説明

バッテリパック

【課題】回路素子の実装空間を確保でき、厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができ、且つバッテリパックの破裂防止に対する信頼性を高めることができるバッテリパックを提供すること。
【解決手段】本発明に係るバッテリパック100は、ベアセル110と、ベアセル110の上部に配置され、ベアセル110と電気的に接続される回路モジュール120と、ベアセル110の一側面に装着し、回路モジュール120と電気的に接続されるループアンテナ部150と、ループアンテナ部150の一側に位置し、回路モジュール120と電気的に接続されるPTC(Positive Temperature Coefficient)素子部160とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアセルの一側面に装着するループアンテナ部の一部分にPTC素子部を位置させることによって、回路モジュールにおいて回路素子の実装空間を確保でき、またループアンテナ部を適用するバッテリパックの厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができ、且つバッテリパックの破裂防止に対する信頼性を高めることができるバッテリパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、バッテリパック形態で形成でき、バッテリパックは、正極板、負極板およびセパレータを備える電極組立体と、電極組立体を収容する缶と、缶の上端開口部を密封するキャップ組立体とを含むベアセルと、充放電素子および保護回路素子のような回路素子を含み、ベアセルに設けられる回路モジュールと、回路モジュールをカバーするようにベアセルに組み合わせる外部カバーとを含んで形成することができる。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、保護回路素子としてPTC素子(Positive Temperature Coefficient device)および温度ヒューズ(thermal fuse)等を用いる。PTC素子および温度ヒューズ等はベアセルに備えられた1次保護素子のセパレータと区別して2次保護素子と呼ばれている。この2次保護素子は、ベアセルの充放電回路と電気的に接続されることでバッテリパックが高温に上昇したり、過度な充放電などによる設定電圧の異常発生時に外部との電流の流れを遮断する。したがってバッテリパックの破裂を防止する役割をする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の2次保護素子は、ベアセルと電気的に接続するためのリードプレートを含んで回路モジュールに設けられるので、回路モジュールに2次保護素子とリードプレートを実装するための空間が要求される。これにより、回路モジュールに複数の回路素子を実装するのには限界がある。したがって、回路モジュールは内部に多層の回路パターンを有する回路基板が要求され、バッテリパックの製造コストが嵩むという問題点がある。
【0005】
なお、従来の2次保護素子は、回路モジュールを通じてベアセルと接続されるので、ベアセルから2次保護素子へ熱が伝達される熱伝達効率が低い。これにより、従来の2次保護素子は、バッテリパックの破裂防止に対する信頼性を低下させるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ベアセルの一側面に装着するループアンテナ部の一部分にPTC素子部を位置させることによって、回路モジュールにおいて回路素子の実装空間を確保でき、またループアンテナ部を適用するバッテリパックの厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができ、且つバッテリパックの破裂防止に対する信頼性を高めることが可能な、新規かつ改良されたバッテリパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ベアセルと、前記ベアセルの上部に配置され、前記ベアセルと電気的に接続される回路モジュールと、前記ベアセルの一側面に装着し、前記回路モジュールと電気的に接続されるループアンテナ部と、前記ループアンテナ部の一側に位置し、前記回路モジュールと電気的に接続されるPTC(Positive Temperature
Coefficient)素子部とを含むバッテリパックが提供される。
【0008】
また、前記ループアンテナ部は、第1カバーレイと、前記第1カバーレイ上に前記第1カバーレイの縁部に沿って形成されるアンテナパターンと、前記アンテナパターンの両側端部に連結する第1アンテナリードプレートおよび第2アンテナリードプレートと、前記アンテナパターンを覆って前記第1カバーレイと結合され、前記ベアセルの一側面と対向する第2カバーレイとを含むものであってもよい。
