説明

バッテリーパック、及びデータフラッシュの動作の制御方法

【課題】データフラッシュの動作の制御方法とその機能を持つバッテリーパックを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法は、2個のデータフラッシュの記録、コピー及び削除を、該当データフラッシュの特定領域に保存されている状態フラッグによって行うことによって、一つのデータフラッシュが満たされる場合、他のデータフラッシュに一部のデータをコピーするか、またはデータフラッシュを削除する途中で、リセットが発生する場合に発生するデータフラッシュ故障を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリーパックに係り、より詳細には、データフラッシュの動作の制御方法とこの機能を持つバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、充放電の可能な二次電池は、携帯電話(cellular phone)、ノート型パソコン、カムコーダ、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯用電子機器の開発に活発な研究が進みつつある。特に、これらの二次電池は、ニッケル−カドミウム電池、鉛蓄電池、ニッケル−水素電池(NiMH:Nickel Metal Hydride Battery)、リチウム−イオン電池、リチウムポリマー電池、金属リチウム電池、空気亜鉛蓄電池などの多様な種類が開発されている。これらの二次電池は回路と合わせられてバッテリーパックを構成し、バッテリーパックの外部端子を通じて充電及び放電が行われる。
【0003】
従来のバッテリーパックは、バッテリーセルと、充放電回路を含む周辺回路とを備えてなり、この周辺回路は、印刷回路基板で製作された後、前記バッテリーセルと結合される。前記バッテリーパックの外部端子を通じて外部電源が連結すれば、外部端子と充放電回路とを通じて供給される外部電源によりバッテリーセルが充電され、外部端子を通じて負荷が連結されれば、バッテリーセルの電源が充放電回路と外部端子とを通じて負荷に供給される動作がおきる。この時、充放電回路は、外部端子とバッテリーセルとの間でバッテリーセルの充放電を制御する。
【0004】
一方、従来のバッテリーパックに備えられたマイクロコンピュータは、2個のデータフラッシュを使用して1個のデータフラッシュが満たされる場合、最新データを他のデータフラッシュにコピーした後、データフラッシュに保存されていたデータを削除する動作を行う。しかし、データコピーまたは削除途中にバッテリーパックでリセットが発生すれば、2個のデータフラッシュがいずれも不安定な状態、例えば、2個のデータフラッシュブロックにいずれもデータが記録される状態になって、データフラッシュの故障を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、一つのデータフラッシュが満たされる場合、他のデータフラッシュに一部のデータをコピーするか、またはデータフラッシュを削除する途中で、異常なリセットが発生する場合に発生するデータフラッシュ故障を防止するためのデータフラッシュの動作の制御方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の実施形態は、データフラッシュの動作制御機能を持つバッテリーパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を達成するための、本発明の一実施形態による第1データフラッシュ及び第2データフラッシュを備えるマイクロコンピュータで、データフラッシュの動作を制御する方法は、前記第1データフラッシュにデータを記録するステップと、前記第1データフラッシュが満たされれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータのうち一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーするステップと、前記第2データフラッシュへのコピーが完了すれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除するステップと、を含み、前記記録ステップ、前記コピーステップ及び前記削除ステップは、前記第1データフラッシュ及び第2データフラッシュそれぞれの特定領域に保存されている状態フラッグによって行われることを特徴とする。
【0008】
前記状態フラッグは、該当データフラッシュが削除された状態、データコピー中の状態、データコピー完了状態、使用中の状態のうち一つの状態を表すことを特徴とする。
【0009】
前記データフラッシュの動作の制御方法は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュの状態フラッグがデータコピー中の状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第2データフラッシュへのコピー中のデータを削除し、前記第1データフラッシュに保存された一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0010】
前記データフラッシュの動作の制御方法は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0011】
前記データフラッシュの動作の制御方法は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが削除された状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0012】
前記特定領域は、前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの最後の3バイト領域であることを特徴とする。
【0013】
前記一部のデータは、前記第1データフラッシュに最後に記録されたデータであることを特徴とする。
【0014】
