説明

ハードコート用樹脂組成物

【課題】硬さと低硬化収縮を両立させ、なおかつ密着性に優れた光の干渉ムラの少ないハードコート剤を提供する。
【解決手段】特定の(A)アクリルオキシ官能性シラノールおよび/またはその部分縮合物;20〜35重量部、(B)コロイダルシリカ;7〜10重量部、(C)ペンタエリスリトールトリアクリレート;18〜30重量部、(D)光重合開始剤;1〜10重量部、(E)エステル系溶剤;35〜39重量部を含有するハードコート用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースエステル光学フィルムの表面保護に用いられるハードコート用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トリアセチルセルロース等のセルロースエステル光学フィルムは、一般に偏光板の保護フィルムとして使用されているが、生産時の取扱いにより表面に傷が付くのを防止するため、また、最表面に使用された場合のユーザー使用による傷を防止するため、ハードコート層を片面または両面に設けることが行なわれている。
【0003】
さらに、セルロースエステル光学フィルムは、帯電防止層、光干渉性を利用した反射防止層、電磁波遮断層、赤外線吸収層、撥水性や撥油性を有する防汚層、色調調整層等が表面に設けられて目的別の用途で提供されている。これらの各種コーティング層を設けるに当たり、ハードコート層はフィルム強度アップのために必須として設けるベース層となっている。このハードコート層は、膜厚が1〜20μmの範囲で、各種活性エネルギー線硬化樹脂、熱硬化性樹脂が使用されることが一般的である(特許文献1〜5)。しかしながら、ハードコート層を設ける場合、鉛筆硬度の不足、光干渉ムラの発生、セルロースエステルフィルム表面との密着性不良、フィルムカーリングの発生があり、その改善が望まれていた。
【特許文献1】特開平10−95861号公報
【特許文献2】特開2005−148110号公報
【特許文献3】特開昭57−131214号公報
【特許文献4】特開2002−245672号公報
【特許文献5】特開2003−338089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、セルロースエステル光学フィルム上にハードコート層を形成した時、鉛筆硬度、光干渉ムラ、密着性、フィルムカーリングが改善されるハードコート用樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
従来技術では、多官能性アクリレートモノマーを多用することにより表面硬度を上げていたため、特に硬化収縮に問題が生じることが多かった。このような収縮の問題を解決するためには、アクリルモノマー樹脂骨格自体をすべて柔らかい成分に代えることにより収縮を少なくさせることが考えられるが、硬さが極度に落ち、なおかつ光の干渉ムラが低減できず、光学用プラスチックフィルム表面保護のハードコート剤にはそぐわなくなるという問題があった。
【0006】
そのため、硬さを維持しつつ硬化収縮を低減させることが基本的に困難であり、硬さと低硬化収縮を両立させ、なおかつ密着性に優れた光の干渉ムラの少ないハードコート剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0008】
即ち本発明は、
(A)下記一般式
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Rは一価炭化水素基であり、Rは二価炭化水素基であり、Rは水素原子または一価炭化水素基であり、xは1〜4の整数である)で示されるアクリルオキシ官能性シラノールおよび/またはその部分縮合物;20〜35重量部
(B)コロイダルシリカ;7〜10重量部
(C)ペンタエリスリトールトリアクリレート;18〜30重量部
(D)光重合開始剤;1〜10重量部
(E)エステル系溶剤;35〜39重量部
を含有するハードコート用樹脂組成物、並びに
上記ハードコート用樹脂組成物を塗布後、光で硬化してなる厚さ1〜20μmのハードコート層を有するセルロースエステル光学フィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、セルロースエステル光学フィルム上にハードコート層を形成した時、鉛筆硬度、光干渉ムラ、密着性、フィルムカーリングが改善されるハードコート用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いる(A)成分はアクリルオキシ官能性シラノールおよび/またはその部分縮合物であり、これは下記一般式で示されるアクリルオキシ官能性シランを加水分解することにより得られる。
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R、R、Rおよびxは上記と同様)
(B)成分は本発明の必須成分のひとつであるコロイダルシリカである。コロイダルシリカは水性媒質または他の溶剤媒質中のミクロン以下の粒度のシリカ(SiO)の分散物である。
【0016】
コロイダルシリカは硬質被覆組成物を構成するのに有用である。その理由にはシリカ(SiO)は種々のアルコキシシランおよびその加水分解物あるいは部分縮合物と反応して被覆のためのポリシロキサン骨格を形成することがあげられる。すなわち、このポリシロキサン骨格の形成が優れた耐擦傷性や抗カール性の付与に有効である。
【0017】
(C)成分はペンタエリスリトールトリアクリレートであり、硬化性と密着性を発現するのに必須の成分である。
【0018】
(D)成分の光重合開始剤としては、公知の一般に入手可能なものがいずれも使用可能であるが、特に可視領域における透明性を確保するために、UV吸収の最大波長ピークが400nm以下のものが望ましい。このような重合開始剤として、アセトフェノン系の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン、フォスフィンオキシド系の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、さらにはベンゾフェノンと重合促進剤のエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエートといった組み合わせのものも使用できる。これらは単独で用いられてもよいし、複数を組み合わせて光硬化時の光源に合わせて硬化条件の最適化を図ることもできる。特に液状で取扱が簡便な2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンは液体で取扱いが簡便なため望ましく、上記にあげたような他重合開始剤をあらかじめ溶解させて使用することもできる。
【0019】
(E)成分はエステル系溶剤であり、酢酸エチルや酢酸ブチルが好ましく用いられる。
【0020】
