説明

パイロン及びパイロン用充電台

【課題】パイロンの表示灯の点灯又は消灯を自動で行う。
【解決手段】
互いに入れ子式に積み重ねることが可能な形状に形成されたパイロン本体12の上部に内部に表示灯を備えた表示灯ユニット14を設けたパイロン10であって、前記表示灯24に電力を供給する二次電池と、二次電池に充電する充電回路と、充電回路に電力を供給する充電コイルLとを有し、充電コイルLは、パイロンの基端部外周に一体に形成されたフランジ16内の所定の位置に配置されている。パイロンを充電台30上に載置し、充電台30の駆動回路32を駆動することで、磁束発生コイルLの磁束により充電コイルLに誘導電流が生じ、これにより二次電池を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事現場などで危険区域を表示するための表示灯を有するパイロン、とくに表示灯用の充電可能な二次電池を有するパイロン及びその充電台に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事などにおいて危険区域を表示するためコーン型のパイロンが使用されている。パイロンは、夜間等暗い場所でも見やすくするため内部に表示灯を装備したものがある。この表示灯を点灯させるための電力は一般に電池又は蓄電池により供給される。
【0003】
図9は、特許文献1に記載された従来のパイロンを示す。このパイロンの発光装置130は、パイロン本体120より透明度の高い赤色の合成樹脂で作られており、球状の頭部と、そこから下方に拡大して開く円錐形の膨大部とを有している。膨大部の内部には雌ねじが形成されており、パイロン本体120の頂部に形成した雄ねじとねじ係合する構成である。このようにして形成された発光装置130内には、電球、LEDなどの発光体142が備えられており、これらの電球や発光素子を発光させるための電源としてここでは乾電池143が用いられている。
【0004】
しかしながら、パイロンは例えば夜間などにおいて連続して点灯させておく必要があるため、乾電池143を比較的頻繁に取り替える必要がある。しかし、乾電池143はパイロンの発光装置130内に収納されているため、その交換を一台毎に頻繁に行うことは不便である。
乾電池に代えて二次電池を用いることも考えられるが、二次電池を収納する表示部ユニットを取り外して外部電源に接続し、二次電池の充電をパイロン一台毎に行うのは煩雑である。
【特許文献1】特開平10−60842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のパイロンの表示灯の電源についての上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、パイロンの表示灯に用いる二次電源の充電を複数台のパイロンを纏めて自動的かつ容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、互いに入れ子式に積み重ねることが可能な形状に形成されたパイロン本体の上部に、内部に表示灯を備えた表示灯ユニットを設けたパイロンであって、前記表示灯に電力を供給する二次電池と、二次電池に充電する充電回路と、充電回路に電力を供給する充電コイルとを有し、少なくとも前記充電コイルは、パイロンの基端部外周に一体に形成されたフランジ内の所定の位置に配置されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたパイロンにおいて、前記充電回路は二次電池の充電状態を監視する監視手段を有し、充電完了時に自動的に充電コイルを切り離すことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたパイロンに充電するための磁束発生用コイルと、磁束発生用コイルの駆動回路とを備えたパイロン用充電台であって、パイロンを載置したとき、前記フランジの充電コイルに対応する位置に前記磁束発生用コイルを内蔵したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パイロンを単に充電台上に重ねて置くだけで、例えば、従来のように表示部ユニットを取り外すことなく、複数のパイロンに内蔵された二次電池を自動的に纏めて充電することができる。また、パイロンを重ねた状態で充電を行ったとき、充電が完了した充電コイルを自動切断することで、他の充電未完了のパイロンの充電をより迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のパイロンの第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1Aは、本実施形態に係るパイロン10の断面図であり、図1Bは同平面図である。