【0009】
また、前記第1アンテナリードプレートは、前記アンテナパターンの一側端部に連結した第1ベース部と、前記第1ベース部から折り曲げられて延びる第1延長部とを含むものであってもよい。そして、前記第2アンテナリードプレートは、前記アンテナパターンの他側端部に連結した第2ベース部と、前記第2ベース部から折り曲げられて延びる第2延長部とを含むものであってもよい。
【0010】
また、前記PTC素子部は前記ベアセルの一側面と前記回路モジュールとの間に位置するものであってもよい。
【0011】
また、前記PTC素子部は前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に位置するものであってもよい。
【0012】
また、前記PTC素子部は前記アンテナパターンの外側に位置するものであってもよい。
【0013】
また、前記PTC素子部は、導電性粒子を結晶性高分子に分散させて形成された、前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に介するPTC本体と、前記PTC本体の一面に設けられ、前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に介する第1PTCリードプレートと、前記PTC本体の他面に設けられ、前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に介する第2PTCリードプレートとを含むものであってもよい。
【0014】
また、前記第1PTCリードプレートは、前記PTC本体の一面に接触する第1接触部と、前記第1接触部から折り曲げられて延びる第1連結部と、前記第1連結部から折り曲げられて延びる第1延長部とを含むものであってもよい。そして、前記第2PTCリードプレートは、前記PTC本体の他面に接触する第2接触部と、前記第2接触部から折り曲げられて延びる第2連結部と、前記第2連結部から折り曲げられて延びる第2延長部とを含むものであってもよい。
【0015】
また、前記回路モジュールは、下面に形成されたアンテナ接続パッドとPTC接続パッドとを含むものであってもよい。前記アンテナ接続パッドは、前記第1アンテナリードプレートの第1延長部および前記第2アンテナリードプレートの第2延長部と接続されるように形成された第1アンテナ接続パッドおよび第2アンテナ接続パッドを含むものであってもよい。そして、前記PTC接続パッドは、前記第1PTCリードプレートの第1延長部および前記第2PTCリードプレートの第2延長部と接続されるように形成された第1PTC接続パッドおよび第2PTC接続パッドを含むものであってもよい。
【0016】
なお、本発明に係るバッテリパックは、前記ベアセルの一側面と前記第2カバーレイとの間に介する電磁波遮蔽テープをさらに含むものであってもよい。
【0017】
また、前記電磁波遮蔽テープは、前記PTC素子部と対応する領域に形成された収容ホールを含むものであってもよい。
【0018】
また、前記回路モジュールは上部に形成された外部端子部を含むものであってもよい。前記外部端子部は、前記PTC素子部と電気的に接続される電源端子と、前記ループアンテナ部と電気的に接続されるアンテナ端子とを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、PTC素子部を、ベアセルの一側面に装着するループアンテナ部の一側に位置させることによって、従来のPTC素子部を回路モジュールに設ける場合に比べて回路モジュールにおいて回路素子の実装空間をより確保でき、さらに回路素子の実装空間の確保によって回路基板内部の回路パターンの層数を最小化することができる。
【0020】
なお、本発明によれば、ループアンテナ部の一部、すなわち、ループアンテナ部の第1カバーレイと第2カバーレイとの間にアンテナパターンと重ならない領域にPTC素子部を位置させることにより、ループアンテナ部を適用する場合にバッテリパックの厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができる。
【0021】
なお、本発明によれば、PTC素子部をベアセルの一側に位置させることによって、バッテリパックの過充電または過電流の発生時にPTC素子部がベアセルの発熱の影響を直接的に受けて作動するようにする。これにより、本発明に係るバッテリパックは、PTC素子部の作動信頼性を高め、バッテリパックの破裂防止に対する信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1a】本発明の一実施形態に係るバッテリパックの完成斜視図である。
【図1b】図1aのバッテリパックの分解斜視図である。
【図2】図1bのバッテリパックにおける回路モジュールの下部を示す斜視図である。
【図3】図1bのベアセル、回路モジュール、ループアンテナ部およびPTC素子部の結合斜視図である。
