ハニカム構造体
【課題】触媒担体であると共にヒーターとしても機能するハニカム構造体を提供する。
【解決手段】多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21と、一対の電極部21,21のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部22,22と、電極端子突起部22に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部23,23と、を備え、一対の電極部21,21、及び電極端子突起部22,22が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体100。
【解決手段】多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21と、一対の電極部21,21のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部22,22と、電極端子突起部22に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部23,23と、を備え、一対の電極部21,21、及び電極端子突起部22,22が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関し、更に詳しくは、触媒担体であると共にヒーターとしても機能するハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の上流側に、金属製のヒーターを設置して、排ガスを昇温させる方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、多孔質導電性セラミックスからなるフィルタ本体の両端面に、その中心部を除く周囲に電極層を形成した自己発熱型ディーゼルパティキュレートフィルタについても提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136319号公報
【特許文献2】特許第2931362号公報
【特許文献3】特開2000−297625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に示すようなヒーターを、自動車に搭載して使用する場合、自動車の電気系統に使用される電源が共通で使用され、例えば200Vという高い電圧の電源が用いられる。しかし、金属製のヒーターは、電気抵抗が低いため、200Vという高い電圧の電源を用いた場合、過剰に電流が流れ、電源回路を損傷させることがあるという問題があった。また、ヒーター部分以外にも過剰に電流が流れてしまうため、電力を無駄に消費してしまうという問題もあった。
【0008】
また、ヒーターが金属製であると、仮にハニカム構造に加工したものであっても、触媒を担持し難いため、ヒーターと触媒とを一体化させることは難しかった。
【0009】
また、特許文献3に記載されたパティキュレートフィルタは、高温、及び腐食性ガス雰囲気下で使用され、且つ、自動車等の車両に搭載される場合には、走行時に常時激しい振動が加わるため、電極層がフィルタ本体から剥離しないように、フィルタ本体と電極層とが強固に接続されていることが重要である。上記特許文献3においては、フィルタ本体の両端面に配設する電極層を、金属材料又は導電性を有するセラミックス材料によって形成することが記載されている。
【0010】
本来、セラミックス材料と金属材料と接合は、その接合面における接合強度が低く、また、セラミックス材料と金属材料との濡れ性も低いため、例えば、金属材料により上記電極層を形成し、且つセラミックス材料からなるフィルタ本体との電気的接続を確保するためには、物理蒸着や化学蒸着等の特別な形成方法が必要となるが、このような方法は、製造工程が極めて煩雑であり、製造コストが増大するという問題があった。
【0011】
一方、セラミックス材料により電極層を形成する場合には、フィルタ本体と電極層とが共にセラミックス材料であるため、電極層の形成は、金属材料を使用する場合と比較して容易なものとなるが、このようなセラミックス材料からなる電極層に対しては、電力を供給するための金属性の端子等を別途接続しなければならず、セラミックス材料と金属材料とを、簡便且つ十分な接合強度によって接合するという問題は依然として解決されていない。
【0012】
特に、自動車等のエンジン等から排出される排ガス雰囲気下で使用されるパティキュレートフィルタ(ハニカム構造体)においては、耐熱性や耐熱衝撃性等にも優れた電気的接続が望まれており、従来、上述した種々の特性を満足するようなセラミックス材料と金属材料との接合方法については提案されていなかった。
【0013】
また、特許文献3に記載されたパティキュレートフィルタは、電極に通電を行うことによりフィルタ本体を単に加熱し、フィルタの再生効率を向上させるものであるため、フィルタ本体の両端面の中心部を除く周囲のみに電極層が形成されているが、このような構成では、フィルタ本体を均一な温度に加熱することができず、例えば、フィルタ本体に触媒を担持して触媒担体として用いた場合、担持した触媒の全てが良好に作用するようにフィルタ本体を均一な温度に制御することは極めて困難である。
【0014】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共にヒーターとしても機能するハニカム構造体を提供する。特に、ハニカム構造体を構成するセラミックス材料からなる構成要素と、金属材料からなる金属端子部とが、簡便、且つ耐熱性及び耐熱衝撃性に優れた接続方法によって電気的に接合されたハニカム構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
【0016】
[1] 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、前記一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部と、前記電極端子突起部に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部と、を備え、前記一対の電極部、及び前記電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体。
【0017】
[2] 前記電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、前記電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなる前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0018】
[3] 前記電極端子突起部と前記金属端子部とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間を有し、且つ、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが嵌合する前記凹凸形状の側面部分において前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる前記[2]に記載のハニカム構造体。
【0019】
[4] 前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmである前記[2]又は[3]に記載のハニカム構造体。
【0020】
[5] 前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状である前記[2]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0021】
[6] 前記ろう材が、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0022】
[7] 前記金属端子部が、コバール、ステンレス、又はインコネルからなるものである前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0023】
[8] 前記電極端子突起部の表面の少なくとも一部に、金属被膜が配設され、前記電極端子突起部の表面の前記金属被膜と、前記金属端子部とが、前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0024】
[9] 前記電極端子突起部と前記金属端子部との接続部分の一部が、結晶化ガラスを介して接合されてなる前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0025】
[10] 前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びると共に両端部間に亘る帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心部を挟んで反対側に配設された前記[1]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0026】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部が、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなるため、ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部間に電流を流すことにより、ハニカム構造部が発熱し、ヒーターとして好適に用いることができる。
【0027】
また、電極部と電極端子突起部とが、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるため、ハニカム構造部との接合強度が高く、且つ、ハニカム構造部の側面への電極部の配設を極めて簡便に行うことができる。更に、電極端子突起部と金属端子部とは、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されており、セラミックス材料と金属材料との接合部分が、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する状態で接合されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図3】図1に示すハニカム構造体において、金属端子部が電極端子突起部に接合されていない状態を示す側面図である。
【図4】図3に示すハニカム構造体のA−A’断面を示す模式図である。
【図5】図2に示すハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図7】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図8】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図9】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図10】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図11A】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11B】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11C】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11D】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図12A】電極端子突起部と金属端子部と接合部の強度の測定方法を示す平面図である。
【図12B】電極端子突起部と金属端子部と接合部の抵抗値の測定方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0030】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1〜図5に示すように、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する(隔壁1全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁3とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部4と、このハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21と、一対の電極部21,21のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部22,22と、電極端子突起部22に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部23,23と、を備えたハニカム構造体100である。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。また、図3は、図1に示すハニカム構造体において、金属端子部が電極端子突起部に接合されていない状態を示す側面図であり、図4は、図3に示すハニカム構造体のA−A’断面を示す模式図である。また、図5は、図2に示すハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0031】
そして、本実施形態のハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21、及び電極端子突起部22,22が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものである。
【0032】
このような本実施形態のハニカム構造体は、ハニカム構造部4が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなるため、ハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21間に電流を流すことにより、ハニカム構造部4が発熱し、ヒーターとして好適に用いることができる。本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4を構成する複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されている。
【0033】
また、電極部21と電極端子突起部22とが、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるため、ハニカム構造部4との接合強度が高く、且つ、ハニカム構造部4の側面への電極部21の配設を極めて簡便に行うことができる。更に、電極端子突起部22と金属端子部23とは、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されており、セラミックス材料と金属材料との接合部分が、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する状態で接合されている。
【0034】
本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の側面に一対の電極部21,21が配設されており、それぞれの電極部21,21の電極端子突起部22,22と、金属端子部23,23とが、ろう材24を介して電気的に接続されているため、金属端子部23,23間に電圧を印加することにより、ハニカム構造部4が抵抗体となり発熱する。
【0035】
従来、ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合には、触媒を所定の温度まで昇温する必要があり、例えば、エンジン始動時には、触媒温度が低く、排ガスが十分に浄化されないという問題があったが、本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム構造部に電圧を印加して発熱させることができるため、エンジンの運転状態に関わらず、必要に応じて適宜ハニカム構造体を所定の温度まで昇温することができる。
【0036】
上記した電極端子突起部は、ハニカム構造体に電圧を印加するための電気配線等との電気的接続を確保するためのハニカム構造体側の端子であり、この電極端子突起部と、電源からの配線が接続された金属端子部とが電気的に接続されている。即ち、セラミックス材料からなるハニカム構造部に電圧を印加するため(即ち、通電を行うため)には、電源からの配線や端子を構成する金属材料と、ハニカム構造体の少なくとも一部を構成するセラミックス材料との接合が、少なくとも一箇所(一対)必要である。従来のハニカム構造体において、セラミックス材料と金属材料とを接合する場合には、物理蒸着や化学蒸着等の極めて煩雑な接合が必要とされていたが、本実施形態のハニカム構造体は、セラミックス材料からなる電極端子突起部と、金属材料からなる金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されているため、簡便な方法によって、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する接合が実現されている。
【0037】
なお、一対の電極部(換言すれば、電極端子突起部に接合されたそれぞれの金属端子部)間に印加する電圧は、ハニカム構造体を昇温する温度や、ハニカム構造部の材質等によって適宜選択することができるが、例えば、50〜300Vが好ましく、100〜200Vが更に好ましい。例えば、自動車の電気系統に電圧200Vの電源を使用している場合には、当該200Vの電圧を印加することが好ましい。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体においては、電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、金属端子部が、電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなることが好ましい。図1〜図5においては、電極端子突起部22が、凸形状に形成され、金属端子部が凹形状に形成された場合の例を示している。なお、図6に示すように、極端子突起部22が、凹形状に形成され、金属端子部が凸形状に形成されていてもよい。ここで、図6は、本実施形態のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0039】
また、図7に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間25を有し、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが嵌合する凹凸形状の側面部分においてろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものであることが好ましい。このように構成することによって、高温時における、電極端子突起部22と金属端子部23との熱膨張率の差によって生じる応力を、上記隙間25によって緩和することができる。ここで、図7は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0040】
なお、例えば、図5に示すように、電極端子突起部22が、凸形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凹形状に形成されてなる場合には、金属端子部23は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜3mmであることが更に好ましく、0.3〜1mmであることが特に好ましい。このように構成することによって、金属端子部の熱膨張が小さくなり、凸形状の電極端子突起部への応力(具体的には、熱膨張による電極端子突起部の締め付け圧力)が軽減され、高温時における、電極端子突起部及び金属端子部の破損、また、ろう材による接合部分の剥離等を有効に防止することができる。なお、上記した凹形状を形成する壁部分の厚さは、電極端子突起部及び金属端子部の大きさによって異なるため、上記した範囲に限定されることはない。
【0041】
また、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、図8に示すように、電極端子突起部22が、凸形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凹形状に形成されてなり、金属端子部23は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状であることが好ましい。このように構成することによって、金属端子部23の凹形状を形成する壁部分の端面における、圧縮及び引張応力を小さくすることができる。ここで、図8は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0042】
