説明

バレニクリンの医薬組成物

本発明は、禁煙を助けるために有用であり、かつ、良好な保存安定性を有する、バレニクリンの新規医薬投与形態に関する。特に、本発明は、それから生成されるところの投与形態が、特定の保存条件下、約4重量%未満のN−ホルミル及びN−メチル分解産物を生成する、バレニクリンの配合品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明は、バレニクリン(varenicline)、神経のニコチン性アセチルコリン特異的受容体部位に結合し、そしてコリン作動性機能の調節に有用である医薬、の新規医薬投与形態に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の式(IA):
【化1】

を有するバレニクリン及び医薬として許容されるその酸付加塩は、その内容を本明細書に援用する、1999年7月15日に公開された国際特許出願WO99/35131号中に開示されている。
バレニクリンは、炎症性腸疾患(非制限的に、潰瘍性結腸炎、壊そ性膿皮症、及びクローン病を含む)、刺激性腸症候群、痙攣性失調症、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、回腸嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知機能不全、高血圧、食欲異常亢進、食欲不振、肥満、不整脈、胃酸過多、潰瘍、クロム親和性細胞腫、進行性核上麻痺、化学物質依存症及び中毒(例えば、ニコチン(及び/又はタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸、オピオイド又はコカインに対する依存症又は中毒)、頭痛、偏頭痛、発作(卒中)、外傷性脳損傷(TBI)、強迫性障害(OCD)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、失読症、精神分裂症、多梗塞性痴呆、老化関連認知低下、癲癇、例えば、小発作不存在癲癇、アルツハイマー型(AD)の老人性痴呆、パーキンソン病(PD)、注意欠陥活動過多障害(ADHD)、及びトゥーレット症候群の治療に有用である。
【0003】
その高い効力により、バレニクリン投与形態は、賦形剤による高い希釈を要求する。この高い希釈は、賦形剤自体又は賦形剤の微量不純物との反応性が特に問題となりうることを意味する。投与形態に適当な安定性を提供することに加えて、賦形剤は、望ましい特徴、例えば、医薬溶解速度の制御、味の悪さのマスキング、並びに投与形態の製造のために適当な物理特性的、例えば、錠剤形成にための圧縮性をも提供しなければならない。医薬溶解の制御された速度を提供するバレニクリン配合品は、その内容を本明細書に援用する、2002年11月4日に出願されたPCT国際出願PCT/IB02/04612中に開示されている。
【0004】
その中で医薬が十分に長い期間にわたり比較的高い状態の純度を保持するバレニクリン配合品が、その投与形態において求められる望ましい特徴を提供しながら、商業的に実行可能であることが必要である。そのような投与形態の製造方法、及びバレニクリン配合品のための賦形剤の好適性を決定するための試験も必要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明の要約
したがって、本発明は、ヒトへの投与に好適なバレニクリン(varenicline)の医薬投与形態であって、以下の:
i.以下の構造:
【化2】

を有する4重量%未満のN−ホルミル・バレニクリン(I);及び
ii.以下の構造:
【化3】

を有する4重量%未満のN−メチル・バレニクリン(II);
を含む、前記医薬投与形態に関する。
【0006】
特に、本発明は、それから製造される投与形態がヒトへの投与に好適であり、かつ、(i)約4重量%未満、好ましくは約2重量%未満、そして最も好ましくは約1重量%未満のN−ホルミル・バレニクリン(I);及び(ii)約4重量%未満、好ましくは約2重量%未満、そして最も好ましくは約1重量%未満のN−メチル・バレニクリン(II)を含むバレニクリンを含むようなバレニクリンの配合品に関する。
【0007】
他の側面においては、本発明は、約40℃及び約75%の相対湿度で約24週間後の保存において、単位投与賦形剤レベルに等価な賦形剤レベル当り約1μg〜約5μgのギ酸(又はその塩の等価なギ酸量)、好ましくは約2μg未満、そしてより好ましくは約1μg未満のギ酸を含み、又は上記量のギ酸を生成する、バレニクリンの安定した医薬製剤及びそのバレニクリン製剤において有用な単一の賦形剤又は賦形剤の組み合わせを含む医薬投与形態に、関する。
【0008】
さらに他の側面においては、本発明は、約40℃及び約75%の相対湿度で約24週間後の保存において、単位投与賦形剤レベルに等価な賦形剤レベル当り約1μg〜約5μgのギ酸(又はその塩の等価なギ酸量)、好ましくは約2μg未満、そしてより好ましくは約1μg未満のギ酸、及び、単位投与賦形剤レベルに等価な賦形剤レベル当り約0.7μg〜約3.3μgのホルムアルデヒド、好ましくは約1.3μg未満のホルムアルデヒド、そしてより好ましくは約0.7μg未満のホルムアルデヒドを含み、又は上記量のギ酸及びホルムアルデヒドを生成する、バレニクリンの安定した医薬製剤及びそのバレニクリン製剤において有用な単一の賦形剤又は賦形剤の組み合わせを含む医薬投与形態に、関する。
【0009】
