説明

バニロイドアンタゴニストとして有用なキナゾリノン誘導体

【課題】バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための医薬としての使用を目的とした新規化合物の提供。
【解決手段】遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式


[式中、Rは、C−Cアルキル等、Rは、ハロゲン、C−Cアルキル等、Rは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル等、Rは、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ等、Rは、水素またはヒドロキシ、mは、1または2である。]で示されるキナゾリノン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バニロイドアンタゴニストとしてのキナゾリノン誘導体の使用、ある新規のキナゾリノン誘導体、それらの製造方法、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【0002】
第一の局面において、本発明は、バニロイドアンタゴニストとしての、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式
【化1】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化2】

または基
【化3】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化4】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物の使用に関する。
【0003】
第一の局面の特定の態様において、本発明は、バニロイドアンタゴニストとしての、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式I
〔式中、Rは、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
は、それぞれ独立して、ハロ、C−Cアルキル、トリ−ハロ置換C−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキルまたは基
【化5】

(式中、R2aはC−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化6】

または基
【化7】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルである。)
または基
【化8】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。〕
で示されるキナゾリノン化合物の使用に関する。
【0004】
第二の局面において、本発明は、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式
【化9】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化10】

または基
【化11】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化12】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;そして
mは、1または2である。]
で示される新規なキナゾリノン化合物に関する。
【0005】
第二の局面の特定の態様において、本発明は、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式I
〔式中、Rは、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
は、それぞれ独立して、ハロ、C−Cアルキル、トリ−ハロ置換C−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキルまたは基
【化13】

(式中、R2aはC−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化14】

または基
【化15】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルである。)
または基
【化16】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;そして
mは、1または2である。〕
で示される新規なキナゾリノン化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で用いる用語は、下記の意味を有する:
“C−Cアルキル”は、直鎖または分枝鎖C−C−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを示す。
“C−Cアルコキシ”は、直鎖または分枝鎖C−C−アルキル−オキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシまたはイソプロポキシを示す。
【0007】
“ハロ”は、I、Br、ClまたはFであり得るハロゲンを示す。
“エステル化ヒドロキシ”は、アシルオキシ、好ましくはC−Cアルカノイルオキシを示し、より好ましくはC−Cアルカノイルオキシを示す。
“エーテル化ヒドロキシ”は、C−Cアルコキシ、好ましくはC−Cアルコキシを示す。
【0008】
本発明のキナゾリノン化合物は、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態で存在する。本発明は、遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式(I)および(Ia)の化合物を含むと解されるべきである。後者に関して、本発明の薬剤使用のための適する薬学的に許容される酸付加塩には、特に、塩酸塩が含まれる。
【0009】
式(I)および(Ia)において、下記の意味は、独立して、まとめてまたは任意の組み合わせもしくは下位の組み合わせで好ましい:
(a)Rは、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキルまたはシクロプロピルであり;
(b)Rは、それぞれ独立して、クロロ、フルオロ、C−Cアルキル、トリフルオロ置換C−Cアルキルであり、より好ましくはトリフルオロメチル、C−Cアルキルカルボニルであり、より好ましくはメチルカルボニルまたはヒドロキシC−Cアルキルであり、より好ましくはヒドロキシメチルであり;
(c)Rは、水素、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;そして
(d)Rは、ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノまたは基
【化17】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルである。)である。
【0010】
第三の局面において、本発明は、下記の反応スキームで示される、式(Ia)の化合物の製造方法に関する:
A.式(Ia)〔ここで、RおよびRは上記に定義の通りであり、Rは、式Iの化合物について記載の通りであり、Rはアミノであり、そしてmは1である。〕の化合物を製造するための方法。
【化18】

概要:
スキームAの第一段階は、三塩化リンの存在下、式1のアミド化合物を置換アニリン化合物を用いて縮合/環化し、式2の7−ニトロ置換キナゾリン−4−オン化合物を得ることを含む。
【0011】
【化19】

