説明

パッケージ電子部品および電子部品マウンタ

【課題】リールを用いることなく、電子部品連から電子部品を供給して実装することが可能なパッケージ電子部品および該パッケージ電子部品から個々の電子部品を実装することが可能な電子部品マウンタを提供する。
【解決手段】テープ状本体3の収納穴1に電子部品2が収納された電子部品連4と、電子部品連4を収容する収容ケース5であって、互いに対向する2つの主面部6と、主面部に直交する側面部7を有し、側面部7の幅は多重に巻回した電子部品連4の厚みと略等しく、かつ、側面部7(7a)には、電子部品連4を取り出すための取出口8が形成されており、側面部7(7a)の内面に、電子部品連4の外周面が当接した状態で、電子部品連4が収容され、取出口8から電子部品連4を順次取り出すことができるように構成された収容ケース5とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子部品連を収容ケースに収納したパッケージ電子部品および電子部品マウンタに関し、詳しくは、長手方向に沿って配設された複数の収納穴に電子部品が収納されたテープ状本体を多重に巻回した電子部品連をパッケージングしたパッケージ電子部品および該パッケージ電子部品から個々の電子部品を実装するために用いられる電子部品マウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
チップ状の電子部品を実装機の実装部に供給して効率よく実装することができるようにするために、テープ状本体に電子部品の収納穴を形成し、これに電子部品を収納した後、トップテープ(封止部材)で収納穴を封止した電子部品連が用いられている。
【0003】
このような電子部品連の収納および実装機への搭載にあたっては、一般的に、図13に示すように、テープ状本体52の収納穴57に電子部品を収納した電子部品連53を、巻き軸55aと一対のフランジ54a,54bからなるリール55に巻回し、このリール55を回転自在に実装機に搭載するようにしている(特許文献1)。
【0004】
また、実装機側の軸部材などの構成を省略することを目的として、図14に示すように、電子部品連60を巻回したリール61を箱状のパッケージ62に回転自在に収納し、このパッケージ62の上面を開放することにより、電子部品連60の取出口とする技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2のいずれの技術においてもリールが用いられており、リールを必須の要件としていることから、以下のような問題点がある。
【0006】
(1)パッケージ電子部品のユーザでは、電子部品取出し後のテープ状本体と、リールが廃棄物となり、リールはテープ状本体よりもかさばり、搬送、保管から廃棄までかなりの労力とコストを必要とする。リールについては、かさばり対策として一部分解可能なリールなど提案されているがリールの剛性や分解の労務コストなどの理由からほとんど普及していないのが実状である。
【0007】
(2)また、電子部品の低コスト化に伴い、リールなどの包装材にもコストダウンの目が向けられ低価格材料への切替えや、フランジなどの構造材の薄肉化などが図られており、リールは強度が低下する傾向にあり、現状のリール仕様ではユーザの多様化した生産工程には対応することが困難で、リールを使用すること自体が問題とされるに至っている。
【0008】
(3)リールの強度性能を確保しようとすると、フランジなどの構成材料にはある程度の肉厚が必要で、8mm巾テープ対応リールでは通例1〜3mm程度の肉厚を必要とする。そのためリール総厚みは14〜15mmになりテープ巾の約2倍のスペースが必要になり、製品の大型化を招いている。
【0009】
(4)電子部品連は、連続したテープ状本体をリールに巻き取りし、終端をテープで仮止めするため、マウンタに取り付ける際には、その都度、オペレータが終端のテープを取り外し、リールをマウンタに固定し、電子部品の収納穴を封止するためのトップフィルムを巻き取りリールに取り付け、手動でテープ状本体を送り出すというような煩雑な作業が必要で、電子部品の交換作業に手間がかかるという問題点がある。また、作業に熟練を要し、熟練度の低いオペレータはしばしばトップフィルムの巻き取りミスやリール取り付けミスを起こし、場合によってはマウンタが正常に稼働しないなど生産性低下を引き起こすという問題点がある。
【特許文献1】特開2001−233379号公報
