説明

ヒドロキシアルキル化充填剤

【課題】本発明は、一般式(II)で表される基を表面に有することを特徴とする粒子P1に関する。
【解決手段】一般式(II)で表される基を表面に有することを特徴とする粒子P1。
[O1/2SiR−CR−O−(CR−OH] (II)
(式中、R及びRは、同一又は異なり、及び水素原子、又は非置換、若しくは−CN−,−NCO−,−NR−,−COOH−,−COOR−,−PO(OR−,ハロゲン,アクリロイル,エポキシ,−SH−,−OH−若しくは−CONR−基で置換された、一価の炭素数1〜20の炭化水素基若しくは炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、これらは、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、及び1つ以上の隣接しないメチン単位が−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。Rは、水素原子、又は非置換、又は−CN−,若しくはハロゲン基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。bは、少なくとも1である整数である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシアルキル化充填剤、その製造方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
充填剤は、充填剤を添加したマトリックスの特性を変化させる微粉固体である。充填剤は、現在、多数の目的で化学産業に使用されている。充填剤はプラスチックの機械的特性、例えば、硬度、引張強さ、耐化学薬品性、導電性、熱伝導性、付着性、又は温度変化時の収縮性を変化させる。充填剤が影響を及ぼす更なる因子としては、高分子溶解物のレオロジー挙動が挙げられる。充填剤を化学反応基で官能基化することで、マトリックスとの相溶性が向上できるため、配合化合物の特性プロファイルを最適化する。これに関して、好適な基としては、マトリックスそのものと反応可能な基、例えば、ポリエステル、ポリウレタン又はポリアクリレート等と反応可能なカルビノール基等が挙げられる。配合時にフィラー及び/又は粒子表面を適切に修飾することで、該粒子と周囲のポリマーマトリックスとの相溶が確保される。さらに、特定の硬化条件で配合物がバインダー系と反応できるように、粒子面がマトリックスに対して適切な反応性を示す場合、該粒子は硬化処理中にマトリックスに化学的に取り込まれ、配合化合物の特性プロファイルに好ましい効果となることが多い。
【0003】
特許文献1は、金属水酸化物の官能基と反応して消費されてカルビノール基を形成可能な一般式(I)で表される特定の環状シランから始める充填剤の処理方法を開示する。
【化3】

(式中、Rは、炭素数20までの炭素基であり、Rは、水素原子、又は炭素数20までの炭化水素基であり、通常炭素数は3又は4である)
反応は、触媒を使用せずに25℃〜150℃で行われるという事実に特に注意されたい。しかしながら、実際には、前記方法を実施すると多くの問題が生じる。aが4であると安定な6員環を得られるが、高い反応温度と、金属水酸化物の官能基、又は末端シラノール基との著しく長い反応時間とが必要になる。さらに、安定な6員環の合成には、有機金属ケイ素化合物をテトラヒドロフラン環に挿入させる非常に複雑なプロセスが必要である。特許文献1において反応性があるとされる5員環は、分解又は自家重合し易い不安定な物質である。従って、特許文献1に記載の方法は、使用するシラン化合物が安定して得られなかったり、或いは技術的に複雑な合成手法によってのみ得られるため、工業的用途には不適当である。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第768347号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、容易な方法で製造可能なヒドロキシアルキル化充填剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般式(II)で表される基を表面に有する粒子P1を提供する。
[O1/2SiR−CR−O−(CR−OH] (II)
(式中、R及びRは、同一又は異なり、水素原子、又は非置換、若しくは−CN−,−NCO−,−NR−,−COOH−,−COOR−,−PO(OR−,ハロゲン,アクリロイル,エポキシ,−SH−,−OH−,若しくは−CONR−基で置換された、一価の炭素数1〜20の炭化水素基若しくは炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、これらは、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、また、1つ以上の隣接しないメチン単位が−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、水素原子、又は非置換、又は−CN−,若しくはハロゲン基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。
bは、少なくとも1の整数である。)
【0007】
粒子P1は、好ましくは金属酸化物、より好ましくはシリカ、特に好ましくはフュームドシリカを含む表面修飾粒子であり、表面は、一般式(II)で表される基で修飾される。
【0008】
本発明の粒子P1は、好ましくは、100nm未満、好ましくは5nm〜50nmの平均一次粒径を有し、これらの一次粒子は、シリカ内で孤立して存在するのではなく、直径100nm〜1,000nmのより大きい会合体(ドイツ工業基準DIN53206に定義されている)及び会合体からなる凝集体(ドイツ工業基準DIN53206に定義されている)を構成し、外部からの剪断荷重に依存して大きさは1μm〜500μmである。シリカは、BET比表面積が10m/g〜400m/g(ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132によるBET法により測定)であり、質量フラクタル次元Dが2.8以下、好ましくは2.7以下、より好ましくは2.4〜2.6であり、表面シラノール基(SiOH)の密集度が、1.5SiOH/nm(粒子表面1nm当たりSiOHの数)未満、好ましくは0.5SiOH/nm未満、より好ましくは0.25SiOH/nm未満である。
