説明

パターン位置およびオーバレイ測定方法および装置

【課題】撮像されたデバイス・パターンを使用して、ダブル・パターニング・プロセス等の、半導体製造技術における異なる層間のオーバレイを測定するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】パターン特徴の画像が走査型電子顕微鏡法により取得される(700)。画像内のパターン化層に対するパターン特徴の位置を使用してパターン化層の位置が決定される(704)。他のパターン特徴またはパターン化層に関するパターン化層の相対的位置が、決定されたパターン位置に基づいてベクトル形式で決定される(708)。相対的位置とデザインまたはシミュレーションからの基準値との比較に基づいてオーバレイ・エラーが決定される。オーバレイはパターン対称性を利用して高い精度および正確さで測定することができる(712)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、一般的に、パターン特徴(pattern features)のその画像からの測定および評価に関するものであり、より詳細には、半導体デバイス・パターン特徴のその走査型電子顕微鏡画像からのオーバレイ測定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
半導体デバイスは半導体基板すなわちウェーハ上の1つ以上の層をパターン化して形成される。半導体製造プロセスにおいて、以前にパターン化された層と現在パターン化される層との間のオーバレイは、オーバレイエラー・バジェットと呼ばれる厳しい許容範囲内に制御される。典型的に、異なる層間のオーバレイはオーバレイ解析用に特別にデザインされた比較的大きなターゲットの光学顕微鏡法により測定されてきている。これらのターゲットは光オーバレイ・ターゲット(optical overlay target)と呼ばれ、その例が図1A−1Dに示されている。これらのオーバレイ・ターゲットのサイズは10μmから40μmの間で変動する。
【0003】
オーバレイは以前にパターン化された層に関して後でパターン化される各層に対して独立して測定され、そのため、各層の上に位置決めされたオーバレイ・ターゲットを必要とする。さらに、独立した測定を可能にするために、オーバレイ・ターゲットはオーバラップしてはならない。こうして、これらのサイズおよび非オーバラップ要件のためにオーバレイ・ターゲットはかなりの量の基板面積を必要とする。オーバレイ測定精度を改善するために、追加サンプリングが望まれる。このように、半導体デバイスの面積問題のため、オーバレイ・ターゲット・サイズとオーバレイ測定精度を有する場所との間には必ずトレードオフが存在する。
【0004】
これらの要件に対応するために、ターゲットは典型的にダイシング・エリア内に設けられ、それは半導体デバイスを個別チップに分離するのに使用される。たとえば、ウェーハのセクション200が図2に示されている。半導体チップ202はウェーハ上の連続した層をパターン化して形成された1つ以上の回路ブロック204を含んでいる。光オーバレイ・ターゲット206がダイシング・レーン208内に設けられて異なる層のパターニング間のアライメント制御を提供する。半導体チップ202の形成が完了した後で、ダイシング・レーン208はダイシング・ソーにより切断されて個別チップを生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体デバイスまたはウェーハ上の場所の違いにより、光学オーバレイ・ターゲットにおけるオーバレイと実際のデバイス・パターンにおけるオーバーレイとの間に著しい違いが生じることがある。したがって、ダイシング・レーン208内に位置づけられた光オーバレイ・ターゲット206は半導体チップ202のさまざまな層内のパターン特徴間のオーバレイを適切に反映しないことがある。より大きな特徴サイズに対処する時は、このような違いは無視することができる。しかしながら、パターン特徴が収縮し続けると、オーバレイ・ターゲットと実際のデバイス・パターンとの間のオーバレイの任意の差がますます重要となるような、より厳しい許容差(tolerance)が必要となる。たとえば、22nm特徴サイズ・レジームのパターン特徴に対して、10nmよりも小さいオーバレイ許容差が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本発明の実施例は、とりわけ、前述の問題および限界に対処するものである。
【0007】
実施例では、半導体製造プロセス、たとえば、ダブル・パターニング・プロセスにおける異なる層間のオーバレイを測定するのに走査型電子顕微鏡(SEM)を介して撮像された実際のデバイス・パターンが使用される。2つ以上のパターン化層からの特徴の画像がSEMにより取得される。画像内の特徴の全てまたは選出された部分にエッジ検出アルゴリズムが適用される。次に、検出されたエッジ情報を使用してこれらの特徴の相対的位置が決定される。各パターン化層に対する撮像された特徴の全てまたは選出された部分の相対的位置情報を使用して、各パターン化層の位置をこうして決定することができる。決定された特徴位置に基づいて、他のパターン化層に関する各パターン化層の相対的位置が、たとえば、ベクトル形式で決定される。2つ以上のパターン化層間のオーバレイ・エラーが相対的位置とデザインまたはシミュレーションからの基準値との比較に基づいて決定される。
【0008】
実施例では、複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定する方法は各半導体デバイス層に対する1つ以上のパターンを選出するステップを含んでいる。各半導体デバイス層が1つ以上のパターンを含んでいる。1つ以上の選出パターンは少なくとも1つの半導体デバイス層内のパターンの線対称性または点対称性に基づいて選出される。この方法は、さらに、選出パターンの1つ以上のCD−SEM画像を得るステップを含んでいる。この方法は得られたCD−SEM画像に基づいて各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算するステップも含んでいる。
【0009】
実施例では、ダブル・パターニング・半導体製造プロセスにおいて複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定する方法は各半導体デバイス層に対する複数のパターンを選出するステップを含んでいる。各半導体デバイス層は異なるマスクを使用して形成される。複数のパターンは半導体デバイスに対するコンタクトホールを含んでいる。複数の選出パターンはその少なくとも第1のパターン内のコンタクトホールの対称性に基づいて選出される。コンタクトホールの対称性は第1のパターンを横切して第1の方向に延びる少なくとも1本の線に関して決定される。
【0010】
