説明

バッテリ電流を測定するための分流器を具備しているバッテリの端子ラグ

【課題】 バッテリ電流を測定するための分流器と、少なくとも1つの電子部品のための、プリント回路板などから成る支持体とが備えられており、かつこの分流器が短く、支持体と分流器との両方が保護されている、自動車のバッテリの端子ラグを提供する。
【解決手段】 この端子ラグは、分流器(7)と、分流器(7)および支持体(8)を収容するためのケーシング(5、6)とを保持するように作られている突出部を有する、互いに分離した2つの部材(2、3)を備えている。2つの部材のうちの第1の部材(2)は、バッテリ端子に固定されるようになっており、第2の部材は、このバッテリ端子に組み合わされているバッテリケーブルに固定されるようになっている。第1の部材(2)と第2の部材(3)との間には、電気的絶縁手段(4)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ電流を測定するための分流器を具備しているバッテリの端子ラグ(端子金具)に関する。
【背景技術】
【0002】
このような端子ラグは、詳細な説明のために、本明細書において参照する、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1においては、導電性であり、かつバッテリ端子に取り付けられるように構成されている端子ラグは、孔があけられている分岐を有している。この孔の内部には、例えば自動車の接地端子に接続されているバッテリケーブルに接続される接続ロッドを通すための電気絶縁性のスリーブが取り付けられている。
【0004】
接続ロッドの自由端は、第1のほぞを有している。
【0005】
端子ラグは、第2のほぞを有している。バッテリ電流を測定するための分流器は、その両端の各々には、それぞれ、第1のほぞ、および第2のほぞを嵌め込むための第1の孔および第2の孔が設けられている。分流器は、測定結果を評価し、また任意選択に測定結果を分析するための、概略的に示されている電子部品を保持している支持体に接続されている。
【0006】
これらの電子部品は、バッテリ電流のほかに、バッテリの温度および電圧などの、バッテリの他のパラメータを測定することができる。これらのパラメータを不断に分析し、その結果は、バッテリの充電状態および正常状態を監視するために用いられる。
【0007】
実際には、電子部品の支持体は、電気的接続手段を用いた積み上げによって、分流器に機械的に支持されている。
【0008】
支持体および分流器を保護することが望ましい場合がある。
【0009】
このような場合には、特許文献2に開示されている解決方法を用いることができる。この特許文献2においては、バッテリ端子に固定されるようになっているバッテリの端子ラグは、単一体を成しており、分流器を支持するための延長部を有している。分流器は、分流器と、端子ラグの延長部とによって画定されている空洞空間内に取り付けられている。分流器は、第1に、端子ラグの延長部と、対応するバッテリケーブルとに、それぞれ接続するための導電性の2つの接続部分、および第2に、中間の測定部分を有している。端子ラグの延長部は、分流器の対応する接続部分に、例えば溶接またはろう付けによって、電気的に接続されている。分流器の他の1つの接続部分は、端子ラグの延長部に、電気的に絶縁された状態でねじ留めされている。
【0010】
特許文献3においては、分流器は、さらに、電気接点を有するその接続部分のうちの一方を介して、端子ラグの延長部の一部に固定され、他方の接続部分を介して、対応するバッテリケーブルに電気的にコンタクトしている。バッテリケーブルの側では、分流器と端子ラグの延長部との間に、電気的絶縁手段が挟まれている。
【0011】
一実施形態によれば、これらの電気的絶縁手段は、分流器からの情報を用いる電気回路を収容するためのケーシングに付属している。接続部分およびバッテリケーブルへの、分流器のそれぞれの固定は、ビスとナットを用いてなされている。
【0012】
これらの2つの特許文献においては、分流器の長さは長い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】フランス国特許公開第2866158号公報
【特許文献2】ドイツ国特許公開第102004055847号公報
【特許文献3】フランス国特許公開第2910719号公報
【特許文献4】ヨーロップ特許公開第0605800号公報
【特許文献5】国際公開第WO96/33078号公報
【特許文献6】米国特許第3634819号公報
【特許文献7】ヨーロッパ特許公開第1030185号公報
【特許文献8】ヨーロッパ特許公開第0990167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、分流器の長さを短縮し、かつ支持体および分流器を保護するという要求を満たすことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明では、バッテリ端子に固定されるように構成されている第1の保持部材を備えている、上述のタイプの端子ラグを提供する。この端子ラグは、バッテリ端子に組み合わされているバッテリケーブルに接続されるように構成されている第2の保持部材を備えており、第1の保持部材と第2の保持部材とは、互いに分離しており、かつ分流器と、分流器および支持体を収容するためのケーシングとを保持するように構成されている突出部を有しており、端子ラグの第1の保持部材と第2の保持部材との間に、電気的絶縁手段が介在されている。
【0016】
本発明によれば、分流器および支持体は、ケーシング内に収容されて、保護される。さらに、端子ラグの第2の保持部材が、対応するバッテリケーブルに接続されるように作られており、一方、端子ラグの第1の保持部材が、バッテリ端子に接続されるように作られているから、分流器の長さはより短くなり、分流器の受ける機械的応力はより小さくなる。
【0017】
この端子ラグは、次の特性の1つ以上を単独で、または組み合わせて備えている場合がある。
− 空洞形状のケーシングは、カバーによって閉じられたハウジングを備えている。
− 一実施形態によれば、ハウジングはカバーよりも深い。
− 別の一実施形態によれば、カバーはハウジングよりも深い。
− ハウジングまたはカバーは、支持体の機械的位置決め手段を備えている。
− 支持体の機械的位置決め手段には、ハウジングに付属しており、それぞれに支持体の開口を貫通している、先端が広げられた複数の小円柱が含まれている。
− ハウジング本体またはカバー本体は、形状係合による、支持体の位置決め手段を構成している。
− ハウジングまたはカバーは、支持体の機械的支持手段を備えている。
− 機械的支持手段は、支持体の下面に接するための、ハウジングまたはカバーの底部から生じている垂直な突起によって構成されている。
− ケーシングは、支持体を動けなくするように構成されている。
− ケーシングのカバーは、支持体の上面に押し当てられるように構成されている。
− 端子ラグの第1および第2の保持部材の突出部は、概ね上下に並んで配置されている。
− ケーシングは、端子ラグの第1および第2の保持部材の突出部が挿入される側面開口を有している。
− ハウジングを端子ラグの第1および第2の保持部材の突出部に固定するために、およびケーシングに取り付けられている部品を保護するために、ケーシング内は樹脂で埋められる。
− 第1および第2の保持部材の突出部は、分流器を支持するアームを構成している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】自動車のバッテリ端子に固定されるようになっている第1の保持部材、およびこのバッテリ端子に組み合わされているバッテリケーブルに固定されるようになっている第2の保持部材を備えている、本発明による端子ラグの斜視図である。
【図2】図1の端子ラグを別の角度から見た斜視図である。
【図3】図1の端子ラグをさらに別の角度から見た斜視図である。
【図4】図1の端子ラグをなお別の角度から見た斜視図である。
【図5】図1〜図4の端子ラグの第1の保持部材を下方から見た斜視図である。
【図6】図5の第1の保持部材を別の角度から見た斜視図である。
【図7】図5の第1の保持部材をさらに別の角度から見た斜視図である。
【図8】図1〜図4の端子ラグの第2の保持部材の斜視図である。
【図9】図8の第2の保持部材を別の角度から見た斜視図である。
【図10】図1〜図4の端子ラグの導電性の第1の保持部材と第2の保持部材との間に配置されている、電気絶縁性の中間部材の斜視図である。
【図11】図10の中間部材を別の角度から見た斜視図である。
【図12】図10の中間部材をさらに別の角度から見た斜視図である。
【図13】図10の中間部材をなお別の角度から見た斜視図である。
【図14】図1〜図4の端子ラグに、対応するバッテリケーブルを固定するための手段の一部である植え込みボルトの斜視図である。
【図15】図1〜図4の端子ラグの一部であるハウジング−カバー組み立て体単独の斜視図である。
【図16】図15のハウジングの上面図である。
【図17】図15のカバーの下面図である。
【図18】図1〜図4の端子ラグが有している電流測定用の分流器を具備しているハウジングを、他の部材を省略して示している、図16と同様の上面図である。
【図19】支持体を具備しているハウジングを示している、図18と同様の上面図である。
【図20】図18および図19の分流器および支持体を具備しているハウジングを単独で示している、図15と同様の斜視図である。
【図21】端子ラグに付随する分流器を具備している、端子ラグの第2の保持部材の斜視図である。