【0009】
粒子P1は、好ましくは、下記(a)と(b)との反応により製造可能である。
(a)Me−OH,Si−OH,Me−O−Me,Me−O−Si,Si−O−Si,Me−OR及びSi−ORからなる群から選択される基を有する表面を有する材料の粒子P
(b)一般式(III)で表される化合物
【化4】

及び/又はその加水分解物、アルコール分解物、若しくは重合生成物。
(式中、R及びRは、同一又は異なり、及び水素原子、又は非置換、若しくは−CN−,−NCO−,−NR−,−COOH−,−COOR−,−PO(OR−,ハロゲン,アクリロイル,エポキシ,−SH−,−OH−,若しくは−CONR−基で置換された、一価の炭素数1〜20の炭化水素基若しくは炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、これらは、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、及び1つ以上の隣接しないメチン単位が−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、水素原子、又は非置換、又はCN、若しくはハロゲン基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。
bは、1以上の整数である。
nは、0又は整数である。)
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、水素、メチル基、エチル基、又はフェニル基がより好ましく、水素原子、又はメチル基若しくはエチル基が特に好ましい。
は、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアリールアルキル基が好ましく、水素原子、メチル、エチル、又はフェニル基がより好ましく、水素が特に好ましい。
nは、0又は1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
bは、1,2又は3であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
【0010】
任意で、反応混合物は、プロトン性溶媒、好ましくは、水、又はアルコールをさらに含む。
【0011】
一般式(III)で表される化合物を使用すれば、水の非存在下でも粒子の官能基化が可能である。官能基化する間、化学量論的反応において、粒子面の実質的に全ての金属水酸化物及び/又はSiOH基を一般式(II)で表される基で飽和できる。したがって、粒子の安定性を制限し得る残留金属水酸化物及び/又はSiOH基を、ほぼ防ぐことができる。
【0012】
一般式(III)で表される化合物は、アルコキシシリル基とヘテロ原子との間のメチレンスペーサーと反応性が高いため、SiOH及び/又はMeOH基を有する粒子Pの官能基化に特に適している。
【0013】
粒子Pの特徴は、表面に金属(MeOH)、シラノール(SiOH),Me−O−Me,Me−O−Si,及び/又はSi−O−Si官能基を有し、これらを介して一般式(III)で表される化合物と反応可能であることである。
【0014】
粒子Pとして、原理上、全ての金属酸化物及び金属酸化物混合粒子(コランダム等の酸化アルミニウム、酸化アルミニウムと他の金属及び/又はケイ素との酸化アルミニウム混合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及び酸化亜鉛)、酸化ケイ素粒子(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゾル、ミネラルガラス、石英ガラス、窓ガラス等)又はケイ素原子の特定の原子価に有機基(シリコーン樹脂等)が付与された酸化ケイ素化合物を使用可能である。さらに、酸化表面を有するケイ素、アルミニウム、鉄等の金属も使用可能である。
【0015】
透過電子顕微鏡による粒子Pの平均粒径は、1mm未満であることが好ましい。
【0016】
粒子Pの平均粒径は、5nm〜100nmであることが特に好ましい。これらの一次粒子は独立して存在してもよく、より大きな会合体、及び凝集体であってもよい。
【0017】
粒子Pは、好ましくは金属酸化物である。金属酸化物は、好ましくは比表面積が0.1m/g〜1,000m/g(ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132に従ったBET法により測定)、より好ましくは、10nm/g〜500nm/gである。
【0018】
粒子Pは、直径100nm〜1,000nmの会合体(ドイツ工業基準DIN53206に定義される)を含むことが好ましく、会合体からなる凝集体(ドイツ工業基準DIN53206に定義される)を含む金属酸化物であり、その大きさは、外部からの剪断荷重の作用として(例えば、測定条件の結果として)1μm〜1,000μmであるのがよい。
【0019】
技術的に管理容易にするために、粒子Pは、特に、金属―酸素結合中に共有結合部分を有する酸化物が好ましく、例えば主族元素並びに遷移元素の会合状態の固体酸化物が挙げられ、その例として、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム及び酸化インジウム等の三族元素の酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、酸化スズ、二酸化スズ、酸化鉛及び二酸化鉛等の四族元素の酸化物、並びに二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化ハフニウム等の4族遷移元素の酸化物などが挙げられる。他の例として、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム及びバナジウムの酸化物等の安定した酸化物等が挙げられる。
【0020】
この中でも、湿式化学法、例えば、析出によって得られるシリカゲル若しくはシリカゾル等のアルミニウム(III)酸化物、チタン(IV)酸化物及びシリコン(IV)酸化物を含むことが好ましく、又は高温プロセスによる酸化アルミニウム、二酸化チタン若しくは二酸化ケイ素、発熱的に得られる酸化アルミニウム、二酸化チタン、若しくは二酸化ケイ素等が挙げられる。粒子Pとして使用可能な他の固体の例としては、ケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、アルミニウムフィロケイ酸塩(ベントナイト、モンモリロナイト、すなわちスメクタイト)及びヘクトライト等が挙げられる。さらに、粒子Pとして使用可能な固体は、ランプブラック及びファーネスブラック等のスートブラック、カーボンブラックとして知られている、着色剤、補強充填剤又はレオロジー助剤として使用可能なブラック等が挙げられる。
