説明

パスワード入力装置及びパスワード照合システム

【課題】キーボードを備えることなくパスワードを入力させることができるパスワード入力装置及びパスワード照合システムを提案する。
【解決手段】パスワード入力装置10は、デジタルビデオカメラ35で連続的に撮像された画像を取得する画像取得部11と、画像取得部11が取得した画像から顔を抽出する顔抽出回路12と、抽出した顔画像の表情を認識し、予め決められた0〜7の表情のどれに相当するか判定する表情認識回路14と、表情認識回路14の判定結果が直前の顔画像から変化し、変化後の状態が一定時間継続したときに、表情認識回路14の判定した数字をパスワードを構成する1つの数字として前記顔画像Aに割り当てるパスワード付与回路15と、付与された数字の個数が所定数となった時に、その文字列をパスワードとして出力するパスワード出力回路16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワードを入力するためのパスワード入力装置及び入力されたパスワードを事前に許可されたパスワードと照合するパスワード照合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ・チェックはIC化や暗号化、パスワードの使用など、さまざまな方法で個人認証が行われるようになってきた。例えば、社員証に表示されている顔写真などを目視することにより人間が確認していた入門時のセキュリティ・チェックに代えて、ICカード化した社員証を入門時に認証装置に読み取られることで本人確認を行う企業が増えている。更に、各職場に入室する時にも、前記社員証によるチェックや入口に備えられたキーボードにより各自のパスワードを入力することによるチェックを受けなければ、入室できないようになっている所もある。また、手指の指紋や静脈あるいは虹彩などの生体認証による本人確認も普及している。
【0003】
これらICカードやパスワードは常に盗難の危険性があり、前述の生体認証も万全とは言えず、実際に指紋を盗まれて悪用された事件も発生している。下記特許文献1には、テンキーと表示装置を備えたICカードと玄関ロック装置側に設けられた指紋入力装置による入室管理システムが記載されている。この入室管理システムは、パスワードをテンキーで入力すると表示装置に複数の指の指紋を入力する順番が表示され、その指示に基づいて複数の指の指紋を入力したICカードを玄関ロック装置のカードリーダーに差し込むものである。ここで指紋を入力する順番は前回のICカード使用時に自動的に入力され毎回異なるものである。
【0004】
生体認証は、指紋や静脈または虹彩など身体の一部の特徴を捉えたものであるが、人物を撮影することの多いデジタルカメラでは顔認識あるいは顔検出技術が進んでおり、顔を検出するだけでなく、口の画像における口角の位置などから笑っている顔あるいは怒っている顔を判別したり、眼が開いているか閉じているかを判別したりすることができる。下記特許文献2には、これらの技術を用いて複数の顔画像から最も良いと思われる顔画像を作成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−183095号公報
【特許文献2】特開2000−259833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
個人を特定する方法は、ユーザが誰であるかを示すユーザIDや、本人しか知りえないパスワードを入力させるという最も基本的な方法しかない。前記特許文献1に示されるような複雑な装置であっても、個人情報が解析される可能性はゼロにはならず、セキュリティ・チェックをより厳重にするために生体認証などによるユーザIDの確認とパスワード入力とが併用されることが多い。しかし、これらの方法は個人情報をデータベースに事前登録しなければならず、データベースに登録されていない者はどんなに地位の高い人、特別な理由のある人であっても突然には入室することができないといった不便さも生じる。また、パスワード入力のために各扉の前にキーボードを設置しなければならないが、複数のキーを有するキーボードはスペース的に設置困難な場合があり、そもそも扉の存在を知らせたくない場合には設置すること自体に問題があることがある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、キーボードを備えることなくパスワードの入力が可能なパスワード入力装置及び個人情報の登録なしでもパスワードの入力だけで許可されるパスワード照合システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパスワード入力装置は、デジタルカメラで撮像された1コマ分の被写体画像の取り込みを行う画像取得部と、前記画像取得部によって取り込まれた画像の中から顔を抽出する顔抽出手段と、前記顔抽出手段によって抽出された顔画像の表情を認識する表情認識手段と、前記顔画像に対する前記表情認識手段の判定結果が直前の顔画像から変化し、変化後の状態が一定時間継続したときに前記判定結果に基づいた1文字を前記顔画像に付与するパスワード付与手段と、前記パスワード付与手段によって付与された文字の数が所定数となった時に、その文字列をパスワードとして出力するパスワード出力手段と、を備えたことを特徴とする。