この方法は、さらに、選出パターンの1つ以上の限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)画像を得るステップを含んでいる。パターンの位置を確認するのに使用される倍率は1つ以上のCD−SEM画像を得るのに使用されるものよりも低い。この方法はCD−SEM画像内のパターンに関連するエッジ情報を抽出するステップも含んでいる。エッジ情報は、少なくとも1つの選出パターンの輪郭を含んでいる。
【0011】
この方法は、さらに、エッジ情報に基づいて各選出パターンのパターン位置重心を計算することにより各半導体デバイス層に対するパターン位置を決定するステップを含んでいる。この方法は、さらに、決定されたパターン位置に基づいて各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算するステップを含んでいる。相対的パターン位置は2次元位置情報を含んでいる。
【0012】
この方法は各半導体デバイス層間の相対的パターン位置をベクトル形式で出力ディスプレイ装置上に表示し、各半導体デバイス層のパターン位置を各半導体デバイス層間の相対的パターン位置と共に出力ディスプレイ装置上に表示するステップも含んでいる。この方法は、さらに、各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を予め定められた基準値と比較し、相対的パターン位置および予め定められた基準ベクトル間の差が予め定められた許容差を超える場合に通知を出力するステップを含んでいる。
【0013】
実施例では、ダブル・パターニング半導体デバイス製造プロセスにおいて複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定するシステムは画像取得モジュール、画像処理モジュール、ディスプレイ装置、および出力モジュールを含んでいる。画像取得モジュールは各半導体デバイス層に対する複数のパターンを選出して、選出パターンの1つ以上のCD−SEM画像を得るように構成される。各半導体デバイス層は異なるマスクを使用して形成される。パターンの位置を確認するのに使用される倍率は1つ以上のCD−SEM画像を得るのに使用されるものよりも低い。複数のパターンは半導体デバイスの一部と半導体デバイスに対するコンタクトホールからなる1つ以上のパターンを含んでいる。複数の選出パターンはその少なくとも第1のパターン内のコンタクトホールの対称性に基づいて選出される。複数のパターンは第1のパターンが被さる第2のパターンを含んでいる。コンタクトホールの対称性は第1のパターンを横切して第1の方向に延びる少なくとも1本の線に関して決定される。コンタクトホールは、さらに、第2のパターン内のホールを含んでいる。コンタクトホールの対称性は第1のパターンを横切して第1の方向に延びる線、および第1の線の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の線に関して決定される。
【0014】
画像処理モジュールはCD−SEM画像内の選出パターンに関連するエッジ情報を抽出するように構成される。エッジ情報は各選出パターンに対する輪郭を含んでいる。画像処理モジュールは、さらに、エッジ情報に基づいて各選出パターンのパターン位置重心を計算するように構成される。また、画像処理モジュールは計算されたパターン位置重心に基づいて各半導体デバイス層に対するパターン位置を決定するように構成される。画像処理モジュールは、さらに、決定されたパターン位置に基づいて各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算し、かつ各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を予め定められた基準値と比較するように構成される。相対的パターン位置は2次元位置情報を含んでいる。
【0015】
出力モジュールは相対的パターン位置と予め定められた基準ベクトルとの間の差が予め定められた許容差を超える場合にディスプレイ装置に通知を出力し、かつ各半導体デバイス層に対するパターン位置をベクトル形式の相対的パターン位置と共にディスプレイ装置に出力するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
(図面の簡単な説明)
【図1A】ボックス・イン・ボックス光オーバレイ・ターゲットの例を示す図である。
【図1B】AIM光オーバレイ・ターゲットの例を示す図である。
【図1C】ブロッサム・光オバーレイ・ターゲットの例を示す図である。
【図1D】光波散乱計測オーバレイ・ターゲットの例を示す図である。
【図2】半導体ウェーハ上に形成された半導体チップの平面図である。
【図3】二重露光型ダブル・パターニング半導体デバイス製造プロセスにおけるさまざまなステップを例示する立面図および対応する平面図である。図である。
【図4】二重露光、二重エッチ型ダブル・パターニング半導体デバイス製造プロセスにおけるさまざまなステップを例示する立面図および対応する平面図である。
【図5】オーバレイを測定する1次元線構造を示す図である。
【図6】1つ以上の実施例に従って、パターン・オーバレイを評価する測定システムを示す図である。
【図7】図6の測定システムで使用する画像処理モジュールを示す図である。
【図8】1つ以上の実施例に従って、CD−SEM画像を取得および解析するためのステップを例示するプロセス・フロー図である。
【図9A】基板上に形成された二重パターンの画像を示す図である。
【図9B】基板上に形成された典型的なパターンの注釈付きSEM画像を示す図である。
【図9C】1つ以上の実施例に従って、相対的パターン位置ベクトルの決定を例示する図9Aの二重パターンを示す図である。
【図9D】1つ以上の実施例に従って、基準パターン位置ベクトルの決定を例示する図9Aの二重パターンに対する設計を示す図である。
【図9E】図9Cの相対的パターン位置ベクトルと図9Dの基準パターン位置ベクトルを比較するグラフを示す図である。
【図10A】基板上に形成された二重パターンを示す図である。
【図10B】図10Aの二重パターン内の第1のパターンを形成するためのマスクパターンを示す図である。
【図10C】第1のパターンのリソグラフィ中にフォーカスが変化することによる第1のパターンのシフトのシミュレーションを示す図である。
【図11】Aは基板上に形成された二重パターンを示す図である。Bは対称性を有する第1のパターンのリソグラフィ中にフォーカスが変化することによる第1のパターンのシフトのシミュレーションを示す図である。
【図12】リソグラフィ・フォーカス変化による対称的パターンを有する位置シフトを例示する、基板上に形成された二重パターンを示す図である。
【図13A】図12のパターン1202aの位置シフト対リソグラフィック・フォーカスのグラフである。
【図13B】図12のパターン1202bの位置シフト対リソグラフィック・フォーカスのグラフである。
【図13C】第1のパターン対称性に基づく平均化位置シフト対リソグラフィック・フォーカスのグラフである。
【図14A】第1の軸に関する対称性に基づくオーバレイ測定に対するパターン選出を例示する図である。
【図14B】2軸に関する対称性に基づくオーバレイ測定に対するパターン選出を例示する図である。
