説明

ヒューズユニット保護カバー

【課題】第2カバーを開扉する際のヒンジ部の破損を抑制して第2カバーの離散を防止し、第2カバーの開扉状態を保持することが可能なヒューズユニット保護カバーを提供する。
【解決手段】ヒューズユニット保護カバー1は、第1ヒンジ部7を介して第1カバー2と第2カバー3とが連結されてヒューズユニットの上部を覆うと共に、第1ヒンジ部7を中心として第1カバー2および第2カバー3が相対回動して第2カバー3の開扉作動が可能となっている。第1カバー2に第2ヒンジ部9を介して連結され、第2ヒンジ部9を中心として回動することにより第1カバー2および第2カバー3の双方の外面に当接する当接プレート4と、当接プレート4および他方のカバーに設けられ、当接プレート4の第1カバー2および第2カバー3の外面への当接によって相互に係合し、この係合状態で第2カバー3の開扉状態を保持する係合部材5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のバッテリーポストに接続されるヒューズユニットを覆うことによりヒューズ等を保護するヒューズユニット保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズユニットは、バッテリーの電力を各種の電装品に供給するため、バッテリーのバッテリーポストに接続される。ヒューズユニットにおいては、端子接続部やヒューズが露出しており、これらに対する絶縁、防水や防塵を行う必要がある。このため、ヒューズユニットの上部を覆うヒューズユニット保護カバーが用いられる。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された従来のヒューズユニット保護カバー100を示す。ヒューズユニット保護カバー100は、第1カバー110と、第2カバー120とがヒンジ部130を介して連結された構造となっており、ヒューズユニットの上部を覆うようにしてヒューズユニットに取り付けられる。
【0004】
第1カバー110は、上壁部111から両側の側壁部112が垂下した下面開放の箱形状に形成され、第2カバー120も上壁部121から両側の側壁部122および後側壁部(図示省略)が垂下した下面開放の箱形状に形成されている。第1カバー110の両側の側壁部112の外面には、ロック凸部115が形成されており、ロック凸部115を図示しないヒューズユニットの凹部に係合させることにより、第1カバー110がヒューズユニットに固定される。
【0005】
第2カバー120は、ヒンジ部130を中心にして第1カバー110に対して回動可能となっており、この回動によって第2カバー120が開扉作動する。第2カバー120の開扉は、第2カバー120を矢印Xで示す上方に持ち上げることにより行われる。第2カバー120を開扉することによって、ヒューズユニットの端子接続部やヒューズが露出するため、ヒューズユニットの状況確認やメンテナンスを行うことができる。
【0006】
図8に示すヒューズユニット保護カバー100においては、第1カバー110および第2カバー120を連結するヒンジ部130は薄肉となっており、第1カバー110の上壁部111および第2カバー120の上壁部121よりも低い位置に設けられる。これに加えて、ヒンジ部130には、薄肉の連設部140が一体に連設した構造となっている。この構造とすることにより、第2カバー120を回動させる際に、ヒューズユニットが装着されたバッテリーの壁部に第2カバーが干渉することがなく、第2カバー120の開扉作動を円滑に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−289171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のヒューズユニット保護カバー100においては、第2カバー120の開扉作動時に、ヒンジ部130に矢印Yで示すねじり方向の負荷がかかるため、このねじりによる負荷が作用してヒンジ部130が破損し易いものとなっている。そして、ヒンジ部130が破損することにより、第2カバー120が第1カバー110から離散する問題がある。
【0009】
