説明

バックアップシステム、バックアップ方法、バックアッププログラムおよびプログラム記録媒体

【課題】実装効率の改善、低コスト化が可能なバックアップシステムを提供する。
【解決手段】共有データ蓄積装置10は、N台の現用系の個別処理装置(1)1,(2)2,…(N)3それぞれの起動パラメータ情報と最新の状態とを蓄積し、現用系の個別処理装置のいずれか例えば個別処理装置(1)1が異常になった場合、異常状態の個別処理装置(1)1の起動パラメータ情報と最新の状態とを、予備装置11に転送して起動する。現用系のN台の個別処理装置それぞれは、個別処理の実行により最新の状態が更新される都度、共有データ蓄積装置10に最新の状態を転送する。共有データ蓄積装置10は、現用系のN台の個別処理装置それぞれの生存の有無を示す応答の返送を要求するポーリングデータをあらかじめ定めた周期ごとに定期的に送信し、それぞれからの応答を確認することにより、現用系のN台の個別処理装置それぞれの異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップシステム、バックアップ方法、バックアッププログラムおよびプログラム記録媒体に関し、特に、24時間連続稼動時において高い信頼性が要求される監視制御装置などの用途に好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
二重化により冗長化されたシステム構成の場合、通常、N台ずつのそれぞれの個別処理装置が、二重化され、一方が運用系、他方が待機系として動作し、それぞれの個別処理装置ごとにお互いを監視している。しかし、複数の個別処理装置が同時に故障することは稀である。複数の個別処理装置に対して、代わりになる1台の予備装置つまりN台に対して1台の予備装置からなる(N+1)冗長構成であれば、一般的には、十分な冗長化を保つことが可能である。
【0003】
さらに、二重化により冗長化されたシステムを構築する場合、特許文献1に示す特開2005−250921号公報「バックアップシステムおよび方法」や特許文献2に示す特開2002−207642号公報「データバックアップシステム、データバックアップ方法およびコンピュータシステム」にも記載のように、二重化された個別処理装置間の両者の照合動作や同期取りなど非常に複雑なハードウェアおよびソフトウェアの構成が必要とされる。さらには、二重化された装置の冗長化により、対向装置の冗長化対応も必要になり、システムをさらに複雑化させている。
【特許文献1】特開2005−250921号公報(第7−8頁)
【特許文献2】特開2002−207642号公報(第3−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二重化により冗長化されたシステム構成の場合、前述のように、各個別処理装置を運用系、待機系と2式用意する必要があり、実装効率が良くなく、その上、価格も高価なものになってしまう。さらに、個別処理装置ごとに二重化の連携を取ることが必要であり、開発の負担も大きくなるという問題点もある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、独立して処理を行う個別処理装置の状態を監視し、個別処理装置の異常を検出した場合には、直ちに、その個別処理装置の代替装置として起動するバックアップ装置を提供することを目的としている。つまり、それぞれが独立した個別処理装置すべてに対する代替として起動可能な予備装置を備え、かつ、個別処理装置ごとの状態を一括管理して、該予備装置に引き継ぐことを可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明によるバックアップシステム、バックアップ方法、バックアッププログラムおよびプログラム記録媒体は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0007】
(1)それぞれで個別の処理を行う1ないし複数台の個別処理装置からなるシステムをバックアップするバックアップシステムにおいて、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの起動用の起動パラメータ情報と最新の状態とを少なくとも蓄積する共有データ蓄積装置と、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの代替動作を行うことが可能な予備装置と、を備え、1ないし複数台の前記個別処理装置のいずれかが異常になった場合、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とのうち、異常になった前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とが、前記予備装置に転送されることにより、前記予備装置が起動されるバックアップシステム。
(2)1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれは、個別処理の実行により最新の状態が更新される都度、更新された最新の状態を前記共有データ蓄積装置に対して転送する上記(1)のバックアップシステム。
(3)前記共有データ蓄積装置は、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの生存の有無を示す応答の返送を要求するポーリングデータをあらかじめ定めた周期ごとに定期的に前記個別処理装置それぞれに対して送信し、前記個別処理装置それぞれからの応答を確認することにより、前記個別処理装置それぞれの異常を検出する上記(1)または(2)のバックアップシステム。
