説明

パンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法

【課題】パンタグラフの高さ測定におけるキャリブレーションを容易に行うことを可能としたパンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法を提供する。
【解決手段】車両10の屋根上に設置されるラインセンサ20と、ラインセンサ20によって撮影した画像を解析する処理用コンピュータ30と、パンタグラフ10aの変動幅を含む範囲に着脱可能に設けられ、黒色領域40b及び白色領域40wを鉛直方向に沿って交互に配してなるキャリブレーション用部材40とを備え、処理用コンピュータ30が、ラインセンサ20によってキャリブレーション用部材40を撮影した画像から得られる黒色領域40b及び白色領域40wの画像上の位置と黒色領域40b及び白色領域40wの実際の高さとの関係式である架線高さ計算用近似式を求めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を用いてパンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道設備においては、架線の高さの変動幅を規定値内に収める必要があり、検査項目のひとつとして架線の高さの測定が挙げられる。この架線の高さは、車両の屋根上に設置されている集電装置であるパンタグラフの高さと同値であることから、従来、パンタグラフの高さを測定することによって架線の高さを取得する方法が公知となっている。例えば、このようなパンタグラフの高さを測定する方法として以下のものが挙げられる。
【0003】
(イ)レーザセンサ方式
この方式は、パンタグラフをミラー等によりレーザで走査し、反射波の位相差や反射したレーザの形状の変形などにより、パンタグラフの高さを測定する方式である。
(ロ)光切断センサ方式
この方式は、パンタグラフに縞状の光を投光し、パンタグラフの形状に応じて凹凸になった縞を受光し、パンタグラフの高さを測定する方式である。
(ハ)画像処理方式
この方式は、図14に示すように、車両10の屋根上に設置したラインセンサカメラ(以下、ラインセンサ)20でパンタグラフ10aを撮影し、撮影した画像に対して処理用コンピュータ30においてモデルマッチングやパタンマッチング等の処理を行い、パンタグラフ10aの高さを測定する方式である(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
上記の方式のうち、画像処理方式は、ラインセンサ20により撮影したパンタグラフ10aの画像の中から、予め用意しておいたパンタグラフ10aのモデルとマッチングする画像上のピクセル位置を抽出し、ラインセンサ20からパンタグラフ10aまでの距離や撮影器具のレンズの焦点距離などに基づき、画像上のピクセル位置からパンタグラフ10aの実際の高さを算出するものである。
【0005】
この画像処理方式は、撮影器具としてラインセンサ20を用いることで空間分解能を上げ、精度を向上させている。この方式は、レーザセンサ方式や光切断方式に比べて装置が小型になるので、測定専用に製造された検測車だけでなく、営業車にも搭載できるという利点がある。
【0006】
また、特許文献2の方法を使用する場合、図30のようにラインセンサ20は斜め上方を見上げる形で設置される。このとき、パンタグラフ10aの変位方向とラインセンサ20の仰角との関係より、パンタグラフ10aが低い位置の場合の分解能と高い位置の場合の分解能は異なる。具体的には図30のように、低い位置のほうが分解能は高くなり、高い位置のほうが分解能は低くなる。なお、パンタグラフ10aが低い位置において分解能が高くなるのは、低い位置の方がラインセンサ20との距離が近くなるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−250774号公報
【特許文献2】特開2008−104312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ラインセンサ20を用いた方式においては、図14に破線で示すように、ラインセンサ20をパンタグラフ10aの正面に設置すれば、架線の高さの変動幅において画像の分解能はほぼ一定であるので、精度よくパンタグラフ10aの高さを測定することができるが、ラインセンサ20をパンタグラフ10aと同じ高さに設置すると、ラインセンサ20が架線5と接触し、重大な事故に繋がるおそれがある。
【0009】
そのため、実際には図14に実線で示すようにパンタグラフ10aに対して斜め下方にラインセンサ20が設置される。ところが、図14に実線で示すようにラインセンサ20を設置すると、ラインセンサ20の光軸がパンタグラフ10aの変位方向(鉛直方向)に対して直交せず、斜めに交差することとなり、パンタグラフ10aの位置が低い場合と高い場合とでラインセンサ20によって撮影される画像の分解能が異なる状態となる。具体的にはパンタグラフ10aが低い位置にあるほうが、パンタグラフ10aとラインセンサ20との距離が近くなるため、パンタグラフ10aの位置が高い場合に比較して分解能が高くなる。
【0010】
例えば、特許文献2ではパンタグラフ10aの高さをラインセンサ20のカメラレンズの焦点距離やラインセンサ20によって撮影した画像上のパンタグラフ10aの位置(ピクセル位置)と実際のパンタグラフ10aの高さとの関係を表す比を用いて演算を行っている。
【0011】
つまり、実際のパンタグラフ10aの高さをH、ラインセンサ20によって撮影した画像上のパンタグラフ10aの位置をP、画素サイズをn、ラインセンサ20からパンタグラフ10aまでの距離をl、ラインセンサ20のレンズの焦点距離をfとすると、それぞれの関係は下記(1)式で表される。
H:P×n=l:f ・・・(1)
【0012】
これを展開すると下記(2)式となる。
H=(l×P×n)/f ・・・(2)
【0013】
この(2)式を用いてパンタグラフ10aの実際の高さを求めている。しかし、このような計算を行うためには、レンズの焦点距離fやラインセンサ20からパンタグラフ10aまでの距離lなどを予め測定する必要があり、作業性が悪いという問題があった。
【0014】
さらに、ラインセンサ20を図14に破線で示す位置に設置すればラインセンサ20からパンタグラフ10aまでの距離lは一定でよいが、ラインセンサ20を図14に実線で示す位置に設置した場合は画像上のピクセルの位置毎に距離lの値が異なるので、距離lを一定として演算を行うと演算結果に誤差が生じる。そのため、ラインセンサ20をパンタグラフ10aに対して斜め下方に設置した場合は、射影変換などを用いて高さの補正計算を行う必要があった。この計算を行うためには、ラインセンサ20の仰角が必要であり、複雑な演算を行う必要があった。
【0015】
このようなことから本発明は、パンタグラフの高さ測定におけるキャリブレーションを簡易に行うことを可能としたパンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置は、車両の屋根上に設置されるラインセンサと、前記ラインセンサによって撮影した画像を解析する画像処理手段とを備え、走行中の車両のパンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置において、前記パンタグラフの変動幅を含む範囲に、濃色領域及び淡色領域を鉛直方向に沿って交互に配してなるキャリブレーション用部材が着脱可能に設けられ、前記画像処理手段が、前記ラインセンサによって前記キャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる前記濃色領域及び前記淡色領域の画像上の位置と前記濃色領域及び前記淡色領域の実際の高さとの関係式を求め、この関係式を用いて前記ラインセンサによって撮影した前記パンタグラフの画像上の位置から実際のパンタグラフの高さを算出するように構成されたことを特徴とする。
【0017】
