説明

ヒトまたは動物の関節を融合させるための融合装置およびツールセット

ヒトまたは動物の患者の滑膜関節、特にヒトの椎間関節、指関節またはつま先関節を融合させるための融合装置は、ピン形状の2つの固定部分(1)とその間に配置された安定化部分(2)とを含む。固定部分(1)は機械的振動によって液化可能な熱可塑性材料を含む。安定化部分(2)は好ましくは骨結合を強化する機能を備えた表面を有する。固定部分(1)の厚み(T1)および深さ(D)は安定化部分(2)よりも大きい。融合装置を移植するために、融合させる関節の関節面に溝を設け、2つの対向する溝が合わさって固定部分(1)のうち一方を収容するための開口を形成する。次に、融合装置を関節面の間に押込み、機械的振動、特に超音波振動を融合装置の近位面(4)に与える。これにより、液化可能な材料は、骨組織と接触する場所で液化して骨組織に浸透し、再度凝固した後、融合装置と骨組織との間に押込嵌合接続を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術の分野に属し、ヒトまたは動物の関節の融合(関節固定)のための方法に関する。この関節は、滑膜関節、すなわち各々が軟骨性関節面を含む2つの骨の結合部位であり、これらの関節面の相対的な移動に対し、関節包の中に閉じ込められた滑液が潤滑剤として機能する。上記方法は特に、ヒトの椎間関節、ヒトの手および足(指およびつま先を含む)の関節、仙腸関節、胸鎖関節、胸肋関節または肋椎関節といった小さな滑膜関節の融合に適している。本発明はさらに、この方法を実施するための融合装置およびツールセットに関する。
【背景技術】
【0002】
滑膜関節の融合は、たとえば関節面の退行性または外傷性損傷によって生じた痛みを治療する役割を果たす。この痛みは、関節が動かないようにすることによって、すなわち、関節を機械的に固定した後に、通常は、元々関節を形成している骨を骨伝導(osseoconduction)(2つの関節面の間を架橋する骨の成長)を通して融合させることによって、軽減される。本明細書の文脈において、「融合」という用語は、関節を完全に固定しその後に骨伝導(整形外科的表現)が生じることを意味するのみならず、特に椎間関節に適用される場合は、減圧処置を安定化させるための、または、患者の特定の位置(たとえば活動の中心的な位置)で脊柱が撓むことによって生じたもしくは伸長(distraction)器具(神経学的表現)を適用することによって生じた椎間孔の伸長を固定するための、部分的および/または一時的な固定も意味する。さらに、このような椎間融合を使用して、脊柱湾曲変形を軽く矯正した後に脊柱を固定する、または、脊椎性疾患の矯正後に脊柱の安定化を支援することができる。
【0003】
少なくとも1949年以来(アール・D・マックブライド(Earl D. McBride)、「腰仙融合のための穴が設けられた小関節面間骨ブロック(A mortised transfacet bone block for lumbosacral fusion)」、Journal of Bone and Joint Surgery、volume 31-A、pp. 385-399、1949)、腰仙椎骨の椎間関節の融合は、関係する椎骨が互いに、特に円板動作との関連で、動かないようにするのに有効で簡単な方法であることが知られている。椎間関節を融合させるために、マックブライドは小関節面間骨ブロックを提案している。この骨ブロックは、深さが約3−5mmで下の層から上の小関節面まで延びるくり抜かれた矩形の穴に、伸張状態で押込まれて層間支持柱を形成する。
【0004】
その後の著者達は、関節の関節面間に融合装置を導入することによって椎間関節を融合させることを提案している。この融合装置は通常、関節内の、マックブライドが説明した骨ブロックよりも深いところまで到達する(たとえば10−20mm)。このような融合装置は、たとえば、ブロックもしくは楔の形状の部品もしくはケージであって関節面の間に導入される、または、円筒形もしくは円錐形であって対応するボアに導入され、このボアは、関節面に対して実質的に平行に延びる、すなわち各々が各関節面において延びる対向する2つの溝を構成する。ほとんどの場合、関節面を剥皮するとともに、骨組織で作られたまたは骨材料もしくは骨の代替材料で充填されたケージの形状の融合装置を使用することが提案されており、これが、機械的に融合させた関節の十分な安定化にとって望ましい骨成長を促進し加速させる。融合装置を移植してから、2つの骨の間の骨接続によって関節が十分に安定化するまでの期間において、融合装置を適所で保持し、望ましくは関節の移動を、所望の骨成長が実現されるのに十分高い程度減じるのは、主として摩擦である。ほとんどの著者は、融合装置の位置を固定しかつ所望の骨移動低減を実現するには、移植時の圧入を実現するために融合装置を大きくすることおよび/または融合装置にロック手段を設けることが望ましいかまたは必要でさえあると考えている。開示されているこのようなロック手段の範囲は、関節突起の背側の面または側面に固定されるブロックまたは楔の形状の部品またはケージの近位側のフランジ形状の延長部(たとえばChappuisのUS2005/0124993に開示)から、保持フランジ(たとえばPetersenのUS2006/0111782に開示)、保持畝状部または突起(VestgaardenのUS2009/0036927)、ねじ山(たとえばKrausのUS2006/0190081またはBlackstoneのWO2007/120903に開示)、または関節面の骨組織と接触するほぼ円筒状の融合装置表面上に配置された長手方向の畝状部であって場合によっては融合装置を関節に導入するときにこれらの表面に溝を形成する役割を果たすもの(たとえばBarryのUS2006/0085068に開示)まである。さらに公知のロック手段は、たとえばステープルまたはケーブルといった独立したロック部品である。このロック部品は、椎間関節を形成する2つの関節突起を、たとえば突起の外面の周りに巻かれることによってまたは層を貫くボアを通ることによって、ともに保持するように配置される(たとえばUS2006/0190081に開示)。このような独立したロック部品はまた、それ自身で、すなわち上記融合装置を関節面の間に導入せずに、椎間関節を融合させるために使用できる。
【0005】
たとえば椎間関節および仙腸関節、場合によっては胸肋関節または肋椎関節の場合と同じく、関節の骨が強靭な骨および/または軟骨構造によって互いにバイアスされる場合に限り、滑膜関節を、融合装置、たとえば楔形の融合装置を関節面の間に単に押込むことによって機械的に固定することは、関節融合には十分である。張力を受けて弛緩する靭帯によってのみ関節の骨が接続されている椎間関節を融合させるのに十分な機械的固定は、関節面に固く接続されている融合装置、または関節の骨をともに保持するさらなる部品と組合されている融合装置を使用することによってのみ、可能である。後者は特に、ヒトの手および足(指およびつま先を含む)の関節および胸鎖関節の場合である。
【0006】
融合装置を用いた椎間関節融合のための方法およびツールセットが、たとえば公報US2009/0076551(Petersen)、US2009/0036927(Vestgaarden)、WO2008/097216(Marino)、WO2007/120903(Blackstone)、およびUS2006/0085068(Barry)に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ヒトまたは動物の滑膜関節を融合させるため、特にヒトの椎間関節、ヒトの手および足(指およびつま先を含む)の関節、仙腸関節、胸鎖関節、胸肋関節または肋椎関節といった小さな滑膜関節を融合させるための方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、この方法を実施するための融合装置およびツールセットを提供することである。同じ目的のための公知の方法と比較した本発明に従う方法および融合装置の改良点は、特に、移植直後の融合装置の安定性、移植した融合装置によって骨を成長させることができること、および/または融合処置の簡易性に関連する。これが意味しているのは、本発明に従う融合装置が、移植後適所に留まりさらなるロック部品を必要とすることなく関節を十分に固定でき、かつ、この融合装置によって、所望されれば関節の2つの骨の間の最適な骨伝導、好ましくは融合装置の骨組織内への最適な骨結合(osseointegration)が可能であり、かつ、この融合装置の移植は簡単で最小侵襲手術に適していることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、対応する請求項で規定される方法、融合装置およびツールセットによって達成される。
【0009】
以下の記載は、特にヒトの椎間関節の融合を対象としている。これは本発明に従う教示の、椎間関節の融合への限定を構成するのではない。記載されている方法、融合装置およびツールセットは特に、腰の椎間関節(L1/L2からL5/S1)の融合に適している。しかしながら、当業者は、開示されている方法ならびに融合装置のおよびツールの形状および寸法を、他の(特に胸部および頸部領域の)椎間関節への応用だけでなく、他の滑膜関節、特に本明細書の第1段落で述べた滑膜関節に関する応用に、容易に適合させることができる。
【0010】
本発明に従う方法および融合装置は、好ましくは公知の移植技術に基づく。この技術では、熱可塑特性を有し機械的振動によって液化可能な材料を含む移植片を、硬組織、特に骨組織に、このような振動、特に超音波振動を移植片に与えることにより、固定する。これらの移植技術および移植技術に適した移植片は、たとえば、公報US7335205、US7008226、US2006/0105295、およびUS2008/109080、ならびに未公開の米国仮出願US60/983791およびUS61/049587に開示されている。これらの公報および出願すべての開示を本明細書に引用により援用する。
【0011】
上記移植技術の基本は、融合装置を骨組織内に機械的に十分に固定するのに適した機械的特性を有する熱可塑性材料を、生体内で液化させることである。この材料は、その液化状態において、骨組織に元々あるまたは予め設けられた小孔、空洞またはその他の構造に浸透できる粘度を有し、組織に対して許容不可能な熱負荷が加わらないよう、この材料は比較的少量のみが液化する。小孔、空洞またはその他の構造に浸透した熱可塑性材料は、再度凝固したときに、骨組織とともに押込嵌合接続(positive-fit connection)を構成する。
【0012】
組織の許容可能な熱負荷に関連があり押込嵌合接続の適切な機械的特性を与える適切な液化は、弾性係数が少なくとも0.5GPaで溶融温度が約350℃までの熱可塑特性を有する材料を用い、かつ、このような材料をたとえば移植面上に与えることによって可能である。この材料は、移植時には、好ましくは、移植片よりもわずかに小さい骨の開口の中に移植片を導入することにより、または、移植片を最初は移植片よりもわずかに大きい骨の開口の中で膨張させることにより(たとえば移植片を機械的に圧縮または屈曲させることによって膨張させる)、骨組織に対して押付けられる。移植中、たとえば超音波装置の超音波発振器を移植片に適用することで、移植片に好ましくは2kHzと200kHzの間の範囲にある周波数の振動(好ましくは超音波振動)を加える。熱可塑性材料は、弾性係数が比較的高いため、超音波振動をほとんど減衰なしで伝達するので、融合装置の内部液化したがって不安定化は生じない。すなわち、液化は、液化可能材料が骨組織と接触している場所のみにおいて生じるため、容易に制御でき、最小に保つことができる。
【0013】
液化可能材料を移植片の表面上に与える(たとえばUS7335205またはUS7008226に開示)代わりに、液化可能材料を有孔シースの中に与え、これをシース内で液化させシースの孔を通して融合装置の表面までおよび骨組織の小孔または空洞の中まで押出すことも可能であり(たとえばUS7335205、US7008226および米国仮出願61/0495879に開示)、および/または液化可能材料を2つの移植部分の間で液化させることが可能である。これらの部分のうちの一方が振動し他方は対抗要素として機能し、これら2つの移植部分間の界面は骨組織にできる限り近い場所に配置される(US仮出願60/983791および61/049587に開示)。
【0014】