また、従来のヒューズユニット保護カバー100においては、第2カバー120を開扉しても、開扉状態を維持することができない。このため、開扉した第2カバー120を手で保持する必要があり、メンテナンス等の作業がしづらい問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、開扉する際のヒンジ部の破損を抑制して第2カバーの離散を防止し、しかも第2カバーの開扉状態を保持することができ、メンテナンス等を容易に行うことが可能なヒューズユニット保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、第1ヒンジ部を介して第1カバーと第2カバーとが連結されてヒューズユニットの上部を覆うと共に、前記第1ヒンジ部を中心として前記第1カバーおよび前記第2カバーが相対回動して前記第2カバーの開扉作動が可能となっているヒューズユニット保護カバーであって、前記第1カバーと前記第2カバーとのうちの一方のカバーに第2ヒンジ部を介して連結され、前記第2ヒンジ部を中心として回動することにより前記第1カバーおよび前記第2カバーの双方の外面に当接する当接プレートと、前記当接プレートおよび、前記第1カバーと前記第2カバーとのうちの他方のカバーに設けられ、前記当接プレートの前記第1カバーおよび前記第2カバーの外面への当接によって相互に係合し、この係合状態で前記第2カバーの開扉状態を保持する係合部材とを備えているヒューズユニット保護カバーである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のヒューズユニット保護カバーであって、前記第1ヒンジ部は、前記第1カバーおよび前記第2カバーの上壁部に設けられ、前記当接プレートおよび前記係合部材は、前記第1カバーおよび前記第2カバーの両側の側壁部に設けられているヒューズユニット保護カバーである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のヒューズユニット保護カバーであって、前記係合部材は、前記当接プレートまたは前記他方のカバーに設けられ、前記第1ヒンジ部を中心とした円弧状のスリットと、このスリットに対応するように前記他方のカバーまたは前記当接プレートに設けられ、前記スリットに摺動可能に挿入されるボスとによって形成されているヒューズユニット保護カバーである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のヒューズユニット保護カバーであって、前記スリットにおける前記第2カバーの開扉作動の終点に対応した位置に、前記ボスを係止して最大開扉状態を維持する係止凸部が形成されているヒューズユニット保護カバーである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、第1カバーまたは第2カバーのいずれか一方のカバーの第2ヒンジ部を介して連結された当接プレートが回動することにより、第1カバーおよび第2カバーの双方の外面に当接した状態となる。このように当接プレートが第1カバーおよび第2カバーの双方の外面に当接することにより、第1カバーおよび第2カバーが当接プレートによって支持されるため、これらのカバーの間のねじりが抑制され、第1カバーおよび第2カバーを連結する第1ヒンジ部へのねじりが抑制される。従って、第1ヒンジ部を中心にして第2カバーを回動させて開扉作動しても、ねじりによる第1ヒンジ部への負荷が抑制されるため、第1ヒンジ部が損傷することがなくなる。これにより、第1ヒンジ部を介して第1カバーに連結されている第2カバーが第1カバーから離散することがなくなる。
【0016】
また、請求項1記載の発明によれば、当接プレートと第1カバーまたは第2カバーにおける他方のカバーとに設けられた係合部材は、当接プレートの第1カバーおよび第2カバーの外面への当接によって相互に係合し、この係合状態で第2カバーの開扉状態を保持する。このため、開扉した第2カバーを手で保持する必要がなくなる。これにより、メンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、当接プレートが第1カバーおよび第2カバーの両側の側壁部に設けられるため、第1カバーおよび第2カバーの両側の外面に対して当接する。すなわち、当接プレートは、第1カバーおよび第2カバーを挟んだ状態でこれらのカバーに当接する。このため、第1カバーおよび第2カバーの間のねじりをさらに確実に抑制することができ、ねじりによる第1ヒンジ部の損傷を防止でき、第2カバーの離散がなくなる。また、請求項2記載の発明によれば、係合部材が第1カバーおよび第2カバーの両側の側壁部に設けられるため、第1カバーおよび第2カバーの両側から係合状態となる。このため、第2カバーの開扉状態をさらに確実に保持することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1および2記載の発明の効果に加えて、係合部材が第1ヒンジ部を中心とした円弧状のスリットと、このスリットに摺動可能に挿入されるボスとによって形成されるため、第1ヒンジ部を中心とした第2カバーの回動を円滑に行うことができる。