(4)前記共有データ蓄積装置は、前記個別処理装置のいずれかの異常を検出した際に、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態のうち、異常を検出した前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とを、前記予備装置に転送して起動する上記(3)のバックアップシステム。
(5)前記共有データ蓄積装置は、1台または2台備えられている上記(1)ないし(4)のいずれかのバックアップシステム。
(6)前記共有データ蓄積装置が2台備えられている場合、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とを、2台の前記共有データ蓄積装置の両者の間で互いに同期化させた状態で蓄積する上記(5)のバックアップシステム。
(7)前記予備装置は、1ないし複数台備えられている上記(1)ないし(6)のいずれかのバックアップシステム。
(8)それぞれで個別の処理を行う1ないし複数台の個別処理装置からなるシステムをバックアップするバックアップ方法において、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの起動用の起動パラメータ情報と最新の状態とを少なくとも蓄積する共有データ蓄積装置と、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの代替動作を行うことが可能な予備装置と、を備え、1ないし複数台の前記個別処理装置のいずれかが異常になった場合、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とのうち、異常になった前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とが、前記予備装置に転送されることにより、前記予備装置が起動されるバックアップ方法。
(9)上記(8)のバックアップ方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施するバックアッププログラム。
(10)上記(9)のバップアッププログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバックアップシステム、バックアップ方法、バックアッププログラムおよびプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0009】
第1に、現用系の1ないし複数台(N台)の個別処理装置それぞれを二重化することなく、1台または数台(n台:n<N)の予備装置で複数の個別処理装置を代替する(N+1)冗長構成または(N+n)冗長構成とすることを可能としている。この結果、実装効率の改善、低コスト化を図った信頼性対策を提供することができる。
【0010】
第2に、共有データ蓄積装置によって現用系の各個別処理装置それぞれの状態の一元管理を行うことにより、メンテナンス性の向上を実現可能としている。共有データ蓄積装置による状態の一元管理により、各個別処理装置それぞれの復元時における情報展開(共有データ蓄積装置からの復元データの供給)についても容易に可能となる。
【0011】
第3に、共有データ蓄積装置による現用系の各個別処理装置それぞれの状態の一元管理を行うことにより、予備装置が代替起動する場合の装置状態の引継ぎを容易とし、処理の中断点から引き継ぐことも可能である。
【0012】
第4に、共有データ蓄積装置における現用系の各個別処理装置それぞれに対するポーリング診断による現用系の個別処理装置の早期の異常発見と、最新の状態の予備装置への引継ぎ動作とにより、現用系の個別処理装置の異常時の処理停止時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明によるバックアップシステム、バックアップ方法、バックアッププログラムおよびプログラム記録媒体の好適な実施例について添付図を参照して説明する。なお、以下には、バックアップシステムの構成および動作を中心にして説明するが、かかる動作の記述から、本発明のバックアップ方法を容易に想到することができるので、バックアップ方法に関する重複する説明は省略する。また、本発明のバックアップ方法をコンピュータにより実行可能なバックアッププログラムとして実現しても良いし、さらには、該バックアッププログラムをコンピュータにより読み取り可能なプログラム記録媒体として実現しても良い。
【0014】
(本発明の特徴)
本発明の実施例の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要を説明する。本発明は、共有データ蓄積装置を備え、独立に処理を行う個別処理装置の状態を監視し、個別処理装置の異常を検出した場合には、直ちに、その個別処理装置の代替となる予備装置を起動することを可能とする点にその特徴がある。つまり、それぞれが独立した個別処理装置の動作を監視し、最新の状態を逐次蓄積して一括管理する共有データ蓄積装置を備えるとともに、独立に動作する個別処理装置すべての代替として起動可能な予備装置を備え、共有データ蓄積装置が個別処理装置の異常を検出した際に、異常を検出した該個別処理装置の起動パラメータと最新の状態とを予備装置に引き継ぐことを可能としている。
