説明

バッテリシステム内のエネルギー伝達のためのスイッチングレギュレータの直列回路

本発明は、2つの入力口及び2つの出力口をそれぞれが有する第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータ(24、34、44、54)を備える、バッテリシステムのためのエネルギー変換器に関する。上記入力口は、バッテリモジュール(20、30、40、50)の接続のために構成され、第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータ(24、34、44、54)は、出力側で直列に接続される。エネルギー変換器は、第2の一次的DC/DCコンバータ(24−2、34−1、44−2、54−2)の出力口と接続された2つの入力口と、第1の一次的DC/DCコンバータ(24−1、34−2、44−1、54−1)の出力口の1つと接続された第1の出力口と、を備えた少なくとも1つの第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、56−1)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシステム内のエネルギー伝達のためのスイッチングレギュレータの直列回路に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電所及び緊急電力システムのような定置型の適用において及び車両において使用すべきバッテリシステムに対する需要が大きくなっている。これら全ての適用は、確実性及び信頼性に対する要求度が高い。その理由は、バッテリシステムによる電圧供給の完全な故障がシステム全体の故障に繋がりうるからである。従って、風力発電所の場合には、強風の際に動翼の位置を変更し、風力発電所に損害を与え又は破壊する可能性のある機械的な過負荷から当該発電所を護るために、バッテリが使用される。電気自動車のバッテリの故障の場合、電気自動車は走行に適さないであろう。他方また、緊急電力システムは、例えば病院の中断することのない稼動を保障すべきであり、従ってシステム自体は可能な限り故障しえないべきである。
【0003】
各適用のために必要とされる電力及びエネルギーを提供しうるために、個々のバッテリセルが直列に接続され、部分的に追加的に並列に接続される。図1は、バッテリの直列接続についての簡略化された回路図を示す。例えば乗用車内で電動機のために必要とされる高い駆動電圧を、個別セル10−1、・・・、10−nの電圧を合計することによって得るために、複数のバッテリセル10−1〜10−nは直列に接続されている。高い駆動電圧は、出力側のスイッチ11−1及び11−2によって、インバータのような図示されない後続のパワーエレクトロニック(leistungselektronisch)素子から分離されうる。バッテリの総出力電力は、バッテリセル10−1、・・・、10−nの直列接続に基づいて、各バッテリセル10−1、・・・、10−n内を流れるが、その際、バッテリセル10−1、・・・、10−n内での電気化学過程による電荷転送が起こるため、極端な場合には、個々のバッテリセルの故障は、構成全体がもはや電力及び電気的なエネルギーを提供しえないということを意味する。バッテリセル10−1、・・・、10−nの差し迫った故障を適時に検出しうるために、通常では所謂バッテリ管理システム12が利用され、このバッテリ管理システム12は、各バッテリセル10−1、・・・、10−nの2つの極と接続され又は接続可能であり、定期的又は選択可能な間隔で、各バッテリセル10−1、・・・、10−nの電圧及び温度のような駆動パラメータを決定し、これに基づいて、当該バッテリセルの充電状態(State of Charge、SoC)を決定する。このことは、バッテリシステムの電気的な駆動データのフレキシビリティ(Flexibilitaet)が低い際に、高いコストが掛かることを意味する。
【0004】
複数のバッテリセルの直列接続の更なる別の欠点は、以下のとおりである。
1.個々の要請を満たすために本来必要であろうよりも大きな数のバッテリセルが接続される場合には、バッテリにより駆動される素子の様々な駆動状態のために、提供される駆動電圧、最大電力、及び、蓄えられたエネルギーについての条件が出され、当該条件が1つにまとめられる。このことにより、値段、及び、特に、電気自動車の場合に障害となるバッテリシステムの重量及び体積が増加する。
【0005】
