説明

ヒータ装置および恒温装置

【課題】複数のヒータへの通電制御において、ヒータを含む回路の異常検出は、ヒータの通電状態(発熱動作中)で行う必要があったため、異常が伴う回路へ電源をいきなり通電することとなり、安全性に課題を有していた。
【解決手段】少なくとも二本のヒータ3、4を具備したヒータ回路において、電源の供給前にヒータ3、4を含む回路の異常有無の検出を行うことにより、事前の異常検出を可能にし、異常を検出した場合における回路への通電を停止して、機器の破損防止、保護をはかるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のヒータを具備し、電源の電圧値に応じて前記ヒータへの通電系統を切換えるヒータ装置において、該ヒータへの通電前にヒータを含む通電系統の異常の有無を検出する異常検出機能を具備したヒータ装置、およびそのヒータ装置を熱源とする恒温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源電圧の変動に伴い、ヒータへの通電を制御する構成として、複数のヒータを具備し、電源電圧の変動に伴って前記ヒータの通電回路を、複数のヒータが直列接続となる回路、あるいは複数のヒータが並列接続となる回路に切換える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる構成は、電源となる電気二重層コンデンサの放電電圧が開始された状態において、ヒータの温度を検出し、放電開始前の温度との比較において、電気ヒータの温度上昇がない場合でも、電気二重層コンデンサの端子電圧の低下に合せて強制的にヒータの抵抗値を下げ、電気二重層コンデンサから定電力放電に近い放電を実現させるものである。
【0004】
また、他の通電制御として、前記ヒータに電力を供給するバッテリーの出力電圧を検出するバッテリー電圧検出手段を備え、前記電力供給制御手段により、前記バッテリーの出力電圧に応じて電気信号のデューティ比を制御し、前記ヒータに電力を供給することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、通電制御するヒータ回路の異常を検出する方法として、回路を流れる電流値、あるいはその電流値の合計値を算出し、その値によってヒータの断線を検出することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、異なる検出方法として、ヒータの駆動、停止を制御する駆動部と並列にフォトカプラを接続し、駆動部の停止時における前記フォトカプラの動作状態で、駆動部の短絡故障、またはヒータの断線の有無を検知する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2005−069593号公報
【特許文献2】特開2005−002814号公報
【特許文献3】特開2007−178166号公報
【特許文献4】特開2002−359055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記特許文献1の制御構成は、ヒータに対する電力供給元が、交流電源のみ、蓄電装置のみ、交流電源と蓄電装置との並列接続、交流電源と蓄電装置の直列接続と選択可能であるため、ヒータに印加される電圧値は、電源の選択状態によって異なる制御構成である。
【0008】
したがって、通電状態にあるヒータには、大幅に異なる電圧値が印加されることとなり、この電圧値の変化に伴ってヒータの発熱量も変化する。これに伴い、ヒータにかかる熱応力も安定し難く、これに起因してヒータは劣化が進み易い条件にあり、ヒータの長寿命化をはかることが困難であった。
【0009】
また、上記特許文献2の制御構成は、デューティ制御を行なうにあたり、一定時間当たりの消費電力を一定とすることはできるものの、単位時間で区切ると100%の通電と0%(OFF通電)とを組合せた制御である。
【0010】
したがって、ヒータは、通電時において熱応力が断続的に作用した状態となっており、この断続的な熱応力に伴う劣化が進行し、寿命を縮めるという課題を有していた。
【0011】
さらに、上記特許文献3に記載された検出方法は、ヒータの断線の有無を電流値の合計によって行うため、ヒータの断線の有無は検知できるものの、周辺回路の部品の短絡等、ヒータ以外の回路の故障の検出を行なうことが難しいという課題を有していた。特に、回路構成が複雑な場合は、ヒータ以外の回路の故障の検出がさらに困難、かつ複雑化するものである。
【0012】
また、上記特許文献4に記載された検出方法は、ヒータを含む回路の異常を検出することのみにフォトカプラを用いているため、フォトカプラを含む異常検出回路の付加価値を高めることが困難であり、製造コストの低減化をはかることが困難な構成である。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、電源電圧が異なる場合であっても、それぞれのヒータに印加される電圧を一定の範囲に維持し、ヒータにかかる熱応力を安定させ、ヒータの長寿命化を可能とするものである。
【0014】
また、本発明は、少なくとも二本のヒータを具備した通電回路において、電源の電圧値に対応して前記ヒータの通電経路を切換えることにより、前記ヒータの劣化の進行を抑制し、さらに、前記通電経路の切換えを行う切換え手段に、該通電経路の異常の有無を検出する回路構成機能を付加し、回路の簡素化をはかるとともに、回路における異常個所の絞込みを可能にし、保守・点検作業の容易化をはかることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明は、複数のヒータと、前記各ヒータを挟んで前記電源の駆動極側および基準極側に接続された切換え手段と、前記電源の電圧値に応じて前記切換え手段を動作させ、前記複数のヒータを直列接続系統あるいは並列接続系統とする通電制御手段を具備したヒータ装置において、前記複数のヒータへの通電前に、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータにおける通電経路を形成する切換え手段の異常の有無を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段を通電動作、あるいは停止動作とする駆動手段を設けたものである。
【0016】
これにより、前記切換え手段は、前記各ヒータへの通電回路を形成する機能に加えて、異常検知回路を形成する機能を備え、回路形成部材としての付加価値を高めることができる。
【0017】
また、前記各ヒータの通電前に、前記複数のヒータの直列接続系統あるいは並列接続系統の異常の有無を検出するため、ヒータ装置の安全性および信頼性を高めることができる。
【0018】
さらに、電源の電圧値に応じて前記複数のヒータの接続系統を切換えるため、特定のヒータに突出した電圧値がかかることもなく、前記各ヒータの劣化の進行を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のヒータ装置は、駆動前に、複数のヒータの実通電回路状態における異常の有無を検出することができるため、高い精度の異常の有無検出が行え、ヒータ装置の安全性および信頼性を高めることができる。
【0020】
また、電源の電圧値が所定の範囲外の電圧値の場合は、前記ヒータ装置への通電を行わないため、過剰な電圧値の印加による前記ヒータの破損等を防止することができる。
【0021】
さらに、前記電源の電圧値に応じて前記複数のヒータの接続系統を、直列接続系統あるいは並列接続系統に切換えるため、特定のヒータに突出した電圧値がかかることもなく、前記各ヒータの発熱を所定の範囲で安定させることができる。その結果、前記各ヒータに過剰な熱応力が作用することも抑制でき、これに起因するヒータの劣化の進行を抑制し、ヒータの寿命を長期化することができる。
【0022】
また、前記切換え手段は、前記各ヒータへの通電回路を形成する機能に加えて、異常検出回路を形成する機能を備えることとなり、回路形成部材としての付加価値を高めることができ、製造コストを抑制することができる。
【0023】
さらに、本発明のヒータ装置は、前記複数のヒータ回路を直列に接続する短絡スイッチ回路に短絡スイッチ手段を設けているため、前記複数のヒータ回路を直列接続あるいは並列接続とする通電回路の異常有無の検出を、前記ヒータ回路単位で独立して行うことができるため、異常が検出された場合における異常個所の特定が容易であり、補修作業を円滑に行うことができる。
【0024】
また、本発明の恒温装置は、ヒータ装置の長寿命化に伴い、長期に亘って高い信頼性を発揮することができ、さらに安定した温度管理が可能となり、恒温装置の信頼性、および安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
請求項1に記載の発明は、電源の電圧値を検出する電圧検出手段と、直流電圧が印加される複数のヒータと、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定の範囲内の場合に前記複数のヒータへの通電を可能とする制御手段を具備し、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータにおける前記電源の駆動極側および基準極側に接続された切換え手段と、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定値以上の場合に前記複数のヒータを直列接続系統とし、前記検出された電圧値が所定値以下の場合に前記複数のヒータを並列接続系統とするように前記各切換え手段を動作させ、かつ前記複数のヒータへの通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータにおける通電経路を形成する切換え手段の異常の有無を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続された切換え手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記切換え手段の異常動作の有無を検出するようにしたものである。
【0026】
かかることにより、前記各ヒータへ電源を投入する、所謂ヒータ装置の駆動前に、前記複数のヒータの直列接続系統あるいは並列接続系統の異常の有無を検出することができるため、ヒータ装置の安全性および信頼性を高めることができる。特に、前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態としての異常有無の検出であるため、実通電回路に則しての異常の有無を検出することができ、前記安全性および信頼性を一層高めることができる。
【0027】
また、前記電源の電圧値が所定の範囲外の電圧値の場合は、前記ヒータへの通電を行わないため、過剰な電圧値の印加による前記ヒータの破損等を防止することができる。
【0028】
さらに、前記電源の電圧値に応じて前記複数のヒータの接続系統を、直列接続系統あるいは並列接続系統に切換えるため、特定のヒータに突出した電圧値がかかることもなく、前記各ヒータの発熱を所定の範囲で安定させることができる。その結果、前記各ヒータに過剰な熱応力が作用することも抑制でき、これに起因するヒータの劣化の進行を抑制し、ヒータの寿命を長期化することができる。
【0029】
また、前記切換え手段は、前記各ヒータへの通電回路を形成する機能に加えて、異常検出回路を形成する機能を備えることとなり、回路形成部材としての付加価値を高めることができ、製造コストを抑制することができる。
【0030】
請求項2に記載の発明は、電源と、前記電源による直流電圧が印加される複数のヒータ回路と、前記複数のヒータ回路への通電を制御する制御手段を具備し、前記複数のヒータ回路を、前記電源の駆動極側に接続された駆動側スイッチ手段と、前記直流電圧が印加されるヒータと、前記電源の基準極側に接続された基準側スイッチ手段を順次直列に接続した構成とし、これら複数のヒータ回路を、前記電源に並列となるように接続し、さらに、前記各ヒータ回路における該ヒータの基準側端と前記基準側スイッチ手段の間を相互に接続する短絡回路を設け、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータの通電経路を並列接続系統回路、あるいは前記短絡回路を介しての直列接続系統回路に形成する信号を出力する回路形成手段と、前記回路形成手段の信号に基づき前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段および基準側スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させ、かつ前記複数のヒータ回路への通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータの通電経路を形成する前記駆動側、基準側の各スイッチ手段の異常の有無を検出し、前記通電制御手段へ出力する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記電源の前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続されたスイッチ手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して、前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記各スイッチ手段の異常動作の有無を検出するようにしたものである。
【0031】
かかる構成によれば、前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段および基準側スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させることにより、前記複数のヒータを、並列接続系統回路、あるいは前記短絡回路を介しての直列接続系統回路に形成することができ、用途に応じたヒータの発熱量を得ることができる。
【0032】
また、前記異常検出手段により、それぞれの接続系統回路における異常の有無を確認することができるため、前記各ヒータへ電源を投入する、所謂ヒータ装置の駆動前に、前記複数のヒータの直列接続系統あるいは並列接続系統の異常の有無を検出することができ、ヒータ装置の安全性および信頼性を高めることができる。特に、前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態としての異常有無の検出であるため、実通電回路に則しての異常の有無を検出することができ、前記安全性および信頼性を一層高めることができる。
【0033】
さらに、前記駆動側、基準側の各スイッチ手段は、前記各ヒータへの通電回路を形成する機能に加えて、異常検出回路を形成する機能を備えることとなり、回路形成部材としての付加価値を高めることができ、製造コストを抑制することができる。
【0034】
請求項3に記載の発明は、電源と、前記電源による直流電圧が印加される複数のヒータ回路と、前記複数のヒータ回路への通電を制御する制御手段を具備し、前記複数のヒータ回路を、前記電源の駆動極側に接続された駆動側スイッチ手段と、前記直流電圧が印加されるヒータと、前記電源の基準極側に接続された基準側スイッチ手段を順次直列に接続した構成とし、これら複数のヒータ回路を、前記電源に並列となるように接続し、さらに、導通状態および非導通状態を形成する短絡スイッチ手段を具備し、かつ前段のヒータ回路が後段のヒータ回路と直列となるように接続された短絡スイッチ回路を設け、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータの通電経路を並列接続系統回路、あるいは前記短絡スイッチ回路を介しての直列接続系統回路に形成する信号を出力する回路形成手段と、前記回路形成手段の信号に基づき前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段と基準側スイッチ手段および前記短絡スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させ、かつ前記複数のヒータ回路への通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータの通電経路を形成する前記駆動側、基準側の各スイッチ手段および前記短絡スイッチ手段の異常の有無を検出し、前記通電制御手段へ出力する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記電源の前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続されたスイッチ手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して、前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記各スイッチ手段の異常動作の有無を検出するようにしたものである。
【0035】
かかる構成によれば、前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段および基準側スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させることにより、前記複数のヒータを、並列接続系統回路、あるいは前記短絡回路を介しての直列接続系統回路に形成することができ、用途に応じたヒータの発熱量を得ることができる。
【0036】
また、前記異常検出手段により、それぞれの接続系統回路における異常の有無を確認することができるため、前記各ヒータへ電源を投入する、所謂ヒータ装置の駆動前に、前記複数のヒータの直列接続系統あるいは並列接続系統の異常の有無を検出することができ、ヒータ装置の安全性および信頼性を高めることができる。特に、前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態としての異常有無の検出であるため、実通電回路に則しての異常の有無を検出することができる。したがって、異常有無の検出処理が合理的であり、また前記安全性および信頼性を一層高めることができる。
【0037】
さらに、前記複数のヒータ回路を直列に接続する短絡スイッチ回路に短絡スイッチ手段を設けているため、前記複数のヒータ回路を直列接続あるいは並列接続とする通電回路の異常有無の検出を、前記駆動側スイッチ手段と、前記ヒータと、前記基準側スイッチ手段を順次直列に接続した個々の直列回路単位で独立して行うことができるため、異常が検出された場合における異常個所の特定が容易であり、補修作業を円滑に行うことができる。
【0038】
また、前記駆動側、基準側の各スイッチ手段は、前記各ヒータへの通電回路を形成する機能に加えて、異常検出回路を形成する機能を備えることとなり、回路形成部材としての付加価値を高めることができ、製造コストを抑制することができる。
【0039】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記電源の電圧値を検出する電圧検出手段を具備し、前記回路形成手段により、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定値以上の場合に前記ヒータを直列接続系統とし、前記検出された電圧値が所定値以下の場合に前記複数のヒータを並列接続系統とする信号を前記通電制御手段へ出力し、前記駆動側スイッチ手段および前記基準側スイッチ手段を動作させるものである。
【0040】
かかることにより、前記電源の電圧値が所定の範囲外の電圧値の場合は、前記ヒータ回路への通電を行わないため、過剰な電圧値の印加による前記ヒータの破損等を防止することができる。
【0041】
さらに、前記電源の電圧値に応じて前記複数のヒータの接続系統を、直列接続系統あるいは並列接続系統に切換えるため、特定のヒータに突出した電流が流れることもなく、ヒータの発熱を所定の範囲で安定させることができる。その結果、前記各ヒータに過剰な熱応力が作用することも抑制でき、これに起因するヒータの劣化の進行を抑制し、ヒータの寿命を長期化することができる。
【0042】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記複数のヒータへの連続通電が所定時間経過した場合に、前記複数のヒータへの通電を一時的に停止するタイマー手段を設けたものである。
【0043】
かかることにより、前記ヒータへの通電が所定時間連続通電状態にある場合、一時的に該ヒータへの通電を停止するため、万が一前記温度検出手段系統あるいは、通電経路を形成する切換え手段、駆動側、基準側の各スイッチ手段等に故障が発生した場合であっても、安全性を確保することができ、また、前記各ヒータへの通電前(再通電前)に行う異常の有無検出動作により、その異常も検出することができ、より安全性を確保することができる。
【0044】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記異常検出手段を、前記通電制御手段により形成された通電経路の通電結果を取込む異常確認手段と、前記通電経路に対応する正常な通電結果を認識した認識手段と、前記異常確認手段の通電結果と前記認識手段の通電結果を照合した判定結果を前記出力手段へ出力する判定手段を具備する構成としたものである。
【0045】
かかることにより、電源の通電経路の通電状態を基に異常の有無を判定することとなり、異常の有無の検出精度を高めることができる。
【0046】
請求項7に記載の発明は、請求項1または4から6のいずれか一項に記載の発明において、前記電圧検出手段によって前記電源電圧値の切換わりを検出したとき、前記複数のヒータへの通電を一旦遮断し、その後前記複数のヒータを、切換えられた電圧値に対応する接続系統に切換える制御を行うようにしたものである。
【0047】
かかることにより、前記複数のヒータの切換え動作が確実なものとなり、ヒータ装置の信頼性を高めることができる。
【0048】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、前記電源の基準極側に接続された切換え手段または基準側スイッチ手段を、前記電源の駆動極側に接続された切換え手段または駆動側スイッチ手段よりも先に動作させて基準側を通電可能な状態にし、その後に前記駆動極側に接続された切換え手段または駆動側スイッチ手段を動作させて前記複数のヒータへの通電を行うようにしたものである。
【0049】
かかることにより、前記複数のヒータへの通電に際し、駆動極と基準極の通電に時差を設けて基準極側の回路が形成された後に電圧が印加されるため、正規の回路への通電が安定して行え、誤動作を抑制して信頼性を高めることができる。
【0050】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、少な
くとも前記通電制御手段、前記異常検出手段、および前記出力手段を、マイクロコンピュータを主体とする回路より構成し、前記切換え手段または前記駆動側、基準側の各スイッチ手段を、半導体リレーより構成したものである。
【0051】
かかることにより、前記半導体リレーの動作信号を前記異常検出手段等へ取込み、該半導体リレーの動作確認信号とすることができるため、前記各半導体リレーを動作させる一連の制御動作で異常の有無が確認でき、異常の有無確認が合理的に行え、また、そのための回路構成も簡略化できる。
【0052】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、
前記複数のヒータに印加される電圧値の切換わりに伴い、前記複数のヒータの接続が直列接続系統あるいは並列接続系統に切換わった場合であっても、前記各ヒータに印加される電圧値が略同電圧値となるようにしたものである。
【0053】