【特許文献2】特開平6−100068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、リールを用いることなく、電子部品連から電子部品を供給して実装することが可能なパッケージ電子部品および該パッケージ電子部品から個々の電子部品を実装することが可能な電子部品マウンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のパッケージ電子部品は、
(a)長手方向に沿って配設された複数の収納穴に電子部品が収納されたテープ状本体を多重に巻回した電子部品連と、
(b)前記電子部品連を収容する収容ケースであって、
互いに対向する2つの主面部と、主面部に直交する側面部を有し、
前記側面部の幅は前記多重に巻回した電子部品連の厚みと略等しく、かつ、
前記側面部には、電子部品連を取り出すための取出口が形成されており、
前記取出口から電子部品連を順次取り出すことができるように構成された収容ケースと
を具備することを特徴としている。
【0012】
また、請求項2のパッケージ電子部品は、請求項1記載のパッケージ電子部品の構成において、前記電子部品連のテープ状本体には、長手方向に沿って送り穴が形成されており、
前記収容ケースの側面部の、前記電子部品連が当接する位置には、前記テープ状本体に形成された送り穴を露出させる開口部が形成されているとともに、
前記収容ケースの主面部の、前記開口部が形成された側面部と対向する対向側面部寄りの位置から主面部の中央部にかけて、前記電子部品連を支持・付勢して、前記電子部品連の外周面を前記側面部に当接させる付勢部材を挿入するための挿入孔が形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3のパッケージ電子部品は、請求項1または2記載のパッケージ電子部品の構成において、前記収容ケースが折り畳み可能に構成されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4のパッケージ電子部品は、請求項1または2記載のパッケージ電子部品の構成において、前記収容ケースが展開可能に構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5のパッケージ電子部品は、請求項1〜4のいずれかに記載のパッケージ電子部品の構成において、前記収容ケースが、紙、樹脂、金属、紙と樹脂のコンポジット、および樹脂と金属のコンポジットからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6のパッケージ電子部品は、請求項1〜5のいずれかに記載のパッケージ電子部品の構成において、前記収容ケースには、電子部品マウンタの保持手段と係合する係合部が設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項7のパッケージ電子部品は、請求項1〜6のいずれかに記載のパッケージ電子部品の構成において、前記収容ケースの主面部の内面に、しぼ加工または凹凸パターン形成加工が施されていることを特徴としている。
【0018】
また、本願発明(請求項8)の電子部品マウンタは、
請求項2〜7のパッケージ電子部品を保持する保持手段と、
パッケージ電子部品を構成する前記収容ケースの前記開口部を介して前記送り穴に嵌合し、前記電子部品連を前記取出口方向に送り出す搬送手段と、
前記収容ケースに形成された前記挿入口を介して挿入され、巻回された状態の前記電子部品連の外周面が、前記開口部の形成された収容ケースの側面部に当接するように側面部に向かって付勢する付勢手段と、
前記収容ケースに形成された前記取出口より取り出された前記電子部品連から、前記電子部品を真空吸引により取り出した後、所定の実装位置に電子部品を供
給する吸引ヘッドと
を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本願発明(請求項1)のパッケージ電子部品は、(a)テープ状本体の収納穴に電子部品が収納された電子部品連と、(b)電子部品連を収容する収容ケースであって、互いに対向する2つの主面部と、主面部に直交する側面部を有し、側面部の幅が、多重に巻回した電子部品連の厚み(通常はテープ状本体の幅)と略等しく、かつ、側面部には、電子部品連を取り出すための取出口が形成されており、取出口から電子部品連を順次取り出すことができるように構成された収容ケースとを備えた構成とされているので、リール(巻芯およびフランジ)を必要とすることなく、電子部品連から電子部品を供給して、信頼性の高い実装を行うことが可能になる。
