説明

パス状態監視方法及び装置

【課題】帯域の増減をより迅速に行うことが可能なパス状態監視方法及び装置を提供する。
【解決手段】32フレーム分直列に接続され且つ各々にフレーム番号FN(“0”〜“31”)を付したSONETフレームFRを、パスP0〜P2に対してそれぞれ周期Tc(=64ms)で循環しながら生成する。パス数(3)に基づきパスP0〜P2同士間でフレームFRの送出遅延時間TD0〜TD2を最適遅延時間間隔D(=21ms)ずつずらした後、送出遅延時間TD1及びTD2を予め求めたパスP0に対するパスP1及びP2の伝送遅延時間分だけ戻す。フレームFRを各パスP0〜P2を介して送出する時、その時の各パスP0〜P2の受信障害の発生状況(パス状態MST)を収集してフレーム番号FN=“0”のフレーム内に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パス状態監視方法及び装置に関し、特に並列物理パスに発生する受信障害を監視する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のパス状態監視技術は、Ethernet(登録商標)データをSONET網へ伝送させるEoS(Ethernet Over SONET)等に適用されている。
【0003】
以下、まず、このパス状態監視技術を適用しないEoSの一般的な伝送例[1]及び[2]を、図24及び25を参照して説明する。そして、従来のパス状態監視技術を適用したEoSの伝送例を、図26〜32を参照して説明する。
【0004】
EoSの一般的な伝送例[1] (CCAT):図24
SONETでは、SPE(Synchronous Payload Envelope)が“49.536Mbps”であるSTS-1を基本として、STS-3c(SPE=“149.76Mbps”)、STS-12c(SPE=“599.04Mbps”)、STS-48c(SPE=“2396.16Mbps”)、STS-192c(SPE=“9584.64Mbps”)のように規定される連続コンカチネーション(CCAT:Contiguous Concatenation)コンテナ(以下、STS回線又は単にパスと称する。)を使用して、広帯域幅での伝送を実現している。
【0005】
例えば図24(1)に示すようにEthernetデータDTの伝送レートが“10Mbps”である場合、これより伝送レートが大きいSTS-1回線を使用してデータDTをSONET網へ伝送する。同様に、EthernetデータDTの伝送レートが、同図(2)に示すように“100Mbps”である場合にはSTS-3c回線を使用し、同図(3)に示すように“1000Mbps”である場合にはSTS-48c回線を使用する。
【0006】
しかしながら、これらの場合、STS回線が有する伝送レートは実際の伝送レートよりかなり大きいため、効率良く利用できないという問題があった。
【0007】
この問題に対処する技術として、以下に説明するVCAT(Virtual Concatenation)が既に提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
EoSの一般的な伝送例[2] (VCAT):図25
VCATでは、Ethernetデータを、その伝送レートより小さい伝送レートを各々が有する複数のSTS回線を使用して並列に伝送させる。
【0009】
すなわち、例えば図25に示すように、前段のEthernet網(図示せず)からEthernet回線EL1を介してEthernetデータDTを受信した伝送装置1_1は、このデータDTをSONETフレームFRに分割し、n本のSTS回線である物理パスP0〜Pn−1を介してSONET網へ送出する。ここで図中の「STSx-nV」は、EthernetデータDTの伝送レートより小さい伝送レートを有するSTS回線をn本使用することを示している。例えばEthernetデータDTの伝送レートが“1000Mbps”である場合、STS-1回線を24本使用(STS1-24V)するか又はSTS-3c回線を8本使用(STS3c-8V)する。
【0010】
SONET網からパスP0〜Pn−1を介してSONETフレームFRを受信した伝送装置1_2は、このフレームFRから元のEthernetデータDTを組み立てEthernet回線EL2を介して後段のEthernet網(図示せず)へ送出する。
【0011】
このように、伝送レートのより小さいSTS回線を並列に組み合わせて運用することにより、効率良くEthernetデータを伝送させることが可能となる。
【0012】
しかしながら、このVCATにおいて帯域を増減させる場合(すなわち、運用パス数を増減させる場合)、全パスを一旦通信断状態にした後に伝送装置1_1及び1_2の帯域設定を変更しなければならないという問題があった。また、伝送装置1_2側の或るパスにSONETフレームFRの受信障害が発生している場合であっても、伝送装置1_1はそのパスを介してフレームFRを送出し続けるため、伝送装置1_2で組み立てられるEthernetデータDTが異常データとなってしまうという問題があった。
【0013】
これらの問題に対処する技術として、以下に説明するLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)が既に提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0014】
従来のパス状態監視技術を適用したEoSの伝送例 (LCAS):図26〜32
LCASでは、以下の制御例(1)〜(4)に示すようにして、通信断状態を生じさせること無く且つ異常データの発生を最小限に留めながら帯域の増減を行なうことが可能である。
【0015】
LCAS制御例(1) (帯域増加):図26及び27
図26(a)に示すように、伝送装置1_1及び1_2同士間でパスP0〜Pn−1を運用パスとして通信を行なっている状態から同図(b)に示すように運用パス数を追加する場合、まず、伝送装置1_1が、図27に実線で示すように伝送装置1_2から受信したパス状態MSTを参照し、運用状態へ切り替えたいパスPnに伝送装置1_2側で受信障害が発生しているか否かを判定する。
【0016】
ここで、パス状態MSTには、受信障害が発生していないパスに対しては“OK”が設定され、受信障害が発生しているパスに対しては“FAIL”が設定される。
【0017】
上記の判定の結果、パスPnに受信障害が発生していないことを検知した時、伝送装置1_1は、図27に示すパス使用形態制御情報CTRLにパスPnに対する追加運用要求(“ADD”)を設定して伝送装置1_2へ送信する。
【0018】
ここで、パス使用形態制御情報CTRLには、上記の“ADD”の他、以下に示す内容を設定することができる。
【0019】
・IDLE:パスPnは非運用状態である。
・NORM:パスPnは正常に伝送が行なわれている。
・DNU:パスPnに対する運用停止要求。
・EOS:パスPnはグループ内の最終パスである。
・FIXED:LCASによる制御を行なわない。
【0020】
伝送装置1_2は、パスPnに対する受信準備が完了した後、図27に示すように追加運用要求“ADD”に対する応答RS_Ackを伝送装置1_1へ送信する。
【0021】
これを受けた伝送装置1_1は、パスP0〜Pn−1に加え、図26(b)に一点鎖線で示すようにパスPnに対してもSONETフレームFRを送出する。
【0022】
このように、運用切替対象であるパスPn以外のパスP0〜Pn−1に何ら影響を与えること無く帯域を増加することが可能である。
【0023】
LCAS制御例(2) (帯域削減):図28
図28(a)に示すように、伝送装置1_1及び1_2同士間でパスP0〜Pn−1を運用パスとして通信を行なっている状態から同図(b)に示すように運用パス数を削減する場合、まず、伝送装置1_1が、非運用状態へ切り替えたいパスPn−1へのSONETフレームFRの送出を停止する。また同時に、伝送装置1_1は、パス使用形態制御情報CTRLに上述したパスPn−1に対する運用停止要求“DNU”を設定して伝送装置1_2へ送信する。
【0024】
伝送装置1_2は、パスPn−1に対する受信停止が完了した後、運用停止要求“DNU”に対する応答RS_Ackを伝送装置1_1へ送信する。
【0025】
これを受けた伝送装置1_1は、同図(b)に一点鎖線で示すようにパスPn−1を非運用状態へ切り替える。
【0026】
このように、非運用切替対象であるパスPn−1以外のパスP0〜Pn−2に何ら影響を与えること無く帯域を削減することが可能である。
【0027】
LCAS制御例(3) (受信障害発生時):図29
図29(a)に示すように、伝送装置1_2において、例えば運用中のパスP0〜Pn−1の内のパスP1及びP2に受信障害が発生した場合、まず、伝送装置1_1が、伝送装置1_2から受信したパス状態MSTからパスP1及びP2に受信障害が発生していることを検知して、パスP1及びP2へのSONETフレームFRの送出を停止する。また同時に、伝送装置1_1は、パス使用形態制御情報CTRLにパスP1及びP2に対する運用停止要求“DNU”を設定して伝送装置1_2へ送信する。
【0028】
伝送装置1_2は、パスP1及びP2に対する受信停止が完了した後、運用停止要求“DNU”に対する応答RS_Ackを伝送装置1_1へ送信する。
【0029】
これを受けた伝送装置1_1は、同図(b)に一点鎖線で示すようにパスP1及びP2を非運用状態へ切り替える。
【0030】
このように、パスP1及びP2の受信障害に伴って発生する異常データを最小限に留めることが可能である。
【0031】
LCAS制御例(4) (受信障害復旧時):図30
図30(a)に示すように、図29(a)に示した伝送装置1_2におけるパスP1及びP2の受信障害が復旧した場合、まず、伝送装置1_1が、伝送装置1_2から受信したパス状態MSTからパスP1及びP2の受信障害が復旧したことを検知して、パス使用形態制御情報CTRLにパスP1及びP2に対する追加運用要求“ADD”を設定して伝送装置1_2へ送信する。
【0032】
伝送装置1_2は、パスP1及びP2に対する受信準備が完了した後、追加運用要求“ADD”に対する応答RS_Ackを伝送装置1_1へ送信する。
【0033】
これを受けた伝送装置1_1は、図30(b)に示すようにパスP1及びP2を再び運用状態へ切り替え、SONETフレームFRを送出する。
【0034】
このように、上記の制御例(1)〜(4)では、伝送装置1_1をパス状態MSTの受信側、伝送装置1_2をパス状態MSTの送信側として説明したが、図27に点線で示すように、これを逆にしたパス状態MSTの送受信も実行されている。すなわち、伝送装置1_1及び1_2同士間で互いにパス状態MSTを監視している。
【0035】
以下、パス状態監視の従来例を、図31及び32を参照してより詳細に説明する。
