説明

バス案内表示装置

【課題】バス車内に配設され、バスの停留所及び運賃情報を表示するとともに停留所の周辺情報を案内するバス案内表示装置を提供する。
【解決手段】バス案内表示装置は、バス車内に配設されバスの停留所及び/又は運賃情報を表示する表示装置2を備えたものであって、バスが停留所又は停留所付近で停車した場合に、停車場所付近の周辺情報4のうち予め決められた特定の周辺情報が、バス車輌の停車場所に対してどの方向にあるかを表示する表示器3を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バス車内に配設され、バスの停留所及び運賃情報を表示するとともに停留所の周辺情報を表示案内するバス案内表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス車内には、バスの行先や停留所を表示する行先表示器、乗車運賃を表示する運賃表示器に加えて広告を表示する表示器等が設置され、バスの案内情報として乗客に利用されている(例えば、特許文献1参照)。また、バスの停留所においては、停留所名の表示又は停留所付近の店舗や行政等のコマーシャルを文字又は画像等で紹介する表示器が設置されているところもある。また、停留所付近にある建物や公園等の名称を表示するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−10383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバス案内表示では、乗客が降車後、どの方向に向かえば目的地に到達できるかの目安となる情報はなく、初めての停留所で降りる乗客が降車して目的地に向かうには、降車後、周辺の状況を把握し決める必要がある。さらに、降車する前に情報を得るには、降車前に乗務員等に確認する必要があり、停留所付近の地理的状況を把握するのが困難である。
【0005】
そこで、この発明は、バス車内に配設され、バスの停留所及び運賃情報を表示するとともに停留所の周辺情報を案内するバス案内表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のバス案内表示装置は、バス車内に配設されバスの停留所及び/又は運賃情報を表示する表示装置2を備えたものであって、バスが停留所又は停留所付近で停車した場合に、停車場所付近の周辺情報4のうち予め決められた特定の周辺情報が、バス車輌の停車場所に対してどの方向にあるかを表示する表示器3を具備することを特徴としている。
【0007】
また、表示器3は、バス車輌が向いている方向を表示器3画面の上方向に合わせ、停車場所付近の特定の周辺情報を、停車場所の歩道13又は道路12を示す表示情報に沿って表示することを特徴としている。
【0008】
さらに、停車場所付近の特定の周辺情報の方向を矢印15で表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明のバス案内表示装置においては、乗客が降車前又は降車時に、降車後どちらに向かえばよいか目安をつけることができ、サービス向上に繋がる。
【0010】
また、バス車輌が向いている方向を表示器画面の上方向に合わせて表示することにより、乗客は直感的に目的地の方向を捉えることができる。さらに、歩道又は道路(車道)を示す表示に沿って表示することによって、例えば手持ちの地図情報との照らし合わせが容易に行え、その結果、乗客から乗務員等への問合せが低減できスムーズな降車に繋がり時刻遅れ防止に役立つ。
【0011】
さらに、乗客から乗務員等への問合せに対し、表示器の表示を利用して説明ができ、乗客へのサービス向上に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に係るバス案内表示装置を示した図である。
【図2】同じくその構成を示したブロック図である。
【図3】同じくその停留所における表示器の表示を示した図である。
【図4】同じくその別の停留所における表示器の表示を示した図である。
【図5】同じくその異なる停留所における表示器の表示を示した図である。
【図6】同じくバス案内表示装置の表示器の動作フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係るバス案内表示装置1は、図1に示すように、バスの停留所及び運賃情報を表示する停留所及び運賃情報表示装置2に、周辺情報(周辺の概略地図情報)4・・を表示可能な表示器3が具備されることで構成され、乗客が座席又はその付近から目視できるように、例えばバス車内最前部の上部に取り付けられている。
【0014】
停留所及び運賃情報表示装置2は、例えばLEDを縦横方向に必要数配置して、必要に応じて点灯、消灯を行うことにより、停留所名や整理番号、運賃等の文字や数字を発光表示するように形成されている。なお、バスの停留所及び運賃情報の表示方法としては、LEDを発光させて表示する他にも、停留所名や整理番号、運賃等を印刷したプラスチック板等を所定箇所に配置して表示しても良く、その他にも公知の表示機能を備えた各種表示装置が使用可能である。