パイロン10は、図1Aに示すように、例えば赤色の不透明合成樹脂材料で形成されたパイロン本体12と、このパイロン本体12の上部に一体に設けられた、例えば赤色透明又は半透明の合成樹脂材料でできた表示灯ユニット14から成っており、全体として円錐台形に形成されている。
パイロン本体12の下端部は、それと一体に形成された例えば矩形又は円形の接地面となる平坦な例えば矩形のフランジ(鍔状部)16からなっている。
【0009】
表示灯ユニット14内には例えばLEDなどの発光体からなる表示灯24が配置されており、他方、パイロン本体12の上記矩形のフランジ16の一隅部近傍には、図1Bに示すように、充電コイルL、充電コイルLと導電性のワイヤ23によって接続された充電回路20、及び二次電池25が内蔵されている。充電回路20は、充電コイルLが後述する磁束発生コイルLによる交番磁束中に配置されたとき、充電コイルLからの電流を制御して二次電池25を充電する。表示ユニット14内にある表示灯24は二次電池25とは導電性ワイヤ26で接続され、二次電池25から給電されて発光する。
【0010】
図2は、以上で説明したパイロン10を互いに入れ子式に重ね合わせた状態で充電台30上に配置した状態を示す断面図である。
ここでは例えば3つのパイロン10が重ね合わさっており、その接地面となるフランジ16は互いに上下に密に重なって充電台30上に水平に配置されており、フランジ16内に配置された充電コイルLは、それぞれ充電台30の磁束発生コイルLに対して位置整合した状態で上下に配置されている。
充電台30は例えば合成樹脂製であり、その形状などは任意であるが、少なくともパイロン10の平坦なフランジ16に対応した平坦面を有し、パイロン10をその上に載置したとき、そのフランジ16内に内蔵されている充電コイルLに対応する位置に磁束発生コイルLが埋め込まれている。磁束発生コイルLは導電性ワイヤ34により駆動回路32に接続されており、駆動回路32を駆動することにより、磁束発生コイルLに電流を流して磁束を発生させる。この駆動回路32も充電台30に内蔵されている。この駆動回路32の電源は、例えば一般家庭用の商用電源その他の任意の電源を用いることができる。
【0011】
なお、磁束発生用コイルLとパイロン10の充電コイルLとの位置合わせを容易にするために、フランジ16の、充電コイルLの位置以外の部分に、例えばその下面に凹部及び上面に凸部(凹凸条でもよい)を形成しておき、他方、充電台30の上面にパイロン10の凹部に対応する凸部を形成しておく。
そのようにすることにより、最初のパイロン10のフランジ16の凹部を充電台30の突部に位置合わせし、続いて上下のパイロン10の凹凸部を合わせるようにすれば、磁束発生用コイルLと充電コイルLとの位置合わせを容易に行うことができる。或いは、パイロン10のフランジ16部分と、充電台30に対応する目印を付しておくことで位置合わせをおこなってもよい。
【0012】
パイロン10の二次電池25の充電を行うときは、まず所要の数のパイロン10を充電台30に載せ、次に充電台30の駆動回路32を作動させて駆動回路に接続された磁束発生コイルLに通電すると、磁束発生コイルLに図2に示すような磁束Fが発生し、この磁束中に配置されたパイロン10の充電コイルLには誘導電流が発生する。
パイロン10の二次電池25は以下で説明する充電回路20を介してこの誘導電流により充電される。
【0013】
図3はパイロン10の充電回路の一例を示す。
充電回路20は、充電コイルLに接続され、充電コイルLの誘導電流で二次電池25へ充電するための充電制御を行う。
