説明

バルブ上の流体付勢される作動駆動機構

特に遮断バルブ、安全バルブ、あるいは調節バルブ等のバルブ上の流体付勢される作動駆動機構(1)が制御バルブを備えた基礎ユニット(2)と互いに対向して配置され前記制御バルブを介して付勢可能な2台のリニアアクチュエータ(6,7)と両方のリニアアクチュエータの間に配置されるとともにそれら2台のリニアアクチュエータのスライダ(81)を互いに連結する機械式変換器(5)を含み、前記機械的変換器の出力がバルブの入力と結合される。前記作動駆動機構は1個の機能ユニットに組み合わされた基礎ユニットと両方のリニアアクチュエータと機械式変換器の形式の個別の構成要素からモジュラー方式で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に遮断バルブ、安全バルブ、あるいは調節バルブ等のバルブ上の流体付勢される作動駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
実用上において多様なバルブ作動機構が知られるとともに使用されている。広範に使用されている電動式のバルブ作動駆動機構の他に、特に流体付勢されるバルブ作動駆動機構も知られている(例えば欧州特許第0665373号B1明細書、欧州特許第1418343号B1明細書、欧州特許第1593893号B1明細書、および欧州特許出願公開第2101061号A1明細書参照)。この種の流体付勢されるバルブ作動駆動機構は、特に液圧あるいは気圧付勢されるとともにそれのスライダが直接あるいは機械変換要素を介してバルブの入力と結合されることが可能なリニアアクチュエータの他に、制御バルブおよび/またはその他の流体式の制御装置を有する基礎ユニットを含むことが可能である。
【0003】
ドイツ国実用新案第9406760号U1明細書には特に船舶構造におけるバルブ用の駆動ユニットが開示されている。それによれば電気モータとその電気モータによって駆動されるポンプと制御要素と液圧タンクを含んだハウジングが設けられる。そのハウジングは歯付きリッジとシャフトを有するピストンを含んだ旋回駆動機構と結合される。
【0004】
米国特許第4647003号A明細書により、遮断バルブの弁の作動装置が開示されている。この作動装置はハウジングとその中に回転可能に取り付けられ弁の回転軸と結合可能なシャフトならびにそれに従属するピニオンを含み、そのピニオンに気圧シリンダとして形成された少なくとも1つのリニアアクチュエータのギアラックが噛合する。必要に応じて1体あるいは2体の気圧シリンダをハウジング上に取り付けることができる。作動装置に圧縮空気を供給するために、対応する導管を接続することができる適宜な接続口がハウジング上およびリニアアクチュエータのシリンダ上に設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、特に高い信頼性および長い寿命、低い保守費用および高い操作性、高い出力密度と低い製造コストおよび運用コスト等の広範な用途に対して極めて重要な特性を備えることによって極めて実用性に優れたものとなる流体付勢されるバルブ作動駆動機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、請求項1に定義されたバルブ上の流体付勢される作動駆動機構によって解決される。この点に関して本発明に係る流体付勢されるバルブ作動駆動機構は特に、そのバルブ作動駆動機構が互いに対向する2台のリニアアクチュエータとそれらの間に配置されるとともにそれら2台のリニアアクチュエータのスライダを互いに連結する機械式変換器を含み、前記機械的変換器の出力がバルブの入力と結合されることを特徴とする。その際バルブ作動駆動機構は、基礎ユニットと両方のリニアアクチュエータと機械式変換器の形式の1つの機能ユニットに組み立てられた個々の構成要素から流体式駆動システムとしてモジュラー式に構成される。この方式によって特に極めて小型かつ高出力のバルブ上の流体駆動システムが提供され、これは1つの電気入力とバルブの入力に作用する機械式の出力のみを有する閉式のシステムとして構成し得るとともに、その結果以前は電気式のバルブ駆動機構によってのみ可能であった程の保守および操作容易性を達成する。