【図4】図3のPTC素子部の斜視図である。
【図5】図3のA-A'線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【図6a】本発明の他の実施形態に係るバッテリパックの完成斜視図である。
【図6b】図6aのバッテリパックの分解斜視図である。
【図7】図6bのベアセル、回路モジュール、ループアンテナ部およびPTC素子部の結合斜視図である。
【図8】図7のB-B'線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【図9】図7の電磁波遮蔽テープとPTC素子部の連結関係を示すための電磁波遮蔽テープとPTC素子部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。ただし、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。
【0024】
図1aは本発明の一実施形態に係るバッテリパックの完成斜視図であり、図1bは図1aのバッテリパックの分解斜視図であり、図2は図1bのバッテリパックの回路モジュールの下部を示す斜視図であり、図3は図1bのベアセル、回路モジュール、ループアンテナ部およびPTC素子部の結合斜視図であり、図4は図3のPTC素子部の斜視図であり、図5は図3のA-A'線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0025】
図1aおよび図2に示すように、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100は、ベアセル110、回路モジュール120、第1リードプレート132、第2リードプレート134、電磁波遮蔽テープ140、ループアンテナ部150およびPTC(Positive
Temperature Coefficient)素子部160、上部カバー170、下部カバー180およびラベル190を含んでなる。
【0026】
ベアセル110と回路モジュール120は、第1リードプレート132と第2リードプレート134を通じて電気的に接続されてコアパックとなり、このコアパックに上部カバー170と下部カバー180を組み合わせた後、ラベル190を貼付することにより、バッテリパック100が完成する。
【0027】
ベアセル110は、電気エネルギーを供給し、正極、負極および正極と負極の間に介するセパレータを含んでなる電極組立体(図示せず)と、金属材質からなり、電極組立体および電解液(図示せず)を収容する容器型缶111と、缶111の開口部を密封するキャップ組立体112とを含んでなる。ここで、キャップ組立体112は、金属材質で形成されるキャッププレート113と、キャッププレート113に突出した形状に形成された電極端子114と、キャッププレート113と電極端子114との間に介して電極端子114をキャッププレート113から絶縁させるガスケット115とを含むことができる。
【0028】
缶111およびキャッププレート113自体は端子の役割ができ、本発明の実施形態では正極として機能をするものとして説明する。これにより、電極端子114は負極として機能をするものとして説明する。もちろん、缶111、キャッププレート113および電極端子114は極性を異にすることができる。
【0029】
ベアセル110の外観は、図1bに示すように、ガスケット115により絶縁された状態で電極端子114が突出した上面110a、上面110aと連結する一対の短側面110b、110cと一対の長側面110d、110e、および側面(110b、110c、110d、110e)と連結する上面110aと対向する下面110fからなる。ここで、一対の短側面110b、110cは、前記ベアセル110の上面110aと連結する側面(110b、110c、110d、110e)中の幅が狭い側面であり、一対の長側面110d、110eは、前記ベアセル110の側面(110b、110c、110d、110e)中の幅が広い側面である。一方、本発明の実施形態で、ベアセル110の上面110aをベアセル110の上部方向とし、ベアセル110の下面110fをベアセル110の下部方向とする。
【0030】
回路モジュール120は、図1b〜図3に示すように、ベアセル110の上部に配置されてベアセル110と電気的に接続され、回路基板121、外部端子部122および溶接用ホール124を含んでなる。また、回路モジュール120は、アンテナ接続パッド127とPTC接続パッド128をさらに含んでなる。
【0031】
回路基板121は、樹脂からなるプレート状に形成され、電池の充放電を制御することにより、充電状態を一定にする充放電回路パターン(図示せず)、または過充放電を防止する保護回路パターン(図示せず)を含む。このような回路基板121は、下面121bに充放電回路パターン(図示せず)および保護回路パターン(図示せず)の実現のために設けられた回路素子123を含むことができる。一方、本発明で回路基板121の上面121aは回路モジュール120の上面と同一であり、回路基板121の下面121bは回路モジュール120の下面と同一であるとする。
