説明

ヒトADAM−10インヒビター

【課題】MMP-1に対する選択性を持つ、ADAM-10タンパク質の阻害に有用な化合物及びその中間体を提供する。
【解決手段】生物学的プロセスにおけるADAM-10の役割(及びその阻害)のインビトロでの研究に有用である。製薬的に許容可能な担体と組合せて、一又は複数のADAM-10インヒビターを含有する製薬用組成物、及び中間体として下式で例示される新規なスルホニルハライドを含む。


このような組成物は、癌、関節炎、及び血管形成関連疾病の処置に有用である。これに応じて、本発明はADAM-10が重要な役割を担っている、血管形成に関連する病気、関節炎、癌を処置する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、ヒトADAM-10(ヒトクズマニアン(Kuzbanian)としても知られている)を阻害する薬剤、及び癌、関節炎、及び血管形成関連疾病、例えば腎臓病、心疾患、例えば心臓麻痺、アテローム性動脈硬化症、及び脳卒中、炎症、潰瘍、不妊症、強皮症、子宮内膜症、中皮腫、及び糖尿病の治療におけるそれらの使用の分野にある。
【0002】
(関連技術の要約)
細胞-細胞の相互作用は、細胞の運命の決定、及び多細胞生物の発育中におけるパターン形成の調節における重要な役割を担っている。局所細胞の相互作用において中心的役割を担っている進化的保存経路の一つは、以下集合的にNOTCHレセプターと称される、ショウジョウバエのNotch(N)遺伝子、C. Elegansのlin-12及びglp-1遺伝子、及びそれらの脊椎動物相同体(Artavanis-Tsakonas, S.ら (1995) Notch Signaling. Science 268, 225-232を参照)によりコードされる膜貫通レセプターにより媒介される。いくつかの証拠は、NOTCHレセプターのタンパク質分解プロセシングがそれらの機能にとって重要であることが示唆されている。例えば、全長タンパク質に加えて、NOTCHレセプターの細胞内ドメインに対する抗体は、100-120kdのC-末端断片に検出されている;例えばFehon, R.G.ら.(1990). Cell 61, 523-534;Crittenden, S.L.ら(1994). Development 120, 2901-2911;Aster, J.ら(1994) Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 59, 125-136;Zagouras, P.ら(1995). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.92, 6414-6418;及びKopan, R.ら(1996). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.93, 1683-1688を参照。しかしながら、NOTCH活性化のメカニズムは、現在までにあまりよくは知られていない。
【0003】
ニューロン新生中、単一神経先駆物質は側方抑制プロセスにより同等の細胞群から選抜され、現れた神経先駆物質細胞は、その隣接部が同じ運命をとるのを防止する(Simpson, P.(1990). Development 109, 509-519を再考)。ショウジョウバエにおける遺伝的研究は、側方抑制においてNを含む「神経性遺伝子」の群に関連している。任意の神経性遺伝子おける機能損失突然変異は、表皮を犠牲にした神経系細胞の肥大に帰する(Campos-Ortega, J.A.(1993):The Development of Drosophila Melanogaster M. Bate and A. Martinez-Arias, eds. pp.1091-1129. Cold Spring Harbor Press.を再考)。
【0004】
Rooke, J., Pan, D.J., Xu, T.及びRubin, G.M.(1996). Science 273, 1227-1231には、神経性遺伝子ファミリー、クズバニアン(kuz)が開示されている。KUZファミリーのタンパク質のメンバーは、近年、膜貫通タンパク質であると定義されているADAMファミリーに属することが示されており、該メンバーはディスインテグリン(disintegrin)及びメタロプロテアーゼドメインの双方を有している(Wolfsberg, T.G.ら,(1995). J. Cell Biol. 131, 275-278を再考、またBlobel, C.P.ら,(1992). Nature 356, 248-252, 1992;Yagami-Hiromasa, T.ら(1995). Nature 377, 652-656;Black, R.A.ら.(1997). Nature 385, 729-733, 1997;及びMoss, M.L.ら(1997). Nature 385, 733-736を参照;さらに米国特許第5,922,546号及び米国特許第5,935,792号を参照)。
【0005】
ADAMファミリーの遺伝子は、メタロプロテアーゼ及びディスインテグリンドメインの双方を有する膜貫通タンパク質をコードし(Black及びWhite, 1998 Curr. opin. Cell Biol. 10, 654-659;Wolfsberg及びWhite, 1996 Dev. Biol. 180, 389-401を再考)、哺乳動物における多様な生物学的プロセス、例えば受精(Choら, 1998 Science 281, 1857-1859)、筋芽細胞融合(Yagami-Hiromasaら, 1995 Nature 377, 652-656)及び外部領域剥落(Mossら, 1997 Nature 385, 733-736;Blackら, 1997 Nature 385, 729-733:Peschonら, 1998 Science 282, 1281-1284)に関連している。ショウジョウバエクズバニアン(kuz)遺伝子は、無脊椎動物において同定されている第1のADAMファミリーのメンバーを表す(Rookeら, 1996 Science 273, 1227-1231)。以前の遺伝子研究では、kuzはショウジョウバエの神経発育中の軸索増殖及び側方抑制に必要であると示されていた(Rookeら, 1996;Fambroghら, 1996 PANS.USA 93, 13233-13238;Pan及びRubin, 1997 Cell 90, 271-280;Sotillosら, 1997 Development 124, 4769-4779)。特に、側方抑制プロセス中、kuzはNotchの上流で作用し(Pan及びRubin, 1997;Sotillosら, 1997)、Delta遺伝子によりコードされる側方抑制シグナルのための膜貫通レセプターをコードする。さらに近年、kuzのホモログがC. elegans(SUP-17)において同定され、同様の方式でNotchのC. elegansホモログの活性化を調節する(Wenら, 1997 Develoment 124, 4759-1467)。
【0006】
kuzの脊椎動物ホモログは、アフリカツメガエル、ウシ、マウス、ラット及びヒトにおいて単離されている。KUZのウシホモログ(MADM又はADAM10とも称される)は、最初は思いがけなく、ウシKUZプロテアーゼの生理学的基質とはなり得ないような細胞質タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質において、そのインビトロでのタンパク質分解活性に基づき単離された(Howardら, 1996 Biochem. J. 317, 45-50)。アフリカツメガエルにおけるネズミkuzホモログ(mkuz)の優性ネガティブ形態の発現は、脊椎動物のニューロン新生でのNotchシグナル伝達の調節におけるmkuzの進化的保存における役割を示唆している、余分なニューロンの発生に至る(Pan及びRubin, 1997)。2000年10月27日にPanらにより発表された米国特許第09/697,854号には、神経系、沿軸中胚葉及び卵黄嚢脈管構造に重度の欠陥があるmkuz突然変異マウスが胎児日数(E)約9.5で死亡したことが開示されている。神経系におけるmkuz突然変異胚では異所性のニューロン分化が示されている。沿軸中胚葉におけるmkuz突然変異胚では、体節分割が遅延し未調製であることが示されている。これらの表現型は、Notch-1又はNotch経路の成分、例えばRBP-JK(Conlonら, 1995, Development 121, 1533-1545;Okaら, 1995)を欠くマウスのものと同様であり、マウス発育中のNotchシグナル伝達の調節における、mkuzの保存的役割を示す。さらに、kuzノックアウト動物のNotchプロセシングにおいては、目に見える欠陥は検出されなかった。ニューロン新生及び体節形成欠陥に加えて、mkuz突然変異マウスでは、卵黄嚢脈管構造に、大きくて疾患のある毛管網があり、大きな卵黄血管がない重度の欠陥があることが示されている。このような表現型がNotch-1又はRBP-JKを欠くマウスにおいて見出されていないため(Swiatekら, 1994 Genes Dev 15, 707-719;Conlonら, 1995;Okaら, 1995 Development 121, 3291-3301)、Panらは、この表現型が、Notchシグナル伝達の調節におけるその役割とは別のmkuzの新規な機能を明らかにしていること、特にkuzが哺乳動物の血管形成におけるADAMファミリーのディスインテグリンメタロプロテアーゼに対して必須の役割を担っていると判断した。
【0007】
生物学的プロセス及び病的状態におけるKUZ(ADAM-10)の重要な役割に考慮し、このタンパク質のインヒビター、特に小分子のインヒビターが所望されている。
【0008】
マトリックスメタロプロテアーゼの選択的阻害は重要であることが、研究によって示唆されている。多くの小分子MMPI'sが例えば癌及び関節リウマチの診療に進んだ。MMP-1の阻害は、非選択的TACEインヒビターが使用された場合の、副作用、例えば関節痛や腱炎の原因に関与している(Barlaam, B.ら, Al. J. Med. Chem. 1999, 42, 4890を参照)。同様に、「Marimastat」等、広範囲のスペクトルを有するインヒビターの臨床試験は、数週間の治療後に、筋骨格系疼痛として現れる筋骨格症候群(MSS)のために上手くいっていない。MMP-1の阻害は、MSSの出現にある役割を果たしていることが示唆されている。この分野における近年の努力は、「MMP-1スペアリング(sparing)」インヒビターの設計の方向に向かっており、例えばBA-129566は、報告によると、第2相臨床試験において、MSSの兆候を示さないことが報告されている選択的インヒビターとして出現している(Natchus, M.G.ら, Al. J. Med. Chem. 2000, 43, 4948)。
【0009】
よって、必要とされているものは選択的マトリックスメタロプロテアーゼインヒビターである。特に、「MMP-1スペアリング」である、選択的ADAM-10インヒビターが使用される。
【0010】
ここで引用される全ての特許、出願及び出版物は、それらの全てが出典明示によりここに取り込まれる。
【0011】
(発明の要約)
本発明は、ADAM-10タンパク質を阻害するのに有用な化合物を提供する。このような化合物は、生物学的プロセスにおけるADAM-10の役割(及びその阻害)のインビトロにおける研究に有用である。また本発明は、製薬的に許容可能な坦体と組合せて、一又は複数の本発明のADAM-10インヒビターを含有する製薬用組成物を含む。このような組成物は、癌、関節炎、及び血管形成に関連する病気、例えば心臓麻痺、アテローム性動脈硬化症、及び脳卒中、炎症、潰瘍、不妊症、強皮症、子宮内膜症、中皮腫、及び糖尿病の処置に有用である。これに応じて、本発明は、ADAM-10が重要な役割を担っている、血管形成に関連する病気、関節炎、癌の処置形態の方法を含む。特に、本発明はMMP-1と比べてADAM-10に対して選択的なインヒビターを含む。
【0012】
上述したことは、単に本発明の所定の態様を要約したものであって、限定することを意図したものではない。
【0013】
(本発明の詳細な説明)
本発明はADAM-10のインヒビターを含む。一実施態様において、本発明は次の構造式I:
【化1】