上記の課題を解決するための第2の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置は、第1の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置において、前記キャリブレーション用部材に、鉛直方向に連結される複数の第一の色領域と、前記第一の色領域の周囲に配される第二の色領域とからなる撮影ライン修正用部材が着脱可能に設けられるとともに、前記ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段を備え、前記撮影ライン修正用部材は、前記表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅が前記ラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように前記第一の色領域の形状を設定されたことを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するための第3の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置は、第2の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置において、前記撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において前記第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、前記第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成されたことを特徴とする。
【0019】
上記の課題を解決するための第4の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置は、第1乃至第3のいずれかの発明に係るパンタグラフ高さ測定装置において、前記画像処理手段が、前記ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成する入力画像作成部と、前記入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成する二値化処理部と、前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置を検出する色領域位置検出部と、前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置及び前記濃色領域と前記淡色領域の実際の位置に基づいて前記関係式を算出する関係式演算部とを備えることを特徴とする。
【0020】
上記の課題を解決するための第5の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置は、第1乃至第4のいずれかの発明に係るパンタグラフ高さ測定装置において、前記撮影ライン修正用部材は、該撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を備えることを特徴とする。
【0021】
上記の課題を解決するための第6の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法は、車両の屋根上に設置されたラインセンサによって走行中の前記車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサによって撮影した画像を解析して前記パンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法であって、その表面に濃色領域及び淡色領域が鉛直方向に沿って交互に配色されてなるキャリブレーション用部材を前記パンタグラフの近傍に設置する第一の工程と、前記ラインセンサによって前記キャリブレーション用部材を撮影する第二の工程と、前記画像処理手段において前記ラインセンサによって撮影された画像上の前記濃色領域及び前記淡色領域の位置を検出するとともに、検出された前記濃色領域及び前記淡色領域の画像上の位置と前記濃色領域及び前記淡色領域の実際の位置との関係式を算出する第三の工程とからなることを特徴とする。
【0022】
上記の課題を解決するための第7の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法は、第6の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法において、同一形状の領域を鉛直方向に複数連結してなる第一の色領域及び前記第一の色領域の周囲に配される第二の色領域が配色されてなり、前記第一の色領域及び前記第二の色領域が、前記表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅が前記ラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように配色された撮影ライン修正用部材を前記キャリブレーション用部材に設置し、前記ラインセンサによって前記撮影ライン修正用部材を撮影し、前記ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段に表示される前記撮影ライン修正用部材の画像を確認しつつ前記撮影ラインを修正し、前記撮影ライン修正用部材を取り外した後、前記第一、第二及び第三の工程を行うことを特徴とする。
【0023】
上記の課題を解決するための第8の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法は、第7の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法において、前記撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において前記第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、前記第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成されていることを特徴とする。
【0024】
上記の課題を解決するための第9の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法は、第6乃至第8のいずれかの発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法において、前記画像処理手段が、前記ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成し、前記入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成し、前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置を検出し、前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置及び前記濃色領域と前記淡色領域の実際の位置に基づいて前記関係式を算出することを特徴とする。
【0025】
上記の課題を解決するための第10の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法は、第6乃至第9のいずれかの発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法において、前記撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を設け、前記中心線に基づき前記撮影ラインを修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上述した第1の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、車両の屋根上に設置されるラインセンサと、ラインセンサによって撮影した画像を解析する画像処理手段とを備え、走行中の車両のパンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置において、パンタグラフの変動幅を含む範囲に、濃色領域及び淡色領域を鉛直方向に沿って交互に配してなるキャリブレーション用部材が着脱可能に設けられ、画像処理手段が、ラインセンサによってキャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の高さとの関係式を求め、この関係式を用いてラインセンサによって撮影したパンタグラフの画像上の位置から実際のパンタグラフの高さを算出するように構成されたので、ラインセンサのカメラレンズの焦点距離やラインセンサからパンタグラフまでの距離、画像の分解能、ラインセンサの仰角などを考慮しなくてもキャリブレーション用部材を撮影した画像を解析することにより、作業者によらずキャリブレーション用部材を撮影した画像から濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の高さとの関係式を容易に求めることができ、ラインセンサが斜め上方を見上げるような状態で撮影を行う場合であっても複雑な計算をすることなく、パンタグラフの高さ測定の精度を向上させることができる。
