説明

ヒンジ装置及び画像表示装置

【課題】回動角度を規制するストッパの規制強度が高いヒンジ装置(50)を提供する。
【解決手段】回動体(50B)は、基体部(2b)と、軸(X)に直交し第1貫通孔(2c1)と切込部(2c2)とを有する側部(2c)と、軸に沿う延出部(2a6)を有して形成された長手側部(2a)とより成り、延出部が切込部に係合し先端側に側部より突出する突出部(2a6t)を有するフレーム(2)を備え、固定体(50A)は、基面部(1Aa)と、第1及び第2側面部(1Ab,1Ac)と、第2側面部から第1側面部に重ねて折り曲げられた重畳面部(1Ad)と、第1側面部と重畳面部とを貫通する開口部(1Ae)とを有するブラケット(1A)と、第1貫通孔及び開口部に挿通されフレームを回動自在としてブラケットに固定されたスタッド(7)と、を備え、突出部が所定角度で、重畳面部に当接して回動体の回動が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置及び画像表示装置に係り、特に、画像を表示する画像表示パネルを開閉するためのヒンジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子などの薄型の画像表示パネルを備えた画像表示装置が知られている。具体的には、ビデオカメラ,デジタルスチルカメラ,携帯電話,ノートパソコン,ポータブルDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどがある。
【0003】
このような画像表示装置は、装置本体と、画像表示パネルとを備えており、さらに、この画像表示パネルを本体に対して開閉自在に連結するヒンジ装置を有するものが多い。
通常、ヒンジ装置は、装置の不使用時には画像表示パネルを本体に密着させた閉状態に保持し、装置を使用する際に、本体に対して例えば90°前後に起こした開状態で保持できるよう構成されている。
【0004】
画像表示装置が、ポータブルDVDプレーヤやノートパソコンの場合には、ヒンジ装置は、この閉状態と開状態との間で開閉自在、すなわち、一軸回りに回動可能とされていればよいが、カメラや携帯電話などにおいては、開状態において、さらに、いわゆる首振りに相当する回動が可能なように構成されている。
すなわち、ヒンジ装置が、画像表示パネルを互いに直交する第1及び第2の軸回りにそれぞれ回動可能とするよう構成されており、その例が以下に示す特許文献などに開示されている。
【0005】
特許文献1には、その図2に示されるように、一対の略コ字状部材同士を、それぞれの腕部に設けた連結部で第1回転軸回りに回動自由に連結すると共に、一方のコ字状部材の中央部に、第1回転軸と直交する第2回転軸回りに回動可能な回転軸部材などを連結して備え、第1回転軸及び第2回転軸それぞれのまわりに回動可能とされたヒンジ装置が開示されている。
このヒンジ装置は、軸方向に延在する軸芯部材を用いることなく構成されている。
【0006】
特許文献2には、その図1に示されるように、ブラケットで両端側を支持された開閉軸3(特許文献1における第1の回動軸に相当)の中央に、この軸と直交する回動軸5(特許文献1における第2の回動軸に相当)を回動自在に組み合わせて開閉軸及び回動軸それぞれの回りに回動自在としたヒンジ装置が開示されている。
【0007】
上述の各特許文献に記載されたヒンジ装置における第1の回動軸は、画像表示装置においては、通常、画像表示パネルの開閉のための回動軸として設定される。
そのため、この第1の回動軸回りの回動は、画像表示パネルの単なる開閉動作を可能にするばかりでなく、画像表示パネルを任意の角度位置で保持し、その回動の際も、使用者が適度で心地よい摩擦感が感じられ、また、特定の角度位置でクリック感が得られることが求められる。
【0008】
これを実現するヒンジ機構の例として特許文献3に記載されたものがある。
この特許文献3に記載されたヒンジ機構は、第1の回動軸上に延在するシャフトに、このシャフトの回動と連動する第2のカムと非連動なる第2のカムと、両者のカム面が当接するように一方を付勢するスプリングとを、外挿してなるものである。
この構成によれば、スプリングの付勢によって回動抵抗が得られ、任意の角度位置で画像表示パネルが保持され、カム形状に応じた特定の角度位置でクリック感が得られる。
【特許文献1】特開2001−272719号公報
【特許文献2】特開2000−240636号公報
【特許文献3】特開平10−311327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したようなヒンジ装置が搭載される画像表示装置は、携帯用途の普及拡大に伴い、小型軽量化が進んでいる。
【0010】
従って、ヒンジ装置自体も小型化されると共に、軽量化のために使用部材が薄肉化されて強度や剛性は低下する傾向にある。
通常、画像表示装置の画像表示パネルは、回動可能な所定の回動角度範囲が設定され、それ以上の回動を禁止するためにヒンジ装置にはストッパ構造が盛りこまれているが、いきおいこのストッパ構造の強度も低下する傾向にある。
【0011】
しかしながら、使用者が画像表示パネルを好みの姿勢にするためにそのパネルに加えようとする回動力(手の力)は変わらないので、画像表示パネルを回動させた際に、ストッパに対してその低下した強度以上の力が加わってヒンジ装置が破損する可能性が高くなってきている。
【0012】
特に、上述した第1の回動軸まわりの回動、すなわち、画像表示パネルの開閉においては、画像表示パネルが開いた状態においては、そのパネルが壁や机などにぶつかり易く、その場合にストッパに対して、意図しない無理な力が加わってヒンジ装置が破損する可能性も高い。
【0013】
このように、ヒンジ装置に対しては、小型化しても、そのストッパの回動規制強度を高く維持できることが望まれている。
【0014】
しかしながら、従来の回動規制構造は、例えば、特許文献2に記載されているように、開閉軸支持部であるブラケットに折り曲げによって角度規制片を設け、開閉軸抜止板にその周囲から外方に延出する角度規制部を設け、この角度規制部をブラケットの角度規制片に当接させて開閉軸の角度規制をする構造とされている。
【0015】
この構造は、当接する角度規制片が単に板材であるブラケットを折り曲げただけであるため、強い力が加わると角度規制片が変形して所定位置での規制が不能になるばかりでなく、ヒンジ装置自体が破損するという可能性があった。
【0016】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、回動角度を規制するストッパの回動規制強度が極めて高いヒンジ装置を提供することにある。
また、本体部に対して画像表示パネルを開閉させる際の回動角度を規制するストッパの回動規制強度が極めて高い画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本願発明は次の1)乃至5)の手段を有する。
1) 回動体(50B)を固定体(50A)に対して回動軸(X)の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体(50B)は、 前記回動軸(X)に沿って延在する基体部(2b)と、該基体部(2b)の端部から前記回動軸(X)に直交する方向に延出すると共に前記回動軸(X)を中心軸とする第1の貫通孔(2c1)が設けられた側部(2cA)と、を有するベースフレーム(2)を備え、
前記固定体(50A)は、
基面部(1Aa)と、該基面部(1Aa)の縁部から折り曲げられて延出する第1及び第2の側面部(1Ab,1Ac)と、該第2の側面部(1Ac)から前記第1の側面部(1Ab)と重なるように折り曲げられて延出する重畳面部(1Ad)と、前記第1の側面部(1Ab)と前記重畳面部(1Ad)とのそれぞれに、少なくとも両面部を貫く開口部(1Ae)を有するように形成された第2及び第3の貫通孔(1Ae,1Af)と、を有するブラケット(1A)と、前記第1の貫通孔(2c1)及び前記開口部(1Ae)に挿通されると共に前記ベースフレーム(2)を前記ブラケット(1A)に対して回動自在に支持するよう該ブラケット(1A)に固定されたスタッド(7)と、を備え、