[上式中:
は-C(O)-、-S(O)-、又は-(CH)-であり;
は-H、-OR11、-(CH)11、-C(O)R11、又は-NR1213であり;
ここでR11、R12及びR13は独立して、
a)R50
b)一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル;
c)一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、及びR50から独立して選択される、一、二又は三の置換基で置換されていてもよい、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、C-C-アルキニル、又は-C(O)H;
であり、
又はR12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、第二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、C-C複素環を形成し;
は-R21-L-R22であり;
ここでR21は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルであり;
は-O-、-C(O)-、-CH-、-NH-、-S(O)-、又は直接結合であり;
22は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルであり;及び
50はR51-L-(CH)-であり;
は-O-、-NH-、-S(O)0−2-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-NHC(O)-、-C-、又は直接結合であり;
51は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、又は-SOH、-NO、-CN、-COH、-SH、ジ-C-Cアルキルアミノ、モノ-C-Cアルキルアミノ、-NH、-OH、-OCF、-CF、ハロ、C-C-アルキニル、C-C-アルケニル、C-C-アルキル、-Hであり;
nは0、1、2又は3であり;
但し、O又はSは、原子鎖において他のO又はSに単結合していない]
の化合物、及びそれらの製薬的に許容可能な塩、エステル、アミド類及びそのプロドラッグを含む。
【0014】
一例では、段落[0013]のLは-C(O)-又は-S(O)-である。
【0015】
段落[0014]の他の例では、Lは-C(O)-であり、Rは-OR11又は-(CH)11、-OC-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-OC-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、-OC-Cアルキル-N-ヘテロサイクリル、-C-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-C-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、又は-C-Cアルキル-N-ヘテロサイクリルである。特定の例では、RはC-Cアルコキシ-C-Cアルコキシであり;さらに特定の例では、Rはメトキシエトキシである。
【0016】
段落[0015]の他の例では、Lは-S(O)-であり、Rは-NR1213、-(CH)11、-C-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-C-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、又は-C-Cアルキル-N-ヘテロサイクリルである。
【0017】
段落[0015]又は[0016]の他の例では、Lは-O-である。
【0018】
段落[0017]の他の例では、Rはフェノキシフェニルであり、ここで各フェニルは、一又は二のR50置換基で置換されていてもよい。より特定の例では、R50置換基はハロである。
【0019】
段落[0018]の他の例では、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルは、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、フリル、チエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル(chromenyl)、ピロリル、イミダゾリル、イソヘキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、カルバゾリル、アクリジニル、及びフラザニルで、一又は二のR50置換基で置換されていてもよいものからなる群から選択される。
【0020】
段落[0018]の他の例では、R12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピロリル、イミダゾリル、イソヘキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、カルバゾリル、アクリジニル、及びフラザニルで、一又は二のR50置換基で置換されていてもよいものからなる群から選択される複素環を形成する。
【0021】
他の例では、化合物は次の構造式II:
【化2】

の絶対立体化学を有する、段落[0013]のものである。
【0022】
他の例では、化合物は次の構造式III:
【化3】

の絶対立体化学を有する、段落[0013]のものである。
【0023】
他の例では、本発明の化合物は、-L-Rが次の表1から選択される、段落[0013]のものである:
【表1】


ここで各R14は独立して、-H、-(CH)1−3COH、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルから選択され、Rは次の表2から選択される;
【表2】

【0024】
他の例では、化合物は次の表3から選択される、段落[0013]のものである:
【表3】








【0025】
他の態様において、本発明は、次の式IV:
【化4】

[Zは-C(R15)=、-C(H)=、又は-N=であり;
Arはそれぞれ置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
15はフルオロであり;
pは0、1、2又は3であり;
は-C(O)-、-S(O)-、又は-(CH)-であり;
はないか、又は-O-であり;
は-H、-OR11、-(CH)11、-C(O)R11、又は-NR1213であり;
ここでR11、R12及びR13は独立して、
d)R50
e)一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル;
c)一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、及びR50から独立して選択される、一、二又は三の置換基で置換されていてもよい、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、C-C-アルキニル、又は-C(O)H;
であり、
又はR12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、第二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、C-C複素環を形成し;
50はR51-L-(CH)-であり;
は-O-、-NH-、-S(O)0−2-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-NHC(O)-、-C-、又は直接結合であり;
51は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、又は-SOH、-NO、-CN、-COH、-SH、ジ-C-Cアルキルアミノ、モノ-C-Cアルキルアミノ、-NH、-OH、-OCF、-CF、ハロ、C-C-アルキニル、C-C-アルケニル、C-C-アルキル、-Hであり;
nは0、1、2又は3であり;
但し、O又はSは、原子鎖において他のO又はSに単結合していない]
の化合物、及びそれらの製薬的に許容可能な塩、エステル、アミド類及びそのプロドラッグを含む。
【0026】
一例では、化合物は、-L-Rが次の表4から選択される、段落[0025]のものである:
【表4】


ここで各R14は独立して、-H、-(CH)1−3COH、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルから選択される。
【0027】
他の例では、化合物はZが-C(R15)=又は-C(H)=であり;Lが-O-であり;及びpが少なくとも一である、段落[0026]のものである。
【0028】
他の例では、化合物は、Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、段落[0027]のものである。
【0029】
他の例では、化合物は、Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、段落[0028]のものである。
【0030】
他の例では、化合物は、pが少なくとも二である、段落[0029]のものである。
【0031】
他の例では、化合物は、-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)OR14である、段落[0030]のものである。
【0032】
他の例では、化合物は、次の構造:
【化5】