また、ボスがスリットに挿入されることにより、ボスとスリットの間に摩擦力が発生するため、この摩擦力によって第2カバーの開扉状態を保持することができる。このように係合部材をスリットとボスとによって形成することにより、構造が簡単な係合部材とすることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、スリットにおける第1カバーの開扉状態の終点に対応した位置に係止凸部を形成し、この係止凸部がボスに係止する。このことにより、ボスの摺動が定位置で固定される。このため、第2カバーの最大開扉状態が安定して維持される。また、当接プレートおよび第2カバーに形成したロック突起が、当接プレートの当接によって相手側に係合するため、当接プレートの当接状態を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のヒューズユニット保護カバー1の平面図である。
【図2】(a)は、ヒューズユニット保護カバー1の斜視図、(b)は、(a)におけるB部の拡大斜視図である。
【図3】図1におけるA部の拡大平面図である。
【図4】当接プレート4を当接させた状態の斜視図である。
【図5】(a)は、当接プレート4を当接させた状態の側面図、(b)は、その平面図、(c)は、(b)におけるC部の拡大平面図である。
【図6】(a)は、第2カバー3を開扉する前の斜視図、(b)は、第2カバー3を開扉した状態の斜視図である。
【図7】(a)は、第2カバー3を開扉した状態を示す側面図、(b)は、(a)におけるB部の拡大側面図である。
【図8】従来のヒューズユニット保護カバー100を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を図示する実施形態により、具体的に説明する。図1〜図7は、本発明の一実施形態のヒューズユニット保護カバー1を示し、図1は平面図、図2は当接プレートを当接させる前の斜視図および部分拡大斜視図、図3は図1におけるA部の拡大平面図、図4は当接プレートを当接させた状態の斜視図、図5は当接プレートを当接させた状態の側面図、平面図および部分拡大平面図、図6は第2カバーを開扉する前の斜視図および開扉した状態の斜視図、図7は第2カバーを開扉した状態の側面図および部分拡大斜視図である。
【0022】
この実施形態のヒューズユニット保護カバー1(以下、保護カバー1)は、第1カバー2と、第2カバー3と、当接プレート(当接カバー)4と、係合部材5とを備えており、全体が耐熱性樹脂によって形成されている。
【0023】
第1カバー2と第2カバー3とは、第1ヒンジ部7を介して連結されており、第1カバー2および第2カバー3が第1ヒンジ部7を中心に相対回動可能となっている。従って、第1カバー2を図示しないヒューズユニットに固定した状態で、第2カバー3を第1ヒンジ部7を中心に上方に回動させることにより第2カバー3の開扉作動を行うことができる。
【0024】
図1、図2、図4および図5は、第1カバー2に対して第2カバー3を開扉する前の状態を示し、この状態では第1カバー2および第2カバー3がヒューズユニットの上部を覆った状態となる。
【0025】
第1カバー2は、上壁部21と、上壁部21の左右から垂下した両側の側壁部22とによって下面開放の箱形状に形成されている。第2カバー3は、上壁部31と、上壁部31の左右から垂下した両側の側壁部32と、上壁部31の後側から垂下した後側壁部33とによって下面開放の箱形状に形成されている。第1カバー2および第2カバー3の内部は連通状態となっており、保護カバー1は、この連通状態でヒューズユニットの上部を覆うようになっている。ヒューズユニットへの保護カバー1の装着に際しては、第1カバー2がヒューズユニットに固定される。一方、第2カバー3は、第1ヒンジ部7を中心として第1カバー2に対して回動可能となっている。
【0026】
第1ヒンジ部7は、第1カバー2の上壁部21および第2カバー3の上壁部31との間に設けられて、これらのカバー2、3を連結している。第1ヒンジ部7は、第1カバー2および第2カバー3よりも薄肉となっており、これにより第1カバー2に対して第2カバー3を回動可能に連結している。第1ヒンジ部7は、第1カバー2および第2カバー3の上壁部21、31に設けられており、これらのカバー2、3の両側の側壁部22、32には、第1ヒンジ部7が設けられることがなく、側壁部22と側壁部32との間には第1ヒンジ部7の幅に相応した隙間8が形成されている(図2参照)。