本発明に従う方法の特定の実施例では、熱可塑特性を有する材料の液化に必要な局所熱エネルギを生成するために、振動エネルギ以外の種類のエネルギを利用することが可能である。このような他の種類のエネルギは、特に、振動エネルギと実質的に同様に摩擦熱に変わる回転エネルギ、または、電磁放射線(特に可視または赤外周波数範囲のレーザ光)である。この放射線は、好ましくは熱可塑特性を有する材料を通して導かれ、熱可塑特性を有する材料に含まれているかまたはこの材料の隣に配置されている吸収体によって局所的に吸収される。融合装置の特定の実施例および特定の応用例については、液化して骨組織の中に浸透する熱可塑性材料を用いた固定以外の、装置を関節に固定する方法を使用することが可能であろう。このような他の方法は、たとえば、この装置を単純に、対応して調製された関節面の間に配置することである。装置を、この装置が移植された位置で保持するために、この装置は圧入に適した寸法にされ、および/または装置の特定部分はそれ自体がたとえば鉤状部、弾性突起、ねじ山といった公知の保持手段、または移植時に骨組織に溝を形成することができる切刃を含む。
【0015】
本発明に従う融合装置の好ましい実施例は、少なくとも2つの装置部分を含む。これらの部分は、先に簡単に説明した固定方法のうちの1つを用いる融合装置の骨組織への固定のために設けられた少なくとも1つの(好ましくは2つの)固定部分と、関節における融合装置のさらなる骨結合のために設けられた少なくとも1つの安定化部分とである。融合装置のこれらの実施例は、好ましくは、本質的に、関節の適切に調製された関節面の間に移植され、上記装置部分は、少なくとも部分的に少なくとも1つの骨伝導領域の、すなわち、好ましくは2つの関節面が直接向き合い(その間に装置の部分がない)、剥皮されている場合は小さな距離を隔てて向き合う中央領域の範囲を定めるように設計される。
【0016】
本発明に従う方法の好ましい実施例に従い、融合装置の上記好ましい実施例は、関節面の間で移植方向に押される。融合装置は、移植方向の深さを有し、この深さは、移植中にツールを用いて融合装置を保持し案内し、かつ、振動(または場合によってはその他のエネルギ)を融合装置に与えるのに適するようにされた装置近位面から、移植中前方を向く装置遠位端まで延びる。融合装置はさらに、(関節面に対して平行である)幅および(関節面に対して垂直である)厚みまたは厚みプロファイルを有し、幅および厚みは、移植方向に対して垂直に延びる。融合装置の部分(固定部分および安定化部分)は、装置の幅の方向において交互に隣り合うように配置され、固定部分(1つまたは複数)は、安定化部分(1つまたは複数)よりも、厚みが大きく好ましくは深さが大きい。固定部分(1つまたは複数)と安定化部分(1つまたは複数)の厚みの差は、好ましくは数ミリメートルであり、厚みがより大きな固定部分(1つまたは複数)を収容するために関節面には溝が設けられる。
【0017】
好ましくは、固定部分(1つまたは複数)は、ピン形状であって先細りになる遠位端を有し、安定化部分(1つまたは複数)は、好ましくは板または楔の形状で固定部分の側面に接合される。骨伝導領域の範囲は、凹状の装置輪郭によって、すなわち、固定部分の少なくとも1つの側面と少なくとも1つの安定化部分の少なくとも1つの遠位または近位面、および/または安定化部分の少なくとも1つの貫通孔によって、定められる。
【0018】
固定部分は、液化可能材料を含む。安定化部分も液化可能材料を含んでいてもよく、この材料は、固定部分の液化可能材料と同じでも異なっていてもよいが、さらに液化不能材料(たとえば金属)を含んでいてもこれで構成されていてもよく、好ましくは、コーティングされた表面および/または骨結合を強化するのに適した表面構造を含む。
【0019】
融合装置の全体の深さおよび幅は、融合させる関節の関節面の大きさに合うようにされる。この場合、融合装置が関節面の約2分の1から約4分の3を上回る部分を占めないこと、および、骨伝導領域が全体として関節面の少なくとも約5分の1であることが好都合である。安定化部分(1つまたは複数)の厚みは、調製された状態(剥皮または軟骨除去後)において適用可能であれば、2つの関節面の間の隙間に容易に嵌合するように選択される。
【0020】
本発明に従う融合装置は、任意の骨または骨代替材料を含む必要はないが、当然含んでいてもよい。もし使用されるのであれば、たとえば、同種移植片または自家移植片骨材料、骨代替材料、スポンジ、BMPキャリアといった骨成長強化材料が、好ましくは融合装置の骨伝導領域に配置される。上記材料は、融合装置を配置して固定する前に、調製された関節面の間に配置してもよい、または、上記材料を融合材料と予め組立ててもよい。このような事前組立のために、骨伝導領域の範囲を定める凹状の装置輪郭の装置表面は、たとえば上記材料を保持するための溝または窪みといった保持手段を有してもよい。
【0021】
本発明に従う方法の好ましい実施例は以下の2つのステップを含む。
固定ステップ:関節を所望の位置で固定する。関節面は、直に接するように位置決めされる(関節の空隙は閉じている)か、または、間に所望の距離を有する(固定ステップは関節包が固定機能を引継ぐのに十分堅固で緊張している状態であれば不要である)。
【0022】
調製ステップ:少なくとも融合装置の固定部分(1つまたは複数)に合わせて溝を調製するために、軟骨を除去し場合によっては関節面を剥皮する(関節面全体から軟骨を除去することは可能であるが不要であり、溝の調製は、固定部分(1つまたは複数)が、自己穴開け構造を含む場合、すなわち、その開示を本明細書に引用により援用するUS2006/0105295に開示されているように設けられている場合は、不要である)。
【0023】
移植ステップ:融合装置を関節面の間に導入し、エネルギ、好ましくは機械的振動を、導入中に(液化可能材料が骨組織に対して押されながら液化する場合)、または導入後に(液化可能材料が有孔シース内で液化しシースの孔を通して押出される場合および/または液化可能材料が2つの装置部品間で液化する場合)、融合装置に与える。
【0024】
仕上げステップ:ツールを融合装置から分離し、適切であれば関節の固定を解除する。
調製ステップおよび移植ステップ中、関節面は互いに固定されたままである。これは、融合装置が関節を伸張することを意図しておらず、固定ステップの前に、それ自体が公知の手段を用いて所望される適切な関節伸張を行なう必要があることを意味する。
【0025】
本発明に従う融合装置および方法のさらなる実施例は、先に簡単に述べた好ましい実施例とは以下の点で異なり得る。
【0026】
・融合装置の(好ましくは2つの)固定部分および(好ましくは1つの)安定化部分が、別々の装置部品を構成し(上記融合装置は1つの構成要素からなるのに対し、複数の構成要素、好ましくは3つの構成要素からなる融合装置)、最初に固定部分が関節内の関節面の間に配置されて固定され、次に安定化部分が固定部分の近位端上に配置される、または、最初に安定化部分が関節面の間に配置され、次に固定部分が安定化部分を通してまたはこれを越えるまで押込まれて骨組織の中で安定化部分の隣でおよび/またはこれを越えて固定される(図12−図14参照)。
【0027】
・融合装置は、安定化部分を含まない、すなわち、固定部分を1つのみ、または好ましくは同時に移植される複数の固定部分を含む。
【0028】
・液化可能材料は、融合装置が1つの関節面のみで固定されるよう、固定部分(1つまたは複数)の片側のみに与えられる。これにより、特に椎間関節および仙腸関節といった強固にバイアスされた関節の場合、関節融合にとって十分な機械的関節固定が実現されるであろう。同様の片側固定は、周囲全体に液化可能材料を含む固定部分を用いるが、一方の関節面上の関節軟骨層を除去しないことで、液化可能材料を通して固定することを実質的に不可能にすることによって、実現可能である。
【0029】
・融合装置は、たとえば2つの固定部分と1つの安定化部分とを含み、1つの構成要素または3つの構成要素からなる装置を構成し、融合装置は、関節面の間に移植されるのではなく、装置の幅が関節面に対して実質的に垂直にまたは斜角をなして方向付けられるように移植され、固定部分は、関節面に調製された溝にではなく、開口、たとえば関節面の隣の骨組織のボアに、固定される(図19および図20参照)。
【0030】
本発明に従う方法、融合装置およびツールセットの複数の代表的な実施例を以下の図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】1つの構成要素からなり2つの固定部分とこれらの固定部分の間に配置された1つの安定化部分とを含む本発明に従う融合装置の好ましい実施例における断面を示す。
【図1B】1つの構成要素からなり2つの固定部分とこれらの固定部分の間に配置された1つの安定化部分とを含む本発明に従う融合装置の好ましい実施例における別の断面を示す。
【図1C】1つの構成要素からなり2つの固定部分とこれらの固定部分の間に配置された1つの安定化部分とを含む本発明に従う融合装置の好ましい実施例における別の断面を示す。
【図2A】本発明に従う方法の好ましい実施例の連続する4つの段階のうちの1つを示し、図1A−図1Cに従う融合装置は、たとえばヒトの椎間関節の関節面の間に移植される。
【図2B】本発明に従う方法の好ましい実施例の連続する4つの段階のうちの1つを示し、図1A−図1Cに従う融合装置は、たとえばヒトの椎間関節の関節面の間に移植される。
【図2C】本発明に従う方法の好ましい実施例の連続する4つの段階のうちの1つを示し、図1A−図1Cに従う融合装置は、たとえばヒトの椎間関節の関節面の間に移植される。
【図2D】本発明に従う方法の好ましい実施例の連続する4つの段階のうちの1つを示し、図1A−図1Cに従う融合装置は、たとえばヒトの椎間関節の関節面の間に移植される。
【図3】図2A−図2Dに示される方法のフローチャートである。
【図4A】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示され、このツールセットは図1A−図1Cに従う融合装置を図2A−図2Dに示される方法を用いて移植するのに適している。
【図4B】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4C】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4D】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4E】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4F】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4G】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図4H】本発明に従うツールセットの代表的な実施例の8つのツールのうちの1つを示し、各ツールを側面からおよびツールの遠位端に向かって見たものが示される。
【図5】図4A−図4Hに従うツールセット全体が用いられる方法のフローチャートである。
【図6A】図4A−図4Hに従うツールセットのガイドブッシュおよびカッタの好ましい実施例を示し、カッタガイドはガイドブッシュおよびカッタと一体化されている。
【図6B】図4A−図4Hに従うツールセットのガイドブッシュおよびカッタの好ましい実施例を示し、カッタガイドはガイドブッシュおよびカッタと一体化されている。
【図6C】図4A−図4Hに従うツールセットのガイドブッシュおよびカッタの好ましい実施例を示し、カッタガイドはガイドブッシュおよびカッタと一体化されている。
【図7】図1A−図1Cに従う融合装置のより大きな断面図であり、この融合装置は振動ツールの遠位端に設けられている。
【図8】図1A−図1Cに従う装置と同様の融合装置の立体図である。
【図9】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この実施例では液化可能材料の配置(それに加えて適用可能な固定技術)が図1A−図1Cに従う融合装置の配置と異なる。
【図10】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この実施例では液化可能材料の配置(それに加えて適用可能な固定技術)が図1A−図1Cに従う融合装置の配置と異なる。
【図11】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この実施例では液化可能材料の配置(それに加えて適用可能な固定技術)が図1A−図1Cに従う融合装置の配置と異なる。
【図12】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この装置は連続して関節に導入され関節の中で組立てられる別々の3つの部品を含む(3つの部品または複数の部品からなる装置)。
【図13A】図12に従う装置と同じ原理に基づく、本発明に従う融合装置のさらなる2つの実施例のうちの1つを示す。
【図13B】図12に従う装置と同じ原理に基づく、本発明に従う融合装置のさらなる2つの実施例のうちの1つを示す。
【図13C】図12に従う装置と同じ原理に基づく、本発明に従う融合装置のさらなる2つの実施例のうちの1つを示す。