充電回路20は、図3に示すように、充電コイルLに接続されて入力される交流電流を全波整流して直流電流に変換するダイオードブリッジ21と、ダイオードブリッジ21の正極出力端21aに接続されたトランジスタTと、トランジスタTのエミッタ−ベース間に接続された抵抗Rと、トランジスタTのベース及び抵抗Rと、MOSトランジスタQ1のドレンD側とに接続された抵抗Rと、ソースS側がダイオードブリッジ21の負極端子21bに接続された上記MOSトランジスタQと、MOSトランジスタQのゲートG及びトランジスタTのコレクタとダイオードブリッジ21の正極側端子21aとの間に接続された高抵抗Rと、エミッタ側がダイオードブリッジ21の負極側に接続され、かつそのベース側がCPU22に接続されたトランジスタTと、トランジスタTのコレクタ側にダイオードDと抵抗Rを介してその正極側端子が接続され、負極側がダイオードブリッジ21の負極側端子21bに接続された二次電池25と、ダイオードブリッジ21の端子21a、21b間で二次電池25と並列に接続されたCPU22と、二次電池25に並列に接続された抵抗R、Rと、抵抗Rと抵抗R間に接続されたCPU22の端子と、ベース側がCPU22に接続され、エミッタ側がダイオードブリッジ21の負極21b側に接続され、コレクタ側が抵抗Rを介して表示灯24に接続されたトランジスタTと、一端側が抵抗Rと、他端側が抵抗R、ダイオードDを介してダイオードブリッジ21の正極側端子21aに接続された表示灯24を備えている。
【0014】
次に、充電回路20の動作について説明する。
パイロン10を図2に示すように入れ子式に重ねて充電台30上に載置して、例えば図示しないスイッチを手動又は自動で操作して充電台30の駆動回路32を駆動すると、その磁束発生コイルLに交流電流が流れて磁束Fが発生する。発生した磁束Fは、図2に示すように、その上に積み重ねた複数の充電コイルLを横切るため、充電コイルLに誘導電流が発生する。誘導電流は充電回路20のダイオードブリッジ21によって全波整流されて直流電流として充電回路の端子間21a、21bから取り出される。
【0015】
即ち、正極端子間に直流電圧が印加されるため、高抵抗Rに接続されたMOSトランジスタQに正極端子電位がゲートGに印加されてMOSトランジスタQのソースS−ドレンD間がOFFからONに切り替わる。MOSトランジスタQがONすると、抵抗R、R、MOSトランジスタQを通って電流が流れる。
抵抗Rに電流が流れると、トランジスタTが導通してONとなる。トランジスタTがONすることによりダイオードD、抵抗Rを介して二次電池25に電流が流入して充電を開始する。
【0016】
ここで、二次電池25の充電電圧がCPUの動作電圧Vに達すると、CPU22は、抵抗R、抵抗Rの分圧で二次電池25の充電電圧を監視し、充電電圧が一定電圧Vに達すると、トランジスタTのベース電圧を制御してこれをONして表示灯24を点灯させる。
その状態で、さらに充電電圧が上昇してCPU22が満充電と判断したときは、トランジスタTのベース電圧を制御してこれをONする。
トランジスタTがONすると、MOSトランジスタQのゲートGの電位が下がり、MOSトランジスタQはOFFし、充電コイルLは高抵抗R以外から切り離される。つまり、充電コイルLは充電回路20から実質上自動切断されて二次電池25の充電は停止する。
【0017】
二次電池25の電圧が降下して一定電圧V以下になると、CPU22はトランジスタTをOFFし、二次電池25の電圧が更にVに低下すると、CPU22は動作不能となり、トランジスタTのベース電圧も制御不可となるためトランジスタTはOFFして表示灯は消灯する。また、その状態ではトランジスタTを駆動できないため、トランジスタTはOFFを維持する。
トランジスタTがOFFすると、MOSトランジスタQのゲートGにはダイオードブリッジ21から高抵抗Rを介して制御電圧が印加される結果、MOSトランジスタQはONし、これにより上述のようにトランジスタTがONする。そのため、二次電池25は、ダイオードDと抵抗Rを介してダイオードブリッジ21の端子21a、21b間に接続されて再度充電を開始する。
【0018】