【0032】
外部端子部122は、回路基板121の上面121aに設けられ、回路基板121と外部電子機器(図示せず)を電気的に接続する役割をする。このような外部端子部122は、金属材質の電源端子122a、122b、アンテナ端子122cおよびID(IDentifacation)端子122dを含んでなる。
【0033】
溶接用ホール124は、回路基板121の上面121aと下面121bを貫通して形成される。このような溶接用ホール124は、ベアセル110の電極端子114と対応する領域に位置し、抵抗溶接によってベアセル110の電極端子114に第1リードプレート132を溶接する時に溶接空間を提供する役割をする。
【0034】
アンテナ接続パッド127は、回路基板121の下面121bの一側に金属材質のプレート状に形成される。またアンテナ接続パッド127は、回路基板121に形成された別途の回路パターン(図示せず)を通じてアンテナ端子122cと電気的に接続される。このようなアンテナ接続パッド127は、具体的に第1アンテナ接続パッド127aおよび第2アンテナ接続パッド127bを含んでなる。第1アンテナ接続パッド127aおよび第2アンテナ接続パッド127bは、後述するループアンテナ部150の第1アンテナリードプレート153と第2アンテナリードプレート154と接して電気的に接続される。これにより、アンテナ接続パッド127は、アンテナ端子122cとループアンテナ部150を電気的に接続させる。
【0035】
PTC接続パッド128は回路基板121の下面121bの他側に金属材質のプレート状に形成される。またPTC接続パッド128は、回路基板121の充放電回路パターン(図示せず)を通じて電源端子122a、122bと電気的に接続される。このようなPTC接続パッド128は、具体的に、第1PTC接続パッド128aと第2PTC接続パッド128bとを含んでなる。第1PTC接続パッド128aおよび第2PTC接続パッド128bは、後述するPTC素子部160の第1PTCリードプレート164および第2PTCリードプレート166と接して電気的に連結される。これにより、PTC接続パッド128は電源端子122a、122bとPTC素子部160を電気的に接続させる。
【0036】
第1リードプレート132は、回路基板121の下面121bに溶接用ホール124を覆うように設けられて回路モジュール120の負極配線パターン(図示せず)と電気的に接続され、溶接用ホール224を通した抵抗溶接により電極端子114と電気的に接続される。このような第1リードプレート132は、金属材質、例えばニッケルまたはニッケル合金からなる。ここで、第1リードプレート132は、電極端子114に接続されて電極端子114のように負極として機能をすることができる。
【0037】
第2リードプレート134は、回路基板121の下面121bの両側に設けられて回路モジュール120の正極配線パターン(図示せず)と電気的に接続され、ベアセル110の上面110aと連結するように延びてベアセル110の上面110aと電気的に接続される。このような第2リードプレート134は、金属材質、例えばニッケルまたはニッケル合金からなる。ここで、第2リードプレート134は、ベアセル110の上面110a(すなわち、キャッププレート113からなり、正極としての役割をする。)と連結して正極として機能することができる。
【0038】
電磁波遮蔽テープ140は、ベアセル110の一側面、例えば長側面110dに備えられる。具体的に、電磁波遮蔽テープ140は、ベアセル110の長側面110dと後述するループアンテナ部150との間に介する。このような電磁波遮蔽テープ140は、ループアンテナ部150から発生する電磁波を吸収し、ループアンテナ部150の電磁波がベアセル110の充放電機能に影響を与えることを防止する役割をする。そのために、電磁波遮蔽テープ140は、ループアンテナ部150の電磁波を接地できるように基材に伝導パターンを形成してなる。ここで、電磁波遮蔽テープ140は、ループアンテナ部150の電磁波を効果的に遮蔽するために、少なくともベアセル110の長側面110dに装着するループアンテナ部150より大きく形成する。
【0039】
ループアンテナ部150はベアセル110の一側面に装着する。すなわち、ループアンテナ部150は、ベアセル110の長側面110dに備えられる電磁波遮蔽テープ140を覆うように装着する。このようなループアンテナ部150は、アンテナ接続パッド127と回路基板121に形成された別途の回路パターン(図示せず)を通じてアンテナ端子122cに電気的に接続され、携帯端末機のような外部電子機器と電気的に接続できる。ループアンテナ部150は、誘導起電力を形成できるように形成され、カード読取機のような別の外部電子機器から受信した無線信号(RF:Radio Frequency)をバッテリパック100が装着された外部電子機器に送信でき、逆にバッテリパック100が装着された外部電子機器から発生する送信信号をカード読取機のような別の外部電子機器に送信することができる。ここで、無線信号はDMBを含む放送信号、RFIDリーディング信号、スマートカードスキャン信号およびこれの等価信号を含むことができる。