【図13D】図12に従う装置と同じ原理に基づく、本発明に従う融合装置のさらなる2つの実施例のうちの1つを示す。
【図14A】図12または図13A−図12Dに従う融合装置の固定部分を安定化部分に生体内で接続する方法を示す。
【図14B】図12または図13A−図12Dに従う融合装置の固定部分を安定化部分に生体内で接続する方法を示す。
【図14C】図12または図13A−図12Dに従う融合装置の固定部分を安定化部分に生体内で接続する方法を示す。
【図15】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この融合装置は、図1A−図1Cに従う融合装置とは異なる数の固定部分および安定化部分を含む。
【図16】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この融合装置は、図1A−図1Cに従う融合装置とは異なる数の固定部分および安定化部分を含む。
【図17】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この融合装置は、図1A−図1Cに従う融合装置とは異なる数の固定部分および安定化部分を含む。
【図18】本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、この融合装置は、図1A−図1Cに従う融合装置とは異なる数の固定部分および安定化部分を含む。
【図19】2つの固定部分と1つの安定化部分とを含む融合装置の移植を示し、この融合装置は関節面の間に移植されるのではなく関節面の間の隙間にわたって移植される。
【図20】2つの固定部分と1つの安定化部分とを含む融合装置の移植を示し、この融合装置は関節面の間に移植されるのではなく関節面の間の隙間にわたって移植される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1A−図1Cは、本発明に従う融合装置の第1の代表的な実施例を示す。ここに示されている実施例は、特にヒトの腰部の椎間関節の融合に適しているが、相応に適合させた場合は、ヒトのこれ以外の椎間関節の融合またはヒトもしくは動物の患者のその他の小さな滑膜関節の融合にも役立つであろう。図1Aは、この融合装置の厚みに垂直な断面(移植方向Iに平行、図1Bおよび図1Cの線A−Aの断面)を示し、図1Bは、この融合装置の深さに垂直な断面(図の紙面に対して垂直である移植方向I、図1Aおよび図1Cの線B−Bの断面)を示し、図1Cは、この融合装置の幅に垂直な断面(移植方向Iに平行、図1Aおよび図1Bの線C−Cの断面)を示す。図1Aはまた、関節面の非常に模式的な輪郭(一点鎖線S)およびこれに関連する移植された融合装置の位置を示す。
【0033】
融合装置は、2つのピン形状の固定部分1と、これら2つの固定部分1の間に位置する安定化部分2とを含む。遠位方向に、固定部分1および安定化部分2はともに、骨伝導領域3の範囲を定める凹状の装置輪郭を形成する。この骨伝導領域3において、何らかの骨成長促進材料を、装置の移植前または移植後いずれかに配置してもよい。融合装置とこのような材料を予め組立てるために、上記凹状の装置輪郭の領域における装置の表面に、骨成長促進材料を保持するのに適した釘状部分、鉤状部分またはその他の表面構造を設けてもよい。融合装置は、全体の深さD、全体の幅W、および2つの全体的な厚みを含む厚みプロファイルを有する(固定部分1のT1は安定化部分2のT2よりも大きい)。
【0034】
安定化部分2は、たとえば(固定技術という意味において)液化不能である材料、たとえば金属(たとえばチタンもしくはチタン合金)、セラミック材料(たとえば酸化ジルコニウム)、または液化可能材料の溶融温度よりも十分に高い溶融温度を有する熱硬化性ポリマもしくは熱可塑性ポリマ(たとえばPEEK)からなる。また、安定化部分は、たとえば海綿骨状金属(trabecular metal)(たとえばチタンまたはタンタル)および熱硬化性もしくは熱可塑性ポリマを含む複合材料からなるものでもよい。スイスの「icotec」社による複合フロー成形プロセスを用いて成形されてプラスチック材料(たとえばPEEK OPTIMAポリマ(商標))にされたエンドレスファイバ(たとえばカーボンファイバ)を含む複合材料は、安定化部分のさらに適切な材料である。安定化部分に使用される非吸収性ポリマまたは複合材料は、好ましくはたとえばヒドロキシアパタイトのコーティングのような骨結合支持手段を備える。
【0035】
固定部分1は、少なくとも骨組織と接触するその表面において液化可能材料を含み、または、たとえばこの材料からなり、固定が機械的振動を用いることで実現される場合、上記表面は好ましくはたとえば突出した瘤または軸方向の隆起の形状のエネルギ案内部(図示せず)を含む。固定部分1は、安定化部分2に、接着によって、または、図1Aの融合装置の左側に示されるように、液化可能材料とともに押込嵌合接続を形成するのに適した凹凸のある表面または表面構造を介して、接合される。固定部分1と安定化部分2との間をより強固に接続するために、安定化部分は図1Aの融合装置の右側に示されるように固定部分1の内部に到達するか、または固定部分を貫通していてもよい。融合装置は、たとえば安定化部分2を対応する金型の中に配置し、固定部分1を安定化部分2に対してまたはその周りに射出成形することによって製造される。
【0036】
図1A−図1Cに示される融合装置の実施例はさらに、固定部分1の2つの近位端を接続し、近位面を場合によっては安定化部分の深さの約20%まで覆い、液化可能材料で構成されたブリッジまたはエッジ部分(図示せず)を含んでいてもよい。移植された融合装置のこのようなブリッジまたはエッジ部分は、関節の隙間を密閉するポリマシームを構成する。図1A−図1Cに示されたものと同様の融合装置のさらなる実施例では、安定化部分および固定部分は全体が液化可能材料からなる(図8も参照)。
【0037】
融合装置の近位面4は、好ましくは湾曲させることによって関節面の縁部分に合わせられる。好ましくは、近位面4は、融合装置をツール、たとえば振動ツールによって保持するための手段を含む。このような手段は、たとえば固定部分1の領域に配置されツールの遠位面に設けられた対応する突起と協働する、たとえば軸方向の開口またはボア5である(図4も参照)。
【0038】
2つの厚みT1およびT2は、たとえば1から3mmおよび3から8mmの範囲にある。融合装置をヒトの椎間関節の融合に使用する場合、その全体の深さは、5から20mm、好ましくは7から20mmの範囲にあり、その全体の幅は、5から20mmの範囲、好ましくは5から15mmの範囲にある。
【0039】
固定部分1に、および場合によっては安定化部分(ブリッジ部分)の一部または安定化部分全体に使用するのに適した液化可能材料は、熱可塑性ポリマ、たとえば乳酸および/またはグリコール酸系ポリマ(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリカプロラクトン(PLC)、多糖類、ポリジオキサン(PD)、ポリ無水物、ポリペプチド、または対応する共重合体、または上記ポリマを成分として含む複合材料といった、吸収性ポリマ、または、ポリオレフィン(たとえばポリエチレン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニルスルフィド、または液晶ポリマLCP、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマ、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテル、または等価の共重合体、または上記ポリマを成分として含有する複合材料といった、非吸収性ポリマである。
【0040】
分解可能な材料の具体的な実施例は、LR706 PLDLLA70/30、R208 PLDLA 50/50、L210S、およびPLLA100%Lといったポリラクチドであり、すべてBohringerのものである。適切な分解可能ポリマ材料のリストは、Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa、「Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren」、3. Auflage, Springer, Berlin 2002(以降「Wintermantel」とする)の200頁でも見ることができ、PGAおよびPLAに関する情報については202頁以降、PCLに関する情報については207頁、PHB/PHV共重合体に関する情報については206頁、ポリジオキサノンPDSに関する情報については209頁参照。さらなる生体吸収性材料についての説明は、たとえば、CA Bailey et al., J Hand Surg [Br] 2006 Apr; 31(2): 208-12で見ることができる。
【0041】
分解不能な材料の具体的な実施例は、ポリエーテルケトン(PEEK Optima、グレード450および150、Invibio Ltd)、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレンである。ポリマおよび応用例の概要の表がWintermantelの150頁に示されており、具体的な例は、Wintermantelの161頁以降(PE、Hostalen Gur 812, Hochst AG)、164頁以降(PET)、169頁以降(PAすなわちPA6およびPA66)、171頁以降(PTFE)、173頁以降(PMMA)、180頁(PUR、表参照)、186頁以降(PEEK)、189頁以降(PSU)、191頁以降(POM、ポリアセタール、商標名Delrin、Tenacは、Protecによる内部人工器官でも使用されている)において見ることができる。
【0042】
熱可塑特性を有する液化可能材料は、異種の相またはさらなる機能を果たす化合物を含んでいてもよい。特に、熱可塑性材料は、混合された繊維またはウィスカ(whisker)(たとえばリン酸カルシウムセラミックまたはガラスの)によって強化されていてもよく、このようなものは複合材料を表わす。この熱可塑性材料はさらに、生体内で膨張または溶解する(小孔を形成する)成分(たとえばポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、融合装置を不透明にすることによってX線で見えるようにする成分、または生体内で放出され、たとえば治癒および再生の促進といった治療効果を有する化合物(たとえば成長因子、抗生物質、炎症抑制剤またはリン酸ナトリウムもしくは炭酸カルシウムといった酸性分解の副作用に対抗する緩衝剤)を含んでいてもよい。熱可塑性材料が吸収性を有する場合、このような化合物の放出が遅れる。装置を振動エネルギではなく電磁放射線を用いて固定する場合、熱可塑特性を有する液化可能材料は、特定の周波数範囲(特に可視または赤外線周波数範囲)にあるこのような放射線を吸収することができる化合物(微粒子状または分子状)を局所的に含んでいてもよく、たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、マイカ、飽和脂肪酸、多糖類、グルコース、またはその混合物である。
【0043】
使用される充填剤は、分解可能なポリマにおいて使用される分解可能な骨刺激性充填剤を含んでいてもよく、これは、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA、結晶化度<90%)、またはTCP、HA、DHCP、バイオガラスの混合物(Wintermantel参照)を含む。分解不能ポリマに対する、一部のみが分解可能またはほぼ分解不能な骨結合刺激充填剤は、バイオガラス、ヒドロキシアパタイト(結晶化度>90%)、HAPEX(登録商標)を含む。SM Rea et al., J Mater Sci Mater Med. 2004 Sept; 15(9): 997-1005参照。ヒドロキシアパタイトについては、L. Fang et al., Biomaterials 2006 Jul; 27(20): 3701-7、M. Huang et al., J Mater Sci Mater Med 2003 Jul; 14(7): 655-60、およびW. Bonfield and E. Tanner, Materials World 1997 Jan; 5 No. 1:18-20も参照。生物活性充填剤の実施例およびその説明は、たとえばX. Huang and X. Miao, J Biomater App. 2007 Apr; 21(4): 351-74、JA Juhasz et al. Biomaterials, 2004 Mar; 25(6): 949-55において見ることができる。粒状充填剤の種類には、粗いもの:5−20μm(含有量は優先的に10−25体積%)、サブミクロン(析出からのナノ充填剤、優先的にプレート状、アスペクト比>10、10−50nm、含有量0.5−5体積%)が、含まれる。
