ペーストが塗布されてなるハニカム焼成体の集合体を作製する。
なお、図6においては、1つのハニカム焼成体20が有するセルの個数を模式的に縦5個、横5個としている。
【0050】
接着材ペーストとしては、例えば、アルミナファイバ等の無機繊維と、炭化ケイ素等の無機粒子と、シリカゾル等の無機バインダとを含むペースト等を用いる。また、接着材ペーストには、さらにウィスカが含まれていてもよい。
【0051】
続いて、ハニカム焼成体の集合体を乾燥機等を用いて加熱して、接着材ペーストを乾燥固化させることによって、ハニカム焼成体間に接着材層が形成されたセラミックブロックを作製する乾燥固化工程を行う。
【0052】
その後、セラミックブロックに切削加工を施す外周加工工程を行う。
具体的には、セラミックブロックに対して、ダイヤモンドカッターを用いて切削加工を施すことにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
【0053】
続いて、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布し、上記コート材ペーストを乾燥固化させることによりコート層を形成するコート層形成工程を行う。
まず、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布する。次に、コート材ペーストを乾燥固化させることにより、外周面にコート層が形成されたハニカムフィルタを作製する。
ここで、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同じ材料からなるものを使用することができる。
以上の工程によって、本実施形態のハニカムフィルタ(図5(a)及び図5(b)参照)を製造することができる。
【0054】
続いて、本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置について説明する。
本実施形態の排ガス浄化装置には、上述した本実施形態のハニカムフィルタが用いられている。
【0055】
図7は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す排ガス浄化装置30は、ガス入口側33及びガス出口側34を備えた金属容器31と、金属容器31内に収容されたハニカムフィルタ10とを備えている。
排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10として、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタが用いられている。上述したように、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側は、端部が封止材22で封止されたセル21aと、端部が開放されたセル21b又は21cとが交互に配置されている。一方、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側は、開口セル21cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側が、金属容器31のガス入口側33に配置されており、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側が、金属容器31のガス出口側34に配置されている。
【0056】
また、ハニカムフィルタ10と金属容器31との間には、保持シール材32が配設されており、保持シール材32によりハニカムフィルタ10が保持されている。
保持シール材は、主にアルミナ等の無機繊維からなる平面視略矩形状のマット状の部材である。
【0057】
さらに、金属容器31のガス入口側33には、直噴ガソリンエンジン等の内燃機関から排出された排ガスを排ガス浄化装置30内に導入するための導入管が接続される。一方、金属容器31のガス出口側34には、排ガス浄化装置30内を通過した排ガスを外部に排出する排出管が接続される。
【0058】
次に、このようなハニカムフィルタ10を備えた排ガス浄化装置30を用いて排ガスを浄化する方法について、図7を参照して以下に説明する。
図7に示したように、内燃機関から排出され、ガス入口側33から排ガス浄化装置30に流入した排ガス(図7中、排ガスをG5及びG6で示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカムフィルタ10の一方の端面14側からハニカムフィルタ10に流入する。ハニカムフィルタ10の一方の端面14側においては、排ガスG5は、第2の封止セル21bに流入し、排ガスG6は、開口セル21cに流入する。
このうち、第2の封止セル21bに流入した排ガスG5は、第1の封止セル21aと第2の封止セル21bとを隔てるセル壁23を通過する。この際、排ガスG5中のPMが、セル壁23で捕集され、排ガスG5が浄化される。
浄化された排ガスG5は、第1の封止セル21aに流入し、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側からハニカムフィルタ10の外に排出される。そして、排ガスG5は、排ガス浄化装置30のガス出口側34から排ガス浄化装置30の外に排出される。
【0059】
開口セル21cに流入した排ガスG6は、そのまま開口セル21cを通過し、ハニカムフィルタ10の他方の端面15側からハニカムフィルタ10の外に排出される。そして、排ガスG6は、排ガス浄化装置30のガス出口側34から排ガス浄化装置30の外に排出される。
【0060】
このように、排ガス浄化装置30では、大部分の排ガスである排ガスG5は浄化される。一方、一部の排ガスである排ガスG6は、開口セル21cを通過する。そのため、排ガス浄化装置30においては、開口セルを有していないハニカムフィルタを備える排ガス浄化装置と比べて圧力損失が低くなる。
【0061】
また、排ガス浄化装置30では、ハニカムフィルタ10全体が有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数が、所定の割合であるため、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
そのため、本実施形態の排ガス浄化装置は、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化するためのガソリンパティキュレートフィルタとして用いることができる。
【0062】
本実施形態の排ガス浄化装置では、金属容器内に、本実施形態のハニカムフィルタが1つ収容されていてもよいし、他の触媒担体として用いられるハニカム構造体と一緒に配置されていてもよい。