【図14C】2軸に関する対称性に基づくオーバレイ測定に対するマルチパターン選出を例示する図である。
【図15】1つ以上の実施例に従って、パターン対称性に基づくCD−SEMS画像を取得および解析するためのステップを例示するプロセス・フロー図である。
【図16A】基板上に形成された明白な対称性の無い二重パターンの視野を例示する図である。
【図16B】図16Aの二重パターンの視野に関して180°の対称性を有するもう1つの視野を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本発明の前述のおよび他の態様、特徴、および利点は好ましい実施例の下記の詳細な説明を、添付図を参照して、読めばより良く理解される。以後、添付図を参照して本発明の実施例を詳細に説明し、同じ参照番号は同じ要素を表す。添付図は縮尺どおりではない。添付するグラフおよび図面に表示されたいかなるデータも例示することだけが目的であって実際のデータを表すものではない。該当する場合、いくつかの特徴は根拠をなす特徴の説明を支援するように例示されてはいない。
【0018】
さまざまな実施例では、層間のオーバレイの違いを決定するのに光オーバレイ・ターゲットの代わりに実際のデバイス・パターンが使用される。小さな特徴サイズ(たとえば、100nm未満)に対して、実際のデバイス・パターンはそのサイズが光学顕微鏡により採用される波長よりも遥かに小さいため光学顕微鏡により観察することはできない。それ故、実際のデバイス・パターンを見るために、光学顕微鏡の代わりにCD−SEMが使用される。2次電子は撮像面からしかCD−SEMにより収集することができないため、CD−SEMによるオーバレイ測定では両方の層のパターンが撮像面上に現れる必要がある。解析が行われる時に2つの異なる層のパターン特徴が撮像面上にあるため、ダブル・パターニング半導体製造プロセスはCD−SEM解析を受けやすい。
【0019】
ダブル・パターニング・プロセスの例が図3に示されている。例示されたプロセスは二重露光型ダブル・パターニング・プロセスである。最初に、図3の(A)に示すように、その上に第1のパターンを有するマスク302が第1のパターンを基板306上のフォトレジスト層304へ転写するのに使用される。図3の(B)に示すように、現像されたフォトレジスト層308はこうしてその上に第1のパターンを有する。図3の(C)に示すように、その上に第2のパターンを有するマスク310が第2のパターンをフォトレジスト308へ転写するのに使用される。図3の(D)に示すように、その結果、フォトレジスト312は第1のパターンと第2のパターンの両方を有する。次に、フォトレジスト312はその後の材料追加または削除ステップに対するテンプレートとして使用することができる。
【0020】
ダブル・パターニング半導体デバイス製造プロセスのもう1つの例が図4に示されている。例示されたプロセスは二重露光、二重エッチ型ダブル・パターニング・プロセスである。最初に、図4の(A)に示すように、その上に第1のパターンを有するマスク402が第1のパターンを基板406上のハードマスク層408上のフォトレジスト層404へ転写するのに使用される。図4の(B)に示すように、現像されたフォトレジスト層410はこうしてその上に第1のパターンを有する。図4の(C)に示すように、第1のパターンはパターン化されたフォトレジスト410からハードマスク層408へ、たとえば、エッチングにより転写される。図4の(D)に示すように、次に、新しいフォトレジスト層416がパターン化されたハードマスク層412上に設けられる。図4の(E)に示すように、その上に第2のパターンを有するマスク414が第2のパターンをフォトレジスト416へ転写するのに使用される。図4の(F)に示すように、第2のパターンはパターン化されたフォトレジスト418からハードマスク層412へ、たとえば、エッチングにより転写される。図4の(G)に示すように、その結果、ハードマスク層420は第1および第2のパターンの両方を有する。次に、ハードマスク層420はその後の材料追加または削除ステップに対するテンプレートとして使用することができる。
【0021】
一般的に、ダブル・パターニング・プロセスは単一層を形成する複数のリソグラフィック・プロセスを使用して特徴密度(feature density)を高めるのに使用される。このように、パターン転写プロセスに使用されるマスクは比較的大きい特徴間隔を有しているにもかかわらず、デバイス内のパターン特徴間の間隔は効果的に低減される。低減されたパターン間隔に対処する場合、パターン化ステップ間のたとえ僅かなアライメント・エラーであっても第1および第2のパターンの相互配列に影響を及ぼすことがある。このように、従来の光オーバレイ・ターゲットおよびそれらに付随する測定技術はダブル・パターニング・プロセスに必要な許容差を提供するのに不十分なことがある。
【0022】
ダブル・パターン化された線構造に対して、オーバレイはピッチ測定技術を使用するCD−SEMにより測定することができる。たとえば、図5はダブル・パターニング・プロセスを使用して形成された線構造の図500を示す。線502は第1のパターンの一部であり、線504は第2のパターンの一部である。第1のパターンおよび第2のパターン間のオーバレイ・エラーεは次式に基づいて決定することができ、
【数1】


ここに、Pは線502および504の各左端間の距離506であり、Pは線502および504の各右端間の距離508であり、Pは線502および504に対するデザインされたハーフピッチである。このようなピッチ測定方法は、単純なライン・アンド・スペース・パターン等の、一次元構造のオーバレイ測定にしか適用することができない。2次元測定構造に対しては、オーバレイは2次元で特徴付けられる必要がある。それ故、ピッチ測定技術は2次元構造に適用できないことがある。
【0023】
図6はさまざまな実施例に従ったパターン特徴の劣化を評価するための測定システム600を示す。この測定システム600はサンプルの微細な特徴を撮像するための顕微鏡を含んでいる。たとえば、この顕微鏡は限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)602である。CD−SEM602は電子ビーム発生および検出用のさまざまなコンポーネントを有する顕微鏡カラム604を含んでいる。電子銃608が電子ビーム612を発生し、その方向と幅は第1の電磁レンズ610、第2の電磁レンズ616、および偏向器614を使用して制御される。電子ビーム612はサンプル620上の特定の場所622に電子を照射して2次電子624を発生させる。
【0024】
たとえば、ターゲット622は半導体ウェーハ上の個別のチップまたはパターンとすることができる。サンプル620は顕微鏡ステージ618により支持され、それはサンプル620の位置を電子ビーム612に関して操作する。場所622から発せられる2次電子624が2次電子検出器626により検出される。2次電子624はターゲット622におけるサンプル620の画像を発生するのに使用される。
【0025】
