説明

パターン形状検査方法及びその装置

【課題】ディスクリートトラックメディア等の被検査対象に形成された数10nm程度以下の微細なパターンの形状を、パターンエッジの状態を含めて、高速、かつ高感度に検査できるようにしたパターン形状検査方法及びその装置を提供する。
【解決手段】試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第1のステップと、レーザ光を前記試料に対して斜め方向から照射し、前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第2のステップと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンドメディアからなる磁気記録媒体、特にディスクリートトラックメディア、そのスタンパ又はスタンパの型であるマスタ等の被検査対象に形成されたライン状パターンの形状をパターンエッジの状態を含めて、高速、かつ高感度に検査できるパターン形状検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC、サーバに加え、モバイル機器、デジタル記録のAV機器等の普及が加速し、ハードディスクドライブ(HDD)の需要が高まって、HDDが扱う情報量も飛躍的に増大している。一方、HDDは小形化が要求され、HDDの磁気記録媒体の記録密度は増大している。HDDの記録密度の増大に伴い、垂直磁気記録方式の開発が行われたが、垂直磁気記録方式でも、記録密度の増加に伴い、隣接トラック相互の磁気的干渉による影響が大きくなるため、限界に達する。そこで、対象のトラックのみ記録再生する方式として、トラックを物理的に加工し磁気的に分離するディスクリートトラックメディア(Discrete Track Media)の開発が行われている。さらに、記録密度を増加するために、1磁性粒子に1ビットを記録するビットパターンドメディア(Bit Patterned Media)の開発が進められている。
【0003】
ディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアは従来の磁気記録媒体と異なり、トラックやビットのパターンを形成する必要がある。トラックやビットのパターンの大きさは数10nmと微細であり、微細なパターンを低コストで製造する方法として、光ナノインプリント技術が用いられる。
【0004】
光ナノインプリントで形成されたパターンに、大きさや形状のばらつき、欠損やショートがある場合には、正常に動作せず不良となる場合がある。そのため、パターン形状が適切に形成されているか検査することが必要となる。また、パターンの型であるスタンパに欠陥がある場合、欠陥が複製されるため、高精度な検査が必要となる。また、製造工程上でプロセスにより欠陥が生じた場合、その原因を追求するためパターン形状やパターン状態を詳細に検査する必要がある。
【0005】
微細なパターンの欠陥を検査する方式としてSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)やAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)が知られているが、スループットの観点で限られた領域の検査のみに適用されるという課題を有していた。
【0006】
一方、微小な欠陥や、パターン形状欠陥を高スループットで検出する装置として、光学式の表面検査装置やOCD(Optical Critical Dimension)計測装置が知られている。特許文献1(米国特許第7233390号明細書)には、従来のOCD計測装置として、スキャットロメトリを用いて、半導体のパターンエッジにラフネスがある場合のラインパターンを計測する方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第7233390号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1では、パターンエッジのラフネスを円や楕円で組み合わせ、いくつかの周波数成分からなる波形で表すことで、検出波形のフィッティングを行うことが示されているが、実際のパターンのエッジラフネスは、周波数成分が連続的に変化したより複雑な形状をしており、ラフネスをより実際に近い形で表すことについては触れられていない。また、ラインエッジラフネスの検出を、スキャットロメトリによる方法以外で行うことについても触れられていない。
【0009】
本発明の目的は、パターンドメディアからなる磁気記録媒体、特にディスクリートトラックメディア、そのスタンパ、又はスタンパの型であるマスタ等の被検査対象に形成された数10nm程度以下の微細なライン状パターンの形状(例えばトラックの幅、高さ、側壁角等)をパターンエッジの状態(ラインエッジラフネス)を含めて、高速、かつ高感度に検査できるようにしたパターン形状検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、パターンが形成され、回転しながら半径方向に移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第1のステップと、レーザ光を前記試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第2のステップとを有することを特徴とするパターン形状検査方法及びその装置である。
【0011】
