バッテリ装置
【課題】本発明は、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して外れたバスバーを検出できるバッテリ装置を提供する。
【解決手段】バッテリ装置20は、CPU80を備える。CPU80は、バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、各ヒューズがM番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、M−1番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズから1番目のバッテリセルの負極に接続されるヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目のバッテリセルとM−1番目のバッテリセルとを接続するバスバーが外れたと判定する。
【解決手段】バッテリ装置20は、CPU80を備える。CPU80は、バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、各ヒューズがM番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、M−1番目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズから1番目のバッテリセルの負極に接続されるヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目のバッテリセルとM−1番目のバッテリセルとを接続するバスバーが外れたと判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車に用いられるバッテリ装置のバスバー外れを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車は、車両を走行するためのモータの駆動原としてバッテリ装置を備えている。バッテリ装置は、ハウジングと、このハウジング内に収容される複数のバッテリモジュールを備えている。バッテリモジュールは、1つの例えば二次電池をバッテリセルとして複数のバッテリセルを備えている。これらバッテリセルは、バスバーによって直列に電気的に接続されている。バスバーは、各バッテリセルに、例えばボルトとナットとで締結されて固定されている。
【0003】
バスバーをバッテリセルに固定する固定構造がゆるむなどして、例えば上記ナットがゆるむことによって、バスバーがバッテリセルから外れてしまうことがある。バスバーが外れると、バッテリ装置から電力を外部に供給できなくなる。このため、外れたバスバーを、再度バッテリセルに固定する作業が必要になる。
【0004】
しかしながら、バッテリモジュールはハウジング内に収容されており、外れたバスバーを特定することは比較的難しい。このため、外れたバスバーを特定する技術が提案されている。
【0005】
この種の技術では、内部に複数の回折格子が設けられた光ファイバをバスバーとボルトとの間に挟持するとともに、多波長の光を発信できる送受信機を用いる。送受信機は、光ファイバ内に多波長の光を入射するとともに、反射光を検出するセンサを備えている。光ファイバ内で反射される光は、内部の回折格子の状態によって変化する。
【0006】
ボルトがゆるむことによって光ファイバに加わる圧力が低下し、光ファイバ内での回折格子間の距離が短くなる。この結果、送受信機のセンサが検出する反射光が変化する。送受信機は、反射光の変化からボルトのゆるみを検出するとともに、外れたバスバーを検出する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、外れたバスバーを検出するために、光ファイバと、センサを備える送受信機とが必要になるため、構造が複雑になるとともにコストが高くなる傾向にある。
【0008】
一方、バッテリ装置としては、各バッテリモジュールが各バッテリセルを検出する電池監視装置を備える構造が提案されている。電池監視装置は、例えばA/Dコンバータなどの電圧測定回路と、電圧測定回路による検出値に基づいて各バッテリセルの状態を判定するCPUとを備えている。
【0009】
電圧検出回路は、各バッテリセルにヒューズを介して電気的に接続されており、各バッテリセルの電圧を測定可能となっている。モジュール内において隣り合うヒューズ間は、バスバーが外れた際に発生する過大な逆電圧から電圧測定回路を保護するために、ダイオードによって連結されている。
【0010】
バスバーが外れると、負荷電流は、外れたバスバーを迂回してヒューズとダイオードとを流れるとともにヒューズが切断(溶断)されることによって、逆電圧による電圧測定回路への影響を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−241421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のような構造を備えるバッテリ装置であっても、外れたバスバーを特定するためには特許文献1で開示されるようなセンサなどを用いる構造が必要になる。この結果、コストが高くなることが考えられる。
【0013】
本発明は、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のバッテリ装置は、少なくとも1つのバッテリモジュールを備えるバッテリ装置である。前記バッテリモジュールは、複数のバッテリセルと、前記バッテリセル間の各々に設けられて1番目から最終番目までの前記バッテリセルを順番に直列に接続するバスバーと、前記各バッテリセルの監視を行うバッテリ監視装置とを備える。前記バッテリ監視装置は、前記各バッテリセルの電圧を測定する電圧測定部と、1番目のバッテリセルの負極と前記電圧測定部の間に設けられて前記負極を前記電圧測定部に接続するとともに、前記各バッテリセルの正極と前記電圧測定部の間の各々に設けられて前記正極の各々を前記電圧測定部に接続する複数のヒューズと、1番目の前記バッテリセルの両極に接続される一対の前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続するとともに、順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続する複数のダイオードと、前記電圧測定部の検出結果に基づいて前記各バッテリセルの状態を判定する判定部とを備える。1番目の前記バッテリセルの両極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、正極に接続されるヒューズ側が順方向先端側となるように設けられる。順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、順番が後ろの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側が順方向の先端側となるように設けられる。前記判定部は、前記バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、M番目から最終番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから前記最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目からM−1番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M−1番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目の前記バッテリセルとM−1番目の前記バッテリセルとを接続する前記バスバーが外れたと判定する。
【0015】
請求項2に記載のバッテリ装置は、請求項1に記載のバッテリ装置において、前記バッテリモジュールは、複数設けられる。前記バッテリモジュール間の各々にモジュール間接続用バスバーが設けられることによって、1番目から最終番目までの前記バッテリモジュールが順番に直列に接続される。前記モジュール間接続用バスバーは、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールのうち、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルと、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルとを接続する。
【0016】
請求項3に記載のバッテリ装置は、請求項2に記載のバッテリ装置において、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との前記接続部と、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部とを互いに接続するモジュール間接続用ダイオードと、前記複数のバッテリモジュールの前記各判定部に接続されて前記各バッテリモジュールを監視するバッテリマネジメントユニットとを備える。前記モジュール間接続用ダイオードは、前記モジュール間接続用ダイオードが接続する2つの前記バッテリモジュールのうち順番が後ろの前記バッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられ、前記バッテリマネジメントユニットは、前記複数のバッテリモジュールの個数を示す数以下であって1を超える自然数をNとするとき、N番目の前記バッテリモジュールから最終番目の前記バッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N番目の前記バッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズから最終番目の前記バッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目の前記バッテリモジュールからN−1番目のバッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N−1番目の最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目のバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、N番目のバッテリモジュールとN−1番目のバッテリモジュールとを接続する前記モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0017】
請求項4に記載のバッテリ装置は、請求項3に記載のバッテリ装置において、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュール間において前記モジュール間接続用ダイオードに接続されて順方向が前記モジュール間接続用ダイオードの順方向に対して逆向きとなるツェナーダイオードを備える。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1に記載のバッテリ装置では、1つのバスバーが外れると、このバスバーの両側のヒューズが1つずつ順番に切断される。判定部は、このようなヒューズの切断の傾向を検出することによって、外れたバスバーを別途にセンサなどを必要としないで検出することができる。
【0019】
この結果、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供できる。
【0020】
本願の請求項2に記載のバッテリ装置では、複数のバッテリモジュールを備える構造であっても、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、請求項1と同様に、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供することができる。
【0021】
本願の請求項3に記載のバッテリ装置では、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用ダイオードを備える構造であっても、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、請求項1,2と同様に、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供することができる。さらに、外れたモジュール間接続用バスバーを検出できる。
【0022】
本願の請求項4に記載のバッテリ装置では、モジュール間接続用ダイオードにツェナーダイオードを接続することによって、切断されるヒューズの数を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置を備える電気自動車を示す概略図。
【図2】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図3】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図4】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図5】図1に示されたCPUの動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置を示す概略図。
【図7】図6に示されたCPUの動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図6に示されたBMUの動作の一例を示すフローチャート。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置を、図1〜5を用いて説明する。図1は、本発明のバッテリ装置20を備える電気自動車10を示す概略図である。バッテリ装置20は、本発明のバッテリ装置の一例である。なお、バッテリ装置20は、電気自動車10に備えられることに限定されない。例えば、ハイブリッド車に備えられてもよい。
【0025】
図1に示すように、電気自動車10は、一対の前輪11と、一対の後輪12と、後輪12を駆動するモータ13と、モータ13に電力を供給するバッテリ装置20と、表示装置100とを備えている。電気自動車10は、一例として後輪駆動であって、モータ13がデファレンシャルギヤ14などを介して後輪12に連結されている。このため、モータ13が駆動すると後輪12が回転し、それゆえ、電気自動車10が走行可能となる。
【0026】
バッテリ装置20は、ハウジング21と、ハウジング21内に収容される複数のバッテリモジュールと、BMU(Buttery Management Unit)90とを備える。本実施形態では、一例として、第1〜3のバッテリモジュール22,23,24を備えている。なお、バッテリモジュールの数は3つに限定されない。バッテリモジュールは、他の複数設けられてもよい。第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、本発明で言うバッテリモジュールの一例である。
【0027】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、順番に直列に電気的に接続されている。第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、負荷電流Iの流れる方向に順番に配置される。
【0028】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24の構造は、互いに同じであってよい。このため、本実施形態では、第2のバッテリモジュール23を代表して説明する。図1中では、第2のバッテリモジュール23の構造を具体的に示しており、第1,3のバッテリモジュール22,24の構造は、二点鎖線で省略されて示されている。なお、図中、右から左に向けて、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の順番で配置されている。
【0029】
第2のバッテリモジュール23は、モジュールハウジング30と、モジュールハウジング30内に収容される複数のバッテリセルと、電池監視装置31とを備えている。図中、電池監視装置31は、一点鎖線で囲まれて示されている。
【0030】
本実施形態では、複数のバッテリセルの一例として、第1〜4のバッテリセル32,33,34,35を備えている。第1〜4のバッテリセル32〜35は、一例として二次電池であるリチウムイオン電池であって、例えば4V(ボルト)である。第1〜4のバッテリセル32〜35は、互いに順番に直列に電気的に接続されている。言い換えると、第1〜4のバッテリセル32〜35は、負荷電流Iの流れる方向に順番に直列に接続される。なお、複数のバッテリセルの数は、4つに限定されない。5つや6つなど他の複数であってもよい。
【0031】
第1〜4のバッテリセル32〜35の電気的接続構造を説明する。第1のバッテリセル32と第2のバッテリセル33とは、第1のバスバー36によって、互いに電気的に接続されている。第1のバスバー36は、第1,2のバッテリセル32,33に例えばナットによって締結されて固定されている。第1のバッテリセル32は、本発明で言う1番目のバッテリセルである。
【0032】