概要:
スキームAの第二段階は、式2の7−ニトロ置換キナゾリン−4−オン化合物を氷酢酸および鉄粉を用いて還元し、式3の7−アミノ置換キナゾリン−4−オン化合物を得ることを含む。
【0012】
対応するアルキルアミン、アミドおよびカルバメートを、式3の化合物を用いる文献に記載の方法により製造することができる。より特には、前記アルキルアミンを、式3の化合物を、適当なアルデヒドまたはケトンを用いて還元的アルキル化することにより製造することができる。別法にて、式3の化合物を、C−Cハロゲン化アルキルと反応させ得る。前記アミドを、式3の化合物を適当な塩化アシルを用いてアシル化することにより製造することができる。前記カルバメートを、式3の化合物を適当なクロロギ酸アルキルと反応させることにより製造することができる。
【0013】
B.式(Ia)〔ここで、RおよびRは、上記に定義の通りであり、Rは式Iの化合物について定義の通りであり、Rはヒドロキシであり、そしてmは1である。〕の化合物を製造するための方法。
【化20】

概要:
スキームBは、スキームAに記載の通りに製造された式3の7−アミノ置換キナゾリン−4−オン化合物を濃硫酸および亜硝酸ナトリウムを用いてサンドマイヤー反応を行い、式4の7−ヒドロキシ置換キナゾリン−4−オン化合物を得ることを含む。
【0014】
スキームAの出発化合物は、商業的に利用可能である公知の化合物である。
上記の方法による反応混合物の後処理およびそのようにして得られた化合物の精製を、公知の方法に従い行うことができる。
酸付加塩を、公知の方法で遊離塩基から製造することができ、その逆も可能である。
【0015】
光学的に純粋な形態の式(I)および(Ia)の化合物を、既知の方法、例えばキラルマトリックスを備えるHPLCにより、対応するラセミ体から得ることができる。別法にて、光学的に純粋な出発物質を用いることができる。
【0016】
立体異性体混合物、例えばジアステレオマー混合物を、適する分離方法を用いてそれ自体公知の方法でそれらの対応する異性体に分離することができる。ジアステレオマー混合物を、例えば、分別結晶、クロマトグラフィー、溶媒分布および類似の方法を用いてそれらの個々のジアステレオマーに分離することができる。この分離を、出発化合物または式(I)もしくは(Ia)の化合物自体のレベルのどちらかで行うことができる。エナンチオマーを、ジアステレオマー塩の形成、例えばエナンチオマー純粋なキラル酸との塩形成によるか、またはキラルリガンドを有するクロマトグラフィー基質を用いるクロマトグラフィー、例えばHPLC法により分離することができる。
【0017】
必要であれば行われる任意のさらなる方法段階において、反応に参加すべきではない出発化合物の官能基は、非保護形態で存在し得るか、または例えば1個もしくはそれ以上の下記の保護基により保護され得る。その後、保護基を、そこに記載の方法のうちの1つに従い全部または一部除去する。
【0018】
前記保護基は、既に前駆体中に存在していてよく、そして望まれない二次反応に関与する官能基を保護すべきである。それは、それ自体が容易に、すなわち、望まれない二次反応なしに、典型的に加溶媒分解、還元、光分解によるか、または例えば生理学的条件に類似の条件下で、酵素活性によっても除去されることに役立ち、そしてそれらは、最終産物中に存在しないことが保護基の特徴である。当業者は、上記および下記の反応に適する保護基を知っているか、または容易に確立することができる。
【0019】
保護基によるそのような官能基の保護、保護基自体、およびそれらの除去反応は、例えば、J.F.W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, London and NY (1973); T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, NY (1981); The Peptides; Volume 3, E. Gross and J. Meienhofer, Eds., Academic Press, London and NY (1981); Methoden der organischen Chemie (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th Edition, Volume 15/1, Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1974); H.D. Jakubke and H. Jescheit, Aminosauren, Peptide, Proteine (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel (1982);および、Jochen Lehmann, Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate (Chemistry of carbohydrates: monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag., Stuttgart (1974)のような、標準的参考文献に記載される。
【0020】
本明細書に記載の全ての方法段階を、公知の反応条件下で、好ましくは本明細書に具体的に記載の条件下で、好ましくは用いる試薬に対して不活性であり、これらを溶解し得るような溶媒または希釈剤の不存在下または通常存在下、触媒、縮合剤または中和剤、例えばイオン交換体、典型的には、例えばH形態の陽イオン交換体の不存在または存在下、反応および/または反応物のタイプに依存して、低温、常温または高温で、例えば、−100℃から約190℃の範囲、好ましくは約−80℃から約150℃、例えば、−80℃から60℃、室温、−20℃から40℃、または用いる溶媒の沸点で、大気圧下または密閉容器中、適当なときは圧力下、および/または不活性雰囲気下、例えばアルゴンまたは窒素下で行うことができる。