また、リール(巻芯およびフランジ)を必要としないので、パッケージ電子部品のエンド端を交換基準とすることが可能で、マウンタの動作の無駄を省くことができる。
【0020】
すなわち、本願発明のパッケージ電子部品によれば、通常、電子部品連自体の復帰力により、側面部の内面に電子部品連の外周面が当接した状態で、電子部品連が収容ケースに収容され、取出口から電子部品連を順次取り出すことが可能になる。また、収容ケースの両主面部が従来の、リールを利用した電子部品連におけるリール(フランジ)の機能と、電子部品マウンタのテープガイドの機能を果たすため、電子部品連を円滑に取り出すことが可能になる。その結果、リールを用いることなく、電子部品連から電子部品を確実に供給して、信頼性の高い実装を行うことが可能になる。
【0021】
また、本願発明のパッケージ電子部品における収容ケースは再利用が可能で、廃棄物を減らして環境への負荷を軽減するとともに、資源の有効利用を図ることができる。
また、カメラモジュールなどクリーン度が要求される電子部品の実装工程では紙テープの紙粉が問題とされるが、本願発明のパッケージ電子部品においては、電子部品連が紙テープであっても、収容ケースに収容されているため、紙粉の発生や飛散を抑制することができる。また、収容ケースに紙粉を吸引除去するための機構(掃除機のようなもの)を取り付けることにより、さらに防塵性能を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2のパッケージ電子部品のように、電子部品連のテープ状本体には、長手方向に沿って送り穴が形成されており、収容ケースの側面部の、電子部品連が当接する位置に、テープ状本体に形成された送り穴を露出させる開口部が形成されているとともに、収容ケースの主面部の、開口部が形成された側面部と対向する対向側面部寄りの位置から主面部の中央部にかけて、電子部品連を支持・付勢して、電子部品連の外周面を収容ケースの側面部(内面)に当接させる付勢部材を挿入するための挿入孔が形成された構成とした場合、付勢部材により電子部品連の外周面を収容ケースの側面部(内面)に当接させた状態を保つことにより、送り穴を利用して電子部品連を確実に送り出すことが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
【0023】
すなわち、電子部品連を構成するテープ状本体に送り穴を形成するとともに、収容ケースの側面部にテープ状本体に形成された送り穴を露出させる開口部を設け、開口部から例えば、テープ送り用のスプロケットピンを挿入して、テープ状本体の送り穴に係合させ、スプロケット(搬送手段)を回転させることにより、電子部品連を自動で取り出すことが可能になる。
また、収容ケースの主面部に形成された挿入孔から付勢部材を挿入し、電子部品連の外周面が収容ケースの側面部(内面)に当接するように電子部品連を付勢することにより、スプロケットピンなどの部材を電子部品連の送り穴に確実に係合させることが可能になるとともに、電子部品連の接線方向への安定した取り出しが可能になる。
【0024】
なお、上記テープ状本体の送り穴の形状や寸法に特別の制約はなく、種々の形状や寸法とすることができる。また、上記収容ケースに形成される開口部の形状にも特別の制約はないが、通常は、電子部品連の搬送方向に沿った例えば長方形などの形状とすることが望ましい。
また、上記収容ケースに形成される付勢部材用の挿入口の形状にも特別の制約はなく、楕円形、長穴、スリット状貫通孔などの種々の形状とすることが可能である。
【0025】
また、請求項3のパッケージ電子部品のように、収容ケースを折り畳み可能に構成した場合、容積を小さくした状態で収容ケースを取り扱うことが可能になり、使用前の収容ケースの保管や、使用済みの収容ケースの回収工程などを効率よく行うことができる。
なお、収容ケースの折り畳みの態様には特別の制約はなく、具体的な収容ケースの形状などを考慮して折り畳みの態様を決定することが可能で、例えば、収容ケースの側面部の幅方向略中央が折り畳み部となるような態様で折り畳むように構成したり、所定の稜線部で折り畳むように構成したりすることが可能である。
なお、収容ケースを折り畳むことにより、総厚みを1.5mm程度にまで薄くすることが可能になり、従来のリールを用いていた場合に比べて、容積を、例えば1/10程度にまでに低減させることが可能になる。
【0026】
また、請求項4のパッケージ電子部品のように、収容ケースを展開可能に構成した場合にも、容積を小さくした状態で収容ケースを取り扱うことが可能になり、使用前の収容ケースの保管や、使用済みの収容ケースの回収工程などを効率よく行うことができる。