かかることにより、前記各ヒータの通電状態は、接続形態にかかわらず、いずれも略同電圧値が印加されることとなり、前記各ヒータの発熱に伴う劣化を略一様化させることができる。したがって、特定のヒータの劣化促進に伴うヒータ装置の保守、交換等が短期化されることも抑制でき、ヒータ装置の稼動期間を長期化することができる。
【0054】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記各ヒータの定格を同一としたものである。
【0055】
かかることにより、前記各ヒータに印加される電圧値を同じとすることが容易となり、そのための回路構成も簡素化し易く、さらに、前記各ヒータの発熱量を同じ発熱量に統一し、各ヒータの劣化の進行も統一することができる。
【0056】
請求項12に記載の発明は、請求項9から11のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒータへの通電用の電圧値に設定された電源と、制御用の電圧値に設定された制御用電源を具備し、さらに、前記電源の駆動極側および基準極側に設けられた半導体リレーを、前記電源側に配置接続された一次側スイッチと、前記制御用電源によって駆動し、前記一次側スイッチを動作させる二次側スイッチを具備する構成としたものである。
【0057】
かかることにより、一次側スイッチでヒータ用の通電回路の通電を制御し、二次側スイッチで制御用の通電回路の通電を制御することができるため、電圧値の異なる相互の通電回路の干渉を抑制し、特に、制御用の通電回路の誤動作を防止することができる。
【0058】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記二次側スイッチを、前記一次側スイッチを動作制御するフォトカプラと、前記通電制御手段からの出力信号により前記フォトカプラを駆動制御するスイッチングトランジスタを具備する構成としたものである。
【0059】
かかる構成とすることにより、ヒータ用の通電回路と制御用の通電回路を、前記フォトカプラによって電気的に絶縁することができ、ヒータ用の通電回路に重畳するノイズ等が制御用の通電回路へ影響を与えることもなく、制御動作の信頼性を高めることができる。
【0060】
請求項14に記載の発明は、請求項2から13のいずれか一項に記載の発明において、前記異常検出手段を、前段のヒータ回路に接続された短絡回路または短絡スイッチ回路の電位値により発光する第一検出フォトカプラと、後段のヒータ回路の電位値により発光する第二検出フォトカプラを具備する構成とし、前記第一、第二の検出フォトカプラの受光側の電位値で異常の有無を判断するようにしたものである。
【0061】
かかることにより、前記ヒータ回路の通電前の異常の有無確認と通電中での異常の有無確認が行え、制御の信頼性をさらに高めることができる。
【0062】
請求項15に記載の発明は、制御機器等を格納する空間を具備した本体の前記空間内に、前記空間内を所定の温度に維持する温度制御装置および前記空間内の空気を循環させる送風手段を設け、前記温度制御装置の熱源に、請求項1から14のいずれか一項に記載のヒータ装置を用いた恒温装置である。
【0063】
かかることにより、長期に亘るヒータ装置の稼動による恒温制御が可能となり、恒温装置の付加価値を高めることができる。また、前記ヒータ装置の信頼性の向上に伴い、信頼性が高い高温装置を提供することができる。
【0064】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0065】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるヒータ装置の機能構成を示すブロック回路図である。図2は、同実施の形態1におけるヒータ装置の動作内容を示すフローチャートである。なお、本実施の形態1においては、便宜上、ヒータ通電のため(動力用)の電源に24V(ボルト)または48V(ボルト)の直流電源が用いられる場合とし、また、ヒータについては、同じ定格値のヒータを二本具備した構成を例に説明する。さらに、前記電源の電圧値24V、48Vが、若干の変動を含む電圧値であることはいうまでもない。
【0066】
図1において、ヒータ装置は、電源1から供給される電圧値を検出する電圧検出手段2と、後述する第一ヒータ3と第二ヒータ4と、電圧検出手段2による検出信号により、第一、第二の各ヒータ3、4における通電回路を、直列接続系統とするか並列接続系統とするかを判定する回路形成手段5と、第一ヒータ3と第二ヒータ4が配置された周辺の空気温度(熱媒体温度)を検出する温度検出手段6と、電圧検出手段2(回路形成手段5)による検出信号、および温度検出手段6による検出信号を入力し、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を制御する通電制御手段7と、通電制御手段7の信号により、第一、第二の各ヒータ3、4が直列接続(直列接続系統)、あるいは並列接続(並列接続系統)となる回路に切換え形成する切換え手段8と、切換え手段8の切換え動作に数マイクロ秒(数μ秒)程度の時差を形成する時差出力手段9と、時差出力手段9の時間制御に加え、第一、第二の各ヒータ3、4の連続通電時間を計測し、所定時間(例えば、10分)にわたって連続通電された場合に通電制御手段7へ信号を出力するタイマー手段10と、第一、第二の各ヒータ3、4を含む通電経路の断線の有無、または第一、第二の各ヒータ3、4の通電経路を形成する切換え手段8の異常の有無を検出し、通電制御手段7と異常表示手段14へ出力する異常検出手段11と、異常検出手段11の出力信号に応じて通電制御手段7へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段12と、電源1よりも低い電圧値に設定され、少なくとも回路形成手段5、通電制御手段7、切換え手段8、タイマー手段10、異常検出手段11、出力手段12を動作させるための制御用電源13を具備している。
【0067】
異常検出手段11は、制御用電源13によって駆動された通電制御手段7によってその動作が制御され、かつ電源1の駆動極(プラス極)+が通電された通電経路の通電結果を取込む異常確認手段11aと、通電経路に対応する正常な通電結果を認識(記憶)した認識手段11bと、異常確認手段11aの通電結果と認識手段11bの通電結果を照合した判定結果を出力手段12へ出力する判定手段11cを具備している。この判定手段11cは、異常を検出した時に異常表示手段14へも出力する。
【0068】
また、切換え手段8は、第一、第二の各ヒータ3、4それぞれにおいて各ヒータ3、4を挟むように直列接続されており、換言すると、電源1の駆動極(プラス極)+側と基準極(マイナス極)−側にそれぞれ接続されている。この切換え手段8は、電流の導通状態、非導通状態を形成する、所謂スイッチ機能を具備しており、非導通状態にある場合は、第一、第二の各ヒータ3、4の通電が停止された状態を形成する。
【0069】
また、タイマー手段10によって時間制御される時差出力手段9は、直列接続、あるいは並列接続状態にある第一、第二の各ヒータ3、4への通電に際し、電源1の基準極−側に接続された切換え手段8を電源1の駆動極+側に接続された切換え手段8よりも先に動作させ、通電可能な状態を形成する。
【0070】
上記構成において、図2を参照しながらヒータ装置における主要な動作の概要について説明する。
【0071】
ヒータ装置は、上述の如く直流の電源1に接続され、動作することを基調としているものであるが、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を除く以下の制御に関する処理動作は、制御用電源13を主体として行われるものである。
【0072】
Step1では、初期動作として電圧検出手段2によって電源1より印加される電圧値を検出し、回路形成手段5が、その信号を入力してその電圧値が設定範囲内の値(24Vから48V)であるか否か、および電圧値に変更があるか否かを検出する。
【0073】
このStep1において、検出した電圧値が設定した範囲外の場合、およびヒータ装置の動作途中において電圧値に変更が生じた場合は、Step2へ移行し、切換え手段8が動作してヒータ3、4への通電を行わないように回路を形成する(図1のヒータ通電OFF)。また、Step3において、第一、第二の各ヒータ3、4の連続通電時間を計測する、あるいは計測しているタイマー手段10の動作(後述するStep19)をリセット(カウントクリア)する。
【0074】
そして、Step4でStep2の処理(ヒータ通電OFF)が、後述するStep16の処理(ヒータ通電前の異常有の検出)に伴うものか否かを判定し、Step16の処理に伴う場合は、Step5(タイマー手段10による時間計測)およびStep6(計測時間到達の有無)の処理にて適宜設定された時間(例えば、5分)待機し、その時間経過後にStep1へ戻る。
【0075】
また、Step4でStep2の処理(ヒータ通電OFF)が、Step16の処理に伴わない場合は、Step7へ移行し、Step2の処理が、Step1に伴うものか、または後述するStep14の処理(ヒータ通電OFF温度の検出)に伴うものかを判定する。その結果が、Step1またはStep14の処理に伴う場合はStep1に戻り、Step1、またはStep14の処理に伴わない場合はStep8へ移行する。ここで、Step7からStep1への移行に際し、必要に応じてタイマー手段10による時間計測を行い、所定時間経過後に移行させるようにしてもよい。
【0076】
また、Step8では、後述する第一、第二の各ヒータ3、4の通電停止時間(例えば、2秒)の計測を行うために、タイマー手段10の動作を一旦リセット(ヒータタイマーOFFカウントクリア)し、Step9およびStep10へ移行する。
【0077】
Step9およびStep10では、上記Step4、Step7の判定結果からStep2の処理が後述するStep23の処理(第一、第二の各ヒータ3、4の連続通電時
間のタイマーカウントup)に伴うものとして、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を所定時間(例えば、2秒)強制的に停止するOFFカウント(時間計測)を行い、そのOFFカウントを終了した時点(Step10)でStep1に戻る。このOFFカウントは、タイマー手段10により行われる。また、Step23により、第一、第二の各ヒータ3、4の連続通電時間を制限している理由は、後述するStep15、Step16の処理を定期的に行うためである。
【0078】
一方、印加された電圧値が設定範囲内の場合、Step1からStep11へ移行し、電圧検出手段2によって例えば、48V(高い)か24V(低い)かを判定する。
【0079】
そして、Step11において、電源1の電圧値が確認されると、回路形成手段5が形成すべき回路(直列接続系統とするか並列接続系統とするか)を判断し、通電制御手段7、切換え手段8によって第一ヒータ3、第二ヒータ4を含む直列ヒータ通電回路(Step12)、または並列ヒータ通電回路(Step13)が形成される。なお、「直列ヒータ通電回路(Step12)の形成」、または「並列ヒータ通電回路(Step13)の形成」は、具体的には、関係部品が動作して回路を形成することに限るものではなく、直列ヒータ通電回路(Step12)、または並列ヒータ通電回路(Step13)を形成するための信号の出力が準備されることも意味するものである。このことは、以下の説明においても同様である。
【0080】
すなわち、Step11において、電源1の電圧値が48Vである(高い)と判定された場合は、Step12へ移行し、切換え手段8がそれぞれ動作して電源1による電流が、第一、第二の各ヒータ3、4を直列に流れるように回路が形成される。また、電源1の電圧値が24Vである(低い)と判定された場合は、Step13へ移行し、切換え手段8がそれぞれ動作して電源1による電流が第一、第二の各ヒータ3、4を並列に流れるように回路が形成される。そして、Step12またはStep13の処理が行われた後Step14へ移行する。
【0081】
ここで、本実施の形態1においては、便宜上電源1の電圧値が48Vの場合として説明する。したがって、第一、第二の各ヒータ3、4は、直列に接続された通電回路に形成される。
【0082】
このStep14では、温度検出手段6の信号に基づき、通電制御手段7が、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を行うか否かを判定する。ここで、第一、第二の各ヒータ3、4の周辺の空気温度(熱媒体温度)、所謂ヒータ装置を設置した環境温度が予め設定した温度よりも高い場合は、第一、第二の各ヒータ3、4への通電が不要であると判断し、前述の如くStep2へ移行し、Step3からStep7の処理が行われ、Step1へ戻る。
【0083】
また、Step14において、温度検出手段6の信号に基づき、通電制御手段7が、第一、第二の各ヒータ3、4への通電が必要と判定した場合は、Step15へ移行し、異常検出手段11によって直列接続(あるいは並列接続)された第一、第二の各ヒータ3、4を含む通電回路の異常の有無を検出する動作が行われる。
【0084】
なお、Step1において先に温度検出手段6による温度判定を行い、その後に電源1の電圧値の判定、および電源1の電圧値の変更有無を判定するようにすることも可能であることは、当業者であれば容易に理解できるところである。
【0085】
そして、Step15においては、制御用電源13で駆動された通電制御手段7によって形成され、かつ制御用電源13が通電された通電経路の通電結果、および電源1の駆動
極+を第一、第二の各ヒータ3、4の回路に接続した通電経路の通電結果を異常確認手段11aへ取込む処理が行われる。この異常の有無を検出する動作内容は、第一、第二の各ヒータ3、4の回路が直列接続であるか並列接続であるかによって異なるため、その詳細については後述する。また、電源1の駆動極+を第一、第二の各ヒータ3、4の回路に接続した通電経路は、異常有無の検出を行うための通電回路であり、抵抗器等によって微少の電流が流れる程度に構成されている。したがって、第一、第二の各ヒータ3、4は、発熱動作に至らない状態にあり、このように、発熱動作に至らないヒータへの通電は、本実施の形態における「ヒータへの通電」には該当しない。
【0086】
次に、Step16へ移行し、Step15の検出結果に対応した処理が行われる。すなわち、このStep16においては、異常検出手段11の判定手段11cによって、認識手段11bが認識(記憶)した通電経路に対応する正常な通電結果と、異常確認手段11aの通電結果を照合し、その判定結果を出力手段12へ出力する処理が行われる。このStep16において、第一、第二の各ヒータ3、4のいずれかの断線、あるいは通電回路を構成する部品の破損等に伴って異常有と判定された場合は、Step17へ移行し、異常表示手段14によって異常有の表示を行い、前述のStep2側へ移行する。
【0087】
したがって、異常有と判定された場合は、判定手段11cの結果が出力手段12へ出力され、この出力手段12の信号を入力した通電制御手段7からの信号により、切換え手段8が動作して第一、第二の各ヒータ3、4への通電を行わないように回路を形成(図1のヒータ通電OFF)し(Step2)、また、第一、第二の各ヒータ3、4の連続通電時間を計測する、あるいは計測しているタイマー手段10の動作をリセット(カウントクリア)する(Step3)。なお、第一、第二の各ヒータ3、4が未通電にある初期の段階は、タイマー手段10は、連続通電時間の計測動作を行っていないが、この場合も一旦リセットされる。
【0088】
そして、Step4では、Step2の処理(ヒータ通電OFF)が、Step16の処理(通電前の異常有の検出)に伴うものと判定し、Step5へ移行して異常検出に伴う動作の停止時間(例えば、5分)を計測し、Step6によるその時間の経過後にStep1へ戻り、前述の処理を繰り返す。このStep5、Step6での通電停止時間は、通電停止の目的等に応じて適宜設定することができるもので、タイマー手段10によって計測される。
【0089】
また、Step16において、第一、第二の各ヒータ3、4の通電回路に異常がないと判断された場合は、Step18へ移行して直列接続された第一、第二の各ヒータ3、4への通電が開始される。
【0090】
ここで、Step18での第一、第二の各ヒータ3、4への通電は、時差出力手段9により、電源1の基準極−側に接続された切換え手段8が、電源1の駆動極+側に接続された切換え手段8よりも先に動作して通電可能な状態を形成する。すなわち、電源1の駆動極+側に接続された切換え手段8が最後に動作することによって第一、第二の各ヒータ3、4への通電が開始される。
【0091】
そして、Step19では、タイマー手段10を動作させて第一、第二の各ヒータ3、4への通電時間の計測を開始し、Step20へ移行する。
【0092】
Step20では、Step15で行った第一、第二の各ヒータ3、4への通電前の異常有無の検出処理が初回であるか否かを判定し、初回であれば、Step21へ移行してStep17で処理した異常有の表示を解除し、次に、Step22へ移行してStep5で処理した異常検出タイマーカウントをリセットし、Step23へ移行する。
【0093】
ここで、Step21およびStep22の処理は、Step17の処理を行っていない場合、およびStep5、Step6の処理を行っていない場合も行われるものである。
【0094】
また、Step20において、異常有無の検出が初回でなければ、すなわち、Step1、Step11、Step14、および後述するStep23に基づいて停止した後の再通電において、Step15、Step16で異常検出処理を行った結果、異常有を発見することなくStep18(ヒータ通電)に移行した場合であれば、Step23へ移行する。
【0095】
そして、Step23では、前述のStep19における第一、第二の各ヒータ3、4への通電時間の計測結果に伴ってStep1へ戻り、予め設定した時間(例えば、10分)が経過するまでStep1、Step11からStep16、Step18からStep20、およびStep23の処理を繰り返し行い、その間第一、第二の各ヒータ3、4は発熱動作を行う。
【0096】
上述の処理の繰り返しにおいて、Step19における時間計測により、予め設定した時間(例えば、10分)が経過すると、Step23からStep2へ移行し、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止する。そして、Step19で処理した時間計測の結果をクリアし(Step3)、Step4からStep7、Step8、Step9へと移行する。
【0097】
このStep9においては、第一、第二の各ヒータ3、4への通電停止時間(例えば、2秒)が計測され、Step10において、その通電停止時間の経過が検出されると再びStep1へ移行し、上述の処理動作が繰り返し行われる。
【0098】
また、上述の如く、第一、第二の各ヒータ3、4への通電が正常の状態にある途中で、例えば、何らかの要因で電源1の電圧値が48Vから24Vに切換わった場合、あるいは規定の電圧値以外の電圧値(例えば、60V)が印加された場合であればStep1の処理により、また、第一、第二の各ヒータ3、4への連続通電に伴って第一ヒータ3と第二ヒータ4が配置された周辺の空気温度が上昇し、通電を要しない温度に到達した場合であればStep14の処理により、さらに、第一、第二の各ヒータ3、4への通電に異常が伴った場合であればStep16の処理により、Step2側のフローへ移行し、それぞれの要因に対応する処理が行われる。
【0099】
そして、再駆動され、前述の第一、第二の各ヒータ3、4の通電停止が、Step1、Step14の処理に伴う場合は、Step20での処理後Step23へ移行し、また、前述の第一、第二の各ヒータ3、4の通電停止が、Step16に伴う場合は、Step20での処理後、Step21、Step22へと移行する。
【0100】
上述の如く、Step1からStep23の処理を繰り返すことにより、直列に接続された第一、第二の各ヒータ3、4への通電が行われる。
【0101】
また、電源1の電圧値が24Vの場合、すなわち第一、第二の各ヒータ3、4が電源1に対して並列に接続された場合であっても、同様に処理が行われ、第一、第二の各ヒータ3、4への通電制御、および通電回路の異常の有無の検出とその検出に伴う対応処理が行われる。
【0102】
このように、本実施の形態1においては、第一、第二の各ヒータ3、4への通電に際し
、電源1の電圧値が高い(48V)場合は、第一、第二の各ヒータ3、4を直列接続とし、電源1の電圧値が低い(24V)場合は、第一、第二の各ヒータ3、4を並列接続として、第一、第二の各ヒータ3、4に流れるそれぞれの電流値を所定の範囲内とするもので、電圧値の変化に伴い、第一、第二の各ヒータ3、4の発熱量が大幅に変化することを抑制し、発熱に伴う熱応力に起因した第一、第二の各ヒータ3、4の劣化の進行を抑制して第一、第二の各ヒータ3、4の寿命を延長することができる。
【0103】
特に、第一、第二の各ヒータ3、4の定格値を同じとすることにより、特定の第一ヒータ3または第二ヒータ4に大電流が流れないようにし、劣化の進行を一様化することができる。その結果、ヒータ装置の保守・点検頻度を低くすることができる。
【0104】
また、第一、第二の各ヒータ3、4への通電に際し、時差出力手段9によって、電源1の基準極−側に接続された切換え手段8を電源1の駆動極+側に接続された切換え手段8よりも先に動作させ、通電可能な状態を形成することにより、電源1の駆動極+側から基準極−側への通電動作が確実となるため、正規の回路への通電が安定して行え、誤動作を抑制して信頼性を高めることができる。
【0105】
さらに、第一、第二の各ヒータ3、4の通電状態において、電源1の電圧値が変更となった場合は、Step2で第一、第二の各ヒータ3、4への通電を一旦停止し、再びStep1へ戻り、Step11、Step12あるいはStep13で切換え手段8を動作させ、電圧値に対応した回路形成を行うため、第一、第二の各ヒータ3、4の切換え動作が確実なものとなり、ヒータ装置の信頼性を高めることができる。
【0106】
また、電源1の電圧値およびヒータ装置周辺の空気温度が安定状態にあり、第一、第二の各ヒータ3、4への通電が所定時間連続通電状態にある場合においても、タイマー手段10がその連続通電時間(例えば、10分)を検出し、一時的にヒータ3、4への通電を停止する構成であるため、再通電の度にStep15、Step16で通電回路の異常の有無を検出することができる。したがって、通電制御における安全性を確保することができ、また、万が一温度検出手段6等の系統に故障が発生した場合であっても、定期的な通電停止により、安全性を確保することができる。
【0107】
さらに、異常検出手段11により、第一、第二の各ヒータ3、4への通電前の回路、および第一、第二の各ヒータ3、4への通電後の回路における異常の有無を検出し、異常を検出した場合に、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、異常を表示(報知)するため、異常状態での通電を防止し、ヒータ装置の安全性を確保することができる。
【0108】
また、上述の如く、第一、第二の各ヒータ3、4への通電途中における電源1の電圧値の変更、温度検出手段6による通電停止温度の検出、異常検出手段11による通電回路の異常有検出等に起因して第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電する場合においても、第一、第二の各ヒータ3、4への通電前に異常有無の検出動作処理を行うため、一時的な異常(自然復帰する異常現象)であれば、第一、第二の各ヒータ3、4への再通電が可能であり、また、恒久的な異常状態であれば、通電回路への通電に起因した回路部品等の破損を防止することができ、補修等の範囲の拡大を抑制することができる。