測定システム600は画像取得モジュール606も含んでいる。画像取得モジュール606はCD−SEM602と一体化することができ、あるいは、プログラムされたコンピュータまたはプロセッサ等のスタンドアロン・コンポーネントとすることができる。画像取得モジュール606は、電子銃608、電磁レンズ610および616、偏向器614、およびサンプル620を撮像する顕微鏡ステージ618を含むCD−SEM602のさまざまなコンポーネントに有効に接続されてそれらを制御する。画像取得モジュール606は2次電子検出器626から2次電子データを受信し、次に、それは画像を形成するのに使用される。
【0026】
画像取得モジュール606はサンプル620上の解析される各半導体デバイス層に対する1つ以上のパターンを撮像するようCD−SEM602を指示する。たとえば、CD−SEM602は第1の、比較的低倍率でサンプル620を撮像する。低倍率画像に基づいて、画像取得モジュール606はパターンの位置を確認することができる。画像取得モジュール606はユーザからの関心のあるパターンの入力を、たとえば、適切な入出力装置を介して受け取ることができる。次に、画像取得モジュール606は選出されたパターンの第2の、比較的高倍率の画像を得るようCD−SEM602を指示する。第2の倍率は第1の倍率よりも大きくすることができる。画像データは適宜、メモリ628内に格納することができる。
【0027】
測定システムは画像処理モジュール630も含んでいる。画像処理モジュール630は、選出された1つまたは複数のパターンの高倍率画像を含む、画像データをメモリ628から受信する。あるいは、画像処理モジュール630は画像取得モジュール606から直接画像データを受信する。画像データは画像処理モジュール630により解析されて、とりわけ、基板上のパターン間のオーバレイを決定する。解析結果はメモリ628またはもう1つのメモリ・デバイス(図示せず)内に格納されるか、あるいは、1つ以上の追加コンポーネントへ送信される。
【0028】
画像処理モジュール630は出力モジュール632に有効に接続することができる。画像処理モジュール630からのオーバレイ・データおよび画像は出力モジュール632に伝達することができる。出力モジュール632はディスプレイ装置634に有効に接続することができる。出力モジュール632はディスプレイ装置634にその上に表示するオーバレイ測定値を出力することができる。さらに、ディスプレイ装置634は、たとえば、オーバレイ・エラーが予め定められた許容差を超えるという表示、パターンの画像、および/またはパターンに対する対称線を表示することもできる。
【0029】
図6に例示されたさまざまなコンポーネントは別個のコンポーネントとして実施される必要はないことが指摘される。むしろ、画像取得モジュール606、画像処理モジュール630、メモリ628、出力モジュール632、およびディスプレイ装置634の1つ以上は単一コンピュータまたはプロセッサ636として、あるいは、データ送信またはインターフェイス手段を使用して一緒に接続された独立コンピュータまたはプロセッサ等の、一緒に有効に接続された別個のモジュールとして実施することができる。モジュール606、630、および632は、たとえば、半導体製造ライン内の品質管理プロセッサまたはコントローラの一部として、1つ以上の他のモジュールと組み合わせることもできる。同様に、メモリ628は複数のメモリ・デバイスへ分離したり、複数のコンポーネント間で共有することができる。
【0030】
さらに、1つ以上のモジュール606、630、および632をSEM602と一体化することができる。別個のコンポーネントは前述した関連する機能を有して図6に例示されているが、開示された実施例の精神および範囲を逸脱することなく、コンポーネントを追加、省略、または組み合わせることができ、さらに/または機能を追加、省略、またはコンポーネント間で移すことができる。
【0031】
さらに、モジュール606、630、632、および634、および/またはプロセッサ636により実行されると、ここに記載された操作をモジュールに実施させるプログラムされた命令のシーケンスを、メモリ628を使用して格納することができる。したがって、メモリ628はコンピュータまたはプロセッサ読取可能記憶媒体とすることができる。
【0032】
次に、図7について、画像処理モジュール630はさまざまなサブモジュール、たとえば、パターン・エッジ検出モジュール702、パターン位置計算モジュール704、代表点計算モジュール706、ベクトル計算モジュール708、ベクトル平均計算モジュール712、および相対的パターン比較モジュール710、を含むことができる。パターン・エッジ検出モジュール702はサンプル620上に形成された関心のある各層に対する選出パターンの1つ以上の画像700を受信する。
【0033】
パターン・エッジ検出モジュール702は画像700を受信して画像内の選出パターンに関連するエッジ情報を抽出するように処理する。たとえば、エッジ情報は各パターン・エッジの輪郭を含むことができる。パターン・エッジ検出モジュール702はエッジ情報をパターン位置計算モジュール704へ伝達し、それはエッジ情報を使用して各選出パターンの位置を決定する。たとえば、パターン位置計算モジュール704はエッジ情報に基づいて各選出パターンに対する重心を決定する。このように、重心は各層内のパターンの場所を表すことができる。
【0034】
代表点計算モジュール706はパターン位置計算モジュール704から各選出パターンの位置情報を受信する。特定の層に関連づけられた各選出パターンに対する位置情報を使用して、代表点計算モジュール706は、ここに詳細に検討されているように、特定の層の位置を決定する。たとえば、代表点計算モジュール706は層に関連づけられた個別の選出パターン位置の座標を平均して1つのCD−SEM画像内の層に対する代表点を決定する。代表点計算モジュール706は解析される各層に対する代表点を決定する。ダブル・パターニング・プロセスの場合、2つの層を同時に撮像することができ、2つの層の各々に対してCD−SEM画像内のそれぞれのパターンに基づいて代表点が決定される。
【0035】
代表点はベクトル計算モジュール708へ送られる。ベクトル計算モジュール708は層の位置を比較して層の相対的位置を決定するようにデザインされる。たとえば、ベクトル計算モジュール708は層に対する代表点間を延びる1つ以上のベクトルを計算する。相対的パターン比較モジュール710がベクトル計算モジュール708から得られたベクトルをデザインまたはシミュレートされた値と比較して層間のオーバレイおよび理想値からの任意の逸脱を決定する。オーバレイがオーバレイ・エラーバジェットの範囲外へ逸脱する場合、ユーザへエラー表示を出力することができる。層オーバレイおよび/またはエラー・インジケータとは出力モジュール、ディスプレイ装置、または半導体デバイス製造プロセス内の他のモジュール等の出力714を介して通信することができる。
【0036】