例えば、図5に示すように、金属端子部23の凹形状を形成する壁部分の端面が平坦な形状であると、凹形状を形成する壁部分と、凸形状の突起部分(具体的には、凸形状の突起表面に配設されたろう材の表面)とに圧縮応力が生じ、凹形状を形成する壁部分の先端部付近(即ち、壁部分の端面が開放される先端部近傍)で、接合面に生じている圧縮応力が極めて大きな引張応力とへ変化する現象が確認されることがある。そこで、図8に示すように、凹形状を形成する壁部分の端面形状を、凹形状の内周側が突出するような先細り形状とすることによって、上記先端部付近における引張応力を低減することができ、電極端子突起部22と金属端子部23との剥離を有効に防止することが可能となる。例えば、先細り形状の先端部分(エッジ)の角度は、10〜60°であることが好ましく、20〜50°であることが更に好ましい。10°未満では、凹形状の壁部分先端の強度が低下することがあり、一方、60°を超えると、引張応力を低減する効果が低下することがある。
【0043】
電極端子突起部と金属端子部と接合するためのろう材は、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものであることが好ましい。特に、ろう材として、上記群から選択される少なくとも二種の金属を含有するものであることが更に好ましい。このように構成されたろう材は、接合部分の強度が高く、耐熱衝撃性に優れた接合を実現することができるとともに、接合部分の抵抗値が低く、良好な電気的接続も可能となる。
【0044】
例えば、具体的なろう材の種類としては、ニッケルとクロムを含有するろう材、チタンと銅を含有するろう材、マンガンと銅を含有するろう材、銀とチタンを含有するろう材、鉄とクロムを含有するろう材等を挙げることができる。
【0045】
また、このようなろう材は、耐熱性の向上や、ろう材の融点を低下させる目的に、特定の元素が含有(添加)されたものであってもよい。例えば、ニッケル及びクロムを含有するろう材に、珪素(Si)やホウ素(B)等が添加されたろう材は、ろう材の耐熱性を向上させることができる。また、ニッケル及びクロムを含有するろう材には、ろう材の融点を下げるために、リン(P)が添加されたものであってもよい。このようなろう材を用いる場合には、1050〜1090℃、真空中でろう付けすることができる。
【0046】
また、チタン及び銅を含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、マンガン(Mn)やジルコニウム(Zr)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、1050℃程度の温度で、真空中でろう付けすることができる。
【0047】
また、マンガン及び銅を含有するろう材にも同様に、ろう材の耐熱性を向上させるために、ニッケル(Ni)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、930〜1090℃、真空中でろう付けすることができる。
【0048】
また、銀及びチタンを含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、銅(Cu)やインジウム(In)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、840〜930℃、真空中でろう付けすることができる。
【0049】
更に、鉄及びクロムを含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、ニッケル(Ni)や珪素(Si)等が添加されたものであることが好ましい。また、ろう材の融点を下げるために、リン(P)が添加されたものであってもよい。このようなろう材を用いる場合には、1090℃程度の温度で、真空中でろう付けすることができる。
【0050】
電極端子突起部と金属端子部と接合するろう材による層(以下、「ろう材層」ということがある)の厚さは、30〜300μmであることが好ましく、40〜200μmであることが更に好ましく、50〜150μmであることが特に好ましい。ろう材層の厚さが30μm未満であると、熱サイクルによって接合部が割れることがあり、一方、300μmを超えると、接合部の機械的強度が低下することがある。
【0051】
また、これまでの実施形態においては、電極端子突起部と金属端子部との一部が、ろう材によってのみ接合された場合の例について説明を行っていたが、例えば、図9に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23との接続部分の一部が、結晶化ガラス26を介して接合されてなるものであってもよい。図9においては、電極端子突起部22が、凹形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凸形状に形成されてなり、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に、ろう材24が配設され、且つ、凹形状を形成する壁部分と凸形状の突起の側面との間に、結晶化ガラス26が配設された場合の例を示している。ここで、図9は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0052】
このような結晶化ガラスを配設することによって、接合強度を向上させることができる。なお、結晶化ガラスの配置位置については、特に制限はなく、電極端子突起部と金属端子部との一部がろう材によって接合され、且つ、その他の一部が結晶化ガラスによって接合されていればよい。なお、結晶化ガラスによる接合部分は、導電性が担保されないため、電極端子突起部と金属端子部とを接合する面積の70%未満であることがより好ましい。
【0053】
具体的な、結晶化ガラスの素材としては、例えば、SiO2やAl2O3等を挙げることができる。このような結晶化ガラスは、接合強度、及び耐熱性に優れている。
【0054】
また、本実施形態のハニカム構造体を構成する一対の電極部、及び電極端子突起部は、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるものであり、金属端子部によって印加された電圧により、ハニカム構造部を発熱させることができる。ここで、「一対の電極部、及び電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする」というときは、一対の電極部、及び電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。このため、一対の電極部、及び電極端子突起部は、炭化珪素及び珪素のみから形成されていてもよいし、10質量%以下の微量の不純物や、他のセラミックス成分が含有されてもよい。
【0055】
なお、電極部と電極端子突起部とは、炭化珪素と珪素との比率が同一の導電性セラミックス材料からなるものであってもよいし、異なる比率の導電性セラミックス材料からなるものであってもよい。なお、電極部の成分と電極端子突起部の成分とが同じ(又は近い)成分である場合には、電極部と電極端子突起部の熱膨張係数が同じ(又は近い)値になるため好ましい。また、材質が同じ(又は近く)になるため、電極部と電極端子突起部との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極端子突起部が電極部から剥れたり、電極端子突起部と電極部との接合部分が破損したりすることを良好に防止することができる。
【0056】
なお、図1〜図5に示すように、電極端子突起部22は、四角形の板状の基板22aと、円柱状の突起部22b(凸形状の部分)とによって構成されていることが好ましい。このような形状にすることにより、電極端子突起部22は、基板22aにより電極部21に強固に接合されることができ、突起部22bにより電気配線を確実に接合させることができる。
【0057】
電極端子突起部22において、基板22aの厚さは、1〜5mmが好ましい。このような厚さとすることにより、電極端子突起部22を確実に電極部21に接合することができる。1mmより薄いと、基板22aが弱くなり、突起部22bが基板22aから外れ易くなることがある。5mmより厚いと、ハニカム構造体を配置するスペースが必要以上に大きくなることがある。
【0058】
電極端子突起部22において、基板22aの、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さ(幅)は、電極部21の、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さの、20〜100%であることが好ましく、30〜100%であることが更に好ましい。このような範囲にすることにより、電極端子突起部22が、電極部21から外れ難くなる。20%より短いと、電極端子突起部22が、電極部21から外れ易くなることがある。電極端子突起部22において、基板22aの、「セル2の延びる方向」における長さは、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの、5〜30%が好ましい。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さをこのような範囲とすることにより、十分な接合強度が得られる。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さを、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの5%より短くすると、電極部21から外れ易くなることがある。そして、30%より長くすると、質量が大きくなることがある。
【0059】
電極端子突起部22において、突起部22bの太さは3〜20mmが好ましい。このような太さにすることにより、突起部22bと金属端子部23とをより強固に接合させることができる。3mmより細いと突起部22bが折れ易くなることがある。20mmより太いと、金属端子部23と接続させ難くなることがある。また、突起部22bの長さは、3〜20mmが好ましい。このような長さにすることにより、突起部22bに、金属端子部23を良好に接合させるとことができる。3mmより短いと金属端子部23と接合させ難くなることがある。20mmより長いと、突起部22bが折れ易くなることがある。
【0060】
図2に示すように、電極端子突起部22は、電極部21の「セル2の延びる方向」における中央部に配置されていることが好ましい。これにより、ハニカム構造部4全体を均等に加熱し易くなる。
【0061】
電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗は、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましく、0.1〜1.0Ωcmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗をこのような範囲にすることにより、高温の排ガスが流れる配管内において、電極端子突起部22から、電流を電極部21に効率的に供給することができる。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が0.1Ωcmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が2.0Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電流を電極部21に供給し難くなることがある。
【0062】
電極端子突起部22は、気孔率が30〜45%であることが好ましく、30〜40%であることが更に好ましい。電極端子突起部22の気孔率がこのような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の気孔率が、45%より高いと、電極端子突起部22の強度が低下することがあり、特に突起部22bの強度が低下すると突起部22bが折れ易くなることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0063】
電極端子突起部22は、平均細孔径が5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の平均細孔径がこのような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22の平均細孔径が、5μmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の平均細孔径が、20μmより大きいと、電極端子突起部22の強度が低下することがあり、特に突起部22bの強度が低下すると突起部22bが折れ易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0064】
電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗を、0.1〜2.0Ωcmにすることができる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が小さくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0065】
電極端子突起部22に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極端子突起部22に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。そして、40質量%より大きいと、製造時に変形してしまうことがある。
【0066】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極端子突起部22の気孔率が30〜45%であり、電極端子突起部22の平均細孔径が5〜20μmであり、電極端子突起部22に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極端子突起部22に含有される「珪素の質量」の比率が、20〜40質量%であり、電極端子突起部22に含有される炭化珪素の粒子(炭化珪素粒子)の平均粒子径が10〜60μmであり、電極端子突起部22の体積電気抵抗が、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましい。これにより、特に、ハニカム構造体に均一に通電することができる。
【0067】
また、本実施形態のハニカム構造体100の、「一対の電極部21,21のそれぞれに配設された電極端子突起部間」で測定された400℃における電気抵抗は、1〜20Ωであることが好ましく、3〜10Ωであることが更に好ましい。400℃における電気抵抗が1Ωより小さいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における電気抵抗が20Ωより大きいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が流れ難くなるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0068】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、図10に示すように、電極端子突起部22の表面の少なくとも一部に、金属被膜27が配設され、電極端子突起部22の表面の金属被膜27と、金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものであってもよい。ここで、図10は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0069】
このような金属被膜は、例えば、電極端子突起部22の表面を溶射、蒸着等の方法により、金属の被膜を配設することによって形成することができる。なお、電極端子突起部に対して金属被膜を形成するため、ハニカム構造体表面に直接金属被膜を形成するよりも、簡便に金属被膜を形成することができる。
【0070】
具体的な金属被膜の形成方法としては、例えば、珪素(Si)を電極端子突起部の表面に溶射する方法や、金属材料を電極端子突起部の表面に真空蒸着させる方法などがある。
【0071】
また、金属端子部を構成する金属材料の種類については特に制限はないが、例えば、低熱膨張金属を使用し、常温時の残留応力を低減可能なものであることが好ましい。具体的な金属材料としては、例えば、コバール、SUS430等のステンレス、インコネルなどを好適例として挙げることができる。
【0072】
また、本実施形態のハニカム構造体に用いられる金属端子部は、これまでに説明した電極端子突起部との電気的接続を行うための端子であり、金属材料によって形成されたものである。金属端子部の形状は、これまでに説明した電極端子突起部と、ろう材を介して電気的、且つ物理的な接続を行うことが可能なものであればよい。
【0073】
また、この金属端子部は、薄肉金属を使用することによっても、高温時の熱応力を低減することができる。即ち、上述したように、金属端子部のろう材を介して接合される部分の肉厚(例えば、図2における金属端子部22の凹形状を形成する壁部分の厚さ)を薄くすることで、接合部分における金属端子部の熱膨張量を小さくして、高温時における、電極端子突起部及び金属端子部の破損、また、ろう材による接合部分の剥離等を有効に防止することができる。
【0074】
この金属端子部は、ハニカム構造体に電圧を印加するための電源と、金属配線等によって電気的接続されている。金属端子部と金属配線とは共に金属であるため、従来公知の金属同士の接合方法(例えば、溶接やはんだ付け等)によって、低抵抗な電気的接続が可能である。
【0075】
金属端子部は、接合強度が十分であれば、セラミックスとの接合面積を減少させた形状を適用することで、熱サイクルがかかった後の接合部の剥がれに対して改善される方向となる。
【0076】
ハニカム構造部は、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなり、図1〜図5に示すように、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する(隔壁1全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁3とを有するものである。このハニカム構造部は、上述したように骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料(即ち、導電性を有するセラミックス材料)からなるため、電極部を通じて電圧が印加された際に、ハニカム構造部が抵抗体として作用し、ハニカム構造体を発熱させる。
【0077】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、ハニカム構造部4に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、ハニカム構造部4に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10〜40質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。10質量%より低いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。40質量%より高いと、焼成時に形状を保持できないことがある。
【0078】
また、ハニカム構造部4を構成する隔壁厚さは、50〜150μmであることが好ましく、70〜100μmであることが更に好ましい。隔壁厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがあり。隔壁厚さが150μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることがある。
【0079】
ハニカム構造部4は、セル密度が40〜150セル/cm2であることが好ましく、70〜100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2より低いと、触媒担持面積が少なくなることがあり、セル密度が150セル/cm2より高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることがある。
【0080】
また、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜30μmであり、5〜20μmであることが好ましい。ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗を1〜20Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径が3μmより小さいと、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗が大きくなるため好ましくない。炭化珪素粒子の平均粒子径が30μmより大きいと、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗が小さくなるため好ましくない。また、炭化珪素粒子の平均粒子径が30μmより大きいと、ハニカム成形体を押出成形するときに、押出成形用の口金に成形用原料が詰まることがあるため好ましくない。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0081】