【0109】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるヒータ装置の回路構成図である。図4は、同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャートである。図5は、同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャートである。図6は、同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路の場合の異常検出動作
内容を示すフローチャートである。図7は、同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャートである。
【0110】
本実施の形態2は、先の実施の形態1で説明した動作を行うための回路を具現化したものであり、先の実施の形態1と同様の構成要件については、同一の符号を付して説明する。また、同定格値のヒータを二本採用し、電源の電圧値に対応して直列接続または並列接続に切換える制御を例に説明する。さらに、「ヒータへの通電」については、ヒータの発熱動作が伴う通電状態を意味する。
【0111】
図3において、電源1は、直流電圧を形成するもので、低電圧を出力するバッテリー(蓄電池)、あるいは交流を直流に変換する変換回路等より構成される。ここでは、定格電圧値が24Vのバッテリーと定格電圧値が48Vのバッテリーを採用する場合の構成を例に説明する。また、電圧検出手段2は、電源1の電圧値を検出し、その検出結果を出力するもので、周知の構成からなるものである。
【0112】
温度検出手段6は、ヒータ装置の周辺の空気温度値を検出し、その検出結果を出力するもので、サーミスタ等の周知の構成要件で構成されている。
【0113】
制御手段15は、少なくとも電圧検出手段2および温度検出手段6からの信号を入力し、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を制御するもので、実施の形態1における回路形成手段5と、通電制御手段7と、時差出力手段9と、タイマー手段10と、異常検出手段11と、出力手段12と、制御用電源13の機能等を具備している。
【0114】
この制御手段15は、周知の如くマイクロプロセッサーを主体とする回路構成であり、複数の入力ポートP01、P02、P03、P21、P41と、複数の出力ポートP11、P12、P13、P14、P15、P31、および制御用電源13の機能を果たす電源ポートVb、Vccを具備している。そして、前述の電圧検出手段2および温度検出手段6は、入力ポートP21および入力ポートP41にそれぞれ接続され、出力ポートP31には、異常表示手段14の異常表示機能を具備し、必要に応じてヒータ装置の運転状態等を表示する表示手段16が接続されている。この表示手段16は、周知の如くLED表示装置等の他に、異常表示に代えて警報を出力する警報器とする、あるいは警報機能を付加する構成であってもよい。
【0115】
ここで、入力ポートP01、P02、P03、P21、P41は、周知の如くレベルの異なるHi信号およびLo信号を入力し、出力ポートP11、P12、P13、P14、P15、P31は、周知の如く駆動のためのON信号および停止のためのOFF信号を出力(以下、ON出力、OFF出力と称す)するもので、これらの入力、出力動作に基づき、制御手段15において第一ヒータ3および第二ヒータ4の通電回路の形成、および第一、第二の各ヒータ3、4への通電要否の判定、制御等が行われる。
【0116】
また、電源ポートVbには、接点式のサーモスタット21が接続されており、温度検出手段6の検出温度によって制御する温度よりも高い、所謂異常温度を検出したときに断線動作(以下、OFF動作と称す)し、通常は導通動作(以下、ON動作と称す)状態にある。
【0117】
サーモスタット21の信号は、分圧抵抗31、32を介して保護抵抗33、通電制御用の通電トランジスタ(スイッチングトランジスタ)34を通り、制御手段15の入力ポートP01へ入力される。この入力ポートP01は、電源ポートVccに対してプルアップ抵抗41を介して接続されており、サーモスタット21がON動作している時はLo信号が入力され、OFF動作している時はHi信号が入力される。サーモスタット21がOF
F動作した時は、制御手段15で処理された制御内容に関わらず優先して第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を停止する。必要に応じて、サーモスタット21のOFF動作を、表示手段16によって表示することもできる。
【0118】
第一、第二の各ヒータ3、4のそれぞれは、スイッチ機能として動作する第一から第四の電解効果トランジスタ(以下、FETと称す)17、18、19、20と、規定の電流値を越えたときに、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、第一、第二の各ヒータ3、4の保護を行う電流ヒューズ、復帰型の電流遮断器等で構成される第一、第二の電流保護装置22、23を具備したそれぞれの直列回路内に、直列となるように配置接続されている。
【0119】
上記第一、第二の各ヒータ3、4を具備した各直列回路は、並列に接続され、過剰な電流が流れたときに第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止する電流ヒューズ等で構成される過電流保護装置24を介して、電源1の駆動極+と基準極−に接続されている。
【0120】
また、第二ヒータ4を具備した直列回路には、第五FET25が第二ヒータ4と並列に接続されている。この第五FET25は、ドレイン側が第三FET19と第二温度保護装置23の間に接続され、ソース側が電源1の基準極−に接続されている。
【0121】
第一から第五の各FET17、18、19、20、25は、それぞれ第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30と対を成して動作するもので、第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30の受光側が第一から第五の各FET17、18、19、20、25のゲート側に接続されている。かかることにより、第一から第五の各FET17、18、19、20、25は、第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30のON動作(発光動作)およびOFF動作(消光動作)に伴ってON動作(導通動作)およびOFF動作(断線動作)が可能となる。
【0122】
さらに、第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30は、それぞれ第一から第五の各スイッチングトランジスタ(以下、トランジスタと称す)35、36、37、38、39と対を成して動作するもので、周知の如く各トランジスタ35、36、37、38、39のON動作およびOFF動作により発光側がON動作およびOFF動作し、これに伴って受光側もON動作およびOFF動作する。
【0123】
換言すると、第一から第五の各FET17、18、19、20、25、および第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30、および第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39は、それぞれ対を成すことにより、実施の形態1で説明した切換え手段8を構成しており、電源1の電流が流れる第一から第五の各FET17、18、19、20、25は、本発明の一次側スイッチに相当し、第一から第五の各フォトカプラ26、27、28、29、30、および第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39は、その機能から本発明の二次側スイッチに相当している。また、電源1の駆動極+側の通電を制御する第一FET17、第三FET19、第五FET25、および第一トランジスタ35、第三トランジスタ37は、同様にその機能から本発明の駆動側スイッチ手段に相当し、電源1の基準極−側の通電を制御する第二FET18、第四FET20、第五FET25、および第二トランジスタ第四トランジスタ29、第五トランジスタ30は、同様にその機能から本発明の基準側スイッチ手段に相当している。
【0124】
なお、以下の説明において、説明の便宜上フォトカプラの各端子を、発光側においてはダイオードで定義されるアノードおよびカソードと称し、受光側においてはトランジスタで定義されるコレクタおよびエミッタと称して説明する。
【0125】
第一および第三の各FET17、19のゲートは、保護抵抗42、44を介して第一および第三の各フォトカプラ26、28のコレクタにそれぞれ接続され、第二、第四および第五の各FET18、20、25のゲートは、電流制限抵抗43、45、46を介して第二、第四、第五の各フォトカプラ27、29、30のエミッタに接続されている。
【0126】
また、第一および第三の各フォトカプラ26、28のエミッタは、第一および第三の各フォトカプラ26、28の動作を安定させる電流制限抵抗47、49を介して電源1の基準極−に接続され、第二、第四および第五の各フォトカプラ27、29、30のコレクタは、第二、第四および第五の各フォトカプラ27、29、30の保護を行う保護抵抗48、50、51を介して電源1の駆動極+に接続されている。
【0127】
さらに、第一および第三の各フォトカプラ26、28のそれぞれのアノードは、プルアップ抵抗52、54およびサーモスタット21を介して電源ポートVbと接続され、第二、第四および第五の各フォトカプラ27、29、30のそれぞれのアノードは、プルアップ抵抗55、56、57を介して電源ポートVccと接続されている。
【0128】
そして、制御手段15の出力ポートP11、P12、P13、P14P、P15は、第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39のベースにON信号あるいはOFF信号を出力する。
【0129】
また、第一ヒータ3と第二FET18の間、および第二ヒータ4と第四FET20の間には、第一および第二の各ヒータ3、4における基準側を短絡する短絡ライン(短絡回路)60が接続されている。この短絡ライン60には、プルアップ抵抗59を介して第六フォトカプラ58の発光側が接続されている。また第六フォトカプラ58における受光側のコレクタは、保護抵抗61およびプルアップ抵抗41を介して入力ポートP01に接続されている。さらに、第六フォトカプラ58における受光側のコレクタは、制御手段15の入力ポートP02にも接続されている。この第六フォトカプラ58は、本発明の第一検出フォトカプラに相当する。
【0130】
さらに、第三FET19と第二電流保護装置23の間には、第七フォトカプラ62における発光側のアノードがプルアップ抵抗63を介して接続され、また、第七フォトカプラ62における発光側のカソードは、電源1の基準極−に接続されている。さらに、第七フォトカプラ62における受光側のコレクタは、保護抵抗64およびプルアップ抵抗41を介して入力ポートP01に接続されている。また、第七フォトカプラ62における受光側のコレクタは、制御手段15の入力ポートP03にも接続されている。この第七フォトカプラ62は、本発明の第二検出フォトカプラに相当する。
【0131】
ここで、電源1の電流が流れる各抵抗48、50、51、59、63の抵抗値は、第二、第四、第五、第六、第七の各フォトカプラ27、29、30、51、62の保護のために、第一、第二の各ヒータ3、4の抵抗値(例えば、数オーム)に対して相応の抵抗値が設定されており、電源1の電流によって破壊されないように考慮されている。
【0132】
次に、図3における回路の通電動作について説明する。なお、便宜上、図2を参照しながらヒータ装置が正常に動作する主要な内容を主体に説明し、図2のStep15、Step16の異常の有無検出動作については後述する。
【0133】
図2および図3において、電源1として電圧値48Vが採用された場合、電圧検出手段2がこれを検出し(Step1)、制御手段15はヒータ装置を動作させる規定電圧値であることを認識する(Step11)。
【0134】
ここで、前記電圧値がヒータ装置を動作させる規定電圧の範囲外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0135】
そして、制御手段15は、電源1の電圧値が48Vであることから第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電が直列となるように回路を構成する(Step12)。
【0136】
一方、制御手段15は、温度検出手段6の検出温度を入力し、ヒータ装置を動作させる温度条件であることを認識する(Step14)。
【0137】
ここで、前記検出温度がヒータ装置を動作させる温度条件外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0138】
そして、温度検出手段6による検出温度が、ヒータ装置を動作させる温度条件になると、Step15、Step16の異常検出処理が行われるが、この場合は回路に異常がないため、Step16からStep18、Step19へ移行し、直列に接続された第一、第二ヒータ3、4への通電および通電時間の計測が開始される。
【0139】
すなわち、第一ヒータ3および第二ヒータ4が直列に接続された通電回路形成は、制御手段15により第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39の動作を制御することによって形成される。具体的には、最初に第五トランジスタ39を動作させて第五フォトカプラ30を駆動し、第五FET25をON動作とする。
【0140】
そして、第五フォトカプラ30のON動作から例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35をON動作させ、第一フォトカプラ26をON駆動することにより、第一FET17がON動作し、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この数μ秒程度の遅延動作は、実施の形態1で説明した時差出力手段9の機能によるもので、本実施の形態2においては、制御手段15の内部での処理により行われる。
【0141】
したがって、第一ヒータ3と第二ヒータ4の直列回路には、電圧値48Vの電圧が印加された状態であるが、第一、第二それぞれのヒータ3、4にかかる電圧値は、第一、第二の各ヒータ3、4の定格値が同一であることから共に24Vである。
【0142】
上述の制御の結果、第二から第四の各トランジスタ36、37、38はそれぞれ動作しないため、第二から第四の各フォトカプラ27、28、29および、第二から第四の各FET18、19、20もそれぞれOFF状態にある。
【0143】
したがって、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一電流保護装置22、第一ヒータ3、短絡ライン60、第二ヒータ4、第二電流保護装置23、第五FET25、電源1の基準極−へと電流が流れる回路が形成され、電流は、第一ヒータ3と第二ヒータ4の直列回路を流れる。
【0144】
この通電回路において、第一ヒータ3と第二ヒータ4には、第一ヒータ3と第二ヒータ4が同定格値であることから、それぞれには24Vが印加されており、一方のヒータにかかる電圧値(電流値)が突出した値となることはない。
【0145】
そして、第一ヒータ3と第二ヒータ4への連続通電が所定時間(例えば、10分)経過した場合(Step23)、あるいは、温度検出手段6による検出温度がヒータ装置の運転を必要としない温度となる(Step14)等に伴い、第一ヒータ3と第二ヒータ4への通電を停止する場合は、先に第一トランジスタ35をOFF動作させて第一フォトカプラ26、および電源1の駆動極+側にある第一FET17をOFF動作させ、この第一フ
ォトカプラ26のOFF動作から例えば数μ秒程度遅延して第五トランジスタ39および第五フォトカプラ30をOFF動作させて電源1の基準極−側にある第五FET25をOFF動作することにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する(Step2)。この数μ秒程度の遅延動作は、制御手段15の内部での処理により行われる。
【0146】
その後、再びヒータ装置の運転を行う条件が発生すると、前述の如く第五トランジスタ39を動作させて第五フォトカプラ30を駆動し、第五FET25を先にON動作とする。そして、第五フォトカプラ30のON動作から例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35を動作させて第一フォトカプラ26を駆動することにより、第一FET17がON動作して再度第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この数μ秒程度の遅延動作も、上述の如く制御手段15の内部での処理により行われるものである。
【0147】
以下、上述の動作を繰り返すことにより、適宜ヒータ装置を動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱作用によって熱媒体である空気を加熱することができ、また第一ヒータ3、第二ヒータ4の輻射熱によってヒータ装置の周辺を加熱することができる。
【0148】
次に、電源1に電圧値24Vが採用された場合について説明する。
【0149】
図2、図3において、電源1として電圧値24Vが採用された場合、電圧値48Vのときと同様に、電圧検出手段2がこれを検出し(Step1)、制御手段15はヒータ装置を動作させる規定電圧値であることを認識する(Step11)。
【0150】
ここで、前記電圧値がヒータ装置を動作させる規定電圧の範囲外である場合は、電圧値が48Vの場合と同様に、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0151】
そして、制御手段15は、電源1の電圧値が24Vであることから第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電が並列となるように回路を構成する(Step13)。
【0152】
一方、制御手段15は、温度検出手段6の検出温度を入力し、ヒータ装置を動作させる温度条件であることを認識する(Step14)。
【0153】
ここで、前記検出温度がヒータ装置を動作させる温度条件外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0154】
そして、温度検出手段6による検出温度が、ヒータ装置を動作させる温度条件になると、Step15、Step16の異常検出処理が行われるが、この場合は回路に異常がないため、Step16からStep18、Step19へ移行して並列に接続された第一、第二ヒータ3、4への通電および通電時間の計測が開始される。
【0155】
すなわち、第一ヒータ3および第二ヒータ4が並列に接続された通電回路形成は、制御手段15により第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39の動作を制御することによって形成される。具体的には、最初に第二トランジスタ36および第四トランジスタ38を動作させて第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29を駆動し、電源1の基準極−側に接続された第二FET18および第四FET20をON動作とする。
【0156】
そして、48Vのときと同様に第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29のON動作から例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35と第三トランジスタ37を動作させ、第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28をそれぞれ駆動することによ
り、電源1の駆動極+側に接続された第一FET17と第三FET19をON動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この数μ秒程度の遅延動作は、制御手段15の内部での処理により行われる。
【0157】
したがって、第一ヒータ3と第二ヒータ4が並列に接続されていることに伴い、第一、第二それぞれのヒータ3、4にかかる電圧値は共に24Vである。
【0158】
上述の制御の結果、第五トランジスタ39が動作しないため、第五フォトカプラ30および第五FET25はOFF状態にある。その結果、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一電流保護装置22、第一ヒータ3、第二FET18、電源1の基準極−へ電流が流れる回路と、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第三FET19、第二電流保護装置23、第二ヒータ4、第四FET20、電源1の基準極−へ電流が流れる回路が形成され、電流は、第一ヒータ3と第二ヒータ4の並列回路を流れる。
【0159】
この通電回路においても、電圧値48Vの場合と同様に、第一ヒータ3と第二ヒータ4には、それぞれ24Vが印加されており、第一ヒータ3と第二ヒータ4が同定格値であることもあって、一方のヒータを流れる電流値が突出した値となることはない。
【0160】
そして、第一ヒータ3と第二ヒータ4への連続通電が所定時間経過した場合(Step23)、あるいは、温度検出手段6による検出温度がヒータ装置の運転を必要としない温度となる(Step14)等に伴い、第一ヒータ3と第二ヒータ4への通電を停止する場合は、先に第一トランジスタ35と第三トランジスタ37をそれぞれOFF動作させて第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28をOFF動作させ、これに伴い電源1の駆動極+側にある第一FET17および第三FET19をOFF動作させる。さらに、この第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28のOFF動作から例えば数μ秒程度遅延して第二トランジスタ36と第四トランジスタ38をOFF動作させ、第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29をOFF動作させる。これに伴い、電源1の基準極−側にある第三FET18と第四FET20がOFF動作し、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止する(Step2)。
【0161】
その後、再びヒータ装置の運転を行う条件が発生すると、前述の如く第二トランジスタ36、第四トランジスタ38を動作させて第二フォトカプラ27と第四フォトカプラ29を駆動し、第二FET18と第四FET20を先にON動作する。そして、例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35と第三トランジスタ37を動作させて第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28を駆動することにより、第一FET17および第三FET19がそれぞれON動作して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この数μ秒程度の遅延動作も、上述の如く制御手段15の内部での処理により行われるものである。
【0162】
以下、上述の動作を繰り返すことにより、適宜ヒータ装置を動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱作用によって熱媒体である空気を加熱することができ、また第一ヒータ3、第二ヒータ4の輻射熱によってヒータ装置の周辺を加熱することができる。
