説明

パック電池

【課題】電池を効率よく冷却しながら、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結する。
【解決手段】パック電池は、複数の電池1を収納している内ケース3を外ケース2に内蔵している。内ケース3は、複数の電池1を保持筒6に挿入して複数段に収納する中間ケース4と、この中間ケース4に収納する電池1の両端に固定している一対のエンドプレート5とを備える。中間ケース4の保持筒6は、電池1の端部を外部に表出させる開口部を両端に開口している。エンドプレート5は、各々の電池端面にリードを接続する電極窓を開口している。さらに、中間ケース4は、収納する電池1を離して配置して、電池1間に空隙を設けて、空隙には電池1を冷却する空気の換気路7を設けている。パック電池は、この換気路7に一対のエンドプレート5を連結する止ネジ9を挿通して、止ネジ9でもって一対のエンドプレート5を中間ケース4の両端に固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として大電流の放電に適しているパック電池に関し、とくに、複数の電池を並列と直列に配列してケースに収納しているパック電池に関する。
【背景技術】
【0002】
パック電池は、並列に接続する電池の個数を多くして出力電流を大きくでき、また、直列に接続する電池の個数で出力電圧を高くできる。このことから、大出力が要求される用途、たとえば自転車、工具、自動車等に使用されるパック電池は、複数の電池を並列に接続し、さらに、これを直列に接続して出力を大きくできる。この構造のパック電池は、多数の電池を内蔵するので、組み立てを容易にすることが大切である。このことを実現するパック電池として、独特の構造で電池をケースに収納するパック電池が開発されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−43839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この公報に記載されるパック電池は、図1に示すように、複数の電池31を多段に配置してエンドプレート35の間に配置している。エンドプレート35は、電池31の端部を挿入して連結する円筒部36を設けている。このパック電池は、一対のエンドプレート35の間に円筒型電池を配置する。円筒型電池は、端部をエンドプレート35の円筒部36に挿入し、エンドプレート35に連結される。一対のエンドプレート35は、四隅部の突出部37で連結されて、円筒型電池を挟着する状態で保持する。このパック電池は、電池31の両端をエンドプレート35で挟着して電池のコアパックとし、このコアパックを外ケースに収納している。
【0004】
この構造のパック電池は、大きな出力が要求される用途、たとえば電動工具や電動自転車等の電源に使用されるので、大電流で充放電される。このため、このパック電池は、各々の電池を能率よく冷却することが極めて大切である。ただ、この構造のパック電池は、一対のエンドプレートの間に複数の電池を多段に配置しているので、全ての電池を効率よく冷却できない欠点がある。とくに、中央部分に配置される電池の冷却が難しい欠点がある。中央部分に配置される電池は、周囲部分に配置される電池よりも放熱され難く、内部に熱がこもりやすいからである。
【0005】
さらに、この構造のパック電池は、大きな出力を実現するために、大きくて重くて大容量の二次電池を多数に内蔵することから、コアパックをしっかりと強靭な構造で連結することも大切である。コアパックの強度が充分でないと、振動や衝撃を受けるときに、電池の位置がずれてこれに接続しているリード板等が外れたり破損するからである。ただ、この構造のコアパックは、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結できない欠点がある。それは、一対のエンドプレートの相対的な捻れを阻止する状態では連結できないからである。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池を効率よく冷却しながら、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結できるパック電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1のパック電池は、複数の電池1を収納している内ケース3と、この内ケース3を内蔵する外ケース2とを備える。