また、本発明は、前記第2のステップにおいて前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスが検出されたとき、前記第1のステップにおいて前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスの検出を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、前記第1のステップにおいて、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、前記第2のステップにおいて前記パターンのエッジラフネスが検出されたとき、前記第1のステップにおいて、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、パターンが形成され、回転しながら半径方向に移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とするパターン形状検査方法及びその装置である。
【0015】
また、本発明は、前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記試料がディスクリートトラックメディア、またはディスクリートトラックメディアの型であるスタンパ、またはスタンパの型であるマスタであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、パターンが形成された半導体ウェア等の試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第1のステップと、レーザ光を前記試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第2のステップとを有することを特徴とするパターン形状検査方法及びその装置である。
【0018】
また、本発明は、パターンが形成された半導体ウェア等の試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とするパターン形状検査方法及びその装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パターンドメディアからなる磁気記録媒体、特にディスクリートトラックメディア、そのスタンパ、又はスタンパの型であるマスタ等の被検査対象に対してパターンエッジの状態(ラインエッジラフネス)を含めてパターンの形状(例えばトラックの幅、高さ、側壁角等)を高速、かつ高感度に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るパターン形状検査方法及びその装置の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
本発明に係るパターン形状検査装置の第1の実施形態について図1乃至図10を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るパターン形状検査装置の第1の実施形態の構成を示す図である。図2は本発明に係る磁気記憶媒体のパターンドメディアであるディスクリートトラックメディアの被検査対象を示す図である。パターン形状検査装置は、図2に示す磁気記憶媒体のパターンドメディアであるディスクリートトラックメディア101を被検査対象とし、磁気記録媒体上の磁性膜におけるパターンエッジの状態(ラインエッジラフネス)を含めてパターンの形状(例えばトラックの幅、高さ、側壁角等)の検査(欠陥検出)を行う。
【0022】
パターン形状検査装置は、被検査対象のディスクリートトラックメディア101である試料1を搭載し回転するθステージ2と、該θステージ2を1方向に移動するXステージ3と、被検査対象である試料1に広帯域照明光を照射して試料1からの分光を検出する分光検出光学系4と、該検出した分光波形から被検査対象のパターンの形状を検査する形状検査処理部5と、試料1にレーザ光を照射して試料1からの散乱光を検出する散乱光検出光学系6と、該検出した散乱光からエッジラフネスを検出するエッジラフネス検出処理部7と、全体のシーケンスを制御する全体制御部8と、入出力端末9と、データベース10とから構成される。
【0023】
また、分光検出光学系4は、遠紫外(DUV)光を含む広帯域の照明光(波長は、例えば200〜800nm)を出射する光源21と、該照明光を集光する集光レンズ22と、試料上の検出視野を決める視野絞り23と、照射レンズ24と、ハーフミラー25と、上記照明光を図5に示すように試料1に形成されたパターン134に合わせて特定方向(電界方向をパターン134の方向と平行なTE方向142、パターン134の方向と垂直なTM方向143)に偏光する偏光プリズム26と、上記広帯域の照明光を垂直方向から試料1上の検出視野に対して集光して照射し、上記試料1上の検出視野から得られる反射光(反射0次回折光(正反射光))を集光して検出する対物レンズ27と、該対物レンズ27で集光して得られる試料上の検出視野からの反射光を結像する結像レンズ28と、迷光等を遮蔽する絞り29と、回折格子30及びリニアセンサ31により分光波形を検出する分光器32とから構成される。
【0024】
また、散乱光検出光学系6は、例えば波長488nm、405nm等の可視光レーザや波長355nm等の紫外光レーザを出射するレーザ光源41と、欠陥検出を高感度に行うのに適したレーザ光の偏光方向を調節(選択)する波長板42と、ビーム径を調節するビームエキスパンダ43と、該出力されたレーザ光の方向を変えるミラー44と、該ミラー44から得られるレーザ光171を試料1に対して斜方向から上記検出視野と同じ箇所に照射するミラー45と、試料1からの散乱光を集光する第1集光レンズ47、第2集光レンズ48及び該集光された散乱光を検出する第1検出器49、第2検出器50とから構成される。