【0063】
以下、本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
上記の方法で製造した本実施形態のハニカムフィルタを金属容器内に配置する。例えば、図7に示した排ガス浄化装置を製造する場合、ハニカムフィルタにおいて、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面側が金属容器のガス入口側になるように、他方の端面側が金属容器のガス出口側になるように金属容器内に配置する。
具体的には、保持シール材として、主に無機繊維からなる平面視略矩形状のマットを準備し、このマットをハニカムフィルタに巻き付ける。そして、略円筒状の金属容器にマットが巻き付けられたハニカムフィルタを圧入することによって排ガス浄化装置とすることができる。
また、金属容器を、第一の金属容器及び第二の金属容器の2つの部品に分離可能な形状としておき、無機繊維からなるマットを巻き付けたハニカムフィルタを第一の金属容器上に載置した後に第二の金属容器を被せて密封することによって排ガス浄化装置とすることもできる。
【0064】
以下、本実施形態のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置の作用効果について説明する。
(1)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、ハニカムフィルタに設けられている多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルである。
多数のセルの一部に、両方の端部が開放された開口セルを有していると、排ガスの一部が、開口セルを通過するため、開口セルを有していないハニカムフィルタと比べて圧力損失を低下させることができる。
【0065】
(2)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、開口セルの個数が、ハニカムフィルタに設けられている多数のセルの個数の0.1〜4.9%である。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であると、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0066】
(3)本実施形態のハニカムフィルタにおいては、一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、上記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放されており、上記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止されており、上記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放されている。
つまり、本実施形態のハニカムフィルタでは、端部が開放されたセルが、一方の端面側よりも他方の端面側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより低下させることができる。
【0067】
(4)本実施形態の排ガス浄化装置には、本実施形態のハニカムフィルタが用いられており、ハニカムフィルタの、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置された一方の端面側が、ガス入口側に配置されており、ハニカムフィルタの他方の端面側が、ガス出口側に配置されている。
つまり、本実施形態の排ガス浄化装置では、端部が開放されたセルが、ガス入口側に比べてガス出口側に多く存在している。そのため、排ガスが、ハニカムフィルタ内を円滑に流通することができると考えられるので、圧力損失をより大幅に低下させることができる。
【0068】
(5)本実施形態の排ガス浄化装置では、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する。
ガソリンエンジンから排出される排ガスに含まれるPMの量は、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれるPMの量に比べて少ない。そのため、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができるハニカムフィルタを備えた本実施形態の排ガス浄化装置を用いることによって、圧力損失の増加に起因する燃費の悪化を防ぐことができるとともに、排ガスに含まれるPMを充分に捕集することができる。
【0069】
(6)本実施形態の排ガス浄化装置では、金属容器内に、1つのハニカムフィルタが収容されている。
本実施形態の排ガス浄化装置を用いて、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化する場合、排ガスに含まれるPMの量は少ないため、ハニカムフィルタの個数が1つであっても、PMを充分に捕集することができる。
また、複数のハニカムフィルタを金属容器内に収容する必要がないため、排ガス浄化装置全体のサイズを小さくすることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
(1)ハニカムフィルタの製造
(実施例1)
平均粒子径22μmの炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た。そして、湿潤混合物を押出成形した後、切断することにより、図2、図3(a)及び図3(b)に示した形状と略同様の形状であって、セルを封止していない生のハニカム成形体を作製した。次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、乾燥させたハニカム成形体を作製した。
【0072】
乾燥させたハニカム成形体の所定のセルに、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。
本実施例では、後述するように、1個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有さない第2のハニカム焼成体を作製する。そして、第1のハニカム焼成体となるハニカム成形体には、第1の封止を行い、一方、第2のハニカム焼成体となるハニカム成形体には、第2の封止を行った。
