説明

パターン形成方法

【課題】
本発明は、ナノインプリントリソグラフィにおいて、微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供する。
【解決手段】
本発明の一態様であるパターン形成方法は、(a)被エッチング層10上方に多孔質層11を形成する工程と、(b)前記多孔質層11上に被転写パターンを有する有機材13を形成する工程と、(c)前記被転写パターンを用いて、前記多孔質11よりエッチング耐性が高い転写酸化膜16に加工パターンを形成する工程と、(d)前記転写酸化膜16をマスクとして、前記被エッチング層10に前記加工パターンを形成する工程とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントリソグラフィを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化が進展するにつれて、従来の光リソグラフィによる微細加工は困難性を増しており、これに代わる技術が求められている。そのような技術の一つとして、ナノインプリントリソグラフィ(NIL;Nanoimprint Lithography)が注目されている。
【0003】
このナノインプリントリソグラフィでは、転写すべきパターンに対応する凹凸を有するモールド(テンプレート)を、例えば被処理基板上に塗布した光硬化性物質に圧着した状態で、モールド裏面から光を照射し、光硬化性物質を硬化させることにより、モールドに形成されたパターンを転写する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ナノインプリントリソグラフィにおいて、微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様であるパターン形成方法は、(a)被エッチング層上方に多孔質層を形成する工程と、(b)前記多孔質層上に被転写パターンを有する有機材を形成する工程と、(c)前記被転写パターンを用いて、前記多孔質よりエッチング耐性が高い転写酸化膜に加工パターンを形成する工程と、(d)前記転写酸化膜をマスクとして、前記被エッチング層に前記加工パターンを形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ナノインプリントリソグラフィにおいて、微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるパターン形成方法を示す工程断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるパターン形成方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるパターン形成方法のうち1工程を示す工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(経緯)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明者が本発明をなすに至った経緯について説明する。
【0010】
ナノインプリントリソグラフィでは、例えば被エッチング層(例えば、シリコン基板)上に塗布された光硬化性の有機材にテンプレートを空気中または置換されたガス中で圧着する際に、有機材に混入した気泡(空気または置換されたガス)によって、有機材に欠陥が生じる場合がある。この欠陥が生じないよう気泡を排出するためには、例えばヘリウムガス雰囲気中で有機材にテンプレートを圧着する時間を長時間要する。
【0011】
そこで、有機材に混入するヘリウムガスを短時間で排出する方法として、本発明者らは有機材の直下に多孔質層(例えば、ポーラス酸化膜)を形成する方法を検討している。本発明者は、有機材の直下に多孔質層を形成した結果、有機材に混入したヘリウムガスを多孔質層側から排出し、有機材の気泡をさらに短時間で低減できることを実験で確認した。この方法では、多孔質層は、有機材と被エッチング層の間に形成される。
【0012】
しかしながら、被エッチング層に所望のパターンを形成する際には、有機材と被エッチング層の間に形成された多孔質層にこのパターンを転写する必要がある。この多孔質層は被エッチング層よりも相対的にエッチング耐性が低いため、転写されたパターンを有する多孔質層をマスクとして、被エッチング層にドライエッチング(例えば、RIE)すると、例えば被エッチング層よりも先に多孔質層がエッチングされてしまい、被エッチング層に所望のパターンを形成できない場合がある。
【0013】
上記の事情に鑑みて、有機材の直下に、被エッチング層よりも相対的にエッチング耐性が低い多孔質層を用いたとしても、微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供する。
【0014】
以下、本発明の実施形態の一態様について、図面を参照しながら説明する。なお、説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0015】
(第1の実施形態)