【0025】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。試料1はθステージ2に保持され、回転するとともに、Xステージ3で一方向に移動し、θステージ2の回転位置、Xステージ3の移動位置は全体制御部8に記録される。試料1は、ディスクリートトラックメディア101で、図2に示すように、基板111、軟磁性下地層112、中間層113、記録層114から構成されており、記録層114の部分にはトラック溝115が形成されている。トラック溝115はディスクリートトラックメディア101の円周方向102に形成されている。実際の製品では、この後、トラック溝を非磁性材料で埋め込み、平坦化後、保護膜を形成、潤滑膜を形成する。パターンの凹凸を埋め込んだメディアを用いることにより、磁気ヘッドの浮上量は安定する。
【0026】
始めに、分光検出光学系4について説明する。光源21は、遠紫外(DUV)光を含む広帯域の照明光(波長は、例えば200〜800nm)を出射するように、例えば、Xeランプ、ハロゲンランプ、重水素ランプ、またはそれらを組み合わせて構成される。光源21から出射される照明光は、集光レンズ22により視野絞り23上に集光される。視野絞り23の像は、照射レンズ24を介してハーフミラー25で光路が曲げられ、対物レンズ27により試料上に結像され、検出視野が形成される。なお、偏光プリズム26では、試料上に形成されたパターンに対して照明光の偏光方向(例えばTE偏光、TM偏光)が選択される。そして、入射光(照明光)に対して試料1から得られる反射光(反射0次回折光)は、対物レンズ27により集光され、偏光プリズム26及びハーフミラー25を通って結像レンズ28により絞り29上に結像される。絞り29は、大きさを試料1上の検出視野の大きさに対応させているため、迷光や絞り29上に結像しない光線を遮蔽する。検出視野から得られる反射光は絞り29を透過して分光器32に到達する。分光器32において、到達した反射光である検出光は回折格子30により分光され、センサ31により分光波形が検出される。該検出された分光波形は、A/D変換され、形状検査処理部5においてデジタル化された分光反射率波形が得られる。次に、形状検査処理部5において、得られた分光反射率波形からパターンの形状を検査する。パターンの形状検査は、被検査対象である試料1のパターン部分である例えば記録層114の幅、高さ、側壁角等を対象として行われる。
【0027】
パターンの形状検査の方法には、いくつかの方法がある。
【0028】
第1の方法は、まず、図3に示すように、基準の分光反射率波形61を、予め正常のパターンを有する標準試料(パターン形状が既知の標準試料)から検出するか、またはRCWA(Rigorous Coupled-Wave Analysis)等の電磁波解析手法を用いて算出してデータベース10に格納しておき、形状検査処理部5は実際の被検査対象の試料1から検出した分光反射率波形62と上記データベース10に格納しておいた基準の分光反射率波形61との間の波長に関する平均誤差(例えば波長に関する二乗平均誤差等)を算出し、その値がある閾値以上の場合には、被検査対象のパターン形状に異常がある(規定寸法(設計寸法)通りに形成されていない)と判定して検査を行う方法である。
【0029】
第2の方法は、予め、正常のパターンを有する標準試料から検出された基準の分光反射率波形61からRCWA等の電磁波解析手法を用いてパターンの幅、高さ、側壁角等の形状が変化した場合の各種基準の分光反射率波形を求めてデータベース10にライブラリ化しておき、形状検査処理部5は実際の被検査対象である試料1から検出した分光反射率波形62を上記ライブラリ化された各種基準の分光反射率波形と比較して一致する基準の分光反射率波形から実際の被検査対象のパターン形状を計測し、該計測されたパターン形状が異常であるか否かを判定して検査を行う方法である。
【0030】
第3の方法は、形状検査処理部5が実際の被検査対象の試料1から検出した分光反射率波形62に対してパターンの形状を変化させた場合の各種基準の分光反射率波形をRCWA等の電磁波解析手法を用いて実時間で算出し、該実時間で算出した各種基準の分光反射率波形を実際の被検査対象の試料1から検出した被検査対象の分光反射率波形62にフィッティングさせることによって、実際の被検査対象のパターン形状自体(パターンの幅、高さ、側壁角等)を計測し、該計測されたパターン形状が異常であるか否かを判定して検査を行う方法である。
【0031】
次に、被検査対象である試料1のディスクリートトラックメディア101におけるライン状パターン121のエッジ(側壁)にラフネス122がある場合について図4を用いて説明する。図4は、被検査対象のディスクリートトラックメディアのライン状パターンエッジにラフネスがある場合の構造を示す斜視図である。
【0032】
一般に、ナノインプリントでパターンを形成する場合、パターンの形成は、モールドによる型押しのため、レジストパターンでは、ラインエッジラフネスはそれ程大きくなることはないが、その後のエッチングでは、条件によってはラインエッジラフネスが大きくなる場合がある。また、パターンの形成には磁性膜をエッチングして記録層114を形成する方法と、それ以外に、基板または薄膜層をエッチングしてパターン形成後、その表面に磁性膜をスパッタ等で成膜する方法がある。その場合にも、条件によって、磁性膜パターンのエッジラフネスが大きくなる場合がある。
