説明

ヒドロキシベンゾフェノン誘導体

【課題】ヒドロキシベンゾフェノン誘導体の提供。
【解決手段】
式(1)
【化1】


[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;炭素原子数1ないし20のアルキル基;炭素原子数2ないし20のアルケニル基;炭素原子数3ないし20のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし10のシクロアルケニル基を表わすか;又は、
1及びR2は、結合している窒素原子と一緒になって、5−又は6−員の複素環を形成し;
3、R4及びR5は、互いに独立して、炭素原子数1ないし4のアルキル基;炭素原子数1ないし4のアルコキシ基;又は、式(1a)
【化2】


(式中、R6は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表わす。)で表される基を表わし;
Aは、1つ以上の*−O−*又は*−O−(CO)−*基によって所望により中断された直鎖の又は枝分かれした炭素原子数3ないし6のアルキレン基を表わし;及び、
mは、0又は1ないし5の数を表わす。]で表されるヒドロキシフェニルベンゾフェノン誘導体を開示する。
該化合物は、化粧品オイルに対して顕著な溶解性を有する化粧品用紫外線フィルターとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシベンゾフェノン紫外線吸収剤、これらの化合物の製造、紫外線の有害な影響からヒト及び動物の肌及び毛を保護するためのこれらの化合物の使用及び化粧品製剤及び医薬品製剤におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、溶解性が乏しいベンゾフェノン誘導体等の特定の有機紫外線フィルターは、顕著な紫外線フィルター特性を有することが知られている。しかしながら、有効成分がシクロメチコン及びシリコンオイル中に溶解しているスプレー等の特定の化粧品製剤に適している溶媒、例えば、シクロメチコン(シクロペンタシロキサン)のような溶媒中では有機紫外線フィルターの溶解性は、しばしば不十分である。
【0003】
化粧品製剤に容易に配合され得る、言い換えれば、良好な油溶性を有する有機光保護フィルターに強い関心があつまっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、本発明の課題は、化粧品製剤のために適当な溶媒中に良好な溶解性を有する有機紫外線フィルター又は紫外線フィルターの混合物を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、今や、選択されたシリル化ベンゾフェノン誘導体を含む紫外線吸収組成物がこのような特性を有することが発見された。
【0006】
それ故、本発明は、式(1)
【化1】

[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;炭素原子数1ないし20のアルキル基;炭素原子数2ないし20のアルケニル基;炭素原子数3ないし20のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし10のシクロアルケニル基を表わすか;又は、
1及びR2は、結合している窒素原子と一緒になって、5−又は6−員の複素環を形成し;
3、R4及びR5は、互いに独立して、炭素原子数1ないし4のアルキル基;炭素原子数1ないし4のアルコキシ基;又は、式(1a)
【化2】