【0163】
次に、図4、図5、図6、図7を参照しながら、図3に示すヒータ装置の異常の有無検出から通電までの動作について説明する。
【0164】
まず、電源1に、定格電圧値が直流48Vを用いた場合について図4、図5を参照しながら説明する。この場合は、電源1の電圧値が高いため、第一ヒータ3、第二ヒータ4は、電源1に対して直列接続となる回路が形成される。
【0165】
図4は、図2におけるStep15およびStep16の異常検出処理のフローを示し、図5は、正常なヒータ通電状態における通電回路の主要部位の動作内容を示すもので、以下の説明は、図2において、Step1からStep14までの処理が完了し、電源1は、電圧値が48Vで、制御手段15においては、第一ヒータ3および第二ヒータ4が直列に接続される通電回路を形成するように信号を出力する準備が整い、温度検出手段6による検出温度も、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を要する温度にある環境条件での説明である。
【0166】
図4、図5において、異常検出処理は、制御手段15における信号の入出力動作により、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電前に行われる。
【0167】
すなわち、異常検出のための初期設定として、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットする(Step101)。
【0168】
次に、初期確認として、Step101の状態で第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62の動作状態を確認する(Step102)。このStep102において、正常であれば第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は、共にOFF動作となる。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep112における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における異常確認手段11aの通電結果と認識手段11bの通電結果の照合を行い、判定結果を出力手段12へ出力する判定手段11cの処理動作に相当する。以下、この判定手段11cの処理動作を、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作と称して説明する。
【0169】
すなわち、正常であれば入力ポートP02、P03には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号がそれぞれ入力され、第一フォトカプラ26から第七フォトカプラ62のすべてがOFF動作となる。したがって、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電回路は形成されることがない。かかる状態は、図5のt1で示す区間である。
【0170】
ここで、上記論理以外の信号(いずれか一方にLo信号、または共にLo信号)が入力ポートP02、P03へ入力されると、異常と判定され、Step103へ移行して異常有の処理が行われる。この異常有の処理は、図2におけるStep17(異常表示)以降の処理が行われる。
【0171】
Step102で異常の対象となる箇所は、入力ポートP02、P03に接続された第六、第七のフォトカプラ58、62の短絡故障、もしくは、出力ポートP11、P12の出力経路上の部品(第一、第三のトランジスタ35、37、あるいは第一、第三のフォトカプラ26、28、さらに第一、第三のFET17、19が対象)の短絡故障、破損が想定される。
【0172】
次に、Step104において一次設定を行う。この一次設定は、引き続き制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットした状態から出力ポートP11のみをON出力するものである。ここで、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を引き続きOFF出力とする処理は、次の異常の確認処理を行なうに当たり、Step102での初期確認動作を行った制御手段15を一旦リセットすることにより、各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにするためであり、図5のt2で示す区間が
相当する。この区間t2の長さは、例えば数μ秒程度の長さでよく、任意に設定することができる。
【0173】
すなわち、本実施の形態2においては、第一、第二の各ヒータ3、4の駆動経路に、第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第七のフォトカプラ26、27、28、29、30、58、62、さらに第一から第五のFET17、18、19、20、25を採用している。これら第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39のON動作、第一から第五のフォトカプラ26、27、28、29、30における各二次側(受光側)のON動作、第一から第五のFET17、18、19、20、25における各ゲートのON動作は、制御手段15の各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15のON出力動作と同期するものの同時間ではなく、その信号の立ち上り(立ち下り)に微小な時間差を生じる。また、これらのOFF動作についても同様に、その信号の立ち下り(立ち上がり)にそれぞれ微小な時間差を生じる。
【0174】
また、第一から第五の各FET17、18、19、20、25の代わりにリレーを使用する場合についても、接点の反応時間に微小な時差が生じる。
【0175】
したがって、制御手段15の各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15において、即座に次のポート出力を行ってしまうと、同時にON動作させない組合せの経路が一瞬ON動作する可能性があり、それを避けるためにt2の区間を設けている。
【0176】
また、異常確認を行なう対象部品のON・OFF動作を、次の動作工程へ移行するまでに確実に終了させるためにも、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を一旦OFF出力する処理は好ましい。
【0177】
このように、異常検出工程において、各動作工程の都度出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を一旦(例えば数μ秒)OFF出力する処理が伴うことにより、各動作工程における対象部品のON・OFF動作の確認に確実さが増す。
【0178】
そして、Step104において出力ポートP11のみをON出力した後、Step105において一次確認を行う。この一次確認は、第六、第七のフォトカプラ58、62が共にON動作であることを確認する。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の信号によって確認することができる。このStep115における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0179】
すなわち、正常であれば第六、第七の各フォトカプラ58、62が共にON動作していることから、入力ポートP02、P03にLo信号がそれぞれ入力され、第六、第七のフォトカプラ58、62は共にON動作となる。かかる状態は、図5のt3で示す区間である。
【0180】
さらに詳述すると、出力ポートP11のみがON出力しているとき、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26の各ON動作を介して第一FET17はON動作となり、この第一FET17を流れる電流は、第一ヒータ3を経由して第六フォトカプラ58を経由する経路と、短絡ライン60および第二ヒータ4を経由して第七フォトカプラ62を経由する経路に分岐する。その結果、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にON動作し、これに伴って入力ポートP02、P03はそれぞれ接地面と等しい電位となる。したがって、入力ポートP02、P03には共にLo信号が入力されることが正しい論理となる。
【0181】
もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03に入力された場合は、Step103へ移行し、異常有の処理が行われる。例えば、Step105において、第一ヒータ3、もしくは第二ヒータ4が断線していた場合、第六フォトカプラ58もしくは第七フォトカプラ62への経路は遮断されるため、この時点で第一、第二の各ヒータ3、4の断線を検出することができる。すなわち、第一ヒータ3のみ、もしくは第一、第二の各ヒータ3、4が共に断線していれば、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作のままであり、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力される。また、第二ヒータ4のみが断線であれば第六フォトカプラ58がON動作し、第七フォトカプラ62がOFF動作となり、入力ポートP02にはLo信号が入力され、入力ポートP03にはHi信号が入力されることになる。このように、第一、第二の各ヒータ3、4に断線(異常)が生じると、入力ポートP02、P03の入力信号は、共にLo信号が入力された正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0182】
また、Step105において、第二FET18、第四FET20、第五FET25のいずれかが短絡していた場合も、短絡した第二FET18、第四FET20、第五FET25が通電経路となるため、第一、第二の各ヒータ3、4が断線している場合と同様に、第六フォトカプラ58または第七フォトカプラ62へは通電されず、第六、第七の各フォトカプラ58、62は、双方もしくはいずれかがOFF動作状態となる。
【0183】
すなわち、第二FET18もしくは第四FET20のいずれかが短絡している場合は、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作で、入力ポートP02、P03へは共にHi信号が入力され、また、第五FET25のみが短絡している場合であると、第七フォトカプラ62のみがOFF動作となり、入力ポートP02へはLo信号が入力され、入力ポートP03へはHi信号が入力される。したがって、このように正しくない論理信号が入力ポートP02、P03へ入力されることにより、異常有を検出することができる。
【0184】
上述の如くStep105においては、電源1の通電前における第一、第二の各ヒータ3、4の断線の有無に加えて、第二FET18、第四FET20、第五FET25の短絡の有無も検出することができる。
【0185】
また、Step101、Step102、Step104、Step105の処理において、第六、第七のフォトカプラ58、62はOFF動作、ON動作を行うため、この間において入力ポートP02、P03の入力信号レベル(Hi、Lo)に基づき、第六、第七のフォトカプラ58、62自身の異常(断線・短絡故障)も検出することができる。
【0186】
次に、Step106において二次設定を行う。この二次設定は、Step104で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とし(図5の区間t3に続くt2で示す区間)、出力ポートP15のみをON出力する。かかる状態は、図5のt4で示す区間である。
【0187】
そして、Step107で二次確認、すなわち、第六、第七のフォトカプラ58、62が共にOFF動作であることを確認する。これはStep122、Step125と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep107における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0188】
すなわち、正常であれば第六、第七のフォトカプラ58、62は共にOFF動作となり、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力される。
【0189】
換言すると、出力ポートP15のみのON出力であるため、第五フォトカプラ30および第五FET25はON動作するが、電源1の駆動極+に接続された第一、第三のFET17、19は共にOFF動作である。したがって、第一、第二の各ヒータ3、4の通電回路上には電源1の供給がなく、第六、第七の各フォトカプラ58、62は必ずOFF動作であり、入力ポートP02、P03へは共にHi信号が入力された状態となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step103へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0190】
上記Step101からStep107までの処理は、電源1が第一、第二のヒータ3、4で形成される直列接続回路へ供給される前、すなわち発熱動作が伴うヒータ通電前の異常有無の確認制御動作であり、Step108から、第一、第二のヒータ3、4で形成される直列接続回路へ電源1が供給された、所謂ヒータ通電状態での異常の有無を確認する制御動作が行われる。
【0191】
そして、Step108では、電源1の供給に際しての初期再設定処理が行われる。この初期再設定は、Step104で説明したように、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御手段15を一旦リセットして各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにする処理である。かかる状態は、図5の区間t4に続くt2で示す区間である。
【0192】
次に、Step109において通電設定処理を行う。この通電設定処理は、直列に接続された第一、第二のヒータ3、4への電源1の供給に際し、最初に出力ポートP15をON出力し、その後(例えば数μ秒後)に出力ポートP11をON出力するように設定している。かかる状態は、図5のt5で示す区間である。
【0193】
このように、第一、第二のヒータ3、4を直列に接続した回路への通電を開始するに当たり、基準極−側を先にON動作させてから、駆動極+側をON動作させることにより、電圧が印加された時に、確実に基準極−側へ電流を流すことができる。
【0194】
そして、制御手段15の出力ポートP11、P15を上述の如くそれぞれON出力し、直列に接続された第一、第二のヒータ3、4の各回路における第一FET17および第五FET25をそれぞれON動作させる。これにより、駆動極+から過電流保護装置24、第一ヒータ3、短絡ライン60、第二ヒータ4、第五FET25を順次通って基準極−へ流れる通電回路が形成され、第一ヒータ3および第二ヒータ4は通電状態(ON状態)となり、発熱動作を行う。かかる状態は、図5のt6で示す区間である。
【0195】
このStep109での処理動作は、図5の区間t5から区間t6に亘って示すように出力ポートP15のON出力により、第五トランジスタ37、第五フォトカプラ30がそれぞれON動作し、これに伴って第五FET25もON動作する。そして、これとは微小(数μ秒)の時差をもった出力ポートP11のON出力により、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26がそれぞれON動作し、これに伴って第一FET17もON動作するものである。
【0196】
上述の通電回路が正常に形成されたか否かは、Step110の通電確認において、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep110における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0197】
すなわち、第二、第四の各FET18、20のOFF動作に伴い、入力ポートP02へ
はLo信号が入力され、また、第五FET25のON動作に伴い、入力ポートP03へはHi信号が入力される。この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は異常有と判定し、Step103へ移行する。
【0198】
換言すると、Step110での通電確認処理動作が正常であった場合、前述の如く電流は、電源1の駆動極+から第一、第二のヒータ3、4の直列回路、および第五FET25を介して基準極−に流れる。このとき、第六フォトカプラ58がON動作している、すなわち入力ポートP02へはLo信号が入力され、入力ポートP03へはHi信号が入力されていることを確認して最終の異常検出動作処理を終え、ヒータ通電を継続して図2のStep18へ移行する。
【0199】
かかる通電状態において、第一ヒータ3のみ、あるいは第一ヒータ3と第二ヒータ4が共に通電途中で断線した場合は、第六フォトカプラ58への通電が遮断され、入力ポートP02へはHi信号が入力される。その結果、図4のStep105で説明したように、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力されることとなり、異常有と判定して図2のStep16からStep17へ移行し、Step2以降の処理が行われる。また、第二ヒータ4のみが通電途中で断線した場合は、タイマー手段10による連続通電運転時間制御により、通電開始から例えば10分後に第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電時において、前述のStep104、Step105の処理でヒータ断線を検出することができる。
【0200】
上述の如く、電源1の電圧値が48Vの場合は、通電状態の途中において第一ヒータ3、第二ヒータ4に断線事故が発生すると、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止され、Step103へ移行して異常検出処理が行われ、図2のStep17からStep2以降の処理が行われる。
【0201】
そして、ヒータ回路への通電が正常に行われている状態で、温度検出手段6が、ヒータ回路への通電を不要とする温度値を検出した場合、あるいは制御手段15におけるタイマー機能(タイマー手段10)によって、ヒータ回路への連続通電が所定時間(例えば、10分)に到達したことを検出すると、出力ポートP11のON出力をOFF出力として第一フォトカプラ26、第一FET17をそれぞれOFF動作とする。これにより、駆動極+側の通電を遮断し、その数μ秒後に出力ポートP15のON出力をOFF出力として第五フォトカプラ30、第五FET25をそれぞれOFF動作とする。その結果、最後に基準極−側の通電経路を遮断して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する。かかる状態は、図5のt6に続くt7で示す区間である。
【0202】
上述の如く第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の停止に伴い、図2のStep2、Step3、Step4、Step7、あるいはStep7からStep8、Step9、Step10の処理が行われ、再びStep14の条件が検出されるまで、あるいは図2のStep9、Step10の処理が完了するまで第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を待機する。
【0203】
そして、再び第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を可能とする条件が成立すると、図2および図4のフローに基づき、上述した第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電前の異常有無の検出と、通電時における異常有無の検出が行われる。
【0204】
このように、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電に際して異常の有無を検出するため、ヒータ装置における安全性を確保し、信頼性を高めることができる。
【0205】
次に、電源1に、定格電圧値が直流24Vを用いた場合の異常有無の検出動作について
図6、図7を参照しながら説明する。この場合は、電源1の電圧値が低いため、第一ヒータ3、第二ヒータ4は、電源1に対して並列接続となる回路が形成される。
【0206】
図6は、図2におけるStep15およびStep16の異常検出処理のフローを示し、図7は、正常なヒータ通電状態における通電回路の主要部位の動作内容を示すもので、以下の説明は、図2において、Step1からStep14までの処理が完了し、電源1は、電圧値が24Vで、制御手段15においては、第一ヒータ3および第二ヒータ4が並列に接続される通電回路を形成するように信号を出力する準備が整い、温度検出手段6による検出温度も、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を要する温度にある環境条件での説明である。
【0207】
図6、図7において、異常検出処理は、制御手段15における信号の入出力動作により、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電前に行われる。
【0208】
すなわち、異常検出のための初期設定として、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットする(Step201)。
【0209】
次に、初期確認として、Step201の状態で第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62の動作状態を確認する(Step202)。このStep202において、正常であれば第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は、共にOFF動作であり、これは制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep202における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における異常確認手段11aの通電結果と認識手段11bの通電結果の照合を行い、判定結果を出力手段12へ出力する判定手段11cの処理動作に相当する。以下、この判定手段11cの処理動作を、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作と称して説明する。
【0210】
すなわち、正常であれば入力ポートP02、P03には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号がそれぞれ入力され、第一フォトカプラ26から第七フォトカプラ62のすべてがOFF動作となる。したがって、第一ヒータ3、第二ヒータ4には通電されることがない。かかる状態は、図7のt11で示す区間である。
【0211】
ここで、上記論理以外の信号(いずれか一方にLo信号、または共にLo信号)が入力ポートP02、P03へ入力されると、異常と判定され、Step203へ移行して異常有の処理が行われる。この異常有の処理は、図2におけるStep17(異常表示)以降の処理が行われる。
【0212】
Step202で異常の対象となる箇所は、入力ポートP02、P03に接続された第六、第七のフォトカプラ58、62の短絡故障、もしくは、出力ポートP11、P12の出力経路上の部品(第一、第三のトランジスタ35、37、あるいは第一、第三のフォトカプラ26、28、さらに第一、第三のFET17、19が対象)の短絡故障、破損が想定される。
