説明

パチンコ遊技機

【課題】遊技者に打球発射ハンドルから手を離すことのないようにすることを促すことができるパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】打球発射ハンドル5に振動手段25を設けるとともに、打球発射ハンドルが振動することを遊技者に予告する振動予告手段を設ける。打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段37を設け、その検出信号の有無によって遊技の展開が遊技者にとって有利または不利となるように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技状況に従い打球発射ハンドルが振動するように構成したパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように「フィーバー機」と称される第1種パチンコ遊技機は、周知のように、遊技盤にカラー液晶ディスプレイ,CRT等の図柄変動表示器が設けられ、始動入賞口に打球が入ると、1〜8の数字および☆◆◎等の記号またはキャラクター等(以下、図柄という)が該図柄変動表示器に例えば上から下に流れる如くに3列で変動表示され、その表示の変動は数秒後に左列,右列,中列の順に停止し、その停止図柄が所定の確率で偶然性をもって例えば「777」,「☆☆☆」のように3列とも同じ図柄となった場合に特定遊技状態(大当たり)となり、可変入賞装置(大入賞口)の開閉扉が電動開閉装置の作動により開成状態となるようにしたもので、その開成状態の可変入賞装置に打球が所定個数(通常は10個)入球するか、または開成状態で所定制限時間(通常は30秒)が経過すると、いわゆる第1ラウンドが終わって該可変入賞装置は一旦は閉じるが、その第1ラウンド中に可変入賞装置内に設けられている継続入賞口(Vゾーンと称される)に打球が入球した場合には第2ラウンドが始まりすぐにまた該可変入賞装置が開かれ、開成状態となった可変入賞装置にまた打球が所定個数入球するか、または開成状態で所定制限時間が経過すると、第2ラウンドが終わって該可変入賞装置はまた閉じるが、その第2ラウンド中に可変入賞装置内に設けられている継続入賞口に打球が入球した場合には第3ラウンドが始まりすぐにまた該可変入賞装置が開かれ、こうして各ラウンド中に継続入賞口に打球が入賞したことを条件として最終ラウンド(例えば第16ラウンド)になるまで該可変入賞装置が継続的に開かれるようにしている。このように特定遊技状態の期間中に可変入賞装置の開閉扉が所定ラウンド数を限度として継続的に開かれ打球が極めて入り易い状況が続くので多数の景品球を獲得できて遊技者に多くの利益がもたらされるものである。
【0003】
また、上記図柄変動表示器の変動表示は、通常は左列,右列,中列の順に停止するが、左列と右列が同じ図柄で停止した場合(一般に「リーチ状態」と称されている)に、中列が一旦は違う図柄に停止してもその中列が再び逆方向に流れ、その結果、各列が総て同一図柄で停止し特定遊技状態となり得るようにするなどいろいろな変動態様を持たせることによって、特定遊技状態発生に対する期待感を大きくさせ、遊技者を楽しませるようにしている。
【0004】
一方、パチンコ遊技機の打球発射ハンドルの内部に小型のモータと偏心ウェイトとにより構成された振動発生手段を設け、大当たり等の特定遊技態様の発生時等に該モータを回転させることにより該ハンドルを振動させ、該ハンドルを握る遊技者の手に振動を伝達することにより、特定遊技態様をより効果的に演出し得るようにしたパチンコ遊技機は従来から知られている。
【0005】
また、打球発射ハンドルの内部に永久磁石と電磁コイルとを接近状態で対向させて配置するとともに、音声発生制御回路より該電磁コイルに低周波電流を印加することで、該ハンドルを振動させるようにした振動手段は、本出願人が特願2000−225855等により先に特許出願している。
【0006】
そして振動手段は、遊技盤に設けられた図柄変動表示装置の表示がいわゆるリーチ状態となったとき等に作動させ、遊技者の大当たり発生に対する期待感を高めようとするものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで一般にパチンコ遊技者は、例えば図柄変動表示装置の変動保留個数が満タンとなってからその変動を消化するまでの間や、いわゆるリーチ状態が発生してからその変動が停止するまでの間に、打球発射ハンドルから手を離してしまうことが多々ある。ところが、手が離されると上記振動手段は設けた意味がないものとなってしまう。