さらなる側面において、本発明は、投与形態を形成するために有用な活性成分の不在下で、密封されたパッケージ内で、約5〜30週間にわたり、約20℃〜50℃の間の温度で、及び約35%〜約85%の間の相対湿度で、保存されるとき、約5.0μg未満のギ酸(又はその塩の等価なギ酸量)、及び約0.7μg以下のホルムアルデヒド〜約3.3μgのホルムアルデヒドを、当該賦形剤の組み合わせが、含むか又は生成するところのバレニクリンの医薬投与形態に関する。
【0010】
本発明のさらに他の側面は、バレニクリン配合品に使用される賦形剤又は賦形剤の組み合わせの好適性を決定する方法であって、標準又は加速加齢(エージング)条件下バレニクリンの不在下で、当該配合品を加齢した後に形成されるギ酸又はギ酸塩又はホルムアルデヒド又はそれらの組み合わせのレベルを測定するステップを含む前記方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の詳細な説明
本発明のバレニクリン投与形態は、良好な保存安定性を有する。(PCT国際出願PCT/IB02/04612中に開示される還元性炭水化物以外の)一般的賦形剤は、固体状態にあるバレニクリンと反応しないけれども、驚くべきことに、特定の賦形剤だけが、バレニクリンとともに使用されるとき、適当な保存安定性を提供することができることが発見された。2つの特別な化学反応が、バレニクリンの活性を低下させることができる多数の固体投与形態で生じることが発見された。これらの反応の内の第一の反応においては、医薬は、式(I)のN−ホルムアミド付加物を生成するギ酸により攻撃される。特に、錠剤における、固体投与形態におけるN−ホルムアミド付加物の生成は、驚くべきことである。なぜなら、ホルミル基の付加は、検査された賦形剤のいずれかとは直接には生じないようであるからである。しかしながら、上記化合物の有意なレベルが、エージングの間に観察される。ほんの僅かな賦形剤だけが、投与形態の配合において有用でありながら、バレニクリンの適当な安定性を提供することが発見された。
【0012】
式(II)のバレニクリン付加物は、賦形剤の他のセットとの上記化学反応の第二の反応の結果として発見された。この付加物は、ホルムアルデヒドとギ酸の両者が配合物中に存在し、又は投与形態の保存の間に生成されるときにのみ、生成される。特に、錠剤における固体投与形態における式(II)のバレニクリン付加物の生成は、驚くべきことである。なぜなら、メチル化反応は、検査された賦形剤のいずれかとは直接には生じないようであるからである。しかしながら、式(II)の分解物の有意なレベルがエージングの間に観察される。
【0013】
本発明のバレニクリン配合品は、上述のエージング条件下で、重量基準で、約4%未満の式(I)又は式(II)の化合物、好ましくは重量基準で約2%未満の式(I)又は式(II)の化合物、そしてより好ましくは、重量基準で約1%未満の式(I)又は式(II)の化合物を含むか又は生成する。本発明の安定性バレニクリン配合品にために好ましい賦形剤の例は、微晶性セルロース(PH102)、無水ラクトース、マンニトール、リン酸2カルシウム(A−TAB)、粉末リン酸2カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びそれらの組み合わせを含む。商業的に許容される加工及び保存特性を有する医薬として許容されるバレニクリンのいずれも、本発明の医薬配合品のために使用されうる。一般に、バレニクリンのL−酒石酸塩が好ましい。なぜなら、それは、本発明の好ましい賦形剤とともに最も容易に加工されるからである。
【0014】
バレニクリンの製造手順は、その内容を本明細書中に援用する、米国特許第6,410,550号中に記載され、そしてそのラセミ体混合物の分割は、WO01/62736号に記載されている。本発明にしたがえば、バレニクリンの医薬組成物は、単一又は分割投与において1日当り約0.1mgA〜約6mgA(ここで、mgAとは、医薬の遊離塩基形態に基づく活性医薬のmgをいう)、より好ましくは、約0.5〜4mgA/日。そして最も好ましくは、約1〜4mgA/日の範囲の投与量において、望ましくは投与されうる。しかしながら、上記投与量の変化は、処置される患者の体重及び症状に依存して変化が必ず生じるであろう。しかしながら、患者の応答に依存して、上記範囲の下限を下回る投与レベルが適正値よりも良いものであることができ、一方、他の場合には、より高い投与量が、有害な副作用を引き起こすことなく使用されうる。
【0015】
本発明のためには、上記活性成分は、医薬として許容される塩、溶媒和物、及び/又は水和物の形態で、それ自体使用されうる。用語「医薬として許容される塩」とは、無機酸及び有機酸から得られる非毒性の酸付加塩をいう。好適な塩誘導体は、ハライド、チオシアネート、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、リン酸塩、リン酸1水素塩、リン酸2水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、アルカノエート、シクロアルキルアルカノエート、アリールアルコネート、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパルテート、安息香酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、乳酸塩、マレイン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルミテート、ペクチネート、ピクレート、ピバレート、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、カンフォレート、カンフォルスルホネート、ジグルコネート、トリフルオロ酢酸塩、その他を含む。バレニクリンの医薬として許容される形態はいずれも、本発明に関して使用されうるけれども、当該医薬の塩形態を使用することが好ましい。当該医薬の特に好ましい塩形態は、L−酒石酸塩である。