【0036】
パス状態監視の従来例:図31及び32
図31(1)に示すように、パス状態MSTの送信側である伝送装置1Sは、32フレーム分直列に接続され且つ各々にフレーム番号FN(“0”〜“31”)を付したSONETフレームFRを周期Tc(=64ms)で循環させながら生成し、P0〜P2に対して同一位相で送出(1フレーム当りの送出周期=“2ms”)する。
【0037】
ここで、LCASの仕様では、実際に存在するパスの数に関わらず、運用パス上限数(=“256”)分のパス状態MSTを伝送装置1S及び1R同士間で送受信することが規定されており、各SONETフレームFRには、同図(2)に示すフレーム番号FNとパス状態MSTの対応関係に従って、それぞれ8パス分ずつパス状態MSTが設定される。
【0038】
すなわち、フレーム番号FNが“0”であるSONETフレームFRには実在するパスP0〜P2及び実在しないパスP3〜P7のパス状態MST0〜MST7が設定され、フレーム番号FNが“1”,…,“30”, “31”であるSONETフレームFRには、それぞれ、実在しないパスP8〜P15のパス状態MST8〜MST16,…, 実在しないパスP240〜P247のパス状態MST240〜MST247, 実在しないパスP248〜P255のパス状態MST248〜MST255、というように設定される。
【0039】
また、伝送装置1Sは、フレーム番号FN が“0”であるSONETフレームFRを生成する度毎に、パスP0〜P2の受信障害の発生状況に応じてパス状態MST0〜MST2に“OK”又は“FAIL”を設定するが、実在しないパスP3〜P255のパス状態MST3〜MST255には常に“FAIL”を設定する。
【0040】
また、各SONETフレームFRは、8パス分のパス状態MSTをパスオーバーヘッド(POH:Path OverHead)中のH4バイトに一度に格納できるようマルチフレーム化されている。
【0041】
図32は、上記のH4バイトのフォーマット例を示している。このH4バイトは、各行のビット1〜4をデータ領域として使用し、各行のビット5〜8をマルチフレームインジケータMFIとして使用する。
【0042】
フレーム番号FNは、マルチフレームインジケータMFIが“0000”及び“0001”を示す行(すなわち、“0”及び“1”行目)のビット1〜4に設定され、パス状態MSTは、マルチフレームインジケータMFIが“1000”及び“1001”を示す行(すなわち、“8”及び“9”行目)のビット1〜4に、“OK”(0)又は“FAIL”(1)を1ビットずつ計8ビット分のデータとして設定される。また、“14”及び“15”行目のビット1〜4には、各SONETフレームFRを送出するパスP0〜P2を一意に識別するパス番号PNが設定される。
【0043】
P0〜P2を介して各SONETフレームFRを受信した伝送装置1R(パス状態MSTの受信側)は、各SONETフレームFRからパス状態MST及びフレーム番号FNを抽出する共に、図31(2)に示した対応関係に従って、抽出したパス状態MSTがどのパスの受信障害の発生状況に対応するのかを識別する。
【0044】
これにより、伝送装置1Rは、所望のパスに伝送装置1S側で受信障害が発生しているか否か或いは受信障害が復旧したか否かを検知でき、以て上記の制御例(1)〜(4)で説明した帯域の増減を行なうことが可能となる。
【0045】
また、図32に示すH4バイトのフォーマットは、図27に示したパス使用形態制御情報CTRL及びこれに対する応答RS_Ackを送信する際にも共通に使用されるものであり、これらのパス使用形態制御情報CTRL及び応答RS_Ackは、“2”行目のビット1〜4及び“10”行目のビット4にそれぞれ設定される。
【0046】
また、その他の情報として、パスをグループ分けする際のグループ識別子GID及びSONETフレームFRの誤り検出符号CRCを、“3”行目のビット4並びに“6”及び“7”行目のビット1〜4にそれぞれ設定することが可能である。
【0047】
なお、参考例として、SONETフレームの受信側において、経路(パス)の相違により生じるフレーム同士間の位相ずれを調整するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【非特許文献1】ITU-T勧告G.707
【非特許文献2】ITU-T勧告G.7042/Y.1305
【特許文献1】特開2002-232380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
上記の従来例では、所定周期で循環しながら送受信されるパス状態に基づき帯域の増減を行なっている。しかしながら、特定のパスに着目するとそのパス状態は該所定周期毎にしか監視できないため、この間に発生する受信障害又はその復旧を次の周期迄検知できず帯域の増減が遅れてしまうという課題があった。
【0049】
特に受信障害発生時の帯域削減の遅れは、異常データの大量発生を引き起こす虞れがあり、最悪の場合、伝送装置の故障や通信断等に繋がる。
【0050】
従って、本発明は、帯域の増減をより迅速に行うことが可能なパス状態監視方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0051】
[1]上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るパス状態監視方法(又は装置)は、並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームを、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成する第1ステップ(又は手段)と、該パスの数に基づき該パス同士間で該フレームの位相をずらす第2ステップ(又は手段)と、該フレームを各パスを介して送出する時、その時の各パスの受信障害の発生状況を収集して該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する第3ステップ(又は手段)とを備えたことを特徴とする。
【0052】
すなわち、本発明の一態様に係るパス状態監視方法(又は装置)(パス状態の送信側)では、図31に示した従来例と同様にして生成したフレームの位相をパス同士間でずらした後、各パスに対する送出時点での最新の受信障害の発生状況を該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する。
【0053】
これにより、パス状態の受信側では、各パスの受信障害の発生状況を該フレームの循環周期より短い間隔で監視できるため、より迅速に帯域の増減を行うことが可能である。
【0054】
[2]また、上記[1]において、該フレームの位相をずらす間隔が、該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔であっても良い。
【0055】
すなわち、この場合、パス状態の受信側では、各パスの受信障害の発生状況を該フレームの循環周期より短く且つ均等な間隔で監視できるため、より正確に帯域の増減を行うことが可能である。
【0056】
[3]また、上記[1]において、該第2ステップが、各パスの受信障害の発生状況を収集し、該受信障害が発生していない正常パス数に基づき正常パス同士間でのみ該フレームの位相をずらすステップを含むようにしても良い。
【0057】
すなわち、受信障害が発生しているパス(以下、異常パス)を介して送出する該フレームはパス状態の受信側迄到達しない虞れがあるため、該フレームが確実に到達し得る正常パス同士間でのみ該フレームの位相をずらす。これに対し、異常パスを介して送出する該フレームに各パスの受信障害の発生状況を正しく格納するのは、このフレームがパス状態の受信側迄到達した際に受信障害の発生又はその復旧を誤って検知させないためである。
【0058】
[4]また、上記[3]において、該フレームの位相をずらす間隔が、該フレームの循環周期を該正常パス数で等分した時間間隔であっても良い。
【0059】
[5]また、上記[2]において、該第2及び該第3ステップを、該パスを所定のパス数毎に区分けしたグループ毎に実行して該グループ同士間で同一位相のフレームを送出し、以て該フレームの宛先で一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した場合であっても、該宛先が、該一のパスを介して送出したフレームと同一位相のフレームを他のグループ内のいずれかのパスを介して受信できるようにしても良い。
【0060】
すなわち、この場合、パス状態の受信側では、パスに受信障害が発生した時であっても、各パスの受信障害の発生又はその復旧を確実に検知できる。
【0061】
[6]また、上記[1]において、該第3ステップが、該フレームに、その宛先で各パスへの送出順に該フレームを処理させるための順序を付すステップを含むようにしても良い。
【0062】
すなわち、パス状態の受信側における該フレームの受信順序が、パス状態の送信側での送出順序と異なってしまう虞れがあるため、パス状態の送信側では、該フレームにその送出順序を付す。
【0063】
これにより、パス状態の受信側では、各パスの受信障害の発生又はその復旧を事象順に正しく検知できる。
【0064】
[7]また、上記[5]において、該第3ステップが、各グループ毎の各フレームに、その宛先で各パスへの送出順に各フレームを処理させるための順序を付すステップを含むようにしても良い。
【0065】
すなわち、この場合、パス状態の受信側では、パスに受信障害が発生した時であっても、各パスの受信障害の発生又はその復旧を確実且つ事象順に正しく検知できる。
【0066】
[8]また、上記[1]において、該第1ステップの前に、該フレームを生成して各パスに対して同一位相で送出する第4ステップと、該第4ステップの後、各パス内で順次生成される該フレームを、該フレームの宛先から受信したフレームが受信障害の発生を示す迄遅延させて送出し、該受信障害発生時の遅延時間を該宛先がそのパスに対して許容する伝送遅延時間として求めると共に、全パスにおいて求めた許容伝送遅延時間の内、最大の許容伝送遅延時間から各許容伝送遅延時間を減算することにより該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を求める第5ステップと、をさらに備え、該第2ステップが、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻すステップを含むようにしても良い。
【0067】
すなわち、各パスの経路差によりパス同士間で該フレームに伝送遅延が生じ得る。この場合、伝送遅延時間を考慮して該フレームの位相をずらすことが望ましい。
【0068】
このため、第4及び第5ステップでは、該第1〜該第3ステップの実行に先立って各パスの伝送遅延時間を測定する。