以上の説明では、二次電池25の充電電圧がVに達すると表示灯24は自動的に点灯することになる。しかし、表示灯24は夜間など周囲が暗い環境で使用するときに必要であるが、明るい環境では必ずしも必要ではない。そのため表示灯24の点滅のための電源スイッチを別途設けておくことができる。
また、これとは別に、電源スイッチをON状態にして、しかし、充電や格納時におけるようにパイロン10を積み重ねたときには消灯し、一個ずつ離したときには表示灯24が点灯するように、表示灯24の自動消灯スイッチを表示灯24と二次電池25を結ぶ回路上のいずれかの位置に設けてもよい。
即ち、例えば、特許文献1に示す機械的なスイッチを用いて、パイロン10の上部にスイッチを設けて、パイロン10を積み重ねた状態にしたときに、上側のパイロン10の自重を利用して下側のパイロンの表示灯10のスイッチを作動して表示灯10を消灯することができる。
【0019】
ただ、機械的なスイッチ機構を用いる場合は、スイッチ機構に可動部を設けるため長期の使用を行うと故障が生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、可動部のないスイッチとして、例えば、パイロン10の上部に磁石(永久磁石)と、ホールICからなる磁気検知器とを設けて、パイロン10を重ねたときに、相手側の磁石の磁気を検知して表示灯24を消灯するようにしている。
【0020】
図4は、第2の実施形態のパイロン10を積み重ねた状態における断面図である。
表示灯ユニット14は、円形の上壁141、円形の上壁141よりも大径の底壁142、及び上下壁141,142間に延在する側壁143からなる円錐台形の閉じた容器状をなし、その上壁141中央部には磁気検出器140が、また底壁142の中央部の上記磁気検出器140に対応した位置に磁石(永久磁石)146が設けられている。
また、底壁142上には、表示灯24が配置されている。
【0021】
図5Aは、表示灯24の点灯制御回路を示す。
点灯制御回路は、表示灯24と、表示灯24に電力を供給する二次電池25と、表示灯24の一端と二次電池25の間に接続されたトランジスタTと抵抗Raからなるスイッチング素子と、スイッチング素子のON/OFF制御するためのホールIC140aと抵抗Raを備えた磁気検出器140から成っている。
【0022】
図5Bは、図5Aに示す点灯制御回路の動作タイミング図である。
ここで、ホールIC140aには常に二次電池25から電流が供給されており、その状態でホールIC140aは磁気を感知するとホールIC140aに起電力が生じることで磁気検出が行われる。
磁気を検出すると、ホールIC140aに起電力が生じるため、ホール入力IC140aの出力側の電圧は0Vに降下する。
表示灯24は、ホールIC140aが磁気検出しない状態では、二次電池25の電圧が抵抗RaとRaにより分圧された電圧がトランジスタTのベースに印加されているため、トランジスタが導通し、したがって表示灯24は二次電池25からの電力供給を受けて点灯している。
ここで、ホールIC140aは磁気を検出すると、二次電池25に対してホールIC140aの出力が0Vとなる起電力を生じるため、トランジスタTのベース電圧も0Vとなり、トランジスタTによるスイッチング回路147は開放する。そのため、表示灯24は消灯する。
【0023】
この点灯動作タイミング図から明らかなように、パイロン10を上下に入れ子式に積み重ねたとき、下側のパイロンの上壁141の上面と上側のパイロンの底壁142の下面が当接するため、夫々に設けられた磁気検出器140と磁石146とが当接又は近接し、それによって二次電池25から表示灯24への通電が遮断される結果、消灯する。逆に、上側のパイロン10を下側のパイロン10から分離すると、二次電池25から表示灯24への通電が再開される結果、表示灯24は点灯する。
【0024】
本実施形態では、パイロンを積み重ねた時、最下部のパイロンについては、従来と同様に別途設けた手動スイッチによる点灯電源のON/OFFが必要である。
なお、以上の説明では、表示灯ユニット14の上壁に磁気検出器140を、また、底壁に磁石146を設けたものとして説明したが、表示灯ユニット14の上壁に磁石146を、また底壁に磁気検出器140を設けたものでもよい。この場合には、パイロンを積み重ねた時、最上部のパイロンについては、従来と同様に別途設けた手動スイッチによる点灯電源をON/OFFすることが必要である。
