バンド間搬送モジュール用の方法及び装置
本発明によるバンド間搬送モジュールは基板キャリア(例えば、小ロット用基板キャリア)をあるコンベヤから別のコンベヤへと或いは同一のコンベヤ上の2点間で搬送するための基板キャリア輸送システム又はその他のシステムと共に使用することができる。基板キャリアの搬送(例えば、ピックアンドプレース)は異なる速度で進むコンベヤ間で行ってもよい。多数のその他の態様及び構成が開示される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717335号「搬送ステーション用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L/SYNK/SYNK/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0002】
本願はまた2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717150号「輸送昇降アセンブリ用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L2/SYNX/SYNX/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0003】
本願はまた2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717336号「バンド間搬送モジュール用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L3/SYNX/SYNX/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0004】
本願は以下の同一譲受人に譲渡された、同時係属中の米国特許出願にも関連し、それぞれ引用により全て本願に組み込まれる。
【0005】
2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650310号「基板キャリアを輸送するためのシステム」(代理人整理番号6900)。
【0006】
2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764982号「基板キャリアを輸送するための方法及び装置」(代理人整理番号7163)。
【0007】
2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650480号「移動中のコンベヤから直接的に基板キャリアをアンローディングする基板キャリアハンドラ」(代理人整理番号7676)。
【0008】
2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764820号「基板キャリアを懸架するためのオーバーヘッド搬送フランジおよび支持体」(代理人整理番号8092)。
【0009】
2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987955号「コンベヤベルトの屈曲に対応したブレイクアウェイ位置決定コンベヤ架台」(代理人整理番号8611)。
【発明の分野】
【0010】
本発明は、概して、半導体デバイス製造システムに関し、特には製造設備内での基板キャリアの輸送に関する。
【発明の背景】
【0011】
電子デバイスの製造は、典型的にはシリコン基板、ガラス板等の基板に対して一連の処理を施すことを伴う(このような基板はパターン形成の如何を問わずウェハと称されることもある)。このような工程には研磨、堆積、エッチング、フォトリソグラフィ、熱処理等が含まれる。通常は複数の処理チャンバを含む単一の処理システム又は「ツール」において、多数の異なる処理工程を行う。しかしながら、一般的には製造設備において処理は種類毎に別の場所で行う必要があることから、基板を製造設備内である処理ツールから別の処理ツールへと輸送する必要がある。製造する電子デバイスのタイプによっては、製造設備内のかなりの数の異なる処理ツール/場所で比較的多数の処理工程を実行する必要がある場合がある。
【0012】
密閉ポッド、カセット、コンテナ、開放トレイ、カセットその他等の基板キャリアを介してある処理場所から別の処理場所へと基板を輸送するのが一般的である。また、自動搬送装置、オーバーヘッド輸送システム、基板キャリア取扱ロボット等の自動基板キャリア輸送装置を用いて基板キャリアを製造設備内のツール間で移動させる、又は基板キャリアの基板キャリア輸送装置との搬入・搬出を行うのが一般的である。
【0013】
個々の基板について、基板の形成から完成した基板からの個々の電子デバイスの切断まで、デバイス製造の総工程は週間単位〜月単位で測定される経過時間を必要とする場合がある。そのため、基板搬送時間を短縮して非付加価値時間を削減することが望ましい。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1態様においては、移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含む装置が提供される。
【0015】
本発明の第2態様においては、移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外し、移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングすることを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の第3態様においては、第1速度で進む第1コンベヤと、第2速度で進む第2コンベヤと、第1及び第2コンベヤに隣接して配置されたバンド間搬送装置を含むシステムが提供され、バンド間搬送装置は第1コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、第2コンベヤの一部がバンド搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含む。
【0017】
数多くのその他の態様を、本発明の様々な態様に沿った装置、システム及びコンピュータプログラムプロダクトとして提供する。本願に記載の各コンピュータプログラムプロダクトはコンピュータ可読性の媒体(例えば、搬送波信号、フロッピーディスク、コンパクトディスク、DVD、ハードドライブ、ランダム・アクセス・メモリ等)で実行することができる。
【0018】
本発明のその他の構成及び態様は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付図面からより完全に明らかとなる。
【詳細な説明】
【0019】
本発明の態様は、キャリア(例えば、基板キャリア)を電子デバイス製造設備(Fab)内の2つ以上のコンベヤ間(例えば、連続的に移動する高速オーバーヘッド輸送システム(OHTシステム))で搬送するための方法及び装置を提供する。本発明は複数の独立した輸送昇降アセンブリ(Transport Lift Assembly:TLA)を備えた搬送ステーションを含み、TLAはそれぞれコンベヤ上を動くキャリアと整列し、(例えば、昇降アセンブリを用いて)コンベヤからキャリアを分離し、キャリアを第2コンベヤに輸送し、第2コンベヤへとキャリアを搬送(例えば、搭載)するように適合されている。本発明の搬送ステーションにより、コンベヤ又はTLAを停止させることなくコンベヤ間で搬送を行うことが可能となり、又、キャリアが搬送ステーションに到着するにつれての連続した搬送も可能となる。つまり、キャリアがあるコンベヤに到達するのが早ければ早いほど、本発明の搬送ステーションは到着したキャリアを別のコンベヤへと移動させることが可能である(例えば、空いた又は開放キャリア位置で)
【0020】
搬送ステーションは、TLAを誘導してコンベヤと整列させるためのトラックを含んでいてもよい。1つ以上の実施形態において、トラックは各コンベヤに近接して配置された円形トラックでもあってもよい。実施形態によっては、その他の形状のトラックを用いてもよい(例えば、楕円)。例えば、各コンベヤの一部がトラックの異なる部位上を通過してもよい。駆動システム(例えば、閉路リニアモータ)を設置することでトラック周辺に沿ってTLAを推進させてもよい。加えて、制御システムを設置することでキャリア及び/又はクレードルの到着についての情報を受け、駆動システムを制御することで個々のTLAの速度を調節して(例えば、アンローディング操作を見越して)到着するキャリアと整列させても、或いは(ローディング操作を見越して)クレードル等の到着するコンベヤ位置と整列させてもよい。制御システムは駆動システムも制御し、個々のTLAの速度を実際のアンローディングとローディング過程の一部として調節してもよい。実施形態によっては、トラックとTLAの下部をその内部が陰圧に維持された筐体で取り囲み、汚染源となる可能性のある粒子を捕捉してもよい。筐体は迅速なTLA交換を可能ならしめる1つ以上のアクセス扉を含んでいてもよい。
【0021】
各TLAは、例えば、TLAによるコンベヤからのキャリアの取り外し又はキャリアのコンベヤへの搭載を指示する(例えばブルートゥース(商標名)等のプロトコルを使用した(http://www.bluetooth.org/spec/))制御信号を搬送ステーション制御システムから受信するための無線通信設備を含んでいてもよい。このような命令に応答して、TLAに搭載の個々のTLA制御装置を事前にプログラムし、搬送ステーション制御装置/制御システムの命令通りにローディング又はアンローディング手順を実行するようにしてもよい。
【0022】
TLAは基板キャリアへの連結、支持、及び/又は整列用の運動学的機構を備えたエンドエフェクタを含む昇降アセンブリを含む。実施形態によっては、TLAは水平及び垂直方向の車輪セットの双方を含んでいてもよく、TLAはその上をトラックの周囲に沿って進む。トラックが円形の実施形態においては、垂直方向を向いた車輪セットはそれ自体が傾斜しているため、TLAはトラックの直径に対応する円形経路を辿る。TLAのこの構成により車輪の摩擦は低下し、粒子の発生が低下する。
【0023】
図1に戻るが、搬送ステーション102A−Eを用いた電子デバイス製造設備(Fab)100の概略図である。Fab100は数多くの処理ツール104A、104B(そのうちの2つだけを代表として符号を附している)を含み、コンベア106A−Dによって繋がっている。搬送ステーション102A−E及び/又はコンベヤ106A−Dが1つ以上の輸送システム制御装置(TSC)108に連結され、制御されている。
【0024】
稼働中、搬送ステーション102A−E、コンベヤ106A−D、及びTSC108は継続的に移動する高速オーバーヘッド輸送システム(OHTシステム)の一部となり、高速オーバーヘッド輸送システムは1つ以上の基板を含むキャリア(図示せず)を処理ツール104A、104B(及び/又はFab100のその他の処理ツール)に送るように適合されている。各コンベヤ106A−Dは小ロットサイズ用キャリア、例えば基板を1枚又は実質的に25枚未満(例えば、13枚未満、実施形態によっては5枚以下)保持する基板キャリアを輸送するのに特によく適している閉鎖系ループとして実装してもよい。図1に図示の具体例であるFab100は4つの独立したコンベヤ106A−Dを備えたOHTシステムを含み、それぞれOHTシステム例を小ロットサイズ用キャリアの使用に特に適したものとする幾つかの構成を含み、高速で保守が容易で常時移動しているコンベヤ106A−D、コンベヤ106A−Dの停止又は減速を必要としないキャリアローディング/アンローディング機能、多くのキャリアを物理的に同時に支持可能なコンベヤ106A−D、所望の輸送経路に合わせて容易にカスタマイズし得る可撓性コンベヤ106A−Dが含まれる。これらの構成を以下に説明する。
【0025】
上記にて本願に組み込まれた2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650310号「基板キャリアを輸送するためのシステム」(代理人整理番号6900)は、Fabのための、FAbの操作中、常に運動状態にあるように意図された基板キャリア用のコンベヤを含む基板キャリア輸送システム又は同様の送達システムについて開示している。常時動いているコンベヤは、Fab内での基板の迅速な輸送を促進し、Fab内での各基板の総「滞留時間」を短縮することを意図したものである。
【0026】
このようにしてFabを稼動するために、コンベヤが運動中に基板キャリアをコンベヤからアンローディングし、基板キャリアをコンベヤにローディングするための方法及び装置を提供する。上記にて本願に組み込まれた2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650480号「移動中のコンベヤから直接的に基板キャリアをアンローディングする基板キャリアハンドラ」(代理人整理番号7676)は、動いているコンベヤに対してこのようなローディング/アンローディング操作を行う、基板ローディングステーション又は「ツールステーション」(例えば、処理ツールに隣接又は処理ツールと一体型)の基板キャリアハンドラを開示している。例えば、基板ローディングステーション又はツールステーションは水平方向のガイド又は垂直可動型のクレーンと、水平ガイドに沿って水平方向に可動であるエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタを垂直方向及び/又は水平方向に移動するためのその他の構成を提供する。
【0027】
基板キャリアを搬送し、基板ローディングステーションを通過する動いているコンベヤ(「基板キャリアコンベヤ」)から基板キャリアをアンローディングするためには、エンドエフェクタを基板キャリアコンベヤによって輸送中の基板キャリアの速度と実質的に一致した速度で水平方向に移動させる(例えば、水平方向の基板キャリア速度と実質的に一致させることで)。加えて、基板キャリアが輸送される際にエンドエフェクタを基板キャリアに隣接した位置に維持してもよい。従って、エンドエフェクタは基板キャリアの位置と実質的に一致し、又、その速度は基板キャリアの速度と実質的に一致する。同様に、コンベヤ位置及び/又は速度を実質的に一致させてもよい。
【0028】
エンドエフェクタを基板キャリアの速度(及び/又は位置)と実質的に一致させる一方で、エンドエフェクタを上昇させて基板キャリアと接触させ、基板キャリアを基板キャリアコンベヤから取り外す。エンドエフェクタとコンベヤの速度(及び/又は位置)をローディング中に実質的に一致させることで、基板キャリアを同様に動いている基板キャリアコンベヤ上へとローディングしてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エンドエフェクタと基板キャリアコンベヤ間でのこのような基板キャリアの受け渡しは、エンドエフェクタと基板キャリア間での相対速度及び/又は相対加速度が実質的にゼロの状態で行う。
【0029】
上記にて本願に組み込まれた2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764982号「基板キャリアを輸送するための方法及び装置」(代理人整理番号7163)は上記の基板キャリア輸送システム及び/又はツールステーションと共に用いることで基板キャリアを電子デバイス製造設備の1つ以上の処理ツール間で輸送するコンベヤシステムについて記載している。コンベヤシステムは、電子デバイス製造設備の少なくとも一部内で閉鎖ループを形成し、基板キャリアをその中で輸送するリボン(又は「バンド」)を含んでいてもよい。1つ以上の実施形態において、リボン又はバンドはステンレススチール、ポリカーボネート、複合材料(例えば、黒鉛炭素、ガラス繊維等)、スチール又は別の方法で補強したポリウレタン、エポキシ積層板、ステンレススチールを含むプラスチック又は重合体材料、織物(例えば、炭素繊維、グラスファイバー、デュポン社から入手可能なケブラー(Kevlar:商標名)、ポリエチレン、スチールメッシュ等)又はその他の補剛材料から形成することができる。リボンの肥厚部が垂直面内に収まり、リボンの薄肉部が水平面内に収まるようにとリボンの方向を合わせることで、リボンは水平面では柔軟に、垂直面では剛性となる。このような構成により、コンベヤを低コストで構成・実装することが可能となる。例えば、リボンの構成には材料があまり必要ではなく、製造が容易であり、その垂直方向の剛性/強度から補助的な支持構造(例えば、慣用の水平方向のベルト型コンベヤシステムで使用されるローラ又はその他同様の機構)を必要とすることなく多数の基板キャリアの重量を支えることが可能である。更に、コンベヤシステムのカスタマイズ性は高く、これはその横方向への可撓性によりリボンを屈曲、湾曲又は多くの構成へと別の形で成形することができるからである。
【0030】
上述したように、図1の実施例Fab100は4つのコンベヤ106A−D(例えば、リボン又はバンド)を含み、それぞれは実施例Fab100の異なる4分円を通るループを形成している。コンベヤ106A−Dは、例えば、上記にて本願に組み込んだ米国特許出願第10/764982号に記載されるリボンを備えていてもよい。これもまた上述されているが、コンベヤ106A−Dは処理ツール104A、104B間でキャリア(図示せず)を輸送してもよく、各コンベヤ106A−Dは直線部位と湾曲部位を備えており、交差しない閉鎖ループを形成している。処理ツール104A、104B、コンベヤ106A−D、及び/又はループ構成の数はいくつであってもよい。
【0031】
搬送ステーション102A−Eにより、キャリアをあるコンベヤから別のコンベヤへと移動させることが可能となる。例えば、搬送ステーション102Aを用いて、キャリアをコンベヤ106Aからコンベヤ106Bへと移動させることができる。実施形態によっては、コンベヤ102Eを適合させることで2つ以上のコンベヤ間での直接的なキャリア搬送を可能とすることができる。例えば、搬送ステーション102Eを用いてキャリアをコンベヤ106Aからコンベヤ106B、106C、及び/又は106Dへと、コンベヤ106Bからコンベヤ106A、106C及び/又は106Dへと、コンベヤ106Cからコンベヤ106A、106B、及び/又は106Dへと、コンベヤ106Dからコンベヤ106A、106B、及び/又は106Cへと移動させてもよい。搬送ステーションあたりのコンベヤの数は幾つであってもよく、2つ又は図1の実施例に図示されるように4つだけでなくてもよい。また、図1では図示していないが、追加又は別の実施形態において、搬送ステーションを適合させることでキャリアをコンベヤから直接的に処理ツール又は格納施設へと基板ローディングステーションを経由させて搬送してもよい。
【0032】
各処理ツールは基板キャリアハンドラを基板ローディングステーション又は処理ツール104Aの「ツールステーション」(図示せず)に含んでいてもよく、コンベヤがツールステーションを通過する際に各コンベヤ106A−Dからの基板キャリアのアンローディング又は基板キャリアのローディングを行う(上記にて本願に組み込んだ米国特許出願番第10/650480号に記載の通り)。例えば、処理ツール104Aのツールステーションのエンドエフェクタ(図示せず)を基板キャリアがコンベヤ106Aによって輸送される際のその速度と実質的に一致する速度で水平方向に移動させ、基板キャリアの輸送時に基板キャリアに隣接した位置に維持し上昇させることで、エンドエフェクタを基板キャリアに接触させ、基板キャリアをコンベヤ106Aから取り外してもよい。次に基板キャリアを処理ツール104Aへと送る。同様に、基板キャリアを動いているコンベヤ106A上へと、ローディング中のエンドエフェクタとリボンの速度(及び/又は位置)を実質的に一致させることでローディングしてもよい。
【0033】