2.バッテリの組立、即ち、個々のセルの相互接続は、直列接続により合計される個別のバッテリセルの電圧のために、1000Vまでの高い電圧において行われ、従って、バッテリ、個々セル、又はモジュールの交換は地方の工場では行われず、又は、定置型の適用の場合には、特殊工具を用いて、特別に要請された専門家によって行われうる。これにより、故障時のバッテリシステムのメンテナンスのためにロジスティック的な高いコストが発生する。
【0006】
3.バッテリシステムをゼロ電位で(spannungsfrei)接続するために、即ち、本来のバッテリを負荷から遮断するために、典型的に接触器として実現され、予期される高い電圧及び電流のため非常に高価な電力スイッチ11−1及び11−2を設ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の欠点を克服しうる装置を提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、バッテリシステムのためのエネルギー変換器であって、上記エネルギー変換器は、2つの入力口及び2つの出力口をそれぞれが有する第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータを備え、上記入力口は、バッテリモジュールの接続のために構成され、第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータは出力側で直列に接続される、上記エネルギー変換器に関する。本発明によれば、エネルギー変換器は、第2の一次的DC/DCコンバータの出力口と接続された2つの入力口と、第1の一次的DC/DCコンバータの出力口の1つと接続された第1の出力口と、を備えた少なくとも1つの第1の副次的DC/DCコンバータを有する。
【0009】
本発明は、出力側で直列に接続された一次的DC/DCコンバータが、バッテリモジュールの電圧及び充電状態に依存しない選択可能な出力電圧を形成し、その際に、第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータに接続されたバッテリモジュールに様々な強度の負荷が掛かりうる、という利点を有する。このことは、第1の副次的DC/DCコンバータであって、当該第1の副次的DC/DCコンバータの入力口が、第2の一次的DC/DCコンバータの出力口に接続され、第1の副次的DC/DCコンバータの作動時に、第2の一次的DC/DCコンバータからエネルギーを取り出し第1の一次的DC/DCコンバータの出力口と接続された第1の出力口を介して伝達する上記第1の副次的DC/DCコンバータによって可能となる。これにより、第1の一次的DC/DCコンバータと、当該第1の一次的DC/DCコンバータと入力側で接続されたバッテリモジュールと、への負荷が軽減される(entlasten)。このようにして、本発明は、例えば、各バッテリモジュールの充電状態が可能な限り同じである所謂負荷バランシング(Load−Balancing)を可能とするため、他のバッテリセルが未だにエネルギーを提供し得ないにもかかわらず、どのバッテリもクリティカルな(kritisch)値以下で放電しない。
【0010】
個々のDC/DCコンバータの出力電圧が公知技術により調整可能であるため、DC/DCコンバータの利用によりさらに、駆動状態ごとに適切な全電圧の選択が可能となる。さらに、出力電圧は、一次側に(primaerseitig)接続されたバッテリセルの数に依存しなくなる。これにより、バッテリシステムの構成が、純粋にエネルギー及び電力基準に従って、各適用のために必要とされる全電圧に依存することなく行われうる。更なる別の利点は、バッテリ出力口の高電圧を、DC/DCコンバータの停止によって簡単なやり方で停止しうるため、高価な接触器11−1及び11−2を省略できることである。
【0011】
エネルギー変換器は、好適に、第1の一次的DC/DCコンバータの出力口と接続された2つの入力口を供えた第2の副次的DC/DCコンバータを有する。その際に、第2の副次的DC/DCコンバータは、第2の一次的DC/DCコンバータの出力口と接続された第1の出力口を有する。その際に、第2の副次的DC/DCコンバータは、第1の一次的DC/DCコンバータからエネルギーを取り出し、第2の一次的DC/DCコンバータに伝達するよう構成される。これにより、第2の一次的DC/DCコンバータから第1の一次的DC/DCコンバータへのエネルギー伝達によってバランスを取ること(Ausgleich)が達成されるだけではなく、反対に、第1の一次的DC/DCコンバータから第2の一次的DC/DCコンバータへとエネルギーを伝達することが可能となる。当然のことながら、大きな数の一次的DC/DCコンバータを直列に接続することが可能であり、その際に、各一次的DC/DCコンバータの出力口には、副次的DC/DCコンバータが接続される。