【0027】
また、本願発明においては、収容ケースを構成する材料に特別の制約はないが、請求項5のように、紙、樹脂、金属、紙と樹脂のコンポジット、および樹脂と金属のコンポジットからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものを用いることにより、本願発明の作用効果を十分に奏するパッケージ電子部品を得ることが可能になる。
特に、PP(ポリプロピレン)およびPS(ポリスチレン)は、市場性が高く、安価で入手が容易なこと、リサイクル性が高いこと、成形性、加工性が良好なことなどから、収容ケースの構成材料として最適である。
【0028】
また、請求項6のパッケージ電子部品のように、収容ケースに、電子部品マウンタの保持手段と係合する係合部を設けることにより、電子部品マウンタによりパッケージ電子部品を確実に保持して、パッケージ電子部品からの電子部品の安定した取り出しや実装を行うことが可能になる。
【0029】
また、請求項7のパッケージ電子部品のように、収容ケースの主面部の内面に、しぼ加工または凹凸パターン形成加工を施すようにした場合、電子部品連と収容ケースとの摩擦係数を低減し、不所望な引っ掛かりやそれに起因する、テープ状本体の収納穴に電子部品を収納し、封止用テープで封止している場合における封止用テープの剥がれなどを防止することが可能になり、信頼性を向上させることが可能になる。
【0030】
また、本願発明(請求項8)の電子部品マウンタは、請求項2〜7のパッケージ電子部品を保持する保持手段と、パッケージ電子部品を構成する収容ケースの開口部を介して送り穴に嵌合し、電子部品連を取出口方向へ送り出す搬送手段と、収容ケースに形成された挿入孔を介して挿入され、巻回された状態の電子部品連の外周面が、開口部の形成された収容ケースの側面部に当接するように側面部に向かって付勢する付勢手段と、取出口より取り出された電子部品連から、電子部品を真空吸引により取り出した後、所定の実装位置に電子部品を供給する吸引ヘッドとを備えているので、保持手段によりパッケージ電子部品を保持し、かつ、付勢手段により電子部品連の外周面を開口部が形成された収容ケースの側面部に向かって付勢しつつ、搬送手段により電子部品連を取出口方向へ搬送し、取出口より取り出した電子部品連から、吸引ヘッドにより電子部品を取り出して所定の実装位置に電子部品を確実に供給することが可能になる。したがって、パッケージ電子部品から電子部品を効率よく取り出して信頼性の高い実装を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品の構成を模式的に示す斜視図、図2(a)はその平面図、図2(b)は電子部品連の構造を示す断面図、図3(a),(b),(c)は本願発明のパッケージ電子部品を構成する収容ケースを折り畳んだ状態を示す図である。
【0033】
図1,図2(a),(b)に示すように、この実施例1のパッケージ電子部品14は、長手方向に沿って配設された複数の収納穴1に電子部品2が収納されたテープ状本体3を多重に巻回した電子部品連4が、収容ケース5に収容された構造を有している。なお、テープ状本体3には、自動送りを可能にするため、長手方向に沿って送り穴11が形成されている。また、電子部品連4の収納穴1は、電子部品2が脱落しないように、封止テープ9(図2(a),(b))により封止されている。
【0034】
そして、収容ケース5は、ポリエチレン製で、互いに対向する2つの主面部6と、主面部6に直交する側面部7を有し、側面部7の幅は多重に巻回した電子部品連4の厚みと略等しく、かつ、図2(a)における上面側の側面部7(7a)には、電子部品連4を取り出すための取出口8が形成されている。なお、取出口8は、図2(a)に示すように、上面側の側面部7aに、コ字状に切り目29を設け、切り目29の形成されていない部分を収容ケース5の内側に折り曲げることにより形成されており、図1に示すように、収容ケース5の内側に折り曲げた折り曲げ片30が電子部品連4を支持するとともに、所定の方向に取り出すことができるように電子部品連4をガイドする機能を果たすように構成されている。
【0035】
なお、収容ケース5は、幅が8mmの電子部品連4を用いるためのものにおいて、主面部6の一辺の寸法が100〜200mm、厚みが10mm以下程度(電子部品連4の幅+2mm程度)となる。例えば、電子部品連4の幅が16mmの場合、収容ケース5の厚みは約18mm、電子部品連4の幅が32mmの場合、収容ケース5の厚みは約34mmとなる。