【0044】
図2A−図2Dは、本発明に従う方法の代表的な実施例として、図1A−図1Cに示されるものと同様の融合装置を、たとえばヒトの椎間関節といった関節に移植することを示しており、この関節の関節面はわずかに凸/凹形状であり、この装置の固定部分の固定は、機械的振動によって実現される。図2Aは、この関節の関節面の移植方向に垂直な断面を示す。これらの関節面は、少なくとも健康で損傷のない状態であり、全体が関節の軟骨10で覆われている。
【0045】
固定ステップでは、椎間関節の関節面を、たとえばガイドツールを関節突起の後面または側面に対して位置付けてツールの遠位面21′が関節の隙間にわたって存在するようにし、このツールの遠位面21′上に配置された突起33を関節の隙間の両側にある突起の骨の中に強制的に押込むことにより、互いに固定する。この固定ステップにおいて、生来の隙間よりも広い関節面間の隙間を固定する場合は、対応する伸張ツール(図2A−図2Dには示されていない)をガイドツールを配置する前に隙間の中に導入し、さもなければ患者の脊柱は対応して曲げられた位置にされる。
【0046】
固定ステップ後に実行される調製ステップにおいて、2つのボアを実質的に関節面と平行にかつ互いに平行に開ける。これらのボアは、関節面における溝11を構成し、融合装置の固定部分を収容する役割を果たす。好ましくはボアの直径は、軟骨層および軟骨層の下にある皮質骨の少なくとも一部に溝を設けるのに十分大きい。さらに、2つのボアの間の軟骨層および場合によってはいくらかの皮質骨も、少なくとも融合装置の安定化部分の深さと同じ深さ、好ましくは(骨伝導領域を含む)融合装置全体の深さと同じ深さまで除去することが好ましい。固定技術によっては、ボアの直径を固定部分の直径よりもわずかに小さくする必要があるかもしれない。安定化部分も液化可能材料を含む場合は、安定化部分の厚みを、場合によっては調製された関節面の間の隙間に合うようにし、安定化部分が、実質的に摩擦を伴わずにすなわち実質的に液化が生じないようこの隙間に導入されるようにしてもよい、または、振動させて導入されるときに安定化部分が固定部分と実質的に同じように関節面に固定されてもよい。この調製ステップで作られた関節面間の空間(図2B)を、任意で少なくとも部分的に、2つの関節面の間の骨伝導を改善するため、場合によっては融合装置の骨結合を改善するために、骨成長を促進可能な材料(たとえば骨ペーストまたは骨置換材料)で充填してもよい。
【0047】
移植ステップにおいて、固定部分をボアの中に導入した状態で、融合装置を調製された関節面の間に挿入し、同時に融合装置を、融合装置の近位面に与えられた振動ツールを用いて振動させる(図2C)。振動している融合装置の表面が、少なくとも溝11の領域で、振動していない骨組織と接触するため、装置のこの表面上に設けられた液化可能材料が液化して骨組織の中に浸透し、凝固後、骨組織と融合装置、特にその固定部分との間に押込嵌合接続(図2Cの波線12で示される)を構成する。
【0048】
融合装置を関節内に配置して固定した後、この固定に使用したツールを融合装置から切り離し、図2Dに示されるように関節の固定を解除する(仕上げステップ、たとえばガイドツールの除去)。明らかに、図2Dに示される固定された融合装置は、その位置でしっかりと保持され、関節の関節動作のみならず、すべての方向のせん断力、トルク、および関節面以外の面における曲げ力によって生じる移動も防止する。しかしながら、この固定を構成している熱可塑性材料の弾性係数が比較的低いため、融合装置と融合させた関節の骨組織との間の押込嵌合接続は、なおも2つの骨が相対的にごく小さく移動できるようにしており、このわずかな移動は骨結合および骨伝導を強化することが知られている。
【0049】
図3は、図2A−図2Dに示される方法のフローチャートであり、固定ステップ、調製ステップ、移植ステップ、および仕上げステップを示す。関節包による関節の固定が十分であれば、固定ステップおよび仕上げステップは不要である。調製ステップは必須のステップではない(以下を参照)、すなわち移植ステップを固定ステップの直後に行なってもよい。いずれにせよ、何らかの調製(たとえば関節面のより大きな領域の剥皮)を固定ステップの前に行なってもよい。
【0050】
図4A−図4Hは、本発明に従うツールセットの代表的な実施例のツールを示し、このツールセットは本発明に従う方法の実施に役立つ。ツールセットは、たとえばその主要なステップが図2A−図2Dおよび図3に示されている方法において図1A−図1Cに示される融合装置を移植するのに適している。ツールセットの各ツールは、側面からおよびツールの遠位端を見たものとして示される。これらのツールは、移植方法において使用される順序に従って示され、隙間探知機20(図4A)、ガイドブッシュ21(図4B)、ドリルガイド22(図4C)、ドリル23(図4D)、カッタガイド24(図4E)、カッタ25(図4F)、制御ツール26(図4G)、および振動ツール27(図4H)である。ツール20および21は固定ステップに適用することができ、ツール22−26は調製ステップに適用することができ、ツール27は移植ステップに適用することができる。
【0051】
隙間探知機20は、融合装置をその間に導入する2つの関節面の間の隙間を探知し、場合によっては伸張し、かつこの隙間の向きを記録する機能を備える。このために、隙間探知機は、その遠位端に、少なくとも1つの平らで尖っていない突起(たとえば2つの突起30)を備え、この突起は、関節面の間で押されるのに適しており、場合によっては関節面を予め定められた距離を置いて一時的に保持するのに適している。融合させる関節の関節面の形状に応じて、隙間探知機20の突起30は、図示のように全体が軸方向に延びていなくてもよく、軸方向からわずかに曲げられていてもよい(約10°の範囲)。これはたとえば椎間関節内に導入するのに好都合である。隙間探知機20はさらに、初めに関節面の間の隙間の位置を特定するため、かつ、隙間探知機20をこの隙間の方向に案内するために使用されるKワイヤ(図示せず)を収容するための、軸方向のボア31を含んでいてもよく、隙間探知機20はこのワイヤに沿って押される。隙間探知機20の断面は、遠位部の突起を用いて位置が特定される隙間の方向、またはこれらの突起によって定められる方向に、区別される1つのより大きな直径を有し(この断面は、たとえば図示のように長方形か楕円形であるが円形でも正方形でもない)、この断面は、以下で詳述されるように、融合装置に、およびツールセットのさらなるツールの内側または外側の断面に適合するようにされている。
【0052】
ガイドブッシュ21は、ガイドブッシュ21を隙間探知機20に沿って案内するための軸方向のトンネル32を含む、すなわち、このトンネルの断面は隙間探知機20の断面に対応する。図2A−図2Dとの関連で先に述べたように、ガイドブッシュ21は、その遠位端面に、複数の短く鋭いスパイク33またはブレードを有し、これは、関節面の両側でガイドブッシュを骨に固定し、同時に関節面を相対的に固定するのに適している。スパイクを強制的に、たとえばパンチ34をその近位端に適用することによって骨組織の中に押込む。ドリルガイド22は2つの軸方向のボア35を含み、これらのボアは、直径およびボア間の距離が、融合装置の固定部分の直径および位置に対応するようにされている。ドリルガイド22の外側の断面は、ガイドブッシュ21の軸方向のトンネル32の断面に対応するようにされ、ドリルガイド22をこの軸方向に案内すると、ドリルガイド22が関節面の間の隙間の上に正確に配置される。ドリルガイド22はさらに、たとえばその近位端または軸方向のボアの内側に、ストップショルダ36を含む。
【0053】
軟骨および骨組織に穴を開ける機能を備えるドリル23は、ドリルガイド22の軸方向のボア35の直径に対応するようにされた直径、および、遠位端から深さの終端、たとえば直径拡大領域37までの軸方向の長さを有し、この軸方向の長さは、遠位端からストップショルダ36までのドリルガイドの軸方向の長さよりも、融合装置を関節面の間に導入するおよその深さの分だけ大きい。
【0054】
カッタガイド24の外側の断面はドリルガイド22と実質的に同一であり、このカッタガイドは融合装置の安定化部分の近位面に対応するようにされた長方形の断面を有する軸方向のトンネル38を含む。カッタガイド24はさらに、たとえば図示のようにその近位端に、または軸方向のトンネル38の内側に、ストップショルダ39を含む。
【0055】
カッタ25は、好ましくは、軟骨、場合によっては骨組織を、ドリルガイド22およびドリル23を用いて形成された2つのボアの間から除去する機能を備えた回転ツールである。カッタ25は、たとえばドリルであり、このドリルは、トンネル38の断面の小さい方の大きさに合うようにされた断面を有し、好ましくは、回転ドライブに設けられ、非常に限定されたやり方で、トンネル38の断面の長い方の大きさの面の中でこのドライブのハウジングを基準として横方向に移動または旋回できるように設けられる。カッタは、たとえば超音波振動によって駆動される、対応する形状を有するパンチツールとして設計されてもよい。このようなパンチツールは公報US2008/269469に開示されており、その開示を本明細書に引用により援用する。カッタ25はさらに、カッタガイド24のストップショルダ39と協働する深さストップ40を含む。カッタ25のその遠位端から深さストップ40までの軸方向の長さは、カッタガイド24のその遠位端からストップショルダ39までの軸方向の長さよりも、2つのボアの間の組織を除去する深さの分だけ大きく、好ましくは少なくとも融合装置の安定化部分の深さの分だけ大きい。
【0056】
制御ツール26は、融合装置を備える振動ツール27(下記参照)と同様の遠位端を有するが、大きさはわずかに小さく、この遠位端の隣に、ドリルガイドおよびカッタガイドの外側の断面と同じ断面を有する。制御ツール26は好都合に、深さの印(図示せず)を有し、制御ツールはここでガイドブッシュ21から突き出し、この印は、制御ツールの遠位端を関節面の間の隙間の中に導入する深さを示す。
【0057】
振動ツール27は、たとえば超音波装置の振動ドライブに結合するようにされた、たとえば振動発生器である。振動ツール27の遠位端は、融合装置Fを保持するとともに振動を融合装置に伝達するようにされている。後者の機能のためには、たとえば融合装置Fの近位面の凸状の湾曲と正確に一致する凹状の湾曲を含むことによって、振動ツール27の遠位面が融合装置の近位面に正確に一致することが好ましい。遠位端と近位端の間の領域において、振動ツールは、隙間探知機20の、ドリルガイド22の、カッタガイド24の、および制御ツール26の外側の断面と、実質的に同じ断面を有する。振動ツール27は、ドリル23およびカッタ25と同様に深さストップ41を含んでいてもよく、この深さストップ41は、たとえばガイドブッシュ21の近位面とまたはガイドブッシュの軸方向のトンネル32の内側の対応するストップショルダと協働する。移植の深さに関して外科医により一層の自由を与えるために、振動ツール27に深さストップは設けずに、移植中いつでも外科医に対して融合装置が関節に導入された深さを示す、1つまたは複数の深さマーク(図示せず)を設けることが好都合であろう。
【0058】
移植ステップのために解放されて移植ステップに必要な軸方向の力およびストロークを与える付勢されたばねを含む負荷フレームとして、振動ツール27、融合装置Fおよびガイドブッシュ21の組合せまたはその一部を設計することも可能である。適切なこのような負荷フレームは、本明細書にその開示を引用により援用する米国出願第61/033066号に開示されている。
【0059】
図1A−図1Cに従う融合装置を、図4A−図4Hに従うツールセットを用いて、好ましくは最小侵襲または小開放処置によって移植することは、図5のフロー図に概略的に示される以下のステップを含む。
【0060】
・関節面の間の隙間を、隙間探知機20の突起30を隙間の中に配置することによって探知して記録する。隙間探知機20は場合によっては先に配置されたKワイヤに沿って導入される。
【0061】
・隙間探知機20をガイドブッシュ21の軸方向のトンネル32内に導入し、骨に対してガイドブッシュ21を骨の表面に接触するまで押し、パンチ34を用いてガイドブッシュ21のスパイク33または刃を骨の表面に押込むことにより、ガイドブッシュ21を隙間の両側の骨の表面上に配置し固定する。
【0062】
・隙間探知機20を除去する。
・ドリルガイド22をガイドブッシュ21の軸方向のトンネル32内に配置しその遠位面が骨の表面に接触していることを確認する。
【0063】
