説明

パラレルメカニズム機械の制御方法及び制御装置

【課題】回転抵抗による機構要素の変形誤差の影響を除去し、機構パラメータの推定精度を向上可能なパラレルメカニズム機械の制御方法等を提供する。
【解決手段】パラレルメカニズム機械は、第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備える。制御手段は、エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定し、その計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータによって駆動される複数のストラットにより、これらとジョイントを介して接続されたエンドエフェクタを移動可能なパラレルメカニズム機械の制御方法、及びこの方法を実行可能な制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパラレルメカニズム機械の制御方法として、下記特許文献1に記載された方法が知られている。この方法では、パラレルメカニズム機械において、加工時における切削抵抗を求めることを目的とし、アクチュエータによって積極的に駆動される能動軸の送り抵抗の影響に加え、アクチュエータによって積極的に駆動されない受動軸に発生する回転抵抗及び慣性項や重力項をパラメータとして外乱をモデル化し、外乱オブザーバを用いて各パラメータを同定することで加工精度を向上する。ここで、この方法では全ての受動軸を対象とせず、一部についてのみモデル化を行っている。
【0003】
又、従来の工作機械の制御装置として、下記特許文献2に記載されたものが知られている。この装置は、パラレルメカニズム機械に注目した制御をするものではなく、工作機械一般のアクチュエータの負荷を用いて診断する制御を行う。この制御では、工作機械が正常である際に、予めアクチュエータの負荷について正常時測定データを得ておき、この正常時測定データと診断時の測定データを比較することで診断を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−11752号公報
【特許文献2】特開平5−285788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の方法では、能動軸の送り抵抗に加えて受動軸の回転抵抗を考慮する点である程度は精度が向上するものの、対象とならない受動軸の影響については考慮されないので、条件によってはその分誤差が大きくなる。又、前記従来の方法では、前記要因との組合せで回転抵抗が同定されるので、前記要因からの影響と受動軸の影響とが渾然一体となり、条件によって誤差が大きくなるし、受動軸における回転抵抗の実測値を用いた補償をしようとしても、前記要因との干渉が生じるために高精度の補償を得られない可能性がある。
【0006】
そこで、請求項1、請求項2に記載の発明の課題は、回転抵抗による機構要素の変形誤差の影響を除去し、機構パラメータの推定精度を向上可能なパラレルメカニズム機械の制御方法、制御装置を提供することにある。
【0007】
又、請求項4、請求項11に記載の発明の課題は、上記課題に加えて、全受動軸を考慮の対象として選択可能とし、慣性や重力等の影響から独立したモデルを構築することで、純粋に回転抵抗による影響のみを抜き出した補償をすることで、エンドエフェクタの位置や姿勢をより一層高精度に決定可能としたパラレルメカニズム機械の制御方法、制御装置を提供することにある。
【0008】
一方、特許文献2のような従来の装置をパラレルメカニズム機械に単に適用したとしても、従来の装置では予め取得された正常時測定データに係る測定条件でしか診断を行うことができないため、パラレルメカニズム機械の状態によって診断時の測定条件が制限され、かつその測定条件が正常時測定データに係る測定条件と異なる場合に正確な診断を行うことが困難であるし、特定のストラットあるいはジョイントを対象とした詳細な診断を行う場合に、どのような測定条件での正常時測定データを得ておけば良いか明らかでなく、特定のストラットあるいはジョイントに対する正確な診断の実施も困難である。又、正常時のデータを比較して正常/異常の判別を行うことは可能でも、異常の発生したストラットあるいはジョイントの特定は困難である。
【0009】
又、パラレルメカニズム機械を診断する場合、異常個所を特定する観点から、制御装置は各ジョイントの回転抵抗の増大を把握する必要があるが、ジョイントの回転抵抗値を得るにはジョイントを分解した上で実測する他ない。
【0010】
そこで、請求項3、請求項10に記載の発明の課題は、各ジョイントの回転抵抗値を容易かつ精度良く得ることのできるパラレルメカニズム機械の制御方法、制御装置を提供することにある。
【0011】
又、請求項9、請求項16に記載の発明の課題は、上記課題に加えて、診断に際し、得られた回転抵抗値を利用することで、より正確で異常個所の特定も可能なパラレルメカニズム機械の診断制御方法、診断制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械にあって、エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定しキャリブレーションする方法であって、制御手段による機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味することを特徴とするものである。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械にあって、制御手段は、エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定することでキャリブレーションし、当該キャリブレーションに係る機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味することを特徴とするものである。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械についての制御方法であって、負荷検出器により検出される負荷に基づいて、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定することを特徴とするものである。
【0015】
上記課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、外部に固定されるベースと、第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するアクチュエータと、第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械の制御方法であって、パラレルメカニズム機械における所定の機構パラメータに基づいて、エンドエフェクタの位置指令値及び姿勢指令値に対する各アクチュエータ指令値を求める第1ステップと、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を回転抵抗値記憶手段から取得する第2ステップと、回転抵抗値を用いて各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントを計算する第3ステップと、各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントからエンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを求める第4ステップと、エンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを用いて機構の弾性変形量を計算し、その値を用いてアクチュエータ指令値の補償量を計算する第5ステップと、第1ステップで求めたアクチュエータ指令値について、第5ステップで求めた補償量を加味して更新する第6ステップとを有するパラレルメカニズム機械の制御方法にあって、上記発明によって推定される回転抵抗値を用いることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、上記課題に加えて、少ない計算量で精度の良い効率的な補償を行う制御方法を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、第3ステップにおいて、ストラット、第1ユニバーサルジョイント、第2ユニバーサルジョイントからなるリンクをそれぞれ独立したシリアルリンク機構とみなし、それぞれのシリアルリンク機構におけるユニバーサルジョイントの回転抵抗によってストラットとエンドエフェクタとの接続部に作用する力及びモーメントを計算することを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、上記課題に加えて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時においても精度の良い補償を行う制御方法を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、第3ステップにおいて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時における回転抵抗値の変化を線形関数で近似することを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、上記課題に加えて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時においても精度の良い補償をより少ない計算量で効率的に行う制御方法を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、第3ステップにおいて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時において反転する回転軸の回転抵抗値に対し移動平均処理を行うことを特徴とするものである。
【0019】
請求項8に記載の発明は、上記課題に加えて、パラレルメカニズム機械の状態に合わせた補償パラメータの自動的な更新を実現するため、上記発明において、制御手段は、回転抵抗値記憶手段における推定した回転抵抗値の記憶を更新することを特徴とするものである。
【0020】
上記課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、上記発明において、推定した第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの各回転抵抗値について、所定の閾値を超えた場合には、その回転抵抗値に係る第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントに異常が発生していると判定することを特徴とするものである。
【0021】
上記課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械についての制御装置であって、負荷検出器により検出される負荷に基づいて、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定することを特徴とするものである。
【0022】
上記課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、外部に固定されるベースと、第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するアクチュエータと、第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械の制御装置であって、パラレルメカニズム機械における所定の機構パラメータに基づいて、エンドエフェクタの位置指令値及び姿勢指令値に対する各アクチュエータ指令値を求めるアクチュエータ指令値計算手段と、回転抵抗値記憶手段から取得した回転抵抗値を用いて各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントを計算し、各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントからエンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを求める合力演算手段と、エンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを用いて機構の弾性変形量を計算し、その値を用いてアクチュエータ指令値の補償量を計算する補償量演算手段と、アクチュエータ指令値計算手段で求めたアクチュエータ指令値について、補償量演算手段で求めた補償量を加味して更新する前記制御手段とを有するパラレルメカニズム機械の制御装置にあって、上記発明によって推定される回転抵抗値を用いることを特徴とするものである。
【0023】
請求項12に記載の発明は、上記課題に加えて、少ない計算量で精度の良い効率的な補償を行う制御装置を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、合力演算手段は、ストラット、第1ユニバーサルジョイント、第2ユニバーサルジョイントからなるリンクをそれぞれ独立したシリアルリンク機構とみなし、それぞれのシリアルリンク機構におけるユニバーサルジョイントの回転抵抗によってストラットとエンドエフェクタとの接続部に作用する力及びモーメントを計算することを特徴とするものである。
【0024】