【0025】
次に、本発明の第3の実施形態について図6を参照して説明する。
図6は、第3の実施形態のパイロンの積み重ねた状態における断面図である。
第3の実施形態のパイロンは、第2のパイロンでは、手動スイッチの操作を必要としたが、本実施形態ではこれを不要とするものである。
第3の実施形態のパイロンを示す断面図であり、図中、第2の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付してある。
本実施形態のパイロン10は、第2の実施形態の表示灯ユニット14に相違して、表示灯ユニット14の上壁141の中央部に配置した磁気検出器140から所定間隔を置いて磁石(永久磁石)146が設けられており、他方、その底壁142には、その中央部に設けた磁石146Rに加えて、そこから所定間隔を置いて前記磁石146Rに対応して磁気検出器140Rが設けられている。その他の点では、第2の実施形態のパイロン10と同じである。
【0026】
図7は、第3の実施形態のパイロンの表示灯の点灯制御回路である。
この点灯制御回路は、第1の実施形態に対して、表示灯ユニット14の底壁142に下部ホールIC140aRを配置した結果、二つのホールICつまり上部ホールIC140aと下部ホールIC140aRを備えた点で相違し、その他の点では同様である。
【0027】
図8は、本実施形態のパイロンの点灯制御回路の動作タイミング図である。
即ち、図8A、8Bは、二段重ねにしたときの動作タイミング図であり、図8Cは3段以上重ねたときの、上端または下端以外の中間に位置するパイロンの点灯制御回路の動作タイミング図である。
先ず、図8Aについて説明する。
この状態は、最初のパイロン10の上に他のパイロン10を積み重ねた状態における、上側のパイロン10の表示灯24の点灯制御回路の動作タイミングを示す。この状態においては、上部磁気検出器140による磁気の検知はないから上部ホールIC140aはオープンの状態にある。
他方、下側磁気検出器140Rはその下側にあるパイロン10の上側の磁石146に当接したときにその磁気を検出する。それによって、下部ホールIC140aRは起電力を生じ、その出力電圧0VがトランジスタTのベースに印加される結果、表示灯のスイッチング回路147のトランジスタTを開放する。つまり、表示灯24を消灯する。
【0028】
図8Bは、パイロン10の上に他のパイロン10を積み重ねた状態における下側のパイロン10の表示灯24の点灯制御回路の動作タイミングを示す。この状態においては、上部磁気検出があるとき上部ホールIC140aはその出力電圧が0Vになるような起電力を発生し、したがって、表示灯24が消灯することを示している。
なお、下側のパイロン10の下側磁気検出器140Rは磁気を検出しないから、下部ホールIC140aRは積み重ねの前後においてオープンのままであるが、表示制御回路から明らかなように、表示灯24と二次電池25とを回路中のスイッチング機構は既に上部ホールIC140aの出力が0Vとなっているため、OFFになっているので、表示灯24は、下側パイロン10の状態に関係なく上に別のパイロン10を積み重ねたとき消灯する。
逆に上側のパイロン10を外せば再び点灯する。
【0029】
図8Cは、下側パイロン10の上に他のパイロン10を積み重ねた状態においてさらにその上にパイロン10を積み重ねたときの、中間に位置するパイロンの表示制御回路の動作タイミングを示す図である。
この場合は、上下いずれの磁気検出器140,140Rとも夫々上下に隣接するパイロンの磁石146、146Rの磁気を検出する。つまり、上部ホールIC140a,下部ホールIC140aRとも磁気を検出してそれぞれ起電力を生じる。つまり、上部ホールIC140a,下部ホールIC140aRのいずれの出力電圧とも0Vとなる。それに伴って表示灯24と二次電池25とを結ぶ回路に接続されたスイッチング回路147はOFFになるため、表示灯24は消灯する。
なお、上にあるパイロン10を外しただけでは図5Bに付いて説明したように下にあるパイロン10の表示灯24は点灯しない。当該パイロン10を外したとき初めて点灯する。
【0030】