【図22】図21の分流器を具備している、端子ラグの第1および第2の保持部材の斜視図である。
【図23】ハウジングを適切に配置された第1および第2の保持部材の斜視図である。
【図24】図23の、ハウジングを配置された第1および第2の保持部材を矢印24の方向から見た部分斜視図である。
【図25】カバーおよび支持体のない状態の端子ラグの斜視図である。
【図26】端子ラグのハウジングの別の一実施形態の斜視図である。
【図27】端子ラグの支持体の別の一実施形態を下から見た斜視図である。
【図28】図26のハウジングおよび図27の支持体を具備している端子ラグの断面斜視図である。
【図29】図27の支持体を具備しているハウジングの部分上面図である。
【図30】端子ラグのハウジング内への支持体の取り付けの別のタイプ、および分流器と支持体との接続の別のタイプを示す部分断面図である。
【図31】本発明の端子ラグのさらに別の実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、非限定的な例として示す以下の説明を読むことによって、本発明の他の利点が明らかになると思う。
【0020】
図1〜図4において、本発明によるバッテリの端子ラグが、符号1で示されている。
【0021】
この端子ラグ1は、バッテリ電流を測定するための分流器(図18、図20〜図22、図25において符号7が付されている)を具備している。
【0022】
この導電性の端子ラグ1は、特許文献1の端子ラグに比して、特に分流器の長さが短縮されているという点で変更されている。例えば、端子ラグ1は、後述のように、分流器7と、分流器7および分流器7に組み合わされた支持体8を収容するための、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングとを保持するように構成されている突出部(後述のように、アームとも呼ばれる)28、38をそれぞれに有している、互いに分離した2つの保持部材2および3を備えている。
【0023】
これらの保持部材のうちの第1の保持部材2は、自動車のバッテリ端子のうちの1つに固定されるように構成されている。
【0024】
第2の保持部材3は、対応するバッテリ端子に組み合わされているバッテリケーブルに電気的に接続されるように構成されている。
【0025】
この電気的接続のために、第1の保持部材2は、バッテリケーブルに対する固定手段を保持している。この実施形態においては、バッテリケーブルのためのこれらの固定手段は、2つの保持部材2と3との間に介在しているアセンブリ手段14に付随させることが効率的である。このアセンブリ手段14は、第1の保持部材2に固定されており、かつ第2の保持部材3を貫通している。このアセンブリ手段14は、2つのねじ部分の間に、クランプ/回転阻止部材18を設けられた植え込みボルト15(図14)を備えている。この実施形態においては、クランプ/回転阻止部材18は、正方形の横断面を有している。
【0026】
一特性によれば、保持部材2、3は、それぞれアセンブリラグ26、36を備えている。これらのアセンブリラグ26、36は、植え込みボルト15の対応するねじ部分を通すための孔が開けられた矩形状を呈している。アセンブリラグ26、36は、図5〜図9に示されている。円柱状である孔には、それぞれ符号126、136が付されている。
【0027】
後述するように、孔126と136、およびアセンブリラグ26と36は、互いに向き合うように配置されており、かつアセンブリラグ36は、アセンブリラグ26の上方に配置されている。
【0028】
保持部材2、3の各々は、後述のように、分流器7に固定されるように、したがって分流器7を保持するように構成されている。
【0029】
一特性によれば、電気的絶縁手段が、互いに分離した2つの保持部材2と3の間に介在されている。
【0030】
この電気的絶縁手段は、後述する電気絶縁材料から成る中間部材4、および電気絶縁性のワッシャ17を有している。中間部材4およびワッシャ17から成るこの電気的絶縁手段は、後述のように、特許文献1による電気絶縁性のスリーブに関連する、さらなる機能を有している。
【0031】
中間部材4は、2つの保持部材2、3の間に配置されており、金属でできているために導電性である植え込みボルト15を、アセンブリラグ26から絶縁するように特に構成されている。
【0032】
2つの保持部材2および3は導電性で、かつ熱伝導性であり、さらに、それぞれ対応するバッテリ端子およびバッテリケーブルに機械的に固定されるように構成されているから、1つの機械的機能を有している。端子ラグ1の2つの保持部材2および3は、金属から成っており、したがって、どちらの電気抵抗も低い。
【0033】
一実施形態によれば、2つの保持部材2、3は、互いに異なる材料から成っている。
【0034】
別の一実施形態によれば、2つの保持部材2、3は、同じ材料から成っている。端子ラグ1のこれらの2つの保持部材2、3は、経済的な理由によって、例えば真ちゅうをベースにしている。一実施形態によれば、2つの保持部材2、3は、錫めっきされている。一変形例として、2つの保持部材2、3は、銅から成っている。
【0035】
本明細書においては、2つの保持部材2、3は、所望の形状を得るように成形することができる材料で作られている。図示の実施形態においては、2つの保持部材2、3は、真ちゅうをベースにしている。
【0036】
一変形例として、2つの保持部材2、3のうちの少なくとも1つを、機械加工によって作製することがある。例えば、第1の保持部材2より単純な形状を有している第2の保持部材3は、機械加工によって得られた形状を有している。
【0037】
図1に示すように、第2の保持部材3が、第1の保持部材2の上方に延在しているから、保持部材2、3は、それぞれ下部端子ラグ、上部端子ラグとも呼ばれる。
【0038】
本明細書においては、第1の保持部材、すなわち下部端子ラグ2は、負のバッテリ端子に固定されるように構成されており、第2の保持部材、すなわち上部端子ラグ3は、自動車の接地端子に接続されている、接地ケーブルと呼ばれるバッテリケーブルに接続されるように構成されている。一変形例として、下部端子ラグ2を、正のバッテリ端子に固定しうるように構成し、上部端子ラグ3を、正のバッテリケーブルに固定しうるように構成しうることは理解しうると思う。
【0039】
この実施形態においては、中間部材4は、容易に所望の形状としうるように、成型可能なプラスチック材料で作られている。
【0040】
一実施形態によれば、このプラスチック材料は、ファイバーで強化されている。
【0041】
電気絶縁性の中間部材4が、図10〜図13に、よりよく示されている。この中間部材4は、下部端子ラグ2のアセンブリラグ26のサイズに適合したサイズを有する、概ね矩形形状の第1部分41を備えている。
【0042】
この第1部分41には、中央に孔が開けられた凹み部43(図12)が形成されている。この孔は、下部端子ラグ2のアセンブリラグ26の孔126内に挿入されているスリーブ42の中央に穿孔することによって設けられている。
【0043】
図に示するように、植え込みボルト15の短い方の下側のねじ部分は、スリーブ42を貫通しており、下部端子ラグ2から電気的に絶縁されている。
【0044】
クランプ/回転阻止部材18は、凹み部43内に収容されており、したがって、アセンブリラグ26から電気的に絶縁されている。クランプ/回転阻止部材18は、植え込みボルト15のねじ部分よりも横方向に張り出している。
【0045】
したがって、アセンブリラグ26と36との間に配置されている中間部材4は、植え込みボルト15をクランプするためのクランプ/回転阻止部材18と、アセンブリラグ26とを電気的に絶縁する中間部材である。
【0046】
クランプ/回転阻止部材18は、第1部分41より高さが大である。したがって、このクランプ/回転阻止部材18は、上部端子ラグ3のアセンブリラグ36の下面に電気的にコンタクトしている。植え込みボルト15の長いねじ部分は、アセンブリラグ36の孔136を貫通している。
【0047】
したがって、中間部材4は、アセンブリラグ26を、植え込みボルト15から、したがって、植え込みボルト15のクランプ/回転阻止部材18と電気的にコンタクトしているアセンブリラグ36から、電気的に絶縁している。
【0048】
アセンブリ手段14は、さらに、アセンブリラグ26の下面に接して、電気的絶縁を行うワッシャ17、および植え込みボルト15の下側のねじ部分の端部に留められて、電気絶縁性のワッシャ17を支持しているナット16を備えている。
【0049】
したがって、電気的絶縁手段は、中間部材4、およびアセンブリ手段14に付随しているワッシャ17を備えている。
【0050】
したがって、植え込みボルト15は、アセンブリラグ26の上面に接している凹み部43の底部に保持されているクランプ/回転阻止部材18と、アセンブリラグ26の下面に接しているワッシャ17に押し当てられているナット16とによって、アセンブリラグ26に固定されている。したがって、クランプ/回転阻止部材18は、アセンブリ手段14をアセンブリラグ26から電気的に絶縁するための凹み部43の底部を介在して、2つのアセンブリラグ26と36との間の中間部材を構成している。
【0051】
例えば特許文献3における一実施形態においては、対応するバッテリケーブルの自由端(本明細書には表わされていない)に、ワッシャまたは孔の開いた平坦な部材を設けることが示されている。このワッシャまたは平坦な部材は、本明細書では、アセンブリラグ36の上面に電気的にコンタクトされている。植え込みボルト15の上側のねじ部分が、このワッシャまたは平坦な部材に通される。バッテリケーブルのワッシャまたは平坦な部材をクランプするために、ナットが、上側のねじ部分の端部に留められる。それによって、アセンブリラグ36の下面は、クランプ/回転阻止部材18に接する。