請求項13に記載の発明は、上記課題に加えて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時においても精度の良い補償を行う制御方法を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、合力演算手段は、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時における回転抵抗値の変化を線形関数で近似することを特徴とするものである。
【0025】
請求項14に記載の発明は、上記課題に加えて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時においても精度の良い補償をより少ない計算量で効率的に行う制御方法を提供する課題を達成するため、上記発明にあって、合力演算手段は、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時において反転する回転軸の回転抵抗値に対し移動平均処理を行うことを特徴とするものである。
【0026】
請求項15に記載の発明は、上記課題に加えて、パラレルメカニズム機械の状態に合わせた補償パラメータの自動的な更新を実現するため、上記発明にあって、回転抵抗値記憶手段における推定した回転抵抗値の記憶を更新することを特徴とするものである。
【0027】
上記課題を解決するために、請求項16に記載の発明は、上記発明にあって、推定した第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの各回転抵抗値について、所定の閾値を超えた場合には、その回転抵抗値に係る第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントに異常が発生していると判定することを特徴とするものである。
【0028】
なお、外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械についての制御方法にあって、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗によりエンドエフェクタに作用する内力に関し、各第1ユニバーサルジョイント、対応するストラット、対応する第2ユニバーサルジョイントを含む各脚軸系について、シリアルリンク機構とみなすことで、各脚軸系に係るヤコビ行列並びに第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗ベクトルを用いて表した式と、パラレルリンク機構の静力学的関係から、パラレルリンク機構のヤコビ行列及び各アクチュエータの負荷ベクトルを用いて表した式とが等しいことに基づいて、負荷検出器により検出される負荷より構成した負荷ベクトルから、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗ベクトルを求めることで、当該回転抵抗ベクトルの構成要素としての第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定しても良い。
【0029】
また、外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械における、アクチュエータを制御する制御装置にあって、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗によりエンドエフェクタに作用する内力に関し、各第1ユニバーサルジョイント、対応するストラット、対応する第2ユニバーサルジョイントを含む各脚軸系について、シリアルリンク機構とみなすことで、各脚軸系に係るヤコビ行列並びに第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗ベクトルを用いて表した式と、パラレルリンク機構の静力学的関係から、パラレルリンク機構のヤコビ行列及び各アクチュエータの負荷ベクトルを用いて表した式とが等しいことに基づいて、負荷検出器により検出される負荷より構成した負荷ベクトルから、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗ベクトルを求めることで、当該回転抵抗ベクトルの構成要素としての第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定しても良い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、全受動軸についての回転抵抗の影響を選択的に考慮した補償をし、慣性や重力等の影響から独立したモデルを構築して純粋に回転抵抗による影響のみを抜き出した補償をすることで、エンドエフェクタの位置や姿勢をより一層高精度に決定可能としたパラレルメカニズム機械の制御方法及び制御装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0031】
又、本発明によれば、キャリブレーションに係る機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味するので、回転抵抗による機構要素の変形誤差の影響を除去し、機構パラメータの推定精度をより一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の制御方法により制御されるパラレルメカニズム機械の一部透視斜視図である。
【図2】図1における脚軸を示す説明図である。
【図3】本発明の内のアクチュエータ指令値の補償に係る制御装置のブロック図である。
【図4】本発明のの内のアクチュエータ指令値の補償に係る制御方法に関する実施形態のフローチャートである。
【図5】図1における第2ユニバーサルジョイントに係る回転軸ないしユニバーサルジョイント軸の説明図である。
【図6】図1における第1及び第2ユニバーサルジョイントに係る回転中心変位とストラット軸ベクトルの関係の説明図である。
【図7】図1のパラレルメカニズム機械において、(a)本発明を適用しない場合、(b)本発明を適用した場合における、DBB法による真円度測定結果のグラフである。
【図8】線形近似を行わない場合における第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗の遷移の一例を示すグラフである。
【図9】第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗によるボールねじの変形を示す模式図である。
【図10】線形近似を行った場合における第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗の遷移の一例を示すグラフである。
【図11】(a)線形近似を行わない場合、(b)線形近似を行った場合における、DBB法による推定誤差値のグラフである。
【図12】(a)線形近似を行わない場合、(b)線形近似を行った場合における、DBB法におけるサーボモータ負荷に係るグラフである。
【図13】第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗によりDBB軌跡に現れる変形誤差量の一例を示すグラフである。
【図14】図1のパラレルメカニズム機械に対するキャリブレーションに係る実施形態のフローチャートである。
【図15】(a)図14のキャリブレーションを行わない場合、(b)図14のキャリブレーションを行った場合における、DBB法における真円度測定結果のグラフである。
【図16】図1における第1ユニバーサルジョイントを示す説明図である。
【図17】図1における第2ユニバーサルジョイントを示す説明図である。
【図18】本発明の内の回転抵抗値の推定に係る制御装置及び制御対象の一部のブロック図である。
【図19】本発明の内の回転抵抗値の推定に係る制御方法に関する実施形態のフローチャートである。
【図20】本発明の内の回転抵抗値の推定に係る制御方法に関する実施形態のフローチャートである。
【図21】図1のパラレルメカニズム機械における、ある脚軸系の回転抵抗値の測定値と本発明に係る推定値とを示すグラフである。
【図22】(a)〜(f)は、対応するサーボモータにおける負荷の実測値と推定値とを示すグラフである。
【図23】DBB軌跡の実測値と、本発明に係る推定値から求めたDBB軌跡とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係るパラレルメカニズム機械につき、適宜図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は6自由度スチュワートプラットフォーム型のパラレルメカニズム機械の説明図であって、このパラレルメカニズム機械は、床に固定されるベースとしてのフレーム1と、フレーム1に固定される6個の第1ユニバーサルジョイント2a〜2fと、各第1ユニバーサルジョイント2a〜2fに接続されるアクチュエータとしてのサーボモータ3a〜3fと、各サーボモータ3a〜3fにより駆動されるストラットとしてのボールねじ4a〜4fと、各ボールねじ4a〜4fの下端に接続される第2ユニバーサルジョイント5a〜5fと、第2ユニバーサルジョイント5a〜5fを有する1個のエンドエフェクタ6と、エンドエフェクタ6の対向位置においてフレーム1に固定されたテーブル7を備えている。
【0035】
エンドエフェクタ6は、下面に、刃具取付部及び刃具回転機構を備えている。テーブル7は、加工物を固定する機構を備えている。そして、各サーボモータ3a〜3fには、基準状態からの回転角度ないし回転数に対応した数値を出力する図示しないエンコーダが取り付けられ、エンコーダが出力した情報は、制御手段16(図3)にフィードバックされるようになっている。
【0036】
又、パラレルメカニズム機械1は、第1ユニバーサルジョイント2aと、サーボモータ3aと、ボールねじ4aと、第2ユニバーサルジョイント5aとからなる脚軸系の構成や、同様になる脚軸系の構成を、合計6組備えている。以下、各脚軸において同様である場合、主に記号のうちa〜fを除いて示す代表例で説明する。なお、図2に1組の脚軸を示す。
【0037】
第1ユニバーサルジョイント2は、回転2自由度である三重のリングを用いたジンバル構造となっている。最外方のリングはフレーム1に固定され、放射方向の軸を受ける軸受を内側に内包する。又、軸を有する中央のリングが、最外方のリングの軸受にこの軸を受けさせることでジョイントとして取り付けられている。更に、最外方及び中央のリングと同様にして、中央と最内方のリングがジョイントとして取り付けられている。ただし、最内方のリングの軸の方向は中央のリングの軸の方向と直交している。このように、2個のジョイントの組合わせで2自由度の第1ユニバーサルジョイント2が形成されている。
【0038】
第2ユニバーサルジョイント5は、回転3自由度であるフランジ、2本のシャフト、及びロッドを含む。フランジ31(図5)は、エンドエフェクタ6の下面と直交する側面に垂直に固定されている。シャフト32(図5)は、軸受を介してフランジ31に取付けられており、エンドエフェクタ6の側面に垂直な回転軸周りに回転する。ロッド33(図5)は、軸受を介してシャフト32に取付けられており、前記回転軸と直交する回転軸周りに回転する。なお、ロッド33は、シャフト32に取付けられており、自身の軸周りに回転する軸受を内包していて、この軸受にボールねじ4が接続される。このように、3個の軸受(ジョイント)の組合わせで3自由度の第2ユニバーサルジョイント5が形成されている。
【0039】
そして、パラレルメカニズム機械1の脚軸系は閉ループを形成し、又、各脚軸系は、次に示すように、1つの能動軸と5つの受動軸を持つ6自由度シリアルリンク機構とみなすことができる。即ち、各脚軸系は、サーボモータ3により能動軸となるボールねじ4と、回転2自由度の受動軸である第1ユニバーサルジョイント2と、回転3自由度の受動軸である第2ユニバーサルジョイント5を備えており、全体として1つの能動軸及び5つの受動軸を備えている。
【0040】
図3はパラレルメカニズム機械の制御装置のブロック図である。制御装置は、CPU(図示せず)と、CPUが制御のために実行するプログラムの各ステップ等を一時的に記憶するメモリ(図示せず)と、各種情報を表示する表示部(図示せず)と、各種入力を受付ける入力部(図示せず)と、プログラム等を記憶する記憶手段(図示せず)と、これらとCPUとのインターフェイス(図示せず)と、各サーボモータ3(アクチュエータ)とCPUとのインターフェイス17と、サーボモータ3毎のドライブユニット(図示せず)とを備えている。記憶手段には、プログラムの一部としての、ジョイント回転軸角度演算手段10、合力演算手段11、回転抵抗値記憶手段12、エンドエフェクタ指令値計算手段13、補償量演算手段14、アクチュエータ指令値計算手段15が記憶されている。
【0041】
このようになるパラレルメカニズム機械1の制御装置が実行する制御方法に係るフローチャートを図4に示す。まず、第1ステップとしてのステップS1において、制御装置のアクチュエータ指令値計算手段15は、エンドエフェクタ6の位置及び姿勢の指令値Xrefに基づき、各サーボモータ3の指令値lを計算する。パラレルメカニズム機械1における機構パラメータは、第1ユニバーサルジョイント2の回転中心位置ベクトルQ(i:1〜6、順に記号a〜fに係る部材に対応、以下同様)、エンドエフェクタ6に係る座標系での各第2ユニバーサルジョイント5の回転中心位置ベクトルR、ストラット基準長lBiである。アクチュエータ指令値計算手段15は、エンドエフェクタ6の位置指令値(x,y,z)および姿勢指令値(a,b,c)をまとめた指令値Xref(x,y,z,a,b,c)から、下記[数1]によって、ストラット長指令値lを求める。ここで、EはXrefに関する平行移動および回転移動を合成した行列である。
【0042】
【数1】