【0021】
式(I)の好ましい化合物は、
が、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
が、クロロ、フルオロ、C−Cアルキル、トリフルオロ置換C−Cアルキル、C−CアルキルカルボニルまたはヒドロキシC−Cアルキルであり;
が、水素、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;
が、ヒドロキシ、アミノまたは(C−Cアルキル)アミノであり;
が、水素またはヒドロキシであり;そして
mが、1または2であるものである。
【0022】
式(I)のさらに好ましい化合物は、
が、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
が、クロロ、フルオロ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、メチルカルボニルまたはヒドロキシメチルであり;
が、水素、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、ヒドロキシまたはC−Cアルコキシであり;
が、ヒドロキシ、アミノまたは(C−Cアルキル)アミノであり;
が、水素またはヒドロキシであり;そして
mが1であるものである。
【0023】
式(Ia)の好ましい化合物は、
が、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
が、クロロ、フルオロ、C−Cアルキル、トリフルオロ置換C−Cアルキル、C−CアルキルカルボニルまたはヒドロキシC−Cアルキルであり;
が、水素、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;
が、ヒドロキシ、アミノまたは(C−Cアルキル)アミノであり;そして
mが、1または2であるものである。
【0024】
式(Ia)のより好ましい化合物は、
が、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
が、クロロ、フルオロ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、メチルカルボニルまたはヒドロキシメチルであり;
が、水素、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシであり;
が、ヒドロキシ、アミノまたは(C−Cアルキル)アミノであり;そして
mが1であるものである。
【0025】
式IまたはIaのさらにより好ましい化合物は、実施例1から29、とりわけ実施例1から28の化合物である。
【0026】
本発明の他の局面は、式(I)および(Ia)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、ならびに可能なときは薬学的に許容される酸付加塩が、有益な薬理学的活性を有し、それ故に医薬として有用であるという事実に関係する。特に、式(I)および(Ia)の化合物は、ヒトバニロイドアンタゴニスト活性を示す。より特には、式(I)および(Ia)の化合物は、カプサイシンを阻害し、そしてTRPVIイオンチャネルの低pH活性化を阻害するそれらの能力により証明される通りTRPVI受容体にて作用する:
【0027】
ヒト、ラットまたはモルモットTRPV1受容体のいずれかを発現するためにトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣−K1(CHO−K1)細胞を、ウシ胎仔血清(10%)、2mM L−グルタミン、100IU/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンおよび350−700μg/mLジェネティシンを添加したヌクレオシドを含まない最小必須培地(MEM)アルファ培地中で増殖させた。全ての試薬は、Invitrogenから購入した。細胞を、T−175フラスコまたはCostarの黒色、透明底の96ウェル観察プレート中で増殖させ、5%COおよび95%空気の雰囲気の90%加湿インキュベーター中37℃で維持した。細胞を1:10から1:20の比で1週間に2回継代し、持続的な増殖を維持した。実験に関して、細胞を約80%コンフルエンシーで集め、そして100μL培地中、1ウェル当たり40,000細胞で観察プレートに播き、一晩増殖させた。
【0028】
カルシウム動員分析
カプサイシン分析の日、培地を吸引し、そして細胞を、100μLの10mM N−2−(ヒドロキシエチルピペラジン−N’−[2−エタン−スルホン酸](HEPES)緩衝ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、pH7.4を用いて洗浄した。その後、細胞を、0.01% pluronic F−127を含むHEPES緩衝HBSS中に調製された、2.3μMのレシオメトリックカルシウム結合色素フラ−2/AM(Molecular Probesから購入)を用いて40分間インキュベートした。pH分析について、HEPESを除き、そしてHBSSのpHを7.4に調節した。100μLの分析緩衝液で2回洗浄後、細胞を、0.001から30μMの間の濃度で、デュプリケートで、100μLの試験化合物(HBSS中に調製、pH7.4)と共に10分間インキュベートした。その後、前記プレートを、Molecular Devices社のFlexstation中に置いた。前記TRPV1受容体を、カプサイシンまたは低pHのいずれかの適用により刺激した。可能性のある拮抗作用について化合物の効果を試験するため、カプサイシンをEC80濃度で用い、それは、ラットTRPV1受容体について0.05μM、そしてヒトおよびモルモットについて0.1μMであった。pH試験のために、低pH緩衝溶液[HBSS中60mM 2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)]を、分析ウェルに加え、最終pH5.5とした。