【0021】
特に、ヒュームドシリカが好ましく、有機ケイ素化合物から炎色反応によって発熱的に得られる。例えば、四塩化ケイ素、メチルジクロロシラン、ヒドロトリクロロシラン、ヒドロメチルジクロロシラン、その他のメチルクロロシラン類又はアルキルクロロシラン類をそのまま、或いは炭化水素との混合物として、例えば酸素―水素フレイム、あるいは一酸化炭素―酸素フレイムにかけることで得られる。シリカは、任意で水を加えても加えなくても製造することができ、例えば精製工程では水を加えないことが好ましい。
【0022】
フュームドシリカの表面フラクタル次元は、好ましくは2.3以下、より好ましくは2.1以下、特に好ましくは1.95〜2.05であり、ここで、表面フラクタル次元Dは、「粒子表面積Aは粒子半径RのD乗に比例する」と定義する。
【0023】
沈降シリカの質量フラクタル次元Dは、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.7以下、非常に好ましくは2.4〜2.6である。質量フラクタル次元Dは、「粒子質量Mは粒子半径RのD乗に比例する」と定義する。
【0024】
シリカは、好ましくは、化学反応の影響を受けやすい表面シラノール基(SiOH)の密集度が2.5SiOH/nm(粒子表面1nm当たりSiOHの数)未満、好ましくは、2.1SiOH/nm未満、より好ましくは、2SiOH/nm未満、特に好ましくは、1.7〜1.9SiOH/nmである。
【0025】
湿式化学法により得た、又は高温(1,000℃を超える)で得たシリカを使用可能である。特に発熱的に得られたシリカが好ましい。炎から取り出したばかりの製造直後の親水性金属酸化物や、保存、つまり既に標準業務用に包装された親水性金属酸化物を使用できる。さらに、疎水化された金属酸化物、又はシリカ、例えば、通常市販されているシリカを使用してもよい。
60g/lよりも小さなかさ密度の非圧密シリカ、及び60g/lより大きなかさ密度の圧密シリカが使用可能である。
【0026】
上記固体の任意の混合物を表面修飾に使用してよい。例えば、BET比表面積が異なる金属酸化物若しくはシリカの混合物、又は、疎水化度若しくはシリル化度が異なる金属酸化物の混合物を使用してよい。
【0027】
表面修飾には、一般式(III)で表される化合物を単独で、或いは下記式で表される単位からなるオルガノシロキサンとの任意の混合物として使用可能である。
(RSiO1/2)及び/又は、
(RSiO2/2)及び/又は、
(RSiO3/2)。
(式中、Rは、不飽和、単不飽和、若しくは多価不飽和である、好ましくは炭素数1〜18の一価の非ハロゲン化若しくはハロゲン化炭化水素基、ハロゲン、窒素、OR、OCOR又はO(CHORであり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、Rは同一でも異ってもよい)
オルガノシロキサン中のこれらの単位数は少なくとも2である。オルガノシロキサンは、好ましくは、被覆温度で液体である。
【0028】
は、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基)、プロピル基(イソプロピル基、n−プロピル基)、ブチル基(tert−ブチル基、n−ブチル基)、ペンチル基(ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基)、へキシル基(n−へキシル基)、へプチル基(n−へプチル基)、オクチル基(2-エチルへキシル基、n−オクチル基)、デシル基(n−デシル基)、ドデシル基(n−ドデシル基)、ヘキサデシル基(n−ヘキサデシル基)、オクタデシル基(n−オクタデシル基)、アルケニル基(ビニル基、2−アリル基、5−ヘキセニル基)、アリール基(フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基)、アルキルアリール基(ベンジル基、エチルフェニル基、トリル基、キシリル基)、ハロゲン化アルキル基(3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基)、パーフルオロへキシルエチル基、及びハロゲン化アリール基(クロロフェニル基、クロロベンジル基)等が挙げられる。
【0029】
は、好ましくは、メチル基、オクチル基、及びビニル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
【0030】
オルガノシロキサンの例としては、ジアルキルシロキシ単位の平均数が2より大きい、好ましくは10より大きい直鎖状又は環状ジアルキルシロキサン類が挙げられる。
ジアルキルシロキサン類としてはジメチルシロキサン類が好ましい。直鎖状ポリジメチルシロキサン類は以下の末端基を有するものが挙げられる:トリメチルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、ジメチルクロロシロキシ基、メチルジクロロシロキシ基、ジメチルメトキシシロキシ基、メチルジメトキシシロキシ基、ジメチルエトキシシロキシ基、メチルジエトキシシロキシ基、ジメチルアセトキシシロキシ基、及びメチルジアセトキシシロキシ基。この中でも、トリメチルシロキシ又はジメチルヒドロキシシロキシ末端基を有するものが特に好ましい。末端基は同じでも異なってもよい。
【0031】
本発明の粒子は、連続又はバッチ式で製造可能である。シリル化方法は1以上の工程からなるのがよい。
【0032】
シリル化粒子は下記工程を含む方法で製造されることが好ましい。即ち、
(A)粒子を製造する工程、
(B)粒子をシリル化する工程であって、
(1)必要に応じて、一般式(III)で表される化合物で粒子を被覆する工程、
(2)粒子を一般式(III)で表される化合物と反応させる工程、及び
(3)過剰な一般式(III)で表される化合物を除去するために粒子を精製する工程を含む粒子をシリル化する工程。
【0033】
シリル化は、好ましくは、シリル化金属酸化物を酸化させない大気下で行われる。すなわち、酸素は、好ましくは10体積%未満、より好ましくは2.5体積%未満であり、1体積%未満の場合に最良な結果が得られる。例えば、反応は、主に不活性キャリヤガス中で行われる。
