説明

バス運行支援システム

【課題】車両間に生じた乗車率の格差を積極的に調整可能なバス運行支援システムを提供すること。
【解決手段】運行中のバスB01,B02は、それぞれ自車両の乗車人数と位置情報をセンターA01に送信する(1.乗車人数、位置情報送信)。センターA01は、それぞれのバスの走行経路と乗車人数(乗車率)、位置情報に基づいて同一経路上を先行するバスB01から後続のバスB02への乗り換え(乗車変更)が必要であるか否かを判断し(2.乗車変更判断)、乗車変更が必要であると判断した場合には先行するバスB01と後続のバスB02に通知する(3.乗車変更情報通知)。先行のバスB01は、乗客に対して乗車変更の案内と乗車変更した場合の特典の通知を行い、この通知を受けて降車した乗客に対して特典を仮設定する(4.特典仮設定)。特典は乗客が指定された後続のバスB02に乗車した場合に確定する(5.特典確定)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バスの運行を支援するバス運行支援システムに関し、特にバスの乗車率の適正化を支援するバス運行支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バスの運行では道路状況などにより運行時間が乱れることがあり、同一方向へのバスが時間的、距離的に近接して走行する場合が発生する。その際、先行するバスは満員で運行し、後続のバスは空いているという状況が発生しやすい。
【0003】
また、路線設定の関係から、例えばバスターミナルへ向かう途中では複数の路線が集まり、同一経路を走行するにもかかわらず前後のバスで乗車率が著しく異なる状況が発生しうる。
【0004】
しかし、同一の方向に向かう車両であれば、混雑状況は同程度となることが安全運行の面からも顧客の快適輸送の面からも望ましい。そこで、例えば特許文献1が開示する乗車状況案内管理システムは、車両の客数を計数して先の駅に伝達し、先の駅で車両ごとの客数状況や混雑度の案内を行なう技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平7−10004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、一旦発生した車両間の乗車率の差は変更することができないという問題があった。そこで、車両間の乗車率の調整を積極的に支援する技術の実現が重要な課題となっていた。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、車両間に生じた乗車率の格差を積極的に調整可能なバス運行支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得する情報取得手段と、前記乗車状況および位置情報に基づいて、先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断する乗車変更判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この請求項1の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、取得した乗車状況および位置情報に基づいて先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断する。
【0010】
また、請求項2の発明に係るバス運行支援システムは、請求項1に記載の発明において、前記乗車変更判断手段は、前記先行バスの乗車率が第1の閾値以上であり、前記後続バスの乗車率が第2の閾値以下である場合に前記乗客の乗り換えが必要であると判断することを特徴とする。
【0011】
この請求項2の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、先行バスの乗車率が乗車率が第1の閾値以上でかつ後続バスの乗車率が第2の閾値以下である場合に先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えが必要性であると判断する。
【0012】
また、請求項3の発明に係るバス運行支援システムは、請求項1または2に記載の発明において、前記先行バスから後続バスへ乗り換える乗客に対して、特典を付与する特典付与手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