【0033】
ライン状パターン121のエッジ(側壁)にラフネス122がある場合、分光器32で検出される分光波形にラフネスの影響が現れることが予想される。そこで、本発明者等は、パターンのエッジにラフネスがある場合の分光反射率波形を、新たに光学モデルを作成することにより、シミュレーションから求めた。図5は、パターンエッジにラフネスがある場合のシミュレーションによる光学モデルを示す図である。即ち、ラインエッジラフネスの光学モデルは、エッジラフネスとして、新たに層であるパターンエッジ135を設け、エッジラフネス122がライン状パターン(材質b)121とライン状パターン121に接する空気(材質a)との混合相(エッジラフネス)から形成されると仮定して、一般に知られている有効媒質近似からパターンエッジ135の光学定数Nを求めた。有効媒質近似としては、例えば、次に示す(1)式を用い、材質a(パターンエッジが接している空気)の体積分率として例えばf=0.5とし、材質b(パターン)121の誘電率εと該パターン121に接する材質a(空気)の誘電率εとから混合相(エッジラフネス)の誘電率εを求め、それによりエッジラフネスの光学定数N=√ε=n−jkを求めた。
【0034】
なお、図5に示す光学モデルにおいて、131はディスクリートトラックメディア101における基板111が対応し、132は軟磁性下地層112が対応し、133は中間層113が対応し、ライン状パターン134は記録層114が対応する。
【0035】
【数1】

【0036】
シミュレーションの条件として、入射光141の入射角0°(α=90°:垂直方向)、偏光は入射光141の電界方向がライン状パターン134の方向と平行なTE偏光142、またはライン状パターン134の方向と垂直なTM偏光143とし、波長λは遠紫外(DUV)光から可視光までの波長で、例えば200〜800nmとした。
【0037】
以上の条件(上記ラインエッジラフネスの光学モデル(有効媒質近似から求めたパターンエッジ135の光学定数Nも含む)及び上記シミュレーションの条件)で、本発明者等はシミュレーションを行い、エッジラフネス122がある大きさの試料1からの反射0次回折光(反射角0°)の分光反射率波形R(λ)を得る。同様にして、エッジラフネス122のない基準となる試料1の分光反射率波形R(λ)を得る。こうして得られた、エッジラフネス122がある場合の分光反射率波形R(λ)と、基準となる試料の分光反射率波形R(λ)から、例えば、次に示す(2)式により、両者の分光反射率波形の変化量を表す判定指標値Dを計算した。
【0038】
【数2】

【0039】
同様にして、エッジラフネス122の大きさが変化した場合、即ち、図5に示す光学モデルのパターンエッジ135の膜厚138が変化した場合の分光反射率波形を求め、基準となる試料1の分光反射率波形R(λ)に対する分光反射率波形の変化量を表す判定指標値Dを算出した。その一実施例を図6に示す。図6の横軸はラインエッジラフネスの大きさ、縦軸は判定指標値Dの大きさを表し、データ151はTM偏光、データ152はTE偏光の場合である。このようにTM偏光のデータ151及びTE偏光のデータ152において、分光反射率波形の変化量を表す判定指標値はラインエッジラフネスが大きくなるに従い、大きくなることが分かる。図1に示す分光器32のリニアセンサ31のS/Nを考慮すると、検出可能な分光反射率波形変化量の閾値153は図6に示すようになる。閾値153を考慮して、nmオーダの大きさのラインエッジラフネスがあると、分光反射率波形変化量を検出できることが分かる。
【0040】
以上説明したラインエッジラフネスによるシミュレーション結果をもとに、本発明者等は形状検査処理部5で得られた分光反射率波形から、ラインエッジラフネスを含む形状欠陥を検出することができることを見出した。
【0041】
本発明は、例えば、形状検査処理部5において、既に述べた方法でラインエッジラフネスを考慮した光学モデルを作成し、該作成した光学モデルを元に、RCWA法による解析手法でライン状パターンの形状及びラインエッジラフネスの大きさを変化させた場合の各種基準の分光反射率波形を算出し、該算出した各種基準の分光反射率波形を、図3に示すように上記入力した分光反射率波形62に対してフィッティングすることにより、ライン状パターンの形状及びラインエッジラフネスの大きさを求め、該求めたライン状パターンの形状及びラインエッジラフネスの大きさから欠陥の判定を行うものである。
【0042】
しかし、この方法では、予めラインエッジラフネスがあるとして、光学モデルを作成するため、パラメータ数が多くなり、フィッティングに時間を要する。そこで、本発明は、ラインエッジラフネスの有無を他の検出系で検知し、ラインエッジラフネスがあるときのみ、ラインエッジラフネスを考慮して光学モデルを作成することによりフィッティングの時間を短縮することが可能となる。
【0043】