そこで、本発明は、遊技者に打球発射ハンドルから手を離すことのないようにすることを促すことができるパチンコ遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため本発明のパチンコ遊技機は、打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、打球発射ハンドルが振動することを遊技者に予告する振動予告手段を設けたことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、振動予告手段による振動予告がされても打球発射ハンドルが振動しないこともあり、振動予告がされていなくても打球発射ハンドルが振動することがあるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、振動予告には信頼度の異なる複数種類があり、信頼度の高い予告があったにもかかわらず振動手段が作動しなかった場合、および、信頼度の低い予告で振動手段が作動した場合に大当たりの発生確率が高くなるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、振動予告があってからタイムラグがあって振動手段が作動するようにしたことを特徴とする。
また本発明のパチンコ遊技機は、打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、その検出信号の有無によって遊技の展開が異なるように設定したことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、該打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、該振動手段の作動中における遊技者の接触の有無によって遊技の展開が異なるように設定したことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、遊技者の接触の有無によって遊技の展開が遊技者にとって有利または不利となるように設定し、遊技者の接触が検出された場合は接触が検出されない場合よりも遊技者にとって有利となるように設定したことを特徴とする。
また本発明は上記パチンコ遊技機において、遊技盤面に変動表示装置を備え、打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、該打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、振動手段が作動するときに遊技者が打球発射ハンドルに接触していないことが検出されたとき変動表示装置の変動を一時停止させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明のパチンコ遊技機は、打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、打球発射ハンドルが振動することを遊技者に予告する振動予告手段を設け、或いは、打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、その検出信号の有無によって遊技の展開が遊技者にとって有利または不利となるように設定したことによって、遊技者に打球発射ハンドルから手を離すことのないようにすることを促すことができるとともに、ゲーム内容を一層興趣あるものにする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に図面に従い本発明の実施形態を説明する。図1はこのパチンコ遊技機の正面図で、1は遊技盤、2は景品球が排出される上皿、3は前面板4に一体に突設された下皿、5は該前面板4の右側に設けられた打球発射ハンドル、6は上皿2に設けられたスピーカである。
【0011】
また、遊技盤1面上には、電飾ランプ7,8、始動入賞口9、大入賞口10等が設けられているほか、カラー液晶ディスプレイからなる図柄変動表示装置11が設けられている。また、大入賞口10には後述するソレノイドの作動により開閉する長方形状の扉板12が設けられ、該大入賞口の内部中央にはさらにVゾーンと称される特定入賞口13が設けられている。そして、始動入賞口9に入賞した打球を検出する始動スイッチ14、大入賞口10に入賞した打球を検出する大入賞口スイッチ15、特定入賞口13に入賞した打球を検出する継続スイッチ16等が該遊技盤1内に設けられている。なお、17は図柄変動表示装置が変動中であるときに遊技球が始動入賞口9に入賞した場合にその遊技球の個数を記憶表示するために設けられた変動保留個数表示用ランプである。
【0012】
打球発射ハンドル5は、図2,図3に拡大して示したように、前面板4に一体に形成された取付部20に半割雲形器状の取付基盤21が固着され、該取付基盤に回動操作レバー22が設けられ、遊技者が該回動操作レバーに手指を掛けて回動操作し得るように構成されている。なお該回動操作レバー22には後述するタッチスイッチ回路37のタッチ検出線が導通接続され、遊技者が該回動操作レバーに手指を接触することで打球発射装置が作動し遊技球が発射できるようにしている。
【0013】
23は下皿3の一端面と連続する湾曲面状で上面に滑らかなU字形の曲面状窪み24が形成された特有な形態で回動操作レバー22の前面を覆っている表装カバー部材、25は該表装カバー部材の内面に設けられた振動手段である。
【0014】