前記他の技術的課題を達成するための、本発明の他の実施形態によるバッテリーセル、前記バッテリーセルの保護機能を行うマイクロコンピュータを備えるバッテリーパックにおいて、前記マイクロコンピュータは、前記バッテリーセルの保護機能を行うためのデータを保存し、該当データフラッシュが削除された状態、データコピー中の状態、データコピー完了状態、使用中の状態のうち一つの状態を表す状態フラッグを特定領域に保存する第1データフラッシュ及び第2データフラッシュと、前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの状態フラッグによってデータフラッシュの動作を制御する制御部と、を備える。
【0015】
前記制御部は、前記第1データフラッシュにデータを記録し、前記第1データフラッシュが満たされれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータのうち一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第2データフラッシュへのコピーが完了すれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0016】
前記制御部は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュの状態フラッグがデータコピー中の状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第2データフラッシュへのコピー中のデータを削除し、前記第1データフラッシュに保存された一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0017】
前記制御部は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0018】
前記制御部は、前記第1データフラッシュの状態フラッグが削除された状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする。
【0019】
前記状態フラッグは、前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの最後の3バイト領域に保存されたことを特徴とする。
【0020】
前記一部のデータは、前記第1データフラッシュに最後に記録されたデータであることを特徴とする。
【0021】
前記さらに他の技術的課題を達成するための、本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法によれば、一つのデータフラッシュが満たされる場合、他のデータフラッシュに一部のデータをコピーするか、またはデータフラッシュを削除する途中でリセットが発生する場合に発生するデータフラッシュ故障を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパック100の回路図である。
【図2】図1に示したマイクロコンピュータ110の概略的なブロック図である。
【図3】マイクロコンピュータ100に備えられた記録媒体間のデータ伝達を説明するための図面である。
【図4A】データフラッシュの構造を説明するための図面である。
【図4B】データフラッシュの構造を説明するための図面である。
【図5】本発明の他の実施形態によるデータフラッシュの構造を説明するための図面である。
【図6A】本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【図6B】本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【図6C】本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【図6D】本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【図6E】本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。下記の説明では、本発明の実施形態による動作を理解するのに必要な部分のみ説明され、それ以外の部分の説明は本発明の要旨を乱さないように省略されうる。
【0025】
また、以下で説明される本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通例的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明を最適に表現できるように、本発明の技術的思想に符合する意味及び概念に解釈されねばならない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100の回路図である。
【0027】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100は、充電可能なバッテリーセル130と保護回路とを備えてなり、携帯用ノート型パソコン(PC)のような外部システムに搭載されて、バッテリーセル130への充電及びバッテリーセル130による放電を行う。
【0028】
保護回路は、バッテリーセル130と並列に連結される外部端子(図示せず)、及びバッテリーセル130と外部端子との間の大電流経路(Heavy Charged Particle:HCP)に直列に連結された充電素子140及び放電素子150、放電素子150と外部端子との間のHCPに直列に連結されたヒューズ160、バッテリーセル130と充電素子140及び放電素子150と並列に連結されたアナログフロントエンド(Analog Front End;以下、AFEという)IC 120、一端はAFE IC 120に、他端はヒューズ160に連結されたマイクロコンピュータ110を備えてなる。バッテリーパック100の保護回路は、バッテリーセル130と外部端子との間のHCPに直列に連結され、マイクロコンピュータ110とも連結される電流感知部170をさらに備える。また、マイクロコンピュータ110または外部システムの制御によって、ヒューズ160を溶断させるための自己保護制御装置(図示せず)をさらに備えることができる。マイクロコンピュータ110は、バッテリーセル130を過充電及び過放電状態に判断した時、充電素子140及び放電素子150をオフさせるか、ヒューズ160を溶断させてバッテリーセル130の過充電及び過放電を遮断する。すなわち、マイクロコンピュータ110はバッテリーセル130を過充電及び過放電状態に判断すれば、それに対応する制御信号を出力して、制御スイッチ(図示せず)とヒーター(図示せず)とを通じてヒューズ160を溶断させる。