次に、図8には1つ以上の実施例に従ってCD−SEM画像を取得および解析するためのプロセス・フロー図が示されている。このプロセスは802において開始されステップ804へ進む。ステップ804において、基板上に形成された構造がパターンの位置を確認するために第1の低倍率で撮像される。1つまたは複数の低倍率画像に基づいて、さらに解析するためのパターンのサンプルを選出することができる。この手順は飛ばすことができるが、ステップ806においてパターンを選出する際に低倍率を使用してパターンの位置を確認するのが有利なこともある。
【0037】
次に、プロセスはステップ806に進む。ステップ806において、各層に対する1つ以上の選出パターンに対して1つ以上のCD−SEM画像が得られる。たとえば、ダブル・パターニング・プロセスにおいて形成されたパターンの画像900が図9Aに示されている。パターン902は第1の層内に形成されパターン904は第2の層内に形成される。
【0038】
CD−SEM画像は第2の倍率で得られ、それは第1の倍率よりも大きくすることができる。第2の倍率で関心のある全域の撮像を可能にするには複数のCD−SEM画像を必要とすることがある。さらに、いくつかの応用では、第1および第2の倍率は同じとなることがある。
【0039】
次に、プロセスはステップ808へ進む。ステップ808において、取得された画像内の選出パターンの全てまたは一部だけのエッジが、たとえば、限界寸法計測(critical dimension metrology)に対する従来の画像処理技術を使用して検出される。図9Bは半導体デバイス層内のコンタクトホール・パターンのSEM画像を示す。パターンのエッジ908を突き止めるのに画像処理技術が使用される。
【0040】
再び図8を参照して、プロセスはステップ810に進む。ステップ810において、検出されたエッジ・データを使用して取得された画像内の個別パターンの位置が計算される。たとえば、パターンのエッジ上にある点の座標を平均して各パターンの位置が決定される。他の例では、パターンに対するエッジ・データに適合される数学関数に基づいてパターンの中心を計算することができる。図9Bを参照して、パターンの中心910を決定するのにパターン・エッジ908が使用される。あるいは、パターン・エッジ908を使用せずにパターンの中心910を決定するのに他の画像処理技術を利用することができる。
【0041】
再び図8について、プロセスはステップ812に進み、そこで取得された画像内の各パターンの位置に基づいて各層に対する代表点が計算される。取得された画像内の1つの層に属する全てのまたは選出されたパターンの位置は、これらのパターンに基づいてその層に対する代表点を計算することによりその層の位置を定義する。たとえば、層に対する代表点は選出された全てのパターン位置の全ての座標の平均であるか、あるいは、選出パターンに対して決定された中心に対する座標の平均である。
【0042】
図9Cに示すように、ウィンドウ916内のパターンの一部が解析のために選出される。第1の層内に形成されたパターン902の中心は代表的な層の点922を決定するのに使用される。点922は、たとえば、全ての選出されたパターン位置の全ての座標を平均して決定することができる。同様に、第2の層内に形成されたパターン904の中心は代表的な層の点924を決定するのに使用される。点924は、たとえば、全ての選出されたパターン位置の全ての座標を平均して決定することができる。
【0043】
再び図8について、次にプロセスはステップ814に進む。ステップ814において、層の相対的位置を決定するために相対的位置ベクトルが計算される。たとえば、相対的位置ベクトルはダブル・パターニング・プロセスにおいて各層の層位置を使用して決定される。図9Cにおいて、相対的位置ベクトル918は第1の層に対する代表点922と第2の層に対する代表点924との間を延びている。
【0044】
次に、プロセスはステップ816に進む。ステップ816において、決定された相対的位置ベクトルは予め定められた基準値と比較される。たとえば、相対的位置ベクトルは計算されたまたはシミュレートされた基準ベクトルと比較される。計算された基準ベクトルは層に対するデザイン・レイアウトに基づくことができる。シミュレートされた基準ベクトルはシミュレートされた輪郭に基づくことができる。図9Dは第1および第2の層間の基準ベクトルを計算する例を示している。視野926は図9Cの選出部916に対するデザイン・レイアウトを表す。デザインされた第1の層上のパターン932は代表点942を生じ、デザインされた第2の層上のパターン934は代表点944を生じる。基準ベクトル928は代表点942および代表点944間を延びている。こうして、基準ベクトル928は第1および第2の層間のデザインされた相対的方位を示す。
【0045】
ステップ816において考えられる比較は、たとえば、ベクトル比較の形をとることができる。このような比較は各ベクトルの方向および大きさに基づくことができる。図9Eのグラフを参照して、基準ベクトル928および相対的位置ベクトル918は並んで示されている。相対的位置ベクトル918の大きさは始点918aおよび端点918bの座標に基づいて決定される。相対的位置ベクトル918の方向はx−軸に関する角度918cに基づいて決定される。同様に、基準位置ベクトル928の大きさは始点928aおよび端点928bの座標に基づいて決定される。基準位置ベクトル928の方向はx−軸に対する角度928cに基づいて決定される。層間のオーバレイはベクトルの大きさおよび方向の比較に基づいて決定することができる。ベクトルに対する始点および端点は各層に対する各代表点に対応することに注意されたい。他の比較方法も考えられる。たとえば、ベクトルのxおよびy成分のベクトル減算や比較を使用することができる。
【0046】
図8に戻って、次に、プロセスはステップ818に進む。相対的位置ベクトルと基準ベクトル間の差が予め定められた許容差よりも大きいと決定されると、プロセスはステップ820に進み、そこで相対的位置ベクトルおよびオーバレイ・エラーが許容範囲外である表示が表示される。相対的位置ベクトルと基準ベクトル間の差が予め定められた許容差よりも小さいと決定されると、プロセスはステップ822に進み、そこで相対的位置ベクトルが表示される。こうして、プロセスはステップ824で終る。
【0047】
図10Aに、ダブル・パターニング・プロセスにおいて形成されたパターンの画像が示されている。パターン1002は第1の層内に形成され、パターン1004は第2の層内に形成される。オーバレイを決定するパターン解析のために視野1006が選択される。図10Bは選択視野1006に対する第1のパターン1008のデザインされた場所を示す。図10Cは異なるリソグラフィック・フォーカスにおいて図10Bの領域1010内の形成されたパターンに対するシミュレーション結果を示す。理想的なリソグラフィック・フォーカスにおいて、パターン1012が形成される。しかしながら、リソグラフィック・フォーカスが変化すると、パターンの形状はパターン1014で示すように変化する。パターン形状のこの変更により、矢符1016aおよび1016bで示すような、パターン位置シフトが生じ、それは層に対する代表点の正確な決定およびその後のオーバレイ測定に悪影響を及ぼすことがある。
【0048】