【0016】
本発明においては、いずれの固体投与形態も使用しうる。これらは、非制限的に、即時放出性錠剤及びカプセル、制御放出性(CR)錠剤及びカプセル、速溶解性投与形態、チュワブル投与形態、等を含む。好ましくは、本発明の投与形態は、錠剤の形態にある。
【0017】
即時放出性投与形態は、本分野において知られたいずれかの手段により製造されうる。このような投与形態の製造方法は、湿式又は乾式造粒、エクストルージョン、錠剤形成、及びコーティングを含みうる。本発明の実施に好適な適当な賦形剤の選択を、以下に説明する。
【0018】
同様に、CR投与形態は、本分野において知られた方法のいずれかにより製造されうる。このような手段の例は、その両者の内容を本明細書に援用する、国際特許公開WO02/17918及びWO99/01121中に記載される。このような手段の内の1つは、マトリックスである。特に、バレニクリンのマトリックス錠剤又はマトリックス多粒子が、本発明にしたがって製造されうる。多粒子の場合には、投与形態の最終提示物は、当該粒子をカプセルに添加するか又はサッシェ又は他の上記提示物を提供することにより、作られる。これらのマトリックス投与形態は、伝統的な技術を使用して、例えば、錠剤プレスによる圧縮により又はエクストルージョン/球状化(sperinization)、ロト造粒又は溶融凝結の如きプロセスにより、形成されうる。多粒子は、医薬の拡散を制御するコーティングにより制御放出性医薬デリバリーを提供しうる。このようなコーティングは、それらが特定の時間後又は特定のpHにおいて除去されるように、水及び医薬浸透性を制限し又は溶解度を有しうる。マトリックス投与形態の2つのタイプ:親水性と疎水性が、バレニクリンにとって適当である。親水性マトリックス配合品は、一般に、高分子量水溶解性ポリマーと低分子量水溶解性ポリマーの混合物から成る。特に、これらのマトリックス材料は、異なる分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ−プロピルセルロース(HPC)、ポリアクリレート、アルギネート、キサンタン・ガム、その他の上記ポリマーの組み合わせから成る。特に好ましいポリマーは、HPMCとPEOを含む。特に好ましい配合品は、(Dow Corp.,Midland,MIから入手可能な)商品名K4M MethocelTMの下で市販されるHPMCと(Rhodia Inc.,Cranbury,NJから入手可能な)商品名D−tabTMの下で市販される2塩基性リン酸カルシウムとの混合物から成る。バレニクリンの疎水性マトリックス配合品は、水がバレニクリンと接触する速度を遅くする疎水性材料を使用して調製されうる。特に好ましい疎水性材料は、カルナウバ蝋、ベヘニン酸グリセリル、及びステアリン酸を含む。しかしながら、他の類似のワックス状材料も等価なやり方で機能するであろうことは当業者により理解されるであろう。
【0019】
浸透性投与形態も、バレニクリンのためのCR投与形態として有用である。1つのアプローチは、(「push−pull」システムとしても知られる)2区画システムを含む。例えば、本明細書に援用する米国特許第4,111,202号を参照のこと。push−pullシステムにおいては、医薬又は医薬配合品が第一の区画内に存在し、そして浸透圧を生成するための水溶解性又は水膨潤性補助剤(例えば、塩、糖、膨潤性ポリマー、及びヒドロゲル)が第二の区画内に存在する。この2つの区画は、フレキシブルなパーティションにより互いに分離され、そして硬質の水浸透膜により外部から密封される。第二の区画に侵入する液体は、下にある区画の容量の増加を引き起こし、これは次に、延びるフレキシブル・パーティションに作用して、システムから医薬か区分の内容物を放出する。push−pullシステムの調製は、技術的に複雑である。例えば、水浸透性膜の材料とは異なる材料から成るフレキシブル・パーティションが、投与形態に取り込まれなければならない。さらに、難溶性高投与量の医薬(例えば、200mg投与量を超えるもの)のためには、push−pullシステムは容量が大きくなって、その結果、摂取が難しくなる。
【0020】
パーティションを用いない難溶性医薬のためのpush−pullシステムは、本明細書に援用する、米国特許第4,327,725号に開示される。このシステムの商業的な態様は、GITS(胃腸治療システム)として知られ、そして(両者ともPfizer,Inc.,New York,NYから入手可能な)ProcardiaTMXLとGlucotrolTMXLの如き商品として市販されている。コアは、2つの層からなり:第一の層は医薬を含有し、そして第二の層は浸透圧生成膜を含有する。硬質水浸透性層は、当該コアを取り囲み、そして上記医薬層だけと連絡する通路を含む。浸透圧生成膜は、膨潤性ポリマー又はヒドロゲル(例えば、酸化ポリエチレン)である。当該システム内への液体の吸収は、上記第二層内のヒドロゲルが膨潤することを引き起こし、それにより、上記医薬層の内容物を上記通路を通して推し進める。
【0021】