【0007】
前述した構成要素から閉式で小型の流体式駆動システムへの組み立ては特に、両方のリニアアクチュエータを機械式変換器上にフランジ付けし、他方でその機械式変換器をフランジ結合によって基礎ユニットと(あるいは場合によってその基礎ユニットと結合された緊急操作ブロックと)結合することによって実現することができる。このことによって、(本発明において重要なものであるさらに別の特徴に従って)基礎ユニットとアクチュエータ、さらに場合によって機械式変換器の間の全ての流体結合が該当する構成要素内に延在し、従って露出した流体導管が全く存在しないことが可能になる。その際前記の流体結合は特にそれらが延在する前記構成要素間の分離面の領域に自立閉鎖式の遮断装置を具備することができ、それによって特に保守の目的のために個々の構想要素を取り外した際に前記分離面に沿った圧媒の漏出あるいは不要な汚染物の侵入が防止される。その際遮断装置の領域内に、その遮断装置に内蔵するかあるいはその遮断装置と共に1つの構成ユニットに組成して、(例えば泥炭繊維の形式の)フィルタ要素を設けることができる。上述した本発明に係るバルブ作動駆動機構の構造的な追加構成を成す全ての技術的特徴が、本発明に係る液圧式のバルブ作動駆動機構において極めて効果的なものであることが判明している。このことは特に、流体付勢されるバルブ作動駆動機構の使用者にとって保守および維持の観点において電動式のバルブ作動駆動機構と全く同等であると同時に、流体付勢されるものによれば電動式のバルブ作動駆動機構に比べて高い出力密度と極めて小型の構造、信頼性、ならびに例えば爆発防止に対しても必要に応じて極めて強力な安全機能が実現される等の独自の利点が得られ、特に最後の点は流体エネルギーを蓄積する可能性によって達成されるものである。
【0008】
本発明の枠内において本発明に係る流体付勢されるバルブ作動駆動機構の基礎ユニットが圧媒供給装置を含むことによって、圧媒供給が分散式、すなわちいずれも1つのみのバルブ作動駆動機構に対応するように組織される。本発明に係り液圧付勢されるバルブ作動駆動機構の場合その種の圧媒供給装置がタンクから供給を受ける電動モータ駆動式のポンプを備えた液圧装置を含むことが極めて好適である。一方本発明に係り気圧付勢されるバルブ作動駆動機構の場合は、前記圧媒供給装置が電気モータによって駆動され周囲媒体を(好適にはフィルタシステムを介して)吸引する気圧ポンプを含むことが極めて好適である。本発明に係り流体付勢されるバルブ作動駆動機構が前述したような液圧式作動駆動機構として構成される場合、さらに別の好適な追加構成に従って流体システムにカートリッジから最初に作動液を充填するために適していて特に基礎ユニット上に配置される充填接続口を備えることができる。そのことによって、使用者がいずれかの形態で作動液と接触することなく、本発明に係り液圧動作するバルブ作動駆動機構を使用者が始動することが可能になる。このことも、その動作特性の観点において電動式バルブ作動駆動機構を上回る(上述参照)液圧付勢されるバルブ作動駆動機構を使用者の側において清潔性と作動液との接触の危険性の最小化が重要視される使用形態においても適用し得るようにすることに寄与する。
【0009】
本発明を適用することによって従来流体式バルブ駆動機構によって達成可能であったものと異なり、完全に使用可能なバルブ駆動が達成され、その始動も使用者あるいは操作者によって問題なく可能となり、しかも出力的に同等な流体式バルブ駆動機構を従来は不可能であった低い稼働コストで提供することが可能になる。その限りにおいて本発明の適用において採用されるモジュール方式が個別化され各時点の要求性能に対して独自に適合するバルブ駆動機構を極めて競争力のあるコストで提供することを可能にするために重要な役割を果たし、その際変換器および両方のリニアアクチュエータをその寸法に関して個別に変更し得るようにすることのみでなく、詳しく後述するように機能的に異なったリニアアクチュエータと機械式変換器を任意に組み合わせる可能性も得られる。