説明

パッキン組付構造

【課題】パッキンを広げつつカバー等のパッキン収容溝に離脱なく簡単且つ確実に装着させる。
【解決手段】箱本体2にカバー1を装着して該箱本体の開口37を塞ぐべく、箱本体又はカバーの周方向にパッキン収容溝4を連続して設け、パッキン収容溝を成す内側の周壁9に複数のパッキン引っ掛け部10〜13を、パッキン収容溝へのパッキン14の押し込み方向とは反対方向に突出して設けた。パッキン引っ掛け部10〜13を箱本体又はカバーの各角部5〜8に配置した。矩形状の箱本体2又はカバー1に対応して四つの角部5〜8にパッキン引っ掛け部10〜13を配置し、対角線上の二つの角部5,6の各パッキン引っ掛け部10,11と、他の対角線上の他の二つの角部7,8の各パッキン引っ掛け部12,13とにパッキン14を順次引っ掛ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載する電気接続箱等といった箱体のカバー等における矩形環状等のパッキン収容溝にパッキンをスムーズに組み付けるためのパッキン組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等に搭載される電気接続箱に矩形環状のパッキンを組み付けるために、種々のパッキン組付構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ケース蓋に折り曲げ用の溝部を設け、溝部をヒンジとしてケース蓋を折り曲げて少し短縮させた状態で、ケース蓋の内蓋部に長方形環状のシール用のOリングを挿着し、プリント基板を収容するケース本体の開口内にケース蓋の内蓋部を折り曲げ反対方向に復元させつつ嵌合させて、Oリングで開口の防水性を図ることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、電気接続箱ではないが、電子機器の矩形状の蓋部に周方向の矩形環状の連続したパッキン収容溝を設け、パッキン収容溝の対角線上の二つの角部に、自由状態で長円形リング状のパッキンの前後の二箇所を挿入嵌合し、この二つの角部を基準として残りのパッキン部分をパッキン収容溝内に押し込むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129807号公報
【特許文献2】特開平6−89565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の特許文献1に記載されたパッキン組付構造にあっては、ケース蓋にヒンジ状の溝部を設けて折り曲げ可能とするために、構造が複雑化・高コスト化するという懸念があった。
【0007】
また、上記従来の特許文献2に記載されたパッキン組付構造にあっては、蓋部のパッキン収容溝の対角線上の二つの角部にパッキンの前後方向の二箇所を嵌合した後、残りのパッキン部分をパッキン収容溝内に嵌合させる際に、パッキンが左右方向に引っ張られて、前後の二つの角部から外れ兼ねないという懸念があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、簡単且つ低コストな構造で、パッキンを広げつつカバー等のパッキン収容溝に離脱なく簡単且つ確実に装着することのできるパッキン組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るパッキン組付構造は、箱本体にカバーを装着して該箱本体の開口を塞ぐべく、該箱本体又は該カバーの周方向にパッキン収容溝が連続して設けられ、該パッキン収容溝を成す内側の周壁に複数のパッキン引っ掛け部が、該パッキン収容溝へのパッキンの押し込み方向とは反対方向に突出して設けられたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、周方向に連続したパッキンの周方向の各部分が複数のパッキン引っ掛け部に引っ掛けられてパッキン収容溝の開口上に位置決めされ、その状態からパッキンがパッキン引っ掛け部に案内されてパッキン収容溝内にスムーズ且つ確実に押し込まれる。パッキン引っ掛け部はカバー又は接続箱本体に一体に樹脂成形される。箱本体やカバーの形状(パッキン収容溝の形状)は平面視で角形状に限らず円形等でもよい。パッキン引っ掛け部は断面円形等のピンでもよく断面湾曲状の板部でもよい。
【0011】