あるいは、前記画像取得部と、前記画像取得部による前記1コマ分の画像の取り込みを指示する画像入力指示ボタンと、前記顔抽出手段と、前記表情認識手段と、前記パスワード付与手段と、前記パスワード出力手段と、を備えるようにしても良い。前記表情認識手段は、前記顔抽出手段によって抽出された顔画像の中から複数の異なる領域を検出する特定領域検出手段と、前記特定領域検出手段によって検出された前記複数の異なる領域のそれぞれに対して画像状態を認識し、複数の異なる領域の画像状態の組合せを判定する画像状態判定手段と、から構成されるようにすると良い。前記複数の異なる領域は、口領域と右目領域と左目領域であることが好ましい。
【0009】
本発明によるパスワード照合システムは、前記パスワード入力装置と、被写体像を撮像するデジタルカメラと、許可を与えるパスワードを記憶した記憶装置と、前記パスワード入力装置が出力したパスワードと前記記憶装置に記憶されたパスワードとを比較し照合するパスワード照合手段と、を備える。あるいは、個人情報を入力するユーザ情報入力手段を備え、前記ユーザ情報入力手段によって特定されたパスワードと、前記パスワード入力装置が出力したパスワードとを前記パスワード照合手段によって比較し照合するようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顔の表情でパスワードの入力をするのでキーボードが不要であるから設置スペースに苦慮することがなく、扉の存在や扉のセキュリティについて殊更目立たせることなく、パスワードを入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるパスワード入力装置の電気的構成を示す図である。
【図2】撮像され取得された顔画像Aの模式図である。
【図3】顔画像Aの口領域Bを示す模式図である。
【図4】顔画像Aの右目領域Cを示す模式図である。
【図5】顔画像Aの左目領域Dを示す模式図である。
【図6】顔パーツテーブルに保存されたサンプルを示す模式図である。
【図7】パスワードテーブルを説明するための図である。
【図8】パスワード入力装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】施錠制御装置の構成を示す模式図である。
【図10】パスワード照合システムの電気的構成を示す図である。る。
【図11】パスワード照合システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図12】デジタルカメラを用いた施錠制御装置の構成を示す模式図である。
【図13】図12に示す施錠制御装置の電気的構成を示す図である。
【図14】図12に示す施錠制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】ICカードによる認証を用いた施錠制御装置の構成を示す模式図である。
【図16】図15に示す施錠制御装置の電気的構成を示す図である。
【図17】図15に示す施錠制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図18】指紋認証装置を用いた施錠制御装置の構成を示す模式図である。
【図19】図18に示す施錠制御装置の電気的構成を示す図である。
【図20】図18に示す施錠制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明によるパスワード入力装置10は、デジタルビデオカメラ等で連続的に撮像された画像を取得する画像取得部11と、画像取得部11が取得した画像から顔を抽出する顔抽出回路(顔抽出手段)12と、抽出した顔画像A(図2参照)の表情を認識し、予め決められた0〜7の表情のどれに相当するか判定する表情認識回路(表情認識手段)14と、表情認識回路14の判定した0〜7の数字をパスワードを構成する1つの数字(文字)として前記顔画像Aに割り当てるパスワード付与回路(パスワード付与手段)15と、パスワード付与回路15によって付与された数字の数が所定数となった時に、その文字列をパスワードとして出力するパスワード出力回路(パスワード出力手段)16と、を備える。パスワード付与回路15は、前記顔画像Aに対する前記表情認識回路14の判定結果が直前の顔画像から変化し、変化後の状態が一定時間(例えば、1秒)継続したときに、その判定結果に対する前記1つの数字を付与する。一定時間の継続は、所定の画像数をカウントすることで判断しても良い。また、同じ判定結果が継続し続ける場合は、判定結果が変化するまで新たに付与しない。これによって瞬きなど無意識な表情の変化による誤入力を防止することができる。