この請求項3の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、取得した乗車状況および位置情報に基づいて先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断し、乗換えが必要である場合に乗り換える乗客に対して特典を付与する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、取得した乗車状況および位置情報に基づいて先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断するので、車両間に生じた乗車率の格差を積極的に調整可能なバス運行支援システムを提供することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項2の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、先行バスの乗車率が乗車率が第1の閾値以上でかつ後続バスの乗車率が第2の閾値以下である場合に先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えが必要性であると判断するので、混雑した先行バスから空いている後続バスへの乗換えを支援するバス運行支援システムを提供することができるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項3の発明によればバス運行支援システムは、同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得し、取得した乗車状況および位置情報に基づいて先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断し、乗換えが必要である場合に乗り換える乗客に対して特典を付与するので、特典によって乗客による積極的な乗換えを促して効果的に乗車率の格差を調整するバス運行支援システムを得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るバス運行支援システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
まず、本発明の概念について図1を参照して説明する。同図に示すように、運行中のバスB01,B02は、それぞれ自車両の乗車人数と位置情報をセンターA01に送信する(1.乗車人数、位置情報送信)。センターA01は、それぞれのバスの走行経路と乗車人数(乗車率)、位置情報に基づいて同一経路上を先行するバスB01から後続のバスB02への乗り換え(乗車変更)が必要であるか否かを判断し(2.乗車変更判断)、乗車変更が必要であると判断した場合には先行するバスB01と後続のバスB02に通知する(3.乗車変更情報通知)。
【0019】
乗車変更情報通知を受けた先行のバスB01は、乗客に対して乗車変更の案内と、乗車変更した場合の特典、例えば割引ポイントなどを通知し、この通知を受けて降車した乗客に対して特典(インセンティブ)の仮設定を行なう(4.特典仮設定)。
【0020】
また、乗車変更情報通知を受けた後続のバスB02は、乗車する乗客が提示する特典の仮設定の内容を読み取り、仮設定が先行のバスB01によって行なわれている場合に特典を確定する(5.特典確定)。
【0021】
このように、車両間の乗車人数(乗車率)の差に基づいて乗車変更の必要性を判断し、乗客に対して特典を提示することで乗客によるバスの乗り換えを促し、乗車率の格差を調整することができる。
【0022】
また、乗り換えの対象となるバスを予め指定し、指定した後続バスに乗車した時点で乗客に対する特典を確定することで、乗り換えた乗客に対しては不要な運賃を発生させること無く確実に特典を提供すると共に、乗客が乗り換えと称して目的の停留所で降車することによる特典の不正な獲得を防止することができる。
【0023】
このバス運行支援システムの概要構成を図2に示す。同図に示すように、バスB01,B02に搭載されるバス内料金処理装置10は、バス内表示板11、通信装置13およびバス位置取得装置14と接続する。
【0024】
バス内表示板11は、乗客から視認可能に設置された出力手段であり、停留所案内などと共用することができる。また、図示しないスピーカなどと接続し、音声出力を行なうように構成することもできる。
【0025】
通信装置13は、車両外部のセンター装置と通信する通信手段であり、受信機能30および送信機能31を備える。また、バス位置取得装置14は、GPS(Global Positioning System)装置15などが取得した自車両の位置情報をバス内料金処理装置10に提供する処理を行なう。なお、ここではバス位置取得装置14がGPS装置15から位置情報を取得する場合を例に説明を行なうが、例えば各バス停に設けたDSRC通信装置などとの通信によって自車両の位置を特定するなど、任意の手法で位置情報を取得してもよい。
【0026】
バス内料金処理装置10は、その内部に表示データ作成機能21、料金カード読取機能22、料金カード書込機能23、カード情報処理機能24、料金処理機能25、乗車人数計測機能26、割引処理機能27、および割引情報28を有する。
【0027】