請求項2に係るパッキン組付構造は、請求項1記載のパッキン組付構造において、前記パッキン引っ掛け部が前記箱本体又は前記カバーの各角部に配置されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、例えば接続箱本体とカバーが平面視で三角形である場合は、三角形の各角部に各パッキン引っ掛け部が計三つ配置され、接続箱本体とカバーが四角形(ないし台形状)である場合は、四角形の各角部に各パッキン引っ掛け部が計四つ配置され、接続箱本体とカバーが五角形である場合は、五角形の各角部に各パッキン引っ掛け部が計五つ配置される、というように、角形状の接続箱本体とカバー(角形状のパッキン収容溝)の各角部ごとにパッキン引っ掛け部が配置される。角部ごとのパッキン引っ掛け部にパッキンが引っ掛けられることで、パッキンの形状がパッキン収容溝の形状となる。
【0013】
請求項3に係るパッキン組付構造は、請求項2記載のパッキン組付構造において、矩形状の前記箱本体又は前記カバーに対応して四つの角部に前記パッキン引っ掛け部が配置され、対角線上の二つの角部の各パッキン引っ掛け部と、他の対角線上の他の二つの角部の各パッキン引っ掛け部とに前記パッキンが順次引っ掛けられることを特徴とする。
【0014】
上記構成により、先ず対角線上の二つの角部の各パッキン引っ掛け部に、自由状態で横長環状のパッキンの前後の端部が引っ掛けられることで、パッキンが左右に二分され、左右のパッキン部分の長さが均一化される。その状態で左右のパッキン部分が引っ張られて他の二つの角部の各パッキン引っ掛け部に引っ掛けられる。それにより、パッキンが無理な引っ張り力を受けることなく、均一な引張力で矩形状のパッキン収容溝と同じ形状になる。パッキンは無理に引っ張られると伸びて厚みが薄くなり、防水性が低下してしまうが、その心配が解消される。その状態からパッキンが各パッキン引っ掛け部に沿ってパッキン収容溝にスムーズに押し込まれる。
【0015】
請求項4に係るパッキン組付構造は、請求項3記載のパッキン組付構造において、前記対角線上の二つの角部の各パッキン引っ掛け部10,11の突出長さが長く、前記他の対角線上の他の二つの角部12,13の各パッキン引っ掛け部の突出長さが短く設定されたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、対角線上の二つの角部の長さの長い各パッキン引っ掛け部にパッキンの前後二箇所を引っ掛け、次いで他の対角線上の他の二つの角部の長さの短い各パッキン引っ掛け部にパッキンの左右二箇所を引っ掛ける際に、前後の各パッキン引っ掛け部が長いので、前後の各パッキン引っ掛け部からパッキンの前後端が外れてしまうことが防止される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、複数のパッキン引っ掛け部にパッキンの周方向の各部を引っ掛けることで、パッキンを各パッキン引っ掛け部で外れなく保持することができ、その状態から各パッキン引っ掛け部に沿ってパッキンをパッキン収容溝に案内させてスムーズに簡単且つ確実に押し込んで装着することができる。また、パッキン引っ掛け部を例えばカバー又は接続箱本体に一体に樹脂成形して、簡素で低コストなパッキン組付構造を得ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、カバーや接続箱本体の角部ごとにパッキン引っ掛け部でパッキンを保持させることで、パッキンの形状をパッキン収容溝の形状に合わせることができ、その状態から各パッキン引っ掛け部に沿って平面視で角形状のパッキン収容溝にスムーズ且つ確実に押し込んで装着することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、二つの角部の各パッキン引っ掛け部にパッキンの前後の二箇所を引っ掛けることで、左右のパッキン部分の長さを均一にすることができ、それにより、左右のパッキン部分を長さムラなく残りの各パッキン引っ掛け部に引っ掛けて、パッキンをパッキン収容溝に押し込むことで、パッキンの無理な引張に起因する伸びと防水性の低下の心配を解消することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、長いパッキン引っ掛け部にパッキンの前後の二箇所を引っ掛けた後、短いパッキン引っ掛け部にパッキンの左右の二箇所を引っ掛ける際に、長いパッキン引っ掛け部からのパッキンの前後の二箇所の離脱を防いで、パッキンを作業性良く確実にパッキン収容溝に押し込んで装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るパッキン組付構造を備える電気接続箱の一実施形態の要部を示す分解斜視図である。