浸透性錠剤内の医薬をデリバリーするための他のアプローチは、錠剤コアへのガス生成手段の付加である。その内容を本明細書に援用する、米国特許第4,036,228.号と同第4,265,674号は、限定された溶解度の医薬、ガス生成手段(例えば、発泡性カップル)、オスマゲント(osmagent)、及び水和性、可溶化性及び発泡性を有する界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含む単一層のコアを開示する。上記コアを取り囲む硬質水浸透性膜を通して吸収される液体は、当該ガス生成手段がガスを生成することを引き起こし、ガスが、当該膜内のオリフィスを通して当該医薬を放出するために十分な圧力を作り出す。
【0022】
医薬を浸透圧によりデリバリーする他の方法は、単一層の浸透性錠剤の使用を含む。このような錠剤は、本明細書に援用する、G. Santus and R.W. Baker, J. Control. Rel., 199, 35, 1-21中に記載される。他の単一層の浸透性錠剤は、本明細書に援用する、同時係属中の出願PC11850中に記載されている。バレニクリンのための特に好ましい浸透性投与形態は、例えば、米国特許第5,612,059号及び同第5,698,220号中に記載される、AMTシステムの形態にある(S.M. Herbig, J. Control. Rel., 1995, 35, 127-136をも参照のこと)。このようなシステムは、GI系を通じての医薬放出の良好な制御を提供する。本発明においては、好ましい配合品は、当該医薬のL−酒石酸、マンニトール、微晶質セルロース、リン酸2カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムから作られたコアから成る。これらのコアは、直接圧縮、(高又は低せん断湿式造粒機又は流動床造粒機を用いた)湿式造粒、エクストルージョン造粒、ロト造粒又はローラー圧縮により、調製されうる。ローラー圧縮は、(医薬水和物形成を導くことができる水性湿式造粒に反して)医薬の安定性を維持しながら、医薬の分離を防止するその能力に因り、特に好ましい。上記錠剤は、標準的な錠剤プレス(回転式)上で調製されうる。その後、錠剤コアは、パン・コーター(pan coater)を使用してコートされる。このコーティングは、好ましくは、アセトンと水からコートされた酢酸セルロース(CA)とポリエチレン・グリコール(PEG)の混合物から成る。成分の比は、Ca/PEGの組み合わせが、GI管内で所望の速度で細孔を通じて医薬が投与されるような細孔性の半透膜コーティングを作り出すように、選択される。
【0023】
本発明のためのCRシステムは、当該投与量が投与される時と医薬が吸収のために利用可能になる時の間の遅れ時間期間を含みうる。このような遅れは、時間の経過順であるか過多は胃腸管内の位置に関係しうる。これらのシステムは、一旦それらが吸収のために医薬を提供し始めたら、当該速度が先に記載した限界内にある限り、本発明の目的のために有効であろう。特に好ましい遅延放出システムは、腸溶コートされた錠剤又は多粒子である。好ましい腸溶システムは、酢酸セルロース・フタレートの如き材料又は腸溶ポリアクリル樹脂、例えば、(Rohm Pharmaceuticalsから入手可能な)Eudragit商標名の下で市販されたものにより錠剤又は多粒子をコーティングすることにより調製されうる。
【0024】
最終医薬組成物は、単位投与形態(例えば、錠剤、カプセル又はサッシェ)内に加工され、そしてその後、配送のために包装される。加工ステップは、特定の単位投与形態に依存して変化するであろう。例えば、錠剤は、一般に、圧縮により、所望の形状に圧縮され、そしてカプセル又はサッシェは、簡単な充填操作を使用する。当業者は、様々な単位投与形態を製造するために使用される手順を十分に知っている。
【0025】
投与形態の活性ブレンドは、1以上の医薬として許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、活性成分が適用されるところの手段及び目的に依存するであろう。一般に、錠剤配合品は、希釈剤、結合剤(バインダー)、潤滑剤、滑沢剤、崩壊剤、及びそれらの混合物の如き材料を含む。このような賦形剤の多くは当業者に知られているけれども、本発明の基準に適合するものだけが、最も安定なバレニクリン配合品を提供する。
【0026】
所望により、結合剤が添加されうる。好適なバインダーは、セルロース(例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、及びヒドロキシメチルセルロース)、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビア・ガム、ポリエチレン・グリコール、デンプン、天然ガム及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸塩、及びアラビア・ガム)、並びにワックス(蝋)の如き物質を含む。
【0027】
潤滑剤は、典型的には、錠剤及びパンチがダイ内に付着することを防止するために錠剤配合品において使用される。このような潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、グリセリル・モノステアレート、グリセリル・パルミトステアレート、水添植物油、軽鉱油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレン・グリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウム・ステアリル・フマレート、ステアリン酸、タルク、及び亜鉛ステアレートを含む。好ましい重かつ剤は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムは、一般に、約0.25wt%〜約4.0wt%の量で存在する。