【0069】
すなわち、まず該第4ステップが、該フレームを生成して各パスに対して同一位相で送出した後、該第5ステップが、各パス内で順次生成される該フレームを強制的に遅延させて送出することにより、該フレームの宛先で受信障害を発生させ、その時の遅延時間を該宛先がそのパスに対して許容する伝送遅延時間としてそれぞれ求める。
【0070】
ここで、最大の許容伝送遅延時間が求められたパスは、最も伝送遅延が許容されるパス、すなわち、実際の伝送遅延時間が最小(“0”)である基準パスと見做すことができる。また、他の許容伝送遅延時間が求められたパスは、その時間分(すなわち、該基準パスに対する実際の伝送遅延時間から最大の許容伝送遅延時間迄の時間分)だけ伝送遅延が許容されるパスである。
【0071】
従って、該第5ステップは、最大の許容伝送遅延時間から各許容伝送遅延時間を減算することにより各パスの伝送遅延時間を求める。
【0072】
そして、該第2ステップは、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、上記[2]と同様にしてずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻す。
【0073】
これにより、パス状態の受信側では、パス同士間で伝送遅延が生じている場合であっても、各パスの受信障害の発生状況を該フレームの循環周期より短く且つ均等な間隔で監視できる。
【0074】
[9]また、上記[1]において、該第2ステップが、該フレームの宛先から各パスの伝送遅延時間を受信する第4ステップと、該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻す第5ステップとを含むようにしても良い。
【0075】
[10]また、上記[9]において、各伝送遅延時間が、各パスを介して受信する共通内容のフレームのヘッダ中の空き領域に順次設定され、該第5ステップが、通常時、一のパスを介して受信したフレームのヘッダ中の空き領域に設定された伝送遅延時間を使用して該第1ステップで生成した該フレームの位相をずらし、該一のパスに受信障害が発生した時、他のパスを介して受信したフレームのヘッダ中の空き領域に設定された伝送遅延時間を使用して該第1ステップで生成した該フレームの位相をずらすステップを含むようにしても良い。
【0076】
[11]また、上記[1]において、該第1ステップの前に、ループバック制御用フレームを各パスを介して送出すると共に、その宛先から折り返されて戻って来る迄の往復伝送時間を各パス毎に測定し、各往復伝送時間から各パスの伝送時間を求める第4ステップと、全パスにおいて求めた伝送時間の内、最小の伝送時間を各伝送時間から減算することにより該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を求める第5ステップと、をさらに備え、該第2ステップが、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻すステップを含むようにしても良い。
【0077】
[12]また、上記の目的を達成するための本発明の一態様に係るパス状態監視方法(又は装置)は、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成され且つ並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームであって、その送出元で該パス同士間で位相がずらされ、且つ各パスの該送出元における受信障害の発生状況が格納されたフレームを各パスを介して受信する第1ステップ(又は手段)と、該フレームを受信する度毎に、該フレームから各パスの該送出元における受信障害の発生状況を抽出する第2ステップ(又は手段)とを備えたことを特徴とする。
【0078】
すなわち、パス状態の受信側では、上記[1]で説明した通り、各パスの受信障害の発生状況を該フレームの循環周期より短い間隔で監視でき、以てより迅速に帯域の増減を行うことが可能である。
【0079】
[13]また、上記[12]において、該パスが、所定のパス数毎のグループに区分けされ、各グループ内の各パスに対する該フレームの位相が、該グループ同士間で同一位相となるように該フレームの循環周期を該所定のパス数で等分した時間間隔ずつずらされており、該第2ステップが、通常時、一のグループ内の各パスを介して受信したフレームから該抽出を行い、該一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した時、他のグループ内の各パスを介して受信したフレームの内、該一のパスを介して受信したフレームと同一位相のフレームから該抽出を行うステップを含むようにしても良い。
【0080】
[14]また、上記[12]において、該フレームに、該送出元での各パスへの送出順序が付されており、該第2ステップが、該送出順序に従って各パスを介して受信した該フレームから該抽出を行うステップを含むようにしても良い。
【0081】
[15]また、上記[14]において、該第2ステップが、一のパスに受信障害が発生した時、該一のパスに対応する送出順序を除外した他の送出順序に従って該抽出を行うステップをさらに含むようにしても良い。
【0082】
[16]また、上記[12]において、該パスが、所定のパス数毎のグループに区分けされ、各グループ内の各パスに対する該フレームの位相が、該フレームの循環周期を該所定のパス数で等分した時間間隔ずつずらされ、各グループ毎の各フレームに、該送出元での各パスへの送出順序が付されており、該第2ステップが、通常時、該送出順序に従って一のグループ内の各パスを介して受信したフレームから該抽出を行い、該一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した時、他のグループ内の各パスを介して受信したフレームの内、該一のパスを介して受信したフレームと同一の送出順序が付されたフレームから該抽出を行うステップを含むようにしても良い。
【0083】
[17]また、上記[12]において、該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を測定して該送出元に少なくとも1つのパスを介して送出する第3ステップをさらに備えるようにしても良い。
【0084】
[18]また、上記[17]において、該第3ステップが、各伝送遅延時間をヘッダ中の空き領域に順次設定したフレームを各パスを介して送出するようにしても良い。
【発明の効果】
【0085】
本発明によれば、帯域の増減をより迅速に行うことができ、以てこれを適用する伝送装置を正しく動作させ、通信品質を保証することができる。
【0086】
また、パス同士間で伝送遅延が生じている場合であっても、パス状態を正確に監視できるようにしたので、種々の通信条件下で運用を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
本発明に係るパス状態監視方法及びこれを使用する装置の実施例[1]〜[7]を、図1〜23を参照して以下の順に説明する。
I. 実施例[1]:図1〜3
I.1. 構成例:図1
I.2. 動作例:図2及び3
I.2.A. 伝送装置1Sの全体動作例:図2
I.2.B. 遅延生成処理例:図3
II. 実施例[2]:図4〜6
II.1. 構成例:図4
II.2. 動作例:図5及び6
II.2.A. 伝送装置1Sの全体動作例:図5
II.2.B. 遅延生成処理例:図6
III. 実施例[3]:図7及び8
III.1. 構成例:図7
III.2. 動作例:図8
IV. 実施例[4]:図9〜13
IV.1. 構成例:図9及び10
IV.2. 動作例:図11〜13
IV.2.A. 動作例(1):図11〜12
IV.2.B. 動作例(2):図13
V. 実施例[5]:図14〜16
V.1. 構成例:図14
V.2. 動作例:図15及び16
VI. 実施例[6]:図17〜20
VI.1. 構成例:図17
VI.2. 動作例:図18〜20
VI.2.A. 伝送遅延時間通知部の実施例(1):図18
VI.2.B. 伝送遅延時間通知部の実施例(2):図19
VI.2.C. 伝送装置1Sの全体動作例:図20
VII. 実施例[7]:図21〜23
VII.1. 構成例:図21
VII.2. 動作例:図22及び23
【0088】
I.実施例[1]:図1〜3
I.1.構成例:図1
図1に示す本発明の実施例[1]に係る伝送装置1S及び1Rは、互いに3本のSTS回線である物理パスP0〜P2で接続され、各々がパスP0〜P2の終端となりEthernet網(図示せず)側のインタフェースとして機能するEthernetインタフェース部10S及び10Rと、各パスP0〜P2中に配置され各々がSONET網(図示せず)側のインタフェースとして機能するSONETインタフェース部20S及び20Rと、インタフェース部10S及び20S並びにインタフェース部10R及び20Rをそれぞれ制御する制御部30S及び30Rとで構成されている。
【0089】
また、伝送装置1S内のEthernetインタフェース部10Sは、図31に示した従来例と同様のSONETフレームFRを各パスP0〜P2に対してそれぞれ循環させながら生成するフレーム生成部11と、各パスP0〜P2に発生する受信障害を監視する受信障害監視部12と、フレーム生成部11から出力されたフレームFRの位相を、パスP0〜P2の数“3”に基づき制御部30Sで算出される送出遅延時間TDに従ってパスP0〜P2同士間でずらすと共に、各パスP0〜P2を介してフレームFRを送出する際、各パスP0〜P2の受信障害の発生状況を示すパス状態MSTを受信障害監視部12から取得してフレームFRに格納する遅延生成部13とを備えている。
【0090】
なお、図示を省略するが、上記の各ブロック11〜13は、伝送装置1R内のEthernetインタフェース部10Rにも設けられており、伝送装置1S及び1R同士間で互いのパス状態MSTを監視することができる。
【0091】
また、本実施例及び後述する実施例[2]〜[7]おいては、説明を簡略化するため、伝送装置1S及び1Rをそれぞれパス状態MSTの送信側及び受信側とするが、これらを反対にした場合も信号の流れが逆になるだけで以下の説明は同様に適用される。
【0092】
I.2.動作例:図2及び3
次に、本実施例の動作について説明するが、まず伝送装置1Sの全体動作を、図2を参照して説明する。そして、遅延生成部13により行なわれるフレームFRの位相をパスP0〜P2同士間でずらす処理(以下、遅延生成処理)の一実施例を、図3を参照して説明する。
【0093】
I.2.A.伝送装置1Sの全体動作例:図2
図2に示すように、まず、制御部30Sが、全ての処理に先立って各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2を“0ms”に設定して初期化する(ステップS1)。