【0027】
上述した第2の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、キャリブレーション用部材に、鉛直方向に連結される複数の第一の色領域と、第一の色領域の周囲に配される第二の色領域とからなる撮影ライン修正用部材が着脱可能に設けられるとともに、ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段を備え、撮影ライン修正用部材は、表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅がラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように第一の色領域の形状を設定されたので、第1の発明の効果に加えて、ラインセンサの撮影ラインの位置及び向きを容易に且つ確実にパンタグラフに直交するように修正することができ、そのため、より高精度にパンタグラフの高さ測定を行うことができる。
【0028】
上述した第3の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成されたので、撮影ラインをパンタグラフに直交させるためには表示手段に前記第一の色領域が連続して表示されるように撮影ラインの位置及び傾きを修正すればよく、撮影ラインの位置及び傾きの修正を容易に行うことができる。
【0029】
上述した第4の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、画像処理手段が、ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成する入力画像作成部と、入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成する二値化処理部と、二値化画像上の濃色領域と淡色領域の位置を検出する色領域位置検出部と、二値化画像上の濃色領域と淡色領域の位置及び濃色領域と淡色領域の実際の位置に基づいて関係式を算出する関係式演算部とを備えるので、キャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の高さとの関係式を算出する処理を円滑に行うことができる。
【0030】
上述した第5の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、前記撮影ライン修正用部材は、該撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を備えるので、撮影ラインの傾きを修正するのに、ラインセンサを回転させた方向が正しいかを客観的に判断することができる。
また、実際のラインセンサの回転や水平方向の移動を意識せずに、撮影中の画像を見ながら修正を行うことができる。
また、人の感覚や経験が必要なく、より汎用的で容易に修正することができる。
また、キャリブレーションの精度を上げることにより、パンタグラフの高さ測定を精度良く行うことができる。
【0031】
上述した第6の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法によれば、車両の屋根上に設置されたラインセンサによって走行中の車両のパンタグラフを撮影し、ラインセンサによって撮影した画像を解析してパンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法であって、その表面に濃色領域及び淡色領域が鉛直方向に沿って交互に配色されてなるキャリブレーション用部材をパンタグラフの近傍に設置する第一の工程と、ラインセンサによってキャリブレーション用部材を撮影する第二の工程と、画像処理手段においてラインセンサによって撮影された画像上の濃色領域及び淡色領域の位置を検出するとともに、検出された濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の位置との関係式を算出する第三の工程とからなるので、ラインセンサのカメラレンズの焦点距離やラインセンサからパンタグラフまでの距離、画像の分解能、ラインセンサの仰角などを考慮しなくてもキャリブレーション用部材を撮影した画像を解析することにより、作業者によらずキャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の高さとの関係式を容易に演算することができ、ラインセンサが斜め上方を見上げるような状態で撮影を行う場合であっても複雑な計算をすることなく、パンタグラフの高さ測定の精度を向上させることができる。
【0032】
上述した第7の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法によれば、同一形状の領域を鉛直方向に複数連結してなる第一の色領域及び第一の色領域の周囲に配される第二の色領域が配色されてなり、第一の色領域及び第二の色領域が、表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅がラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように配色された撮影ライン修正用部材をキャリブレーション用部材に設置し、ラインセンサによって撮影ライン修正用部材を撮影し、ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段に表示される撮影ライン修正用部材の画像を確認しつつ撮影ラインを修正し、撮影ライン修正用部材を取り外した後、第一、第二及び第三の工程を行うので、第5の発明の効果に加えて、ラインセンサの撮影ラインの位置及び向きを容易に且つ確実にパンタグラフに直交するように修正することができ、そのため、より高精度にパンタグラフの高さ測定を行うことができる。
【0033】
上述した第8の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法によれば、撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成されているので、撮影ラインをパンタグラフに直交させるためには表示手段に前記第一の色領域が連続して表示されるように撮影ラインの位置及び傾きを修正すればよく、撮影ラインの位置及び傾きの修正を容易に行うことができる。
【0034】
上述した第9の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法によれば、画像処理手段が、ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成し、入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成し、二値化画像上の濃色領域と淡色領域の位置を検出し、二値化画像上の濃色領域と淡色領域の位置及び濃色領域と淡色領域の実際の位置に基づいて関係式を算出するので、キャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる濃色領域及び淡色領域の画像上の位置と濃色領域及び淡色領域の実際の高さとの関係式を算出する処理を円滑に行うことができる。
【0035】
上述した第10の発明に係るパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法によれば、前記撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を設け、前記中心線に基づき前記撮影ラインを修正するので、撮影ラインの傾きを修正するのに、ラインセンサを回転させた方向が正しいかを客観的に判断することができる。
また、実際のラインセンサの回転や水平方向の移動を意識せずに、撮影中の画像を見ながら修正を行うことができる。
また、人の感覚や経験が必要なく、より汎用的で容易に修正することができる。