を有する、段落[0031]のものである。
【0033】
他の例では、化合物は、Zが-N=であり;Lが-O-である、段落[0026]のものである。
【0034】
他の例では、化合物は、Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、段落[0033]のものである。
【0035】
他の例では、化合物は、Arが置換されていてもよいテトラヒドロナフタレンである、段落[0034]に記載されているものである。
【0036】
他の例では、化合物は、-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、段落[0035]のものである。
【0037】
他の例では、化合物は、pがゼロである、段落[0036]のものである。
【0038】
他の例では、化合物は、次の構造:
【化6】

を有する、段落[0037]のものである。
【0039】
他の例では、化合物は、Zが-N=であり;Lがない、段落[0026]のものである。
【0040】
他の例では、化合物は、Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、段落[0039]のものである。
【0041】
他の例では、化合物は、pがゼロである、段落[0040]のものである。
【0042】
他の例では、化合物は、Arが置換されていてもよいフェニルである、段落[0041]に記載されているものである。
【0043】
他の例では、化合物は、-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、段落[0042]のものである。
【0044】
他の例では、化合物は、次の構造:
【化7】

を有する、段落[0043]のものである。
【0045】
他の例では、化合物は、次の式V:
【化8】

の段落[0026]のものである。
【0046】
他の例では、化合物は、Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、段落[0045]のものである。
【0047】
他の例では、化合物は、Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、段落[0046]に記載されているものである。
【0048】
他の例では、化合物は、Arが:
【化9】

から選択される、段落[0046]のものである。
【0049】
他の例では、化合物は、絶対立体化学が次の式VI:
【化10】

である、段落[0047]のものである。
【0050】
他の例では、化合物は、-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、段落[0049]のものである。
【0051】
他の例では、化合物は、次の構造:
【化11】

を有する、段落[0050]のものである。
【0052】
他の例では、本発明は、段落[0013]−[0051]のいずれかに記載の化合物と製薬的に許容可能な担体を含有する製薬用組成物を含む。
【0053】
他の例では、本発明は、次の式VII:
【化12】

[上式中、Xはハロゲン化物であり;W及びWは互いに独立して置換されていてもよいアリールである]
のビス-アリールエーテルスルホニルハライドの作製方法を含むもので、該方法は:(a)フルオロ置換されたニトロアリール化合物と、対応するヒドロキシド置換されたアリール化合物のアリール金属酸化塩とを組合せて、ビス-アリールエーテルニトロ-芳香族化合物を作製し;(b)ビス-アリールエーテルニトロ-芳香族化合物のニトロ基を還元して、対応するアニリン誘導体を作製し;及び(c)対応するアニリン誘導体をビス-アリールエーテルスルホニルハライドに転換させることを含む。
【0054】
一例では、本方法は段落[0053]に従い、ここでアリール金属酸化塩は、有機溶媒においてフルオロ置換されたニトロアリールと組合せられる。
【0055】
他の例では、本方法は段落[0054]に従い、ここで有機溶媒は少なくとも一のDMF及びアセトニトリルを含む。
【0056】
他の例では、本方法は段落[0055]に従い、ここでアリール金属酸化塩は、少なくとも一のセシウム塩及びカリウム塩を含む。
【0057】
他の例では、本方法は段落[0056]に従い、ここで対応するアニリン誘導体は、該対応するアニリン誘導体のジアゾニウム中間生成物を介してビス-アリールエーテルスルホニルハライドに転換される。
【0058】
他の例では、本方法は段落[0057]に従い、ここでフルオロ置換されたニトロアリール化合物は3,4,5-トリフルオルニトロベンゼンである。
【0059】
他の例では、本方法は段落[0058]に従い、ここでアリール金属酸化塩はセシウム塩である。
【0060】
他の例では、本方法は段落[0059]に従い、ここで対応するヒドロキシド置換されたアリール化合物は4-クロロフェノールである。
【0061】
他の例では、本方法は段落[0060]に従い、ここでビス-アリールエーテルスルホニルハライドは、4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリドである。
【0062】
他の態様において、本発明は次の式VIII:
【化13】

[ここでXはハロゲンであり;R16、R17、R18及びR19は互いに独立して、-H又は-Fであり;Arはそれぞれ置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールである]
のスルホニル化合物を含む。
【0063】
他の例では、スルホニルハライドは、R16及びR18はそれぞれ-Hであり;R17及びR19はそれぞれ-Fである、段落[0062]のものである。
【0064】
他の例では、スルホニルハライドは、Arが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、段落[0063]のものである。
【0065】
他の例では、スルホニルハライドは、Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、段落[0064]のものである。
【0066】
他の例では、スルホニルハライドは、次の式IX:
【化14】