内ケース3は、複数の電池1の両端に固定している絶縁材からなる一対のエンドプレート5を備え、複数の電池1を、端面が同一の面に位置する平行な姿勢で、各段に複数の電池1を並べて複数段に収納している。エンドプレート5は、電池1を定位置に固定すると共に、各々の電池端面にリードを接続する電極窓を開口して、この電極窓から電池1の電極にリードを接続している。さらに、内ケース3は、収納する電池1を離して配置して、電池1間に空隙を設けて、空隙には電池1を冷却する空気の換気路7を設けている。さらに、パック電池は、この換気路7に、一対のエンドプレート5を連結する止ネジ9を挿通して、止ネジ9でもって一対のエンドプレート5を電池1の両端に固定している。
【0008】
本発明の請求項2のパック電池は、複数の電池1を収納している内ケース3と、この内ケース3を内蔵する外ケース2とを備える。内ケース3は、複数の電池1の両端に固定している絶縁材からなる一対のエンドプレート5を備え、複数の電池1を、端面が同一の面に位置する平行な姿勢で、各段に複数の電池1を並べて複数段に収納している。エンドプレート5は、電池1を定位置に固定すると共に、各々の電池端面にリードを接続する電極窓を開口して、この電極窓から電池1の電極にリードを接続している。さらに、内ケース3は、収納する電池1を離して配置して、電池1間に空隙を設けて、空隙には電池1を冷却する空気の換気路7を設けている。さらに、パック電池は、この換気路7に配置される中空壁11を外ケース2の内面に突出して設けており、この中空壁11の中空部を外ケース2の外部に開口して、中空壁11を介して換気路7の電池1を冷却している。
【0009】
本発明のパック電池は、一対のエンドプレート5の周縁部を止ネジ9で連結して固定することができる。
【0010】
本発明のパック電池は、内ケース3に、複数の電池1を保持筒6に挿入して収納する絶縁材の中間ケース4を設けて、この中間ケース4の両端に一対のエンドプレート5を固定することができる。
【0011】
本発明のパック電池は、一対のエンドプレート5に、回路基板19を収納する基板ホルダ20を固定して、基板ホルダ20で一対のエンドプレート5を連結することができる。
【0012】
本発明のパック電池は、エンドプレート5に、電池1を直列又は並列に接続するリード板13を連結して、このリード板13を電池1の端面に溶接して連結して、リード板13を回路基板19に接続することができる。
【0013】
本発明のパック電池は、内ケース3に、止ネジ9を挿通するネジボス8を設けて、このネジボス8に止ネジ9を挿通して、一対のエンドプレート5を連結することができる。
【0014】
本発明のパック電池は、電池1を円筒型電池として、止ネジ9を円筒型電池の谷間に配置することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1のパック電池は、電池を効率よく冷却しながら、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結できる特長がある。それは、このパック電池が、外ケースに内蔵される内ケースに複数の電池を収納しており、この内ケースは、複数の電池の両端に一対のエンドプレートを固定すると共に、収納する電池を離して配置して電池間に空隙を設けて、電池を冷却する空気の換気路を設けており、この換気路に一対のエンドプレートを連結する止ネジを挿通して、止ネジで一対のエンドプレートを電池の両端に固定しているからである。
この構造のパック電池は、電池間に空気の換気路を設けているので、パック電池の中央部分を効果的に冷却できる特長がある。とくに、このパック電池は、エンドプレートを連結する止ネジを換気路に挿通しているので、この止ネジを電池の熱を外部に放熱する部材に併用して、電池をしっかりと強靭な状態で連結しながら、冷却が難しい内部の電池をより効果的に冷却できる。
【0016】
さらに、本発明の請求項2のパック電池は、外ケースの内面に突出して設けた中空壁を内ケースの換気路に配置しており、この中空壁の中空部を外ケースの外部に開口して、換気路の電池を冷却しているので、中空壁の内部の中空部を外ケースの外部に開口して換気し、電池の熱を、中空壁と、中空壁に換気される空気を介して外部に放熱して、内部の電池を効果的に冷却できる。しかも、このパック電池は、外ケースの中空壁を、内ケースの電池間の換気路に挿入して配置するので、内ケースを、中空壁で補強しながら、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結できる。
【0017】