前記ベースフレーム(2)は、前記ブラケット(1A)に対する所定の角度位置で、前記第1の側面部(1Ab),前記重畳面部(1Ad)または前記スタッド(7)に当接する当接部(2a6)を有し、
該当接により前記回動体(50B)の前記固定体(50A)に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置(50)である。
2) 回動体(50B)を固定体(50A)に対して回動軸(X)の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体(50B)は、
前記回動軸(X)に沿って延在する基体部(2b)と、該基体部(2b)の端部から前記回動軸(X)に直交する方向に折り曲げられて延出し前記回動軸(X)を中心軸とする第1の貫通孔(2c1)と外縁から切り込まれて形成された切り込み部(2c2)とを有する側部(2c)と、前記基体部(2b)の側部から折り曲げられ前記回動軸(X)に沿って外方向に延出する延出部(2a6)を有して形成された長手側部(2a)と、より成り、前記延出部(2a6)は、前記切り込み部(2c2)に係合すると共にその先端側に前記側部(2c)の外面よりも外側方向に突出する突出部(2a6t)を有するベースフレーム(2)を備え、
前記固定体(50A)は、
第2の貫通孔(1Ae)を有するブラケット(1A)と、前記第1の貫通孔(2c1)及び前記第2の貫通孔(1Ae)に挿通されると共に前記ベースフレーム(2)を前記ブラケット(1A)に対して回動自在に支持するよう該ブラケット(1A)に固定されたスタッド(7)と、を備え、
前記ベースフレーム(2)の前記突出部(2a6t)が、前記ブラケット(1A)に対する所定の角度位置で、前記ブラケット(1A)または前記スタッド(7)に当接して、前記回動体(50B)の前記固定体(50A)に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置(50)である。
3) 回動体(50B)を固定体(50A)に対して回動軸(X)の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体(50B)は、
前記回動軸(X)に沿って延在する基体部(2b)と、該基体部(2b)の端部から前記回動軸(X)に直交する方向に折り曲げられて延出し前記回動軸(X)を中心軸とする第1の貫通孔(2c1)と外縁から切り込まれて形成された切り込み部(2c2)とを有する側部(2c)と、前記基体部(2b)の側部から折り曲げられ前記回動軸(X)に沿って外方向に延出する延出部(2a6)を有して形成された長手側部(2a)と、より成り、前記延出部(2a6)は、前記切り込み部(2c2)に係合すると共にその先端側に前記側部(2c)の外面よりも外側方向に突出する突出部(2a6t)を有するベースフレーム(2)を備え、
前記固定体(50A)は、
基面部(1Aa)と、該基面部(1Aa)の縁部から折り曲げられて延出する第1及び第2の側面部(1Ab,1Ac)と、該第2の側面部(1Ac)から前記第1の側面部(1Ab)と重なるように折り曲げられて延出する重畳面部(1Ad)と、前記第1の側面部(1Ab)と前記重畳面部(1Ad)とのそれぞれに、少なくとも両面部を貫く開口部(1Ae)を有するように形成された第2及び第3の貫通孔(1Ae,1Af)と、を有するブラケット(1A)と、前記第1の貫通孔(2c1)及び前記開口部(1Ae)に挿通されると共に前記ベースフレーム(2)を前記ブラケット(1A)に対して回動自在に支持するよう該ブラケット(1A)に固定されたスタッド(7)と、を備え、
前記ベースフレーム(2)の突出部(2a6t)が、前記ブラケット(1A)に対する所定の角度位置で、前記第1の側面部(1Ab),前記重畳面部(1Ad)または前記スタッド(7)に当接して、前記回動体(50B)の前記固定体(50A)に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置(50)である。
4) 本体部(151)と、画像を表示する画像表示部(152)と、該画像表示部(152)を前記本体部(151)に対して少なくとも1軸回りの回動により開閉させるヒンジ装置と、を備え、
該ヒンジ装置は、1)乃至3)のいずれかに記載のヒンジ装置(50)であり、
前記固定体(50A)は前記本体部(151)側に連結され、前記回動体(50B)は前記画像表示部(152)側に連結されて成る画像表示装置(150)である。
5) 前記ヒンジ装置(50)による回動の規制は、
前記画像表示部(152)を前記本体部(151)に対して開く方向に行われるよう構成されたことを特徴とする4)に記載の画像表示装置(150)である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、回動角度を規制するストッパの回動規制強度が極めて高いヒンジ装置が提供できる。
また、本体部に対して画像表示パネルを開閉させる際の、回動角度を規制するストッパの回動規制強度が極めて高い画像表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図14を用いて説明する。
図1は、本発明の画像表示装置の実施例を示す外観図である。
図2は、本発明の画像表示装置の実施例における画像表示パネルの回動形態を説明する外観図である。
図3は、本発明のヒンジ装置の実施例を示す外観図である。
図4は、本発明のヒンジ装置の実施例を画像表示装置に取り付ける構造を説明するための図面である。
図5は、本発明のヒンジ装置の実施例を説明する分解図である。
図6は、本発明のヒンジ装置の実施例における第1の要部を説明するための斜視図である。
図7は、本発明のヒンジ装置の実施例における第2の要部を説明するための斜視図である。
図8は、本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第1斜視図である。
図9は、本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第2斜視図である。
図10は、本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第3斜視図である。
図11は、本発明のヒンジ装置の実施例における第4の要部を説明するための斜視図である。
図12は、本発明のヒンジ装置の実施例を示す平面図である。
図13は、本発明のヒンジ装置の実施例における回動動作を説明するための斜視図である。
図14は、本発明のヒンジ装置の実施例を説明するための斜視図である。
【0020】
以下、本発明の画像表示装置の実施例として、ビデオカメラ150を説明する。
【0021】
このビデオカメラ150は、図1に示すように、本体部151と、画像表示パネル152と、この画像表示パネル152を本体部151に対して開閉する本発明のヒンジ装置の実施例であるヒンジ装置50と、を備えて構成されている。
この図1は、本体部151に対して画像表示パネル152を概ね90°開いた開状態(第2の角度位置K2)を示している。
【0022】
本体部151と画像表示パネル152との連結部は、外観上ヒンジカバー51で覆われており、このヒンジカバー51の内部にヒンジ装置50が収められている。
【0023】
ビデオカメラ150の本体部151の前面側には、レンズ部80が設けられている。
また、本体部151の内部には、このレンズ部80を介して得られた被写体の像を電気信号に変換する撮像素子81と、この撮像素子81からの電気信号を処理する信号処理回路82と、この信号処理回路82から出力された画像信号を記録媒体に記録し、また、記録した画像信号を再生する記録再生部83と、が設けられている。
【0024】
ここで画像とは、静止画像と動画像を含むものである。