【0015】
(第1の実施例)
(実施例の構成)
次に、本発明の第1の実施例の構成について図1〜図3を参照して詳細に説明する。図1は、本発明によるバックアップシステムの一構成例を示すシステム構成図である。図2は、本発明によるバックアップシステムを構成する個別処理装置の一例を示すブロック構成図であり、図3は、本発明によるバックアップシステムを構成する共有データ蓄積装置の一例を示すブロック構成図である。
【0016】
図1のバックアップシステムに示すように、本発明の第1の実施例においては、通信用バス4にて相互に接続される複数の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、共有データ蓄積装置10、予備装置11を少なくとも含んで構成され、現用系N台(N≧1)に対して予備系1台とする(N+1)冗長構成を採用している。
【0017】
図2の個別処理装置100に示すように、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、予備装置11のそれぞれは、いずれも同様のブロック構成からなっている。つまり、図2の個別処理装置100に示すように、いずれも、起動パラメータ蓄積部110、個別処理装置状態蓄積部111、および、個別処理部112を少なくとも含んで構成される。
【0018】
また、図1の共有データ蓄積装置10のブロック構成は、図3の共有データ蓄積装置200に示すような構成からなっている。つまり、図3の共有データ蓄積装置200は、図1の現用系の各個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3それぞれの起動用のパラメータや最新の状態を蓄積するためのデータ蓄積部を備えており、各個別処理装置に対応して、個別処理装置(1)用データ蓄積部211、個別処理装置(2)用データ蓄積部212、…、個別処理装置(N)用データ蓄積部213を少なくとも有して構成される。
【0019】
個別処理装置(1,2,…,N)用データ蓄積部211,212,…,212のそれぞれは、同一のブロック構造から構成されており、個別処理装置状態格納部220、起動パラメータ蓄積部221、個別処理装置状態蓄積部222を含んで構成される。
【0020】
(実施例の動作の説明)
まず、図2を参照して、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、および、予備装置11それぞれを構成する個別処理装置100の動作について説明する。
【0021】
起動パラメータ蓄積部110は、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、および、予備装置11それぞれが独立した個別処理装置として動作するために必要なパラメータ情報が蓄積されている。また、個別処理部112は、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、および、予備装置11のそれぞれで、起動パラメータ蓄積部110に蓄積された起動用のパラメータに基づいて、起動され、個別処理装置状態蓄積部111に蓄積された最新の状態を参照しながら、個別処理装置としての独自の処理(つまり固有処理)を行う。
【0022】
したがって、個別処理装置100は、起動パラメータ蓄積部110に蓄積された個別処理装置独自の起動用のパラメータ情報と、個別処理装置状態蓄積部111に蓄積された最新の状態と、個別処理部112の個別処理装置独自の固有処理とにより、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3、および、予備装置11のそれぞれは、独立した個別処理装置として動作する。
【0023】
ここで、図2の個別処理装置状態蓄積部111には、起動パラメータ蓄積部110に蓄積された独自のパラメータ情報と個別処理部112の固有処理とにより、それぞれが独立した個別処理装置として動作している間(つまりオンライン動作中)に、更新された状態および情報が順次蓄積される。
【0024】
次に、図3を参照して、共有データ蓄積装置200の動作について説明する。個別処理装置状態格納部220には、現用系の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれについて、該当する個別処理装置の生存情報(つまり、現用系としてオンライン動作中か否かを示す情報)が格納される。起動パラメータ蓄積部221には、該当する個別処理装置が独立した個別処理装置として起動されるために必要なパラメータ情報が蓄積されており、個別処理装置それぞれが独立に起動される際に、あるいは、個別処理装置それぞれが復元される際に、該当する個別処理装置の起動パラメータ蓄積部221から図2に示す起動パラメータ蓄積部110に転送されて、起動時や復元時に参照される。
【0025】
また、個別処理装置状態蓄積部222には、該当する個別処理装置が独立した個別処理装置として動作している間(オンライン動作中)に更新された状態および情報が逐次蓄積される。すなわち、オンライン動作中の個別処理装置の図2に示す個別処理装置状態蓄積部112から逐次転送されて設定されており、個別処理装置の代替として予備装置11が起動される際に、該当する個別処理装置の個別処理装置状態蓄積部222から予備装置11の図2に示す個別処理装置状態蓄積部112に転送されて、参照されたり、あるいは、個別処理装置が復元される際に、該当する個別処理装置の個別処理装置状態蓄積部222から復元される個別処理装置の図2に示す個別処理装置状態蓄積部112に転送されて、参照されたりする。
