説明

バルクフィーダ

【課題】取込口に流入した電子部品が移動する供給通路を極力短くすることによって該供給通路内を電子部品が移動する過程で部品詰まりを生じることを防止できるバルクフィーダを提供する。
【解決手段】バルクフィーダは、ロータ40の回転に伴って永久磁石40dが上方に移動する過程で長さ向きの電子部品EC1を流入させるための取込口15aと、該取込口15aから収納室14の上方まで延設され、且つ、長さ向きの電子部品を同向きのまま移動させるための供給通路15と、該供給通路15の先端に設けられ、且つ、供給通路15に沿って移動した電子部品を外部に取り出すための上面開口の取出口とを備えている。つまり、取込口15aから収納室14の上方まで延設された供給通路15の先端に取出口を設けることによって該供給通路15を極力短くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示されたバルクフィーダは、後側の壁面と外周の円弧状ガイド面とを有する収納室と、ガイド面の上端に設けられた取入口(以下、取込口と言う)と、取込口から下流に向かって設けられた通路と、収納室の壁面の後方に設けられた回転板と、回転板に設けられた磁石とを備えている。このバルクフィーダでは、回転板を所定方向に回転させることによって、磁石の磁力によって吸引された複数の部品を壁面及びガイド面に沿って上方に移動させ、壁面及びガイド面によって整列された部品のみを取込口へ流入させるようにしている。
【0003】
この種のバルクフィーダは一般にマウンタ(部品搭載装置)の部品供給手段として使用される。具体的には、バルクフィーダは部品を外部に取り出すための上面開口の取出口を有していて、マウンタのフィーダ取付エリアには供給する部品の種類が異なる複数台のバルクフィーダが並設される。マウンタは3次元移動可能な吸着ノズルによって複数台のバルクフィーダから選択的に部品を取り出して回路基板等の搭載対象物に搭載する。
【0004】
ところで、特許文献1及び2には前記取出口(部品を外部に取り出すための上面開口の取出口)について開示されていないが、取込口に流入した部品を通路を利用して下流に向かって移動させる方式を採用していることから考えると、該通路の先に別通路があって該別通路の先端に上面開口の取出口があるものと推測される。
【0005】
要するに、前記バルクフィーダは通路の長さが部品の長さに比して極めて長いため、部品が通路内を移動する過程で部品詰まりが生じる可能性が高くなる。つまり、通常、通路の断面形は寸法公差内の最大サイズの部品が通過できるように決定されるが、特に長さが1mm前後の微小な部品にあっては寸法公差/長さの値が大きく、しかも、寸法公差内の最小サイズの部品が最大サイズの部品よりも通路内で傾く度合いが大きくなるために、該傾きを原因として部品詰まりを生じる可能性が高くなる。
【0006】
部品が通路内を移動する過程で生じる部品詰まりを防止するには通路を極力短くすることが望ましいが、取込口に流入した部品を通路を利用して下流に向かって移動させる方式を採用している前記バルクフィーダにあってはその構造上これを実現することができない。
【特許文献1】特許第3482324号
【特許文献2】特許第3796971号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、取込口に流入した電子部品が移動する供給通路を極力短くすることによって該供給通路内を電子部品が移動する過程で部品詰まりを生じることを防止できるバルクフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダであって、磁力による吸引を可能とした多数の電子部品をバラ状態で収納するための収納室と、少なくとも1つの永久磁石を有し、且つ、永久磁石の磁力が収納室内の電子部品に及ぶように該収納室の一側面の外側に回転自在に配置されたロータと、収納室内に設けられ、且つ、ロータの回転に伴って永久磁石が上方に移動する過程で所定向きの電子部品を流入させるための取込口と、取込口から収納室の上方まで延設され、且つ、所定向きの電子部品を同向きのまま移動させるための供給通路と、供給通路の先端に設けられ、且つ、供給通路に沿って移動した電子部品を外部に取り出すための上面開口の取出口と、磁力による吸引を可能とし、且つ、ロータ回転時における永久磁石の磁力誘導によって変位して取出口を開閉するためのシャッターと、を備える。
【0009】
このバルクフィーダは、ロータの回転に伴って永久磁石が上方に移動する過程で所定向きの電子部品を流入させるための取込口と、該取込口から収納室の上方まで延設され、且つ、所定向きの電子部品を同向きのまま移動させるための供給通路と、該供給通路の先端に設けられ、且つ、供給通路に沿って移動した電子部品を外部に取り出すための上面開口の取出口とを備えている。つまり、取込口から収納室の上方まで延設された供給通路の先端に取出口を設けることによって該供給通路を極力短くすることができるので、供給通路内を電子部品が通過する過程で部品詰まりを生じることを防止して取出口への電子部品の供給を良好に行うことができると共に、バルクフィーダ自体をコンパクトに形成することができる。
【0010】
また、このバルクフィーダは、磁力による吸引を可能とし、且つ、ロータ回転時における永久磁石の磁力誘導によって変位して取出口を開閉するためのシャッターを備えている。つまり、ロータ回転時における永久磁石の磁力誘導によりシャッターを変位させることによって、取出口から電子部品を外部に取り出すときのみに該取出口を開放することができる。要するに、永久磁石が取出口の外側を通過するときにはシャッターによって該取出口を閉塞することができるので、取出口の外側を通過する永久磁石の磁力の影響で該取出口に位置する先頭の電子部品の姿勢が乱れること、例えば取出口に位置する先頭の電子部品が立ち上がることを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取込口に流入した電子部品が移動する供給通路を極力短くすることによって該供給通路内を電子部品が移動する過程で部品詰まりを生じることを防止できるバルクフィーダを提供することができる。
【0012】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を以下に説明するが、該説明中に用いた「一致」及び「同一」の用語は寸法上の公差を含むものであり、完全一致及び完全同一を意味するものではない。また、以下の説明では図1(A)の左,右,手前及び奥と他の図のこれらに相当する方向をそれぞれ前,後,左及び右と称する。
【0014】
[第1実施形態]