各ツールステーションは1つ以上のローディングポート又は同様の場所を含んでいてもよく、ここに基板又は基板キャリアが処理ツールへの及び/又は処理ツールからの搬送に向けて配置される(例えば、ドッキング/アンドッキング運動を伴わない搬送位置を用いたとしても、1つ以上のドッキングステーション)。各ツールステーションに様々な基板キャリア格納場所も設け、処理ツールでの基板キャリアのバッファリングを行ってもよい。
【0034】
図1に図示のOHTシステム実施例にはコンベヤ106A−Dの監視、制御及び/又は操作の指示を行う輸送システム制御装置(TSC)108、各処理ツール104A、104Bでのツールステーション及び/又は搬送ステーション102A−Eが含まれる。図1では図示されていないが、TSC108は各処理ツール104A、104Bの各ツールステーション及び/又は各搬送ステーション102A−Eと連結及び/又は通信していてもよい。例えば、TSC108はコンベヤ106A−Dの速度及び/又は状態を制御/監視し、基板キャリアの支持/輸送に使用されるコンベヤ106A−Dのクレードルの割り当てを行い、このようなクレードルの状態を監視し、このような情報を各ツールステーション及び/又は搬送ステーション102A−Eその他へと伝達してもよい。同様に、各ツールステーションはツールステーション操作(例えば、基板キャリアのコンベヤ106A−Dへの/からのローディング又はアンローディング、基板キャリアのツールステーション及び/又はツールステーションが貢献している処理ツール等のローディングポート又は格納場所への/からの輸送)を制御するためのツールステーションソフトウェア(TSS)を含んでいてもよい。材料制御システム(MCA)(図示せず)をTSC108、搬送ステーション102A−E、及び/又は各処理ツールの各ツールステーションの各ツールステーションソフトウェアと連結及び/又は通信させ、その操作に影響を与えてもよい。TSC108、搬送ステーション102A−E、各TSS及び/又はMCSはTSC108、搬送ステーション102A−E、TSS及び/又はMCSによって実行される操作のスケジューリングを制御するためのスケジューラ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0035】
図1に図示のFab100のトポロジーは、特には基板スループットの観点からみた性能特性を強化しつつ、Fab100がよりフォールトトレラントとなるようなものに設計されている。実施形態によっては、Fab全体で単一のコンベヤを用いている。しかしながら、単一コンベヤ型のFabでコンベヤが故障又は停止を余儀なくされた場合、そのコンベヤによる全てのキャリア搬送が停止してしまう。しかしながら、複数のコンベヤ106A−D及び複数の搬送ステーション102A−Eを用いることで、たとえ1つ以上のコンベヤ102A−Dが停止してもキャリアの輸送を継続することができる。例えばキャリアを処理ツール104Aから処理ツール104Bへと輸送する必要があり、コンベヤ106Bと搬送ステーション102Eを修理のために停止させてしまっている場合でも、キャリアは依然として処理ツール104Aと104Bとの間でコンベヤ106A、搬送ステーション102D、コンベヤ106D、搬送ステーション102C、及びコンベヤ106Cを介して輸送することができる。
【0036】
図2を参照するが、搬送ステーション102Aとコンベヤ106A、106Bの実施形態例の斜視図(バンド200のみを図示)が描かれている。クレードル202はコンベヤ106A、106Bのバンド200のそれぞれに連結されており、基板キャリア204を支持するように適合されている。それぞれが(以下に記載の)昇降アセンブリを含んでいてもよいTLA206もまた、基板支持キャリア204を支持するように適合されている。図2に図示の実施形態において、クレードル202はキャリア204を上から支持し、TLA206はキャリア204を下から支持している。しかしながら、その他の構成も可能であり、TLAがキャリアを上から支持し及び/又はクレードルがキャリアを下から支持する構成を含む。
【0037】
搬送ステーション102Aは、搬送ステーション及び/又はコンベヤ106A、106Bに連結されたセンサ208も含んでいてもよい。センサ208はカメラ、スルービーム検出装置、又はキャリア204及び/又は空のクレードル202の到着及び/又は速度の検出/測定に適したその他の装置を含んでいてもよい。加えて、センサ208を用いてTLAの昇降アセンブリの位置(例えば、上又は下)、TLAの速度及び/又は位置、及び/又はクレードル/キャリアに対してのTLA/キャリア又はその逆の場合の相対位置、速度、及び/又は加速度を測定/検出してもよい。このような情報をTSC108(図1)に送信し、基板キャリア搬送の制御/調整に用いてもよい。
【0038】
上述したように、図2のコンベヤ106A、106Bの具体的な説明では記載のバンド200と共に使用し得る支持体、ガイド、及び駆動装置について省略している。支持装置を用いてバンド200を搬送ステーション102A上方の所望の高さに水平面で保持又は支持してもよい。ガイド装置を用いて、搬送ステーション102Aのトラックの一部と実質的に一致する経路にバンド200を指向させてもよい。駆動装置を用いて、バンド200をガイド装置内に通してもよい。実施形態によっては、フレーム上に取り付けられた一連のモータ駆動式のローラを用いてバンド200を支持、誘導、及び駆動する。バンド200は、コンベヤ106A、106Bを介して搬送ステーション102Aへと送られてきたキャリア204がコンベヤ106A、106Bのクレードル202から搬送ステーション102AのTLA206によってアンローディングされるようにと配置される。同様に、バンド200上の搬送ステーション102Aに到着した空のクレードル202にキャリア204をTLA206によりローディングしてもよい。
【0039】
図2は2つのコンベヤ106A、106Bを収めるに適したサイズに設計された搬送ステーション102Aを図示している。バンドの速度、バンド上のクレードルの間隔、キャリアの取り外し/搭載に必要な時間を含む様々な要因に応じて、いずれの数のバンドからの搬送及び/又はいずれの数のバンドへの搬送にも対応できるように搬送ステーションのサイズを変更することができる。ほぼ同じ速度で移動している図2に図示の2つのバンド200について、例えば約500mm間隔の速度約180キャリア/分で到着するキャリアに対応した搬送ステーションの直径は、約2.5mもの小ささにもなる。より小さい直径、特にはバンド速度がより緩慢及び/又は異なる構成の搬送ステーションが可能である。上述の搬送ステーション例上のTLAは1分あたり約12回転で循環することができ、このような搬送ステーションはバンドからバンドへと1時間あたり10800個のキャリアを搬送可能である。
【0040】
稼働中、TLA206は搬送ステーション102Aで継続的に循環し、TSC108の指示通りに独立してキャリア204のアンローディング、輸送、及びローディングを行う。例えば、TSC108はセンサ208又は搬送ステーション102Aから、キャリア204の到着を示す情報を受け取る。次にTSC108は搬送ステーション102Aに指示して、空いているTLA206と到着したキャリア204とをその速度を一致させることで整列させる。TLA206はTSC108及び/又は搬送ステーション102Aからの命令を受け取ると、キャリア204をバンド200からアンローディングし、キャリア204を搬送ステーション102Aの反対側に輸送する。TLA206は次にキャリア204を、センサ208によって検出された、到着した空の/使用可能なクレードル202にローディングする。
【0041】
次に図3を参照するが、コンベヤを除いた図2の搬送ステーション102Aの斜視図である。キャリア204が1つだけ、その下のTLA206(キャリアによって隠れている)に支持された状態で図示されている。搬送ステーション102Aは筐体302によって取り囲まれたトラック300を含む。トラック300はフレーム304によって支持されている。駆動システム306がトラック300の周囲を取り巻き、制御装置308が搬送ステーション102Aに連結していてもよい。制御装置308はローカル制御装置であってもよい。
【0042】
稼働中、TLA206がキャリア204をトラック300の周囲に沿って輸送する。以下で詳細に説明されるように、TLA206はキャリア204をオーバーヘッド輸送(OHT)システムから、(図2の)コンベヤ106A上のクレードル202と整列させながら昇降アセンブリを上昇及び降下させることでローディング及びアンローディングさせることも可能である。TLA206はそれぞれ駆動機構306によって駆動され、実施形態によっては、閉路リニアモータを含んでいてもよい。図3に図示されるように、リニアモータは隣り合う電機子巻線又はモータコイルのアレイを含んでいてもよく、個々に給電することでそれぞれが磁場を形成し、TLA206に取り付けられた永久磁石を押し出す又は引き寄せる。本発明は、TLA206の速度が駆動機構306の制御を介して独立して制御、調整されるように実行されている。駆動機構306はTSC108(図1)により直接的に制御しても、或いはローカル制御装置308により、実施形態によってはTSC108の指示下で制御してもよい。従って、各TLA206の速度及び位置は、制御装置308及び/又はTSC108からの信号に応答して駆動機構306を介して独立して制御することができる。制御装置308は、(図2)のセンサ208からの情報に応答して及び/又はTLAそれ自体からの信号に応答してTLA206の速度と位置を制御してもよい。リニアモータの構成及び操作についての更なる詳細は、チタヤ(Chitayat)の米国特許第6713902号に見ることができ、引用により全て本願に組み込まれる。
【0043】
筐体302は、一連のパネルをトラック300の両側に含んでいてもよく、パネルによってその間をTLA206が進む容積が規定される。図3に図示の筐体302はその最上部に開口部又はスロット310を含み、この開口部又はスロットから各TLAの昇降アセンブリが突出する。トラック300の支持に加えて、フレーム304は一体型粒子制御システムを含んでいてもよい。例えば、フレーム304を筐体302の底部に形成された開口部(図示せず)及び真空源312に連結された中空の管状部材として構成してもよい。フレーム部材を通して、真空圧を筐体302によって規定された容積に印加してもよい。TLAの運動によって生じた粒子はこれにより搬送ステーション102Aから筐体302の底部に形成された開口部を経由してフレーム304を通って運び去られる。或いは又はそれに加えて別の粒子制御システム(図示せず)を筐体302に直接的に連結し、粒子を筐体から除去してもよい。
【0044】
図4を参照すると、図2の搬送ステーション102Aのより詳細が示された断面斜視図である。図3と同様に、キャリア204が1つだけその下のTLA206によって支持された状態で図示されている。搬送ステーション102Aは筐体302に取り囲まれたトラック300を含む。トラック300はフレーム304によって支持され、駆動システム306がトラック300の周囲を取り囲んでいる。トラック300に加えて、TLA206は上部車線400と下部車線402と接触してもよく、車線は双方共に筐体302の外側部位の内側表面に沿って延びている。1つ以上のアクセスポート扉404を筐体302の内側部位に含めてもよい。アクセスポート扉404の開口部を通して見て取れるように、TLA206は2つの垂直型車輪406のセットと4つの水平型車輪408のセットを含んでいてもよい。実施形態によって、TLAに含まれる垂直型及び/又は水平型車輪の数は異なっていてもよい。搬送ステーション102Aは更に電力伝達システム410を含んでいてもよく、電力伝達システムもまたTLAに近接した筐体302の外側部位の内側表面に沿って延びている。
【0045】
上述したように、筐体302はその内部での可動部品によって発生した、汚染源となる可能性のある粒子の堆積及びFab100の雰囲気中への放出を防止するように適合された粒子格納筐体であってもよい。実施形態によっては、陰圧(例えば、真空圧)を筐体302で維持する。このような実施形態において、陰圧は搬送ステーション102Aのフレーム304を介して及び/又は筐体302に直接印加してもよい。フレーム304は一連の相互接続された中空部材として具体化してもよく、筐体302の底部からの多数の吸引路を設けるものであり、この吸引路により真空が搬送ステーション102A内で発生した粒子を吸い出す。こうして、上から下へと筐体302内で下降気流が形成され、粒子はTLA206から、フレーム304を介して搬送ステーション102A外へと引き出される。このような粒子格納システムを用いて、Fab100内で望まれるクラス1000のクリーンルーム等級よりも良好な環境を固守してもよい(例えば、粒子密度が0.5ミクロンより大きい粒子1000粒子未満/立方フィート空間。連邦規格209に準ずる)。
【0046】
稼働中、駆動システム306が搬送ステーション102Aの周囲に沿ってTLA206を推進すると、垂直型車輪406がトラック300に沿って転がる。垂直型車輪406はTLA206がトラック300の形状に一致した円形に自然と回転するように傾斜している又は別の形で適合されている。従って、横方向の転がり摩擦が最小限に抑えられ、粒子の発生が大幅に軽減される。一定の曲率半径を有する円形トラック300により更に、軌道が一致した、傾斜した垂直型車輪406を備えたTLA206が最低限の摩擦と粒子発生でもって回転可能となり、これにより製造環境へと持ち込まれる粒子状の汚染物質が低減されることに留意すること。追加又は別の実施形態において、トラック300を一定のピッチで傾斜をつける又はバンクさせることで摩擦と粒子の発生を最小限に抑えてもよい。
【0047】
平衡な求心力を得るために、TLA206が搬送ステーション102Aの周囲に沿って進むにつれ、水平型車輪408も上部車線400及び下部車線402上を転がる。トラック300、上部車道400、及び下部車道402はそれぞれ、粒子の発生を抑制するのに役立つ薄いポリカーボネート上層を含んでいてもよい。その他の実用的な材料を代わりにトラック300及び/又は車道400、402の表面として使用してもよい。
【0048】
実施形態によっては、TLA206は搬送ステーション102Aから搭載機能(例えば、昇降アセンブリ、無線通信、センサ等)を操作するための電力を受け取ってもよい。電力伝達システム410はTLA206のそれぞれに対しての電気接触子となるスリップリングを含んでいてもよい。或いは、変圧器を用いて電力をTLA206へと接触子を用いることなく伝送してもよい。どちらの実施形態であっても、TLA206にはオンボードバッテリを設置して、電力伝達システム410から受け取ったエネルギーを貯蔵することができる。
【0049】
上述したように、筐体302は図4に図示されるように蝶番で開放可能である又は完全に取り外すことが可能な、搬送ステーション102Aのその他の構成部品を露出させることができるアクセスポート扉404を幾つ含んでいてもよい。アクセスポート扉404を開放することで、洗浄、保守、又は修復操作を実行することができる。アクセスポート扉開口部は、TLA206がトラック300から容易に取り外せ、代替のTLA206と即座に交換可能となるに十分なほどに大きい。
【0050】
図5を参照すると、搬送ステーション102Aの実施形態例の様々な構成部品がブロック図で描かれている。制御装置308は多数のTLA206と無線双方向通信をしていてもよい。制御装置308は駆動システム506、粒子制御システム508、電力伝達システム510、及びセンサシステム512にも連結されていてもよい。制御装置308はFab内のTSC及び/又はMCSと通信するための通信ポート514も含んでいてもよい。
【0051】
制御装置308は搬送ステーション102Aの操作を制御するように適合又はプログラムされたどんなコンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコンピュータシステムとして実装されてもよい。実施形態によっては、制御装置308はその他のコンピュータ及び/又はシステムとの通信を促進するための通信ポート514を備えたネットワークコンピュータであってもよい。例えば、制御装置308は、例えばFab用の製造実行システム(MES)等の外部コンピュータ又は制御システムによって制御可能である、又は搬送ステーション102A又はいずれのシステム又はその構成部品の操作についての情報を外部コンピュータ又は制御システムに伝達可能である。
【0052】
TLA206(詳細は以下に記載)は例えばブルートゥース(商標名)又は無線イーサネット等の実用的なプロトコルを用いて制御装置308と無線通信してもよい。実施形態によっては、TLA206は制御装置308に例えば搬送の完了、点検の必要、現在のトラック位置、エラー状態、速度、「上げる」、「下ろす」、「キャリア中心位置」、「低バッテリ」、「バッテリ完全充電」、「電力伝達不可」、「動力伝達可」等を示す状態情報を提供してもよい。実施形態によっては、TLA206は制御装置に加速又は減速することで例えばクレードルの速度と一致させる又はクレードルからキャリアを取り外す必要性を信号で伝達してもよい。それに応答して、制御装置308は駆動システム506を制御して、適当なモータコイルに給電又は断電することで、TLA206への所望の効果を得る。代替又は追加の実施形態において、制御装置308はセンサシステム512及び/又はTSCから受け取った情報(例えば、通信ポート515を介して)に基づいてTLA206へと指示を送ってもよい。例えば、制御装置308は到着する特定のクレードルからのキャリアのアンローディング又は到着するクレードルへのキャリアのローディングを行うTLA206の割り当てを行ってもよい。
【0053】
別の実施例において、制御装置308はTLA206に信号を送ることでキャリアをコンベヤからアンローディングし、キャリアを特定の時間に亘って保持し(例えば、搬送ステーション102A周囲を3回転)、次にキャリアを同一のコンベヤにローディングしてもよい。この実施例において、搬送ステーション102Aは特定のキャリアを遅延させる又はコンベヤ上に再配置させるだけのものであり、例えば、下流のツールステーションに特定のキャリアの到着に備えるための時間をより多く与える役割を果たしている。これにより当初の到着時間ではツールステーションの準備が整っていなかったことからコンベヤにもう一度載せたキャリアが全周を回り終わるまで待つ必要なく、キャリア上の基板をより早く処理することが可能となる。
【0054】
実施形態によっては、真空ポンプ又は別の真空源を備えていてもよい粒子制御システム508を制御装置308で制御及び/又は監視してもよい。例えば、筐体302(図3)内での真空圧の喪失がセンサシステム512で検出されたら、制御装置308が粒子制御システム508を再始動しようと試みる。同様に、電力伝達システム510を、例えば、オンボードバッテリ電力が低下しているというTLA206からの信号に応答して、制御装置308によって始動させてもよい。
【0055】
図6及び7を参照するが、輸送昇降アセンブリ(TLA)206の実施形態例の正面(図6)及び背面(図7)の斜視図である。TLA206は昇降アセンブリ604を支持するシャーシ602を含む(下降位置で図示)。昇降アセンブリ604は昇降プラットフォーム606を含み(本願ではエンドエフェクタとも称される)、昇降管612内のリニア型昇降アクチュエータ610によって上下に駆動される昇降スライド608上に取り付けられている。昇降アセンブリ604に加えて、2つの垂直型車輪614のセット、4つの水平型車輪616のセット、電源618、バッテリ620、TLA制御装置622、正面及び後方バンパ624はシャーシ602によって支持されている又はシャーシに取り付けられている。図7を参照すると、リニアモータ磁石アレイ700及び電力受取接触子702がシャーシ602の背面側に取り付けられている。位置センサ704はシャーシ602の後方下端に取り付けられており、図6に図示のTLA制御装置622に連結されている。
【0056】