また、キャリブレーションの精度を上げることにより、パンタグラフの高さ測定を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1に係るパンタグラフ高さ測定装置の適用例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係るキャリブレーション用部材の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1に係る処理用コンピュータの概略構造を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1における処理用コンピュータによる処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1において得られるキャリブレーション用画像の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例1において得られる二値化画像の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例1において得られるトロリ線のピクセル位置と実際の高さとの関係を示すグラフである。
【図8】図8(a)は本発明の実施例2に係る撮影ライン修正用部材の正面図、図8(b)は図8(a)の側面図である。
【図9】本発明の実施例2における撮影ラインの修正に係る処理を示すフローチャートである。
【図10】図10(a)、(b)、(c)は本発明の実施例2における撮影ライン修正用部材に対する撮影ラインの位置の例を示す説明図である。
【図11】図11(a)、(b)、(c)はそれぞれ図10(a)、(b)、(c)において得られるキャリブレーション用画像の一例を示す説明図である。
【図12】図12(a)、(b)、(c)は本発明の実施例1におけるキャリブレーション用部材に対する撮影ラインの位置の例を示す説明図である。
【図13】図13(a)、(b)は撮影ライン修正用部材の他の例を示す説明図である。
【図14】ラインセンサの設置例を示す説明図である。
【図15】本発明の実施例3に係る撮影ライン修正用部材の正面図である。
【図16】本発明の実施例3に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法の装置構成を示した模式図である。
【図17】本発明の実施例3に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法の構成例を示したブロック図である。
【図18】本発明の実施例3に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法を示したフローチャートである。
【図19】本発明の実施例3に係る水平方向の修正を行う前の撮影画像の例を示した図である。
【図20】本発明の実施例3に係る水平方向の修正を行った後の撮影画像の例を示した図である。
【図21】本発明の実施例3に係る回転方向の修正を行った後の撮影画像の例を示した図である。
【図22】本発明の実施例3に係る修正終了後の撮影画像の例を示した図である。
【図23】本発明の実施例3に係る水平方向の修正を行う前の撮影ラインの例を示した図である。
【図24】本発明の実施例3に係る水平方向の修正を行った後の撮影ラインの例を示した図である。
【図25】本発明の実施例3に係る回転方向の修正を行った後の撮影ラインの例を示した図である。
【図26】本発明の実施例3に係る修正終了後の撮影ラインの例を示した図である。
【図27】本発明の実施例1,2に係るラインセンサの撮影ライン修正用部材の形状の例を示した図である。
【図28】本発明の実施例1,2に係る撮影ライン修正用部材の撮影状況の例を示した図である。
【図29】本発明の実施例1,2に係る撮影ライン修正部材の撮影の例を示した図である。
【図30】特許文献2に係るラインセンサの設置例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明に係るパンタグラフ高さ測定装置の一例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0038】
図1乃至図7を用いて本発明に係るパンタグラフ高さ測定装置の第1の実施例を説明する。図1は本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置の概略構成図、図2は本実施例に係るキャリブレーション用部材の正面図、図3は本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置の構造を示すブロック図、図4は本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置によるキャリブレーションの流れを示すフローチャート、図5は本実施例におけるキャリブレーション用画像の例を示す説明図、図6は二値化画像の例を示す説明図、図7は実際の高さと画像上のピクセル位置との関係を示すグラフである。
【0039】
図1に示すように、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置は、ラインセンサ20と、処理用コンピュータ30と、キャリブレーション用部材40とを備えて構成されている。
【0040】
ラインセンサ20は、車両10の屋根上にパンタグラフ10aを撮影するように設置されている。即ち、ラインセンサ20は、その光軸が斜め上方に向くように、且つその走査線方向がパンタグラフ10aと直交するようにその向きを設定されている。このラインセンサ20によって取得した画像信号は処理用コンピュータ30に入力される。
【0041】
処理用コンピュータ30は、ラインセンサ20によって撮影した画像上のキャリブレーション用部材40の位置と実際のキャリブレーション用部材40の位置との関係式である架線高さ計算用近似式を算出する機能を有し、図3に示すように、入力画像作成部31、二値化処理部32、色領域位置検出部としてのピクセル幅抽出部33、関係式演算部としての近似式演算部34、及びメモリ35A,35Bを備えている。また、この処理用コンピュータ30には、後述するキャリブレーション用画像(ラインセンサ画像)1や二値化画像2を表示可能に構成されたモニタ60が接続されている。
【0042】
架線高さ計算用近似式を算出するための構成において、入力画像作成部31は、ラインセンサ20から入力されるキャリブレーション用部材40を撮影して得られた画像信号を時系列的に並べてなるキャリブレーション用画像1(図5参照)を作成する。このキャリブレーション用画像1は、メモリ35A,35Bを経て、二値化処理部32へ送られる。
【0043】
二値化処理部32は、入力画像作成部31から入力されるキャリブレーション用画像1に対して二値化処理を施し、二値化画像2(図6参照)を作成する。この二値化処理部32において作成された二値化画像2はメモリ35Bを経てピクセル幅抽出部33へ送られる。
【0044】
ピクセル幅抽出部33は、二値化処理部32から入力される二値化画像2から後述するキャリブレーション用部材0の黒色領域40bの軌跡2bと、白色領域40wの軌跡2wをそれぞれ抽出し、それぞれの領域2b,2wの幅をピクセル幅として求める。このピクセル幅抽出部33において抽出されたピクセル幅の情報はメモリ35Bを経て近似式演算部34へ送られる。
【0045】
近似式演算部34は、ピクセル幅抽出部33から入力されるピクセル幅と、予め測定した黒色領域40b及び白色領域40wの実際の幅とに基づいて最小二乗法により架線高さ計算用近似式を求める。この近似式演算部34において算出された架線高さ計算用近似式は、メモリ35Bに保存される。
【0046】
ここで、最小二乗法とは、測定で得られた数値の組を適当なモデルから想定される一次関数、対数曲線など特定の関数を用いて近似するときに、想定する関数が測定値に対してよい近似となるように、残差の二乗和を最小とするような係数を決定する方法である。
【0047】
このように構成されることにより、処理用コンピュータ30はラインセンサ20から入力される画像信号を解析して架線高さ計算用近似式を算出することができる。
【0048】
キャリブレーション用部材40は、例えば矩形に形成された板状の部材からなる。このキャリブレーション用部材40の長手方向の長さは、パンタグラフの変動幅、換言すると架線の変動幅の範囲より長尺に形成されている。そしてこのキャリブレーション用部材40はパンタグラフ10aのラインセンサ20側の端面に近接する位置、具体的には、処理用コンピュータ30によって得られるキャリブレーション用部材40とパンタグラフ10a高さに誤差が生じない程度の位置に着脱可能に取り付けられている。さらにキャリブレーション用部材40は、架線の変動幅の範囲を含むような高さに設置されている。