図1〜図18は本発明の第1実施形態を示す。図1(A)〜図1(C)はバルクフィーダの左面図,右面図及び上面図、図2(A)〜図2(C)は図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品の斜視図及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品の斜視図、図3(A)〜図3(C)は図1に示したケースを構成する左板の左面図,中央板の左面図及び右板の左面図、図4は図3(B)の部分拡大上面図、図5(A)〜図5(D)は図3(C)の部分拡大断面図,該案内溝の変形例を示す部分拡大断面図及び図2(B)及び図2(C)に示した電子部品を供給対象とする場合の案内溝を示す部分拡大断面図、図6は図3(C)の部分拡大上面図、図7(A)〜図7(D)は図3(C)の部分拡大断面図及び該案内溝を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝に置換した構造を示す部分拡大断面図、図8(A)〜図8(C)は図1に示したロータの左面図,上面図及び図8(A)のS3−S3線に沿う断面図、図9は右板の案内溝とロータの永久磁石との位置関係を示す詳細図、図10は図1(C)に示したシャッターの拡大上面図、図11は図1(C)の部分拡大図、図12は図1(C)のS1−S1線に沿う拡大断面図、図13は図1(C)のS2−S2線に沿う拡大断面図、図14〜図18は図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【0015】
まず、図2を引用して、図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品について説明する。
【0016】
図2(A)は図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品EC1を示す。同図に示した電子部品EC1は、長さL1>幅W1=高さH1の寸法関係を有する直方体形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC1aを有している。この電子部品EC1の代表例は長さL1が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップコンデンサである。この電子部品EC1は強磁性体に属する材料を含む外部電極EC1aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、永久磁石の磁力による吸引が可能である。
【0017】
図2(B)及び図2(C)は後述する案内溝13bの断面形を変更することによって図1に示したバルクフィーダで供給可能な電子部品EC2,EC3を示す。図2(B)に示した電子部品EC2は、長さL2>幅W2>高さH2の寸法関係を有する直方体形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC2aを有していている。この電子部品EC2の代表例は長さL2が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップレジスタである。図2(C)に示した電子部品EC3は、長さL3>直径R3の寸法関係を有する円柱形状を成し、長さ方向両端部に外部電極EC3aを有していている。この電子部品EC3の代表例は長さL3が1.0mm前後(具体的には1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等)のチップコンデンサやチップレジスタである。これら電子部品EC2,EC3も強磁性体に属する材料を含む外部電極EC2a,EC3aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、永久磁石の磁力による吸引が可能である。
【0018】
次に、図1,図3〜図13を引用して、電子部品EC1を供給対象とする図1に示したバルクフィーダの構造について説明する。
【0019】
バルクフィーダは、図1(A)〜図1(C)に示すように、ケース10と、支軸20と、軸受30と、ロータ40と、シャッター50と、図示省略のロータ駆動機構とを備えている。
【0020】
ケース10は、図3(A)に示す左板11と、図3(B)に示す中央板12と、図3(C)に示す右板13とから構成されている。
【0021】
左板11は、図3(A)に示すように、左面視輪郭が略矩形を成し、金属またはプラスチックから形成されている。この左板11は、その4隅にネジ挿通孔11aを有している。
【0022】
中央板12は、図3(B)に示すように、左面視輪郭が左板11と同一で、金属またはプラスチックから形成されている。この中央板12は、その4隅にネジ孔12aを有し、左右方向の貫通孔12bを有し、上面にシャッター配置凹部12cを有している。
【0023】
貫通孔12bは、所定の曲率半径を有する第1円弧面12b1と、第1円弧面12b1よりも曲率半径が小さく、且つ、第1円弧面12b1と曲率中心を一致する第2円弧面12b2と、第1円弧面12b1の下端と第2円弧面12b2の下端とを結ぶ平面12b3と、第1円弧面12b1の上端と第2円弧面12b2の上端との間に形成された凹部12b4とを有している。また、第1円弧面12b1の曲率半径は後述する案内溝13bの外周縁の曲率半径よりも大きい。
【0024】
シャッター配置凹部12cは、図4に示すように、中央板12の上面の右側一部を所定の深さで矩形状に切り欠くようにして形成されている。また、シャッター配置凹部12cの底面の後側にはネジ穴12c1が設けられている。
【0025】
右板13は、図3(C)に示すように、左面視輪郭が左板11と同一で、永久磁石の磁力が透過可能なアルミニウム等の金属またはプラスチックから形成されている。この右板13は、その4隅にネジ挿通孔11aを有し、左面に円弧状の案内溝13bを有し、上面に取出口形成凹部13cを有している。
【0026】
案内溝13bは下から上に向かって約180度の角度範囲で形成されており、該案内溝13bの外周縁の曲率中心と内周縁の曲率中心は一致し、且つ、外周縁と内周縁の曲率半径の差は後述する幅Wgを規定する。また、案内溝13bの最上点から前側の部分は前方に延びる直線状となっている。図1に示したバルクフィーダの案内溝13bは、図5(A)に示すように、図2(A)に示した電子部品EC1の幅W1または高さH1よりも僅かに大きく、且つ、端面対角寸法D1よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図5(A)に示した案内溝13bは、図2(A)に示した電子部品EC1を幅または高さの面が略揃った長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0027】
図5(B)〜図5(D)は図5(A)に示した案内溝13bの変形例と図2(B)及び図2(C)に示した電子部品EC2,EC3を供給対象とする場合の案内溝13bを示す。
【0028】
図5(B)に示した案内溝13bは図5(A)に示した案内溝13bの変形例であり、該案内溝13bは図2(A)に示した電子部品EC1の端面対角寸法D1よりも僅かに大きく、且つ、長さL1よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図5(B)に示した案内溝13bは、図2(A)に示した電子部品EC1を幅及び高さの面の方向に拘わらずに長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0029】