振動手段25は、電磁コイル26がビス27により基板28上に固着され、該基板28をビス29により表装カバー部材23の内面に固着し、該基板28の一側よりU字形に折り曲げた弾性片30を切り起こし、該弾性片の先端に円盤形の永久磁石31を電磁コイル26と接近状態で対向するように固着してなる。
【0015】
また、このパチンコ遊技機の裏面には図4のブロック図に示したようにCPU,RAM,ROMおよびI/Oからなる遊技制御用の主基板40が設けられ、該主基板に上記始動スイッチ14,大入賞口スイッチ15,継続スイッチ16,大入賞口開閉用ソレノイド18が接続されているとともに、前記タッチスイッチ回路37による遊技者の接触の有無を検出する検出信号が該主基板に入力される。さらに主基板には音声制御基板41を介して前記スピーカ6および振動手段25が接続されているほか、図柄制御基板42を介して前記図柄変動表示装置11が接続され、ランプ制御基板43を介して前記電飾ランプ7,8が接続されている。音声制御基板41のROMには音声,効果音等の波形データとともに波形,周波数等の振動用データが記憶される。
【0016】
そしてパチンコ遊技機では、前記始動スイッチ14が作動すると図柄変動表示装置11に0〜9の数字、および、キャラクタの図柄が3列にて上から下へ流れるように循環表示され、数秒後に順に1列ずつ停止し、その停止図柄が例えば「555」や「777」のように同一図柄であった場合に、大当たりが発生しソレノイド18の作動で扉板12が開かれ大入賞口10に遊技球がきわめて入り易い状況をもたらす。
【0017】
また、主基板40からの指令により音声制御基板41が作動し、該音声制御基板は音声,効果音等をスピーカ6より再生するとともに、低周波電流を電磁コイル26に印加することで永久磁石31を該電磁コイルの磁極に吸引,反発させ該永久磁石を振動させる。この永久磁石の振動は表装カバー部材23を振動させるので、回動操作レバー22を操作するため該表装カバー部材を触っている遊技者の手指にその振動を伝える。
【0018】
しかして本発明は、ゲームの進行に合わせ例えばリーチ状態となったとき等に主基板40が音声制御基板41に指令を出すことにより上記振動手段25を作動させるものであるが、振動が始まる前にその振動を遊技者に予告する振動予告手段が設けられ、図柄変動表示装置11にそのことを直接表示するか、或いは振動を予感させるような図柄表示をする。図5にこの振動予告手段が設けられたもののフローチャートを示し、始動入賞口9に入賞し始動スイッチ14が作動するとステップaからステップbに移行して振動乱数が取得され、ステップcにてその乱数が判定され、予め決められた振動させる乱数であると、ステップdにて図柄変動表示装置11に先ず振動予告表示がなされ、続いてステップeにて振動手段25を作動させる。これにより遊技者にリーチ状態に続く大当たり発生等をより強く予感させる。なお、振動予告があってから一定のタイムラグがあって振動手段25を作動させることで、こうした遊技者の抱く期待感が持続されると共に、遊技者が打球発射ハンドルから手を離した場合においても、打球発射ハンドルを握るための時間を与えることができる。また、スピーカ6によって再生される音声,効果音や電飾ランプ7,8等をもって遊技者に振動を予告することもできる。
【0019】
一方、図6は、振動予告手段による振動予告がされても打球発射ハンドルが振動しないこともあり、振動予告がされていなくても打球発射ハンドルが振動することがあるようにするフローチャートであって、この場合はステップfにて行なわれる抽選の結果に従いステップgにて振動予告された後にステップhで振動することも、振動予告しないでステップhに移行し振動することもあり、また、ステップcの乱数判定によって振動しない判定がなされてもステップiにて行なわれる抽選の結果によりステップjにて振動予告がされる場合があるように構成される。
【0020】
また、取得された乱数を判定するにあたり、振動手段を作動させるものと大当たりを発生させるものとを関連付けをすることにより、振動手段が作動した場合にはより高い確率で大当たりが発生するように設定することができる。
また、同様の関連付けにより振動予告には大当たり発生の確率が高いか低いかの信頼度の異なる複数種類があるように設定することもできる。
さらには、振動するかしないかの信頼度の高い予告があったにもかかわらず振動手段が作動しなかった場合、および、信頼度の低い予告で振動手段が作動した場合に大当たりの発生確率が高くなるように設定することで、遊技者に意外性を持たせ突然の大当たり発生により喜びを倍加させるような設定も可能である。
【0021】
また、図7に示したフローチャートは、ステップkにて振動手段が作動し、ステップlにて回動操作レバー22への遊技者の手指の接触検出信号の有無を判定し、遊技者が接触している場合は、ステップmにて図柄変動表示装置11にキャラクタAを表示し、遊技者が接触していない場合は、ステップnにてキャラクタBを表示する。そしてこの検出信号の有無によって遊技の展開が遊技者にとって有利または不利となるように設定したものである。こうして常に回動操作レバー22を操作するように遊技者を促すことができる。
【0022】