また、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗は、1〜20Ωcmであることが好ましく、3〜10Ωcmであることが更に好ましい。400℃における体積電気抵抗が1Ωcmより小さいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における体積電気抵抗が20Ωcmより大きいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなり、十分に発熱しないことがあるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における体積電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0082】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造体100の400℃における電気抵抗は、1〜20Ωであることが好ましく、3〜10Ωであることが更に好ましい。400℃における電気抵抗が1Ωより小さいと、例えば200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における電気抵抗が20Ωより大きいと、例えば200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0083】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の400℃における体積電気抵抗は、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗より低いものであり、更に、電極部21の400℃における体積電気抵抗が、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗の、20%以下であり、1〜10%であることが好ましい。電極部21の400℃における体積電気抵抗を、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗の、20%以下とすることにより、電極部21が、より効果的に電極として機能するようになる。
【0084】
隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましく、45〜55%であることが更に好ましい。気孔率が、35%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうため好ましくない。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下するため好ましくない。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0085】
隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎるため好ましくない。平均細孔径が15μmより大きいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎるため好ましくない。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0086】
本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1の厚さが70〜100μmであり、セル密度が70〜100セル/cm2であり、骨材としての炭化珪素粒子の平均粒子径が5〜20μmであり、隔壁1の気孔率が45〜55%であり、隔壁1の平均細孔径が4〜8μmであり、ハニカム構造部4に含有される骨材としての炭化珪素粒子の質量と結合材としての珪素の質量の合計に対する、結合材としての珪素の質量の比率が、15〜25質量%であり、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗が、3〜10Ωcmであることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体100をこのように構成することにより、特に、排ガスを流した場合の圧力損失が低く、排ガスの浄化性能に優れるという利点がある。
【0087】
また、本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1及び外周壁3が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を主成分とすることが好ましく、炭化珪素及び珪素のみから形成されていてもよい。隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素及び珪素のみから形成される場合においても、10質量%以下の微量の不純物が含有されてもよい。隔壁1及び外周壁3が、「炭化珪素及び珪素」以外の物質(微量の不純物)を含有する場合、隔壁1及び外周壁3に含有される他の物質としては、酸化珪素、ストロンチウム等を挙げることができる。ここで、「隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」というときは、隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素粒子及び珪素を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0088】
図1〜図4に示すように、一対の電極部21,21のそれぞれは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びると共に両端部間(両端面11,12間)に亘る「帯状」に形成されていることが好ましい。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心部Oを挟んで反対側に配設されていることが好ましい。このように、電極部21を帯状に形成し、帯状の電極部21の長手方向が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びるようにして、更に、電極部21がハニカム構造部4の両端部間(両端面11,12間)に亘るようにしたため、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心部Oを挟んで反対側に配設されるようにすることにより、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。
【0089】
電極部21の、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さ(幅)が、ハニカム構造部4の側面5の、周方向Rにおける長さ(外周の長さ)の、1/30〜1/4であることが好ましく、1/30〜1/10であることが更に好ましい。このような範囲にすることにより、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。電極部21の、ハニカム構造部4の周方向Rにおける長さ(幅)が、ハニカム構造部4の側面5の、周方向Rにおける長さの、1/30より短いと、均一に発熱できないことがある。1/4より長いと、ハニカム構造部4の中心部付近が加熱され難くなることがある。
【0090】
電極部21の厚さは、0.2〜2.0mmであることが好ましく0.5〜1.5mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、均一に発熱することができる。電極部21の厚さが0.2mmより薄いと、電気抵抗が高くなり均一に発熱できないことがある。2.0mmより厚いと、キャニング時に破損することがある。
【0091】
電極部21は、図11Aに示すように、外周壁3の表面に配設されていることが好ましい。また、電極部21は、図11Bに示すように、外周壁3の内部に埋め込まれるようにして配設されていてもよい。更に、電極部21は、図11C、図11Dに示すように、一部(外周壁に接触している側)が外周壁3の内部に埋め込まれた状態で、残りの一部(表面側の一部)が外周壁3から外に(表面側に)出た状態となっていることも好ましい態様である。図11Cにおいては、電極21の外周壁3の内部に埋め込まれた部分の厚さが、外周壁3の厚さより薄い態様が示されている。図11Dにおいては、電極21の外周壁3の内部に埋め込まれた部分の厚さが、外周壁3の厚さと同じ厚さとなっている態様が示されている。
【0092】
ここで、図11Aは、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Bは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Cは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Dは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。なお、図11A〜図11Dにおいては、外周壁3の一部及び片方の電極部21のみが表され、隔壁等は表されていない。
【0093】
電極部21は、炭化珪素及び珪素を主成分とするものであり、電極部21の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ(又は近い)成分となるため、電極部21とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ(又は近く)になる。また、材質が同じ(又は近く)になるため、電極部21とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。このため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極部21がハニカム構造部4から剥れたり、電極部21とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすること良好に防止することができる。
【0094】
電極部21の400℃における体積電気抵抗は、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましく、0.1〜1.0Ωcmであることが更に好ましい。電極部21の400℃における体積電気抵抗をこのような範囲にすることにより、一対の電極部21,21が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部21の400℃における体積電気抵抗が0.1Ωcmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の400℃における体積電気抵抗が2.0Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たし難くなることがある。
【0095】
電極部21は、気孔率が30〜45%であることが好ましく、30〜40%であることが更に好ましい。電極部21の気孔率がこのような範囲であることにより、好適な体積電気抵抗が得られる。電極部21の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の気孔率が、45%より高いと、体積電気抵抗が高くなりすぎることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0096】
電極部21は、平均細孔径が5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmであることが更に好ましい。電極部21の平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な体積電気抵抗が得られる。電極部21の平均細孔径が、5μmより小さいと、体積電気抵抗が高くなりすぎることがある。電極部21の平均細孔径が、20μmより大きいと、強度が弱く破損することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0097】
電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極部21の400℃における体積電気抵抗を、0.1〜2.0Ωcmにすることができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極部21の400℃における体積電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極部21の強度が弱く破損することがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0098】
電極部21に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極部21に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。そして、40質量%より大きいと、製造時に変形し易くなることがある。
【0099】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の気孔率が30〜45%であり、電極部の平均細孔径が5〜20μmであり、電極部21に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される「珪素の質量」の比率が、20〜40質量%であり、電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであり、電極部21の体積電気抵抗が、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましい。これにより、特に、通電時に均一にハニカム構造体を発熱することができる。
【0100】
本実施形態のハニカム構造体においては、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部の、ハニカム構造部の周方向における中央部において、ハニカム構造部の外周に接する接線を引いたときに、当該接線が、いずれかの隔壁と平行であることが好ましい。これにより、キャニング時に破損し難くなる。
【0101】
また、本実施形態のハニカム構造体100の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁の面積が小さくなることがある。
【0102】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形又は六角形であることが好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0103】
本実施形態のハニカム構造体の形状は特に限定されず、例えば、底面が円形の筒状(円筒形状)、底面がオーバル形状の筒状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の筒状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、底面の面積が2000〜20000mm2であることが好ましく、4000〜10000mm2であることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。
【0104】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましい。アイソスタティック強度が1MPa未満であると、ハニカム構造体を触媒担体等として使用する際に、破損し易くなることがある。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0105】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の製造方法について説明する。
【0106】
まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10〜30質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3〜30μmが好ましく、5〜20μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、成形原料全体の質量に対して30〜78質量%であることが好ましい。
【0107】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して2〜10質量%であることが好ましい。
【0108】
水の含有量は、成形原料全体に対して20〜60質量%であることが好ましい。
【0109】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0110】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0111】
また、成形原料は、焼結助剤として炭酸ストロンチウムを含有することが好ましい。焼結助剤の含有量は、成形原料全体に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。
【0112】
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0113】
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
【0114】
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
【0115】
得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
【0116】
ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
【0117】
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調合する。電極部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0118】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、電極部形成原料全体の質量に対して40〜80質量%であることが好ましい。
【0119】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、電極部形成原料全体に対して0.1〜2質量%であることが好ましい。
【0120】
水の含有量は、電極部形成原料全体に対して19〜55質量%であることが好ましい。
【0121】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、電極部形成原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0122】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、電極部形成原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0123】
また、電極部形成原料は、焼結助剤として炭酸ストロンチウムを含有することが好ましい。焼結助剤の含有量は、電極部形成原料全体に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。
【0124】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、ペースト状の電極部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
【0125】
次に、得られた電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、印刷方法を用いることができる。また、電極部形成原料は、上記本発明のハニカム構造体における電極部の形状になるように、ハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。電極部の厚さは、電極部形成原料を塗布するときの厚さを調整することにより、所望の厚さとすることができる。このように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布し、乾燥、焼成するだけで電極部を形成することができるため、非常に容易に電極部を形成することができる。
【0126】
次に、ハニカム成形体の側面に塗布した電極部形成原料を乾燥させることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0127】
次に、電極端子突起部形成用部材を作製することが好ましい。電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体に貼り付けられて、電極端子突起部となるものである。電極端子突起部形成用部材の形状は、ハニカム構造体の実施形態にて説明した種々の形状に形成することができる。そして、得られた電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体の、電極部形成原料が塗布された部分に貼り付けることが好ましい。なお、ハニカム成形体の作製、電極部形成原料の調合、及び電極端子突起部形成用部材の作製の、順序はどのような順序でもよい。