従って前記の機械式変換器は、例えばバルブが回転可能な遮断要素を備えその位置がバルブ作動駆動機構によって変更可能である場合に両方のリニアアクチュエータのスライダの直線動作を回転動作に変換することができる。他方の別の適用形態に対して、同じリニアアクチュエータと直線出力を有する機械式変換器を1つの機能ユニットに組み合わせることも可能である。同様なことが両方のリニアアクチュエータにも該当する。ここでも特に、各時点の適用方式に応じて、気圧式あるいは液圧式のリニアアクチュエータを採用することができ、その際両方のグループの中でも多様な実施形態を使用することが可能で、例えば気圧式原理の場合従来型の気圧式アクチュエータ、制御空気タンク付のバネ式アクチュエータ、気圧バイアスあるいは圧媒貯蔵器を伴ったバネ式アクチュエータ等を使用することができる。
【0010】
上記の種類のバルブ作動駆動機構において典型的に設けられる流体制御装置と共に電気流体信号変換器が共働作用することができ、その電気流体信号変換器は特に基礎ユニットの手前に前置することができるとともに比例的な出力動作を有することができる。電気流体信号変換器と結合された信号入力上にさらに外部電気制御ユニットを接続することができ、その制御ユニットが入力手段、設定値入力、電子制御装置、通信ユニット、信号出力および/または信号発生器を含むことができる。閉式の制御系のため、バルブ上に設けられたセンサの測定値を電気制御ユニットにフィードバックすることができる。
【0011】
本発明の好適な追加構成によれば、両方のリニアアクチュエータのうち少なくとも一方、特に両方のリニアアクチュエータが両側で流体付勢されるアクチュエータとして構成され、その際両方の作動空間が常に圧媒供給源に結合される。このことは特に気圧式システムの場合に極めて好適である。このため、少なくとも1体の両側で流体付勢されるリニアアクチュエータの両方の作動空間が直接圧媒供給源に結合されてそれによって付勢され、位置調節の目的すなわち該当するリニアアクチュエータのスライダの位置変更の目的のため両方の作動空間のうちの一方が的を絞って空気抜きされると、該当するリニアアクチュエータのスライダがいずれの稼働状態においても最大の剛性をもって固定され、それが極めて良好な制御性を可能にする。さらにその種の構造によって、周囲環境空気が該当するリニアアクチュエータ内に決して吸入されないことが保証され、それによって汚染の侵入が防止されて寿命が延長する。この追加構成のさらに別の利点は、少なくとも1体の両側で作用するリニアアクチュエータ、さらに好適には双方の両側で作用するリニアアクチュエータが唯1つの電気流体変換器によって制御可能であることから、極めて低コストかつ簡便に取り扱い可能な構造が達成される点にある。上記の全ての利点が、特に本発明に係る気圧式のバルブ作動駆動機構においても極めて実用的に重要である。このシステムの高い耐故障安全性のため、圧媒供給の故障に際してバルブを少なくとも所与の安全位置に移動させ得るようにするために前述したように流体エネルギーを(特に外部の)蓄圧器内に蓄積することが可能であるだけではなく、むしろ必要に応じて追加的に両方のリニアアクチュエータのうちの少なくとも一方の中に(あるいは場合によって特に該当するリニアアクチュエータ上へのバネモジュールのフランジ付けによって当該リニアアクチュエータを内包するモジュールの中に)機械式の蓄圧バネを内蔵することも可能である。その種の機械式蓄圧バネは流体圧力によって予加圧しその予加圧された状態でロックすることが極めて好適であり、従ってこの機械式の蓄圧バネの応力に対抗して恒久的に作用しなければならなくなるような状況で該当するリニアアクチュエータのスライダを常に付勢することが無いようにする。この場合前記機械式の蓄圧バネは、ロック解除機構が付勢され前記蓄圧バネをロックしているブロック部材が除去された場合にのみ該当するリニアアクチュエータのスライダを付勢する。この種の通常稼働時はブロックによってロックされ非常時にのみブロック部材の除去によって解放される機械式の蓄圧バネによって、バルブ作動駆動機構の高い信頼性に対してさらに経済性、小型化、ならびに作動動作性等の他の特徴が組み合わされる。