【0094】
そして、制御部30Sは、SONETフレームFRの循環周期Tc=“64ms”をパスP0〜P2の数n=“3”で除算して、送出遅延時間TD0〜TD2同士間の最適な時間間隔(以下、最適遅延時間間隔)D=“21ms”(この例では小数点以下切捨て)を求める(ステップS2)。
【0095】
制御部30Sは、この最適遅延時間間隔Dを用いて各送出遅延時間TD0〜TD2を以下の式(1)に示すように算出し、遅延生成部13に与える(ステップS3)。
【0096】
TDn = パス同士間の基準パスに対する隣接順序AS・最適遅延時間間隔D …式(1)
今、パスP0を基準パス(隣接順序AS=“0”)とすると、パスP1及びP2の隣接順序ASはそれぞれ“1”及び“2”であるため、送出遅延時間TD0、TD1、及びTD2は、それぞれ“0ms”、“21ms”、及び“42ms”と算出される。
【0097】
遅延生成部13は、これらの送出遅延時間TD0〜TD2に従って以下に示す遅延生成処理を行う(ステップS4)。
【0098】
I.2.B.遅延生成処理例:図3
図3に示すように、まず遅延生成部13は、フレーム生成部11から各パスP0〜P2に対して出力されたSONETフレームFRを、各パスP0〜P2中に設けたメモリMEM0〜MEM2に記憶する。
【0099】
ここで、フレームFRには、図31(1)と同様に各々にフレーム番号FN(“0”〜“31”)が付され且つフレーム循環周期Tcで循環しながら生成されるものであり、パス状態MSTを同図(2)に示したフレーム番号PNとの対応関係に従って格納するものとする。
【0100】
この時、パスP0の送出遅延時間TD0が“0ms”であるため、遅延生成部13は、即座に受信障害監視部12(図3では省略)からパス状態MSTを取得すると共にメモリMEM0に記憶されているフレーム番号FN=“0”のフレーム内に格納する。そして、遅延生成部13は、メモリMEM0からフレームFRを読み出してSONETインタフェース部20Sに与え、以てフレームFRをパスP0を介して送出する。
【0101】
このように、パスP0に対するフレームFRは遅延無く送出される。
【0102】
パスP0に対するフレームFRの送出から送出遅延時間TD1(=21ms)が経過した時、遅延生成部13は、この時点で取得したパス状態MSTをメモリMEM1に記憶されているフレーム番号FN=“0”のフレーム内に格納した後、メモリMEM1からフレームFRを読み出してSONETインタフェース部20Sに与える。
【0103】
これにより、パスP1を介して送出されるフレームFRの位相は、パスP0を介して送出されたフレームFRの位相から最適遅延時間間隔Dだけずれた状態となる。
【0104】
パスP0に対するフレームFRの送出から送出遅延時間TD2(=42ms)が経過した時、遅延生成部13は、この時点で取得したパス状態MSTをメモリMEM2に記憶されているフレーム番号FN=“0”のフレーム内に格納した後、メモリMEM2からフレームFRを読み出してSONETインタフェース部20Sに与える。
【0105】
これにより、パスP2を介して送出されるフレームFRの位相は、パスP1に対して送出されたフレームFRの位相から最適遅延時間間隔Dだけずれた状態となる。
【0106】
以降、遅延生成部13は、各パスP0〜P1内で順次生成されるフレームFRに対して上記の処理を繰り返し実行する。
【0107】
II.実施例[2]:図4〜6
II.1.構成例:図4
図4に示す本発明の実施例[2]に係る伝送装置1S及び1Rは、遅延生成部13に加え、制御部30Sも受信障害監視部12からパス状態MSTを取得するように構成した点が上記の実施例[1]と異なっている。
【0108】
II.2.動作例:図5及び6
次に、本実施例の動作について説明するが、まず伝送装置1Sの全体動作を、図5を参照して説明する。そして、遅延生成部13による遅延生成処理の一実施例を、図6を参照して説明する。
【0109】
II.2.A.伝送装置1Sの全体動作例:図5
図5は、図2に示したステップS2及びS3の処理に代えてステップS5〜S7を実行し、ステップS4〜S7を繰り返し実行するよう変更したものである。
【0110】
すなわち、制御部30Sは、各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2の算出に先立って、受信障害監視部12からパス状態MSTを取得し、パスP0〜P2の内の正常パス及びその数を検知する(ステップS5)。
【0111】
今、図6に示すようにパスP1に受信障害が発生しているとすると、制御部30S(図示せず)は、正常パス数mを“2”として検知し、フレーム循環周期Tc(64ms)を正常パス数kで除算して正常パスP0及びP2の送出遅延時間TD0及びTD2同士間の最適遅延時間間隔D=“32ms”を求める(ステップS6)。
【0112】
そして、制御部30Sは、送出遅延時間TD0及びTD2を以下の式(2)に示すように算出し、遅延生成部13に与える(ステップS7)。
【0113】
TDk = 正常パス同士間の基準パスに対する隣接順序ASk・最適遅延時間間隔D …式(2)
今、パスP0を基準パス(隣接順序ASk=“0”)とすると、パスP2の隣接順序ASkは“1”であるため、送出遅延時間TD0及びTD2は、それぞれ“0ms”及び“32ms”と算出される。
【0114】
また、受信障害が発生しているパスP1の送出遅延時間TD1は、上記のステップS7では更新されず、受信障害が発生する前の値(図6の例では“21ms”)のままである。
【0115】
遅延生成部13は、各送出遅延時間TD0〜TD2に従って以下に示す遅延生成処理を行う(ステップS4)。
【0116】
また、制御部30Sは、遅延生成部13により遅延生成処理が行われている間も上記のステップS5〜S7を繰り返して実行し、各パスP0〜P2に受信障害が発生又は復旧する度毎に送出遅延時間TD0〜TD2を更新する。
【0117】
II.2.B.遅延生成処理例:図6
図6に示すように、まず遅延生成部13は、上記の実施例[1]と同様、フレーム生成部11から各パスP0〜P2に対して出力されたSONETフレームFRをメモリMEM0〜MEM2に記憶する。
【0118】
この時、パスP0の送出遅延時間TD0が“0ms”であるため、遅延生成部13は、上記の実施例[1]と同様にしてフレームFRをパスP0に対して遅延無く送出する。
【0119】
パスP0に対するフレームFRの送出から送出遅延時間TD1(=21ms)が経過した時、遅延生成部13は、上記の実施例[1]と同様にしてフレームFRをパスP1に対して送出する。但し、送出遅延時間TD1が受信障害発生前の値であるため、パスP1に対して送出されたフレームFRとパスP0に対して送出されたフレームFRとの位相差は、最適遅延時間間隔Dとは異なる。
【0120】
基準パスP0に対するフレームFRの送出から送出遅延時間TD2(=32ms)が経過した時、遅延生成部13は、上記の実施例[1]と同様にしてフレームFRをパスP2に対して送出する。
【0121】
これにより、パスP2に対して送出されるSONETフレームFRの位相は、パスP0に対して送出されたSONETフレームFRの位相から最適遅延時間間隔Dだけずれた状態となる。
【0122】
III.実施例[3]:図7及び8
III.1.構成例:図7
図7に示す本発明の実施例[3]に係る伝送装置1S及び1Rは、互いにn本のパスP0〜Pn−1で接続されており、パスP0〜Pn−1を32パス毎のパスグループPG1〜PGmに区分けした点が上記の実施例[1]と異なっている。
【0123】
III.2.動作例:図8
動作においては、パス状態MSTの送信側である伝送装置1Sが、各パスグループPG1〜PGm毎に図2に示したステップS1〜S4の処理を実行する。
【0124】
これにより、図8に示すように、SONETフレームFRは、その位相が各パスグループPG1〜PGm内のパス同士間で最適遅延時間間隔Dずつずれた状態で各パスP0〜Pn−1を介して送出される。
【0125】
この例では、パスP0〜Pn−1を32パス毎のパスグループに区分けしているため、図示の如く32パスずつ離れたパス同士間でフレームFRの位相が同一となる。
【0126】
例えば、パス状態MSTの受信側である伝送装置1RがパスグループPG1内のパスP0〜P31を介して受信したフレームFRを使用してパス状態MSTの監視を行なっている場合であって、パスP1に受信障害が発生した時、伝送装置1Rは、パスグループPG2内のパスP33を介して受信したフレームFRからパス状態MSTを抽出する。同様に、伝送装置1Rは、パスグループPG2に限らず、他のパスグループPG3〜PGm内の基準パスに直接隣接するパスからもパスP1と同一位相のフレームFRを受信することができる。
【0127】
なお、パスP1の受信障害が復旧した時、伝送装置1Rは、再びパスP1を介して受信するフレームFRからパス状態MSTを抽出するようにしても良いし、受信障害発生時に代替としたパスP33を介して受信するフレームFRからパス状態MSTを抽出し続けても良い。
【0128】
IV.実施例[4]:図9〜13
IV.1.構成例:図9及び10
図9に示す本発明の実施例[4]に係る伝送装置1S及び1Rは、互いにn本のパスP0〜Pn−1で接続されており、制御部30Sが、送出遅延時間TDに加えて送出番号TNを遅延生成部13に与えるように構成した点が上記の実施例[1]と異なっている。
【0129】
なお、上記の実施例[3]と同様、パスP0〜Pn−1を所定のパス数毎のパスグループに区分けしても良い。
【0130】
ここで、送出番号TNは、パス状態MSTの受信側である伝送装置1Rに対して各パスP0〜Pn−1へのフレームFRの送出順序を知らせるためのものであり、図10に示すようなパス状態MST到着順序の逆転現象に対処することを目的としている。
【0131】
すなわち、伝送装置1Sにおいては、フレームFRの送出順序と各パスP0〜Pn−1の受信障害の発生又はその復旧の事象順序とを一致させているが、伝送装置1Rにおいては、各パスP0〜Pn−1の経路長等の相違により、フレームFRの受信順序と各パスP0〜Pn−1の受信障害の発生又はその復旧の事象順序とが不一致となる場合がある。
【0132】
例えば、図示の如く、パスP0及びP1に対するフレームFRの送出時点ではパスP0に受信障害が発生しておらず(すなわち、パスP0のパス状態MST0が“OK”であり)、パスP2に対するフレームFRの送出時点でパスP0に受信障害が発生した(すなわち、パス状態MST0が“OK”から“FAIL”に遷移した)場合であって、伝送装置1RがパスP0→P2→P1の順にフレームFRを受信した時、伝送装置1Rは、まずパスP0を介して受信したフレームFRに格納されたパス状態MST0を参照し、伝送装置1S側でパスP0に受信障害が発生していないことを検知する。