【0012】
特に有利に、エネルギー変換器は、バッテリモジュールの接続のために構成された2つの入力口と、2つの出力口と、を備えた第3の一次的DC/DCコンバータを有する。第3の一次的DC/DCコンバータは、第2の一次的DC/DCコンバータが第1の一次的DC/DCコンバータ及び第3の一次的DC/DCコンバータと直接的に接続されるように、即ち、第2の一次的DC/DCコンバータが、直列回路内の中央に配置されるように、出力側で第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータと直列に接続される。第1の副次的DC/DCコンバータは、第3の一次的DC/DCコンバータの出力口と接続された第2の出力口を有する。従って、第1の副次的DC/DCコンバータは、第2の一次的DC/DCコンバータからエネルギーを取り出し、このエネルギーを、選択的に、第1の出力口を介して第1の一次的DC/DCコンバータへと伝達し、又は、第2の出力口を介して第3の一次的DC/DCコンバータへと伝達することが出来る。一次的DC/DCコンバータの数が更に大きい直列回路の場合、両側に隣接する一次的DC/DCコンバータの各1つにエネルギーを伝達しうる対応する数の副次的DC/DCコンバータを設けることが出来る。これにより、エネルギー分配の際、及び、様々なバッテリモジュールに負荷が掛かる際の特に高いフレキシビリティ(Flexibititaet)が達成される。例えば、一次的DC/DCコンバータから、割り当てられた副次的DC/DCコンバータによりエネルギーが取り出され、隣接する一次的DC/DCコンバータに伝達される場合に、隣接する一次的DC/DCコンバータに接続された副次的DC/DCコンバータは、このエネルギーを、次の一次的DC/DCコンバータへと直接的に伝達することが出来る。好適に、一番上の一次的DC/DCコンバータ及び一番下の一次的DC/DCコンバータも、直列回路内において(本例では、第1の一次的DC/DCコンバータ、第2の一次的DC/DCコンバータ、及び、第3の一次的DC/DCコンバータを備える直列回路において、即ち、第1の一次的DC/DCコンバータ、及び、第3の一次的DC/DCコンバータは)、第1の出力口又は第2の出力口のみを有する副次的DC/DCコンバータと接続される。なぜならば、一番上の一次的DC/DCコンバータ及び一番下の一次的DC/DCコンバータは、隣接する一次的DC/DCコンバータを1つだけ有するからである。
【0013】
回路技術的には、第1の副次的DC/DCコンバータは、第2の一次的DC/DCコンバータからエネルギーを取り出し、バッテリモジュールに放電させるためのエネルギー変換器の放電モードにおいては第1の一次的DC/DCコンバータへ、及び、バッテリモジュールに充電させるためのエネルギー変換器の充電モードにおいては第3の一次的DC/DCコンバータへ、と伝達するように構成されうる。これにより、第1の副次的DC/DCコンバータのどの出力口を介して、第2の一次的DC/DCコンバータから取り出されたエネルギーが伝達されるのかという選択が、エネルギー変換器の駆動モードにより行われる。例えば、対応するエネルギー変換器を具備する車両が加速する場合にバッテリモジュールからエネルギーが取り出される際には、エネルギーは、第1の一次的DC/DCコンバータに渡され、車両にブレーキが掛かり発電機を介して制動エネルギーがバッテリモジュールに送り戻される場合には、エネルギーは、第3の一次的DC/DCコンバータに渡される。
【0014】
好適に、第1の副次的DC/DCコンバータは、コイルと、第1のスイッチと、第1のダイオードと、を有する。コイルと、第1のスイッチとは、第1の副次的DC/DCコンバータの入力口間に直列に接続され、ダイオードは、コイルと第1のスイッチとの間の接続点と、第1の副次的DC/DCコンバータの第1の出力口と、の間に接続される。
【0015】
第1の出力口と第2の出力口とを備える第1の副次的DC/DCコンバータの好適な変形例において、第1の副次的DC/DCコンバータはさらに、第2のスイッチ及び第2のダイオードを有し、第2のスイッチは第1のスイッチと接続され、コイルは、当該コイルが第1のスイッチと第2のスイッチとの間に接続されるように、第1の副次的DC/DCコンバータの入力口間に直列に接続される。第2のダイオードは、コイルと第2のスイッチとの間の接続点と、第1の副次的DC/DCコンバータの第2の出力口と、の間に接続される。
【0016】