【0052】
一変形例として、バッテリケーブルの自由端に、植え込みボルト15の上側のねじ部分を通すことができる、孔の開いた金属棒を有している。一実施形態によれば、この金属棒の孔は円筒状である。一変形例として、この孔は、細長いものである。
【0053】
一変形例として、金属棒は、複数の孔を有している。上述の特許文献3の実施形態におけるように、バッテリケーブル端の金属棒のクランプによって、アセンブリラグ36へのコンタクトを行うために、ナットが、植え込みボルト15の上側のねじ部分に留められる。可能であれば、ナットと金属棒との間にワッシャが設けられる。したがって、これらの実施形態においては、植え込みボルト15は、上部端子ラグ3上へのバッテリケーブルの固定のための手段の一部として機能する。
【0054】
図1〜図4および図12に示すように、アセンブリラグ26および中間部材4の第1部分41の、それらの縁の1つの近傍には、それぞれ符号144および44が付されている、細長い形状のリブを備えている。リブ44と144とは、互いに90°をなしている。リブ44は、リブ144より上方で延在している。このリブ44は、上部端子ラグ3のアセンブリラグ36の縁の1つと係合するようになっている。したがって、中間部材4は、リブ144によって回転を阻止されている。植え込みボルト15は、凹み部43内に相補的に嵌め込まれている、クランプ/回転阻止部材18によって、回転が阻止されている。上部端子ラグ3は、リブ44によって回転が阻止されている。
【0055】
一変形例として、クランプ/回転阻止部材18、および凹み部43の横断面を、別の形状、例えば六角形、または少なくとも1つの平面部分を有する円形としていてもよいことは理解されると思う。
【0056】
一変形例として、リブ44および144は、それぞれ複数の部分に分割されている。
【0057】
一変形例として、リブ44および144は、それぞれ少なくとも2つのピンに替えられている。
【0058】
いずれの場合にも、中間部材4と植え込みボルト15との間、および中間部材4と下部端子ラグ2、上部端子ラグ3との間の形状係合によって回転を阻止する手段が設けられている。
【0059】
したがって、中間部材4は、回転を阻止する機能も有している。
【0060】
前述の説明から、分流器7の組み込みの前に、アセンブリラグ26、36を利用して、下部端子ラグ2、上部端子ラグ3、中間部材4、およびアセンブリ手段14を有する、操作可能で、可動である一次部分組立品を作ることができることは明らかである。
【0061】
別の一特性によれば、下部端子ラグ2、上部端子ラグ3は、カバー6によって閉じられた、空洞状のハウジング5を保持するように構成されている。カバー6とハウジング5とは、両者で1つの蓋付きのケーシングを形成している。
【0062】
この保持のために、下部端子ラグ2および上部端子ラグ3は、それぞれ突出部28、38を有している。
【0063】
これらの突出部28、38は、その自由端に分流器7を保持しており、概ね上下に並んでいる。したがって、一特性として、この分流器の長さは、上述の特許文献3および特許文献2による分流器の長さに比して短縮されている。
【0064】
分流器7は、カバー6によって閉じられたハウジング5内に収容されており、したがって、保護されている。カバー6は、高さが一定であるハウジング5の底部59に平行に延在している。
【0065】
この例においては、後述の支持突起を容易に得ることができるように、ハウジング5およびカバー6は、成型可能なプラスチック材料で作られている。
【0066】
一実施形態によれば、このプラスチック材料は、ファイバーで強化されている。
【0067】
例えば図20に示すように、分流器7、電子部品のための支持体8、および支持体8と分流器7とを電気的に接続するための電気的接続手段9が、カバー6によって、閉じられたハウジング5内に取り付けられている。
【0068】
したがって、端子ラグ1は、特許文献1の端子ラグに比して、分流器7、支持体8、および電気的接続手段9を保護するというさらなる機能を有している。
【0069】
対応するバッテリケーブルは、ハウジング5内に挿入されていないことに注意されたい。
【0070】
一実施形態によれば、ハウジング5およびカバー6は、平行六面体であり、矩形横断面を有するケーシングを形成している。
【0071】
本明細書の場合には、概ね平行六面体形状を有するハウジング5およびカバー6は、例えば図1〜図4、図15〜図17および図20に示すように、それぞれ、底部59および159、垂直縁部259および359を有しており、垂直縁部259および359は、それぞれ底部59および159に対して直角に延びており、かつアセンブリ手段14の近傍にアンダーカット部分を形成するための傾斜部分51および61が、それぞれ設けられている。
【0072】
別の一実施形態によれば、ケーシングを形成しているハウジング5およびカバー6は、アンダーカット部分を形成する傾斜部分51および61を有しておらず、したがって、平行六面体の形状を呈している。
【0073】
垂直縁部259、359は、底部59、159に直角な囲いを形成しており、それぞれハウジング5、カバー6の本体の一部分をなしている。後述の側面開口55を形成するために、垂直縁部259は一部欠如している。
【0074】
この実施形態においては、垂直縁部259が垂直縁部359より高さが大であるから、ハウジング5はカバー6よりも深さがある。
【0075】
別の一実施形態によれば、カバーの垂直縁部は、例えば上述の垂直縁部259の高さと等しい高さを有しており、ハウジングの垂直縁部は、上述の垂直縁部359の高さと等しい高さを有しているために、カバー6はハウジング5よりも深さがある。
【0076】
分流器7は導電性である。当然、分流器7の電気抵抗は低い。分流器7は平板状をしており、図21、図22、図25に示すように、それぞれ、上部端子ラグ3、下部端子ラグ2に電気的に接続するための2つの電気的接続部分71、72を有している。これらの電気的接続部分71、72は、高い導電率を有している。電気的接続部分71、72は、例えば銅をベースにした材料でできている。
【0077】
電気的接続部分71、72は、温度変化に対して非常に安定な、より不活性な材料から成る中間部分73によって互いに分離されている。この中間部分73は、例えばマンガニンまたはコンスタンタンをベースにした合金で作られている。
【0078】
分流器に関するさらなる詳細については、特許文献4を参照されたい。
【0079】
本明細書においては、分流器7の厚さは一定である。一変形例として、経済的理由によって、中間部分73の厚さは、電気的接続部分71、72の厚さよりも薄い。分流器7は、隅が丸まった矩形状を呈している。この実施形態においては、分流器は、概ね正方形の形状を呈している。
【0080】
支持体8は、いくつかの導電トラックを担持している電気絶縁板である。これらの導電トラックは、例えば図27〜図29に示されている(符号101を付してある)。この実施形態においては、支持体8は、プリント回路板(PCBと略称される)である。
【0081】
この実施形態においては、支持体8は、ハウジング5によって機械的に位置決めされており、そのように構成されているハウジング5に機械的に押し当てられている。一実施形態によれば、支持体8は、後述のように、カバー6およびハウジング5によって固定され、動かないようにされている。
【0082】
したがって、支持体8は、カバー6およびハウジング5の傾斜部分61および51の形状に、その内部で適合するアンダーカット部分を一つの縁に設けられた、概ね矩形状を呈している。
【0083】
図19の実施形態においては、アンダーカット部分81は、ハウジング5の垂直縁部259の傾斜部分51の内周に適合する傾斜状を呈している。
【0084】
一変形例として、図27および図29に示すように、材料をより節約するために、支持体8のアンダーカット部分181は、直角をなす形状とされている。
【0085】
支持体8は、電子部品、特に信号処理用の集積回路、およびこの集積回路に接続された少なくとも1つのセンサを保持している。
【0086】
これらの電子部品、またはセンサおよび信号処理用の集積回路の特性は、適用例に依存している。これらの電子部品は、特許文献1に概略的に示されているように、支持体の上面に保持されているため、見やすくするために、図示されていない。
【0087】
本明細書においては、分流器7は、分流器7より長い支持体8の下方に延在している(図20および図28)。
【0088】
例えば集積回路を保持している支持体8を具備する端子ラグ1は、特許文献5に開示されているように、例えばディスプレイユニットに情報を伝達するか、または車両制御用コンピュータなどのコンピュータ、またはオルタネータ、またはオルタネータスタータ、またはオルタネータの電圧レギュレータ、または自動車の始動を可能/不可能にするためのスタータ、および/またはオルタネータスタータを備える自動車の始動システムに情報を伝達する。
【0089】
参考までに、オルタネータスタータは、少なくとも自動車を始動させるために電動機モードでも動作する、可逆的なオルタネータである。
【0090】
端子ラグ1がいずれに情報を伝達するかは、上述のように、応用例に依る。
【0091】