【0128】
電極端子突起部形成用部材は、電極端子突起部形成原料(電極端子突起部形成用部材を形成するための原料)を成形、乾燥して得ることが好ましい。電極端子突起部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0129】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極端子突起部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、電極端子突起部形成原料全体の質量に対して50〜85質量%であることが好ましい。
【0130】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して1〜10質量%であることが好ましい。
【0131】
水の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して15〜30質量%であることが好ましい。
【0132】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0133】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0134】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、電極端子突起部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、混練機を用いることができる。
【0135】
得られた電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にする方法は特に限定されず、押出成形後に加工する方法を挙げることができる。
【0136】
電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にした後に、乾燥させて、電極端子突起部形成用部材を得ることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0137】
次に、電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体(ハニカム成形体の電極部形成原料が塗布された部分)に貼り付ける方法は、特に限定されないが、上記電極部形成原料を用いて電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。例えば、電極端子突起部形成用部材の「ハニカム成形体に貼り付く面(ハニカム成形体に接触する面)」に電極部形成原料を塗布し、「当該電極部形成原料を塗布した面」がハニカム成形体に接触するようにして、電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。
【0138】
そして、電極部形成原料が塗布され、電極端子突起部形成用部材が貼り付けられたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、ハニカム構造部と、このハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部とを作製する。
【0139】
このときの乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0140】
また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0141】
なお、電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体を焼成する前に貼り付けてもよいし、焼成した後に貼り付けてもよい。電極端子突起部形成用部材を、ハニカム成形体を焼成した後に貼り付けた場合は、その後に、上記条件によって再度焼成することが好ましい。
【0142】
次に、金属材料からなる金属端子部を、削りだし、もしくは板材のプレスの方法で作製する。なお、金属端子部の作製は、ハニカム構造部の作製の前に行ってもよい。
【0143】
なお、金属端子部の形状は、電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成することが好ましい。金属端子部を形成するための金属材料としては、コバール、ステンレス、インコネル等を好適に用いることができる。
【0144】
次に、得られた金属端子部と、ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部の表面に配置された電極端子突起部とを、ろう材を介して接合する。具体的には、電極端子突起部の端部に、ペースト状のろう材を塗布しておき、そこに金属端子を嵌め込み、真空の炉内において所定温度で加熱する方法で、電極端子突起部と金属端子部とを、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合する。このようにして、図1〜図5に示すようなハニカム構造体を製造することができる。
【0145】
ろう材の種類については、これまでにハニカム構造体の実施形態にて説明したろう材を好適に用いることができる。また、接合時における温度や、接合雰囲気(例えば、真空中での接合)等については、使用するろう材の種類に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0146】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0147】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合し、これに、焼結助剤として炭酸ストロンチウム、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とし、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であり、炭酸ストロンチウムの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計に対し1質量部であり、造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0148】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
【0149】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、焼結助剤として炭酸ストロンチウム、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。炭酸ストロンチウムの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに1質量部であり、バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であり、グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であり、界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0150】
次に、電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に、厚さ0.5mm、幅60mmで、ハニカム成形体の両端面間に亘るように帯状に塗布した。電極部形成原料は、乾燥させたハニカム成形体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム成形体の中心部を挟んで反対側に配置されるようにした。
【0151】
次に、ハニカム成形体に塗布した電極部形成原料を乾燥させた。乾燥条件は、70℃とした。
【0152】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極端子突起部形成原料とした。電極端子突起部形成原料を、真空土練機を用いて坏土とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに4質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに22質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0153】
得られた坏土を、真空土練機を用いて成形し、図1〜図5に示される電極端子突起部22のような形状に加工し、乾燥して、電極端子突起部形成用部材を得た。また、乾燥条件は、70℃とした。板状の基板22aに相当する部分は、3mm×12mm×15mmの大きさとした。また、突起部22bに相当する部分は、底面の直径が10mmで、中心軸方向の長さが10mmの円柱状とした。電極端子突起部形成用部材は2つ作製した。
【0154】
次に、2つの電極端子突起部形成用部材のそれぞれを、ハニカム成形体の2箇所の電極部形成原料を塗布した部分のそれぞれに貼り付けた。電極端子突起部形成用部材は、電極部形成原料を用いて、ハニカム成形体の電極部形成原料を塗布した部分に貼り付けた。その後、電極部形成原料を塗布し、電極端子突起部形成用部材を貼り付けたハニカム成形体を、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体(但し、金属端子部は未接続)を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。得られたハニカム構造体は、表1に示すハニカム構造部A1、表2に示す電極部B1、及び表3に示す電極端子突起部C1を備えたものである。表1は、ハニカム構造部の構成を示し、表2は、電極部の構成を示し、表3は、電極端子突起部の構成を示す。
【0155】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは90μmであり、セル密度は90セル/cm2であった。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは100mmであった。また、得られたハニカム構造体のアイソスタティック強度は2.5MPaであった。アイソスタティック強度は水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。
【0156】
また、このハニカム構造体の電極端子突起部との電気的接続を行うための金属端子部を、コバールを用いて、図1及び図2に示される金属端子部23のような凹形状に加工して形成した。なお、凹形状の金属端子部の窪み部分の内径(直径)は、電極端子突起部との間に0.05mmのろう材層が配置されるように、10.1mmの円柱状とした。また、凹形状の壁部分の厚さは0.5mmとした。
【0157】
次に、得られた金属端子部と、ハニカム構造体の電極端子突起部とを、ニッケルとクロムを、ろう材全体に対して90質量%含有するろう材を用いて接合してハニカム構造体を作製した。
【0158】
得られたハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部との接合部について、以下の方法で、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」を求めた。結果を、表4に示す。
【0159】
なお、上記した各種測定は、図12A及び図12Bに示すように、電極端子突起部の突起部分の2倍の長さに相当する20mmの長さテストピース(電極端子突起部のテストピース122)を作製し、この電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合して行った。ここで、図12Aは、電極端子突起部と金属端子部と接合部の強度の測定方法を示す平面図であり、図12Bは、電極端子突起部と金属端子部と接合部の抵抗値の測定方法を示す平面図である。
【0160】
(接合部の強度(初期))
図12Aに示すように、電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合し、図12Aの矢印の方法に、金属端子部23を両方に引っ張り、接合部が剥離する際の強度(N)を測定した。この剥離する際の強度を「接合部の強度(初期)」とした。なお、接合部の強度が19.6N以上の場合を合格(良好)とする。
【0161】
(接合部の強度(冷熱サイクル後))
図12Aに示すテストピース122及び金属端子部23を、電気炉を使用して700℃まで加熱した後、100℃まで冷却する冷熱サイクルを100回繰り返し、上記した接合部の強度(初期)の測定と同様の方法によって、接合部が剥離する際の強度(N)を測定した。この剥離する際の強度を「接合部の強度(冷熱サイクル後)」とした。なお、接合部の強度が19.6N以上の場合を合格(良好)とする。
【0162】
(接合部の抵抗値(初期))
図12Bに示すように、電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合し、一方の金属端子部23からテストピース122を介して他方の金属端子部23までの抵抗値(mΩ)を測定した。この抵抗値を「接合部の抵抗値(初期)」とした。
【0163】
(接合部の抵抗値(冷熱サイクル後))
図12Aに示すテストピース122及び金属端子部23を、電気炉を使用して700℃まで加熱した後、100℃まで冷却する冷熱サイクルを100回繰り返し、上記した接合部の抵抗値(初期)の測定と同様の方法によって、一方の金属端子部23からテストピース122を介して他方の金属端子部23までの抵抗値(mΩ)を測定した。この抵抗値を「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」とした。
【0164】
また、表1において、「SiC配合量(質量%)」は、炭化珪素と金属珪素の合計質量に対する、炭化珪素の配合比率(質量比率)を示し、「Si配合量(質量%)」は、炭化珪素と金属珪素の合計質量に対する、金属珪素の配合比率(質量比率)を示す。また、「造孔材配合量(造孔材)(質量部)」は、成形原料全体を100質量部としたときの、造孔材の質量部を示し、「水比(水)(質量部)」は、成形原料全体を100質量部としたときの、水の質量部を示す。また、「セル形状」は、セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状を示す。また、「リブ厚(μm)」は、隔壁の厚さを示す。「セル数(個/cm2)」は、ハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面におけるセル密度を表す。また、表1における気孔率及び気孔径は、ハニカム構造部の隔壁の気孔率及び平均細孔径を示す。表2における気孔率及び気孔径は、電極部の気孔率及び平均細孔径を示す。表3における気孔率及び気孔径は、電極端子突起部の気孔率及び平均細孔径を示す。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
(実施例2〜5)
ろう材の種類を、表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0170】
(実施例6)
図10に示すように、電極端子突起部22の表面の一部に、珪素(Si)を溶射して金属被膜27を作製した以外には、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0171】
(実施例7)
図9に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23との接続面積の80%に相当する範囲を、SiO2及びAl2O3を含む結晶化ガラス26を介して接合した以外は、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0172】
(比較例1)
実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造部、電極部、及び電極端子突起部を作製し、この電極端子突起部の外周部分を、1mmのステンレス製の薄板金属によって覆い、この薄板金属の両端部を重ね合わせてネジ止めによって固定することで、電極端子突起部と、金属端子部に相当する薄板金属とを電気的に接続し、比較例1のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0173】
表1に示すように、実施例1〜7のハニカム構造体は、初期及び冷熱サイクル後における、接合部の強度が高いものであった。また、初期及び冷熱サイクル後の抵抗値も、電気的接続を行う程度の十分に低い抵抗値であった。一方、比較例1のハニカム構造体は、初期及び冷熱サイクル後の接合部の強度が極めて低いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明のハニカム構造体は、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、内燃機関から排出される排ガスを浄化する触媒装置用の担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0175】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、11:一方の端面、12:他方の端面、21:電極部、22:電極端子突起部、22a:基板、22b:突起部、23:金属端子部、24:ろう材、25:隙間、26:結晶化ガラス、27:金属被膜、100:ハニカム構造体、O:中心部、R:周方向。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関し、更に詳しくは、触媒担体であると共にヒーターとしても機能するハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の上流側に、金属製のヒーターを設置して、排ガスを昇温させる方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、多孔質導電性セラミックスからなるフィルタ本体の両端面に、その中心部を除く周囲に電極層を形成した自己発熱型ディーゼルパティキュレートフィルタについても提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136319号公報
【特許文献2】特許第2931362号公報
【特許文献3】特開2000−297625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に示すようなヒーターを、自動車に搭載して使用する場合、自動車の電気系統に使用される電源が共通で使用され、例えば200Vという高い電圧の電源が用いられる。しかし、金属製のヒーターは、電気抵抗が低いため、200Vという高い電圧の電源を用いた場合、過剰に電流が流れ、電源回路を損傷させることがあるという問題があった。また、ヒーター部分以外にも過剰に電流が流れてしまうため、電力を無駄に消費してしまうという問題もあった。
【0008】
また、ヒーターが金属製であると、仮にハニカム構造に加工したものであっても、触媒を担持し難いため、ヒーターと触媒とを一体化させることは難しかった。
【0009】
また、特許文献3に記載されたパティキュレートフィルタは、高温、及び腐食性ガス雰囲気下で使用され、且つ、自動車等の車両に搭載される場合には、走行時に常時激しい振動が加わるため、電極層がフィルタ本体から剥離しないように、フィルタ本体と電極層とが強固に接続されていることが重要である。上記特許文献3においては、フィルタ本体の両端面に配設する電極層を、金属材料又は導電性を有するセラミックス材料によって形成することが記載されている。
【0010】
本来、セラミックス材料と金属材料と接合は、その接合面における接合強度が低く、また、セラミックス材料と金属材料との濡れ性も低いため、例えば、金属材料により上記電極層を形成し、且つセラミックス材料からなるフィルタ本体との電気的接続を確保するためには、物理蒸着や化学蒸着等の特別な形成方法が必要となるが、このような方法は、製造工程が極めて煩雑であり、製造コストが増大するという問題があった。
【0011】
一方、セラミックス材料により電極層を形成する場合には、フィルタ本体と電極層とが共にセラミックス材料であるため、電極層の形成は、金属材料を使用する場合と比較して容易なものとなるが、このようなセラミックス材料からなる電極層に対しては、電力を供給するための金属性の端子等を別途接続しなければならず、セラミックス材料と金属材料とを、簡便且つ十分な接合強度によって接合するという問題は依然として解決されていない。
【0012】
特に、自動車等のエンジン等から排出される排ガス雰囲気下で使用されるパティキュレートフィルタ(ハニカム構造体)においては、耐熱性や耐熱衝撃性等にも優れた電気的接続が望まれており、従来、上述した種々の特性を満足するようなセラミックス材料と金属材料との接合方法については提案されていなかった。
【0013】