また、記録媒体としては磁気テープ,光ディスク,光磁気ディスク,固体メモリーなどが用いられる。
この記録媒体は、ビデオカメラ150に内蔵したものでも、着脱自在とされたものでもよい。また、記録媒体を外部に配置されたものとし、ビデオカメラ150に外部との通信手段を備え、この通信手段を介して外部の記録媒体との間で信号の授受を行う構成にしてもよい。
被写体の画像,記録再生部83からの再生画像あるいは操作のためのオペレーション画像などが、画像表示パネル152に設けられた画像表示部84に表示される。
【0025】
このビデオカメラ150は、ヒンジ装置50により、画像表示パネル152が主として図2(a)〜図2(d)に示すような回動形態を取り得る。
【0026】
まず、画像表示パネル152が本体部151の外面151Gのうちの側面に画像表示部84を内側にして収まる位置を基本位置(第1の角度位置K1)とする。
この基本位置(第1の角度位置K1)において、画像表示パネル152(画像表示部84)は、外面151Gに近接して対向している。
そして、この基本位置から、図2(a)のように、光軸CLを含む面に直交するX軸の回りに回動(矢印A参照)させた第1の回動位置である(以下、X軸を第1回動軸とも称する)(また、この位置を第1の角度位置K1に対して第2の角度位置K2とも称する)。。
【0027】
次は、第1の回動位置から、X軸に直交するY軸の回りに180°回動(矢印B参照)させた第2の回動位置である(以下、Y軸を第2回動軸とも称する)。この位置は図2(c)に示され、第1の回動位置と第2の回動位置との中間位置の形態が図2(b)に示されている。
【0028】
さらに、第2の回動位置から、X軸回りに回動(矢印AA参照)させると、図2(d)に示すような第3の回動位置となる。
図2(d)に示す第3の回動位置は、画像表示部84の表示面が外側を向いているが、画像表示パネル152としては本体部151の外面151Gに近接して対向しており、第1の角度位置K1の一つの形態としてみなすことができる。
また、第1の角度位置K1においては、第2回動軸Yは本体部151の外面(図2において側面)151Gと平行になるように設定されている。
【0029】
第1の回動位置は、通常の撮影で使用者が画面(画像表示部)84を視認する場合に、また、第2の回動位置は、セルフ撮影で被写体となる被撮影者が画面84を視認する場合に、また、第3の回動位置は、主に再生画像の視認する場合に、好適に利用される形態である。
【0030】
実施例のヒンジ装置50は、このように、X軸とこれに直交する平面に直交するY軸の2つの回動軸回りでの独立した回動を可能とするものである。
このY軸は、X軸と交わる軸に限らず、X軸を含む平面に直交する軸であってもよい。
また、基本位置から第1の回動位置までのX軸回りの回動角度は、例えば90°で規定され、第1の回動位置から第2の回動位置までのY軸回りの回動角度は、例えば180°で規定されるが、いずれも、これに限定されるものではない。
一般に、画像表示装置としては、画像表示部が本体部に対して90°以上起き上がるのが実用的であるから、X軸回りの回動角度は、少なくとも90°以上とするのが好ましい。
【0031】
このヒンジ装置50は、図3に示すアッセンブリユニットとして構成され、図4に示すように画像表示装置150に取り付けられている。
図4は、図2(a)に示す第1の回動位置から画像表示パネル152を閉じた基本位置の形態において、理解容易のために、その画像表示パネル152の外装パネルと本体部151の外装パネルとを除去し、ヒンジ装置50に直接結合される部材を主として示した図である。
【0032】
まず、ヒンジ装置50の概要を、図3を用いて説明する。
このヒンジ装置50は、この装置が固定される第1の相手部材に対して、X軸上に配置された第1及び第2のブラケット1A,1Bが固定される。
また、この第1及び第2のブラケット1A,1Bにより、一対の折り曲げ部を有して略コ字形状を呈するベースフレーム2がX軸回りに回動自在に支持されている。
図3には、このヒンジ装置50に上述した第1の角度位置K1と第2の角度位置K2とをあてはめて示しており、この図3は、第1の角度位置K1における態様を示している。また、両位置K1,K2の角度範囲θは、例えば90°以上とされる。
【0033】
ベースフレーム2の中央部には、サブフレーム3に固定された第3のスタッド9がその軸と同軸であるY軸まわりに回動自在に支持されている。
ベースフレーム2は、第1及び第2のブラケット1A,1Bに対して、X軸回りに所定の角度範囲内で回動自在とされ、さらに、回動において所定の摩擦力を発揮すると共に特定の角度でクリック感を出すカム機構M1を有して構成されている。
【0034】
また、サブフレーム3は、ベースフレーム2に対して、Y軸回りに所定の角度範囲内で回動自在とされ、さらに、回動において所定の摩擦力を発揮すると共に特定の角度でクリック感を出す回動規制機構M2を有して構成されている。
このカム機構M1及び回動規制機構M2についての詳細は後述する。
【0035】
一方、図4において、このヒンジ装置50は、第1のブラケット1Aが、本体部151の第1シャーシ151aにねじ(図示せず)で固定され、第2のブラケット1Bが本体部151の第2シャーシ151bにねじ(図示せず)で固定され、本体部151と一体化される。
【0036】
サブフレーム3は、画像表示パネル152のフレーム152aに設けられたリブ152a1よりなる係合部152a2にガタなく係合すると共に、このリブ152a1に対してねじ(図示せず)により固定され、画像表示パネル152と一体化される。
この図4は、上述したように画像表示パネル152の外装パネルを除去した状態を示しており、フレーム152aの枠内には、この画像表示パネル152内に収められた画像表示部84である液晶表示素子が備える照明装置152bが示されている。また、ヒンジ装置50は、第1の角度位置K1の状態となっている。
【0037】
以上説明した構造により、実施例のヒンジ装置50は画像表示装置150に取り付けられ、本体部151に対する画像表示パネル152の開閉動作などを可能としている。
【0038】
次に、実施例のヒンジ装置50の詳細を、図3,図5〜図14を用いて説明する。まず、第1及び第2のブラケット1A,1Bを始めとして各構成部材について説明する。
【0039】
第1及び第2のブラケット1A,1Bは、概ね面対称の形状を有するので、ここでは代表として第2のブラケット1Bについて、単純化のために単にブラケットという名称を用いて図6により説明する。この図6には、便宜的に略対称形なる第1ブラケット1Aの符号を括弧付きで示している。
【0040】
このブラケット1Bは、金属板のプレス加工及び折り曲げ加工により形成されている。使用できる金属として、例えば、厚さ0.8mmのステンレス材やSPCC材がある。SPCC材の場合は改質のために表面に窒化処理を施してもよい。
【0041】
図6において、ブラケット1Bは、略矩形形状の底面部1Baと、この底面部1Baにおける隣接する2辺からそれぞれ90°に折り曲げられた2つの側面部1Bb,1Bcと、1つの側面部1Bcから更に、他の側面部1Bbの外側面に重なるように折り曲げられた重畳側面部1Bdと、を有するように形成されている。
底面部1Baには、他の部材、例えば上述した第2シャーシ151bにねじ固定するための孔1Ba1が設けられている。
【0042】
他の側面部1Bbと重畳側面部1Bdとには、同軸で両側Dカットとされた貫通孔1Be,1Bfがそれぞれ形成されている。
この貫通孔1Be,1Bfは、重畳側面部1Bdの貫通孔1Bfの方が大径に(Dカット部も含めて大きく)形成されているので、他の側面部1Bbの表面に当て面1Bgを有する。
この各貫通孔1Be,1Bfは、必ずしも同軸あるいは相似形状でなくてもよく、互いに重なって貫通開口となる部分があり、その部分に後述する各スタッド7,8が挿通できるものであればよい。この図6においては、貫通孔1Beが貫通開口となっている。