【0013】
前記表情認識回路14は、前記顔抽出回路12によって抽出された顔画像Aの中から口とその周辺を含む領域(以下、口領域と言う。)B(図3参照)と、右目とその周辺を含む領域(以下、右目領域と言う。)C(図4参照)と、左目とその周辺を含む領域(以下、左目領域と言う。)D(図5参照)(以上、複数の異なる領域)を検出する特定領域検出回路(特定領域検出手段)17と、前記口領域と右目領域と左目領域の画像から口の状態と右目の状態と左目の状態とをそれぞれ判定し、その組合せ結果を出力する画像状態判定回路(画像状態判定手段)18と、から構成される。
【0014】
パスワード入力装置10は、CPU20、RAM21、ROM22を備え、前記画像取得部11及び前記顔抽出回路12、特定領域検出回路17、画像状態判定回路18とともに、データバス23によって接続される。CPU20はROM22からパスワード入力装置10を実行するためのシステムプログラム25を読み出してRAM21に書き込み、プログラムの実行を図る。RAM21は複数の記憶エリアを有しており、複数種類の情報を同時に記憶することができる。ROM22には、システムプログラム25の他に顔パーツテーブル26とパスワードテーブル27が記憶されている。顔パーツテーブル26には、図6に示すように、前記口、右目、左目が開いた状態を1、閉じた状態を0としたサンプル画像が記憶され、前記特定領域検出回路17によって検出された画像の状態を前記画像状態判定回路18が判定するときに顔パーツテーブル26の画像と比較する。パスワードテーブル27は、図7に示すように、閉じた口、開いた口、閉じた右目、開いた右目、閉じた左目、開いた左目による8種類の組合せ状態に対してそれぞれ0〜7の数字を割り付けたものであり、前記画像状態判定回路18は口、右目、左目の状態を0〜7の数字で出力する。また、CPU20は、パスワード付与回路15によって前記顔画像Aにパスワードとなる数字の1つが付与される毎に、次の表情に変化させることを促す音を発するようにスピーカ29に指示する。なお、表情に変化させることを促す報知手段としてスピーカ29の代わりに表示ランプを設けても良い。
【0015】
次に、前記パスワード入力装置10の作用について、図8に示すフローチャートに沿って説明する。デジタルビデオカメラの撮影レンズに向けられた顔が毎秒数十コマ(例えば、30コマ)の速さで撮影され、撮影された中から1コマ分の画像が取り込まれる。取り込まれた1コマ分の画像から顔画像Aが抽出される。抽出された顔画像Aから口領域Bと右目領域Cと左目領域Dが検出され、それぞれの画像は顔パーツテーブル26のサンプルと比較されて、口の開閉、右目の開閉、左目の開閉の状態がそれぞれ検知され、その状態が画像状態として判定され、判定された結果は0〜7の数字でRAM21に一時記憶される。例えば、口と左目が開いて右目が閉じている場合は1,0,1の組合せとなり3が割り付けられる。顔画像の状態が判定されると同時にスピーカ29から次の表情を作ることを促す音が報知される。
【0016】
1コマ分の画像の取り込みから表情の判定までの作業が毎秒数十コマで撮影される顔画像に対して行われ、同じ表情の顔画像Aが所定コマ数(一定時間)以上継続するか否かが監視される。同じ表情を示す同じ数字が連続してRAM21に記憶され、所定の数以上になったときにパスワード付与回路15によってその表情の顔画像Aに対してその数字が1つだけパスワードとして付与されRAM21の別の場所に記憶される。例えば、秒30コマで顔画像が撮像されている場合に同じ数字が30個連続することは1秒間同じ表情をしたことになり、その表情に意思があるものと判断できるので瞬きなどのノイズと区別することができる。勿論、この設定は1秒間(30個)に限るものではなく0.5秒間(15個)であっても差し支えない。ユーザが顔の表情を変える毎に、画像の取り込みからパスワードとなる1つの数字の付与までが繰り返される。こうして、パスワードとなる数字が順次にRAM21に記憶され、その数字が所定数となった時に、その数列(文字列)がパスワード出力回路16によってパスワードとして出力される。
【0017】