第2のバッテリセル33と第3のバッテリセル34とは、第2のバスバー37によって、互いに電気的に接続されている。第2のバスバー37は、第2,3のバッテリセル33,34に例えばナットによって締結されて固定されている。
【0033】
第3のバッテリセル34と第4のバッテリセル35とは、第3のバスバー38によって、互いに電気的に接続されている。第3のバスバー38は、第3,4のバッテリセル34,35に例えばナットによって締結されて固定されている。
【0034】
本発明で言う、最終番目のバッテリセルとは、順番に直列に接続される複数のバッテリセルのうち最後に配置されるバッテリセルを示している。本実施形態では、第4のバッテリセル35が、本発明で言う最終番目のバッテリセルである。
【0035】
電池監視装置31は、各バッテリセルの監視を行う。電池監視装置31は、電圧測定回路50と、複数のヒューズと、複数のダイオードと、CPU(Central Processing Unit)80とを備えている。電池監視装置31は、本発明で言う電池監視装置の一例である。
【0036】
電圧測定回路50は、本実施形態では一例としてA/Dコンバータが用いられており、後述されるヒューズを介して入力される電圧を検出する。電圧測定回路50は、本発明で言う電圧測定部の一例である。
【0037】
複数のヒューズは、第1〜4のバッテリセル32〜35の電圧を電圧測定回路50にて検出可能とするために、各バッテリセル32〜35の正極Pおよび第1のバッテリセル32の負極Mを、電圧測定回路50に電気的に接続する。本実施形態では、複数のヒューズの一例として、第1〜5のヒューズ61〜65が用いられる。
【0038】
第1のヒューズ61は、第1のバッテリセルの32の負極Mを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第1のヒューズ61の一端は第1のバッテリセル32の負極Mに接続され、他端は電圧測定回路50の第1の接続部51に接続されている。
【0039】
第2のヒューズ62は、第1のバッテリセル32の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第2のヒューズ62の一端は第1のバッテリセル32の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路の第2の接続部52に接続されている。
【0040】
第3のヒューズ63は、第2のバッテリセル33の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第3のヒューズ63の一端は第2のバッテリセル33の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第3の接続部53に接続されている。
【0041】
第4のヒューズ64は、第3のバッテリセル34の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第4のヒューズ64の一端は第3のバッテリセル34の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第4の接続部54に接続される。
【0042】
第5のヒューズ65は、第4のバッテリセル35の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第5のヒューズ65の一端は第4のバッテリセル35の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第5の接続部55に接続されている。
【0043】
複数のダイオードは、ナットがゆるむなどして万が一バスバーが外れた際に発生する逆電圧によって電圧測定回路50が損傷することを抑制するために設けられる。ダイオードは、1番目のバッテリセルの正負極P,Mに接続されるヒューズと電圧測定回路との接続部間に設けられる。また、ダイオードは、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズと電圧測定回路との接続部間に設けられる。本実施形態では、複数のダイオードの一例として、第1〜4のダイオード71〜74が設けられる。
【0044】
第1のダイオード71は、第1,2の接続部51,52間に設けられており、第1,2の接続部51,52に接続されている。第2のダイオードは、第2,3の接続部52,53間に設けられており、第2,3の接続部52,53に接続されている。第3のダイオード73は、第3,4の接続部53,54間に設けられており、第3,4の接続部53,54に接続されている。第4のダイオード74は、第4,5の接続部54,55間に設けられており、第4,5の接続部54,55に接続されている。
【0045】
第1のダイオード71の姿勢は、第1のバッテリセル32の正極Pに接続される第2のヒューズ62側が、順方向の先端側となるように配置されている。
【0046】
第2〜4のダイオード72〜74は、第3〜5の接続部53〜55に接続されるヒューズのうち順番が後ろのバッテリセルの正極Pと電圧測定回路50とを接続するヒューズ側が順方向の先端側となるように配置されている。なお、ここで言う順番が後ろとは、上記したように、第1〜4のバッテリセル32〜35は、順番に並んでおり、この順番にそって相対的に後側を示す。
【0047】
具体的には、第2のダイオード72は、第3の接続部53が順方向先端となるように配置されている。第3のダイオード73は、第4の接続部54が順方向先端となるように配置されている。第4のダイオード74は、第5の接続部55が順方向先端となるように配置されている。
【0048】
第1〜4のダイオード71〜74と第1〜5のヒューズ61〜65との、電圧測定回路50に対する保護動作を説明する。
【0049】
図2は、図1中に示されるバッテリ装置20を拡大して示す概略図である。図2では、一例として、第2のバスバー37が外れた瞬間の状態を示している。なお、ここで言う、外れたとは、順番に並ぶ2つのバッテリセルを接続するバスバーが、これら2つのバスバーのうちの少なくともいずれか一方から外れ、互いの電気的接続が切断されたことを示す。
【0050】
第2のバスバー37が外れていない状態では、第3,4の接続部53,54においては、第3の接続部53に対して第4の接続部54が高電位となる。しかしながら、第2のバスバー37が外れると、第4の接続部54に対して第3の接続部53が高電位となる過大な逆電圧が発生する。
【0051】
このため、図中に負荷電流Iの流れを矢印で示すように、負荷電流Iは、外れた第2のバスバー37を迂回するように、第3,4のヒューズ63,64と第3のダイオード73とを流れる。このように負荷電流Iが流れることによって、電圧測定回路50に負荷電流が流れ込まなくなるので電圧測定回路50が故障することが抑制される。
【0052】
さらに、負荷電流Iが第3,4のヒューズ63,64を流れると、第3,4のヒューズ63,64は、負荷電流Iによって、溶断(切断の一例)する。図3は、第3,4のヒューズ63,64が溶断した状態を示している。図3に示すように、第3,4のヒューズ63,64が溶断することによって、負荷電流Iは、第3,4のヒューズ63,64の両側に配置される第2,5のヒューズ62,65と第2〜4のダイオード72〜74とを流れる。その後、第2,5のヒューズ62,65が溶断する。
【0053】
なお、第1〜5のヒューズ61〜65は、逆電圧による大電流(負荷電流I)に対しては溶断されるが、第1〜3のバスバー36〜38が外れていない状態では溶断されない。
【0054】
図4は、第2,5のヒューズ62,65が溶断した状態を示している。第2,5のヒューズ62,65が溶断することによって、バッテリ装置20内において負荷電流Iが流れる電流経路が断たれる。
【0055】
上記のように負荷電流Iが流れることによって、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、負荷電流Iが電圧測定回路50に流れないとともに負荷電流Iの流れ自体も停止する。このことによって、電圧測定回路50が破損することが抑制される。
【0056】
いずれかのバスバーが外れることに起因してヒューズが切断される場合、バッテリモジュール内のヒューズは、上記のように1つの傾向に沿って切断される。この傾向について説明する。
【0057】
バッテリモジュール内でいずれかのバスバーが外れると、当該外れたバスバーが接続する2つのバッテリセルのうち順番が後ろのバッテリセルから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズは、当該順番が後ろのバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、順番に1つずつ切断される。この場合、順番が後のバッテリセルが本発明で言うM番目のバッテリセルであり、順番が前のバッテリセルが本発明で言うM−1番目のバッテリセルである。
【0058】
さらに、1番目のバッテリセルに接続されるヒューズから上記順番に並ぶ2つのバッテリセルのうち順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズは、当該順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズから1番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、順番に1つずつ切断される。
【0059】
さらに、順番に並ぶ複数のバッテリセルにおいて、外れたバスバーを境に対称な順位に位置するヒューズは、互いに同時(略同時も含む概念)に切断される。ここで言う対称な順位に位置するヒューズとは、外れたバスバーから数えて同じ個数目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズである。
【0060】
例えば、第2のバッテリセル33と第3のバッテリセル34とを接続する第2のバスバー37が外れた場合、当該第2のバスバー37を境に対称な順位のヒューズの組み合わせとしては、1個目のバッテリセルである第2,3のバッテリセル33,34の正極Pに接続される第3,4のヒューズ63,64の組み合わせと、2個目のバッテリセルである第1,4のバッテリセル32,33の正極Pに接続される第2,5のヒューズ62,65である。
【0061】
なお、第1のバッテリセル32は、正負極P,Mにそれぞれにヒューズが接続されるので、ある一つのバスバーを境に同じ順位に位置するヒューズであっても、第1のバッテリセル32を含む場合は、当該ある1つのバスバーから数えて同じ個数目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズではなくなる。
【0062】
この点を説明する。第1のバスバー36が外れた場合は、第1のバスバー36を境に対称な順位のヒューズの組み合わせとしては、1個目のバッテリセルである第1,2のバッテリセル32,33の正極Pに接続される第2,3のヒューズ62,63の組み合わせと、2個目のバッテリセルである第3のバッテリセル34の正極Pに接続される第4のヒューズ64と、1個目の第1のバッテリセル32の負極Mに接続される第1のヒューズ61である。このように、バスバーから数えたバッテリセルの個数にずれが生じる。
【0063】
電圧測定回路50は、第1〜5のヒューズ61〜65を介して入力される電圧値を検出する。
【0064】
ついで、バッテリ装置20の構成の説明に戻る。CPU80は、電圧測定回路50に接続されており、電圧測定回路50の検出結果に基づいて第1〜4のバッテリセル32〜35の状態を判定する。CPU80は、本発明で言う、判定部の一例である。CPU80の動作の一例としては、電圧測定回路50によって検出される第1,2のヒューズ61,62間の電位差(第1のバッテリセル32の電圧)と他のバッテリセルの電圧とを比較するなどして、第1のバッテリセル32の状態を判定する。この動作は、他のバッテリセルに対しても同様である。なお、CPU80の判定動作については、これに限定されるものではなく、他の情報などから各バッテリセルの状態を判定するようにしてもよい。
【0065】
第1,3のバッテリモジュール22,24は上記したように第2のバッテリモジュール23と同様の構造を備えている。
【0066】
つぎに、モジュール間の接続を説明する。第1のバッテリモジュール22と第2のバッテリモジュール23とが互いに接続され、第2のバッテリモジュール23と第3のバッテリモジュール24とが互いに接続される。
【0067】
具体的には、第2のバッテリモジュール23の1番目である第1のバッテリセル32は、第1のバッテリモジュール22の最終番目である第4のバッテリセル35に、第1のモジュール間接続用バスバー40によって互いに電気的に接続されている。第2のバッテリモジュール23の最終版目である第4のバッテリセル35は、第3のバッテリモジュール24の1番目である第1のバッテリセル32に、第2のモジュール間接続用バスバー41によって互いに電気的に接続されている。
【0068】
第1,2のモジュール間接続用バスバー40,41は、本発明で言うモジュール間接続用バスバーの一例である。バッテリモジュールが互いに直列に接続されることによって、バッテリ装置20内の全てのバッテリセルが直列に接続される。
【0069】
BMU90は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の各CPU80に接続されており、各バッテリモジュール22〜24の監視を行う。監視の一例としては、BMU90は、バッテリ装置20の電力の残量を検出するとともにインパネ(図示せず)に設けられる残量計(図示せず)にバッテリ装置20の電力の残量を表示する。また、バッテリ装置20の電力の残量に基づいて、モータ13でどの程度まで出力可能かなどの計算をする。
【0070】
表示装置100は、例えば、バッテリ装置20内のいずれかのバスバーが外れた際に、外れたバスバーを表示することができる。具体的には、表示装置100は、BMU90に接続されており、BMU90は、各CPU80からの情報に基づいて外れたバスバーを表示装置100に表示する。
【0071】
作業者は、表示装置100を確認することによって、外れたバスバーを特定することができ、それゆえ、外れたバスバーを再びバッテリセルに固定する作業を効率よくできるようになる。なお、表示装置100は、外れたバスバーを作業者に報知する手段の一例である。このため、外れたバスバーを作業者に報知するために用いられる手段(装置)としては、表示装置100に限定されるのではない。
【0072】
つぎに、バッテリ装置20の動作を説明する。
【0073】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24において、各CPU80は、電圧測定回路50の検出値に基づいて、第1〜4のバッテリセル32〜35の電圧値を把握するとともに、第1〜4のバッテリセル32〜35の状態を判定する。そして、各バッテリセルの状態をBMU90に送信する。BMU90は、各CPU80から送信される第1〜3のバッテリモジュール22〜24の状態から、バッテリ装置20全体の電力の残量を検出し、モータ13でどの程度まで出力できるかを検出などする。
【0074】
ついで、いずれかのバスバーが外れた際の動作の一例として、第2のバッテリモジュール23の第2のバスバー37が外れた際のバッテリ装置20の動作を説明する。本実施形態では、第2のバスバー37によって互いに接続される第3,4のバッテリセル34,35がM,M−1番目のバッテリセルとなる。図5は、CPU80の動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて、第2のバッテリモジュール23のCPU80の動作の説明をする。
【0075】
図5に示すように、CPU80は、電圧測定回路50から送信される検出結果に基づいて、第1〜3のバスバー36〜38のいずれかが外れたか否かを検出する。具体的には、切断したヒューズを検出するとともに、ヒューズの切断の傾向を判定することによって、外れたバスバーを検出する。なお、図5に示すフローチャートは、CPU80の動作の一部であって、周期的に行われている。
【0076】
ステップST1に示すように、CPU80は、第1〜5のヒューズ61〜65のうち切断されたヒューズがあるか否かを判定する。CPU80は、第1〜5のヒューズ61〜65のうち電圧測定回路50に電圧が入力されなかったヒューズがあると、このヒューズが切断していると判定する。
【0077】
本実施形態では、まず、図2に示すように、負荷電流Iが第3,4のヒューズ63,64を通ることによって第3,4のヒューズ63,64が切断されるので、第3,4のヒューズ63,64を通って電圧測定回路50に電圧が入力されなくなる。CPU80は、第3,4のヒューズ63,64が切断したと判定する。ついで、ステップST2に進む。
【0078】
ステップST2では、CPU80は、ステップST1で検出した切断されたヒューズが、順番にならぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続される一対のヒューズであるか否かを判定する。本実施形態では、第3,4のヒューズ63,64が同時(略同時も含む概念)に溶断する。
【0079】