端子ラグ1は、バッテリの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている。この実施形態においては、端子ラグ1は、分流器7を用いて、少なくともバッテリ電流を測定するように構成されている。
【0092】
本明細書においては、集積回路に情報を伝達する温度センサも設けられている。この温度センサは、分流器7の中間部分73に対向して配置されたプローブを有している。
【0093】
例えば図18、図20、図25、図28、図30に示されている電気的接続手段9は、分流器7と、支持体8の導電トラックとの間に介在されている。電気的接続手段9は、少なくとも2つの導電素子を有している。これらの2つの導電素子のうちの一方は、分流器7の電気的接続部分71、72のうちの一方と、支持体8の第1の導電トラックとの間に介在している。これらの2つの導体素子のうちの他方は、分流器7の電気的接続部分71、72のうちの他方と、支持体8の第2の導電トラックとの間に介在している。第1および第2の導電トラックは、集積回路に接続されている。このことから、公知のように、分流器7の2つの電気的接続部分71、72の間の電圧を、したがって、分流器7の2つの電気的接続部分71、72の間の電圧に比例するバッテリ電流を演繹することができる。
【0094】
図18、図20、図25においては、電気的接続手段9の導電素子は、金属製の波型ばねから成っている。これらの波型ばねは、例えば溶接によって、それぞれ電気的接続部分71、72に固定されている。
【0095】
一変形例として、これらの波型ばねは、溶接によって、それぞれ支持体8の第1および第2の導電トラックに固定されている。
【0096】
図28の実施形態においては、電気的接続手段9の導電素子は「L」字形状をしており、それらの底部は、対応する電気的接続部分71、72に溶接されており、弾性的に変形可能なとがった形状の頭部は、支持体8に形成されている、導電トラックの一部であるメタライズされた穿孔への固定によって、電気的にコンタクトするように作られている。細長く湾曲したこの頭部は、湾曲した2つのコンタクト分岐によって画定された細長い口を有している。支持体8に形成されている穿孔への挿入中に、2つのコンタクト分岐は圧縮応力を与えられ、それによって、互いに接近して、穿孔の周縁と電気的にコンタクトする。
【0097】
このようなアセンブリは、圧入タイプのアセンブリとして知られている。
【0098】
この頭部は、例えば特許文献6の図17に示されているように、平らに広げることもできる。
【0099】
本明細書においては、支持体が、少なくとも、ケーシングのハウジングによって機械的に位置決めされるか、またはハウジングおよびカバーを介してケーシングによって機械的に動けなくされるから、導電素子の頭部を平らに広げない方が有利である。それによって、電気的接続手段9の導電素子は単純化される。
【0100】
図30においては、電気的接続手段9は、分流器と、支持体8の上面に溶接された溶接部分90とに溶接された可撓性の導電薄板から成っている。この溶接のために、電気的接続手段9は、支持体の開口91を貫通している。
【0101】
これらの変形例は、全て、一特性によれば、後述のように、支持体8が、ハウジング5およびカバー6によって形成されているケーシング内に、機械的に位置決めされているか、動けなくされていることによって可能になる。したがって、電気的接続手段9は、機械的機能を有していない。電気的接続手段9は、支持体8を支持していない。
【0102】
一実施形態によれば、支持体8の集積回路は、例えば特許文献7および特許文献8に開示されているように、アナログ/デジタルコンバータ、増幅回路、および/またはマイクロプロセッサおよび/または温度補償回路を備えている。
【0103】
特許文献8によれば、2本の導電ワイヤが、端子ラグから出ている。これらの導電ワイヤのうちの一方は、支持体8に保持されている電子部品に電力を供給するための、別のバッテリ端子に接続される。導電ワイヤのうちの他方は、例えばディスプレイユニットまたは車両制御用コンピュータなどのコンピュータ、またはオルタネータ、またはオルタネータスタータ、またはオルタネータまたはオルタネータスタータの電圧レギュレータ、または自動車の始動システムにデータを伝達するための導電ワイヤを構成している。
【0104】
一実施形態によれば、端子ラグ1は、ハウジング5から延びた、このような導電ワイヤを具備している。
【0105】
図示の実施形態においては、上述の導電ワイヤは、ハウジング5の内部から延びているのではなく、ハウジング5に付随しているピンを用いたコネクタに接続されている。支持体8を貫通しているこれらのピンには、図16、図18、図19、図25においては、符号52および53が付されている。
【0106】
これらのピンは、下部端子ラグ2の突き出ている方向に突き出ており、そのために、これらのピンは、ハウジング5に一体に成型されている、ハウジング5の突出部50によって保護されている。この突出部50は、雄型のコネクタを形成しているピンを囲んでいる。突出部50は、ハウジング5の底部59に一体に成形されており、下部端子ラグ2の延在している方向に延在している。
【0107】
上述の導電ワイヤの2つの端部が接続されている相補的な雌型のコネクタが、ハウジングの、これらのピンを用いたコネクタに接続されている。
【0108】
一変形例として、構成を反対にすること、すなわち、ハウジングのコネクタを雌型にし、相補的なコネクタを雄型にすることが可能であることは理解しうると思う。
【0109】
一特性によれば、端子ラグ1は、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングを保持するように構成されており、ハウジング5への挿入による容易な組み立てを可能にしている。したがって、端子ラグ1のこのような構成によって、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングの材料の量を減らし、かつハウジングの組み立てを容易にすることができる。
【0110】
例えば図5〜図7に示すように、下部端子ラグ2は、自動車の対応するバッテリ端子の外周に取り付けるためのクランプラグおよび開口20が設けられているクランプ部を備えている。特許文献1において説明されているように、開口20は、対向し合って突き出ている2つのクランプラグ22を延長部として有している環状エリア21によって画定されている。これらのクランプラグ22は互いに平行であり、環状エリア21に交差する方向に延びている。
【0111】
開口20および環状エリア21の中心は、環状エリア21、クランプラグ22を有するクランプ部の中心を構成している。
【0112】
各クランプラグ22には孔23が設けられており、間隙24によって互いに隔てられている。したがって、1つのクランプグリップが形成されており、2つのクランプラグ22間の距離を広げ、開口20を利用して、バッテリ端子(通常、円錐台状の)に環状エリア21を取り付けることができる。次いで、クランプラグ22同士を互いに引き寄せ合い、開口20に嵌められているバッテリ端子をクランプするために、クランプ手段であるボルト11が、対応する孔23に挿入される。
【0113】
金属から成る、クランプ手段であるボルト11は、本明細書(図1および図2を参照)においては、概ね正方形(一変形例として、それ以外の多角形)の形状の頭部12を有するねじが付いたボルトを備えている。ねじの頭部12が、クランプラグ22のうちの1つの外側面に押し当てられ、環状エリア21の、対応するクランプラグ22が配置されているエリアの近傍で、下部端子ラグ2に設けられている肥厚部25との形状係合によって回転不能にされる。
【0114】
ねじのねじ切りされている部分が、孔23を貫通している。このボルトのナットが、ワッシャ13を挟まれて(図2)、他方のクランプラグ22の外側面上に押し当てられる。ナットがさらに締められると、2つのクランプラグ22は互いに近づき合い、下部端子ラグ2は、環状エリア21によって、バッテリ端子の外周にクランプされる。例えば図2、図4および図23に示されているように、ハウジング5の突出部50は、ハウジング5の底部59に直角、かつクランプラグ22に平行に延在しており、開口20からずれている。
【0115】
この実施形態においては、クランプラグ22の近傍で開口している環状エリア21は、概ね、クランプ用の間隙を入れられたスリーブの形状をしている(以後、環状エリア21をスリーブ21と呼ぶ)。
【0116】
下部端子ラグ2は、さらに、クランプラグ22、したがってスリーブ21の間隙24に直径方向に対向している側に、スリーブ21に連結された張り出し部27を備えている。張り出し部27は、スリーブ21に一体に成型されている。張り出し部27は、スリーブ21の中心軸に直角に延在しており、したがって、スリーブ21と一続きである。一変形例として、張り出し部27は、例えば溶接によって、スリーブ21に一体化されている。
【0117】
この張り出し部27は、スリーブ21の外周面と内周面との間にある、クランプラグ22の面に直角な面上に延在している。上述のアセンブリラグ26は張り出し部27の一部であり、薄板状をしている。アセンブリラグ26は、張り出し部27と一体である。一特性によれば、この張り出し部27は、後述のように、ハウジング5を保持するための支持部29を備えている。支持部29は、先のとがった形状を呈している。本明細書においては、支持部29は、三角形の形状を呈している。アセンブリラグ26と保持用の支持部29とは、間隙24の中央および開口20の中心を通る、クランプラグ22の対称軸X(図5および図23)に関して、互いに逆側に延在している。したがって、アセンブリラグ26と支持部29とは、スリーブ21に関して、互いに逆側に延在している。