【0133】
そして、伝送装置1Rは、パスP2を介して受信したパス状態MST0からパスP0に受信障害が発生していることを検知するが、次いでパスP1を介して受信したパス状態MST0からパスP0の受信障害が復旧したと誤検知してしまう。
【0134】
このため、伝送装置1Sは、以下に示すようにして各パスP0〜Pn−1を介して送出するフレームFRに送出番号TNを付し、以て伝送装置1RにフレームFRの送出順序を知らせる。
【0135】
IV.2.動作例:図11〜13
次に、本実施例の動作について説明するが、まずパスP0〜Pn−1をパスグループに区分けしない場合の動作例(1)を、図11及び12を参照して説明する。そして、パスP0〜Pn−1をパスグループに区分けした場合の動作例(2)を、図13を参照して説明する。
【0136】
IV.2.A.動作例(1):図11〜12
図11(a)に示すように、伝送装置1Sは、図2に示したステップS1〜S4の処理を実行することにより、SONETフレームFRをパスP0〜Pn−1同士間で最適遅延時間間隔Dずつずらして送出するが、その送出の際、以下のようにしてフレームFRに送出番号TNを格納する。
【0137】
伝送装置1S内の制御部30Sは、フレームFRの各パスP0〜Pn−1への送出順(すなわち、図2のステップS3で算出した各パスP0〜Pn−1の送出遅延時間TDの昇順)に“1”ずつインクリメントさせた送出番号TNを遅延生成部13に与える。
【0138】
遅延生成部13(図11(a)では図示せず)は、この送出番号TNを各パスP0〜Pn−1を介して送出するフレームFRに格納する。ここで、送出番号TNは、例えば図12に示すように、フレームFRのパスオーバへッド中のH4バイトのマルチフレームインジケータMFIが“1011”〜“1101”を示す行(すなわち、“11”〜“13”行目)のビット1〜4(図32では“Reserved”)に設定する。
【0139】
これにより、パスP0を介して送出されるフレームFRには送出番号TN=“1”が付され、同様に、パスP1〜Pn−1を介して送出されるフレームFRにはそれぞれ送出番号TN=“2”〜“n”が付される。
【0140】
伝送装置1Rは、送出番号TNが付されたフレームFRを図11(b)に示すようにして受信する。すなわち、まず伝送装置1Rは、自分自身側でパスP0〜Pn−1に受信障害が発生しているか否かを判定する(ステップR1)。
【0141】
この結果、パスP0〜Pn−1のいずれにも受信障害が発生していないと判定した時、伝送装置1Rは、各パスP0〜Pn−1を介して受信するフレームFRに付された送出番号TN順に、フレームFRからパス状態MSTを抽出する(ステップR2)。
【0142】
これにより、伝送装置1Rは、図10に示したようなパス状態MST到着順序の逆転現象が生じた場合であっても、伝送装置1S側で発生する各パスP0〜Pn−1の受信障害又はその復旧を事象順に正しく検知することができる。
【0143】
一方、パスP0〜Pn−1のいずれかに受信障害が発生していると判定した時、伝送装置1Rは、受信障害が発生している異常パスに対応する送出番号TNを欠番とし、正常パスに対応する送出番号TNに従ってフレームFRからパス状態MSTを抽出する(ステップR3)。
【0144】
この場合、伝送装置1Sは、異常パスの受信障害復旧を待機する等の冗長な処理を行う必要が無い。
【0145】
以降、伝送装置1Rは、各パスP0〜Pn−1の受信障害の発生状況に応じて上記のステップR2又はR3を繰り返して実行する。
【0146】
IV.2.B.動作例(2):図13
図13(a)は、上記の実施例[3]と同様にパスP0〜Pn−1を32パス毎のパスグループPG1〜PGmに区分けした場合の動作例を示している。この場合、図示の如く32パスずつ離れたパス同士間で同一の送出番号TNが付されたフレームFRが伝送装置1Sから送出されることになる。
【0147】
同図(b)に示すように、伝送装置1Rは、上記の動作例(1)とは異なり、自分自身側で所定のパスグループ内の各パスに受信障害が発生しているか否かを判定する(ステップR4)。例えば、上記の実施例[3]と同様にパスグループPG1内のパスP0〜P31を介して受信したフレームFRを使用してパス状態MSTの監視を行なっている場合であれば、伝送装置1Rは、パスP0〜P31に受信障害が発生しているか否かを判定する。
【0148】
この結果、パスP0〜P31のいずれにも受信障害が発生していないと判定した時、伝送装置1Rは、各パスP0〜P31を介して受信するフレームFRに付された送出番号TN順に、フレームFRからパス状態MSTを抽出する(ステップR5)。
【0149】
一方、例えばパスP1に受信障害が発生した時、伝送装置1Rは、パスグループPG2内のパスP33を介して同一の送出番号TN=“2”が付されたフレームFRを受信し、パス状態MSTを抽出する(ステップR6)。
【0150】
これにより、伝送装置1Rは、図10に示したようなパス状態MST到着順序の逆転現象が生じ且つ自分自身側で受信障害が発生している場合であっても、伝送装置1S側で発生する各パスP0〜Pn−1の受信障害又はその復旧を事象順に正しく検知することができる。
【0151】
V.実施例[5]:図14〜16
V.1.構成例:図14
図14に示す本発明の実施例[5]に係る伝送装置1S及び1Rは、受信障害監視部12が、各パスP0〜P2を介して受信するSONETフレームから伝送装置1R側のパス状態MST_Rを抽出して制御部30Sに与える点と、パスP0及びP1を介してフレームFRを送受信する際には中継装置2_1を経由させ、パスP2を介してフレームFRを送受信する際には中継装置2_2を経由させている点とが上記の実施例[1]と異なっている。
【0152】
また、中継装置2_1及び2_2は、それぞれ、伝送装置1S側のSONETインタフェース部20_11及び20_21と、伝送装置1R側のSONETインタフェース部20_12及び20_22とを備えており、これに合わせて、伝送装置1S及び1R内に、それぞれ2つずつのSONETインタフェース部20S_1及び20S_2並びに20R_1及び20R_2を設けている。
【0153】
また、インタフェース部20_11、20_12、20_21、及び20_22の伝送レート規格は、OC12、OC48、OC3、及びOC12というようにそれぞれ異なる。
【0154】
すなわち、実際の運用環境においては、各パスP0〜P2毎に通信条件が異なる場合があり、上記のような伝送装置及び中継装置同士間の伝送レート規格の相違や、中継装置における処理輻輳等の影響によりパスP0〜P2同士間でフレームFRに伝送遅延が生じる。
【0155】
本実施例では、この伝送遅延を考慮してフレームFRの位相をパスP0〜P2同士間でずらす場合を扱う。
【0156】
V.2.動作例:図15及び16
図15は、図2に示したステップS1及びS2の処理の間にステップS8及びS9を追加し、ステップS3の処理に代えてステップS10を実行するように変更したものである。
【0157】
すなわち、伝送装置1SではパスP0〜P2同士間で生じる伝送遅延時間を直接知ることができない。なぜなら、伝送遅延時間は伝送装置1Rのみが知り得るものであるからである。このため、ステップS8において、伝送装置1Rが各パスP0〜P2に対して許容できる最大の伝送遅延時間(以下、許容伝送遅延時間)を測定し、ステップS9において、測定した許容伝送遅延時間から間接的に各パスP0〜P2の伝送遅延時間を求める。
【0158】
そして、ステップS10において、この伝送遅延時間を用いて各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2を算出する。
【0159】
まず、伝送装置1S内の制御部30Sは、ステップS1で“0ms”に初期化した各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2を遅延生成部13に与えて遅延生成処理を実行させる(ステップS8_1)。
【0160】
これにより、SONETフレームFRは、各パスP0〜Pn−1を介して同一位相で送出される。
【0161】
この場合、図16に示すように、パスP0〜P2同士間では各パスP0〜P2毎の通信条件の差異に伴う伝送遅延のみが生じている状態となる。今、伝送装置1Rでは、フレームFRが最も早く受信されるパスP0を基準(伝送遅延時間TP0=“0ms”)として、パスP1及びP2にそれぞれ“αms”及び“βms”の伝送遅延時間TP1及びTP2が生じているものとする。
【0162】
ここで、伝送装置1Rは、これらの伝送遅延時間TP0〜TP2が許容伝送遅延時間の最大値(以下、最大許容伝送遅延時間)TA_MAXを超えていなければ、図示の如く遅延を吸収してフレーム処理(例えば、図26に示したEthernetデータDTの組立処理等)を正常に実行することができる。
【0163】
そして、制御部30Sは、パスP0の送出遅延時間TD0を増加(例えば“1ms”加算)した(ステップS8_2)後、この送出遅延時間TD0を遅延生成部13に与えてパスP0に対する遅延生成処理を実行させる(ステップS8_3)。
【0164】
これにより、伝送装置1RにおけるパスP0の伝送遅延時間TP0は、元の伝送遅延時間TP0から送出遅延時間TD0分だけ増加される。
【0165】
この間、受信障害監視部12は、伝送装置1Rから各パスP0〜P2を介してフレームFRを受信する度毎に、フレームFRからパス状態MST_Rを抽出して制御部30Sに与える。制御部30Sは、このパス状態MST_Rを参照して伝送装置1RでパスP0に受信障害が発生しているか否かを判定する(ステップS8_4)。
【0166】
ここで、伝送遅延時間TP0が最大許容伝送遅延時間TA_MAXを越えている場合には、パスP0のパス状態MST_R0に“FAIL”が設定される。これは、伝送装置1Rが、上記のフレーム処理を正しく実行することができずパスP0に受信障害が発生していると見做すためである。
【0167】
制御部30Sは、伝送装置1RでパスP0に受信障害が発生していることを検知する迄(すなわち、パス状態MST_R0が“FAIL”を示すようになる迄)、上記のステップS8_2〜S8_4を繰り返し実行し、パス状態MST_R0が“FAIL”を示した時の送出遅延時間TD0をパスP0の許容伝送遅延時間TA0として測定する(ステップS8_5)。
【0168】
図16の例では、パスP0が最も伝送遅延が許容される基準パスであるため、許容伝送遅延時間TA0は、最大許容伝送遅延時間TA_MAXに等しい時間として測定される。
【0169】
そして、制御部30Sは、送出遅延時間TD0を再び“0ms”に設定してパスP0に対する送出遅延を解除した(ステップS8_6)後、全てのパスP0〜P2の許容伝送遅延時間TA0〜TA2の測定が完了したか否かを判定する(ステップS8_7)。