(式中、R6は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表わす。)で表される基を表わし

Aは、1つ以上の*−O−*又は*−O−(CO)−*基によって所望により中断された直鎖の又は枝分かれした炭素原子数3ないし6のアルキレン基を表わし;及び、
mは、0又は1ないし5の数を表わす。]で表されるヒドロキシフェニルベンゾフェノン誘導体に関する。
【0007】
炭素原子数1ないし20のアルキル基は、直鎖の又は枝分かれした、未置換の又は置換されたアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、エイコシル基、メトキシエチル基、エトキシプロピル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、クロロプロピル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、シアノエチル基、フェネチル基、ベンジル基、p−第三ブチルフェネチル基、p−第三オクチルフェノキシエチル基、3−(2,4−ジ−第三アミルフェノキシ)−プロピル基、エトキシカルボニルメチル−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)エチル基又は2−フリルエチル基等を示す。
【0008】
炭素原子数2ないし20のアルケニル基は、例えば、アリル基、メタリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエニル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基又はn−オクタデセ−4−エニル基である。
【0009】
炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基、好ましくはシクロヘキシル基である。これらの基は、例えば、1つ以上の同じ又は異なる炭素原子数1ないし4のアルキル基によって、好ましくはメチル基によって、及び/又はヒドロキシ基によって置換され得る。シクロアルキル基が1つ以上の基によって置換される場合、それらは、好ましくは、1つ、2つ又は4つの、好ましくは1つ又は2つの、同じ又は異なる基によって置換される。
【0010】
炭素原子数3ないし10のシクロアルケニル基は、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基又はシクロデセニル基、好ましくはシクロヘキセニル基である。これらの基は、1つ以上の同じ又は異なる炭素原子数1ないし4のアルキル基によって、好ましくはメチル基によって、及び/又はヒドロキシ基によって置換され得る。シクロアルケニル基が1つ以上の基によって置換される場合、それらは、好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つの、好ましくは1つ又は2つの、同じ又は異なる基によって置換される。
【0011】
ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし5のアルキル基は、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基又はヒドロキシペンチル基である。
【0012】
炭素原子数1ないし6のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基又はヘキシレン基である。
【0013】
アルキレン基は、所望により、1つ以上の炭素原子数1ないし5のアルキル基によって置換され得る。
【0014】
1及びR2が複素環基を表わす場合、これらは、1つ、2つ、3つ又は4つの同じ又は異なる環へテロ原子を含む。特に好ましいのは、1つ、2つ又は3つの、特に1つ又は2
つの同じ又は異なるヘテロ原子を含む複素環と考えられる。複素環は、単環式のもの又は多環式のもの、例えば単環式、2環式又は3環式のものであり得る。それらは、好ましくは、単環又は2環式のもの、特に単環式のものである。環は、好ましくは、5、6又は7環員を含む。式(1)で表わされる化合物において発生する基が由来され得るところの単環式及び2環式の複素環系の例は、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、ピラゾール基、1,2,3−トリアゾール基、1,2,4−トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピラン基、チオピラン基、1,4−ジオキサン基、1,2−オキサジン基、1,3−オキサジン基、1,4−オキサジン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ピロリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、モルホリン基及びチオモルホリン基である。
【0015】
式(1)で表わされる化合物において、R1及びR2は、好ましくは、炭素原子数1ないし20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、最も好ましくは、式(1)のR1及びR2は、同じ定義を有する。
【0016】
式(1)で表わされる化合物において、Aは、好ましくは炭素原子数3ないし6のアルキレン基;又は、(炭素原子数1ないし5のアルキレン)−O−(CO)−(炭素原子数1ないし5)アルキレン基を表わす。
【0017】
式(1)において、mは、好ましくは0を表わす。
【0018】
式(1)のR3及びR4は、好ましくは、式(1a)
【化3】

(式中、R6は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表わす。)で表わされる基を表わす。
【0019】
最も好ましいのは、
1及びR2が、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;
3及びR4が、式(1a)
【化4】

で表わされる基を表わし;
6が、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;
Aが、炭素原子数3のアルキレン基を表わし;及び、
mが0を表わすところの式(1)で表わされる化合物である。
【0020】
式(1)で表わされる化合物は、本質的に既知の方法によって製造され得る。
【0021】
通常、それらは、式(1b)
【化5】

で表わされるシロキサノール化合物と式(1c)
【化6】

で表わされるベンゾフェノンカルボン酸又はベンゾフェノンカルボン酸無水物を、以下の反応スキーム
【化7】

に従って反応させることによって製造される(ここで、R1及びR2、R3、R4及びR5、A及びmは式(1)の中で定義づけられている。)。
【0022】
他の製造手段は、既知の触媒(Pt、Cu)及び対応するヒドロシロキサンを使用して、ベンゾフェノンカルボン酸の不飽和エステル、例えばアリルエステルをヒドロシリル化することを含む。
【0023】
反応は、通常、25ないし200℃の温度において行われる。一般に、溶媒は、この反応において必要ではない。しかしながら、溶媒が使用される場合、好ましくは、実施例において使用した溶媒が選ばれる。
【0024】
反応時間は、通常、0.5ないし20時間である。
【0025】
式(1c)
【化8】

で表わされる出発化合物は、従来技術、例えば国際公開第2004/052837号パンフレットから既知である。
【0026】
それらは、本質的に既知の方法により、式(1d)
【化9】