各一次的DC/DCコンバータは、制御信号のための制御入力口を有し、制御信号が受信されると、一次的なDC/DCコンバータの出力口を互いに電気的に接続し一次的DC/DCコンバータの入力口の少なくとも1つを電気的に分離するよう構成されうる。本実施形態によって、例えば、入力側に接続されたバッテリモジュールのバッテリセルが故障しているために、駆動中に一次的DC/DCコンバータを選択的に停止することが可能となる。一次的DC/DCコンバータの出力口を接続することによって、構成全体において引き続き出力電流が流れうる。バッテリモジュールにさらに負荷を掛けないために、さらに、当該バッテリが分離される。従って、本実施形態によって、1つ以上のバッテリセルの故障にも関わらず、装置の更なる稼動が可能となる。さらに、場合によっては、駆動中に、全電圧の形成を中断することが必要になることなく、バッテリモジュールの交換が可能となる。
【0017】
本発明の第2の観点は、本発明の第1の観点に基づくエネルギー変換器と、複数のバッテリセルを備えたバッテリシステムを提示する。バッテリモジュールはそれぞれ少なくとも1つのバッテリセルを有する。バッテリモジュールのバッテリ端子は、エネルギー変換器のDC/DCコンバータの第1の入力口及び第2の入力口の対応する入力口と着脱可能に接続される。
【0018】
本発明の第3の観点は、本発明の第1の観点に基づくエネルギー変換器を備える車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、以下、実施形態を用いてより詳細に解説される。
【図1】従来技術によるバッテリ管理システムを備えたバッテリを示す。
【図2】本発明の第1の実施例の第1の変形例を示す。
【図3】本発明の第1の実施例の第2の変形例を示す。
【図4】本発明の第2の実施例を示す。
【図5】本発明の第3の実施例の詳細な回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2は、本発明の第1の実施例の第1の変形例を示す。複数のバッテリセル21−1〜21−n又は22−1〜22−nをそれぞれ有する2つのバッテリモジュール20−1及び20−2は、それぞれ一次的DC/DCコンバータ24−1、24−2の入力口と接続されている。一次的DC/DCコンバータ24−1、24−2は、公知技術により構成することが可能であり、バッテリモジュール20−1、21−2の電圧に依存せず当該電圧よりも高いこともある出力電圧を形成することができる。好適に、一次的DC/DCコンバータは、出力電圧を正確に制御しうるために、内部フィードバックを有する。一次的DC/DCコンバータ24−1、24−2の出力口はそれぞれ、バッファコンデンサ(Pufferkondensator)25−1又は25−2と接続され、このバッファコンデンサ25−1又は25−2は、各一次的DC/DCコンバータ24−1、24−2の出力電圧を平滑化し、短期エネルギー蓄積装置として機能する。一次的DC/DCコンバータ24−1、24−2は、出力側で直列に接続され、その際に、一番上の一次的DC/DCコンバータ24−1は、構成の正の出力口に接続され、一番下の一次的DC/DCコンバータ24−2は、構成の負の出力口に接続される。示される第1の実施例の第1の変形例は、副次的DC/DCコンバータ26−1を有し、この副次的DC/DCコンバータ26−1の入力口は、一次的DC/DCコンバータの出力口と接続され、従って、バッファコンデンサ25−2の2つの接続口と接続される。副次的DC/DCコンバータ26−1は、一次的コンバータ24−2の作動時にエネルギーを取り出し、第1の出力口を介して、一次的DC/DCコンバータ24−1の出力口へと伝達するよう構成され、従って、この一次的DC/DCコンバータ24−1への負荷が軽減される。これにより、一次的DC/DCコンバータ24−1は、自身の出力電圧を安定的に保つために、入力側に接続されたバッテリモジュール20−1からより少ないエネルギーを取り出せばよい。これにより、副次的DC/DCコンバータ26−1の作動時に、バッテリモジュール20−1への負荷を軽減し、バッテリモジュール20−2により強く負荷を掛けることが可能であり、このことは、バッテリモジュールの様々な充電状態のバランスを取る(ausgleichen)ために利用される。一次的DC/DCコンバータ24−1を短時間停止し、その機能を副次的DC/DCコンバータ26−1に引き継がせることも原則的には可能である。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施例の第2の変形例を示す。第1の実施例の第2の変形例は、第1の変形例に大幅に対応しており、従って、第1の変形例において述べたことは、第2の変形例にも対応して該当する。