【0029】
アンタゴニストIC50値(pH5.5またはカプサイシンのいずれかに対する反応を50%阻害するアンタゴニストの濃度)の決定のため、少なくとも10個のアンタゴニスト濃度をデュプリケートで測定した。アンタゴニストの存在における反応を、カプサイシンまたは低pHに対する対照反応の割合として計算し、アンタゴニストの濃度に対してプロットした。IC50を、Activity−Baseソフトウェア(v5.0.10)またはMicrocal Origin(v7.03)によりシグモイド−ロジスティック曲線に対する非線形回帰分析により概算した。これらの値は、少なくとも3回の独立した実験の平均(平均および平均の標準誤差)であった。
【0030】
式(I)および(Ia)の化合物、例えば実施例1−28の化合物は、0.004−30μMの範囲のIC50値を有するTRPVI受容体アンタゴニスト活性を示す。
【0031】
上記を考慮して、式(I)および(Ia)の化合物は、例えば、バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患および状態の処置において、バニロイド受容体ブロッカーとして有用である。そのような状態には、特に、疼痛、例えば骨および関節痛(骨関節痛)、癌性疼痛、筋膜痛(筋損傷、線維筋痛)および周術期の疼痛(一般的な外科手術、婦人科手術)が含まれる。
【0032】
式(I)および(Ia)の化合物は、慢性疼痛、とりわけ炎症性、例えば慢性炎症性疼痛;炎症性疾患、例えば炎症性気道疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または喘息;咳;尿失禁;偏頭痛;内臓障害、例えば、炎症性腸疾患;鼻炎;膀胱炎、例えば間質性膀胱炎;膵炎;ブドウ膜炎;炎症性皮膚疾患;およびリウマチ性関節炎の処置または予防に特に有用である。
【0033】
故に、式(I)および(Ia)の化合物は、例えば、様々な起源または病因の疼痛のためのバニロイド受容体アンタゴニストとして、ならびに、炎症性反応、疾患または状態の処置のため、ならびにアレルギー性反応の処置のための抗炎症剤および/または抗浮腫剤として有用である。それらの鎮痛性/抗炎症性プロフィールを考慮すると、それらは、炎症性の疼痛の処置、痛覚過敏症の処置、および特に、重症慢性疼痛の処置のために有用である。それらは、例えば、例えば火傷、捻挫、骨折などに関連する外傷後に起こる、外科的介入の後に起こる疼痛、炎症および/または浮腫の処置、例えば、術後の鎮痛剤として、ならびに様々な起源の炎症性疼痛の処置、例えば、骨およびリウマチ性関節炎およびリウマチ性疾患、腱−滑膜炎および痛風の処置に有用である。それらは、さらに、例えば、狭心症、月経または癌に関係する疼痛の処置のための鎮痛剤として適する。抗炎症剤/抗浮腫剤として、それらは、さらに、例えば、炎症性皮膚疾患、例えば乾癬および湿疹の処置に有用である。
【0034】
バニロイド受容体ブロッカーとして、式(I)および(Ia)の化合物は、平滑筋弛緩剤として、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎または膵炎の治療における、例えば胃腸管または子宮の痙攣の処置にも有用である。
【0035】
式(I)および(Ia)の化合物は、特に、気道過敏症の治療のためおよび気道疾患、特に喘息に関係する炎症性事象の処置のための薬剤として有用である。さらに、本発明の薬剤を、例えば、喘息における気道過敏症の制御、制限または回復のために使用することができる。
【0036】
本発明を適用可能な炎症性または閉塞性気道疾患には、内因性、およびとりわけ、外因性喘息の両方を含むいかなるタイプおよび起源の喘息も含まれる。故に、式(I)および(Ia)の化合物は、アレルギー性喘息、ならびに、例えば運動誘発性喘息、職業性喘息、細菌感染後に誘導される喘息、他の非アレルギー性喘息および“小児喘鳴症候群(wheezy-infant syndrome)”の処置に有用である。
【0037】
喘息の処置における効果は、例えば、急性喘息または気管支収縮発作の、症候発作の頻度または重症度を減じること、および他の対症療法、例えば抗炎症剤、例えばコルチコステロイド;または管支拡張薬、例えば、β2アドレナリン治療の必要性を減じることにより証明される。
【0038】
本発明を適用可能な炎症性または閉塞性気道疾患には、さらに、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症、および特に綿肺症を含むいかなるタイプおよび起源の塵肺症(塵の繰り返し吸引により引き起こされる、炎症性の、一般に職業的な、肺の疾患)も含まれる。
【0039】
さらに、式(I)および(Ia)の化合物を用いることのできる炎症性または閉塞性気道疾患および状態には、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患または気道疾患(COPDまたはCOAD)、および気管支炎が含まれる。式(I)および(Ia)の化合物はまた、アレルギー性および血管運動神経性鼻炎の処置に使用できる。