本発明において、(A)、(B)および(C)成分の配合量は、(A)成分;20〜35重量部に対し、(B)成分;7〜10重量部、(C)成分;18〜30重量部である。この範囲を外れる場合、例えば(A)成分が少ない場合においては、ハードコート層がもろくなりクラックが入りやすくなる。多くなるとフィルムカールが大きくなる。(B)成分が少ない場合においては、硬化皮膜の硬度が低下してハードコートにはそぐわなくなる。多い場合にはハードコート層がもろくなりクラックが入りやすくなる。(C)成分が少ない場合においては、硬化皮膜の密着性が低下し剥離しやすくなる不具合があり、逆に多い場合においては硬化物の硬度が落ちるために、ハードコートとしてそぐわなくなる。
【0021】
また、(D)成分の配合量は、光重合開始に必要な量であって特に制限されないが、一般的には上記割合の(A)、(B)および(C) 成分に対し、1〜10重量部が望ましく、硬化速度と経時安定性との兼ね合いから3〜8重量部がさらに望ましい。
【0022】
また、(E)エステル系溶剤の配合量は、35〜39重量部である。
【0023】
本発明に用いるハードコート剤を製造するには、水性コロイダルシリカ(コロイダルシリカ水分散液)、シリルアクリレート、3官能性ペンタエリスリトールトリアクリレートまたはその混合物、光開始剤および所望に応じて上述した他の添加剤のうち任意のものを配合させる。またコロイダルシリカはアルコール溶媒にあらかじめ分散されているものでも同様に可能であり、アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−メトキシー2−プロパノール等があげられる。コロイダルシリカの粒径は、皮膜透明性を確保するため1次粒子径が40nm以下、特に25nm以下のものが望ましい。
【0024】
第1の工程で、シリルアクリレートを水性コロイダルシリカおよび水混和性アルコールの存在下で加水分解することにより、反応性(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤を反応系内にて加水分解し、加水分解物およびその部分縮合物とコロイダルシリカの混合物を調製する。
【0025】
この工程において、ラジカル重合禁止剤を共存させておくことが、重合を抑制し、収率の点で好ましい。
【0026】
ラジカル重合禁止剤としては特に限定されず、一般にラジカル重合防止剤として用いられるものであるならばいずれも使用することができる。具体的には、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン系重合禁止剤;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4− ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1
−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのエステル等の1−オキシル系重合禁止剤;等が挙げられる。
【0027】
これらの中でも、好ましいラジカル重合禁止剤として、キノン系重合禁止剤、アミン系重合禁止剤、ジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤、1−オキシル系重合禁止剤を挙げることができる。特に好ましいラジカル重合禁止剤として、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、アルキル化ジフェニルアミン、ジブチルジチオカルバミン酸銅、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのエステル等を挙げることができる。
【0028】
適当なアルコールとしては、例えば水混和性アルコール、具体的にはt−ブタノール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど、またはエーテルアルコール、例えばエトキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノールなどが挙げられる。水性コロイダルシリカとシリルアクリレートを、加水分解が終わるまで加熱撹拌する。シリルアクリレートの加水分解は、大気条件下で行う、あるいは加水分解混合物を加熱還流することによって行うことができる。
【0029】
第2の工程で、上記1の溶液に3官能性ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加し、反応に用いた水および溶媒を蒸留除去する。
【0030】
さらに第3の配合工程では、第2の工程において反応性(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤の加水分解物およびその部分縮合物とコロイダルシリカの混合物が分散されたアクリル樹脂に所望の光開始剤、エステル系溶剤を添加する。
【0031】
本発明において用いるハードコート剤への上述した成分の添加順序は重要ではないが、上述した加水分解シリルアクリレートとコロイダルシリカの混合物にペンタエリスリトールトリアクリレートまたはその混合物を加えるのが好ましい。
【0032】
本発明に用いるハードコート剤を製造する場合、水とアルコールの共沸混合物を上記配合物から蒸留除去する。最初の加水分解混合物に内包する水を共沸混合物として蒸留留去するのに十分なアルコールを使用しなかった場合には、十分な量のアルコールを加えて蒸留による水の除去を容易にすることができる。
【0033】
上に述べたハードコート液をロール、ワイヤーバー、ドクターブレード、フロー、スプレーおよびはけ塗り等によりポリカーボネート基材表面に塗工し、光重合開始剤を適宜選択することにより、市販されている光照射装置で硬化することができる。
【0034】
また、本発明においてハードコート剤の形成厚さは1〜20μm、好ましくは5〜15μmである。膜厚が少なくなると、光硬化時に酸素による重合阻害の影響が大きくなり、窒素などの不活性ガス下による硬化システムが必要となる。また膜厚が極度に大きくなると硬化収縮における基材の変形が大きくなる不具合がある。
【0035】
フィルム上にハードコート層を形成した時に、鉛筆硬度、光干渉ムラ、密着性、フィルムカーリングが改善することを見出したものである。
【0036】
従来セルロースエステルフィルム表面にハードコート層を設ける場合、光干渉ムラを起こさない、密着性の向上、フィルムカーリングの抑制のために、フィルム表面をコロナ放電処理、プラズマ放電処理、アルカリ処理、密着層を設ける、またはカーリング調整層を裏表のいずれかに設ける等の方法が取られている。これに対して、本発明は、これらの処理工程、調整層を設ける必要がないため、生産性向上、低コスト化、安定性向上に寄与する。
【0037】
これらの活性エネルギー線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
【0038】