第1の封止では、まず、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材ペーストを充填した。次に、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルのうち、1個のセルについては、他方の端面側の端部にも封止材ペーストを充填せず、残りのセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填した。また、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填したセルについては、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填しなかった。
第2の封止では、まず、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されるように、所定のセルの端部に封止材ペーストを充填した。次に、乾燥させたハニカム成形体の一方の端面側の端部に封止材ペーストを充填していないセルのすべてについて、他方の端面側の端部に封止材ペーストを充填した。
セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0073】
セルの封止を行ったハニカム成形体を焼成用治具に載置した後、400℃で脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行うことにより、気孔率が42%、平均気孔径が11μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が31.0個/cm2(200個/inch2)、セル壁の厚さが0.4mm(16mil)の炭化ケイ素焼結体からなる第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を作製した。
なお、第1の封止を行った第1のハニカム焼成体のセル構造は、図3(a)及び図3(b)に示したセル構造と同様であり、1個の開口セルが存在している。
一方、第2の封止を行った第2のハニカム焼成体のセル構造は、ハニカム焼成体の両端面側において図3(a)に示したセル構造と同様であり、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されている。
【0074】
なお、各実施例及び比較例においては、上記第1の封止を行ったハニカム焼成体のように、開口セルを有するハニカム焼成体を第1のハニカム焼成体ということとする。また、上記第2の封止を行ったハニカム焼成体のように、開口セルを有していないハニカム焼成体を第2のハニカム焼成体ということとする。
【0075】
次に、平均繊維長20μm、平均繊維径2μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル(固形分30重量%)15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを調製した。
そして、第1のハニカム焼成体を5個、第2のハニカム焼成体を11個用いて、図6に示したように、ハニカム焼成体の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して第1のハニカム焼成体又は第2のハニカム焼成体を縦4個、横4個の計16個接着させる結束工程を行うことにより、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
【0076】
図8は、図5(a)及び図5(b)に示したハニカムフィルタを製造する際の結束工程において第1のハニカム焼成体と第2のハニカム焼成体とを配置する位置を模式的に示す説明図である。
ハニカム焼成体の集合体を構成する16個のハニカム焼成体の位置を、図8に示すように位置101a〜101pとした場合、第1のハニカム焼成体が、位置101f、101g、101j、101k及び101oに配置され、第2のハニカム焼成体が、残りの位置(101a〜101e、101h、101i、101l〜101n及び101p)に配置されるように第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を積層した。
また、第1のハニカム焼成体については、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている端面が、すべて同じ向きに配置されるように第1のハニカム焼成体を積層した。
【0077】
さらに、ハニカム焼成体の集合体を120℃で加熱して、接着材ペーストを乾燥固化させることにより、厚さが1.0mmの接着材層が形成された四角柱状のセラミックブロックを作製した。
【0078】
次に、ダイヤモンドカッターを用いて、セラミックブロックの外周を切断することにより、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックを作製した。
次に、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布し、コート材ペースト層を形成した。そして、このコート材ペースト層を120℃で乾燥固化させてコート層を形成することにより、外周にコート層が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカムフィルタを製造した。
この際、コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同一の組成のペーストを使用した。
【0079】
実施例1で製造したハニカムフィルタは、5個の開口セルを有していた。そして、開口セルの個数は、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)の0.1%であった。
【0080】
(実施例2)
まず、実施例1と同様の方法により、1個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有していない第2のハニカム焼成体を作製した。
次に、第1のハニカム焼成体を10個、第2のハニカム焼成体を6個用いて、実施例1と同様の方法により、ハニカム焼成体の集合体を作製した。この際、図8において、第1のハニカム焼成体が、位置101b、101e〜101l及び101oに配置され、第2のハニカム焼成体が、残りの位置(位置101a、101c、101d、101m、101n及び101p)に配置されるように第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体を積層した。
その後、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
実施例2で製造したハニカムフィルタが有する開口セルの個数は、10個であり、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は0.2%であった。