【0034】
被覆、反応及び精製は、バッチ式、又は連続反応として行うことができるが、技術的な理由から、連続反応が好ましい。
【0035】
被覆は、温度が、−30℃〜250℃、好ましくは20℃〜150℃、より好ましくは20℃〜120℃で行われ、被覆工程は、好ましくは、30℃〜50℃で冷却される。
反応時間は、1分〜48時間続き、好ましくは、15分〜360分、特に好ましくは、空時収量のため15分〜90分である。
被覆工程の圧力は、僅かな加圧である0.2バールから過剰圧力である100バールであり、技術上、標準圧力が好ましい。すなわち、外圧/大気圧に対して加圧しない操作である。
【0036】
一般式(III)で表される化合物は、好ましくは、液体で粒子に加えられ、特に、金属酸化物粉体に混入される。この混合は、ノズル技術又は同等の技術、例えば、効果的なノズルスプレー技術を使用するのが好ましく、(好ましくは5〜20バール)の圧力下で一本の流体ノズルを用いた噴霧、(気体及び液体:2〜20バール)の圧力下で二本の流体ノズルを用いた噴霧、移動可能な、回転若しくは静止した内部構造体を備えた気体/固体交換アッセンブリー又は噴霧器を用いた超微細分離等が挙げられ、シランと金属酸化物粉体とを均一に分布させる。
【0037】
一般式(III)で表されるシランは、好ましくは、金属酸化物に超微細に分離されたエアロゾルの形態で加えられ、該エアロゾルは、沈降速度が、0.1〜20cm/sであり、ドロップ径が空気力学的粒子半径で5μm〜25μmである。
【0038】
金属酸化物への一般式(III)で表される化合物の被覆、及び金属酸化物との反応は、機械的流動化、又は気流による流動化で行われるのが好ましく、機械的流動化が特に好ましい。
気流による流動化は、一般式(III)で表される化合物、金属酸化物、又はシリル化金属酸化物と反応しないあらゆる不活性ガス、すなわち、好ましくはN、Ar、他の希ガス、CO等の二次反応、分解反応、酸化現象、又は燃焼及び爆発現象を引き起こさないガスによって行われる。流動化した気体は、ガス空塔速度0.05cm/s〜5cm/s、より好ましくは0.5cm/s〜2.5cm/sで供給されるのが好ましい。
機械的流動化は、不活性化に使用した気体に更に気体を追加せずに、パドル型撹拌機、アンカー型撹拌機及びその他適した攪拌素子によって行うことができるので特に好ましい。
【0039】
好適な実施形態の1つは、一般式(III)で表される未反応化合物、及び精製工程からの排気は、金属酸化物の被覆工程に再循環される。該再循環は部分的又は完全に行われ、精製工程から生じる気体の全体の体積の10%〜90%について行うのが好ましい。
これは、自動温度調節された装置により適切に行われる。
【0040】
再循環は、好ましくは、非凝縮相、すなわち、気体又は蒸気状態で行われる。この再循環は、均圧に沿った質量トランスポートとして、又は、ファン、ポンプ、圧縮空気膜ポンプ等の標準的な工業ガス輸送システムで制御した質量トランスポートとして行われる。非凝縮相の再循環が好ましいため、再循環管路を加熱するのがよい。
一般式(III)表される未反応シラン及び排気の再循環は、この場合は、全質量に対して、5重量%〜100重量%、好ましくは、30重量%〜80重量%であるのがよい。再循環は、新たに使用したシラン100部に対して、1部〜200部、好ましくは10部〜30部となるのがよい。
シリル化反応から被覆工程への精製物の再循環は、連続的であるのが好ましい。
【0041】
反応温度は、−30℃〜250℃、好ましくは20℃〜150℃、より好ましくは20℃〜120℃である。
反応時間は、1分〜48時間、好ましくは15分〜6時間である。
【0042】
必要に応じて、液体、揮発性アルコール類又は水のようなプロトン性溶媒を加えることが可能である。代表的なアルコール類はイソプロパノール、エタノール及びメタノールである。また、上記のプロトン性溶媒の混合液を加えることも可能である。金属酸化物に対して、プロトン性溶媒を1重量%〜50重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%加えるのが好ましい。特に、水が好ましい。任意で、酸性又は塩基性触媒を加えることができる。これらの触媒は、事実上の塩基、ルイス塩基若しくはブレンステッド塩基でよく、例えば、アンモニアが挙げられ、又は事実上の酸、ルイス酸若しくはブレンステッド酸酸でもよく、例えば、塩化水素などが挙げられる。触媒が使用される場合には、その量は微量であることが好ましく、すなわち1,000ppm未満であることが好ましい。無触媒が特に好ましい。
【0043】
精製は、20℃〜200℃、好ましくは50℃〜150℃、より好ましくは50℃〜100℃で行われる。
精製工程は攪拌に特徴があり、特に僅かに混合しながら、ゆっくり攪拌するのが好ましい。攪拌素子は、混合及び流動化するように設定され、有利に攪拌されることが好ましい。
精製工程は、さらに、気体の流入量の増加に特徴があり、好ましくは0.001cm/s〜10cm/s、より好ましくは0.01cm/s〜1cm/sのガス空塔速度に相当する。これは、一般式(III)で表されるシラン、金属酸化物、若しくは粒子、又はシリル化金属酸化物、若しくはシリル化粒子と反応しないあらゆる不活性ガス、即ち、好ましくはN、Ar、他の希ガス、CO等の、二次反応、分解反応、酸化現象又は燃焼及び爆発現象を引き起こさないガスによって行われる。
【0044】
本発明の他の好適な実施形態では、使用する粒子Pは、ミクロン若しくはサブミクロンサイズの酸化物粒子が水性溶媒若しくは有機溶媒中に好ましくは分散体状に存在する、コロイド状酸化ケイ素又は金属酸化物である。この場合、好ましくは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、スズ、又は亜鉛等の金属の酸化物を使用できる。好ましくは一般式(III)で表される化合物と反応する有機粒子溶液又は懸濁液を使用することが好ましい。
【0045】
1種以上の粒子Pを使用してもよい。よって、例えば、SiOの他にコランダムも含む充填剤系を製造可能である。
【0046】