表示データ作成機能21は、バス内表示板11に表示する内容を作成する機能部である。料金カード読取機能22は、乗客が所持するバス料金カード12と通信し、バス料金カード12内部のバス料金カード情報29を読み出す処理を行なう。同様に、料金カード書込機能23は、乗客が所持するバス料金カード12と通信し、バス料金カード12内部のバス料金カード情報29の書き込み処理を行なう。
【0028】
料金処理機能25は、ユーザが所持するバス料金カード12の残高変更による料金決済や、現金による料金決済によって運賃の決済処理を行なう機能部である。
【0029】
乗車人数計測機能26は、バス内の乗客数を計測する機能部である。乗客数は具体的には、例えばバスの運転者が入力してもよいし、整理券の発効状況、運賃の回収状況、乗車口、降車口の開閉時間、バス内のセンサーなどによって取得する構成であってもよい。
【0030】
割引処理機能27は、乗り換え先の後続バスの指定、乗り換えによる特典の仮設定や確定、また特典を利用した運賃の減額などの処理を行なう機能である。特典の具体的な内容や乗り換え先の後続バスは割引情報28として記憶され、乗り換えに応じた乗客のバス料金カード12に書き込まれる。
【0031】
カード情報処理機能24はバス内料金処理装置10の全体制御を行なう機能部であり、状況に応じて適切な機能部に処理を実行させることで、運賃の決済の他、バス位置取得装置14が取得した位置情報や乗車人数計測機能26が計測した乗車人数のセンター装置40への送信、センター装置から受信した乗車変更情報に基づく特典(割引)の仮設定や確定などを行なう。
【0032】
センター装置40は、通信装置41を介してバス内料金処理装置10と無線接続する。通信装置41は、通信装置13と同様にその内部に受信機能42および送信機能43を有している。
【0033】
また、センター装置40は、その内部に主制御部50、乗車変更データベース54、バス乗車率データベース55、バス位置情報データベース56、路線位置情報データベース57および割引ポイントマスタ58を有する。
【0034】
主制御部50は、センター装置40を全体制御する制御部であり、その内部にバス位置情報取得処理部51、乗車変更判断部52および割引ポイント算出処理部53を有する。
【0035】
バス位置情報取得処理部51は、バス内料金処理装置10から取得したバス位置情報をバス位置情報データベース56に登録し、同様にバス内料金処理装置10から取得した乗車人数をバス乗車率データベース55に登録する処理を行なう。
【0036】
乗車変更判断部52は、バス乗車率データベース55、バス位置情報データベース56および路線位置情報データベース57を参照し、乗車変更の必要があるか否かを判断する処理部である。そして、乗車変更の必要があると判断した場合、乗車変更に関する情報を乗車変更データベース54に登録する。
【0037】
割引ポイント算出処理部53は、乗車変更が必要である場合に、その乗車変更の情報に基づいて割引ポイントマスタ58を参照し、乗車変更に対して付与する特典である割引ポイントの内容を設定する。
【0038】
乗車変更データベース54の内容と設定された割引ポイントは、乗車変更を行なうバス、すなわち乗車変更を乗客に求める先行バスと、乗車変更に応じた乗客を受け入れる後続バスに通知される。
【0039】
バス乗車率データベース55の具体例を図3に示す。同図に示すように、バス乗車率データベース55は、バスを識別するバスIDに対応付けて乗車人数を記憶し、この乗車人数とバスIDから特定される定員数から乗車率を算出している。
【0040】
また、バス位置情報データベース56は、図4に示すように、バスの走行経路を特定する路線IDと、バスを特定するバスID、バスの位置情報を特定する緯度経度、渋滞の有無を関連付けて記録している。なお、路線IDはバスから通信によって受信してもよいし、バスIDから特定してもよい。また、位置情報は緯度経度に限らず任意の情報でよい。さらに、渋滞情報についてもバスから通信によって受信してもよいし、センター側で位置情報に基づいて判断してもよい。
【0041】
路線位置情報データベース57は、図5に示すようにバスの路線について停留所などの特定地点の位置情報と、特定地点間の走行に要する所要時間を記憶する固定のデータベースである。この路線位置情報データベース57における所要時間は、渋滞などの影響を考慮しない通常運行時の所要時間である。
【0042】
乗車変更データベース54は、図6に示すように、乗車変更が必要な先行バスと乗車変更を受け入れる後続バスのバスIDとその運行時間の差を記憶している。割引ポイントマスタ58は、図7に示すように、先行バスと後続バスとの時間差に基づいて異なる割引ポイントを設定しており、具体的には時間差が大きいほど付与する特典が大きくなるように設定する。
【0043】
かかる乗車変更に関する情報や割引ポイントを記憶することで、バス料金カード情報は図8に示すように推移する。すなわち、先行バスに乗車した状態では、バス乗車カードを特定するカードIDと、残高、乗車した停留所が書き込まれている。
【0044】