第1の変形例との唯一の相違は、副次的DC/DCコンバータ36−1が、入力側で、一番下の一次的DC/DCコンバータ24−2と接続されているのではなく、一番上の一次的DC/DCコンバータ34−1と接続されていることである。さらに、副次的DC/DCコンバータは、第1の出力口を有さず、一次的DC/DCコンバータ34−2の出力口と接続された第2の出力口のみを有する。第2の変形例によって、第1の一次的DC/DCコンバータ34−1から第2の一次的DC/DCコンバータ34−2へのエネルギー伝達が可能となり、従って、第1の実施例の第2の変形例においては、第2の一次的DC/DCコンバータ34−2への負荷が軽減され、第1の一次的DC/DCコンバータ24−1により強い負荷が掛かる。当然のことながら、第1の実施例の第1の変形例と第2の変形例とを組み合わせることも可能であり、従って、2つの副次的DC/DCコンバータが使用され、選択的に、各一次的DC/DCコンバータから、及び、各一次的DC/DCコンバータへと、エネルギーが伝達されうる。
【0022】
図4は、本発明の第2の実施例を示す。示される実施例は、入力側にバッテリモジュール40−1〜40−3がそれぞれ接続された3つの一次的DC/DCコンバータ44−1〜44−3を有する。各バッテリモジュール40−1〜40−3は、1つ以上のバッテリセル41−1〜41−n、42−1〜42−n、又は、43−1〜43−nを有する。一次的DC/DCコンバータ41−1〜41−3の出力口はそれぞれ、バッファコンデンサ45−1〜45−3と繋がれて直列に接続される。第1の副次的DC/DCコンデンサ46−1は、入力側で、第2の一次的DC/DCコンバータ44−2の出力口と接続され、作動時の第2の一次的DC/DCコンバータ44−2から、エネルギーを取り出す。第1の副次的DC/DCコンバータ46−1は2つの出力口を有し、この2つの出力口の一方が、上の隣接する一次的DC/DCコンバータ44−1と接続され、他方が、下の隣接する一次的DC/DCコンバータ44−3の出力口と接続される。第1の副次的DC/DCコンバータ46−1の対応する制御によって、第2の一次的DC/DCコンバータ44−2から取り出されたエネルギーは、上の一次的DC/DCコンバータ44−1、又は、下の一次的DC/DCコンバータ44−3へと供給されうる。上の一次的DC/DCコンバータ44−1又は下の一次的DC/DCコンバータ44−3に交互にエネルギーを供給することも可能であり、従って、隣接する2つの一次的DC/DCコンバータ44−1及び44−3の中間で、第2の一次的DC/DCコンバータ44−2からエネルギーが供給される。
【0023】
構成のフレキシビリティを向上させるために、(点線で示す)更なる別の副次的DC/DCコンバータ46−2及び46−3を設けることも可能であり、これら更なる別の副次的DC/DCコンバータ46−2及び46−3の入力口は、上の一次的DC/DCコンバータ44−1又は下の一次的DC/DCコンバータ44−3と接続されている。これら2つの一次的DC/DCコンバータ44−1及び44−3はそれぞれ、隣接する一次的DC/DCコンバータを1つだけ有するため、副次的DC/DCコンバータ46−2には第2の出力口を備え、及び、副次的DC/DCコンバータ46−3には第1の出力口を備えることで十分であり、従って、第1の一次的DC/DCコンバータ44−1から第2の一次的コンバータ44−2へのエネルギー伝達、又は、第3の一次的DC/DCコンバータ44−3から第2の一次的DC/DCコンバータ44−2へのエネルギー伝達が可能である。この構成により、各一次的DC/DCコンバータ44−1〜44−3から各任意の他の一次的DC/DCコンバータ44−1〜44−3へとエネルギーを伝達することが可能であり、場合によっては、中間局を介して、例えば、第1の一次的DC/DCコンバータ44−1から第2の一次的DC/DCコンバータ44−2へとエネルギーを伝達し、同時に、第2の一次的DC/DCコンバータ44−2から第3の一次的DC/DCコンバータ44−3へとエネルギーを伝達することによって、エネルギーを伝達することが可能である。当然のことながら、示される構造を、より大きな数の一次的DC/DCコンバータ及び副次的DC/DCコンバータへと拡張することも可能である。
【0024】