【0213】
次に、Step204において一次設定を行う。この一次設定は、引き続き制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットした状態から出力ポートP11のみをON出力するものである。ここで、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を引き続きOFF出力とする処理は、電源1の電圧値が48VのStep104で説明したように、次の異常の確認を行なうに当たり、制御手段15を一旦リセットすることによって各出力ポートP11、P12、P13、P
14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにするためであり、図7のt12で示す区間が相当する。この区間t12の長さは、例えば数μ秒程度の長さでよく、任意に設定すればよい。その詳細については、電源1の電圧値が48Vの場合で説明した通りであり、ここでの説明は割愛する。
【0214】
そして、Step204において出力ポートP11のみをON出力し、Step205において一次確認を行う。この一次確認は、第六、第七のフォトカプラ58、62が共にON動作であることを確認する。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の信号によって確認することができる。このStep205における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0215】
すなわち、正常であれば第六、第七の各フォトカプラ58、62が共にON動作していることから、入力ポートP02、P03にLo信号がそれぞれ入力され、第六、第七のフォトカプラ58、62は共にON動作となる。かかる状態は、図7のt13で示す区間である。
【0216】
さらに詳述すると、電源1の電圧値が48VのStep105で説明したように、出力ポートP11のみがON出力しているとき、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26の各ON動作を介して第一FET17はON動作となり、この第一FET17を流れる電流は、第一ヒータ3を経由して第六フォトカプラ58を経由する経路と、第二ヒータ4を経由して第七フォトカプラ62を経由する経路に分岐する。その結果、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にON動作し、これに伴って入力ポートP02、P03はそれぞれ接地面と等しい電位となる。したがって、入力ポートP02、P03には共にLo信号が入力されることが正しい論理である。
【0217】
もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03に入力された場合は、Step203へ移行し、異常有の処理が行われる。例えば、Step205において、第一ヒータ3、もしくは第二ヒータ4が断線していた場合、第六フォトカプラ58もしくは第七フォトカプラ62への経路は遮断されるため、この時点で第一、第二の各ヒータ3、4の断線を検出することができる。すなわち、第一ヒータ3のみ、もしくは第一、第二の各ヒータ3、4が共に断線していれば、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作のままであり、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力される。また、第二ヒータ4のみが断線であれば第六フォトカプラ58がON動作し、第七フォトカプラ62がOFF動作となり、入力ポートP02にはLo信号が入力され、入力ポートP03にはHi信号が入力されることになる。このように、第一、第二の各ヒータ3、4に断線(異常)が生じると、入力ポートP02、P03の入力信号は、共にLo信号が入力された正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0218】
また、Step205において、第二FET18、第四FET20、第五FET25のいずれかが短絡していた場合も、短絡した第二FET18、第四FET20、第五FET25が通電経路となるため、第一、第二の各ヒータ3、4が断線している場合と同様に、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62へは通電されず、第六、第七の各フォトカプラ58、62は、双方もしくはいずれかがOFF動作状態となる。
【0219】
すなわち、第二FET18もしくは第四FET20のいずれかが短絡している場合は、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作で、入力ポートP02、P03へは共にHi信号が入力され、また、第五FET25のみが短絡している場合であると、第七フォトカプラ62のみがOFF動作となり、入力ポートP02へはLo信号が入力され、入力ポートP03へはHi信号が入力される。したがって、このように正しくない論理信号が入力ポートP02、P03へ入力されることにより、異常有を検出することがで
きる。
【0220】
上述の如くStep205においては、電源1の通電前における第一、第二の各ヒータ3、4の断線の有無検出に加えて、第二FET18、第四FET20、第五FET25の短絡の有無も検出することができる。
【0221】
また、Step201、Step202、Step204、Step205の処理において、第六、第七のフォトカプラ58、62はOFF動作、ON動作を行うため、この間において入力ポートP02、P03の入力信号レベル(Hi、Lo)に基づき、第六、第七のフォトカプラ58、62自身の異常(断線・短絡故障)も検出することができる。
【0222】
次に、Step206において二次設定を行う。この二次設定は、Step204で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とし(図5の区間t13に続くt12で示す区間)、出力ポートP12のみをON出力する。かかる状態は、図7の区間t14で示す区間である。
【0223】
そして、Step207で二次確認、すなわち、第六、第七のフォトカプラ58、62が共にON動作であることを確認する。これはStep202、Step205と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep207における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0224】
すなわち、正常であれば第六、第七のフォトカプラ58、62は共にON動作となり、入力ポートP02、P03には、共にLo信号が入力される。
【0225】
換言すると、出力ポートP12のみのON出力であるため、第三トランジスタ37、第三フォトカプラ28の各ON動作を介して第三FET19はON動作となり、この第三FET19を流れる電流は、第二ヒータ4を経由して第六フォトカプラ58を経由する経路と、第二ヒータ4を経由しないで直接第七フォトカプラ62へ流れる経路に分岐する。その結果、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にON動作し、これに伴って入力ポートP02、P03はそれぞれ接地面と等しい電位となる。したがって、入力ポートP02、P03には共にLo信号が入力されることが正しい論理である。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step203へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0226】
次に、Step208において三次設定を行う。この三次設定は、Step204で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とする。かかる状態は、図7の区間t14に続くt12で示す区間である。そして、先に出力ポートP14をON出力し、その後(例えば、数μ秒後)に出力ポートP12をON出力する。かかる状態は、図7のt15で示す区間である。
【0227】
そして、Step209で三次確認、すなわち、第六フォトカプラ58がOFF動作であり、第七フォトカプラ62がON動作であることを確認する。これはStep202、Step205、Step207と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep209における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0228】
すなわち、正常であれば第六フォトカプラ58はOFF動作であり、第七フォトカプラ62はON動作となる。したがって、入力ポートP02にはHi信号が入力され、入力ポ
ートP03にはLo信号が入力される。かかる状態は、図7のt16で示す区間である。
【0229】
さらに詳述すると、このStep208、Step209は、第二ヒータ4の断線の有無を確認する処理で、先に出力ポートP14をON出力することにより、第四トランジスタ38、第四フォトカプラ29のON動作を介して第四FET20がON動作する。したがって、この時点で第二ヒータ4の基準側端が電源1の基準極−に接続された状態となる。
【0230】
そして、これより数μ秒後の出力ポートP12のON出力により、第三トランジスタ37、第三フォトカプラ28のON動作を介して第三FET19がON動作し、この時点で第二ヒータ4の駆動側端が電源1の駆動極+に接続され、第二ヒータ4は通電状態(ON状態)となる。
【0231】
この第二ヒータ4の通電が断線もなく正常であれば、電流は、第二ヒータ4および第四FET20を流れる経路と、第二ヒータ4を経由しないで直接第七フォトカプラ62へ流れる経路に分岐する。したがって、第六フォトカプラ58はOFF動作であり、第七フォトカプラ62はON動作となる。これに伴って入力ポートP02にはHi信号が入力され、また、入力ポートP03は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力されることが正しい論理となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step203へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0232】
次に、Step210において四次設定を行う。この四次設定は、Step204で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とする。かかる状態は、図7の区間t16に続くt12で示す区間である。そして、先に出力ポートP13をON出力し、その後(数μ秒後)に出力ポートP11をON出力する。かかる状態は、図7のt17で示す区間である。
【0233】
そして、Step211で四次確認、すなわち、第二フォトカプラ27および第一フォトカプラ26がそれぞれON動作であることを確認する。これはStep202、Step205、Step207、209と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep211における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0234】
すなわち、正常であれば第二フォトカプラ27および第一フォトカプラ26のON動作に伴い、第一FET17および第二FET18がそれぞれON動作であるため、入力ポートP02、03には、それぞれHi信号が入力される。かかる状態は、図7のt18で示す区間である。
【0235】
さらに詳述すると、このStep210、Step211は、第一ヒータ3の断線の有無を確認する処理で、先に出力ポートP13をON出力することにより、第二トランジスタ36、第二フォトカプラ27のON動作を介して第二FET18がON動作する。したがって、この時点で第一ヒータ3の基準側端が電源1の基準極−に接続された状態となる。
【0236】
そして、出力ポートP11のON出力により、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26のON動作を介して第一FET17がON動作し、この時点で第一ヒータ3の駆動側端が電源1の駆動極+に接続され、第一ヒータ3は通電状態(ON状態)となる。
【0237】
この第一ヒータ3の通電が断線もなく正常であれば、電流は、第一ヒータ3および第二
FET18の直列経路を流れる。したがって、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は共にOFF動作であり、これに伴って入力ポートP02、P03にはそれぞれHi信号が入力されることとなり、これが正しい論理となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step203へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0238】
上記Step201からStep211までの処理は、電源1が第一、第二のヒータ3、4で形成される並列接続回路へ供給される前の異常有無の確認制御動作であり、特にStep208、Step209は、第二ヒータ4自身の断線の有無を確認し、Step210、Step211は、第一ヒータ3自身の断線の有無を確認する処理である。
【0239】
そして、Step212から、第一、第二のヒータ3、4で形成される並列接続回路へ電源1が供給された状態での異常の有無を確認する制御動作が行われる。
【0240】
Step212では、電源1の供給に際しての初期再設定処理が行われる。この初期再設定は、Step204等で説明したように、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御手段15を一旦リセットして各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにする処理である。かかる状態は、図7の区間t18に続くt12で示す区間である。
【0241】
次に、Step213において通電設定処理を行う。この通電設定処理は、並列に接続された第一、第二のヒータ3、4への電源1の供給に際し、最初に出力ポートP13、P14をON出力し、その後(例えば数μ秒後)に出力ポートP11、P12をON出力するように設定している。かかる状態は、図7のt19で示す区間である。
【0242】
すなわち、第一、第二のヒータ3、4を並列に接続した回路への通電を開始するに当たり、基準極−側を先にON動作させてから、駆動極+側をON動作させることにより、電圧が印加された時に、確実に基準極−側へ電流を流すことができるためである。
【0243】
上述の如く、制御手段15の出力ポートP11、P12、P13、P14をそれぞれON出力し、第一ヒータ3の回路における第一FET17、第二FET18、および第二ヒータ4の回路における第三FET19、第四FET20をそれぞれON動作させる。これにより、駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一ヒータ3、第二FET18を通って基準極−へ流れる通電回路と、駆動極+から過電流保護装置24、第三FET19、第二ヒータ4、第四FET20を通って基準極−へ流れる通電回路が形成される。したがって、第一、第二の各ヒータ3、4は通電状態(ON状態)となり、発熱動作を行う。かかる状態は、図7のt20で示す区間である。
【0244】
このStep213での処理動作は、図7の区間t19から区間t20亘って示すように、出力ポートP13、P14のON出力により、第二トランジスタ36、第四トランジスタ38をON動作し、これにより第二フォトカプラ27、第四フォトカプラ29をそれぞれON動作させ、第二FET18、第四FET20をON動作させる。そして、これとは微小(数μ秒)の時差をもった出力ポートP11、P12のON出力により、第一トランジスタ35、第三トランジスタ37、第一フォトカプラ26、第三フォトカプラ28がそれぞれON動作し、これによって第一FET17、第三FETもON動作するものである。
【0245】
上述の通電回路が正常に形成されたか否かは、Step214の通電確認において、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる
。このStep214における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0246】
すなわち、第二、第四の各FET18、20のON動作に伴い、入力ポートP02へはHi信号が入力され、また、第五FET25のOFF動作に伴い、入力ポートP03へはLo信号が入力される。この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は異常有と判定し、Step203へ移行する。
【0247】
換言すると、Step214での処理動作が正常であった場合、前述の如く電流は、電源1の駆動極+から第一、第二のヒータ3、4を並列に流れ、基準極−に流れる。このとき、第六フォトカプラ58には電流が流れないため、第六フォトカプラ58はOFF動作している。したがって、入力ポートP02にはHi信号が入力されている。また、第七フォトカプラ62には、第二ヒータ4と並列に電流回路が形成され、ON動作している。したがって、入力ポートP03にはLo信号が入力されている。
【0248】
そして、この入力ポートP02、P03のそれぞれの入力状態を確認して最終の異常検出動作処理を終え、図2のStep18へ移行する。
【0249】
かかる通電状態において、第一ヒータ3が、あるいは第二ヒータ4が通電途中で断線した場合は、タイマー手段10による連続通電運転時間制御により、通電開始から例えば10分後に第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電時において、前述のStep208、Step209およびStep210、Step211の処理でヒータ断線を検出することができる。
【0250】
上述の如く、電源1の電圧値が24Vの場合も、通電状態の途中において第一ヒータ3、第二ヒータ4に断線事故が発生すると、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止され、Step203へ移行して異常検出処理が行われ、図2のStep17からStep2以降の処理が行われる。
【0251】
そして、ヒータ回路への通電が正常に行われている状態で、温度検出手段6が、ヒータ回路への通電を不要とする温度値を検出した場合、あるいは制御手段15におけるタイマー機能(タイマー手段10)によって、ヒータ回路への連続通電が所定時間(例えば10分)に到達したことを検出すると、出力ポートP11、P12のON出力をそれぞれOFF出力として第一、第三のフォトカプラ26、28、および第一FET17、第三FET19をそれぞれOFF動作とする。これにより、駆動極+側の通電を遮断し、その数μ秒後に出力ポートP13、P14のON出力をそれぞれOFF出力として第二、第四のフォトカプラ27、29、および第二FET18、第四FET20をそれぞれOFF動作とする。その結果、最後に基準極−側の通電経路を遮断して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する。かかる状態は、図7のt21で示す区間である。
【0252】
上述の如く第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の停止に伴い、図2のStep2、Step3、Step4、Step7、あるいはStep7からStep8、Step9、Step10の処理が行われ、再びStep14の条件が検出されるまで、あるいは図2のStep9、Step10の処理が完了するまで第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を待機する。
【0253】
そして、再び第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を可能にする条件が成立すると、図2のフローに基づき、図6に示す第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電前の異常有無の検出と、通電時における異常有無の検出が行われる。
【0254】
このように、電源1の電圧値が24Vに変更された場合であっても、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電に際して異常の有無を検出するため、ヒータ装置における安全性を確保し、信頼性を高めることができる。
【0255】
なお、第一ヒータ3および第二ヒータ4を並列に接続した回路の場合、基準極−側に第二FET18および第四FET20を、第一、第二の各ヒータ3、4とそれぞれ直列となるように配置接続したが、いずれか一方を削除した回路構成とすることも可能である。
【0256】
かかる構成は、通電可能な回路は構成できるものの、FETの通電に伴う自己発熱が大きいため、熱容量の大きなFETを必要とする。
【0257】
しかしながら、本実施の形態2に示す如く、第一、第二の各ヒータ3、4に対応して第二FET18および第四FET20を配置接続することにより、通電に伴う自己発熱を抑制(分散)し、第二FET18および第四FET20の発熱に対する保証を確実なものとすることができる。
【0258】
さらに、本実施の形態2においては、第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第五のフォトカプラ26、27、28、29、30、さらに第一から第五のFET17、18、19、20、25等で構成されるスイッチング機能に代えて、接点式のリレー(図示せず)を採用することも可能であり、同様の作用効果が期待できる。
【0259】
また、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の開始時、停止時に設けた、第一ヒータ3、第二ヒータ4を挟んで駆動極+側の第一、第三FET17、19と基準極−側の第二、第四、第五FET18、20、25のON動作およびOFF動作の時差(数μ秒)は、任意に設定できるものであり、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電回路が確実に形成される時差が確保できればよいものである。
【0260】
さらに、本実施の形態2においては、ヒータを二本採用し、この第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が、直列接続系統または並列接続系統となるように通電回路を形成するようにしたが、三本以上のヒータを採用する場合についても同様に実施することができる。
【0261】
特に、定格値が異なる複数のヒータを採用する場合は、適宜抵抗器等(図示せず)の負荷との組合せを行うことにより、直列接続系統または並列接続系統の場合であっても、特定のヒータに突出した電流が流れることを抑制することが可能となる。
【0262】
以上のように、本実施の形態2によれば、電源1の電圧値とヒータ装置周辺の温度が共に所定の範囲内の場合に第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を可能とするため、過剰な電圧値の印加による第一、第二の各ヒータ3、4の破損が防止でき、また不要な第一、第二の各ヒータ3、4への通電を防止して消費電力を抑制することができる。
【0263】