[パターン形成方法]
本発明の第1の実施形態におけるパターン形成方法について、側壁加工技術でハーフピッチのパターンを形成する方法を例として、図1及び図2の工程断面図を用いて説明する。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、被エッチング層10上に形成された被転写層11a(以下、第1被転写層という;例えば、カーボン層)、多孔質層12a上に光硬化性の有機材13aが塗布される。ここで、多孔質層12aは例えば300〜350度の温度でCVD法又は塗布法により形成される。
【0017】
なお、有機材13aの塗布はインクジェット方式の有機材液滴の散布によるが、図1はこのうちいくつかの液滴部分の拡大図を示している。
【0018】
次に、図1(b)に示すように、所望のパターンが形成されたテンプレート14を有機材13aに接触させる。そして、図1(c)に示すように、テンプレート14を圧着して、毛細管現象によってテンプレート14のパターンに有機材13bが浸透するまでテンプレート14を保持する。
【0019】
そして、図1(d)に示すように、例えば紫外線15を照射し、有機材13bを硬化する。その後に、図2(a)に示すように、テンプレート14を有機材13bから離す。これにより、テンプレート14のパターンと反転したパターン(被転写パターンA)が転写された有機材13bが形成される。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、ドライエッチングまたは、ウエットエッチング技術により、側壁部分を側方に後退させたパターン(被転写パターンB)を有する有機材13cを形成し、この有機材13cをマスクとして多孔質層12aをドライエッチング技術(例えばRIE)により加工して、多孔質層12bにパターン(被転写パターンC)を形成する。
【0021】
そして、図2(c)に示すように、有機材13cを除去し、第1被転写層11a及び多孔質層12b上に、転写酸化膜16aを形成する。この転写酸化膜16aは、多孔質層12bより相対的にエッチング耐性が高い酸化膜を用い、例えばSiOを用いる。この転写酸化膜16aを例えば室温のCVD法により形成する。
【0022】
図2(d)に示すように、転写酸化膜16aを多孔質層12b上面が露出するまでエッチバックする。CF系のガス(例えば、C48、CHF3、CF4、C46)を用いて、転写酸化膜16aをドライエッチングする。なお、上記CF系のガスを含むよう混合したガスを用いてもよい。
【0023】
図2(e)に示すように、転写酸化膜16bと多孔質層12bのエッチング耐性の高低差により、多孔質層12bのみを選択的にドライエッチングする。ここで、ドライエッチング後の転写酸化膜16cのパターンを加工パターンと呼ぶ。
【0024】
そして、転写酸化膜16cをマスクとして、加工パターンが転写された第1被転写層11を形成する。ここで、例えば第1被転写酸化膜11aがカーボン膜のとき、酸素ガスなどを用いて、第1被転写酸化膜11aをドライエッチングする。そして、この第1被転写層11をマスクとして被エッチング層10にドライエッチングし、加工パターンが転写された被エッチング層10を形成する。
【0025】
なお、転写酸化膜16cをマスクとして被エッチング層10に所望のパターンを形成できる場合には、第1被転写層11aを形成しなくてもよい。
【0026】
[第1の実施形態の効果]
以上より、本実施形態では、多孔質層12ではなく、転写酸化膜16を用いて加工パターンが転写された被エッチング層10を形成する。酸素ガスなどを用いて、第1被転写酸化膜11をドライエッチングすると、転写酸化膜16が第1被転写酸化膜11よりも先にエッチングされず、転写酸化膜16が残存する。
【0027】
このため、被エッチング層10と有機材13の間に、被エッチング層10よりも相対的にエッチング耐性が低い多孔質層12が形成されるとしても、ナノインプリントリソグラフィにおいて、微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供できる。
【0028】
(変形例1)
本実施形態では、側壁加工技術を用いて被エッチング層10にハーフピッチのパターンを形成するが、本変形例1では、側壁加工技術を使用せずに、被転写パターンと同一の加工パターンが転写された被エッチング層10にパターン形成してもよい。
【0029】
例えば、被転写パターンAが形成された有機材13をマスクとして、多孔質層12に被転写パターンDを形成した後に、多孔質層12上に転写酸化膜16を形成する。このとき、転写酸化膜16を、多孔質層12の被転写パターンDに埋め込むように形成する。多孔質層12上面が露出するまで転写酸化膜16をエッチバックして、多孔質層12を除去する。これにより、転写酸化膜16に加工パターンを形成する。
【0030】
そして、転写酸化膜16をマスクとして、被エッチング層10に加工パターンを転写する。
【0031】