そして、乗車変更の案内を受けて先行バスを降りた状態では、降車停留所が書き込まれると共に、一旦料金の精算を行なって残高が更新されている。さらに、仮発行された割引ポイントと、乗車変更すべき後続バスのIDが書き込まれる。
【0045】
その後、指定された後続バスに乗車すると、残高が先行車両乗車時と同じ値に戻され、割引ポイントが確定される。さらに目的地で割引ポイントを使用して降車すると、割引ポイントに対応する割引が行なわれた金額で運賃が決済されて残高が更新されるとともに、割引ポイントがクリアされる。
【0046】
つぎに、バス運行支援システムの処理動作について説明する。図9は、センター装置40内部のバス位置情報取得処理部51がバス内料金処理装置10から情報を受信した場合に開始する処理を説明するフローチャートである。
【0047】
同図に示すように、まず、バス位置情報取得処理部51はバス設置端末であるバス内料金処理装置10からバスIDと乗車人数を受信し(ステップS101)、バスの定員を乗車率データベース55から取得する(ステップS102)。そして、バス定員と乗車人数から乗車率を計算してバス乗車率データベース55に保存し(ステップS103)、処理を終了する。
【0048】
つぎに、乗車変更判断部52の処理動作を図10のフローチャートを参照して説明する。この処理は、乗車変更判断部52が任意のタイミングで繰り返し、もしくはバス乗車率データベース55に変更があった場合に開始する。
【0049】
同図に示すように、乗車変更判断部52は、まずバス乗車率データベース55を検索して乗車率が100以上のバスIDを取得する(ステップS201)。その結果、乗車率が100以上のバスが存在しなければ(ステップS202,No)そのまま処理を終了する。
【0050】
一方、乗車率が100以上のバスIDが存在する場合(ステップS202,Yes)、そのバスを先行バスとし、バス位置情報データベース56を先行バスIDで検索して同じ路線で後続のバスIDを取得する(ステップS203)。
【0051】
そして、後続バスIDでバス乗車率データベース55を検索して乗車率が80以下のバスIDを抽出(ステップS204)し、乗車率が80以下のバスIDが存在しなければ(ステップS205,No)、そのまま処理を終了する。
【0052】
一方、乗車率80以下のバスIDが存在する場合(ステップS205,Yes)、先行バスと抽出した後続バスの現在位置をバス位置情報データベース56から取得し(ステップS206)、路線位置情報データベース57を検索して、それぞれのバスの近傍地点を特定する(ステップS207)。
【0053】
そして、特定された位置から先行バスと後続バスの所要時間を計算し、時間差とする(ステップS208)。ここで、後続バスに渋滞情報がある(ステップS209,Yes)、渋滞による所要時間の増加を加味し、例えば時間差を2倍にして保存する(ステップS210)。
【0054】
乗車変更判断部52は、このようにして得られた先行バスおよび後続バスのバスIDと時間差を乗車変更データベース54に保存し(ステップS211)、処理を終了する。
【0055】
つぎに、割引ポイント算出処理部53の処理動作を図11のフローチャートを参照して説明する。この処理は、割引ポイント算出処理部53が任意のタイミングで繰り返し、もしくは乗車変更データベース54に変更があった場合に開始する。
【0056】
同図に示すように、割引ポイント算出処理部53は、まず乗車変更データベース54から所要時間の時間差を取得し、割引ポイントマスタ58を参照して割引ポイントを設定する(ステップS301)。つぎに、割引対象となる先行バスと後続バスに対して乗車変更データベース54の内容と割引ポイントを送信し(ステップS302)、処理を終了する。
【0057】
つづいて、車両側システムでの処理動作について説明する。図12は、バス内料金処理装置10による乗車変更案内処理の処理内容を説明するフローチャートである。同図に示すように、バス内料金処理装置10は、センター装置40から乗車変更情報(先行バスID,後続バスID,割引ポイント)を受信し(ステップS401)、自車両のバスIDが先行バスIDと一致したならば(ステップS402,Yes)、バス内表示板11に割引情報を表示する(ステップS403)。この表示内容は、例えば「7分後のバスは比較的空いております。お乗り換えいただければ100円相当の割引ポイントを差し上げます。」等、任意の内容を用いることができる。
【0058】
さらに、バス内料金処理装置10は、割引情報28に後続のバスIDと割引ポイント情報をセットし(ステップS404)、処理を終了する。
【0059】
つぎに、バス内料金処理装置10による降車時の処理動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。同図に示すように、乗客が降車する場合、バス内料金処理装置10は、まずその乗客のバス料金カード12からバス料金カード情報29を読み込む(ステップS501)。
【0060】