第3,4のヒューズ63,64は、順番に並ぶ2つのバッテリセルである第2,3のバッテリセル34,35の正極Pに接続されるヒューズであるので、CPU80は、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが溶断したことを検出している。ついで、ステップST3に進む。
【0080】
なお、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが切れていない場合は、ステップST4に進む。順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが同時(略同時も含む概念)に切断されておらず、例えば1つのヒューズのみが切断した場合は、バスバー外れに起因するヒューズの切断ではなく、電圧測定回路50内部の故障によってヒューズが切れたと判定する。
【0081】
ステップST3以降では、切れたヒューズを特定する。まず、ステップST3では、第2,3のヒューズ62,63が切断したのか否かを判定する。本実施形態では、まず、第3,4のヒューズ63,64が切断するので、ついで、ステップST5に進む。
【0082】
ステップST5では、第3,4のヒューズ63,64が同時(略同時も含む概念)に切断したか否かを判定する。本実施形態では、第3,4のヒューズ63,64がまず同時(略同時も含む概念)に溶断するので、ついでステップST6に進む。
【0083】
ステップST6では、つぎに第2,5のヒューズ62,65が切れた否かを特定する。本実施形態では、図3に示すように、第3,4のヒューズ63,64が切断した後は、第2,5のヒューズ62,65に負荷電流Iが流れる。このため、図4に示すように、第3,4のヒューズ63,64に続いて、第2,5のヒューズ62,65が同時(略同時も含む概念)に溶断する。
【0084】
本実施形態では、上記のように、第3,4のヒューズ63,64に続いて、第2,5のヒューズ62,65が同時(略同時も含む概念)に切断するので、CPU80は、第2,5のヒューズ62,65が切断したことを検出している。ついで、ステップST7に進む。
【0085】
ステップST7では、CPU80は、上記判定結果より、第2のバスバー37が外れたと判定し、BMU90に判定結果を送信する。BMU90は、CPU80から送信された結果に基づいて、第2のバッテリモジュール23の第2のバスバー37が外れたことを表示装置100に表示する。
【0086】
このように、ある1つのバスバーが外れた場合、当該外れたバスバーが接続する2つのバッテリセルのうち順番が後のバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズが、当該後ろのバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、1つずつ順番に切断される。
【0087】
さらに、1番目のバッテリセルに接続されるヒューズから上記並ぶ2つのバッテリセルのうち上記順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズが、当該順番が前のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズから1番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、1つずつ順番に切断される。
【0088】
さらに、順番に並ぶ複数のバッテリセルにおいて、外れたバスバーを境に対称な順位に位置するバッテリセルに接続されるヒューズは、同時(略同時も含む概念)に切断される。
【0089】
CPU80は、上記のようなヒューズの切断の傾向を検出することによって、外れたバスバーを特定する。
【0090】
なお、本実施形態では、第2のバスバー37が外れた場合を説明したが、他のバスバーにおいても同様である。
【0091】
例えば、第1のバスバー36が外れた場合では、負荷電流Iは、まず第2,3のヒューズ62,63を通るので、第2,3のヒューズ62,63が同時(略同時も含む概念)に切断される。このため、CPU80は、ステップST3からステップST8に進む。
【0092】
ステップST8では、CPU80は、第2,3のヒューズ62,63に続いて、第1,4のヒューズ61,64が切断されたか否かを判定する。第2,3のヒューズが切断されると、負荷電流Iは、ついで、第1,4のヒューズ61,64を流れる。このため、つぎに第1,4のヒューズ61,64が切断される。
【0093】
第1のバスバー36が外れた場合では、CPU80は、第2,3のヒューズ62,63の切断に続いて第1,4のヒューズ61,64の切断を検出しているので、ついで、ステップST9に進む。
【0094】
ステップST9では、CPU80は、第1のバスバー36が切断されたと判断して、この判定結果をBMU90に送信する。BMU90は、CPU80からの送信結果に基づいて、表示装置100に、第2のバッテリモジュール23の第1のバスバー36が外れたことを表示する。
【0095】
また、例えば、第3のバスバー38が外れた場合では、負荷電流Iは、まず、第4,5のヒューズ64,65を流れる。このため、まず、第4,5のヒューズ64,65が切断される。このため、CPU80は、第4,5のヒューズ64,65が切断されたことを検出している。ついで、ステップST10からステップST11に進む。
【0096】
ステップST11では、CPU80は、第4,5のヒューズ64,65に続いて他のヒューズが切れているか否かを判定する。本実施形態では、第5のヒューズ65は、バッテリモジュール内の負荷電流Iの流れる電流経路300の端に配置されており、それゆえ、第5のヒューズ65が切断されると負荷電流Iの流れが停止する。このため、第3のバスバー38が外れた場合では、第4,5のヒューズ64,65以外のヒューズは切れない。
【0097】
第3のバスバー38が切断された場合では、CPU80は他のヒューズが切断されていないことを検出している。ついで、ステップST12に進む。
【0098】
ステップST12では、CPU80は、第3のバスバー38が切断されたと判定し、判定結果をBMU90に送信する。BMU90は、CPU80からの送信結果に基づいて、表示装置100に第2のバッテリモジュール23の第3のバスバー38が外れたことを表示する。
【0099】
ステップST6において、つぎに切断したヒューズが第2,5のヒューズ62,65ではないと判定された場合は、第3,4のヒューズ63,64の切断はバスバーが外れたことが原因ではないとして、ステップST4に進む。
【0100】
同様にステップST8において、つぎに切断されたヒューズが第1,4のヒューズ61,64ではないことを検出した場合は、第2,3のヒューズ62,63の切断は、バスバーが外れたことが原因ではないとして、ステップST4に進む。
【0101】
同様に、ステップST11において、いずれかのヒューズが切断されたことを検出した場合は、ステップST4に進む。
【0102】
いずれのバスバーも外れていない第1,3のバッテリモジュール22,24のCPU80では、ステップST1からエンドに進む。
【0103】
このように、CPU80は、バスバーが外れた際のヒューズの切断の傾向を検出することによって、別途にセンサや装置を必要とすることなく外れたバスバーを特定することができる。このため、バッテリ装置20は、構造が複雑になることを抑制するとともにコス
トの高騰化を抑制して、外れたバスバーを検出できる。
【0104】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置を、図6〜8を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、さらに第4のバッテリモジュール25を備えるとともに、各バッテリモジュール間がモジュール間接続用ダイオードによって接続されている。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
【0105】
図6は、本実施形態のバッテリ装置20を示す概略図である。バッテリ装置20は、第1の実施形態と同様に電気自動車10に搭載される。本実施形態では、一例としてバッテリ装置20は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24に加えて、第4のバッテリモジュール25を備えている。第4のバッテリモジュール25の構造は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の構造と同様であってよい。
【0106】
図6に示すように、第4のバッテリモジュール25は、第3のバッテリモジュール24
に電気的に直列に接続されている。具体的には、第3のバッテリモジュール24の最終番目のバッテリセルである第4のバッテリセル35と、第4のバッテリモジュール25の1番目のバッテリセルである第1のバッテリセル32とが、第3のモジュール間接続用バスバー42によって、電気的に直列に接続されている。第3のモジュール間接続用バスバー42は、本発明で言うモジュール間接続用バスバーの一例である。
【0107】
順番に直列に接続される第1〜4のバッテリモジュール22〜25において、順番に並ぶ2つのバッテリモジュール間には、モジュール間接続用ダイオードが設けられている。
【0108】
この点を具体的に説明する。順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュール内の最終番目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズと電圧測定回路50との接続部と、順番が後ろのバッテリモジュール内の1番目のバッテリセルの負極Mに接続されるヒューズと電圧測定回路との接合部とに、モジュール間接続用ダイオードが電気的に接続されている。モジュール間接続用ダイオードは、順番が後ろのバッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられている。
【0109】
本実施形態では、第1のモジュール間接続用ダイオード111が、第1のバッテリモジュール22の第5の接続部55と第2のバッテリモジュール23の第1の接続部51とに電気的に直接続されている。第2のモジュール間接続用ダイオード112が、第2のバッテリモジュール23の第5の接続部55と第3のバッテリモジュール24の第1の接続部51とに電気的に接続されている。第3のモジュール間接続用ダイオード113が、第3のバッテリモジュール24の第5の接続部55と第4のバッテリモジュール25の第1の接続部51とに電気的に接続されている。
【0110】
本実施形態では、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用バスバーが外れた場合に、外れたモジュール間接続用バスバーを特定することができる。この点について説明する。
【0111】
まず、バッテリ装置20の動作を説明する。図7,8は、バッテリ装置20の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、各CPU80の動作の一例を示している。図8は、BMU90の動作の一例を示している。各バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合での外れたバスバーを特定する動作は、第1の実施形態と同様である。
【0112】
つぎに、モジュール間接続用バスバーが外れた場合の動作を、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合を一例に、説明する。本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41によって接続される、第2,3のバッテリモジュール23,24が、本発明で言うN,N−1番目のバッテリモジュールとなる。
【0113】
まず、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた際の、バッテリ装置20のヒューズの切断の傾向について説明する。
【0114】
第2のモジュール間接続用バスバー41が外れると、負荷電流Iは、第2のモジュール間接続用バスバー41を迂回して、第2のモジュール間接続用バスバー41の両側のヒューズとダイオードとを流れる。この結果、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対象な順位に位置するヒューズが、第2のバッテリモジュール23の第5のヒューズ65と第3のバッテリモジュール24の第1のヒューズ61とから、1つずつ順番に同時(略同時も含む概念)に切断される。
【0115】
上記ヒューズの切断は、1番目のバッテリモジュールの1番目のバッテリセルの負極Mに接続されるヒューズ、または、最終番目のバッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズの少なくともどちらか一方が切断されるまで続く。
【0116】
本実施形態のように第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第1のバッテリモジュール22の第2のヒューズ62と、第4のバッテリモジュール25の第5のヒューズ65とが、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対称な順位に位置するヒューズであるので、これら一対のヒューズが同時(略同時も含む概念)に切断されるまで、ヒューズの切断が続く。これら一対のヒューズが切断されると負荷電流Iの流れが停止される。
【0117】
他の例として、第1のモジュール間接続用バスバー40が外れた場合では、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断した時点で、負荷電流が流れなくなる。このため、第1のモジュール間接続用バスバー40が切断された場合は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断されるまでヒューズの切断が続く。
【0118】
BMU90は、以下の2つの条件が成り立つと、モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。1つ目の条件は、各バッテリモジュール内の切断されたヒューズに接続されるバッテリセルをヒューズの切断された順番に並べた際に、このバッテリセルの並びが直列に並ぶ順番どおりであるか、もしくは、直列に並ぶ順番に対して逆であることである。言い換えると、第1,2,3,4,5の順番で第5のヒューズ65に向かって切断されるか、もしくは、第5,4,3,2,1の順番で第1のヒューズ61に向かって切断される場合である。
【0119】
なお、第2のモジュール間接続用バスバー41が切断された場合のように、第4のバッテリモジュール25の第5のヒューズ65と、第1のバッテリモジュール22の第2のヒューズ62とが同時(略同時も含む概念)に切断される場合は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61は切断されない。
【0120】
2つ目の条件は、順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて、切断されるヒューズの順番が互いに逆となる組み合わせがあることである。言い換えると、一方のバッテリモジュール内では、ヒューズは、第1〜5の順番で切断され、他方のバッテリモジュール内では、ヒューズが第5〜1の順番で切断される場合である。この2つの条件が成立する場合に、上記順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて切断されたヒューズに接続される順番が逆となる組み合わせを接続するモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。なお、第1のバッテリモジュール22内では、上記のように、第1のヒューズ61が切断されない場合もある。
【0121】
つぎに、図7を用いてCPU80の動作を具体的に説明する。図7に示すように、本実施形態では、CPU80の動作として、ステップST20〜ST23が追加される。ステップST20は、ステップST1,ST2との間に設けられる。
【0122】
まず、第1のバッテリモジュール22内のCPU80の動作を説明する。第1のバッテリモジュール22内では、ステップST20において、1番目のバッテリセルの負極Mに接続される第1のヒューズ61、または、最終番目である第4のバッテリセル35の正極Pに接続される第5のヒューズ65が切断したか否かを判定する。本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れることによって、第5のヒューズ65がまず切断されるので、CPU80は、第5のヒューズ65が切断されたことを検出する。ついで、ステップST21に進む。
【0123】
ステップST21では、CPU80は、先に切断されたヒューズが接続されるバッテリセルに対して順番に並ぶバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが、次に切断されたか否かを判定する。本実施形態では、第5のヒューズ65に続いて第4のヒューズ64、第3のヒューズ63、第2のヒューズ62が連続して切断されるので、ついで、ステップST22に進む。
【0124】