【0012】
本発明のその他の好適な追加構成は、従属請求項によって定義されるとともに、以下に詳細に記述する本発明の好適な実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るバルブ作動駆動機構を上方から示した立体図である。
【図2】図1のバルブ作動駆動機構を下方から示した立体図である。
【図3】図1および図2のバルブ作動駆動機構を上方から示した平面図である。
【図4】図1ないし図3のバルブ作動駆動機構を追加的に結合された取り付け部品を伴って図3と同様の方向で示した平面図である。
【図5】図4のバルブ作動駆動機構を示した側面図である。
【図6】図1ないし図5のバルブ作動駆動機構の機械式変換器を上方から示した立体図である。
【図7】図6の機械式変換器を示した側面図である。
【図8】リニアアクチュエータがフランジ付けされた図7の機械式変換器を示した水平方向の断面図である。
【図9】図4および図5のバルブ作動駆動機構の充填カートリッジを示した詳細図である。
【図10】図1ないし図5のバルブ作動駆動機構において示されているリニアアクチュエータに代えて選択的に使用可能なものであって1つのリニアアクチュエータとフランジ付けされた作動液貯蔵器を含んだモジュールを示した断面図である。
【図11】図1ないし図5のバルブ作動駆動機構において任意に代替的に使用可能なバネ式アクチュエータの形式のリニアアクチュエータを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1ないし図3に示されている特に遮断バルブ、安全バルブ、あるいは調節バルブ等のバルブを作動するために機能する流体付勢、すなわちここでは液圧付勢される作動駆動機構1は、主要構成要素として圧媒供給ユニット3を内蔵した基礎ユニット2と緊急操作ブロック4とその上にフランジ付けされた機械式変換器5と第1のリニアアクチュエータ6および第2のリニアアクチュエータ7を含んでいる。その際圧媒供給ユニット3はポンプブロック8と電気モータ9とタンク10を含んだ液圧装置11として構成される。基礎ユニット2は、前記ポンプブロック8と直接的に結合された基礎ブロック12内に配置された液圧制御機構の所要の制御バルブを含んでおり;それに関して基礎ユニット2の基礎ブロック12から突立した該当するマグネットバルブのマグネット要素13が図示されている。爆発を防止するようにバルブ作動駆動機構を構成するために、内蔵された圧媒供給ユニット3を含めた基礎ユニット2と電気および電子構成要素14を収容する耐圧性のカプセルが設けられ、そのうちカプセル下部材15(のみ)が図示されているが、付属するカプセル蓋部材は図示されていない。カプセル下部材15は基礎ユニット2と緊急操作ブロック4の間に固定される。電源線、信号線および制御線に対して公知の形態で形成された爆発防止式構成が設けられる。さらに、基礎ブロック12を緊急操作ブロック4と結合する液圧線内に火炎防止装置が配置される。
【0015】
緊急操作ブロック4上には外部作動液貯蔵器17(図4および図5参照)のための接続口16が設けられ、これは通常の制御機構の故障の際のバルブ作動駆動機構の緊急操作用に設定および設計されたものである。緊急操作ブロック4の内部には、さらに別のバルブ作動駆動機構の緊急操作のために機能する特に緊急バルブ等の要素が設けられる。その緊急バルブを付勢するために2つの装置、すなわち一方でスイッチ18と他方でレバー19が機能する。スイッチ18によって、例えば通常制御機構の故障時の緊急バルブの電気付勢が可能になる。電源が遮断され従ってスイッチ18を使用した緊急バルブの付勢が不可能になった場合も、純粋に機械式のレバー19を使用した緊急バルブの付勢が必ず維持される。
【0016】