【0026】
以上のように、図3の共有データ蓄積装置200は、図1の現用系の各個別処理装置(1)1,(2)2,(N)3用それぞれに対応して、データ蓄積部210,211,212を備えており、図1の個別処理装置(1)1,(2)2,(N)3それぞれについて、生存中か否かを識別する情報、起動用のパラメータ情報および最新の状態を一括管理している。
【0027】
次に、図4を参照して、共有データ蓄積装置10の個別処理装置状態蓄積部222に対するオンラインデータの更新イメージの一例について説明する。図4は、本発明によるバックアップシステムにおける現用系の各個別処理装置のオンラインデータの更新イメージの一例を説明するための説明図である。
【0028】
個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3は、システム稼働中に更新された状態および情報を、図2の個別処理装置状態蓄積部111から共有データ蓄積装置10(図3の共有データ蓄積装置200の個別処理装置状態蓄積部222)に、図4のデータの流れ300に示すように、更新が発生する都度逐次転送する。すなわち、個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれのシステム稼働中に更新された状態および情報は、図2の各個別処理装置100の個別処理装置状態蓄積部111および図3の共有データ蓄積装置200の個別処理装置状態蓄積部222に、更新の都度、逐次蓄積される。これにより、図1の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれと共有データ蓄積装置10との両者の情報の同期化が図られる。
【0029】
かくのごとく、図1の共有データ蓄積装置10(つまり図3の共有データ蓄積装置200)にて、個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれの最新の状態を一元管理することにより、メンテナンス性の向上を実現することができる。
【0030】
次に、図5を参照して、共有データ蓄積装置200による各個別処理装置100の診断動作の一例について説明する。図5は、本発明によるバックアップシステムにおける現用系の各個別処理装置の診断を共有データ蓄積装置10によって行う動作の一例を説明するための説明図である。
【0031】
図5に示すように、共有データ蓄積装置10は、生存の有無を示す応答の返送を要求するポーリングデータ310をあらかじめ定めた一定周期ごとに送信して、現用系の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれからの応答を返送させることにより、現用系の個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3それぞれの生存確認を行い、各個別処理装置の異常診断を実施する。共有データ蓄積装置10からの定期的なポーリングデータ310による異常診断により、個別処理装置(1)1、個別処理装置(2)2、…、個別処理装置(N)3の異常つまり生存の有無の早期発見が可能となる。
【0032】
次に、図6を参照して、予備装置11の代替起動動作の一例について説明する。図6は、本発明によるバックアップシステムにおける予備装置11を用いた現用系の各個別処理装置の代替起動を共有データ蓄積装置10によって行う動作の一例を説明するための説明図である。
【0033】
図5に示す共有データ蓄積装置10による各個別処理装置の診断動作によって、共有データ蓄積装置10にて、例えば、個別処理装置(2)2の異常を検出した場合、共有データ蓄積装置10は、予備装置11を個別処理装置(2)2として代替起動させるために、必要な転送情報320を、共有データ蓄積装置10(図3の個別処理装置(2)用データ蓄積部212)から予備装置11に転送する。
【0034】
予備装置11は、共有データ蓄積装置10からの転送情報320に基づいて、共有データ蓄積装置10の図3の個別処理装置(2)用データ蓄積部212の起動パラメータ蓄積部221の情報を予備装置11の図2の起動パラメータ蓄積部110に設定し、共有データ蓄積装置10の図3の個別処理装置(2)用データ蓄積部212の個別処理装置状態蓄積部222の情報を予備装置11の図2の個別処理装置状態蓄積部111に設定することによって、個別処理装置(2)2として直ちに代替起動する。なお、図3の個別処理装置(2)用データ蓄積情報212は、図4において説明したオンラインデータ更新動作により、個別処理装置状態蓄積部222に蓄積される装置稼動情報は、逐次、最新の状態に更新されている。
【0035】
図6の動作により、予備装置11が個別処理装置(2)2として代替起動される場合、個別処理装置(2)2の最新の更新情報を引き継いだ形で起動されることになり、予備装置11は、個別処理装置(2)2が処理を中断した状態から処理を再開させることができる。
【0036】
(本実施例の効果の説明)
以上に説明したように、本発明による第1の実施例においては、以下のような効果が得られる。
【0037】
第1に、現用系の個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3それぞれを二重化することなく、1台の予備装置11で複数の個別処理装置を代替する(N+1)冗長構成とすることを可能としている。この結果、実装効率の改善、低コスト化を図った信頼性対策を提供することができる。