また、重畳側面部1Bdと他の側面部1Bbとは、その底面部1Baとは反対側の外形が円弧状(EKの部分)に形成されている。
また、重畳側面部1Bdは、貫通孔1Bfが開口する基重畳側面部1Bdkと、側面部1Bcからの折り曲げ部分である曲げ部MG1を含む連結部1Bhとを有して側面部1Bcと一体で形成されている。
連結部1Bhの幅Hは例えば2mmとされている。
【0043】
このブラケット1Bを形成する際は、板材に対して、まずブランク・ピアス工程及び曲げ工程により各貫通孔の穿設と2箇所の曲げ部MG1の曲げ加工を同時に行い、次いで、曲げ部MG2の曲げ加工を行う。
この曲げ加工において、他の側面部1Bbと重畳側面部1Bdとは完全には密着しない場合もあるが、後述する第1のスタッド7のカシメ工程により密着させることができる。
図6においては、重畳側面部1Bdが手前側に、他の側面部1Bbが奥側となるように重ねられているが、逆でもよい。
この逆の場合、重畳側面部1Bdを奥側に、他の側面部1Bbを手前側にして両部を重ねることになるが、重畳側面部1Bdに当て面1Bgが形成されるように各貫通孔1Be,1Bfの形状などが設定される。
【0044】
第1のブラケット1Aも同様に形成され、以下の説明や図面においては、符号1Bを1Aに置き換えた符号を付与している。
【0045】
次に、ベースフレーム2について図7を用いて説明する。
このベースフレーム2は、金属板のプレス加工及び折り曲げ加工により形成されている。使用できる金属として、例えば、厚さ0.8mmのステンレス材やSPCC材がある。
SPCC材の場合は改質のため表面に窒化処理をしてもよい。
【0046】
図7において、ベースフレーム2は、略長方形なる底面部2aと、その長辺縁から90°に折り曲げられた長側面部2bと、長側面の両端面縁から内側に向けて90°に折り曲げられた短側面部2c,2c(それぞれ第1,第2の短側面部2cA,2cB)と、を有するように形成されている。
【0047】
短側面部2cには、それぞれ共通の軸X(以下、X軸とも称する)を有する貫通孔2c1が形成されている。
【0048】
ヒンジ装置50において、この共通の軸がX軸となる。
【0049】
底面部2aには、X軸に沿う方向の長孔2a1が、その軸に沿って一対離隔して形成されている。
また、底面部2aの中央付近には、長側面部2bに設けられた貫通孔2b1(後述する)に対して対称となる位置に、X軸に沿って離隔する一対の係合孔2a5が形成されている。
【0050】
また、底面部2aの長側面部2bと反対側の長辺縁には、概ね90°に立ち上げられたL字立ち上げ部2a2と立ち上げ部2a3とが設けられている。
L字立ち上げ部2a2は、その根本側にX軸方向に沿って切り欠かれた切り欠き部2a4を有してL字形状とされている。
【0051】
一方、長側面部2bのほぼ中央には、貫通孔2b1が形成されている。この貫通孔2b1の中心軸は、ヒンジ装置50におけるY軸となる。
また、この貫通孔2b1を挟む対称となる位置に、X軸方向に互いに離隔する一対の角孔2b2が形成されている。
また、一方の角孔2b2に隣接して、矩形形状で内側方向に突出する突出部2b3がハーフパンチにより形成されている。
【0052】
一方、短側面部2cの底面部2a側の端縁には、それぞれ部分的に抉られた切り込み部2c2が設けられており、この切り込み部2c2には、底面部2aからX軸方向に延出する延出部2a6が係合している。
そして、この延出部2a6は、その先端が短側面部2cの外面より外側方向に突出するように形成されており、この突出した突出部2a6tの長側面部2b側の面である当接面STが、第1及び第2のブラケット1A,1Bの連結部1Ah,1Bhの側面1Ahs,1Bhs(図6参照)に当接して、このヒンジ装置50のX軸回りの回動を規制するよう構成されている(この規制構造については後述する)。
【0053】
次に、カム軸5について図8〜図10を用いて詳述する。
図8は、図5の組み立て図におけるカム軸5とほぼ同様の斜視方向からの図であり、図9は、図8における左方奥下側から手前側を望むように見た図であり、図10は、図9をそのまま斜め上方から見た図である。
【0054】
このカム軸5は、軸X5方向を長手とする略直方体の基部5e1に半円筒状部5e2が連結した略かまぼこ形状を呈し、合成樹脂により形成されている。
使用できる樹脂として、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)がある。強度を更に向上させるためにガラス繊維を加えたPBTとしてもよい。
【0055】
このカム軸5の一方の端面部5aには、軸X5を中心軸とする有底の穴5a1が形成されている。
【0056】
また、この穴5a1の周囲であるドーナッツ状面は、軸方向に凹凸となる形状で形成され、その周方向をカム面とするカム部5Mが設けられている。
このカム部5Mは、図8に示すように、軸X5を挟んで対向する位置(180°ずれた位置)に一対の凸部5M1を有しており、この凸部5M1は、ドーナッツ状面の基準面5M2から傾斜面5M3を経由して凸部5M1の最突出面5M1aに繋がる面形状にて形成されている。
【0057】
一方、基部5e1の側面における他方の端面部5b側には、外側に突出する一対の突出部5c1,5c2が設けられている(図9も参照)。
また、端面部5bには、軸X5を中心軸として円筒状に突出するスプリングガイド5d(図9も参照)が設けられている。
【0058】
軸X5は、このカム軸5がベースフレーム2に取り付けられた際にX軸と同軸とされる。
【0059】
図9において、基部5e1の底面部5e1aには、長手方向に離隔して一対の突起5fが設けられている。
また、その長手方向の中間部には、このカム軸5を概ねコ字形状とするように抉る凹部5gが形成されている。以下、この凹部5gの長手方向の長さをLと称する(図10参照)。
【0060】
次に、カムリング6について図11を用いて詳述する。
図11(a)は、このカムリング6がカム軸5と対向する面側から見た斜視図であり、図11(b)はその反対側の面側、ここでは図5の斜視方向と同様方向から見た図である。
【0061】
このカムリング6は、合成樹脂により形成されている。使用できる樹脂として、例えば、POM(ポリアセタール)がある。
【0062】
このカムリング6には、両面Dカットの貫通孔6aが形成されている。
また、その一方の端面部6bにおける貫通孔6aの周囲であるドーナッツ状面には軸方向の凹凸が形成され、その周方向をカム面とするカム部6Mが設けられている。
このカム部6Mは、図11(a)に示すように、軸X6を挟んで対向する位置(180°ずれた位置)に一対の凸部6M1を有しており、この凸部6M1は、ドーナッツ状面である基準面6M2から傾斜面6M3を経由して凸部6M1の最突出面6M1aに繋がる面形状にて形成されている。
【0063】
このカムリング6は、ヒンジ装置50において、詳細は後述するが、カム軸5と同軸にて互いのカム部5M,6Mが押圧されつつ相対的に回動するように組み立てられる。
従って、カム部5M,6Mのカム形状に応じて、回動の際の摩擦感触やクリック感やこのクリック感が発揮される回動角度などを、自由に設定することができる。
【0064】
この実施例では、両カム部5M,6Mの互いの凸部5M1,6M1同士が当接している角度範囲では回動抵抗が大きく、非当接となる角度範囲において回動抵抗が小さくなることによりクリック感を感じることができる。
【0065】
次に、図5を用いて、第1〜第3のスタッド7〜9について説明する。
第1のスタッド7は、両側Dカットが形成された基筒部7aと、この基筒部7aから同軸に延出する基筒部7aより小径の第1及び第2の軸部7b,7cとを有して形成されている。
第1の軸部7bの先端側には、基筒部7aと対応する両側Dカットが形成されている。
【0066】
第2のスタッド8は、円形のフランジ部8aと、このフランジ部8aと同軸に延出する軸部8bとを有して形成されている。
軸部8bの先端側には、両側Dカットが形成されている。
【0067】