また、電源1の電圧値が48Vあるいは24Vと異なった場合に、電圧検出手段2によってこれを検出し、制御手段15によって第一ヒータ3と第二ヒータ4への通電状態が直列接続系統、あるいは並列接続系統となるように通電回路を形成するもので、電圧値が異なった場合であっても第一ヒータ3、第二ヒータ4を流れる電流値を略一定の範囲(本実施の形態2においては、同一値)とすることができる。その結果、特定のヒータに突出した電流が流れることがなく、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱を所定の範囲で安定させることができる。これに伴い、第一ヒータ3、第二ヒータ4に過剰な熱応力が作用することも抑制でき、これに起因するヒータの劣化の進行を抑制し、特定のヒータの寿命を短縮することを抑制してヒータの寿命を長期化することができるものである。
【0264】
さらに、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が所定時間(例えば、10分)連続通電状態にある場合、一時的に第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止するため、万が一温度検出手段6の系統等に故障が発生した場合であっても、安全性を確保することができる。
【0265】
また、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電に際し、駆動極+と基準極−の通電に時差を設けて基準極−側の回路が形成された後に駆動極+側を通電して電圧が印加されるように制御しているため、基準極−への通電経路を形成した後での通電となり、正規の回路への通電が安定して行え、誤動作を抑制して信頼性を高めることができるものである。
【0266】
さらに、電源1の電圧値の切換わりを検出したときは、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を一旦遮断し、その後第一ヒータ3、第二ヒータ4を、切換えられた電圧値に対応する接続系統に切換える制御を行なうため、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電切換え動作が確実なものとなり、ヒータ装置の信頼性を高めることができる。
【0267】
また、電源1の電圧値の切換わりに伴い、第一ヒータ3、第二ヒータ4の接続が直列接続系統あるいは並列接続系統に切換わった場合であっても、第一ヒータ3、第二ヒータ4に印加される電圧値が略同電圧値となるようにしたことにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電状態は、接続形態にかかわらず、いずれも略同電圧値が印加されることとなり、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱に伴う劣化を略一様化させることができる。したがって、特定のヒータの劣化促進に伴うヒータ装置の保守、交換等が短期化されることも抑制でき、ヒータ装置の稼動期間を長期化することができる。
【0268】
さらに、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電回路形成を行う切換え手段8を、第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第五のフォトカプラ26、27、28、29、30、さらに第一から第五のFET17、18、19、20、25等で構成される半導体リレーを含む構成としているため、第一ヒータ3、第二ヒータ4の接続系統の切換えに伴う消費電力を抑制することができ、また、電流回路にノイズが重畳した場合であっても、第一から第五のフォトカプラ26、27、28、29、30によって制御手段15への影響を抑制することができる。
【0269】
また、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電経路の切換えを行う第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第五のフォトカプラ26、27、28、29、30、さらに第一から第五のFET17、18、19、20、25等で構成される半導体リレーを含む構成部品(切換え手段8)に、該通電経路の異常の有無を検出する回路構成機能を付加しているため、異常検出のためにのみ用いる部品を少なくして回路の簡素化をはかることができる。
【0270】
しかも、通電回路の異常有無の検出は、実通電回路に則し、かつ制御手段15の信号の入出力制御に伴う検出であるため、個々の部位の異常の有無を一連の動作で検出することができ、合理的に行うことができる。
【0271】
さらに、本実施の形態2においては、第一ヒータ3、第二ヒータ4の定格を、同一としているため、第一ヒータ3、第二ヒータ4に印加される電圧値を同じとすることが容易となり、そのための回路構成、回路設計も簡素化し易く、さらに、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱量を同じ発熱量に統一し、第一ヒータ3、第二ヒータ4の劣化の進行も統一することができる。
【0272】
さらに、異常検出手段11により、第一、第二の各ヒータ3、4への通電前の回路、お
よび第一、第二の各ヒータ3、4への通電時の回路における異常の有無を検出し、異常を検出した場合に、第一、第二の各ヒータ3、4への通電を瞬時に、あるいは所定時間経過後に停止するため、異常状態での通電を防止し、ヒータ装置の安全性を確保することができる。
【0273】
また、上述の如く、第一、第二の各ヒータ3、4への通電途中における電源1の電圧値の変更、温度検出手段6による通電停止温度の検出、ヒータ連続通電時間の到達、異常検出手段11による通電回路の異常検出等に起因して第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電する場合においても、第一、第二の各ヒータ3、4への通電前に異常有無の検出動作処理を行うため、異常状態にある通電回路への通電に起因した回路部品等の破損を防止することができ、補修等の範囲の拡大を抑制することができる。
【0274】
特に、本実施の形態2においては、第一ヒータ3、第二ヒータ4における断線等の有無の検出の他に、第一、第二の各ヒータ3、4の通電回路を形成、駆動する第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第七のフォトカプラ26、27、28、29、30、58、62、さらに第一から第五のFET17、18、19、20、25の各部品の動作順を制御することにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電経路における前記各部品を含めた異常個所の絞込み、および各部品の異常、破損等の有無の検出を可能にし、保守・点検作業の容易化をはかることができる。例えば、Step処理を識別する信号と、入力ポートP02、P03の入力信号を組み合わせることにより、異常個所を特定して表示手段16で表示し、補修作業をより容易かつ迅速化することができる。
【0275】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるヒータ装置の回路構成図である。図9は、同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャートである。図10は、同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャートである。図11は、同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャートである。図12は、同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャートである。
【0276】
本実施の形態3は、先の実施の形態1で説明した動作を行うための回路を実施の形態2とは異なる構成で具現化したものであり、先の実施の形態1および実施の形態2と同様の構成要件については、同一の符号を付して説明する。また、同定格値のヒータを二本採用し、電源の電圧値に対応して直列接続または並列接続に切換える制御を例に説明する。さらに、ここでは、先の実施の形態2と異なる構成を主体に説明する。また、「ヒータへの通電」については、ヒータの発熱動作が伴う通電状態を意味する。
【0277】
図8において、実施の形態2における図3と異なる構成は、電源1の電圧値(48Vと24V)に応じて第一ヒータ3と第二ヒータ4を直列接続回路および並列接続回路に切換える手段に、出力ポートP15に接続された第五トランジスタ39のON・OFF動作により、接点の開閉動作(OFF・ON動作)を行う常時開放型(常開型)のリレー70を短絡ライン60に配置接続した点である。
【0278】
したがって、実施の形態2(図3)で設けた第五FET25およびこれに関係する第五フォトカプラ30を廃止し、さらに第七フォトカプラのアノード側の接続位置を、第二ヒータ4における基準極−側に変更した点が大きく相違している。
【0279】
次に、図8における回路の通電動作について説明する。なお、便宜上、図2を参照しながらヒータ装置が正常に動作する主要な内容を主体に説明し、図2のStep15、Step16の異常の有無検出動作については後述する。
【0280】
図2および図8において、電源1として電圧値48Vが採用された場合、電圧検出手段2がこれを検出し(Step1)、制御手段15はヒータ装置を動作させる規定電圧値であることを認識する(Step11)。
【0281】
ここで、上記の電圧値がヒータ装置を動作させる規定電圧の範囲外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0282】
そして、制御手段15は、電源1の電圧値が48Vであることから第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電が直列となるように回路を構成する(Step12)。
【0283】
一方、制御手段15は、温度検出手段6の検出温度を入力し、ヒータ装置を動作させる温度条件であることを認識する(Step14)。
【0284】
ここで、前記検出温度がヒータ装置を動作させる温度条件外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0285】
そして、温度検出手段6による検出温度が、ヒータ装置を動作させる温度条件になると、Step15、Step16の異常検出処理が行われるが、この場合は回路に異常がないため、Step16からStep18、Step19へ移行し、直列に接続された第一、第二ヒータ3、4への通電および通電時間の計測が開始される。
【0286】
すなわち、第一ヒータ3および第二ヒータ4が直列に接続された通電回路形成は、制御手段15により第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39の動作を制御することによって形成される。具体的には、最初に第四トランジスタ38をON動作させて第四FET20をON動作とし、その後第四トランジスタ38のON動作から例えば数μ秒程度遅延して第五トランジスタ39と第一トランジスタ35をそれぞれON動作する。換言すると、第五トランジスタ39のON動作により、リレー70がON動作(導通駆動)し、第一トランジスタ35のON動作により、第一フォトカプラ26がON駆動することにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。
【0287】
ここで、後第四トランジスタ38のON動作から数μ秒程度遅延して第五トランジスタ39と第一トランジスタ35をON動作させる遅延動作は、実施の形態1で説明した時差出力手段9の機能によるもので、本実施の形態3においては、制御手段15の内部での処理により行われる。なお、必要に応じてリレー70(第五トランジスタ39)のON動作から例えば数μ秒程度遅延して電源1の駆動極+側に接続された第一トランジスタ35をON動作させるようにしてもよい。
【0288】
したがって、第一ヒータ3と第二ヒータ4の直列回路には、電圧値48Vの電圧が印加された状態であるが、第一、第二それぞれのヒータ3、4にかかる電圧値は、第一、第二の各ヒータ3、4の定格値が同一であることから共に24Vである。
【0289】
上述の制御の結果、第二トランジスタ36および第三トランジスタ37はそれぞれ動作しないため、第二、第三の各フォトカプラ27、28および、第二、第三の各FET18、19もそれぞれOFF状態にある。
【0290】
その結果、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一電流保護
装置22、第一ヒータ3、短絡ライン60、リレー70、第二電流保護装置23、第二ヒータ4、第四FET20、電源1の基準極−へと電流が流れる回路が形成され、電流は、第一ヒータ3と第二ヒータ4の直列回路を流れる。
【0291】
この通電回路において、第一ヒータ3と第二ヒータ4には、第一ヒータ3と第二ヒータ4が同定格値であることから、それぞれには24Vが印加されており、一方のヒータにかかる電圧値(電流値)が突出した値となることはない。
【0292】
そして、第一ヒータ3と第二ヒータ4への連続通電が所定時間(例えば、10分)経過した場合(Step23)、あるいは、温度検出手段6による検出温度がヒータ装置の運転を必要としない温度となる(Step14)等に伴い、第一ヒータ3と第二ヒータ4への通電を停止する場合は、先に第一トランジスタ35と第五トランジスタ39をそれぞれOFF動作させて第一フォトカプラ26および電源1の駆動極+側にある第一FET17、さらにリレー70をOFF動作(遮断駆動)する。そして、第一トランジスタ35と第五トランジスタ39のOFF動作から例えば数μ秒程度遅延して第四トランジスタ38および第四フォトカプラ29をOFF動作することにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する(Step2)。この数μ秒程度の遅延動作も上述の如く、制御手段15の内部での処理により行われる。なお、必要に応じて第四トランジスタ38のOFF動作から数μ秒程度遅延してリレー70(第五トランジスタ39)をOFF動作し、そのOFF動作から例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35をOFF動作するようにしてもよい。
【0293】
その後、再びヒータ装置の運転を行う条件が発生すると、前述の如く第四トランジスタ38をON動作させて第四FET20をON動作とし、その後第一トランジスタ35と第五トランジスタ39をON動作させて第一フォトカプラ26とリレー70をON動作(導通駆動)することにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。
【0294】
以下、上述の動作を繰り返すことにより、適宜ヒータ装置を動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱作用によって熱媒体である空気を加熱することができ、また第一ヒータ3、第二ヒータ4の輻射熱によってヒータ装置の周辺を加熱することができる。
【0295】
次に、電源1に電圧値24Vが採用された場合について説明する。
【0296】
図2、図3において、電源1として電圧値24Vが採用された場合、電圧値48Vのときと同様に、電圧検出手段2がこれを検出し(Step1)、制御手段15はヒータ装置を動作させる規定電圧値であることを認識する(Step11)。
【0297】
ここで、前記電圧値がヒータ装置を動作させる規定電圧の範囲外である場合は、電圧値が48Vの場合と同様に、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0298】
そして、制御手段15は、電源1の電圧値が24Vであることから第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電が並列となるように回路を構成する(Step13)。
【0299】
一方、制御手段15は、温度検出手段6の検出温度を入力し、ヒータ装置を動作させる温度条件であることを認識する(Step14)。
【0300】
ここで、前記検出温度がヒータ装置を動作させる温度条件外である場合は、制御手段15は動作することなく、ヒータ装置を動作させる条件が検出されることを待つ。
【0301】
そして、温度検出手段6による検出温度が、ヒータ装置を動作させる温度条件になると、Step15、Step16の異常検出処理が行われるが、この場合は回路に異常がないため、Step16からStep18、Step19へ移行して並列に接続された第一、第二ヒータ3、4への通電および通電時間の計測が開始される。
【0302】
すなわち、第一ヒータ3および第二ヒータ4が並列に接続された通電回路形成は、制御手段15により第一から第四の各トランジスタ35、36、37、38の動作を制御することによって形成される。このとき、第五トランジスタ39は駆動せず、リレー70をOFF動作としておく。具体的には、最初に第二トランジスタ36および第四トランジスタ38を動作させて第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29を駆動し、電源1の基準極−側に接続された第二FET18および第四FET20をON動作とする。
【0303】
そして、48Vのときと同様に第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29のON動作から例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35と第三トランジスタ37を動作させ、第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28をそれぞれ駆動することにより、電源1の駆動極+側に接続された第一FET17と第三FET19をON動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この数μ秒程度の遅延動作は、制御手段15の内部での処理により行われる。
【0304】
したがって、第一ヒータ3と第二ヒータ4が並列に接続されていることに伴い、第一、第二それぞれのヒータ3、4にかかる電圧値は、共に24Vである。
【0305】
上述の制御の結果、第五トランジスタ39が動作しないため、リレー70はOFF状態にある。その結果、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一電流保護装置22、第一ヒータ3、第二FET18、電源1の基準極−へ電流が流れる回路と、電源1の駆動極+から過電流保護装置24、第三FET19、第二電流保護装置23、第二ヒータ4、第四FET20、電源1の基準極−へ電流が流れる回路が形成され、電流は、第一ヒータ3と第二ヒータ4の並列回路を流れる。
【0306】
この通電回路においても、電圧値48Vの場合と同様に、第一ヒータ3と第二ヒータ4には、それぞれ24Vが印加されており、第一ヒータ3と第二ヒータ4が同定格値であることもあって、一方のヒータを流れる電流値が突出した値となることはない。
【0307】
そして、第一ヒータ3と第二ヒータ4への連続通電が所定時間経過した場合(Step23)、あるいは、温度検出手段6による検出温度がヒータ装置の運転を必要としない温度となる(Step14)等に伴い、第一ヒータ3と第二ヒータ4への通電を停止する場合は、先に第一トランジスタ35と第三トランジスタ37をそれぞれOFF動作させて第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28をOFF動作させ、これに伴い第一FET17および第三FET19をOFF動作させる。さらに、この第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28のOFF動作から例えば数μ秒程度遅延して第二トランジスタ36と第四トランジスタ38をOFF動作させて第二フォトカプラ27および第四フォトカプラ29をOFF動作させる。これに伴い、第三FET18と第四FET20がOFF動作し、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止する(Step2)。
【0308】
その後、再びヒータ装置の運転を行う条件が発生すると、前述の如く第二トランジスタ36、第四トランジスタ38を動作させて第二フォトカプラ27と第四フォトカプラ29を駆動し、第二FET18と第四FET20を先にON動作する。そして、例えば数μ秒程度遅延して第一トランジスタ35と第三トランジスタ37を動作させて第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28を駆動することにより、第一FET17および第三FET19がそれぞれON動作して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が行われる。この
数μ秒程度の遅延動作も、上述の如く制御手段15の内部での処理により行われるものである。
【0309】
以下、上述の動作を繰り返すことにより、適宜ヒータ装置を動作させ、第一ヒータ3、第二ヒータ4の発熱作用によって熱媒体である空気を加熱することができ、また第一ヒータ3、第二ヒータ4の輻射熱によってヒータ装置の周辺を加熱することができる。
【0310】
次に、図9、図10、図11、図12を参照しながら、図8に示すヒータ装置の異常の有無検出から通電までの動作について説明する。
【0311】
まず、電源1に、定格電圧値が直流48Vを用いた場合について図9、図10を参照しながら説明する。この場合は、電源1の電圧値が高いため、第一ヒータ3、第二ヒータ4は、電源1に対して直列接続となる回路が形成される。
【0312】
図9は、図2におけるStep15およびStep16の異常検出処理のフローを示し、図10は、正常なヒータ通電状態における通電回路の主要部位の動作内容を示すもので、以下の説明は、図2において、Step1からStep14までの処理が完了し、電源1は、電圧値が48Vで、制御手段15においては、第一ヒータ3および第二ヒータ4が直列に接続される通電回路を形成するように信号を出力する準備が整い、温度検出手段6による検出温度も、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を要する温度にある環境条件での説明である。
【0313】
図9、図10において、異常検出処理は、制御手段15における信号の入出力動作により、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電前に行われる。
【0314】
すなわち、異常検出のための初期設定として、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットする(Step301)。
【0315】
次に、初期確認として、Step301の状態で第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62の動作状態を確認する(Step302)。このStep302において、正常であれば第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は共にOFF動作となる。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep302における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における異常確認手段11aの通電結果と認識手段11bの通電結果の照合を行い、判定結果を出力手段12へ出力する判定手段11cの処理動作に相当する。以下、この判定手段11cの処理動作を、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作と称して説明する。
【0316】