【0027】
図1および図2に示すように、当接プレート4は、第2ヒンジ部9を介して第2カバー3に連結されている。本実施形態において、当接プレート4は、第2カバー3の両側の側壁部32のそれぞれに対して設けられるものであり、第2ヒンジ部9は第2カバー3の左右両側の側壁部32に一体形成されている。第2ヒンジ部9は、第2カバー3における両側の側壁部32の下部に肉薄となって外側に延びており(側壁部32の下部の縁に沿って延びており)、その延部(側壁部32下部の縁の一部)のそれぞれに当接プレート4が連設されている。当接プレート4が第2ヒンジ部9を介して第2カバー3に連結されることにより、当接プレート4は第2ヒンジ部9を中心として回動可能となっている。
【0028】
当接プレート4は、第2カバー3から第1カバー2の方向に延びた寸法となっており、第2ヒンジ部9を中心として回動することにより、第2カバー3の両側の側壁部32および第1カバー2の両側の側壁部22の外面に当接するようになっている。すなわち、当接プレート4は、第1ヒンジ部7の配置に起因した上述の隙間8を跨いだ状態で第2カバー3および第1カバー2の両側の側壁部22,32に当接するものである。
【0029】
このような当接プレート4の当接により、第1カバー2および第2カバー3が当接プレート4によって支持されるため、これらのカバー2、3の間のねじりが抑制される。本実施形態においては、当接プレート4が第2カバー3の両側の側壁部32に対して設けられることにより、当接プレート4が第1カバー2および第2カバー3を両側から挟んだ状態で当接する。このように両側から挟んだ状態で当接する構造では、第1カバー2および第2カバー3の間のねじりをさらに確実に抑制することができる。
【0030】
係合部材5は、それぞれの当接プレート4に形成されたスリット11、12と、スリット11、12に対応するように第1カバー2の両側の側壁部22に形成されたボス13、14とによって構成されている。
【0031】
スリット11、12は、円弧状となるようにそれぞれの当接プレート4に形成されている。スリット11、12は、第2カバー3の回動に応じて、その長さが設定されており、スリット11が長く、スリット12が短くなっている。それぞれのスリット11、12は、第1ヒンジ部7を中心とした円弧状に形成されるものである。このようにスリット11,12が第1ヒンジ部7を中心とした円弧状に形成されることにより、第1ヒンジ部7を中心として回動する第2カバー3の開扉作動を円滑に行うことができる。
【0032】
ボス13、14は、第1カバー2の両側で側壁部22の外側へ側壁部22から突出しており、上側のボス13が短いスリット12に対応し、下側のボス14が長いスリット11に対応している。第2ヒンジ部9を中心として当接プレート4を第1カバー2側に回動させると、ボス13がスリット12に挿入され、ボス14がスリット11に挿入される。この挿入によりボス13、14とスリット11、12とが係合状態となる。第1カバー2側のボス13、14が当接プレート4側のスリット11、12に挿入された状態で第2カバー3が開扉作動されると、当接プレート4が第2カバー3と一体に移動するため、ボス13,14とスリット11、12とが相対的に摺動する。第2カバー3の開扉作動は、ボス13,14がスリット11,12の終点に達することにより停止する。本実施形態において、第2カバー3の開扉作動は、第2カバー3が第1カバー2に対して直立状態となったとき(図6(b)参照)、停止する。
【0033】
以上のボス13,14がスリット11,12に挿入されることにより、ボス13,14とスリット11,12との間に摩擦力が発生する。従って、この摩擦力により、第2カバー3の開扉状態を任意の角度で保持することができる。
【0034】
図3に示すように、それぞれのスリット11、12には、係止凸部37,38が形成されている。係止凸部37,38は、第2カバー3の開扉作動の終点に対応するようにそれぞれのスリット11,12に形成されるものであり、係止凸部37,38の形成部分では、スリット11,12の幅がボス13,14よりも狭くなっている。図7に示すように、係止凸部37,38は、第2カバー3の開扉作動が終点に達したとき、ボス13,14のそれぞれに係止する。この係止により、スリット11,12に対するボス13,14の摺動が終点位置で固定される。このため、第2カバー3の最大開扉状態を安定して維持することができる。
【0035】
以上に加えて、それぞれの当接プレート4および第2カバー3の両側の側壁部32には、ロック突起41,42が形成されている(図2および図5参照)。
【0036】