【0029】
前記のように構成されたバッテリーパック100は、外部端子を通じて外部システムと連結されて充電または放電が行われる。前記外部端子とバッテリーセル130との間の経路のHCPは充放電経路として使われ、このHCPを通じて比較的大きい電流が流れる。これらのバッテリーパック100は、外部システムとの通信のために、保護回路のマイクロコンピュータ110と外部端子との間にはSMBUS(System Management BUS)をさらに備える。
【0030】
ここで、外部端子を通じて連結される外部システムは、携帯用電子機器、例えば、携帯用ノート型パソコンであって、別途に電源供給のためのアダプターを備えることができる。これに、外部システムがアダプターと連結されれば、外部システムはアダプターにより動作でき、アダプターの電源は、外部端子を通じてHCPを経てバッテリーセル130に供給されて、バッテリーセル130を充電させることができる。そして、外部システムがアダプターと分離されれば、バッテリーセル130から外部端子を通じて外部システムの負荷への放電が行われうる。すなわち、前記外部端子にアダプターが連結された外部システムが連結されれば、充電動作がおき、この時の充電経路は、アダプターから外部端子、放電素子150、充電素子140を経てバッテリーセル130につながる。前記外部システムでアダプターが分離され、前記外部端子に外部システムの負荷が連結されれば、放電動作がおき、この時の放電経路は、バッテリーセル130から充電素子140、放電素子150、外部端子を経て外部システムの負荷につながる。ここで、バッテリーセル130は、充電及び放電の可能な2次バッテリーセルであって、図面でB+、B−は大電流の入出力端を表す。これらのバッテリーセル130は、その内部の各種情報、すなわち、セルの温度、セルの充電電圧及びセルに流れる電流量などのセル関連情報を、下記のAFE IC 120に出力させる。
【0031】
充電素子140及び放電素子150は、外部端子とバッテリーセル130との間のHCP上に直列に連結されて、バッテリーパックの充電または放電を行う。充電素子140及び放電素子150それぞれは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;以下、FETという)と寄生ダイオード(parasitic diode;以下、Dという)とで形成される。すなわち、充電素子140はFET1とD1とで形成され、放電素子150は、FET2とD2とで形成される。充電素子140の電界効果トランジスタFET1のソースとドレインとの間の接続方向は、放電素子150の電界効果トランジスタFET2とは逆方向に設定する。このような構成で、充電素子140の電界効果トランジスタFET1は、外部端子からバッテリーセル130への電流フローを制限するように接続される一方、放電素子の電界効果トランジスタFET2は、バッテリーセル130から外部端子への電流フローを制限するように接続される。ここで、充電及び放電素子140、150の電界効果トランジスタFET1、FET2はスイッチング素子であり、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、他の種類のスイッチング機能を行う電気素子が使われうる。また、充電及び放電素子140、150に含まれた寄生ダイオードD1、D2は、電流が制限される方向の逆方向に電流が流れるように構成する。
【0032】
AFE IC 120は、バッテリーセル130と充電素子140及び放電素子150の間で並列に連結され、バッテリーセル130と下記のマイクロコンピュータ110との間で直列に連結される。AFE IC 120は、バッテリーセル130の電圧を検出し、検出された電圧をマイクロコンピュータ110に伝達し、マイクロコンピュータ110の制御により前記充電素子140及び放電素子150の動作を制御する。
【0033】
詳細に説明すれば、バッテリーセル130にアダプターが連結された外部システムが連結される場合、AFE IC 120は、充電素子140の電界効果トランジスタFET1をオン状態に、放電素子150の電界効果トランジスタFET2をオン状態に設定して、バッテリーセル130を充電させる。同様に、バッテリーセル130に外部システムの負荷が連結されれば、AFE IC 120は、充電素子140の電界効果トランジスタFET1をオン状態に、放電素子150の電界効果トランジスタFET2をオン状態に設定してバッテリーセル130を放電させる。
【0034】
マイクロコンピュータ110は、AFE IC 120と外部システムとの間に直列に連結される集積回路(Integrated Circuit;IC)であって、AFE IC 120を通じて充電素子140及び放電素子150を制御することによって、バッテリーセル130の過充電、過放電及び過電流を遮断する役割を行う。すなわち、AFE IC 120を通じて受信したバッテリーセル130の電圧を内部に設定された電圧レベル値と比較し、比較結果による制御信号をAFE IC 120に出力して充電素子140及び放電素子150をオン/オフさせることによって、バッテリーセル130の過充電、過放電及び過電流を遮断する。
【0035】
詳細に説明すれば、バッテリーセル130の電圧が内部に設定された過充電レベル電圧値、例えば、4.35V以上ならば、マイクロコンピュータ110は過充電状態であると判断し、それに対応する制御信号をAFE IC 120に出力して、充電素子140の電界効果トランジスタFET1をオフさせる。すると、外部システムのアダプターからバッテリーセル130への充電が遮断される。この時、充電素子140の寄生ダイオードD1は、充電素子140の電界効果トランジスタFET1がオフになってもバッテリーパックの放電機能を行わせる役割を行う。逆に、マイクロコンピュータ110に受信されたバッテリーセル130の電圧が、内部に設定された過放電レベル電圧値、例えば、2.30V以下ならば、マイクロコンピュータ110は、過放電状態であると判断し、それに対応する制御信号をAFE IC 120に出力して、放電素子150の電界効果トランジスタFET2をオフさせる。すると、バッテリーセル130から外部システムの負荷への放電が遮断される。この時、放電素子150の寄生ダイオードD2は、放電素子150の電界効果トランジスタFET2がオフになっても、バッテリーパックの充電機能を行わせる役割を行う。