【0036】
また、収容ケースを構成する材料が、例えばポリプロピレンやポリスチレンである場合、0.2〜0.8mm程度の厚みで、収容ケース5として必要な剛性を確保できることが確認されている。
【0037】
また、収容ケース5の側面部7(7a)には、テープ状本体3(電子部品連4)に形成された送り穴11を露出させる開口部10が形成されており、電子部品マウンタ20のスプロケット12(図12)のピン(スプロケットピン)13を上記送り穴11に係合させてスプロケット12を回転させることにより、自動的に電子部品連4を取り出すことができるように構成されている。
【0038】
また、収容ケース5の主面部(図1における奥側の主面部)6の、開口部10が形成された側面部7(7a)と対向する対向側面部7(7b)(図1)寄りの位置から、主面部6の中央部にかけては、電子部品マウンタ20(図12)の付勢部材15を挿入する挿入孔16が形成されており、付勢部材15により、電子部品連4を付勢して、電子部品連4の上側の外周面4aを上面側の側面部7(7a)に当接させることができるように構成されている。このように、電子部品連4を付勢して、電子部品連4の上側の外周面4aを側面部7(7a)に当接した状態とすることにより、スプロケットピン13(図12)を送り穴11に確実に係合させることが可能になり、取出口8から電子部品連4を接線方向に確実に取り出すことができるようになる。
【0039】
また、収容ケース5は、図3(a),(b),(c)に示すように、側面部7の幅方向略中央が折り畳み部7Lとなるように折り畳み可能に構成されている。
【0040】
なお、図3(a)は内部に電子部品連を収容した状態の収容ケース5を示す側面図、図3(b)は、電子部品連を収納する前または取り出した後に収容ケース5を折り畳んだ状態を示す側面図、図3(c)は電子部品連を収納する前または取り出した後に折り畳んだ収容ケース5の要部を示す正面透視図である。図3(a),(b),(c)に示すように、内部に電子部品連を収容した状態(図3(a))に比べて、収容ケース5を折り畳んだ状態(図3(b))においては、その容積を十分に小さくすることが可能になる。また、側面部7の幅方向略中央の折り畳み部7Lが谷折りとなる(すなわち内側に折れ曲がる)ように構成されているので、主面部6側から見た場合の面積(平面面積)が大きくなることもなく、十分に小型化を図ることができる。
【0041】
また、折り畳みの態様としては、上述のように、側面部7の幅方向略中央が谷折りの折り畳み部となる態様に限らず、図4に示すように、収容ケース5の下側の一つの稜線部7Rを折り畳み部として折り畳む一方、左右両側と上側を展開するような構成とすることも可能である。
【0042】
また、収容ケース5は、図5に示すように、展開可能に構成することも可能である。図5に示すように展開可能に構成した場合にも、内部に電子部品連を収容した状態(図3(a)参照)に比べて、収容ケース5の容積を十分に小さくすることが可能になる。
【0043】
さらに、図1に示すように、収容ケース5の下部両端側には、電子部品マウンタ20の保持手段19(図12)と係合する係合部17が設けられており、保持手段19によりパッケージ電子部品14を保持した状態で保持手段19を移動させることによりパッケージ電子部品14を移動させることができるように構成されている。
【0044】
なお、係合部17は、図6(a)に示すように、収容ケース5の下部の一端側にのみ設けることも可能であり、また、図6(b)に示すように、係合部17をジグザグ形状の構造とすることも可能である。
また、図7に示すように、収容ケース5の下部にローラ23を取り付けて、このローラ23を介して収容ケース5を移動させるように構成することも可能である。
【0045】
また、この実施例1の収容ケース5においては、図8(a)に示すように、収容ケース5の主面部6の内面側に、円形の凸部(円弧部分が凸部となっている)24aとその内側に形成された十文字形状の凸部24bを設けて、電子部品連4と収容ケース5との摩擦係数を低減し、不所望な引っ掛かりやそれに起因する、封止テープ9の剥がれなどを防止することができるように構成されている。
なお、凸部の形状に特別の制約はなく、例えば、図8(b)に示すような楕円形を組み合わせたような形状の凸部24cを設けることも可能である。
また、図9(a)に示すように、複数の円形の突起25を設けたり、図9(b)に示すように、しぼ加工26を施したりすることによっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