【0015】
表示器3は、例えば液晶ディスプレイからなり、各停留所付近の周辺情報4・・を必要に応じて表示可能になっている。なお、表示器3は、停留所付近の周辺情報4・・が各停留所毎に切替表示できるものであれば、液晶ディスプレイに限らずCRT等、種々のものが使用可能である。
【0016】
次に、この発明の一実施形態に係るバス案内表示装置1の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図2に示すバス案内表示装置1は、停留所及び運賃情報表示装置2、表示器3、制御部100、記録媒体110、系統番号設定スイッチ120、扉開閉スイッチ130及び停留所データ設定スイッチ140から構成されている。
【0017】
制御部100は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、予め設定された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。また、制御部100は、停留所及び運賃情報表示装置2、表示器3、記録媒体110、系統番号設定スイッチ120、扉開閉スイッチ130及び停留所データ設定スイッチ140と夫々接続されており、各スイッチ120、130、140における操作を処理し、停留所及び運賃情報表示装置2及び表示器3に各スイッチ120、130、140の操作を反映させ、停留所情報、運賃情報及び周辺情報4の表示等を行う。
【0018】
記録媒体110は、運賃情報、運行するバスの路線(系統)情報、路線に対応する停留所情報及び各停留所に対応した周辺情報4・・等を予め記録させておくものであり、制御部100と双方向に接続され、制御部100の処理に応じて必要な情報を制御部100に送信する。
【0019】
系統番号設定スイッチ120は、運行するバスの路線を設定するものであり、例えば0から9までの数字が羅列されたテンキーからなる。扉開閉スイッチ130は、バスの降車口に取り付けられた扉を開閉するためのものであり、例えば開閉を切替可能な切替スイッチからなる。停留所データ設定スイッチ140は、停留所データ(周辺情報4・・)を設定するものであり、バスの運行状況に合わせて、表示器3に表示される停留所データを更新及び変更するために用いられ、例えば停留所データを進めるか否かを操作するプッシュボタンからなる。なお、各スイッチ120、130、140の操作手段及び操作方法は、公知の操作機能を備えた各種操作装置が使用可能である。
【0020】
図3乃至図5は、表示器3に表示された停留所付近の周辺情報4である。周辺情報4は、バス車輌10(若しくは停留所)を基点として、降車方向を示す矢印11、車道12及び歩道13が表示されており、図3に示すように、停留所付近にランドマークとなる建物14が存在する場合には、建物及び建物名が表示されるようになっている。また、特定の周辺情報(例えば店舗、病院、観光地等)に向かうにあたって、停留所からどちらの方向に向かえばよいかを示す矢印15・・が、周辺情報4上に表示された車道12又は歩道13に沿って表示されるとともに、矢印15・・近傍に、矢印15・・の指し示す方向に位置する特定の周辺情報名が表示されている。さらに、周辺情報4は、バスの進行方向に合わせて予め回転した状態で記録媒体110に記録されており、バス車輌の向いている方向が常に上方になるように表示器3に表示される。なお、バス車輌の向きと周辺情報との方向を合わせる方法としては、予め回転した周辺情報4を表示させる他に、地磁気方位センサー等を用いてバス車輌の方位を測定し、周辺情報4をバス車輌の方位に合わせて回転表示させるようにしても良い。
【0021】
そのため、乗客は、特定の周辺情報に向かうには、どの歩道12や車道13に沿って行けば良いかを直感的に把握することができるとともに、表示器3に特定の周辺情報(目的地)が表示されなかったとしても、バスの現在地及び向いている方向と、例えば手持ちの地図情報とを容易に照らし合わせることができ、降車後、建物14や通りの名前を見回して周辺の状況を把握するといった作業が必要なくなる。
【0022】
次に、この発明のバス案内表示装置1の表示器3の動作フローを詳細に説明する。図6に示したように、まず、ステップS1において、バス案内表示装置1の表示器3の電源が投入され、ステップS2において、当該バスが運行しようとするバスの路線、すなわち系統番号が設定される。乗務員等が系統番号設定スイッチ120を操作し、系統番号が設定されるとステップS3に進み、系統番号の最初の停留所データが表示器3に接続された記録媒体の記録情報から検索され、ステップS4に進む。
【0023】
ステップS4は、バスの扉(降車口)の開閉に連動しており、乗務員等が扉開閉スイッチ130を操作することによって扉が開放された場合(バスが停留所で停車中)はステップS5に進み、表示器3に現在停車中の停留所名及び図3乃至図5に示したような停車中の停留所付近の周辺情報4が常時表示される。そのため、バスを降車する乗客は、表示器3に表示された周辺情報4を基に目的地へ向かうことができる。