すなわち、正常であれば入力ポートP02、P03には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号がそれぞれ入力され、第一フォトカプラ26から第四フォトカプラ29、および第六フォトカプラ58、第七フォトカプラ62のすべてがOFF動作となる。したがって、第一ヒータ3、第二ヒータ4の通電回路は形成されることがない。かかる状態は、図10のt31で示す区間である。
【0317】
ここで、上記論理以外の信号(いずれか一方にLo信号、または共にLo信号)が入力ポートP02、P03へ入力されると、異常と判定され、Step303へ移行して異常有の処理が行われる。この異常有の処理は、図2におけるStep17(異常表示)以降の処理が行われる。
【0318】
Step302で異常の対象となる箇所は、入力ポートP02、P03に接続された第六、第七のフォトカプラ58、62の短絡故障、もしくは、出力ポートP11、P12の出力経路上の部品(第一、第三のトランジスタ35、37、あるいは第一、第三のフォトカプラ26、28、さらに第一、第三のFET17、19、リレー70が対象)の短絡故障、破損が想定される。
【0319】
次に、Step304において一次設定を行う。この一次設定は、引き続き制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットした状態から出力ポートP11のみをON出力するものである。ここで、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を引き続きOFF出力とする処理は、実施の形態2と同様に、次の異常の確認を行なうに当たり、Step302での初期確認動作を行った制御手段15を一旦リセットすることにより、各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにするためであり、図10のt32で示す区間が相当する。この区間t32の長さは、例えば数μ秒程度の長さでよく、任意に設定することができる。
【0320】
すなわち、本実施の形態3においては、第一、第二の各ヒータ3、4の駆動経路に、第一から第五のトランジスタ35、36、37、38、39、および第一から第四のフォトカプラ26、27、28、29、および第六、第七のフォトカプラ58、62、さらに第一から第四のFET17、18、19、20を採用している。これら第一から第五の各トランジスタ35、36、37、38、39のON動作、第一から第四のフォトカプラ26、27、28、29、および第六、第七のフォトカプラ58、62における各二次側(受光側)のON動作、第一から第四のFET17、18、19、20における各ゲートのON動作、さらにリレー70のON動作は、制御手段15の各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15のON出力動作と同期するものの同時間ではなく、その信号の立ち上り(立ち下り)に微小な時間差を生じる。また、これらのOFF動作についても同様に、その信号の立ち下り(立ち上がり)にそれぞれ微小な時間差を生じる。
【0321】
また、第一から第四の各FET17、18、19、20の代わりにリレーを使用する場合についても、接点の反応時間に微小な時差が生じる。
【0322】
したがって、制御手段15の各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15において、即座に次のポート出力を行ってしまうと、同時にON動作させない組合せの経路が一瞬ON動作する可能性があり、それを避けるためにt32の区間を設けている。
【0323】
また、異常確認を行なう対象部品のON・OFF動作を、次の動作工程へ移行するまでに確実に終了させるためにも、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を一旦OFF出力する処理は好ましい。
【0324】
このように、異常検出工程において、各動作工程の都度出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を一旦(例えば数μ秒)OFF出力する処理が伴うことにより、各動作工程における対象部品のON・OFF動作の確認に確実さが増す。
【0325】
そして、Step304において出力ポートP11のみをON出力した後、Step305において、一次確認を行う。この一次確認は、第六フォトカプラ58がON動作であり、第七フォトカプラ62がOFF動作であることを確認する。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の信号によって確認することができる。このStep305における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0326】
すなわち、正常であれば第六フォトカプラ58のON動作により、入力ポートP02にはLo信号が入力され、また第七フォトカプラ62は、通電回路が形成されていないことからOFF動作であり、入力ポートP03にはHi信号が入力される。かかる状態は、図5のt33で示す区間である。
【0327】
さらに詳述すると、出力ポートP11のみがON出力しているとき、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26の各ON動作を介して第一FET17はON動作となり、この第一FET17を流れる電流は、第一ヒータ3を経由して第六フォトカプラ58を経由する経路が形成される。一方、第二ヒータ4については、リレー70がOFF状態にあり、通電回路が形成されないため、第七フォトカプラ62はOFF状態にある。したがって、第六フォトカプラ58のON動作に伴って入力ポートP02は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力され、入力ポートP03には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号が入力されることとなり、これが正しい論理となる。
【0328】
もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03に入力された場合は、Step303へ移行し、異常有の処理が行われる。例えば、Step305において、第一ヒータ3が断線していた場合、第六フォトカプラ58への経路は遮断されるため、この時点で第一ヒータ3の断線を検出することができる。すなわち、第一ヒータ3が断線していれば、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作のままであり、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力されることになり、上述の正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0329】
また、Step305において、第二FET18が短絡していた場合についても、第二FET18側が通電経路となって第六フォトカプラ58へは通電されず、第六、第七の各フォトカプラ58、62は、いずれもOFF動作状態となり、入力ポートP02、P03へは共にHi信号が入力され、上述の正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0330】
また、Step305において、リレー70が短絡していた場合は、第二ヒータ4を経由して第七フォトカプラ62がON動作するため、入力ポートP03の入力信号がLo信号となり、その結果、入力ポートP02、P03共にLo信号が入力され、上述の正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0331】
上述の如く、Step305においては、電源1の通電前における第一ヒータ3の断線の有無に加えて、第二FET18およびリレー70の短絡の有無も検出することができる。
【0332】
次に、Step306において二次設定を行う。この二次設定は、Step304で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とし(図10の区間t33に続くt32で示す区間)、出力ポートP12のみをON出力する。かかる状態は、図10の区間t34で示す区間である。
【0333】
そして、Step307で、第六フォトカプラ58がOFF動作し、第七フォトカプラ62がON動作であることを確認する。これはStep305と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep307における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0334】
すなわち、正常であれば第六フォトカプラ58はOFF動作となり、入力ポートP02にはHi信号が入力され、また、第七フォトカプラ62はON動作となり、入力ポートP
03にはLo信号が入力される。
【0335】
換言すると、出力ポートP12のみのON出力であるため、第三フォトカプラ28および第三FET19はON動作するが、第一フォトカプラ26がOFF動作のため、電源1の駆動極+に接続された第一FET17はOFF動作状態にあり、さらにリレー70もOFF動作となっている。したがって、第一ヒータ3の通電回路上には電源1の供給がなく、電源1の駆動極+に接続された第三FET19のON動作によって第二ヒータ4の通電回路に電源1が供給された状態となる。その結果、第六フォトカプラ58はOFF動作であり、入力ポートP02へはHi信号が入力され、入力ポートP03へは、電源1の駆動極+に接続された第三FET19、および第二ヒータ4を介して第七フォトカプラ62がON動作することからLo信号が入力された状態となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step303へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0336】
さらに、Step305、Step307の処理において、第六、第七の各フォトカプラ58、62は、それぞれOFF動作、ON動作の反転動作を行うため、この間において入力ポートP02、P03の入力信号レベル(Hi、Lo)に基づき、第六、第七のフォトカプラ58、62自身の異常をも検出することができる。
【0337】
次に、Step308において三次設定を行う。この三次設定は、Step304、306で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とし、出力ポートP15および出力ポートP11をそれぞれON出力する。かかる状態は、図10の区間t34に続くt32で示す区間である。
【0338】
そして、Step309で三次確認、すなわち、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62が共にON動作であることを確認する。これはStep305、Step307と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep309における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0339】
すなわち、正常であれば第六、第七のフォトカプラ58、62は共にON動作となり、入力ポートP02、P03には、共にLo信号が入力される。かかる状態は、図10のt35で示す区間である。
【0340】
換言すると、出力ポートP15のON出力により、リレー70がON動作し、第一ヒータ3と第二ヒータ4は短絡ライン60を介して直列に接続された回路が形成される。また、出力ポートP11のON出力により、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26のON動作を介して電源1の駆動極+に接続された第一FET17がON動作し、電源1の電流が第一ヒータ3と第二ヒータ4を直列に流れる。したがって、第六フォトカプラ58は、第二ヒータ4に印加される電圧値(24V)によってON動作し、これに伴い、入力ポートP02は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力される。また、第七フォトカプラ62についても、第四FET20がOFF動作であることから、第一、第二のヒータ3、4による直列接続回路を流れた電流によってON動作し、これに伴い、入力ポートP03は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力される。
【0341】
したがって、Step309において正常であれば、入力ポートP02、P03には共にLo信号が入力されることが正しい論理であり、もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step303へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0342】
そして、Step310への移行に際し、出力ポートP15および出力ポートP11をそれぞれOFF出力する。
【0343】
上記Step301からStep309までの処理は、電源1が第一、第二のヒータ3、4で形成される直列接続回路へ供給される前、すなわち発熱動作が伴うヒータ通電前の異常有無の確認制御動作であり、Step310から、第一、第二のヒータ3、4で形成される直列接続回路へ電源1が印加された、所謂ヒータ通電状態での異常の有無を確認する制御動作が行われる。
【0344】
そして、Step310では、電源1の供給に際しての初期再設定処理が行われる。この初期再設定は、Step304で説明したように、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御手段15を一旦リセットして各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにする処理である。かかる状態は、図10の区間t35に続くt32で示す区間である。
【0345】
次に、Step311において通電設定処理を行う。この通電設定処理は、直列に接続された第一、第二のヒータ3、4への電源1の供給に際し、最初に出力ポートP14をON出力し、その後(例えば数μ秒後)に出力ポートP15および出力ポートP11をそれぞれON出力するように設定している。かかる状態は、図10のt36で示す区間である。
【0346】
すなわち、出力ポートP14のON出力により、第四トランジスタ38、第四フォトカプラ29がON動作し、これに伴い第四FETがON動作し、これによって第二ヒータ4の基準極−側が電源1に接続される。
【0347】
そして、出力ポートP15のON動作により、第五トランジスタ39がON動作し、これに伴ってリレー70がON動作する。これにより、第一ヒータ3と第二ヒータ4が直列に接続される。その結果、直列に接続された第一ヒータ3および第二ヒータ4は、電源1の基準極−側が電源1に接続された状態となる。
【0348】
さらに、出力ポートP11をON出力することにより、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26がON動作し、これに伴い第一FETがON動作する。これによって第一ヒータ3の駆動極+側が電源1と接続され、駆動極+から過電流保護装置24、第一ヒータ3、短絡ライン60、リレー70、第二ヒータ4、第四FET20を順次通り、基準極−へ流れる通電回路が形成され、第一ヒータ3および第二ヒータ4は通電状態(ON状態)となり、発熱動作を行う。かかる状態は、図10のt37で示す区間である。
る。
【0349】
このように、第一、第二のヒータ3、4を直列に接続した回路への通電を開始するに当たり、基準極−側を先にON動作させてから、駆動極+側をON動作させることにより、電圧が印加された時に、確実に基準極−側へ電流を流すことができる。
【0350】
上述の通電回路が正常に形成されたか否かは、Step312の通電確認において、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep312における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0351】
すなわち、通電回路が正常に形成された場合は、第六フォトカプラ58のON動作に伴って入力ポートP02へはLo信号が入力され、入力ポートP03へは、第四FET20
の導通に伴って第七フォトカプラ62がOFF動作し、Hi信号が入力される。この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は異常有と判定し、Step303へ移行する。
【0352】
換言すると、Step312での通電確認処理動作が正常であった場合、前述の如く入力ポートP02へはLo信号が入力され、入力ポートP03へはHi信号が入力されていることを確認して最終の異常検出動作処理を終え、図2のStep18へ移行する。
【0353】
かかる通電状態において、第一ヒータ3のみ、あるいは第一ヒータ3と第二ヒータ4が共に通電途中で断線した場合は、第六フォトカプラ58への通電が遮断され、入力ポートP02へはHi信号が入力される。その結果、図9のStep305で説明したように、入力ポートP02、P03には、共にHi信号が入力されることとなり、異常有と判定して図2のStep16からStep17へ移行し、Step2以降の処理が行われる。また、第二ヒータ4のみが通電途中で断線した場合は、タイマー手段10による連続通電運転時間制御により、通電開始から例えば10分後に第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電時において、前述のStep304、Step305の処理でヒータ断線を検出することができる。
【0354】
上述の如く、電源1の電圧値が48Vの場合は、通電状態の途中において第一ヒータ3、第二ヒータ4に断線事故が発生すると、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止され、Step303へ移行して異常検出処理が行われ、図2のStep17からStep2以降の処理が行われる。
【0355】
そして、ヒータ回路への通電が正常に行われている状態で、温度検出手段6が、ヒータ回路への通電を不要とする温度値を検出した場合、あるいは制御手段15におけるタイマー機能(タイマー手段10)によって、ヒータ回路への連続通電が所定時間(例えば、10分)に到達したことを検出すると、出力ポートP11および出力ポートP15それぞれのON出力をOFF出力として第一フォトカプラ26、第一FET17、およびリレー70をそれぞれOFF動作とする。これにより、駆動極+側の通電を遮断し、その数μ秒後に出力ポートP14のON出力をOFF出力として第四フォトカプラ29、第四FET20をそれぞれOFF動作とする。その結果、最後に基準極−側の通電経路を遮断して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する。かかる状態は、図10のt38で示す区間である。
【0356】
上述の如く第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の停止に伴い、図2のStep2、Step3、Step4、Step7、あるいはStep7からStep8、Step9、Step10の処理が行われ、再びStep14の条件が検出されるまで、あるいはStep9、Step10の処理が完了するまで第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を待機する。
【0357】
そして、再び第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を可能とする条件が成立すると、図2および図9のフローに基づき、上述した第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電前の異常有無の検出と、通電時における異常有無の検出が行われる。
【0358】
このように、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電に際して異常の有無を検出するため、ヒータ装置における安全性を確保し、信頼性を高めることができる。
【0359】
次に、電源1に、定格電圧値が直流24Vを用いた場合の異常有無の検出動作について図11、図12を参照しながら説明する。この場合は、電源1の電圧値が低いため、第一ヒータ3、第二ヒータ4は、電源1に対して並列接続となる回路が形成される。
【0360】
図11は、図2におけるStep15およびStep16の異常検出処理のフローを示し、図12は、正常なヒータ通電状態における通電回路の主要部位の動作内容を示すもので、以下の説明は、図2において、Step1からStep14までの処理が完了し、電源1は、電圧値が24Vで、制御手段15においては、第一ヒータ3および第二ヒータ4が並列に接続される通電回路を形成するように信号を出力する準備が整い、温度検出手段6による検出温度も、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電を要する温度にある環境条件での説明である。
【0361】
図11、図12において、異常検出処理は、制御手段15における信号の入出力動作により、第一ヒータ3および第二ヒータ4への通電前に行われる。
【0362】
すなわち、異常検出のための初期設定として、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットする(Step401)。
【0363】
次に、初期確認として、Step401の状態で第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62の動作状態を確認する(Step402)。このStep402において、正常であれば第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は、共にOFF動作であり、これは制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep402における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における異常確認手段11aの通電結果と認識手段11bの通電結果の照合を行い、判定結果を出力手段12へ出力する判定手段11cの処理動作に相当する。以下、この判定手段11cの処理動作を、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作と称して説明する。
【0364】
すなわち、正常であれば入力ポートP02、P03には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号がそれぞれ入力され、第一フォトカプラ26から第四フォトカプラ29、および第六フォトカプラ58、第七フォトカプラ62のすべてがOFF動作となる。したがって、第一ヒータ3、第二ヒータ4には通電されることがない。かかる状態は、図12のt41で示す区間である。
【0365】
ここで、上記論理以外の信号(いずれか一方にLo信号、または共にLo信号)が入力ポートP02、P03へ入力されると、異常と判定され、Step403へ移行して異常有の処理が行われる。この異常有の処理は、図2におけるStep17(異常表示)以降の処理が行われる。
【0366】
Step402で異常の対象となる箇所は、入力ポートP02、P03に接続された第五、第六のフォトカプラ58、62の短絡故障、もしくは、出力ポートP11、P12の出力経路上の部品(第一、第三のトランジスタ35、37、あるいは第一、第三のフォトカプラ26、28、さらに第一、第三のFET17、19が対象)の短絡故障、破損が想定される。