・ドリル23をドリルガイド22の軸方向のボア35のうちの一方の中に配置し、第1のボアを開け、第2のボアに対して配置および穴あけを繰返す。ドリル23の深さストップ37がドリルガイド22のストップショルダ36に接触したときに、ボアの予め定められた深さに達する。
【0064】
・ドリル23およびドリルガイド22をガイドブッシュ21から除去する。
・カッタガイド24をガイドブッシュ21の軸方向のトンネル32内に配置し、その遠位面が骨の表面に接していることを確認する。
【0065】
・カッタ25をカッタガイド24の軸方向のトンネル38の中に配置して起動し、妥当であれば、これをカッタガイド24の軸方向のトンネル38において横方向に動かす。カッタ25の深さストップ40がカッタガイドのストップショルダ39と接触したとき、組織は切削により予め定められた深さまで除去される。
【0066】
・カッタ25およびカッタガイド24をガイドブッシュ21から除去する。
・関節調製の精度を、制御ツール26をガイドブッシュ21の軸方向のトンネルの中に導入し、導入深さを確認することによって制御し、制御ツールを除去する。
【0067】
・制御された導入深さが不適切であれば、ドリルガイド22を導入し、ドリル23を導入し、穴を開けるステップ、カッタガイド24を導入し、カッタ25を導入し、組織を除去するステップ、および制御ツール26を導入し、導入深さを確認するステップを、繰返す。
【0068】
・制御された導入深さが適切であれば、その遠位端に融合装置Fが搭載された振動ツール27をガイドブッシュ21の軸方向のトンネル32内に導入し、ツール27とともに融合装置Fを振動させる一方で、融合装置を穴開けおよび切削ステップによって調製した関節面の間の空間に導入する。振動ツール27の深さストップ41がガイドブッシュ21の近位面に接触したときに予め定められた導入深さに達する、または、振動ツール上の対応する印がガイドブッシュ21の近位面に達したときに自由選択可能な導入深さに達する。
【0069】
・振動ツール27を固定された融合装置Fから切り離しこれをガイドブッシュ21から除去する。
【0070】
・ガイドブッシュ21を除去する。
関節の調製を制御ツールを用いて制御するステップは必須のステップではない。
【0071】
好ましいツールセットにおいて、ツールはさらなるツールと協働し得る以下のさらなる特徴を有する。椎間関節探知機20は、その遠位部突起の関節の隙間における正しい位置のX線制御のために、(その遠位部突起以外の)長さにわたってX線に対する十分な透過性を有している必要があり、同時に、十分な機械的剛性を必要とする。したがって、たとえば椎間関節探知機20をPEEKで製造しその透過性をその長さに沿って複数の貫通開口部を設けることによって高めること、または、この探知機を、断面の長い方の大きさに対して平行に配向された2つの比較的薄い剛性の表面層(たとえば炭素もしくはガラス繊維強化積層体)と、より良好な透過性のための発砲材料(たとえばポリウレタンフォーム)からなる中心層とを有するサンドイッチ構造として製造することが、提案される。ガイドブッシュ21は、第1の軸方向の長さを有するように設計され、その近位端領域において、横方向に延びるハンドル部品を着脱可能に固定するための手段を含む。椎間関節探知機20の軸方向の長さは、上記第1の軸方向の長さよりも大きく、椎間関節探知機20は、ガイドブッシュ21内に配置されたときにガイドブッシュの近位面を超えて位置する貫通開口部を含む。椎間関節探知機20をガイドブッシュ21から除去するために、角度が設けられた除去ツール(図示せず)の遠位端を貫通開口部の中に導入して上向きに旋回させる一方、この除去ツールをガイドブッシュ21の近位面上で支持する。パンチ34は軸方向のチャネルを有しこのチャネルの断面はガイドブッシュ22の軸方向のチャネルと同一であり、ガイドブッシュ21とパンチ34を合わせた軸方向の長さが椎間関節探知機20の軸方向の長さよりも大きくなるような軸方向の長さをパンチ34は有し、パンチ34は、ガイドブッシュ21内に配置された椎間関節探知機の近位端の上に配置できる。ドリルガイド22とカッタガイド24の近位フランジは、遠位端が骨表面に位置したときにガイドブッシュ21の近位面上にある。
【0072】
図6A−図6Cは、ドリルガイドおよびドリルを用いて開けられた2つのボアの間の組織を除去する機能を有するガイドブッシュ21、カッタガイド24′およびカッタ25の好ましい実施例を示す。図6Aおよび図6Bは、ガイドブッシュ21内に配置されたカッタガイド24′およびカッタ25を示し、図6Aは、ガイドブッシュの内側の断面の長い方の大きさに平行な軸方向の断面図であり、図6Bは、ガイドブッシュの断面の短い方の大きさに平行な軸方向の断面図である。図6Cは、カッタ25およびカッタガイド24′を組立てたものを立体的に示す。この実施例において、カッタガイド24′はディスク42を含み、2つのボルト43がディスクの両側でディスクと同軸方向に延びるように配置され、ガイドブッシュ21は対向する2つのスロット44を含み、スロット44はガイドブッシュの近位面から遠位方向に延びる。ディスク42は径方向のボアを含み、カッタの軸は、このボアを通して延びており、長手方向に移動可能でありかつディスク42に対して回転可能である。ディスク42は、ガイドブッシュ21の内側の断面の長い方の大きさに対応するようにされた直径と、ガイドブッシュ21の内側の断面の小さい方の大きさに対応するようにされた厚みとを有する。軸方向のボルト43は、スロット44の幅に対応するようにされた断面を有する。カッタ25は、その上に緩く配置されたディスク42とともに(たとえばカッタの軸のうち厚みがより大きい2つの部分25.1および25.2の間の適所において緩く保持される(図6C))、ガイドブッシュ21の中に導入され、ディスク42はカッタ25をガイドブッシュ21の軸方向のチャネルの中で案内し、ボルト43はこれらのスロットの丸くされた端部の上に至るまでスロット44に沿ってスライドする。ディスクのこの位置で、カッタは、厚みがより大きな部分25.1および25.2によって定められた2つの位置の間で長手方向に移動し回転することが可能である。さらに、カッタは、ボルト43およびスロット44の端部をピボット軸受として旋回することが可能であり、ディスク42はセンタリングガイドとして機能し、ガイドブッシュ21はカッタ25の旋回運動を制限する。好ましくは、カッタ25がディスク42に対して最も遠位となる位置に達したとき、組織の除去が終了する。
【0073】
図7は、振動ツール27の遠位端と、移植のために振動ツール上に搭載された、図1A−図1Cに示されるものと同様の融合装置の、図4Hよりも縮尺が大きい軸方向の断面図である。この融合装置は、ツールの遠位面から延びて融合装置の近位面4の開口5に入るようにされた突起51によって、ツールの遠位端上で保持される。先に述べたように、振動を融合装置に最適に伝えそれによって融合装置を骨組織に最適に固定するためには、ツールの遠位面の形状が、できる限り融合装置の近位面4の形状と一致することが好ましく、これによって、振動をツール26から融合装置へとツールの遠位面全体を通して伝えることができる。
【0074】
図1A−図1Cおよび図7に従う融合装置、図2A−図2D、図3および図5に従う移植方法、および図4A−図4Hに従うツールセットは、たとえば以下のようにして、本発明の基本概念から逸脱することなく変形することができる。
【0075】
・融合装置の安定化部分2を曲げる、または非直線で装置の幅Wに対して非平行となるように曲げることが可能であり、これにより融合装置を、凹/凸の程度がより大きい関節面に合うように適合させるまたは適合させることが可能である(これに対応してドリルガイド22、カッタガイド24、制御ツール26および振動ツール27を適合させ、場合によっては隙間探知機20を適合させて突起30が直線の代わりに曲線を定めるようにすることが必要である)。
【0076】
・融合装置の固定部分1および安定化部分2双方を実質的に液化可能材料で作る(図8参照)。これらの装置部分は、同じ液化可能材料または異なる液化可能材料で作ることができる。安定化部分2は骨結合を強化することが可能な材料の被膜を有していてもよい。このような被膜はたとえばリン酸カルシウムまたはアパタイトを含む。
【0077】
・固定部分1および安定化部分2双方を実質的に液化不能材料、たとえばチタンまたはチタン合金でまたはセラミック材料で作ってもよい。好ましくは、この液化不能材料を処理し、安定化部分2の領域では骨結合を強化し固定部分1の領域では液化可能材料を含む少なくとも部分的なコーティングの接着に適した表面構造を有するようにする。金属コアを含む固定部分には、X線で見ることができ、したがって移植を容易にするという利点がある。このようなコアも移植後除去可能である。
【0078】
・固定部分1は丸くない断面を有する(ドリルガイド22、場合によってはたとえば公報US2008/269649に開示されている振動駆動パンチツールで置換えることができるドリル23の適合化を必要とする場合がある)。
【0079】
・装置の近位面は、関節面の湾曲した縁に適合せず、たとえば直線でたとえば移植方向に対して垂直に延びる(これに対応して振動ツール27の遠位面の適合化を必要とする)。
【0080】
・固定部分1の近位面は、振動ツール27の対応する突起51に適合するようにされた開口5を含まず、または逆にこの近位面は平らである。融合装置を振動ツールの遠位端に装着するためのさらなる手段および方法は、上記公報US7335205およびUS7008226に開示されている。
【0081】
・固定部分1のおよび/または安定化部分2の遠位領域は先細り形状ではない、または固定部分1および/または安定化部分2は、連続的に、またはその深さ全体にわたってすなわち近位面から遠位端にかけて段階的に先細りになる形状である(ドリル23のおよび場合によってはドリルガイド22の対応する適合化を必要とする)。
【0082】
・固定部分1と安定化部分2の厚みの相違が小さい(<1mm)、および/または固定部分が自己拡径(self-reaming)構造を有し、これにより、溝11を設けることが不要である移植が可能である(ドリルガイド22およびドリル23の使用を省いてもよい)。
【0083】
・調製ステップにおいて、関節の軟骨のより大きな部分を除去し、関節面のより大きな部分を剥皮する(好ましくはガイドブッシュ21、場合によっては椎間関節探知機20の固定の前に使用されるそれ自体公知のツールを必要とする)。
【0084】
・2つのボアの間の組織を除去しない(カッタガイド24およびカッタ25の使用を省いてもよい)。
【0085】
・安定化部分および/または固定部分を、吸収中骨成長によって徐々に置換えられる吸収性材料で作る。
【0086】
・融合装置は、3つの(または4つ以上の)別個の装置部品を構成する2つの(または3つ以上の)固定部分と1つの安定化部分とを含む、3つの部品(または複数の部品)で構成される装置である。最初に安定化部分を関節面の間に配置し、次に固定部分を安定化部分を通してまたはその先まで押込み、骨組織の中、場合によっては安定化部分の中に固定する(図12−図14も参照。安定化部分が液化可能材料を含み関節面の組織の中に固定されるのであれば第2の振動ツールが必要であり、または、安定化部分が液化不能材料からなり関節面の間の隙間に押込まれるのであれば適切なパンチが必要である)。
【0087】
・融合装置は、3つの別個の装置部品を構成する2つの固定部分と1つの安定化部分とを含む3つの部品からなる装置であり、最初に固定部分を(好ましくは同時に)移植し、次に安定化部分を移植した固定部分の2つの近位面に固定する(安定化部分が液化可能材料を含み超音波溶着によって固定部分に固定されるのであれば第2の振動ツールが必要であり、または、安定化部分が液化不能材料からなり移植した固定部分の近位面の中に押込まれるのであれば適切なパンチが必要である)。
【0088】
・融合装置は2つの別個の固定部分を含み安定化部分を含まない。この2つの固定部分を、好ましくは同時に移植する(カッタガイド24およびカッタ25の使用は省略できる)。
【0089】
・融合装置は1つの固定部分を含み安定化部分を含まない(ドリルガイド22および振動ツール27は場合によっては適合させてもよく、カッタガイド24およびカッタ25の使用は省略できる)。
【0090】
・固定部分(1つまたは複数)は片側でのみ液化可能材料を含み、および/または軟骨を1つの関節面のみから除去することによって、固定部分(1つまたは複数)を1つの関節面でのみ固定する(場合によってはドリルガイド22およびドリル23ならびにカッタガイド24およびカッタ25の適合を必要とする)。
【0091】
・1つまたは3つの部品からなる融合装置を、骨組織に固定せずに2つの関節面の間に押込むだけにする。融合装置の固定部分は、鉤状部、弾性突起またはその他のそれ自体公知の保持手段を含んでいてもよい。3つの部品からなる融合装置では、別々の固定部分が、ねじ山を有し、回転しながら関節面の間に押込まれてもよい(振動ツール27を単純な位置決めツールに適合させてもよく、または振動させずにたとえば移植ステップのために回転させてもよい)。