【0028】
崩壊剤も、当該投与形態を分解して、当該化合物を放出するために当該組成物に添加される。好適な崩壊剤は、ナトリウム・デンプン・グリコレート、ナトリウム・カルボキシメチル・セルロース、カルシウム・カルボキシメチル・セルロース、クロスカルメロース・ナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチル・セルロース、微晶質セルロース、粉末セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピル・セルロース、カリウム・ポラクリリン(polacrilin potassium)、デンプン、プレゼラチン化デンプン、及びアルギン酸ナトリウムを含む。これらの内で、クロスカルメロース・ナトリウムとナトリウム・デンプン・グリコレートが好ましく、そしてクロスカルメロース・ナトリウムが最も好ましい。クロスカルメロース・ナトリウムは、一般に、約0.5wt%〜約6.0wt%の量で存在する。当該投与形態中に含まれる崩壊剤の量は、分散の特性、(以下に説明する)ポロシゲン(porosigen)の特性、及び選択された崩壊剤の特性を含む幾つかの要因に依存するであろう。一般に、崩壊剤は、当該投与形態の、約1wt%〜約15wt%、好ましくは約1wt%〜約10wt%を占めるであろう。
【0029】
滑沢剤の例は、二酸化珪素、タルク、及びコーンスターチを含む。
【0030】
即時放出性投与形態上のフィルム・コーティングは、飲み込みの容易さ、投与の間の不快な味又は匂いの低減、不透明化剤を使用による改良された光安定性、改良されたエレガンス、高速パッケージグの間の低下された摩擦を提供し、又は不適合な物質の間のバリアをして作用しうる(G. Cole, J. Hogan, and M. Aulton, Pharmaceutical Coating Technology, Taylor and Francis Ltd, Ch 1, 1995)。使用されるとき、セルロース誘導体ポリマーの大部分を含むコーティングは、当該医薬のための優れた化学安定性を提供することが発見された。セルロース誘導体は、セルロースに由来するポリマーである。ポリマーの例は、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、及びナトリウム・カルボキシメチルセルロースを含む。好ましいポリマーは、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースである。本発明のコーティングは、ポリマー、不透明化剤、可塑剤、医薬として許容される希釈剤/増量剤、及び場合により着色料を含む。不透明化剤は、錠剤のコアへのコーティングを通しての光の透過の低下を助ける賦形剤である。不透明化剤の例は、二酸化チタンとタルクを含む。好ましい不透明化剤は、二酸化チタンである。可塑剤は、ポリマーのガラス転移温度を低下させ、それにより典型的には物理特性を改善する材料である。可塑剤の例は、多水酸基のアルコール、例えば、グリセロール及びポリエチレン・グリコール、及び酢酸エステル、例えば、グリセリル・トリアセテート(トリアセチン)、及びクエン酸トリエチルを含む。場合により、本発明の組成物は、着色料を含みうる。このような着色料は、多数の商業的な販売者から入手可能であり、そして当業者に周知である。特に好ましいコーティング配合品は、HPMC、トリアセチン、及び二酸化チタン、又はHPMC、PEG、及び二酸化チタンを含む。
【0031】
医薬組成物は、単位投与量当り約0.1mg〜約10.0mgの活性成分、好ましくは、単位投与量当り約0.2mg〜約5.0mgの活性成分を含む単位投与形態を製造するために使用されうる。錠剤のサイズ(すなわち、単位投与形態)は、典型的には、約100mg〜約600mgの間にある。本発明の医薬組成物は、最も望ましくは、単一又は分割投与において、1日当り約0.01mg〜約1500mg、好ましくは、1日当り約0.1mg〜約300mgの投与量で投与されうる。但し、処置される患者の体重及び症状、並びに特定の投与経路に依存して変化するはずである。
【0032】
あるいは、活性医薬ブレンドは、乾燥充填カプセル(DFC)ともいわれる、ハード・シェル・カプセル内に充填されうる。カプセル配合及び製造方法は、先に報告した錠剤コア配合及び製造方法に類似する。ハード・シェル・カプセルは、ゼラチン及び水、又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース、水、及びゲル化剤(ゲラン・ガム又はカラギーナン)から成るであろう。
【0033】
医薬組成物(又は配合品)は、様々な方法で包装されうる。一般に、配送のための物品は、適当な形態で上記医薬組成物を含む容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、そしてボトル(プラスチックやガラス)、サッシェ、ホイル・ブリスター・パック、等の如き材料を含む。容器は、包装の内容物への不慮のアクセスを防止するためのいたずら防止組み立て物をも含む。さらに、容器は、典型的には、当該容器の内容物を説明するラベルその他の適当な注意書き又は指示書をその表面に備える。
【0034】