なお、この実施例1では上述のようにポリプロピレン製の収容ケース5を用いたが、収容ケース5は、ポリプロピレン製のものに限らず、ポリアミド樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などの種々の樹脂を用いることが可能である。また、樹脂以外にも、金属、紙と樹脂のコンポジット、樹脂と金属のコンポジットなどからなるものを用いることが可能である。
【0047】
また、静電防止の目的で、カーボンや界面活性剤やイオン形の静電防止剤の練り込み、印刷、塗布など行うことも可能である。
また、収容ケース5の、電子部品マウンタ20への取付部分や自動搬送手段との係合部など、耐久性や形状精度が要求される部分には、金属インサート成型などの方法を用いて、必要な耐久性や形状精度などを確保することができ。
【0048】
また、本願発明のパッケージ電子部品14においては、図10に示すように、収容ケース5の表面に製品の特性や規格などを示す文字表示(文字の印刷や文字を印刷したラベルの貼り付けなどによる表示)27を施したり、バーコード28を付したり、製品の特性を示すICチップ31を取り付けたりすることが可能であり、製品の種類などの確認の信頼性を向上させることができる。なお、文字表示やバーコードなどを収容ケースの複数の面に施すことにより、さらに視認性を向上させることが可能になる。
【0049】
上述のように構成されたパッケージ電子部品14によれば、リール(巻芯およびフランジ)を必要とすることなく、電子部品連4から電子部品2を供給して、効率よく信頼性の高い実装を行うことが可能になる。
また、上記パッケージ電子部品14はリールを用いていないので、小型化を図ることが可能になるとともに、リールを廃棄する場合に生じるような廃棄物を減らして環境への負荷の軽減や資源の有効利用などを図ることができる。
また、搬送手段12により電子部品連4を搬送して取り出すことができるため、手動で電子部品連4を取り出す必要がなく、実装工程における作業性を向上させることが可能になり、生産性を高めることができる。
【0050】
また、図11(a),(b)は本願発明の変形例にかかるパッケージ電子部品の要部構成を示す図である。このパッケージ電子部品14は、電子部品連4を取り出すための取出口8が収容ケース5の垂直方向の側面部7(7c)に配設されている。そして、この取出口8は側面部7(7c)に、コ字状に切り目29を設け、切り目29の形成されていない部分を収容ケース5の内側に折り曲げることにより形成されており、収容ケース5の内側に折り曲げた折り曲げ片30が、電子部品連4の供給の初期には電子部品連4を支持するとともに、所定の方向に取り出すことができるように電子部品連4をガイドする機能を果たすように構成されている。なお、図11において、図1と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。
【実施例2】
【0051】
図12は本願発明の一実施例(実施例2)にかかる電子部品マウンタの構成を模式的に示す図である。
【0052】
図12に示す電子部品マウンタ20は、上述のように構成されたパッケージ電子部品14から電子部品2を基板18に搭載するための実装装置であり、パッケージ電子部品14の係合部17と係合して、パッケージ電子部品14を保持する保持手段19と、パッケージ電子部品14の開口部10を介して送り穴11に嵌合し、電子部品連4を取出口8の方向へ送る搬送手段(この実施例2ではスプロケットピン13を備えたスプロケット)12と、挿入孔16を介して挿入され、巻回された状態の電子部品連4の外周面を開口部10が形成された収容ケース5の側面部7(7a)に向かって付勢する付勢手段(この実施例2ではローラ)15と、取出口8より取り出した電子部品連4から、電子部品2を真空吸引により取り出した後、基板18上の所定位置(実装位置)に電子部品2を供給する吸引ヘッド21と、保持手段19により保持された状態で保持手段19を移動させることによりパッケージ電子部品14がその上を移動するフィーダテーブル22を備えている。なお、この電子部品マウンタ20は、図12には示していないが、電子部品が収納された電子部品連4の収納穴を封止する封止テープ9(図2(a),(b)参照)を剥離させる剥離手段を備えている。
【0053】