【0118】
アセンブリラグ26の中心には、植え込みボルト15の下側のねじ部分を通すための孔126が開けられている。
【0119】
平らに延びたアーム28が、支持部29からずれるように、スリーブ21の内周面の向きに傾斜した傾斜部分128を介してアセンブリラグ26に連結されている。アーム28は、アセンブリラグ26から突き出ており、かつ支持部29と対向している。したがって、この保持用の支持部29は、アーム28より上方にあって、スリーブ21の外周面に向かって広がっている。したがって、下部端子ラグ2の突出部は、アーム28によって構成されている。アセンブリラグ26は、アーム28、傾斜部分128、および張り出し部27と一体である。
【0120】
支持部29の外側外周面129は、対称軸Xと直交しており、かつ機械加工されたアーム28と平行をなす機械加工面から成っている。アーム28の内側外周面は、支持部29の外側外周面129の方を向いている。
【0121】
したがって、一定の幅を有する間隙30が、支持部29の外側外周面129と、アーム28の内側外周面との間に存在している。
【0122】
本発明の一特性によれば、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングは、側面開口55を有している。
【0123】
この側面開口55は、垂直縁部259、359のうちの少なくとも一方に形成されている。
【0124】
より具体的には、図1〜図30の実施形態において、ハウジング5は、矩形の側面開口55を形成するために、垂直縁部259に形成されており、カバー6によって閉じられる、上辺が閉じていない側面開口55を有している(図15、図16、図18〜図20、図25)。カバー6によって閉じられたとき、側面開口55の2つの長辺は、カバー6、およびそれに平行な、ハウジング5の底部59の縁158によって構成される。
【0125】
下部端子ラグ2の突出部を構成しているアーム28は、ハウジング5の側面開口55内に挿入されるように構成されている。アーム28の内側外周面は、底部59の内面と係合する。底部59の縁58を支持するためのショルダ121を形成するために、この内側外周面は、階段的に変化する厚さを有している(図5および図6)。
【0126】
アーム28の自由端がハウジング5の側面にぶつかることを避ける必要があるから、ショルダ121とアーム28の自由端との間の長さは、ハウジング5の深さに依存する。
【0127】
間隙30の幅は、底部59の厚さに依存する。間隙30の幅は、底部59の厚さに概ね等しい。図5〜図7に示されているように、間隙30の2つの縁は互いにずれている。
【0128】
間隙30の幅は、取り付け遊びを除けば、底部59の厚さに等しい。したがって、図23および図24によりよく示されているように、底部59の外面は、支持部29の外側外周面129に接しており、したがって、一特性によれば、外側外周面129は、ハウジング5を支持している。
【0129】
アーム28の内側外周面は、底部59の内面に接するように作られている。
【0130】
一特性によれば、側面開口55を利用して、間隙30に底部59を挿入することによって、単純に、ハウジング5を取り付けることができる。この挿入運動は、ショルダ121への縁158の当接によって終了する。
【0131】
支持部29とアーム28とがずれていることによって、アセンブリが安定する、より具体的には、ハウジング5の傾き動作が阻止される。
【0132】
ハウジング5は、アーム28の端部の側面が嵌め込まれる、互いに平行な2つのリブ56、56’を有しており(例えば図15および図16を参照)、このために、アーム28の側縁(概ね矩形断面を与える)は、ハウジング5の保持および安定化に寄与する。
【0133】
したがって、リブ56および56’は、間隙30への挿入による、ハウジングの取り付けのためのガイドレールを構成している。これらのリブ56、56’は、さらに、ハウジング5の底部59を強化しており、またリブ56が、傾斜部分51から最も遠い側縁の底部に隣接しているから、この側縁を強化している。
【0134】
アーム28の外側外周面が分流器7を保持している(分流器7は、溶接によって、アーム28の外側外周面上に固定されている)から、これらのリブの高さは、アーム28の端部の高さ以下であることが好ましい。
【0135】
分流器7は、ショルダ121に対して、アーム28の自由端の方向にずれているショルダ120に当接している。
【0136】
分流器7は、溶接によって、アーム28の自由端に固定されている。
【0137】
より具体的には、分流器7の電気的接続部分72が、溶接によって、アーム28の外側外周面に固定されている。
【0138】
アーム28の外側外周面上に支持されている分流器7の溶接は、アーム28の内側外周面上に支持されている電極を用いて行われる。一特性によれば、保持用の支持部29が、アーム28に対してずれているために、アーム28上への分流器7の溶接のための電極の通り道を確保することができるという事実によって、このことが可能である。
【0139】
上部端子ラグ3(図3、図8、図9、図21)は、アーム28と同様の形状の突き出たアーム38を備えている。このアーム38は、上部端子ラグ3の突出部を構成している。
【0140】
アーム38がアセンブリラグ36に対してずれるように、概ね矩形断面を有するアーム38は、傾斜部分138を介して、上述のアセンブリラグ36に連結されている。アーム38は、側面開口55に挿入されるように構成されている。
【0141】
アーム38は、その内側外周面に、側面開口55の縁58を当接させるためのショルダ221を有している。アーム38は、その外側外周面に、分流器を当接させるためのショルダ220を有している。
【0142】
分流器7は、ショルダ221に対して、アーム38の自由端の方向にずれているショルダ220に当接している。
【0143】
電気的接続部分71を介して、アーム38の外側外周面上に支持された分流器7の溶接は、アーム38の内側外周面上に支持されている電極を用いて行われる。
【0144】
アーム38の内側外周面は、底部59の内面に接するように作られている。
【0145】
下部端子ラグ2および上部端子ラグ3に、アセンブリ手段14および中間部材4が設けられ、次いで、溶接によって分流器7が設けられ、その後、下部端子ラグ2、上部端子ラグ3、アセンブリ手段14、中間部材4、分流器7から成る、操作可能で、可動である二次部分組立品が、挿入操作によって、ハウジング5に取り付けられることは理解されると思う。
【0146】
一変形例として、ろう付けまたは接着によって、分流器7の電気的接続部分71、72を、アーム38、28の自由端上に固定することができることは理解しうると思う。
【0147】
上述の説明から、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングが、端子ラグ1の下部端子ラグ2、上部端子ラグ3のそれぞれの突出部すなわちアーム28、38の挿入される側面開口55を有していることは明らかである。より具体的には、このような構成を得るために、下部端子ラグ2、上部端子ラグ3の各々は、ハウジング5内に挿入される、分流器7を支持するための突き出たアーム28、38を有している。
【0148】
アーム28と38とは、概ね同じサイズを有しており、それらの厚さは、図22(図を明瞭にするために、下部端子ラグ2、上部端子ラグ3、および分流器7しか示されていない)に示されているように、階段状に変化している。
【0149】
アーム28、38は、図22および図25に示されているように、互いに平行であり、アセンブリ手段14の植え込みボルト15の軸Y(図25)の方向に、概ね上下に並んで配置されている下部端子ラグ2、上部端子ラグ3のそれぞれの突出部を構成している。
【0150】
これらの図22および図25に示されているように、分流器7が、アセンブリ手段14の植え込みボルト15の軸Yに平行に延在するように、アーム28、38の端部の外側外周面は、同一面上にある。
【0151】
アーム28と38との間の距離は、中間部分73の幅に依存する。この距離は、少なくとも、中間部分73の幅に等しい。
【0152】
アーム28、38が、それぞれアセンブリラグ26、36から片持ちに、かつスリーブ21および張り出し部27から空間的に隔てられて延在しているから、この構造の柔軟性は理解しうると思う。
【0153】
スリーブ21から分流器7への振動を最小にすることができるから、この構造は有利である。さらに、クランプラグ22がアセンブリラグ26、36から空間的に隔たっているから、この構造によって、特に、バッテリ端子への下部端子ラグ2のクランプ中に、機械的応力を制限することができる。さらに、間隙30が、アーム28に隣接して存在している。
【0154】
アーム28、38の自由端および分流器が、側面開口55から、ハウジング5およびカバー6から成るケーシング内に挿入されるから、ケーシングの材料が節約されることが理解されるであろう。経済的な解決策をとるために、スリーブ21上に複製型でケーシングを製造する方法は用いられない。
【0155】
ハウジング5およびカバー6から成るケーシングは、対称軸Xからずれている。
【0156】
アセンブリ手段14と、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングとは、対称軸Xに関して、概ね、互いに反対側に延在している。
【0157】