【0043】
なお、ジョイント回転軸角度演算手段10は、各脚軸系の第1,第2ユニバーサルジョイント2,5の回転軸角度θを演算する。回転軸角度θは、ボールねじ4の長さも表す。
【0044】
次に、第2ステップとしてのステップS2において、受動軸の回転抵抗値記憶手段12に記憶されている各受動軸の回転抵抗測定値である回転抵抗fを取得する。任意のジョイントを考慮の対象から外す場合は、該当するfの成分を0とする。これにより、考慮するジョイントを任意に選択することができる。
【0045】
続いて、パラレルメカニズム機械1の各脚軸系における受動軸の影響を解析するために、各脚軸系を前記の通り6自由度シリアルリンク機構と仮想し、次の[数2]により各受動軸の回転抵抗値を用いて第2ユニバーサルジョイント5に作用する力及びモーメントを計算する(第3ステップとしてのステップS3)。
【0046】
【数2】

【0047】
更に、第4ステップとしてのステップS4において、制御装置の合力演算手段11は、ステップS3で求めたリンク先端に作用する力及びモーメントから、エンドエフェクタ6へ作用する内力の合力及び合モーメント(F)を、次の[数3]に示す通りに求める。ここで、Tは第2ユニバーサルジョイント5からエンドエフェクタ6への変換行列を表し、下記[数4]で定義される。
【0048】
【数3】

【数4】

【0049】
そして、制御装置の補償量演算手段14は、ステップS4で求めたエンドエフェクタ6に作用する合力・合モーメントFを用いて、本願出願人による先の出願に係る特開2005−186210に記載された手法により各サーボモータ3の制御量の補正値を計算し、エンドエフェクタ6の変位量の補正を行う(ステップS5,S6)。より詳しくは、次の通りとなる。
【0050】
即ち、第5ステップとしてのステップS5において、パラレルメカニズム機械1における機構パラメータ、エンドエフェクタ6の位置及び姿勢の指令値から公知の方式により決定される6行6列のヤコビアンマトリックスJと、各ストラット軸方向の荷重wからなる荷重ベクトルW及び上記合力Fとには下記[数5]の関係があるため、ヤコビアンマトリックスJの逆行列J−1を求めれば、下記[数6]となり、荷重ベクトルWが求まり、各ストラット軸方向の荷重wが求まる。なお、荷重ベクトルWは、下記[数7]である。
【0051】
【数5】

【数6】

【数7】

【0052】
更に、補償量演算手段14は、上記のように算出したストラット軸方向の荷重を、両ユニバーサルジョイント2,5における個々のジョイントの軸方向(ユニバーサルジョイント軸の方向)に分解する演算を行う。図5は第2ユニバーサルジョイント5のモデルであり、第2ユニバーサルジョイント5の回転軸P,P,Uとは別に、エンドエフェクタ6に固定されたユニバーサルジョイント軸P,P,Pを定義する。ただしUはストラット軸方向(ボールねじ4の方向)の単位ベクトルである。ユニバーサルジョイント軸P〜Pは同一直交点において互いに直交して直交座標系を規定し、その直交点は回転軸P〜Pの直交点と同一であるが、図中においてはわかりやすいようにずらして図示している。又、回転軸Pとユニバーサルジョイント軸Pを同一方向にとり、エンドエフェクタ6の下面と平行にユニバーサルジョイント軸Pをとり、エンドエフェクタ6の下面と垂直にユニバーサルジョイント軸Pをとる。
【0053】
算出した各ストラット軸方向の荷重は、第2ユニバーサルジョイント5に働く。制御装置は、この荷重を、第2ユニバーサルジョイント5が取付けられるエンドエフェクタ6に固定されたユニバーサルジョイント軸P〜Pの各方向に分解する。この分解は、下記[数8]によって行われる。なお、ユニバーサルジョイント軸P,P,Pは、エンドエフェクタ6の位置及び姿勢により変化し、第2ユニバーサルジョイント5のエンドエフェクタ6における取付面毎(取付角度毎)に異なるものとなる。
【0054】
【数8】