ロック突起41は、当接プレート4に形成されるものであり、当接プレート4におけるカバー2、3に臨む面に2個形成されている。ロック突起41は、第1カバー2の両側の側壁部22と第2カバー3の両側の側壁部32との間に形成された隙間8に対応するように形成されており、当接プレート4を第2ヒンジ部9で回動させることによりそれぞれのロック突起41は、隙間8内に侵入する。ロック突起41には、段状のロック部41aが頭部に形成されており、ロック突起41が隙間8に侵入することによりロック部41aが第2カバー3の両側の側壁部32に係合する。この係合により、当接プレート4の第1カバー2および第2カバー3への当接状態を保持することができる。
【0037】
ロック突起42は、第2カバー3の両側の側壁部32に形成されるものであり、それぞれの当接プレート4における直線状端部43に対応している。ロック突起42には、段状のロック部42aが頭部に形成されており、当接プレート4を回動させることによりロック部42aが当接プレート4の直線状端部43に係合する。この係合により、当接プレート4の第1カバー2および第2カバー3への当接状態を保持することができる。
【0038】
次に、本実施形態の動作を説明する。保護カバー1をヒューズユニットに装着する前においては、図1および図2に示すように、左右の当接プレート4が第2カバー3および第1カバー2から離れた展開状態となっている。
【0039】
第1カバー2をヒューズユニットに固定することにより、保護カバー1がヒューズユニットの上部を覆った状態となる。この状態で左右の当接プレート4を第2ヒンジ部9を中心として回動させる。この当接プレート4の回動により、左右の当接プレート4は第2カバー3の両側の側壁部32に当接すると共に第1カバー2の両側の側壁部22に当接する。当接プレート4の当接により、第1カバー2の両側の側壁部22に形成したボス13,14が当接プレート4の対応したスリット11,12に挿入される。また、それぞれの当接プレート4のロック突起41がカバー2、3の隙間8に侵入して第2カバー3の両側の側壁部32に係合すると共に、第2カバー3のロック突起42がそれぞれの当接プレート4の直線状端部43に係合する。これらの係合により、当接プレート4は、第1カバー2および第2カバー3を挟んだ状態でこれらの側壁部22、32の外面に当接した状態を保持することができる(図4および図5参照)。
【0040】
図6(a)は、第2カバー3を開扉する前の状態を示し、この状態で第2カバー3を上方に持ち上げることにより、第2カバー3は第1ヒンジ部7を中心に回動する。
【0041】
第2カバー3の回動に伴って、左右の当接プレート4は第2カバー3の回動と一体となって回動する。この回動により、ボス13,14がスリット11,12を摺動する。スリット11,12が第1ヒンジ部7を中心とした円弧状に形成されているため、第2カバー3は円滑に回動することができる。
【0042】
図6(b)および図7は、第2カバー3を開扉して開扉作動の終点に達した状態を示し、ボス13,14がそれぞれスリット11,12の係止凸部37,38に係止する。この係止により、第2カバー3は最大開扉状態を維持することができる。このため、第2カバー3を手で保持する必要がなく、ヒューズユニットへのメンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0043】
以上の実施形態によれば、当接プレート4が回動することにより、第1カバー2および第2カバー3の双方の外面に当接した状態となり、このように当接プレート4が第1カバー2および第2カバー3の双方の外面に当接することにより、第1カバー2および第2カバー3が当接プレート4によって支持される。このため、これらのカバー2,3の間のねじりが抑制され、第1カバー2および第2カバー3を連結する第1ヒンジ部7へのねじりが抑制される。このようにねじりによる第1ヒンジ部7への負荷が抑制されるため、第1ヒンジ部7が損傷することがなくなる。これにより、第1ヒンジ部7を介して第1カバー2に連結されている第2カバー3が第1カバー2から離散することがなくなる。
【0044】
特に、この実施形態では、左右の当接プレート4が第1カバー2および第2カバー3を挟んだ状態でこれらのカバー2、3に当接するため、第1カバー2および第2カバー3を強固に支持することができ、第1カバー2および第2カバー3の間のねじりをさらに確実に抑制することができる。従って、ねじりによる第1ヒンジ部7の損傷をさらに確実に防止でき、第2カバー3の離散をなくすことができる。
【0045】