また、図8に示したフローチャートは、ステップoにて遊技者の手指の接触が検出された場合はステップpにて振動手段を作動させる一方、接触が検出されなかった場合はステップqにて図柄変動表示装置11の図柄変動制を一時停止させ、接触が検出されたらその停止を解除して振動手段を作動させ、30秒以内に接触が検出されなかった場合はステップrを経て終了する。このため、遊技者はやむなく回動操作レバー22を操作することとなり一層この操作を促すことができる。
【0023】
なお、振動の強さや周期等は、音声制御基板41のROMに予め記憶される振動用データによって自由に設定できるので、ゲームの進行に合わせてその振動パターンを変えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示した正面図。
【図2】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機の打球発射ハンドルの斜視図。
【図3】図2の打球発射ハンドルの部分断面平面図。
【図4】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機のブロック図。
【図5】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機のフローチャート。
【図6】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機のフローチャート。
【図7】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機のフローチャート。
【図8】本発明の実施形態を示すパチンコ遊技機のフローチャート。
【符号の説明】
【0025】
1 遊技盤
5 打球発射ハンドル
6 スピーカ
11 図柄変動表示装置
22 回動操作レバー
25 振動手段
37 タッチスイッチ回路(検出手段)
40 主基板
41 音声制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、打球発射ハンドルが振動することを遊技者に予告する振動予告手段を設けたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
振動予告手段による振動予告がされても打球発射ハンドルが振動しないこともあり、振動予告がされていなくても打球発射ハンドルが振動することがあるようにした請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
振動予告には信頼度の異なる複数種類があり、信頼度の高い予告があったにもかかわらず振動手段が作動しなかった場合、および、信頼度の低い予告で振動手段が作動した場合に大当たりの発生確率が高くなるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
振動予告があってからタイムラグがあって振動手段が作動するようにしたことを特徴とする請求項1〜3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、その検出信号の有無によって遊技の展開が異なるように設定したことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項6】
打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、該打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、該振動手段の作動中における遊技者の接触の有無によって遊技の展開が異なるように設定したことを特徴とする請求項1〜5に記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
遊技者の接触の有無によって遊技の展開が遊技者にとって有利または不利となるように設定し、遊技者の接触が検出された場合は接触が検出されない場合よりも遊技者にとって有利となるように設定した請求項5または6に記載のパチンコ遊技機。
【請求項8】
遊技盤面に変動表示装置を備え、打球発射ハンドルに振動手段を設けるとともに、該打球発射ハンドルに遊技者の接触の有無を検出する検出手段を設け、振動手段が作動するときに遊技者が打球発射ハンドルに接触していないことが検出されたとき変動表示装置の変動を一時停止させるようにしたことを特徴とする請求項1〜7に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−38019(P2007−38019A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280934(P2006−280934)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【分割の表示】特願2001−211257(P2001−211257)の分割
【原出願日】平成13年7月11日(2001.7.11)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】