【0055】
第1ユニバーサルジョイント2については、第2ユニバーサルジョイント5と同様に各ストラット軸方向荷重を各ユニバーサルジョイント軸方向に分解できる。ただし、ユニバーサルジョイント軸として、第1ユニバーサルジョイント2が取付けられるフレーム1に固定したものを用いる。第1ユニバーサルジョイント2にかかる荷重w’は次の[数9]となる。
【0056】
【数9】

【0057】
続いて、補償量演算手段14は、パラレルメカニズム機械1における各要素の弾性変形量を算出する。制御装置はまず、各ストラット軸方向(アクチュエータ軸方向)の各要素の弾性変形量を推定する。各ストラット軸方向の各要素には、ストラット軸方向の荷重wが働く。
【0058】
そして、制御装置は、図5に示すように、各要素の位置関係によりかかる荷重が異なることを考慮した上で、各要素のストラット軸方向のコンプライアンス(剛性の逆数)と各荷重から、下記[数10]によって、第3弾性変形量としての各ストラット軸方向の弾性変形量Δlを求めることができる。ここで、l’はエンドエフェクタ6の位置及び姿勢の指令値により決定されるストラット長のうち、ボールねじ4が占める長さであり、cLOi,cLAi,cLBiは、順に、ストラット長によって変化する、ボールねじ4の部材のコンプライアンス、ボールねじ4の部材のコンプライアンス、ボールねじ4の自重による自身のひずみの換算されたコンプライアンスであり、cMOi,cMAi,cMBiは、順に、ストラット長に依存しない、フランジ31,シャフト32,ロッド33,各種軸受,ボールねじ4のナット及び第1ユニバーサルジョイント2のリングのコンプライアンス、各種軸受,ボールねじ4のナット,第1ユニバーサルジョイント2のリングのコンプライアンス、各種軸受,ボールねじ4のナット,リング(後述の図16におけるリング41,44参照)のコンプライアンスである(一部省略)。
【0059】
【数10】

【0060】
次に、制御装置は、第2ユニバーサルジョイント5の弾性変形量を推定する。第2ユニバーサルジョイント5の各要素のコンプライアンスは、一般に、要素中の各軸受についての軸方向(アキシャル方向)とこれに垂直な方向(ラジアル方向)とに分けて与えられている。図5に示されるように、ユニバーサルジョイント軸P〜Pを考えれば、フランジ31に係る軸受のアキシャル方向はユニバーサルジョイント軸P方向であり、ラジアル方向はユニバーサルジョイント軸P,Pの合成方向となる。なお、シャフト32、ロッド33に係る軸受については、ストラット軸方向荷重を考慮する必要がなく、あるいはストラット軸方向荷重しか働かないので、第1ないし第2ユニバーサルジョイントの弾性変形量(第1ないし第2弾性変形量)を算出するためのストラット軸方向荷重の分解をしない。
【0061】
従って、各軸受についてのコンプライアンスをユニバーサルジョイント軸P〜P方向に分解したものは、所定のコンプライアンスから容易に得られる。又、ユニバーサルジョイント軸P〜P方向に分解したコンプライアンスと、ユニバーサルジョイント軸P〜P方向の荷重から、第2ユニバーサルジョイント5の弾性変形量が求められる。ただし、第2ユニバーサルジョイント5はエンドエフェクタ6に固定されており、第2ユニバーサルジョイント5に働く荷重によるエンドエフェクタ6の変形の影響を受けるため、この影響を線形近似して加味する。よって、次の[数11]により、第2弾性変形量としての第2ユニバーサルジョイント5の弾性変形量ΔPが推定される。ここで、cPIi,cPJi,cPKiはそれぞれユニバーサルジョイント軸P,P,P方向のコンプライアンスであり、jはi番目のボールねじ4等(ストラット)の隣の軸番号であり、kPjは比例定数としての隣接影響係数である。
【0062】
【数11】

【0063】
一方、第1ユニバーサルジョイント2の弾性変形量も第2ユニバーサルジョイント5と同様に求めることができる。ただし、隣接に影響を与えるのはフレーム1である。即ち、第1ユニバーサルジョイント2のうちの一つにかかる荷重が、フレーム1における、隣接する第1ユニバーサルジョイント2の取付部分に影響を与え変形させる。このとき、フレーム1に固定した第1ユニバーサルジョイント軸Q〜Qのうち、第1ユニバーサルジョイント軸Q方向への影響が大きく、他の方向は無視できるので、[数11]においてユニバーサルジョイント軸Q方向のみに隣接影響係数を適用している。
【0064】
続いて、制御装置は、両ユニバーサルジョイントが弾性変形することによる変位を、アクチュエータ軸方向に換算する。即ち、以上のように求めた第1及び第2ユニバーサルジョイント2,5の弾性変形を、各ユニバーサルジョイント2,5の回転中心の移動として捉える。図6は第1,第2ユニバーサルジョイント2,5の回転中心変位のベクトルΔP,ΔQとストラット軸ベクトルLの関係を示している。ここで、Q,Pはそれぞれ弾性変形前の第1,第2ユニバーサルジョイント2,5の回転中心であり、Q’,P’はそれぞれ弾性変形後の第1,第2ユニバーサルジョイント2,5の回転中心であり、L’は弾性変形後のストラット軸ベクトルである。この関係より、各ユニバーサルジョイント回転中心の変位ベクトルとストラット軸ベクトルの関係は、次の[数12]で表すことができる。
【0065】
【数12】

【0066】
更に、両ユニバーサルジョイント2,5の変位は微少であることから、ストラット軸長さ変位に近似することができる。即ち、回転中心変位ベクトルΔP,ΔQのストラット軸方向成分をストラット軸長さ変位ΔlJiに近似する観点から、次の[数13]によって、各ユニバーサルジョイント2,5の変位をストラット軸長さ変位ΔlJiに変換することができる。なお、パラレルメカニズム機械1において、ストラット軸方向(ボールねじ4の方向)とアクチュエータ軸方向(サーボモータ3の軸方向)は同一方向であるから、ストラット軸長さ変位ΔlJiをもってアクチュエータ軸方向に換算した変位とすることができる。
【0067】
【数13】

【0068】
そして、第6ステップとしてのステップS6において、制御装置の制御手段16は、アクチュエータ指令値を更新する。即ち、下記[数14]に示すように、ステップS5で求めた各ストラット長の変位Δl,ΔlJiを、目標指令値lから減算してストラット長指令値、即ちアクチュエータ指令値を補正し、インターフェイス17へ伝える。
【0069】
【数14】

