説明

パラレルリンクステージの制御方法およびパラレルリンクステージの制御プログラムならびにパラレルリンクステージ

【課題】計算負荷を増大させることなく、また製作時の製造誤差等に影響されることなく、エンドエフェクタの位置制御精度を向上させることが可能なパラレルリンクステージの制御技術を提供する。
【解決手段】ベース6に支持された複数のアクチュエータ5a〜5f、リンク3a〜3f、駆動リンク4a〜4f、可動リンク2a〜2fからなるパラレルリンク機構pを介してエンドエフェクタ1を可動に支持するパラレルリンクステージ7において、コントローラ21に実装されたキャリブレーションプログラム22により、エンドエフェクタ1の目標位置と実際に測定された移動位置との移動誤差を測定して近似式51を成し、機構演算プログラム23は、この近似式51から目標位置に対応した移動誤差を得て補正後の目標位置を算出して移動指令を発行して、演算負荷を増大させることなく、エンドエフェクタ1を高精度に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラレルリンクステージの制御方法およびパラレルリンクステージの制御プログラムならびにパラレルリンクステージに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1等に開示されているように、剛性が高く、自由度の高い動きを可能にするパラレルリンク機構を備えたパラレルリンクステージは、工作機械や観察装置の台座、ロボット、乗り物等のシュミレータを初めとして広範な応用分野で使用されている。
【0003】
特許文献1では、駆動対象のトラベリングプレートの位置および姿勢に対する指令値とこの指令値による駆動制御後の前記トラベリングプレートの位置および姿勢の実測値とに基づいて、駆動制御の誤差を補正する媒介変数(機構パラメータ)を算出し、直交座標系で与えられる指令値を、前記媒介変数に基づき前記アクチュエータの出力値に変換して前記アクチュエータを制御する工作機械の制御方法が開示されている。
【0004】
この従来技術のように機構パラメータを用いるパラレルリンクステージの制御方法では、以下の図5のフローチャートに示される制御方法が考えられる。
まず、キャリブレーション(位置制御系の較正)の実施判定(ステップ100)において、キャリブレーションを実施する場合は、キャリブレーションを実施する(ステップ106)。
【0005】
次に、キャリブレーションにより最適な機構パラメータを算出する(ステップ107)。キャリブレーションの完了判定(ステップ108)により、完了していない場合は、再びキャリブレーションを実施し(ステップ106)、完了の場合、または、キャリブレーションを実施しない場合は(ステップ100)、直交座標系の目標値により直交座標系の指令値を生成する(ステップ101)。
【0006】
次に、直交座標系の指令値をアクチュエータ移動量に変換する際に(ステップ102)、前述のステップ107のキャリブレーションにより算出した最適な機構パラメータを用いて、直交座標系の指令値をアクチュエータ移動量に変換する。次に、ステップ102にて算出したアクチュエータ移動量をアクチュエータへ出力する(ステップ103)。次に、アクチュエータの回転によりステージが移動し(ステップ104)、ステージの移動完了判定(ステップ105)により、完了でない場合は、再びステップ101〜104を実施し、完了の場合はステージの移動が完了し、動作が終了する。
【0007】
しかし、上述の従来技術では、直交座標系の指令値をアクチュエータの移動量に変換する際(ステップ102)に、加工誤差や組立て誤差が原因で生じる機構パラメータの誤差を無くすように補正した機構パラメータ(ステップ107)をキャリブレーションにより算出した後、前記補正した機構パラメータを用いて、直交座標系の指令値をアクチュエータの移動量に変換している。
【0008】
キャリブレーションにより算出した補正機構パラメータの総数は、特許文献1の例では、6軸×9種類=54個である。このように多数の機構パラメータを複雑な演算式により算出しなければならず、キャリブレーション時の計算処理の負荷が大きくなってしまう。
【0009】
また、前記機構パラメータはステージの目標位置と実際の移動位置の誤差が最小になる機構パラメータを算出しているのであって、必ずしも製作時の製造誤差を含んだ真の機構パラメータの値を求めているわけではない。よって、僅かにステージの目標位置と実際の移動位置において誤差を生じる可能性がある。
【特許文献1】特開平11-114777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、計算負荷を増大させることなく、また製作時の製造誤差等に影響されることなく、エンドエフェクタの位置制御精度を向上させることが可能なパラレルリンクステージの制御技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、を含むパラレルリンクステージの制御方法であって、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1工程と、