【0170】
今、許容伝送遅延時間TA0の測定のみが完了した状態であるため、制御部30Sは、上記のステップS8_2〜S8_7を繰り返し実行し、許容伝送遅延時間TA1及びTA2の測定を行う。
【0171】
これにより、許容伝送遅延時間TA1及びTA2は、図16に示すように、それぞれ伝送遅延時間TP1及びTP2からさらに伝送遅延が許容される最大許容伝送遅延時間TA_MAX迄の時間(“TA_MAX−αms”及び“TA_MAX−βms”)として測定される。
【0172】
一方、全てのパスP0〜P2の許容伝送遅延時間TA0〜TA2の測定が完了した時、制御部30Sは、測定した許容伝送遅延時間TA0〜TA2の内の最大値を最大許容伝送遅延時間TA_MAXと見做す(ステップS9_1)。この例では、最大許容伝送遅延時間TA_MAXは、パスP0の許容伝送遅延時間TA0である。
【0173】
そして、制御部30Sは、最大許容伝送遅延時間TA_MAXから各許容伝送遅延時間TA0〜TA2を減算して伝送遅延時間TP0〜TP2を求める(ステップS9_2)。この例では、伝送遅延時間TP0は“0ms”と算出され、伝送遅延時間TP1及びTP2はそれぞれ“αms”及び“βms”と算出される。
【0174】
そして、制御部30Sは、ステップS2で上記の実施例[1]と同様にして最適遅延時間間隔D(=“21ms”)を求めた後、各送出遅延時間TD0〜TD2を以下の式(3)に示すように算出し、遅延生成部13に与える(ステップS10)。
【0175】
TDj = (j-1)・最適遅延時間間隔D − 伝送遅延時間TPj …式(3)
但し、jは、各パスP0〜P2を伝送遅延時間TPの昇順に並べた際の順番である。この例では、伝送遅延時間TP0<伝送遅延時間TP1<伝送遅延時間TP2が成り立つため、パスP0〜P2の順番jはそれぞれ“1”、“2”、及び“3”となる。
【0176】
従って、送出遅延時間TD0、TD1、及びTD2は、それぞれ“0ms”(0・“21ms”−“0ms”)、“21−αms”(1・“21ms”−“αms”)、“42−βms”(2・“21ms”−“βms”)と算出される。
【0177】
遅延生成部13は、これらの送出遅延時間TD0〜TD2に従って上記の実施例[1]と同様にして遅延生成処理を行う(ステップS4)。
【0178】
これにより、パスP1に対して送出されるSONETフレームFRの位相は、パスP0に対して送出されたSONETフレームFRの位相から“21−αms”だけずれ、パスP2に対して送出されるSONETフレームFRの位相は、パスP1に対して送出されたSONETフレームFRの位相から“42−βms”だけずれた状態となる。
【0179】
これらの状態から、パスP1及びP2にそれぞれ“αms”及び“βms”の伝送遅延が生じた結果、伝送装置1Rが各パスP0〜P2を介して受信するフレームFRの位相は最適遅延時間間隔Dずつずれた状態となる。
【0180】
VI.実施例[6]:図17〜20
VI.1.構成例:図17
図17に示す本発明の実施例[6]に係る伝送装置1S及び1Rは、伝送装置1R内のEthernetインタフェース部10Rに、パスP0〜P2同士間で生じる伝送遅延時間TPを測定して伝送装置1Sに対して送出するSONETフレームFRに格納する伝送遅延時間通知部14を設け、受信障害監視部12が、各パスP0〜P2を介して受信するフレームFRから伝送遅延時間TPを抽出して制御部30Sに与える点が上記の実施例[1]と異なっている。
【0181】
すなわち、本実施例では、上記の実施例[5]とは異なり、伝送装置1Sが各パスP0〜P2の伝送遅延時間TP0〜TP2を直接知ることができる場合を扱う。
【0182】
VI.2.動作例:図18〜20
次に、本実施例の動作について説明するが、まず伝送遅延時間通知部14の実施例(1)及び(2)を、図18及び19を参照して説明する。そして、伝送装置1Sの全体動作を、図20を参照して説明する。
【0183】
VI.2.A.伝送遅延時間通知部の実施例(1):図18
図18(a)に示すように、まず伝送遅延時間通知部14は、各パスP0〜P1の伝送遅延時間TP0〜TP2を測定する(ステップR7)。そして、伝送遅延時間通知部14は、測定した各伝送遅延時間TP0〜TP2をそれぞれ個別のSONETフレームFRのパスオーバヘッド中のF2バイトに設定する(ステップR8)。ここで、F2バイトは運用者が自由に使用できる8ビットの領域であり、伝送遅延時間通知部14は、例えば同図(b)に示すように伝送遅延時間TPを“0.5ms”刻みで設定する。
【0184】
そして、伝送遅延時間通知部14は、各伝送遅延時間TP0〜TP2を設定した各フレームFRを各パスP0〜P1を介して送出する(ステップR9)。
【0185】
これにより、伝送装置1Sは、各パスP0〜P1を介して受信する各フレームFRから各伝送遅延時間TP0〜TP2を認識することができる。
【0186】
以降、伝送遅延時間通知部14は、上記のステップR7〜R9を繰り返し実行する。これは、各パスP0〜P1の伝送遅延時間TP0〜TP2が通信条件如何によって変動し得るためである。
【0187】
VI.2.B.伝送遅延時間通知部の実施例(2):図19
図19(a)に示すように、まず伝送遅延時間通知部14は、上記の実施例(1)と同様にして各パスP0〜P1の伝送遅延時間TP0〜TP2を測定する(ステップR7)。そして、伝送遅延時間通知部14は、上記の実施例(1)とは異なり、測定した各伝送遅延時間TP0〜TP2をマルチフレーム化したSONETフレームFRのパスオーバヘッド中のF2バイト(以下、マルチフレーム化F2バイト)に順次設定して全パスP0〜P2に対して共通に送出する。
【0188】
すなわち、まず伝送遅延時間通知部14は、パスP0の伝送遅延時間TP0をマルチフレーム化F2バイトに設定する(ステップR10)。
【0189】
ここで、マルチフレーム化F2バイトの設定例が同図(b)に示されており、伝送遅延時間通知部14は、マルチフレームインジケータが“1000”〜“0101”を示す行(すなわち、“4”〜“5”行目)のデータ領域にパスP0のパス番号PN=“0”を設定し、“10”〜“13”行目のデータ領域に伝送遅延時間TP0を設定する。この例では、伝送遅延時間TPの設定領域を16ビット分(上記の実施例(1)の2倍)割り当てており、上記の実施例(1)より分解能の高い時間値を設定することができる。また、その他の情報として、フレームFRの誤り検出符号CRCを設定することもできる。
【0190】
そして、伝送遅延時間通知部14は、伝送遅延時間TP0を設定したフレームFRを各パスP0〜P2を介して送出する(ステップR11)。
【0191】
これにより、伝送装置1Sは、パスP0〜P2のいずれかに受信障害が発生している場合であっても、受信障害が発生していない正常パスを介して共通内容のフレームFRを受信し、確実に伝送遅延時間TP0を認識することができる。
【0192】
そして、伝送遅延時間通知部14は、全てのパスP0〜P2の伝送遅延時間TP0〜TP2の送出が完了したか否かを判定する(ステップR12)。今、伝送遅延時間TP0の送出のみが完了した状態であるため、伝送遅延時間通知部14は、上記のステップSR10〜R12を繰り返し実行して伝送遅延時間TP1及びTP2の送出を行う。
【0193】
以降、伝送遅延時間通知部14は、上記のステップR7及びR10〜R12を繰り返し実行する。これは、上記の実施例(1)と同様、伝送遅延時間TP0〜TP2の変動に対応するためである。
【0194】
VI.2.C.伝送装置1Sの全体動作例:図20
図20は、図15に示したステップS8及びS9の処理に代えてステップS11を実行し、このステップS11並びにステップS2、S10、及びS4を繰り返し実行するよう変更したものである。
【0195】
すなわち、伝送装置1S内の受信障害監視部12は、上記の実施例[5]とは異なり、伝送装置1Rから、上記の伝送遅延時間通知部の実施例(1)又は(2)で示した各パスP0〜P2の伝送遅延時間TP0〜TP2がF2バイトに設定されたフレームFRを受信する度毎に(ステップS11_1)、F2バイトから各伝送遅延時間TP0〜TP2を抽出して制御部30Sに与える(ステップS11_2)。
【0196】
制御部30Sは、上記の実施例[5]と同様、各伝送遅延時間TP0〜TP2を用いて各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2を算出して遅延生成処理を実行させる。
【0197】
VII.実施例[7]:図21〜23
VII.1.構成例:図21
図21に示す本発明の実施例[7]に係る伝送装置1S及び1Rは、伝送装置1R内のEthernetインタフェース部10Rに、伝送装置1Sから受信したループバック制御用フレームFR_LBを折り返すループバック制御処理部15を設けた点が上記の実施例[1]と異なっている。
【0198】
すなわち、本実施例では、上記の実施例[5]とは異なり、ループバック制御用フレームFR_LBを用いて測定した往復伝送時間TTR_Lから各パスP0〜P2の伝送遅延時間TP0〜TP2を求める場合を扱う。
【0199】
VII.2.動作例:図22及び23
図22は、図15に示したステップS8の処理に代えてステップS12を実行するように変更し、ステップS9内の処理をステップS9_3〜S9_5で置き換えたものである。
【0200】
すなわち、ステップS12において、各パスP0〜P2の往復伝送時間TTR_L0〜TTR_L2を測定し、ステップS9において、測定した往復伝送時間TTR_L0〜TTR_L2から各パスP0〜P2の伝送遅延時間TD0〜TD2を求める。
【0201】
まず伝送装置1S内の制御部30Sは、フレーム生成部11に測定モード設定指示INS1を与え、生成されるフレームをSONETフレームFRからループバック制御用フレームFR_LBに切り替える(ステップS12_1)。
【0202】
また同時に、伝送装置1R内の制御部30Rでは、ループバック処理部15に受信するフレームFR_LBを折り返すようループバック制御指示INS3を与える。
【0203】
なお、制御部30S及び30Rが指示INS1及びINS3を出力するためのトリガは、それぞれ例えば運用者からの装置操作等により与えられる。
【0204】
そして、制御部30Sは、フレーム生成部11及び受信障害監視部12に測定開始指示INS2を与える。これを受けたフレーム生成部11は、フレームFR_LBを伝送装置1Rへ送出する。また、受信障害監視部12は、各パスP0〜P2毎にフレームFR_LBの往復伝送時間TTR_Lを測定する(ステップS12_2)。
【0205】
今、図23に示すように、各パスP0〜P2の往復伝送時間TTR_L0〜TTR_L2が、それぞれ“2Xms”、“2Yms”、及び“2Zms”(但し、X<Y<Zが成り立つものとする。)として測定された時、制御部30Sは、各往復伝送時間TTR_L0〜TTR_L2を“2”で除算して各パスP0〜P2の伝送時間TTR0〜TTR2を求める(ステップS9_3)。