【0081】
(実施例3〜7)
第1のハニカム焼成体が有する開口セルの個数を表1に示すように変更することによって、ハニカムフィルタが有する開口セルの個数、及び、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を表1に示すように変更した他は、実施例2と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
実施例3〜7のハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は、それぞれ、1.1%、2.2%、3.3%、4.4%、4.9%であった。
【0082】
(比較例1)
まず、実施例1と同様の方法により、23個の開口セルを有する第1のハニカム焼成体、及び、開口セルを有していない第2のハニカム焼成体を作製した。
次に、第1のハニカム焼成体を10個、第2のハニカム焼成体を6個用いて、実施例2と同様の方法により、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
その後、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
比較例1で製造したハニカムフィルタが有する開口セルの個数は、230個であり、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は5.1%であった。
【0083】
(比較例2)
第1のハニカム焼成体を用いず、第2のハニカム焼成体を16個用いてハニカム焼成体の集合体を作製した他は、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
比較例2で製造したハニカムフィルタでは、すべてのセルが交互に封止されており、開口セルは存在しなかった。すなわち、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数(約4500個)に対する開口セルの個数の割合は0%である。
【0084】
(2)ハニカムフィルタの特性評価
実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタにおいて、PMの捕集効率及び圧力損失を評価した。
なお、PMの捕集効率及び圧力損失を評価するために、実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタを備えた排ガス浄化装置を製造し、この排ガス浄化装置を用いてPMの捕集効率及び圧力損失を測定した。
【0085】
(2−1)排ガス浄化装置の作製
実施例1〜7並びに比較例1及び2で製造したハニカムフィルタにアルミナからなるマット状の保持シール材を巻き付け、金属容器内に配置することによって排ガス浄化装置を作製した。
なお、実施例1〜7及び比較例1で製造したハニカムフィルタを金属容器内に配置する際には、ハニカムフィルタにおいて、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている一方の端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置した。
【0086】
(2−2)PMの捕集効率の測定
PMの捕集効率の測定は、図9に示すようなPMの捕集効率測定装置を用いて行った。図9は、PMの捕集効率測定装置を模式的に示す断面図である。
PMの捕集効率測定装置40は、1.6Lのコモンレール式ディーゼルエンジン41の排ガス管42に、排ガス浄化装置30のガス入口側33を配置している。さらに、PMの捕集効率測定装置40は、ハニカムフィルタ110を流通する前の排ガスをサンプリングするサンプラー43と、ハニカムフィルタ110を流通した後の排ガスをサンプリングするサンプラー44と、サンプラー43又は44によりサンプリングされた排ガスを希釈する希釈器45と、希釈された排ガスに含まれるパティキュレートの量を測定するPMカウンタ46(TSI社製、凝集粒子カウンタ3022A−S)とを備えており、走査型モビリティ粒径分析装置(Scanning Mobility Particle Sizer SMPS)として構成されている。
なお、PMの捕集効率の測定は、測定時間が短縮され、また、精度良く測定することができるように、排ガス中のPM含有量が多いディーゼルエンジンを用いて行った。
【0087】
そして、エンジン41の回転数が2500min−1、トルクが40Nmとなるようにエンジン41を2時間運転し、エンジン41からの排ガスをハニカムフィルタ110に流通させた。このとき、ハニカムフィルタ110を流通する前のPM量P0と、ハニカムフィルタ110を通過した後のPM量P1とをPMカウンタ46を用いて、PM粒子数から把握した。そして、下記計算式(1)を用いてPMの捕集効率を算出した。
PMの捕集効率(%)=(P0−P1)/P0×100・・・(1)
PMの捕集効率の測定結果を表1に示す。
【0088】
(2−3)圧力損失の測定
圧力損失の測定は、図10に示すような圧力損失測定装置を用いて行った。図10は、圧力損失測定装置を模式的に示す断面図である。
圧力損失測定装置50は、送風機51の排ガス管52に、排ガス浄化装置30のガス入口側33を配置し、ハニカムフィルタ110の前後の圧力の検出が可能になるように圧力計53が取り付けられている。
【0089】
ガス(空気)の流通量が750m3/hになるように送風機51を運転し、運転開始から5分後の差圧(圧力損失)を測定した。
圧力損失の測定結果を表1に示す。
【0090】
実施例1〜7並びに比較例1及び2のハニカムフィルタについて、第1のハニカム焼成体が有する開口セルの個数、ハニカム焼成体の集合体を構成する第1のハニカム焼成体及び第2のハニカム焼成体の個数、ハニカムフィルタが有する開口セルの個数、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合、PMの捕集効率の測定結果、並びに、圧力損失の測定結果をまとめて表1に示した。
また、実施例1〜7並びに比較例1及び2におけるPMの捕集効率の測定結果から、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合とPMの捕集効率との関係を図11のグラフに示した。さらに、実施例1〜7並びに比較例1及び2における圧力損失の測定結果から、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合と圧力損失との関係を図12のグラフに示した。