の、段落[0065]のものである。
【0067】
他の例では、スルホニルハライドは、XがClである、段落[0066]のものである。
【0068】
本発明のさらなる他の実施例は、段落[0052]の、治療的有効量の製薬用組成物を、癌、関節炎、及び血管形成関連疾病の処置が必要な哺乳動物に投与することを含む、癌、関節炎、及び血管形成関連疾病の処置方法にある。
【0069】
本発明のさらなる他の実施例は、段落[0052]の、治療的有効量の製薬用組成物をこのような処置が必要な哺乳動物に投与することを含む、ADAM-10の活性を調節する方法。
【0070】
(定義)
次の段落では、本発明の化合物を作製する多様な化学部分の定義を提供しており、特に記載しない限りは、明細書及び特許請求の間中、均一に適用されることを意図している。
【0071】
アルキルなる用語は、包括的に、(特に記載しない限りは)飽和した直鎖状、分枝状又は環状の一価のC-C20、及びそのアルカン部分の組合せを称し、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチルを含む。ある場合において、特定のシクロアルキル類は、一般的に記載されているアルキル類(再度、シクロアルキル類を含むと解釈することを意図している)とは区別されると定義されている(例えばC-Cシクロアルキル)。よって、「アルキル」には、例えばC-Cシクロアルキルが含まれる。また「アルキル」なる用語には、例えばC-CシクロアルキルC-Cアルキルで、C-CアルキルがC-Cシクロアルキル末端を有するものが含まれる。アルキルは、限定されるものではないが、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルファート、ホスホン酸、ホスファート、又はスルホナートから選択される一又は複数の部分を含む任意の適切な基で置換されていてもよく、又は例えばGreen,ら,「Protective Groups in Organic Synthesis」,John Wiley and Sons,Second Edition, 1991に教示されているように、又は当業者に公知のようにして、必要に応じて保護されるか、又は保護されない。
【0072】
アルコキシなる用語は-O-基(置換されたアルキル)を称し、アルキル基における置換は、一般的に唯一の炭素より多くを含有している(アルコキシにより定義される)。一つの典型的な置換されたアルコキシ基は「ポリアルコキシ」又は-O-(置換されていてもよいアルキレン)-(置換されていてもよいアルコキシ)であり、例えば-OCHCHOCH等の基、及びグリコールエーテル、例えばポリエチレングリコール、及びxが約2〜約20の整数であり、他の例では約2〜約10、さらなる例では約2〜約5である-O(CHCHO)CHを含む。他の典型的な置換されたアルコキシ基はヒドロキシアルコキシ、又はyが例えば約1〜約10の整数、他の例ではyが約1〜約4の整数である-OCH(CH)OHである。
【0073】
アルケニルなる用語は、少なくとも一の二重結合を有する、一価のC-C直鎖状、分枝状、C5−8の場合は環状の炭化水素を称する。
【0074】
アリールなる用語は、一価のフェニル、ビフェニル、ナフチル等を称する。アリール基は、限定されるものではないが、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルファート、ホスホン酸、ホスファート、又はスルホナートから選択される一又は複数の部分を含む任意の適切な基で置換されていてもよく、又は例えばGreen,ら,「Protective Groups in Organic Synthesis」,John Wiley and Sons,Second Edition, 1991に教示されているように、又は当業者に公知のようにして、必要に応じて保護されるか、又は保護されない。また、アリールにおける置換には、縮合環、例えばテトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン等を含むことができる。このようなケース、例えばテトラヒドロナフタレンの場合、テトラヒドロナフタレンのアリール部分は アリール基を有すると記載された分子の一部に結合している。
【0075】
ヘテロ原子なる用語は、O、S、P又はNを意味する。
【0076】
複素環なる用語は、上述した環状のアルキル、アルケニル、又はアリール部分で、その一又は複数の環の炭素原子がヘテロ原子と置き換わっているものを称する。
【0077】
特にヘテロアリールなる用語は、芳香環に少なくとも一の硫黄、酸素、及び窒素を含むアリールを称する。非限定的例は、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルである。
【0078】
ハロなる用語は、クロロ、フルオロ、ヨード、又はブロモを称する。
【0079】
ここで使用される場合、製薬的に許容可能な塩又は錯体なる用語は、上述にて同定した化合物の望ましい生物学的活性を保持し、望まない毒物的影響が最小であるか又は有さない塩又は錯体を称する。このような塩の例には、限定されるものではないが、無機塩(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)と共に生成される酸付加塩、及び有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイン酸(pamoic acid)、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸と共に生成される塩が含まれる。また化合物は、当業者に公知のようにして、特に、Rが水素、アルキル又はベンジルであり、Zが塩化物、臭化物、ヨウ化物、-O-アルキル、トルエンスルホナート、メチルスルホナート、スルホナート、ホスファート、又はカルボキシラート(例えばベンゾアート、スクシナート、アセタート、グリコラート、マレアート、マラート、シタラート、タータラート、アスコルバート、ベンゾアート、シンナモアート、マンデロアート、ベンジロアート、及びジフェニルアセタート)を含む対イオンである、式-NR+Z-の第4級アンモニウム塩を含む、製薬的に許容可能な第4級塩として投与することができる。
【0080】
製薬的に活性な誘導体なる用語は、ここに開示した化合物で、受容者への投与において、を直接又は間接的に付与可能な任意の化合物を称する。
【0081】
いくつかの例では、当業者により高く評価されるであろうことは、芳香系における2つの隣接した炭素含有基が互いに縮合し、環構造を形成していることである。縮合環構造は、ヘテロ原子を含有していてよく、一又は複数の置換基「R」で置換されていてもよい。さらに、シクロアルキル(すなわち飽和した環構造)において、各位置の炭素が、2つの置換基、例えばR及びR'を有していてもよいことを記しておくべきである。
【0082】
本発明の化合物のいくつかは、芳香族複素環から離れて、イミノ、アミノ、オキソ、又はヒドロキシ置換基を有していてもよい。この開示の目的において、このようなイミノ、アミノ、オキソ又はヒドロキシ置換基は、それらの対応する互変異性体、すなわちそれぞれアミノ、イミノ、ヒドロキシ又はオキソで存在してよいと理解される。
【0083】
本発明の化合物は、一般的にACD/名(Advanced Chemistry Development, Inc.トロント, カナダから入手可能)を使用して命名される。このソフトウェアは、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)、International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)、及びChemical Abstracts Service(CAS)により応諾された命名法の系統的適用に従い、化学的構造から名称を導く。
【0084】
本発明の化合物又はそれらの製薬的に許容可能な塩は、それらの構造に、不斉炭素原子、酸化硫黄原子及び第4級化窒素原子を有していてよい。
【0085】
本発明の化合物及びそれらの製薬的に許容可能な塩は、単一の立体異性体、ラセミ体、及びエナンチオマーとジアステレオマーの混合物として存在していてよい。また化合物は幾何異性体として存在してよい。このような全ての単一の立体異性体、ラセミ体、及びそれらの混合物、及び幾何異性体は、本発明の範囲に入ることを意図している。
【0086】
立体異性体のラセミ体混合物又は非ラセミ体混合物から、単一の立体異性体を調製及び/又は分離及び単離する方法は、当該技術においてよく知られている。例えば、任意に活性な(R)-及び(S)-異性体を、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製してもよく、又は従来の技術を使用して分離させてもよい。所望するならば、R-及びS-異性体は当業者に公知の方法、例えば:結晶化により分離され得るジアステレオ異性体塩又は錯体の調製;例えば結晶化、ガス-液体又は液体クロマトグラフィーにより分離され得るジアステレオ異性体の調製;エナンチオマー特異的試薬を用いた一方のエナンチオマーの選択的反応、例えば酵素的酸化又は還元、続いて変性又は未変性のエナンチオマーの分離;又はキラル環境、例えばキラル支持体、例えば結合キラルリガンドを有するシリカ、又はキラル溶媒の存在下におけるガス-液体又は液体クロマトグラフィーにより分離される。所望するエナンチオマーが、上述した分離手順の一つにより他の化学的存在物に転換され、さらなる工程が、所望するエナンチオマー形態を遊離するために必要であることは高く評価されるであろう。また、特定のエナンチオマーは、任意の活性剤、基質、触媒又は溶媒を使用する不斉合成、又は不斉形質転換により、エナンチオマーを他に転換させることにより合成してよい。エナンチオマーの混合物において、特定のエナンチオマーを富ませるために、再結晶により主成分であるエナンチオマーをさらに富ませてよい(生産には損失も伴う)。
【0087】
「任意の」又は「任意に」とは、次に記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、その記載には、前記事象又は状況が生じる例と、生じない例とが含まれる。一又は複数の置換基を含む任意の基に関しては、そのような基は立体的に非現実的な及び/又は合成的に実現不可能な任意の置換又は置換パターンを導入することを意図していないことと当業者には理解されよう。「置換されていてもよい」とは、一語によってその後に続く全ての修飾詞を意味し、例えば「置換されていてもよいC1−8アルキルアリール」なる用語は、任意の置換が、分子の「C1−8アルキル」部分と「アリール」部分の双方において生じていてもよいことであり;例えば置換されていてもよいアルキルには、置換されていてもよいシクロアルキル基も含まれ、それは今度は置換されていてもよいアルキル基を含むものと定義され、これが無限に続く。
【0088】
「置換された」アルキル、アリール及びヘテロサイクリルとは、例えばそれぞれアルキル、アリール、及びヘテロサイクリルを称し、ここで一又は複数の(例えば約5まで、他の例では約3まで)水素原子が、限定されるものではないが:置換されていてもよいアルキル(例えばフルオロアルキル)、置換されていてもよいアルコキシ、アルキレンジオキシ(例えばメチレンジオキシ)、置換されていてもよいアミノ(例えばアルキルアミノ及びジアルキルアミノ)、置換されていてもよいアミジノ、置換されていてもよいアリール(例えばフェニル)、置換されていてもよいアリールアルキル(例えばベンジル)、置換されていてもよいアリールオキシ(例えばフェノキシ)、置換されていてもよいアリールアルキルオキシ(例えばベンジルオキシ)、カルボキシ(-COOH)、カルボアルコキシ(換言すればアシルオキシ、すなわち-OOCR)、カルボキシアルキル(換言すればエステル、すなわち-COOR)、カルボキシアミド、アミノカルボニル、ベンジルオキシカルボニルアミノ(CBZ-アミノ)、シアノ、カルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいヘテロサイクリルアルキル、置換されていてもよいヘテロサイクリル、ニトロ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、及びチオから独立して選択される置換基により置換される。
【0089】
「プロドラッグ」とは、上述した式の親化合物をインビボで生産させるために形質転換された(典型的には急速に)、例えば血液中で加水分解された化合物を称する。限定されるものではないが、一般例には、カルボン酸部分を担持する活性形態を有する化合物の、エステル及びアミド形態を含む。限定されるものではないが、この発明の化合物の製薬的に許容可能なエステルの例には、アルキル基が直鎖状又は分枝状鎖であるアルキルエステル(例えば約1〜約6の炭素を有するもの)が含まれる。また許容可能なエステルには、シクロアルキルエステル及びアリールアルキルエステル、例えば限定されるものではないがベンジルが含まれる。この発明の化合物の製薬的に許容可能なアミドの例には、限定されるものではないが、第1級アミド、第2級及び第3級アルキルアミド(例えば約1〜約6の炭素を有するもの)が含まれる。本発明の化合物のアミド及びエステルは、従来からの方法に従い調製され得る。プロドラッグの詳細な論議は、双方とも参照としてここに取り込まれるT. Higuchi及びV. Stella, 「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」, 第14巻, A.C.S. Symposium Series,及びBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987, にて提供される。
【0090】
「代謝産物」なる用語は、動物又はヒトの体内における代謝又は生体内変化;例えばより極性のある分子への生体内変化、例えば酸化、還元、又は加水分解、又は共役により産出される化合物又はその塩の分解又は末端生成物を称する(生体内変化の論議においてGoodman及びGilman, 「The Pharmacological Basis of Therapeutics」8.sup.th Ed., Pergamon Press, Gilmanら.(eds), 1990を参照)。ここで使用される場合、本発明の化合物又はその塩の代謝産物は、体内における化合物の生物学的活性形態であってよい。一例では、プロドラッグは、生物学的活性形態、代謝産物がインビボで放出されるように合成され得る。他の例では、生物学的に活性な代謝産物が新しく発見された。つまり、プロドラッグデザインそれ自体が企図されなかった。本発明の化合物の代謝産物の活性アッセイは、本開示に鑑みて、当業者に公知である。
【0091】
さらに本発明の化合物は、製薬的に許容可能な溶媒、例えば水、エタノール等に溶媒和した又は溶媒和していない形態で存在することができる。一般的に、溶媒和した形態は、本発明で目的としている溶媒和していない形態と同じであると考えられる。
【0092】
さらに、本発明は、結合化学を含む標準的な有機合成技術、又は生物学的方法、例えば細菌消化、代謝、酵素的転換等を使用して作製される化合物をカバーすることを意図している。
【0093】
(実験セクション)
本発明の化合物は、以下の実施例のセクションに与えられた一般的記載、及び以下の教示、及び当業者にとっては常套的な方法に従い作製することができる。実施例は、単に例証するものであって、限定を意図しているものではない。
【0094】
本発明のN-ヒドロキシ-1,4-二置換されたピペラジン-2-カルボキシアミド類は、以下に記載する方法を使用することで合成することができる。方法Aは、例えばジ-tert-ブチルジカルボナートと、ピペラジン-2-(R)-カルボン酸ジヒドロクロリド(1)とを反応させることから始まり、ビス-Boc保護された中間生成物2を生じさせ、炭酸セシウムの存在下で、例えばヨウ化メチルでこれをエステル化し、メチルエステル3を形成させる。ついで、3からBoc基を除去し、ピペラジンジヒドロクロリド中間生成物4を産出させる。
【化15】