さらに、本発明の請求項3のパック電池は、一対のエンドプレートの周縁部を止ネジで連結して固定しているので、一対のエンドプレートの間に多数の電池を配置しながら、これらの電池をよりしっかりと強靭な状態で連結できる特長がある。
【0018】
さらに、本発明の請求項4のパック電池は、内ケースに、複数の電池を保持筒に挿入して収納する中間ケースを設けて、この中間ケースの両端に一対のエンドプレートを固定しているので、多数の電池を中間ケースに収納しながら、電池の両端に固定される一対のエンドプレートの相対的な捻れを阻止して、多数の電池をしっかりと強靭な状態で連結できる。
【0019】
以上のように、本発明のパックは、内部の電池を効率よく冷却しながら、複数の電池をしっかりと強靭な構造で連結できるので、大きな出力が要求される用途に使用して強い振動や衝撃を受けても、電池の位置ずれを極減して、これに接続しているリード板等が外れたり破損するのを有効に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのパック電池を例示するものであって、本発明はパック電池を以下のものに特定しない。
【0021】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0022】
本発明の実施例のパック電池を図2ないし図9に示す。これ等の図に示すパック電池は、複数の電池1を収納している内ケース3と、内ケース3を内蔵する外ケース2とを備える。
【0023】
内ケース3は、複数の電池1を定位置に収納している中間ケース4と、中間ケース4の両端に固定している一対のエンドプレート5とを備える。中間ケース4とエンドプレート5は、絶縁材のプラスチックで成形している。ただ、内ケースは、図示しないが、中間ケースを省略して、複数の電池の両端に一対のエンドプレートを固定することもできる。この構造のパック電池は、より効果的に電池を放熱させて冷却できる特長がある。
【0024】
図7と図8の断面図に示す中間ケース4は、複数の電池1を挿入して定位置に配置する保持筒6を備える。保持筒6は、電池1の端面が同一面に位置する平行な姿勢で、複数の電池1を収納している。この中間ケース4は、各段に複数の電池1を並べて複数段に配置するように保持筒6を設けている。図の中間ケース4は、各段に5列の電池1を並べて、これを4段に配設して、全体で20本の電池1を収納している。ただし、本発明のパック電池は、各段に配列する電池の本数を5本には特定しない。各段には、たとえば、3〜20本の電池を平行に配置でする。また、図のパック電池は、電池を4段に配置するが、3〜10段に配置することもできる。
【0025】
保持筒6は、電池1の外周面を保持して、電池1を所定の位置に保持する。図の保持筒6は、円筒型電池の表面に沿う湾曲面を有する。保持筒は、必ずしも電池の全周を保持する形状とする必要はない。たとえば、円筒型電池の保持筒は、必ずしも電池の全周に沿う円筒状に成形する必要はないが、図の保持筒6は、電池1の表面のほぼ全周に沿う筒状としている。ただ、中間ケースは、全ての電池を保持筒のみで定位置に配置する必要はなく、たとえば、電池を保持筒とネジボス8で定位置に配置することもできる。
【0026】
中間ケース4は、電池1を離して配置して、電池1間に空隙を設けている。空隙は、電池1を冷却する空気の換気路7である。図のパック電池は、4段に収納する電池1の中央部、すなわち、上2段と下2段の電池1の間に空隙を設けて、換気路7を設けている。このパック電池は、積層方向の厚さの増加を最小にして、電池温度が高くなる中央部の電池1を効率よく冷却する。このため、全体をコンパクトにして電池1の温度差を少なく、全ての電池温度を均一にできる特徴がある。ただ、図示しないが、本発明のパック電池は、各段の間に空隙の換気路を設け、あるいは隣接する電池の間にも空隙を設けて換気路とすることができる。
【0027】
換気路7は、外部の空気を流して電池1を冷却する。図7と図8の断面図に示す中間ケース4は、多段に配置している電池1の中央部に隙間を設けて換気路7としている。
【0028】