図5(C)に示した案内溝13bは図2(B)に示した電子部品EC2を供給対象とする場合のものであり、該案内溝13bは図2(B)に示した電子部品EC2の高さH2よりも僅かに大きく、且つ、幅W2よりも小さな幅Dgと、図2(B)に示した電子部品EC2の幅W2よりも僅かに大きな深さDgとを有している。つまり、図5(C)に示した案内溝13bは、図2(B)に示した電子部品EC2を幅及び高さの面が略揃った長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0030】
図5(D)に示した案内溝13bは図2(C)に示した電子部品EC3を供給対象とする場合のものであり、該案内溝13bは図2(C)に示した電子部品ECの直径R3よりも僅かに大きく、且つ、長さL3よりも小さな幅Wg及び深さDgを有している。つまり、図5(D)に示した案内溝13bは、図2(C)に示した電子部品EC3を長さ向きで収容でき、且つ、同向きのまま案内溝13bに沿って移動させることができる。
【0031】
取出口形成凹部13cは、図6に示すように、右板13の上面一部を左右方向に切り欠くようにして形成されており、案内溝13bに達する所定の深さを有している。つまり、案内溝13bの最上点及びその前後部分は、取出口形成凹部13cを通じ、上方に向けて部分的に開放している。
【0032】
また、右板13の左面には、金属またはプラスチックから成る取込口形成部材13dが止めネジFSを用いて着脱自在に取り付けられている。図示を省略したが、取込口形成部材13dにはネジ挿通孔が形成されており、右板13の左面には止めネジFSがねじ込まれるネジ穴が形成されている。この取込口形成部材13dは、中央板12の凹部12b4の内形に合致した外形を有すると共に、円弧面13d1の分だけ幅が狭くなった狭幅部分13d2を有している。また、取込口形成部材13dの厚さは中央板12の厚さと一致している。さらに、円弧面13d1の曲率半径は案内溝13bの外周縁の曲率半径よりも大きく、該曲率半径は中央板12の第1円弧面12b1の曲率半径と同一か或いは僅かに大きい。つまり、図7(A)に示すように、案内溝13bの左面開口は取込口形成部材13dの狭幅部分13d2によって部分的に閉塞されており、該閉塞部分の後端は後述する取込口15aとなる。
【0033】
図7(B)〜図7(D)は右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した構造を示す。何れの構造も、図7(A)と同様に、案内溝13bの左面開口は取込口形成部材13dの狭幅部分13d2によって部分的に閉塞され、該閉塞部分の後端は後述する取込口15aとなる。
【0034】
さらに、案内溝13bの前側直線部分には、四角柱形または円柱形を成し、金属またはプラスチックから形成されたストッパ棒13eが嵌め込まれている。このストッパ棒13eは、図6に示すように、その後部を取出口形成凹部13c側に突出しており、該突出部分を取出口形成凹部13cを通じて露出している。つまり、ストッパ棒13eの後部は先に述べた案内溝13bの開放部分に入り込んでいて、該開放部分のうちのストッパ棒13eが存しない領域は後述する上面開口の取出口16となる。
【0035】
さらに、右板13の右面には、支軸20をネジ止めするための複数のネジ穴13fが形成されている。
【0036】
ケース10は、図3(B)に示した中央板12の左面に図3(A)に示した左板11を重ねて止めネジFSを用いて取り付け、且つ、図3(B)に示した中央板12の右面に図3(C)に示した右板13を重ねて止めネジFSを用いて取り付けることによって組み立てられている。
【0037】
この組み立て状態にあっては、中央板12の貫通孔12bの左面開口が左板11の右面によって閉塞され、且つ、中央板12の貫通孔12bの右面開口が右板13の左面によって閉塞される。また、中央板12の貫通孔12bの凹部12b4には右板13の取込口形成部材13dが嵌り込む。さらに、右板13の案内溝13bの左面開口の上部は、取込口形成部材13dの狭幅部分13d2と、中央板12の第2円弧面12b2を含む張り出し部分(第2円弧面12b2の曲率半径と第1円弧面12b1の曲率半径との差に基づく円弧状部分)とによって閉塞される。さらに、中央板12の案内シャッター配置凹部12cの右面開口の前部及び後部が、右板13の左面によって閉塞される。
【0038】
つまり、ケース10内には、貫通孔12bの第1円弧面12b1,第2円弧面12b2及び平面12b3と、取込口形成部材13dの円弧面13d1及び狭幅部分13d2の後面並びに下面と、左板11の右面の一部と、右板13の左面の一部とによって囲まれた収納室14(図12及び図13参照)が画成される。また、ケース10内には、案内溝13bと同一の断面形を有し、且つ、長さ向きの電子部品EC1を同向きのまま移動可能な供給通路15(図11及び図12参照)が形成されると共に、該供給通路15の後端にその入口となる取込口15a(図12参照)が形成される。さらに、ケース10の上面には、供給通路15の前端に存し、且つ、電子部品EC1を外部に取り出すための上面開口の取出口16(図11及び図13参照)が形成される。
【0039】
要するに、ケース10の右板13の左面に下から上に向かって約180度の角度範囲で形成された案内溝13bのうち、その左面開口が閉塞されていない部分(約150度の角度範囲部分)が実質上の案内溝13bとして機能し、その左面開口が閉塞された部分(約30度の角度範囲部分)が該実質上の案内溝13bの上端(取込口15a)から収納室14の上方まで延設された供給通路15として機能する。
【0040】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の組み立てによって、各案内溝13bの断面形に応じた実質上の案内溝13b及び該実質上の案内溝13bの上端(取込口15a)から収納室14の上方まで延設された供給通路15を、収納室14及び取出口16と共に形成することができる。
【0041】
支軸20は、図13に示すように、軸本体20aと、該軸本体20aの左端に設けられた鍔部20bとを有しており、金属またはプラスチックから形成されている。この支軸20は、鍔部20bに設けられた複数のネジ挿通孔に止めネジを差し込んで右板13の右面のネジ穴13fにねじ込むことによって右板13の右面中央に取り付けられている。この取り付け状態にあっては、支軸20の軸本体20aの中心は右板13の案内溝13bの曲率中心と一致している。
【0042】
軸受30は、ラジアルタイプのボールベアリングから成り、支軸20の軸本体20aにその内輪を嵌め込んで取り付けられている。
【0043】