【0038】
第2に、共有データ蓄積装置10によって現用系の各個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3の最新の状態の一元管理を行うことにより、メンテナンス性の向上を実現可能としている。共有データ蓄積装置10による一元管理により、各個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3の復元時における情報展開(共有データ蓄積装置10からの復元データの供給)も容易に可能である。
【0039】
第3に、共有データ蓄積装置10による現用系の各個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3の状態の一元管理を行うことにより、予備装置11が代替起動する場合の装置状態の引継ぎを容易とし、処理の中断点から引き継ぐことも可能である。
【0040】
第4に、共有データ蓄積装置10における現用系の各個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3それぞれに対するポーリング診断による現用系の個別処理装置の早期の異常発見と、最新の状態の予備装置11への引継ぎ動作とにより、現用系の個別処理装置の異常時の処理停止時間の短縮を図ることができる。
【0041】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例の構成について図7,8を参照して説明する。
【0042】
図1に示す第1の実施例においては、現用系の個別処理装置が複数台からなっている構成例について説明したが、現用系の個別処理装置が1台のみのシングル構成からなっている(1+1)冗長構成を形成しても良い。図7は、本発明によるバックアップシステムの異なる構成例を示すシステム構成図であり、現用系の個別処理装置を1台とした(1+1)冗長構成の例を示している。
【0043】
図7に示すように、本実施例のシステム構成は、個別処理装置(1)1と共有データ蓄積装置10および予備装置11とを含む形で構成されるものであるが、1台の現用系の個別処理装置(1)1のみからなるバックアップシステムとしても、第1の実施例の場合と全く同様のバックアップ動作を行うことが可能である。
【0044】
次に、バックアップ装置を形成する予備装置11および/または共有データ蓄積装置10を二重化構成として形成する(N+2)冗長構成としても、第1の実施例の場合と全く同様のバックアップ動作を行うことができる。図8は、本発明によるバックアップシステムのさらに異なる構成例を示すシステム構成図であり、現用系の個別処理装置をN台に対して、予備装置11および/または共有データ蓄積装置10を二重化構成とした(N+2)冗長構成の例を示している。
【0045】
図8に示すように、バックアップ装置を形成する予備装置11および/または共有データ蓄積装置10に対して、さらに、予備装置バックアップ装置21および/または共有データ蓄積装置バックアップ装置20を備え、それぞれで現用系、待機系として二重化された形態で運用されている。共有データ蓄積装置10、共有データ蓄積装置バックアップ装置20と二重化し、両者に蓄積される現用系のN台の個別処理装置(1)1,(2)2,…,(N)3それぞれの起動パラメータ情報や最新の状態を同期させて維持することにより、より高い信頼性を確保することができる。
【0046】
また、予備装置11と予備装置バックアップ装置21とを二重化することにより、さらには、2台以上の複数台(n台:n<N)の予備装置11を用いて(N+n)冗長構成とすることにより、現用系の個別処理装置(1),(2)2,…(N)3が同時に複数台異常になった場合であっても、n台以内である限り、処理の継続性を確保して信頼性を維持するバックアップシステムを提供することができる。
【0047】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるバックアップシステムの一構成例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明によるバックアップシステムを構成する個別処理装置の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明によるバックアップシステムを構成する共有データ蓄積装置の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本発明によるバックアップシステムにおける現用系の各個別処理装置のオンラインデータの更新イメージの一例を説明するための説明図である。
【図5】本発明によるバックアップシステムにおける現用系の各個別処理装置の診断を共有データ蓄積装置によって行う動作の一例を説明するための説明図である。
【図6】本発明によるバックアップシステムにおける予備装置を用いた現用系の各個別処理装置の代替起動を共有データ蓄積装置によって行う動作の一例を説明するための説明図である。
【図7】本発明によるバックアップシステムの異なる構成例を示すシステム構成図である。
【図8】本発明によるバックアップシステムのさらに異なる構成例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1 個別処理装置(1)
2 個別処理装置(2)
3 個別処理装置(N)
4 通信用バス
10 共有データ蓄積装置
11 予備装置