図のパック電池は、電池1を複数の電池ブロック10に分離して、電池ブロック10の間に隙間を設けて換気路7としている。図のパック電池は、第1電池ブロック10Aと第2電池ブロック10Bからなる2ブロックに電池1を分離している。上2段の電池1を第1電池ブロック10A、下2段の電池1を第2電池ブロック10Bとして、第1電池ブロック10Aと第2電池ブロック10Bの間に隙間を設けて換気路7としている。電池ブロック10は、上下の電池1を並列に絶縁し、隣の電池1を直列に接続している。したがって、第1電池ブロック10Aは、上下に配置される電池1を並列に接続して、同じ段で隣に配置する電池1を直列に接続している。第2電池ブロック10Bも、上下に配置される電池1を並列に接続して、同じ段で隣に配置する電池1を直列に接続している。電池ブロック10は、直列に接続して出力電圧を高くでき、並列に接続して電流容量を大きくできる。図のパック電池は、第1電池ブロック10Aと第2電池ブロック10Bの電池1を直列に接続している。このように電池ブロック10の間に隙間を設けて換気路7とするパック電池は、換気路7でもって電位差のある第1電池ブロック10Aと第2電池ブロック10Bの電池1を有効に絶縁できる。
【0029】
上下2段の電池1をひとつの電池ブロック10するパック電池は、電池1を偶数段に配置するのに適している。このパック電池は、電池ブロック10の間に隙間を設けて換気路7として、多数の電池1を内部まで均一に冷却できる。ただ、パック電池は、必ずしも上下2段の電池をひとつの電池ブロックとせず、上下3段以上の電池をひとつの電池ブロックとして、電池ブロックの間に換気路を設けることもできる。
【0030】
図7の内ケース3は、換気路7にネジボス8を設けている。ネジボス8は、エンドプレート5を連結する止ネジ9を挿通する。ネジボス8は内部に止ネジ9を挿通できる筒状で、プラスチック製の中間ケース4に一体的に成形して設けられる。この図の中間ケース4は、中央の電池1の両側の谷間に一対のネジボス8を設けている。ただ、ネジボスは、一対のエンドプレートに一体的に成形して設けることもできる。
【0031】
換気路7にネジボス8を設けるパック電池は、ネジボス8を介して内部の電池1を効果的に冷却する。ネジボス8が効果的に電池1を冷却するのは、ネジボス8に挿通される止ネジ9を介して電池1の熱を外部に有効に放熱できるからである。止ネジ9は、その両端をエンドプレート5に連結し、またエンドプレート5から外部に表出させているので、ネジボス8から伝導させる電池1の熱を有効に放熱できる。このため、止ネジ9を挿通しているネジボス8でもって、冷却が難しい内部の電池1を有効に冷却できる。しかも、内部の電池1に冷却専用の部材や機構を設けることなく冷却できる特徴がある。
【0032】
ネジボス8は、中間ケース4の両端にエンドプレート5を固定するものであるから、エンドプレート5の周縁部にも設けることができる。図7のパック電池は、エンドプレート5の上下各々に2カ所と、換気路7に2カ所で、全体に6カ所にネジボス8を設けている。また、図8のパック電池は、エンドプレート5の上下各々の2カ所にネジボス8を設けている。ネジボス8は円筒状でここに止ネジ9を挿通して、一対のエンドプレート5を連結する。
【0033】
図8に示す中間ケース4は、内部の電池1を効果的に冷却するために、上下の電池ブロック10の間に換気路7を設けて、この換気路7に外ケース2に設けた中空壁11を挿入している。図のパック電池は、中空壁11を電池1に直接に接触させるために、保持筒6に冷却開口12を設けている。冷却開口12は、中空壁11を電池1に接触させるので、中空壁11が電池1に接触する部分に設けている。このパック電池は、中空壁11を電池1に直接に接触させるので、中空壁11で効果的に電池1を冷却できる。ただし、保持筒は、必ずしも冷却開口を設ける必要はない。電池を保持筒に入れ、電池を保持筒を介して中空壁に接触し、保持筒と中空壁を介して電池を冷却できるからである。
【0034】
中空壁11は、外ケース2から内面に突出する形状として、プラスチック製の外ケース2に一体的に成形して設けられる。中空壁11は、内部の中空部を外ケース2の外部に開口して、外部の空気を換気する。この中空壁11は、換気される外部空気で冷却され、冷却された中空壁11が電池1を冷却する。すなわち、電池1の熱を中空壁11と、中空壁11に換気される空気を介して外部に放熱する。
【0035】
電池1は、中間ケース4の保持筒6に収納された状態で端部にリード板13を接続する。このことを実現するために、中間ケース4は、電池1の端部を外部に表出させる開口部を設けている。中間ケース4は、一方の開口部を、電池1を出し入れできる構造とし、他方の開口部を、電池1が出ない構造とする。電池1を出し入れできる開口部は、保持筒6の開口部を電池1を通過できる大きさとする。電池1が出ない構造の開口部は、電池1の挿通を阻止するストッパ凸部(図示せず)を一体的に成形して設ける。ストッパ凸部は、電池1の端面に当接して、電池1が開口部から出るのを阻止する。