次に、ラインエッジラフネスの有無を他の検出系で検知する方法として、散乱光検出光学系6を用いる方法について図1を用いて説明する。散乱光検出光学系6におけるレーザ光源41は例えば波長488nm、405nm等の可視光レーザや波長355nm等の紫外光レーザを出射するように構成される。レーザ光源41から出射したレーザ光は、波長板74で欠陥検出を高感度に行うのに適した偏光方向が選択され、ビームエキスパンダ43でビーム径の大きさが調整され、ミラー44、ミラー45で光路が曲げられ、試料1上の検出視野と同じ箇所に斜方向から照射する。試料1のパターンエッジのラフネスからの散乱光を第1集光レンズ47及び第2集光レンズ48の各々で集光し、該集光された散乱光を第1検出器49及び第2検出器50で検出する。第1検出器49及び第2検出器50の各々には、例えば光電子増倍管を用い、散乱光を高感度に検出する。第1検出器49及び第2検出器50の各々では、散乱光の強度に対応した大きさの信号電流が得られる。エッジラフネス検出処理系7は、第1検出器49及び第2検出器50の各々で得られる信号電流をもとに、予め決められた閾値以上の信号強度がある場合、ラインエッジラフネスが大きいと判定する。ここで、エッジラフネスと散乱光の関係について説明する。両者の関係を知るため、図7に示すようにラインエッジラフネスをパターン161の側壁部分162にラフネスが形成されるとしてエッジラフネスの粗さをパワースペクトル密度関数で表し、散乱光の強度と方向の解析を行った。その結果、レーザ入射光の後方と前方で散乱光の強度が大きくなることが予想され、その位置に第1検出器49、第2検出器50を設けた。検出器の平面の位置関係を示すと図8のようになる。図8において、レーザ光源41からのレーザ光の入射方向171に対して、照射位置172からの散乱光を第1集光レンズ47、第2集光レンズ48で集光して、第1検出器49、第2検出器50で検出する。尚、エッジラフネス検出処理系7は、エッジラフネスが大きいか否かの判定を行っているが、エッジラフネスの大きさと散乱光強度の関係を、予め測定しておくことにより、検出された散乱光の強度からエッジラフネスの大きさを検出できる。
【0044】
レーザ入射光171による0次光以外の高次の反射回折光は、ディスクリートトラックメディアのパターンピッチが数10nm程度と微細なため、現れない。従って、ライン状パターンが精度良く作成されていれば、ライン状パターンからの散乱光はない。しかし、被検査対象である試料1に異物、スクラッチ等の欠陥がある場合、散乱光検出光学系6で、それらの欠陥による散乱光を検出できる可能性がある。その場合、異物、スクラッチ等の欠陥とエッジラフネスとでは散乱光強度の大きくなる方向が異なるため、それに合わせて、検出光学系(例えば47,49;48,50)を設置することにより、それらの欠陥とエッジラフネスとを弁別することができる。また、異物、スクラッチ等の欠陥とエッジラフネスとの弁別は、第1検出器49及び第2検出器50の各々で得られる信号電流の時間経過に対する変化の違いからも可能となる。図9には試料1のθ回転による時間の経過に伴う各検出位置で検出される散乱光強度信号を模式的に示す。図9(a)は異物、スクラッチ等の欠陥を検出した場合の散乱光強度信号181(欠陥であるためθ回転による継続時間が非常に短い)を示し、図9(b)はエッジラフネスを検出した場合の散乱光強度信号182(エッジラフネスであるためθ回転による継続時間が長い)を示す。従って、エッジラフネス検出処理部7において、散乱光強度信号181、182に対して予め閾値183を設定し、散乱光強度が閾値183以上である継続時間を測定し、該測定される継続時間の長さにより、異物、スクラッチ等の欠陥とエッジラフネスとの弁別を行うことも可能である。
【0045】
また、被検査対象である試料1に異物やスクラッチ等の欠陥がある場合には該欠陥からの散乱光が上方に発生して分光検出光学系4の対物レンズ27、結像レンズ28で集光され、分光器32で検出されてノイズとなる可能性がある。その場合、形状検査処理部5において、分光器32で検出される分光波形を元に得られる分光反射率波形から、レーザ光源41から出射されるレーザ光の波長に対応する反射率成分を除外することにより、散乱光の影響をうけることなく分光検出を行うことができる。
【0046】
次に、第1の実施形態における形状検査処理部5の処理の流れについて、図10を用いて説明する。分光検出光学系4で被検査対象である試料1からの反射光を分光検出し、該分光検出された分光反射率波形が形状検査処理部5に入力される(S201)。同時に、全体制御部8において、エッジラフネス検出処理部7でエッジラフネスを検出したか否かを確認する(S202)。なお、エッジラフネス検出処理部7は、散乱光検出光学系6により検出される被検査対象である試料1からの散乱光を元にラインエッジラフネスの有無を調べ、該調べたラインエッジラフネスの有無を全体制御部8に知らせる構成となっている。
【0047】
エッジラフネス検出処理部7でエッジラフネスが検出された場合には、例えば、形状検査処理部5において、第1の分光検出モデルとしてラインエッジラフネスを組み込んだ光学モデルを作成する(S203)。該作成した第1の分光検出モデルとしては、例えば、ライン状パターンの幅、高さ、側壁角、エッジラフネスの大きさをパラメータとする。
【0048】
エッジラフネス検出処理部7でエッジラフネスが検出されない場合には、例えば、形状検査処理部5において、第2の分光検出モデルとしてラインエッジラフネスを組み込まない光学モデルを作成する(S204)。該作成した第2の分光検出モデルとしては、例えば、ライン状パターンの幅、高さ、側壁角とする。
【0049】