【0049】
このキャリブレーション用部材40には、図2に示すように、その表面に長手方向に沿って黒色領域40bと白色領域40wとが交互に配されている。本実施例において黒色領域40bと白色領域40wとは同一幅(L)であり、その境界線は、それぞれ当該キャリブレーション用部材40の長手方向に対して直交している。
【0050】
図4に基づいて本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置を用いて架線高さ計算用近似式を算出する処理について説明する。
【0051】
キャリブレーション用部材40をパンタグラフ10aの近傍に設置し、ラインセンサ20によるキャリブレーション用部材40の撮影を開始したら、処理用コンピュータ30において、図4に示すように、ラインセンサ20から入力されるキャリブレーション用部材40の画像を時系列的に並べ、図5に示すようなキャリブレーション用画像1を作成する(ステップPA1)。図5に示すように、キャリブレーション用画像1には黒色領域40bの軌跡1bと、白色領域40wの軌跡1wとが表示される。
【0052】
ここで、キャリブレーション用画像1では、ラインセンサ20の光軸が斜め上方を向いていることにより、ラインセンサ20からキャリブレーション用部材40までの距離が短いキャリブレーション用部材40の下方の領域の幅WLに対して、ラインセンサ20からキャリブレーション用部材40までの距離が長いキャリブレーション用部材40上方の領域の幅WHが狭く表示される。
【0053】
ステップPA1に続いては、キャリブレーション用画像1に対して二値化処理を行い、図6に示すような二値化画像2を作成する(ステップPA2)。図6に示すように、二値化画像2は、キャリブレーション用画像1と概ね同様の画像となる。
【0054】
ステップPA2に続いては、二値化画像2からキャリブレーション用部材40の黒色領域40bに対応する軌跡2bと、白色領域40wに対応する軌跡2wとを抽出し、これらの幅(本実施例では図6に示す軌跡2bと軌跡2wの一つの境界線から他の境界線までの距離p1〜p6)を求める(ステップPA3)。
【0055】
続いて、図7に示すようにキャリブレーション用部材40の黒色領域40b、白色領域40wの実際の位置(本実施例では黒色領域40bと白色領域40wの一つの境界線から他の境界線までの距離L〜6L)と、ステップPA3において求めた幅p1〜p6との関係を取得し、これに基づいてラインセンサ20によって撮影した画像からパンタグラフ10aの高さ、換言すると、架線の高さを算出するための関係式である架線高さ計算用近似式を最小二乗法により求める(ステップPA4)。以上の処理により架線高さ計算用近似式を求めることができる。
【0056】
なお、この架線高さ計算用近似式を用いてパンタグラフ10aの高さ測定する場合には、まず、特許文献2のようにパタンマッチングなどの画像処理によって撮影画像中のパンタグラフ10aのピクセル位置を求める。そして、得られたピクセル位置をステップPA4で求めた近似式に代入することで、ラインセンサ20の光軸が斜めを向いた状態でも精度よくパンタグラフ10aの高さを求めることができる。なお、実際の架線の高さを求める場合は、地面からキャリブレーション用部材40までの高さなどをオフセットとして加算する必要がある。
【0057】
このように構成された本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、ラインセンサのカメラレンズの焦点距離やラインセンサからパンタグラフまでの距離、画像の分解能などを考慮しなくても、キャリブレーション用部材40を撮影した画像を解析することで下線高さ計算用近似式を求めることができるので、作業者によらず簡単にキャリブレーションを行うことができる。
【0058】
これにより、ラインセンサ20の光軸が斜め上方を向いた状態で撮影した場合であっても、ラインセンサ20からパンタグラフ10aまでの距離やカメラ仰角などを考慮した複雑な計算をすることなく、パンタグラフ10aの高さの測定を高精度に行うことができる。
【実施例2】
【0059】
図8乃至図13を用いて本発明に係るパンタグラフ高さ測定装置の第2の実施例を説明する。図8(a)は本実施例において使用する撮影ライン修正用部材の正面図、図8(b)は図8(a)に示す撮影ライン修正用部材の側面図、図9は本実施例におけるラインセンサの位置修正の処理の流れを示すフローチャート、図10(a)〜(c)は撮影ライン修正用部材に対する撮影ラインの位置の例を示す説明図、図11(a)〜(c)は図11に対応するキャリブレーション用画像の例を示す説明図、図12本発明の実施例1におけるキャリブレーション用部材に対する撮影ラインの位置の例を示す説明図、図13(a),(b)は撮影ライン修正用部材の他の例を示す正面図である。
【0060】
本実施例は、上述した実施例1において説明したキャリブレーション作業を行う前に、図8に示す撮影ライン修正用部材50を用いてラインセンサの撮影ラインを修正するようにした例である。その他の構成は図1乃至図7に示し上述した実施例1の構成と概ね同様であり、同一の部材には同一の符合を付して重複する説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0061】
実施例1においては、図12(a)に示すように、ラインセンサ20の撮影ラインSをパンタグラフ10aに直交するように、換言すると、ラインセンサ20がキャリブレーション用部材40をその長手方向に沿って撮影するように設置した。このように、ラインセンサ20を設置すれば、最も理想的でより精度の高いキャリブレーションを行うことができる。
【0062】
これに対し、図12(b)に示すように撮影ラインSがキャリブレーション用部材40の幅方向の両端を横切るようにラインセンサ20を設置された場合、キャリブレーション用画像1上に現れるキャリブレーション用部材40の図12(b)に破線の円で示す部分に対応する軌跡のピクセル幅が短くなるため、正確な架線高さ計算用近似式が得られないおそれがある。
【0063】
また、図12(c)に示すように、撮影ラインSがキャリブレーション用部材40の幅方向の両端を横切らない場合であっても、撮影ラインSがキャリブレーション用部材40の長手方向に対して角度θだけ傾くと、図12(c)に示す撮影ラインS上の白色領域40wの幅Wpcは図12(a)に示す撮影ラインS上の白色領域40wの幅Wpaの(1/cosθ)倍になる。これより、図12(c)に示す撮影ラインSに対応する分解能は(L/P)cosθとなり、図12(a)に示す撮影ラインSに対応する分解能L/Pのcosθ倍になる。
【0064】
ここで、例えば、θが1°や2°傾いていてもcosθの値はほぼ1であるため十分に精度を確保することができる。しかし、ラインセンサ20は撮像素子が一列に並んでいて一次元の画像を撮影するので、モニタ60に表示される画像からラインセンサ20がキャリブレーション用部材40のどの位置を撮影し、キャリブレーション用部材40の長手方向に対してどの程度傾いているかを把握するのは困難である。そのためラインセンサ20の撮影ラインSをキャリブレーション用部材40の長手方向と平行にするためには、その作業が煩雑となることも考えられる。
【0065】
そこで、本実施例では図8に示す撮影ライン修正用部材50を用いてラインセンサ20の撮影ラインの傾きを修正するように構成している。
【0066】
即ち、本実施例においてキャリブレーション用部材40には、図8に示すように、そのラインセンサ20側の表面に撮影ライン修正用部材50が着脱可能に取り付けられている。撮影ライン修正用部材50は、矩形に形成された板状の部材からなり、表面に、複数(図8では四つ)の第一の色領域としての黒色領域50aが鉛直方向に沿って一直線上に連結される一方、この黒色領域50aの周囲に第二の色領域としての白色領域50bが配色されている。黒色領域50aは菱形形状であり、隣接する当該撮影ライン修正用部材50とはその対向点同士が接している。
【0067】
図9に基づいて本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置によるラインセンサ20の撮影ラインを修正する流れを説明する。図9に示すように、本実施例においてラインセンサ20の撮影ラインの位置を修正する場合、まず、その黒色領域50aを連結した方向とキャリブレーション用部材40の幅方向の中心oとが一致するように、キャリブレーション用部材40に撮影ライン修正用部材50を取り付ける(ステップPB1)。
【0068】