【0095】
一つのポットにおいて、4のN4窒素を選択的にアシル化、カルバミル化、スルホニル化、アルキル化等し、次にN1窒素をスルホニル化し、二置換されたピペラジン5を形成させる。DMFと50%の水性ヒドロキシルアミンとの混合物において、5のメチルエステル基をヒドロキサマートに転換させることで、例えば式Iの対応するN-ヒドロキシ-1,4-二置換されたピペラジン-2-(R)-カルボキシアミド6が付与される。
【0096】
方法Bは、例えばモノ-Boc保護されたピペラジン-2-(R)-カルボン酸7のN1窒素を、トリメチルシリルクロリド及び適切なスルホニルクロリドを使用してスルホニル化することから始まり(以下の合成式を参照)、中間生成物8を形成させる。ついで、中間生成物8をTMS-ジアゾメタンでエステル化し、メチルエステル9を形成させ、ついでTFAでBoc基を脱保護し、10のTFA塩を形成させる。別法として、HClを使用し、メタノールにおいて化合物8を同時にエステル化及びBoc-脱保護し、10のHCl塩を形成させる。10のN4窒素をアシル化、カルバミル化、スルホニル化、アルキル化等して、メチルエステル5を形成させ、上述したDMFと50%の水性ヒドロキシルアミンとの混合物を使用し、又は塩基性条件下(MeOHにKOHが入ったもの)でヒドロキシアミンを用いて処理することにより、これをヒドロキサマート6(方法Aに記載した構造を参照)に転換させる。
【化16】

【0097】
方法Cは、ジヒドロクロリド1からの二置換ピペラジン-2-(R)-カルボン酸8の一ポット合成から始まる。まず、Schotten-Baumann条件下で、1のN4窒素を選択的にBoc-保護し、次にトリエチルアミンと適切なスルホニルクロリドを添加して、N1窒素をスルホニラート化して8を生成させる。方法Bに記載したようにして、中間生成物8から、所望のヒドロキサマート類6が生成される。
【化17】