【0092】
・1つまたは3つの部品からなる融合装置を、液化可能材料の液化のために振動エネルギの代わりに電磁放射線(好ましくは可視または赤外線周波数範囲)を用いて骨組織に固定する。このために、振動ツール27の代わりに、非振動位置決めツールを使用し、位置決めツールは、振動ツールと同じ形状を有し、さらに光ガイドを含み、この光ガイドの近位端は放射源(たとえばレーザ)に接続され、その遠位端は、レーザ光を融合装置の固定部分に結合するのに適したやり方でツールの遠位面に配置される。さらに、固定部分は、中央領域では、レーザ光を透過しこの光を散乱させることができる材料を含み、液化が生じる表面近くでは、液化および固定に必要な熱エネルギを生成するためにレーザ光を吸収できる材料を含むように、設計される。固定部分は、たとえば純粋な状態ではレーザ光を透過し中央領域では散乱剤を含み周辺領域では吸収剤を含む1つの熱可塑性材料からなり、これら散乱剤および吸収剤はたとえば微粒子状または分子状である。図7において、示されているツールの左側は光ガイド45(一点鎖線)を含み、左側の固定部分は、散乱剤(方向の異なる短い線で示される)を有する中央領域46と、吸収剤(小さな円で示される)を有する表面領域47とを含む。これら2つの散乱剤および吸収剤は、固定部分に結合される電磁放射線に、それ自体公知のやり方で適合させる必要がある。放射源を、装置を関節面の間に配置する少し前に、その間に、またはその後に起動する。液化中、液化した材料を骨組織に浸透させるために、押圧力を押しツールに加える。
【0093】
・1つの部品からなる、または2つの固定部分および1つの安定化部分を含む3つの部品からなる融合装置を、その幅が関節面に対して垂直または斜角をなす向きとなる状態で移植する、すなわち関節面の間の隙間の中ではなくその隙間を横切るように移植する(図19および図20も参照、隙間探知機20を、突起が断面の最大の直径に対して平行ではなくたとえば垂直となるように方向付けることによって適合させることが必要である)。
【0094】
図8は、図1A−図1Cに示す装置と同じ原理に基づく融合装置の立体図である。この融合装置は、2つの固定部分1と、固定部分1の間に配置された1つの安定化部分2とを含む。装置全体は、好ましくは吸収性熱可塑性ポリマ(たとえばポリラクチド、好ましくはBohringerによるLR706)からなる。固定部分1は、少し先細りになっており、尖った遠位端を含み、この少し先細りになっている領域の表面には、たとえば隣り合う複数のリングに配置された短い軸方向の隆起の形状のエネルギ案内部が設けられ、1つのリングの隆起は、隣のリングの隆起からずらして配置されている。エネルギ案内部の同様の配置が、その内容を本明細書に引用により援用する公報US2008/0109007に記載されている。この融合装置は、好ましくは振動エネルギを用いて移植され、関節面に設けられたボアには段差が付けられ、この装置の寸法、ボアの寸法、およびその間で除去する組織の寸法は、好ましくは装置と骨組織との間における液化および固定が、固定部分1の表面上だけでなく、安定化部分2の表面においても生じるように定められる。このことは、この装置が、調製された関節の隙間よりもわずかに大きくされるものの、液化のために圧入されないことを意味する。一方、同じ装置を液化なしで移植する、すなわち、装置を調製された関節の隙間の中に押込み、ここで装置を少なくとも固定部分の領域において圧入によって保持することも当然可能である。
【0095】
図1A−図1Cとの関連で述べたように、装置の近位面から固定部分の中まで軸方向に延びる開口5は、装置を、振動または位置決めツールの遠位端上で保持する役割を果たす。全体的に熱可塑性であり加えてX線を透過する融合装置の場合、これらの開口をより深くなるように設計し、その中にマーカ要素を配置することが好都合である。これらのマーカ要素は、たとえば移植後の装置の位置のX線制御のために、可視である材料を含む。これらは、たとえばチタン、タンタルもしくは別の適切な金属からなり、または、最終的には融合装置の残りの部分とともに吸収される、たとえばPLA内の硫酸バリウムの複合材料といった生体吸収性材料を含む。
【0096】
全体的に適切な熱可塑性材料、特にガラス転移温度が比較的低い材料からなる融合装置を振動エネルギまたは別の適切な種類のエネルギを用いて移植する場合、このエネルギを十分に導入し(表面材料を液化させることに加えて)材料の一部をガラス転移温度よりも高くすることで、この材料の一部が少し変形して移植部位の形状により適合できるようにすることが、可能である。このような変形は、たとえば固定部分に関連するものであってもよい。この固定部分は、たとえばわずかに曲げられることによって、ボアのない関節面に、または、移植中関節面が相対的に少し移動するために非直線状の軸を有するボアに、より良く適合し得る。これに代えて、このような変形は安定化部分に関連するものであってもよい。
【0097】
図9は、本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示す。この融合装置は、図1A−図1Cに示される融合装置とほぼ同一の形状を有しているが、固定部分1は、全体的に液化可能材料で構成されるまたはこの材料を表面で含むのではなく、各々が有孔シース52を含み、液化可能材料はたとえばポリマピン形状のこれらシース52の内側に設けられる。
【0098】
図9に示される融合装置移植方法が、図1A−図1Cに示される融合装置移植方法と異なる点は、融合装置を調製した関節面の間に配置することが必要であり、それによって初めて、液化可能材料が、シース52に圧入され同時に機械的振動を受けることによって、液化する点である。液化すると、この材料は、シース52の有孔の壁を通して押出されて液体状態で骨組織に浸透する。このような液化および押出しのために、振動ツール27を液化可能材料のみに適用する。この振動ツール27は、関節内に導入されている融合装置を保持して案内する機能を有するとともに振動エネルギを固定部分1双方の液化可能材料に同時に伝える機能を有する枝分かれした遠位端を含むものであってもよい。融合装置を配置するためおよび液化可能材料を振動させるために別々のツールを使用することも可能であり、振動ツールは遠位端を一つだけ有する(図示の通り)ものでもよく、2つの固定部分は順次骨組織に固定される。
【0099】
また、機械的振動を、シース52に含まれる液化可能材料を液化させるためのみならず、調製した関節面の間に図9に従う融合装置を配置し易くするためにも使用することが可能である。これは、振動を固定部分のシースにおよび/または安定化部分に伝えるのに適したさらなる振動ツール(図示せず)(たとえば図7に示される振動ツール27)を用いることによって実現される。
【0100】
また、対応する配置または振動ツールを用いて、シース52の中に液化可能材料がない状態で融合装置を関節面の間にまず配置し、そうして初めてシース52の内側の断面および長さに合うようにされた2つのポリマピンで構成された液化可能材料を導入し、そこに振動エネルギを与えることが可能である。
【0101】
図9に示される実施例では、液化可能材料の代わりに骨セメント、または高粘度のポリマを用いることも可能であり、このセメントまたはポリマは、シースから押出されて関節面の骨組織の中に入ると硬化する。
【0102】
シース52内に配置された液化可能材料を振動させる代わりに、液化可能材料を含むピンを回転ドライブに結合し、このピンの遠位部をシース52の中に導入し、この材料を、シース52の中でピンを回転させながら同時にこれをシースの中に押込みシースを保持して回転するピンとともに回転しないようにすることによって、液化させることも可能である。これにより、少なくともピンの遠位端で摩擦とともに熱エネルギが生じてピン材料を液化させる。
【0103】
さらに、図1A−図1Cおよび図7に従う融合装置に関連して先に述べたように、振動または回転エネルギの代わりに、電磁放射線(好ましくは可視または赤外周波数範囲)を、液化可能材料に結合することも可能であり、この液化可能材料はたとえば放射線を散乱させ(たとえば金属からなる)シースの中に伝える機能を有し、ここで放射線が吸収されて熱エネルギを発生することによって、熱可塑性材料を少なくとも部分的に液化させることができる。吸収はピンの中で生じる場合があり、このためにピンは吸収剤を含む。シースを、その少なくとも内面を電気的に加熱できるように設計することも可能である。
【0104】
図10は、本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例およびこの融合装置を移植するのに適した振動ツール27の遠位端を示す。融合装置の固定部分は、公報WO2009/055952に記載の固定技術を用いて、関節面の骨組織の中に固定される。固定部分1はポリマチューブ57の形状であり、振動ツール27の遠位端はチューブ57を通して突出し、チューブの遠位端の隣で、チューブ57と同じポリマ材料からなるまたはチューブのポリマ材料に溶着可能な異なるポリマ材料からなる遠位足部58を有する。これは図10の左側に示されている。
【0105】
足部58は、振動エネルギをツール27から足部58に伝達することができるとともに足部58が振動エネルギによって十分に温められると消滅可能な接続部(たとえばねじ山)を介して、振動ツール27に固定される。
【0106】
移植のために、図10に示される融合装置を、振動ツール27を用いて関節面の間で保持および案内し、対抗要素59によって適所で保持する。次に、振動ツール27を振動させ、同時に、融合装置から遠ざかる方向に引張る。振動エネルギによって、チューブ57の遠位端のおよび/または足部58の近位面の液化可能材料が液化して骨組織に浸透する。これにより、チューブ57が短くなり最終的には足部58に溶着される。十分な量の液化可能材料が液化し足部58が十分に温められるとすぐに、振動ツール27を引張る力を増してツールの遠位端を足部58から引離す。足部は骨組織の中に固定されたままで図10の右側に示されるように固定部分1の遠位端を構成する。
【0107】
同様の移植結果を次のようにして得ることができる。振動エネルギの代わりに電磁放射線を用いる。電磁放射線は、たとえば対抗要素59を通してポリマチューブ57に結合される、または、図示の振動ツール27と同じ形状の押出ツールを通して足部58に結合され、図1A−図1Cおよび図7に示される融合装置について説明したのと同じように、ポリマチューブ57の遠位部分またはツールの足部58に吸収される。
【0108】
図11は、本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例の固定部分1および融合装置を移植するのに適した振動ツール27の遠位端部分を示す。融合装置は図1A−図1Cに従う融合装置と同様の形状を有していてもよい。融合装置の固定部分1は、その内容を本明細書に引用により援用する米国仮出願第61/049587号に記載の固定技術を用いて、関節面の骨組織に固定されるように設計される。この固定技術は、図9および図10との関連で簡単に述べた固定技術の組合せである。このため、固定部分1は有孔シース52を含み、液化可能材料はポリマチューブ57の形状のシース52の中に設けられ、このチューブを通して振動ツール27の遠位端が延び、ポリマチューブ57の先に遠位足部58を有する。ポリマチューブ57を、対抗要素59を用いてシース52の内側の適所で保持する。これを骨組織に固定するために、ポリマチューブが対抗要素59によって適所で保持された状態で、図11に示される固定部分1を、融合させる関節の適切に調製した関節面の間に配置する。次に、振動ツール27を骨組織から遠ざかる方向に引張り振動させると、ポリマ材料は、ポリマチューブ57の遠位面と足部58の近位面との間で液化し、シースの孔を通して押出されてシース52の外側の骨組織に浸透する。この場合、シースに複数の異なる深さのところで孔を設け、これら異なる深さのポリマ材料を異なる液化ステップで液化させることが可能である。この間に、足部は、このような深さの1つから次に高い深さのところまで移動し、振動はオフにされる。最後の液化ステップ後に、対抗要素58および振動ツール27をシース52から除去し、ポリマチューブ57の残りの部分および足部58は、シース52の中に残る(図10との関連で述べた固定プロセスと同様)、またはシースから取除かれる。後者の場合、足部58は図示のように液化不能材料からなるものでもよい。
【0109】