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜500mJ/cm程度が好ましい。
【0039】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中、部は重量部を示す。
【0041】
評価方法は以下の通りである。
(密着性)
硬化皮膜を形成したフィルム表面にJIS K 5600−5−6の試験法に準じて格子状のクロスカットを作成し、25mm幅のセロハンテープ剥離試験を行い、25の升目のうちの残存した升目により下記の如く評価した。
○:すべての升目が残存
△:20升目が残存
×:残存する升目が20未満
(干渉ムラ)
試料のハードコート層が形成された反対の面に、黒色粘着テープを貼り合わせ、ハードコート層形成側から、3波長蛍光灯および干渉縞検査ランプ(フナテック株式会社製 FNA−18)で照らす角度と目視する角度をいろいろと変えて、干渉ムラを観察し評価した。
◎:干渉縞検査ランプおよび3波長蛍光灯のいずれでも干渉縞が観察されない。
○:干渉縞検査ランプでは少し観察されるが、3波長蛍光灯では観察されない。
△:干渉縞検査ランプでは観察されるが、3波長蛍光灯では少ししか観察されない。
×:干渉縞検査ランプでは観察されるが、3波長蛍光灯でも観察される。
(カーリング)
試料を100mm×20mm角のサイズでサンプルを切り出し、23℃、55%RHの条件で1日調湿した後、サンプルのカールの曲率半径をミリメートルで求め評価した。
【0042】
実施例1
イソプロピルアルコール65.94部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)205.67部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン35.10部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0043】
冷却後、イソブタノール200部とペンタエリスリトールトリアクリレート46.08部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール337.57部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0044】
この液体に酢酸エチル102.42部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.17部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0045】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、フィルム厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムに硬化後のハードコート膜厚が10μmになるようにマイヤーバーにて塗工し、80℃のオーブン乾燥機で3分間溶剤乾燥を行ったあとフュージョン社製F−450、Hバルブを使用して330mW/cm、350mJ/cm、ラインスピード4m/分の紫外線照射条件で2回照射してハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
イソプロピルアルコール63.26部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)197.34部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン33.67部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0047】
冷却後、イソブタノール200部とペンタエリスリトールトリアクリレート68.53部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール315.78部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0048】
この液体に酢酸エチル114.48部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン6.88部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0049】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
イソプロピルアルコール59.81部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)186.56部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン31.83部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0051】
冷却後、イソブタノール200部とペンタエリスリトールトリアクリレート97.56部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール287.60部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0052】
この液体に酢酸エチル130.08部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン6.51部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0053】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例4
イソプロピルアルコール65.94部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)205.67部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン35.10部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0055】
冷却後、イソブタノール200部とペンタエリスリトールトリアクリレート46.08部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール337.57部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0056】
この液体にイソブタノール102.42部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.17部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0057】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