【0070】
この補償されたアクチュエータ指令値を元にサーボモータ3を制御することにより、パラレルメカニズム機械1の弾性変形量が相殺される。即ち、第1,第2ユニバーサルジョイント2,5に関する弾性変形を、当初のアクチュエータ指令値に補償された指令値を与えることで相殺することができる。
【0071】
図7はパラレルメカニズム機械1を用いて、Double Ball Bar(DBB)法による円弧軌跡の真円度を測定した結果を示している。図7(a)がいずれの補償をも用いない場合であり、図7(b)が本発明に係る補償を用いた場合である。補償なしの場合、回転方向の違いにより大きなヒステリシスが見られ、又各方向においても波形が大きく歪んでいる。一方、本発明による補償ありの場合、ヒステリシスが大きく改善され、また各方向毎についても真円度が大幅に向上していることが確認できる。
【0072】
但し、より詳細には、上記制御では所定の回転抵抗fを用いており、回転方向を反転する際には回転抵抗fの正負のみが変わって段差的に遷移するため(例えば図8参照)、これに基づく変形誤差推定値も段差状に変化し、結果的には動作方向の反転に対応して、DBB法による円弧軌跡に係る変形誤差推定値においてジョイントの反転位相付近に段差状の半径変化が現れることになる。そして実際には回転抵抗fの値は連続して変化するものであり、DBB法の軌跡でも反転位相付近で推定値は連続的に変化するものであるから、ジョイント反転位相付近において推定値が実測値から離れることになる。
【0073】
そこで、制御装置による変形誤差推定値の算出において、精度をより一層向上する制御としては、動作方向反転時の回転抵抗fの値についての段差的変化の調整によるものがあることになる。そしてこの調整は、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイント5の回転軸周りでエンドエフェクタ6に作用する力の関係に応じることになる。
【0074】
これら力の関係においては、サーボモータ3の駆動力によりエンドエフェクタ6が駆動する際の、回転軸周りのトルクの存在が重要となる。このトルクが作用すると、パラレルメカニズム機構の各要素の弾性変形力と第1ユニバーサルジョイント2又は第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗の大小により、第1ユニバーサルジョイント2又は第2ユニバーサルジョイント5の挙動が変化する。ここでは、第2ユニバーサルジョイント5周りの挙動を例にとって説明する。この弾性変形力が第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗より小さい場合(弾性変形力<回転抵抗)、第2ユニバーサルジョイント5は回転せず、エンドエフェクタ6の移動に伴って機構要素が変形する(図9参照、矢印Gはエンドエフェクタ6の移動方向を示し、矢印Hはその先方における回転抵抗力によるボールねじの変形を指摘するものである)。そして変形量が蓄積して弾性変形力が回転抵抗力と等しくなったところで(弾性変形力=回転抵抗)、第2ユニバーサルジョイント5が回転し始め、以後第2ユニバーサルジョイント5が停止するまで弾性変形力と回転抵抗とが釣り合った状態で遷移する。
【0075】
従って、エンドエフェクタ6に作用する力としては、第2ユニバーサルジョイント5が回転し始めるまでの領域ではボールねじ4の弾性変形量に比例した弾性力であり、第2ユニバーサルジョイント5が回転し始めてからは一定値である回転抵抗力である。よって、動作方向の反転後のエンドエフェクタ6に作用するトルクの推移は、例えば図8に対して示す図10のように、反転直後は線形的に推移し、その後一定値となる。
【0076】
そこで、制御装置による回転抵抗fの値についての変化の調整としては、反転直後の回転抵抗fの変化を線形関数で近似することが挙げられる。そして、この線形関数については、機構要素の弾性係数をパラメータとし、具体例としてはボールねじ4の弾性係数に対応する傾きを有するものとする。
【0077】
回転抵抗fの値を図8のように段差状に不連続で遷移させた場合におけるDBB軌跡の推定誤差を図11(a)に示し、図10のように線形近似を行った場合における、制御装置によって算出されたDBB軌跡の推定誤差を図11(b)に示す。これらより、線形近似の場合に推定誤差が小さくなり、実測値と推定値に関する一致の程度が高いことが分かる。又、回転抵抗fの値を図8のように段差状に不連続で遷移させた場合におけるサーボモータ3の負荷を図12(a)に示し、図10のように線形近似を行った場合におけるサーボモータ3の負荷を図12(b)に示す。これらから、線形近似を行った場合、特に反転動作付近で推定値が実測値により近づくことが分かる。従って、動作方向の反転に伴う過渡的な領域においても、回転抵抗fの変化について線形近似をすることで推定値の精度を向上できることが確認される。
【0078】
なお、回転抵抗fの変化についての線形関数への近似は、制御装置が、反転位相を基準として、回転抵抗fが正から負へ変化したのかあるいはその逆の変化なのかで場合を分けて線形関数を切り替えることでなしたり、図8について移動平均処理を行えば図10と同等の波形を得られることに着目して、機構要素の弾性係数の代わりに移動平均点数をパラメータとすることでなしたりすることが可能である。特に後者の場合は前者と比べて場合分け等の特殊な処理を要せず図10に相当する遷移を得られるので、精度を維持しながら処理量をより低減することができる。
【0079】
次に、ジョイントの回転抵抗によるパラレルメカニズム機構のキャリブレーションへの影響を例にとって説明する。上述したことから分かるように、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗fに起因して、たとえエンドエフェクタ6が同位置・同姿勢にあったとしても、例えば図13に示すように、動作方向によって変形誤差が変わり得る。よって、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗fを考慮せずにパラレルメカニズム機械1のキャリブレーションを行うと、キャリブレーション時の動作方向によってキャリブレーション結果が変わってしまうし、キャリブレーションの目的である機構パラメータの推定値の算出にあって、精度がばらつき、あるいは比較的に悪くなる。従って、図14に示すように、制御装置によって、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗fを考慮したキャリブレーションを行うことで、この回転抵抗による外乱の影響を排除して、キャリブレーション精度を向上することができる。
【0080】
即ち、制御装置は、まず一般のキャリブレーションと同様にして、キャリブレーション用の測定条件の設定を行う(ステップS11)。例えば、測定位置や、姿勢、動作方向(ここでは反時計回り即ちCCW方向とするが逆の場合も以下と同様に考えて良い)といったものである。
【0081】
次に、制御装置は、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗fに係る半径誤差量Δrfiについて、上述のストラット軸長さ変位Δl,ΔlJiに基づき求めておく(ステップS12)。即ち、制御装置は、キャリブレーションにおける測定条件に従い、各測定点におけるストラット軸長さ変位Δl,ΔlJiを求め、これらの関係から各測定点における半径誤差量Δrfiを求めておく。続いて、制御装置は、上記測定条件に従った測定を実施する(ステップS13)。
【0082】
そして、制御装置は、以下のようにして、測定結果から、変形に係る半径誤差量Δrfiを取り除き、測定結果を修正する(ステップS14)。即ち、n個の機構パラメータを次に示す[数15]のように表すと、DBB軌跡の測定における2つの球の中心間距離rとの関係は、一般的には次に示す[数16]となり、これを線形近似すると、次に示す[数17]となる。この[数17]においては、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイント5の回転抵抗による誤差成分が加味されていないので、これを加味した等式とすると、次に示す[数18]の通りとなり、[数18]によってより正確な半径誤差Δrを表すことができる。よって、制御装置は、この[数18]にステップS12で求めておいた半径誤差量Δrfiを代入することで、半径誤差量Δrfiをキャンセルした測定結果を得ることができる。
【0083】
【数15】

【数16】

【数17】

【数18】

【0084】
この後、制御装置は、引き続き[数18]を機構パラメータΔpについて解くことで、回転抵抗fに基づく半径誤差量Δrfiの影響を差し引いた機構パラメータΔpを得、更にこれに基づき、回転抵抗fの影響を受けないキャリブレーションを行う(ステップS15)。DBB軌跡の測定点数がm点であるとき、m本の[数18]の連立方程式となり、この連立方程式は、次に[数19]として示すように行列表記することができる。[数19]は次に示す[数20]のように最小自乗法で解くことができ、これによって制御装置は回転抵抗fの影響を除いた機構パラメータ誤差ΔPを得ることができる。
【0085】
【数19】