【0040】
具体的に、ループアンテナ部150は、第1カバーレイ151、アンテナパターン152、第1アンテナリードプレート153、第2アンテナリードプレート154および第2カバーレイ155を含んでなる。このようなループアンテナ部150の最大厚さは、約0.3mm〜0.5mmである。
【0041】
第1カバーレイ151は、プラスチック樹脂を用いて薄いフィルム状に形成され、後述するアンテナパターン152を保護する役割をする。
【0042】
アンテナパターン152は、第1カバーレイ151上にアンテナ線が数回巻線される形態で第1カバーレイ151の縁部に沿って形成できる。このようなアンテナパターン152は、外部から無線信号を受信してバッテリパック100が装着される外部電子機器に内蔵された電子チップに誘導起電力を形成し、その電子チップから発生した送信信号を送信することができる。
【0043】
第1アンテナリードプレート153と第2アンテナリードプレート154は、アンテナパターン152の両側端部に連結し、回路モジュール120の第1および第2アンテナ接続パッド127a、127bと接するように延びる。このような第1アンテナリードプレート153と第2アンテナリードプレート154は、バッテリパック100が装着される外部電子機器とアンテナパターン152を電気的に接続させ、バッテリパック100が装着される外部電子機器と別の外部機器との通信を可能にする。ここで、第1アンテナリードプレート153と第2アンテナリードプレート154は金属材質で形成できる。
【0044】
第1アンテナリードプレート153は、具体的にアンテナパターン152の一側端部に連結した第1ベース部153aと、第1ベース部153aから折り曲げられて延び、第1アンテナ接続パッド127aと連結する第1延長部153bとを含むことができる。
【0045】
第2アンテナリードプレート154は、具体的にアンテナパターン152の他側端部に連結した第2ベース部154aと、第2ベース部154aから折り曲げられて延び、第2アンテナ接続パッド128aと連結する第2延長部154bとを含むことができる。
【0046】
第2カバーレイ155は、プラスチック樹脂を用いて薄いフィルム状に形成され、アンテナパターン152を覆って第1カバーレイ151と結合され、ベアセル110の一側面と対向する。このような第2カバーレイ155は第1カバーレイ151と共にアンテナパターン152を保護する役割をする。
【0047】
PTC素子部160はループアンテナ部150の一側に位置する。すなわち、PTC素子部160は、ループアンテナ部150の第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間におけるアンテナパターン152の外側に位置し、回路モジュール120の充放電回路パターン(図示せず)と電気的に接続されるように形成される。このようなPTC素子部160は、バッテリパック100に過電流や過電圧が流れて熱が発生し、設定温度以上となった場合に電流の流れを遮断することにより、バッテリパック100の発熱による破裂を防止することができる。
【0048】
具体的に、PTC素子部160は、図4および図5に示すように、PTC本体162、第1PTCリードプレート164および第2PTCリードプレート166を含んでなる。このようなPTC素子部160の最大厚さは、約0.5〜0.7mmである。
【0049】
PTC本体162は、ループアンテナ部150の第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間に介し、導電性粒子を結晶性高分子に分散させて製造する。PTC本体162は、温度がある臨界値を超えると電気抵抗がほとんど無限大となるデバイスであって、バッテリパック100が異常高温になった時に充放電電流を停止させることができる。このようなPTC本体162は、可逆的な動作をするため、バッテリパック100の温度が臨界値より低くなると再度充放電電流を流すことができる。これにより、PTC本体162はバッテリパック100の発熱による破裂を防止する安全装置としての役割を遂行できる。
【0050】
第1PTCリードプレート164は、PTC本体162の一面に連結し、回路モジュール120の第1PTC接続パッド128aと連結するように延びる。このような第1PTCリードプレート164の一部は、ループアンテナ部150の第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間に介する。