続いて、ラインセンサ20によって撮影ライン修正用部材50を撮影し、モニタ60に表示する(ステップPB2)。このとき、モニタ60には、概ね図11(a)〜図11(c)のいずれかの画像が表示されることとなる。なお、図11(a)、図11(b)に示すように、映像に白黒の領域が交互に帯状に映っている場合はラインセンサ20の撮影ラインSが斜めになっているか、中心oからずれている。一方、図11(c)に示すように、同一色が連続して表示されている場合は撮影ラインSが撮影ライン修正用部材50の中心oと一致している。
【0069】
続いて、撮影ラインの位置を修正する(ステップPB3)。即ち、ラインセンサ20の撮影ラインSが図10(a)に示す位置を撮影している場合はモニタ60に図11(a)に示すような画像、つまり、黒色領域50aの幅、白色領域50bの幅がそれぞれ同一幅となった画像が表示される。このような場合はラインセンサ20の撮影ラインが中心oから平行にずれているため、モニタ60に表示される画像を確認しつつラインセンサ20の向きを水平方向に移動させることにより撮影ラインSを修正することができる。なお、ラインセンサ20の向きを移動させる方向は、モニタ60に表示される黒色領域50aの幅が大きくなる方向に移動させればよい。
【0070】
また、ラインセンサ20の撮影ラインSが図10(b)に示す位置を撮影している場合はモニタ60に図11(b)に示すような画像、つまり、黒色領域50a、白色領域50bともにそれぞれ幅が異なった状態の画像が表示される。このような場合にはラインセンサ20の撮影ラインSが中心oに対して傾いているため、モニタ60に表示される画像を確認しつつ、まず黒色領域50aの幅、白色領域50bの幅がそれぞれ概ね同一幅となるようにラインセンサ20の撮影ラインを回転させてラインセンサ20の撮影ラインSを中心oと平行になるように移動させ、その後、ラインセンサ20を水平方向に移動させればよい。
【0071】
このようにして、図11(c)に示すように黒色領域50a(または白色領域)が連続して表示されるように撮影ラインSを修正することで、撮影ラインSの位置及び向きが撮影ライン修正用部材50の中心oと一致するように修正される。
【0072】
ラインセンサ20の撮影ラインSの修正を行ったら、撮影ライン修正用部材50をキャリブレーション用部材40から取り外し(ステップPB4)、実施例1において説明したキャリブレーション処理を行う(ステップPB5)。
【0073】
このように構成されたことにより、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置によれば、ラインセンサ20の撮影ラインをキャリブレーション用部材40の中心oと一致させる作業を作業者によらず容易に行うことができる。
【0074】
そして、ラインセンサ20の撮影ラインSをキャリブレーション用部材40の中心oと一致させた状態でキャリブレーションを行うことができるので、パンタグラフ10aの高さの測定をより高精度に実施することができる。
【0075】
なお、上述した実施例では撮影ライン修正用部材50の黒色領域50bを菱形形状、白色領域50wを背景とする例を示したが、図8(a)に示す撮影ライン修正用部材51のように黒色領域51bを背景、白色領域51wを菱形形状にしてもよく、また、第一の色領域の形状は菱形形状に限らず、図8(b)に示す撮影ライン修正用部材52のように第一の色領域52bを楕円形状とし、その周囲を第二の色領域52wとするなど、水平方向の中心の上下幅がその両側の上下幅に比較して幅広になっていればよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【実施例3】
【0076】
上述したように、特許文献2の方法を使用する場合、図30のようにラインセンサ20は斜め上方を見上げる形で設置される。このとき、パンタグラフ10aの変位方向とラインセンサ20の仰角との関係より、パンタグラフ10aが低い位置の場合の分解能と高い位置の場合の分解能は異なる。具体的には、図30のように、低い位置のほうが分解能は高くなり、高い位置のほうが分解能は低くなる。なお、パンタグラフ10aが低い位置において分解能が高くなるのは、低い位置の方がラインセンサ20との距離が近くなるためである。
【0077】
上記のような分解能の違いを解決するために、実施例1,2のようなキャリブレーション方法を提案した。実施例1,2によれば、キャリブレーション用部材40をラインセンサ20で撮影し、画像処理することによって、自動的にキャリブレーションを行うことができる。
【0078】
しかし、実施例1,2においては、キャリブレーション時にラインセンサ20の撮影ラインを修正する必要がある。ラインセンサ20の撮影ラインを修正するために、図27のような撮影ライン修正用部材50を使用する。これは、図27(a)に50Lで示すように、矩形の頂点が一直線上に並んでいるので、この直線状にラインセンサ20の撮影ラインが一致すれば、撮影された画像の中で撮影ライン修正用部材50部分は黒くなる。撮影された画像の中で撮影ライン修正用部材50部分が黒くなるように、画像の白黒幅などを見ながら修正を行っていく。なお、図27(b),(c)のように、白黒が反転していたり、矩形ではなく円であったりしても良い。
【0079】
図27(a)の撮影ライン修正用部材50を使用して修正する場合、図28(a)にSで示すように斜めに撮影されれば、図29(a)のように白の幅が不均一に表示される。ラインセンサ撮影ラインと図27(a)の中心線50Lcとを平行にするために、図29(b)のように白の幅が等間隔になるようにラインセンサ20を左右どちらかに回転させる。
【0080】
実際には、斜め上方を見上げているので等間隔にはならず、右にいくほど白の幅が小さくなる(撮影ラインによっては右にいくほど白の幅が大きくなる)ようにラインセンサ20の傾きを修正する。この状態で水平方向に移動させ、黒の幅が大きくなる方向にラインセンサ20を修正する。最終的に図29(c)のように、撮影された画像の中で、撮影ライン修正用部材50部分が全て黒くなれば撮影ラインの修正は終了となる。
【0081】
上記の方法で撮影ラインを修正することは可能だが、下記のような方法があればより効率的に修正することが可能となる。
(1)撮影ラインの傾きを修正するのに、回転させた方向が正しいかを客観的に判断する方法。
(2)実際のラインセンサ20の回転や水平方向の移動を意識せずに、撮影中の画像を見ながら修正を行う方法。
(3)人の感覚や経験が必要なく、より汎用的な修正方法。
【0082】
以上のことから、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法においては、ラインセンサ20を用いてパンタグラフ10aの高さを測定する場合に行うキャリブレーション時の撮影ラインの修正において、実施例1,2の方法に加え、人の感覚や経験が必要なく、撮影した画像を見ながらより効率良く修正できる構成とした。
【0083】
以下、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置の構成について説明する。
図15は、本実施例に係る撮影ライン修正用部材の正面図である。
図15(a)のように、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置における撮影ライン修正用部材100においては、目標撮影ラインの部分に白線の中心線101が入っている形になる。
【0084】
なお、撮影ライン修正用部材100は図15(a)のような形に限定されるわけではなく、白黒反転している図15(b)や、矩形ではなく円形になっている図15(c)のような形でも良い。また、撮影ライン修正用部材100の白色部分は光を反射しやすい素材とし、黒色部分は光を反射しにくい素材とする。
【0085】
図16は、本実施例に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法の装置構成を示した模式図である。
図16に示すように、パンタグラフ102に撮影ライン修正用部材100を取り付ける。なお、図16においては、撮影ライン修正用部材100の側面を示している。また、ラインセンサ103の位置や傾きを修正するために、水平方向と回転が可能なゴニオステージ104上にラインセンサ103を設置する。なお、回転中心が変わることなく回転できる構造であれば、ゴニオステージ104でなくても良い。
【0086】