図5は、本発明の第3の実施例の詳細な回路図を示し、ここでは、全部で5つの一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5が出力側で直列に接続されている。一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5は、スイッチS2、S3と、コイルL1と、ダイオードD3を備えた、一段式昇圧型/降圧型コンバータ(einfache Hochsetz/Tiefsetzsteller)として実現される。しかしながら、数多くの公知の他のDC/DCコンバータ構造も想定可能である。一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5はそれぞれ追加的なスイッチS1を有し、このスイッチS1は、入力側に接続された各バッテリモジュール50−1〜50−5を、一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5から電気的に分離し従って停止させるよう構成される。同時に、スイッチS2及びS3を閉鎖することが可能であり、これにより、各一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5の出力口が互いに電気的に伝導的に接続され、従って、各一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5は、残りDC/DCコンバータ54−1〜54−5の機能を妨げることなく、無効にされ(neutralisieren)停止される。更なる発展形態において、一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5のうちの1つの故障にもかかわらず構成全体の出力電圧を一定に保つために、1つ以上の残りのDC/DCコンバータ54−1〜54−5の出力電圧を高めることが可能である。
【0025】
各一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5の出力電圧を安定させるために、各一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5は、既に示したように、出力側でバッファコンデンサC1〜C5と接続される。さらに、各一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5に、副次的DC/DCコンバータ56−1〜56−5が割り当てられる。さらに、一番上の副次的DC/DCコンバータ56−1は、隣接する一次的DC/DCコンバータ54−2にのみエネルギーを伝達すべきであるため第2の出力口のみを有し、又は、一番下の副次的DC/DCコンバータ56−5は、隣接する一次的DC/DCコンバータ54−4にのみエネルギーを伝達すべきであるため第1の出力口のみを有する。これに対して、中間の副次的DC/DCコンバータ56−2〜56−4はそれぞれ第1の出力口及び第2の出力口を有し、従って、エネルギーが、上又は下の隣接する一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5へと伝達されうる。副次的DC/DCコンバータ56−1〜56−5はそれぞれ、コイルL2と、副次的DC/DCコンバータ56−1〜56−5の入力口間に、当該コイルと直列に接続されたスイッチS4又はS5と、を有する。中間のDC/DCコンバータ56−2〜56−4は追加的に更なる別のスイッチを有し、この更なる別のスイッチは第1のスイッチ及びコイルL2と直列に接続され、従って、コイルL2の各反対の末端がスイッチS4及びS5のうちの1つと接続される。副次的DC/DCコンバータ56−1〜56−5の第1及び第2の出力口は、コイルL2と第1のスイッチS4又は第2のスイッチS5との間の各割り当てられた接続点から、ダイオードD1又はD2を介して、上又は下の隣接する一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−5の出力口へと繋がっている。
【0026】
その際に、ダイオードD1及びD2は、例えば、全体構成を備えた車両の加速時に全体構成からエネルギーを取り出す際に、エネルギーが、第1の出力口及び第1のダイオードD1を介して、隣接する上の一次的DC/DCコンバータ54−1〜54−4へと伝達され、及び、例えば、全体構成を備えた車両にブレーキが掛かった際、若しくは、当該車両の電力ステーションでの充電の際にエネルギーがバッテリ50−1〜50−4へと送り戻され又は供給される場合に、第2の出力口及び第2のダイオードD2を介して、隣接する下の一次的DC/DCコンバータ54−2〜54−5へと伝達されうるように、接続される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリシステムのためのエネルギー変換器であって、前記エネルギー変換器は、2つの入力口及び2つの出力口をそれぞれが有する第1の一次的DC/DCコンバータ及び第2の一次的DC/DCコンバータ(24、34、44、54)を備え、前記入力口は、バッテリモジュール(20、30、40、50)の接続のために構成され、前記第1の一次的DC/DCコンバータ及び前記第2の一次的DC/DCコンバータ(24、34、44、54)は、出力側で直列に接続される、前記エネルギー変換器において、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(24−2、34−1、44−2、54−2)の前記出力口と接続された2つの入力口と、前記第1の一次的DC/DCコンバータ(24−1、34−2、44−1、54−1)の前記出力口の1つと接続された第1の出力口と、を備えた少なくとも1つの第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、56−1)を特徴とする、バッテリシステムのためのエネルギー変換器。
【請求項2】
前記第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、56−1)は、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(24−2、34−1、44−2、54−2)からエネルギーを取り出し、前記第1の一次的DC/DCコンバータ(24−1、34−2、44−2、54−2)に伝達するよう構成される、請求項1に記載のエネルギー変換器。
【請求項3】
前記エネルギー変換器は、前記第1の一次的DC/DCコンバータ(24−1、34−2、44−1、44−3、54−1、・・・、54−5)の前記出力口と接続された2つの入力口と、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(24−2、34−1、44−2、54−2、・・・、54−4)の前記出力口の1つに接続された第1の出力口と、を有する第2の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−2、46−3、56−1、・・・、56−5)と、備え、前記第2の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−2、46−3、56−1、・・・、56−5)は、前記第1の一次的DC/DCコンバータ(24−1、34−2、44−1、44−3、54−2、・・・、54−4)からエネルギーを取り出し、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(24−2、34−1、44−2、54−1、・・・、54−5)に伝達するよう構成される、請求項1又は2のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項4】
前記エネルギー変換器は、バッテリモジュール(40−3、50−3)の接続のために構成にされた2つの入力口と、2つの出力口と、を有する第3の一次的DC/DCコンバータ(44−3、54−3)を備え、前記第3の一次的DC/DCコンバータ(44−3、54−3)は、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(44−2、54−2)が前記第1の一次的DC/DCコンバータ及び第3の一次的DC/DCコンバータ(44−1、44−3;54−1、54−3)と直接的に接続されるように、出力側で前記第1の一次的DC/DCコンバータ及び前記第2の一次的DC/DCコンバータ(44−1、44−2;54−1、54−2)と直列に接続され、前記第1の副次的DC/DCコンバータ(46−1、56−2)は、前記第3の一次的DC/DCコンバータ(44−3、54−3)の出力口と接続された第2の出力口を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項5】
前記第1の副次的DC/DCコンバータ(46−1、56−2)は、前記第2の一次的DC/DCコンバータ(44−2、54−2)からエネルギーを取り出し、前記バッテリモジュール(40−1、・・・、40−3、50−1、・・・、50−5)に放電させるための前記エネルギー変換器の放電モードにおいては前記第1の一次的DC/DCコンバータ(44−1、54−1)へ、及び、前記バッテリモジュール(40−1、・・・、40−3、50−1、・・・、50−5)に充電させるための前記エネルギー変換器の充電モードにおいては前記第3の一次的DC/DCコンバータ(44−3、54−3)へ、と伝達する、請求項4に記載のエネルギー変換器。