【0040】
前記に加えて、式(I)および(Ia)の化合物はまた、例えば、抗血液量減少剤および/または抗血圧降下剤として、敗血性ショックの治療において;炎症性腸疾患;脳水腫;頭痛;偏頭痛;湿疹および乾癬のような炎症性皮膚疾患;腸の炎症性疾患、例えば、過敏性腸症候群;クローン病;潰瘍性大腸炎;および膀胱炎、例えば間質性膀胱炎、腎炎およびブドウ膜炎の処置においての使用のために指示される。
【0041】
本発明の薬剤は、ヒトVR1活性化が役割を果たすかまたは関係し、故にVR1受容体の調整(好ましくは拮抗作用)による処置に感受性である、疾患および状態の予防および処置において有用である。そのような状態には、リウマチ性関節炎のような炎症性成分を有する慢性疼痛;骨および関節痛(骨関節症);外科的介入後の疼痛;線維筋痛症のような筋−骨格痛;筋筋膜疼痛症候群;偏頭痛、急性または慢性緊張性頭痛、群発性頭痛、顎関節痛、および上顎洞痛を含む、頭痛;耳痛;会陰切開術痛;火傷、およびとりわけそれに関係する原発性痛覚過敏症;心臓痛、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛、腹痛、月経困難痛のような婦人科痛、および陣痛のような深部および内臓痛;膀胱炎および外陰部痛のような尿生殖路に関係する疼痛;炎症性皮膚疾患、例えば乾癬および湿疹、または不特定起源のかゆみ;ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、化学療法により誘導されるニューロパシー、切断(“幻肢痛”)、神経絞扼および腕神経叢裂離、腰痛、坐骨神経および強直性脊椎炎、反射性交感神経性および他の慢性神経損傷に関係する神経因性疼痛のような神経損傷に関係する慢性痛および/または神経系に影響する疾患;複合性局所痛症候群;脊髄もしくは脳幹損傷、または卒中に起因する疼痛のような中枢神経痛;痛風;瘢痕の疼痛;しばしば癌性疼痛と称される、癌腫に関係する疼痛;喘息、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、炎症性気道疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患を含む、呼吸器疾患;慢性気管支炎、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症、綿肺症;季節性および通年性鼻炎のようなアレルギー性鼻炎、および非アレルギー性鼻炎を含む、鼻炎;特発性か、またはCOPD、喘息、嚢胞性線維症、癌、または胃−食道逆流のような消化管障害のような呼吸系疾患と関係する咳;自己免疫性疾患;制限はしないが、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、膵炎、炎症性腸疾患を含む、消化器系疾患;尿生殖路の疾患、特に膀胱炎;膀胱排尿筋反射亢進および膀胱過敏性を含む尿失禁が含まれる。
【0042】
上記の適応症に関して、適当な投与量はもちろん、例えば、使用される化合物、宿主、投与経路ならびに処置されるべき状態の性質および重症度に依存して変化する。しかしながら、一般的に、動物における満足な結果は、動物体重kg当たり約0.05から約150、好ましくは約0.1mgから約100mgの1日投与量で得られることが指示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて、指示される1日投与量は、約0.5から約5,000、好ましくは約1mgから約500mgの範囲の式(I)および(Ia)の化合物であり、都合良くは、例えば、1日4回までの分割量でかまたは持続放出形態で投与される。
【0043】
式(I)および(Ia)の化合物を、単独でかまたは特異的COX−2阻害剤のようなシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、例えばセレコキシブおよびロフェコキシブ;および、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸およびプロピオン酸誘導体;三環系抗鬱剤、例えば、アナフラニール(登録商標)、アセンジン(Asendin、登録商標)、アベンタイル(Aventyl、登録商標)、エラビル(Elavil、登録商標)、エンデップ(Endep、登録商標)、ノルフラニール(Norfranil、登録商標)、ノルプラミン(登録商標)、パメロール(登録商標)、サイネクアン(Sinequan、登録商標)、スルモンチール(登録商標)、チプラミン(Tipramine、登録商標)、トフラニール(登録商標)、ビバクチル(Vivactil、登録商標)、トフラニール−PM(登録商標);抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン、オキシカルバゼピンおよびガバペンチン;ブラジキニンB1またはB2アンタゴニスト;ならびに、GABAアゴニスト、例えば、L−バクロフェンを含む、バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置において有効な他の薬剤との組合せのいずれかでインビボで投与することができる。
【0044】