第3のスタッド9は、基筒部9aと、この基筒部9aから同軸に延出し基筒部9aより小径の軸部9bを有して形成されている。
この軸部9bの先端側には、両面Dカットが形成されており、基筒部9aにおける軸部9bとは反対の端部側にも両面Dカット部9cが形成されている。
【0068】
これらの第1〜第3のスタッド7〜9は金属材料で形成される。その材料として、例えばステンレスを用いることができる。
【0069】
図5を用いて、さらに、サブフレーム3,スプリングプレート10及びロックプレート11について説明する。
【0070】
サブフレーム3は、略長方形状を呈し、金属板をプレス加工及び折り曲げ加工して形成されている。
使用できる金属として、例えば、厚さ0.8mmのステンレス材やSPCC材がある。
SPCC材の場合は改質のため表面に窒化処理をしてもよい。
【0071】
サブフレーム3の長手方向の両端部側には、相手部品にねじ固定するための貫通孔3aが一対形成されている。
この相手部品として、例えば、画像表示パネル152のフレーム152aがあり(図4参照)、上述したように、このサブフレーム3は、フレーム152に設けられたリブ152a1に形成された係合部152a2にガタなく係合すると共に、ねじ(図示せず)により貫通孔3aを介してフレーム152に固定され、画像表示パネル152と一体化される。
【0072】
図5に戻り、サブフレーム3の中央付近には、その長手方向に沿う方向を長手とする角孔3bが形成されている。この角孔3bは、第3のスタッド9の両面Dカット部9cとガタなく嵌合するように形成される。
【0073】
スプリングプレート10は、ばね性を有する金属板材(ステンレス板やリン青銅板など)を用い、中央部が突出しゆるやかに湾曲する円筒面の一部となる形状に形成されている。
中央付近には貫通孔10aが形成されており、直線を呈する一対の側縁には、折り曲げ部10bがそれぞれ形成されている。
また、曲線を呈する他の一対の側縁には、折り曲げ部10bとは反対側に突出する凸部10cがそれぞれ形成されている。
【0074】
ロックプレート11は、略円板形状を呈し、ステンレスなどの金属板材により形成されている。中央には両面Dカット形状の貫通孔11aが形成されており、Dカット位置と対応する各周縁部には、半円弧状の切り欠き部11bがそれぞれ形成されている。
また、周縁部における所定の角度範囲には、径方向外側に張り出した張り出し部11cが形成されている。
【0075】
以上詳述した各部材を含んで構成されるヒンジ装置50の全体について詳述する。
このヒンジ装置50は、X軸とY軸との、2軸の回動軸を有しており、Y軸まわり、X軸まわりの順に各回動構造を説明する。
【0076】
<Y軸まわりの回動構造>
図5において、第3のスタッド9は、その両面Dカット部9cがサブフレーム3の角孔3bに嵌合してカシメられ、サブフレーム3と一体化されている。
一方、第3スタッド9の軸部9bは、ベースフレーム2における長側面部2bの貫通孔2b1にその外側から挿通されている。
この挿通された軸部9bは、スプリングプレート10の貫通孔10aに挿通され、さらにロックプレート11の貫通孔11aに挿通されてカシメられ、第3のスタッド9はロックプレート11と一体化されている。
【0077】
スプリングプレート10は、その折り曲げ部10bがベースフレーム2の角孔2b2と係合してY軸まわりの回動が規制されている。
また、軸部9bのカシメ作業は、スプリングプレート10を所定量つぶして行われるので、スプリングプレート10は、その弾性反発力によりロックプレート11をY軸方向に常に付勢する。
【0078】
そのため、ロックプレート11は、スプリングプレート10に対して所定の摩擦力を生じつつY軸の回りに回動可能である。
すなわち、サブフレーム3は、ベースフレーム2に対してY軸回りの任意の角度位置でこの摩擦力により保持されると共に、摩擦力に抗する力が加わると回動できる構成とされている。
【0079】
また、ロックプレート11のY軸回りの回動に伴い、その所定の回動角度位置において、切り欠き部11bにスプリングプレート10の凸部10cが嵌合し、この嵌合と嵌合離脱とによりY軸回りの回動に伴うクリック感が発揮される。
図5は、丁度、切り欠き部11bと凸部10cとが嵌合し合う角度位置で記載されている。
さらに、ロックプレート11のY軸回りの回動に伴い、その2箇所の所定の回動角度位置において、張り出し部11cの両端面部がベースフレーム2の一対の係合孔2a5の端面にそれぞれ当接してそれ以上の回動が禁止される。
従って、サブフレーム3は、ベースフレーム2に対し、Y軸回りの所定の角度範囲内での回動が可能とされている。
【0080】
<X軸まわりの回動構造>
まず、第1及び第2のブラケット1A,1Bとベースフレーム2との結合について説明する。
図3,図5及び図6において、第1のスタッド7の第1の軸部7bは、ベースフレーム2の内側から一方の短側面部2cの貫通孔2c1に挿通され、さらに、第1のブラケット1Aの重畳側面部1Ad側から貫通孔1Af,1Aeの順に挿通する。
【0081】
第1の軸部7bにおいては、両面Dカットが施された部分の根元側に、軸に直交する当て面7b1がおのずと形成されている。
この当て面7b1が第1のブラケット1Aの当て面1Ag(図6参照)に当接して第1のスタッド7のX軸上の外方向への位置決めがされる。また、第1の軸部7bの両面Dカットと第1のブラケット1Aの両面Dカットとが係合してX軸まわりの回動が禁止される。
【0082】
一方、第1の軸部7bの当て面7b1と、径差で生じる基筒部7aの端面7a1との間のX軸方向距離L7は、ベースフレーム2の短側面部2cの板厚より僅かに大きく設定されているので、貫通孔1Aeを通過した第1の軸部7bの先端をカシメ固定すると、ベースフレーム2は、第1のブラケット1Aに対してX軸の回りに抵抗なく回動可能に支持される。
また、第1のブラケット1Aの側面部1Abと重畳側面部1Adとは、カシメの際に軸方向に押さえつけられるので、両者は密着した状態で第1のスタッド7と一体化される。
【0083】
第2のブラケット1Bとベースフレーム2とは、第2のスタッド8により結合されている。
第2のスタッド8の軸部8bが、ベースフレーム2の内側から、他方の短側面部2cの貫通孔2c1に挿通され、さらに、第2のブラケット1Bの重畳側面部1Bd側から貫通孔1Bf,1Beの順に挿通する。
【0084】
軸部8bにおいては、両面Dカットが施された部分のフランジ部8a側に、軸に直交する当て面8b1を有している。
この当て面8b1が第2のブラケット1Bの当て面1Bgに当接して第2のスタッド8のX軸上の外方向への位置決めがされる。
また、軸部8bの両面Dカットと第2のブラケット1Bの両面Dカットとが係合してX軸まわりの回動が禁止される。
【0085】
一方、軸部8bの当て面8b1とフランジ部8aの軸部8b側の端面8a1との間のX軸方向距離L8は、ベースフレーム2の短側面部2cの板厚より僅かに大きく設定されているので、貫通孔1Beを通過した軸部8bの先端をカシメ固定すると、ベースフレーム2は、第2のブラケット1Bに対してX軸の回りに抵抗なく回動可能に支持される。
【0086】
また、第2のブラケット1Bの側面部1Bbと重畳側面部1Bdとは、カシメの際に軸方向に押さえつけられるので、両者は密着した状態で第2のスタッド8と一体化される。
【0087】
次に、X軸回りの回動動作において摩擦とクリック感を与えるカム機構M1について説明する。
【0088】
図5において、第1のスタッド7の第2の軸部7cには、カムリング6の貫通孔6aが外挿されている。ここで両者の両面Dカットが係合するので、カムリング6は第1のスタッド7に対して回動が禁止されている。
【0089】
一方、コイルスプリング12は、その一端側が第2のスタッド8のフランジ部8aに係合してX軸上に配設される。
第2のスタッド8のフランジ部8aから延出する軸は、実施例において軸部8bのみであるが、コイルスプリング12の内径によっては軸部8bとは反対側(コイルスプリング12側)に延出する別の軸部を有していてもよい。
【0090】