撮影ライン修正用部材100を撮影するために、ゴニオステージ104上に設置したラインセンサ103を車両105の屋根上に設置する。また、夜間やトンネル、車両基地内等の照度の低い環境下でも撮影ライン修正用部材100の白黒パターンが撮影できるように、ラインセンサ103付近に照明106を設置する。また、ラインセンサ103で撮影した画像を保存するために、車両105内に処理用コンピュータ107を設置する。
【0087】
図17は、本実施例に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法の構成例を示したブロック図である。
図17に示すように、本実施例に係る撮影ライン修正用部材100を用いた修正方法においては、撮影ライン修正用部材100を撮影し、作業者108が撮影ラインを修正する「ラインセンサ103」と、撮影した画像を保存及び表示し、作業者108が画像を確認しながら、撮影ラインを修正するために必要な「処理用コンピュータ107」と、ラインセンサ103の撮影ラインを容易に修正するために、取り外しが可能な「撮影ライン修正用部材100」とを備えている。
以上が本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置の構成である。
【0088】
以下、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置におけるキャリブレーション方法について説明する。
図18は、本実施例に係る撮影ライン修正用部材を用いた修正方法を示したフローチャートである。なお、ここでは、使用する撮影ライン修正用部材100は図15(a)とする。
【0089】
図18に示すように、ステップP100において、パンタグラフ102に撮影ライン修正用部材100を取り付ける。このとき、撮影ライン修正用部材100の中心線101は撮影したいライン上と一致するようにする。
次に、ステップP101において、撮影ライン修正用部材100をラインセンサ103で撮影する。
【0090】
次に、ステップP102において、撮影した画像を確認しながら、ラインセンサ103を水平方向に移動させる。このとき、画像上の撮影ライン修正用部材100の黒部分が大きくなる方向に移動させ、図19に示すように画像上に撮影ライン修正用部材100の中心線101が撮影できるようにする。なお、図19〜22中において、Ioは画像中心を、Iaは画像上の撮影ライン修正用部材100を、Icは画像上の撮影ライン修正用部材100の中心線101を示している。
【0091】
次に、ステップP103において、図19に示すように、Icで示す画像上の撮影ライン修正用部材100の中心線101がIaで示す画像上の撮影ライン修正用部材100上でIoで示す画像中心よりも離れた位置に存在する場合は、図20に示すように、Iaで示す撮影ライン修正用部材100上にIcで示す撮影ライン修正用部材100の中心線101がIoで示す画像中心に近くなるまで、水平方向ヘラインセンサ103を移動させる。
【0092】
次に、ステップP104において、ラインセンサ103を回転させる。このとき、図21で示すように、Iaで示す画像上の撮影ライン修正用部材100部分の中で、Ioで示す画像中心よりも離れた位置に撮影ライン修正用部材100の中心線101が移動するようにラインセンサ103を回転させる。
【0093】
そして、ステップP105において、図22で示すように、Iaで示す画像上の撮影ライン修正用部材100の部分が全て白くなるまで、上記ステップP102からステップP104を繰り返し、撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と一致したときに一連の処理を終了する。
以上が本実施例に係る本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置におけるキャリブレーション方法である。
【0094】
ここで、本実施例に係る撮影ライン修正方法の原理について説明する。
図23は、水平方向の修正を行う前の撮影ラインの例を示した図である。
このとき撮影される画像は図19となり、Icで示す撮影ライン修正用部材100の中心線101はIoで示す画像中心よりも離れた位置に撮影される。なお、図23中において、Sはラインセンサ103の撮影ラインを、Scはラインセンサ103の撮影ラインの中心を示している。
【0095】
次に、撮影ラインの水平方向の修正を行う。
図24は、水平方向の修正を行った後の撮影ラインの例を示した図である。
このとき、図20に示すように、Icで示す撮影ライン修正用部材100の中心線101がIoで示す画像中心に近づくということは、図24中にMで示すようにScで示すラインセンサ103の撮影ラインの中心が撮影ライン修正用部材100の中心線101に近づくことを意味する。なお、図24中において、Sはラインセンサ103の撮影ラインを、Scはラインセンサ103の撮影ラインの中心を、S’は水平方向の修正前のラインセンサ103の撮影ラインを、Mは撮影ラインの水平方向の修正を示している。
【0096】
最終的に、Scで示すラインセンサ103の撮影ラインの中心が、撮影ライン修正用部材100の中心線101の延長上と一致しなければ、Sで示すラインセンサ103の撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と一致することはない。Sで示すラインセンサ103の撮影ラインと撮影ライン修正用部材100の中心線101とを一致させることが最終目的であるので、そのためにSで示すラインセンサ103の撮影ラインの中心を撮影ライン修正用部材100の中心線101に近づけていく必要がある。
【0097】
つまり、画像上においてIcで示す画像上の撮影ライン修正用部材100の中心線101をIoで示す画像中心に近づける必要がある。
上記ステップP103の終了時には、Scで示すラインセンサ103の撮影ラインの中心が撮影ライン修正用部材100の中心線101に近づいたことになる。
【0098】
次に、撮影ラインの回転方向の修正を行う。
図25は、回転方向の修正を行った後の撮影ラインの例を示した図である。
このとき、図21で示すように、画像上においてIcで示す画像上の撮影ライン修正用部材100の中心線101がIoで示す画像中心よりも離れていくということは、図25中にRで示すようにラインセンサ103が回転したことを意味する。なお、図25中において、Sはラインセンサ103の撮影ラインを、Scはラインセンサ103の撮影ラインの中心を、S”は回転方向の修正前のラインセンサ103の撮影ラインを、Rは撮影ラインの回転方向の修正を示している。
【0099】
Sで示すラインセンサ103の撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と一致するためには、Sで示すラインセンサ103の撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と平行になる必要がある。
【0100】
したがって、Sで示すラインセンサ103の撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と平行になる方向に回転させる必要がある。そのためには、図25で示す方向に回転させる必要がある。つまり、図21に示すように、画像上においてIcで示す撮影ライン修正用部材100の中心線101がIoで示す画像中心よりも離れていく必要がある。
上記ステップP104の終了時には、ラインセンサ103の撮影ラインが撮影ライン修正用部材100の中心線101と平行となる方向に回転したことになる。
【0101】
なお、上記ステップP104でラインセンサ103を回転させる場合、Scで示すラインセンサ103の撮影ラインの中心の位置を変えずに回転させる必要がある。したがって、ゴニオステージ104のような回転中心が移動しないような装置を使う必要がある。なお、回転中心が移動しなければ、ゴニオステージ104以外のものを使用しても良い。
【0102】
図26は、修正終了後の撮影ラインの例を示した図である。
上記ステップP102からステップP104を繰り返すことによって、図26で示すように、S示すラインセンサ103の撮影ラインと撮影ライン修正用部材100の中心線101が一致し、図22で示すような画像を得ることができる。なお、図26中において、Sはラインセンサ103の撮影ラインを、Scはラインセンサ103の撮影ラインの中心を示している。
また、図19のように、画像上においてIaで示す画像上の撮影ライン修正用部材100がIoで示す画像中心よりも右側ではなく、左側にあったとしても修正方法の原理は変わらない。
【0103】