分流器7は、長さが短く、かつ対応するバッテリケーブル、および対応するバッテリ端子のそれぞれの固定エリアから隔たっている。この分流器7は、アセンブリラグ26、36およびアセンブリ手段14から隔たっている。したがって、分流器7を、機械を用いて、アーム上に配置することができる。したがって、一実施形態によれば、分流器7の電気的接続部分71を、アーム38の材料と異なる材料で作ることができる。さらに、一実施形態として、分流器の電気的接続部分72を、アーム28の材料と異なる材料で作ることができる。分流器7は、概ねスリーブ21の中心軸と平行に、かつ張り出し部27と直角に延在している。
【0158】
図25には、中間部材4およびアセンブリ手段14も示されている。
【0159】
この中間部材4(図10〜図13)は、さらに、第1部分41と、部分環状形状の第2部分46とを連結している薄板部45を有している。
【0160】
この部分環状形状の第2部分46は、段差形状を呈しており、空間的に互いにずれた2つのスカート(参照符号なし)を連結している平坦エリア47を備えている。2つのスカートのうちの一方は、他方より高さがなく、スリーブ21の外周面と接するように作られている(図1および図2)。
【0161】
2つのスカートのうちの他方は、アーム38を部分的に遮蔽している。したがって、振動の際に、下部端子ラグ2と上部端子ラグ3との間の電気的絶縁が与えられる。
【0162】
第1部分41の外周面上で、かつリブ144の上方に延在しているリブ49が、薄板部45および薄板状のアセンブリラグ26を強化している。
【0163】
したがって、中間部材4は、別のさらなる機能を有している。
【0164】
アーム28、38は、クランプラグ22に対して直角に延在していることに注意されたい。2つのクランプラグ22は、互いに平行である。一変形例として、クランプラグ22は、特許文献1に示されているようにねじれている。いずれの場合にも、クランプ用のスリーブ21は間隙を形成されており、張り出し部27は、概ね、スリーブ21の間隙部分に直径方向に対向している。アセンブリラグ26と保持用の支持部29とは、スリーブ21に関して、互いに反対側に延在している。
【0165】
特に図2を参照すると、カバー6によって閉じられたハウジング5を有するケーシングが、アセンブリラグ36、26からずれており、ボルト11が、アーム38、28に平行に延在しており、植え込みボルト15が、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングに平行に、かつボルト11に直角に延在しているから、端子ラグ1のコンパクト性は認識しうると思う。
【0166】
一特性においては、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングは、張り出し部27と直角に延在している。
【0167】
当然ながら、側面開口55は、分流器7を具備するアーム28、38の、ハウジング5内への挿入を可能にするサイズを有している。
【0168】
ハウジング5およびカバー6から成るケーシングは、支持体8の下面を、自由端上に支持するための一連の垂直の支持突起57を有している。これらの支持突起57は、支持体8のための機械的支持手段を構成している。垂直縁部259、359のうちの少なくとも一方は、形状係合によって、支持体8を機械的に位置決めするために用いられる。
【0169】
より具体的には、図16、図25、図26に示すように、ハウジング5は、支持体8の下面を、自由端上に支持するための、成型によってハウジング5の底部から生じている、一連の垂直の支持突起57を有している。支持突起57は、支持体8のための機械的支持手段を構成している。これらの支持突起57は、ハウジング5の底部から生じており、かつ底部に直角に延びている。
【0170】
ハウジング5の外周には、カバー6の垂直縁部359に設けられている溝160(図17および図28)に差し込むための、垂直縁部259に付随する突出リム60が設けられている。より具体的には、突出リム60、溝160は、それぞれハウジング5、カバー6の垂直縁部259、359の外周、内周の一部を形成している。突出リム60は、ハウジング5の垂直縁部259から垂直に突き出て延びており、カバー6の垂直縁部の内周に押し当てられたときに、その内周を支えるためのショルダ(図26に、参照符号なしで、よりよく示されている)を形成している。溝160への突出リム60の差し込みを容易にするために、小円柱58(図示されている例においては3本である)が、ハウジング5に対して、カバー6を機械的に位置決めするようになっている。小円柱58は、図16、図18、図25、図26に示されているように、ハウジングの底部から垂直に延びている。これらの小円柱58は、例えば図3および図4に示すように、カバー6を貫通している。
【0171】
小円柱58のうちの2本(図19)は、さらに、カバー6に対して、支持体8を機械的に位置決めするために用いられる。より詳細には、これらの2本の小円柱58には、垂直方向に小円柱58より高さが低い支持突起57が設けられている。支持突起57は、これらの2本の小円柱58を強化するためのリブ、および支持体8のための機械的支持手段を構成している。ハウジング本体の一部である、ハウジングの垂直縁部の内面は、形状係合によって、支持体8を機械的に動かなくすることに寄与している。これらの2本の小円柱58は、図19の実施形態においては、支持体8の孔を貫通している。したがって、ハウジング5の垂直縁部259の内面と同様に、これらの2本の小円柱58は、支持体8の機械的位置決め手段の一部である。
【0172】
カバー6には、ピン52、53を通すための孔が開けられている。
【0173】
一変形例として、図28に示されているように、ピン52、53は、上述の圧入タイプの取り付けのために、電気的接続手段9の素子の頭部と同様の頭部を有している。
【0174】
図1〜図25の実施形態の説明から明らかなように、プリント回路板の形態の支持体8は、その下面を介して、支持突起57の頭部上に支持され、その上面を介して、カバー6の、溝160を形成されている垂直縁部359の内側の縁に接している。
【0175】
したがって、これらの実施形態においては、支持体8は、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングに機械的に一体化されており、電気的接続手段9は、特許文献1の場合のような、支持体8の機械的支持機能を有していない。
【0176】
したがって、支持体8は、ハウジング5およびカバー6から成るケーシング内に固定されており、ケーシング内で、特に小円柱58によってセンタリングされている。
【0177】
支持体8にカバー6を押し当てて、支持体8を動けなくすることができるように、溝160の底部と突出リム60の端部との間に、遊びが存在することは理解しうると思う。さらに、垂直縁部359の内周面と垂直縁部259の外周面との間に、若干の遊びが存在している。
【0178】
このような構成によって、電気的接続手段9の素子に対して、多くの実施形態が可能である。
【0179】
さらに、上述の説明および図面から明らかであるように、ハウジング5が、下部端子ラグ2および上部端子ラグ3に適切に配置された後に、支持体8が取り付けられる。
【0180】
さらに、図25に示すように、支持体8は、支持突起57上に取り付けられ、最後に、カバー6が取り付けられる。
【0181】
最後に、ハウジング5およびカバー6から成るケーシング内が、電気絶縁性の保護用の樹脂で埋められる。
【0182】
一実施形態では、カバー6が、ハウジング5に組み合わされると、分流器7および支持体8を組み込まれた、ハウジング5およびカバー6から成るケーシング内が、側面開口55を介して、重合化していない樹脂で埋められる。
【0183】
一変形例では、側面開口55が器具で塞がれ、分流器7および支持体8を組み込まれたハウジング5内が、その頂部から、重合化していない樹脂で埋められ、次いで、カバー6がハウジング5上に固定される。
【0184】
これらのことは全て、図19に示すように、ハウジング5と支持体8との間に、アンダーカット部分が存在するという事実によって可能になる。これらのアンダーカット部分の存在によって、樹脂の通過が可能になる。
【0185】
これらのアンダーカット部分は、図19に示すように、具体的には、支持体8の2つの面取りコーナの存在、支持体8に形成されている、一方が閉じていない開口の存在、および支持体8のアンダーカット部分81が傾斜部分51の縁から離れているという事実によって生み出されている。一変形例として、図25に示すように、アンダーカット部分181が、樹脂の通過をさらに容易にする。
【0186】
プリント回路板の形態の支持体8に含まれている部品を保護するための樹脂は、重合化後、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングを、下部端子ラグ2および上部端子ラグ3に固定するから、さらなる機能を有している。
【0187】
したがって、本発明によれば、ハウジング5は、下部端子ラグ2および上部端子ラグ3によって保持されており、集積回路の形態の支持体8は、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングによって保持されている、言い換えると、保持突起57、小円柱58、およびカバー6を介して、ハウジング5によってセンタリングされるとともに固定されている。下部端子ラグ2および上部端子ラグ3に配置されているハウジングを機械的に固定し、またハウジング5およびカバー6から成るケーシング内の部品を、外部物質による攻撃から保護するために、この組み立て体が樹脂で埋められている。