再度図6及び図7を参照するが、シャーシ602は鋳造アルミニウム等のいずれの適切な材料から構成してもよい。例示的な実施形態において、シャーシは単体型又は上記の構成部品が統合された及び/又は取り付けられた一体型構造であってもよい。別の例示的な実施形態において、シャーシ602は2つ以上の構造体から構成してもよい。
【0057】
稼働中、運動学的機構626を備えていてもよい昇降プラットフォーム606は、基板キャリア204(図2)の底部の嵌合する運動学的機構と係合し、キャリア204の昇降の際の助けとなるように適合されている。キャリアをコンベヤにローディングする又はコンベヤからキャリアをアンローディングするどちらの場合でも、昇降アセンブリ604(及びTLA206)はTLA制御装置622及び/又は制御装置308の制御下で既定の/事前にプログラムされたモーションプロファイル(図11A−Dに関連して以下で詳細に説明)に従う。キャリアをコンベヤにローディングする場合、リニア型昇降アクチュエータ610は昇降菅612内を昇降スライド608を押し上げる。これによりローディング対象であるキャリアを支持している昇降プラットフォーム606がクレードルまで持ち上げられ、キャリア最上部のフランジがクレードルと係合する。同様に、キャリアをコンベヤからアンローディングする場合、リニア型昇降アクチュエータ610は昇降菅612内を昇降スライド608を押し上げ、昇降プラットフォーム606を上昇させ、運動学的機構626をキャリア底部の嵌合する凹部へと係合させる。次にキャリアをコンベヤに取り付けられたクレードルから外し、クレードルから降ろす。
【0058】
上述したように、TLA206は2セットの車輪614、616を含んでもよい。垂直型車輪614のアクセルは互いに傾斜しているため、TLA206は円形経路を転がる傾向がある。互いに対してのアクセルの角度は、TLAが辿る円形経路が搬送ステーション102Aのトラック300に一致するようなものに設定することができる。或いは又はそれに加え、垂直型車輪614はそれ自体が角度を成していることから、車輪の片側の直径は同じ車輪の反対側の直径よりも小さい。このような車輪は自然と円形の経路を辿り、円形経路の直径はその車輪の両側の直径における相対的差異の関数である。直径差は、車輪が搬送ステーション102Aのトラック300と一致した円形経路を辿るようなものを選択することができる。上述したように、垂直型車輪614に傾斜をつけること及び/又は垂直型車輪614として使用する傾斜車輪を選択することで(例えば、搬送ステーション102Aのトラック300に一致する円形経路を辿るように適合された車輪)、転がり摩擦は軽減され、汚染源となる可能性のある粒子の発生が最小限に抑えられる。2つの垂直型車輪614は図6のTLA実施形態での使用を描いたものであるが、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上の数の車輪614を別の実施形態で用いてもよい。垂直型車輪はポリウレタン又はポリエチレン材料又はその他の実用的な材料から形成することができる。ポリウレタンは、例えば、転がり面が静かなものとなることを含めたその特性から選択することができる。
【0059】
各TLA206はその他のTLAとは独立して稼動されるため、実施形態によっては、搬送ステーション102A内で循環させる際に2つ以上のTLAが互いに接触する可能性がある。TLA206の両端にバンパ624を設け、垂直型車輪614(及びTLA206)を搬送ステーション102A内で衝突の可能性のあるその他のTLAから保護してもよい。バンパ624は低デュロメータ硬さのポリウレタン又はその他の実用的な材料等の衝撃吸収材料から形成することができる。
【0060】
TLA206に水平型車輪616も用いることで、TLA206を搬送ステーション102A内で誘導し、それが搬送ステーション102Aの車道400、402上を進む際に求心的な支持をTLA206に付与してもよい。水平型車輪616もまた、TLA206の後方にあるリニアモータ磁石アレイ700と電力受取接触子702を駆動システム306と電力伝達システム410からそれぞれ一定の距離を置いて維持するのに役立っている。4つの水平型車輪616は図6のTLA実施形態での使用を描いたものであるが、1つ、2つ、3つ、5つ、又はそれ以上の数の車輪616を別の実施形態で用いてもよい。水平型車輪616は超高分子量(UHMW)ポリエチレン材料又はその他いずれの実用的な材料から成るものであってもよい。UHMWポリエチレンは、例えば、その潤滑性及び高い耐摩耗性から選択される。
【0061】
TLA206がエネルギーを電力受取接触子702経由で受け取る実施形態の場合、接触子702はTLA206上に位置されており、電力伝達システム410を具現化している搬送ステーション102Aのスリップリングと整列する。接触子702はバッテリ620、TLA制御装置622、及びTLA制御装置622を介してリニア型昇降アクチュエータ610に連結された電源618に連結されている。電力をTLA制御装置622に供給することに加え、電源618は電力伝達システム410が有効な場合/電力を供給している場合にバッテリ620を充填して維持するよう作動し、電力伝達システム410が無効な場合/電力を供給していない場合にバッテリ620から電力を引き出す。
【0062】
別の実施形態において、電力伝達システム410は電力伝達機構に連結された変圧器を含んでいてもよい。TLA206は(例えば、電力受取接触子702の代わりに)変圧器を備えていてもよく、搬送ステーション102Aの円周沿いに配置された、給電された変圧器によって形成された磁場をTLA206が通過する際にTLA206用に電気を発生する。
【0063】
TLA206に取り付けられたリニアモータ磁石アレイ700により駆動システム306が作用する磁石が設けられる。アレイ700はネオジム又はネオジム・ホウ素からなるもの等の非常に強力な永久磁石を用いてもよい。閉鎖経路リニアモータを含んでいてもよい駆動システム306により、リニアモータの選択した巻線に給電することでTLAのリニアモータ磁石アレイ700に隣接して磁場を形成し、TLAのリニアモータ磁石アレイ700、それに伴いTLA206を押し出す又は引き付けることができる。このようにして、TLA206の速度及び位置を駆動システム306により正確に制御することが可能である。駆動システム306は、位置センサ704を介して求めたTLA位置情報に応答して制御してもよい。位置センサ704は搬送ステーション102AにおけるTLA位置の正確な測定が可能な直線型位置センサであってもよい。位置センサ704が駆動システム306と直接的に通信する又はTLA制御システム622に連結させることで搬送ステーション制御装置308/駆動システム306への、例えばアンローディングする予定の到着するキャリアの下にTLA206を位置決めするためのフィードバックの供給を促進してもよい。実施形態によっては、位置センサはトラック300の円周に沿って配置された幾つかのセンサを含んでいてもよく、TLA206は位置センサがTLA位置の測定の際に検出するリニアスケールを含むのみであってもよい。従って、TLAの位置は搬送ステーション102A又はTLAそれ自体のいずれかによって測定することが可能である。
【0064】
次に図8を参照するが、輸送昇降アセンブリ206、特にはTLA制御装置622の構成部品を図示するブロック図である。TLA制御装置622はプロセッサ800、実行コード804を保存するための関連するメモリ802、通信用設備(例えば、通信ポート806)、及びTLA206、特には昇降アセンブリ604を制御するための様々なセンサ810、704を監視するためのセンサシステム808を含んでいてもよい。プロセッサ800は、TLA206のリアルタイム制御用に適合されたいずれの適切なマイクロプロセッサ又はCPUであってもよい。メモリ802内に保存された実行コード804はキャリアをコンベヤにローディング又はコンベヤからアンローディングするためのモーションプロファイル処理を実行する昇降アセンブリ制御コマンドのシーケンスを含んでいてもよい。通信ポート806は例えばブルートゥース(商標名)又は無線イーサネット等の実用的なプロトコルを用いて搬送ステーション制御装置308又はその他のシステムと情報を無線交換するように適合されたトランスミッタとレシーバとを含んでいてもよい。昇降アセンブリ604を制御するためのセンサシステム808に連結されたセンサ810、704は昇降プラットフォーム606の位置(例えば、上又は下)を検出するための1つ以上のセンサ、キャリアが現在、昇降プラットフォーム606上にあるか否かを検出するための1つ以上のセンサ、昇降プラットフォーム606がキャリア又はクレードルの中央下に置かれ、キャリアのアンローディング又はローディング準備が出来たか否かを求めるための1つ以上のセンサ等を含んでいてもよい。
【0065】
TLA制御装置622を昇降アセンブリ604にも接続し、昇降アクチュエータ610に実際に信号を送ってモーションプロファイル処理を実行してもよい。TLA制御装置622を電力システム812にも接続し、電力をバッテリ620及び/又は電源618から受けとってもよい。
【0066】
図9を参照するが、キャリアをあるコンベヤから2つめのコンベヤへと搬送するための方法例900を示すフローチャートである。方法900は工程902から開始される。工程904で、TLA206は駆動システム506によって搬送ステーションのトラック300に沿って推進される。工程906で、個々のTLA206は搬送ステーショントラック位置情報をそれぞれのオンボード位置センサ704から受け取る。工程908で、TLAの個体情報、トラック位置、及び可用性状態が搬送ステーション制御装置308へと無線で通信される。工程910で、特定の対象キャリアについての搬送命令が搬送ステーション制御装置308から特定の可用なTLA206へと伝達される。工程912で、TLA206は第1コンベヤに到着する搬送対象であるキャリアと整列させられる。TLA206と対象キャリアとの整列は、センサ208を用いての到着するキャリアの位置の検出と、到着するキャリアの速度と一致するようにTLA206の速度を変更することを含んでいてもよい。TLA206の速度変更は、TLA206によって求められかつTLA206から受け取った整列情報に応答して、駆動システム506に信号を送ることで搬送ステーション制御装置308によって作用される。
【0067】
工程914において、対象キャリアは第1コンベヤからTLA206によって取り外される。キャリアの取り外しには、TLA206が搬送予定のキャリアと一旦整列されてからTLA206のエンドエフェクタ(例えば、昇降プラットフォーム606)を上昇させることを含んでいてもよい。昇降プラットフォーム606を上昇させてキャリアと接触させ、アンローディング・モーションプロファイル過程(図10C−Dに関連して以下で詳細に説明)を実行し、キャリアを動いているコンベヤから取り外してもよい。
【0068】
工程916で、キャリアを第2コンベヤへと輸送する。キャリアの輸送には、TLA206を搬送ステーション102Aのトラック300周囲に沿って駆動システム506(例えば、リニア駆動モータ306を用いて)を介して推進することを含んでいてもよい。実施形態によっては、キャリアを載せたTLA206を、空のクレードルが到着するまでトラック300上を単に循環させても、或いは、これに加えた又は代わりの実施形態において、TLA206に指示を与えてキャリアを第1コンベヤへとローディングし直し、第1コンベヤ上でキャリアを再配置するだけであってもよい。これはFab内の別の場所のツールステーションへのキャリアの到着を、ツールステーションのキャリア受け入れ準備が整うまで遅延させるために行う。
【0069】
図9の方法900に戻るが、工程918において、TLAを第2コンベヤ上の到着する(利用可能な)対象クレードルと整列させる。対象クレードルは事前に個体識別された特定のクレードルであっても、或いは単にTLA206のアンローディング準備が整った際に搬送ステーション102Aに到着する第2コンベヤ上で次に利用可能なクレードルであってもよい。上述ように、TLAと到着する対象クレードルとの整列には、第2コンベヤ上の到着クレードルの位置の検出と、到着するクレードルの速度に一致するようにTLAの速度を変更することを含んでいてもよい。
【0070】
工程920で、キャリアを第2コンベヤ上に搭載する。キャリアの搭載又はローディングには、TLA206が一旦、対象クレードルと整列したら、キャリアを第2コンベヤ上の対象クレードルまでTLA206のエンドエフェクタ(例えば、昇降プラットフォーム606)を介して上昇させることを含んでいてもよい。ローディング・モーションプロファイル過程(図10A−Bに関連して以下で詳細に説明)を実行して、動いているコンベヤ上のクレードル上にキャリアを係合させてもよい。
【0071】
図10A−Dは昇降アセンブリ604についての例示的なモーションプロファイル過程を示す。本発明の少なくとも1つの実施形態において、このようなモーションプロファイルを用いた場合、TLAの位置センサ704しか必要とされない(例えば、その他のセンサ208、810を排除してもよい)。図10Aを参照すると、曲線C1はローディング操作中のX軸(コンベヤ106Aが進む水平方向)に沿った昇降アセンブリ604の速度を示す。曲線C2はローディング操作中のZ軸(垂直方向)に沿った昇降アセンブリ604の速度を示す。曲線C3は昇降アセンブリ604のz軸位置を示し、曲線C4はローディング操作中の昇降アセンブリ604のx軸位置を示す。図10Bは図10Aと同様であるが、z軸位置のデータを拡大したものである。図10C−Dは図10A−Bと同様であるが、アンローディング操作中の昇降アセンブリ604についてのx軸速度(曲線C1´)、z軸速度(曲線C2´)、z軸位置(曲線C3´)及びx軸位置(曲線C4´)を示す。図10A−Bが基板キャリアローディング操作開始時の低z位置でのz軸位置データ(曲線C3)を示すことに留意すること(例えば、基板キャリアのサイズを相殺するため)。
【0072】
図10A−Bと曲線C1−C4を参照すると、昇降アセンブリ604はローディング操作について上記したものと同様の上昇、下降、及び加速を行う。例えば、ローディング操作を実行するための信号を受信した後、昇降アセンブリ604は(TLA206を介して)加速して時間T1とT2の間にx方向(曲線C1)のコンベヤ106Aの速度と一致する。その後、時間T3とT4との間で、昇降アセンブリ604(曲線C3)をコンベヤ106Aのレベルまで上昇させ、例えばコンベヤ106Aにローディングする基板キャリア204の最上部のフランジが基板キャリア204を受け取るクレードル202より高い位置にくるようにする。
【0073】
時間T5とT6との間で、昇降アセンブリ604をコンベヤ106Aの速度よりも加速することで(曲線C1)(そして次にコンベヤ106Aの速度まで減速)、基板キャリア204のフランジをクレードル202上に位置させる。時間T7で、基板キャリア204のフランジがクレードル202上方に位置した状態で、昇降アセンブリ604を下降させ(曲線C3)、フランジが(時間T8で示されるように)クレードル202と接触した時点で停止させる。次に昇降アセンブリ604を時間T9まで降下させ、基板キャリア204はクレードル202上に残る。これにより基板キャリア204は実質的に昇降アセンブリ604とクレードル202とのゼロ相対速度及び/又は加速度でコンベヤ106Aへと搬送される(例えば、時間T8で)。例えば、昇降アセンブリ604はフランジがクレードル202と係合すると停止するため、基板キャリア204の搬送はz方向に実質的にゼロ速度及び加速度で生じる(曲線C2)。同様に、キャリア交換の最中、x方向の昇降アセンブリ604の速度は一定かつコンベヤ106Aの速度と一致しているため(曲線C1)、基板キャリア204の搬送はx方向に実質的にゼロ加速度で起こる。更に、基板キャリア搬送の最中のy方向で起こる唯一の運動は搬送ステーション102Aの一定曲率半径の調整である。しかしながら、昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aの双方が実質的に同じ経路を辿ることから、y方向の相対運動は昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aとの間でゼロである。従って、基板キャリア搬送は3方向で実質的にゼロ相対加速度で、かつ少なくとも2方向で実質的にゼロ相対速度で実行することができる。時間T9に続き、昇降アセンブリ604はTLA206の定常状態速度へと減速する(曲線C1)。
【0074】
図10C−D及び曲線C1−C4を参照するが、昇降アセンブリ604はアンローディング操作に関して上述したものと同様の上昇、下降、及び加速を行ってもよい。例えば、アンローディング操作を行うための信号を受信後、昇降アセンブリ604はTLA206を介して時間T1とT2との間でx方向にコンベヤ106Aの速度と一致するように加速される(曲線C1´)。その後、時間T3とT4の間で、昇降アセンブリ604を上昇させて(曲線C3´)運動学的機構626をコンベヤ106Aからアンローディングされる基板キャリア204の底部と係合させる。時間T4で、運動学的機構626がキャリア204の底部と係合した時点で昇降アセンブリ604の上昇を停止させる(曲線C2´及びC3´)。時間T4とT5との間で、昇降アセンブリ604を更に上昇させ、基板キャリア204のフランジをクレードル202から持ち上げて外す。これにより基板キャリア204は実質的に(例えば、基板204をクレードル202から持ち上げるに先立っての時間T4でのz軸運動の停止、及び昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aとの間の速度の一致による、x、y及び/又はz方向での)ゼロ相対速度及び/又は加速度でクレードル202からアンローディングされる。時間T5に続き、昇降アセンブリ604は減速及び再加速し(曲線C1´)降下することで(曲線C3´)上述したようにかつ図10C−Dで図示したようにクレードル202を空にする。
【0075】
従って、基板キャリアの動いているコンベヤからの/へのアンローディング/ローディングは、1つ以上の方向、より好ましくは2方向に、最も好ましくは全方向で実質的にゼロ相対速度及び/又は加速度で起こる。垂直方向での実質的にゼロである速度及び加速度が好ましく、アンローディング/ローディング中、実質的にゼロ速度及び/又は加速度であるよりもゼロ速度及び/又は加速度であることがより好ましい。本願で使用する「ゼロ速度」又は「ゼロ加速度」とはコンベヤ高さ、コンベヤ速度、アクチュエータ再現性等のシステム上のムラ、制御装置の分解能、アクチュエータの分解能、TLA位置公差等のシステム制限及び/又はその他を鑑みて可能な限りゼロに近いということを意味する。「実質的にゼロ速度」又は「実質的にゼロ加速度」とは十分なだけゼロに近いことから、基板キャリアに格納された基板を損傷することなく及び/又は損傷を引き起こす恐れのある粒子を発生させることなく、基板キャリアを動いているコンベヤ及び/又はクレードルからアンローディングする及び/又はコンベヤ及び/又はクレードルにローディングできることを意味する。例えば、基板キャリアを比較的遅い速度で接触させることができる。一実施形態において、昇降アセンブリは垂直方向に迅速に上昇し、次に基板キャリアとの接触に先立って比較的低速又は実質的にゼロ速度へと減速してもよい。同様に緩やかな(又は実質的にゼロの)加速を行ってもよい。同様のローディング操作を行ってもよい。一実施形態において、基板又は基板キャリアは約0.5G未満の力で垂直方向で接触させられ、別の実施形態においては、約0.15G未満の力で接触させられる。別の接触力値を用いてもよい。
【0076】