【0051】
具体的に、第1PTCリードプレート164は、PTC本体162の一面に接触する第1接触部164aと、第1接触部164aから折り曲げられて延びる第1連結部164bと、第1連結部164bから折り曲げられて延び、回路モジュール120の第1PTC接続パッド128aと接触する第1延長部164cとを含んでなる。
【0052】
第2PTCリードプレート166は、PTC本体162の他面に連結し、回路モジュール120の第2PTC接続パッド128bと連結するように延びる。このような第2PTCリードプレート166の一部は、ループアンテナ部150の第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間に介する。
【0053】
具体的に、第2PTCリードプレート166は、PTC本体162の他面に接触する第2接触部166aと、第2接触部166aから折り曲げられて延びる第2連結部166bと、第2連結部166bから折り曲げられて延び、回路モジュール120の第2PTC接続パッド128bと接触する第2延長部166cとを含んでなる。
【0054】
前記のような第1PTCリードプレート164と第2PTCリードプレート166は、PTC本体162と回路基板121の充放電回路パターン(図示せず)を電気的に接続し、バッテリパック100の充放電時に過電流や過電圧が発生してPTC本体162が臨界温度を超える場合、PTC本体162が電流の流れを遮断できるようにする。ここで、第1PTCリードプレート164と第2PTCリードプレート166は金属材質で形成できる。
【0055】
前記のような構成を有するベアセル110、回路モジュール120、ループアンテナ部150およびPTC素子部160の接続関係は次の通りである。
【0056】
図3に示すように、一側にPTC素子部160が位置したループアンテナ部150はベアセル110の一側面に装着し、ループアンテナ部150とPTC素子部160は回路モジュール120と電気的に接続される。これにより、従来のPTC素子部が回路モジュールに設けられる場合に比べて回路モジュール120において回路素子123が実装される実装空間がより確保でき、さらに回路モジュール120において回路素子123の実装空間を確保することにより回路基板121内部の回路パターンの層数を低減することができる。
【0057】
また、PTC素子部160は、ループアンテナ部150の一部分、すなわち第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間にアンテナパターン152と重ならない領域に設けられる。これにより、ループアンテナ部150を適用するバッテリパック100の厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができる。
【0058】
また、PTC素子部160は、ベアセル110の一側面に位置し、バッテリパック100の過充電または過電流の発生時にベアセル110の発熱の影響を直接的に受けて作動する。これにより、PTC素子部162の作動信頼性が高まり、バッテリパック100の破裂防止に対する信頼性が高まる。
【0059】
上部カバー170は、ベアセル110の上部に装着し、内部空間に回路モジュール120を収容する。このような上部カバー170はカバープレート171と、カバープレート171から回路モジュール120方向に延びた側壁174とを含んでなる。
【0060】
カバープレート171は、ベアセル110の上面110aと略類似形状に形成できる。カバープレート171の内面は回路基板121の上面121aと対向して接する。このようなカバープレート171は、外部端子部122と対応する領域に形成された貫通孔を175を含む。貫通孔を175は、外部端子部122をバッテリパック100の外部に露出させて、バッテリパック100と外部電子機器(図示せず)を電気的に接続できるようにする。
【0061】
側壁174は、上部カバー170の長さ方向の両端部に位置する両端部172と、両端部172を連結する連結部173とを含む。両端部172は、ベアセル110の上面110a中の短側面110b、110cと対応する領域に接し、上部カバー170を支持する。連結部173は両端部172より回路モジュール120方向にさらに延びる。連結部173中のベアセル110の一対の長側面110d、110eの上部を覆う部分は、後述するラベル190により覆われる。
【0062】
下部カバー180はベアセル110の下部に装着する。このような下部カバー180は、底プレート181と、底プレート181からベアセル110方向に延びた延長部182とを含んでなる。
【0063】
底プレート181は、ベアセル110の下面110fと略同じ形状であり、接着部材185によりベアセル110の下面110fに付着される。
【0064】
延長部182はベアセル110の長側面110d、110eの下部を覆う。延長部182は後述するラベル190により覆われる。