次に、例えば、形状検査処理部5において、上記作成したラインエッジラフネスを含む第1の分光検出モデル又はラインエッジラフネスを含まない第2の分光検出モデルに対してRCWA等の電磁波解析手法を用いて各種基準の分光反射率波形を算出し、該算出した各種基準の分光反射率波形を実際の被検査対象である試料1から検出した分光反射率波形62にフィッティングさせることによって、実際の被検査対象のパターン形状自体(第1の分光検出モデルの場合には例えば、ライン状パターンの幅、高さ、側壁角、エッジラフネスの大きさであり、第2の分光検出モデルの場合には例えば、ライン状パターンの幅、高さ、側壁角である)を計測する(S205)。次に、例えば、形状検査処理部5において、計測されたライン状パターンの形状(第1の分光検出モデルの場合にはエッジラフネスの大きさも含む)が欠陥であるか否かを判定して該ライン状パターンの形状の欠陥検査を行う(S206)。ライン状パターンの形状に欠陥がある場合には、該欠陥の位置と欠陥の種類、大きさ等をデータベース10に記録する(S207)。以上の処理で、ディスク上1点でのライン状パターンの形状検査の処理が終わる。ディスクは回転すると共に直線移動しており、以上の処理を繰り返すことにより、ディスク全面を検査することが可能となる。
【0050】
なお、形状検査処理部5で行う処理の一部(光学モデルの作成、フィッティング処理)については全体制御部8で実行してもよい。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るパターン形状検査装置の第2の実施形態について図5、図11乃至図13を用いて説明する。図5は、パターンエッジにラフネスがある場合の、シミュレーションによる光学モデルを示す図である。図11は、本発明に係るパターン形状検査装置の第2の実施形態の装置構成を示す概略図である。
【0052】
本第2の実施形態は、第1の実施形態において、散乱光検出光学系6がない場合で、パターンドメディア101上のライン状パターンのエッジラフネスを分光検出光学系4のみで検出するものである。
【0053】
本第2の実施形態の構成は、散乱光検出光学系6がない以外第1の実施形態の構成と同一である。その動作も、形状検査処理部5の処理以外、第1の実施形態と同一である。
【0054】
次に、形状検査処理部5の処理について説明する。形状検査処理部5は、入力した分光反射率波形に対して、基準となる分光反射率波形を元に例えば上述の(2)式により分光反射率波形の変化を表す判定指標値Dを算出する。そして判定指標値Dが、ある閾値以上の場合、被検査対象のライン状パターンの形状に欠陥がある(規定寸法(設計寸法)通りに形成されていない)と判定する。しかし、この時点でライン状パターンの形状の欠陥がライン状パターンの形状の変化によるものか、エッジラフネスによるものか判定できない。
【0055】
そこで、本発明者等は、被検査対象となる試料1のパターンにエッジラフネスがある場合と、パターン形状が変化した場合とでの分光反射率波形の変化を知るため、図5に示した光学モデルより、シミュレーションを行った。シミュレーションの条件は、第1の実施形態と同一である。ライン状パターンの形状としては、ライン状パターンの幅、高さ、側壁角があげられるが、ここではライン状パターンの幅を対象とし、その変化は、エッジラフネスの大きさと同程度とした。エッジラフネスがある場合と、パターン形状が変化した場合とでの分光反射率波形を得、エッジラフネスもパターン形状の変化もない基準となる分光反射率波形を元に分光反射率波形の変化量を表す判定指標値を算出した。ここでは、分光反射率波形の変化量を表す判定指標値として上述の(2)式の代わりに、各波長区間での変化量を表す波長依存性判定指標値を用いた。偏光がTM偏光のとき算出された各波長区間での変化量を表す波長依存性判定指標値の結果を図12に示す。図12においてパターン形状変化したときの波長依存性判定指標値161は、短波長側で大きくなり、エッジラフネスの波長依存性判定指標値162は、波長に対する変化が小さい。これより、本発明者等はパターン形状変化とエッジラフネスとを区別することができることを見出すことができた。
【0056】
そこで、例えば、形状検査処理部5では、以上の結果(各波長区間で変化量を表す波長依存性判定指標値)に基づいてパターン形状変化によるものとエッジラフネスによるものとの検出(区別)を行う。
【0057】
次に、第2の実施形態における形状検査処理部5の処理の流れについて、図13を用いて説明する。分光検出光学系4で被検査対象である試料1からの反射光を分光検出し、該分光検出された分光反射率波形が形状検査処理部5に入力される(S211)。次に、形状検査処理部5は、入力された分光反射率波形に対して基準となる分光反射率波形を元に、例えば上述の(2)式により分光反射率波形の変化を表す判定指標値Dを算出する(S212)。次に、形状検査処理部5は、算出された判定指標値Dに対して、予め定められた閾値以上か否かの判定を行う(S213)。形状検査処理部5は、判定指標値Dが閾値以上の場合には、既に述べた分光反射率波形の変化量について各波長区間での波長依存性判定指標値を算出し(S214)、該波長依存性判定指標値算出後、波長依存性判定指標値が短波長側で大きいか否かの判定を行う(S216)。該波長依存性判定指標値が短波長側で大きい場合、ライン状パターンの形状欠陥と判定する(S217)。一方、波長依存性判定指標値が短波長側で大きくない場合には、ラインエッジラフネスが大きいと判定する(S218)。また、形状検査処理部5は、判定指標値Dが閾値以下の場合には、パターン欠陥なしと判定する(S215)。
【0058】
以上の処理で、形状検査処理部5は、パターン形状に欠陥があると判定した場合には、該欠陥の位置と欠陥の種類等をデータベース10に記録する(S219)。以上で、ディスク上1点でのパターン形状検査の処理が終わる。ディスクは回転すると共に直線移動しており、以上の処理を繰り返すことにより、ディスク全面を検査することが可能となる。
【0059】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施の形態と同様に、形状検査処理部5で行う処理の一部については全体制御部8で実行してもよい。