本発明を主に、基板を1つだけしか含まない基板キャリア又は小ロット用キャリアの動いているコンベヤからのアンローディング及び動いているコンベヤへのローディングを参考にして説明してきたが、当然ながら同様に複数の基板を含む基板キャリアを動いているコンベヤからアンローディング又はコンベヤにローディングしてもよい。更に、本発明は単一基板用キャリアと複数基板用キャリア(例えば、25基板キャリアFOUP)の双方を輸送するシステム内で用いてもよい。同様に、本発明を用いて個々の基板を動いているコンベヤからアンローディングする及び/又は個々の基板を動いている基板にローディングすることができる(例えば、閉鎖型基板キャリア内に収納されていない基板)。例えば、基板を開放型基板キャリア、基板支持体、基板トレイ又は昇降アセンブリ604(又はその変形バージョン)による同様の昇降アセンブリ運動及び/又はモーションプロファイルを用いてのコンベヤの基板輸送デバイスへの基板の直接的な配置又は基板輸送デバイスからの基板の除去を可能とするような別の基板輸送デバイスを用いてコンベヤを経由して輸送してもよい。実施形態によっては、搬送ステーションを格納ラック又は処理ツールステーションに隣接して位置させてもよい。個々の基板はコンベヤから搬送ステーションを経由してドッキングステーション又はその他のローディングポートに搬送しても、或いは必要なら直接的にロードロックチャンバ及び/又は処理ツールへと搬送してもよい。例えば、基板を昇降アセンブリ604から直接的にファクトリインタフェースの基板取扱ロボット及び/又は処理ツールに(例えば、直接的な「昇降プラットフォーム/エンドエフェクタ間」搬送により又は中間搬送位置を経由して」)搬送してもよい。複数の個々の基板を同様に動いているコンベヤからアンローディングしてもコンベヤにローディングしてもよい。
【0077】
本発明により、個々の基板及び/又は基板キャリアをコンベヤからアンローディングし、個々の基板及び/又は基板キャリアをコンベヤにローディングし、個々の基板及び/又は基板キャリアをあるコンベヤからいずれの数の別のコンベヤへとコンベヤを停止させることなく搬送することが可能となる。この結果、コンベヤはFabの稼働中、絶え間なく動き続けることが可能となる。これらの構成によりFabの運転がより効率的となり、各基板製造に必要な総経過時間の短縮、既定のレベルの基板スループットを得るのに必要な作業の削減、Fabで製造される電子デバイスあたりの製造コストの低下が含まれる。
【0078】
上述したように、上記記載のシステムは小ロットサイズ用キャリアの輸送に特に良く適したものであり、1枚だけ又は実質的に25枚未満の基板(例えば、13枚未満、実施形態によっては基板5枚以下)を保持する基板キャリアが挙げられる。
【0079】
本発明の一部の実施形態において、上記記載のシステムは「バンド間搬送モジュール」、以下、B2B搬送モジュール又はただのB2Bとして記載されることもあり、カセットをあるコンベヤ(「バンド」とも称される)から別のコンベヤへと搬送する際に、又は同一のコンベヤ上の「ショートカット」と称される近接した適切な2点間でカセットの搬送を行う際に使用される。
【0080】
システムをB2B搬送モジュール又はショートカットのどちらで使用するかによって特定の実装パラメータを調整する。移動元及び移動先バンドの速度はB2Bの場合、若干異なるが、ショートカットでの使用における速度はローディング及びアンローディングについて同じである。バンド間での異なる速度での搬送が可能であるという機能要件を課すことで、ショートカットの場合はB2Bの場合より速度差がゼロという簡単なバージョンとなる。
【0081】
バンド速度がほぼ同じである場合、或いは平均値が同様である程度に異なる場合、移動元と移動先のクレードル(例えば、キャリアを配置可能なコンベヤ上の位置)との間には関係が存在する。B2Bの場合、各クレードル位置は1つ以上の移動元・移動先クレードル対の一部となる可能性が最も高く、これは2つのバンドの長さが異なるからである。ショートカットの場合(つまり、同じバンド上の2点間での搬送)、各クレードルはその移動元・移動先クレードル対に固有のクレードルを1つ有する。この実装態様を、スケジューリングアルゴリズム実装で考慮してもよい。
【0082】
例えば、図11に図示したようなB2B実施形態例を考えてみることにする。例としてのシステム1100において、バンド1の1102は長さほぼ90mであり、バンド2の1104は長さほぼ60mであり、B2B搬送モジュール1106は直径が約2.4mである(つまり、円周は約15m)。バンド1102、1104は共にほぼ1.5m/秒で進み、B2B搬送モジュール1106によって図11に図示されるように橋渡しされている。もし時間T1の時点でバンド1の1102のクレードル1(図示せず)(B1C1)がB2B搬送モジュール1106の位置を約37.5m通過し、バンド2の1104のクレードル1(図示せず)(B2C1)がB2B搬送モジュール1106の位置にある場合、約40秒後(時間T2)、クレードルB1C1は到着してしまっているだろうし、B2C1はB2B搬送モジュール1106に到着し、B2B搬送対を形成する。B2B搬送モジュール1106もまた約1.5m/秒で動いていることから、キャリアはB2B搬送モジュールに、キャリアを最終的に受け取る側のもう一方のバンド上のクレードルから若干(例えば、約5秒)早く到着することになり、バンド1102と1104間での搬送時間が生まれる。約1.5m/秒で、例としてのB2B搬送モジュール1106の約7.5mに亘ってキャリアを搬送するのに約5秒かかる。このため、上記の実施例において、B1C1クレードル上のキャリアは時間T2より約5秒前に時間T2までにB2B搬送モジュール1106に受け渡され、B2B搬送モジュール1106はキャリアを移動して到着するB2C1クレードルに会わせて受け渡す。
【0083】
図12に図示されるように同じバンド内で搬送を行う実施例1200の場合、移動元・移動先クレードル対は、B2B搬送モジュール1206間のバンド片1202、1204の長さの関数に基づいて純粋に求めればよい。
【0084】
実施形態によっては、B2B搬送モジュールは7つのTLAを含んでいてもよく、直径約8フィート又は2.4mであるB2B搬送モジュールのトラック(例えば、円形トラック)に沿ってコンベヤの通常速度で一定の動きをしている。別の実施形態においては、より多くの又はより少ない数のTLAを用い、より大きい又はより小さいトラックを用いてもよい。
【0085】
例としての実施形態において、TLAの公称間隔は1mであってもよく、例えばバンド上のクレードルの間隔の2倍である。従って、この実施形態例において、隣接するTLAはバンド上のクレードルに交互(1つおきに)にアクセスすることになる。B2B搬送地点でのバンド(又はバンド片)は反対方向に動く。各TLAはトラックの軸に沿って独立して制御可能である。つまり、TLAの速度、位置、ローディング機能、アンローディング機能等のそれぞれは別々に制御することができる。各TLAは独立した垂直軸を含む。各TLAは、上述したように、トラック軸と垂直軸とを同時に移動させて「ピック」及び「プレース」ローディング/アンローディングモーションプロファイルを実行してキャリア搬送を行うことができるという点でツールステーションロボットと同様の操業能力を有し得る。
【0086】
図13を参照するが、B2B搬送モジュール1300の実施形態例の概略図が描かれている。バンド1の1302はB2B搬送モジュール1300上に配置されており、右から左の方向に移動し、バンド2の1304もB2B搬送モジュール1300上に配置されており、左から右方向に移動する。図示の実施具体例において、トラック1306はトラックの周りを半時計周りに循環するTLA(図示せず)を含む。その他の実施形態において、バンド1302、1304及びTLAは図13に図示のものとは別の方向に移動してもよい。所定の時間で、各バンド1302、1304に沿ったある長さ(またはバンド部位)が「搬送区域」1308、1310内に入る。キャリア1312、1314及び1316、1318、1320がそれぞれの搬送区域1310、1318に導かれ、ここでTLAがキャリア1312、1316を搬送区域1310、1318でそのそれぞれのクレードル(図示せず)から取り外す。同様に、TLAは搬送区域1310、1308のキャリア1312、1316をクレードルに、またそれぞれの搬送区域1310、1308内でローディングしてもよい。(移動元クレードル上の)移動元キャリアと移動先クレードルの可用性が100%と仮定すると、B2B搬送モジュールの理論上の最高スループットはバンド速度とクレードル間隔の関数として表すことができる。例えば、公称のバンド速度が2m/秒、クレードル間隔が0.5m、TLA間隔が1mであると仮定した場合、B2B搬送モジュールは毎秒2つのクレードルをピッキングし、2つのクレードルをプレーシングすることが可能である。従って、上記の「1つおき」の実施形態について、このようなB2B搬送モジュールの理論上の最高スループット(TM)は、
=2(クレードル/秒@2m/秒速度)*60秒/分*60分/時間、
=7200ピッキング及びプレーシング/時間(例えば、2つのTLAがほぼ同時に各バンドとのローディング/アンローディングを行う)、
になる。
【0087】
B2BのTLAはトラック軸に沿って独立して制御可能であることから、バンド1302、1304を高精度で同調させて開始又は停止させる必要はない。2つのバンド1302、1304が搬送区域1308、1310間で進む距離を利用して「加速」又は「遅延」させ、2つのバンドの「位相ずれ」特性を調整してもよい。このような特性は2つのバンド1302、1304のそれぞれの開始における時間差及び/又は2つのバンド1302、1304間の速度差から生じる定位相シフトから生じ得る。
【0088】
実施形態によっては、2つのバンド1302、1304間の速度差に基づいて留保モデルを用いてもよく、移動先バンド上で遅延している又は/及び遅れているクレードルを留保しておいて確実に受け渡しを行う。B2B搬送モジュール1300は「加速して次のクレードルを捕まえる」という機能性を組み込んだものであってもよい。この機能は、例えば受け渡し予定のクレードルが何らかの理由で使用できない場合に、隣接するクレードルを使用する際に有用である。同様に、B2B搬送モジュール1300に「減速して次のクレードルを捕まえる」という機能性を組み込んでもよい。
【0089】
実施形態によっては、B2B搬送モジュール1300は速度測定を、それによりB搬送モジュール1300がインターフェースをとっているところのバンド1302、1304上で行い、スケジューリングの更新を行ってもよい。移動先のクレードルへの受け渡しに失敗した場合は、次の移動先クレードルが確定するまでB2B搬送モジュール1300の周りに沿ってキャリアを輸送してもよい。これは、実施形態によっては異常状態を意味する。
【0090】
実施形態によっては、1つ以上のTLAがいずれかの操作位置で故障した場合でもバンドが確実に動き続けるようにと、TLAは適切な設計の構成(例えば、冗長駆動及び/又は搬送システム)を組み込んだものであってもよい。
【0091】
実施形態によっては、幾つかの要素及び操作パラメータがB2B搬送モジュールの使用と実行に影響を与える場合がある。事前にわかるのなら、総体的又は具体的な搬送時間要件が最適ツールセットレイアウトを指定し、これがB2B搬送モジュールの必要性を最低限に抑えることになる。このような場合、時間要件を満たすには1つのバンドで十分な場合があり、1つのバンドを用い、バンド間での搬送の必要性がなくなる。このような場合、図12で図示したような「ショートカット」構成のB2B搬送モジュールは依然としてスループットの改善、同一バンド内での2つ以上の地点間でのスループットの改善に有用となる。
【0092】
既存のFabの拡張には、典型的には面積とツールの追加が伴う。将来的な拡張計画があるならば、バンド及びバンド間搬送モジュールのレイアウトを計画にいれつつ考慮してもよい。更に、搬送時間要件を考慮した後にFAB内でツールを分散させ、かつ必要な近接性が満たされるならば、処理工程及び計測学的変更により、長い搬送時間経路を導入することができる。従って、処理工程と計測学的変更の可能性は、バンド及びB2B搬送モジュールレイアウトの計画で重要な考慮事項となる。
【0093】
上述の説明は本発明の特定の実施形態についてのみ開示しており、本発明の範囲内である上記で開示の方法及び装置の変形は当業者にすぐに明らかとなる。当然ながら、本発明をパターン形成の如何を問わずシリコン基板、ガラス板、マスク、レチクル等のいずれのタイプの基板、及び/又はこのような基板を輸送及び/又は処理するための装置と共に用いてもよい。
【0094】
従って、本発明をその特定の実施形態に関連させて開示してきたが、当然ながら以下の請求項によって規定されるように、その他の実施形態も本発明の精神及び範囲に入り得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態による搬送ステーションを備えた電子デバイス製造設備の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による搬送ステーション及びコンベヤの斜視図である。
【図3】図2の搬送ステーションの斜視図である。
【図4】図2の搬送ステーションの断面斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による搬送ステーションの構成部品のブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの正面斜視図である。
【図7】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの後方斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの構成部品のブロック図である。
【図9】本発明の実施形態による方法例を表わすフロー図である。
【図10A】本発明の実施形態によるキャリアローディングモーションプロファイル過程を図示する位置/速度グラフである。
【図10B】図10Aの位置/速度グラフの一部のより詳細な図である。
【図10C】本発明の実施形態によるキャリアアンローディング過程を図示する位置/速度グラフである。
【図10D】図10Cの位置/速度グラフの一部のより詳細な図である。
【図11】本発明によるB2B搬送モジュールによって橋渡しされた2つのバンドの実施形態例の図である。
【図12】本発明によるB2B搬送モジュールによって橋渡しされ、「ショートカット」を形成した単一のバンドの2つの断片の実施形態例の図である。
【図13】本発明による搬送区域を備えたB2B搬送モジュールの実施形態例の概略図である。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717335号「搬送ステーション用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L/SYNK/SYNK/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0002】
本願はまた2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717150号「輸送昇降アセンブリ用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L2/SYNX/SYNX/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0003】
本願はまた2005年9月14日出願の米国特許仮出願第60/717336号「バンド間搬送モジュール用の方法及び装置」(代理人整理番号9613/L3/SYNX/SYNX/JW)に基づく優先権を主張し、引用により全て本願に組み込まれる。
【0004】
本願は以下の同一譲受人に譲渡された、同時係属中の米国特許出願にも関連し、それぞれ引用により全て本願に組み込まれる。
【0005】
2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650310号「基板キャリアを輸送するためのシステム」(代理人整理番号6900)。
【0006】
2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764982号「基板キャリアを輸送するための方法及び装置」(代理人整理番号7163)。
【0007】
2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650480号「移動中のコンベヤから直接的に基板キャリアをアンローディングする基板キャリアハンドラ」(代理人整理番号7676)。
【0008】
2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764820号「基板キャリアを懸架するためのオーバーヘッド搬送フランジおよび支持体」(代理人整理番号8092)。
【0009】
2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987955号「コンベヤベルトの屈曲に対応したブレイクアウェイ位置決定コンベヤ架台」(代理人整理番号8611)。
【発明の分野】
【0010】
本発明は、概して、半導体デバイス製造システムに関し、特には製造設備内での基板キャリアの輸送に関する。
【発明の背景】
【0011】
電子デバイスの製造は、典型的にはシリコン基板、ガラス板等の基板に対して一連の処理を施すことを伴う(このような基板はパターン形成の如何を問わずウェハと称されることもある)。このような工程には研磨、堆積、エッチング、フォトリソグラフィ、熱処理等が含まれる。通常は複数の処理チャンバを含む単一の処理システム又は「ツール」において、多数の異なる処理工程を行う。しかしながら、一般的には製造設備において処理は種類毎に別の場所で行う必要があることから、基板を製造設備内である処理ツールから別の処理ツールへと輸送する必要がある。製造する電子デバイスのタイプによっては、製造設備内のかなりの数の異なる処理ツール/場所で比較的多数の処理工程を実行する必要がある場合がある。
【0012】
密閉ポッド、カセット、コンテナ、開放トレイ、カセットその他等の基板キャリアを介してある処理場所から別の処理場所へと基板を輸送するのが一般的である。また、自動搬送装置、オーバーヘッド輸送システム、基板キャリア取扱ロボット等の自動基板キャリア輸送装置を用いて基板キャリアを製造設備内のツール間で移動させる、又は基板キャリアの基板キャリア輸送装置との搬入・搬出を行うのが一般的である。
【0013】
個々の基板について、基板の形成から完成した基板からの個々の電子デバイスの切断まで、デバイス製造の総工程は週間単位〜月単位で測定される経過時間を必要とする場合がある。そのため、基板搬送時間を短縮して非付加価値時間を削減することが望ましい。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1態様においては、移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含む装置が提供される。
【0015】
本発明の第2態様においては、移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外し、移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングすることを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の第3態様においては、第1速度で進む第1コンベヤと、第2速度で進む第2コンベヤと、第1及び第2コンベヤに隣接して配置されたバンド間搬送装置を含むシステムが提供され、バンド間搬送装置は第1コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、第2コンベヤの一部がバンド搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含む。
【0017】
数多くのその他の態様を、本発明の様々な態様に沿った装置、システム及びコンピュータプログラムプロダクトとして提供する。本願に記載の各コンピュータプログラムプロダクトはコンピュータ可読性の媒体(例えば、搬送波信号、フロッピーディスク、コンパクトディスク、DVD、ハードドライブ、ランダム・アクセス・メモリ等)で実行することができる。