また、特許文献3に記載されたパティキュレートフィルタは、電極に通電を行うことによりフィルタ本体を単に加熱し、フィルタの再生効率を向上させるものであるため、フィルタ本体の両端面の中心部を除く周囲のみに電極層が形成されているが、このような構成では、フィルタ本体を均一な温度に加熱することができず、例えば、フィルタ本体に触媒を担持して触媒担体として用いた場合、担持した触媒の全てが良好に作用するようにフィルタ本体を均一な温度に制御することは極めて困難である。
【0014】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共にヒーターとしても機能するハニカム構造体を提供する。特に、ハニカム構造体を構成するセラミックス材料からなる構成要素と、金属材料からなる金属端子部とが、簡便、且つ耐熱性及び耐熱衝撃性に優れた接続方法によって電気的に接合されたハニカム構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
【0016】
[1] 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、前記一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部と、前記電極端子突起部に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部と、を備え、前記一対の電極部、及び前記電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体。
【0017】
[2] 前記電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、前記電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなる前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0018】
[3] 前記電極端子突起部と前記金属端子部とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間を有し、且つ、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが嵌合する前記凹凸形状の側面部分において前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる前記[2]に記載のハニカム構造体。
【0019】
[4] 前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmである前記[2]又は[3]に記載のハニカム構造体。
【0020】
[5] 前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状である前記[2]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0021】
[6] 前記ろう材が、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0022】
[7] 前記金属端子部が、コバール、ステンレス、又はインコネルからなるものである前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0023】
[8] 前記電極端子突起部の表面の少なくとも一部に、金属被膜が配設され、前記電極端子突起部の表面の前記金属被膜と、前記金属端子部とが、前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0024】
[9] 前記電極端子突起部と前記金属端子部との接続部分の一部が、結晶化ガラスを介して接合されてなる前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0025】
[10] 前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びると共に両端部間に亘る帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心部を挟んで反対側に配設された前記[1]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0026】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部が、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなるため、ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部間に電流を流すことにより、ハニカム構造部が発熱し、ヒーターとして好適に用いることができる。
【0027】
また、電極部と電極端子突起部とが、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるため、ハニカム構造部との接合強度が高く、且つ、ハニカム構造部の側面への電極部の配設を極めて簡便に行うことができる。更に、電極端子突起部と金属端子部とは、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されており、セラミックス材料と金属材料との接合部分が、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する状態で接合されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図3】図1に示すハニカム構造体において、金属端子部が電極端子突起部に接合されていない状態を示す側面図である。
【図4】図3に示すハニカム構造体のA−A’断面を示す模式図である。
【図5】図2に示すハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図7】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図8】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図9】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図10】本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【図11A】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11B】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11C】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図11D】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁に電極部が配設された状態を示す模式図である。
【図12A】電極端子突起部と金属端子部と接合部の強度の測定方法を示す平面図である。
【図12B】電極端子突起部と金属端子部と接合部の抵抗値の測定方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0030】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1〜図5に示すように、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する(隔壁1全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁3とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部4と、このハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21と、一対の電極部21,21のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部22,22と、電極端子突起部22に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部23,23と、を備えたハニカム構造体100である。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。また、図3は、図1に示すハニカム構造体において、金属端子部が電極端子突起部に接合されていない状態を示す側面図であり、図4は、図3に示すハニカム構造体のA−A’断面を示す模式図である。また、図5は、図2に示すハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0031】
そして、本実施形態のハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21、及び電極端子突起部22,22が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものである。
【0032】
このような本実施形態のハニカム構造体は、ハニカム構造部4が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなるため、ハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21間に電流を流すことにより、ハニカム構造部4が発熱し、ヒーターとして好適に用いることができる。本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4を構成する複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されている。
【0033】
また、電極部21と電極端子突起部22とが、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるため、ハニカム構造部4との接合強度が高く、且つ、ハニカム構造部4の側面への電極部21の配設を極めて簡便に行うことができる。更に、電極端子突起部22と金属端子部23とは、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されており、セラミックス材料と金属材料との接合部分が、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する状態で接合されている。
【0034】
本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の側面に一対の電極部21,21が配設されており、それぞれの電極部21,21の電極端子突起部22,22と、金属端子部23,23とが、ろう材24を介して電気的に接続されているため、金属端子部23,23間に電圧を印加することにより、ハニカム構造部4が抵抗体となり発熱する。
【0035】
従来、ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合には、触媒を所定の温度まで昇温する必要があり、例えば、エンジン始動時には、触媒温度が低く、排ガスが十分に浄化されないという問題があったが、本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム構造部に電圧を印加して発熱させることができるため、エンジンの運転状態に関わらず、必要に応じて適宜ハニカム構造体を所定の温度まで昇温することができる。
【0036】
上記した電極端子突起部は、ハニカム構造体に電圧を印加するための電気配線等との電気的接続を確保するためのハニカム構造体側の端子であり、この電極端子突起部と、電源からの配線が接続された金属端子部とが電気的に接続されている。即ち、セラミックス材料からなるハニカム構造部に電圧を印加するため(即ち、通電を行うため)には、電源からの配線や端子を構成する金属材料と、ハニカム構造体の少なくとも一部を構成するセラミックス材料との接合が、少なくとも一箇所(一対)必要である。従来のハニカム構造体において、セラミックス材料と金属材料とを接合する場合には、物理蒸着や化学蒸着等の極めて煩雑な接合が必要とされていたが、本実施形態のハニカム構造体は、セラミックス材料からなる電極端子突起部と、金属材料からなる金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されているため、簡便な方法によって、優れた耐熱性、及び高い耐熱衝撃性を有する接合が実現されている。
【0037】
なお、一対の電極部(換言すれば、電極端子突起部に接合されたそれぞれの金属端子部)間に印加する電圧は、ハニカム構造体を昇温する温度や、ハニカム構造部の材質等によって適宜選択することができるが、例えば、50〜300Vが好ましく、100〜200Vが更に好ましい。例えば、自動車の電気系統に電圧200Vの電源を使用している場合には、当該200Vの電圧を印加することが好ましい。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体においては、電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、金属端子部が、電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなることが好ましい。図1〜図5においては、電極端子突起部22が、凸形状に形成され、金属端子部が凹形状に形成された場合の例を示している。なお、図6に示すように、極端子突起部22が、凹形状に形成され、金属端子部が凸形状に形成されていてもよい。ここで、図6は、本実施形態のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0039】
また、図7に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間25を有し、且つ、電極端子突起部22と金属端子部23とが嵌合する凹凸形状の側面部分においてろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものであることが好ましい。このように構成することによって、高温時における、電極端子突起部22と金属端子部23との熱膨張率の差によって生じる応力を、上記隙間25によって緩和することができる。ここで、図7は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0040】
なお、例えば、図5に示すように、電極端子突起部22が、凸形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凹形状に形成されてなる場合には、金属端子部23は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜3mmであることが更に好ましく、0.3〜1mmであることが特に好ましい。このように構成することによって、金属端子部の熱膨張が小さくなり、凸形状の電極端子突起部への応力(具体的には、熱膨張による電極端子突起部の締め付け圧力)が軽減され、高温時における、電極端子突起部及び金属端子部の破損、また、ろう材による接合部分の剥離等を有効に防止することができる。なお、上記した凹形状を形成する壁部分の厚さは、電極端子突起部及び金属端子部の大きさによって異なるため、上記した範囲に限定されることはない。
【0041】
また、本実施形態のハニカム構造体は、例えば、図8に示すように、電極端子突起部22が、凸形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凹形状に形成されてなり、金属端子部23は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状であることが好ましい。このように構成することによって、金属端子部23の凹形状を形成する壁部分の端面における、圧縮及び引張応力を小さくすることができる。ここで、図8は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0042】
例えば、図5に示すように、金属端子部23の凹形状を形成する壁部分の端面が平坦な形状であると、凹形状を形成する壁部分と、凸形状の突起部分(具体的には、凸形状の突起表面に配設されたろう材の表面)とに圧縮応力が生じ、凹形状を形成する壁部分の先端部付近(即ち、壁部分の端面が開放される先端部近傍)で、接合面に生じている圧縮応力が極めて大きな引張応力とへ変化する現象が確認されることがある。そこで、図8に示すように、凹形状を形成する壁部分の端面形状を、凹形状の内周側が突出するような先細り形状とすることによって、上記先端部付近における引張応力を低減することができ、電極端子突起部22と金属端子部23との剥離を有効に防止することが可能となる。例えば、先細り形状の先端部分(エッジ)の角度は、10〜60°であることが好ましく、20〜50°であることが更に好ましい。10°未満では、凹形状の壁部分先端の強度が低下することがあり、一方、60°を超えると、引張応力を低減する効果が低下することがある。
【0043】
電極端子突起部と金属端子部と接合するためのろう材は、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものであることが好ましい。特に、ろう材として、上記群から選択される少なくとも二種の金属を含有するものであることが更に好ましい。このように構成されたろう材は、接合部分の強度が高く、耐熱衝撃性に優れた接合を実現することができるとともに、接合部分の抵抗値が低く、良好な電気的接続も可能となる。
【0044】
例えば、具体的なろう材の種類としては、ニッケルとクロムを含有するろう材、チタンと銅を含有するろう材、マンガンと銅を含有するろう材、銀とチタンを含有するろう材、鉄とクロムを含有するろう材等を挙げることができる。
【0045】
また、このようなろう材は、耐熱性の向上や、ろう材の融点を低下させる目的に、特定の元素が含有(添加)されたものであってもよい。例えば、ニッケル及びクロムを含有するろう材に、珪素(Si)やホウ素(B)等が添加されたろう材は、ろう材の耐熱性を向上させることができる。また、ニッケル及びクロムを含有するろう材には、ろう材の融点を下げるために、リン(P)が添加されたものであってもよい。このようなろう材を用いる場合には、1050〜1090℃、真空中でろう付けすることができる。
【0046】
また、チタン及び銅を含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、マンガン(Mn)やジルコニウム(Zr)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、1050℃程度の温度で、真空中でろう付けすることができる。
【0047】
また、マンガン及び銅を含有するろう材にも同様に、ろう材の耐熱性を向上させるために、ニッケル(Ni)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、930〜1090℃、真空中でろう付けすることができる。
【0048】
また、銀及びチタンを含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、銅(Cu)やインジウム(In)等が添加されたものであることが好ましい。このようなろう材は、840〜930℃、真空中でろう付けすることができる。
【0049】
更に、鉄及びクロムを含有するろう材には、ろう材の耐熱性を向上させるために、ニッケル(Ni)や珪素(Si)等が添加されたものであることが好ましい。また、ろう材の融点を下げるために、リン(P)が添加されたものであってもよい。このようなろう材を用いる場合には、1090℃程度の温度で、真空中でろう付けすることができる。
【0050】
電極端子突起部と金属端子部と接合するろう材による層(以下、「ろう材層」ということがある)の厚さは、30〜300μmであることが好ましく、40〜200μmであることが更に好ましく、50〜150μmであることが特に好ましい。ろう材層の厚さが30μm未満であると、熱サイクルによって接合部が割れることがあり、一方、300μmを超えると、接合部の機械的強度が低下することがある。
【0051】
また、これまでの実施形態においては、電極端子突起部と金属端子部との一部が、ろう材によってのみ接合された場合の例について説明を行っていたが、例えば、図9に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23との接続部分の一部が、結晶化ガラス26を介して接合されてなるものであってもよい。図9においては、電極端子突起部22が、凹形状に形成されてなるとともに、金属端子部23が、凸形状に形成されてなり、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に、ろう材24が配設され、且つ、凹形状を形成する壁部分と凸形状の突起の側面との間に、結晶化ガラス26が配設された場合の例を示している。ここで、図9は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0052】