本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2工程と、
を含むパラレルリンクステージの制御方法を提供する。
【0012】
本発明の第2の観点は、ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、を含むパラレルリンクステージの制御プログラムであって、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1工程と、
本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2工程と、
をコンピュータに実行させるパラレルリンクステージの制御プログラムを提供する。
【0013】
本発明の第3の観点は、ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1制御機能、および本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2制御機能を具備した制御手段と、
を含むパラレルリンクステージを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計算負荷を増大させることなく、また製作時の製造誤差等に影響されることなく、エンドエフェクタの位置制御精度を向上させることが可能なパラレルリンクステージの制御技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施の形態の一態様では、キャリブレーションにより目標位置と実際の移動位置の誤差を求め、誤差の算出結果から、直交座標系の目標値を補正する補正量の近似式を算出する。本来の直交座標系の目標位置に前記近似式より算出した補正量を加算して、指令値を生成することで、本来の直交座標系の目標位置は、実際のパラレルリンクステージの移動位置と一致し、ステージの位置誤差が生じない。このように容易にキャリブレーションを行い、目標位置に補正量を加算するだけで、パラレルリンクステージの高精度化が実現できる。
【0016】
すなわち、本実施の形態の第1態様にかかるパラレルリンクステージの制御方法を提供する手段を以下に説明する。本実施の形態のパラレルリンクステージは、エンドエフェクタであるテーブルを移動させるためのアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動するためのドライバと、前記ドライバを制御するためのコントローラを具備する。上位機器からの命令で、コントローラに直交座標系の目標位置が入力される時に前記直交座標系の目標位置とキャリブレーションにより求めた補正量の近似式を用いて算出した補正量を加算して、補正後の目標位置として、指令生成部へ送出し、ステージの位置補正を行う。
【0017】
また、本実施の形態の第2態様にかかるキャリブレーションの方法は、ステージであるエンドエフェクタの可動領域において、変位計等を用いて、直交座標系の目標位置に対する実際の移動位置の誤差を実測し、その測定値から目標位置に対する実際の移動位置の誤差の近似式を求める。
【0018】
本実施の形態の上述の各態様のパラレルリンクステージの制御方法の作用を以下に説明する。まず、キャリブレーションにより目標位置と実際の移動位置の誤差を求め、誤差の算出結果から、直交座標系の目標位置を補正する補正量の近似式を算出する。
【0019】
次に、前記目標位置に前記近似式より算出した補正値を加算して、補正後の目標位置より指令値を生成することで、本来の直交座標系の目標位置が、実際のステージの移動位置と一致し、誤差が生じない。
【0020】
このように、容易にキャリブレーションを行い、目標位置を移動誤差分だけ補正し命令することによって、設計値と製作後の機械パラメータの誤差が原因で、目標位置通りに移動しないステージ位置の高精度化を実現させることができる。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(構成)
図1は、本発明の一実施の形態であるパラレルリンクステージの構成例を示す概念図である。
【0022】
本実施の形態では、一例として、並進の3自由度と回転の3自由度、の合計で6自由度の相対運動が可能なパラレルリンク機構pを備えたパラレルリンクステージ7について説明する。
【0023】
本実施の形態のパラレルリンクステージ7は、6自由度に移動するステージであるエンドエフェクタ1と、ベース6と、エンドエフェクタ1とベース6の間に配置されたパラレルリンク機構pを備えている。
【0024】
パラレルリンク機構pには、エンドエフェクタ1に連結された可動リンク2a、可動リンク2b、可動リンク2c、可動リンク2d、可動リンク2e、可動リンク2fが備えられている。
【0025】