また、カム軸5は、そのスプリングガイド5d(図9も参照)がコイルスプリング12の他端側に係合すると共に、カム部5Mがカムリング6のカム部6Mと係合するようにX軸上に配設されている。
また、カム軸5の有底の穴5a1には、第1のスタッド7の第2の軸部7cの先端側が挿入されており、カム軸5の軸出しがサポートされている。
【0091】
ここで、コイルスプリング12は、その内径が、第2のスタッド8におけるフランジ部8aの外径及びカム軸5におけるスプリングガイド5dの外径よりも大径に形成されており、両者とは軸ずれなく良好に係合する。
【0092】
この構成において、コイルスプリング12は、長手方向に所定量圧縮されるように各部材のX軸方向の長さが設定されている。
従って、この圧縮に伴う弾性反発力により、コイルスプリング12は、カム部5Mがカム部6Mを押圧する方向にカム軸5を付勢している。
【0093】
一方、カム軸5は、ベースフレーム2に対してX軸回りの回動が禁止されると共にX軸方向の所定距離を往復摺動するように配設されている。
具体的には、カム軸5の一方の突出部5c1がベースフレーム2の切り欠き部2a4に、また、他方の突出部5c1が長側面部2b上の突出部2b3と底面部2aとの隙間に、それぞれ係合すると共に、カム軸5の一対の突起5f(図9参照)が、ベースフレーム2の長孔2a1(図7参照)に係合している。
【0094】
この各係合構造において、ベースフレーム2側の係合形状は、X軸方向に延在する切り欠きや孔であり、これらのX軸に直交する方向の幅は、係合するカム軸5側の突出部や突起の幅とほぼ同じに設定されている。
従って、カム軸5は、ベースフレーム2に対して、係合する長孔2a1や切り欠き2a4などの形状によって設定されるX軸方向の許容範囲内で移動可能とされている。
【0095】
また、図12はヒンジ装置50をX軸及びY軸と直交する方向から見た図であるが、この図12で示されるように、ベースフレーム2に設けられたL字立ち上げ部2a2及び立ち上げ部2a3は、カム軸5の側面に沿って形成されており、これらと長側面部2bとの間にカム軸5をX軸と直交する方向のガタを極少にして保持し、カム軸5がX軸上から離脱することを防止している。
【0096】
また、カム軸5に設けられた凹部5gには、スプリングプレート10やロックプレート11が入り込むよう構成されており、この入り込んだ分だけ、X軸とベースフレーム2の長側面部2bの外面との距離L2を短くすることができ、ヒンジ装置50をより小型にすることができる。
従って、このヒンジ装置50を用いた画像表示装置150も小型にすることができる。
【0097】
この凹部5gの長手方向の長さLは、このカム軸5をベースフレーム2に組み込む際に他部材と非干渉とする必要な長さに設定されている。
具体的には、カム軸5をベースフレーム2に組み込む際には、一対の突出部5c1が、L字立ち上げ部2a2及び突出部2b3と干渉しない位置でベースフレーム2内に収め(図5の矢印E1)、その後、X軸方向にスライド(図5の矢印E2)させる。
従って、矢印E2のスライド動作に相当する分の相手部品に対する逃げを確保するよう凹部5gの長さLが設定されている。
【0098】
次に、X軸回りの回動範囲の規制構造(以下、ストッパ構造とも称する)について、図13を用いて説明する。
この図13は、理解を容易にするため、ベースフレーム2及びブラケット1A,1Bのみ示しており、図13(a)が基本位置(図5で示される位置)(第1の角度位置K1)であり、図13(b)がこの基本位置から90°回動させ(図5の矢印A)、それ以上の回動が規制された第1の回動位置(第2の角度位置K2)を示している。
【0099】
図13(a)において斜線で示された、ベースフレーム2の底面部2aにおける延出部2a6の一部の面である一対の当接面STは、図13(b)で示される第1の回動位置において、連結部1Ah,1Bhの側面1Ahs及び1Bhsにそれぞれ当接する。
ベースフレーム2を、90°以上回動させようとした場合、矢印Fで示される押圧力が連結部1Ah,1Bhに付与される。
【0100】
この押圧力Fについて、第2のブラケット1Bを代表として図6を用いて説明する。
【0101】
この第2のブラケット1Bは、底面部1Baが固定され、重畳側面部1Bd及び側面部1Bcがこの底面部1Baに対して曲げ加工により形成されていることから、側面1Bhsに強い押圧力Fが付与されると破線矢印HK方向に変形しようとする。
しかしながら、重畳側面部1Bdは、他の側面部1Bbと密着し、両者を貫通する第2のスタッド8によってこの第2のスタッド8と共にカシメ固定されている。
従って、第2のブラケット1Bは、第2のスタッド8と共に、押圧力Fを、重畳側面部1Bdのみではなく他の側面部1Bb及び第2のスタッド8と協働して受け止めるため、曲げに対して極めて高い強度を発揮する。
そのため、各ブラケット1A,1Bにおける回動側であるベースフレーム2の当接面STが当接する部分を、この実施例のような重畳側面部1Ad,1Bdに限らず、他の側面部1Ab,1Bb,第1のスタッド7または第2のスタッド8に設けても、同様に、曲げに対して極めて高い強度を発揮する。
【0102】
一方、ベースフレーム2側の当接面STは延出部2a6の面であるから、連結部1Ah,1Bhの側面1Ahs及び1Bhsにそれぞれ当接すると、この延出部2a6には、図7に示すように、押圧力Fの反力Frが付与される。
上述したように、延出部2a6は短側面部2cに形成された切り込み部2c2に係合しているので、反力Frにより延出部2a6がその方向に変形しようとしても、延出部2a6は切り込み部2c2の側面に当接してその側面を有する腕状の係止部2c3と共に反力Frを受け止める。
従って、ブラケット1A,1B側のみならず、ベースフレーム2側もストッパとして極めて高い強度を有している。
【0103】
すなわち、この実施例のヒンジ装置50は、X軸回りの回動を規制するストッパ強度が極めて高く、規制角度位置を越えて無理に回動させようとしても極めて破損し難いものである。
ここで、このストッパ構造は、実施例のように第1及び第2のブラケットの両方に用いられるとより高い強度が得られて好ましいが、いずれか一方のみに用いられていてもよい。もちろん、その場合も高い回動規制強度を得ることができる。
また、このストッパ構造は、実施例のように、互いに当接するブラケット1A,1B側とベースフレーム2側との双方を、上述した形状や構成にすると、もっとも高い強度が得られて好ましいが、いずれか一方のみ用いられていてもよい。
もちろん、この場合も高い回動規制強度を得ることができるのは言うまでもない。
【0104】
この実施例のヒンジ装置50を備えた実施例の画像表示装置150は、画像表示パネル152を、所定の回動規制角度位置の例えば90°を越えて開こうとしても、ヒンジ装置50が極めて壊れ難く、非常に高い信頼性が得られる。
この実施例のX軸回りのストッパ構造におけるブラケット1A(1B)側の構成を、図6を参照して換言するならば、各ブラケット1A(1B)が、底面部1Aa(1Ba) → 一方の側面部1Ac(1Bc) → 重畳側面部1Ad(1Bd) → スタッド7(8) → 他方の側面部1Ab(1Bb) → 底面部1Aa(1Ba)という閉じたループ(環状構造)を構成しているものとみなすことができる。そして、このループの構成部材のいずれかで力Fを受ける。
【0105】
通常、このような閉じたループ形状は、それを内側から外側に向けて変形させることが極めて難しく、変形に対して高い強度を有するものであるから、実施例のストッパ構造が高い強度を有することは容易に理解される。
【0106】
発明者らの実験により、このループ構造を切断した比較例、具体的には、スタッド7(8)を除去した比較例と比べて、実施例は、押圧力Fに対する連結部1Ah,1Bhの変形に関して2倍以上の強度を有することが確認されている。
逆に言うと、比較例と同等以上の強度を、構成部材の肉厚を薄く、あるいは、形状を小さくしても得られることになり、コストダウンや更なる小型化が可能になる。