なお、表1、図11のグラフ及び図12のグラフでは、「ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合」を単に「開口セルの割合」と記載している。
【0091】
【表1】
【0092】
まず、PMの捕集効率を測定した結果、比較例2のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0%である場合、すなわち、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合、PMの捕集効率は、99.9%であった。
一方、実施例1〜7のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.1〜4.9%である場合、PMの捕集効率は、60〜99%であった。つまり、ハニカムフィルタが開口セルを有している場合、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合と比べてPMの捕集効率が低下することがわかる。
一方、比較例1のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が5.1%である場合、PMの捕集効率は、59%であった。
【0093】
また、図11より、PMの捕集効率は、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合の増加に対して、略直線的に低下することがわかる。
【0094】
次に、圧力損失を測定した結果を示す。比較例2のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0%である場合、すなわち、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合、圧力損失は、5.5kPaと高い値であった。
一方、実施例1〜7のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.1〜4.9%である場合、圧力損失は、3.0〜4.8kPaであった。つまり、ハニカムフィルタが開口セルを有している場合、ハニカムフィルタが開口セルを有していない場合と比べて圧力損失が低下することがわかる。
一方、比較例1のように、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が5.1%である場合、圧力損失は、2.9kPaであった。
【0095】
また、図12より、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.2〜1.1%である場合、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が増加すれば、圧力損失が大幅に低下することがわかる。
【0096】
以上より、ハニカムフィルタに開口セルを設け、多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合を0.1〜4.9%とすることによって、PMの捕集効率をそれほど低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができることがわかった。
特に、ハニカムフィルタが有する多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率については、91〜98%と高い値を維持しつつ、圧力損失については、3.8〜4.4kPaと低い値を得ることができた。
【0097】
なお、PMの捕集効率が60%以上、圧力損失が5kPa以下であれば、ガソリンエンジンから排出される排ガスに代表される、少量のPMが含む排ガスを浄化するためのハニカムフィルタとして実用的に使用することができるレベルであると考えることができる。そのため、開口セルを所定の割合で有するハニカムフィルタは、ガソリンパティキュレートフィルタとして用いることができると考えられる。
【0098】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
本実施形態では、ハニカムフィルタが、1つのハニカム焼成体からなる。このような、1つのハニカム焼成体からなるハニカムフィルタは、一体型ハニカムフィルタともいう。
【0099】
図13(a)は、第二実施形態のハニカムフィルタの一例を一方の端面側から模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタを他方の端面側から模式的に示す斜視図である。図14(a)及び図14(b)は、図13(a)に示したハニカムフィルタのB−B線断面図である。
【0100】
図13(a)に示すハニカムフィルタ60は、一方の端面64及び他方の端面65を有している。また、ハニカムフィルタ60は、多数のセル71a、71b及び71cがセル壁73を隔てて長手方向に並設された柱状の1つのハニカム焼成体からなるセラミックブロック63を有し、セラミックブロック63の周囲にコート層62が形成されてなる。なお、コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の主な構成材料としては、コージェライトやチタン酸アルミニウムを用いることができる。
【0101】
図13(a)及び図13(b)に示すように、ハニカムフィルタ60は、一方の端面64側の端部が封止材72で封止され、かつ、他方の端面側65の端部が開放された第1の封止セル71aと、一方の端面64側の端部が開放され、かつ、他方の端面65側の端部が封止材72で封止された第2の封止セル71bと、一方の端面64側と他方の端面65側の両方の端部が開放された開口セル71cとを有している。
【0102】
そして、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側においては、端部が封止されたセル71aと、端部が開放されたセル71b又は71cとが交互に配置されている。
一方、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側においては、開口セル71cの個数の分だけ、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側よりも端部が開放されたセルが多く存在している。
このように、ハニカムフィルタ60においては、多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルとなっており、多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルとなっている。
【0103】