(式中、R1及びR2は、式(1)で定義した通りである。)で表わされる化合物を式(1c)で表わされる化合物へ脱水することによって製造される。
【0027】
本発明に従った式(1)で表わされる化合物は、特に、紫外線フィルターとして、即ち、紫外線の有害な影響により紫外線から傷つけられやすい有機物質、特にヒト及び動物の肌及び毛を保護するために適している。それ故、これらの化合物は、化粧品における日焼け止め、医薬品及び動物用医薬品として適している。これらの化合物は、好ましくは、溶在した形で使用される。
【0028】
本発明に従った化粧品又は医薬品組成物は、更に、1種以上の更なる慣用の紫外線フィルターを含み得る。
【0029】
化粧品又は医薬品は、例えばクリーム、ジェル、ローション、アルコール及び水/アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/脂肪組成物、スティック製剤、粉末又は軟膏であり得る。上記で言及した紫外線フィルターに加えて、化粧品又は医薬品は、下記の更なる補助剤も含み得る。
【0030】
水−及び油−含有エマルジョン(例えば、W/O、O/W、O/W/O及びW/O/Wエマルジョン又はマイクロエマルジョン)として、製品は、例えば、組成物の総質量に基づき0.1ないし30質量%、好ましくは0.1ないし15質量%、特に0.5ないし10質量%の1種以上の紫外線吸収剤、組成物の総質量に基づき1ないし60質量%、特に5ないし50質量%、好ましくは10ないし35質量%の少なくとも1種の油成分、組成物の総質量に基づき0ないし30質量%、特に1ないし30質量%、好ましくは4ないし20質量%の少なくとも1種の乳化剤、組成物の総質量に基づき、10ないし90質量%、特に30ないし90質量%の水、及び0ないし88.9質量%、特に1ないし50質量%の更なる化粧品に受容され得る補助剤を含む。
【0031】
本発明に従った化粧品又は医薬品組成物/製品はまた、1種以上の更なる化合物、例えば脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、グリセリルエステルを含む天然又は合成トリグリセリド及び誘導体、真珠光沢のあるワックス、炭化水素油、シリコーン又はシロキサン、有機置換された過脂肪剤、界面活性剤、稠度調節剤/増粘剤及びレオロジー改善剤、ポリマー、生体有効成分、脱臭有効成分、ふけ防止剤、抗酸化剤、ヒドロトロープ剤、防腐剤及び抗菌剤、香油、着色剤、SPF増加剤としてのポリマー状ビーズ又は中空球を含み得る。
【0032】
化粧品又は医薬品
化粧品製剤又は医薬品製剤は、多種多様な化粧品の有効成分である。以下の製品が特に興味深いものである:
−スキンケア製品、例えば、タブレット状又は液体セッケン、合成洗剤又は洗浄用ペーストの形態にある肌用洗浄及び清浄製品;又は肌用エマルジョン、多様性エマルジョン又は肌用オイル;
−浴用製品、例えば液体(フォームバス、ミルク、シャワー製品)又は固体の浴用製品、例えばバスキューブ及びバスソルト;
−化粧品用パーソナルケア製品、例えば、日昼用クリーム又はパウダークリーム状の顔面用メイクアップ、フェイスパウダー(ルーズ又は圧縮された)、ルージュ又はメイクアップ用のクリーム、アイケア製品、例えばアイシャドウ製品、マスカラ、アイライナー、アイクリーム又はアイフィックスクリーム;リップケア製品、例えばリップスティック、リップグロス、リップ輪郭用ペンシル、ネイルケア製品、例えば、マニキュア、マニキュア除去剤、ネイルハードナー又は表皮除去剤;
−フットケア製品;フットバス、フットパウダー、フットクリーム又はフットバルサム、特別の脱臭剤及び制汗剤又はカルス除去製品;
−光保護製品、例えば、サンミルク、ローション、クリーム又はオイル、サンブロック又はトロピカル、プレタンニング製品又は日焼け後用製品;
−スキンタンニング製品、例えばセルフタンニングクリーム;
−脱色製品、例えば肌を漂白するための製品又は肌色を明るくする製品;
−防虫剤、例えば、昆虫忌避オイル、ローション、スプレー又はスティック;
−脱臭剤、例えば、脱臭スプレー、ポンプ作動のスプレー、脱臭ジェル、スティック又はロールオン;
−制汗剤、例えば制汗スティック、クリーム又はロールオン;
−汚れた肌を洗浄し及びケアするための製品、例えば合成洗浄剤(固体又は液体)、ピーリング又はスクラブ製品又はピーリングマスク;