【0036】
また、マイクロコンピュータ110は、SMBUSを通じて外部システムと通信する機能を持つ。すなわち、マイクロコンピュータ110は、バッテリーセル130の電圧のような情報をAFE IC 120から受信して外部システムに伝達する。この時、バッテリーセル130の情報は、SMBUSのクロックラインのクロック信号に同期されて、データラインを通じて外部システムに伝えられる。
【0037】
電流感知部170は、バッテリーパック100の電流を感知できる手段になる。これらの電流感知部170に感知された電流情報はマイクロコンピュータ110に入力される。もし、バッテリーパック100に過電流が流れれば、マイクロコンピュータ110は、電流のフローを遮断する制御信号を出力して、充電素子140及び放電素子150やヒューズ160をオフさせてバッテリーパック100の過電流状態を遮断する。
【0038】
図2は、図1に示したマイクロコンピュータ110の概略的なブロック図であり、図3は、マイクロコンピュータ100に備えられた記録媒体間のデータ伝達を説明するための図面である。
【0039】
図2を参照すれば、マイクロコンピュータ110は、制御部111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、データフラッシュ_B(Data Flash_B;DF_B)114及びデータフラッシュ_A(Data Flash_A;DF_A)115を備えて構成され、制御部111とそれぞれの記録媒体とは、データバスに連結されている。本発明の一実施形態によるマイクロコンピュータ110は、2個のデータフラッシュ領域に分けて使用し、1個のデータフラッシュ領域が満たされれば、最新情報を他のデータフラッシュ領域にコピーした後、満たされたデータフラッシュ領域を削除して使用する。
【0040】
また、マイクロコンピュータ110は、バッテリー保護回路の全般的な動作を制御する。ここでは、マイクロコンピュータ110と記録媒体との間のデータ書き込み、コピー、削除の動作のみを、図3を参照して説明する。
【0041】
図2及び3を参照すれば、ROM 112には固定データと可変データとが保存され、DF初期値、すなわち、可変データが最初のリセット時にRAM 113にコピーされる。そして、RAM 113に移されたデータは、一定時間隔、例えば、10秒間隔でDF_B 114に記録される。DF_B 114からリセット時に、最新データを再びRAM 113にリロード(reload)する。そして、DF_B 114が満たされれば、保存されたデータのうち最新データをDF_A115にコピーし、DF_B 114に保存されたデータを削除する。
【0042】
図4A及び図4Bは、データフラッシュの構造を説明するための図面である。
【0043】
図2及び3を参照して説明したように、図4A及び図4Bには、2個のデータフラッシュ、すなわち、DF_BとDF_Aとが図示されており、それぞれ2kbyteのメモリ容量を持つ。図4Aを参照すれば、DF_Bにデータを記録していてメモリ容量が満たされれば、図4Bに示したように、DF_Bに保存されたデータのうち一部のデータ、すなわち、最新データのみをDF_Aにコピーしてから、DF_Bに保存されたデータを削除する。この場合、DF_Aにコピーし、DF_Bに保存されたデータの削除動作中にリセットが発生すれば、コピーまたは削除が失敗してデータフラッシュ故障が発生するという問題点がある。
【0044】
図5は、本発明の他の実施形態によるデータフラッシュの構造を説明するための図面である。
【0045】
図5を参照すれば、それぞれのデータフラッシュ領域DF_A及びDF_Bの特定領域500及び510に、それぞれのデータフラッシュの状態を表す状態フラッグを設定して保存する。したがって、データコピーまたは削除中にリセットが発生した場合にも、状態フラッグによってデータフラッシュの動作を制御できる。ここで、該当データフラッシュの最後の3バイトにデータフラッシュの状態情報を保存する。状態フラッグの種類は、該当データフラッシュが削除された状態、データコピー中の状態、データコピー完了状態、使用中の状態を含む。例えば、削除された状態(FFFFFF)に状態フラッグが設定された場合には、該当データフラッシュは削除された状態であることを表し、他のデータフラッシュは使用中または未使用状態であり、データコピー中の状態(FFFF5A)に状態フラッグが設定された場合には、該当データフラッシュは有効データの使用中を表し、他のデータフラッシュはデータが満たされた状態であり、データコピー完了状態(FFA55A)に状態フラッグが設定された場合には、該当データフラッシュは使用中、すなわち、最新データコピー完了であり、他のデータフラッシュは削除中であり、使用中の状態(5AA55A)に状態フラッグが設定された場合には、該当データフラッシュは使用中であり、他のデータフラッシュは削除完了であることが分かる。
【0046】
制御部111は、基本的にDF_Bにデータを記録し、DF_Bにデータが満たされれば、DF_Bに保存されたデータのうち一部のデータをDF_Aにコピーし、DF_Aへのコピーが完了すれば、DF_Bに保存されたデータを削除する。ここで、制御部111は、それぞれのデータフラッシュDF_B、DF_Aに保存された状態フラッグによって、データフラッシュの書き込み、コピー、削除を含む動作を制御する。また、制御部111はリセット信号を感知した場合、データフラッシュに設定されている状態フラッグによってデータフラッシュの動作を制御する。
【0047】