図1A−図1Cおよび図7−図10に示される融合装置について先に述べたのと同じように、図11に示される固定部分を含む融合装置の移植は、先に述べた振動エネルギの代わりに放射エネルギ(好ましくは可視または赤外周波数範囲のレーザ光)または回転エネルギを用いることによっても可能である。後者の場合、上記振動ツール27と同じ形状の押出しツールを用い、押出しツールを回転ドライブに接続する。一方、対抗要素59は、足部58に対してポリマチューブ57を保持するだけでなくポリマチューブがツールとともに回転することを防止する機能を有する。回転しないポリマチューブ57の遠位面と回転する足部58の近位面との間に生じる摩擦熱が、ポリマチューブの遠位端を液化させ、液化した材料がシース52の孔を通過するようにする。さらに、電磁放射線をたとえば対抗要素59に結合しここからポリマチューブ57に結合し、これがポリマチューブ57または足部58に吸収されることによっても、液化は実現できる。液化に必要な熱エネルギを生成するためのさらなる方法は、足部58の近位面を電気的に加熱することである。
【0110】
図12は、本発明に従う融合装置のさらなる実施例を示し、この融合装置は、移植されたときには図1A−図1Cまたは図7に従う融合装置に似ているが、移植前は固定部分1および安定化部分2を別々の部品として含む(3つの部品からなる装置または場合によっては複数の部品からなる装置)。安定化部分2は、関節面の間の隙間に導入されるように、かつ、固定部分1(好ましくは単純なポリマピン)を安定化部分2の中のボア55を通して導入した後骨組織に固定することによって固定されるように、設計される。安定化部分2は、好ましくは実質的に楔形で、2つの(または3つ以上の)貫通ボア55を含み、このボアは、近位面4から遠位面まで延び好ましくはその直径が近位面4での安定化部分2の厚みよりも小さく遠位面での安定化部分2の厚みより大きい。このため、遠位ボアの開口は、遠位面から近位面に向かって、安定化部分2の側面上まで延びる。
【0111】
図12は、左側に安定化部分2のボア55の中に導入される前の固定部分1を示し、すなわち、移植前の融合装置を示し、右側に移植後の融合装置の断面を示す。固定部分1が安定化部分2を関節面の間の隙間に強固に固定できるようにするには、安定化部分2のボア55の中に、移植時に固定部分の液化可能材料に溶着されるさらなる液化可能材料を設けること、または、移植時に固定部分の液化可能材料が圧入される表面構造を設けることが好都合である。同様の効果は、固定部分1にヘッドを設けることにより、または、図示のようにこのようなヘッド56を、さらに振動エネルギを加えて固定部分1の近位端の材料を可塑化し相応に変形することで形成することにより、得ることができる。
【0112】
固定部分の遠位端を収容するために関節面の骨組織に溝を設けるには、図4Cに示されるドリルガイドを用いるかまたは装置の配置された安定化部分2をドリルガイドとして使用することが可能である。
【0113】
図1A−図1Cおよび図7に示される融合装置について先に述べたように、図12に従う融合装置が、移植または液化可能材料の液化のために、振動エネルギの代わりに電磁放射線を用いること、および、このような放射線をこのような液化が所望される場所においてまたはその隣の場所において吸収するための手段を設けることが可能である。このような目的のために、安定化部分1が吸収剤を含むかまたは放射線が安定化部分2によって吸収される。
【0114】
液化可能材料およびたとえば振動エネルギを用いて関節面の間のボアに固定され場合によっては安定化部分に溶着される、図12に示される固定部分の変わりに、図9−図11に示される固定部分またはそれ自体が公知の干渉ねじを用いることも可能である。
【0115】
図13A−図13Dは、本発明に従う3つの部品または複数の部品からなる融合装置のさらなる実施例を示し、これらの実施例は、図12に従う融合装置と同じ原理に基づく。第1の実施例が、図13A(移植後近位面側から見たもの)および図13B(部分的に移植された状態の図13AのB−Bに沿う断面)に示され、第2の実施例が、図13C(移植後近位面側から見たもの)および図13D(移植前および移植後の図13CのD−Dに沿う断面)に示される。図12に示される融合装置と異なり、図13A−図13Dに従う装置の固定部分1は、安定化部分2の開口を通して延びるのではなく、安定化部分の両側に配置される。ボア(または円形以外の断面を有する開口)は、固定部分のうちの1つを受けるようにされ、好ましくはその一部が安定化部分の中にあり(溝60)、一部が骨組織の中にある(開口11、近位領域の溝)。
【0116】
図12に従う融合装置と同様、図13A−図13Dに従う融合装置は、最初に安定化装置を関節の隙間に押込み、次に固定部分を骨組織に配置して固定することによって移植される。この場合、関節面の骨組織に設けられる開口/溝11は、関節の隙間に安定化部分2を配置する前にたとえば図4Cに示されるドリルガイドを用いて形成してもよく、または安定化部分2を関節の隙間に配置した後に安定化部分をドリルガイドとして用いて形成してもよい。
【0117】
図13A−図13Dに従う融合装置の固定部分1も、液化可能材料を用いて骨組織に固定される。この液化可能材料は、上記の方法のうちいずれかによって固定部分上に配置される。この場合、骨組織への固定と同時に固定部分を安定化部分に接続することが好都合であり、この接続は、たとえば適切に構成された表面を、固定部分が装着される安定化部分に与え、液化可能材料を、固定部分の両側、骨組織と押込嵌合接続をなす一方側、および安定化部分2の表面構造と押込嵌合接続をなす他方側に与えることによって、なされる。生体内で装置の部品を互いに装着するためおよびこれらを骨組織に同時に固定するための方法のさらなる例は、その全体を本明細書に引用により援用する公報WO2008/034276に記載されている。このような方法はさらに図14A−図14Cと関連付けて説明される。
【0118】
図13Aおよび図13Bに従う融合装置は、1つの安定化部分2と、4つの固定部分1とを含み、安定化部分2はたとえば楔形であり固定部分1を受けるための2つの溝60を両側に有する。図13Cおよび図13Bに従う融合装置と図13Aおよび図13Bに従う融合装置の違いは、2つの固定部分がブリッジ要素61と接続されて二重固定部1′を形成する点である。
【0119】
図12−図13Dのうちのいずれかに従う装置の安定化部分は、位置決めツールを用いて押込まれることによって関節の隙間に配置される。安定化部分2の貫通開口部に設けられたねじ山と協働するねじ構成を用いることも可能である。この場合、ねじが骨に対して軸方向にずれないように、ねじ構成が骨組織上で支持される。ねじを回転させると、安定化部分がねじに沿って関節の隙間の中に移動する(コルク栓の原理)。
【0120】
図14A−図14Cは、図12−図13Dに示される装置の固定部分1を、骨組織に固定し、同時に安定化部分2に溶着する方法を示す。このために、安定化部分は、固定部分1に装着される少なくとも表面領域において液化可能材料を含み、この液化可能材料は、固定部分の液化可能材料に溶着可能である。図14A−図14Cはすべて、移植方向と平行な骨の断面、安定化部分2の一部、安定化部分2の片側の骨組織100、および骨組織100と安定化部分2との間に配置され同時に関節面の骨組織に固定され安定化部分2に溶着される1つの固定要素1を示す。この場合、固定要素1を配置するために、溝11が骨組織100に設けられ、反対側の溝60が安定化部分2に設けられる。
【0121】
図14Aに従うと、少なくとも、安定化部分2の溝60の領域は、移植条件下で、たとえば固定部分を対向する溝に押込み同時に振動(たとえば超音波振動)させたときに、固定部分の液化可能材料を溶着させることができるコーティング2.2を含む。図14Bに従うと、複数の熱可塑性ピン2.11、2.12、2.13が、コーティング2.2の代わりに安定化部分2の溝60に配置される。熱可塑性ピン2.11、2.12、2.13を異なる角度で配置することが好都合であろう。図14Cに従うと、安定化部分2は、熱可塑性の挿入部2.21、2.22を1つまたは複数有し、溝60の中に突出し固定部分1に溶着されるのに適した部分を含む。
【0122】
図15−図18は、本発明に従う融合装置のさらなる代表的な実施例を示し、これらの装置は、図1A−図1Cに従う実施例の数とは異なる数の固定部分および/または安定化部分を含む。融合装置、特に図7−図11に示される固定部分のさまざまな設計、対応する固定技術、および図12−図13Dに示される複数の部品からなる装置の設計に関する上記コメントのほとんどすべては、これら融合装置のさらなる実施例に直接適用できる。
【0123】
図15に従う融合装置は、1つのみの固定部分1と2つの安定化部分2とを含み、これらの安定化部分は、固定部分1の近位領域において対向するように、固定部分1の側面に配置される。この融合装置は、凹状の輪郭領域によって、固定部分1の遠位領域に隣接する2つの骨伝導領域3の範囲を定める。
【0124】
図16に従う融合装置は、2つの固定部分1とその間にある2つの部品からなる安定化部分2とを含み、骨伝導領域3の範囲は、固定部分1の側面と、安定化部分2の2つの部品の遠位面と近位面との間に定められる。
【0125】
図17に従う融合装置は、2つの固定部分1と3つの安定化部分2とを含み、3つの骨伝導領域3の範囲は安定化部分2の開口によって定められる。
【0126】
図18に従う融合装置は、2つの固定部分1と、固定部分1に接合された、遠位端と近位端との間の中央領域にある1つの安定化部分2とを含む。2つの骨伝導領域3の範囲は、固定部分1の近位領域および遠位領域ならびに安定化部分2の近位面および遠位面によって定められる。
【0127】
図19および図20は、本発明に従う方法の、先に述べたさらなる実施例を示し、融合装置は、2つの(または3つ以上の)固定部分1と固定部分の間の少なくとも1つの安定化部分2とを含み、融合させる関節の関節面の間の隙間にではなく、この隙間を横切るように移植される。すなわち、融合装置の幅は、この隙間に対して直角をなすように(図19)または斜角をなすように(図20)方向付けられる。融合装置の固定部分は、関節面の間の隙間の両側であって関節面の軟骨層から一定の距離のところで骨組織に設けられた開口13に固定される。この場合、1つの関節を融合させるために、1つの融合装置を移植してもよく(図19)、または複数の融合装置(図20に示される2つの融合装置)を移植してもよい。関節を融合させるための移植プロセスは、図19および図20に示されるように、図2A−図2Dに示される移植と全く同じやり方で行なわれる。この場合、図4A−図4Hに示されるツールと同様のツールを適用でき、隙間探知機は、隙間を探知する突起の配置の方向が、ツールの断面の最長部分に対して直角または斜角をなすようにされる。
【0128】
図19および図20に示される移植は特に、曲率半径が小さく比較的高いトルク負荷を受ける関節面を含む滑膜関節、すなわち小さな車軸関節または鞍関節といった滑膜関節(たとえばヒトの指の関節および爪先の関節)を融合させるのに好都合であり、図20に示されるように2つの融合装置が非平行の配置であることによって、関節固定によって実現される剛性が向上する。
【実施例】
【0129】
図1A−図1Cに示され、ヒトの椎間関節の融合に応じた大きさにされた融合装置を、各々が融合装置の固定部分を収容するための2つの溝を含む、2つの「saw bone」(商標)の間に移植した。全体がPLDLAで構成された融合装置を、Bransonの超音波ハンドピースを用いてsaw boneの間に押込んだ(Branson LPe 20kHz、150W、コンバータTW1使用、Branson LPe 30kHz、500W、コンバータPalm使用)。振幅20−40マイクロメートル(移植片の遠位端で測定)、出力10−60Wおよび押圧力の範囲30−50Nで、良好な固定結果が得られた。この場合、20kHzでの移植がより好都合であると思われた。なぜなら、融合装置が移植プロセスの間十分に剛性状態を保ち、特に装置の近位面の領域で軟化が観察されなかったからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の患者の関節を、融合装置を前記関節に移植することによって融合させる方法であって、前記関節は2つの関節面とその間にある隙間とを含む滑膜関節であり、前記方法は、
液化可能材料を含みエネルギを前記液化材料にその液化のために伝達することが可能な融合装置を与えるステップと、
前記融合装置を前記隙間にまたは前記隙間を横切るように移植するステップとを含み、移植中、エネルギを、前記液化可能材料に対して、前記液化可能材料の少なくとも一部を液化させ、かつ、前記液化可能材料を前記隙間の領域において骨組織に浸透させ再度凝固した際に前記骨組織との押込嵌合接続を形成するのに十分な時間、伝達する、方法。
【請求項2】