【0188】
一実施形態では、小円柱58の先端を加熱して押しつぶすことによって、カバーとハウジングとを、リベット締めで連結することができることは理解しうると思う。
【0189】
一変形例では、カバー56は、ハウジング5に溶接されている。一実施形態によれば、この溶接は超音波溶接である。
【0190】
一変形例では、図27および図28に示すように、小円柱58のうちの2本が貫通している支持体8は、いくつかが小円柱58を強化するためのリブを構成している複数の支持突起57上に押し当てられており、カバー6と支持体8の上面との間には、若干の遊び(図28)が存在している。この遊びは、樹脂によって埋められる。いずれの場合にも、支持体8は、少なくとも小円柱58および/またはハウジングの垂直縁部によって機械的に位置決めされており、少なくとも支持突起57上に機械的に押し当てられている。したがって、動作が重複しないように、電気的接続手段9の素子は、分流器7と支持体8とを電気的に接続するという機能しか有していない。一変形例として、支持体8は、さらに、形状係合によって支持体8を機械的に位置決めするためにも用いられる、ハウジング5の垂直縁部に機械的に押し当てられる。
【0191】
保護および固定のための樹脂は、さらに、振動を取り除くことに役立つことが理解されると思う。
【0192】
当然ながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0193】
特に、一変形例として、植え込みボルト15を、溶接によって、上部端子ラグ3のアセンブリラグ36に固定してもよい。
【0194】
一変形例として、植え込みボルト15のねじ部分の上端部を、クランプラグおよびスリーブを有する、下部端子ラグ2のタイプの端子ラグを用いて、対応するバッテリケーブルを固定するための円錐台形状の端子と替えることができる。
【0195】
上述の説明から明らかなように、一変形例では、アセンブリ手段14を、上部端子ラグにバッテリケーブルを固定するための手段ではなくすることができる。
【0196】
例えば一変形例として、植え込みボルト15は、ナットを用いて、または溶接によって上部端子ラグ3に固定され、バッテリケーブルの端部を、例えば溶接によって上部端子ラグ3に直接に、または上部端子ラグ3の別の端子に固定することができる。
【0197】
一変形例では、下部端子ラグ2の肥厚部25は、車両の電気回路の別の導電ワイヤの固定のために広げられる。
【0198】
図30に示すように、一変形例では、ハウジング5には、ハウジングの内部に向いた水平リム300、例えばとがった形状のノッチ100、および支持体8のセンタリングを行うために、支持体8の孔を貫通している複数の小円柱200が設けられている。
【0199】
支持体8は、ノッチ100を用いた嵌め込みによって、ハウジング5に取り付けられる。最後に、支持体8が水平リム300上に押し当てられ、水平リム300とノッチ100の内面との間に遊びが発生する。この遊びは、樹脂によって埋められる。
【0200】
したがって、支持体8は、ノッチ100と水平リム300とによって捕捉され、カバー6は、支持体8を動かなくすることに関与しない。
【0201】
いずれの場合にも、ハウジングは、支持体8を機械的に支持して、位置決めするための手段を有している。
【0202】
一実施形態によれば、支持体は、ハウジング5およびカバー6から成るケーシングによって固定され、閉じ込められている。
【0203】
電気的接続手段9の素子は、分流器7および支持体8への圧入タイプの取り付けのために、図28における素子の頭部の形状と同じ形状を呈する両端部を有している。したがって、分流器は、この取り付けのための開口を有している。
【0204】
一変形例として、電気的接続手段9は、一端が分流器7に、他端が支持体8の導電トラックに溶接されたシーズ線を有している。このシーズ線は、支持体8を貫通している。
【0205】
一変形例として、リブ56’は、図28に示すように、アーム38の側縁の外面と係合するようにずらされている(図27)。
【0206】
当然ながら、保持用の支持部29の形状を変更することができる。例えば外側外周面129において、支持部29の縁を丸めることができる。
【0207】
一変形例として、張り出し部27を、スリーブ21の円周方向にずらすことができ、したがって、張り出し部27は、一変形例として、スリーブ21の間隙に、直径方向に対向していない。このずらしは、応用、より具体的にはバッテリの周辺の環境に依存する。
【0208】
下部端子ラグ2の、スリーブ21およびクランプラグ22から成るクランプ部分を、別の形状にすることができる。この形状は、スリーブ21およびクランプラグ22から成るクランプ部分が取り付けられるバッテリ端子の形状に依存する。
【0209】
別の一実施形態によれば、傾斜部分128および/または138が取り除かれて、対応するアーム28および/または38が、アセンブリラグ26および/または36に直接連結されるように、アセンブリラグ26、36のうちの少なくとも一方、および/またはアーム28、38のうちの少なくとも一方の厚さを増やすことが可能であることは理解しうると思う。
【0210】
したがって、傾斜部分128を取り除くために、アセンブリラグ26の厚さを増やすことが可能である。一変形例によれば、傾斜部分138を取り除くために、ショルダ221まで、アーム38の厚さを局所的に増やすことが可能である。
【0211】
したがって、一変形例によれば、少なくとも1つのアーム28、38は、対応するアセンブリラグ26、36からずれるように、傾斜部分128、138を介して、アセンブリラグ26、36に連結されている。
【0212】
アーム28、38のうちの少なくとも一方の断面を、その自由端の近傍において、局所的に変更することが可能である。例えば一変形例として、一方のアーム28または38の自由端の断面を、一方は分流器の固定のための、他方は溶接電極の支持のための2つの平らな部分を備えた円形断面にすることができる。
【0213】
分流器が、接着によって、アーム上に固定される場合には、単一の平らな部分、すなわち、分流器7の固定のための平らな部分があるだけで十分である。
【0214】
いずれの場合にも、アームは、それらの外側外周面に、張り出し部27より外側外周面方向に延びた、分流器を固定するための平らに広がった部分を有している。
【0215】
一変形例として、アーム28、38のうちの一方のみが、その内側外周面に、当接によって、ハウジング5の底部59の縁58と係合するためのショルダ121または131を有している。
【0216】
同様に、一変形例として、形状係合によって回転を阻止するための手段は、中間部材4と、アセンブリラグ26、36のうちの一方だけとの間にしか介在していない。
【0217】
上述のように、カバー6をハウジング5より深くする(図31)ことによって、構造を逆にすることが可能である。例えば溝160’を有する、ハウジング5の垂直縁部259’の高さは、図28における、溝160を有する垂直縁部359の高さと等しく、突出リム60’を有する、カバー6の垂直縁部359’の高さは、図28における、突出リム60を有する垂直縁部259の高さと等しい。
【0218】
カバーの底部に、支持体8の上面と直接に、または樹脂を介して間接的に係合するいくつかの突起601(それらのうちの1つが図31に示されている)を設けることができる。この実施形態においては、突出リム60’は、溝160’の底部に接している。
【0219】
いずれの場合にも、溝160、または突出リム60’および突起601を有するカバーが、突出リム60または溝160’を有するハウジングの垂直縁部259または259’と、支持体8の上面との両方と係合することはできないから、取り付けの遊びが設けられる。この取り付け遊びはわずかであり、支持体8を十分に動けなくするために樹脂で埋められる。
【0220】
支持体8を機械的に位置決めするために、カバー6の垂直縁部の内面を、形状係合によって、支持体8の縁と係合させることができる。この場合には、側面開口55の形成のために、カバー6の垂直縁部359’に切り込みが入れられ、この側面開口55から、ケーシング内が樹脂で埋められる。
【0221】
一実施形態においては、ケーシングは、平行六面体の形状を呈している。
【符号の説明】
【0222】
1 端子ラグ
2 保持部材(下部端子ラグ)
3 保持部材(上部端子ラグ)
4 中間部材
5 ハウジング
6 カバー
7 分流器
8 支持体
9 電気的接続手段
11 ボルト
12 頭部
13 ワッシャ
14 アセンブリ手段
15 植え込みボルト
16 ナット
17 ワッシャ
18 クランプ/回転阻止部材
20 開口
21 環状エリア(スリーブ)
22 クランプラグ
23 孔
24、30 間隙
25 肥厚部
26、36 アセンブリラグ
27 張り出し部
28、38 突出部(アーム)
29 支持部
41 第1部分
42 スリーブ
43 凹み部
44、49、144 リブ
45 薄板部
46 第2部分
47 平坦エリア
50 突出部
51、61、128、138 傾斜部分
52、53 ピン
55 側面開口
56、56’ リブ
57 支持突起
58、200 小円柱
59、159 底部
60、60’ 突出リム
71、72 電気的接続部分
73 中間部分
81、181 アンダーカット部分
90 溶接部分
100 ノッチ
101 導電トラック
120、121、220、221 ショルダ
126、136 孔
129 外側外周面
158 縁
160 溝
259、259’、359、359’ 垂直縁部
300 水平リム