上述のように構成された電子部品マウンタを用いることにより、保持手段19によってパッケージ電子部品14を保持し、かつ、付勢手段(ローラ)15により電子部品連4の外周面を、開口部8(図2)が形成された収容ケース5の側面部7(7a)に向かって付勢しつつ、搬送手段(スプロケット)12のスプロケットピン13を電子部品連4の送り穴11(図2)に係合させてスプロケット12を回転させることにより、電子部品連4を取出口8(図2)の方向へ搬送して、取出口8より取り出した電子部品連4から、吸引ヘッド21により電子部品2を取り出して基板18の実装位置に電子部品2を確実に供給して、信頼性の高い実装を行うことが可能になる。また、この電子部品マウンタ20において用いられるパッケージ電子部品14は、リールを用いておらず小型であることから、電子部品マウンタ20の小型化を図ることが可能になる。
【0054】
なお、本願発明は、上記実施例1および2に限定されるものではなく、複数の収納穴に電子部品が収納された電子部品連の具体的な構成、電子部品の種類、電子部品連を収容する収容ケースの具体的な構成(例えば、電子部品連の厚み、取出口の形状や寸法など)や、電子部品マウンタを構成する保持手段、搬送手段、付勢手段、吸引ヘッドなどの具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上述のように、本願発明によれば、リールを用いることなく、収容ケースから電子部品連を確実に取り出して、電子部品を供給することが可能なパッケージ電子部品を提供することが可能になるとともに、本願発明の電子部品マウンタを用いることにより、本願発明のパッケージ電子部品から電子部品を確実に取り出して、所定の実装位置に電子部品を安定して供給することが可能になり、信頼性の高い実装を行うことが可能になる。
したがって、本願発明は、電子部品マウンタを用いて実装される電子部品をテープに保持した電子部品連(パッケージ電子部品)およびそれを用いて電子部品の実装を行う電子機器の製造工程などに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本願発明の一実施例(実施例1)にかかるパッケージ電子部品の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品の平面図、(b)は電子部品連の構造を示す断面図である。
【図3】(a),(b),(c)は本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースを折り畳んだ状態を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースの折り畳み態様の変形例を示す図である。
【図5】本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースの主要部を展開した状態を示す図である。
【図6】(a),(b)は、本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品に設けられる係合部の変形例を示す図である。
【図7】本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品にローラを取り付けた状態を示す図である。
【図8】(a)は、本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースの主面部の内面側に、円形の凸部(円弧部分が凸部となっている)と、十文字形状の凸部を設けた状態を示す図、(b)は2つの楕円形を組み合わせた形状の凸部を設けた状態を示す図である。
【図9】(a)は、本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースの主面部の内面側に、複数の円形の突起を設けた状態を示す図、(b)は、しぼ加工を施した状態を示す図である。
【図10】本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品を構成する収容ケースの外側表面に製品の特性や規格などを示す文字表示、バーコードおよびICチップを配設した状態を示す図である。
【図11】本願発明の一実施例にかかるパッケージ電子部品の変形例を示す図であり、(a)は収容ケースの要部を示す斜視図、(b)は要部構成を示す正面断面図である。
【図12】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる電子部品マウンタの構成を模式的に示す図である。
【図13】従来の電子部品連を示す斜視図である。