さらに、本実施形態のハニカムフィルタにおいては、第一実施形態のハニカムフィルタと同様、開口セルの個数は、多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴としている。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%であることが望ましい。
ハニカムフィルタに開口セルが設けられていると、ハニカムフィルタに開口セルが設けられていない場合と比べて圧力損失を低下させることができる。
開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.1%未満であると、圧力損失を低下させる効果が充分に得られない。また、開口セルの個数が、多数のセルの個数の4.9%を超えると、圧力損失を低下させることはできるが、PMの捕集効率が低下しすぎてしまうため、フィルタとしての機能が劣る。
特に、開口セルの個数が、多数のセルの個数の0.2〜1.1%である場合、PMの捕集効率を低下させることなく、圧力損失を大幅に低下させることができる。
【0104】
次に、ハニカムフィルタに流入する排ガスの流れについて説明する。
図14(a)に示すように、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側から第2の封止セル71bに流入した排ガスG7は、第1の封止セル71aと第2の封止セル71bとを隔てるセル壁73を通過した後、第1の封止セル71aから流出するようになっている。従って、セル壁73は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカムフィルタ60の一方の端面64側から開口セル71cに流入した排ガスG8は、そのまま開口セル71cを通過する。
【0105】
また、図14(b)に示すように、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側から第1の封止セル71aに流入した排ガスG9は、第1の封止セル71aと第2の封止セル71bとを隔てるセル壁73を通過した後、第2の封止セル71bから流出するようになっている。従って、セル壁73は、PM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
一方、ハニカムフィルタ60の他方の端面65側から開口セル71cに流入した排ガスG10は、そのまま開口セル71cを通過する。
【0106】
このように、ハニカムフィルタ60のいずれかの端面64又は65側から流入した排ガスにおいては、大部分の排ガスG7及びG9は、セル壁73を通過し、一部の排ガスG8及びG10は、そのまま開口セルを通過する。
【0107】
本実施形態の排ガス浄化装置は、このようなハニカムフィルタを、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されている端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置してなる排ガス浄化装置である。本実施形態の排ガス浄化装置では、第一実施形態の排ガス浄化装置を用いた場合と同様にして排ガスを浄化する。
【0108】
本実施形態のハニカムフィルタを製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、第一実施形態において説明したハニカム成形体の大きさに比べて大きく、その外形が異なる他は、第一実施形態と同様にしてハニカム成形体を作製する。
【0109】
その他の工程は、第一実施形態におけるハニカムフィルタの製造工程とほぼ同様である。ただし、本実施形態では、ハニカムフィルタが1つのハニカム焼成体からなるため、結束工程を行う必要はなく、外周加工工程を行う必要もない。
【0110】
そして、製造したハニカムフィルタを用いて、第一実施形態と同様にして排ガス浄化装置を製造することができる。
本実施形態のハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置においても、第一実施形態において説明した効果(1)〜(6)を発揮することができる。
【0111】
(その他の実施形態)
第一実施形態及び第二実施形態に示したハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されている。しかし、本発明のハニカムフィルタにおいては、多数のセルの個数に対する開口セルの個数の割合が、所定の範囲であればよく、開口セルが設けられている位置は特に限定されない。そのため、ハニカムフィルタの両方の端面側において、端部が封止されたセルと端部が開放されたセルとが交互に配置されていなくてもよい。
【0112】
また、第一実施形態及び第二実施形態に示した排ガス浄化装置では、ハニカムフィルタの一方の端面側において、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されたハニカムフィルタを用いて、上記一方の端面側を金属容器のガス入口側に、他方の端面側を金属容器のガス出口側に配置している。しかし、本発明の排ガス浄化装置においては、セルの一部に開口セルを有するハニカムフィルタを用いていればよく、また、ハニカムフィルタを配置する向きについても特に限定されない。
【0113】
本発明のハニカムフィルタが、集合型ハニカムフィルタである場合、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体については、ハニカムフィルタ全体として所定の割合の開口セルが設けられている限り、開口セルが設けられているハニカム焼成体の個数は特に限定されない。
例えば、集合型ハニカムフィルタを構成するすべてのハニカム焼成体に開口セルが設けられていてもよいし、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の1つだけに開口セルが設けられていてもよい。
【0114】
本発明のハニカムフィルタの形状は、略円柱状に限定されるものではなく、略楕円柱状、略多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0115】
本発明のハニカムフィルタにおいて、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の気孔率は、特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカムフィルタがすぐに目詰まりを起こすことがある。一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカムフィルタの強度が低下して容易に破壊されることがある。
【0116】