このような結晶化ガラスを配設することによって、接合強度を向上させることができる。なお、結晶化ガラスの配置位置については、特に制限はなく、電極端子突起部と金属端子部との一部がろう材によって接合され、且つ、その他の一部が結晶化ガラスによって接合されていればよい。なお、結晶化ガラスによる接合部分は、導電性が担保されないため、電極端子突起部と金属端子部とを接合する面積の70%未満であることがより好ましい。
【0053】
具体的な、結晶化ガラスの素材としては、例えば、SiO2やAl2O3等を挙げることができる。このような結晶化ガラスは、接合強度、及び耐熱性に優れている。
【0054】
また、本実施形態のハニカム構造体を構成する一対の電極部、及び電極端子突起部は、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなるものであり、金属端子部によって印加された電圧により、ハニカム構造部を発熱させることができる。ここで、「一対の電極部、及び電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする」というときは、一対の電極部、及び電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。このため、一対の電極部、及び電極端子突起部は、炭化珪素及び珪素のみから形成されていてもよいし、10質量%以下の微量の不純物や、他のセラミックス成分が含有されてもよい。
【0055】
なお、電極部と電極端子突起部とは、炭化珪素と珪素との比率が同一の導電性セラミックス材料からなるものであってもよいし、異なる比率の導電性セラミックス材料からなるものであってもよい。なお、電極部の成分と電極端子突起部の成分とが同じ(又は近い)成分である場合には、電極部と電極端子突起部の熱膨張係数が同じ(又は近い)値になるため好ましい。また、材質が同じ(又は近く)になるため、電極部と電極端子突起部との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極端子突起部が電極部から剥れたり、電極端子突起部と電極部との接合部分が破損したりすることを良好に防止することができる。
【0056】
なお、図1〜図5に示すように、電極端子突起部22は、四角形の板状の基板22aと、円柱状の突起部22b(凸形状の部分)とによって構成されていることが好ましい。このような形状にすることにより、電極端子突起部22は、基板22aにより電極部21に強固に接合されることができ、突起部22bにより電気配線を確実に接合させることができる。
【0057】
電極端子突起部22において、基板22aの厚さは、1〜5mmが好ましい。このような厚さとすることにより、電極端子突起部22を確実に電極部21に接合することができる。1mmより薄いと、基板22aが弱くなり、突起部22bが基板22aから外れ易くなることがある。5mmより厚いと、ハニカム構造体を配置するスペースが必要以上に大きくなることがある。
【0058】
電極端子突起部22において、基板22aの、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さ(幅)は、電極部21の、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さの、20〜100%であることが好ましく、30〜100%であることが更に好ましい。このような範囲にすることにより、電極端子突起部22が、電極部21から外れ難くなる。20%より短いと、電極端子突起部22が、電極部21から外れ易くなることがある。電極端子突起部22において、基板22aの、「セル2の延びる方向」における長さは、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの、5〜30%が好ましい。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さをこのような範囲とすることにより、十分な接合強度が得られる。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さを、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの5%より短くすると、電極部21から外れ易くなることがある。そして、30%より長くすると、質量が大きくなることがある。
【0059】
電極端子突起部22において、突起部22bの太さは3〜20mmが好ましい。このような太さにすることにより、突起部22bと金属端子部23とをより強固に接合させることができる。3mmより細いと突起部22bが折れ易くなることがある。20mmより太いと、金属端子部23と接続させ難くなることがある。また、突起部22bの長さは、3〜20mmが好ましい。このような長さにすることにより、突起部22bに、金属端子部23を良好に接合させるとことができる。3mmより短いと金属端子部23と接合させ難くなることがある。20mmより長いと、突起部22bが折れ易くなることがある。
【0060】
図2に示すように、電極端子突起部22は、電極部21の「セル2の延びる方向」における中央部に配置されていることが好ましい。これにより、ハニカム構造部4全体を均等に加熱し易くなる。
【0061】
電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗は、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましく、0.1〜1.0Ωcmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗をこのような範囲にすることにより、高温の排ガスが流れる配管内において、電極端子突起部22から、電流を電極部21に効率的に供給することができる。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が0.1Ωcmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が2.0Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電流を電極部21に供給し難くなることがある。
【0062】
電極端子突起部22は、気孔率が30〜45%であることが好ましく、30〜40%であることが更に好ましい。電極端子突起部22の気孔率がこのような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の気孔率が、45%より高いと、電極端子突起部22の強度が低下することがあり、特に突起部22bの強度が低下すると突起部22bが折れ易くなることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0063】
電極端子突起部22は、平均細孔径が5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の平均細孔径がこのような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22の平均細孔径が、5μmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極端子突起部22の平均細孔径が、20μmより大きいと、電極端子突起部22の強度が低下することがあり、特に突起部22bの強度が低下すると突起部22bが折れ易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0064】
電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗を、0.1〜2.0Ωcmにすることができる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極端子突起部22の400℃における体積電気抵抗が小さくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0065】
電極端子突起部22に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極端子突起部22に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。そして、40質量%より大きいと、製造時に変形してしまうことがある。
【0066】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極端子突起部22の気孔率が30〜45%であり、電極端子突起部22の平均細孔径が5〜20μmであり、電極端子突起部22に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極端子突起部22に含有される「珪素の質量」の比率が、20〜40質量%であり、電極端子突起部22に含有される炭化珪素の粒子(炭化珪素粒子)の平均粒子径が10〜60μmであり、電極端子突起部22の体積電気抵抗が、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましい。これにより、特に、ハニカム構造体に均一に通電することができる。
【0067】
また、本実施形態のハニカム構造体100の、「一対の電極部21,21のそれぞれに配設された電極端子突起部間」で測定された400℃における電気抵抗は、1〜20Ωであることが好ましく、3〜10Ωであることが更に好ましい。400℃における電気抵抗が1Ωより小さいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における電気抵抗が20Ωより大きいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が流れ難くなるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0068】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、図10に示すように、電極端子突起部22の表面の少なくとも一部に、金属被膜27が配設され、電極端子突起部22の表面の金属被膜27と、金属端子部23とが、ろう材24を介して電気的に接続された状態で接合されてなるものであってもよい。ここで、図10は、本実施形態のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、電極端子突起部と金属端子部とを拡大して示す拡大断面図である。
【0069】
このような金属被膜は、例えば、電極端子突起部22の表面を溶射、蒸着等の方法により、金属の被膜を配設することによって形成することができる。なお、電極端子突起部に対して金属被膜を形成するため、ハニカム構造体表面に直接金属被膜を形成するよりも、簡便に金属被膜を形成することができる。
【0070】
具体的な金属被膜の形成方法としては、例えば、珪素(Si)を電極端子突起部の表面に溶射する方法や、金属材料を電極端子突起部の表面に真空蒸着させる方法などがある。
【0071】
また、金属端子部を構成する金属材料の種類については特に制限はないが、例えば、低熱膨張金属を使用し、常温時の残留応力を低減可能なものであることが好ましい。具体的な金属材料としては、例えば、コバール、SUS430等のステンレス、インコネルなどを好適例として挙げることができる。
【0072】
また、本実施形態のハニカム構造体に用いられる金属端子部は、これまでに説明した電極端子突起部との電気的接続を行うための端子であり、金属材料によって形成されたものである。金属端子部の形状は、これまでに説明した電極端子突起部と、ろう材を介して電気的、且つ物理的な接続を行うことが可能なものであればよい。
【0073】
また、この金属端子部は、薄肉金属を使用することによっても、高温時の熱応力を低減することができる。即ち、上述したように、金属端子部のろう材を介して接合される部分の肉厚(例えば、図2における金属端子部22の凹形状を形成する壁部分の厚さ)を薄くすることで、接合部分における金属端子部の熱膨張量を小さくして、高温時における、電極端子突起部及び金属端子部の破損、また、ろう材による接合部分の剥離等を有効に防止することができる。
【0074】
この金属端子部は、ハニカム構造体に電圧を印加するための電源と、金属配線等によって電気的接続されている。金属端子部と金属配線とは共に金属であるため、従来公知の金属同士の接合方法(例えば、溶接やはんだ付け等)によって、低抵抗な電気的接続が可能である。
【0075】
金属端子部は、接合強度が十分であれば、セラミックスとの接合面積を減少させた形状を適用することで、熱サイクルがかかった後の接合部の剥がれに対して改善される方向となる。
【0076】
ハニカム構造部は、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなり、図1〜図5に示すように、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する(隔壁1全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁3とを有するものである。このハニカム構造部は、上述したように骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料(即ち、導電性を有するセラミックス材料)からなるため、電極部を通じて電圧が印加された際に、ハニカム構造部が抵抗体として作用し、ハニカム構造体を発熱させる。
【0077】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、ハニカム構造部4に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、ハニカム構造部4に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10〜40質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。10質量%より低いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。40質量%より高いと、焼成時に形状を保持できないことがある。
【0078】
また、ハニカム構造部4を構成する隔壁厚さは、50〜150μmであることが好ましく、70〜100μmであることが更に好ましい。隔壁厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがあり。隔壁厚さが150μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることがある。
【0079】
ハニカム構造部4は、セル密度が40〜150セル/cm2であることが好ましく、70〜100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2より低いと、触媒担持面積が少なくなることがあり、セル密度が150セル/cm2より高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることがある。
【0080】
また、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜30μmであり、5〜20μmであることが好ましい。ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗を1〜20Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径が3μmより小さいと、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗が大きくなるため好ましくない。炭化珪素粒子の平均粒子径が30μmより大きいと、ハニカム構造体100の400℃における体積電気抵抗が小さくなるため好ましくない。また、炭化珪素粒子の平均粒子径が30μmより大きいと、ハニカム成形体を押出成形するときに、押出成形用の口金に成形用原料が詰まることがあるため好ましくない。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0081】
また、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗は、1〜20Ωcmであることが好ましく、3〜10Ωcmであることが更に好ましい。400℃における体積電気抵抗が1Ωcmより小さいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における体積電気抵抗が20Ωcmより大きいと、200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなり、十分に発熱しないことがあるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における体積電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0082】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造体100の400℃における電気抵抗は、1〜20Ωであることが好ましく、3〜10Ωであることが更に好ましい。400℃における電気抵抗が1Ωより小さいと、例えば200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れるため好ましくない。400℃における電気抵抗が20Ωより大きいと、例えば200Vの電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなるため好ましくない。ハニカム構造体の400℃における電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
【0083】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の400℃における体積電気抵抗は、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗より低いものであり、更に、電極部21の400℃における体積電気抵抗が、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗の、20%以下であり、1〜10%であることが好ましい。電極部21の400℃における体積電気抵抗を、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗の、20%以下とすることにより、電極部21が、より効果的に電極として機能するようになる。
【0084】
隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましく、45〜55%であることが更に好ましい。気孔率が、35%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうため好ましくない。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下するため好ましくない。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0085】
隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎるため好ましくない。平均細孔径が15μmより大きいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎるため好ましくない。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0086】
本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1の厚さが70〜100μmであり、セル密度が70〜100セル/cm2であり、骨材としての炭化珪素粒子の平均粒子径が5〜20μmであり、隔壁1の気孔率が45〜55%であり、隔壁1の平均細孔径が4〜8μmであり、ハニカム構造部4に含有される骨材としての炭化珪素粒子の質量と結合材としての珪素の質量の合計に対する、結合材としての珪素の質量の比率が、15〜25質量%であり、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗が、3〜10Ωcmであることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体100をこのように構成することにより、特に、排ガスを流した場合の圧力損失が低く、排ガスの浄化性能に優れるという利点がある。
【0087】