601 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電流を測定するための分流器(7)と、少なくとも1つの電子部品のための、プリント回路板などから成る支持体(8)とを具備し、かつバッテリ端子に固定されるように構成されている第1の部材(2)を備えている、バッテリの端子ラグ(1)であって、該端子ラグ(1)は、前記バッテリ端子に組み合わされているバッテリケーブルに固定されるように構成されている第2の部材を備えており、前記第1の部材(2)と第2の部材(3)とは互いに分離しており、かつ前記分流器(7)と、前記分流器(7)および前記支持体(8)を収容するためのケーシング(5、6)とを保持するための突出部(28、38)を有していること、および前記端子ラグ(1)の第1の部材(2)と第2の部材(3)との間に、電気的絶縁手段(4、17)が介在していることを特徴とする端子ラグ。
【請求項2】
前記ケーシング(5、6)は、第1に、前記支持体(8)を機械的に位置決めするための手段、第2に、前記支持体(8)を機械的に支持するための手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の端子ラグ。
【請求項3】
前記ケーシング(5、6)は、前記端子ラグの第1の部材(2)および第2の部材(3)の突出部(28、38)が挿入されている側面開口(55)を有していること、および前記第1の部材(2)および第2の部材(3)の突出部(28、38)は、概ね互いに上下に並んで配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の端子ラグ。
【請求項4】
前記ケーシング(5、6)を、前記端子ラグ(1)の第1の部材(2)および第2の部材(3)の突出部(28、38)に固定するために、また前記ケーシング内に取り付けられている部品を保護するために、前記ケーシング(5、6)内は、樹脂で埋められていることを特徴とする、請求項3に記載の端子ラグ。
【請求項5】
前記端子ラグ(1)の第1の部材(2)は、自らに対して前記第2の部材(3)を組み立てるための第1のアセンブリラグ(26)を有する張り出し部(27)を備えていること、前記第2の部材(3)は、前記第1のアセンブリラグ(26)に対して自らを組み立てるための第2のアセンブリラグ(36)を備えていること、前記第1の部材(2)の突出部(28)は、前記第1のアセンブリラグ(26)から突き出ていること、および前記第2の部材(3)の突出部(38)は、前記第2のアセンブリラグ(36)から突き出ていることを特徴とする、請求項3または4に記載の端子ラグ。
【請求項6】
前記第1のアセンブリラグ(26)および前記第2のアセンブリラグ(36)は、それらの2つのアセンブリラグ(26、36)の間にアセンブリ手段(14)を通すための孔を開けられていること、および前記電気的絶縁手段(4、17)は、前記アセンブリ手段(14)に付随していることを特徴とする、請求項5に記載の端子ラグ。
【請求項7】
前記電気的絶縁手段(4、17)は、電気絶縁性の中間部材(4)を備えていること、および前記第1のアセンブリラグ(26)は、該第1のアセンブリラグの孔(126)を貫通している前記アセンブリ手段(14)に対する絶縁のために、前記電気絶縁性の中間部材(4)を挟まれた状態で、前記アセンブリ手段(14)を固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の端子ラグ。
【請求項8】
前記アセンブリ手段(14)は、前記第1のアセンブリラグ(26)の孔(126)、および前記第2のアセンブリラグ(36)の孔(136)を1つずつ貫通している2つのねじ部分を有する植え込みボルト(15)を備えていること、前記植え込みボルト(15)は、前記2つのねじ部分の間にクランプ部分(18)を有していること、前記クランプ部分(18)は、第1に、前記第1のアセンブリラグ(26)と前記第2のアセンブリラグ(36)との間に配置されており、第2に、前記中間部材(4)に設けられている凹み(43)内に嵌められていること、前記クランプ部分(18)の高さは、前記中間部材(4)の高さを超過していること、および前記凹み(43)の底部から、前記第1のアセンブリラグの孔(126)内に嵌め込まれているスリーブ(42)が延長しており、前記植え込みボルト(15)の対応するねじ部分が、該スリーブ(42)を貫通していることを特徴とする、請求項7に記載の端子ラグ。
【請求項9】
前記中間部材(4)と、前記第1および第2のアセンブリラグ(26、36)のうちの少なくとも一方との間に、形状係合を利用した回転阻止手段が介在していることを特徴とする、請求項8に記載の端子ラグ。
【請求項10】
前記端子ラグ(1)の第1の部材(2)は、スリーブ(21)を備えていること、および前記中間部材(4)は、該スリーブ(21)に接している第1の保護スカートと、前記端子ラグ(1)の第2の部材(3)の突出部(38)を部分的に遮蔽している第2の保護スカートとを有する部分環状部を備えていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1つに記載の端子ラグ。
【請求項11】
前記第1および第2の部材の突出部(28、38)は、それぞれにアーム(28、38)で構成されていること、前記第1の部材(2)のアーム(28)は、前記第1のアセンブリラグ(26)から突き出ていること、前記第2の部材(3)のアーム(38)は、前記第2のアセンブリラグ(36)から突き出ており、かつ前記第1のアセンブリラグ(26)のアーム(28)に平行に延在していること、および前記第1および第2の部材のアーム(28、38)の各々は、その外側外周面に、前記分流器(7)を固定するための、前記張り出し部(27)に直角に延びている、平らに広がった部分を有していることを特徴とする、請求項5〜10のいずれか1項に記載の端子ラグ。
【請求項12】
前記第1および第2の部材のアーム(28、38)のうちの少なくとも一方は、対応するアセンブリラグ(26、36)からずれるように、傾斜部分(128、138)を介して、該対応するアセンブリラグ(26、36)に連結されていることを特徴とする、請求項11に記載の端子ラグ。
【請求項13】
前記張り出し部(27)は、その外側外周に、前記第1の部材(2)のアーム(28)に平行な面(129)を有している保持用支持部(29)を備えていることを特徴とする、請求項11または12に記載の端子ラグ。
【請求項14】
前記保持用支持部(29)の外側面(129)、およびこの外側面(129)に対向している、前記第1の部材(2)のアーム(28)の内側外周面は、前記ケーシング(5、6)の側面開口(55)を用いて、挿入によって、前記ケーシング(5、6)を取り付けるための溝(30)を画定していることを特徴とする、請求項13に記載の端子ラグ。
【請求項15】
前記端子ラグ(1)の第1の部材(2)は、クランプ用のスリーブ(21)を有していること、前記張り出し部(27)は、該スリーブ(21)の中心軸に直角に延在していること、および前記保持用支持部(29)と前記第1のアセンブリラグ(26)とは、該スリーブ(21)に関して互いに反対側に延在していることを特徴とする、請求項14に記載の端子ラグ。
【請求項16】
前記ケーシング(5、6)は、カバー(6)によって閉じられているハウジング(5)を有していること、該ハウジング(5)は、前記側面開口(55)の輪郭を定めている底部(59)を有していること、および前記溝(30)の幅は、該ハウジング(5)の底部(59)の厚さに概ね等しいことを特徴とする、請求項14または15に記載の端子ラグ。
【請求項17】
前記ハウジング(5)の底部(59)は、前記第1および第2の部材のアーム(28、38)と前記分流器(7)との組み立て体のための2つのガイドレールを形成している2つのリブ(56、56’)を備えていることを特徴とする、請求項16に記載の端子ラグ。
【請求項18】
前記第1および第2の部材のアーム(28、38)のうちの少なくとも一方は、その内側外周面に、当接によって、前記ハウジング(5)の底部(59)の縁(58)と係合するためのショルダ(121、131)を有していることを特徴とする、請求項3〜17のいずれか1項に記載の端子ラグ。
【請求項19】
前記ケーシング(5、6)は、前記支持体(8)を支持するための突起(57)を有しているハウジング(5)を有していることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の端子ラグ。
【請求項20】
前記分流器(7)と前記支持体(8)との間に、圧入タイプの電気的接続手段が介在していることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の端子ラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2012−531722(P2012−531722A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518112(P2012−518112)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051326
【国際公開番号】WO2011/001085
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508075579)ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール (49)
【Fターム(参考)】