−化学薬品形態にある脱毛製品(脱毛)、例えば、脱毛パウダー、液体脱毛製品、クリーム−又はペースト−の脱毛製品、ジェル又はエアゾール発泡状にある脱毛剤;
−シェービング製品、例えば、シェービングソープ、発泡シェービングクリーム、無発泡シェービングクリーム、フォーム及びジェル、ドライシェービングのためのプレシェーブ製品、アフターシェーブ又はアフターシェーブローション;
−香料製品、例えば、香料(オーデコロン、オードトワレ、オードパヒューム、パルファンドトワレ、香水)、香油又はパヒュームクリーム;
−化粧品ヘアトリートメント製品、例えば、シャンプー及びコンディショナー状のヘア洗浄用製品、ヘアケア製品、例えばプレトリートメント製品、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、強力ヘアトリートメント、ヘアストラクチュアリング製品、例えばパーマネントウェーブ(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)のためのヘアウェーブ製品、ヘアストレートニング製品、液体ヘアセット用製品、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ブリーチング製品、例えば過酸化水素水、ライトニングシャンプー、ブリーチングクリーム、ブリーチングパウダー、ブリーチングペースト又はオイル、一時的、半永久的又は永久的染毛剤、自己酸化型染料を含む製品、又はヘナ又はカモミールのような天然染毛剤。
【0033】
製品形態
列挙した最終製剤は、様々な製品形態、例えば:
−W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョン及び全種のマイクロエマルジョンとして液体製品の形態で、
−ジェルの形態で、
−オイル、クリーム、ミルク又はローションの形態で、
−粉末、ラッカー、タブレット又はメイクアップの形態で、
−スティックの形態で、
−スプレー(発泡ガスでのスプレー又はポンプ作動のスプレー)又はエアゾールの形態で、
−フォームの形態で、又は
−ペーストの形態で、
存在し得る。
【0034】
肌用化粧品として特に重要なのは、サンミルク、ローション、クリーム、オイル、サン
ブロック又はトロピカル、プレタンニング製品又は日焼け製品、またスキンタンニング製品、例えばセルフタンニングクリームのような光保護製品である。特に興味あるのは、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼け止めミルク及びスプレー状の日焼け止め製品である。
【0035】
毛髪用化粧品として特に重要なのは、ヘアトリートメントのための上述の製品であり、特に、シャンプー状のヘア洗浄製品、ヘアコンディショナー、ヘアケア製品、例えばプレトリートメント製品、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、強力ヘアトリートメント製品、ヘアストレートニング製品、液体ヘアセット用製品、ヘアフォーム及びヘアスプレーである。特に興味あるのは、シャンプー状のヘア洗浄製品である。
【0036】
シャンプーは、例えば、以下の組成を有する:本発明に従った紫外線吸収剤 0.01ないし5質量%、ナトリウムラウレス−2−スルフェート 12.0質量%、コカミドプロピルベタイン 4.0質量%、塩化ナトリウム 3.0質量%、及び加えることによって総量が100%となる分量の水。
【0037】
このような製剤における他の典型的な成分は、防腐剤、殺菌剤及び静菌剤、香水、染料、顔料、増粘剤、湿潤剤、保湿剤、脂肪、オイル、ワックス又は化粧品用製剤及びパーソナルケア製剤の他の典型的な成分、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリマー、電解質、有機溶媒、シリコン誘導体、エモリエント剤、乳化剤又は乳化界面活性剤、界面活性剤、分散剤、抗酸化剤、抗刺激剤及び抗炎症剤等である。
【0038】
本発明に従った化粧品は、日光の損傷効果に対するヒトの肌の良好な保護で区別される。
【実施例】
【0039】
実施例
A.製造例
実施例A1:式(101)で表わされる化合物の製造
【化10】