本明細書中に説明するバレニクリンを含有する医薬組成物は、とりわけ、炎症性腸疾患(非制限的に、潰瘍性結腸炎、壊そ性膿皮症、及びクローン病を含む)、刺激性腸症候群、痙攣性失調症、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、回腸嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知機能不全、高血圧、食欲異常亢進、食欲不振、肥満、不整脈、胃酸過多、潰瘍、クロム親和性細胞腫、進行性核上麻痺、化学物質依存症及び中毒(例えば、ニコチン(及び/又はタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸、オピオイド又はコカインに対する依存症又は中毒)、頭痛、偏頭痛、発作(卒中)、外傷性脳損傷(TBI)、強迫性障害(OCD)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、失読症、精神分裂症、多梗塞性痴呆、老化関連認知低下、癲癇、例えば、小発作不存在癲癇、アルツハイマー型(AD)の老人性痴呆、パーキンソン病(PD)、注意欠陥活動過多障害(ADHD)、及びトゥーレット症候群の治療又は予防に有用である。
【0035】
したがって、本明細書中に記載する化合物バレニクリンを含む医薬配合物及び製法は、先に記載した治療用途にための医薬の製造において使用されうる。
製造される医薬の治療的有効量は、そのような治療又は予防の必要なヒトに投与されうる。本明細書中に使用するとき、用語「治療的有効量」とは、先に述べた、様々な病的症状又はその兆候及び後遺症を抑制し又は防止することができる活性成分の量をいう。用語「抑制する」又は「抑制(性)」とは、処置される対応の症状に関連する又はそれから生じる病的症状又は兆候の進行を予防し、治療し、緩和し、改善し、休止させ、抑制し、遅らせ又は逆転させ、又はその重度を低下さることをいう。したがって、本医薬配合品は、医療治療剤(急性又は慢性)、及び/又は予防(防止)投与の両者のために適宜使用されうる。投与量、頻度、及び期間は、処置される症状の性質及び重度、ホストの年齢及び一般健康、並びに当該活性成分に対する当該ホストの耐性の如き要因に依存して変化するであろう。医薬組成物又は医薬は、1日1回、1日又はさらには1週間の間複数回で与えられうる。養生法は、約2〜3日間〜数週間又はそれ以上の期間、続くことができる。典型的には、上記組成物は、ヒト患者に、約0.25mg〜約10.0mgの単位投与量をもて1日1回又は2回投与されるが、当該投与量は、患者の年齢、体重、及び医学的症状、並びに投与タイプに依存して適正に変動しうる。
【0036】
エージングの間に形成されるであろう式(I)のバレニクリン分解物のレベルは、本発明の他の側面を形成する試験手順を使用して所定の賦形剤セットについて推定されうる。この試験においては、賦形剤ブレンド又は完成された投与形態が活性医薬を含まないで調整される。材料は、密封された容器、好ましくは熱誘導ホイルでシールされた高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル内に保存される。材料は、約当該サンプルが約6週間〜約6ヶ月の期間にわたり約40℃及び約75%相対湿度(RH)に晒されるように、制御された湿度を伴ってオーブン内に置かれる。(この試験の加速バージョンのための条件は、約5日間の期間にわたる約75%相対湿度(RH)で約70℃である。)上記材料を、次いで、ギ酸又はそのギ酸塩についてサンプリングする。ギ酸の検出は、本分野において知られたいずれかの手段により達成されうる。好ましくは、ギ酸は、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)のいずれかを使用して検出される。HPLCが使用されるとき、導電率検出器を使用することが好ましい。ギ酸又はギ酸塩のレベルは、上記ブレンド又は投与形態について測定される。上記賦形剤中に使用される材料の量は、便利さ及び検出性に関して選ばれる。活性投与量形態の許容される安定性は、単位投与賦形剤レベルに等価な賦形剤レベル当りに見られるギ酸又はギ酸塩レベルが約5.0μg未満の、好ましくは、約2.0μg未満の、そしてより好ましくは約1.0μg未満のギ酸(又はその塩について等価なギ酸量)であるときに、達成される。
【0037】
エージングの間に形成されるであろう式(II)のバレニクリン分解物のレベルは、本発明のさらに他の側面を形成する試験手順を使用して推定されうる。この試験においては、賦形剤ブレンド又は完成された投与形態が活性医薬を含まないで調整される。材料は、密封された容器、好ましくは熱誘導ホイルでシールされた高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル内に保存される。材料は、約当該サンプルが約6週間〜約6ヶ月の期間にわたり約40℃及び約75%相対湿度(RH)に晒されるように、制御された湿度を伴ってオーブン内に置かれる。(この試験の加速バージョンのための条件は、約5日間の期間にわたる約75%相対湿度(RH)で約70℃である。)上記材料を、次いで、ギ酸又はそのギ酸塩についてサンプリングする。ギ酸の検出は、本分野において知られたいずれかの手段により達成されうる。好ましくは、ギ酸は、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)のいずれかを使用して検出される。HPLCが使用されるとき、導電率検出器を使用することが好ましい。ホルムアルデヒドの検出感度を高める為に本分野に知られた他の方法を使用することが有利であることができる。このような方法は、HPLCの如き技術によりより容易に検出される反応性材料でヘッドスペース・ホルムアルデヒドを処理することを含む。ギ酸又はギ酸塩のレベルは、上記ブレンド又は投与形態について測定される。本実験において使用される材料の量は、便利さ及び検出性に関して選ばれる。活性投与量形態の許容される安定性は、単位投与賦形剤レベルに等価な賦形剤レベル当りに見られるギ酸又はギ酸塩レベル及びホルムアルデヒド・レベルが約5.0μg未満のギ酸(又はその塩について等価なギ酸量)及び約3.3μg未満のホルムアルデヒド、好ましくは、約2.0μg未満のギ酸及び約1.3μg未満のホルムアルデヒロ、より好ましくは約1.0μg未満のギ酸及び約0.7μg未満のホルムアルデヒドであるときに、達成される。