また、パラレルリンク機構pには、ベース6に固定されたアクチュエータ5a、アクチュエータ5b、アクチュエータ5c、アクチュエータ5d、アクチュエータ5e、アクチュエータ5fを備えた駆動リンク4a、駆動リンク4b、駆動リンク4c、駆動リンク4d、駆動リンク4e、駆動リンク4fが設けられている。
【0026】
さらに、パラレルリンク機構pは、一端が駆動リンク4a〜4fの各々に、他端が可動リンク2a〜2fの各々と連結された複数のリンク3a、リンク3b、リンク3c、リンク3d、リンク3e、リンク3fを有している。
【0027】
また、本実施の形態のパラレルリンクステージ7は、パラレルリンク機構pのアクチュエータ5a〜5fを駆動するためのアクチュエータ駆動ドライバ20と、前記アクチュエータ駆動ドライバ20を制御するためのコントローラ21を備えている。
【0028】
また、パラレルリンクステージ7には、エンドエフェクタ1の位置を実測する図示しないセンサが配置されており、計測結果がコントローラ21に入力される構成となっている。
【0029】
コントローラ21は、たとえば、コンピュータで構成され、パラレルリンクステージ7のパラレルリンク機構pを制御するための制御プログラム21aが実装されている。
この制御プログラム21aは、たとえば、パラレルリンク機構pの較正を行うキャリブレーションプログラム22(第1制御機能)と、パラレルリンク機構pの制御を行う機構演算プログラム23(第2制御機能)からなる。
【0030】
キャリブレーションプログラム22は、後述のように、エンドエフェクタ1の目標位置53と、実測された移動誤差54から、近似式51を生成する処理をコントローラ21に行わせる。
【0031】
機構演算プログラム23は、キャリブレーションプログラム22から生成された近似式51を用いて、目標位置53から補正後の目標位置52を得て、アクチュエータ駆動ドライバ20を介して、個々のアクチュエータ5a〜5fを制御し、エンドエフェクタ1を、補正後の移動位置55に移動させる制御を行う。
【0032】
図2は、本実施の形態によるパラレルリンクステージ7の制御方法の一例を示すフローチャートである。
まず、制御プログラム21aは、キャリブレーションの実施判定(ステップ30)において、キャリブレーションを実施する場合は、キャリブレーションプログラム22を起動してキャリブレーションを開始する(ステップ36)。
【0033】
すなわち、キャリブレーションプログラム22は、キャリブレーションにより目標位置53と実際のステージの移動位置56との誤差(移動誤差54)を求め、誤差の近似式51を算出する(ステップ37)(第1工程)。
【0034】
次に、キャリブレーションの完了判定(ステップ38)で、完了していない場合は、再びキャリブレーションを実施する(ステップ36)。
次に、キャリブレーションの完了判定(ステップ38)で、完了している場合は(または、上述のステップ30でキャリブレーションを実施しない場合は)、機構演算プログラム23は、直交座標系の目標位置53と、前記ステップ37にて得られた近似式51から得られる補正値を加算して、補正後の目標位置52を決定する(ステップ39)(第2工程)。
【0035】
次に、機構演算プログラム23は、ステップ39にて生成される直交座標系の補正後の目標位置52により直交座標系の指令値52aを生成する(ステップ31)。
次に、機構演算プログラム23は、直交座標系の指令値52aをアクチュエータ5a〜5fの各々のアクチュエータ移動量52bに変換する(ステップ32)。
【0036】
次に、機構演算プログラム23は、ステップ32にて算出したアクチュエータ移動量52bを、アクチュエータ駆動ドライバ20を介してアクチュエータへ出力する(ステップ33)。
【0037】
次に、アクチュエータ5a〜5fの回転(作動)によりエンドエフェクタ1であるステージが移動し(ステップ34)、アクチュエータ5a〜アクチュエータ5fからフィードバックされる検出移動量52c等に基づくエンドエフェクタ1の移動完了判定(ステップ35)により、移動未完と判定された場合は、再びステップ31〜34を実施し、移動完了の場合はエンドエフェクタ1の移動が完了し、パラレルリンクステージ7の制御動作が終了する。
【0038】
図3は、本実施の形態によるパラレルリンクステージ7に実装されたキャリブレーションプログラム22によるキャリブレーションにより算出される誤差を示す量の近似式の一例を示す線図である。
【0039】
本実施の形態のパラレルリンクステージ7のキャリブレーションプログラム22によるキャリブレーリョンにより求めたステージ(エンドエフェクタ1)の目標位置に対する実際のステージの移動誤差54と、移動誤差54により算出した誤差の近似式51を示す。
【0040】
この近似式51は、たとえば、図3のように得られた曲線を示す関数Fとして生成され、この関数Fの引数として目標位置53を与えることにより、当該目標位置53に対応した移動誤差54が得られる。
【0041】