また、本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1及び外周壁3が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を主成分とすることが好ましく、炭化珪素及び珪素のみから形成されていてもよい。隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素及び珪素のみから形成される場合においても、10質量%以下の微量の不純物が含有されてもよい。隔壁1及び外周壁3が、「炭化珪素及び珪素」以外の物質(微量の不純物)を含有する場合、隔壁1及び外周壁3に含有される他の物質としては、酸化珪素、ストロンチウム等を挙げることができる。ここで、「隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」というときは、隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素粒子及び珪素を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0088】
図1〜図4に示すように、一対の電極部21,21のそれぞれは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びると共に両端部間(両端面11,12間)に亘る「帯状」に形成されていることが好ましい。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心部Oを挟んで反対側に配設されていることが好ましい。このように、電極部21を帯状に形成し、帯状の電極部21の長手方向が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びるようにして、更に、電極部21がハニカム構造部4の両端部間(両端面11,12間)に亘るようにしたため、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心部Oを挟んで反対側に配設されるようにすることにより、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。
【0089】
電極部21の、「ハニカム構造部4の周方向R」における長さ(幅)が、ハニカム構造部4の側面5の、周方向Rにおける長さ(外周の長さ)の、1/30〜1/4であることが好ましく、1/30〜1/10であることが更に好ましい。このような範囲にすることにより、ハニカム構造部4全体をより均等に加熱することができる。電極部21の、ハニカム構造部4の周方向Rにおける長さ(幅)が、ハニカム構造部4の側面5の、周方向Rにおける長さの、1/30より短いと、均一に発熱できないことがある。1/4より長いと、ハニカム構造部4の中心部付近が加熱され難くなることがある。
【0090】
電極部21の厚さは、0.2〜2.0mmであることが好ましく0.5〜1.5mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、均一に発熱することができる。電極部21の厚さが0.2mmより薄いと、電気抵抗が高くなり均一に発熱できないことがある。2.0mmより厚いと、キャニング時に破損することがある。
【0091】
電極部21は、図11Aに示すように、外周壁3の表面に配設されていることが好ましい。また、電極部21は、図11Bに示すように、外周壁3の内部に埋め込まれるようにして配設されていてもよい。更に、電極部21は、図11C、図11Dに示すように、一部(外周壁に接触している側)が外周壁3の内部に埋め込まれた状態で、残りの一部(表面側の一部)が外周壁3から外に(表面側に)出た状態となっていることも好ましい態様である。図11Cにおいては、電極21の外周壁3の内部に埋め込まれた部分の厚さが、外周壁3の厚さより薄い態様が示されている。図11Dにおいては、電極21の外周壁3の内部に埋め込まれた部分の厚さが、外周壁3の厚さと同じ厚さとなっている態様が示されている。
【0092】
ここで、図11Aは、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Bは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Cは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。図11Dは、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、外周壁3に電極部21が配設された状態を示す模式図である。なお、図11A〜図11Dにおいては、外周壁3の一部及び片方の電極部21のみが表され、隔壁等は表されていない。
【0093】
電極部21は、炭化珪素及び珪素を主成分とするものであり、電極部21の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ(又は近い)成分となるため、電極部21とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ(又は近く)になる。また、材質が同じ(又は近く)になるため、電極部21とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。このため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極部21がハニカム構造部4から剥れたり、電極部21とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすること良好に防止することができる。
【0094】
電極部21の400℃における体積電気抵抗は、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましく、0.1〜1.0Ωcmであることが更に好ましい。電極部21の400℃における体積電気抵抗をこのような範囲にすることにより、一対の電極部21,21が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部21の400℃における体積電気抵抗が0.1Ωcmより小さいと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の400℃における体積電気抵抗が2.0Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たし難くなることがある。
【0095】
電極部21は、気孔率が30〜45%であることが好ましく、30〜40%であることが更に好ましい。電極部21の気孔率がこのような範囲であることにより、好適な体積電気抵抗が得られる。電極部21の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の気孔率が、45%より高いと、体積電気抵抗が高くなりすぎることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0096】
電極部21は、平均細孔径が5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmであることが更に好ましい。電極部21の平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な体積電気抵抗が得られる。電極部21の平均細孔径が、5μmより小さいと、体積電気抵抗が高くなりすぎることがある。電極部21の平均細孔径が、20μmより大きいと、強度が弱く破損することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0097】
電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極部21の400℃における体積電気抵抗を、0.1〜2.0Ωcmにすることができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極部21の400℃における体積電気抵抗が大きくなり過ぎることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極部21の強度が弱く破損することがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0098】
電極部21に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、適切な体積電気抵抗が得られる。電極部21に含有される炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。そして、40質量%より大きいと、製造時に変形し易くなることがある。
【0099】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の気孔率が30〜45%であり、電極部の平均細孔径が5〜20μmであり、電極部21に含有される「炭化珪素と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される「珪素の質量」の比率が、20〜40質量%であり、電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであり、電極部21の体積電気抵抗が、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましい。これにより、特に、通電時に均一にハニカム構造体を発熱することができる。
【0100】
本実施形態のハニカム構造体においては、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部の、ハニカム構造部の周方向における中央部において、ハニカム構造部の外周に接する接線を引いたときに、当該接線が、いずれかの隔壁と平行であることが好ましい。これにより、キャニング時に破損し難くなる。
【0101】
また、本実施形態のハニカム構造体100の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁の面積が小さくなることがある。
【0102】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形又は六角形であることが好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0103】
本実施形態のハニカム構造体の形状は特に限定されず、例えば、底面が円形の筒状(円筒形状)、底面がオーバル形状の筒状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の筒状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、底面の面積が2000〜20000mm2であることが好ましく、4000〜10000mm2であることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。
【0104】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましい。アイソスタティック強度が1MPa未満であると、ハニカム構造体を触媒担体等として使用する際に、破損し易くなることがある。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0105】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の製造方法について説明する。
【0106】
まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10〜30質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3〜30μmが好ましく、5〜20μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、成形原料全体の質量に対して30〜78質量%であることが好ましい。
【0107】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して2〜10質量%であることが好ましい。
【0108】
水の含有量は、成形原料全体に対して20〜60質量%であることが好ましい。
【0109】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0110】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0111】
また、成形原料は、焼結助剤として炭酸ストロンチウムを含有することが好ましい。焼結助剤の含有量は、成形原料全体に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。
【0112】
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0113】
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
【0114】
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
【0115】
得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
【0116】
ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
【0117】
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調合する。電極部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0118】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、電極部形成原料全体の質量に対して40〜80質量%であることが好ましい。
【0119】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、電極部形成原料全体に対して0.1〜2質量%であることが好ましい。
【0120】
水の含有量は、電極部形成原料全体に対して19〜55質量%であることが好ましい。
【0121】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、電極部形成原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0122】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、電極部形成原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0123】
また、電極部形成原料は、焼結助剤として炭酸ストロンチウムを含有することが好ましい。焼結助剤の含有量は、電極部形成原料全体に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。
【0124】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、ペースト状の電極部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
【0125】
次に、得られた電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、印刷方法を用いることができる。また、電極部形成原料は、上記本発明のハニカム構造体における電極部の形状になるように、ハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。電極部の厚さは、電極部形成原料を塗布するときの厚さを調整することにより、所望の厚さとすることができる。このように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布し、乾燥、焼成するだけで電極部を形成することができるため、非常に容易に電極部を形成することができる。
【0126】
次に、ハニカム成形体の側面に塗布した電極部形成原料を乾燥させることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0127】
次に、電極端子突起部形成用部材を作製することが好ましい。電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体に貼り付けられて、電極端子突起部となるものである。電極端子突起部形成用部材の形状は、ハニカム構造体の実施形態にて説明した種々の形状に形成することができる。そして、得られた電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体の、電極部形成原料が塗布された部分に貼り付けることが好ましい。なお、ハニカム成形体の作製、電極部形成原料の調合、及び電極端子突起部形成用部材の作製の、順序はどのような順序でもよい。
【0128】
電極端子突起部形成用部材は、電極端子突起部形成原料(電極端子突起部形成用部材を形成するための原料)を成形、乾燥して得ることが好ましい。電極端子突起部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0129】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極端子突起部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、体積電気抵抗が小さくなりすぎることがある。20μmより大きいと、体積電気抵抗が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。炭化珪素粒子及び金属珪素の合計質量は、電極端子突起部形成原料全体の質量に対して50〜85質量%であることが好ましい。
【0130】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して1〜10質量%であることが好ましい。
【0131】
水の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して15〜30質量%であることが好ましい。
【0132】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0133】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、電極端子突起部形成原料全体に対して10質量%以下であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0134】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、電極端子突起部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、混練機を用いることができる。
【0135】
得られた電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にする方法は特に限定されず、押出成形後に加工する方法を挙げることができる。
【0136】
電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にした後に、乾燥させて、電極端子突起部形成用部材を得ることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0137】
次に、電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体(ハニカム成形体の電極部形成原料が塗布された部分)に貼り付ける方法は、特に限定されないが、上記電極部形成原料を用いて電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。例えば、電極端子突起部形成用部材の「ハニカム成形体に貼り付く面(ハニカム成形体に接触する面)」に電極部形成原料を塗布し、「当該電極部形成原料を塗布した面」がハニカム成形体に接触するようにして、電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。
【0138】
そして、電極部形成原料が塗布され、電極端子突起部形成用部材が貼り付けられたハニカム成形体を乾燥し、焼成して、ハニカム構造部と、このハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部とを作製する。
【0139】
このときの乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0140】
また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0141】
なお、電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体を焼成する前に貼り付けてもよいし、焼成した後に貼り付けてもよい。電極端子突起部形成用部材を、ハニカム成形体を焼成した後に貼り付けた場合は、その後に、上記条件によって再度焼成することが好ましい。
【0142】
次に、金属材料からなる金属端子部を、削りだし、もしくは板材のプレスの方法で作製する。なお、金属端子部の作製は、ハニカム構造部の作製の前に行ってもよい。
【0143】