また、集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがある。
【0117】
なお、上記気孔率及び気孔径は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
【0118】
ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.2〜0.4mmであることが望ましい。
セル壁の厚さが0.2mm未満であると、セル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなるおそれがある。一方、セル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカムフィルタの圧力損失の上昇を引き起こす場合がある。
【0119】
ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、望ましい上限は、93.0個/cm2(600個/inch2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。
なお、上述したように、多数のセルの個数は、封止セルの個数と開口セルの個数とを合わせた個数であり、他のセルの断面形状と異なる断面形状を有するセルの個数は含まない。
【0120】
本発明のハニカムフィルタにおいて、各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略五角形、略六角形、略台形、又は、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
【0121】
集合型ハニカムフィルタを製造する際の結束工程は、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【0122】
また、集合型ハニカムフィルタを製造する際に、断面形状が異なる複数種類のハニカム焼成体を作製し、複数種類のハニカム焼成体を組み合わせて、ハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックを作製することにより、外周加工工程を省略してもよい。
例えば、以下のような断面形状が異なる3種類のハニカム焼成体を作製してもよい。第1のハニカム焼成体は、断面形状が2本の直線と1本の円弧とで囲まれた形状である。第2のハニカム焼成体は、断面形状が3本の直線と1本の円弧とで囲まれた形状である。第3のハニカム焼成体は、断面形状が4本の直線で囲まれた形状(略四角形)である。断面形状の異なるこれら3種類のハニカム焼成体は、押出形成において用いるダイスの形状を変更することにより作製することができる。そして、第1のハニカム焼成体を8個、第2のハニカム焼成体及び第3のハニカム焼成体をそれぞれ4個ずつ組み合わせることにより、略円柱状のハニカムフィルタを作製することができる。
【0123】
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分としては、これらの中で、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、上述したセラミックがケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらの中では、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、炭化ケイ素を60重量%以上含むケイ素含有炭化ケイ素質セラミックが望ましい。
また、一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の構成材料の主成分としては、コージェライト又はチタン酸アルミニウムが望ましい。
【0124】
集合型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体及び一体型ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を製造する際に用いられる湿潤混合物に含まれる有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0125】
湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0126】
また、湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0127】
さらに、湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0128】
第一実施形態では、セルを封止する封止材ペーストとして、湿潤混合物と同様のものを用いている。しかし、封止材ペーストとしては、特に限定されず、後工程を経て製造される封止材の気孔率が、30〜75%となるものが望ましい。
【0129】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
【0130】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0131】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。
【0132】
接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0133】
さらに、接着材ペースト及びコート材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0134】
本発明のハニカムフィルタのセル壁には、触媒が担持されていてもよい。
ハニカムフィルタのセル壁にCO、HC及びNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することが可能となる触媒を担持させることにより、触媒反応により排ガス中の有害なガス成分を充分に浄化することが可能となる。また、PMの燃焼を助ける触媒をハニカムフィルタのセル壁に担持させることにより、PMをより容易に燃焼除去することが可能となる。
【0135】
上記触媒の担持は、ハニカムフィルタのセル壁に対して行ってもよく、ハニカム焼成体のセル壁に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカムフィルタ又はハニカム焼成体のセル壁の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0136】