【数20】

【0086】
図15(a)において回転抵抗fに基づく半径誤差量Δrfiの影響を差し引かないでキャリブレーションを行った後のDBB軌跡の測定結果を示し、図15(b)において上述の通り回転抵抗fに基づく半径誤差量Δrfiの影響を差し引いてキャリブレーションを行った後のDBB軌跡の測定結果を示す。図15(a)では測定方向によって誤差が異なることで偏りが発生しているところ、図15(b)ではこのような偏りが比較的に少なく、DBB軌跡の真円度の向上が見て取れる。又、図15(a)では回転抵抗fに基づく半径誤差量Δrfiが含められたままキャリブレーションされ、半径誤差量Δrfiをも機構パラメータ誤差ΔPとして同定されていたため、全体としての真円度誤差が比較的大きくなっていたが、図15(b)では真円度誤差の絶対値も低減され、全体的な真円度向上も確認することができる。
【0087】
ここで、上記キャリブレーションの少なくとも一部をまとめると、次の通りとなる。即ち、第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械のエンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定しキャリブレーションする方法であって、制御手段による機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味することを特徴とするパラレルメカニズム機械のキャリブレーション方法である。
【0088】
又、第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械にあって、制御手段は、エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定することでキャリブレーションし、当該キャリブレーションに係る機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント2及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味することを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御装置である。
【0089】
続いて、上記アクチュエータ指令値の補償に関する制御に好適に用いられる回転抵抗fの推定について説明する。
【0090】
ここで、第1ユニバーサルジョイント2及び第2ユニバーサルジョイント5については、既に述べている通りであるが、改めて説明する。図16は第1ユニバーサルジョイント2の説明図であって、第1ユニバーサルジョイント2は、二重のリングを用いたジンバル構造となっている。外方のリング41は、フレーム1に対し、放射方向の軸42を介して回転自在に支えられる。又、軸42に直交する軸43を有する内側のリング44が、外方のリング41の軸受45にこの軸を受けさせることでジョイントとして取り付けられている。このように、2個のジョイントの組合わせで2自由度の第1ユニバーサルジョイント2が形成され、第1ユニバーサルジョイント2は互いに直交する2個の受動回転軸60,61から構成されている。
【0091】
図17は第2ユニバーサルジョイント5の説明図であって、第2ユニバーサルジョイント5は、フランジ51、及びシャフト52を含む。フランジ51は、エンドエフェクタ6(図17では示さないがこの図で右後方の配置となる)の下面と直交する側面に垂直に固定されており、受動回転軸64の周りで回転する。シャフト52は、軸受53を介してフランジ51に取付けられており、エンドエフェクタ6の側面に平行な受動回転軸63の周りに回転する。一方、シャフト52における軸受53と反対側の端部には、シャフト52の軸と同等な受動回転軸62の周りで回転する軸受54が設置されており、この軸受54にはボールねじ4(図17では示さない)が入れられている。このように、3個の軸受(ジョイント)の組合わせで3自由度の第2ユニバーサルジョイント5が形成され、第2ユニバーサルジョイント5は、互いに直交する2個の受動回転軸63,64と、受動回転軸63周りで揺動する受動回転軸62とから構成されている。
【0092】
このように、パラレルメカニズム機械の各脚軸系は5個の受動回転軸60〜64を有し、又脚軸系は6組存在するため、パラレルメカニズム機械全体で受動回転軸は30個存在する。以下第1ユニバーサルジョイント2及び第2ユニバーサルジョイント5の各ジョイントについて、特に言及した場合を除き、互いに区別せずに受動ジョイントと称する。
【0093】
図18はパラレルメカニズム機械の制御装置、及び制御対象の一部としての機械系の特定要素を示すブロック図である。制御装置は、NC装置を用いて構成されており、軌道生成手段20、補償パラメータ記憶手段21、制御量演算手段22、ジョイント抵抗値推定手段26、ジョイント抵抗値履歴記憶手段27、状態診断手段28を含む。なお、これら手段の内の前4者は精度補償部に含まれ、後2者は状態診断部に含まれる。又、各手段においては、NC装置におけるプログラムが用いられている。
【0094】
制御装置は、軌道生成手段20において、エンドエフェクタ6の運動軌跡を生成する。又、制御装置は、制御量演算手段22において、パラレルメカニズムの逆運動学計算を解くことにより各サーボモータ3の指令値を求める。制御装置は、これら指令値を、機械系に属するサーボコントローラ23に与え、サーボコントローラ23は、対応するサーボモータ3を、指令値に基づき駆動する。又、サーボモータ3には、駆動時における負荷(駆動動力値)を検出する負荷検出器25が設置されており、これらの負荷は、制御装置のジョイント抵抗値推定手段26において把握ないし記憶可能である。
【0095】
一方、後述の通りジョイント抵抗値推定手段26により、軌道生成手段20によって生成される運動軌跡と、負荷検出器25により測定されるサーボモータ3の負荷測定値を元に各受動ジョイントの回転抵抗値が算出される。
【0096】
こうして得られた回転抵抗値は、エンドエフェクタ6の動作誤差を補償する際の新しいパラメータとして用いるために、補償パラメータ記憶手段21の内容の更新に用いられる。なお、回転抵抗をパラメータとした誤差推定方法ないしは動作の補償については、上述のものを好適に用いることができる。
【0097】
又、回転抵抗値は、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27における内容の追加にも用いられる。制御装置は、状態診断手段28において、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27を参照し、回転抵抗値やその変化を把握することで、パラレルメカニズム機械の状態診断を実施する。
【0098】
制御装置の状態診断手段28においては、予め各受動ジョイントの回転抵抗値の閾値と、回転抵抗値の変化量の閾値とが格納されている。これら閾値としては、正常な状態(レベル1)、及び受動ジョイントに大きな負荷がかかり始めあるいはその急な変化が現れ始めているが制御装置によって誤差を補償することで精度を維持できる状態(レベル2)との境界を示すものと、当該レベル2、及び受動ジョイントに過大な負荷がかかりあるいは過大な負荷変化が発生している状態(レベル3)との境界を示すものを設定する。
【0099】
このようになるパラレルメカニズム機械の制御装置が実行する制御方法に係るフローチャートを図19及び図20に示す。まず、制御装置のジョイント抵抗値推定手段26は、次のように受動ジョイントの回転抵抗値を推定する(図19のステップS21)。
【0100】
即ち、上述したように、パラレルメカニズム機械の各脚軸系における受動軸の影響を解析するために、各脚軸系を6自由度のシリアルリンク機構と仮想すると、前記[数2]に示すように、各受動ジョイントの回転抵抗値を用いて第2ユニバーサルジョイント5に作用する力及びモーメントを表すことができる。
【0101】
一方、エンドエフェクタ6へ作用する内力の合力及び合モーメント(F)は、リンク先端に作用する力ないしはモーメントを用いて、前記[数3]に示す通りに表現することができる。ここで、Tは第2ユニバーサルジョイント5からエンドエフェクタ6への変換行列を表し、前記[数4]で定義される。
【0102】
そして[数2]と[数3]から、次の[数21]を導くことができる。一方、パラレルリンク機構の静力学的関係から、次の[数22]の関係が成り立つ。従って、[数21]及び[数22]から[数23]という関係式が得られる。
【0103】
【数21】

【数22】

【数23】

【0104】
更に、[数23]を行列表記すると、次に示す[数24]となる。そして、この[数24]が各測定点について成り立つことを考慮して、これらの関係式を連立させると、次に示す[数25]のように表現することができる。但し、nは測定点数である。[数25]の右辺第1項をJとすると、Jの疑似逆行列Jを用いて、次に示す[数26]によって最小自乗近似的に回転抵抗ベクトルfを求めることができる。
【0105】
【数24】