このように、パターンのシフトを生じる、プロセス変動はオーバレイ測定の正確さおよび/または精度に影響を及ぼすことがある。プロセス変動に対応するために、オーバレイ測定検討のためのパターン選出はパターン対称性を利用することができる。1つ以上の軸に関する対称的パターン・サンプリングを適用することにより、これらの体系的な位置シフトの影響を低減することができ、かつ/または無くすことができる。たとえば、ダブル・パターニング・プロセスにおいて形成されるパターンが図11のAに示されている。図11のBは異なる視野に対するシミュレーション結果を示している。図からお判りのように、視野(a)の変動方向はリソグラフィック・フォーカスが変化する視野(b)の変動とは反対方向に進む。オーバレイ解析のために(a)および(b)の両方を含むように画像および/またはパターンを選出することにより、リソグラフィック・フォーカスによる変動を最小限に抑えることができる。リソグラフィ近接効果によるデザインされたまたはシミュレートされた値からの位置シフトは、たとえ最善または最適光学フォーカスにおいても、オーバレイ測定の正確さおよび/または精度にやはり影響を及ぼすことがある。この近接効果による変動も開示されたパターン対称性技術を使用して最小限に抑えることができる。
【0049】
次に、図12にはダブル・パターニング・プロセスにおいて形成されたパターンの画像が示されている。パターン1202は第1の層内に形成され、パターン1204は第2の層内に形成される。パターン1202は対称性のそれぞれの軸を有する。このように、パターン1202aは軸1206に関してパターン1202bのミラーイメージである。図13Aはリソグラフィック・フォーカスに変化のあるパターン1202aの位置変動を示す。図13Bはリソグラフィック・フォーカスに変化のあるパターン1202bの位置変動を示す。図13A−13Bに例示されているように、パターン1202aおよび1202bの位置変動はリソグラフィック・フォーカス変化に関して反対方向である。パターン1202aおよび1202b解析の位置を結合することにより、リソグラフィック・フォーカス変化による変動を最小限に抑えることができる。たとえば、パターン1202aおよび1202bの位置を平均することにより図13Cのグラフが得られる。図からお判りのように、リソグラフィック・フォーカス変化に関して位置の最小シフトが生じる。したがって、層の位置はプロセス変動により影響されない。
【0050】
図14A−14Cはパターン対称性を考慮したパターン・サンプルの選出例を示している。パターン1404は第1の層内に形成され、パターン1406は第2の層内に形成される。図14Aのパターン選出1402は第1のパターンを横切して延びる単一軸1408に関して対称性を有する。これに比べて、図14Bのパターン選出1412は第1の軸1408および第1の軸1408に直交する第2の軸1410に対して対称性を有する。2軸対称性を有する視野の選出は2次元のプロセス変動を補償する。
【0051】
パターン対称性に基づいて複数の画像を選出することもできる。このような方法はパターンの対称性が画像の視野を超えて延びる時に必要となることがある。図14Cに示すように、第1の画像1414は単一軸1408に関して対称性を有し、第2の画像1416も軸1408に関して対称性を有する。しかしながら、2つの画像は共に第2の直交軸1410に関して対称的である。
【0052】
次に、図15に1つ以上の実施例に従って対称性に基づいてCD−SEM画像を取得し解析するためのプロセス・フロー図を示す。プロセスは1502で開始してステップ1504に進む。ステップ1504において、基板上に形成された構造がパターンの位置を確認するために第1の低倍率で撮像される。低倍率画像に基づいて、パターンのサンプルをさらなる解析のために選出することができる。この手順は飛ばすことができるが、ステップ1506のパターン選出において低倍率を使用してパターン位置を確認するのが有利なことがある。
【0053】
次に、プロセスはステップ1506に進む。ステップ1506において、各層に対する1つ以上の選出パターンに対して1つ以上のCD−SEM画像が得られる。CD−SEM画像は第2の倍率で得られ、それは第1の倍率よりも大きくすることができる。関心のある全体デバイス構造領域を第2の倍率で撮像するには複数のCD−SEM画像を必要とすることがある。いくつかの応用では、第1および第2の倍率は同じであることも考えられる。
【0054】
次に、プロセスはステップ1508に進む。ステップ1508において、取得された画像内の選出パターンの全てのまたは一部だけのエッジが、たとえば、限界寸法計測に対する従来の画像処理技術を使用して検出される。プロセスはステップ1510に進む。ステップ1510において、検出されたデータは取得された画像内の個別のパターンの位置を計算するのに使用される。
【0055】
次に、プロセスはステップ1512に進み、そこで取得された画像内の各パターンの位置に基づいて各層に対する代表点が計算される。取得された画像内の1つの層に属する全パターンまたは選出パターンの位置は、これらのパターンに基づいてその層に対する代表位置を計算することによりその層の位置を定義する。
【0056】
次に、プロセスはステップ1514に進む。ステップ1514において、代表位置に基づいて相対的位置ベクトルが計算される。次に、プロセスはステップ1516に進む。ステップ1516において、相対的位置ベクトルは予め定められた基準ベクトルと比較され、相対的位置ベクトルと基準位置ベクトル間の差としてオーバレイ・エラー・ベクトルが計算される。たとえば、相対的位置ベクトルは計算されたまたはシミュレートされた基準ベクトルと比較される。計算された基準ベクトルは層に対するデザイン・レイアウトに基づくことができる。シミュレートされた基準ベクトルはシミュレートされた輪郭に基づくことができる。
【0057】
プロセスはステップ1518に進む。プロセス変動を補償するために、基板上に形成された対称的パターン構造に対するオーバレイ・エラー・ベクトルの平均が計算される。たとえば、画像処理モジュール630のベクトル平均計算モジュール712がこのような平均を決定することができる。
【0058】
次に、プロセスはステップ1520に進む。オーバレイ・エラーは予め定められた許容差よりも大きいと決定されると、プロセスはステップ1522に進み、そこで相対的位置ベクトルおよびオーバレイ・エラーは許容範囲外であるという表示が表示される。オーバレイ・エラーは予め定められた許容差よりも小さいと決定されると、プロセスはステップ1524に進み、そこで相対的位置ベクトルが表示される。こうして、プロセスはステップ1526で終る。
【0059】
対称性を考慮するパターン選出のもう1つの例が図16A−Bに示されている。図16Aは明らかなパターン対称性の無い画像1602の例を示す。パターン1606は第1の層内に形成され、パターン1608は第2の層内に形成される。画像1602内には明らかなパターン対称性は無いが、基板上のもう1つの場所は画像1602に関して180°対称性を有することができる。たとえば、図16Bの画像1604は図16Aの画像1602に対して180°パターン対称性(たとえば、反転されフリップされる)を有する。オーバレイ測定解析において両方の画像を利用することにより、リソグラフィック・フォーカス変化による位置変動を補償することができる。