【0065】
ラベル190は、ベアセル110の側面(110b、110c、110d、110e)を覆うように貼付する。ラベル190は、上部カバー170の連結部173の一部と下部カバー180の延長部182を覆う。
【0066】
前記のように、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100は、PTC素子部160をベアセル110の一側面に装着するループアンテナ部150の一側に位置させることによって、従来のPTC素子部を回路モジュールに設ける場合に比べて回路モジュール120において回路素子123の実装空間をより確保でき、さらに回路素子123の実装空間の確保により回路基板121内部の回路パターンの層数を最小化することができる。
【0067】
なお、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100は、ループアンテナ部150の一部、すなわち、ループアンテナ部150の第1カバーレイ151と第2カバーレイ155との間にアンテナパターン152と重ならない領域にPTC素子部160を位置させることにより、ループアンテナ部を適用する場合におけるバッテリパック100の厚さおよび幅に対する設計の制約を最小化することができる。
【0068】
なお、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100は、PTC素子部160をベアセル110の一側面に位置させることにより、バッテリパック100の過充電または過電流の発生時に、PTC素子部160がベアセル110の発熱の影響を直接的に受けて作動するようにできる。これにより、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100は、PTC素子部160の作動信頼性を高め、バッテリパック100の破裂防止に対する信頼性を高めることができる。
【0069】
次は、本発明の他の実施形態に係るバッテリパック200について説明する。本発明の他の実施形態に係るバッテリパック200は、本発明の一実施形態に係るバッテリパック100と比べ、電磁波遮蔽テープ240の構成だけ異なり同一の構成を有する。これにより、同一の構成については同じ図面符号を付与し、重複説明は省略し、電磁波遮蔽テープ240の構成について重点的に説明する。
【0070】
図6aは本発明の他の実施形態に係るバッテリパックの完成斜視図であり、図6bは図6aのバッテリパックの分解斜視図であり、図7は図6bのベアセル、回路モジュール、ループアンテナ部およびPTC素子部の結合斜視図であり、図8は図7のB-B'線に沿って切断した断面を示す断面図であり、図9は図7の電磁波遮蔽テープとPTC素子部の連結関係を示すための電磁波遮蔽テープとPTC素子部の平面図である。
【0071】
図6aおよび図6bに示すように、本発明の他の実施形態に係るバッテリパック200は、ベアセル110、回路モジュール120、第1リードプレート132、第2リードプレート134、電磁波遮蔽テープ240、ループアンテナ部150およびPTC(Positive
Temperature coefficient)素子部160、上部カバー170、下部カバー180およびラベル190を含んでなる。
【0072】
図6aおよび図9に示すように、電磁波遮蔽テープ240は、図1bの電磁波遮蔽テープ140と同じ材質で形成され、同じ位置に介し同じ機能をする。但し、電磁波遮蔽テープ240は、PTC素子部160と対応する部分に形成された収容ホール242をさらに含む。このような電磁波遮蔽テープ240は、PTC素子部160が位置したループアンテナ部150がベアセル110の一側面、すなわち長側面110dに装着される時、PTC素子部160部分が収容ホール242に収容されるようにする。これにより、電磁波遮蔽テープ240は、PTC素子部160によるバッテリパック200の厚さの増加を低減することができる。
【0073】
前記のように、本発明の他の実施形態に係るバッテリパック200は、ループアンテナ部150の一側に位置したPTC素子部160を電磁波遮蔽テープ240の収容ホール242に収容してPTC素子部160によるバッテリパック200の厚さの増加を低減することによって、ループアンテナ部150を適用する場合において本発明の一実施形態に係るバッテリパック100に比べて厚さに対する制約をさらに最小化することができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0075】
100,200 バッテリパック
110 ベアセル
120 回路モジュール
132 第1リードプレート
134 第2リードプレート
140 電磁波遮蔽テープ
150 ループアンテナ部
160 PTC素子部
170 上部カバー
180 下部カバー
190 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアセルと、