【数25】

【数26】

【0106】
実際にパラレルメカニズム機械を駆動させて測定されるサーボモータ3の負荷には、各受動ジョイントの回転抵抗による成分の他に、自重による成分、慣性力による成分等が含まれる。よって、各受動ジョイントの回転抵抗の正確な推定のためには、[数26]によって得た回転抵抗ベクトルfから、回転抵抗による成分のみを抽出する必要がある。但し、測定時にパラレルメカニズム機械を低速で動作させることによって、慣性力の影響を微々たるものとすることができるので、慣性力による成分についてはないものとして除去を考慮しないものとする。
【0107】
一方自重による成分については、この成分はエンドエフェクタ6の位置及び姿勢にのみに依存し、動作方向には依存しない。よって、エンドエフェクタ6をCCW方向(反時計回り方向)に移動しても、あるいはCW方向(時計回り方向)に移動しても、同一軌跡上の同じ位置・姿勢同士で比べれば同じ自重による負荷がかかっている。従って、これら両方向についてサーボモータ3の負荷を測定し、それぞれの測定結果について差分をとることで、自重による成分を解消することができる。即ち、[数25]についてこのような差分を考慮したものとすると、次の[数27]のようになり、この[数27]を[数25]と同様にfについて解くと[数28]の通りとなる。この[数28]によって、各脚軸系毎に、受動ジョイントの回転抵抗を表す回転抵抗ベクトルfの同定を行える。ここで、任意のジョイントを同定の対象から除外する場合は[数27]の右辺第2項から対応する成分を除外し、又[数27]の右辺第1項について対応する列ベクトルを除外して行列を構成すれば良い。これにより、同定対象のジョイントを任意に選択することが可能である。
【0108】
【数27】