好適に用いられる一般式(III)で表される化合物は、2,2−ジメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン;2,2,5−トリメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン、2,2,6−トリメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン;2,2,5,6−テトラメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン;2,2−ジメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘプタン;2,2,5−トリメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘプタン;2,2,6−トリメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘプタン;2,2,7−トリメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘプタン;2,2,5,7−テトラメチル−1,4−ジオキサ−2−シラシクロヘプタン等が挙げられる。
【0047】
粒子の官能基化には、一般式(III)で表される単独の1つの化合物、一般式(III)で表される異なる化合物の混合物、又は一般式(III)で表される化合物と他のシランとの混合物が使用できる。
【0048】
一般式(III)で表される化合物を使用する場合、標的の経路で簡単に反応し、高収率でカルビノールが得られる。一般式(III)で表される化合物は、安定で、保存可能であり、簡単な前駆体から非常に容易に合成可能であるため(例えば、独国特許出願公開第1593867A号明細書)、したがって、工業規模での使用に特に適している。
【0049】
一般式(III)で表される化合物として、一般式(IV)で表される化合を使用するのが好ましい。
【化5】

(式中、R,R及びbは上記定義と同じである。)
bは2、Rは水素原子、Rはメチル又はエチル基であることが特に好ましい。
【0050】
この種の方法は、無触媒で、好ましくは、0℃〜200℃で行うことができるが、反応温度は、少なくとも40℃が好ましい。しかしながら、特定の触媒を加えることで、該方法はさらに改善できる。これらの触媒は、酸性又は塩基性化合物であり、これは、反応時間及び反応温度を低減できることを意味する。
【0051】
使用する触媒は、有機又は無機のルイス酸若しくはルイス塩基、例えば、有機ブレンステッド酸若しくは有機ブレンステッド塩基、有機金属化合物、又はハロゲン化物塩である。
好ましい酸としては、カルボン酸、部分的エステル化カルボン酸、特に、モノカルボン酸、好ましくはギ酸若しくは酢酸、又は非エステル化若しくは部分的エステル化モノリン酸、オリゴリン酸若しくはポリリン酸が挙げられる。好ましい塩基としては、アルキルアンモニウム水酸化物、アルキルアンモニウムシラノレート、アンモニウムアルコキシド、アルキルアンモニウムフルオリド、アミン塩基、又は金属アルコラート、又はアルキル金属が挙げられる。好ましい金属アルコラートとしては、リチウムアルコラート又はナトリウムアルコラートが挙げられる。好ましい有機金属試薬としては、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機リチウム化合物、又はグリニャール試薬が挙げられる。好ましい塩としては、テトラアルキルアンモニウムフルオリドが挙げられる。
【0052】
特に、一般式(V)で表されるリン酸が好ましい。
O=P(OR3−v(OH) (V)
(式中、Rは、非置換若しくは置換の、直鎖若しくは分枝の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基若しくはアルコキシアルキル基、炭素数2〜40のポリエーテル、又は炭素数5〜14のシクロアルキル基若しくはアリール基である。vは、0、1又は2である。)
【0053】
シラノール基化後に使用する触媒は、いわゆる負触媒又は触媒毒を加えることで、Si−O−Si基が開裂される前に不活性化されることが好ましい。この二次反応は使用する触媒に依存し、必ずしも起こす必要がないので、必要に応じて不活性化しなくてもよい。触媒毒は、例えば、塩基が使用される場合は酸であり、酸が使用される場合は塩基であり、最終的に、単純な中和反応が起こり中和生成物が生成されるが、これは必要に応じて、ろ過除去又は抽出可能である。触媒と触媒毒との反応生成物は、生成物の用途に応じて、生成物から除去しても残留させてもよい。中和後、反応生成物は、僅かに酸性であることが好ましく、pHは3〜7である。
【0054】
カルビノール修飾充填剤の製造方法において用いられる一般式(III)で表される化合物の量は、官能基が付与される充填剤中のMe−OH基の量に依存する。しかしながら、OH基の完全な官能基化を目的とするならば、nに対して少なくとも等モル量の、一般式(III)で表される単位を含む化合物を添加しなければならない。一般式(III)で表される単位を含む化合物を過剰に使用する場合、未反応化合物は次いで蒸留除去、或いは加水分解後、必要に応じて同様に蒸留除去できる。
【0055】
本プロセスは、0℃〜200℃で行われるのが好ましく、40℃〜150℃で行われるのがより好ましい。本プロセスは、適切な反応器中で、溶媒を使用或いは使用せずに行うことができる。必要に応じて、真空、過剰圧力、又は標準圧力(0.1MPa)下で操作される。
【0056】
溶媒を使用する場合は、不活性溶媒が好ましく、非プロトン性溶媒、例えば、脂肪族炭化水素(へプタン、デカン等)、及び芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)が特に好ましい。同様に、THF、ジエチルエーテル、又はMTBE等のエーテルを使用できる。反応混合物の十分な均質化に十分な溶媒量とすべきである。0.1MPaにおいて沸点、又は沸点範囲が最大120℃である溶媒又は混合溶媒液が好ましい。
【0057】
さらに、シリル化工程、又は次の精製工程の間、プレスロール、エッジランナー・ミル、及びボールミル等の粉砕装置、連続的に、又はバッチ式に、スクリュー、ワーム混合機、ワーム圧縮機、又はブリケッティングマシンによる圧縮法、適当な真空方法により存在する空気、気体の吸引引き出しによる圧縮方法等の金属酸化物の機械的圧縮法を用いることが可能である。
【0058】
シリル化工程、又は修飾工程の間、反応の工程(B)2)において、プレスロール、ボールミル等の上記粉砕装置による機械的圧縮方法、又はスクリュー、ワーム混合機、ワーム圧縮機及び/又はブリケッティングマシンによる圧縮方法が特に好ましい。