ステップST22では、CPU80は、最初に切断されたヒューズに対して、バッテリモジュール内において負荷電流が流れる電流経路300の反対端のヒューズまで1つずつ連続して切断されたか否かを判定する。なお、上記したように、第1のバッテリモジュール22においては、第1のヒューズ61が切断されない場合がある。なお、ここで言う電流経路300は、バッテリセルやヒューズやダイオードなどによって構成されており、負荷電流Iが流れる経路である。
【0125】
本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れることによって、第5のヒューズ65から第2のヒューズ62に向かって1つずつ連続的に切断されるので、CPU80は、第5のヒューズ65から第2のヒューズ62まで1つずつ連続的に切断されたことを検出する。ついで、ステップST23に進む。
【0126】
ステップST23では、CPU80は、BMU90に第5のヒューズ65から第2のヒューズ62まで1つずつ連続的にヒューズが切断されたという情報を送信する。
【0127】
ついで、第2のバッテリモジュール23について説明する。第2のバッテリモジュール23では、第1のバッテリモジュール22と同様に、第5のヒューズ65が最初に切断され、ついで、第4、3,2,1の順番で1つずつ連続的にヒューズが切断される。第2のバッテリモジュール23のCPU80も第1のバッテリモジュール22のCPU80と同様の動作を行う。
【0128】
ついで、第3のバッテリモジュール24の動作を説明する。第3のバッテリモジュール24内では、第1のヒューズ61から第5のヒューズ65まで1つ順番に連続的に切断される。このため、第3のバッテリモジュール24のCPU80は、ステップST23では、BMU90に、第1のヒューズ61から第5のヒューズ65まで1つずつ順番に連続的に切断されたという情報を送信する。
【0129】
ついで、第4のバッテリモジュール25の動作説明をする。第4のバッテリモジュール25のCPU80は、第3のバッテリモジュール24のCPU80と同様の動作を行う。
【0130】
各CPU80において、ステップST21で、順番に並ぶバッテリセルに接続されるヒューズが切断されていないと判定された場合は、ステップST21からステップST4に進む。ステップST22において、電流経路300の他端に配置されるヒューズまで連続して切断されなかった場合(第1のバッテリモジュール22は除く)は、ステップST4に進む。
【0131】
図8は、BMU90の動作の一部を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップST31では、BMU90は、各CPU80からヒューズの切断情報を受信したか否かを判定する。
【0132】
図7に示すように、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第2〜4のバッテリモジュール23〜25の第1〜5のヒューズ61〜65が切断されたという情報と、第1のバッテリモジュール22の第2〜5のヒューズ62〜65が切断されたという情報とがBMU90に送信されているので、ついで、ステップST32に進む。
【0133】
ステップST32では、BMU90は、外れたバスバーを特定する情報がいずれのCPU80から送信されたか否かを判定する。バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合ではバッテリモジュール内のCPUが外れたバスバーを特定し、外れたバスバーの情報をBMU90に送信する(以上の動作は第1の実施形態で説明)。
【0134】
しかしながら、モジュール間接続用バスバーが外れている場合では、各CPU80は、いずれのバスバーが外れたかを特定できない。このため、ステップST32では、BMU90は、外れたバスバーを特定する情報を受信していない。このため、ついでステップST33に進む。
【0135】
ステップST33では、切断されたヒューズを切断された順番に並べた際に、これらヒューズが接続されるバッテリセルが順番に並ぶ否かを判定する。上記したように、モジュール間接続用バスバーが外れた場合では、切断されたヒューズが接続されるバッテリセルをヒューズが切断された順番に並べると、バッテリセルは、1番目から最終番目に向かって順番に並ぶか、または、最終番目から1番目に向かって順番に並ぶ。
【0136】
BMU90は、第1〜4のバッテリモジュール22〜25のCPU80から各バッテリモジュール内のヒューズの切断の傾向が上述の傾向であるという情報を受信しているので、ついで、ステップST34に進む。
【0137】
ステップST34では、BMU90は、順番に隣り合うバッテリモジュール間においてヒューズの切断される順番が互いに逆となる組み合わせバッテリモジュールどうしを接続するモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0138】
本実施形態では、第2,3のバッテリモジュール23,24においてヒューズの切断順番が互いに逆になる。このため、BMU90は、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れていると判定する。ついで、ステップST35に進む。
【0139】
ステップST35では、BMU90は、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れたことを報知すべく、表示装置100に第2のモジュール間接続用バスバー41が外れていることを表示する。
【0140】
なお、バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合では、BMU90は、外れたバスバーの情報をCPUから受信する。このため、すでに外れたバスバーの情報をCPU80から受信している場合は、ステップST32からステップST35に進む。
【0141】
また、ステップST33において、切断されたヒューズに接続されるバッテリセルをヒューズの切断順番に並べた際のバッテリセルの並びが、複数のバッテリセルを直列に接続した際の順番通りでなく、かつ、上記順番の逆でもない場合は、ステップST36に進み、電圧測定回路内部の故障によるヒューズ切れと判定される。
【0142】
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用バスバーが外れた場合であっても、外れたバスバーを特定することができる。
【0143】
なお、本実施形態では第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合を一例として説明したため、第2〜4のバッテリモジュール23〜25の第1〜5のヒューズ61〜65が全て連続して切断され、かつ、第1のバッテリモジュール22の第2〜5のヒューズ62〜65が連続して切断された。
【0144】
しかしながら、例えば第1のモジュール間接続用バスバー40が外れた場合では、バッテリ装置20内のヒューズの切断は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断されると止まる。このとき、第2のバッテリモジュール23の第5のヒューズ65まで連続して切断され、第3,4のバッテリモジュール24,25内の第1〜5のヒューズ61〜65は切断されない。
【0145】
このため、BMU90が、モジュール間接続用バスバーが外れたことを特定する場合において、上記のようにいずれかのバッテリモジュール内のヒューズが切断されていない場合もある。この場合であっても、BMU90は、隣り合うバッテリモジュール間において内部のヒューズの切断順番が互いに逆向きとなる場合、これらバッテリモジュール間のモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0146】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置を、図9を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、モジュール間接続用ダイオードの構造が第2の実施形態と異なる。さらに、ツェナーダイオードを備えている。他の構造は、第2の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
【0147】
図9は、本実施形態のバッテリ装置20を示す概略図である。図9に示すように、本実施形態では、モジュール間接続用ダイオードとして、ツェナーダイオードが用いられるとともに、モジュール間接続用ダイオードに対して順方向が逆向きの1つのツェナーダイオードが設けられている。
【0148】
具体的には、第1〜3のモジュール間接続用ダイオード111〜113としてツェナーダイオードが用いられている。また、各モジュール間接続用ダイオード111〜113に、順方向が互いに逆向きとなるようにツェナーダイオード121が設けられている。
【0149】
本実施形態では、モジュール間接続用ダイオード111〜113にツェナーダイオード121が接続されることによって、万が一、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、バッテリ装置20内の全てのヒューズが切断されることを抑制することができる。
【0150】
この点について具体的に説明する。例えば第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対象な順位のヒューズが、順番に連続的に切断される(第2の実施形態で説明)。このとき、バッテリ装置20の出力電圧は、負荷電流Iが流れる電流経路300から外れたバッテリセルの電圧分下がる。
【0151】
このため、バッテリ装置20の出力電圧が、ツェナーダイオード121のツェナー電圧より低下すると、ツェナーダイオード121を負荷電流Iが流れなくなる。この結果、ヒューズの切断が停止される。
【0152】
各ツェナー電圧を所定の値に設定することによって、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、切断されるヒューズ数を抑制することができる。
【0153】
本実施形態では、第2の実施形態の効果に加えて、切断されるヒューズの数を抑制することができる。
【0154】
なお、本実施形態では、各モジュール間接続用ダイオードにツェナーダイオードが用いられるとともに、各モジュール間接続用ダイオードに順方向が逆となるようにツェナーダイオードが接続された。しかしながら、これに限定されない。各モジュール間接続用ダイオードは、ツェナーダイオードでなくてもよく、第1,2の実施形態で用いられたダイオードであってもよい。
【0155】
また、第1〜3の実施形態では、バッテリ装置20が備える複数のバッテリセルは、一例として複数のバッテリモジュール(3つまたは4つ)に分けられている。しかしながら、バッテリ装置20は、バッテリモジュールを備える構造に限定されない。
【0156】
例えば、バッテリ装置20は、複数のバッテリセルを備える場合であっても、これら複数のバッテリセルが複数のバッテリモジュールに分けられることなく、互いに電気的に直列に接続されてもよい。このことは、言い換えると、バッテリ装置が1つのバッテリモジュールを備える構造である。この構造であっても、外れたバスバーを検出することができる。
【0157】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0158】
20…バッテリ装置、22…第1のバッテリモジュール、23…第2のバッテリモジュール、24…第3のバッテリモジュール、25…第4のバッテリモジュール、31…電池監視装置、32…第1のバッテリセル、33…第2のバッテリセル、34…第3のバッテリセル、35…第4のバッテリセル、36…第1のバスバー、37…第2のバスバー、38…第3のバスバー、40…第1のモジュール間接続用バスバー、41…第2のモジュール間接続用バスバー、42…第3のモジュール間接続用バスバー、50…電圧測定回路(電圧測定部)、61…第1のヒューズ、62…第2のヒューズ、63…第3のヒューズ、64…第4のヒューズ、65…第5のヒューズ、71…第1のダイオード、72…第2のダイオード、73…第3のダイオード、74…第4のダイオード、80…CPU(判定部)、90…BMU(バッテリマネジメントユニット)、111…第1のモジュール間接続用ダイオード、112…第2のモジュール間接続用ダイオード、113…第3のモジュール間接続用ダイオード、121…ツェナーダイオード。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車に用いられるバッテリ装置のバスバー外れを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車は、車両を走行するためのモータの駆動原としてバッテリ装置を備えている。バッテリ装置は、ハウジングと、このハウジング内に収容される複数のバッテリモジュールを備えている。バッテリモジュールは、1つの例えば二次電池をバッテリセルとして複数のバッテリセルを備えている。これらバッテリセルは、バスバーによって直列に電気的に接続されている。バスバーは、各バッテリセルに、例えばボルトとナットとで締結されて固定されている。
【0003】
バスバーをバッテリセルに固定する固定構造がゆるむなどして、例えば上記ナットがゆるむことによって、バスバーがバッテリセルから外れてしまうことがある。バスバーが外れると、バッテリ装置から電力を外部に供給できなくなる。このため、外れたバスバーを、再度バッテリセルに固定する作業が必要になる。
【0004】
しかしながら、バッテリモジュールはハウジング内に収容されており、外れたバスバーを特定することは比較的難しい。このため、外れたバスバーを特定する技術が提案されている。
【0005】
この種の技術では、内部に複数の回折格子が設けられた光ファイバをバスバーとボルトとの間に挟持するとともに、多波長の光を発信できる送受信機を用いる。送受信機は、光ファイバ内に多波長の光を入射するとともに、反射光を検出するセンサを備えている。光ファイバ内で反射される光は、内部の回折格子の状態によって変化する。
【0006】
ボルトがゆるむことによって光ファイバに加わる圧力が低下し、光ファイバ内での回折格子間の距離が短くなる。この結果、送受信機のセンサが検出する反射光が変化する。送受信機は、反射光の変化からボルトのゆるみを検出するとともに、外れたバスバーを検出する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、外れたバスバーを検出するために、光ファイバと、センサを備える送受信機とが必要になるため、構造が複雑になるとともにコストが高くなる傾向にある。
【0008】
一方、バッテリ装置としては、各バッテリモジュールが各バッテリセルを検出する電池監視装置を備える構造が提案されている。電池監視装置は、例えばA/Dコンバータなどの電圧測定回路と、電圧測定回路による検出値に基づいて各バッテリセルの状態を判定するCPUとを備えている。
【0009】
電圧検出回路は、各バッテリセルにヒューズを介して電気的に接続されており、各バッテリセルの電圧を測定可能となっている。モジュール内において隣り合うヒューズ間は、バスバーが外れた際に発生する過大な逆電圧から電圧測定回路を保護するために、ダイオードによって連結されている。
【0010】
バスバーが外れると、負荷電流は、外れたバスバーを迂回してヒューズとダイオードとを流れるとともにヒューズが切断(溶断)されることによって、逆電圧による電圧測定回路への影響を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−241421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のような構造を備えるバッテリ装置であっても、外れたバスバーを特定するためには特許文献1で開示されるようなセンサなどを用いる構造が必要になる。この結果、コストが高くなることが考えられる。
【0013】
本発明は、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のバッテリ装置は、少なくとも1つのバッテリモジュールを備えるバッテリ装置である。前記バッテリモジュールは、複数のバッテリセルと、前記バッテリセル間の各々に設けられて1番目から最終番目までの前記バッテリセルを順番に直列に接続するバスバーと、前記各バッテリセルの監視を行うバッテリ監視装置とを備える。前記バッテリ監視装置は、前記各バッテリセルの電圧を測定する電圧測定部と、1番目のバッテリセルの負極と前記電圧測定部の間に設けられて前記負極を前記電圧測定部に接続するとともに、前記各バッテリセルの正極と前記電圧測定部の間の各々に設けられて前記正極の各々を前記電圧測定部に接続する複数のヒューズと、1番目の前記バッテリセルの両極に接続される一対の前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続するとともに、順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続する複数のダイオードと、前記電圧測定部の検出結果に基づいて前記各バッテリセルの状態を判定する判定部とを備える。1番目の前記バッテリセルの両極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、正極に接続されるヒューズ側が順方向先端側となるように設けられる。順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、順番が後ろの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側が順方向の先端側となるように設けられる。前記判定部は、前記バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、M番目から最終番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから前記最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目からM−1番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M−1番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目の前記バッテリセルとM−1番目の前記バッテリセルとを接続する前記バスバーが外れたと判定する。