ロータ40は、図8(A)〜図8(C)に示すように、円筒部40aと、該円筒部40aの左端に設けられた鍔部40bと、該鍔部40bの左面外周に設けられた環状張出部40cとを有しており、永久磁石の磁力が透過可能なアルミニウム等の金属またはプラスチックから形成されている。また、環状張出部40の左面には、円柱形を成す計8個の永久磁石40dが、ロータ40(円筒部40a)の中心と同心の仮想円VC上に各々の磁力中心が位置するように、且つ、N極面とS極面の一方が露出するように45度間隔で埋設されている。因みに、図示した各永久磁石40dは円柱形を成しその両端に磁極を持つものであるため、その磁力中心(磁力線が最も密集する箇所)は円柱形の端面中心と一致している。
【0044】
このロータ40は、図13に示すように、各永久磁石40dの面(N極面とS極面の一方)が右板13の右面と僅かな間隔をおいて対向するように、円筒部40aの内孔40a1を軸受30の外輪に嵌め込んで取り付けられている。この取り付け状態にあっては、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの中心は右板13の案内溝13bの曲率中心と一致しており、ロータ40は支軸30の軸本体20aを中心として回転することでき、該ロータ40の回転に伴って各永久磁石40dは仮想円VCに相当する円軌道で移動することができる。因みに、各永久磁石40dは右板13の外側に存するが、各永久磁石40dには収納室14の右面(右板13の左面の一部)を介して該収納室14内に及ぶ磁力を有するものが使用される。
【0045】
また、図9から分かるように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向くように、好ましくは永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13bの幅Wgの中心と一致するように設定されている。勿論、永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は、永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向いていれば、該永久磁石40dの磁力中心が案内溝13bの幅Wgの中心から内側または外側に多少ずれるように設定されていても良い。因みに、この位置設定は、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの曲率半径を変更することによって行える他、右板13の案内溝13bの外周縁及び内周縁の曲率半径を変更することによって行うことができる。
【0046】
さらに、図12から分かるように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと収納室14との位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように、好ましくは案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面の全てが収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されている。勿論、永久磁石40dと収納室14との位置関係は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するようになっていれば、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面の外縁部分を除く部分が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されていても良い。因みに、この位置設定は、中央板12の貫通孔12bの第1円弧面12b1の曲率半径を変更することによって行える他、各永久磁石40dの磁力中心が位置する仮想円VCの曲率半径を変更し、且つ、右板13の案内溝13bの外周縁及び内周縁の曲率半径を変更することによって行うことができる。
【0047】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、前記と同様の位置関係が設定される。
【0048】
シャッター50は、図10に示すように、矩形状の本体50aと、本体50aの右辺の略中央に設けられた矩形状の開閉部50bと、本体50aの左右方向の中央に設けられた長孔状のガイド孔50cとを有している。このシャッター50はロータ40の永久磁石40dの磁力による吸引が可能であり、具体的には強磁性を示す鉄やニッケル等の材料から形成されている。勿論、永久磁石40dの磁力による吸引が可能であれば、強磁性を示す母材の表面全体に強磁性を示す層をメッキ等によって形成したものや、プラスチック製の母材の表面全体に強磁性を示す層をメッキ等によって形成したもの等を、シャッター50として用いることもできる。また、シャッター50の厚さは、中央板12のシャッター配置凹部12cの深さよりも小さいか或いは該深さと一致している。さらに、開閉部50bの左右寸法は、取出口16の左右寸法よりも大きい。
【0049】
このシャッター50は、図11に示すように、下端にネジ部を有する支持軸SSをガイド孔50cに挿入し、且つ、そのネジ部をシャッター配置凹部12cのネジ穴12c1にねじ込むことによって、ケース10に配置されている。詳しくは、シャッター配置凹部12cの前後寸法は本体50aの前後寸法に開閉部50bの前後寸法を加算した値と同一か或いはそれよりも大きく、且つ、シャッター配置凹部12cの左右寸法は本体50aの前後寸法よりも僅かに大きく、しかも、取出口形成凹部13cの前後寸法(ここでは取出口16の後端から取出口形成凹部13cの前端を指す)が開閉部50bの前後寸法の2倍値と同一か或いはそれよりも大きい。つまり、シャッター50の本体50aは、ガイド孔50c及びシャッター配置凹部12cの左面及び右面(右板13の左面)にガイドされつつ、該シャッター配置凹部12c内を前後方向に移動することができる。また、シャッター50の開閉部50bは、本体50aの前後移動に伴って取出口形成凹部13c内を前後移動することができる。因みに、取出口閉塞状態を示す図11においては、シャッター50の本体50aは中央板12のシャッター配置凹部12c内の後側に位置し、また、開閉部50bは右板13の取出口形成凹部13c内の後側に位置していて取出口16を閉塞している。
【0050】
図示省略のロータ駆動機構は、ロータ40を所望の方向に回転させ、且つ、停止させるためのものであり、基本的には、モータと、モータ軸に取り付けられた駆動歯車と、モータ制御回路とを有している。ロータ40の外周面等に歯車の代用部分を形成するか、或いは、ロータ40に別部品の歯車を固着し、これら歯車に駆動歯車を噛合させればモータ動作によってロータ40を所望の方向に回転させることができ、且つ、モータ動作の停止によってロータ40の回転を停止させることができる。
【0051】
次に、図14〜図18を引用して、図1に示したバルクフィーダによって電子部品EC1を供給する動作について説明する。
【0052】