【0060】
ここに開示されている技術は任意のパターンまたは特徴に適用することができる。たとえば、パターンはコンタクトホール等の孔とすることができる。また、パターンは活性層、ゲート層、または配線層上の特徴とすることができる。たとえば、オーバレイ測定はゲート層内のパターン特徴と活性層内のパターン特徴間で決定することができる。
【0061】
ここに記述されたシステムおよび方法は内部に単一パターンを有する層にも適用することができる。たとえば、第1の層は単一コンタクトホール等の単一パターンを含むことができ、第2の層はコンタクトホールのアレイ等の1つ以上のパターンを含むことができる。
【0062】
ここに記述されたシステムおよび方法は単一層内の相対的位置測定にも適用することができる。たとえば、開示された技術を使用して、リソグラフィ・フォーカス・オフセット等の、プロセス状態変動によって決まる個別の特徴の相対的位置シフトを評価することができる。
【0063】
さらに、ここに記述されたシステムおよび方法はダブル・パターニング・プロセスに限定されるものではない。二重、三重、および四重のプロセスを含むマルチ・パターニング・プロセスも開示された技術の恩恵を受ける。さらに、ここに記述されたシステムおよび方法はマルチ・パターニング・プロセス以外のプロセスを介して形成された層間の相対的位置測定にも適用することができる。両方の層のパターンが撮像面上に現れる限り、開示された技術および実施例は適用することができる。
【0064】
ここに記述された実施例は本発明の原理とその実際的な応用を最も良く例示して、当業者ならば本発明を利用できるようにするために選択されている。特定の用途に応じたさまざまな修正を有するさまざまな実施例が考えられる。したがって、本発明の範囲は添付特許請求の範囲およびそれに相当するものによって規定される。
【符号の説明】
【0065】
200 ウェーハのセクション
202 半導体チップ
204 回路ブロック
206 光オーバレイ・ターゲット
208 ダイシング・レーン
302、310、402、414 マスク
304、404 フォトレジスト層
306、406 基板
308、410 現像されたフォトレジスト層
312 フォトレジスト
408、412、420 ハードマスク層
410、418 パターン化されたフォトレジスト
416 新しいフォトレジスト層
500 線構造
502、504 線
506、508 距離
600 測定システム
602 限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)
604 顕微鏡カラム
606 画像取得モジュール
608 電子銃
610、616 電磁レンズ
612 電子ビーム
614 偏向器
618 顕微鏡ステージ
620 サンプル
622 ターゲット
624 2次電子
626 2次電子検出器
628 メモリ
630 画像処理モジュール
632 出力モジュール
634 ディスプレイ装置
636 プロセッサ
900、1602、1604 画像
902、904、932、934、1002、1004、1008、1012、1014、1202、1204、1202a、1202b、1404、1406、1606、1608 パターン
908 エッジ
910 パターン中心
916 ウィンドウ
918 相対的位置ベクトル
918a、928a 始点
918b、928b 端点
918c、928c 角度
922、924、942、944 代表点
926、1006 視野
928 基準位置ベクトル
1010 領域
1016a、1016b パターン位置シフト
1206 対称軸
1402、1412 パターン選出
1408 第1の一軸
1410 第2の軸
1414 第1の画像
1416 第2の画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定する方法であって、
各半導体デバイス層に対する1つ以上のパターンを選出するステップと、
前記選出パターンの1つ以上の限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)画像を取得するステップと、
前記取得したCD−SEM画像に基づいて前記各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算するステップと、を含み、
前記各半導体デバイス層は1つ以上のパターンを含み、
前記1つ以上の選出パターンは少なくとも1つの前記各半導体デバイス層内の前記パターンの線対称性または点対称性に基づいて選出される方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記選出ステップは、さらに、
仮想x軸および仮想y軸を選出するステップを含み、各半導体デバイス層に対する前記選出パターンは前記仮想x軸およびy軸に関して線対称とされる方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記計算ステップは、さらに、
前記CD−SEM画像内の前記選出パターンに関連するエッジ情報を抽出するステップと、
前記エッジ情報に基づいて、前記複数の半導体デバイス層の各々のパターン位置を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、前記パターン位置決定ステップは、さらに、
前記エッジ情報に基づいて、前記各選出パターンに対するパターン位置重心を計算するステップを含む方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法であって、前記エッジ情報は前記選出パターンの少なくとも1つの輪郭を表わす方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記相対的パターン位置をベクトル形式で出力ディスプレイ装置上に表示するステップを含む方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、さらに、
前記各半導体デバイス層のパターン位置を前記相対的パターン位置と共に出力ディスプレイ装置上に表示するステップを含む方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、前記各半導体デバイス層は異なるマスクを使用して形成される方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、前記相対的パターン位置は2次元位置情報を含む方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、前記1つ以上のパターンは半導体デバイスの一部を含む方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、前記1つ以上のパターンは半導体デバイスに対するコンタクトホールを含む方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、前記1つ以上のパターンは半導体デバイスのゲートを含む方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、さらに、