【0206】
そして、制御部30Sは、算出した伝送時間TTR0〜TTR2の内の最小値を最小伝送時間TTR_MINとし(ステップS9_4)、各伝送時間TTR0〜TTR2から最小伝送時間TTR_MINを減算して各パスP0〜P2の伝送遅延時間TP0〜TP2を求める(ステップS9_5)。
【0207】
この例では、伝送遅延時間TP0、TP1、及びTP2は、それぞれ“0ms”(“Xms”−“Xms”)、“Y-Xms”、“Z−Xms”と算出される。
【0208】
そして、制御部30Sは、上記の実施例[5]と同様、各伝送遅延時間TP0〜TP2を用いて各パスP0〜P2の送出遅延時間TD0〜TD2を算出して遅延生成処理を実行させる。
【0209】
なお、上記実施例によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。

【0210】
(付記1)
並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームを、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成する第1ステップと、
該パスの数に基づき該パス同士間で該フレームの位相をずらす第2ステップと、
該フレームを各パスを介して送出する時、その時の各パスの受信障害の発生状況を収集して該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する第3ステップと、
を備えたことを特徴とするパス状態監視方法。
(付記2)付記1において、
該フレームの位相をずらす間隔が、該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔であることを特徴としたパス状態監視方法。
(付記3)付記1において、
該第2ステップが、各パスの受信障害の発生状況を収集し、該受信障害が発生していない正常パス数に基づき正常パス同士間でのみ該フレームの位相をずらすステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記4)付記3において、
該フレームの位相をずらす間隔が、該フレームの循環周期を該正常パス数で等分した時間間隔であることを特徴としたパス状態監視方法。
(付記5)付記2において、
該第2及び該第3ステップを、該パスを所定のパス数毎に区分けしたグループ毎に実行して該グループ同士間で同一位相のフレームを送出し、以て該フレームの宛先で一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した場合であっても、該宛先が、該一のパスを介して送出したフレームと同一位相のフレームを他のグループ内のいずれかのパスを介して受信できるようにすることを特徴としたパス状態監視方法。
(付記6)付記1において、
該第3ステップが、該フレームに、その宛先で各パスへの送出順に該フレームを処理させるための順序を付すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記7)付記5において、
該第3ステップが、各グループ毎の各フレームに、その宛先で各パスへの送出順に各フレームを処理させるための順序を付すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記8)付記1において、
該第1ステップの前に、
該フレームを生成して各パスに対して同一位相で送出する第4ステップと、
該第4ステップの後、各パス内で順次生成される該フレームを、該フレームの宛先から受信したフレームが受信障害の発生を示す迄遅延させて送出し、該受信障害発生時の遅延時間を該宛先がそのパスに対して許容する伝送遅延時間として求めると共に、全パスにおいて求めた許容伝送遅延時間の内、最大の許容伝送遅延時間から各許容伝送遅延時間を減算することにより該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を求める第5ステップと、をさらに備え、
該第2ステップが、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記9)付記1において、
該第2ステップが、
該フレームの宛先から各パスの伝送遅延時間を受信する第4ステップと、
該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻す第5ステップと、
を含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記10)付記9において、
各伝送遅延時間が、各パスを介して受信する共通内容のフレームのヘッダ中の空き領域に順次設定され、
該第5ステップが、通常時、一のパスを介して受信したフレームのヘッダ中の空き領域に設定された伝送遅延時間を使用して該第1ステップで生成した該フレームの位相をずらし、該一のパスに受信障害が発生した時、他のパスを介して受信したフレームのヘッダ中の空き領域に設定された伝送遅延時間を使用して該第1ステップで生成した該フレームの位相をずらすステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記11)付記1において、
該第1ステップの前に、
ループバック制御用フレームを各パスを介して送出すると共に、その宛先から折り返されて戻って来る迄の往復伝送時間を各パス毎に測定し、各往復伝送時間から各パスの伝送時間を求める第4ステップと、
全パスにおいて求めた伝送時間の内、最小の伝送時間を各伝送時間から減算することにより該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を求める第5ステップと、をさらに備え、
該第2ステップが、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記12)
実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成され且つ並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームであって、その送出元で該パス同士間で位相がずらされ、且つ各パスの該送出元における受信障害の発生状況が格納されたフレームを各パスを介して受信する第1ステップと、
該フレームを受信する度毎に、該フレームから各パスの該送出元における受信障害の発生状況を抽出する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするパス状態監視方法。
(付記13)付記12において、
該パスが、所定のパス数毎のグループに区分けされ、
各グループ内の各パスに対する該フレームの位相が、該グループ同士間で同一位相となるように該フレームの循環周期を該所定のパス数で等分した時間間隔ずつずらされており、
該第2ステップが、通常時、一のグループ内の各パスを介して受信したフレームから該抽出を行い、該一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した時、他のグループ内の各パスを介して受信したフレームの内、該一のパスを介して受信したフレームと同一位相のフレームから該抽出を行うステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記14)付記12において、
該フレームに、該送出元での各パスへの送出順序が付されており、
該第2ステップが、該送出順序に従って各パスを介して受信した該フレームから該抽出を行うステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記15)付記14において、
該第2ステップが、一のパスに受信障害が発生した時、該一のパスに対応する送出順序を除外した他の送出順序に従って該抽出を行うステップをさらに含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記16)付記12において、
該パスが、所定のパス数毎のグループに区分けされ、
各グループ内の各パスに対する該フレームの位相が、該フレームの循環周期を該所定のパス数で等分した時間間隔ずつずらされ、
各グループ毎の各フレームに、該送出元での各パスへの送出順序が付されており、
該第2ステップが、通常時、該送出順序に従って一のグループ内の各パスを介して受信したフレームから該抽出を行い、該一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した時、他のグループ内の各パスを介して受信したフレームの内、該一のパスを介して受信したフレームと同一の送出順序が付されたフレームから該抽出を行うステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
(付記17)付記12において、
該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を測定して該送出元に少なくとも1つのパスを介して送出する第3ステップをさらに備えたことを特徴とするパス状態監視方法。
(付記18)付記17において、
該第3ステップが、各伝送遅延時間をヘッダ中の空き領域に順次設定したフレームを各パスを介して送出することを特徴としたパス状態監視方法。
(付記19)
並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームを、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成する第1手段と、
該パスの数に基づき該パス同士間で該フレームの位相をずらす第2手段と、
該フレームを各パスを介して送出する時、その時の各パスの受信障害の発生状況を収集して該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する第3手段と、
を備えたことを特徴とするパス状態監視装置。
(付記20)
実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成され且つ並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームであって、その送出元で該パス同士間で位相がずらされ、且つ各パスの該送出元における受信障害の発生状況が格納されたフレームを各パスを介して受信する第1手段と、
該フレームを受信する度毎に、該フレームから各パスの該送出元における受信障害の発生状況を抽出する第2手段と、