機械式変換器5は変換器ブロック20として形成され付勢するバルブの直下に配置されたケーシングを含み、そのため変換器ブロック20がその下面に固定ネジのためのネジ穴群21を有する。変換器ブロックの下面にはさらにバルブのシャフトに作用するバルブ作動駆動機構の機械出力23が配置される。この機械出力は本実施例において内側四角形部22を有する。必要な回転トルクを確実にバルブの入力に伝導するための別の出力の実施形態も知られていて実用上使用されており、例えばフェザーキーによるシャフト結合が挙げられる。機械式変換器5の内部において、互いに対向して配置され前記機械式変換器5上にフランジ付けされた両方のリニアアクチュエータ6および7のスライダ81の直線動作が出力23の回転動作に変換される。このことは、リニアアクチュエータ6および7のスライダ81を形成するピストン24および25に対して平行かつ直線的に摺動可能なギアラック26が機械出力23と回転ずれしないように固定的に結合されたピニオン26と噛合することによって達成される。その際ギアラック26はいずれも一端がそのギアラックと固定的に結合された2体のシリンダ形状の押圧および誘導部材73をさらに備えるスライダ72の一部であり、前記押圧および誘導部材73はいずれも従属するガイドブシュ74内に摺動可能に挿入されるとともに端面側でそれらに接合するリニアアクチュエータ6あるいは7のピストン24あるいは25に作用する。
【0017】
変換器ブロック20の上面には球形覗きレンズ28を備えた覗きガラス29によって被覆された制御ボックス30が取り付けられる。前記制御ボックスの内部には出力23と回転ずれしないように固定的に結合された光学式の位置表示部31が球形覗きレンズ28によって内側に突出し、従って全方向から読み取り可能な位置表示装置32が設置されている。加えて、光学式の位置表示部の下方に角度発信機33が配置され、その信号が電子制御機構にフィードバックされ、また同様に制御機構に接続された最終位置照会用の2個のセンサ34が配置され、その際それら両方の最終位置はピン35によって定義することができ、それが出力23と回転ずれしないように固定的に結合された円盤37内の格子36内に挿入可能になっている。
【0018】
リニアアクチュエータ6はシリンダ38を備えていてその中にピストン24が気密に挿入され;同様にリニアアクチュエータ7がシリンダ39を備えていてその中にピストン25が気密に挿入される。両方のシリンダ38および39は端面側でいずれも蓋部材40によって遮蔽され、その蓋部材がいずれも該当するシリンダおよびその中に挿入されたピストン24あるいは25と共に液圧作動空間41を仕切っていて、それに対応する液圧導管42が接続する。両リニアアクチュエータの其々が液圧式の最終位置減衰装置を備えている。そのため、該当する作動空間41の内部の付属する蓋部材40の近くにいずれも中央孔部44とオーバフロー管45を備えた円盤43が配置される。該当するピストン24あるいは25上の端面側にそれぞれタップ46が配置され、それは、ピストンが円盤43に接近した際に多少の遊び(環状間隙)をもって孔部44内に進入し、それによって作動空間41から接続空間47を介して液圧導管42内への作動液のさらなる流入が抑制され、その方式でピストンのさらなる動作が減衰される。円盤43は補完的にピストンのストッパを形成し、そのため該当する作動空間41内における正確な位置が調整ネジ48によって調節可能になっている。
【0019】
バルブ作動駆動機構1は、前述した1個の機能ユニットに組み合わされた内蔵の圧媒供給ユニット3を含めた基礎ユニット2と緊急操作ブロック4と機械式変換器5と両方のリニアアクチュエータ6および7の形式の個別の構成要素からモジュラー方式で形成される。そのため、前記の個別構成要素はいずれも相互に対で適合するフランジ面を介して互いに結合される。その際、内蔵の圧媒供給ユニット3を含めた基礎ユニット2と緊急操作ブロック4とリニアアクチュエータ6および7の全てを相互に結合する液圧導管の形式の流体結合が該当する各構成要素の内部を延在し、その際両方のリニアアクチュエータ6および7の液圧接続は緊急操作ブロック4上で変換器ブロック20を貫通して延在する液圧導管を介して形成される。従ってこの方式のためいかなる場合でも露出した流体導管が存在しないことが明らかである。従って小型かつ閉式で電気入力とバルブの入力上に作用する機械出力を有する流体式の駆動システムの形式のバルブ作動駆動機構が形成される。