【0060】
また、第2の実施形態において被検査対象として、ディスクリートトラックメディアを扱ったが、ビットパターンドメディアに対しても同様の処理を行うことが可能である。
次に、ディスク全面を検査したときの、例えば入出力端末9への検出欠陥表示例を図14に示す。図14(a)は第1の実施形態に対応し、ディスク231に対して、パターン形状欠陥の種類221、222、大きさ223、224等の2次元分布が、図14(b)は第2の実施形態に対応し、ディスク231に対して、パターン形状欠陥221、222の種類等の2次元分布が入出力端末9のディスプレイに表示される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、パターンドメディアからなる磁気記録媒体、特にディスクリートトラックメディア、そのスタンパ、又はスタンパの型であるマスタ等の被検査対象に形成された数10nm程度以下の微細なライン状パターンの形状(例えばトラックの幅、高さ、側壁角等)を、パターンエッジの状態(ラインエッジラフネス)を含めて、高速、かつ高感度に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るパターン形状検査装置の第1の実施形態の装置構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る被検査対象であるディスクリートトラックメディアの構造を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るパターン形状検査装置から得られる分光反射率波形と正常パターンの分光反射率波形との関係を説明するための図である。
【図4】本発明に係る被検査対象のディスクリートトラックメディアのパターンエッジにラフネスがある場合の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るパターンエッジにラフネスがある場合におけるシミュレーションによる光学モデルを示す図である。
【図6】本発明者等がシミュレーションにより得られたエッジラフネスの変化に対する分光反射率波形の変化量を表す判定指標値を示す図である。
【図7】本発明に係るエッジラフネスの粗さをパワースペクトル密度関数で表わす方法を示す図である。
【図8】本発明に係るパターン形状検査装置の第1の実施形態の散乱光検出光学系における検出器の平面の位置関係を示す概略図である。
【図9】本発明に係るパターン形状検査装置の第1の実施形態の散乱光検出光学系で検出される散乱光強度信号を示す図である。
【図10】本発明に係る第1の実施形態での形状検査処理部の処理の流れを示すフロー図である。
【図11】本発明に係るパターン形状検査装置の第2の実施形態の装置構成を示す概略図である。
【図12】本発明者等がシミュレーションにより得られたパターン形状とエッジラフネスの分光反射率波形との波長依存性変化(各波長区間での波長依存性判定指標値)を示す図である。
【図13】本発明に係る第2の実施形態での形状検査処理部の処理の流れを示すフロー図である。
【図14】本発明に係るパターン形状検査装置での検出欠陥表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
2…θステージ、3…Xステージ、4…分光検出光学系、5…形状検査処理部、6…散乱光検出光学系、7…エッジラフネス検出処理部、8…全体制御部、9…入出力端末、10…データベース、21…広帯域光源、22…集光レンズ、23…視野絞り、24…照射レンズ、25…ハーフミラー、26…偏光プリズム、27…対物レンズ、28…結像レンズ、29…絞り、30…回折格子、31…リニアセンサ、32…分光器、41…レーザ光源、42…波長板、43…ビームエキスパンダ、44…ミラー、45…ミラー、47…第1集光レンズ、48…第2集光レンズ、49…第1検出器、50…第2検出器、61…基準の分光反射率波形、62…試料から検出されて入力された分光反射率波形、101・・・ディスクリートトラックメディア、111…基板、112…軟磁性下地層、113…中間層、114…記録層(磁性膜)、115…トラック溝、121…パターン、122…エッジラフネス、134…パターン、135…パターンエッジ(ラフネス層)、141…入射光、142…TE偏光、143…TM偏光、171…入射方向、172…照射位置、231…ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成され、回転しながら半径方向に移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第1のステップと、
レーザ光を前記試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第2のステップと、
を有することを特徴とするパターン形状検査方法。
【請求項2】
前記第2のステップにおいて前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスが検出されたとき、前記第1のステップにおいて前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスの検出を行うことを特徴とする請求項1記載のパターン形状検査方法。
【請求項3】
前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、