前記ベアセルの上部に配置され、前記ベアセルと電気的に接続される回路モジュールと、
前記ベアセルの一側面に装着され、前記回路モジュールと電気的に接続されるループアンテナ部と、
前記ループアンテナ部の一側に位置し、前記回路モジュールと電気的に接続されるPTC素子部と、
を含むことを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記ループアンテナ部は、
第1カバーレイと、
前記第1カバーレイ上に前記第1カバーレイの縁部に沿って形成されるアンテナパターンと、
前記アンテナパターンの両側端部に連結する第1アンテナリードプレートおよび第2アンテナリードプレートと、
前記アンテナパターンを覆って前記第1カバーレイと結合され、前記ベアセルの一側面と対向する第2カバーレイと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記第1アンテナリードプレートは、前記アンテナパターンの一側端部に連結した第1ベース部と、前記第1ベース部から折り曲げられて延びる第1延長部とを含み、
前記第2アンテナリードプレートは、前記アンテナパターンの他側端部に連結した第2ベース部と、前記第2ベース部から折り曲げられて延びる第2延長部とを含むことを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記PTC素子部は、前記ベアセルの一側面と前記回路モジュールとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記PTC素子部は、前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に位置することを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記PTC素子部は、前記アンテナパターンの外側に位置することを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記PTC素子部は、
導電性粒子を結晶性高分子に分散させて形成された、前記第1カバーレイと前記第2カバーレイとの間に介するPTC本体と、
前記PTC本体の一面に連結する第1PTCリードプレートと、
前記PTC本体の他面に連結する第2PTCリードプレートと、を含むことを特徴とする請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記第1PTCリードプレートは、前記PTC本体の一面に接触する第1接触部と、前記第1接触部から折り曲げられて延びる第1連結部と、前記第1連結部から折り曲げられて延びる第1延長部とを含み、
前記第2PTCリードプレートは、前記PTC本体の他面に接触する第2接触部と、前記第2接触部から折り曲げられて延びる第2連結部と、前記第2連結部から折り曲げられて延びる第2延長部とを含むことを特徴とする請求項7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記回路モジュールは、下面に形成されたアンテナ接続パッドとPTC接続パッドとを含み、
前記アンテナ接続パッドは、前記第1アンテナリードプレートの第1延長部および前記第2アンテナリードプレートの第2延長部と接続されるように形成された第1アンテナ接続パッドおよび第2アンテナ接続パッドを含み、
前記PTC接続パッドは、前記第1PTCリードプレートの第1延長部および前記第2PTCリードプレートの第2延長部と接続されるように形成された第1PTC接続パッドおよび第2PTC接続パッドを含むことを特徴とする請求項8に記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記ベアセルの一側面と前記第2カバーレイとの間に介する電磁波遮蔽テープをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記電磁波遮蔽テープは、前記PTC素子部と対応する領域に形成された収容ホールを含むことを特徴とする請求項10に記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記回路モジュールは上部に形成された外部端子部を含み、
前記外部端子部は、前記PTC素子部と電気的に接続される電源端子と、前記ループアンテナ部と電気的に接続されるアンテナ端子とを含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−140897(P2010−140897A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267642(P2009−267642)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】