【0015】
請求項2に記載のバッテリ装置は、請求項1に記載のバッテリ装置において、前記バッテリモジュールは、複数設けられる。前記バッテリモジュール間の各々にモジュール間接続用バスバーが設けられることによって、1番目から最終番目までの前記バッテリモジュールが順番に直列に接続される。前記モジュール間接続用バスバーは、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールのうち、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルと、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルとを接続する。
【0016】
請求項3に記載のバッテリ装置は、請求項2に記載のバッテリ装置において、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との前記接続部と、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部とを互いに接続するモジュール間接続用ダイオードと、前記複数のバッテリモジュールの前記各判定部に接続されて前記各バッテリモジュールを監視するバッテリマネジメントユニットとを備える。前記モジュール間接続用ダイオードは、前記モジュール間接続用ダイオードが接続する2つの前記バッテリモジュールのうち順番が後ろの前記バッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられ、前記バッテリマネジメントユニットは、前記複数のバッテリモジュールの個数を示す数以下であって1を超える自然数をNとするとき、N番目の前記バッテリモジュールから最終番目の前記バッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N番目の前記バッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズから最終番目の前記バッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目の前記バッテリモジュールからN−1番目のバッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N−1番目の最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目のバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、N番目のバッテリモジュールとN−1番目のバッテリモジュールとを接続する前記モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0017】
請求項4に記載のバッテリ装置は、請求項3に記載のバッテリ装置において、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュール間において前記モジュール間接続用ダイオードに接続されて順方向が前記モジュール間接続用ダイオードの順方向に対して逆向きとなるツェナーダイオードを備える。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1に記載のバッテリ装置では、1つのバスバーが外れると、このバスバーの両側のヒューズが1つずつ順番に切断される。判定部は、このようなヒューズの切断の傾向を検出することによって、外れたバスバーを別途にセンサなどを必要としないで検出することができる。
【0019】
この結果、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供できる。
【0020】
本願の請求項2に記載のバッテリ装置では、複数のバッテリモジュールを備える構造であっても、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、請求項1と同様に、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供することができる。
【0021】
本願の請求項3に記載のバッテリ装置では、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用ダイオードを備える構造であっても、外れたバスバーを特定できるバッテリ装置を、請求項1,2と同様に、構造が複雑になることを抑制するとともにコストの高騰化を抑制して提供することができる。さらに、外れたモジュール間接続用バスバーを検出できる。
【0022】
本願の請求項4に記載のバッテリ装置では、モジュール間接続用ダイオードにツェナーダイオードを接続することによって、切断されるヒューズの数を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置を備える電気自動車を示す概略図。
【図2】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図3】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図4】図1中に示されるバッテリ装置を拡大して示す概略図。
【図5】図1に示されたCPUの動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置を示す概略図。
【図7】図6に示されたCPUの動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図6に示されたBMUの動作の一例を示すフローチャート。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置を、図1〜5を用いて説明する。図1は、本発明のバッテリ装置20を備える電気自動車10を示す概略図である。バッテリ装置20は、本発明のバッテリ装置の一例である。なお、バッテリ装置20は、電気自動車10に備えられることに限定されない。例えば、ハイブリッド車に備えられてもよい。
【0025】
図1に示すように、電気自動車10は、一対の前輪11と、一対の後輪12と、後輪12を駆動するモータ13と、モータ13に電力を供給するバッテリ装置20と、表示装置100とを備えている。電気自動車10は、一例として後輪駆動であって、モータ13がデファレンシャルギヤ14などを介して後輪12に連結されている。このため、モータ13が駆動すると後輪12が回転し、それゆえ、電気自動車10が走行可能となる。
【0026】
バッテリ装置20は、ハウジング21と、ハウジング21内に収容される複数のバッテリモジュールと、BMU(Buttery Management Unit)90とを備える。本実施形態では、一例として、第1〜3のバッテリモジュール22,23,24を備えている。なお、バッテリモジュールの数は3つに限定されない。バッテリモジュールは、他の複数設けられてもよい。第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、本発明で言うバッテリモジュールの一例である。
【0027】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、順番に直列に電気的に接続されている。第1〜3のバッテリモジュール22〜24は、負荷電流Iの流れる方向に順番に配置される。
【0028】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24の構造は、互いに同じであってよい。このため、本実施形態では、第2のバッテリモジュール23を代表して説明する。図1中では、第2のバッテリモジュール23の構造を具体的に示しており、第1,3のバッテリモジュール22,24の構造は、二点鎖線で省略されて示されている。なお、図中、右から左に向けて、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の順番で配置されている。
【0029】
第2のバッテリモジュール23は、モジュールハウジング30と、モジュールハウジング30内に収容される複数のバッテリセルと、電池監視装置31とを備えている。図中、電池監視装置31は、一点鎖線で囲まれて示されている。
【0030】
本実施形態では、複数のバッテリセルの一例として、第1〜4のバッテリセル32,33,34,35を備えている。第1〜4のバッテリセル32〜35は、一例として二次電池であるリチウムイオン電池であって、例えば4V(ボルト)である。第1〜4のバッテリセル32〜35は、互いに順番に直列に電気的に接続されている。言い換えると、第1〜4のバッテリセル32〜35は、負荷電流Iの流れる方向に順番に直列に接続される。なお、複数のバッテリセルの数は、4つに限定されない。5つや6つなど他の複数であってもよい。
【0031】
第1〜4のバッテリセル32〜35の電気的接続構造を説明する。第1のバッテリセル32と第2のバッテリセル33とは、第1のバスバー36によって、互いに電気的に接続されている。第1のバスバー36は、第1,2のバッテリセル32,33に例えばナットによって締結されて固定されている。第1のバッテリセル32は、本発明で言う1番目のバッテリセルである。
【0032】
第2のバッテリセル33と第3のバッテリセル34とは、第2のバスバー37によって、互いに電気的に接続されている。第2のバスバー37は、第2,3のバッテリセル33,34に例えばナットによって締結されて固定されている。
【0033】
第3のバッテリセル34と第4のバッテリセル35とは、第3のバスバー38によって、互いに電気的に接続されている。第3のバスバー38は、第3,4のバッテリセル34,35に例えばナットによって締結されて固定されている。
【0034】
本発明で言う、最終番目のバッテリセルとは、順番に直列に接続される複数のバッテリセルのうち最後に配置されるバッテリセルを示している。本実施形態では、第4のバッテリセル35が、本発明で言う最終番目のバッテリセルである。
【0035】
電池監視装置31は、各バッテリセルの監視を行う。電池監視装置31は、電圧測定回路50と、複数のヒューズと、複数のダイオードと、CPU(Central Processing Unit)80とを備えている。電池監視装置31は、本発明で言う電池監視装置の一例である。
【0036】
電圧測定回路50は、本実施形態では一例としてA/Dコンバータが用いられており、後述されるヒューズを介して入力される電圧を検出する。電圧測定回路50は、本発明で言う電圧測定部の一例である。
【0037】
複数のヒューズは、第1〜4のバッテリセル32〜35の電圧を電圧測定回路50にて検出可能とするために、各バッテリセル32〜35の正極Pおよび第1のバッテリセル32の負極Mを、電圧測定回路50に電気的に接続する。本実施形態では、複数のヒューズの一例として、第1〜5のヒューズ61〜65が用いられる。
【0038】
第1のヒューズ61は、第1のバッテリセルの32の負極Mを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第1のヒューズ61の一端は第1のバッテリセル32の負極Mに接続され、他端は電圧測定回路50の第1の接続部51に接続されている。
【0039】
第2のヒューズ62は、第1のバッテリセル32の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第2のヒューズ62の一端は第1のバッテリセル32の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路の第2の接続部52に接続されている。
【0040】
第3のヒューズ63は、第2のバッテリセル33の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第3のヒューズ63の一端は第2のバッテリセル33の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第3の接続部53に接続されている。
【0041】
第4のヒューズ64は、第3のバッテリセル34の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第4のヒューズ64の一端は第3のバッテリセル34の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第4の接続部54に接続される。
【0042】
第5のヒューズ65は、第4のバッテリセル35の正極Pを電圧測定回路50に電気的に接続している。具体的には、第5のヒューズ65の一端は第4のバッテリセル35の正極Pに接続され、他端は電圧測定回路50の第5の接続部55に接続されている。
【0043】
複数のダイオードは、ナットがゆるむなどして万が一バスバーが外れた際に発生する逆電圧によって電圧測定回路50が損傷することを抑制するために設けられる。ダイオードは、1番目のバッテリセルの正負極P,Mに接続されるヒューズと電圧測定回路との接続部間に設けられる。また、ダイオードは、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズと電圧測定回路との接続部間に設けられる。本実施形態では、複数のダイオードの一例として、第1〜4のダイオード71〜74が設けられる。
【0044】
第1のダイオード71は、第1,2の接続部51,52間に設けられており、第1,2の接続部51,52に接続されている。第2のダイオードは、第2,3の接続部52,53間に設けられており、第2,3の接続部52,53に接続されている。第3のダイオード73は、第3,4の接続部53,54間に設けられており、第3,4の接続部53,54に接続されている。第4のダイオード74は、第4,5の接続部54,55間に設けられており、第4,5の接続部54,55に接続されている。
【0045】
第1のダイオード71の姿勢は、第1のバッテリセル32の正極Pに接続される第2のヒューズ62側が、順方向の先端側となるように配置されている。
【0046】
第2〜4のダイオード72〜74は、第3〜5の接続部53〜55に接続されるヒューズのうち順番が後ろのバッテリセルの正極Pと電圧測定回路50とを接続するヒューズ側が順方向の先端側となるように配置されている。なお、ここで言う順番が後ろとは、上記したように、第1〜4のバッテリセル32〜35は、順番に並んでおり、この順番にそって相対的に後側を示す。
【0047】
具体的には、第2のダイオード72は、第3の接続部53が順方向先端となるように配置されている。第3のダイオード73は、第4の接続部54が順方向先端となるように配置されている。第4のダイオード74は、第5の接続部55が順方向先端となるように配置されている。
【0048】
第1〜4のダイオード71〜74と第1〜5のヒューズ61〜65との、電圧測定回路50に対する保護動作を説明する。
【0049】
図2は、図1中に示されるバッテリ装置20を拡大して示す概略図である。図2では、一例として、第2のバスバー37が外れた瞬間の状態を示している。なお、ここで言う、外れたとは、順番に並ぶ2つのバッテリセルを接続するバスバーが、これら2つのバスバーのうちの少なくともいずれか一方から外れ、互いの電気的接続が切断されたことを示す。
【0050】
第2のバスバー37が外れていない状態では、第3,4の接続部53,54においては、第3の接続部53に対して第4の接続部54が高電位となる。しかしながら、第2のバスバー37が外れると、第4の接続部54に対して第3の接続部53が高電位となる過大な逆電圧が発生する。
【0051】
このため、図中に負荷電流Iの流れを矢印で示すように、負荷電流Iは、外れた第2のバスバー37を迂回するように、第3,4のヒューズ63,64と第3のダイオード73とを流れる。このように負荷電流Iが流れることによって、電圧測定回路50に負荷電流が流れ込まなくなるので電圧測定回路50が故障することが抑制される。
【0052】