また、この実施形態では、第1カバー2側のボス13,14が当接プレート4側のスリット11,12に挿入されてこれらの間に摩擦力が発生する。この摩擦力により、第2カバー3の開扉状態を保持することができる。
【0046】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく種々変形が可能である。当接プレート4は、第1カバー2および第2カバー3の両側の側壁部22、32に当接することなく、これらのカバー2、3の片側の側壁部22、32に当接する構造であってもよい。すなわち、当接プレート4を第1カバー2および第2カバー3の片側に1個設けて、これらのカバーの側壁部22、23に当接させてもよい。このような当接プレート4の片側での当接であっても、第1カバー2および第2カバー3のねじりを抑制できるため、ねじりによる第1ヒンジ部7への負荷を抑制でき、第2カバー3の離散を防止することができる。このような構造では、当接プレート4およびボス13,14、スリット11,12の数を少なくすることができるため、簡単な構造とすることができる。
【0047】
また、上記実施形態では、第2ヒンジ部9を第2カバー3に設けることにより当接プレート4を回動可能としているが、第2ヒンジ部9を第1カバー2に設けて当接プレート4を回動可能としてもよい。
【0048】
さらに、ボス13,14がスリット11,12に挿入された摩擦力により第2カバー3の開扉状態を保持できることから、第2カバー3の最大開扉状態を維持するための係止凸部37,38を省略してもよい。
【0049】
さらに、また、スリット11、12を当接プレート4に設けることなく、第1カバー2の側壁部22に設けると共に、ボス13,14を第1カバー2に設けることなく、当接プレート4に設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ヒューズユニット保護カバー
2 第1カバー
3 第2カバー
4 当接プレート
5 係合部材
7 第1ヒンジ部
9 第2ヒンジ部
11、12 スリット
13、14 ボス
21、31 上壁部
22、32 側壁部
37、38 係止凸部
41、42 ロック突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒンジ部を介して第1カバーと第2カバーとが連結されてヒューズユニットの上部を覆うと共に、前記第1ヒンジ部を中心として前記第1カバーおよび前記第2カバーが相対回動して前記第2カバーの開扉作動が可能となっているヒューズユニット保護カバーであって、
前記第1カバーと前記第2カバーとのうちの一方のカバーに第2ヒンジ部を介して連結され、前記第2ヒンジ部を中心として回動することにより前記第1カバーおよび前記第2カバーの双方の外面に当接する当接プレートと、
前記当接プレートおよび、前記第1カバーと前記第2カバーとのうちの他方のカバーに設けられ、前記当接プレートの前記第1カバーおよび前記第2カバーの外面への当接によって相互に係合し、この係合状態で前記第2カバーの開扉状態を保持する係合部材とを備えていることを特徴とするヒューズユニット保護カバー。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズユニット保護カバーであって、
前記第1ヒンジ部は、前記第1カバーおよび前記第2カバーの上壁部に設けられ、前記当接プレートおよび前記係合部材は、前記第1カバーおよび前記第2カバーの両側の側壁部に設けられていることを特徴とするヒューズユニット保護カバー。
【請求項3】
請求項1または2記載のヒューズユニット保護カバーであって、
前記係合部材は、前記当接プレートまたは前記他方のカバーに設けられ、前記第1ヒンジ部を中心とした円弧状のスリットと、このスリットに対応するように前記他方のカバーまたは前記当接プレートに設けられ、前記スリットに摺動可能に挿入されるボスとによって形成されていることを特徴とするヒューズユニット保護カバー。
【請求項4】
請求項3記載のヒューズユニット保護カバーであって、
前記スリットにおける前記第2カバーの開扉作動の終点に対応した位置に、前記ボスを係止して最大開扉状態を維持する係止凸部が形成されていることを特徴とするヒューズユニット保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−81913(P2011−81913A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230532(P2009−230532)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】