3−(トリメチルシリル)−1−プロパノール 6.8g、4−ジメチルアミノピリジン 0.1g及び式(101a)
【化11】

に相当するジエチルアミノ−ジベンゾ−オキセピン−6,11−ジオン 14.8gをトルエン 70mL中に溶解し、油浴中で75ないし85℃において7時間攪拌した。
蒸発させた後、反応塊をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 60/トルエン:酢
酸エチルエステル)で処理した。
純粋な生成物(山吹色のオイル) 8gを得た。
元素分析:C=67.2%、H=7.9%、N=3.2%(理論値:C=67.4%、H=7.8%、N=3.3%)。
λmax=350nm;E 1/1=822.
得られた化合物は、シクロメチコンに可溶性であった(シクロメチコンに対する溶解度は、RTにおいて1.8%であった。)。
【0040】
実施例A2:式(102)で表わされる化合物の製造
【化12】

1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−トリメチルシロキサンを用いたアリルアルコールのヒドロシリル化にによって製造された1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−トリメチル−シリル−プロパノール 4.0g、ジエチルアミノ−ジベンゾ−オキセピン−6,11−ジオン 14.8g及び4−ジメチルアミノピリジン 0.1gを実施例1に記載したように、トルエン中で反応させ、処理した。
約8gの黄色粘性オイル状の純粋な最終生成物(カラムクロマトグラフィーによって決定)を得た。
元素分析:理論値に従ったC、H、N。
max=350nm;E 1/1=571。
RTにおけるシクロメチコンに対する溶解性は20%より大きい。
【0041】
実施例A3:式(103)で表わされる化合物の製造
【化13】


【化14】

で表わされる化合物 26g及び式(101a)で表わされる化合物 58.8gを酢酸プロピル 200mLと一緒に混合した。
4−(ジメチルアミノ)−ピリジン 0.4g及びハイドロキノンモノメチルエーテル
1gを添加し、3時間以内で95℃まで加熱した。
混合物を、回転エバポレーターを用いて約100mLの体積まで濃縮し、メタノール 600mLを添加した。
式(103a)
【化15】

で表わされる化合物の無色の結晶が、一晩で形成された。
式(103a)で表わされる化合物 12.8gを1−ブタノール 50mL中に添加し、約80℃まで加熱した(不活性ガス下)。
式(103b)
【化16】

で表わされる化合物 9.0g及び5滴のカーステッド触媒(アルドリッチ社製)を1−ブタノール 10mL中に溶解し、30分以内に滴下添加した。
溶液を80℃で8時間攪拌した。
濃縮後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、式(103)で表わされる化合物を得た。
λmax=357nm;E 1/1=606。
【0042】
B.適用例
実施例B1−B6
6つの水シリコン型製剤を調製した。全ての製剤は高い効能及び顕著な滑らかな肌の感触を示した。
実施例B1ないしB3は、式(102)で表わされる化合物がシリコン可溶性紫外線Aフィルターとして使用された水シリコン製剤である。
実施例B4ないしB6は、式(103)で表わされる化合物がシリコン可溶性紫外線Aフィルターとして使用された水シリコン製剤である。
表B1に示すように、高いSPF値及び高い紫外線A保護が得られた。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;炭素原子数1ないし20のアルキル基;炭素原子数2ないし20のアルケニル基;炭素原子数3ないし20のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし10のシクロアルケニル基を表わすか;又は、
1及びR2は、結合している窒素原子と一緒になって、5−又は6−員の複素環を形成し;
3、R4及びR5は、互いに独立して、炭素原子数1ないし4のアルキル基;炭素原子数1ないし4のアルコキシ基;又は、式(1a)
【化2】

(式中、R6は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表わす。)で表される基を表わし;
Aは、1つ以上の*−O−*又は*−O−(CO)−*基によって所望により中断された直鎖の又は枝分かれした炭素原子数3ないし6のアルキレン基を表わし;及び、
mは、0又は1ないし5の数を表わす。]で表される化合物。
【請求項2】
1及びR2が、炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わすところの請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1及びR2が、互いに独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすところの請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式(1)のR1及びR2が同じ定義を有するところの請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Aが炭素原子数3ないし6のアルキレン基;又は(炭素原子数1ないし5のアルキレン)−O−(CO)−(炭素原子数1ないし5)アルキレン基を表わすところの請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
mが0を表わすところの請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
3及びR4が、式(1a)
【化3】

(式中、R6は、炭素原子数1ないし6のアルキル基を表わす。)で表わされる基を表わすところの請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
1及びR2が、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;
3及びR4が、式(1a)
【化4】

で表わされる基を表わし;
6が、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;
Aが、炭素原子数3のアルキレン基を表わし;及び、
mが0を表わすところの請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
式(1)
【化5】

で表わされるヒドロキシフェニルベンゾフェノン誘導体の製造方法であって、
式(1b)
【化6】

で表わされるシロキサノール化合物と式(1c)
【化7】

で表わされるベンゾフェノンカルボン酸又はベンゾフェノンカルボン酸無水物を、以下の反応スキーム
【化8】

に従って反応させることを含む(ここで、R1及びR2、R3、R4及びR5、A及びmは請求項1で定義した通りである。)ところの方法。
【請求項10】
紫外線からのヒト及び動物の毛及び肌の保護における、式(1)で表わされる化合物の使用。
【請求項11】
化粧品に受容され得るキャリヤー又は助剤と共に、請求項1に記載の式(1)で表わされる化合物を少なくとも1種以上含む化粧品。


【公表番号】特表2009−526015(P2009−526015A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553748(P2008−553748)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051117
【国際公開番号】WO2007/090832
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】