部品供給に際しては、図14に示すように、ケース10の収納室14内に多数の電子部品EC1をバラ状態で収納する。この収納は、ケース10に設けられた開閉蓋付きの補充口(図示省略)を通じて行う。電子部品EC1の収納量が多すぎると取込口15aへの電子部品EC1の流入確率が低下するため、電子部品EC1の最大収納レベルは収納室14の高さ寸法の約1/2とすることが好ましい。長さが1.0mm前後の電子部品EC1であれば、図1と同一サイズのケースを形成し、且つ、最大収納レベルを収納室14の高さ寸法の約1/2としても、数万個程度の電子部品EC1を収納することができる。
【0053】
収納室14内に電子部品EC1を収納した後は、図14に示すように、ロータ40を反時計回り方向に数回転させて供給通路15及び取出口16への電子部品EC1の初期供給(所謂、玉詰め)を行う。
【0054】
ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、取込口15aの右側を通過して下方に移動する永久磁石40dの左側には、図14に示すように、第2円弧面12b2を含む張り出し部分が存するため、該永久磁石40dの磁力が収納室14内の電子部品EC1に及ぶことが防止される。つまり、永久磁石40dが取込口15aの右側を通過して下方に移動する過程では、該永久磁石40dの磁力によって収納室14内の電子部品EC1に不要な変動(取込口15aへの部品流入に関与しない変動)が生じることは無い。
【0055】
また、ロータ40の回転に伴って円軌道で移動する各永久磁石40dのうち、張り出し部分の右側を通過して上方に移動する永久磁石40dの左側には右板13が存在するが、該右板13は永久磁石40dの磁力を透過するものであるため、該永久磁石40dの磁力は収納室14内の電子部品EC1に及ぶ。つまり、永久磁石40dが張り出し部分の右側を通過して上方に移動する過程では、図14に示すように、該永久磁石40dの磁力によって複数の電子部品EC1が案内溝13b方向に吸引され、吸引された複数の電子部品EC1は永久磁石40dの上方移動に伴って案内溝13bに沿って上方に移動する。
【0056】
先に述べたように、ロータ40の回転時における永久磁石40dと案内溝13bとの位置関係は案内溝13bと向き合う永久磁石40dの磁力中心が該案内溝13b内に向くように設定され、且つ、ロータ40の回転時における永久磁石40dと収納室14との位置関係は案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面が収納室14の右面における案内溝13b及びその両側に対向するように設定されている。そのため、図14に示すように、永久磁石40dの磁力によって案内溝13b方向に吸引された複数の電子部品EC1は、案内溝13bと向き合う永久磁石40dの面のうちの対向面を覆うような輪郭で吸引されると共に、該複数の電子部品EC1には案内溝13b内に引き込む力が強く作用して幾つかの電子部品EC1が案内溝13b内に収容される。つまり、永久磁石40dの磁力によってより多くの電子部品EC1を案内溝13b方向に吸引することができると共に、吸引された複数の電子部品EC1を高確率で案内溝13b内に収容することができ、これにより後述する取込口15aへの電子部品EC1の流入確率を高めることができる。因みに、案内溝13b内に収容される電子部品EC1の向きは、長さ向き(図5(A)参照)と長さ向きと90度異なる向き(図15参照)との2パターンとなり、案内溝13b内に収容されない電子部品EC1の向きはランダム(向きがバラバラであることを意味する)となる。
【0057】
案内溝13内に収容された電子部品EC1を含む複数の電子部品EC1は、永久磁石40dの上方移動に伴って案内溝13bに沿ってさらに上方に移動して取込口15aに達する。このとき、案内溝13b内に収容された幾つかの電子部品EC1のうちの最も前側が「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」であるときには、図7(A)に示すように、該電子部品EC1は同向きのまま取込口15aに流入する。また、「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」の後側に存する「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、図15に示すように、取込口15aの左側に存する取込口形成部材13dの狭幅部分13d2の後面に当接し、取込口15aの右側を永久磁石40dが通り過ぎて磁力が及ばなくなったところで下方に落下する。つまり、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が取込口15aに流入することを妨げない。
【0058】
一方、案内溝13b内に収容された幾つかの電子部品EC1のうちの最も前側が「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」であるときには、その後側に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が存在しても該電子部品EC1の取込口15aへの流入は「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」によって基本的に阻止される。また、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」と「案内溝13b内に収容されない電子部品EC1」は、図15に示すように、取込口15aの左側に存する取込口形成部材13dの狭幅部分13d2の後面に当接し、取込口15aの右側を永久磁石40dが通り過ぎて磁力が及ばなくなったところで下方に落下する。但し、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」の後側に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」が存在し、且つ、「案内溝13b内に長さ向きと90度異なる向きで収容された電子部品EC1」が落下する際に「案内溝13b内に長さ向きで収容された電子部品EC1」の向きに変化が生じないときには該電子部品EC1は取込口15aに流入する。
【0059】
取込口15aに流入した電子部品EC1は、図16に示すように、永久磁石40dの上方移動に伴って供給通路15に沿って長さ向きのままさらに上方に移動し、その先端がストッパ棒13eの後面に当接したところで停止して取出口16に供給される。また、前述の一連の供給作用はロータ40を数回転させる際に繰り返されるため、ストッパ棒13eの後面に当接した先頭の電子部品EC1の後側には複数の電子部品EC1が連なる。
【0060】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、「案内溝13b内への電子部品EC1〜EC3の収容」と「案内溝13bから取込口15aへの電子部品EC1〜EC3の流入」と「供給通路15内における電子部品EC1〜EC3の移動」は前記と同様に行われる。
【0061】