【0038】
以下の実施例は、さらなる説明のために提供され、請求に係る発明に範囲を限定することを意図されない。
【実施例】
【0039】
実施例1
バレニクリンのL−酒石酸塩についてのAMT CR投与形態の調製
錠剤化顆粒の3kgバッチを、以下のように調製した:450gの微晶質セルロースと1602gの2塩基性リン酸カルシウムを、20分間8−クォートのV型混合機内で混合した。当該ブレンドの半分を、ポリエチレン袋内に排出し、上記ブレンダー内に上記ブレンドの半分を残した。1250ccのガラス瓶に、450gのマンニトールと10.3gの上記医薬を添加した。混合物を(Glen Mills Inc.,Clifton,NJから入手可能な)TurbulaTMブレンダーを用いてブレンドした。上記材料を、先に列記した材料を含む上記V型混合機に添加した。追加の450gのマンニトールを、上記瓶に添加し、その後、5分間Turbulaをブレンドして上記瓶から医薬を濯いだ。この材料を上記V型混合機にも添加し、そして当該混合物を20分間ブレンドした。ポリエチレン袋に排出された材料を付いで、上記V型混合機に添加し、そして当該混合物をさらに20分間ブレンドした。次いで、ステアリン酸マグネシウムの22.5gのアリコートを、上記V型混合機に添加し、そして当該混合物を5分間ブレンドした。この混合物を、30kg/cmのロール圧力、4.0rpmのロール速度、そして15.6rpmのオーガー速度を使用して、DSPローラーを備えた(Vector Corp.,Marion,IAから入手可能な)TF−Miniローラー圧縮機を使用してローラー圧縮した。形成されたリボンを、300rpmで18メッシュConidurラスピング(rasping)スクリーンを備えた(Fitzpatrick Corp.,Elmhurst,ILから入手可能な)M5Aミルを使用して粉砕した。次いで、上記粉末を、上記V型混合機内に戻し、そしてさらに15gのステアリン酸マグネシウムを添加し、その後さらに5分間ブレンドした。
【0040】
造粒を、9/32”(11mm)SRCツーリングを使用した(Kilian&Co.,Inc.,Horsham,PAから入手可能な)Kilian T100錠剤プレスを使用して錠剤形成して、250mg/錠剤(0.5mgA)の錠剤を得た。錠剤を、4506gのアセトンと1547gの水中538gの酢酸セルロースと134.5gのPEGから成るコーティング溶液を最初に調製することによりコートした。コーティングを、(Vector Corp.,Marian,IAから入手可能な)HCT−30 Hicoaterを使用して実施した。27.5%の標的コーティング重量の増加が達成されるまで、28℃の出口温度をもって、20.0g/分のスプレー速度を維持した。次いで、錠剤を24時間40℃でオーブン内でトレー乾燥させた。
【0041】
実施例II
バレニクリンのL−酒石酸塩についての好ましいAMT CR投与形態の調製
錠剤化顆粒の7kgバッチを、1050gの微晶質セルロース、3340gの2塩基性リン酸カルシウムを、2450gのマンニトール、71.8gの上記医薬、及び52.5gのステアリン酸マグネシウムを使用して実施例1と同様に調製した。実施例1と同様のブレンド、ローラー圧縮、及び粉砕後、上記粉末を、ステアリン酸マグネシウムの追加のアリコート35gと共にブレンドし、その後さらに5分間ブレンドした。造粒を、9/32”(11mm)SRCツーリングを使用したKilian T100錠剤プレスを使用して錠剤形成して、250mg/錠剤(1.5mgA)の錠剤を得た。錠剤を、30.6kgのアセトンと9.9kgの水中4095gの酢酸セルロースと405gのPEGから成るコーティング溶液を最初に調製することによりコートした。バッチ当り40,000〜48,000個の錠剤に対するコーティングを、(Vector Corp.,Marian,IAから入手可能な)HCT−60 Hicoaterを使用して実施した。13%の標的コーティング重量の増加が達成されるまで、27℃の出口温度をもって、180g/分のスプレー速度を維持した。次いで、錠剤を16時間40℃でオーブン内でトレー乾燥させた。
【0042】
表1。式(II)の分解物の形成
【表1】

【0043】
実施例3
バレニクリンのL−酒石酸塩からの式(I)の分解物の形成に関する賦形剤の比較
上記医薬が0.5重量%であるように単一賦形剤(複数)とバレニクリンを混合することによりブレンドを調製した。各場合において、医薬と賦形剤を、所望の医薬レベルが達成されるまで、幾何希釈により乳鉢と乳棒内で共に粉砕した。その点において、混合物をTurbulaミキサーを用いてボトル・ブレンドした。ブレンドを、50℃で6週間保存し、次いで、式(I)の分解物についてHPLCを使用して分析した。
【0044】
表2。バレニクリンからの式(I)の分解物の形成についての賦形剤選択性
【表2】

【0045】
実施例4
標準としての使用のための式(I)の分解物の調製