前記相対的パターン位置を予め定められた基準位置と比較するステップと、
前記相対的パターン位置と前記予め定められた基準位置との間の差が予め定められた許容差を超える場合に通知を出力するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、前記パターンの前記位置を確認するのに使用される倍率は前記1つ以上のCD−SEM画像を得るために使用されるものよりも低い方法。
【請求項15】
ダブル・パターニング半導体製造プロセスにおいて複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定する方法であって、
各半導体デバイス層に対する複数のパターンを選出するステップと、
前記選出パターンの1つ以上の限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)画像を得るステップと、
前記CD−SEM画像内の前記パターンに関連するエッジ情報を抽出するステップであって、前記エッジ情報は前記選出パターンの少なくとも1つの輪郭を含むステップと、
前記エッジ情報に基づいて前記各選出パターンのパターン位置重心を計算することにより、前記各半導体デバイス層に対するパターン位置を決定するステップと、
前記決定されたパターン位置に基づいて前記各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算するステップと、
出力ディスプレイ装置上に各半導体デバイス層の前記相対的パターン位置をベクトル形式で表示するステップと、
前記出力ディスプレイ装置上に前記各半導体デバイス層の前記パターン位置を各半導体デバイス層間の前記相対的パターン位置と共に表示するステップと、
前記各半導体デバイス層間の前記相対的パターン位置を予め定められた基準値と比較するステップと、
前記相対的パターン位置と前記予め定められた基準値との間の差が予め定められた許容差を超える場合は通知を出力するステップと、を含み、
前記複数のパターンは半導体デバイスに対するコンタクトホールを含み、
前記各半導体デバイス層は異なるマスクを使用して形成され、
前記パターンの前記位置を確認するのに使用される倍率は前記1つ以上のCD−SEM画像を得るために使用されるものよりも低く、
前記相対的パターン位置は2次元の位置情報を含み、かつ、
前記複数の選出パターンはその少なくとも第1のパターン内の前記コンタクトホールの対称性に基づいており、コンタクトホールの前記対称性は前記第1のパターンを横切する第1の方向に延びる少なくとも1本の線に関して決定される方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、
前記複数のパターンは前記半導体デバイスの一部からなる1つ以上のパターンを含み、
前記複数のパターンは前記第1のパターンを被せた第2のパターンを含み、
前記コンタクトホールは、さらに、前記第2のパターン内の孔を含む方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、
コンタクトホールの前記対称性は前記第1のパターンを横切する前記第1の方向に延びる前記線、および前記第1の線の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の線に関して決定される方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、
前記第2の線は少なくとも前記第1のパターンおよび前記第2のパターンを横切する前記第2の方向に延びる方法。
【請求項19】
ダブル・パターニング半導体デバイス製造プロセスにおいて複数の半導体デバイス層の相対的位置を測定するシステムであって、
各半導体デバイス層に対する複数のパターンを選出し、かつ前記選出パターンの1つ以上の限界寸法走査型電子顕微鏡(CD−SEM)画像を得るように構成された画像取得モジュールと、
画像処理モジュールであって、
前記CD−SEM画像内の前記選出パターンに関連するエッジ情報
であって、前記各選出パターンに対する輪郭からなるエッジ情報を抽出し、
前記エッジ情報に基づいて前記選出パターンのパターン位置重心を計算し、
前記計算されたパターン位置重心に基づいて、前記各半導体デバイス層に対するパターン位置を決定し、
前記決定されたパターン位置に基づいて、前記各半導体デバイス層間の相対的パターン位置を計算し、
前記各半導体デバイス層間の前記相対的パターン位置を予め定められた基準値と比較するように構成された画像処理モジュールと、
ディスプレイ装置と、
出力モジュールであって、
前記相対的パターン位置と前記予め定められた基準値との間の差が予め定められた許容差を超える場合に前記ディスプレイ装置に通知を出力し、かつ、
前記各半導体デバイス層に対する前記パターン位置をベクトル形式の前記相対的パターン位置と共に前記ディスプレイ装置に出力するように構成された出力モジュールと、を含み、
前記複数のパターンは半導体デバイスに対するコンタクトホールを含み、
前記各半導体デバイス層は異なるマスクを使用して形成され、
前記複数のパターンの前記位置を確認するのに使用された倍率は前記1つ以上のCD−SEM画像を得るのに使用された倍率よりも低く、
前記相対的パターン位置は2次元位置情報を含み、
前記複数の選出パターンはその少なくとも第1のパターン内の前記コンタクトホールの対称性に基づいて選出され、コンタクトホールの前記対称性は前記第1のパターンを横切する第1の方向に延びる少なくとも1本の線に関して決定され、
前記複数のパターンは前記半導体デバイスの一部からなる1つ以上のパターンを含み、
前記複数のパターンは前記第1のパターンを被せた第2のパターンを含み、
前記コンタクトホールは、さらに、前記第2のパターン内の孔を含み、
コンタクトホールの前記対称性は前記第1のパターンを横切する前記第1の方向に延びる前記線、および前記第1の線の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の線に関して決定されるシステム。
【請求項20】
請求項19記載のシステムであって、前記画像取得モジュールおよび前記画像処理モジュールの少なくとも1つはCD−SEMシステムの一部であるシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2011−142321(P2011−142321A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−290413(P2010−290413)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】