【実施例】
【0098】
実施例1
N-ヒドロキシ-1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニル-カルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミド(方法A)
工程1−1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸の形成
ピペラジン-2-(R)-カルボン酸ジヒドロクロリド(16.6g、82mmol)及びジオキサン(120ml)を組合せ、氷浴で冷却した。5NのNaOH(60ml、300mmol)、次に(Boc)O(41.8g、191mmol)を添加した。反応混合物を放置し、7時間以上攪拌しつつ、室温まで暖め、ついで真空で濃縮した。結果得られた水性混合物をEtO(3x)で洗浄し、氷浴で冷却し、濃HClでpH2-3に酸性化し、EtOAc(3x)で抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を水(1x)、飽和NaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮したところ、白色固形物として1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸(27.0g、100%)が得られた。[M-H]に対するLC/MS計算値329.2、実測値329.2。
【0099】
工程2−1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルの形成
1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸(70g、212mmol)をアセトニトリル(1.3L)に溶解させた。CaCO(110g、340mmol)を添加し、ヨウ化メチル(28ml、450mmol)を添加する前に、室温で30分間、混合物を攪拌した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、固形物を濾過し、濾液を真空で濃縮した。結果得られた油をEtOAcに溶解させ、任意の不溶性物質を濾過した。濾液を真空で濃縮したところ、1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(69g、95%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値345.2、実測値145.1(-Boc X 2)。
【0100】
工程3−ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルジヒドロクロリドの形成
1,4-ジ-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(2.9g、8.5mmol)をジオキサン(30ml)に4MのHClが入ったものに溶解し、室温で30〜60分攪拌したところ、粘性のある白色沈殿物が形成された。反応混合物を真空で濃縮し、結果得られた白色固形物を高真空下で乾燥させたところ、ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルジヒドロクロリド(1.9g、100%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値145.1、実測値145.1。
【0101】
工程4−1-[4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニルカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルの形成
ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルジヒドロクロリド(676mgs、3.1mmol)を、CHCl(7mls)及びDIEA(2.1mls、12.4mmol)に溶解し、氷浴で冷却した。塩化メチレン(2.5mls)に溶解したモルホリンカルボニルクロリド(450mgs、3.0mmol)を攪拌しつつ滴下した。添加完了後、反応混合物を放置し、室温まで暖め、さらに2-3時間攪拌した。付加的なDIEA(0.6mls、3.4mmol)、ついで4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニルクロリド(904mg、3.1mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を真空で濃縮し、結果得られた残留物をEtOAcに溶解させ、水(1x)、1.0NのHCl(2x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(3:1 EtOAc:ヘキサン)で精製したところ、1-[4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニルカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(1.11g、70%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値508.1、実測値508.1。
【0102】
工程5−N-ヒドロキシ-1-[4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニルカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシ-アミドの形成
1-[4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニルカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(1.11g、2.2mmol)を、50%の水性NHOH(20mls)が添加されたDMF(17mls)に溶解させ、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を冷1.0NのHCl(100-120mls)に注ぎ、EtOAc(4x)で抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を、10%の水性LiCl(4x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)で精製し、結果得られた純粋油を1:1のアセトニトリル:水に溶解し、凍結乾燥させたところ、白色固形物としてN-ヒドロキシ-1-[4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)]スルホニル-4-(4-モルホリニルカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミド(659mg、59%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値509.1、実測値509.1。HNMR(400MHz、CDOD):δ7.69(d、2H、J=9.2Hz)、7.04(m、4H)、6.95(d、2H、J=9.2Hz)、4.30(m、1H)、3.76(m、1H)、3.50(m、7H)、3.10(m、4H)、2.90(dd、1H、J=13.2、4.4Hz)、2.72(m、1H)。
【0103】
実施例2
N-ヒドロキシ-1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-(エトキシカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミド(方法B)
工程1−1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロ-フェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸の形成
4-Boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸(933mg、4.05mmol)、CHCl(12ml)、DMF(6ml)及びDIEA(2.5ml、14.3mmol)を、N下で組み合わせた。TMS-Cl(810μl、6.38mmol)をゆっくりと添加し、混合物を室温で約2時間攪拌した。最小量のCHClに溶解させた4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニルクロリド(1.43g、4.43mmol)を添加し、混合物を室温で、さらに2時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、0.5NのHCl(3x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。結果得られた粗油をフラッシュクロマトグラフィー(6:4 ヘキサン:EtOAc+1%のAcOH)で精製したところ、所望の生成物(1.37g、65%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値517.1、実測値417.0(-Boc)。
【0104】
工程2−1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルの形成
1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸(1.37g、2.65mmol)を、CHCl(40ml)及びMeOH(10ml)に溶解した。CHCl(10ml)、及びヘキサン(2.5ml、5mmol)に2MのTMS-CHNが入った混合物を攪拌しつつ滴下し、次にTLCにより反応させた。反応完了時、AcOH(1.0ml)を攪拌しつつ滴下した。さらに反応混合物をCHClで希釈し、水(1x)、飽和したNaHCO(2x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮した。粗油をフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン:EtOAc)で精製したところ、所望の生成物が得られた(1.10g、78%)。[M+H]に対するLC/MS計算値531.1、実測値431.0(-Boc)。
【0105】
工程3−1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルTFA塩の形成
1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(1.10g、2.07mmol)を最小量のCHClに溶解し、そこにニートTFA(10ml)を添加した。混合物を室温で約30分攪拌し、真空で濃縮し、高真空下でさらに数時間乾燥させ、さらに精製することなく使用した。[M+H]に対するLC/MS計算値431.1、実測値431.0。
【0106】
工程4−1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-(エトキシカルボニル)-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルの形成
下、1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルTFA塩(344mg、0.63mmol)、CHCl(10ml)、及びDIEA(250μl、1.43mmol)の混合物をクロロギ酸エチル(65μl、0.68mmol)に添加した。N下、混合物を室温で1.5時間攪拌し、ついで1.0NのHCl(2x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン:EtOAc)で精製したところ、所望の生成物(218mgs、69%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値503.1、実測値503.0。
【0107】
工程5−N-ヒドロキシ-1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-(エトキシカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミドの形成
MeOHにNHOHが入った1.7Mの溶液を、MeOH(12.0ml)にNHOH HCl塩(2.40g、34.5mmol)が入った温溶液と、MeOH(7.0ml)にKOH(2.80g、50.0mmol)が入った溶液とを混合することにより調製し、室温まで冷却した後、結果得られた固形物を濾過した。1-[4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)]スルホニル-4-(エトキシカルボニル)-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチル(218mg、0.43mmol)を、MeOHに1.7MのNHOHが入った溶液(4.0ml)に溶解し、室温で30〜45分攪拌した。ついで、反応混合物を1.0NのHClで希釈し、EtOAc(3x)で抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。結果得られた粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1 EtOAc:ヘキサン)で精製したところ無色の皮膜が得られ、これを1:1のAcCN:HOから凍結乾燥し、白色固形物として所望の生成物(136mg、62%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値504.1、実測値504.0。HNMR(400MHz、CDOD):δ7.58(m、2H)、7.03(m、4H)、4.27(m、2H)、4.07(m、3H)、3.75(m、2H)、3.30(m、1H)、3.06(m、1H)、1.22(m、3H)。
【0108】
実施例3
N-ヒドロキシ-1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-(2-メトキシ-1-エトキシカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミド(方法C)
工程1−1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸の形成
ピペラジン-2-(R)-カルボン酸ジヒドロクロリド(1.25g、6.1mmol)、ジオキサン(15mls)及び水(6.0mls)を組み合わせ、氷浴で冷却した。9NのNaOH(2.0mls、18mmol)、次に(Boc)O(1.35g、6.2mmol)を攪拌しつつゆっくりと添加した。反応混合物を放置し、室温まで暖め、さらに3〜4時間攪拌した。EtN(1.8mls、13mmol)、次に4-シアノフェノキシ-3-フルオロフェニルスルホニルクロリド(2.00g、6.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間攪拌し、真空で濃縮した。結果得られた残留物を1.0NのHClとEtOAcとの間に分配した。相を分離し、水相をさらにEtOAc(2x)で抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を1.0NのHCl(1x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン:EtOAc+1%のAcOH)で精製したところ、所望の生成物(1.1g、35%)が得られた。[M+H]に対するLC/MS計算値504.1、実測値504.3。
【0109】
工程2
フラッシュクロマトグラフィーによる精製が必要ないことを除けば、実施例2の工程2と同様の方法で、1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルを作製した。1.10gが回収された(97%)。[M+H]に対するLC/MS計算値520.1、実測値420.1(-Boc)。
【0110】
工程3
実施例2の工程3と同様の方法で、1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-boc-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルTFA塩を作製した。[M+H]に対するLC/MS計算値420.1、実測値420.2。
【0111】
工程4
実施例2の工程4と同様の方法で、1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-(2-メトキシ-1-エトキシカルボニル)-ピペラジン-2-(R)-カルボン酸メチルを作製した。438mgs回収された(83%)。[M+H]に対するLC/MS計算値522.1、実測値522.2。
【0112】
工程5
実施例2の工程5と同様の方法で、N-ヒドロキシ-1-[4-(4-シアノフェノキシ)-3-フルオロフェニル)]スルホニル-4-(2-メトキシ-1-エトキシカルボニル)ピペラジン-2-(R)-カルボキシアミドを作製した。46mg回収された(10%)。[M-H]に対するLC/MS計算値521.1、実測値521.2。HNMR(400MHz、CDOD):δ7.73(m、3H)、7.65(m、1H)、7.34(m、1H)、7.19(d、2H、J=8.4Hz)、4.29(m、2H)、4.14(m、3H)、3.74(m、2H)、3.55(m、2H)、3.33(s、3H)、3.25(m、1H)、3.04(m、1H)。
【0113】
実施例4
スルホニルクロリド中間生成物の合成
実施例4a:4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリド
工程1
3,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(20.0g、113mmol、AsymChem of Durham,ノースカロライナ州から商業的に入手可能)、乾燥DMF(100ml)、4-フルオロフェノール(13.9g、124mmol)、及びCsCO(56g、172mmol)の混合物を、N下、60〜70℃で1〜2時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応混合物をHOとEtOAcとの間に分配した。相を分離し、水相をEtOAc(2x)でさらに抽出した。EtOAc抽出物を飽和したNaCl(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮したところ、さらなる精製をすることなく、次の工程で使用される4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロニトロベンゼン(32.0g、105%)が得られた。H NMR(DMSO-d):δ7.15(m、2H)、7.22(m、2H)、8.31(d、2H、J=7.6Hz)。
【0114】
工程2
4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロニトロベンゼン(30.4g、113mmol)、EtOAc(300ml)、10%のPd/C(2.6g)の混合物を、H雰囲気下、室温で攪拌し、約6時間加圧した。反応混合物をセライトを通して濾過し、真空で濃縮したところ、さらなる精製をすることなく、次の工程で使用される4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロアニリン(26.5g、98%)が得られた。H NMR(CDCl):δ3.82(s、2H)、6.26(d、2H、J=8.4Hz)、6.88(m、2H)、6.93(m、2H)。
【化18】

【0115】
工程3
O(20ml)にNaNO(8.4g、122mmol)が入った溶液を、4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロアニリン(26.5g、111mmol)、AcOH(160ml)、及び濃HCl(160ml)の混合物に滴下し、氷/NaCl/HO浴で冷却した。添加完了後、AcOH(140ml)にSO(74g、1.15mol)が入ったもの、及びHO(16ml)にCuCl-2HO(11.1g、65mmol)が入ったものの混合物を添加する前に、混合物をさらに20〜30分攪拌した。反応混合物を氷浴から取り出し、室温で1〜2時間攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、CHCl(3x)で抽出した。組み合わせたCHCl抽出物を飽和したNaCl(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮した。結果得られた粗油をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)で精製したところ、4-(4-フルオロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリド(29.8g、83%)が得られた。H NMR(CDCl):δ6.94(m、2H)、7.10(m、2H)、7.71(d、2H、J=6.4Hz)。
【0116】
実施例4b:4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリド
工程1
3,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(6.6g、37mmol)、乾燥DMF(30ml)、4-クロロフェノール(5.26g、41mmol)、及びCsCO(18.8g、58mmol)の混合物を、N下、60〜70℃で1〜2時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応混合物をHOとEtOAcとの間に分配した。相を分離し、水相をEtOAc(2x)でさらに抽出した。EtOAc抽出物を飽和したNaCl(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮したところ、さらなる精製をすることなく、次の工程で使用される4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロニトロベンゼン(11.3g、106%)が得られた。H NMR(CDCl):δ6.90(d、2H、J=7.6Hz)、7.28(d、2H、J=7.6Hz)、7.94(d、2H、J=6.4Hz)。
注記:KCO/アセトニトリルをCsCO/DMFの代わりに使用することができる。
【化19】