【0024】
ステップS4において、扉が閉鎖された場合(バスが走行中)はステップS6に進み、表示器3に、次に停車する停留所名、今後の経由地名、図3乃至図5に示したような次の停留所付近の周辺情報4の他に、例えば企業や行政等のコマーシャルが順番に例えば30秒間隔で切替表示される。なお、切替時間は、バスの運行状況に応じて適宜変更可能である。
【0025】
ステップS5若しくはステップS6を通過後、ステップS7に進み、ステップS7において、停留所データを次の停留所データに進めるか否かを判断する。ステップS7の判断においては、例えば乗務員等が手動で制御部100に接続された停留所データ設定スイッチ140を操作する。停留所データを次の停留所データに進めた場合は、ステップS8に進み、次の停留所データが制御部100に接続された記録媒体110の記録情報から検索され、ステップS4に戻り、上記に示した行程を繰り返す。また、停留所データを進めない場合は、ステップS9に進み、系統番号を変更するか否かの判断を行い、系統番号を変更する場合はステップS2に戻り、上記に示した行程を繰り返し、系統を変更しない場合はステップS4に戻り、同じく上記に示した行程を繰り返す。なお、ステップS9の判断においても、例えば乗務員等が手動で制御部100に接続された系統番号設定スイッチ120を操作して選択する。
【0026】
すなわち、上記に説明した図6の動作フローに従い、路線バスを運行すれば、ステップS1→ステップS2→ステップS3から、ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS9→ステップS4の停車中ループと、ステップS4→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS4の走行中ループ(停留所を進める操作)とを扉の開閉に連動して交互に行うことになる。なお、次の停留所が終点の場合においてのみ、停車中
ループのステップS9において系統番号の変更を選択してステップS2に戻ることになる。
【0027】
以上説明した図6の表示器3の動作フローを実行することにより、バスが停留所に停車している際は、この停留所に対応した周辺情報4を表示器3に表示させ、また、バスが走行中の際は、次に停車する停留所に対応した周辺情報4を表示器3に表示させることができるため、乗客は、バスが停留所に停車している間や走行中に、停留所から、どちらの方向に向かえば目的地に到達できるかを事前に把握することができる。従って、乗客に対するサービス向上を図れるとともに、乗客から乗務員等への問合せが低減できスムーズな降車に繋がり時刻遅れ防止に役立つ。また、乗務員等が乗客に案内する際においても、その停留所に対応した周辺情報4が表示されているため、周辺情報4を基に円滑な案内を行うことができる。
【0028】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、表示器3に表示される周辺情報4は、バス車輌10(若しくは停留所)を基点として、歩道13や車道12、建物14等が表示されているが、周辺情報4を上下方向及び左右方向に移動可能として、バス車輌10を基点として表示した場合、表示器3の枠外に位置するような周辺情報4を表示できるようにしても良く、また、周辺情報4の縮尺を変更可能として、例えば幹線道路を主とした広域表示や支線道路を主とした詳細表示等に切替可能に構成しても良い。
【符号の説明】
【0029】
1・・バス案内表示装置、2・・停留所及び運賃情報表示装置、3・・表示器、4・・周辺情報、12・・車道、13・・歩道、15・・矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス車内に配設され、バスの停留所及び/又は運賃情報を表示する表示装置(2)を備えたバス案内表示装置(1)であって、バスが停留所又は停留所付近で停車した場合に、停車場所付近の周辺情報(4)のうち、予め決められた特定の周辺情報が、バス車輌の停車場所に対してどの方向にあるかを表示する表示器(3)を具備することを特徴とするバス案内表示装置。
【請求項2】
表示器(3)は、バス車輌が向いている方向を表示器(3)画面の上方に合わせ、停車場所付近の特定の周辺情報を、停車場所の歩道(13)又は道路(12)を示す表示情報に沿って表示することを特徴とする請求項1記載のバス案内表示装置。
【請求項3】
停車場所付近の特定の周辺情報の方向を矢印(15)で表示することを特徴とする請求項2記載のバス案内表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231501(P2010−231501A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78338(P2009−78338)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)
【Fターム(参考)】