本発明の薬剤を、単独でかまたは他の薬剤、例えば特異的COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ、ルミラコキシブ、およびバルデコキシブ)のようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤または一般的非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えばアセチルサリチル酸、プロピオン酸誘導体)、5−HTiアゴニストおよびCGRPアンタゴニストのような抗偏頭痛剤、三環系抗鬱剤(例えばクロミプラミン、アモキサピン、ノルトリピリン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ドクサピン、トリミプラミン、プロトリピリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えばフルオキセチン)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えばデュロキセチン)、抗痙攣剤(例えばガバペンチン、プレガバリン、オキシカルバゼピン、カルバマゼピン)、GABAアゴニスト(例えばL−バクロフェン)、オピオイド(例えばモルヒネ)、CB受容体アゴニスト、ブラジキニン受容体アンタゴニスト、サブスタンスPアンタゴニストを含む、ヒトVR1活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患および状態の処置において有効な薬剤との組み合わせのいずれかでインビボで投与することができる。
【0045】
本発明の、組み合わせパートナーの別個投与および結合した組合せ剤、すなわち少なくとも2つの組み合わせパートナーを含む単一ガレヌス組成物の投与のための医薬組成物は、それ自体公知の方法で製造され得、治療的有効量の少なくとも1個の薬理学的に活性な組み合わせパートナーを単独でかまたは1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体、とりわけ経腸投与または非経腸投与に適するものとの組合せで含み、ヒトを含む哺乳動物に対して経口または経直腸のような経腸投与、および非経腸投与するのに適するものである。
【0046】
医薬組成物には、例えば、約0.1%から約99.9%、好ましくは約20%から約60%の活性成分が含まれる。経腸または非経腸投与のための組合せ療法のための医薬製剤は、例えば、糖衣錠を含む錠剤、カプセル剤、坐剤およびアンプル剤のような単位投与量形態である。これらは、それ自体公知の方法、例えば、慣用的混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥法で製造される。必要な有効量は、複数の投与量単位の投与により達成されるため、各投与量形態の個々の用量に含まれる組み合わせパートナーの単位含量は、それ自体で有効量を構成する必要はないことは理解されるだろう。
【0047】
本発明のさらなる局面は、薬学的に許容される担体または希釈剤および治療的有効量の遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の式(Ia)の化合物を含む、“新規”組成物を含む。
【0048】
前記に従い、本発明はまた、下記を提供する:
(1)バニロイド受容体ブロッカーとしての使用を目的とした、例えば上記の特定の適応症のいずれかにおける使用を目的とした、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物;
【0049】
(2)バニロイド受容体が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置のための、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物;
【0050】
(3)遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物の治療的有効量を投与することを含む、それを必要とする対象における上記の特定の適応症のいずれかの処置のための方法;
【0051】
(4)遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物の治療的有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、バニロイド受容体が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態を処置または予防するための方法;
【0052】
(5)バニロイド受容体活性が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための医薬の製造を目的とした、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物の使用;
【0053】
(6)治療的有効量のバニロイド受容体アンタゴニスト、例えば遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物、および第二薬物(該第二薬物は、例えば、上記の特定の適応症のいずれかに使用するためのものである。)の、例えば同時または連続する共投与を含む、上記の方法;および
【0054】
(7)遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の式(I)または(Ia)の化合物の治療的有効量、および第二薬物(該第二薬物は、例えば、上記の特定の適応症のいずれかに使用するためのものである。)を含む組合せ剤。
【0055】
本発明の範囲をいかなる方法でも制限することを意図しない下記の実施例において、下記の略語を用いる:
【表1】