【図14】従来のテーピング電子部品連を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 収納穴
2 電子部品
3 テープ状本体
4 電子部品連
4a 電子部品連の上側の外周面
5 収容ケース
6 主面部
7 側面部
7(7a) 上面側の側面部
7(7b) 対向側面部
7(7c) 垂直方向の側面部
7L 折り畳み部
7R 稜線部
8 取出口
9 封止テープ
10 開口部
11 送り穴
12 搬送手段(スプロケット)
13 ピン(スプロケットピン)
14 パッケージ電子部品
15 付勢手段(付勢部材、ローラ)
16 挿入孔
17 係合部
18 基板
19 保持手段
20 電子部品マウンタ
21 吸引ヘッド
22 フィーダテーブル
23 ローラ
24a 円形の凸部
24b 十文字形状の凸部
24c 楕円形を組み合わせたような形状の凸部
25 複数の円形の突起
26 しぼ加工
27 文字表示
28 バーコード
29 切り目
30 折り曲げ片
31 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)長手方向に沿って配設された複数の収納穴に電子部品が収納されたテープ状本体を多重に巻回した電子部品連と、
(b)前記電子部品連を収容する収容ケースであって、
互いに対向する2つの主面部と、主面部に直交する側面部を有し、
前記側面部の幅は前記多重に巻回した電子部品連の厚みと略等しく、かつ、
前記側面部には、電子部品連を取り出すための取出口が形成されており、
前記取出口から電子部品連を順次取り出すことができるように構成された収容ケースと
を具備することを特徴とするパッケージ電子部品。
【請求項2】
前記電子部品連のテープ状本体には、長手方向に沿って送り穴が形成されており、
前記収容ケースの側面部の、前記電子部品連が当接する位置には、前記テープ状本体に形成された送り穴を露出させる開口部が形成されているとともに、
前記収容ケースの主面部の、前記開口部が形成された側面部と対向する対向側面部寄りの位置から主面部の中央部にかけて、前記電子部品連を支持・付勢して、前記電子部品連の外周面を前記側面部に当接させる付勢部材を挿入するための挿入孔が形成されていること
を特徴とする請求項1記載のパッケージ電子部品。
【請求項3】
前記収容ケースが折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のパッケージ電子部品。
【請求項4】
前記収容ケースが展開可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のパッケージ電子部品。
【請求項5】
前記収容ケースが、紙、樹脂、金属、紙と樹脂のコンポジット、および樹脂と金属のコンポジットからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパッケージ電子部品。
【請求項6】
前記収容ケースには、電子部品マウンタの保持手段と係合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパッケージ電子部品。
【請求項7】
前記収容ケースの主面部の内面に、しぼ加工または凹凸パターン形成加工が施されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパッケージ電子部品。
【請求項8】
請求項2〜7のパッケージ電子部品を保持する保持手段と、
パッケージ電子部品を構成する前記収容ケースの前記開口部を介して前記送り穴に嵌合し、前記電子部品連を前記取出口方向に送り出す搬送手段と、
前記収容ケースに形成された前記挿入口を介して挿入され、巻回された状態の前記電子部品連の外周面が、前記開口部の形成された収容ケースの側面部に当接するように側面部に向かって付勢する付勢手段と、
前記収容ケースに形成された前記取出口より取り出された前記電子部品連から、前記電子部品を真空吸引により取り出した後、所定の実装位置に電子部品を供給する吸引ヘッドと
を具備することを特徴とする電子部品マウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−114764(P2006−114764A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301743(P2004−301743)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】