図4は、本実施の形態のパラレルリンクステージ7におけるエンドエフェクタ1の位置の補正制御過程を示す概念図である。
この図4に例示されるように、目標位置53への移動を実行した時に、本実施の形態の補正を行わない場合には、移動誤差54の影響によって、ステージ(エンドエフェクタ1)は移動位置56のように、目標位置53から逸れた位置に移動する。
【0042】
一方、本実施の形態のように、目標位置53と誤差の近似式51(関数F)より算出した誤差量(移動誤差54)を補正値として目標位置53に加算した補正後の目標位置52を用いて移動指令を実行した場合には、補正後の移動位置55は、目標位置53に精度よく一致するように制御される。
(作用)
次に、本実施の形態のパラレルリンクステージの制御系の作用について説明する。
【0043】
まず、パラレルリンクステージ7を制御するコントローラ21内のキャリブレーションプログラム22を用いたキャリブレーションにより、エンドエフェクタ1(ステージ)の目標位置53に対する実際のステージの移動位置56との誤差であるステージの移動誤差54を求める。
【0044】
次に、キャリブレーションプログラム22は、前記ステージの複数の目標位置53に対して測定された複数の移動誤差54により、たとえば最小二乗法等を用いて、誤差の近似式51(関数F)を算出する。
【0045】
この近似式51は、エンドエフェクタ1の全可動範囲内における任意の目標位置53に対応した移動誤差54を与える。
次に、パラレルリンクステージ7は、前記コントローラ21に、直交座標系の目標位置53が与えられると、機構演算プログラム23は、直交座標系の目標位置53を前記キャリブレーションにより算出した誤差の近似式51に与え、移動誤差54=F(目標位置53)のようにして、前記目標位置53に対する移動誤差54を求める。
【0046】
次に、前記目標位置53と前記移動誤差54を加算し、補正後の目標位置52として直交座標系の指令値52aを生成し、アクチュエータ移動量52bに変換し、アクチュエータ駆動ドライバ20へ出力することで、ステージであるエンドエフェクタ1の補正後の移動位置55は、前記目標位置53と同じ位置に移動する。
【0047】
このようにして、パラレルリンク機構pの可動リンク2a〜2fや、駆動リンク4a〜4f等の加工誤差や組立て誤差が原因で生じる機構パラメータの誤差を、計算負荷の小さい簡易なキャリブレーション方法を用いて、目標位置53を補正することで吸収し、パラレルリンクステージ7のエンドエフェクタ1の高精度な移動制御が可能になる。
【0048】
以上のような本発明の実施の形態によれば、計算負荷の小さい簡易なキャリブレーション方法にてパラレルリンク機構pの補正量を算出することができる。また、エンドエフェクタ1の実際の移動位置から移動誤差54を与える近似式51を生成するので、近似式51が与える移動誤差54は、可動リンクや駆動リンク等の加工誤差や組立て誤差が原因で生じる機構パラメータの誤差を含むものとなる。
【0049】
従って、パラレルリンク機構pを構成する可動リンクや駆動リンク等の加工誤差や組立て誤差が原因で生じる機構パラメータの誤差を吸収したエンドエフェクタ1の位置補正が可能になり、高精度なパラレルリンクステージ7の移動制御を実現できる。
【0050】
すなわち、計算負荷を増大させることなく、また製作時の製造誤差等に影響されることなく、エンドエフェクタの位置制御精度を向上させることが可能となる。
このため、コントローラ21として、簡易なパーソナルコンピュータ等を用いて安価に、パラレルリンクステージ7の制御システムを構築することができる。
【0051】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、キャリブレーションでは、近似式51の代わりに、目標位置53に対応した移動誤差54が格納されたデータテーブルを生成し、機構演算プログラム23は、このデータテーブルにアクセスして目標位置53から、対応する移動誤差54を得るようにしてもよい。
【0052】
(付記1)
ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が駆動リンクに、他端が可動リンクと連結された少なくとも3本のリンクを有するパラレルリンクステージにおいて、キャリブレーリョンにより算出した目標位置に対する実際の移動位置の誤差と本来の目標位置を加算し、補正後の目標位置として命令することにより、移動誤差補正することを特徴とするパラレルリンクステージ。
【0053】
(付記2)
付記1記載のパラレルリンクステージにおいて、前記キャリブレーションでは、エンドエフェクタの可動領域において、目標位置に対する実際の移動位置の誤差を実測し、その測定値から目標位置に対する実際の移動位置の誤差の近似式を求めることを特徴とするパラレルリンクステージ。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態であるパラレルリンクステージの構成例を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるパラレルリンクステージの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態であるパラレルリンクステージにおけるキャリブレーションの作用の一例を示す線図である。