【0020】
前述した個々の構成要素を液圧式に相互に結合する流体結合は、それらが延在する個々の構成要素間の分離面の領域内に自律的に閉鎖する遮断装置49を具備する。その遮断装置は該当する両方の構成要素が完全に取り付けられた際に初めて開き、逆にバルブ作動駆動機構を分解する際に該当する構成要素が分離されると自律的に閉じる。従って図示されている機械式変換器はリニアアクチュエータ6および7の接続面上にいずれも遮断装置49を備えた3つの作動液用接続部、すなわち作動圧用、タンク用、および貯蔵器用の接続部を有し、その際貯蔵器接続部は特定のバルブ作動駆動機構の構成において構造的に付属した液圧貯蔵器を備えたリニアアクチュエータを含んだモジュール(後述参照)が使用される場合にのみ機能する。また、図示された機械式変換器5は緊急操作ブロック4に対する接続面上に遮断装置49を備えた4個の作動液用接続部、すなわち両方のリニアアクチュエータ用の2個の接続部とタンクおよび貯蔵器用の接続部を有する。遮断装置にはいずれも構造的にポット83内に収容されたフィルタの形式のフィルタ要素82が設置される。
【0021】
バルブ作動駆動機構は流体システムへの作動液の最初の充填のために(少なくとも)1つのカートリッジを具備する。そのため、緊急操作ブロック4上に充填接続部50が設けられる。その充填接続部(図9参照)は中空針として形成された刺し込みピン51であり、それが充填接続部50内にねじ込まれているカートリッジ53の密封シール52を開放する。カートリッジ53あるいは流体システムを充填するために必要な最後のカートリッジが充填接続部50上に滞留し;それがその接続部を閉鎖すると同時に補償容積を提供する。
【0022】
前述した外部作動液貯蔵器17に代えてあるいはそれに追加して両方のリニアアクチュエータ6および7の一方の中に構造的に内蔵された作動液貯蔵器を設けることもできる。同様なことがリニアアクチュエータと作動液貯蔵器の1つの構造ユニット、すなわちモジュールへの結合にも該当する。そのような可能性が図10に示されており、それには該当するモジュールの対角線に沿った断面が示されている。それに従ってリニアアクチュエータ6の端面側に作動液貯蔵モジュール54がフランジ付けされる。これは、シリンダ部分55とそれを端面側で閉鎖する蓋部材56と前記シリンダ部分55を他方の端部で閉鎖する取り付けおよび連結板57を含む。蓋部材56上にはガイドピン58が取り付けられ、その上に一束の円板バネ59が設置され、それが一方でガイドピン58の鍔部60上で支承されるとともに他方でシリンダ部分55内に摺動可能に挿入されたピストン61上に作用する。その際ピストン61とシリンダ部分55と取り付けおよび連結板57が貯蔵空間62を仕切り、それが前記取り付けおよび連結板57内を延在する液圧導管63を介して貯蔵側の接続部64と結合される。これも、対応するアクチュエータ側の接続部65と同様に自律的に閉鎖する遮断装置49を具備する。同様なことがバネ室68に接続するタンク導管67の接続部66に対しても該当し、貯蔵側の接続部66が対応するアクチュエータ側の接続部69と共働作用する。図10には、さらにリニアアクチュエータ6のシリンダ38を連通するタンク作動液導管75と同様にリニアアクチュエータ6のシリンダ38を連通する貯蔵作動液導管76が示されており、それらはそれぞれ該当する接続部77あるいは78で終止していて、それらの接続部は機械式変換器5の対応する接続部79および80と共働作用する。
【0023】