前記第1のステップにおいて、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする請求項1記載のパターン形状検査方法。
【請求項4】
前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、
前記第2のステップにおいて前記パターンのエッジラフネスが検出されたとき、前記第1のステップにおいて、前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする請求項2記載のパターン形状検査方法。
【請求項5】
パターンが形成され、回転しながら半径方向に移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とするパターン形状検査方法。
【請求項6】
前記パターンのエッジラフネスに対し、パターン側壁表面に設けられたラフネス層を表す光学モデルを作成し、ラフネス層の光学定数を有効媒質近似から得、前記作成した光学モデルを用い、
前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とする請求項5記載のパターン形状検査方法。
【請求項7】
前記試料がディスクリートトラックメディア、またはディスクリートトラックメディアの型であるスタンパ、またはスタンパの型であるマスタであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のパターン形状検査方法。
【請求項8】
パターンが形成された試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第1のステップと、
レーザ光を前記試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する第2のステップと、
を有することを特徴とするパターン形状検査方法。
【請求項9】
パターンが形成された試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出することを特徴とするパターン形状検査方法。
【請求項10】
前記試料が半導体ウェアであることを特徴とする請求項8又は9記載のパターン形状検査方法。
【請求項11】
パターンが形成された試料を回転しながら半径方向に移動させる移動機構と、
該移動機構によって回転しながら移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から得られる反射光の分光波形を検出する分光検出光学系と、
該分光検出光学系で検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する形状検査処理部と、
レーザ光を前記移動機構によって回転しながら移動する試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から得られる散乱光を検出する散乱光検出光学系と、
該散乱光検出光学系で検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出するエッジラフネス検出処理部と、
を備えたことを特徴とするパターン形状検査装置。
【請求項12】
パターンが形成された試料を回転しながら半径方向に移動させる移動機構と、
該移動機構によって回転しながら移動する試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から得られる反射光の分光波形を検出する分光検出光学系と、
該分光検出光学系で検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する形状検査処理部と、
を備えたことを特徴とするパターン形状検査装置。
【請求項13】
パターンが形成された試料を載置するステージ機構と、
該ステージ機構に載置された試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から得られる反射光の分光波形を検出する分光検出光学系と、
該分光検出光学系で検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する形状検査処理部と、
レーザ光を前記ステージ機構に載置された試料に対して斜め方向から照射し、前記レーザ光が照射される前記試料から得られる散乱光を検出する散乱光検出光学系と、
該散乱光検出光学系で検出される散乱光を元に前記パターンのエッジラフネスを検出するエッジラフネス検出処理部と、
を備えたことを特徴とするパターン形状検査装置。
【請求項14】
パターンが形成された試料を載置するステージ機構と、
該ステージ機構に載置された試料に対して遠紫外光を含む広帯域の照明光を垂直方向から照射し、前記広帯域の照明光が照射される試料から得られる反射光の分光波形を検出する分光検出光学系と、
該分光検出光学系で検出される反射光の分光波形を元に前記パターンの形状を検査し、さらに前記試料から検出される反射光の分光波形を元に前記パターンのエッジラフネスを検出する形状検査処理部と、
を備えたことを特徴とするパターン形状検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−123182(P2010−123182A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295588(P2008−295588)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】