バレニクリンのコハク酸塩(6.63g,19.5mmol)をメチル−tert−ブチル・エーテル(60mL)中に溶解させ、6N NaOH(20mL)を激しく攪拌しながら添加した。10分後、層分離させ、そして有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、黄色の固体(6.02g)を得て、これを、さらに精製せずに使用した。バレニクリンの遊離の塩基に、ギ酸エチル(60mL)を添加し、そして混合物を18時間還流において加熱した。18時間後、溶液を濃縮乾固させ、黄色の固体(6.8g)として所望のホルムアミドを得た。
【0046】
実施例5
標準としての使用のための式(II)の分解物の調製
バレニクリンの遊離の塩基(1.5g)を。981.4mgの炭酸カリウムを含むメチルアルコール25mLにチャージした。このスラリーに、0.437mLのヨードメタンを添加し、そして当該スラリーを、5時間室温で攪拌した。材料を濾過し、そしてろ液を濃縮乾固させた。この材料を25mLのメチルアルコールと混合し、そしてその後、2.5mLの濃塩酸を添加した。2時間後、スラリーをろ過し、そして10mLのメチルアルコールで洗浄して、所望の生成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトへの投与に好適なバレニクリン(varenicline)の医薬投与形態であって、以下の:
I.バレニクリン又はその塩;及び
II.賦形剤又は賦形剤の組み合わせ、ここで、当該賦形剤又は賦形剤の組み合わせは、密封されたパッケージ内で、約5〜30週間にわたり、バレニクリン又はその塩の不在下で、約20℃〜50℃の間の温度で、及び約35%〜約85%の間の相対湿度で、保存されるとき、単位投与賦形剤レベル当り、約5.0μg未満のギ酸、又はその塩の等価なギ酸量、及び単位投与賦形剤レベル当り、約3.3μg未満のホルムアルデヒドを含む、を含み、かつ、ここで、当該医薬形態は、以下の構造:
【化1】

を有する4重量%未満のN−ホルミル・バレニクリン(I);及び
以下の構造:
【化2】

を有する4重量%未満のN−メチル・バレニクリン(II);
を含む、前記医薬投与形態。
【請求項2】
前記投与形態が錠剤である、請求項1に記載の医薬投与形態。
【請求項3】
前記投与形態が、即時放出投与形態である、請求項1に医薬投与形態。
【請求項4】
前記投与形態が、制御された放出投与形態である、請求項1に医薬投与形態。
【請求項5】
以下の:
2重量%未満のN−ホルミル・バレニクリン(I);及び
2重量%未満のN−メチル・バレニクリン(II);
を含む、請求項1に医薬投与形態。
【請求項6】
前記投与形態が、即時放出投与形態である、請求項5に医薬投与形態。
【請求項7】
前記投与形態が、制御された放出投与形態である、請求項5に医薬投与形態。
【請求項8】
以下の:
1重量%未満のN−ホルミル・バレニクリン(I);及び
1重量%未満のN−メチル・バレニクリン(II);
を含む、請求項1に医薬投与形態。
【請求項9】
前記投与形態が錠剤である、請求項8に記載の医薬投与形態。
【請求項10】
前記投与形態が、即時放出投与形態である、請求項8に医薬投与形態。
【請求項11】
前記投与形態が、制御された放出投与形態である、請求項8に医薬投与形態。
【請求項12】
患者におけるニコチン中毒の低減又はタバコの禁煙又は節煙の援助のための方法であって、当該患者に、ニコチン中毒の低減又はタバコの禁煙又は節煙の援助に有効な量の請求項1に記載の医薬投与形態を、投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、壊そ性膿皮症、クローン病、刺激性腸症候群、痙攣性失調症、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、回腸嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知機能不全、高血圧、食欲異常亢進、食欲不振、肥満、不整脈、胃酸過多、潰瘍、クロム親和性細胞腫、進行性核上麻痺、化学物質依存症及び中毒;ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸、オピオイド又はコカインに対する依存症又は中毒;頭痛、発作(卒中)、外傷性脳損傷(TBI)、強迫性障害(OCD)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、失読症、精神分裂症、多梗塞性痴呆、老化関連認知低下、癲癇、小発作不存在癲癇、アルツハイマー型(AD)の老人性痴呆、パーキンソン病(PD)、注意欠陥活動過多障害(ADHD)、及びトゥーレット症候群から選ばれる障害又は症状の治療の必要な患者における当該治療方法であって、当該患者に、当該障害又は症状の治療に有効な量の請求項1に記載の医薬投与形態を投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
微小質セルロース、無水ラクトース、マンニトール、リン酸2カルシウム、ステアリン酸マグネシウム又はそれらの組み合わせから選ばれる賦形剤を含む、請求項1に記載の医薬投与形態。

【公表番号】特表2006−528237(P2006−528237A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530664(P2006−530664)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001613
【国際公開番号】WO2004/103372
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】