具体的に、DF_Aの状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)であり、DF_Bの状態フラッグが使用中の状態(5AA55A)に設定されている場合に、リセット発生時、有効ブロックはDF_Bであって削除する必要がないと判断する。DF_Aの状態フラッグが有効データコピー中(FFFF5A)に設定され、DF_Bの状態フラッグが使用中(5AA55A)、すなわち、満たされた状態に設定されている場合に、リセット発生時、有効ブロックはDF_Bであると判断してDF_Aへのコピー中のデータを削除した後、DF_BのデータをDF_Aに再びコピーし、DF_Bのデータを削除する。また、DF_Aの状態フラッグが使用中(FFA55A)、すなわち、有効データのコピー完了と設定され、DF_Bの状態フラッグが使用中(5AA55A)、すなわち、満たされた状態に設定されている場合に、リセット発生時、有効ブロックはDF_Aであると判断してDF_Bのデータを削除する。また、DF_Aの状態フラッグが使用中(FFA55A)、すなわち、有効データのコピー完了に設定され、DF_Bの状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)に設定されている場合に、リセット発生時、有効ブロックはDF_Aであると判断して、DF_Bのデータを削除する。また、DF_Aの状態フラッグが使用中(5AA55A)に設定され、DF_Bの状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)に設定されている場合に、リセット発生時、有効ブロックはDF_Aであると判断する。
【0048】
図6Aないし図6Eは、本発明のさらに他の実施形態によるデータフラッシュの動作の制御方法を説明するための図面である。
【0049】
図6Aを参照すれば、DF_Bにはデータが満たされており、状態フラッグが使用中(5AA55A)に設定されており、DF_Aには状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)に設定されている。この時、制御部111がリセット信号を感知した場合に、有効ブロックはDF_Bであると判断し、いかなるデータフラッシュも削除する必要はないことを確認する。
【0050】
図6Bを参照すれば、DF_Bにはデータが満たされており、状態フラッグが使用中(5AA55A)に設定されており、DF_AにはDF_Bのデータのうち一部のデータがコピーされている最中であり、状態フラッグは有効データコピー中(FFFF5A)である。この時、制御部111がリセット信号を感知した場合に、有効ブロックはDF_Bであると判断し、DF_Aにコピーされているデータを削除し、再びDF_Bのデータのうち一部をDF_Aにコピーする。そして、コピーが完了すれば、DF_Bのデータを削除する。
【0051】
図6Cを参照すれば、DF_Bにはデータが満たされており、状態フラッグが使用中(5AA55A)に設定されており、DF_AにはDF_Bの一部のデータがコピーされ、状態フラッグがコピー完了状態(FFA55A)である。この時、制御部111がリセット信号を感知した場合に、有効ブロックはDF_Aであると判断し、DF_Bのデータを削除する。
【0052】
図6Dを参照すれば、DF_Bにはデータが削除中であり、状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)に設定されており、DF_Aには、DF_Bのデータのうち一部のデータがコピー完了しており、状態フラッグはコピー完了状態(FFA55A)である。この時、制御部111がリセット信号を感知した場合に、有効ブロックはDF_Aであると判断し、削除中のDF_Bのデータを削除し続ける。
【0053】
図6Eを参照すれば、DF_Bにはデータが削除されて削除完了し、状態フラッグが削除された状態(FFFFFF)に設定されており、DF_Aには一部のデータがコピーされ、状態フラッグは使用中(5AA55A)である。この時、制御部111がリセット信号を感知した場合に、有効ブロックはDF_Aであると判断し、削除するデータフラッシュがないことを確認する。
【0054】
本発明の一実施形態によるデータフラッシュの動作制御を通じて、リセット時に発生できるデータフラッシュ故障を防止しつつ、2個のデータフラッシュのデータ書き込み、コピー、削除動作を安定的に行える。
【0055】
一方、本発明はコンピュータで読み取り可能な記録媒体に、コンピュータで読み取り可能なコードで実現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0056】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、またキャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じる伝送)の形態で実現するものを含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードが保存されて行われうる。そして、本発明を実現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0057】
これまで本発明について望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で本発明を実現できるということを理解できるであろう。したがって、前記開示された実施形態は限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は本発明に含まれていると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、バッテリーパック関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
100 バッテリーパック
110 マイクロコンピュータ
111 制御部
112 ROM
113 RAM
114 DF_B
115 DF_A
120 アナログフロントエンド(AFE)IC
130 バッテリーセル
140 充電素子
150 放電素子
160 ヒューズ
170 電流感知部
500、510 状態フラッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データフラッシュ及び第2データフラッシュを備えるマイクロコンピュータで、データフラッシュの動作を制御する方法であって、
前記第1データフラッシュにデータを記録するステップと、
前記第1データフラッシュが満たされれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータのうち一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーするステップと、