さらに、負荷電流Iが第3,4のヒューズ63,64を流れると、第3,4のヒューズ63,64は、負荷電流Iによって、溶断(切断の一例)する。図3は、第3,4のヒューズ63,64が溶断した状態を示している。図3に示すように、第3,4のヒューズ63,64が溶断することによって、負荷電流Iは、第3,4のヒューズ63,64の両側に配置される第2,5のヒューズ62,65と第2〜4のダイオード72〜74とを流れる。その後、第2,5のヒューズ62,65が溶断する。
【0053】
なお、第1〜5のヒューズ61〜65は、逆電圧による大電流(負荷電流I)に対しては溶断されるが、第1〜3のバスバー36〜38が外れていない状態では溶断されない。
【0054】
図4は、第2,5のヒューズ62,65が溶断した状態を示している。第2,5のヒューズ62,65が溶断することによって、バッテリ装置20内において負荷電流Iが流れる電流経路が断たれる。
【0055】
上記のように負荷電流Iが流れることによって、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、負荷電流Iが電圧測定回路50に流れないとともに負荷電流Iの流れ自体も停止する。このことによって、電圧測定回路50が破損することが抑制される。
【0056】
いずれかのバスバーが外れることに起因してヒューズが切断される場合、バッテリモジュール内のヒューズは、上記のように1つの傾向に沿って切断される。この傾向について説明する。
【0057】
バッテリモジュール内でいずれかのバスバーが外れると、当該外れたバスバーが接続する2つのバッテリセルのうち順番が後ろのバッテリセルから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズは、当該順番が後ろのバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、順番に1つずつ切断される。この場合、順番が後のバッテリセルが本発明で言うM番目のバッテリセルであり、順番が前のバッテリセルが本発明で言うM−1番目のバッテリセルである。
【0058】
さらに、1番目のバッテリセルに接続されるヒューズから上記順番に並ぶ2つのバッテリセルのうち順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズは、当該順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズから1番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、順番に1つずつ切断される。
【0059】
さらに、順番に並ぶ複数のバッテリセルにおいて、外れたバスバーを境に対称な順位に位置するヒューズは、互いに同時(略同時も含む概念)に切断される。ここで言う対称な順位に位置するヒューズとは、外れたバスバーから数えて同じ個数目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズである。
【0060】
例えば、第2のバッテリセル33と第3のバッテリセル34とを接続する第2のバスバー37が外れた場合、当該第2のバスバー37を境に対称な順位のヒューズの組み合わせとしては、1個目のバッテリセルである第2,3のバッテリセル33,34の正極Pに接続される第3,4のヒューズ63,64の組み合わせと、2個目のバッテリセルである第1,4のバッテリセル32,33の正極Pに接続される第2,5のヒューズ62,65である。
【0061】
なお、第1のバッテリセル32は、正負極P,Mにそれぞれにヒューズが接続されるので、ある一つのバスバーを境に同じ順位に位置するヒューズであっても、第1のバッテリセル32を含む場合は、当該ある1つのバスバーから数えて同じ個数目のバッテリセルの正極に接続されるヒューズではなくなる。
【0062】
この点を説明する。第1のバスバー36が外れた場合は、第1のバスバー36を境に対称な順位のヒューズの組み合わせとしては、1個目のバッテリセルである第1,2のバッテリセル32,33の正極Pに接続される第2,3のヒューズ62,63の組み合わせと、2個目のバッテリセルである第3のバッテリセル34の正極Pに接続される第4のヒューズ64と、1個目の第1のバッテリセル32の負極Mに接続される第1のヒューズ61である。このように、バスバーから数えたバッテリセルの個数にずれが生じる。
【0063】
電圧測定回路50は、第1〜5のヒューズ61〜65を介して入力される電圧値を検出する。
【0064】
ついで、バッテリ装置20の構成の説明に戻る。CPU80は、電圧測定回路50に接続されており、電圧測定回路50の検出結果に基づいて第1〜4のバッテリセル32〜35の状態を判定する。CPU80は、本発明で言う、判定部の一例である。CPU80の動作の一例としては、電圧測定回路50によって検出される第1,2のヒューズ61,62間の電位差(第1のバッテリセル32の電圧)と他のバッテリセルの電圧とを比較するなどして、第1のバッテリセル32の状態を判定する。この動作は、他のバッテリセルに対しても同様である。なお、CPU80の判定動作については、これに限定されるものではなく、他の情報などから各バッテリセルの状態を判定するようにしてもよい。
【0065】
第1,3のバッテリモジュール22,24は上記したように第2のバッテリモジュール23と同様の構造を備えている。
【0066】
つぎに、モジュール間の接続を説明する。第1のバッテリモジュール22と第2のバッテリモジュール23とが互いに接続され、第2のバッテリモジュール23と第3のバッテリモジュール24とが互いに接続される。
【0067】
具体的には、第2のバッテリモジュール23の1番目である第1のバッテリセル32は、第1のバッテリモジュール22の最終番目である第4のバッテリセル35に、第1のモジュール間接続用バスバー40によって互いに電気的に接続されている。第2のバッテリモジュール23の最終版目である第4のバッテリセル35は、第3のバッテリモジュール24の1番目である第1のバッテリセル32に、第2のモジュール間接続用バスバー41によって互いに電気的に接続されている。
【0068】
第1,2のモジュール間接続用バスバー40,41は、本発明で言うモジュール間接続用バスバーの一例である。バッテリモジュールが互いに直列に接続されることによって、バッテリ装置20内の全てのバッテリセルが直列に接続される。
【0069】
BMU90は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の各CPU80に接続されており、各バッテリモジュール22〜24の監視を行う。監視の一例としては、BMU90は、バッテリ装置20の電力の残量を検出するとともにインパネ(図示せず)に設けられる残量計(図示せず)にバッテリ装置20の電力の残量を表示する。また、バッテリ装置20の電力の残量に基づいて、モータ13でどの程度まで出力可能かなどの計算をする。
【0070】
表示装置100は、例えば、バッテリ装置20内のいずれかのバスバーが外れた際に、外れたバスバーを表示することができる。具体的には、表示装置100は、BMU90に接続されており、BMU90は、各CPU80からの情報に基づいて外れたバスバーを表示装置100に表示する。
【0071】
作業者は、表示装置100を確認することによって、外れたバスバーを特定することができ、それゆえ、外れたバスバーを再びバッテリセルに固定する作業を効率よくできるようになる。なお、表示装置100は、外れたバスバーを作業者に報知する手段の一例である。このため、外れたバスバーを作業者に報知するために用いられる手段(装置)としては、表示装置100に限定されるのではない。
【0072】
つぎに、バッテリ装置20の動作を説明する。
【0073】
第1〜3のバッテリモジュール22〜24において、各CPU80は、電圧測定回路50の検出値に基づいて、第1〜4のバッテリセル32〜35の電圧値を把握するとともに、第1〜4のバッテリセル32〜35の状態を判定する。そして、各バッテリセルの状態をBMU90に送信する。BMU90は、各CPU80から送信される第1〜3のバッテリモジュール22〜24の状態から、バッテリ装置20全体の電力の残量を検出し、モータ13でどの程度まで出力できるかを検出などする。
【0074】
ついで、いずれかのバスバーが外れた際の動作の一例として、第2のバッテリモジュール23の第2のバスバー37が外れた際のバッテリ装置20の動作を説明する。本実施形態では、第2のバスバー37によって互いに接続される第3,4のバッテリセル34,35がM,M−1番目のバッテリセルとなる。図5は、CPU80の動作の一例を示すフローチャートである。図5を用いて、第2のバッテリモジュール23のCPU80の動作の説明をする。
【0075】
図5に示すように、CPU80は、電圧測定回路50から送信される検出結果に基づいて、第1〜3のバスバー36〜38のいずれかが外れたか否かを検出する。具体的には、切断したヒューズを検出するとともに、ヒューズの切断の傾向を判定することによって、外れたバスバーを検出する。なお、図5に示すフローチャートは、CPU80の動作の一部であって、周期的に行われている。
【0076】
ステップST1に示すように、CPU80は、第1〜5のヒューズ61〜65のうち切断されたヒューズがあるか否かを判定する。CPU80は、第1〜5のヒューズ61〜65のうち電圧測定回路50に電圧が入力されなかったヒューズがあると、このヒューズが切断していると判定する。
【0077】
本実施形態では、まず、図2に示すように、負荷電流Iが第3,4のヒューズ63,64を通ることによって第3,4のヒューズ63,64が切断されるので、第3,4のヒューズ63,64を通って電圧測定回路50に電圧が入力されなくなる。CPU80は、第3,4のヒューズ63,64が切断したと判定する。ついで、ステップST2に進む。
【0078】
ステップST2では、CPU80は、ステップST1で検出した切断されたヒューズが、順番にならぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続される一対のヒューズであるか否かを判定する。本実施形態では、第3,4のヒューズ63,64が同時(略同時も含む概念)に溶断する。
【0079】
第3,4のヒューズ63,64は、順番に並ぶ2つのバッテリセルである第2,3のバッテリセル34,35の正極Pに接続されるヒューズであるので、CPU80は、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが溶断したことを検出している。ついで、ステップST3に進む。
【0080】
なお、順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが切れていない場合は、ステップST4に進む。順番に並ぶ2つのバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが同時(略同時も含む概念)に切断されておらず、例えば1つのヒューズのみが切断した場合は、バスバー外れに起因するヒューズの切断ではなく、電圧測定回路50内部の故障によってヒューズが切れたと判定する。
【0081】
ステップST3以降では、切れたヒューズを特定する。まず、ステップST3では、第2,3のヒューズ62,63が切断したのか否かを判定する。本実施形態では、まず、第3,4のヒューズ63,64が切断するので、ついで、ステップST5に進む。
【0082】
ステップST5では、第3,4のヒューズ63,64が同時(略同時も含む概念)に切断したか否かを判定する。本実施形態では、第3,4のヒューズ63,64がまず同時(略同時も含む概念)に溶断するので、ついでステップST6に進む。
【0083】
ステップST6では、つぎに第2,5のヒューズ62,65が切れた否かを特定する。本実施形態では、図3に示すように、第3,4のヒューズ63,64が切断した後は、第2,5のヒューズ62,65に負荷電流Iが流れる。このため、図4に示すように、第3,4のヒューズ63,64に続いて、第2,5のヒューズ62,65が同時(略同時も含む概念)に溶断する。
【0084】
本実施形態では、上記のように、第3,4のヒューズ63,64に続いて、第2,5のヒューズ62,65が同時(略同時も含む概念)に切断するので、CPU80は、第2,5のヒューズ62,65が切断したことを検出している。ついで、ステップST7に進む。
【0085】
ステップST7では、CPU80は、上記判定結果より、第2のバスバー37が外れたと判定し、BMU90に判定結果を送信する。BMU90は、CPU80から送信された結果に基づいて、第2のバッテリモジュール23の第2のバスバー37が外れたことを表示装置100に表示する。
【0086】
このように、ある1つのバスバーが外れた場合、当該外れたバスバーが接続する2つのバッテリセルのうち順番が後のバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズが、当該後ろのバッテリセルに接続されるヒューズから最終番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、1つずつ順番に切断される。
【0087】
さらに、1番目のバッテリセルに接続されるヒューズから上記並ぶ2つのバッテリセルのうち上記順番が前のバッテリセルに接続されるヒューズが、当該順番が前のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズから1番目のバッテリセルに接続されるヒューズに向かって、1つずつ順番に切断される。
【0088】
さらに、順番に並ぶ複数のバッテリセルにおいて、外れたバスバーを境に対称な順位に位置するバッテリセルに接続されるヒューズは、同時(略同時も含む概念)に切断される。
【0089】
CPU80は、上記のようなヒューズの切断の傾向を検出することによって、外れたバスバーを特定する。
【0090】
なお、本実施形態では、第2のバスバー37が外れた場合を説明したが、他のバスバーにおいても同様である。
【0091】
例えば、第1のバスバー36が外れた場合では、負荷電流Iは、まず第2,3のヒューズ62,63を通るので、第2,3のヒューズ62,63が同時(略同時も含む概念)に切断される。このため、CPU80は、ステップST3からステップST8に進む。
【0092】
ステップST8では、CPU80は、第2,3のヒューズ62,63に続いて、第1,4のヒューズ61,64が切断されたか否かを判定する。第2,3のヒューズが切断されると、負荷電流Iは、ついで、第1,4のヒューズ61,64を流れる。このため、つぎに第1,4のヒューズ61,64が切断される。
【0093】
第1のバスバー36が外れた場合では、CPU80は、第2,3のヒューズ62,63の切断に続いて第1,4のヒューズ61,64の切断を検出しているので、ついで、ステップST9に進む。
【0094】
ステップST9では、CPU80は、第1のバスバー36が切断されたと判断して、この判定結果をBMU90に送信する。BMU90は、CPU80からの送信結果に基づいて、表示装置100に、第2のバッテリモジュール23の第1のバスバー36が外れたことを表示する。
【0095】
また、例えば、第3のバスバー38が外れた場合では、負荷電流Iは、まず、第4,5のヒューズ64,65を流れる。このため、まず、第4,5のヒューズ64,65が切断される。このため、CPU80は、第4,5のヒューズ64,65が切断されたことを検出している。ついで、ステップST10からステップST11に進む。
【0096】
ステップST11では、CPU80は、第4,5のヒューズ64,65に続いて他のヒューズが切れているか否かを判定する。本実施形態では、第5のヒューズ65は、バッテリモジュール内の負荷電流Iの流れる電流経路300の端に配置されており、それゆえ、第5のヒューズ65が切断されると負荷電流Iの流れが停止する。このため、第3のバスバー38が外れた場合では、第4,5のヒューズ64,65以外のヒューズは切れない。
【0097】
第3のバスバー38が切断された場合では、CPU80は他のヒューズが切断されていないことを検出している。ついで、ステップST12に進む。
【0098】
ステップST12では、CPU80は、第3のバスバー38が切断されたと判定し、判定結果をBMU90に送信する。BMU90は、CPU80からの送信結果に基づいて、表示装置100に第2のバッテリモジュール23の第3のバスバー38が外れたことを表示する。
【0099】
ステップST6において、つぎに切断したヒューズが第2,5のヒューズ62,65ではないと判定された場合は、第3,4のヒューズ63,64の切断はバスバーが外れたことが原因ではないとして、ステップST4に進む。
【0100】
同様にステップST8において、つぎに切断されたヒューズが第1,4のヒューズ61,64ではないことを検出した場合は、第2,3のヒューズ62,63の切断は、バスバーが外れたことが原因ではないとして、ステップST4に進む。
【0101】
同様に、ステップST11において、いずれかのヒューズが切断されたことを検出した場合は、ステップST4に進む。
【0102】
いずれのバスバーも外れていない第1,3のバッテリモジュール22,24のCPU80では、ステップST1からエンドに進む。
【0103】
このように、CPU80は、バスバーが外れた際のヒューズの切断の傾向を検出することによって、別途にセンサや装置を必要とすることなく外れたバスバーを特定することができる。このため、バッテリ装置20は、構造が複雑になることを抑制するとともにコス