【図4】本発明の一実施の形態であるパラレルリンクステージにおけるエンドエフェクタの位置の補正制御過程を示す概念図である。
【図5】本発明の参考技術である従来のパラレルリンクステージの制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 エンドエフェクタ
2a〜2f 可動リンク
3a〜3f リンク
4a〜4f 駆動リンク
5a〜5f アクチュエータ
6 ベース
7 パラレルリンクステージ
20 アクチュエータ駆動ドライバ
21 コントローラ
21a 制御プログラム
22 キャリブレーションプログラム
23 機構演算プログラム
51 近似式
52 補正後の目標位置
52a 指令値
52b アクチュエータ移動量
52c 検出移動量
53 目標位置
54 移動誤差
55 補正後の移動位置
56 移動位置
p パラレルリンク機構
F 近似式51の関数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、を含むパラレルリンクステージの制御方法であって、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1工程と、
本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2工程と、
を含むことを特徴とするパラレルリンクステージの制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のパラレルリンクステージの制御方法において、
前記第1工程では、前記エンドエフェクタの可動領域において、前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を実測し、前記誤差の測定値から任意の前記目標位置に対する実際の移動位置の誤差を与える近似式を求め、
前記第2工程では、前記近似式に基づいて本来の前記目標位置に対応した前記誤差を得ることを特徴とするパラレルリンクステージの制御方法。
【請求項3】
ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、を含むパラレルリンクステージの制御プログラムであって、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1工程と、
本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするパラレルリンクステージの制御プログラム。
【請求項4】
請求項3記載のパラレルリンクステージの制御プログラムにおいて、
前記第1工程では、前記エンドエフェクタの可動領域において、前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を実測し、前記誤差の測定値から任意の前記目標位置に対する実際の移動位置の誤差を与える近似式を生成し、
前記第2工程では、前記近似式に基づいて本来の前記目標位置に対応した前記誤差を得ることを特徴とするパラレルリンクステージの制御プログラム。
【請求項5】
ベースと、エンドエフェクタと、前記ベースに固定されたアクチュエータを備える駆動リンクと、前記エンドエフェクタに連結された可動リンクと、一端が前記駆動リンクに連結され、他端が前記可動リンクに連結された少なくとも3本のリンクと、
前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を算出する第1制御機能、および本来の目標位置に前記誤差を加算した指令値を用いて前記アクチュエータを作動させることにより、前記エンドエフェクタの移動誤差を補正する第2制御機能を具備した制御手段と、
を含むことを特徴とするパラレルリンクステージ。
【請求項6】
請求項5記載のパラレルリンクステージにおいて、
前記第1制御機能では、前記エンドエフェクタの可動領域において、前記エンドエフェクタの目標位置に対する実際の移動位置の誤差を実測し、前記誤差の測定値から任意の目標位置に対する実際の移動位置の誤差を与える近似式を生成し、
前記第2制御機能では、前記近似式に基づいて本来の前記目標位置に対応した前記誤差を得ることを特徴とするパラレルリンクステージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−58171(P2010−58171A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222970(P2008−222970)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】