【0018】
本発明のその他の構成及び態様は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付図面からより完全に明らかとなる。
【詳細な説明】
【0019】
本発明の態様は、キャリア(例えば、基板キャリア)を電子デバイス製造設備(Fab)内の2つ以上のコンベヤ間(例えば、連続的に移動する高速オーバーヘッド輸送システム(OHTシステム))で搬送するための方法及び装置を提供する。本発明は複数の独立した輸送昇降アセンブリ(Transport Lift Assembly:TLA)を備えた搬送ステーションを含み、TLAはそれぞれコンベヤ上を動くキャリアと整列し、(例えば、昇降アセンブリを用いて)コンベヤからキャリアを分離し、キャリアを第2コンベヤに輸送し、第2コンベヤへとキャリアを搬送(例えば、搭載)するように適合されている。本発明の搬送ステーションにより、コンベヤ又はTLAを停止させることなくコンベヤ間で搬送を行うことが可能となり、又、キャリアが搬送ステーションに到着するにつれての連続した搬送も可能となる。つまり、キャリアがあるコンベヤに到達するのが早ければ早いほど、本発明の搬送ステーションは到着したキャリアを別のコンベヤへと移動させることが可能である(例えば、空いた又は開放キャリア位置で)
【0020】
搬送ステーションは、TLAを誘導してコンベヤと整列させるためのトラックを含んでいてもよい。1つ以上の実施形態において、トラックは各コンベヤに近接して配置された円形トラックでもあってもよい。実施形態によっては、その他の形状のトラックを用いてもよい(例えば、楕円)。例えば、各コンベヤの一部がトラックの異なる部位上を通過してもよい。駆動システム(例えば、閉路リニアモータ)を設置することでトラック周辺に沿ってTLAを推進させてもよい。加えて、制御システムを設置することでキャリア及び/又はクレードルの到着についての情報を受け、駆動システムを制御することで個々のTLAの速度を調節して(例えば、アンローディング操作を見越して)到着するキャリアと整列させても、或いは(ローディング操作を見越して)クレードル等の到着するコンベヤ位置と整列させてもよい。制御システムは駆動システムも制御し、個々のTLAの速度を実際のアンローディングとローディング過程の一部として調節してもよい。実施形態によっては、トラックとTLAの下部をその内部が陰圧に維持された筐体で取り囲み、汚染源となる可能性のある粒子を捕捉してもよい。筐体は迅速なTLA交換を可能ならしめる1つ以上のアクセス扉を含んでいてもよい。
【0021】
各TLAは、例えば、TLAによるコンベヤからのキャリアの取り外し又はキャリアのコンベヤへの搭載を指示する(例えばブルートゥース(商標名)等のプロトコルを使用した(http://www.bluetooth.org/spec/))制御信号を搬送ステーション制御システムから受信するための無線通信設備を含んでいてもよい。このような命令に応答して、TLAに搭載の個々のTLA制御装置を事前にプログラムし、搬送ステーション制御装置/制御システムの命令通りにローディング又はアンローディング手順を実行するようにしてもよい。
【0022】
TLAは基板キャリアへの連結、支持、及び/又は整列用の運動学的機構を備えたエンドエフェクタを含む昇降アセンブリを含む。実施形態によっては、TLAは水平及び垂直方向の車輪セットの双方を含んでいてもよく、TLAはその上をトラックの周囲に沿って進む。トラックが円形の実施形態においては、垂直方向を向いた車輪セットはそれ自体が傾斜しているため、TLAはトラックの直径に対応する円形経路を辿る。TLAのこの構成により車輪の摩擦は低下し、粒子の発生が低下する。
【0023】
図1に戻るが、搬送ステーション102A−Eを用いた電子デバイス製造設備(Fab)100の概略図である。Fab100は数多くの処理ツール104A、104B(そのうちの2つだけを代表として符号を附している)を含み、コンベア106A−Dによって繋がっている。搬送ステーション102A−E及び/又はコンベヤ106A−Dが1つ以上の輸送システム制御装置(TSC)108に連結され、制御されている。
【0024】
稼働中、搬送ステーション102A−E、コンベヤ106A−D、及びTSC108は継続的に移動する高速オーバーヘッド輸送システム(OHTシステム)の一部となり、高速オーバーヘッド輸送システムは1つ以上の基板を含むキャリア(図示せず)を処理ツール104A、104B(及び/又はFab100のその他の処理ツール)に送るように適合されている。各コンベヤ106A−Dは小ロットサイズ用キャリア、例えば基板を1枚又は実質的に25枚未満(例えば、13枚未満、実施形態によっては5枚以下)保持する基板キャリアを輸送するのに特によく適している閉鎖系ループとして実装してもよい。図1に図示の具体例であるFab100は4つの独立したコンベヤ106A−Dを備えたOHTシステムを含み、それぞれOHTシステム例を小ロットサイズ用キャリアの使用に特に適したものとする幾つかの構成を含み、高速で保守が容易で常時移動しているコンベヤ106A−D、コンベヤ106A−Dの停止又は減速を必要としないキャリアローディング/アンローディング機能、多くのキャリアを物理的に同時に支持可能なコンベヤ106A−D、所望の輸送経路に合わせて容易にカスタマイズし得る可撓性コンベヤ106A−Dが含まれる。これらの構成を以下に説明する。
【0025】
上記にて本願に組み込まれた2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650310号「基板キャリアを輸送するためのシステム」(代理人整理番号6900)は、Fabのための、FAbの操作中、常に運動状態にあるように意図された基板キャリア用のコンベヤを含む基板キャリア輸送システム又は同様の送達システムについて開示している。常時動いているコンベヤは、Fab内での基板の迅速な輸送を促進し、Fab内での各基板の総「滞留時間」を短縮することを意図したものである。
【0026】
このようにしてFabを稼動するために、コンベヤが運動中に基板キャリアをコンベヤからアンローディングし、基板キャリアをコンベヤにローディングするための方法及び装置を提供する。上記にて本願に組み込まれた2003年8月28日出願の米国特許出願第10/650480号「移動中のコンベヤから直接的に基板キャリアをアンローディングする基板キャリアハンドラ」(代理人整理番号7676)は、動いているコンベヤに対してこのようなローディング/アンローディング操作を行う、基板ローディングステーション又は「ツールステーション」(例えば、処理ツールに隣接又は処理ツールと一体型)の基板キャリアハンドラを開示している。例えば、基板ローディングステーション又はツールステーションは水平方向のガイド又は垂直可動型のクレーンと、水平ガイドに沿って水平方向に可動であるエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタを垂直方向及び/又は水平方向に移動するためのその他の構成を提供する。
【0027】
基板キャリアを搬送し、基板ローディングステーションを通過する動いているコンベヤ(「基板キャリアコンベヤ」)から基板キャリアをアンローディングするためには、エンドエフェクタを基板キャリアコンベヤによって輸送中の基板キャリアの速度と実質的に一致した速度で水平方向に移動させる(例えば、水平方向の基板キャリア速度と実質的に一致させることで)。加えて、基板キャリアが輸送される際にエンドエフェクタを基板キャリアに隣接した位置に維持してもよい。従って、エンドエフェクタは基板キャリアの位置と実質的に一致し、又、その速度は基板キャリアの速度と実質的に一致する。同様に、コンベヤ位置及び/又は速度を実質的に一致させてもよい。
【0028】
エンドエフェクタを基板キャリアの速度(及び/又は位置)と実質的に一致させる一方で、エンドエフェクタを上昇させて基板キャリアと接触させ、基板キャリアを基板キャリアコンベヤから取り外す。エンドエフェクタとコンベヤの速度(及び/又は位置)をローディング中に実質的に一致させることで、基板キャリアを同様に動いている基板キャリアコンベヤ上へとローディングしてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エンドエフェクタと基板キャリアコンベヤ間でのこのような基板キャリアの受け渡しは、エンドエフェクタと基板キャリア間での相対速度及び/又は相対加速度が実質的にゼロの状態で行う。
【0029】
上記にて本願に組み込まれた2004年1月26日出願の米国特許出願第10/764982号「基板キャリアを輸送するための方法及び装置」(代理人整理番号7163)は上記の基板キャリア輸送システム及び/又はツールステーションと共に用いることで基板キャリアを電子デバイス製造設備の1つ以上の処理ツール間で輸送するコンベヤシステムについて記載している。コンベヤシステムは、電子デバイス製造設備の少なくとも一部内で閉鎖ループを形成し、基板キャリアをその中で輸送するリボン(又は「バンド」)を含んでいてもよい。1つ以上の実施形態において、リボン又はバンドはステンレススチール、ポリカーボネート、複合材料(例えば、黒鉛炭素、ガラス繊維等)、スチール又は別の方法で補強したポリウレタン、エポキシ積層板、ステンレススチールを含むプラスチック又は重合体材料、織物(例えば、炭素繊維、グラスファイバー、デュポン社から入手可能なケブラー(Kevlar:商標名)、ポリエチレン、スチールメッシュ等)又はその他の補剛材料から形成することができる。リボンの肥厚部が垂直面内に収まり、リボンの薄肉部が水平面内に収まるようにとリボンの方向を合わせることで、リボンは水平面では柔軟に、垂直面では剛性となる。このような構成により、コンベヤを低コストで構成・実装することが可能となる。例えば、リボンの構成には材料があまり必要ではなく、製造が容易であり、その垂直方向の剛性/強度から補助的な支持構造(例えば、慣用の水平方向のベルト型コンベヤシステムで使用されるローラ又はその他同様の機構)を必要とすることなく多数の基板キャリアの重量を支えることが可能である。更に、コンベヤシステムのカスタマイズ性は高く、これはその横方向への可撓性によりリボンを屈曲、湾曲又は多くの構成へと別の形で成形することができるからである。
【0030】
上述したように、図1の実施例Fab100は4つのコンベヤ106A−D(例えば、リボン又はバンド)を含み、それぞれは実施例Fab100の異なる4分円を通るループを形成している。コンベヤ106A−Dは、例えば、上記にて本願に組み込んだ米国特許出願第10/764982号に記載されるリボンを備えていてもよい。これもまた上述されているが、コンベヤ106A−Dは処理ツール104A、104B間でキャリア(図示せず)を輸送してもよく、各コンベヤ106A−Dは直線部位と湾曲部位を備えており、交差しない閉鎖ループを形成している。処理ツール104A、104B、コンベヤ106A−D、及び/又はループ構成の数はいくつであってもよい。
【0031】
搬送ステーション102A−Eにより、キャリアをあるコンベヤから別のコンベヤへと移動させることが可能となる。例えば、搬送ステーション102Aを用いて、キャリアをコンベヤ106Aからコンベヤ106Bへと移動させることができる。実施形態によっては、コンベヤ102Eを適合させることで2つ以上のコンベヤ間での直接的なキャリア搬送を可能とすることができる。例えば、搬送ステーション102Eを用いてキャリアをコンベヤ106Aからコンベヤ106B、106C、及び/又は106Dへと、コンベヤ106Bからコンベヤ106A、106C及び/又は106Dへと、コンベヤ106Cからコンベヤ106A、106B、及び/又は106Dへと、コンベヤ106Dからコンベヤ106A、106B、及び/又は106Cへと移動させてもよい。搬送ステーションあたりのコンベヤの数は幾つであってもよく、2つ又は図1の実施例に図示されるように4つだけでなくてもよい。また、図1では図示していないが、追加又は別の実施形態において、搬送ステーションを適合させることでキャリアをコンベヤから直接的に処理ツール又は格納施設へと基板ローディングステーションを経由させて搬送してもよい。
【0032】
各処理ツールは基板キャリアハンドラを基板ローディングステーション又は処理ツール104Aの「ツールステーション」(図示せず)に含んでいてもよく、コンベヤがツールステーションを通過する際に各コンベヤ106A−Dからの基板キャリアのアンローディング又は基板キャリアのローディングを行う(上記にて本願に組み込んだ米国特許出願番第10/650480号に記載の通り)。例えば、処理ツール104Aのツールステーションのエンドエフェクタ(図示せず)を基板キャリアがコンベヤ106Aによって輸送される際のその速度と実質的に一致する速度で水平方向に移動させ、基板キャリアの輸送時に基板キャリアに隣接した位置に維持し上昇させることで、エンドエフェクタを基板キャリアに接触させ、基板キャリアをコンベヤ106Aから取り外してもよい。次に基板キャリアを処理ツール104Aへと送る。同様に、基板キャリアを動いているコンベヤ106A上へと、ローディング中のエンドエフェクタとリボンの速度(及び/又は位置)を実質的に一致させることでローディングしてもよい。
【0033】
各ツールステーションは1つ以上のローディングポート又は同様の場所を含んでいてもよく、ここに基板又は基板キャリアが処理ツールへの及び/又は処理ツールからの搬送に向けて配置される(例えば、ドッキング/アンドッキング運動を伴わない搬送位置を用いたとしても、1つ以上のドッキングステーション)。各ツールステーションに様々な基板キャリア格納場所も設け、処理ツールでの基板キャリアのバッファリングを行ってもよい。
【0034】
図1に図示のOHTシステム実施例にはコンベヤ106A−Dの監視、制御及び/又は操作の指示を行う輸送システム制御装置(TSC)108、各処理ツール104A、104Bでのツールステーション及び/又は搬送ステーション102A−Eが含まれる。図1では図示されていないが、TSC108は各処理ツール104A、104Bの各ツールステーション及び/又は各搬送ステーション102A−Eと連結及び/又は通信していてもよい。例えば、TSC108はコンベヤ106A−Dの速度及び/又は状態を制御/監視し、基板キャリアの支持/輸送に使用されるコンベヤ106A−Dのクレードルの割り当てを行い、このようなクレードルの状態を監視し、このような情報を各ツールステーション及び/又は搬送ステーション102A−Eその他へと伝達してもよい。同様に、各ツールステーションはツールステーション操作(例えば、基板キャリアのコンベヤ106A−Dへの/からのローディング又はアンローディング、基板キャリアのツールステーション及び/又はツールステーションが貢献している処理ツール等のローディングポート又は格納場所への/からの輸送)を制御するためのツールステーションソフトウェア(TSS)を含んでいてもよい。材料制御システム(MCA)(図示せず)をTSC108、搬送ステーション102A−E、及び/又は各処理ツールの各ツールステーションの各ツールステーションソフトウェアと連結及び/又は通信させ、その操作に影響を与えてもよい。TSC108、搬送ステーション102A−E、各TSS及び/又はMCSはTSC108、搬送ステーション102A−E、TSS及び/又はMCSによって実行される操作のスケジューリングを制御するためのスケジューラ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0035】
図1に図示のFab100のトポロジーは、特には基板スループットの観点からみた性能特性を強化しつつ、Fab100がよりフォールトトレラントとなるようなものに設計されている。実施形態によっては、Fab全体で単一のコンベヤを用いている。しかしながら、単一コンベヤ型のFabでコンベヤが故障又は停止を余儀なくされた場合、そのコンベヤによる全てのキャリア搬送が停止してしまう。しかしながら、複数のコンベヤ106A−D及び複数の搬送ステーション102A−Eを用いることで、たとえ1つ以上のコンベヤ102A−Dが停止してもキャリアの輸送を継続することができる。例えばキャリアを処理ツール104Aから処理ツール104Bへと輸送する必要があり、コンベヤ106Bと搬送ステーション102Eを修理のために停止させてしまっている場合でも、キャリアは依然として処理ツール104Aと104Bとの間でコンベヤ106A、搬送ステーション102D、コンベヤ106D、搬送ステーション102C、及びコンベヤ106Cを介して輸送することができる。
【0036】
図2を参照するが、搬送ステーション102Aとコンベヤ106A、106Bの実施形態例の斜視図(バンド200のみを図示)が描かれている。クレードル202はコンベヤ106A、106Bのバンド200のそれぞれに連結されており、基板キャリア204を支持するように適合されている。それぞれが(以下に記載の)昇降アセンブリを含んでいてもよいTLA206もまた、基板支持キャリア204を支持するように適合されている。図2に図示の実施形態において、クレードル202はキャリア204を上から支持し、TLA206はキャリア204を下から支持している。しかしながら、その他の構成も可能であり、TLAがキャリアを上から支持し及び/又はクレードルがキャリアを下から支持する構成を含む。
【0037】
搬送ステーション102Aは、搬送ステーション及び/又はコンベヤ106A、106Bに連結されたセンサ208も含んでいてもよい。センサ208はカメラ、スルービーム検出装置、又はキャリア204及び/又は空のクレードル202の到着及び/又は速度の検出/測定に適したその他の装置を含んでいてもよい。加えて、センサ208を用いてTLAの昇降アセンブリの位置(例えば、上又は下)、TLAの速度及び/又は位置、及び/又はクレードル/キャリアに対してのTLA/キャリア又はその逆の場合の相対位置、速度、及び/又は加速度を測定/検出してもよい。このような情報をTSC108(図1)に送信し、基板キャリア搬送の制御/調整に用いてもよい。
【0038】
上述したように、図2のコンベヤ106A、106Bの具体的な説明では記載のバンド200と共に使用し得る支持体、ガイド、及び駆動装置について省略している。支持装置を用いてバンド200を搬送ステーション102A上方の所望の高さに水平面で保持又は支持してもよい。ガイド装置を用いて、搬送ステーション102Aのトラックの一部と実質的に一致する経路にバンド200を指向させてもよい。駆動装置を用いて、バンド200をガイド装置内に通してもよい。実施形態によっては、フレーム上に取り付けられた一連のモータ駆動式のローラを用いてバンド200を支持、誘導、及び駆動する。バンド200は、コンベヤ106A、106Bを介して搬送ステーション102Aへと送られてきたキャリア204がコンベヤ106A、106Bのクレードル202から搬送ステーション102AのTLA206によってアンローディングされるようにと配置される。同様に、バンド200上の搬送ステーション102Aに到着した空のクレードル202にキャリア204をTLA206によりローディングしてもよい。
【0039】
図2は2つのコンベヤ106A、106Bを収めるに適したサイズに設計された搬送ステーション102Aを図示している。バンドの速度、バンド上のクレードルの間隔、キャリアの取り外し/搭載に必要な時間を含む様々な要因に応じて、いずれの数のバンドからの搬送及び/又はいずれの数のバンドへの搬送にも対応できるように搬送ステーションのサイズを変更することができる。ほぼ同じ速度で移動している図2に図示の2つのバンド200について、例えば約500mm間隔の速度約180キャリア/分で到着するキャリアに対応した搬送ステーションの直径は、約2.5mもの小ささにもなる。より小さい直径、特にはバンド速度がより緩慢及び/又は異なる構成の搬送ステーションが可能である。上述の搬送ステーション例上のTLAは1分あたり約12回転で循環することができ、このような搬送ステーションはバンドからバンドへと1時間あたり10800個のキャリアを搬送可能である。