次に、本発明によるパスワード照合システム30を備えた施錠制御装置31について説明する。図9及び図10に示すように、施錠制御装置31は、施錠装置38によって施錠されたドア(図示せず)の横の壁32の内側に設置され外側からは見えない。施錠制御装置31の略直方体をした筐体33に収容されたデジタルビデオカメラ35の撮影レンズ36とスピーカ29が、壁32から露呈している。パスワード照合システム30は、ユーザが前記撮影レンズ36に顔の表情を変化させて入力するパスワード情報を数字化(文字化)してパスワードを入力する前記パスワード入力装置10及びパスワード照合回路(パスワード照合手段)37を備える。パスワード照合回路37は、前記パスワード入力装置10に備えられたデータバス23に接続され、前記CPU20によって制御される。ROM22に記憶されたシステムプログラム25は、施錠制御装置31を制御してパスワード照合システム30を実行させる。前記ROM22には入室が許可される者のパスワードが事前に記憶され、前記パスワード照合回路37は、ROM22に記憶されたパスワードと前記パスワード入力装置10で入力されたパスワードとを比較し照合する。これら2つのパスワードが一致した場合には前記ドアの施錠装置38に対して前記CPU20から解除信号が伝達され、施錠装置38の施錠が解除される。なお、前記デジタルビデオカメラ35は、被写体人物の顔を連続的に撮影する動画撮影可能なものであるが、周知であるため詳細な説明は省略する。なお、入室が許可された者のパスワードは前記ROM22に記憶するのではなく、別の記憶装置に記憶させるようにしても良い。また、突然の来訪者ように、来訪者専用パスワードを登録しておくようにしても良い。
【0018】
前記パスワード入力装置10及びパスワード照合システム30を備えた施錠制御装置31の作用を図11に示すフローチャートに沿って説明する。デジタルビデオカメラ35の撮影レンズ36に向けられた人物の顔は毎秒30コマの速さで連続して撮影され、撮影された中から1コマ分の画像が前記パスワード入力装置10に連続して取り込まれる。以降、図8で説明したパスワード入力装置10のフローが実行され、パスワード入力装置10からパスワードが出力される。パスワード入力装置10から出力されたパスワードは、パスワード照合回路37によって前記ROM22に記憶・登録されたパスワードと比較され、これら2つのパスワードが一致すると前記施錠装置38の施錠が解除される。
【0019】
次に、別の実施形態について説明する。前記パスワード入力装置10及びパスワード照合システム30は動画撮影用のデジタルビデオカメラ35によって連続的に撮影された画像を前提にしたものであるが、顔画像の撮影に静止画撮影用のデジタルカメラを用いても良く、その場合は、ユーザが1つの表情を作った状態でレリーズボタン(画像入力指示ボタン)を押すことでその表情が取り込まれるようにすれば良い。前記パスワード入力装置10と同じ部分は説明を省略する。図12に示すように、パスワード照合システム40によって作動する施錠制御装置41は、撮影レンズ46を有するデジタルカメラ45とレリーズボタン44とパスワード入力装置42とが略直方体をした筐体43に収容され、施錠装置38によって施錠されたドア(図示せず)の横の壁32に埋設される。図13に示すように、パスワード照合システム40は、ユーザが前記撮影レンズ46に顔の表情を変化させて入力するパスワード情報を数字化(文字化)してパスワードを入力する前記パスワード入力装置42及びパスワード照合回路37を備える。CPU20はROM48からパスワード入力装置42を実行するためのシステムプログラムを読み出して前記RAM21に書き込みプログラムの実行を図る。ROM48には、システムプログラムの他に前記顔パーツテーブル26とパスワードテーブル27とが記憶されている。なお、ROM48に記憶されたシステムプログラムは次に説明するパスワード照合システム40を実行するためのプログラムを含んでいる。
【0020】
パスワード入力装置42を用いたパスワード照合システム40によって作動する施錠制御装置41の動作について図14に示すフローチャートに沿って説明する。デジタルカメラ45の撮影レンズ46に人物の顔が向けられると撮影が開始される。図7に示す表情の中の1つを作りレリーズボタン44を押すと、その表情の顔画像を含む1コマ分の画像がパスワード入力装置42に取り込まれる。取り込まれた1コマ分の画像から顔画像Aを抽出し、抽出された顔画像Aから口領域Bと右目領域Cと左目領域Dが検出され、それぞれの画像は顔パーツテーブル26のサンプルと比較されて、口の開閉、右目の開閉、左目の開閉の状態がそれぞれ検知され、その状態が画像状態として判定され、判定された結果は0〜7の数字で表される。例えば、口と左目が開いて右目が閉じている場合は1,0,1の組合せとなり3が割り付けられる。顔画像の状態が判定されると同時にスピーカ29から次の表情を作ることを促す音が報知される。前記パスワード入力装置10と異なり、1コマの顔画像Aに対してパスワードとなる1つの数字が付与される。パスワード付与回路15は、前記0〜7の中から割り付けられた数字をパスワードとしてRAM21に記憶する。RAM21に記憶された数字が所定数となったときに、その数列がパスワードとして出力される。パスワード入力装置42から出力されたパスワードは、パスワード照合回路37によって前記ROM48に事前に登録されたパスワードと比較され、これら2つのパスワードが一致すると施錠装置38の施錠が解除される。なお、レリーズボタン44を用いた方法を、デジタルビデオカメラ35を使用した前記パスワード入力装置10に採用してもなんら差し支えない。