【0036】
以上の構造の中間ケース4は、エンドプレート5を外す状態で中間ケース4の保持筒6に電池1を挿入し、その後、開口部にエンドプレート5を固定して、電池1を中間ケース4から出ないように収納できる。ただ、中間ケースの保持筒は、両端の開口部を電池を通過できる構造として、この開口部にエンドプレートを固定して電池を出ない構造とすることもできる。
【0037】
エンドプレート5は、プラスチック等の絶縁材で製作される。エンドプレート5は、中間ケース4の開口部に固定されて、電池1を中間ケース4から出ないように定位置に固定する。また、このエンドプレート5は、これを中間ケース4に固定する状態で、電池1の端部にリード板13を固定できるように、各々の電池1の端面電極の位置に電極窓を開口している。図のパック電池は、4段5列に20個の電池1を収納するので、エンドプレート5は20個の電極窓を開口している。
【0038】
エンドプレート5は、中間ケース4の定位置に連結される。エンドプレート5を中間ケース4の定位置に連結するために、図のエンドプレート5は、止ネジ9を挿通して中間ケース4の両端に連結するためのネジボス8を設けている。エンドプレート5は、ネジボス8に止ネジ9を挿通し、この止ネジ9で一対のエンドプレート5を中間ケース4の両端に連結する。
【0039】
さらに、パック電池は、エンドプレート5に中間ケース4の保持筒6を嵌着する嵌着部14を設け、この嵌着部14の間に保持筒6を挿入して、エンドプレート5を中間ケース4の定位置に連結している。図のエンドプレート5は、保持筒6の谷間に挿入される嵌着部14を設け、この嵌着部14の間に保持筒6を入れて、定位置に連結している。図示しないが、中間ケースのない内ケースは、エンドプレートに設けた嵌着部の間に電池の端部を入れて、定位置に連結することができる。
【0040】
以上のように、エンドプレート5を中間ケース4の定位置に連結するパック電池は、リード板13をエンドプレート5の定位置に連結し、電池1を中間ケース4の保持筒6で中間ケース4の定位置に連結することにより、リード板13を電池1の定位置に配置して、簡単に電池1の電極に連結できる。ただ、本発明のパック電池は、エンドプレートを中間ケースの定位置に連結する構造を以上の構造に特定しない。パック電池は、エンドプレートを中間ケースの定位置に連結できる他の全て構造でエンドプレートと中間ケースを連結することができる。
【0041】
エンドプレート5は、リード板13を外側の定位置に連結している。図のエンドプレート5は、リード板13を嵌入する位置決凹部15を外側面に設け、この位置決凹部15にリード板13を入れて定位置に配置している。図のエンドプレート5は、リード板13の外周に沿う垂直壁16を一体成形して設けて、垂直壁16の内側を位置決凹部15としている。位置決凹部15は、細長いリード板13や四角形のリード板13の外形よりもわずかに大きい内形として、ここにリード板13を入れて定位置に配置する。
【0042】
エンドプレート5は、電池1の端部に位置して電極窓を設けている。凸部電極側の電極窓は、凸部電極を挿通できるように、凸部電極の外形にほぼ等しい。凸部電極と反対側の平面電極を挿通する平面電極側の電極窓は、電池1の平面電極側を挿通して、平面電極をエンドプレート5の外側面に位置させる。したがって、平面電極側の電極窓は、電池1の外形にほぼ等しい大きさに開口される。凸部電極と平面電極は、電極窓に挿通されて、エンドプレート5の外側面に積層されるリード板13に接触する。この状態で、凸部電極と平面電極は、リード板13の連結部に溶接して連結される。リード板13は、リード線17やリードピン18等を半田付けして連結し、リード線17等を介して回路基板19に接続される。
【0043】
図のパック電池は、中間ケース4の両端に固定している一対のエンドプレート5に、回路基板19を収納する基板ホルダ20を固定している。基板ホルダ20は、一対のエンドプレート5を連結して補強し、さらに内部には回路基板19を収納している。図のパック電池は、一対のエンドプレート5の上に基板ホルダ20を固定して、この基板ホルダ20に回路基板19を収納している。基板ホルダ20は、プラスチックでもって、エンドプレート5と中間ケース4とは別に成形された上方開口の箱である。基板ホルダ20の内部に固定している回路基板19は、リード線17やリードピン18等を介してリード板13に接続している。図のパック電池は、回路基板19にリード線17やリードピン18の一端を半田付けして連結し、リード線17やリードピン18の他端をリード板13に半田付けして連結している。