【0059】
さらに、特に好適な手順は、精製の後に、適当な真空方法、又はプレスロール、又はこれらの併用により存在する空気、気体の吸引引き出しによる圧縮等の金属酸化物の機械的圧縮方法が続く。
【0060】
さらに、特に好適な手順は、精製の後に、ピン・ディスクミル、ハンマーミル、対向式ジェットミル、インパクトミル、又は粉砕/分級機等の金属酸化物を解凝集する方法を用いることができる。
【0061】
一般式(III)で表される化合物は、金属酸化物に対して、好ましくは0.5重量%よりも多い、より好ましくは3重量%よりも多い、非常に好ましくは5重量%よりも多い量で使用される。
【0062】
本発明の好適な一実施形態において、前記表面修飾酸化物は、無溶媒のポリマー及び樹脂、又は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂等の有機樹脂の水溶液系若しくは有機溶媒による溶液、懸濁液、乳濁液、及び分散液等の極性系において、高い増粘作用を示すことを特徴としている。したがって、上記系でのレオロジー助剤として好適である。
【0063】
本発明の好適な一実施形態において、前記表面修飾金属酸化物は、未架橋シリコーンゴム等の無極性系において低い増粘作用を示すと同時に、架橋シリコーンゴムにおいて高い補強作用を示すことを特徴とするため、シリコーンゴムの補強充填剤として非常に適切である。
【0064】
本発明は、さらに、本発明の粒子P1、好ましくは、本発明の金属酸化物、より好ましくは、本発明のシリカを含むことを特徴とする補強充填剤又はレオロジー助剤を提供する。
【0065】
本発明の好適な一実施形態において、前記表面修飾粒子P1が、粉体系において、湿度影響下で、ケーキング、又は凝集を防止する、例えば、再凝集せずに不要に分離する傾向があるが、粉体の流動性が維持されるため、寸法安定性、かつ保存安定性を有する混合物が得られることを特徴とする。
一般的に言えば、粉体系に対して、ここで使用される粒子量は0.1重量%〜3重量%である。
これは、特に、非磁性及び磁性トナー及び現像剤、並びに電荷制御剤に用いられ、例えば、非接触型、又は電子写真印刷/複写プロセスで用いられ、一成分、及び二成分系であってよい。これは、また、コーティング系として使用される樹脂粉末にも用いられる。
【0066】
本発明は、さらに、粘性付与成分として、本発明の粒子P1を低極性から高極性系で使用することに関する。これは、すべての無溶媒、溶媒含有、水希釈可能な、膜形成被膜組成物、接着剤、シーリング化合物、キャスティング化合物、及び他の類似する系に関する。
【0067】
粒子は、以下の系に使用可能である。
エポキシ系
ポリウレタン(PUR)系
ビニルエステル樹脂
不飽和ポリエステル樹脂
水溶性及び水分散樹脂系
低溶媒樹脂系、いわゆる、高固体系、及び
粉末で用いられる無溶媒樹脂
粒子P1は、これらの系へのレオロジー助剤として、必要な粘性、擬可塑性、及びチキソトロピーを提供し、垂直面に立たせるために十分な降伏応力を組成物に付与する。
【0068】
粒子P1は、特に、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンポリマー、フィラー、及び他の添加剤等からなるシリコーンエラストマー等の未架橋および架橋シリコーン系において、レオロジー助剤及び補強充填剤として使用可能である。これらの系は、例えば過酸化物を用いる架橋、或いは、オレフィン基とSi−H基との間のいわゆるヒドロシリル化反応である付加反応による架橋、若しくは、水に接触させることで起こる反応等のシラノール基間の縮合反応による架橋が可能である。
【0069】
粒子P1は、さらに、反応性樹脂、ポリマー等の樹脂やエラストマー中における、補強充填剤、レオロジー助剤、さらに、架橋成分として使用可能である。
【0070】
粒子P1は、さらに、レオロジー助剤及び補強充填剤として、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はメタクリル酸樹脂等の反応性樹脂系の衝撃強さ、引っかき抵抗性等の機械的特性を向上させるための付加的架橋成分として使用可能である。これは、すべての無溶媒材料、溶媒含有材料、水希釈可能な材料、膜形成塗膜材料、接着剤、シーリング化合物、キャスティング化合物及び他の同等の系に関する。修飾粒子の使用量は、概して、樹脂系に対して3%〜50%である。
【0071】
本発明は、さらに、本発明の表面修飾金属酸化物を含むトナー、現像剤、及び電荷制御剤を提供する。現像剤、及びトナーの例としては、磁性一成分及び二成分トナー、並びに非磁性トナーが挙げられる。これらのトナーは、スチレン樹脂、及びアクリル樹脂等の樹脂から構成されてよく、また1μm〜100μmの粒度分布になるように粉砕されてもよく、或いは分散液、乳濁液、溶液中で、大量に重合プロセスにより作製され、粒子分布が好ましくは1μm〜100μmである樹脂でもよい。金属酸化物は、好ましくは、粉体流動特性の向上及び制御、及び/又は、トナー若しくは現像剤の摩擦帯電性の規制及び制御のために使用される。この種類のトナー及び現像剤は、電子写真印刷及び印刷プロセスで使用でき、また、直接画像転送プロセスに用いることができる。
【0072】
トナーの組成は概して以下のとおりである。
粉末を作製する中実の樹脂バインダーは十分に硬質であり、好ましくは、分子量が10,000を超え、好ましくは、10,000未満の分子量が10重量%未満のポリマーを僅かに含み、例えば、ジオールとカルボン酸、カルボン酸エステル又はカルボン酸無水物の共縮合物であるポリエステル樹脂であり、例えば、酸価が1〜1,000、好ましくは5〜200であり、又は、ポリアクリレート、ポリスチレン、若しくはこれらの混合物、又は共重合体であり、平均粒径が20μm未満、好ましくは15μm未満、より好ましくは10μm未満である。
トナー樹脂は、アルコール、カルボン酸、及びポリカルボン酸を含み得る。
着色剤は、当技術分野で一般的な、黒色カーボンブラック、色素性カーボンブラック、シアン染料、マゼンタ染料、及びイエロー染料等である。
正電荷制御剤は、一般的には、ニグロシン染料型電荷制御剤、例えば、三級アミンに置換されたトリフェニルメタン染料、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム=臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)等の四級アンモニウム塩又はポリアミンである。概して、5重量%未満を用いる。