前記第2データフラッシュへのコピーが完了すれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除するステップと、を含み、
前記記録ステップ、前記コピーステップ及び前記削除ステップは、
前記第1データフラッシュ及び第2データフラッシュそれぞれの特定領域に保存されている状態フラッグによって行われることを特徴とするデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項2】
前記状態フラッグは、
該当データフラッシュが削除された状態、データコピー中の状態、データコピー完了状態、使用中の状態のうち一つの状態を表すことを特徴とする請求項1に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項3】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュの状態フラッグがデータコピー中の状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
前記第2データフラッシュへのコピー中のデータを削除し、前記第1データフラッシュに保存された一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項2に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項4】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項2に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項5】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが削除された状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
さらにデータ動作が求められるまで、前記第1データフラッシュ又は前記第2データフラッシュのいずれからもデータをさらに削除しないことを特徴とする請求項2に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項6】
前記特定領域は、
前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの最後の3バイト領域であることを特徴とする請求項1に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項7】
前記一部のデータは、
前記第1データフラッシュに最後に記録されたデータであることを特徴とする請求項1に記載のデータフラッシュの動作の制御方法。
【請求項8】
バッテリーセル、前記バッテリーセルの保護機能を行うマイクロコンピュータを備えるバッテリーパックにおいて、
前記マイクロコンピュータは、
前記バッテリーセルの保護機能を行うためのデータを保存し、該当データフラッシュが削除された状態、データコピー中の状態、データコピー完了状態、使用中の状態のうち一つの状態を表す状態フラッグを特定領域に保存する第1データフラッシュ及び第2データフラッシュと、
前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの状態フラッグによってデータフラッシュの動作を制御する制御部と、を備えるバッテリーパック。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1データフラッシュにデータを記録し、前記第1データフラッシュが満たされれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータのうち一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第2データフラッシュへのコピーが完了すれば、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュの状態フラッグがデータコピー中の状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
前記制御部は、
前記第2データフラッシュへのコピー中のデータを削除し、前記第1データフラッシュに保存された一部のデータを前記第2データフラッシュにコピーし、前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが使用中の状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
前記制御部は、
前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記第1データフラッシュの状態フラッグが削除された状態に設定され、前記第2データフラッシュがデータコピー完了状態に設定され、リセットイベントが発生した場合、
前記制御部は、
前記第1データフラッシュに保存されたデータを削除することを特徴とする請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記状態フラッグは、
前記第1データフラッシュ及び前記第2データフラッシュの最後の3バイト領域に保存されたことを特徴とする請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記一部のデータは、
前記第1データフラッシュに最後に記録されたデータであることを特徴とする請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
請求項1に記載の方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【公開番号】特開2011−70675(P2011−70675A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217130(P2010−217130)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】