【0044】
回路基板19は、各々の電池電圧を検出して、電池1の充放電を制御する電圧検出回路を実装している。図のパック電池は、全ての電池電圧を別々に独立して電圧検出回路で検出する。電池1をリチウムイオン二次電池とするパック電池は、全ての電池電圧を検出して、充放電を理想的な状態で制御できる。図のパック電池は、2個の電池1を並列に接続しているので、並列接続している電池1は一緒に電圧が検出される。リチウムイオン二次電池は、満充電された状態と、完全に放電された状態を電圧で検出できる。複数の電池1を直列に接続しているパック電池は、全ての電池1を同じ電流で充放電させる。ただ、全ての電池1が同じ状態で充放電されるとは限らない。全ての電池1が同じように劣化せず、また、製造工程においても全く同じ特性には製作されない。このため、直列に接続された複数の電池1は、実質的に満充電できる容量や内部抵抗等にばらつきがある。このような電池1を同じ電流で充放電すると、いずれかの電池1が先に満充電され、あるいは完全に放電される。
【0045】
電圧検出回路で全ての電池電圧を検出しながら、充放電をコントロールするパック電池は、全ての電池1の過充電と過放電を防止しながら充放電する。電圧検出回路は、パック電池を充電しているときに、いずれかの電池電圧が最高電圧まで上昇すると充電電流を遮断する。また、放電しているときは、いずれかの電池1の電圧が最低電圧まで低下すると放電電流を遮断する。
【0046】
電池1をニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池とするパック電池においても、全ての電池電圧を検出しながら充放電を制御して、全ての電池1の過充電と過放電を防止しながら使用できる。したがって、本発明は、電池をリチウムイオン二次電池に特定しない。
【0047】
さらに、図のパック電池は、電池1と中間ケース4とエンドプレート5と回路基板19と基板ホルダ20を連結している電池1のコアパック21を、外ケース2に収納している。外ケース2は、図2の分解斜視図に示すように、両側面に2分割できる形状にプラスチックを成形したものである。ただし、図2は、一方の外ケース2のみを示している。図示しない他方の外ケースは、図示する一方の外ケース2と対称な形状をしている。一対の外ケース2は、止ネジ(図示せず)で連結されて、内部に電池1のコアパック21を収納する。外ケース2は、コアパック21を定位置に配置するために内部に突出して位置決めリブ22を設けている。
【0048】
図8と図9の外ケース2は、コアパック21の換気路7に挿入される中空壁11を一体的に成形して設けている。
【0049】
以上のパック電池は、以下のようにして組み立てられる。
(1) 中間ケース4の保持筒6に電池1を挿入する。
(2) 中間ケース4の両端にエンドプレート5を配設する。エンドプレート5のネジボス8に止ネジ9を入れ、止ネジ9でもって、中間ケース4両端にエンドプレート5を固定する。
エンドプレート5は、中間ケース4の開口部を閉塞して、中間ケース4から電池1を出ないようにする。
(3) エンドプレート5の上に基板ホルダ20を固定する。
(4) 基板ホルダ20の定位置に回路基板19を固定する。
(5) エンドプレート5の外側に設けている位置決凹部15にリード板13を入れて、リード板13を定位置に配置する。
(4) リード板13を、スポット溶接などの方法で電池1の電極に連結する。
(5) リード板13に、リード線17やリードピン18の一端を半田付けして連結し、このリード線17やリードピン18の他端を回路基板19に接続する。
【0050】
以上の工程で電池1のコアパック21が組み立てられる。
(6) 電池1のコアパック21を一対の外ケース2に入れて、外ケース2を止ネジで連結する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来のパック電池の電池コアの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる電池パックの分解斜視図である。
【図3】図2に示す電池パックのコアパックの斜視図である。
【図4】図3に示すコアパックの正面図である。
【図5】図3に示すコアパックの背面図である。
【図6】図3に示すコアパックの側面図である。
【図7】図6に示すコアパックのA−A線断面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかるパック電池の断面図であって図9のA−A線断面に相当する図である。