イソプロピルアルコール68.12部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)212.47部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン36.26部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0059】
冷却後、イソブタノール200部とトリメチロールプロパントリアクリレート27.77部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール355.34部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0060】
この液体にメチルエチルケトオキシム92.59部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびトリメチロールプロパントリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.41部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0061】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例2
イソプロピルアルコール68.12部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)212.47部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン36.26部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0063】
冷却後、イソブタノール200部とトリメチロールプロパントリアクリレート27.77部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール355.34部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0064】
この液体にイソブタノール92.59部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびトリメチロールプロパントリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.41部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0065】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0066】
比較例3
イソプロピルアルコール68.12部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)212.47部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン36.26部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0067】
冷却後、イソブタノール200部とトリメチロールプロパントリアクリレート27.77部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール355.34部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0068】
この液体にメチルイソブチルケトン92.59部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびトリメチロールプロパントリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.41部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0069】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0070】
比較例4
イソプロピルアルコール68.12部、日産化学工業(株)製スノーテックスO−40(40%コロイダルシリカ水分散液)212.47部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン36.26部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ラジカル重合禁止剤)0.05部の混合物を加熱して3時間還流させた。
【0071】
冷却後、イソブタノール200部とトリメチロールプロパントリアクリレート27.77部を加えて、減圧下で溶剤を蒸留した。約半分の溶剤を蒸留したところで、イソブタノール355.34部を加え、コロイダルシリカ水分散液に含まれる水分を共沸によりさらに留去し、次いで溶剤のすべてを留去して粘稠不透明な液体を得た。
【0072】
この液体に酢酸エチル92.59部を加えて希釈溶解した。この(メタ)アクリレートシランの加水分解物および部分縮合物とコロイダルシリカおよびトリメチロールプロパントリアクリレートの混合溶液に、光重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン7.41部を加え、固形分濃度60%に調整した後、加圧ろ過を行いハードコート剤を得た。
【0073】
このようにして得られたハードコート剤を使用して、実施例1と同様の方法でハードコート皮膜を形成した。
評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式
【化1】

(式中、Rは一価炭化水素基であり、Rは二価炭化水素基であり、Rは水素原子または一価炭化水素基であり、xは1〜4の整数である)で示されるアクリルオキシ官能性シラノールおよび/またはその部分縮合物;20〜35重量部
(B)コロイダルシリカ;7〜10重量部
(C)ペンタエリスリトールトリアクリレート;18〜30重量部
(D)光重合開始剤;1〜10重量部
(E)エステル系溶剤;35〜39重量部
を含有するハードコート用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1項記載のハードコート用樹脂組成物を塗布後、光で硬化してなる厚さ1〜20μmのハードコート層を有するセルロースエステル光学フィルム。

【公開番号】特開2009−91448(P2009−91448A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263004(P2007−263004)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】