【数28】

【0109】
制御装置のジョイント抵抗値推定手段26は、以上のことから、まず測定条件に応じて、各測定点における行列Jを算出する(図20のステップS31)。次に、ジョイント抵抗値推定手段26は、CCW方向、CW方向についてサーボモータ3(アクチュエータ)の負荷を測定する(ステップS32)。続いて、ジョイント抵抗値推定手段26は、これらの測定結果につき差分をとる(ステップS33)。そして、ジョイント抵抗値推定手段26は、予め[数28]に相当する計算ができるように記憶されたプログラムに基づき、この差分及び行列Jを用いて[数28]を解く(ステップS34)。このようにして、図19のステップS21において、ジョイント抵抗値推定手段26は、サーボモータ3の負荷から、受動ジョイントの回転抵抗を推定する。
【0110】
そして、制御装置は、ステップS22において、状態診断手段28に格納された回転抵抗値に関するレベル1,2に係る閾値(回転抵抗値のレベル1の閾値)と、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27に保持されている回転抵抗値とを比較する。その結果、回転抵抗値がこの閾値以下であれば(回転抵抗値≦回転抵抗値のレベル1の閾値)、制御装置は、処理をステップS26へ進める。一方、回転抵抗値がこの閾値を超えていれば(回転抵抗値>回転抵抗値のレベル1の閾値)、制御装置は、その回転抵抗値に係る受動ジョイントについて異常が発生していると判定して、処理をステップS23へ進める。
【0111】
制御装置は、ステップS23において、状態診断手段28に格納された回転抵抗値に関するレベル2,3に係る閾値(回転抵抗値のレベル2の閾値)と、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27に保持されている回転抵抗値とを比較する。その結果、回転抵抗値がこの閾値以下であれば(回転抵抗値≦回転抵抗値のレベル2の閾値)、制御装置は、処理をステップS24へ進め、回転抵抗値が通常のものより大きくなっている旨の警告や、このような回転抵抗値を発生している受動ジョイントあるいはこれの属する脚軸系の種別を表示する。一方、回転抵抗値がこの閾値を超えていれば(回転抵抗値>回転抵抗値のレベル2の閾値)、制御装置は、処理をステップS25へ進め、パラレルメカニズム機械の動作を停止する。なお、制御装置は、この動作停止時にその旨の表示を行う。
【0112】
一方、制御装置は、ステップS26において、状態診断手段28に格納された回転抵抗値の変化(増分)に関するレベル1,2に係る閾値(回転抵抗値増分のレベル1の閾値)と、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27における回転抵抗値の履歴から把握した回転抵抗値増分とを比較する。その結果、回転抵抗値増分がこの閾値以下であれば(回転抵抗値増分≦回転抵抗値増分のレベル1の閾値)、制御装置は、処理をステップS28へ進め、診断の結果異常なしとして、通常の動作を続ける。一方、回転抵抗値増分がこの閾値を超えていれば(回転抵抗値増分>回転抵抗値増分のレベル1の閾値)、制御装置は、その回転抵抗値増分に係る受動ジョイントについて異常が発生していると判定して、処理をステップS27へ進める。
【0113】
制御装置は、ステップS27において、状態診断手段28に格納された回転抵抗値増分に関するレベル2,3に係る閾値(回転抵抗値増分のレベル2の閾値)と、ジョイント回転抵抗履歴記憶手段27を参照して得られる回転抵抗値増分とを比較する。その結果、回転抵抗値増分がこの閾値以下であれば(回転抵抗値増分≦回転抵抗値増分のレベル2の閾値)、制御装置は、処理をステップS29へ進め、回転抵抗値増分が通常のものより大きくなっている旨の警告や、このような回転抵抗値増分を発生している受動ジョイントあるいはこれの属する脚軸系の種別を表示する。一方、回転抵抗値増分がこの閾値を超えていれば(回転抵抗値増分>回転抵抗値増分のレベル2の閾値)、制御装置は、処理をステップS30へ進め、パラレルメカニズム機械の動作を停止する。なお、制御装置は、この動作停止時にその旨の表示を行う。
【0114】
以上の制御装置あるいは制御方法にあっては、アクチュエータであるサーボモータ3に係る負荷に基づき[数28]の関係によって受動ジョイントの回転抵抗値を求めるので、容易に精度の良い推定を行うことができる。
【0115】
図21として、1つの脚軸系(第1ユニバーサルジョイント2a〜第2ユニバーサルジョイント5a)に関し、各受動ジョイント(図21中の11〜15)における、[数28]による回転抵抗値の推定値(図21では黒色のバー)と、回転抵抗値の実測値(図21では白色のバー)とを比較したグラフを示す。これより、[数11]による精度の良好な推定が認められる。
【0116】
又図22の(a)〜(f)として、それぞれの脚軸系(第1ユニバーサルジョイント2a〜第2ユニバーサルジョイント5aに係るものが(a)であり、その他は順次同様である)に関する、各方向におけるサーボモータ3の負荷の差分τi,CCW−τi,CWの波形([数11]への入力波形、図22では薄線)と、[数28]により推定された各受動ジョイントの回転抵抗値から得た負荷の推定値の波形(図22では実線)とを比較したグラフを示す。ここで、各グラフの縦軸は、対応するサーボモータ3の負荷であり、横軸は、DBB(Double Ball Bar)位相角(単位はdeg.、度)である。これにより、入力波形と推定結果との一致の度合いが高いことが分かる。
【0117】
又、以上の制御装置あるいは制御方法にあっては、このように推定された回転抵抗値を用いて当該回転抵抗値が閾値を超えるか否かを判定し、回転抵抗値が閾値を超えた場合にはその回転抵抗値に係る受動ジョイントについて異常と判定するので、異常判定時にパラレルメカニズム機械の動作を停止して、受動ジョイントにおいて過大な回転抵抗やその変化を生じることにより発生する破損、変形や機能異常等を防止することができるし、過大な回転抵抗ないしその変化を生ずる前の異常判定時にその旨を表示して作業者に注意を促すこともできる。
【0118】
そして、以上の制御装置あるいは制御方法において推定された回転抵抗値を用いて、上述の通り機構変形誤差を推定し補償することができる。以上のように回転抵抗値を高精度に推定できるため、この補償の精度も良好であるし、以上のように推定された回転抵抗値はアクチュエータ負荷から計算量の少ない状態で算出できるため、この補償も容易に実行できる。図23にこの場合の回転抵抗値推定結果から推定したDBB軌跡(CCW方向)と、DBB軌跡(CCW方向)の実測値との比較を示すグラフを示す。このグラフから、変形誤差補償の良好な精度が伺える。
【0119】
なお、本発明により制御される機械は空間6自由度パラレルメカニズム工作機械に限るものではない。その自由度は6自由度に限るものではなくそれ以上もしくはそれ以下の自由度でもよい。又、ユニバーサルジョイントは回転1自由度ジョイントの組み合わせたものに限らず、球面継手などその他の構造のものでもよい。更に又、機械として刃具を備えた工作機械に限らず、ロボット、産業機械、アミューズメント機械、建築機械等でもよい。
【0120】
又、エンドエフェクタに作用する合力からアクチュエータ指令値の補償量を求める際、特開2005−186210記載の手法によらず、機構要素のコンプライアンスを用いて機構の弾性変形量を求め、得られた弾性変形量を加味して逆機構変換を行い、直接補償後のアクチュエータ指令値を求めても良い。
【符号の説明】
【0121】
1 フレーム
2 第1ユニバーサルジョイント
3 サーボモータ(アクチュエータ)
4 ボールねじ(ストラット)
5 第2ユニバーサルジョイント
6 エンドエフェクタ
7 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械にあって、
エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、
その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定しキャリブレーションする方法であって、
制御手段による機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項2】
第2ユニバーサルジョイントを介してストラットと接続されるエンドエフェクタと、ストラットを駆動するアクチュエータと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械にあって、
制御手段は、
エンドエフェクタを複数の位置及び姿勢に位置決めした際に、位置及び/又は姿勢の測定、又は固定点からの距離測定を行い、
その測定値を元に、パラレルメカニズム機械の機構パラメータを推定することでキャリブレーションし、
当該キャリブレーションに係る機構パラメータの推定の計算の際、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗による変形誤差を加味する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項3】
外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械についての制御方法であって、
負荷検出器により検出される負荷に基づいて、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項4】
下記パラレルメカニズム機械の制御方法にあって、請求項3によって推定される回転抵抗値を用いる
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御方法。
外部に固定されるベースと、第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するアクチュエータと、第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械の制御方法であって、
パラレルメカニズム機械における所定の機構パラメータに基づいて、エンドエフェクタの位置指令値及び姿勢指令値に対する各アクチュエータ指令値を求める第1ステップと、
第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を回転抵抗値記憶手段から取得する第2ステップと、
回転抵抗値を用いて各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントを計算する第3ステップと、
各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントからエンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを求める第4ステップと、
エンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを用いて機構の弾性変形量を計算し、その値を用いてアクチュエータ指令値の補償量を計算する第5ステップと、
第1ステップで求めたアクチュエータ指令値について、第5ステップで求めた補償量を加味して更新する第6ステップと
を有するパラレルメカニズム機械の制御方法
【請求項5】
第3ステップにおいて、ストラット、第1ユニバーサルジョイント、第2ユニバーサルジョイントからなるリンクをそれぞれ独立したシリアルリンク機構とみなし、それぞれのシリアルリンク機構におけるユニバーサルジョイントの回転抵抗によってストラットとエンドエフェクタとの接続部に作用する力及びモーメントを計算する
ことを特徴とする請求項4に記載のパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項6】
第3ステップにおいて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時における回転抵抗値の変化を線形関数で近似する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項7】
第3ステップにおいて、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時において反転する回転軸の回転抵抗値に対し移動平均処理を行う
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項8】
請求項4ないしは請求項7に記載のパラレルメカニズム機械の制御方法にあって、
制御手段は、回転抵抗値記憶手段における推定した回転抵抗値の記憶を更新する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項9】
推定した第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの各回転抵抗値について、所定の閾値を超えた場合には、その回転抵抗値に係る第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントに異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項3ないしは請求項8のいずれかに記載のパラレルメカニズム機械の制御方法。
【請求項10】
外部に固定されるベースと、それぞれ第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するそれぞれのアクチュエータと、それぞれ第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、各アクチュエータの負荷を検出する負荷検出器とを備えたパラレルメカニズム機械についての制御装置であって、
負荷検出器により検出される負荷に基づいて、第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を推定する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項11】
下記パラレルメカニズム機械の制御装置にあって、請求項10によって推定される回転抵抗値を用いる
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御装置。
外部に固定されるベースと、第1ユニバーサルジョイントを介してベースに接続される複数のストラットと、各ストラットを駆動するアクチュエータと、第2ユニバーサルジョイントを介して各ストラットと接続されるエンドエフェクタと、アクチュエータ指令値を与えて各アクチュエータを制御する制御手段と、制御手段に備えられていて第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの回転抵抗値を記憶可能な回転抵抗値記憶手段を備えたパラレルメカニズム機械の制御装置であって、
パラレルメカニズム機械における所定の機構パラメータに基づいて、エンドエフェクタの位置指令値及び姿勢指令値に対する各アクチュエータ指令値を求めるアクチュエータ指令値計算手段と、
回転抵抗値記憶手段から取得した回転抵抗値を用いて各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントを計算し、各第2ユニバーサルジョイントに作用する力及びモーメントからエンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを求める合力演算手段と、
エンドエフェクタに作用する合力及び合モーメントを用いて機構の弾性変形量を計算し、その値を用いてアクチュエータ指令値の補償量を計算する補償量演算手段と、
アクチュエータ指令値計算手段で求めたアクチュエータ指令値について、補償量演算手段で求めた補償量を加味して更新する前記制御手段と
を有するパラレルメカニズム機械の制御装置
【請求項12】
合力演算手段は、ストラット、第1ユニバーサルジョイント、第2ユニバーサルジョイントからなるリンクをそれぞれ独立したシリアルリンク機構とみなし、それぞれのシリアルリンク機構におけるユニバーサルジョイントの回転抵抗によってストラットとエンドエフェクタとの接続部に作用する力及びモーメントを計算する
ことを特徴とする請求項11に記載のパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項13】
合力演算手段は、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時における回転抵抗値の変化を線形関数で近似する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項14】
合力演算手段は、第1ユニバーサルジョイント又は第2ユニバーサルジョイントの反転時において反転する回転軸の回転抵抗値に対し移動平均処理を行う
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項15】
請求項11ないしは請求項14に記載のパラレルメカニズム機械の制御装置にあって、
回転抵抗値記憶手段における推定した回転抵抗値の記憶を更新する
ことを特徴とするパラレルメカニズム機械の制御装置。
【請求項16】
推定した第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントの各回転抵抗値について、所定の閾値を超えた場合には、その回転抵抗値に係る第1ユニバーサルジョイント及び/又は第2ユニバーサルジョイントに異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項10ないしは請求項15のいずれかに記載のパラレルメカニズム機械の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−33202(P2012−33202A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248949(P2011−248949)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【分割の表示】特願2006−216478(P2006−216478)の分割
【原出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000149066)オークマ株式会社 (476)
【Fターム(参考)】