因みに、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)に示した案内溝13bに置換した場合には、電子部品EC1が幅または高さの面が揃わない長さ向き(図5(B)の破線参照)で案内溝13bに収容され得るが、案内溝13b内を移動する過程や供給通路15内を移動する過程では該電子部品EC1それ自体に姿勢を安定化させる変位が生じるため、該電子部品EC1は幅または高さの面が揃った姿勢で取出口16に供給されることになる。
【0062】
ロータ40を反時計回り方向に数回転させて供給通路15及び取出口16への電子部品EC1の初期供給が終わった後は、図17に示すように、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側を通り過ぎた位置(待機位置)で該ロータ40を停止させる。
【0063】
ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側から待機位置に至る過程では、図16及び図17に示すように、シャッター50に及ぶ永久磁石40dの磁力によって該シャッター50が永久磁石40dに吸引されつつ該永久磁石40dと同一方向、即ち前方に移動する。そして、前方に移動するシャッター50は、本体50aの前端がシャッター配置凹部12cの前面に当接するか、または、開閉部50bの前端が取出口形成凹部13cの前面に当接したところで停止する。つまり、永久磁石40dの磁力誘導によるシャッター50の前方移動によって、該シャッター50の開閉部50dが前側に移動して取出口16が開放される。
【0064】
図1に示したバルクフィーダからの電子部品EC1の取り出しは図17に示した待機位置で行われる。具体的には、マウンタ(電子部品搭載装置)の吸着ノズル(図示省略)を開放された取出口16に向かって下降させて該取出口16に位置する先頭の電子部品EC1を吸着した後に、該吸着ノズルを上昇させることによって行われる。取出口16が円弧状の供給通路15の最上点に位置していることから、該取出口16に位置する先頭の電子部品EC1の後側に複数の電子部品EC1が連なっていても、該後続の電子部品EC1から先頭の電子部品EC1に対してその取り出しに支障を生じるような負荷(例えば押圧力)が加わることは無い。
【0065】
取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が取り出された後は、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度、例えば45度や90度や135度や180度回転させて該ロータ40を再び前記待機位置で停止させる。因みに、電子部品EC1の取り出しは図示省略のセンサによって簡単に検出できるので、該検出信号に基づいてロータ40の回転を開始することができる。待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転する過程では、「案内溝13b内への電子部品EC1の収容」と「案内溝13bから取込口15aへの電子部品ECの流入」と「供給通路15内における電子部品EC1の移動」が前記と同様に行われ、電子部品EC1が再び取出口16に供給される。これ以後も、取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が取り出される度に待機位置にあるロータ40は反時計回り方向に所定角度回転する。
【0066】
また、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転するときに、該ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側後方から取出口16の右側に至る過程では、図18及び図16に示すように、シャッター50に及ぶ永久磁石40dの磁力によって図17の位置にあるシャッター50が永久磁石40dに吸引されて後方に移動する。そして、後方に移動するシャッター50は、本体50aの後端がシャッター配置凹部12cの後面に当接したところで停止する。つまり、永久磁石40dの磁力誘導によるシャッター50の後方移動によって、該シャッター50の開閉部50dが後側に移動して取出口16が閉塞される。
【0067】
即ち、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転するときには、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側後方から取出口16の右側に至る過程においてシャッター50を後方移動させてその開閉部50dによって取出口16を閉塞することができ、また、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側から待機位置に至る過程においてシャッター50を前方移動させてその開閉部50dによって取出口16を開放することができる。要するに、永久磁石40dが取出口16の右側を通過するときにはシャッター50によって取出口16は閉塞されていることなるため、取出口16の右側を通過する永久磁石40dの磁力の影響で取出口16に位置する先頭の電子部品EC1の姿勢が乱れること、例えば取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が立ち上がることが防止される。
【0068】
図示を省略したが、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合も、以上と同様の作用が得られる。
【0069】
この第1実施形態のバルクフィーダは、永久磁石40dが上方に移動する過程で長さ向きの電子部品EC1を流入させるための取込口15aと、該取込口15aから収納室14の上方まで延設され、且つ、長さ向きの電子部品EC1を同向きのまま移動させるための供給通路15と、該供給通路15の先端に設けられ、且つ、供給通路15に沿って移動した電子部品EC1を外部に取り出すための上面開口の取出口16とを備えている。つまり、取込口15aから収納室14の上方まで延設された供給通路15の先端に取出口16を設けることによって該供給通路15を極力短くすることができるので、供給通路15内を電子部品EC1が通過する過程で部品詰まりを生じることを防止して取出口16への電子部品EC1の供給を良好に行うことができると共に、バルクフィーダ自体をコンパクトに形成することができる。
【0070】
また、第1実施形態のバルクフィーダは、磁力による吸引を可能とし、且つ、ロータ40の回転時における永久磁石40dの磁力誘導によって変位して取出口16を開閉するためのシャッター50を備えている。つまり、ロータ40の回転時における永久磁石40dの磁力誘導によりシャッター50を変位させることによって、取出口16から電子部品EC1を外部に取り出すときのみに該取出口16を開放することができる。要するに、永久磁石40dが取出口16の右側を通過するときにはシャッター50によって該取出口16を閉塞することができるので、取出口16の右側を通過する永久磁石40dの磁力の影響で該取出口16に位置する先頭の電子部品EC1の姿勢が乱れること、例えば取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が立ち上がることを防止することができる。しかも、シャッター50は永久磁石40dの磁力誘導によって変位するものであるので、換言すればシャッター50はロータ40と非接触で変位するものであるので、相互接触による摩耗等を両者に生じることも無い。