【0040】
稼働中、TLA206は搬送ステーション102Aで継続的に循環し、TSC108の指示通りに独立してキャリア204のアンローディング、輸送、及びローディングを行う。例えば、TSC108はセンサ208又は搬送ステーション102Aから、キャリア204の到着を示す情報を受け取る。次にTSC108は搬送ステーション102Aに指示して、空いているTLA206と到着したキャリア204とをその速度を一致させることで整列させる。TLA206はTSC108及び/又は搬送ステーション102Aからの命令を受け取ると、キャリア204をバンド200からアンローディングし、キャリア204を搬送ステーション102Aの反対側に輸送する。TLA206は次にキャリア204を、センサ208によって検出された、到着した空の/使用可能なクレードル202にローディングする。
【0041】
次に図3を参照するが、コンベヤを除いた図2の搬送ステーション102Aの斜視図である。キャリア204が1つだけ、その下のTLA206(キャリアによって隠れている)に支持された状態で図示されている。搬送ステーション102Aは筐体302によって取り囲まれたトラック300を含む。トラック300はフレーム304によって支持されている。駆動システム306がトラック300の周囲を取り巻き、制御装置308が搬送ステーション102Aに連結していてもよい。制御装置308はローカル制御装置であってもよい。
【0042】
稼働中、TLA206がキャリア204をトラック300の周囲に沿って輸送する。以下で詳細に説明されるように、TLA206はキャリア204をオーバーヘッド輸送(OHT)システムから、(図2の)コンベヤ106A上のクレードル202と整列させながら昇降アセンブリを上昇及び降下させることでローディング及びアンローディングさせることも可能である。TLA206はそれぞれ駆動機構306によって駆動され、実施形態によっては、閉路リニアモータを含んでいてもよい。図3に図示されるように、リニアモータは隣り合う電機子巻線又はモータコイルのアレイを含んでいてもよく、個々に給電することでそれぞれが磁場を形成し、TLA206に取り付けられた永久磁石を押し出す又は引き寄せる。本発明は、TLA206の速度が駆動機構306の制御を介して独立して制御、調整されるように実行されている。駆動機構306はTSC108(図1)により直接的に制御しても、或いはローカル制御装置308により、実施形態によってはTSC108の指示下で制御してもよい。従って、各TLA206の速度及び位置は、制御装置308及び/又はTSC108からの信号に応答して駆動機構306を介して独立して制御することができる。制御装置308は、(図2)のセンサ208からの情報に応答して及び/又はTLAそれ自体からの信号に応答してTLA206の速度と位置を制御してもよい。リニアモータの構成及び操作についての更なる詳細は、チタヤ(Chitayat)の米国特許第6713902号に見ることができ、引用により全て本願に組み込まれる。
【0043】
筐体302は、一連のパネルをトラック300の両側に含んでいてもよく、パネルによってその間をTLA206が進む容積が規定される。図3に図示の筐体302はその最上部に開口部又はスロット310を含み、この開口部又はスロットから各TLAの昇降アセンブリが突出する。トラック300の支持に加えて、フレーム304は一体型粒子制御システムを含んでいてもよい。例えば、フレーム304を筐体302の底部に形成された開口部(図示せず)及び真空源312に連結された中空の管状部材として構成してもよい。フレーム部材を通して、真空圧を筐体302によって規定された容積に印加してもよい。TLAの運動によって生じた粒子はこれにより搬送ステーション102Aから筐体302の底部に形成された開口部を経由してフレーム304を通って運び去られる。或いは又はそれに加えて別の粒子制御システム(図示せず)を筐体302に直接的に連結し、粒子を筐体から除去してもよい。
【0044】
図4を参照すると、図2の搬送ステーション102Aのより詳細が示された断面斜視図である。図3と同様に、キャリア204が1つだけその下のTLA206によって支持された状態で図示されている。搬送ステーション102Aは筐体302に取り囲まれたトラック300を含む。トラック300はフレーム304によって支持され、駆動システム306がトラック300の周囲を取り囲んでいる。トラック300に加えて、TLA206は上部車線400と下部車線402と接触してもよく、車線は双方共に筐体302の外側部位の内側表面に沿って延びている。1つ以上のアクセスポート扉404を筐体302の内側部位に含めてもよい。アクセスポート扉404の開口部を通して見て取れるように、TLA206は2つの垂直型車輪406のセットと4つの水平型車輪408のセットを含んでいてもよい。実施形態によって、TLAに含まれる垂直型及び/又は水平型車輪の数は異なっていてもよい。搬送ステーション102Aは更に電力伝達システム410を含んでいてもよく、電力伝達システムもまたTLAに近接した筐体302の外側部位の内側表面に沿って延びている。
【0045】
上述したように、筐体302はその内部での可動部品によって発生した、汚染源となる可能性のある粒子の堆積及びFab100の雰囲気中への放出を防止するように適合された粒子格納筐体であってもよい。実施形態によっては、陰圧(例えば、真空圧)を筐体302で維持する。このような実施形態において、陰圧は搬送ステーション102Aのフレーム304を介して及び/又は筐体302に直接印加してもよい。フレーム304は一連の相互接続された中空部材として具体化してもよく、筐体302の底部からの多数の吸引路を設けるものであり、この吸引路により真空が搬送ステーション102A内で発生した粒子を吸い出す。こうして、上から下へと筐体302内で下降気流が形成され、粒子はTLA206から、フレーム304を介して搬送ステーション102A外へと引き出される。このような粒子格納システムを用いて、Fab100内で望まれるクラス1000のクリーンルーム等級よりも良好な環境を固守してもよい(例えば、粒子密度が0.5ミクロンより大きい粒子1000粒子未満/立方フィート空間。連邦規格209に準ずる)。
【0046】
稼働中、駆動システム306が搬送ステーション102Aの周囲に沿ってTLA206を推進すると、垂直型車輪406がトラック300に沿って転がる。垂直型車輪406はTLA206がトラック300の形状に一致した円形に自然と回転するように傾斜している又は別の形で適合されている。従って、横方向の転がり摩擦が最小限に抑えられ、粒子の発生が大幅に軽減される。一定の曲率半径を有する円形トラック300により更に、軌道が一致した、傾斜した垂直型車輪406を備えたTLA206が最低限の摩擦と粒子発生でもって回転可能となり、これにより製造環境へと持ち込まれる粒子状の汚染物質が低減されることに留意すること。追加又は別の実施形態において、トラック300を一定のピッチで傾斜をつける又はバンクさせることで摩擦と粒子の発生を最小限に抑えてもよい。
【0047】
平衡な求心力を得るために、TLA206が搬送ステーション102Aの周囲に沿って進むにつれ、水平型車輪408も上部車線400及び下部車線402上を転がる。トラック300、上部車道400、及び下部車道402はそれぞれ、粒子の発生を抑制するのに役立つ薄いポリカーボネート上層を含んでいてもよい。その他の実用的な材料を代わりにトラック300及び/又は車道400、402の表面として使用してもよい。
【0048】
実施形態によっては、TLA206は搬送ステーション102Aから搭載機能(例えば、昇降アセンブリ、無線通信、センサ等)を操作するための電力を受け取ってもよい。電力伝達システム410はTLA206のそれぞれに対しての電気接触子となるスリップリングを含んでいてもよい。或いは、変圧器を用いて電力をTLA206へと接触子を用いることなく伝送してもよい。どちらの実施形態であっても、TLA206にはオンボードバッテリを設置して、電力伝達システム410から受け取ったエネルギーを貯蔵することができる。
【0049】
上述したように、筐体302は図4に図示されるように蝶番で開放可能である又は完全に取り外すことが可能な、搬送ステーション102Aのその他の構成部品を露出させることができるアクセスポート扉404を幾つ含んでいてもよい。アクセスポート扉404を開放することで、洗浄、保守、又は修復操作を実行することができる。アクセスポート扉開口部は、TLA206がトラック300から容易に取り外せ、代替のTLA206と即座に交換可能となるに十分なほどに大きい。
【0050】
図5を参照すると、搬送ステーション102Aの実施形態例の様々な構成部品がブロック図で描かれている。制御装置308は多数のTLA206と無線双方向通信をしていてもよい。制御装置308は駆動システム506、粒子制御システム508、電力伝達システム510、及びセンサシステム512にも連結されていてもよい。制御装置308はFab内のTSC及び/又はMCSと通信するための通信ポート514も含んでいてもよい。
【0051】
制御装置308は搬送ステーション102Aの操作を制御するように適合又はプログラムされたどんなコンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコンピュータシステムとして実装されてもよい。実施形態によっては、制御装置308はその他のコンピュータ及び/又はシステムとの通信を促進するための通信ポート514を備えたネットワークコンピュータであってもよい。例えば、制御装置308は、例えばFab用の製造実行システム(MES)等の外部コンピュータ又は制御システムによって制御可能である、又は搬送ステーション102A又はいずれのシステム又はその構成部品の操作についての情報を外部コンピュータ又は制御システムに伝達可能である。
【0052】
TLA206(詳細は以下に記載)は例えばブルートゥース(商標名)又は無線イーサネット等の実用的なプロトコルを用いて制御装置308と無線通信してもよい。実施形態によっては、TLA206は制御装置308に例えば搬送の完了、点検の必要、現在のトラック位置、エラー状態、速度、「上げる」、「下ろす」、「キャリア中心位置」、「低バッテリ」、「バッテリ完全充電」、「電力伝達不可」、「動力伝達可」等を示す状態情報を提供してもよい。実施形態によっては、TLA206は制御装置に加速又は減速することで例えばクレードルの速度と一致させる又はクレードルからキャリアを取り外す必要性を信号で伝達してもよい。それに応答して、制御装置308は駆動システム506を制御して、適当なモータコイルに給電又は断電することで、TLA206への所望の効果を得る。代替又は追加の実施形態において、制御装置308はセンサシステム512及び/又はTSCから受け取った情報(例えば、通信ポート515を介して)に基づいてTLA206へと指示を送ってもよい。例えば、制御装置308は到着する特定のクレードルからのキャリアのアンローディング又は到着するクレードルへのキャリアのローディングを行うTLA206の割り当てを行ってもよい。
【0053】
別の実施例において、制御装置308はTLA206に信号を送ることでキャリアをコンベヤからアンローディングし、キャリアを特定の時間に亘って保持し(例えば、搬送ステーション102A周囲を3回転)、次にキャリアを同一のコンベヤにローディングしてもよい。この実施例において、搬送ステーション102Aは特定のキャリアを遅延させる又はコンベヤ上に再配置させるだけのものであり、例えば、下流のツールステーションに特定のキャリアの到着に備えるための時間をより多く与える役割を果たしている。これにより当初の到着時間ではツールステーションの準備が整っていなかったことからコンベヤにもう一度載せたキャリアが全周を回り終わるまで待つ必要なく、キャリア上の基板をより早く処理することが可能となる。
【0054】
実施形態によっては、真空ポンプ又は別の真空源を備えていてもよい粒子制御システム508を制御装置308で制御及び/又は監視してもよい。例えば、筐体302(図3)内での真空圧の喪失がセンサシステム512で検出されたら、制御装置308が粒子制御システム508を再始動しようと試みる。同様に、電力伝達システム510を、例えば、オンボードバッテリ電力が低下しているというTLA206からの信号に応答して、制御装置308によって始動させてもよい。
【0055】
図6及び7を参照するが、輸送昇降アセンブリ(TLA)206の実施形態例の正面(図6)及び背面(図7)の斜視図である。TLA206は昇降アセンブリ604を支持するシャーシ602を含む(下降位置で図示)。昇降アセンブリ604は昇降プラットフォーム606を含み(本願ではエンドエフェクタとも称される)、昇降管612内のリニア型昇降アクチュエータ610によって上下に駆動される昇降スライド608上に取り付けられている。昇降アセンブリ604に加えて、2つの垂直型車輪614のセット、4つの水平型車輪616のセット、電源618、バッテリ620、TLA制御装置622、正面及び後方バンパ624はシャーシ602によって支持されている又はシャーシに取り付けられている。図7を参照すると、リニアモータ磁石アレイ700及び電力受取接触子702がシャーシ602の背面側に取り付けられている。位置センサ704はシャーシ602の後方下端に取り付けられており、図6に図示のTLA制御装置622に連結されている。
【0056】
再度図6及び図7を参照するが、シャーシ602は鋳造アルミニウム等のいずれの適切な材料から構成してもよい。例示的な実施形態において、シャーシは単体型又は上記の構成部品が統合された及び/又は取り付けられた一体型構造であってもよい。別の例示的な実施形態において、シャーシ602は2つ以上の構造体から構成してもよい。
【0057】
稼働中、運動学的機構626を備えていてもよい昇降プラットフォーム606は、基板キャリア204(図2)の底部の嵌合する運動学的機構と係合し、キャリア204の昇降の際の助けとなるように適合されている。キャリアをコンベヤにローディングする又はコンベヤからキャリアをアンローディングするどちらの場合でも、昇降アセンブリ604(及びTLA206)はTLA制御装置622及び/又は制御装置308の制御下で既定の/事前にプログラムされたモーションプロファイル(図11A−Dに関連して以下で詳細に説明)に従う。キャリアをコンベヤにローディングする場合、リニア型昇降アクチュエータ610は昇降菅612内を昇降スライド608を押し上げる。これによりローディング対象であるキャリアを支持している昇降プラットフォーム606がクレードルまで持ち上げられ、キャリア最上部のフランジがクレードルと係合する。同様に、キャリアをコンベヤからアンローディングする場合、リニア型昇降アクチュエータ610は昇降菅612内を昇降スライド608を押し上げ、昇降プラットフォーム606を上昇させ、運動学的機構626をキャリア底部の嵌合する凹部へと係合させる。次にキャリアをコンベヤに取り付けられたクレードルから外し、クレードルから降ろす。
【0058】
上述したように、TLA206は2セットの車輪614、616を含んでもよい。垂直型車輪614のアクセルは互いに傾斜しているため、TLA206は円形経路を転がる傾向がある。互いに対してのアクセルの角度は、TLAが辿る円形経路が搬送ステーション102Aのトラック300に一致するようなものに設定することができる。或いは又はそれに加え、垂直型車輪614はそれ自体が角度を成していることから、車輪の片側の直径は同じ車輪の反対側の直径よりも小さい。このような車輪は自然と円形の経路を辿り、円形経路の直径はその車輪の両側の直径における相対的差異の関数である。直径差は、車輪が搬送ステーション102Aのトラック300と一致した円形経路を辿るようなものを選択することができる。上述したように、垂直型車輪614に傾斜をつけること及び/又は垂直型車輪614として使用する傾斜車輪を選択することで(例えば、搬送ステーション102Aのトラック300に一致する円形経路を辿るように適合された車輪)、転がり摩擦は軽減され、汚染源となる可能性のある粒子の発生が最小限に抑えられる。2つの垂直型車輪614は図6のTLA実施形態での使用を描いたものであるが、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上の数の車輪614を別の実施形態で用いてもよい。垂直型車輪はポリウレタン又はポリエチレン材料又はその他の実用的な材料から形成することができる。ポリウレタンは、例えば、転がり面が静かなものとなることを含めたその特性から選択することができる。
【0059】
各TLA206はその他のTLAとは独立して稼動されるため、実施形態によっては、搬送ステーション102A内で循環させる際に2つ以上のTLAが互いに接触する可能性がある。TLA206の両端にバンパ624を設け、垂直型車輪614(及びTLA206)を搬送ステーション102A内で衝突の可能性のあるその他のTLAから保護してもよい。バンパ624は低デュロメータ硬さのポリウレタン又はその他の実用的な材料等の衝撃吸収材料から形成することができる。
【0060】
TLA206に水平型車輪616も用いることで、TLA206を搬送ステーション102A内で誘導し、それが搬送ステーション102Aの車道400、402上を進む際に求心的な支持をTLA206に付与してもよい。水平型車輪616もまた、TLA206の後方にあるリニアモータ磁石アレイ700と電力受取接触子702を駆動システム306と電力伝達システム410からそれぞれ一定の距離を置いて維持するのに役立っている。4つの水平型車輪616は図6のTLA実施形態での使用を描いたものであるが、1つ、2つ、3つ、5つ、又はそれ以上の数の車輪616を別の実施形態で用いてもよい。水平型車輪616は超高分子量(UHMW)ポリエチレン材料又はその他いずれの実用的な材料から成るものであってもよい。UHMWポリエチレンは、例えば、その潤滑性及び高い耐摩耗性から選択される。
【0061】
TLA206がエネルギーを電力受取接触子702経由で受け取る実施形態の場合、接触子702はTLA206上に位置されており、電力伝達システム410を具現化している搬送ステーション102Aのスリップリングと整列する。接触子702はバッテリ620、TLA制御装置622、及びTLA制御装置622を介してリニア型昇降アクチュエータ610に連結された電源618に連結されている。電力をTLA制御装置622に供給することに加え、電源618は電力伝達システム410が有効な場合/電力を供給している場合にバッテリ620を充填して維持するよう作動し、電力伝達システム410が無効な場合/電力を供給していない場合にバッテリ620から電力を引き出す。
【0062】
別の実施形態において、電力伝達システム410は電力伝達機構に連結された変圧器を含んでいてもよい。TLA206は(例えば、電力受取接触子702の代わりに)変圧器を備えていてもよく、搬送ステーション102Aの円周沿いに配置された、給電された変圧器によって形成された磁場をTLA206が通過する際にTLA206用に電気を発生する。
【0063】
TLA206に取り付けられたリニアモータ磁石アレイ700により駆動システム306が作用する磁石が設けられる。アレイ700はネオジム又はネオジム・ホウ素からなるもの等の非常に強力な永久磁石を用いてもよい。閉鎖経路リニアモータを含んでいてもよい駆動システム306により、リニアモータの選択した巻線に給電することでTLAのリニアモータ磁石アレイ700に隣接して磁場を形成し、TLAのリニアモータ磁石アレイ700、それに伴いTLA206を押し出す又は引き付けることができる。このようにして、TLA206の速度及び位置を駆動システム306により正確に制御することが可能である。駆動システム306は、位置センサ704を介して求めたTLA位置情報に応答して制御してもよい。位置センサ704は搬送ステーション102AにおけるTLA位置の正確な測定が可能な直線型位置センサであってもよい。位置センサ704が駆動システム306と直接的に通信する又はTLA制御システム622に連結させることで搬送ステーション制御装置308/駆動システム306への、例えばアンローディングする予定の到着するキャリアの下にTLA206を位置決めするためのフィードバックの供給を促進してもよい。実施形態によっては、位置センサはトラック300の円周に沿って配置された幾つかのセンサを含んでいてもよく、TLA206は位置センサがTLA位置の測定の際に検出するリニアスケールを含むのみであってもよい。従って、TLAの位置は搬送ステーション102A又はTLAそれ自体のいずれかによって測定することが可能である。