トの高騰化を抑制して、外れたバスバーを検出できる。
【0104】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置を、図6〜8を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、さらに第4のバッテリモジュール25を備えるとともに、各バッテリモジュール間がモジュール間接続用ダイオードによって接続されている。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
【0105】
図6は、本実施形態のバッテリ装置20を示す概略図である。バッテリ装置20は、第1の実施形態と同様に電気自動車10に搭載される。本実施形態では、一例としてバッテリ装置20は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24に加えて、第4のバッテリモジュール25を備えている。第4のバッテリモジュール25の構造は、第1〜3のバッテリモジュール22〜24の構造と同様であってよい。
【0106】
図6に示すように、第4のバッテリモジュール25は、第3のバッテリモジュール24
に電気的に直列に接続されている。具体的には、第3のバッテリモジュール24の最終番目のバッテリセルである第4のバッテリセル35と、第4のバッテリモジュール25の1番目のバッテリセルである第1のバッテリセル32とが、第3のモジュール間接続用バスバー42によって、電気的に直列に接続されている。第3のモジュール間接続用バスバー42は、本発明で言うモジュール間接続用バスバーの一例である。
【0107】
順番に直列に接続される第1〜4のバッテリモジュール22〜25において、順番に並ぶ2つのバッテリモジュール間には、モジュール間接続用ダイオードが設けられている。
【0108】
この点を具体的に説明する。順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュール内の最終番目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズと電圧測定回路50との接続部と、順番が後ろのバッテリモジュール内の1番目のバッテリセルの負極Mに接続されるヒューズと電圧測定回路との接合部とに、モジュール間接続用ダイオードが電気的に接続されている。モジュール間接続用ダイオードは、順番が後ろのバッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられている。
【0109】
本実施形態では、第1のモジュール間接続用ダイオード111が、第1のバッテリモジュール22の第5の接続部55と第2のバッテリモジュール23の第1の接続部51とに電気的に直接続されている。第2のモジュール間接続用ダイオード112が、第2のバッテリモジュール23の第5の接続部55と第3のバッテリモジュール24の第1の接続部51とに電気的に接続されている。第3のモジュール間接続用ダイオード113が、第3のバッテリモジュール24の第5の接続部55と第4のバッテリモジュール25の第1の接続部51とに電気的に接続されている。
【0110】
本実施形態では、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用バスバーが外れた場合に、外れたモジュール間接続用バスバーを特定することができる。この点について説明する。
【0111】
まず、バッテリ装置20の動作を説明する。図7,8は、バッテリ装置20の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、各CPU80の動作の一例を示している。図8は、BMU90の動作の一例を示している。各バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合での外れたバスバーを特定する動作は、第1の実施形態と同様である。
【0112】
つぎに、モジュール間接続用バスバーが外れた場合の動作を、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合を一例に、説明する。本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41によって接続される、第2,3のバッテリモジュール23,24が、本発明で言うN,N−1番目のバッテリモジュールとなる。
【0113】
まず、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた際の、バッテリ装置20のヒューズの切断の傾向について説明する。
【0114】
第2のモジュール間接続用バスバー41が外れると、負荷電流Iは、第2のモジュール間接続用バスバー41を迂回して、第2のモジュール間接続用バスバー41の両側のヒューズとダイオードとを流れる。この結果、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対象な順位に位置するヒューズが、第2のバッテリモジュール23の第5のヒューズ65と第3のバッテリモジュール24の第1のヒューズ61とから、1つずつ順番に同時(略同時も含む概念)に切断される。
【0115】
上記ヒューズの切断は、1番目のバッテリモジュールの1番目のバッテリセルの負極Mに接続されるヒューズ、または、最終番目のバッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズの少なくともどちらか一方が切断されるまで続く。
【0116】
本実施形態のように第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第1のバッテリモジュール22の第2のヒューズ62と、第4のバッテリモジュール25の第5のヒューズ65とが、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対称な順位に位置するヒューズであるので、これら一対のヒューズが同時(略同時も含む概念)に切断されるまで、ヒューズの切断が続く。これら一対のヒューズが切断されると負荷電流Iの流れが停止される。
【0117】
他の例として、第1のモジュール間接続用バスバー40が外れた場合では、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断した時点で、負荷電流が流れなくなる。このため、第1のモジュール間接続用バスバー40が切断された場合は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断されるまでヒューズの切断が続く。
【0118】
BMU90は、以下の2つの条件が成り立つと、モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。1つ目の条件は、各バッテリモジュール内の切断されたヒューズに接続されるバッテリセルをヒューズの切断された順番に並べた際に、このバッテリセルの並びが直列に並ぶ順番どおりであるか、もしくは、直列に並ぶ順番に対して逆であることである。言い換えると、第1,2,3,4,5の順番で第5のヒューズ65に向かって切断されるか、もしくは、第5,4,3,2,1の順番で第1のヒューズ61に向かって切断される場合である。
【0119】
なお、第2のモジュール間接続用バスバー41が切断された場合のように、第4のバッテリモジュール25の第5のヒューズ65と、第1のバッテリモジュール22の第2のヒューズ62とが同時(略同時も含む概念)に切断される場合は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61は切断されない。
【0120】
2つ目の条件は、順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて、切断されるヒューズの順番が互いに逆となる組み合わせがあることである。言い換えると、一方のバッテリモジュール内では、ヒューズは、第1〜5の順番で切断され、他方のバッテリモジュール内では、ヒューズが第5〜1の順番で切断される場合である。この2つの条件が成立する場合に、上記順番に並ぶ2つのバッテリモジュールにおいて切断されたヒューズに接続される順番が逆となる組み合わせを接続するモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。なお、第1のバッテリモジュール22内では、上記のように、第1のヒューズ61が切断されない場合もある。
【0121】
つぎに、図7を用いてCPU80の動作を具体的に説明する。図7に示すように、本実施形態では、CPU80の動作として、ステップST20〜ST23が追加される。ステップST20は、ステップST1,ST2との間に設けられる。
【0122】
まず、第1のバッテリモジュール22内のCPU80の動作を説明する。第1のバッテリモジュール22内では、ステップST20において、1番目のバッテリセルの負極Mに接続される第1のヒューズ61、または、最終番目である第4のバッテリセル35の正極Pに接続される第5のヒューズ65が切断したか否かを判定する。本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れることによって、第5のヒューズ65がまず切断されるので、CPU80は、第5のヒューズ65が切断されたことを検出する。ついで、ステップST21に進む。
【0123】
ステップST21では、CPU80は、先に切断されたヒューズが接続されるバッテリセルに対して順番に並ぶバッテリセルの正極Pに接続されるヒューズが、次に切断されたか否かを判定する。本実施形態では、第5のヒューズ65に続いて第4のヒューズ64、第3のヒューズ63、第2のヒューズ62が連続して切断されるので、ついで、ステップST22に進む。
【0124】
ステップST22では、CPU80は、最初に切断されたヒューズに対して、バッテリモジュール内において負荷電流が流れる電流経路300の反対端のヒューズまで1つずつ連続して切断されたか否かを判定する。なお、上記したように、第1のバッテリモジュール22においては、第1のヒューズ61が切断されない場合がある。なお、ここで言う電流経路300は、バッテリセルやヒューズやダイオードなどによって構成されており、負荷電流Iが流れる経路である。
【0125】
本実施形態では、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れることによって、第5のヒューズ65から第2のヒューズ62に向かって1つずつ連続的に切断されるので、CPU80は、第5のヒューズ65から第2のヒューズ62まで1つずつ連続的に切断されたことを検出する。ついで、ステップST23に進む。
【0126】
ステップST23では、CPU80は、BMU90に第5のヒューズ65から第2のヒューズ62まで1つずつ連続的にヒューズが切断されたという情報を送信する。
【0127】
ついで、第2のバッテリモジュール23について説明する。第2のバッテリモジュール23では、第1のバッテリモジュール22と同様に、第5のヒューズ65が最初に切断され、ついで、第4、3,2,1の順番で1つずつ連続的にヒューズが切断される。第2のバッテリモジュール23のCPU80も第1のバッテリモジュール22のCPU80と同様の動作を行う。
【0128】
ついで、第3のバッテリモジュール24の動作を説明する。第3のバッテリモジュール24内では、第1のヒューズ61から第5のヒューズ65まで1つ順番に連続的に切断される。このため、第3のバッテリモジュール24のCPU80は、ステップST23では、BMU90に、第1のヒューズ61から第5のヒューズ65まで1つずつ順番に連続的に切断されたという情報を送信する。
【0129】
ついで、第4のバッテリモジュール25の動作説明をする。第4のバッテリモジュール25のCPU80は、第3のバッテリモジュール24のCPU80と同様の動作を行う。
【0130】
各CPU80において、ステップST21で、順番に並ぶバッテリセルに接続されるヒューズが切断されていないと判定された場合は、ステップST21からステップST4に進む。ステップST22において、電流経路300の他端に配置されるヒューズまで連続して切断されなかった場合(第1のバッテリモジュール22は除く)は、ステップST4に進む。
【0131】
図8は、BMU90の動作の一部を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップST31では、BMU90は、各CPU80からヒューズの切断情報を受信したか否かを判定する。
【0132】
図7に示すように、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第2〜4のバッテリモジュール23〜25の第1〜5のヒューズ61〜65が切断されたという情報と、第1のバッテリモジュール22の第2〜5のヒューズ62〜65が切断されたという情報とがBMU90に送信されているので、ついで、ステップST32に進む。
【0133】
ステップST32では、BMU90は、外れたバスバーを特定する情報がいずれのCPU80から送信されたか否かを判定する。バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合ではバッテリモジュール内のCPUが外れたバスバーを特定し、外れたバスバーの情報をBMU90に送信する(以上の動作は第1の実施形態で説明)。
【0134】
しかしながら、モジュール間接続用バスバーが外れている場合では、各CPU80は、いずれのバスバーが外れたかを特定できない。このため、ステップST32では、BMU90は、外れたバスバーを特定する情報を受信していない。このため、ついでステップST33に進む。
【0135】
ステップST33では、切断されたヒューズを切断された順番に並べた際に、これらヒューズが接続されるバッテリセルが順番に並ぶ否かを判定する。上記したように、モジュール間接続用バスバーが外れた場合では、切断されたヒューズが接続されるバッテリセルをヒューズが切断された順番に並べると、バッテリセルは、1番目から最終番目に向かって順番に並ぶか、または、最終番目から1番目に向かって順番に並ぶ。
【0136】
BMU90は、第1〜4のバッテリモジュール22〜25のCPU80から各バッテリモジュール内のヒューズの切断の傾向が上述の傾向であるという情報を受信しているので、ついで、ステップST34に進む。
【0137】
ステップST34では、BMU90は、順番に隣り合うバッテリモジュール間においてヒューズの切断される順番が互いに逆となる組み合わせバッテリモジュールどうしを接続するモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0138】
本実施形態では、第2,3のバッテリモジュール23,24においてヒューズの切断順番が互いに逆になる。このため、BMU90は、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れていると判定する。ついで、ステップST35に進む。
【0139】
ステップST35では、BMU90は、第2のモジュール間接続用バスバー41が外れたことを報知すべく、表示装置100に第2のモジュール間接続用バスバー41が外れていることを表示する。
【0140】
なお、バッテリモジュール内のいずれかのバスバーが外れた場合では、BMU90は、外れたバスバーの情報をCPUから受信する。このため、すでに外れたバスバーの情報をCPU80から受信している場合は、ステップST32からステップST35に進む。
【0141】
また、ステップST33において、切断されたヒューズに接続されるバッテリセルをヒューズの切断順番に並べた際のバッテリセルの並びが、複数のバッテリセルを直列に接続した際の順番通りでなく、かつ、上記順番の逆でもない場合は、ステップST36に進み、電圧測定回路内部の故障によるヒューズ切れと判定される。
【0142】
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、バッテリモジュール間を接続するモジュール間接続用バスバーが外れた場合であっても、外れたバスバーを特定することができる。
【0143】
なお、本実施形態では第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合を一例として説明したため、第2〜4のバッテリモジュール23〜25の第1〜5のヒューズ61〜65が全て連続して切断され、かつ、第1のバッテリモジュール22の第2〜5のヒューズ62〜65が連続して切断された。
【0144】
しかしながら、例えば第1のモジュール間接続用バスバー40が外れた場合では、バッテリ装置20内のヒューズの切断は、第1のバッテリモジュール22の第1のヒューズ61が切断されると止まる。このとき、第2のバッテリモジュール23の第5のヒューズ65まで連続して切断され、第3,4のバッテリモジュール24,25内の第1〜5のヒューズ61〜65は切断されない。
【0145】
このため、BMU90が、モジュール間接続用バスバーが外れたことを特定する場合において、上記のようにいずれかのバッテリモジュール内のヒューズが切断されていない場合もある。この場合であっても、BMU90は、隣り合うバッテリモジュール間において内部のヒューズの切断順番が互いに逆向きとなる場合、これらバッテリモジュール間のモジュール間接続用バスバーが外れたと判定する。