【図2】パッキン組付構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】同じくパッキン組付構造の要部を示す斜視図である。
【図4】電気接続箱にパッキンを組み付けた状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図4は、本発明に係るパッキン組付構造の一実施形態を示すものである。
【0023】
図1の如く、このパッキン組付構造は、合成樹脂製のアッパカバー(カバー)1と、アッパカバー1で上部開口(開口)37を塞がれるロアカバー(接続箱本体ないし箱本体)2とを含む電気接続箱3におけるものであり、図2の如く、アッパカバー1の内側の矩形環状のパッキン収容溝4にパッキンを作業性良く装着させるべく、パッキン収容溝4の四つの角部5〜8において、パッキン収容溝4の内側の周壁9にパッキン案内用のパッキン引っ掛けピン(引っ掛け部)10〜13を立設したものである。
【0024】
図3の如く、パッキン14は、ウレタン等の発泡樹脂を材料として、縦断面矩形状のパッキン収容溝4に合う縦断面矩形状に形成され、且つ自由状態において横長環状に形成されている。
【0025】
また、引っ掛けピン10〜13はアッパカバー1と一体に合成樹脂で円柱状に形成されている。各引っ掛けピン10〜13の基端(付根部)は内側の周壁9の図3で上端面9c(図1でアッパカバー1の装着時に下端面となる)に一体に続き、各引っ掛けピン10〜13はパッキン収容溝4の開口(パッキン押し込み用の開口)4bから図3で上向きに(図1で下向きに)すなわちパッキン収容溝4へのパッキン14の押し込み方向とは反対の方向に垂直に突出している。
【0026】
各引っ掛けピン10〜13の外周面10a〜13aは、パッキン収容溝4の外側の周壁15寄りにおいて、パッキン収容溝4の内側の周壁9の外側の周面9aと同一面に位置し、各ピン10〜13の外周面10a〜13aは内側の周壁9の外側の周面9aに段差なく真直に続いている。これにより、パッキン14が各引っ掛けピン10〜13の長手方向に沿って引っ掛かりなくパッキン収容溝4内に案内される。引っ掛けピン10〜13はガイドピンとも呼称される。
【0027】
各引っ掛けピン10〜13の外径は内側の周壁9の板厚よりも大きく、各ピン10〜13の外周面10a〜13aはアッパカバー1の内側空間16寄りにおいて内側の周壁9の内側の周面9bから径方向に少し空間16内に突出して、ピン強度が確保されている。この場合、各ピン10〜13は上下の樹脂成形型の抜き方向の関係でアッパカバー1の天壁17(図2)まで延長される。内周壁9の板厚が厚い場合はピン10〜13の外径を内周壁9の板厚と同程度に設定することも可能である。
【0028】
パッキン14の装着方法は、先ず、アッパカバー1の四つの角部5〜8のうちの対角線上の二つの角部5,6において、作業者が手指ないし棒状の治具等を用いて、横長環状のパッキン14の前後の端部14a,14bを二つの角部5,6の前後の各引っ掛けピン10,11に引っ掛ける。これにより、左右のパッキン部分14c,14dの長さが均一化される。
【0029】
その状態から矢印Aの如く、作業者が手指ないし棒状の治具等を用いて、左右のパッキン部分14c,14dを左右方向に広げるように外向きに引っ張って、アッパカバー1の残りの二つの対角線上の角部7,8における二つの引っ掛けピン12,13に左右のパッキン部分14c,14dの長手方向中間部を引っ掛ける。これにより、パッキン14がパッキン収容溝4の形状に沿って矩形状に成形される。
【0030】
その状態から、作業者が手指又は前記棒状の治具を用いて、パッキン14をパッキン収容溝4に下向きに(パッキン収容溝4の底面4aに向けて)押し込む。これにより、パッキン14が過大な引張力を受けることなく、パッキン収容溝4にスムーズに且つ確実に且つ隙間なく装着される。パッキン14は引っ張り過ぎると伸びて締め代が減少し兼ねないので、過大な引っ張りは好ましくない。
【0031】
パッキン収容溝4の底面4aにはパッキン14の底面を固定する接着剤を塗布しておくことが好ましい。パッキン14の底面とは反対側の面(図2で上側となる面)はパッキン収容溝4の上端すなわちパッキン収容溝4の開口(パッキン挿入用の入口)とほぼ同じ高さに位置する。パッキン14の上下方向の厚みはパッキン収容溝4の深さと同程度である。
【0032】