貯蔵空間62内に収容された作動液は緊急操作ブロック4のバルブの付勢によるバルブ作動駆動機構の緊急操作に際して両方のリニアアクチュエータ6および7のうちの一方に接続され、その際安全位置のためにバルブを開放すべきかあるいは閉鎖すべきかには依存しない。さらに、同様なことが前述した外部作動液貯蔵器17の使用にも該当する。機械的蓄圧バネが機械式変換器5のスライダ72を恒常的に付勢せず、また貯蔵空間62もリニアアクチュエータ6および7のうちの一方の液圧作動空間41を恒常的に付勢しないようにし、むしろ蓄圧バネ59をロックしている(ここでは液圧式の)ブロックを除去するロック解除を作動(ここでは緊急操作ブロック4のバルブによって実施される)した後にのみ付勢するようにしたことによって、緊急動作時にリニアアクチュエータの全出力がバルブの調節動作のために使用可能になる。従ってリニアアクチュエータを比較的小型に構成することができ、それによってバルブ作動駆動機構の極めて小型の構成が可能になる。両方のリニアアクチュエータのうちの一方の上への1個の作動液貯蔵モジュール54の具備、両方のリニアアクチュエータ上への2個の作動液貯蔵モジュールの具備、および/または1個の外部作動液貯蔵器の具備等の任意かつ必要に応じたバルブ作動駆動機構の構成によって、バルブ作動駆動機構を極めて柔軟に随時の要求仕様、ならびに随時の場所的制約に適合させることができる。
【0024】
さらに、リニアアクチュエータのうちの一方を純粋なバネ式アクチュエータ70として形成することもでき、図11に示されているようにそれが内蔵式の蓄圧バネ71を含むとともにその他の点では前述した作動液貯蔵モジュールと同様に構成される。
【0025】
両方のリニアアクチュエータを機械式変換器5上で機能的に任意に組み合わせ可能であって、前記変換器がそれの両方の接続部のそれぞれの上に流体式のアクチュエータ、機械的に連結されたバネ式アクチュエータ、機械的に分離され流体式の付勢を有するバネ式アクチュエータ、または機械的に分離され流体式の付勢を有するバネ式アクチュエータとならびにそれから独立した追加的な機械的に連結された流体式のアクチュエータを備えることができ、その際全ての場合において流体制御を基礎ユニットによって実行することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に遮断バルブ、安全バルブ、あるいは調節バルブ等のバルブ上の流体付勢される作動駆動機構(1)であって、制御バルブを備えた基礎ユニット(2)と互いに対向して配置され前記制御バルブを介して付勢可能な2台のリニアアクチュエータ(6,7)と両方のリニアアクチュエータの間に配置されるとともにそれら2台のリニアアクチュエータのスライダ(81)を互いに連結する機械式変換器(5)と前記基礎ユニット(2)内に内蔵され電気的に駆動される圧媒供給ユニット(3)を含み、前記機械的変換器の出力がバルブの入力と結合され、前記作動駆動機構は閉式で電気入力とバルブの入力上に作用する機械出力(23)を有する流体式の駆動システムとして具現化されるともに1個の機能ユニットに組み合わされた基礎ユニットと両方のリニアアクチュエータと機械式変換器の形式の個別の構成要素からモジュラー方式で構成され、基礎ユニット(2)とリニアアクチュエータ(6,7)と場合によって機械式変換器(5)の間の全ての流体結合が該当する各構成要素の内部を延在し従っていかなる場合も露出した流体導管が存在しないようにしてなる作動駆動機構。
【請求項2】
圧媒供給装置(3)がタンク(10)から供給を受ける電動モータ(9)駆動式のポンプを備えた液圧装置(11)を含むことを特徴とする請求項1記載の作動駆動機構。
【請求項3】
圧媒供給装置(3)が電気モータによって駆動され好適にはフィルタシステムを介して周囲媒体を吸引する気圧ポンプを含むことを特徴とする請求項1記載の作動駆動機構。
【請求項4】
流体結合はそれらが延在する構成要素間の分離面の領域に自立閉鎖式の遮断装置(49)を具備し、場合によってそれぞれにフィルタ要素(82)を配置することを特徴とする請求項1記載の作動駆動機構。
【請求項5】
両方のリニアアクチュエータ(6,7)を機械式変換器(5)上にフランジ付けし、他方でその機械式変換器をフランジ結合によって基礎ユニット(2)あるいはその基礎ユニット(2)と変換器の間に配置された緊急操作ブロック(4)と結合することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項6】