【0021】
次に、ICカードによる個人認証装置と前記パスワード入力装置10とを組合せた施錠制御装置61について説明する。ここでは前述のROM48に事前に登録されたパスワードは不要であり、パスワードの照合にはICカードに記録されたパスワードを読み出して、顔の表情により入力されたパスワードと照合するパスワード照合システム60を備える。図15に示すように、パスワード照合システム60によって作動する施錠制御装置61は、前記デジタルビデオカメラ35とICカードから個人情報を採取して認証を行うカード認証装置(ユーザ情報入力手段)64とパスワード入力装置62とが略直方体をした筐体63に収容され、前記施錠装置38によって施錠されたドア(図示せず)の横の壁32に埋設される。図16に示すように、パスワード照合システム60は、前記カード認証装置64及びパスワード入力装置62の他に前記パスワード照合回路37を備える。パスワード入力装置62のROM68に記憶されたシステムプログラムはパスワード照合システム60を実行するためのプログラムを含んでいる。
【0022】
前記施錠制御装置61の動作を図17に示すフローチャートに沿って説明する。前記カード認証装置64にICカードが挿入されると、ICカードに記録されたパスワードが採取されRAM21に記憶された後にパスワード照合回路37に送られる。同時に、前記デジタルビデオカメラ35とパスワード入力装置62が作動する。図8で説明したように、ユーザが顔の表情を変えてパスワードを入力すると、前記デジタルビデオカメラ35によって撮影された顔画像が前記パスワード入力装置62で確認されパスワードとして出力される。出力されたパスワードは、パスワード照合回路37によって前記ICカードから読み出されたパスワードと比較され、これら2つのパスワードが一致すると施錠装置38の施錠が解除される。なお、パスワードのみが記録された来訪者用ICカードでもパスワードが照合されれば施錠装置38の施錠が解除されるようにしても良い。
【0023】
次に、生体認証とパスワード照合とを組合せた施錠制御装置について説明する。生体認証装置として指紋認証装置を例として採用する。図18に示すように、パスワード照合システム50によって作動する施錠制御装置51は、前記デジタルビデオカメラ35と手指の指紋を採取して認証を行う指紋認証装置(ユーザ情報入力手段)54とパスワード入力装置52とが略直方体をした筐体53に収容され、前記施錠装置38によって施錠されたドア(図示せず)の横の壁32に埋設される。図19に示すように、パスワード照合システム50は、前記指紋認証装置54及びパスワード入力装置52の他に前記パスワード照合回路37を備える。パスワード入力装置52のROM58に記憶されたシステムプログラムはパスワード照合システム50を実行するためのプログラムを含んでいる。
【0024】
前記施錠制御装置51の動作を図20に示すフローチャートに沿って説明する。前記指紋認証装置54に手指が挿入されると、そこから指紋が採取される。採取された指紋は指紋認証装置54によって事前に登録されたものであるかが判定され、登録されていることが確認された場合には登録パスワードが読み出されるとともに、前記デジタルビデオカメラ35と前記パスワード入力装置52が作動する。図8で説明したように、ユーザが顔の表情を変えてパスワードを入力すると、前記デジタルビデオカメラ35によって撮影された顔画像が前記パスワード入力装置52で確認されパスワードとして出力される。出力されたパスワードは、パスワード照合回路37によって指紋認証装置54に登録された登録パスワードと比較され、これら2つのパスワードが一致すると施錠装置38の施錠が解除される。
【0025】
前記実施形態は、取り込まれた顔画像の表情が認識できたときに、次の表情を作ることを促す音をスピーカから発するようにしたが、スピーカもランプも取り付けず、次の表情を作ることを促す装置を全く設けなくても問題はない。
【0026】