図3の例では、最初にパッキン14の前後端14a,14bを引っ掛ける前後のピン10,11の高さを高く設定し、パッキン14の左右端(左右のパッキン部分14c,14d)を引っ掛ける左右のピン12,13の高さを低く設定している。これにより、左右のパッキン部分14c,14dを左右のピン12,13に引っ掛ける際に、パッキン14の前後端14a,14bが前後のピン10,11から不意に外れてしまうことが防止されると共に、左右のパッキン部分14c,14dを左右のピン12,13に乗り越して係合させることに起因するパッキン14の不要な伸びの心配が解消される。
【0033】
但し、最初に長い二本のピン10,11にパッキン14を引っ掛けることを作業者に徹底しておく必要があるので、左右のピン12,13も前後のピン10,11と同じ長さ、すなわちパッキン14が不意に外れない長さに設定しておいてもよい。
【0034】
各ピン10〜13の長さは、図1のロアカバー2の垂直な板状の上端壁18の下側に続く内壁部19(上端壁18よりも内側に膨出した部分を有する)に各ピン10〜13の先端10b〜13bが干渉しないような長さに設定される。ロアカバー2にアッパカバー1を装着した際に、各ピン10〜13はロアカバー2の垂直な上端壁18の内面に沿ってロアカバー2の内側空間20内に進入する。ロアカバー2の上端壁18の上端面がアッパカバー1側のパッキン14の下面に押接密着して、両カバー1,2間の防水が行われる。
【0035】
図2の如く、アッパカバー1は正方形状ではなく長方形状であるので、前後の一対のピン10,11を結ぶ仮想線は、左右の一対のピン12,13を結ぶ仮想線に直交ではなく傾斜状に交差する。従って、図3の矢印A方向すなわち左右のパッキン部分14c,14dの引張方向は左右のパッキン部分14c,14dに直交する方向ではなく傾斜状に交差した方向となる。あるいは、図3の左右の矢印Aはパッキン長手方向の前後にずれた位置で左右のパッキン部分14c,14dに直交し、前後にずれた位置で左右のパッキン部分14c,14dを直交方向に引っ張ることになる。
【0036】
図2の如く、アッパカバー1のパッキン収容溝4は、垂直な内側の周壁9の外周面9aと垂直な外側の周壁15の内周面15aと水平な底壁21(図1)の内面4aとで三方を囲んで断面矩形状に構成されている。内側の周壁9はアッパカバー1の天壁17まで垂直に延長されている。本例の各カバー1,2は長辺側の左右の壁部22の途中に段差部23を有しており、パッキン収容溝4も段差状に形成されている。
【0037】
アッパカバー1の長手方向中間部に段差があるので、アッパカバー1の天壁17を例えば作業台等に水平に配置した状態で、例えばアッパカバー1の短辺側の前壁24の左右におけるピン(前側と右側のピン)10,12が高く位置し、短辺側の後壁25の左右におけるピン(後側と左側のピン)11,13が低く位置する。
【0038】
従って、どちらかと言うと、パッキン14は先ず高い前側のピン10に引っ掛け、次いで低い後側のピン11に引っ掛けることが、前側のピン10からのパッキン14の不意な外れを防ぐ上で好ましい。同様に、左右のパッキン部分14c,14dは高い右側のピン12に引っ掛け、次いで低い左側のピン13に引っ掛けることが好ましい。なお、明細書における前後左右の方向は説明の便宜上のものであり、前後左右のピン10〜13と、カバー1の前後左右の壁部22,24,25の方向は必ずしも一致していない。
【0039】
図2の如く、パッキン収容溝4の外周壁15は外側の段部26を介して一段高い枠壁27に続いている。枠壁27にグロメット装着溝28,29やロアカバー係止用のばねアーム30を有する固定部31が設けられている。
【0040】
図1の如く、ロアカバー2は、前後左右の垂直な側壁(周壁)32,33と水平な底壁34とを有し、左右の側壁33に段差部35が形成され、右側の側壁33にグロメット装着溝28’,29’が設けられている。周壁32,33の上端壁18がアッパカバー1内のパッキン14に上向きに押圧密着する。周壁33に設けたブラケット36でロアカバー2がエンジンルーム等の水の掛かる部位に固定される。電気接続箱3を水の直接掛からない部位に配置する場合は、ばねアーム30に代えて係止枠片や係止突起等の係止手段を適用可能である。
【0041】
ロアカバー2の内側空間(符号37で代用)には、不図示のリレーやヒューズやヒュージブルリンクといった電気部品やバスバー等を装着した接続ブロックが収容固定され、これら電気部品やバスバーに接続した端子付き電線が各防水グロメットを通って外部に導出される。
【0042】
図4の如く、パッキン14がアッパカバー1とロアカバー2との間に挟まれつつ、各グロメット38,39の上端面38a,39aに密着する。図4で、符号4はパッキン収容溝、27は、アッパカバー1の枠壁、10,13は前側と左側の各ピンをそれぞれ示している。