【0117】
工程2
4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロニトロベンゼン(10.6g、37mmol)、トルエン(150ml)、HO(150ml)、鉄パウダー(6.9g、124mmol)、及び酢酸アンモニウム(9.3g、120mmol)の混合物を加熱し、2〜3時間攪拌しつつ還留した。室温まで冷却した後、反応混合物をHO及びEtOAcで十分に洗浄したセライトを通して濾過した。濾液を分別漏斗に移し、相を分離した。水相をEtOAc(2x)でさらに抽出した。組み合わせた有機相をHO(1x)、飽和したNaCl(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮したところ、さらなる精製をすることなく、次の工程で使用される4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロアニリン(10.8g、113%)が得られた。H NMR(CDCl):δ3.81(s、2H)、6.27(d、2H、J=9.2Hz)、6.85(d、2H、J=9.2Hz)、7.21(d、2H、J=9.2Hz)。
【0118】
工程3
O(7ml)にNaNO(2.8g、41mmol)が入った溶液を、4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロアニリン(9.5g、37mmol)、AcOH(50ml)、及び濃HCl(50ml)の混合物に滴下し、氷/NaCl/HO浴で冷却した。添加完了後、AcOH(50ml)にSO(25g、290mmol)が入ったもの、及びHO(6ml)にCuCl-2HO(3.8g、22mmol)が入ったものの混合物を添加する前に、混合物をさらに20〜30分攪拌した。反応混合物を氷浴から取り出し、室温で1〜2時間攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、CHCl(3x)で抽出した。組み合わせたCHCl抽出物を飽和したNaCl(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空で濃縮した。結果得られた粗油をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)で精製したところ、4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリド(11.0g、87%)が得られた。H NMR(CDCl):δ6.92(d、2H、J=7.2Hz)、7.30(d、2H、J=7.2Hz)、7.72(d、2H、J=4.8Hz)。
【0119】
実施例4c:3,4,5-トリフルオロベンゼンスルホニルクロリド
2000mLの丸底フラスコに、800mLの蒸留HO及び攪拌棒を添加した。攪拌時、氷-アセトン浴においてフラスコを−10℃まで冷却した。フラスコを500mLの付加漏斗に固定し、SOCl(300mL、4.1mol、10当量)を1時間以上かけて滴下した。添加完了後、溶液を室温まで温めながら、4時間攪拌した。
【0120】
その一方、500mLの分別回収用フラスコに、3,4,5-トリフルオロアニリン(61g、0.41mol、1.0当量)、濃HCl(150ml)、及び攪拌棒を添加した。結果得られた懸濁液を激しく攪拌し、−10℃まで冷却した。フラスコを250mLの付加漏斗に固定し、HO(125mL)にNaNO(34.3g、0.50mol、1.2当量)が入った溶液を、10分以上かけて懸濁液に滴下した。ほぼ均質な反応混合物は黄-オレンジの色調である。注意深く−10℃の温度に維持しつつ、反応混合物をさらに30分攪拌した。
【化20】

【0121】
SOCl/HO溶液を収容するフラスコを、再度−10℃まで冷却し、触媒量のCu(I)Cl(〜50mg)を添加する。溶液は暗緑色の色調に変化する。フラスコを500mLの付加漏斗(予め0℃にチルド冷却しておく)に固定し、3,4,5-トリフルオロジアゾベンゼン溶液を、素早く漏斗に移した。溶液をすぐに、3分以上かけて滴下した。添加後、反応混合物ははゆっくりと暗緑色の色調に変化するが、攪拌5分後には明るいライムグリーンになった。室温まで暖めながら、反応物をさらに1時間攪拌した。反応混合物を分別漏斗に移し、CHCl(3x200mL)で抽出した。有機相を組み合わせ、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮したところ、暗ブロンズ色の油(79.5g、83%)が得られた。
【0122】
実施例5
酵素アッセイ
mADAM-10又はhADAM-10活性を、10-残基のペプチド(DABCYL-Leu-Leu-Ala-Gln-Lys-*-Leu-Arg-Ser-Ser-Arg-EDANS)を切断する能力として測定した。このペプチドはTNF-α切断部位(Leu62-Arg71)に基づいているが、Lys-LeuでAla76-Val77を置き換えると、天然TNF-αペプチドよりも、ADAM-10に対する親和性が5倍大きいペプチドになることが見いだされた。酵素を5nMの最終活性濃度になるようにバッファーA(50mMのHEPES 8.0、100mMのNaCl、1mMのCaCl2及び0.01%のNP-40)に希釈した。化合物の連続希釈を、ポリプロピレンプレート(Greiner)において、Beckman Biomek 2000を使用し、100μM〜0.5nMの範囲で実施した。20μlの酵素溶液を、バッファーAに10μlの化合物が入ったものに添加し、384ウェルブラック、Greiner、マイクロタイタープレート(#781076)で15分インキュベートする。ついで、20μlの基質(バッファーAに12.5μM入ったもの)を添加し、2nMのADAM-10、5μMの基質、及び20uM〜0.1nMの濃度範囲の化合物といった、最終反応条件にする。反応物を室温で2時間インキュベートし、蛍光をWallac Victor 2 蛍光読み取り器において、Ex355、Em460で測定した。強力なインヒビターの最終分析のために、同様の反応物を、ADAM-10の最終活性濃度が0.1nMになるようにセットした。この反応物を室温で16時間インキュベートし、同一条件を使用して、蛍光を読み取った。
【0123】
本発明の一態様は、例えば選択的ADAM-10インヒビターである、式Iのピペラジンから誘導されたヒドロキシマート類にある。一実施態様では、このようなインヒビターは、-R(-R21-L-R22、ここでR21はフェニレンであり、Lは酸素であり、R22はフェニルである)にビス-アリールエーテル置換基を含み、その隣接する環(R21)は特に一又は複数のハロゲン、特に一又は複数のフッ素、さらには二又はそれ以上のフッ素で置換されている。例えばこのような基と適切な置換基、-L-R及び-R22とを組み合わせることによってADAM-10に対して選択性のあるインヒビターが生産される。
【0124】
以下の表5は、種々のメタロプロテアーゼを用いてインビトロでテストした場合の、選択された本発明の化合物の構造活性関連データを示す。阻害度合いは、次の要点:A=50nM未満のIC50、B=50nM以上であるが1000nM未満のIC50、C=1000nM以上であるが20000nM未満のIC50、及びD=20000nM以上のIC50、を用いたIC50として示す。空白の箇所はデータのみを欠くことを示す。表5の略語は以下のように定義される:TACEストランドはTNF-アルファ転換酵素(ADMA-17としても公知;MMP-1ストランドは線維芽細胞コラゲナーゼ;MMP-2ストランドは72kDaのゼラチナーゼ(ゼラチナーゼA);MMP-3ストランドはストロメリシン(Stromelysin)-1;MMP-8ストランドは好中球コラゲナーゼ;MMP-9ストランドは92kDaのゼラチナーゼ(ゼラチナーゼB);及びMMP-13ストランドはコラゲナーゼ3に対するものである。
【表1】
















【0125】
表6には本発明の選択された化合物の物理的特徴のデータが含まれている。1H-NMRデータはVarian AS400 分光計(400MHz、Varian GmbH,Darmstadt, Germanyから入手可能)で得られた。表6の項目番号は表5のもの(及びそれらの対応する構造)に相当する。
【表2】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式I:
【化1】