【0071】
さらに、第1実施形態のバルクフィーダでは、シャッター50は取出口16近傍に前後方向に直線移動可能に配置されていて、該シャッター50は永久磁石40dの磁力誘導によって前方に直線移動するときに取出口16を開放し、且つ、後方に直線移動するときに取出口16を閉塞するようになっている。つまり、ロータ40の回転時に永久磁石40dがシャッター50から離れる過程とシャッター50に近づく過程において、該永久磁石40dの磁力誘導による取出口16の開閉を良好に行うことができる。
【0072】
これら作用,効果は、右板13の案内溝13b(図5(A)参照)を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝13bに置換した場合でも同様に得られることは言うまでもない。
【0073】
[第2実施形態]
図19及び図20は本発明の第2実施形態を示す。図19は図16対応の部分拡大図、図20は図16に示したバルクフィーダの動作説明図である。第2実施形態のバルクフィーダが第1実施形態のバルクフィーダと異なるところは、シャッター50の代わりにシャッター51を用いた点と、該シャッター51に合わせて中央板12のシャッター配置凹部12dを形状を変更した点にある。他の構成は第1実施形態のバルクフィーダと同じであるので同一符号を用いてその説明を省略する。
【0074】
シャッター51は、図19に示すように、右側に頂点を有する略三角形状の本体51aと、本体51aの後側右辺に設けられた台形状の開閉部51bと、本体51aの略中央に設けられた軸支孔51cとを有している。このシャッター51はロータ40の永久磁石40dの磁力による吸引が可能であり、具体的には強磁性を示す鉄やニッケル等の材料から形成されている。勿論、永久磁石40dの磁力による吸引が可能であれば、強磁性を示す母材の表面全体に強磁性を示す層をメッキ等によって形成したものや、プラスチック製の母材の表面全体に強磁性を示す層をメッキ等によって形成したもの等を、シャッター51として用いることもできる。また、シャッター51の厚さは、中央板12のシャッター配置凹部12dの深さよりも小さいか或いは該深さと一致している。さらに、開閉部51bの左右寸法は、取出口16の左右寸法よりも大きい。さらに、本体51aの前側右辺と後側右辺とが成す角度は約150度である。
【0075】
因みに、中央板12のシャッター配置凹部12dは、第1実施形態のシャッター配置凹部12cよりも上面視形状が大きく、後述するシャッター51の回転を許容できるようになっている。また、シャッター配置凹部12dの円面の略中央にはネジ穴12d1が設けられている。
【0076】
前記シャッター51は、図19に示すように、下端にネジ部を有する支持軸SSを軸支孔51cに挿入し、且つ、そのネジ部をシャッター配置凹部12dのネジ穴12d1にねじ込むことよって、ケース10に配置されている。詳しくは、シャッター51の本体51aは、その後側右辺をシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接した位置とその前側右辺をシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接した位置(図20参照)とで規定される角度範囲(約30度)にて、シャッター配置凹部12d内で回転することができる。また、シャッター51の開閉部51bは、本体51aは後側右辺がシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接した状態で取出口形成凹部13c内に入り込むことができ、且つ、前側右辺がシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接した状態で取出口形成凹部13cからシャッター配置凹部12d内に退避することができる。因みに、取出口閉塞状態を示す図19においては、シャッター51の本体51aは中央板12のシャッター配置凹部12d内に位置していて後側右辺をシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接し、また、開閉部51bは右板13の取出口形成凹部13c内に位置していて取出口16を閉塞している。
【0077】
第1実施形態のバルクフィーダと同様に、ロータ40を反時計回り方向に数回転させて供給通路15及び取出口16への電子部品EC1の初期供給が終わった後は、図20に示すように、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側を通り過ぎた位置(待機位置)で該ロータ40を停止させる。
【0078】
ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側から待機位置に至る過程では、図20及び図19に示すように、シャッター51に及ぶ永久磁石40dの磁力によって該シャッター51の本体51aの前側部分が永久磁石40dに吸引され図20において時計回り方向に回転する。そして、時計回り方向に回転するシャッター51は、前側右辺がシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接したところで停止する。つまり、永久磁石40dの磁力誘導によるシャッター51の時計回り方向の回転によって、該シャッター51の開閉部51dが取出口形成凹部13cからシャッター配置凹部12d内に退避して取出口16が開放される。
【0079】
また、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転するときに、該ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側後方から取出口16の右側に至る過程では、図19及び図20に示すように、シャッター51に及ぶ永久磁石40dの磁力によって図20の位置にあるシャッター51の本体51aの後側部分が永久磁石40dに吸引されて図19において反時計回り方向に回転する。そして、反時計回り方向に回転するシャッター51は、後側右辺がシャッター配置凹部12dの右面(右板13の左面)に当接したところで停止する。つまり、永久磁石40dの磁力誘導によるシャッター51の反時計回り方向の回転によって、該シャッター51の開閉部51dがシャッター配置凹部12d内に入り込んで取出口16が閉塞される。
【0080】