以上説明したように、本実施例に係るパンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法によれば、撮影ラインの傾きを修正するのに、ラインセンサ103を回転させた方向が正しいかを客観的に判断することができる。
また、実際のラインセンサ103の回転や水平方向の移動を意識せずに、撮影中の画像を見ながら修正を行うことができる。
また、人の感覚や経験が必要なく、より汎用的で容易に修正することができる。
また、キャリブレーションの精度を上げることにより、パンタグラフ102の高さ測定を精度良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、パンタグラフ高さ測定装置及びそのキャリブレーション方法に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0105】
1,3A,3B,3C キャリブレーション用画像
2 二値化画像
10 車両
20 ラインセンサ
30 処理用コンピュータ
31 入力画像作成部
32 二値化処理部
33 ピクセル幅抽出部
34 近似式演算部
35A,35B メモリ
40 キャリブレーション用部材
40b 黒色領域
40w 白色領域
50 撮影ライン修正用部材
50b 黒色領域
50w 白色領域
60 モニタ
S 撮影ライン
100 撮影ライン修正用部材
101 中心線
102 パンタグラフ
103 ラインセンサ
104 ゴニオステージ
105 車両
106 照明
107 処理用コンピュータ
108 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根上に設置されるラインセンサと、前記ラインセンサによって撮影した画像を解析する画像処理手段とを備え、走行中の車両のパンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置において、
前記パンタグラフの変動幅を含む範囲に、濃色領域及び淡色領域を鉛直方向に沿って交互に配してなるキャリブレーション用部材が着脱可能に設けられ、
前記画像処理手段が、前記ラインセンサによって前記キャリブレーション用部材を撮影した画像から得られる前記濃色領域及び前記淡色領域の画像上の位置と前記濃色領域及び前記淡色領域の実際の高さとの関係式を求め、この関係式を用いて前記ラインセンサによって撮影した前記パンタグラフの画像上の位置から実際のパンタグラフの高さを算出するように構成された
ことを特徴とするパンタグラフ高さ測定装置。
【請求項2】
前記キャリブレーション用部材に、鉛直方向に連結される複数の第一の色領域と、前記第一の色領域の周囲に配される第二の色領域とからなる撮影ライン修正用部材が着脱可能に設けられるとともに、
前記ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段を備え、
前記撮影ライン修正用部材は、前記表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅が前記ラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように前記第一の色領域の形状を設定された
ことを特徴とする請求項1記載のパンタグラフ高さ測定装置。
【請求項3】
前記撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において前記第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、前記第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成された
ことを特徴とする請求項2記載のパンタグラフ高さ測定装置。
【請求項4】
前記画像処理手段が、
前記ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成する入力画像作成部と、
前記入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成する二値化処理部と、
前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置を検出する色領域位置検出部と、
前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置及び前記濃色領域と前記淡色領域の実際の位置に基づいて前記関係式を算出する関係式演算部と
を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパンタグラフ高さ測定装置。
【請求項5】
前記撮影ライン修正用部材は、該撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパンタグラフ高さ測定装置。
【請求項6】
車両の屋根上に設置されたラインセンサによって走行中の前記車両のパンタグラフを撮影し、前記ラインセンサによって撮影した画像を解析して前記パンタグラフの高さを測定するパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法であって、
その表面に濃色領域及び淡色領域が鉛直方向に沿って交互に配色されてなるキャリブレーション用部材を前記パンタグラフの近傍に設置する第一の工程と、
前記ラインセンサによって前記キャリブレーション用部材を撮影する第二の工程と、
前記画像処理手段において前記ラインセンサによって撮影された画像上の前記濃色領域及び前記淡色領域の位置を検出するとともに、検出された前記濃色領域及び前記淡色領域の画像上の位置と前記濃色領域及び前記淡色領域の実際の位置との関係式を算出する第三の工程と
からなる
ことを特徴とするパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法。
【請求項7】
同一形状の領域を鉛直方向に複数連結してなる第一の色領域及び前記第一の色領域の周囲に配される第二の色領域が配色されてなり、前記第一の色領域及び前記第二の色領域が、前記表示手段に表示される該第一の色領域及び第二の色領域の幅が前記ラインセンサの撮影ラインの位置及び傾きによって変化するように配色された撮影ライン修正用部材を前記キャリブレーション用部材に設置し、
前記ラインセンサによって前記撮影ライン修正用部材を撮影し、
前記ラインセンサによって撮影された画像を表示する表示手段に表示される前記撮影ライン修正用部材の画像を確認しつつ前記撮影ラインを修正し、
前記撮影ライン修正用部材を取り外した後、
前記第一、第二及び第三の工程を行う
ことを特徴とする請求項6記載のパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記撮影ライン修正用部材は、その水平方向の中心において前記第一の色領域が隣接する該第一の色領域と相互に接するように、前記第一の色領域の水平方向の中心の上下幅をその両側の上下幅に比較して幅広に形成されている
ことを特徴とする請求項7記載のパンタグラフ高さ測定装置のキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記画像処理手段が、
前記ラインセンサから入力される画像信号を時系列的に並べてなる入力画像を作成し、
前記入力画像を二値化処理してなる二値化画像を作成し、
前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置を検出し、
前記二値化画像上の前記濃色領域と前記淡色領域の位置及び前記濃色領域と前記淡色領域の実際の位置に基づいて前記関係式を算出する
ことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のパンタグラフ高さ測定
装置のキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記撮影ライン修正用部材の水平方向の中心に中心線を設け、
前記中心線に基づき前記撮影ラインを修正する
ことを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のパンタグラフ高さ測定
装置のキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−190886(P2010−190886A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269475(P2009−269475)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】