以上より、上記実施形態と同様に、多孔質層12ではなく、転写酸化膜16を用いて加工パターンが転写された被エッチング層10を形成する。このため、被エッチング層10と有機材13の間に、被エッチング層10よりも相対的にエッチング耐性が低い多孔質層12が形成されるとしても、ナノインプリントリソグラフィにおいて、簡便に微細なパターンを形成可能なパターン形成方法を提供できる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態におけるパターン形成方法について、図3の工程断面図を用いて説明する。なお、第2の実施形態に係るパターン形成方法は、第1の実施形態のパターン形成方法に対して、図3に示すように、転写酸化膜と同種の酸化膜22(酸化膜22を転写酸化膜ともいう)が予め第1被転写層21と多孔質層24との間に形成される点で異なる。以下、第1の実施形態のパターン形成方法と異なる方法について説明する。
【0033】
[パターン形成方法]
図3に示すように、被エッチング層10上に、下層より順に第1被転写層21(例えば、カーボン層)、転写酸化膜22、被転写層(以下、第2被転写層という)23、多孔質層24が形成される。多孔質層24上に光硬化性の有機材25が塗布される。所望のテンプレート(図示略)を有機材25に圧着して、例えば紫外線を照射して有機材25を硬化させ、被転写パターンの有機材25を形成する。
【0034】
この有機材25の被転写パターンを多孔質層24、第2被転写層23、転写酸化膜22、第1被転写層21に対して順々に転写する。
【0035】
具体的には、有機材25をマスクとして、多孔質層24に対してドライエッチングを行い、被転写パターンを多孔質層24に転写する。そして、多孔質層24をマスクとして第2被転写層23に対してドライエッチングを行い、被転写パターンを第2被転写層23に転写する。多孔質層24にドライエッチングする場合には、例えばC48、CHF3、CF4、C46等のCF系ガスを用いる。一方で第2被転写層23にドライエッチングする場合には、例えば第2被転写層23がカーボン膜のとき、酸素または酸素とその他のガスを混合したガスを用いる。
【0036】
第2被転写層23をマスクとして転写酸化膜22に対してドライエッチングを行い、加工パターンを形成する。
【0037】
そして、第1被転写層21をマスクとして、被エッチング層10に加工パターンを転写する。
【0038】
[第2の実施形態の効果]
以上より、本実施形態でも、第1の実施形態同様に、多孔質層24ではなく、転写酸化膜22を用いて加工パターンが転写された被エッチング層10を形成する。酸素ガスを用いて、第1被転写酸化膜21をドライエッチングすると、転写酸化膜22が第1被転写酸化膜21よりも先にエッチングされず、転写酸化膜22が残存する。
【0039】
このため、被エッチング層10と有機材25の間に、被エッチング層10よりも相対的にエッチング耐性が低い多孔質層25が形成されるとしても、ナノインプリントリソグラフィにおいて、微細なパターンを形成可能なパターンの形成方法を提供できる。
【0040】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【符号の説明】
【0041】
10…被エッチング層
11 21…第1被転写層
12 24…多孔質層
13 25…有機材
14…テンプレート
15…紫外線
16 22…転写酸化膜
23…第2被転写層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被エッチング層上方に多孔質層を形成する工程と、
(b)前記多孔質層上に被転写パターンを有する有機材を形成する工程と、
(c)前記被転写パターンを用いて、前記多孔質よりエッチング耐性が高い転写酸化膜に加工パターンを形成する工程と、
(d)前記転写酸化膜をマスクとして、前記被エッチング層に前記加工パターンを転写する工程とを備えることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記(c)工程が、
(e)前記有機材をマスクとして、前記多孔質層に前記被転写パターンを形成する工程と、
(f)前記多孔質層上に、前記転写酸化膜を形成する工程と、
(g)前記多孔質層上面が露出するまで前記転写酸化膜をエッチバックする工程と、
(h)前記多孔質層を除去する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記(a)工程が、
(i)被エッチング層上に前記転写酸化膜を形成する工程と、
(j)前記転写酸化膜上に前記多孔質層を形成する工程と、
を備え、
前記(c)工程が、
(k)前記多孔質層に前記被転写パターンを形成する工程と、
(l)前記転写酸化膜に前記被転写パターンと同一の前記加工パターンを形成する工程と、
を具備することを特徴する請求項1記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−199076(P2011−199076A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65237(P2010−65237)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】