20 共有データ蓄積装置バックアップ装置
21 予備装置バックアップ装置
100 個別処理装置
110 起動パラメータ蓄積部
111 個別処理装置状態蓄積部
112 個別処理部
200 共有データ蓄積装置
211 個別処理装置(1)用データ蓄積部
212 個別処理装置(2)用データ蓄積部
213 個別処理装置(N)用データ蓄積部
220 個別処理装置状態格納部
221 起動パラメータ蓄積部
222 個別処理装置状態蓄積部
300 データの流れ
310 ポーリングデータ
320 転送情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれで個別の処理を行う1ないし複数台の個別処理装置からなるシステムをバックアップするバックアップシステムにおいて、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの起動用の起動パラメータ情報と最新の状態とを少なくとも蓄積する共有データ蓄積装置と、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの代替動作を行うことが可能な予備装置と、を備え、1ないし複数台の前記個別処理装置のいずれかが異常になった場合、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とのうち、異常になった前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とが、前記予備装置に転送されることにより、前記予備装置が起動されることを特徴とするバックアップシステム。
【請求項2】
1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれは、個別処理の実行により最新の状態が更新される都度、更新された最新の状態を前記共有データ蓄積装置に対して転送することを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項3】
前記共有データ蓄積装置は、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの生存の有無を示す応答の返送を要求するポーリングデータをあらかじめ定めた周期ごとに定期的に前記個別処理装置それぞれに対して送信し、前記個別処理装置それぞれからの応答を確認することにより、前記個別処理装置それぞれの異常を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のバックアップシステム。
【請求項4】
前記共有データ蓄積装置は、前記個別処理装置のいずれかの異常を検出した際に、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態のうち、異常を検出した前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とを、前記予備装置に転送して起動することを特徴とする請求項3に記載のバックアップシステム。
【請求項5】
前記共有データ蓄積装置は、1台または2台備えられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバックアップシステム。
【請求項6】
前記共有データ蓄積装置が2台備えられている場合、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とを、2台の前記共有データ蓄積装置の両者の間で互いに同期化させた状態で蓄積することを特徴とする請求項5に記載のバックアップシステム。
【請求項7】
前記予備装置は、1ないし複数台備えられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のバックアップシステム。
【請求項8】
それぞれで個別の処理を行う1ないし複数台の個別処理装置からなるシステムをバックアップするバックアップ方法において、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの起動用の起動パラメータ情報と最新の状態とを少なくとも蓄積する共有データ蓄積装置と、1ないし複数台の前記個別処理装置それぞれの代替動作を行うことが可能な予備装置と、を備え、1ないし複数台の前記個別処理装置のいずれかが異常になった場合、前記共有データ蓄積装置に蓄積されている前記個別処理装置それぞれの前記起動パラメータ情報と最新の状態とのうち、異常になった前記個別処理装置の前記起動パラメータ情報と最新の状態とが、前記予備装置に転送されることにより、前記予備装置が起動されることを特徴とするバックアップ方法。
【請求項9】
請求項8に記載のバックアップ方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施することを特徴とするバックアッププログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のバップアッププログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−226063(P2008−226063A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65962(P2007−65962)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】