任意で、負電荷制御剤は、金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、又は金属錯体等の電荷制御剤であり、例えば、アルキル化サリチル酸誘導体、又は安息香酸、特に、ホウ素、又はアルミニウム等が挙げられ、必要量は、概して、5重量%未満である。
必要であれば、磁性トナーを作製するために、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、合金等の強磁性体、又は磁鉄鉱、赤鉄鉱、若しくはフェライト等の化合物等の磁界で帯磁可能な粉末等の磁性粉末を加えることができる。
任意で、鉄粉、ガラス粉、ニッケル粉、及びフェライト粉等の現像剤を加えることも出来る。
金属酸化物の使用量は、平均粒径が20μmの中実の樹脂バインダーに対して、0.01重量%よりも多く、好ましくは、0.1重量%よりも多い。バインダーの平均粒径が小さくなるにつれ、金属酸化物の必要量は、一般的に言えば、多くなり、金属酸化物の必要量の増加は、バインダーの粒径に反比例する。しかしながら、いずれの場合でも、金属酸化物の量は、バインダー樹脂に対して、好ましくは5重量%未満である。
【0073】
さらに、無機添加剤は、平均粒径が100nm〜1,000nmである二酸化ケイ素を含む微細な、及び粗い二酸化ケイ素等であり、例えば、発熱性アルミナ等の酸化アルミニウム、発熱性、アナターゼ、ルチル等の二酸化チタン、及び酸化ジルコニウム等が使用できる。
ワックスは、例えば、10〜500個の炭素原子を含むパラフィンワックス、シリコーンワックス、オレフィンワックス、ヨウ素価が50未満、好ましくは25未満であり、けん化価(Verseifunszahl)が10〜1,000、好ましくは25〜300であるワックス等が使用できる。
【0074】
トナーは、電子写真画像形成及び再形成用などの様々な現像方法に使用可能である。磁気ブラシ法、カスケード法、導電性及び非導電性磁気方式、パウダークラウド法、インプレッション現像法及び他の方法が挙げられる。
【0075】
下記実施例において、特に示さない限り、全ての量及び%は重量基準であり、全ての圧力は0.10MPa(abs.)である。
【実施例1】
【0076】
2,2−ジメチル−[1,4]ジオキサ−2−シラシクロヘキサンの製造
クロロメチル‐ジメチルメトキシシラン103.9g(0.75mol)と、エチレングリコール46.6g(0.75mol)と1,4−ジイソプロピルベンゼン200mlとの混合物を150℃に加熱し、3時間攪拌した。この間、蒸留によりメタノール24g(0.75mol)を除去した。その後、トリブチルアミン138.8g(0.75mol)を150℃で、ゆっくり滴下した。次に、150℃でさらに3時間攪拌した。得られたトリブチルアンモニウムクロリド塩をろ過により除去した。ろ液を、標準圧力、132℃で繰り返し2度分留し、収量27%で純粋な2,2−ジメチル−2−シラ−1,4−シクロヘキサン(132.23g/mol、20mmol)26gを得た。
【実施例2】
【0077】
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が200m/g(ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性ヒュームドシリカ(商品名:ワッカーHDK S13(R)、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gを、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)超微細分離形態で、メタノール10mlに溶解した2,2−ジメチル−(1,4)−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン8.5gとトリエチルアミン0.25gとの溶液と混ぜる。装填したシリカを、25℃、窒素下で0.5時間流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、140℃、4時間で反応させる。これにより、均一なシリル化剤層を有する白い粉末状のシリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
分析は下記方法で行った:
カーボン含有率(%C)
カーボンの元素分析:酸素流下、1,000℃よりも高温で試料を燃焼し、得られた二酸化炭素を、計測器LECO244を使用し赤外線で検出及び定量化する。
<BET>
ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132に従ったBET法により測定。
<pH>
飽和塩化ナトリウム水溶液/メタノール=50:50中での4重量%懸濁状態のシリカ
【実施例3】
【0080】
30℃、1Lの3口フラスコ内で、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及び比表面積が130m/g(ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK S13(R)、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))10gに、2,2−ジメチル−[1,4]ジオキサ−2−シラシクロヘキサン6.5gとリチウムメタノラート(Lithiummethanolat)溶液(10%メタノール溶液)(300ppm)60mgとを混和した。混合物を攪拌して均一にし、60℃で3時間加熱した。次に、リン酸で触媒を中和し、トルエン及び余分なシランを除去した。このように付着されたシリカは、29Si NMRにおいて、もはや遊離Si−OH基を示さなかった。
【実施例4】
【0081】
25℃、100mlの3口フラスコ内で、SiOオルガノゾル(IPA−ST(R)日産化学工業株式会社、SiO30重量%、平均粒径12nm)50.0gを、2,2−ジメチル−[1,4]ジオキサ−2−シラシクロヘキサン1.98g(14.9mmol)と混和した。混合物を50℃、6時間で攪拌し、室温でさらに24時間攪拌し、弱いチンダル効果を示す透明懸濁液を得た。H NMR及び29Si NMRにより、約80%環状シランが粒子と反応したことが示された。反応時間をより長くしても、この転化率をさらに増加させることは不可能である。