【0107】
実施例のヒンジ装置50は、一部繰り返しとなるが、上述した構成により、図3に示す基本回動位置から第1及び第2のブラケット1A,1Bに対してX軸まわりの矢印A1の方向にサブフレーム3を回動させると、このサブフレーム3に第3のスタッド9で連結されたベースフレーム2も一体的に回動する。
このメインフレーム2の回動に伴い、このベースフレーム2に保持されたカム軸5及びこのカム軸5をカムリング6側に付勢するコイルスプリング12もベースフレーム2と一体的に回動する。
【0108】
一方、カムリング6は、第1のスタッド7により第1のブラケット1Aに対する回動が禁止されているので、ベースフレーム2の回動により、カム軸5のカム部5Mと、カムリング6のカム部6Mとが互いに付勢し合いながらX軸回りに摺動する。
【0109】
ベースフレーム2の回動に伴い、カム軸5は、この両カム部5M,6Mのカム形状に応じたX軸方向の往復移動をする。従って、その往復移動によってコイルスプリング12のたわみ量が変化してカム軸5を付勢する付勢力が変化する。
この付勢力の変化が使用者には回動感触として把握されると共に、クリック感としても認識される。
【0110】
カム軸5は、ベースフレーム2に対してX軸方向に往復移動するだけであり、カム軸5にはこの往復移動のストローク以上の軸方向範囲を凹ませた凹部5gが設けられている。
従って、ベースフレーム2の回動角度位置によらずY軸回りの回動規制機構M2をこの凹部5gに収容する構造とすることができ、ヒンジ装置50を極めてコンパクトに構成することができる。
【0111】
以上、詳述した実施例のヒンジ装置50は、上述したように、互いに係合するカム部5M,6Mのカム形状に応じて、所望の回動位置で所望のクリック感を得ることができるが、さらに、コイルスプリング12,カム軸5及びカムリング6を交換することができる。
この交換は、実施例のヒンジ装置50が、ベースフレーム2を支持する各ブラケット1A,1Bを貫いて固定される軸部材が無い構成であることから可能となるものである。
さらに具体的には、第1及び第2のスタッド7,8の先端間の距離Ls(図14参照:この図14は、ヒンジ装置50からコイルスプリング12,カム軸5,及びカムリング6を外した状態を示している)を、カム軸5の全長Lc(図10参照)よりも長く設定してあることによる。これにより、カム軸5を、各スタッド7,8の軸が引っかかることなく取り外すことができる。
ここで、カム軸5の全長Lcは、カム部5Mの最突出面5M1aを基準とすれば充分であるが、カム形状によっては、基準面5M2を基準に全長Lcとしてもよい。これは、カム軸5の取り外しの際のカム位置に応じていずれかを設定すればよい。
【0112】
このコイルスプリング12,カム軸5及びカムリング6の交換について具体的に説明する。
まず、コイルスプリング12は、X軸方向に縮めることにより、第2のスタッド8のフランジ部8a及びカム軸5のスプリングガイド5dとの係合を解除してX軸上から外すことができる。
また、カム軸5は、コイルスプリング12を外した後、図5における矢印E2とは逆の方向にスライドすることによりベースフレーム2との係合が解除され、容易に取り外すことができる。
さらに、このカム軸5が外れれば、カムリング6は、軸方向のスライドにより第1のスタッド7の第2の軸部7cから抜けるので、取り外すことができる。これらの部材を外した状態を図14に示す。
【0113】
このように、ヒンジ装置50は、コイルスプリング12,カム軸5及びカムリング6をそれぞれ独立して容易に交換できるので、ばね定数,カム部形状,カム部の突出位置などが異なる他のコイルスプリング,カム軸,またはカムリングと交換、あるいは組み合わせて、X軸回りの回動における回動仕様(回動抵抗,クリック感,クリック感が得られる回動角度位置など)を自由に、また、容易に設定することができる。
また、上述からわかるように、このヒンジ装置50は、コイルスプリング12,カム軸5及びカムリング6以外の部材を共有化しても、画像表示パネルの回動仕様が異なる種々の画像表示装置に用いることができるので、極めて安価に提供することができる。
【0114】
以上詳述した実施例のヒンジ装置50は、固定体に対して回動体をX軸回りに回動させるものである、という表現を用いるならば、第1及び第2のブラケット1A,1B,第1及び第2のスタッド7,8及びカムリング6を含んで固定体50Aが構成され、ベースフレーム2,コイルスプリング12及びカム軸5を含んで回動体50Bが構成されるものである。もちろん、ベースフレーム2と一体に回動する第3のスタッド9なども回動体50Bに含まれるものである。
このヒンジ装置50が、画像表示装置150に搭載された際には、ベースフレーム2とブラケット1A又はスタッド7とが当接する位置を、画像表示部152が本体部151に収納された位置(両者が近接対向する位置)から回動により起こされて最も開いた位置として、その画像表示部152を開く回動を規制する。
繰り返しとなるが、通常はこの回動範囲は少なくとも90°以上とされる。
具体的には、例えば回動許容角度範囲を90°とした場合には、本体部151から画像表示部152を起こして90°開くと、ベースフレーム2の当接部2a6が、ブラケット1Aの第1側面部1Ab,重畳側面部1Adまたはスタッド7に当接し、90°以上の回動を強固に規制して破壊などの不具合が発生するのを防止する。
【0115】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
各部材の摺動部には、グリスなどの潤滑剤を塗布してもよい。
カム軸5やカムリング6は、実施例に示したような軸方向長さのものに限らない。どのような形状(長さ)においても、回動規制機構M2を逃げる凹部がいずれかに形成されていることが小型化のためには望ましい。
各係合部の両面Dカットは、片面Dカットであってももちろんよい。
【0116】
実施例のヒンジ装置を適用できる画像表示装置は、ビデオカメラに限らず、薄い画像表示パネルを備えた装置であれば、ビデオカメラに限らないことは言うまでもない。デジタルスチルカメラ,ノートパソコン,携帯電話,携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),携帯テレビジョン,ゲーム装置,ポータブル光ディスクプレーヤなどの種々の装置に適用可能である。
また、画像表示パネルは、画像表示以外の機能を有するパネル、例えば操作釦などを配列した操作パネルであっても実施例のヒンジ装置を適用することができる。
【0117】
上述した実施例は、X軸とY軸の2軸を有する構成であるが、X軸回りにのみ回動する構成でもよく、この場合でも、コイルスプリング,カム軸及びカムリングを交換して任意の回動仕様のヒンジが容易に得られるという効果が得られることは、言うまでもない。
【0118】
実施例においては、カム軸を付勢する付勢部材としてコイルスプリングを説明したが、これに限るものではなく、ゴムなどの弾性体を用いてもよい。また、このゴムのような弾性体とコイルスプリングとを併用してもよい。
また、凹部5gは、図12においてX軸よりも左側の領域にまで抉れるように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の画像表示装置の実施例を示す外観図である。
【図2】本発明の画像表示装置の実施例における画像表示パネルの回動形態を説明する外観図である。
【図3】本発明のヒンジ装置の実施例を示す外観図である。
【図4】本発明のヒンジ装置の実施例を画像表示装置に取り付ける構造を説明するための図面である。
【図5】本発明のヒンジ装置の実施例を説明する分解図である。
【図6】本発明のヒンジ装置の実施例における第1の要部を説明するための斜視図である。
【図7】本発明のヒンジ装置の実施例における第2の要部を説明するための斜視図である。
【図8】本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第1斜視図である。