【0064】
次に図8を参照するが、輸送昇降アセンブリ206、特にはTLA制御装置622の構成部品を図示するブロック図である。TLA制御装置622はプロセッサ800、実行コード804を保存するための関連するメモリ802、通信用設備(例えば、通信ポート806)、及びTLA206、特には昇降アセンブリ604を制御するための様々なセンサ810、704を監視するためのセンサシステム808を含んでいてもよい。プロセッサ800は、TLA206のリアルタイム制御用に適合されたいずれの適切なマイクロプロセッサ又はCPUであってもよい。メモリ802内に保存された実行コード804はキャリアをコンベヤにローディング又はコンベヤからアンローディングするためのモーションプロファイル処理を実行する昇降アセンブリ制御コマンドのシーケンスを含んでいてもよい。通信ポート806は例えばブルートゥース(商標名)又は無線イーサネット等の実用的なプロトコルを用いて搬送ステーション制御装置308又はその他のシステムと情報を無線交換するように適合されたトランスミッタとレシーバとを含んでいてもよい。昇降アセンブリ604を制御するためのセンサシステム808に連結されたセンサ810、704は昇降プラットフォーム606の位置(例えば、上又は下)を検出するための1つ以上のセンサ、キャリアが現在、昇降プラットフォーム606上にあるか否かを検出するための1つ以上のセンサ、昇降プラットフォーム606がキャリア又はクレードルの中央下に置かれ、キャリアのアンローディング又はローディング準備が出来たか否かを求めるための1つ以上のセンサ等を含んでいてもよい。
【0065】
TLA制御装置622を昇降アセンブリ604にも接続し、昇降アクチュエータ610に実際に信号を送ってモーションプロファイル処理を実行してもよい。TLA制御装置622を電力システム812にも接続し、電力をバッテリ620及び/又は電源618から受けとってもよい。
【0066】
図9を参照するが、キャリアをあるコンベヤから2つめのコンベヤへと搬送するための方法例900を示すフローチャートである。方法900は工程902から開始される。工程904で、TLA206は駆動システム506によって搬送ステーションのトラック300に沿って推進される。工程906で、個々のTLA206は搬送ステーショントラック位置情報をそれぞれのオンボード位置センサ704から受け取る。工程908で、TLAの個体情報、トラック位置、及び可用性状態が搬送ステーション制御装置308へと無線で通信される。工程910で、特定の対象キャリアについての搬送命令が搬送ステーション制御装置308から特定の可用なTLA206へと伝達される。工程912で、TLA206は第1コンベヤに到着する搬送対象であるキャリアと整列させられる。TLA206と対象キャリアとの整列は、センサ208を用いての到着するキャリアの位置の検出と、到着するキャリアの速度と一致するようにTLA206の速度を変更することを含んでいてもよい。TLA206の速度変更は、TLA206によって求められかつTLA206から受け取った整列情報に応答して、駆動システム506に信号を送ることで搬送ステーション制御装置308によって作用される。
【0067】
工程914において、対象キャリアは第1コンベヤからTLA206によって取り外される。キャリアの取り外しには、TLA206が搬送予定のキャリアと一旦整列されてからTLA206のエンドエフェクタ(例えば、昇降プラットフォーム606)を上昇させることを含んでいてもよい。昇降プラットフォーム606を上昇させてキャリアと接触させ、アンローディング・モーションプロファイル過程(図10C−Dに関連して以下で詳細に説明)を実行し、キャリアを動いているコンベヤから取り外してもよい。
【0068】
工程916で、キャリアを第2コンベヤへと輸送する。キャリアの輸送には、TLA206を搬送ステーション102Aのトラック300周囲に沿って駆動システム506(例えば、リニア駆動モータ306を用いて)を介して推進することを含んでいてもよい。実施形態によっては、キャリアを載せたTLA206を、空のクレードルが到着するまでトラック300上を単に循環させても、或いは、これに加えた又は代わりの実施形態において、TLA206に指示を与えてキャリアを第1コンベヤへとローディングし直し、第1コンベヤ上でキャリアを再配置するだけであってもよい。これはFab内の別の場所のツールステーションへのキャリアの到着を、ツールステーションのキャリア受け入れ準備が整うまで遅延させるために行う。
【0069】
図9の方法900に戻るが、工程918において、TLAを第2コンベヤ上の到着する(利用可能な)対象クレードルと整列させる。対象クレードルは事前に個体識別された特定のクレードルであっても、或いは単にTLA206のアンローディング準備が整った際に搬送ステーション102Aに到着する第2コンベヤ上で次に利用可能なクレードルであってもよい。上述ように、TLAと到着する対象クレードルとの整列には、第2コンベヤ上の到着クレードルの位置の検出と、到着するクレードルの速度に一致するようにTLAの速度を変更することを含んでいてもよい。
【0070】
工程920で、キャリアを第2コンベヤ上に搭載する。キャリアの搭載又はローディングには、TLA206が一旦、対象クレードルと整列したら、キャリアを第2コンベヤ上の対象クレードルまでTLA206のエンドエフェクタ(例えば、昇降プラットフォーム606)を介して上昇させることを含んでいてもよい。ローディング・モーションプロファイル過程(図10A−Bに関連して以下で詳細に説明)を実行して、動いているコンベヤ上のクレードル上にキャリアを係合させてもよい。
【0071】
図10A−Dは昇降アセンブリ604についての例示的なモーションプロファイル過程を示す。本発明の少なくとも1つの実施形態において、このようなモーションプロファイルを用いた場合、TLAの位置センサ704しか必要とされない(例えば、その他のセンサ208、810を排除してもよい)。図10Aを参照すると、曲線C1はローディング操作中のX軸(コンベヤ106Aが進む水平方向)に沿った昇降アセンブリ604の速度を示す。曲線C2はローディング操作中のZ軸(垂直方向)に沿った昇降アセンブリ604の速度を示す。曲線C3は昇降アセンブリ604のz軸位置を示し、曲線C4はローディング操作中の昇降アセンブリ604のx軸位置を示す。図10Bは図10Aと同様であるが、z軸位置のデータを拡大したものである。図10C−Dは図10A−Bと同様であるが、アンローディング操作中の昇降アセンブリ604についてのx軸速度(曲線C1´)、z軸速度(曲線C2´)、z軸位置(曲線C3´)及びx軸位置(曲線C4´)を示す。図10A−Bが基板キャリアローディング操作開始時の低z位置でのz軸位置データ(曲線C3)を示すことに留意すること(例えば、基板キャリアのサイズを相殺するため)。
【0072】
図10A−Bと曲線C1−C4を参照すると、昇降アセンブリ604はローディング操作について上記したものと同様の上昇、下降、及び加速を行う。例えば、ローディング操作を実行するための信号を受信した後、昇降アセンブリ604は(TLA206を介して)加速して時間T1とT2の間にx方向(曲線C1)のコンベヤ106Aの速度と一致する。その後、時間T3とT4との間で、昇降アセンブリ604(曲線C3)をコンベヤ106Aのレベルまで上昇させ、例えばコンベヤ106Aにローディングする基板キャリア204の最上部のフランジが基板キャリア204を受け取るクレードル202より高い位置にくるようにする。
【0073】
時間T5とT6との間で、昇降アセンブリ604をコンベヤ106Aの速度よりも加速することで(曲線C1)(そして次にコンベヤ106Aの速度まで減速)、基板キャリア204のフランジをクレードル202上に位置させる。時間T7で、基板キャリア204のフランジがクレードル202上方に位置した状態で、昇降アセンブリ604を下降させ(曲線C3)、フランジが(時間T8で示されるように)クレードル202と接触した時点で停止させる。次に昇降アセンブリ604を時間T9まで降下させ、基板キャリア204はクレードル202上に残る。これにより基板キャリア204は実質的に昇降アセンブリ604とクレードル202とのゼロ相対速度及び/又は加速度でコンベヤ106Aへと搬送される(例えば、時間T8で)。例えば、昇降アセンブリ604はフランジがクレードル202と係合すると停止するため、基板キャリア204の搬送はz方向に実質的にゼロ速度及び加速度で生じる(曲線C2)。同様に、キャリア交換の最中、x方向の昇降アセンブリ604の速度は一定かつコンベヤ106Aの速度と一致しているため(曲線C1)、基板キャリア204の搬送はx方向に実質的にゼロ加速度で起こる。更に、基板キャリア搬送の最中のy方向で起こる唯一の運動は搬送ステーション102Aの一定曲率半径の調整である。しかしながら、昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aの双方が実質的に同じ経路を辿ることから、y方向の相対運動は昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aとの間でゼロである。従って、基板キャリア搬送は3方向で実質的にゼロ相対加速度で、かつ少なくとも2方向で実質的にゼロ相対速度で実行することができる。時間T9に続き、昇降アセンブリ604はTLA206の定常状態速度へと減速する(曲線C1)。
【0074】
図10C−D及び曲線C1−C4を参照するが、昇降アセンブリ604はアンローディング操作に関して上述したものと同様の上昇、下降、及び加速を行ってもよい。例えば、アンローディング操作を行うための信号を受信後、昇降アセンブリ604はTLA206を介して時間T1とT2との間でx方向にコンベヤ106Aの速度と一致するように加速される(曲線C1´)。その後、時間T3とT4の間で、昇降アセンブリ604を上昇させて(曲線C3´)運動学的機構626をコンベヤ106Aからアンローディングされる基板キャリア204の底部と係合させる。時間T4で、運動学的機構626がキャリア204の底部と係合した時点で昇降アセンブリ604の上昇を停止させる(曲線C2´及びC3´)。時間T4とT5との間で、昇降アセンブリ604を更に上昇させ、基板キャリア204のフランジをクレードル202から持ち上げて外す。これにより基板キャリア204は実質的に(例えば、基板204をクレードル202から持ち上げるに先立っての時間T4でのz軸運動の停止、及び昇降アセンブリ604とコンベヤ106Aとの間の速度の一致による、x、y及び/又はz方向での)ゼロ相対速度及び/又は加速度でクレードル202からアンローディングされる。時間T5に続き、昇降アセンブリ604は減速及び再加速し(曲線C1´)降下することで(曲線C3´)上述したようにかつ図10C−Dで図示したようにクレードル202を空にする。
【0075】
従って、基板キャリアの動いているコンベヤからの/へのアンローディング/ローディングは、1つ以上の方向、より好ましくは2方向に、最も好ましくは全方向で実質的にゼロ相対速度及び/又は加速度で起こる。垂直方向での実質的にゼロである速度及び加速度が好ましく、アンローディング/ローディング中、実質的にゼロ速度及び/又は加速度であるよりもゼロ速度及び/又は加速度であることがより好ましい。本願で使用する「ゼロ速度」又は「ゼロ加速度」とはコンベヤ高さ、コンベヤ速度、アクチュエータ再現性等のシステム上のムラ、制御装置の分解能、アクチュエータの分解能、TLA位置公差等のシステム制限及び/又はその他を鑑みて可能な限りゼロに近いということを意味する。「実質的にゼロ速度」又は「実質的にゼロ加速度」とは十分なだけゼロに近いことから、基板キャリアに格納された基板を損傷することなく及び/又は損傷を引き起こす恐れのある粒子を発生させることなく、基板キャリアを動いているコンベヤ及び/又はクレードルからアンローディングする及び/又はコンベヤ及び/又はクレードルにローディングできることを意味する。例えば、基板キャリアを比較的遅い速度で接触させることができる。一実施形態において、昇降アセンブリは垂直方向に迅速に上昇し、次に基板キャリアとの接触に先立って比較的低速又は実質的にゼロ速度へと減速してもよい。同様に緩やかな(又は実質的にゼロの)加速を行ってもよい。同様のローディング操作を行ってもよい。一実施形態において、基板又は基板キャリアは約0.5G未満の力で垂直方向で接触させられ、別の実施形態においては、約0.15G未満の力で接触させられる。別の接触力値を用いてもよい。
【0076】
本発明を主に、基板を1つだけしか含まない基板キャリア又は小ロット用キャリアの動いているコンベヤからのアンローディング及び動いているコンベヤへのローディングを参考にして説明してきたが、当然ながら同様に複数の基板を含む基板キャリアを動いているコンベヤからアンローディング又はコンベヤにローディングしてもよい。更に、本発明は単一基板用キャリアと複数基板用キャリア(例えば、25基板キャリアFOUP)の双方を輸送するシステム内で用いてもよい。同様に、本発明を用いて個々の基板を動いているコンベヤからアンローディングする及び/又は個々の基板を動いている基板にローディングすることができる(例えば、閉鎖型基板キャリア内に収納されていない基板)。例えば、基板を開放型基板キャリア、基板支持体、基板トレイ又は昇降アセンブリ604(又はその変形バージョン)による同様の昇降アセンブリ運動及び/又はモーションプロファイルを用いてのコンベヤの基板輸送デバイスへの基板の直接的な配置又は基板輸送デバイスからの基板の除去を可能とするような別の基板輸送デバイスを用いてコンベヤを経由して輸送してもよい。実施形態によっては、搬送ステーションを格納ラック又は処理ツールステーションに隣接して位置させてもよい。個々の基板はコンベヤから搬送ステーションを経由してドッキングステーション又はその他のローディングポートに搬送しても、或いは必要なら直接的にロードロックチャンバ及び/又は処理ツールへと搬送してもよい。例えば、基板を昇降アセンブリ604から直接的にファクトリインタフェースの基板取扱ロボット及び/又は処理ツールに(例えば、直接的な「昇降プラットフォーム/エンドエフェクタ間」搬送により又は中間搬送位置を経由して」)搬送してもよい。複数の個々の基板を同様に動いているコンベヤからアンローディングしてもコンベヤにローディングしてもよい。
【0077】
本発明により、個々の基板及び/又は基板キャリアをコンベヤからアンローディングし、個々の基板及び/又は基板キャリアをコンベヤにローディングし、個々の基板及び/又は基板キャリアをあるコンベヤからいずれの数の別のコンベヤへとコンベヤを停止させることなく搬送することが可能となる。この結果、コンベヤはFabの稼働中、絶え間なく動き続けることが可能となる。これらの構成によりFabの運転がより効率的となり、各基板製造に必要な総経過時間の短縮、既定のレベルの基板スループットを得るのに必要な作業の削減、Fabで製造される電子デバイスあたりの製造コストの低下が含まれる。
【0078】
上述したように、上記記載のシステムは小ロットサイズ用キャリアの輸送に特に良く適したものであり、1枚だけ又は実質的に25枚未満の基板(例えば、13枚未満、実施形態によっては基板5枚以下)を保持する基板キャリアが挙げられる。
【0079】
本発明の一部の実施形態において、上記記載のシステムは「バンド間搬送モジュール」、以下、B2B搬送モジュール又はただのB2Bとして記載されることもあり、カセットをあるコンベヤ(「バンド」とも称される)から別のコンベヤへと搬送する際に、又は同一のコンベヤ上の「ショートカット」と称される近接した適切な2点間でカセットの搬送を行う際に使用される。
【0080】
システムをB2B搬送モジュール又はショートカットのどちらで使用するかによって特定の実装パラメータを調整する。移動元及び移動先バンドの速度はB2Bの場合、若干異なるが、ショートカットでの使用における速度はローディング及びアンローディングについて同じである。バンド間での異なる速度での搬送が可能であるという機能要件を課すことで、ショートカットの場合はB2Bの場合より速度差がゼロという簡単なバージョンとなる。
【0081】
バンド速度がほぼ同じである場合、或いは平均値が同様である程度に異なる場合、移動元と移動先のクレードル(例えば、キャリアを配置可能なコンベヤ上の位置)との間には関係が存在する。B2Bの場合、各クレードル位置は1つ以上の移動元・移動先クレードル対の一部となる可能性が最も高く、これは2つのバンドの長さが異なるからである。ショートカットの場合(つまり、同じバンド上の2点間での搬送)、各クレードルはその移動元・移動先クレードル対に固有のクレードルを1つ有する。この実装態様を、スケジューリングアルゴリズム実装で考慮してもよい。
【0082】
例えば、図11に図示したようなB2B実施形態例を考えてみることにする。例としてのシステム1100において、バンド1の1102は長さほぼ90mであり、バンド2の1104は長さほぼ60mであり、B2B搬送モジュール1106は直径が約2.4mである(つまり、円周は約15m)。バンド1102、1104は共にほぼ1.5m/秒で進み、B2B搬送モジュール1106によって図11に図示されるように橋渡しされている。もし時間T1の時点でバンド1の1102のクレードル1(図示せず)(B1C1)がB2B搬送モジュール1106の位置を約37.5m通過し、バンド2の1104のクレードル1(図示せず)(B2C1)がB2B搬送モジュール1106の位置にある場合、約40秒後(時間T2)、クレードルB1C1は到着してしまっているだろうし、B2C1はB2B搬送モジュール1106に到着し、B2B搬送対を形成する。B2B搬送モジュール1106もまた約1.5m/秒で動いていることから、キャリアはB2B搬送モジュールに、キャリアを最終的に受け取る側のもう一方のバンド上のクレードルから若干(例えば、約5秒)早く到着することになり、バンド1102と1104間での搬送時間が生まれる。約1.5m/秒で、例としてのB2B搬送モジュール1106の約7.5mに亘ってキャリアを搬送するのに約5秒かかる。このため、上記の実施例において、B1C1クレードル上のキャリアは時間T2より約5秒前に時間T2までにB2B搬送モジュール1106に受け渡され、B2B搬送モジュール1106はキャリアを移動して到着するB2C1クレードルに会わせて受け渡す。
【0083】
図12に図示されるように同じバンド内で搬送を行う実施例1200の場合、移動元・移動先クレードル対は、B2B搬送モジュール1206間のバンド片1202、1204の長さの関数に基づいて純粋に求めればよい。
【0084】
実施形態によっては、B2B搬送モジュールは7つのTLAを含んでいてもよく、直径約8フィート又は2.4mであるB2B搬送モジュールのトラック(例えば、円形トラック)に沿ってコンベヤの通常速度で一定の動きをしている。別の実施形態においては、より多くの又はより少ない数のTLAを用い、より大きい又はより小さいトラックを用いてもよい。
【0085】
例としての実施形態において、TLAの公称間隔は1mであってもよく、例えばバンド上のクレードルの間隔の2倍である。従って、この実施形態例において、隣接するTLAはバンド上のクレードルに交互(1つおきに)にアクセスすることになる。B2B搬送地点でのバンド(又はバンド片)は反対方向に動く。各TLAはトラックの軸に沿って独立して制御可能である。つまり、TLAの速度、位置、ローディング機能、アンローディング機能等のそれぞれは別々に制御することができる。各TLAは独立した垂直軸を含む。各TLAは、上述したように、トラック軸と垂直軸とを同時に移動させて「ピック」及び「プレース」ローディング/アンローディングモーションプロファイルを実行してキャリア搬送を行うことができるという点でツールステーションロボットと同様の操業能力を有し得る。