そして、自車両の割引情報28に割引情報がセットされているならば(ステップS502,Yes)、カード内に仮発行の割引ポイントと後続バスIDを書き込む(ステップS503)。
【0061】
仮発行の割引ポイントと後続バスIDの書き込み終了後、もしくは割引ポイント情報がセットされていない場合(ステップS502,No)、つぎにバス内料金処理装置10は乗客が過去に確定された割引ポイントの使用を希望するならば(ステップS504)、割引ポイントから割引金額を計算して料金を割り引き、割引ポイントを減算する(ステップS505)。
【0062】
そして、割引ポイントを使用した場合は割り引いた料金で、使用しない場合は通常の料金で決済を行なってカードの残高を更新し(ステップS506)、降車停留所を書き込んで(ステップS507)、処理を終了する。
【0063】
つぎに、バス内料金処理装置10による乗車時の処理動作について、図14のフローチャートを参照して説明する。同図に示すように、乗客が乗車する場合、バス内料金処理装置10は、まずその乗客のバス料金カード12からバス料金カード情報29を読み込み(ステップS601)、乗車停留所を書き込む(ステップS602)。
【0064】
つぎに、読み込んだバス料金カード情報29に仮発行の割引ポイントが書き込まれていれば(ステップS603,Yes)、バス内料金処理装置10は、自車両のバスIDとバス料金カード情報29に記載の後続バスIDおよびセンター装置40から受信した後続バスIDが一致するか否かを判定する(ステップS604)。
【0065】
その結果、一致するならば(ステップS604,Yes)、仮発行の割引ポイントの値を割引ポイントに加算し、仮発行の割引ポイントをクリアして(ステップS606)、処理を終了する。また、一致しなければ(ステップS604,No)、仮発行の割引ポイントをクリアして(ステップS605)、処理を終了する。
【0066】
以上説明してきたように本実施例にかかるバス運行支援システムでは、運行中のバスから乗車人数と位置情報を取得し、それぞれのバスの走行経路と乗車人数(乗車率)、位置情報に基づいて同一経路上を先行するバスから後続のバスへの乗り換え(乗車変更)の必要性を判断し、乗車変更が必要である場合には先行バスの乗客に対して乗車変更を案内することともに乗車変更した場合の特典を設定することで、乗客によるバスの乗り換えを促し、乗車率の格差を調整することができる。
【0067】
なお、本実施例はあくまで一例であり、本発明は適宜構成を変更して実施することが可能である。例えば、本発明ではセンター装置40において乗車変更の必要性の判断を行なう構成を例に説明を行なったが、各車両が他の車両の情報を収集し、車両内で乗車変更の必要性を判断する構成としても良い。この場合、センター装置によって情報の中継を行なう構成であってもよいし、センター装置を省略し、車両のみで本発明を実施する構成であってもよい。
【0068】
また、本実施例では乗換えによる乗車であるか否かを確認するために後続バスIDを指定し、後続バスに対しても乗り換えに関する情報を提供しているが、例えば後続車両が自車両のバスIDとバス料金カードに記載された後続バスIDとを比較するのみであれば、センター装置から後続バスへの乗り換え情報の提供を省略することもできる。
【0069】
また、乗り換えによる乗車であるか否かの確認用に先行車両のバスIDを用いてもよいし、バスID以外にも時刻情報を用いて所定時間以内の乗車であれば乗換えによる乗車であると判断する、経路や路線によって乗換えであるか否かを判断する、など、任意の手法を用いて乗換え乗車の確認を行なうことができる。
【0070】
(付記1)同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得する情報取得手段と、
前記乗車状況および位置情報に基づいて、先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断する乗車変更判断手段と、
を備えたことを特徴とするバス運行支援システム。
【0071】
(付記2)前記乗車変更判断手段は、前記先行バスの乗車率が第1の閾値以上であり、前記後続バスの乗車率が第2の閾値以下である場合に前記乗客の乗り換えが必要であると判断することを特徴とする付記1に記載のバス運行支援システム。
【0072】
(付記3)前記先行バスから後続バスへ乗り換える乗客に対して、特典を付与する特典付与手段をさらに備えたことを特徴とする付記1または2に記載のバス運行支援システム。
【0073】
(付記4)前記乗り換える乗客に対して付与する特典の内容は、前記先行バスと前記後続バスとの時間差に基づいて異なることを特徴とする付記1,2または3に記載のバス運行支援システム。
【0074】
(付記5)前記特典設定手段は、前記先行バスの降車時に前記特典を仮設定し、前記後続バスへの乗車時に当該仮設定した特典の確定を行なうことを特徴とする付記4に記載のバス運行支援システム。
【0075】