ハニカムフィルタのセル壁の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO3)3等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO3)3等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカムフィルタに含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3、白金濃度約4.53重量%)等をハニカムフィルタのセル壁に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカムフィルタのセル壁に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【符号の説明】
【0137】
10、60、110 ハニカムフィルタ
14、64 ハニカムフィルタの一方の端面
15、65 ハニカムフィルタの他方の端面
21a、21b、71a、71b 封止セル
21c、71c 開口セル
23、73 セル壁
24 ハニカム焼成体の一方の端面
25 ハニカム焼成体の他方の端面
30 排ガス浄化装置
31 金属容器
33 ガス入口側
34 ガス出口側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、
前記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
前記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記ハニカムフィルタの一方の端面側において、前記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
前記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された前記開口セルである請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
ガス入口側及びガス出口側を備えた金属容器と、
前記金属容器内に収容されたハニカムフィルタとを備えた排ガス浄化装置であって、
前記ハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されており、
前記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
前記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である請求項4に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記ハニカムフィルタの一方の端面側において、前記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
前記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された前記開口セルであり、
前記ハニカムフィルタの一方の端面側が、前記金属容器のガス入口側に配置されており、
前記ハニカムフィルタの他方の端面側が、前記金属容器のガス出口側に配置されている請求項4又は5に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
前記ガスは、ガソリンエンジンから排出された排ガスである請求項4〜6のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムフィルタであって、
前記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
前記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記ハニカムフィルタの一方の端面側において、前記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
前記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された前記開口セルである請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
ガス入口側及びガス出口側を備えた金属容器と、
前記金属容器内に収容されたハニカムフィルタとを備えた排ガス浄化装置であって、
前記ハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されており、
前記多数のセルの大部分は、いずれか一方の端部が封止された封止セルであり、
前記多数のセルの一部は、両方の端部が開放された開口セルであり、
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.1〜4.9%であることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記開口セルの個数は、前記多数のセルの個数の0.2〜1.1%である請求項4に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記ハニカムフィルタの一方の端面側において、前記多数のセルとして、端部が封止されたセルと、端部が開放されたセルとが交互に配置されており、
前記一方の端面側の端部が封止されたセルは、他方の端面側の端部が開放された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの大部分は、他方の端面側の端部が封止された前記封止セルであり、
前記一方の端面側の端部が開放されたセルの一部は、他方の端面側の端部が開放された前記開口セルであり、
前記ハニカムフィルタの一方の端面側が、前記金属容器のガス入口側に配置されており、
前記ハニカムフィルタの他方の端面側が、前記金属容器のガス出口側に配置されている請求項4又は5に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
前記ガスは、ガソリンエンジンから排出された排ガスである請求項4〜6のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−224538(P2011−224538A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225895(P2010−225895)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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