を備えたことを特徴とするパス状態監視装置。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[1]の全体構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[1]に用いるパス状態送信側の伝送装置の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図3】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[1]の遅延生成処理例を示したブロック図である。
【図4】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[2]の全体構成例を示したブロック図である。
【図5】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[2]に用いるパス状態送信側の伝送装置の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図6】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[2]の遅延生成処理例を示したブロック図である。
【図7】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[3]の全体構成例を示したブロック図である。
【図8】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[3]の全体動作例を示したブロック図である。
【図9】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[4]の全体構成例を示したブロック図である。
【図10】パス状態到着順序の逆転現象例を示したブロック図である。
【図11】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[4]の動作例(1)を示した図である。
【図12】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[4]に用いるH4バイトのフォーマット例を示した図である。
【図13】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[4]の動作例(2)を示した図である。
【図14】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[5]の全体構成例を示したブロック図である。
【図15】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[5]に用いるパス状態送信側の伝送装置の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図16】SONETフレームの伝送遅延例を示したブロック図である。
【図17】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[6]の全体構成例を示したブロック図である。
【図18】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[6]に用いる伝送遅延時間通知部の実施例(1)を示した図である。
【図19】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[6]に用いる伝送遅延時間通知部の実施例(2)を示した図である。
【図20】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[6]に用いるパス状態送信側の伝送装置の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図21】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[7]の全体構成例を示したブロック図である。
【図22】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[7]に用いるパス状態送信側の伝送装置の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図23】本発明に係るパス状態監視方法及び装置の実施例[7]に用いるパス状態送信側の伝送装置の往復伝送時間の測定例を示したフローチャート図である。
【図24】EoSの一般的な伝送例[1]を示した図である。
【図25】EoSの一般的な伝送例[2]を示した図である。
【図26】LCAS制御例(1)を示した図である。
【図27】LCAS制御情報の送受信例を示した図である。
【図28】LCAS制御例(2)を示した図である。
【図29】LCAS制御例(3)を示した図である。
【図30】LCAS制御例(4)を示した図である。
【図31】パス状態監視の従来例を示した図である。
【図32】パス状態監視に用いるH4バイトのフォーマット例を示した図である。
【符号の説明】
【0212】
1 伝送装置
2 中継装置
10 Ethernetインタフェース部
11 フレーム生成部
12 受信障害監視部
13 遅延生成部
14 伝送遅延時間通知部
15 ループバック処理部
20 SONETインタフェース部
30 制御部
P0〜Pn パス
PN パス番号
PG1〜PGm パスグループ
MEM0〜MEMn メモリ
FR SONETフレーム
FR_LB ループバック制御用フレーム
FN フレーム番号
DT Ethernetデータ
EL1, EL2 Ethernet回線
MST, MST0〜MST255 パス状態
TD 送出遅延時間
TC フレーム循環周期
D 最適遅延時間間隔
TP 伝送遅延時間
TA 許容伝送遅延時間
TA_MAX 最大許容伝送遅延時間
TTR_L 往復伝送時間
TTR 伝送時間
TTR_MIN 最小伝送時間
TN 送出番号
INS1 測定モード設定指示
INS2 測定開始指示
INS3 ループバック制御指示
CTRL パス使用形態制御情報
RS_Ack 制御応答
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームを、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成する第1ステップと、
該パスの数に基づき該パス同士間で該フレームの位相をずらす第2ステップと、
該フレームを各パスを介して送出する時、その時の各パスの受信障害の発生状況を収集して該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する第3ステップと、
を備えたことを特徴とするパス状態監視方法。
【請求項2】
請求項1において、
該フレームの位相をずらす間隔が、該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔であることを特徴としたパス状態監視方法。
【請求項3】
請求項2において、
該第2及び該第3ステップを、該パスを所定のパス数毎に区分けしたグループ毎に実行して該グループ同士間で同一位相のフレームを送出し、以て該フレームの宛先で一のグループ内の一のパスに受信障害が発生した場合であっても、該宛先が、該一のパスを介して送出したフレームと同一位相のフレームを他のグループ内のいずれかのパスを介して受信できるようにすることを特徴としたパス状態監視方法。
【請求項4】
請求項1において、
該第3ステップが、該フレームに、その宛先で各パスへの送出順に該フレームを処理させるための順序を付すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
【請求項5】
請求項1において、
該第1ステップの前に、
該フレームを生成して各パスに対して同一位相で送出する第4ステップと、
該第4ステップの後、各パス内で順次生成される該フレームを、該フレームの宛先から受信したフレームが受信障害の発生を示す迄遅延させて送出し、該受信障害発生時の遅延時間を該宛先がそのパスに対して許容する伝送遅延時間として求めると共に、全パスにおいて求めた許容伝送遅延時間の内、最大の許容伝送遅延時間から各許容伝送遅延時間を減算することにより該パス同士間で生じている該フレームの伝送遅延時間を求める第5ステップと、をさらに備え、
該第2ステップが、該第1ステップで生成した該フレームの位相を、該パス同士間で該伝送遅延時間が小さい方から順に該フレームの循環周期を該パスの数で等分した時間間隔ずつずらした後、各位相のずれを各伝送遅延時間分だけ戻すステップを含むことを特徴としたパス状態監視方法。
【請求項6】
実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成され且つ並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームであって、その送出元で該パス同士間で位相がずらされ、且つ各パスの該送出元における受信障害の発生状況が格納されたフレームを各パスを介して受信する第1ステップと、
該フレームを受信する度毎に、該フレームから各パスの該送出元における受信障害の発生状況を抽出する第2ステップと、
を備えたことを特徴とするパス状態監視方法。
【請求項7】
並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームを、実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成する第1手段と、
該パスの数に基づき該パス同士間で該フレームの位相をずらす第2手段と、
該フレームを各パスを介して送出する時、その時の各パスの受信障害の発生状況を収集して該フレームの内の各パス毎に予め定められたフレーム内に格納する第3手段と、
を備えたことを特徴とするパス状態監視装置。
【請求項8】
実際に存在する物理パスに対してそれぞれ循環しながら生成され且つ並列物理パスの運用上限数に相当する数分直列に接続されたフレームであって、その送出元で該パス同士間で位相がずらされ、且つ各パスの該送出元における受信障害の発生状況が格納されたフレームを各パスを介して受信する第1手段と、
該フレームを受信する度毎に、該フレームから各パスの該送出元における受信障害の発生状況を抽出する第2手段と、
を備えたことを特徴とするパス状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−167177(P2008−167177A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354665(P2006−354665)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】