即ち、待機位置にあるロータ40を反時計回り方向に所定角度回転するときには、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側後方から取出口16の右側に至る過程においてシャッター51を反時計回り方向に回転させてその開閉部51dによって取出口16を閉塞することができ、また、ロータ40の永久磁石40dが取出口16の右側から待機位置に至る過程においてシャッター51を時計回り方向に回転させてその開閉部51dによって取出口16を開放することができる。要するに、永久磁石40dが取出口16の右側を通過するときにはシャッター51によって取出口16は閉塞されていることなるため、取出口16の右側を通過する永久磁石40dの磁力の影響で取出口16に位置する先頭の電子部品EC1の姿勢が乱れること、例えば取出口16に位置する先頭の電子部品EC1が立ち上がることが防止される。
【0081】
この第2実施形態のバルクフィーダでは、シャッター51は取出口16近傍に回転可能に配置されていて、該シャッター51は永久磁石40dの磁力誘導によって所定方向に回転するときに取出口16を開放し、且つ、逆方向に回転するときに取出口16を閉塞するようになっている。つまり、ロータ40の回転時に永久磁石40dがシャッター51から離れる過程とシャッター51に近づく過程において、該永久磁石40dの磁力誘導による取出口16の開閉を良好に行うことができる。他の作用,効果は第1実施形態のバルクフィーダで得られる作用,効果と同じである。
【0082】
[他の実施形態]
(1)前述の第1,第2実施形態では、ケース10の右板13の左面に下から上に向かって約180度の角度範囲で案内溝13bを形成したものを示したが、該案内溝13bの角度範囲は多少増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用,効果を得ることができる。同様に、約30度の角度範囲で供給通路15を形成したものを示したが、該供給通路15の角度範囲は取出口16の位置を変えずに多少増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用,効果を得ることができる。
【0083】
(2)前述の第1,第2実施形態では、ロータ40に計8個の永久磁石40dを45度間隔で設けたものを示したが、該永久磁石40dの数はロータ40の回転速度に応じて増減しても構わず、増減した場合でも前記同様の作用効果を得ることができる。例えば、ロータ40の回転速度が1/2の場合には永久磁石40dの数を16個としてこれらを22.5度間隔で配置すれば良く、また、ロータ40の回転速度が8/1の場合には永久磁石40dの数を1個とすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、バルクフィーダの左面図,右面図及び上面図である。
【図2】図1に示したバルクフィーダで供給される電子部品の斜視図及び該バルクフィーダで供給可能な電子部品の斜視図である。
【図3】図1に示したケースを構成する左板の左面図,中央板の左面図及び右板の左面図である。
【図4】図3(B)の部分拡大上面図である。
【図5】図3(C)の部分拡大断面図,該案内溝の変形例を示す部分拡大断面図及び図2(B)及び図2(C)に示した電子部品を供給対象とする場合の案内溝を示す部分拡大断面図である。
【図6】図3(C)の部分拡大上面図である。
【図7】図3(C)の部分拡大断面図及び該案内溝を図5(B)〜図5(D)に示した案内溝に置換した構造を示す部分拡大断面図である。
【図8】図1に示したロータの左面図,上面図及び図8(A)のS3−S3線に沿う断面図である。
【図9】右板の案内溝とロータの永久磁石との位置関係を示す詳細図である。
【図10】図1(C)に示したシャッターの拡大上面図である。
【図11】図1(C)の部分拡大図である。
【図12】図1(C)のS1−S1線に沿う拡大断面図である。
【図13】図1(C)のS2−S2線に沿う拡大断面図である。
【図14】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図15】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図16】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図17】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図18】図1に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【図19】本発明の第2実施形態を示す、図16対応の部分拡大図である。
【図20】図19に示したバルクフィーダの動作説明図である。
【符号の説明】
【0085】
10…ケース、11…左板、12…中央板、12d,12d…シャッター配置凹部、13…右板、13b…案内溝、13c…取出口形成凹部、13d…取込口形成部材、14…収納室、15…供給通路、15a…取込口、16…取出口、20…支軸、30…軸受、40…ロータ、40d…永久磁石、50,51…シャッター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ状態の電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダであって、
磁力による吸引を可能とした多数の電子部品をバラ状態で収納するための収納室と、
少なくとも1つの永久磁石を有し、且つ、永久磁石の磁力が収納室内の電子部品に及ぶように該収納室の一側面の外側に回転自在に配置されたロータと、
収納室内に設けられ、且つ、ロータの回転に伴って永久磁石が上方に移動する過程で所定向きの電子部品を流入させるための取込口と、
取込口から収納室の上方まで延設され、且つ、所定向きの電子部品を同向きのまま移動させるための供給通路と、
供給通路の先端に設けられ、且つ、供給通路に沿って移動した電子部品を外部に取り出すための上面開口の取出口と、
磁力による吸引を可能とし、且つ、ロータ回転時における永久磁石の磁力誘導によって変位して取出口を開閉するためのシャッターと、を備える。
【請求項2】
請求項1に記載のバルクフィーダにおいて、
シャッターは取出口近傍に変位可能に配置されていて、該シャッターは永久磁石の磁力誘導によって所定方向に変位するときに取出口を開放し、且つ、逆方向に変位するときに取出口を閉塞する。
【請求項3】
請求項2に記載のバルクフィーダにおいて、
シャッターは直線移動を可能としており、永久磁石の磁力誘導によって所定方向に直線移動するときに取出口を開放し、且つ、逆方向に直線移動するときに取出口を閉塞する。
【請求項4】
請求項2に記載のバルクフィーダにおいて、
シャッターは軸支部を中心とした回転を可能としており、永久磁石の磁力誘導によって所定方向に回転するときに取出口を開放し、且つ、逆方向に回転するときに取出口を閉塞する。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2010−143729(P2010−143729A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323899(P2008−323899)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】