【図9】本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第2斜視図である。
【図10】本発明のヒンジ装置の実施例における第3の要部を説明するための第3斜視図である。
【図11】本発明のヒンジ装置の実施例における第4の要部を説明するための斜視図である。
【図12】本発明のヒンジ装置の実施例を示す平面図である。
【図13】本発明のヒンジ装置の実施例における回動動作を説明するための斜視図である。
【図14】本発明のヒンジ装置の実施例を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0120】
1A,1B 第1,第2のブラケット
1Ba 底面部(基面部)
1Ba1 孔
1Bb,1Bc 側面部
1Bd 重畳側面部(重畳面部)
1Be 貫通孔(開口部)
1Bf 貫通孔
1Bg 当て面
1Bh 連結部
1Bhs 当接面
2 ベースフレーム
2a 底面部(長手側部)
2a1 長孔
2a2 L字立ち上げ部
2a3 立ち上げ部
2a4 切り欠き部
2a5 係合孔
2a6 延出部(当接部)
2a6t 突出部
2b 長側面部(基体部)
2b1 貫通孔
2b2 角孔
2b3 突出部
2c 短側面部(側部)
2cA,2cB 第1,第2の短側面部(側部)
2c1 貫通孔
2c2 切り込み部
3 サブフレーム
5 カム軸(第1のカム体)
5a,5b 端面部
5a1 穴
5c1 突出部
5d スプリングガイド
5e1 基部
5e2 半円筒状部
5f 突起
5g 凹部
5M カム部(第1のカム面)
5M1 凸部
5M1a 最突出面
5M2 基準面
5M3 傾斜面
6 カムリング(第2のカム体)
6a 貫通孔
6b (一方の)端面部
6M カム部(第2のカム面)
6M1 凸部
6M1a 最突出面
6M2 基準面
6M3 傾斜面
7 第1のスタッド(第1のシャフト)
7a 基筒部
7b,7c 第1,第2の軸部
7b1 当て面
8 第2のスタッド(第2のシャフト)
8a フランジ部
8b 軸部
9 第3のスタッド(第3のシャフト)
9a 基筒部
9b 軸部
9c 両面Dカット部
10 スプリングプレート
10a 貫通孔
10b 折り曲げ部
10c 凸部
11 ロックプレート(シャフト固定部)
11a 貫通孔
11b 切り欠き部
11c 張り出し部
12 コイルスプリング(付勢体)
50 ヒンジ装置
50A 固定体
50B 回動体
80 レンズ部
81 撮像素子
82 信号処理回路
83 記録再生部
84 画像表示部
150 ビデオカメラ(画像表示装置)
151 本体部
151a,151b 第1,第2シャーシ
152 画像表示パネル(画像表示部)
152a フレーム
152a1 リブ
152a2 係合部
152b 照明装置
M1 カム機構
M2 回動規制機構
MG1,MG2 曲げ部
ST 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動体を固定体に対して回動軸の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体は、
前記回動軸に沿って延在する基体部と、該基体部の端部から前記回動軸に直交する方向に延出すると共に前記回動軸を中心軸とする第1の貫通孔が設けられた側部と、を有するベースフレームを備え、
前記固定体は、
基面部と、該基面部の縁部から折り曲げられて延出する第1及び第2の側面部と、該第2の側面部から前記第1の側面部と重なるように折り曲げられて延出する重畳面部と、前記第1の側面部と前記重畳面部とのそれぞれに、少なくとも両面部を貫く開口部を有するように形成された第2及び第3の貫通孔と、を有するブラケットと、前記第1の貫通孔及び前記開口部に挿通されると共に前記ベースフレームを前記ブラケットに対して回動自在に支持するよう該ブラケットに固定されたスタッドと、を備え、
前記ベースフレームは、前記ブラケットに対する所定の角度位置で、前記第1の側面部,前記重畳面部または前記スタッドに当接する当接部を有し、
該当接により前記回動体の前記固定体に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
回動体を固定体に対して回動軸の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体は、
前記回動軸に沿って延在する基体部と、該基体部の端部から前記回動軸に直交する方向に折り曲げられて延出し前記回動軸を中心軸とする第1の貫通孔と外縁から切り込まれて形成された切り込み部とを有する側部と、前記基体部の側部から折り曲げられ前記回動軸に沿って外方向に延出する延出部を有して形成された長手側部と、より成り、前記延出部は、前記切り込み部に係合すると共にその先端側に前記側部の外面よりも外側方向に突出する突出部を有するベースフレームを備え、
前記固定体は、
第2の貫通孔を有するブラケットと、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に挿通されると共に前記ベースフレームを前記ブラケットに対して回動自在に支持するよう該ブラケットに固定されたスタッドと、を備え、
前記ベースフレームの前記突出部が、前記ブラケットに対する所定の角度位置で、前記ブラケットまたは前記スタッドに当接して、前記回動体の前記固定体に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項3】
回動体を固定体に対して回動軸の回りに相対的に回動可能に支持するよう構成されたヒンジ装置において、
前記回動体は、
前記回動軸に沿って延在する基体部と、該基体部の端部から前記回動軸に直交する方向に折り曲げられて延出し前記回動軸を中心軸とする第1の貫通孔と外縁から切り込まれて形成された切り込み部とを有する側部と、前記基体部の側部から折り曲げられ前記回動軸に沿って外方向に延出する延出部が有して形成された長手側部と、より成り、前記延出部は、前記切り込み部に係合すると共にその先端側に前記側部の外面よりも外側方向に突出する突出部を有するベースフレームを備え、
前記固定体は、
基面部と、該基面部の縁部から折り曲げられて延出する第1及び第2の側面部と、該第2の側面部から前記第1の側面部と重なるように折り曲げられて延出する重畳面部と、前記第1の側面部と前記重畳面部とのそれぞれに、少なくとも両面部を貫く開口部を有するように形成された第2及び第3の貫通孔と、を有するブラケットと、前記第1の貫通孔と前記開口部とに挿通されると共に前記ベースフレームを前記ブラケットに対して回動自在に支持するよう該ブラケットに固定されたスタッドと、を備え、
前記ベースフレームの突出部が、前記ブラケットに対する所定の角度位置で、前記第1の側面部,前記重畳面部または前記スタッドに当接して、前記回動体の前記固定体に対する回動が規制されて成ることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項4】
本体部と、画像を表示する画像表示部と、該画像表示部を前記本体部に対して少なくとも1軸回りの回動により開閉させるヒンジ装置と、を備え、
該ヒンジ装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヒンジ装置であり、
前記固定体は前記本体部側に連結され、前記回動体は前記画像表示部側に連結されて成る画像表示装置。
【請求項5】
前記ヒンジ装置による回動の規制は、
前記画像表示部を前記本体部に対して開く方向に行われるよう構成されたことを特徴とする請求項4記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−51338(P2008−51338A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191991(P2007−191991)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】