【0146】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置を、図9を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、モジュール間接続用ダイオードの構造が第2の実施形態と異なる。さらに、ツェナーダイオードを備えている。他の構造は、第2の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
【0147】
図9は、本実施形態のバッテリ装置20を示す概略図である。図9に示すように、本実施形態では、モジュール間接続用ダイオードとして、ツェナーダイオードが用いられるとともに、モジュール間接続用ダイオードに対して順方向が逆向きの1つのツェナーダイオードが設けられている。
【0148】
具体的には、第1〜3のモジュール間接続用ダイオード111〜113としてツェナーダイオードが用いられている。また、各モジュール間接続用ダイオード111〜113に、順方向が互いに逆向きとなるようにツェナーダイオード121が設けられている。
【0149】
本実施形態では、モジュール間接続用ダイオード111〜113にツェナーダイオード121が接続されることによって、万が一、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、バッテリ装置20内の全てのヒューズが切断されることを抑制することができる。
【0150】
この点について具体的に説明する。例えば第2のモジュール間接続用バスバー41が外れた場合では、第2のモジュール間接続用バスバー41を境に対象な順位のヒューズが、順番に連続的に切断される(第2の実施形態で説明)。このとき、バッテリ装置20の出力電圧は、負荷電流Iが流れる電流経路300から外れたバッテリセルの電圧分下がる。
【0151】
このため、バッテリ装置20の出力電圧が、ツェナーダイオード121のツェナー電圧より低下すると、ツェナーダイオード121を負荷電流Iが流れなくなる。この結果、ヒューズの切断が停止される。
【0152】
各ツェナー電圧を所定の値に設定することによって、いずれかのバスバーが外れた場合であっても、切断されるヒューズ数を抑制することができる。
【0153】
本実施形態では、第2の実施形態の効果に加えて、切断されるヒューズの数を抑制することができる。
【0154】
なお、本実施形態では、各モジュール間接続用ダイオードにツェナーダイオードが用いられるとともに、各モジュール間接続用ダイオードに順方向が逆となるようにツェナーダイオードが接続された。しかしながら、これに限定されない。各モジュール間接続用ダイオードは、ツェナーダイオードでなくてもよく、第1,2の実施形態で用いられたダイオードであってもよい。
【0155】
また、第1〜3の実施形態では、バッテリ装置20が備える複数のバッテリセルは、一例として複数のバッテリモジュール(3つまたは4つ)に分けられている。しかしながら、バッテリ装置20は、バッテリモジュールを備える構造に限定されない。
【0156】
例えば、バッテリ装置20は、複数のバッテリセルを備える場合であっても、これら複数のバッテリセルが複数のバッテリモジュールに分けられることなく、互いに電気的に直列に接続されてもよい。このことは、言い換えると、バッテリ装置が1つのバッテリモジュールを備える構造である。この構造であっても、外れたバスバーを検出することができる。
【0157】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0158】
20…バッテリ装置、22…第1のバッテリモジュール、23…第2のバッテリモジュール、24…第3のバッテリモジュール、25…第4のバッテリモジュール、31…電池監視装置、32…第1のバッテリセル、33…第2のバッテリセル、34…第3のバッテリセル、35…第4のバッテリセル、36…第1のバスバー、37…第2のバスバー、38…第3のバスバー、40…第1のモジュール間接続用バスバー、41…第2のモジュール間接続用バスバー、42…第3のモジュール間接続用バスバー、50…電圧測定回路(電圧測定部)、61…第1のヒューズ、62…第2のヒューズ、63…第3のヒューズ、64…第4のヒューズ、65…第5のヒューズ、71…第1のダイオード、72…第2のダイオード、73…第3のダイオード、74…第4のダイオード、80…CPU(判定部)、90…BMU(バッテリマネジメントユニット)、111…第1のモジュール間接続用ダイオード、112…第2のモジュール間接続用ダイオード、113…第3のモジュール間接続用ダイオード、121…ツェナーダイオード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリモジュールを備えるバッテリ装置であって、
前記バッテリモジュールは、
複数のバッテリセルと、
前記バッテリセル間の各々に設けられて1番目から最終番目までの前記バッテリセルを順番に直列に接続するバスバーと、
前記各バッテリセルの監視を行うバッテリ監視装置と
を具備し、
前記バッテリ監視装置は、
前記各バッテリセルの電圧を測定する電圧測定部と、
1番目のバッテリセルの負極と前記電圧測定部の間に設けられて前記負極を前記電圧測定部に接続するとともに、前記各バッテリセルの正極と前記電圧測定部の間の各々に設けられて前記正極の各々を前記電圧測定部に接続する複数のヒューズと、
1番目の前記バッテリセルの両極に接続される一対の前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続するとともに、順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続する複数のダイオードと、
前記電圧測定部の検出結果に基づいて前記各バッテリセルの状態を判定する判定部と
を具備し、
1番目の前記バッテリセルの両極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、正極に接続されるヒューズ側が順方向先端側となるように設けられ、
順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、順番が後ろの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側が順方向の先端側となるように設けられ、
前記判定部は、前記バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、M番目から最終番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから前記最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目からM−1番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M−1番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目の前記バッテリセルとM−1番目の前記バッテリセルとを接続する前記バスバーが外れたと判定する
ことを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
前記バッテリモジュールは、複数設けられ、
前記バッテリモジュール間の各々にモジュール間接続用バスバーが設けられることによって、1番目から最終番目までの前記バッテリモジュールが順番に直列に接続され、
前記モジュール間接続用バスバーは、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールのうち、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルと、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルとを接続する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ装置。
【請求項3】
順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との前記接続部と、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部とを互いに接続するモジュール間接続用ダイオードと、
前記複数のバッテリモジュールの前記各判定部に接続されて前記各バッテリモジュールを監視するバッテリマネジメントユニットと
を具備し、
前記モジュール間接続用ダイオードは、前記モジュール間接続用ダイオードが接続する2つの前記バッテリモジュールのうち順番が後ろの前記バッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられ、
前記バッテリマネジメントユニットは、前記複数のバッテリモジュールの個数を示す数以下であって1を超える自然数をNとするとき、N番目の前記バッテリモジュールから最終番目の前記バッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N番目の前記バッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズから最終番目の前記バッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目の前記バッテリモジュールからN−1番目のバッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N−1番目の最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目のバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、N番目のバッテリモジュールとN−1番目のバッテリモジュールとを接続する前記モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ装置。
【請求項4】
順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュール間において前記モジュール間接続用ダイオードに接続されて順方向が前記モジュール間接続用ダイオードの順方向に対して逆向きとなるツェナーダイオード
を具備する
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ装置。
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリモジュールを備えるバッテリ装置であって、
前記バッテリモジュールは、
複数のバッテリセルと、
前記バッテリセル間の各々に設けられて1番目から最終番目までの前記バッテリセルを順番に直列に接続するバスバーと、
前記各バッテリセルの監視を行うバッテリ監視装置と
を具備し、
前記バッテリ監視装置は、
前記各バッテリセルの電圧を測定する電圧測定部と、
1番目のバッテリセルの負極と前記電圧測定部の間に設けられて前記負極を前記電圧測定部に接続するとともに、前記各バッテリセルの正極と前記電圧測定部の間の各々に設けられて前記正極の各々を前記電圧測定部に接続する複数のヒューズと、
1番目の前記バッテリセルの両極に接続される一対の前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続するとともに、順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部間に設けられてこれら接続部間を接続する複数のダイオードと、
前記電圧測定部の検出結果に基づいて前記各バッテリセルの状態を判定する判定部と
を具備し、
1番目の前記バッテリセルの両極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、正極に接続されるヒューズ側が順方向先端側となるように設けられ、
順番に並ぶ2つの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ間に設けられる前記ダイオードは、順番が後ろの前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側が順方向の先端側となるように設けられ、
前記判定部は、前記バッテリセルの個数を示す数以下であって1を超える自然数をMとするとき、M番目から最終番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから前記最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目からM−1番目までの前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、M−1番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズ側に向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、M番目の前記バッテリセルとM−1番目の前記バッテリセルとを接続する前記バスバーが外れたと判定する
ことを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
前記バッテリモジュールは、複数設けられ、
前記バッテリモジュール間の各々にモジュール間接続用バスバーが設けられることによって、1番目から最終番目までの前記バッテリモジュールが順番に直列に接続され、
前記モジュール間接続用バスバーは、順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールのうち、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルと、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルとを接続する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ装置。
【請求項3】
順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュールにおいて、順番が前のバッテリモジュールの最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との前記接続部と、順番が後ろのバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズの前記電圧測定部との接続部とを互いに接続するモジュール間接続用ダイオードと、
前記複数のバッテリモジュールの前記各判定部に接続されて前記各バッテリモジュールを監視するバッテリマネジメントユニットと
を具備し、
前記モジュール間接続用ダイオードは、前記モジュール間接続用ダイオードが接続する2つの前記バッテリモジュールのうち順番が後ろの前記バッテリモジュール側が順方向の先端側となるように設けられ、
前記バッテリマネジメントユニットは、前記複数のバッテリモジュールの個数を示す数以下であって1を超える自然数をNとするとき、N番目の前記バッテリモジュールから最終番目の前記バッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N番目の前記バッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズから最終番目の前記バッテリモジュールの最終番目のバッテリセルの正極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断され、かつ、1番目の前記バッテリモジュールからN−1番目のバッテリモジュール内の前記バッテリセルに接続される前記ヒューズが、N−1番目の最終番目の前記バッテリセルの正極に接続される前記ヒューズから1番目のバッテリモジュールの1番目の前記バッテリセルの負極に接続される前記ヒューズに向かって1つずつ順番に切断されたことを検出すると、N番目のバッテリモジュールとN−1番目のバッテリモジュールとを接続する前記モジュール間接続用バスバーが外れたと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ装置。
【請求項4】
順番に並ぶ2つの前記バッテリモジュール間において前記モジュール間接続用ダイオードに接続されて順方向が前記モジュール間接続用ダイオードの順方向に対して逆向きとなるツェナーダイオード
を具備する
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−54440(P2011−54440A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202901(P2009−202901)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
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