(付記6)同一経路を走行する後続バスが存在し、自車両および後続バスが所定の条件を満たしている場合に、乗客に対して前記後続バスへの乗換えを案内する案内手段と、
前記案内に対応して自車両を降車する乗客に対して、特典の仮設定を行なう特典設定手段と、
を備えたことを特徴とするバス料金管理システム。
【0076】
(付記7)同一経路を走行する先行バスが存在し、自車両および先行バスが所定の条件を満たしている場合に、乗客が提示する特典の仮設定の内容を読み取る情報読取手段と、
前記特典の仮設定が前記先行バスによって行なわれている場合に前記特典を確定する特典設定手段と、
を備えたことを特徴とするバス料金管理システム。
【0077】
(付記8)同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得する情報取得工程と、
前記乗車状況および位置情報に基づいて、先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断する乗車変更判断工程と、
を含んだことを特徴とするバス運行支援方法。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかるバス運行支援システムは、バスの運行支援に有用であり、特に乗車率の適正化に適している。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の概念を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施例であるバス料金管理システムの概要構成を示す概要構成図である。
【図3】図2に示したバス乗車率データベースについて説明する説明図である。
【図4】図2に示したバス位置情報データベースについて説明する説明図である。
【図5】図2に示した路線位置情報データベースについて説明する説明図である。
【図6】図2に示した乗車変更データベースについて説明する説明図である。
【図7】図2に示した割引ポイントマスタについて説明する説明図である。
【図8】図2に示したバス料金カードについて説明する説明図である。
【図9】図2に示したバス位置情報取得処理部51の処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】図2に示した乗車変更判断部52の処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】図2に示した割引ポイント算出処理部53の処理動作を説明するフローチャートである。
【図12】車両における乗車変更案内処理について説明するフローチャートである。
【図13】車両における乗客降車時の処理について説明するフローチャートである。
【図14】車両における乗客乗車時の処理について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
10 バス内料金処理装置
11 バス内表示板
12 バス料金カード
13,41 通信装置
14 バス位置取得装置
15 GPS装置
21 表示データ作成機能
22 料金カード読取機能
23 料金カード書込機能
24 カード情報処理機能
25 料金処理機能
26 乗車人数計測機能
27 割引処理機能
28 割引情報
29 バス料金カード情報
30,42 受信機能
31,43 送信機能
40 センター装置
50 主制御部
51 バス位置情報取得処理部
52 乗車変更判断部
53 割引ポイント算出機能
54 乗車変更データベース
55 バス乗車率データベース
56 バス位置情報データベース
57 路線位置情報データベース
58 割引ポイントマスタ
A01 センター
B01,B02 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一経路を走行する2以上のバスの乗車状況および位置情報を取得する情報取得手段と、
前記乗車状況および位置情報に基づいて、先行バスから後続バスへの乗客の乗り換えの必要性を判断する乗車変更判断手段と、
を備えたことを特徴とするバス運行支援システム。
【請求項2】
前記乗車変更判断手段は、前記先行バスの乗車率が第1の閾値以上であり、前記後続バスの乗車率が第2の閾値以下である場合に前記乗客の乗り換えが必要であると判断することを特徴とする請求項1に記載のバス運行支援システム。
【請求項3】
前記先行バスから後続バスへ乗り換える乗客に対して、特典を付与する特典付与手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のバス運行支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−265191(P2007−265191A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91453(P2006−91453)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】