前記エネルギは、振動もしくは回転エネルギであり、前記液化可能材料の中でもしくはその近傍で摩擦熱に変換され、または、前記エネルギは、可視もしくは赤外周波数範囲の電磁放射エネルギであり、吸収されて前記液化材料の中でもしくはその近傍で熱エネルギを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記滑膜関節は、ヒトの、椎間関節、手、指、足または爪先の関節、仙腸関節、胸鎖関節、胸肋関節、および肋椎関節のうちの1つである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記関節面を予め定められた位置で互いに固定するステップと、前記関節面の固定を解除するステップとをさらに含み、前記固定するステップは前記移植するステップの前に実行され、前記解除するステップは前記移植するステップの後に実行される、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記関節面および/または前記関節面に隣接する部分から組織を除去することによって前記関節を調製するステップをさらに含み、前記調製するステップは、前記移植するステップの前または前記固定するステップの後に行なわれる、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記組織の除去は、前記関節面の軟骨層および/または軟骨層の直下もしくは前記軟骨層から離れた場所にある骨組織に関係する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記融合装置は前記隙間に移植され、前記調製するステップは、溝(11)を前記関節面のうち少なくとも一方に設ける、もしくは1対の対向する溝(11)を1つの溝が前記関節面各々に存在するように設けることを含み、または、前記融合装置は前記隙間を横切るように移植され、前記調製するステップは、開口(13)を前記隙間の両側において骨組織に設けることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記融合装置は少なくとも1つの固定部分(1)を含み、前記液化可能材料は前記固定部分(1)の表面に配置され、前記移植するステップは、前記融合装置を、前記固定部分(1)の前記表面が前記溝(11)または開口(13)の中の骨組織と接触するように配置し、前記エネルギを前記固定部分(1)の近位端に結合することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギは振動エネルギであり、前記装置は、前記振動エネルギによって前記表面と前記骨組織との間に摩擦が生じるように配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギは可視または赤外周波数範囲の電磁放射エネルギであり、前記装置は、前記電磁放射エネルギを吸収し吸収によって生じた熱エネルギを前記表面の液化可能材料に伝達する機能を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記融合装置は少なくとも1つの固定部分(1)を含み、前記液化可能材料は前記固定部分(1)の一部を構成する有孔シース(52)の内側に配置され、前記移植するステップは、前記融合装置を、前記シース(52)の孔が前記溝(11)または開口(13)の中の骨組織と接触するように配置し、前記エネルギを前記有孔シース(52)の内側に配置された前記液化可能材料の近位面に結合することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギは、振動または回転エネルギであり、前記有孔シースと前記液化可能材料との間に摩擦を生じさせる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギは、可視または赤外周波数範囲の電磁放射エネルギであり、前記装置は、前記電磁放射エネルギを吸収し吸収によって生じた熱エネルギを前記液化可能材料に伝達する機能を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記融合装置はさらに少なくとも1つの安定化部分(2)を含み、前記固定部分および安定化部分は互いに固定され、前記移植するステップは1つのステップからなるプロセスであり、または、前記固定部分および安定化部分は別々の装置部品を構成し、前記移植するステップは2つまたは複数のステップからなるプロセスであり、前記少なくとも1つの固定部分(1)は、前記少なくとも1つの安定化部分(2)を前記関節面の間の隙間に配置する前またはその後に、前記骨組織に固定される、請求項8から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記移植するステップのために、前記融合装置は振動または押圧ツール(27)の遠位端で保持される、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
固定部分および安定化部分のうち少なくとも一方は、全体が前記液化可能材料で構成され、前記移植するステップ中に変形される、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
ヒトまたは動物の患者の関節を融合させるための融合装置であって、前記関節は2つの関節面とその間にある隙間とを含む滑膜関節であり、前記融合装置は、
少なくとも1つの固定部分(1)と少なくとも1つの安定化部分(2)とを含み、
前記融合装置は、移植方向(I)に平行であり前記融合装置の近位面(4)から遠位端に至る全体の深さ(D)、全体の幅(W)、および前記移植方向(I)に垂直な厚みプロファイル(T1およびT2)を有し、
前記固定部分(1)および前記安定化部分(2)は前記幅(W)にわたって交互に配置されるまたは配置されることが可能であり、前記固定部分の厚み(T1)は前記安定化部分の厚み(T2)よりも大きい、融合装置。
【請求項18】
前記安定化部分は、場合によって前記固定部分(1)とともに凹状の装置輪郭を形成しそれにより骨伝導領域(3)の範囲を定める、請求項17に記載の融合装置。
【請求項19】
骨成長促進材料が前記骨伝導領域(3)に配置され、または、前記凹状の装置輪郭の装置表面がこの材料を保持するための手段を含む、請求項18に記載の融合装置。
【請求項20】
前記骨成長促進材料は、同種移植片または自己移植片骨材料、骨代替材料、スポンジ、およびBMPキャリアのうち少なくとも1つである、請求項19に記載の融合装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの固定部分(1)は、前記固定部分(1)の表面上または前記固定部分(1)の一部を構成する有孔シース(52)の内側に配置された液化可能材料を含み、前記固定部分(1)の前記表面または前記有孔シース(52)は、移植時に骨組織と接触するように前記融合装置に配置される、請求項17から20のいずれか1つに記載の融合装置。
【請求項22】
前記液化可能材料または前記液化可能材料に隣接するさらなる装置領域は、可視または赤外周波数範囲の電磁放射エネルギを吸収することができる、請求項21に記載の融合装置。
【請求項23】
前記融合装置全体は液化可能材料からなる、請求項20または21に記載の融合装置。
【請求項24】
前記安定化部分(2)は、骨結合を促進することが可能なコーティングおよび/または表面構造を有する表面を含むことにより骨結合を促進する機能を有する、請求項17から23に記載の融合装置。
【請求項25】
前記固定部分(1)の深さは、前記安定化部分(2)の深さよりも大きい、請求項17から24のいずれか1つに記載の融合装置。
【請求項26】
ピン形状の2つの固定部分(1)と1つの安定化部分(2)とを含み、前記安定化部分は前記固定部分(1)の間に配置される、または、前記固定部分および前記安定化部分は別々の装置部品を構成し前記安定化部分(2)は前記固定部分(1)の近位端に固定されてその間に延在するように設計され、または前記安定化部分(2)は前記固定部分(1)を収容するための貫通開口部(55)もしくは溝(60)を含む、請求項25に記載の融合装置。
【請求項27】
装置近位面(4)は少なくとも1つの開口(5)または突起および/または凸状の湾曲を含む、請求項17から26のいずれか1つに記載の融合装置。
【請求項28】
前記液化可能材料は、熱可塑特性、少なくとも0.5GPaである弾性係数、および350℃以下の溶融温度を有する材料である、請求項21から27のいずれか1つに記載の融合装置。
【請求項29】
ヒトまたは動物の患者の関節を融合させる方法であって、前記関節は2つの関節面とその間にある隙間とを含む滑膜関節であり、前記方法は、
請求項21から28のいずれか1つに記載の融合装置を与えるステップと、
前記関節面のうち少なくとも一方を調製するステップと、
前記融合装置を、少なくとも1つの固定部分が前記調整した少なくとも一方の関節面の領域で骨組織と接触している構成の中に押込むステップとを含み、
前記押込むステップは、エネルギを、前記融合装置の近位面(4)に、前記押込むステップ中または前記押込むステップの後に、前記エネルギを振動もしくは回転ドライブにまたは可視もしくは赤外周波数範囲の電磁放射エネルギ源に結合することによって、結合し、前記ドライブまたはエネルギ源を、前記液化可能材料の少なくとも一部を液化させ前記骨組織に浸透させ再凝固後に前記骨組織との押込嵌合接続を形成するのに十分な時間、作動させることを含む、方法。
【請求項30】
ヒトまたは動物の患者の関節を融合させる方法であって、前記関節は2つの関節面とその間にある隙間とを含む滑膜関節であり、前記方法は、
請求項17から28のいずれか1つに記載の融合装置を与えるステップと、
前記関節面のうち少なくとも一方を調製するステップと、
前記融合装置を、少なくとも1つの固定部分が前記少なくとも一方の調製された関節面の領域において骨組織と接触している構成の中に押込むステップとを含む、方法。
【請求項31】
ヒトまたは動物の患者の滑膜関節を融合させる方法であって、前記関節は2つの関節面とその間にある隙間とを含む滑膜関節であり、前記方法は、
請求項17から28のいずれか1つに記載の融合装置を与えるステップと、
前記関節面を予め定められた位置で互いに固定するステップと、
前記融合装置を前記固定された関節面の間に押込むステップと、
前記関節面の固定を解除するステップとを含む、方法。
【請求項32】
ヒトまたは動物の患者の滑膜関節を融合させるためのツールセットであって、前記ツールセットは、振動または押圧ツール(27)を含み、請求項17から28のいずれか1つに記載の融合装置は、前記振動または押圧ツール(27)の遠位端に装着されまたは装着可能である、ツールセット。
【請求項33】
前記振動または押圧ツール(27)の遠位端および前記融合装置の近位面(4)は、前記融合装置を前記振動または押圧ツール(27)の遠位端に保持するために互いに適合するようにされた開口および突起を有する、請求項32に記載のツールセット。
【請求項34】
前記融合装置の近位面(4)は凸状の湾曲を含み、前記振動または押圧ツール(27)の遠位面は対応する凹状の湾曲を含む、請求項32から33のいずれか1つに記載のツールセット。
【請求項35】
軸方向のトンネル(32)、または振動もしくは押圧ツール(27)の断面に合わせた断面を有するガイドブッシュ(21)をさらに含み、前記ガイドブッシュ(21)の遠位面は、前記関節面を予め定められた位置で互いに固定するために、前記関節面の間の隙間の両側において骨の表面の中に押込まれることができるように配置された複数のスパイクを有する、請求項32から34のいずれか1つに記載のツールセット。
【請求項36】
椎間関節探知機(20)、ドリルガイド(22)および対応するドリル(23)、ならびにカッタガイド(24)および対応するカッタ(25)のうち少なくとも1つをさらに含み、前記椎間関節探知機(20)、前記ドリルガイド(22)、および前記カッタガイド(24)の断面は前記ガイドブッシュ(21)の軸方向のトンネル(32)の断面に適合するようにされる、請求項35に記載のツールセット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A−2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−506264(P2012−506264A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532474(P2011−532474)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000337
【国際公開番号】WO2010/045749
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511099744)ダブリュ・ダブリュ・テクノロジー・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】WW TECHNOLOGY AG
【Fターム(参考)】