【実施例】
【0056】
実施例1
7−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−2−イソプロピル−3H−キナゾリン−4−オンの製造
a)3−(4−クロロフェニル)−2−イソプロピル−7−ニトロ−3H−キナゾリン−4−オンの製造
トルエン(150mL)中、4−ニトロアントラニル酸イソブチルアミド(4g、15.8mmol)、4−クロロアニリン(2.2g、17.2mmol)および三塩化リン(5.6mL)の懸濁液を、2時間加熱還流する(150℃の浴温度)。反応混合物を室温まで冷却し、その後、乾燥するまで蒸発させる。残渣を、水とEtOAcの間に分配させ、水相をEtOAcで抽出する(2×)。合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして真空で蒸発させる。イソプロピルエーテルで粉末化し、所望の化合物を褐色固体として得る。
【0057】
b)表題化合物の製造
上記実施例1aで製造した化合物の混合物(2.4g、6.98mmol)、鉄粉(1.16g、20.8mmol)および氷酢酸(70mL)を、50℃で2.5時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、その後、乾燥するまで真空で蒸発させる。残渣を、水とEtOAcの間に分配させ、水相をEtOAcで抽出する(2×)。合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして真空で蒸発させ、褐色固体を得る。自動フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:EtOAc/DCM0−50%)により精製し、淡黄色固体として表題化合物を得る。
(M+H)=314.2;HPLC保持時間=3.9分。
【0058】
実施例2
3−(4−クロロフェニル)−7−ヒドロキシ−2−イソプロピル−3H−キナゾリン−4−オンの製造
氷浴温度に冷却した、濃硫酸/水972μL/1.4mL中、実施例1の化合物(778mg、2.479mmol)の懸濁液に、水中硝酸ナトリウム(188mg)の溶液(680μL)を添加する。混合物を、0−5℃(内部温度)で45分間撹拌し、次いで硫酸/水 3/2(5mL)を添加し、150℃まで予め加熱する。15分間撹拌後、その混合物を室温まで冷却し、ろ過し、そしてEtOAcで抽出する(3×)。合わせたEtOAc抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、黄色−オレンジ色固体とする。自動フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出:EtOAc/ヘキサン0−25%)により精製し、表題化合物を黄色固体として得る。
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4): δ 7.91 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.49 (2H, d, J=9.5 Hz), 7.25 (2H, J=9.5 Hz), 6.93 (1H, d, J=2.3 Hz), 6.86 (1H, dd, J=2.3, 8.7 Hz), 2.56 (1H, quint, J=6.7 Hz), 1.11 (6H, d, J=6.7 Hz);(M+H)=315.8;HPLC保持時間=4.2分。
【0059】
実施例3から28
実施例3から28の化合物を、前記実施例に記載の方法と同様に製造することができる。
【0060】
【化21】