【実施例5】
【0082】
25℃、100mlの3口フラスコ内で、SiOオルガノゾル(IPA−ST(R)日産化学工業株式会社、SiO30重量%、平均粒径12nm)50.0gを、2,2−ジメチル−[1,4]ジオキサ−2−シラシクロヘキサン1.98g(14.9mmol)と混和した。混合物を20℃、48時間で攪拌し、弱いチンダル効果を示す透明懸濁液を得た。H NMR及び29Si NMRにより、約80%環状シランが粒子と反応したことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II)で表される基を表面に有することを特徴とする粒子P1。
[O1/2SiR−CR−O−(CR−OH] (II)
(式中、R及びRは、同一又は異なり、水素原子、又は非置換、若しくは−CN−,−NCO−,−NR−,−COOH−,−COOR−,−PO(OR−,ハロゲン,アクリロイル,エポキシ,−SH−,−OH−,若しくは−CONR−基で置換された、一価の炭素数1〜20の炭化水素基若しくは炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、これらは、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、及び1つ以上の隣接しないメチン単位が−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、水素原子、又は非置換、又は−CN−、若しくはハロゲン基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。
bは、少なくとも1の整数である。)
【請求項2】
前記一般式(II)で表される基で表面が修飾される表面修飾粒子は、金属酸化物、より好ましくはシリカ、特に好ましくはフュームドシリカを含む請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
平均一次粒径が100nm未満、より好ましくは5nm〜50nmである請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
比表面積が10m/g〜400m/gである請求項1、2又は3に記載の粒子。
【請求項5】
質量フラクタル次元Dが2.8以下、表面シラノール基(SiOH)の密集度が、1.5SiOH/nm未満である請求項1から4のいずれかに記載の粒子。
【請求項6】
請求項1から5に記載の粒子の製造方法であって、
(a)Me−OH,Si−OH,Me−O−Me,Me−O−Si,Si−O−Si,Me−OR及びSi−ORからなる群から選択される基を有する表面を有する材料の粒子Pと、
(b)一般式(III)で表される化合物
【化1】

及び/又はその加水分解物、アルコール分解物、若しくは重合生成物とを反応させることを特徴とする粒子の製造方法。
(式中、R及びRは、水素原子、又は非置換、若しくは−CN−,−NCO−,−NR−,−COOH−,−COOR−,−PO(OR−,ハロゲン,アクリロイル,エポキシ,−SH−,−OH−若しくは−CONR−基で置換された、一価の炭素数1〜20の炭化水素基若しくは炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、これらは、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、及び1つ以上の隣接しないメチン単位が−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、水素原子、又は非置換、又はCN、若しくはハロゲン基で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。
bは、少なくとも1である整数である。
nは、0又は整数である。)
【請求項7】
使用する一般式(III)で表される化合物が、一般式(IV)で表される化合物である請求項6に記載の方法。
【化2】

(式中、R,R及びbは上記定義と同じである。)
【請求項8】
前記粒子Pが、2.3以下、より好ましくは2.1以下、特に好ましくは1.95〜2.05の表面フラクタル次元を有するヒュームドシリカである請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
(A)粒子を製造する工程と、
(B)前記粒子をシリル化する工程であって、
(1)前記粒子を一般式(III)で表される化合物で被覆する工程、
(2)前記粒子を一般式(III)で表される化合物と反応させる工程、及び
(3)過剰な一般式(III)で表される化合物を除去するために前記粒子を精製する工程を含む工程と
を含む請求項1から5に記載の粒子の製造方法。
【請求項10】
前記一般式(III)で表される化合物が、下記一般式で表される単位からなるオルガノシロキサンとの混合物として使用され、前記オルガノシロキサン中のこれらの単位数は少なくとも2である請求項6から9のいずれかに記載の方法。
(RSiO1/2)及び/又は、
(RSiO2/2)及び/又は、
(RSiO3/2)。
(式中、Rは、それぞれ同一又は異なり、飽和、単不飽和、若しくは多価不飽和である、炭素数1〜18の一価の非ハロゲン化若しくはハロゲン化炭化水素基、又はハロゲン基、窒素基、OR,OCOR,若しくはO(CHORであり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)
【請求項11】
シリル化金属酸化物を酸化させない大気下で行われる請求項6から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から5に記載の粒子を含むことを特徴とする補強充填剤又はレオロジー助剤。
【請求項13】
請求項1から5に記載の粒子を含むことを特徴とするトナー、現像剤、又は帯電制御剤。

【公表番号】特表2008−530258(P2008−530258A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553508(P2007−553508)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000691
【国際公開番号】WO2006/081979
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】