[上式中:
は-C(O)-、-S(O)-、又は-(CH)-であり;
は-H、-OR11、-(CH)11、-C(O)R11、又は-NR1213であり;
ここでR11、R12及びR13は独立して、
g)R50
h)一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル;
i)一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、及びR50から独立して選択される、一、二又は三の置換基で置換されていてもよい、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、C-C-アルキニル、又は-C(O)H;
であり、
又はR12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、第二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、C-C複素環を形成し;
は-R21-L-R22であり;
ここでR21は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルであり;
は-O-、-C(O)-、-CH-、-NH-、-S(O)-、又は直接結合であり;
22は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルであり;及び
50はR51-L-(CH)-であり;
は-O-、-NH-、-S(O)0−2-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-NHC(O)-、-C-、又は直接結合であり;
51は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、又は-SOH、-NO、-CN、-COH、-SH、ジ-C-Cアルキルアミノ、モノ-C-Cアルキルアミノ、-NH、-OH、-OCF、-CF、ハロ、C-C-アルキニル、C-C-アルケニル、C-C-アルキル、-Hであり;
nは0、1、2又は3であり;
但し、O又はSは、原子鎖において他のO又はSに単結合していない]
の化合物、及びそれらの製薬的に許容可能な塩、エステル、アミド類及びそのプロドラッグ。
【請求項2】
が-C(O)-又は-S(O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が-C(O)-であり、Rが-OR11又は-(CH)11、-OC-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-OC-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、-OC-Cアルキル-N-ヘテロサイクリル、-C-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-C-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、又は-C-Cアルキル-N-ヘテロサイクリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がC-Cアルコキシ-C-Cアルコキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
がメトキシエトキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が-S(O)-であり、Rが-NR1213、-(CH)11、-C-Cアルキル-モノ-C-Cアルキルアミノ、-C-Cアルキル-ジ-C-Cアルキルアミノ、又は-C-Cアルキル-N-ヘテロサイクリルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
が-O-である、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
がフェノキシフェニルであり、ここで各フェニルが、一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、特にR50置換基がハロである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビルが、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、フリル、チエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、ピロリル、イミダゾリル、イソヘキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、カルバゾリル、アクリジニル、及びフラザニルで、一又は二のR50置換基で置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピロリル、イミダゾリル、イソヘキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、カルバゾリル、アクリジニル、及びフラザニルで、一又は二のR50置換基で置換されていてもよいものからなる群から選択される複素環を形成する、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
次の構造式II:
【化2】

の絶対立体化学を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
次の構造式III:
【化3】

の絶対立体化学を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
-L-Rが次の表:
【表1】



から選択され ここで各R14が独立して、-H、-(CH)1−3COH、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルから選択され、Rが次の表;
【表2】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
【表3】








から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
次の式IV:
【化4】

[Zは-C(R15)=、-C(H)=、又は-N=であり;
Arはそれぞれ置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
15はフルオロであり;
pは0、1、2又は3であり;
は-C(O)-、-S(O)-、又は-(CH)-であり;
はないか又は-O-であり;
は-H、-OR11、-(CH)11、-C(O)R11、又は-NR1213であり;
ここでR11、R12及びR13は独立して、
j)R50
k)一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル;
l)一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、及びR50から独立して選択される、一、二又は三の置換基で置換されていてもよい、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、C-C-アルキニル、又は-C(O)H;
であり、
又はR12及びR13はそれらが共有結合しているNと共同して、一又は二のR50置換基で置換されていてもよく、第二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、C-C複素環を形成し;
50はR51-L-(CH)-であり;
は-O-、-NH-、-S(O)0−2-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-OC(O)-、-NHC(O)-、-C-、又は直接結合であり;
51は、一、二又は三のR50置換基で置換されていてもよく、環当たり一又は二の環状ヘテロ原子を含有していてもよい、飽和した又はモノ-又はポリ-不飽和のC-C14-モノ-又は縮合ポリ-環状ヒドロカルビル、又は-SOH、-NO、-CN、-COH、-SH、ジ-C-Cアルキルアミノ、モノ-C-Cアルキルアミノ、-NH、-OH、-OCF、-CF、ハロ、C-C-アルキニル、C-C-アルケニル、C-C-アルキル、-Hであり;
nは0、1、2又は3であり;
但し、O又はSは、原子鎖において他のO又はSに単結合していない]
の化合物、及びそれらの製薬的に許容可能な塩、エステル、アミド類及びそのプロドラッグ。
【請求項16】
-L-Rが次の表:
【表4】


から選択され、ここで各R14は独立して、-H、-(CH)1−3COH、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、及びヘテロアリールアルキルから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Zが-C(R15)=又は-C(H)=であり;Lが-O-であり;及びpが少なくとも一である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
pが少なくとも二である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)OR14である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
次の構造:
【化5】

を有する、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Zが-N=であり;Lが-O-である、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Arが置換されていてもよいテトラヒドロナフタレンである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
pがゼロである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
次の構造:
【化6】

を有する、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
Zが-N=であり;Lがない、請求項16に記載の化合物。
【請求項30】
Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
pがゼロである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Arが置換されていてもよいフェニルである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
次の構造:
【化7】

を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
次の式V:
【化8】

の、請求項16に記載の化合物。
【請求項36】
Arがフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
Arが:
【化9】

から選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
絶対立体化学が次の式VI:
【化10】

である、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
-L-Rが-C(=O)OR14又は-(CH)2−3OR14である、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
次の構造:
【化11】

を有する、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
請求項1ないし41のいずれか1項に記載の化合物と、製薬的に許容可能な担体を含有する製薬用組成物。
【請求項43】
請求項41に記載の、治療的有効量の製薬用組成物を、癌、関節炎、及び血管形成関連疾病の処置が必要な哺乳動物に投与することを含む、癌、関節炎、及び血管形成関連疾病の処置方法。
【請求項44】
請求項41に記載の、治療的有効量の製薬用組成物をこのような処置が必要な哺乳動物に投与することを含む、ADAM-10の活性を調節する方法。
【請求項45】
次の式VII:
【化12】

[上式中、Xはハロゲン化物であり;W及びWは互いに独立して置換されていてもよいアリールである]
のビス-アリールエーテルスルホニルハライドの作製方法であって、該方法は:(a)フルオロ置換されたニトロアリール化合物と、対応するヒドロキシド置換されたアリール化合物のアリール金属酸化塩とを組合せて、ビス-アリールエーテルニトロ-芳香族化合物を作製し;(b)ビス-アリールエーテルニトロ-芳香族化合物のニトロ基を還元して、対応するアニリン誘導体を作製し;及び(c)対応するアニリン誘導体をビス-アリールエーテルスルホニルハライドに転換させることを含む方法。
【請求項46】
(a)−(c)を記載した順番に実施する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
アリール金属酸化塩が、有機溶媒においてフルオロ置換されたニトロアリールと組合せられる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
有機溶媒が、少なくとも一のDMF及びアセトニトリルを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
アリール金属酸化塩が、少なくとも一のセシウム塩及びカリウム塩を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
対応するアニリン誘導体が、該対応するアニリン誘導体のジアゾニウム中間生成物を介してビス-アリールエーテルスルホニルハライドに転換される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
フルオロ置換されたニトロアリール化合物が、3,4,5-トリフルオルニトロベンゼンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
アリール金属酸化塩はセシウム塩である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対応するヒドロキシド置換されたアリール化合物が4-クロロフェノールである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ビス-アリールエーテルスルホニルハライドが、4-(4-クロロフェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニルスルホニルクロリドである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
次の式VIII:
【化13】

[ここでXはハロゲンであり;R16、R17、R18及びR19は互いに独立して、-H又は-Fであり;Arはそれぞれ置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールである]
のスルホニル化合物。
【請求項56】
16及びR18がそれぞれ-Hであり;R17及びR19はそれぞれ-Fである、請求項55に記載のスルホニルハライド。
【請求項57】
Arが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、クロメン-2-オン、ジベンゾフラン、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びイソオキサゾリルで、それぞれ置換されていてもよいものからなる群から選択される、請求項56に記載のスルホニルハライド。
【請求項58】
Arが少なくとも一のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、請求項57に記載のスルホニルハライド。
【請求項59】
次の式IX:
【化14】

のスルホニルハライド。
【請求項60】
Xが-Clである、請求項59に記載のスルホニルハライド。

【公開番号】特開2010−265276(P2010−265276A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−142096(P2010−142096)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【分割の表示】特願2004−513217(P2004−513217)の分割
【原出願日】平成15年6月11日(2003.6.11)
【出願人】(510021144)シンフォニー エボルーション, インク. (2)
【Fターム(参考)】