【0043】
なお、上記実施形態においては、円柱状の引っ掛けピン10〜13を用いたが、引っ掛けピン10〜13に代えてパッキン周方向に湾曲した(横断面円弧状の)不図示の引っ掛け板(引っ掛け部)をアッパカバー1のパッキン収容溝4の内側の周壁9に一体に突出形成することも可能である。また、円柱状の引っ掛けピン10〜13に代えて断面矩形状や断面三角形状等の引っ掛けピンを用いることも可能である。
【0044】
また、上記実施形態においては、長手方向中間部に段差23,35のある各カバー1,2を用いた例で説明したが、段差のない不図示のカバーにおいても上記引っ掛けピン10〜13や引っ掛け板の構成を適用可能であることは言うまでもない。また、アッパカバー1とそのパッキン収容溝4は長方形ではなく正方形や台形状等であっても良い。
【0045】
アッパカバー1とそのパッキン収容溝4が三角形状である場合は、パッキン収容溝4の三つの角部5〜7に各引っ掛けピン10〜12を立設し、先ず二つのピン10,11に横長のパッキン14の二箇所を引っ掛けた後、パッキン14を引っ張って左右何れかのパッキン部分14c(14d)を三つ目のピン12に引っ掛けることになる。円形のカバーの場合は、引っ掛けピンの数が四本では、矩形状のカバー1のように作業性良くパッキンを装着することはでき難いので、五本ないしそれ以上の引っ掛けピンが必要となる。
【0046】
また、上記実施形態においては、アッパカバー1とロアカバー2とを備える電気接続箱の例で説明したが、例えばアッパカバー1と不図示の中間のフレームとロアカバーとを備える電気接続箱の場合は、フレームの下端部にパッキン収容溝4を設け、パッキン収容溝内のパッキン14にロアカバー2の上端壁18を押接密着させることになるので、フレームの下端部のパッキン収容溝4の内側の周壁9に上記同様のパッキン引っ掛けピン10〜13や引っ掛け板を突設する。フレームは合成樹脂で中空の矩形筒状に形成され、その内部空間に接続ブロックが収容されるものである。
【0047】
また、上記実施形態は、電気接続箱1におけるものであるが、従来技術の特許文献2で説明したような、電気接続箱以外の箱体(箱本体とカバーとを備える)においても、本発明のパッキン組付構造を適用可能である。また、上記実施形態で説明した本発明の構成は、パッキン組付構造として以外に、パッキン組付方法としても有効なものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るパッキン組付構造は、パッキンを矩形環状に広げつつ電気接続箱等の箱体のカバー等におけるパッキン収容溝内に作業性良く装着するために利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 アッパカバー(カバー)
2 ロアカバー(箱本体)
4 パッキン収容溝
5,6 二つの角部
7,8 他の二つの角部
9 内側の周壁
10〜13 パッキン引っ掛けピン(引っ掛け部)
14 パッキン
37 上部開口(開口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体にカバーを装着して該箱本体の開口を塞ぐべく、該箱本体又は該カバーの周方向にパッキン収容溝が連続して設けられ、該パッキン収容溝を成す内側の周壁に複数のパッキン引っ掛け部が、該パッキン収容溝へのパッキンの押し込み方向とは反対方向に突出して設けられたことを特徴とするパッキン組付構造。
【請求項2】
前記パッキン引っ掛け部が前記箱本体又は前記カバーの各角部に配置されたことを特徴とする請求項1記載のパッキン組付構造。
【請求項3】
矩形状の前記箱本体又は前記カバーに対応して四つの角部に前記パッキン引っ掛け部が配置され、対角線上の二つの角部の各パッキン引っ掛け部と、他の対角線上の他の二つの角部の各パッキン引っ掛け部とに前記パッキンが順次引っ掛けられることを特徴とする請求項2記載のパッキン組付構造。
【請求項4】
前記対角線上の二つの角部の各パッキン引っ掛け部の突出長さが長く、前記他の対角線上の他の二つの角部の各パッキン引っ掛け部の突出長さが短く設定されたことを特徴とする請求項3記載のパッキン組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−31280(P2013−31280A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165208(P2011−165208)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】