なお、金属端子部の形状は、電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成することが好ましい。金属端子部を形成するための金属材料としては、コバール、ステンレス、インコネル等を好適に用いることができる。
【0144】
次に、得られた金属端子部と、ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部の表面に配置された電極端子突起部とを、ろう材を介して接合する。具体的には、電極端子突起部の端部に、ペースト状のろう材を塗布しておき、そこに金属端子を嵌め込み、真空の炉内において所定温度で加熱する方法で、電極端子突起部と金属端子部とを、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合する。このようにして、図1〜図5に示すようなハニカム構造体を製造することができる。
【0145】
ろう材の種類については、これまでにハニカム構造体の実施形態にて説明したろう材を好適に用いることができる。また、接合時における温度や、接合雰囲気(例えば、真空中での接合)等については、使用するろう材の種類に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0146】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0147】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合し、これに、焼結助剤として炭酸ストロンチウム、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とし、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であり、炭酸ストロンチウムの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計に対し1質量部であり、造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0148】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
【0149】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、焼結助剤として炭酸ストロンチウム、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。炭酸ストロンチウムの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに1質量部であり、バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であり、グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であり、界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0150】
次に、電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に、厚さ0.5mm、幅60mmで、ハニカム成形体の両端面間に亘るように帯状に塗布した。電極部形成原料は、乾燥させたハニカム成形体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム成形体の中心部を挟んで反対側に配置されるようにした。
【0151】
次に、ハニカム成形体に塗布した電極部形成原料を乾燥させた。乾燥条件は、70℃とした。
【0152】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極端子突起部形成原料とした。電極端子突起部形成原料を、真空土練機を用いて坏土とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに4質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに22質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0153】
得られた坏土を、真空土練機を用いて成形し、図1〜図5に示される電極端子突起部22のような形状に加工し、乾燥して、電極端子突起部形成用部材を得た。また、乾燥条件は、70℃とした。板状の基板22aに相当する部分は、3mm×12mm×15mmの大きさとした。また、突起部22bに相当する部分は、底面の直径が10mmで、中心軸方向の長さが10mmの円柱状とした。電極端子突起部形成用部材は2つ作製した。
【0154】
次に、2つの電極端子突起部形成用部材のそれぞれを、ハニカム成形体の2箇所の電極部形成原料を塗布した部分のそれぞれに貼り付けた。電極端子突起部形成用部材は、電極部形成原料を用いて、ハニカム成形体の電極部形成原料を塗布した部分に貼り付けた。その後、電極部形成原料を塗布し、電極端子突起部形成用部材を貼り付けたハニカム成形体を、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体(但し、金属端子部は未接続)を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。得られたハニカム構造体は、表1に示すハニカム構造部A1、表2に示す電極部B1、及び表3に示す電極端子突起部C1を備えたものである。表1は、ハニカム構造部の構成を示し、表2は、電極部の構成を示し、表3は、電極端子突起部の構成を示す。
【0155】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは90μmであり、セル密度は90セル/cm2であった。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは100mmであった。また、得られたハニカム構造体のアイソスタティック強度は2.5MPaであった。アイソスタティック強度は水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。
【0156】
また、このハニカム構造体の電極端子突起部との電気的接続を行うための金属端子部を、コバールを用いて、図1及び図2に示される金属端子部23のような凹形状に加工して形成した。なお、凹形状の金属端子部の窪み部分の内径(直径)は、電極端子突起部との間に0.05mmのろう材層が配置されるように、10.1mmの円柱状とした。また、凹形状の壁部分の厚さは0.5mmとした。
【0157】
次に、得られた金属端子部と、ハニカム構造体の電極端子突起部とを、ニッケルとクロムを、ろう材全体に対して90質量%含有するろう材を用いて接合してハニカム構造体を作製した。
【0158】
得られたハニカム構造体の電極端子突起部と金属端子部との接合部について、以下の方法で、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」を求めた。結果を、表4に示す。
【0159】
なお、上記した各種測定は、図12A及び図12Bに示すように、電極端子突起部の突起部分の2倍の長さに相当する20mmの長さテストピース(電極端子突起部のテストピース122)を作製し、この電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合して行った。ここで、図12Aは、電極端子突起部と金属端子部と接合部の強度の測定方法を示す平面図であり、図12Bは、電極端子突起部と金属端子部と接合部の抵抗値の測定方法を示す平面図である。
【0160】
(接合部の強度(初期))
図12Aに示すように、電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合し、図12Aの矢印の方法に、金属端子部23を両方に引っ張り、接合部が剥離する際の強度(N)を測定した。この剥離する際の強度を「接合部の強度(初期)」とした。なお、接合部の強度が19.6N以上の場合を合格(良好)とする。
【0161】
(接合部の強度(冷熱サイクル後))
図12Aに示すテストピース122及び金属端子部23を、電気炉を使用して700℃まで加熱した後、100℃まで冷却する冷熱サイクルを100回繰り返し、上記した接合部の強度(初期)の測定と同様の方法によって、接合部が剥離する際の強度(N)を測定した。この剥離する際の強度を「接合部の強度(冷熱サイクル後)」とした。なお、接合部の強度が19.6N以上の場合を合格(良好)とする。
【0162】
(接合部の抵抗値(初期))
図12Bに示すように、電極端子突起部のテストピース122の両端部に、金属端子部23をそれぞれろう材によって接合し、一方の金属端子部23からテストピース122を介して他方の金属端子部23までの抵抗値(mΩ)を測定した。この抵抗値を「接合部の抵抗値(初期)」とした。
【0163】
(接合部の抵抗値(冷熱サイクル後))
図12Aに示すテストピース122及び金属端子部23を、電気炉を使用して700℃まで加熱した後、100℃まで冷却する冷熱サイクルを100回繰り返し、上記した接合部の抵抗値(初期)の測定と同様の方法によって、一方の金属端子部23からテストピース122を介して他方の金属端子部23までの抵抗値(mΩ)を測定した。この抵抗値を「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」とした。
【0164】
また、表1において、「SiC配合量(質量%)」は、炭化珪素と金属珪素の合計質量に対する、炭化珪素の配合比率(質量比率)を示し、「Si配合量(質量%)」は、炭化珪素と金属珪素の合計質量に対する、金属珪素の配合比率(質量比率)を示す。また、「造孔材配合量(造孔材)(質量部)」は、成形原料全体を100質量部としたときの、造孔材の質量部を示し、「水比(水)(質量部)」は、成形原料全体を100質量部としたときの、水の質量部を示す。また、「セル形状」は、セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状を示す。また、「リブ厚(μm)」は、隔壁の厚さを示す。「セル数(個/cm2)」は、ハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面におけるセル密度を表す。また、表1における気孔率及び気孔径は、ハニカム構造部の隔壁の気孔率及び平均細孔径を示す。表2における気孔率及び気孔径は、電極部の気孔率及び平均細孔径を示す。表3における気孔率及び気孔径は、電極端子突起部の気孔率及び平均細孔径を示す。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
(実施例2〜5)
ろう材の種類を、表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0170】
(実施例6)
図10に示すように、電極端子突起部22の表面の一部に、珪素(Si)を溶射して金属被膜27を作製した以外には、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0171】
(実施例7)
図9に示すように、電極端子突起部22と金属端子部23との接続面積の80%に相当する範囲を、SiO2及びAl2O3を含む結晶化ガラス26を介して接合した以外は、実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造体を作製し、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0172】
(比較例1)
実施例1と同様の方法によって、ハニカム構造部、電極部、及び電極端子突起部を作製し、この電極端子突起部の外周部分を、1mmのステンレス製の薄板金属によって覆い、この薄板金属の両端部を重ね合わせてネジ止めによって固定することで、電極端子突起部と、金属端子部に相当する薄板金属とを電気的に接続し、比較例1のハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の方法によって、「接合部の強度(初期)」、「接合部の抵抗値(初期)」、「接合部の強度(冷熱サイクル後)」、及び「接合部の抵抗値(冷熱サイクル後)」の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0173】
表1に示すように、実施例1〜7のハニカム構造体は、初期及び冷熱サイクル後における、接合部の強度が高いものであった。また、初期及び冷熱サイクル後の抵抗値も、電気的接続を行う程度の十分に低い抵抗値であった。一方、比較例1のハニカム構造体は、初期及び冷熱サイクル後の接合部の強度が極めて低いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明のハニカム構造体は、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、内燃機関から排出される排ガスを浄化する触媒装置用の担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0175】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、11:一方の端面、12:他方の端面、21:電極部、22:電極端子突起部、22a:基板、22b:突起部、23:金属端子部、24:ろう材、25:隙間、26:結晶化ガラス、27:金属被膜、100:ハニカム構造体、O:中心部、R:周方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部と、
前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、
前記一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部と、
前記電極端子突起部に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部と、を備え、
前記一対の電極部、及び前記電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、
前記電極端子突起部と前記金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体。
【請求項2】
前記電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、前記電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなる請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記電極端子突起部と前記金属端子部とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間を有し、且つ、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが嵌合する前記凹凸形状の側面部分において前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる請求項2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、
前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmである請求項2又は3に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、
前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状である請求項2〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記ろう材が、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記金属端子部が、コバール、ステンレス、又はインコネルからなるものである請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記電極端子突起部の表面の少なくとも一部に、金属被膜が配設され、前記電極端子突起部の表面の前記金属被膜と、前記金属端子部とが、前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記電極端子突起部と前記金属端子部との接続部分の一部が、結晶化ガラスを介して接合されてなる請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びると共に両端部間に亘る帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心部を挟んで反対側に配設された請求項1〜9のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項1】
流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有し、骨材としての炭化珪素粒子、及び前記炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するセラミックス材料からなる筒状のハニカム構造部と、
前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、
前記一対の電極部のそれぞれの表面に配設された電極端子突起部と、
前記電極端子突起部に電気的に接続された金属材料からなる金属端子部と、を備え、
前記一対の電極部、及び前記電極端子突起部が、炭化珪素及び珪素を主成分とする導電性セラミックス材料からなり、
前記電極端子突起部と前記金属端子部とが、ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなるハニカム構造体。
【請求項2】
前記電極端子突起部が、凸形状又は凹形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、前記電極端子突起部との接合部分における形状が相補形状となる、凹形状又は凸形状に形成されてなる請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記電極端子突起部と前記金属端子部とは、相補形状となる凹凸形状の凸形状の先端と凹形状の窪みとの間に隙間を有し、且つ、前記電極端子突起部と前記金属端子部とが嵌合する前記凹凸形状の側面部分において前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる請求項2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、
前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の厚さが0.1〜5mmである請求項2又は3に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記電極端子突起部が、凸形状に形成されてなるとともに、前記金属端子部が、凹形状に形成されてなり、
前記金属端子部は、凹形状を形成する壁部分の端面形状が、凹形状の内周側が突出するような先細り形状である請求項2〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記ろう材が、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、鉄、銅、及び銀からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記金属端子部が、コバール、ステンレス、又はインコネルからなるものである請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記電極端子突起部の表面の少なくとも一部に、金属被膜が配設され、前記電極端子突起部の表面の前記金属被膜と、前記金属端子部とが、前記ろう材を介して電気的に接続された状態で接合されてなる請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記電極端子突起部と前記金属端子部との接続部分の一部が、結晶化ガラスを介して接合されてなる請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びると共に両端部間に亘る帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心部を挟んで反対側に配設された請求項1〜9のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2011−212577(P2011−212577A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82723(P2010−82723)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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