【0086】
図13を参照するが、B2B搬送モジュール1300の実施形態例の概略図が描かれている。バンド1の1302はB2B搬送モジュール1300上に配置されており、右から左の方向に移動し、バンド2の1304もB2B搬送モジュール1300上に配置されており、左から右方向に移動する。図示の実施具体例において、トラック1306はトラックの周りを半時計周りに循環するTLA(図示せず)を含む。その他の実施形態において、バンド1302、1304及びTLAは図13に図示のものとは別の方向に移動してもよい。所定の時間で、各バンド1302、1304に沿ったある長さ(またはバンド部位)が「搬送区域」1308、1310内に入る。キャリア1312、1314及び1316、1318、1320がそれぞれの搬送区域1310、1318に導かれ、ここでTLAがキャリア1312、1316を搬送区域1310、1318でそのそれぞれのクレードル(図示せず)から取り外す。同様に、TLAは搬送区域1310、1308のキャリア1312、1316をクレードルに、またそれぞれの搬送区域1310、1308内でローディングしてもよい。(移動元クレードル上の)移動元キャリアと移動先クレードルの可用性が100%と仮定すると、B2B搬送モジュールの理論上の最高スループットはバンド速度とクレードル間隔の関数として表すことができる。例えば、公称のバンド速度が2m/秒、クレードル間隔が0.5m、TLA間隔が1mであると仮定した場合、B2B搬送モジュールは毎秒2つのクレードルをピッキングし、2つのクレードルをプレーシングすることが可能である。従って、上記の「1つおき」の実施形態について、このようなB2B搬送モジュールの理論上の最高スループット(TM)は、
=2(クレードル/秒@2m/秒速度)*60秒/分*60分/時間、
=7200ピッキング及びプレーシング/時間(例えば、2つのTLAがほぼ同時に各バンドとのローディング/アンローディングを行う)、
になる。
【0087】
B2BのTLAはトラック軸に沿って独立して制御可能であることから、バンド1302、1304を高精度で同調させて開始又は停止させる必要はない。2つのバンド1302、1304が搬送区域1308、1310間で進む距離を利用して「加速」又は「遅延」させ、2つのバンドの「位相ずれ」特性を調整してもよい。このような特性は2つのバンド1302、1304のそれぞれの開始における時間差及び/又は2つのバンド1302、1304間の速度差から生じる定位相シフトから生じ得る。
【0088】
実施形態によっては、2つのバンド1302、1304間の速度差に基づいて留保モデルを用いてもよく、移動先バンド上で遅延している又は/及び遅れているクレードルを留保しておいて確実に受け渡しを行う。B2B搬送モジュール1300は「加速して次のクレードルを捕まえる」という機能性を組み込んだものであってもよい。この機能は、例えば受け渡し予定のクレードルが何らかの理由で使用できない場合に、隣接するクレードルを使用する際に有用である。同様に、B2B搬送モジュール1300に「減速して次のクレードルを捕まえる」という機能性を組み込んでもよい。
【0089】
実施形態によっては、B2B搬送モジュール1300は速度測定を、それによりB搬送モジュール1300がインターフェースをとっているところのバンド1302、1304上で行い、スケジューリングの更新を行ってもよい。移動先のクレードルへの受け渡しに失敗した場合は、次の移動先クレードルが確定するまでB2B搬送モジュール1300の周りに沿ってキャリアを輸送してもよい。これは、実施形態によっては異常状態を意味する。
【0090】
実施形態によっては、1つ以上のTLAがいずれかの操作位置で故障した場合でもバンドが確実に動き続けるようにと、TLAは適切な設計の構成(例えば、冗長駆動及び/又は搬送システム)を組み込んだものであってもよい。
【0091】
実施形態によっては、幾つかの要素及び操作パラメータがB2B搬送モジュールの使用と実行に影響を与える場合がある。事前にわかるのなら、総体的又は具体的な搬送時間要件が最適ツールセットレイアウトを指定し、これがB2B搬送モジュールの必要性を最低限に抑えることになる。このような場合、時間要件を満たすには1つのバンドで十分な場合があり、1つのバンドを用い、バンド間での搬送の必要性がなくなる。このような場合、図12で図示したような「ショートカット」構成のB2B搬送モジュールは依然としてスループットの改善、同一バンド内での2つ以上の地点間でのスループットの改善に有用となる。
【0092】
既存のFabの拡張には、典型的には面積とツールの追加が伴う。将来的な拡張計画があるならば、バンド及びバンド間搬送モジュールのレイアウトを計画にいれつつ考慮してもよい。更に、搬送時間要件を考慮した後にFAB内でツールを分散させ、かつ必要な近接性が満たされるならば、処理工程及び計測学的変更により、長い搬送時間経路を導入することができる。従って、処理工程と計測学的変更の可能性は、バンド及びB2B搬送モジュールレイアウトの計画で重要な考慮事項となる。
【0093】
上述の説明は本発明の特定の実施形態についてのみ開示しており、本発明の範囲内である上記で開示の方法及び装置の変形は当業者にすぐに明らかとなる。当然ながら、本発明をパターン形成の如何を問わずシリコン基板、ガラス板、マスク、レチクル等のいずれのタイプの基板、及び/又はこのような基板を輸送及び/又は処理するための装置と共に用いてもよい。
【0094】
従って、本発明をその特定の実施形態に関連させて開示してきたが、当然ながら以下の請求項によって規定されるように、その他の実施形態も本発明の精神及び範囲に入り得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態による搬送ステーションを備えた電子デバイス製造設備の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による搬送ステーション及びコンベヤの斜視図である。
【図3】図2の搬送ステーションの斜視図である。
【図4】図2の搬送ステーションの断面斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による搬送ステーションの構成部品のブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの正面斜視図である。
【図7】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの後方斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による輸送昇降アセンブリの構成部品のブロック図である。
【図9】本発明の実施形態による方法例を表わすフロー図である。
【図10A】本発明の実施形態によるキャリアローディングモーションプロファイル過程を図示する位置/速度グラフである。
【図10B】図10Aの位置/速度グラフの一部のより詳細な図である。
【図10C】本発明の実施形態によるキャリアアンローディング過程を図示する位置/速度グラフである。
【図10D】図10Cの位置/速度グラフの一部のより詳細な図である。
【図11】本発明によるB2B搬送モジュールによって橋渡しされた2つのバンドの実施形態例の図である。
【図12】本発明によるB2B搬送モジュールによって橋渡しされ、「ショートカット」を形成した単一のバンドの2つの断片の実施形態例の図である。
【図13】本発明による搬送区域を備えたB2B搬送モジュールの実施形態例の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド間搬送装置であり、
移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、
移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを備えた装置。
【請求項2】
第1アセンブリ及び第2アセンブリが単一の同じアセンブリである請求項1記載の装置。
【請求項3】
移動元コンベヤ及び移動先コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項1記載の装置。
【請求項4】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項1記載の装置。
【請求項5】
移動元コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって移動元コンベヤ上に支持され、
移動先コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって移動先コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項1記載の装置。
【請求項6】
第1アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第1搬送区域における移動元コンベヤの速度と一致するように調節される請求項5記載の装置。
【請求項7】
第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における移動先コンベヤの速度と一致するように調節される請求項5記載の装置。
【請求項8】
基板キャリアを輸送するためのシステムであり、
第1速度で進む第1コンベヤと、
第2速度で進む第2コンベヤと、
第1及び第2コンベヤに隣接して配置されたバンド間搬送装置を備え、
バンド間搬送装置が第1コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、
第2コンベヤの一部がバンド搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含むシステム。
【請求項9】
第1アセンブリ及び第2アセンブリが単一で同じアセンブリである請求項8記載のシステム。
【請求項10】
第1コンベヤ及び第2コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項8記載のシステム。
【請求項11】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項8記載のシステム。
【請求項12】
バンド間搬送装置に連結されたシステム制御装置を更に備え、
第1コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって第1コンベヤ上に支持され、
第2コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって第2コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項8記載のシステム。
【請求項13】
第1アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第1搬送区域における第1コンベヤの速度と一致するように調節される請求項12記載のシステム。
【請求項14】
第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における第2コンベヤの速度と一致するように調節される請求項12記載のシステム。
【請求項15】
基板キャリアをバンド間搬送装置を用いて輸送するための方法であり、
移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外し、
移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングすることを含む方法。
【請求項16】
基板キャリアの取り外しと基板キャリアのローディングを単一で同じアセンブリで実行する請求項15記載の方法。
【請求項17】
移動元コンベヤと移動先コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項15記載の方法。
【請求項18】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項15記載の方法。
【請求項19】
移動元コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって移動元コンベヤ上に支持され、
移動先コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって移動先コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項15記載の方法。
【請求項20】
基板キャリアの取り外しに用いる第1アセンブリの速度が、バンド間搬送装置の第1搬送区域における移動元コンベヤの速度と一致するように調節される請求項19記載の方法。
【請求項21】
基板キャリアのローディングに用いる第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における移動先コンベヤの速度と一致するように調節される請求項19記載の方法。
【請求項1】
バンド間搬送装置であり、
移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、
移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを備えた装置。
【請求項2】
第1アセンブリ及び第2アセンブリが単一の同じアセンブリである請求項1記載の装置。
【請求項3】
移動元コンベヤ及び移動先コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項1記載の装置。
【請求項4】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項1記載の装置。
【請求項5】
移動元コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって移動元コンベヤ上に支持され、
移動先コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって移動先コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項1記載の装置。
【請求項6】
第1アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第1搬送区域における移動元コンベヤの速度と一致するように調節される請求項5記載の装置。
【請求項7】
第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における移動先コンベヤの速度と一致するように調節される請求項5記載の装置。
【請求項8】
基板キャリアを輸送するためのシステムであり、
第1速度で進む第1コンベヤと、
第2速度で進む第2コンベヤと、
第1及び第2コンベヤに隣接して配置されたバンド間搬送装置を備え、
バンド間搬送装置が第1コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1コンベヤから取り外すように適合された第1アセンブリと、
第2コンベヤの一部がバンド搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2コンベヤ上へと基板キャリアをローディングするように適合された第2アセンブリを含むシステム。
【請求項9】
第1アセンブリ及び第2アセンブリが単一で同じアセンブリである請求項8記載のシステム。
【請求項10】
第1コンベヤ及び第2コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項8記載のシステム。
【請求項11】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項8記載のシステム。
【請求項12】
バンド間搬送装置に連結されたシステム制御装置を更に備え、
第1コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって第1コンベヤ上に支持され、
第2コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって第2コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項8記載のシステム。
【請求項13】
第1アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第1搬送区域における第1コンベヤの速度と一致するように調節される請求項12記載のシステム。
【請求項14】
第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における第2コンベヤの速度と一致するように調節される請求項12記載のシステム。
【請求項15】
基板キャリアをバンド間搬送装置を用いて輸送するための方法であり、
移動元コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第1搬送区域内を移動中に基板キャリアを第1速度で進む移動元コンベヤから取り外し、
移動先コンベヤの一部がバンド間搬送装置の第2搬送区域内を移動中に第2速度で進む移動先コンベヤ上へと基板キャリアをローディングすることを含む方法。
【請求項16】
基板キャリアの取り外しと基板キャリアのローディングを単一で同じアセンブリで実行する請求項15記載の方法。
【請求項17】
移動元コンベヤと移動先コンベヤが単一で同じコンベヤの異なる部位である請求項15記載の方法。
【請求項18】
基板キャリアが小ロットサイズ用キャリアである請求項15記載の方法。
【請求項19】
移動元コンベヤからの基板キャリアが第1クレードルによって移動元コンベヤ上に支持され、
移動先コンベヤにローディングされた基板キャリアが第2クレードルによって移動先コンベヤ上に支持され、
第1クレードルがシステム制御装置内で実行するスケジューラによって第2クレードルと対となっている請求項15記載の方法。
【請求項20】
基板キャリアの取り外しに用いる第1アセンブリの速度が、バンド間搬送装置の第1搬送区域における移動元コンベヤの速度と一致するように調節される請求項19記載の方法。
【請求項21】
基板キャリアのローディングに用いる第2アセンブリの速度がバンド間搬送装置の第2搬送区域における移動先コンベヤの速度と一致するように調節される請求項19記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−507743(P2009−507743A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531285(P2008−531285)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/035688
【国際公開番号】WO2007/033257
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.イーサネット
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/035688
【国際公開番号】WO2007/033257
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.イーサネット
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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