事前設定されたあるいは柔軟に調節可能な表示手段、制限スイッチ、制限ストッパ、最終位置減衰装置、手動付勢手段、および/または位置センサを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項7】
リニアアクチュエータ(6,7)の少なくとも一方が双方向に作用し両側が流体付勢されるアクチュエータとして具現化され、その際該当するリニアアクチュエータの両方の作動空間が圧力源に接続され圧媒で付勢されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項8】
作動流体として作動液を使用する場合に流体システムにカートリッジ(53)から最初に作動液を充填するために適していて特に基礎ユニット(2)あるいは場合によって設けられる緊急操作ブロック(4)上に配置される自律吸引式の充填装置を備え、その充填装置はカートリッジ接続部の他に追加的な外部の補完充填接続部を必要としないものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項9】
両方のリニアアクチュエータ(6,7;70)の少なくとも一方あるいは両方のリニアアクチュエータ(6,7)の少なくとも一方を含むモジュール内に少なくとも1個の機械式蓄圧バネ(59;71)が内蔵されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項10】
少なくとも1個の機械式蓄圧バネ(59)が該当するリニアアクチュエータのスライダ(81)を常に付勢するのではなくロック解除を操作した後のみに付勢し、そのロック解除によって前記蓄圧バネをロックしているブロックを除外することを特徴とする請求項9記載の作動駆動機構。
【請求項11】
機械式蓄圧バネ(59)は流体によって固定およびブロックされ、その際特に流体によるブロックが所定の障害事象の発生に際して電気的に解除可能であり作動駆動機構が所定の安全位置を保持することを特徴とする請求項9または10記載の作動駆動機構。
【請求項12】
蓄圧バネ(59)を備えた流体式の蓄圧器を使用し、その蓄圧器は蓄圧された状態において圧媒供給ユニット(3)の故障の場合に少なくともバルブの安全位置に到達するために必要な流体エネルギーを不可欠な安全余裕を含めて蓄積することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の作動駆動機構。
【請求項13】
両方のリニアアクチュエータを機械式変換器上で機能的に任意に組み合わせ可能であって、前記変換器がそれの両方の接続部のそれぞれの上に流体式のアクチュエータ、機械的に連結されたバネ式アクチュエータ、機械的に分離され流体式の付勢を有するバネ式アクチュエータ、または機械的に分離され流体式の付勢を有するバネ式アクチュエータとならびにそれから独立した追加的な機械的に連結された流体式のアクチュエータを備えることができ、その際全ての場合において流体制御を基礎ユニットによって実行することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の作動駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−519046(P2013−519046A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551555(P2012−551555)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000527
【国際公開番号】WO2011/095350
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(510135050)ヘルビガー アウトマティジールングステヒニーク ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】