【化22】

【0061】
【化23】

【化24】

【0062】
【化25】

【化26】

【0063】
実施例29
化合物29.1から29.54を、前記実施例に記載の方法と同様に製造することができる。
【0064】
【化27】

【化28】

【0065】
【化29】

【化30】

【0066】
【化31】

【化32】

【0067】
【化33】

【化34】

【0068】
【化35】

【化36】

【0069】
【化37】

【化38】

【0070】
実施例30
軟ゼラチンカプセルの製造
活性成分として0.05gの前記実施例に記載の式(Ia)の化合物のうち1つをそれぞれ含む5000個の軟ゼラチンカプセルを、下記の通りに製造する:
【0071】
組成
活性成分 250g
Lauroglycol(登録商標) 2l
【0072】
粉末活性成分を、Lauroglykol(登録商標)(プロピレングリコールラウレート、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)中に懸濁し、湿式粉砕機で砕き、約1−3μmの粒子サイズを得る。その後、カプセル充填機を用いて、混合物を0.419gずつ軟ゼラチンカプセル中に入れる。
【0073】
本発明には以下の態様が含まれる:
[1] バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための医薬としての使用を目的とした、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の、式
【化39】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化40】

または基
【化41】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化42】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物。
[2] バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための医薬の製造を目的とした、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の、式
【化43】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化44】

または基
【化45】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化46】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物の使用。
[3] バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための方法であって、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の、式
【化47】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化48】

または基
【化49】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化50】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物の治療的有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法。
[4] 遊離型または塩形態、および可能なときは酸付加塩形態の、式
【化51】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化52】

または基
【化53】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化54】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物。
[5] 遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の[4]に記載の化合物を薬学的担体または希釈剤と合わせて含む、医薬組成物。
[6] a)式(Ia)〔ここで、RおよびRが、[4]に定義の通りであり、Rが水素であり、Rがアミノであり、そしてmが1である。〕の化合物を製造するために、三塩化リンの存在下、式
【化55】

のアミド化合物を、式
【化56】

の置換アニリン化合物と縮合/環化し、式
【化57】

の7−ニトロ置換キナゾリン−4−オン化合物を得、その後、その化合物を、氷酢酸および鉄粉を用いて還元し、式
【化58】

の7−アミノ置換キナゾリン−4−オン化合物を得る工程;および
b)式(Ia)〔ここで、RおよびRが、[4]に定義の通りであり、Rが水素であり、Rがヒドロキシであり、そしてmが1である。〕の化合物を製造するために、上記a)で製造した7−アミノ置換キナゾリン−4−オン化合物を、濃硫酸および亜硝酸ナトリウムを用いて還元し、式
【化59】

の7−ヒドロキシ置換キナゾリン−4−オン化合物を得る工程;
ならびに、遊離型または塩形態のa)およびb)で製造した対応する化合物を回収する工程を含む、[4]に記載の式Iaの化合物またはその塩の製造方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニロイド受容体活性化が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の処置または予防のための医薬としての使用を目的とした、遊離型または塩形態、および可能なときは薬学的に許容される酸付加塩形態の、式
【化1】

[式中、
は、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキル)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、(C−Cアルキル)アミノまたはジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロゲン置換C−Cアルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノまたは基−C(=O)−R2a(ここで、R2aは、C−Cアルキルである。)であり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、シアノ、−C(=O)H、フェニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、(C−Cアルコキシカルボニルアミノ)C−Cアルコキシまたは(C−Cアルキルカルボニルアミノ)C−Cアルコキシであり;
は、ヒドロキシ、エステル化ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、アミノ、(C−Cアルキル)アミノ、基
【化2】

または基
【化3】

(ここで、R4aは、C−Cアルキルまたはハロゲン置換C−Cアルキルである。)または基
【化4】

(ここで、R4bは、ベンジルまたはフェニルエチルである。)であり;
は、水素またはヒドロキシであり;そして
mは、1または2である。]
で示されるキナゾリノン化合物。

【公開番号】特開2011−105738(P2011−105738A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10997(P2011−10997)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【分割の表示】特願2007−526311(P2007−526311)の分割
【原出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】