【図9】図8に示すパック電池の側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1…電池
2…外ケース
3…内ケース
4…中間ケース
5…エンドプレート
6…保持筒
7…換気路
8…ネジボス
9…止ネジ
10…電池ブロック 10A…第1電池ブロック
10B…第2電池ブロック
11…中空壁
12…冷却開口
13…リード板
14…嵌着部
15…位置決凹部
16…垂直壁
17…リード線
18…リードピン
19…回路基板
20…基板ホルダ
21…コアパック
22…位置決めリブ
31…電池
35…エンドプレート
36…円筒部
37…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池(1)を収納している内ケース(3)と、この内ケース(3)を内蔵する外ケース(2)とを備え、
内ケース(3)は、複数の電池(1)の両端に固定している絶縁材からなる一対のエンドプレート(5)を備え、複数の電池(1)を、端面が同一の面に位置する平行な姿勢で、各段に複数の電池(1)を並べて複数段に収納しており、
エンドプレート(5)は、電池(1)を定位置に固定すると共に、各々の電池端面にリードを接続する電極窓を開口して、この電極窓から電池(1)の電極にリードを接続しており、
さらに、内ケース(3)は、収納する電池(1)を離して配置して、電池(1)間に空隙を設けて、空隙には電池(1)を冷却する空気の換気路(7)を設けると共に、この換気路(7)には一対のエンドプレート(5)を連結する止ネジ(9)を挿通して、止ネジ(9)でもって一対のエンドプレート(5)を電池(1)の両端に固定してなるパック電池。
【請求項2】
複数の電池(1)を収納している内ケース(3)と、この内ケース(3)を内蔵する外ケース(2)とを備え、
内ケース(3)は、複数の電池(1)の両端に固定している絶縁材からなる一対のエンドプレート(5)を備え、複数の電池(1)を、端面が同一の面に位置する平行な姿勢で、各段に複数の電池(1)を並べて複数段に収納しており、
エンドプレート(5)は、電池(1)を定位置に固定すると共に、各々の電池端面にリードを接続する電極窓を開口して、この電極窓から電池(1)の電極にリードを接続しており、
さらに、内ケース(3)は、収納する電池(1)を離して配置して、電池(1)間に空隙を設けて、空隙には電池(1)を冷却する空気の換気路(7)を設けると共に、この換気路(7)に配置される中空壁(11)を外ケース(2)の内面に突出して設けており、この中空壁(11)の中空部を外ケース(2)の外部に開口して、中空壁(11)を介して換気路(7)の電池(1)を冷却するようにしてなるパック電池。
【請求項3】
一対のエンドプレート(5)の周縁部を止ネジ(9)で連結して固定してなる請求項1または2に記載されるパック電池。
【請求項4】
内ケース(3)が、複数の電池(1)を保持筒(6)に挿入して収納する絶縁材の中間ケース(4)を備え、この中間ケース(4)の両端に一対のエンドプレート(5)を固定している請求項1ないし3のいずれかに記載されるパック電池。
【請求項5】
一対のエンドプレート(5)に、回路基板(19)を収納する基板ホルダ(20)を固定して、基板ホルダ(20)で一対のエンドプレート(5)を連結している請求項1ないし3のいずれかに記載されるパック電池。
【請求項6】
エンドプレート(5)に、電池(1)を直列又は並列に接続するリード板(13)を連結しており、このリード板(13)を電池(1)の端面に溶接して連結して、リード板(13)を回路基板(19)に接続している請求項1ないし3のいずれかに記載されるパック電池。
【請求項7】
内ケース(3)が、止ネジ(9)を挿通するネジボス(8)を備えており、このネジボス(8)に止ネジ(9)を挿通して、一対のエンドプレート(5)を連結してなる請求項1または3に記載されるパック電池。
【請求項8】
電池(1)が円筒型電池で、止ネジ(9)を円筒型電池の谷間に配置している請求項1または3に記載されるパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−216471(P2006−216471A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29861(P2005−29861)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】