また、以上で説明した実施形態における上壁141及び底壁142における磁気検出器140と磁石146、磁石146Rの配置を逆にして、底壁142の中心部に磁気検出器140を配置すると共に、その周りに所定間隔を隔てて磁石146Rを配置し、上壁141の中央部に磁石146を配置しかつその磁気検出器140から所定間隔を隔てて前記磁石146Rに対応して磁気検出器140Rを設けてもよい。
以上、第2及び第3の実施形態では、被検出体として磁石を、検出体として磁気検出器であるとして説明したが、被検出体及び検出体はこれらに限定されず、他の周知の近接スイッチ素子、例えば、一方を発光体とし他方を光センサで構成することもできる。
なお、以上の実施形態において、パイロン10の充電が完了したときに充電コイルLを自動切断する構成を採ったことにより、複数のパイロン10を重ねてまとめて充電を行う場合、充電が完了したパイロン10から充電コイルLが自動切断される結果、残りの未充電のパイロン10の充電を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1Aは第1の実施形態のパイロンの断面図、図1Bはその平面図である。
【図2】第1の実施形態のパイロンの積み重ねた状態における断面図である。
【図3】第1の実施形態のパイロンの充電回路である。
【図4】第2の実施形態のパイロンを積み重ねた状態における断面図である。
【図5】図5Aは第2の実施形態の表示灯の点灯制御回路、図5Bは図5Aに示す点灯制御回路の動作タイミング図である。
【図6】第3の実施形態のパイロンの積み重ねた状態における断面図である。
【図7】第3の実施形態のパイロンの表示灯の点灯制御回路である。
【図8】第3の実施形態のパイロンの点灯制御回路の動作タイミング図であり、図8A、8Bは、二段重ねにしたときの動作タイミング図、図8Cは3段以上重ねたときの、上端または下端以外の中間に位置するパイロンの点灯制御回路の動作タイミング図である。
【図9】従来のパイロンの積み重ねた状態における断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10・・・パイロン、12・・・パイロン本体、14・・・表示灯ユニット、20・・・充電回路、21・・・ダイオードブリッジ、22・・・CPU、24・・・表示灯、25・・・二次電池、26・・・導電性ワイヤ、30・・・充電台、32・・・駆動回路、140,140R・・・磁気検出器、140a,140aR・・・ホールIC、141・・・上壁、142・・・底壁、143・・・側壁、144・・・表示灯、146,146R・・・磁石、147・・・スイッチング回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに入れ子式に積み重ねることが可能な形状に形成されたパイロン本体の上部に、内部に表示灯を備えた表示灯ユニットを設けたパイロンであって、
前記表示灯に電力を供給する二次電池と、二次電池に充電する充電回路と、充電回路に電力を供給する充電コイルとを有し、
少なくとも前記充電コイルは、パイロンの基端部外周に一体に形成されたフランジ内の所定の位置に配置されていることを特徴とするパイロン。
【請求項2】
請求項1に記載されたパイロンにおいて、
前記充電回路は二次電池の充電状態を監視する監視手段を有し、充電完了時に自動的に充電コイルを切り離すことを特徴とするパイロン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたパイロンに充電するための磁束発生用コイルと、磁束発生用コイルの駆動回路とを備えたパイロン用充電台であって、
パイロンを載置したとき、前記フランジの充電コイルに対応する位置に前記磁束発生用コイルを内蔵したことを特徴とする、パイロン用充電台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−84425(P2010−84425A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254510(P2008−254510)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】