前記実施形態は、扉の施錠を開錠することを例に挙げて説明したが、本発明によるパスワード入力装置及びパスワード照合システムはこれに限るものではなく、例えば、使用者が限定されたパソコンに搭載しても良い。近年のパソコンにはデジタルカメラを備えたものがあり、デジタルカメラの撮影レンズに向かって、顔の表情で自分のパスワードを入力すると使えるようになる。あるいは、パソコン固有のパスワードを入力すれば誰でも使えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0027】
10,42,52,62 パスワード入力装置
11 画像取得部
12 顔抽出回路(顔抽出手段)
14 表情認識回路(表情認識手段)
15 パスワード付与回路(パスワード付与手段)
16 パスワード出力回路(パスワード出力手段)
17 特定領域検出回路(特定領域検出手段)
18 画像状態判定回路(画像状態判定手段)
20 CPU
21 RAM
22,48,58,68 ROM(記憶装置)
25 システムプログラム
26 顔パーツテーブル
27 パスワードテーブル
30,40,50,60 パスワード照合システム
31,41,51,61 施錠制御装置
35 デジタルビデオカメラ
36,46 撮像レンズ
37 パスワード照合回路(パスワード照合手段)
38 施錠装置
44 レリーズボタン(画像入力指示ボタン)
45 デジタルカメラ
54 指紋認証装置(ユーザ情報入力手段)
64 カード認証装置(ユーザ情報入力手段)
A 顔画像
B 口領域
C 右目領域
D 左目領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルカメラで撮像された1コマ分の被写体画像の取り込みを行う画像取得部と、
前記画像取得部によって取り込まれた画像の中から顔を抽出する顔抽出手段と、
前記顔抽出手段によって抽出された顔画像の表情を認識する表情認識手段と、
前記顔画像に対する前記表情認識手段の判定結果が直前の顔画像から変化し、変化後の状態が一定時間継続したときに前記判定結果に基づいた1文字を前記顔画像に付与するパスワード付与手段と、
前記パスワード付与手段によって付与された文字の数が所定数となった時に、その文字列をパスワードとして出力するパスワード出力手段と、
を備えたことを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項2】
デジタルカメラで撮像された1コマ分の被写体画像の取り込みを行う画像取得部と、
前記画像取得部による前記1コマ分の画像の取り込みを指示する画像入力指示ボタンと、
前記画像取得部によって取り込まれた画像の中から顔を抽出する顔抽出手段と、
前記顔抽出手段によって抽出された顔画像の表情を認識する表情認識手段と、
前記表情認識手段の判定結果に基づいた1文字を前記顔画像に付与するパスワード付与手段と、
前記パスワード付与手段によって付与された文字の数が所定数となった時に、その文字列をパスワードとして出力するパスワード出力手段と、
を備えたことを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項3】
前記表情認識手段は、前記顔抽出手段によって抽出された顔画像の中から複数の異なる領域を検出する特定領域検出手段と、前記特定領域検出手段によって検出された前記複数の異なる領域のそれぞれに対して画像状態を認識し、複数の異なる領域の画像状態の組合せを判定する画像状態判定手段と、から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のパスワード入力装置。
【請求項4】
前記複数の異なる領域は、口領域と右目領域と左目領域であることを特徴とする請求項3記載のパスワード入力装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載のパスワード入力装置と、
被写体像を撮像するデジタルカメラと、
許可を与えるパスワードを記憶した記憶装置と、
前記パスワード入力装置が出力したパスワードと、前記記憶装置に記憶されたパスワードとを比較し照合するパスワード照合手段と、
を備えたことを特徴とするパスワード照合システム。
【請求項6】
請求項1乃至4いずれかに記載のパスワード入力装置と、
パスワードを含む個人情報を入力するユーザ情報入力手段と、
前記ユーザ情報入力手段によって特定されたパスワードと、前記パスワード入力装置によって入力されたパスワードとを比較し照合するパスワード照合手段と、
を備えたことを特徴とするパスワード照合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−182056(P2010−182056A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24476(P2009−24476)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】