【請求項6】
前記第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、・・・、46−3、56−1、・・・、56−5)は、コイル(L2)と、第1のスイッチ(S4、S5)と、第1のダイオード(D1、D2)と、を有し、前記コイル(L2)と、前記第1のスイッチ(S4、S5)とは、前記第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、・・・、46−3、56−1、・・・、56−5)の前記入力口間に直列に接続され、前記ダイオード(D1、D2)は、コイル(L2)と第1のスイッチ(S4、S5)との間の接続点と、前記第1の副次的DC/DCコンバータ(26−1、36−1、46−1、・・・、46−3、56−1、・・・、56−5)の前記第1の出力口と、の間に接続される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項7】
前記第1の副次的DC/DCコンバータ(46−1、56−2、・・・、56−4)はさらに、第2のスイッチ(S4)と、第2のダイオード(D2)と、を備え、前記第2のスイッチ(S4)は、前記第1のスイッチ(S5)と接続され、前記コイル(L2)は、前記コイル(L2)が前記第1のスイッチと前記第2のスイッチ(S55,S4)との間に接続されるように、前記第1の副次的DC/DCコンバータ(46−1、56−2、・・・、56−4)の前記入力口間に直列に接続され、前記第2のダイオード(D2)は、コイル(L2)と第2のスイッチ(S4)との間の接続点と、前記第1の副次的DC/DCコンバータ(46−1、56−2、・・・、56−4)の前記第2の出力口と、の間に接続される、請求項6、及び、請求項4又は5のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項8】
各一次的DC/DCコンバータ(24−1、24−2、34−1、34−2、44−1、・・・、44−3、54−1、・・・、54−5)は、制御信号のための制御入力口を有し、前記制御信号が受信されると、前記一次的なDC/DCコンバータ(24−1、24−2、34−1、34−2、44−1、・・・、44−3、54−1、・・・、54−5)の前記出力口を互いに電気的に接続し前記一次的DC/DCコンバータ(24−1、24−2、34−1、34−2、44−1、・・・、44−3、54−1、・・・、54−5)の前記入力口の少なくとも1つを電気的に分離するよう構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項9】
請求項1〜8にいずれか1項に記載のエネルギー変換器と、
少なくとも1つのバッテリセル(21−1、・・・、21−n、22−1、・・・、22−n、31−1、・・・、31−n、32−1、・・・、32−n、41−1、・・・、41−n、42−1、・・・、42−n、43−1、・・・、43−n)をそれぞれが有する複数のバッテリモジュール(20−1、20−2、30−1、30−2、40−1、・・・、40−3、50−1、・・・、50−5)であって、前記バッテリモジュールのバッテリ端子が、前記エネルギー変換器の前記一次的DC/DCコンバータ(24−1、24−2、34−1、34−2、44−1、・・・、44−3、54−1、・・・、54−5)の1つの前記入力口と着脱可能に接続される、前記バッテリモジュールと、
を備えるバッテリシステム。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のエネルギー変換器を備える車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−533980(P2012−533980A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520982(P2012−520982)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058976
【国際公開番号】WO2011/009691
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(311017728)エス・ビー リモーティブ カンパニー リミテッド (9)
【出願人】(311017740)エス・ビー リモーティブ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】