【0367】
次に、Step404において一次設定を行う。この一次設定は、引き続き制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御をリセットした状態から出力ポートP11のみをON出力するものである。ここで、出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を引き続きOFF出力とする処理は、電源1の電圧値が48VのStep304で説明したように、次の異常の確認を行なうに当たり、制御手段15を一旦リセットすることにより、各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにするためであり、図12の
t42で示す区間が相当する。この区間t42の長さは、例えば数μ秒程度の長さでよく、任意に設定すればよい。その詳細については、電源1の電圧値が48Vの場合で説明した通りであり、ここでの説明は割愛する。
【0368】
そして、Step404において出力ポートP11のみをON出力し、Step405において、一次確認を行う。この一次確認は、第六フォトカプラ58がON動作であり、第七フォトカプラ62がOFF動作であることを確認する。これは制御手段15における入力ポートP02、P03の信号によって確認することができる。このStep405における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0369】
すなわち、正常であれば入力ポートP02にLo信号が、入力ポートP03にHi信号がそれぞれ入力され、第六フォトカプラ58はON動作となり、第七フォトカプラ62はOFF動作となる。かかる状態は、図12のt43で示す区間である。
【0370】
さらに詳述すると、電源1の電圧値が48VのStep305で説明したように、出力ポートP11のみがON出力しているとき、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26の各ON動作を介して第一FET17はON動作となり、この第一FET17を流れる電流は、第一ヒータ3を経由して第六フォトカプラ58を経由する経路と、短絡ライン60側の経路に分岐するが、短絡ライン60側は、リレー70がOFF動作であり、電流は流れない。したがって、第六フォトカプラ58はON動作し、これに伴って入力ポートP02は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力される。また、第七フォトカプラ62へは電流が流れないため、第七フォトカプラ62はOFF動作であり、これに伴って入力ポートP03へはHi信号が入力される。したがって、Step405においては、入力ポートP02への入力がLo信号、入力ポートP03への入力がHi信号となることが正しい論理である。
【0371】
もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03に入力された場合は、Step403へ移行し、異常有の処理が行われる。例えば、Step405において、第一ヒータ3が断線していた場合、第六フォトカプラ58への経路は遮断されるため、この時点で第一ヒータ3の断線を検出することができる。すなわち、第一ヒータ3が断線していれば、第六フォトカプラ58はOFF動作のままであり、入力ポートP02には、Hi信号が入力され、上述の如く正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0372】
また、Step405において、リレー70が短絡していた場合は、第二ヒータ4を経由して電流が流れ、第七フォトカプラ62がON動作となる。その結果、入力ポートP03は接地面と等しい電位となり、Lo信号が入力される。したがって、入力ポートP02、P03には共にLo信号が入力され、上述の正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0373】
さらに、Step405において、第二FET18が短絡していた場合は、第二FET18が通電経路となるため、第一ヒータ3が断線している場合と同様に、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62へは通電されず、第六、第七の各フォトカプラ58、62は、いずれもOFF動作状態となる。
【0374】
したがって、第二FET18が短絡している場合は、第六、第七の各フォトカプラ58、62は共にOFF動作で、入力ポートP02、P03へは共にHi信号が入力され、上述の正しい論理とはならず、異常有を検出することができる。
【0375】
上述の如くStep405においては、電源1の通電前における第一ヒータ3の断線の
有無検出に加えて、第二FET18の短絡の有無も検出することができる。
【0376】
次に、Step406において二次設定を行う。この二次設定は、Step404で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とし、出力ポートP12のみをON出力する。かかる状態は、図12の区間t43に続くt42で示す区間である。
【0377】
そして、Step407で二次確認、すなわち、第六フォトカプラ58がOFF動作であり、第七フォトカプラ62がON動作であることを確認する。これはStep402、Step405と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep207における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0378】
すなわち、正常であれば第六フォトカプラ58はOFF動作であり、第七フォトカプラ62はON動作となり、入力ポートP02には、Hi信号が入力され、入力ポートP03には、Lo信号が入力される。かかる状態は、図12のt44で示す区間である。
【0379】
換言すると、出力ポートP12のみのON出力であるため、第三トランジスタ37、第三フォトカプラ28の各ON動作を介して第三FET19はON動作となり、この第三FET19を流れる電流は、第二ヒータ4を経由して第七フォトカプラ62を経由する経路と、第二ヒータ4を経由しないで直接第六フォトカプラ58(短絡ライン60)へ流れる経路に分岐するが、リレー70がOFF動作であるため、第六フォトカプラ58へは電流は流れない。したがって、第六フォトカプラ58はOFF動作であり、第七フォトカプラ62はON動作となる。これに伴って入力ポートP02には、電源ポートVccからプルアップ抵抗61、64を経由したHi信号が入力され、入力ポートP03は、接地面と等しい電位となってLo信号が入力される。したがって、入力ポートP02には、Hi信号が入力され、入力ポートP03は、Lo信号が入力されることが正しい論理である。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step403へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0380】
また、Step401、Step402、Step404、Step405、Step407の処理において、第六、第七のフォトカプラ58、62は、それぞれOFF動作、ON動作の反転動作を行うため、この間において入力ポートP02、P03の入力信号レベル(Hi、Lo)に基づき、第六、第七のフォトカプラ58、62自身の異常をも検出することができる。
【0381】
次に、Step408において三次設定を行う。この三次設定は、Step404で説明した理由により、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力を再びOFF出力とする。かかる状態は、図12の区間t44に続くt42で示す区間である。
【0382】
そして、出力ポートP11および出力ポートP12をそれぞれON出力し、Step409で、三次確認、すなわち、第一フォトカプラ26および第三フォトカプラ28が共にON動作であることを確認する。これはStep402、Step405、Step407と同様に、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep409における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0383】
すなわち、正常であれば第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は共にON動作となる。したがって、入力ポートP02、P03には、共にLo信号が入力される。
かかる状態は、図12のt45で示す区間である。
【0384】
さらに詳述すると、このStep408、Step409は、第一、第二の各ヒータ3、4の断線の有無を確認する処理で、出力ポートP11をON出力することにより、第一トランジスタ35、第一フォトカプラ26のON動作を介して第一FET17がON動作する。したがって、この時点で第一ヒータ3の駆動側端が電源1の駆動極+に接続された状態となり、第一ヒータ3への通電が可能となる。この第一ヒータ3への通電に伴い、第二FET18がOFF動作であることから第六フォトカプラ58はON動作し、入力ポートP02は、接地面と等しい電位となってLo信号が入力される。
【0385】
また、出力ポートP12のON出力により、第三トランジスタ37、第三フォトカプラ28のON動作を介して第三FET19がON動作する。したがって、この時点で第二ヒータ4の駆動側端も電源1の駆動極+に接続された状態となり、第二ヒータ3への通電が可能となる。この第二ヒータ4の通電に伴い、第四FET20がOFF動作であることから第七フォトカプラ62はON動作し、入力ポートP03は、接地面と等しい電位となってLo信号が入力される。
【0386】
ここで、第一ヒータ3と第二ヒータ4は、リレー70のOFF動作によって接続されていないため、第一FE17および第三TFET19がそれぞれON動作しても独立した通電回路となっている。
【0387】
したがって、Step409においては、入力ポートP02、P03にそれぞれLo信号が入力されることが正しい論理となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step403へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0388】
例えば、第二FET18および第四FET20が共に短絡していれば、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は共にOFF動作となり、入力ポートP02、P03にはそれぞれHi信号が入力される。また、第二FET18、あるいは第四FET20の一方が短絡していれば入力ポートP02、P03の一方にLo信号が入力され、他方にHi信号が入力される。
【0389】
上記Step401からStep409までの処理は、電源1が第一、第二のヒータ3、4で形成される並列接続回路へ供給される前の異常有無の確認制御動作であり、特にStep408、Step409の処理は、第一、第二の各ヒータ3、4自身の断線の有無を確認する処理である。
【0390】
そして、Step410から、第一、第二のヒータ3、4で形成される並列接続回路へ電源1が印加された状態での異常の有無を確認する制御動作が行われる。
【0391】
Step410では、電源1の供給に際しての初期再設定処理が行われる。この初期再設定は、Step404等で説明したように、制御手段15の出力ポートP11から出力ポートP15の全ての出力をOFF出力とし、制御手段15を一旦リセットして各出力ポートP11、P12、P13、P14、P15の出力動作(切換え動作)が確実に行えるようにする処理である。かかる状態は、図12の区間t45に続くt42で示す区間である。
【0392】
次に、Step411において通電設定処理を行う。この通電設定処理は、並列に接続された第一、第二のヒータ3、4への電源1の供給に際し、最初に出力ポートP13、P14をON出力し、その後(例えば数μ秒後)に出力ポートP11、P12をON出力するように設定している。かかる状態は、図12のt46で示す区間である。
【0393】
すなわち、第一、第二のヒータ3、4を並列に接続した回路への通電を開始するに当たり、基準極−側を先にON動作させてから、駆動極+側をON動作させることにより、電圧が印加された時に、確実に基準極−側へ電流を流すことができるためである。
【0394】
上述の如く、制御手段15の出力ポートP11、P12、P13、P14をそれぞれON出力し、第一ヒータ3の回路における第一FET17、第二FET18、および第二ヒータ4の回路における第三FET19、第四FET20をそれぞれON動作させる。これにより、駆動極+から過電流保護装置24、第一FET17、第一ヒータ3、第二FET18を通って基準極−へ流れる通電回路と、駆動極+から過電流保護装置24、第三FET19、第二ヒータ4、第四FET20を通って基準極−へ流れる通電回路が形成される。したがって、第一、第二の各ヒータ3、4は通電状態(ON状態)となり、発熱動作を行う。かかる状態は、図12のt47で示す区間である。
【0395】
このStep411での処理動作は、図12の区間t46からt47に亘って示すように、出力ポートP13、P14のON出力により、第二トランジスタ36、第四トランジスタ38をON動作し、これにより第二フォトカプラ27、第四フォトカプラ29をそれぞれON動作させ、第二FET18、第四FET20をON動作させる。そして、これとは微小(数μ秒)の時差をもった出力ポートP11、P12のON出力により、第一トランジスタ35、第三トランジスタ37、第一フォトカプラ26、第三フォトカプラ28がそれぞれON動作し、これによって第一FET17、第三FETもON動作するものである。
【0396】
上述の通電回路が正常に形成されたか否かは、Step412の通電確認において、制御手段15における入力ポートP02、P03の入力信号によって確認することができる。このStep412における入力ポートP02、P03の信号確認が、異常検出手段11における判定手段11cの処理動作に相当する。
【0397】
すなわち、Step412での処理動作が正常であった場合、前述の如く電流は、電源1の駆動極+から第一、第二のヒータ3、4を並列に流れ、基準極−に流れる。このとき、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62には電流が流れないため、第六フォトカプラ58および第七フォトカプラ62は共にOFF動作している。したがって、入力ポートP02および入力ポートP03には、共にHi信号が入力されることが正しい論理となる。もし、この論理以外の信号が入力ポートP02、P03へ入力された場合は、Step403へ移行し、異常有の処理が行われる。
【0398】
そして、この入力ポートP02、P03のそれぞれの入力状態を確認して最終の異常検出動作処理を終え、図2のStep18へ移行する。
【0399】
かかる通電状態において、第一ヒータ3が、あるいは第二ヒータ4が通電途中で断線した場合は、タイマー手段10による連続通電運転時間制御により、通電開始から例えば10分後に第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止し、再通電時において、前述のStep404、Step405の処理でヒータ断線を検出することができる。
【0400】
上述の如く、電源1の電圧値が24Vの場合も、通電状態の途中において第一ヒータ3、第二ヒータ4に断線事故が発生すると、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が停止され、Step403へ移行して異常検出処理が行われ、図2のStep17からStep2以降の処理が行われる。
【0401】
そして、ヒータ回路への通電が正常に行われている状態で、温度検出手段6が、ヒータ
回路への通電を不要とする温度値を検出した場合、あるいは制御手段15におけるタイマー機能(タイマー手段10)によって、ヒータ回路への連続通電が所定時間(例えば10分)に到達したことを検出すると、出力ポートP11、P12のON出力をそれぞれOFF出力として第一、第三のフォトカプラ26、28、および第一FET17、第三FET19をそれぞれOFF動作とする。これにより、駆動極+側の通電を遮断し、その数μ秒後に出力ポートP13、P14のON出力をそれぞれOFF出力として第二、第四のフォトカプラ27、29、および第二FET18、第四FET20をそれぞれOFF動作とする。その結果、最後に基準極−側の通電経路を遮断して第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を停止する。かかる状態は、図12のt48で示す区間である。
【0402】
上述の如く第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の停止に伴い、図2のStep2、Step3、Step4、Step7、あるいはStep7からStep8、Step9、Step10の処理が行われ、再びStep14の条件が検出されるまで、あるいはStep9、Step10の処理が完了するまで第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を待機する。
【0403】
そして、再び第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電を可能にする条件が成立すると、図2のフローに基づき、図11に示す第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電前の異常有無の検出と、通電時における異常有無の検出が行われる。
【0404】
このように、電源1の電圧値が24Vに変更された場合であっても、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電に際して異常の有無を検出するため、ヒータ装置における安全性を確保し、信頼性を高めることができる。
【0405】
なお、第一ヒータ3および第二ヒータ4を並列に接続した回路の場合、基準極−側に第二FET18および第四FET20を、第一、第二の各ヒータ3、4とそれぞれ直列となるように配置接続したが、いずれか一方を削除した回路構成とすることも可能である。
【0406】
かかる構成は、通電可能な回路は構成できるものの、FETの通電に伴う自己発熱が大きいため、熱容量の大きなFETを必要とする。
【0407】
しかしながら、本実施の形態2に示す如く、第一、第二の各ヒータ3、4に対応して第二FET18および第四FET20を配置接続することにより、通電に伴う自己発熱を抑制(分散)し、第二FET18および第四FET20の発熱に対する保証を確実なものとすることができる。
【0408】
さらに、本実施の形態3においては、第一から第四のトランジスタ26、27、28、29、および第一から第四のフォトカプラ16、17、18、19、さらに第一から第四のFET17、13、22、23等で構成されるスイッチング機能に代えて、接点式のリレー(図示せず)を採用することも可能であり、同様の作用効果が期待できる。
【0409】
また、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電の開始時、停止時に設けた、第一ヒータ3、第二ヒータ4を挟んで駆動極+側の第一、第三FET17、22と基準極−側の第二、第四FET18、23のON動作およびOFF動作の時差(数μ秒)は、任意に設定できるものであり、第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電回路が確実に形成される時差が確保できればよいものである。
【0410】
さらに、本実施の形態3においては、ヒータを二本採用し、この第一ヒータ3、第二ヒータ4への通電が、直列接続系統または並列接続系統となるように通電回路を形成するようにしたが、三本以上のヒータを採用する場合についても同様に実施することができる。
【0411】
特に、定格値が異なる複数のヒータを採用する場合は、適宜抵抗器等(図示せず)の負荷との組合せを行うことにより、直列接続系統または並列接続系統の場合であっても、特定のヒータに突出した電流が流れることを抑制することが可能となる。
【0412】
以上のように、本実施の形態3によれば、先の実施の形態2による作用効果に加え、以下の作用効果が期待できる。
【0413】
すなわち、第一ヒータ3系統の回路と第二ヒータ4系統の回路の間にリレー70を配置接続したことにより、第一ヒータ3、第二ヒータ4を直列接続あるいは並列接続とする通電回路の異常有無の検出を、第一ヒータ3系統の回路と第二ヒータ4系統の回路を独立した状態で行うことができるため、異常検出のための通電経路を簡素化することができる。その結果、異常が検出された場合における異常個所の特定が容易であり、補修作業を円滑に行うことができる。
【0414】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における恒温装置の構成を示す模式図である。なお、先の実施の形態1、実施の形態2と同様の構成要件については、同一の符号を付して説明する。また、電源1の電圧値は、48Vで安定している直流とする。
【0415】
図13において、恒温装置80は、一面が開口した断熱性を有する本体81と、前記開口に開閉可能に設けられた断熱性を有する扉体82と、本体81の内部に配置された熱源装置83を主体とする構成である。
【0416】
熱源装置83は、本体を形成する筺体84と、この筺体84の内部を風が通過するように流入口85と流出口86を有し、また筺体84の内部には、実施の形態1、実施の形態2で説明したヒータ装置87と、ヒータ装置87の第一、第二の各ヒータ3、4の発熱に伴う温風を本体81内で循環させる送風機(本発明の送風手段に相当)88を具備した構成である。
【0417】
そして、本体81の内部には、一定の温度範囲内で保存管理される物品、あるいは一定の温度範囲内での維持管理を必要とする制御機器等の収納物89が配置されている。
【0418】
上記構成において、ヒータ装置87の運転制御は、先の実施の形態1、実施の形態2で説明したように、温度検出手段6が、本体81内の温度を第一、第二の各ヒータ3、4の通電を必要とする温度を検出したときに行われる。
【0419】
したがって、本体81内の温度が第一、第二の各ヒータ3、4の通電を必要とする温度になると、第一、第二の各ヒータ3、4は、直列に電流が流れるように通電回路が形成され、発熱する。一方で、送風機88が流出口86から温風を吹出し、本体81内を循環した空気を流入口85より筺体84内へ導き、ここで第一、第二の各ヒータ3、4と循環空気を熱交換し、所定の温風にして流出口86から再び本体81内を循環させる。
【0420】
そして、第一、第二の各ヒータ3、4への連続通電時間が所定時間に到達したとき、あるいは温度検出手段6による検出温度が第一、第二の各ヒータ3、4への通電を必要としない温度に到達したとき、実施の形態2で説明した通電制御によって第一、第二の各ヒータ3、4への通電を停止する。このとき、送風機88は、連続して運転することにより、本体81内の温度変化を逸早く検出し、ヒータ装置87の再起動を円滑に行うことができる。
【0421】
かかる温風の循環と、第一、第二の各ヒータ3、4への通電制御により、恒温装置80の本体81内の温度を所定の範囲内に維持し、収納物89の収納管理を行うことができる。
【0422】
また、電源1の電圧値が24Vの場合は、先の実施の形態1、2で説明した通電回路を形成する制御により、電圧値24Vに適応した通電回路、すなわち第一、第二の各ヒータ3、4が並列接続となる通電回路を形成し、同様の通電制御によって恒温装置80の本体81内の温度を所定の範囲内に維持し、収納物89の収納管理を行うことができる。
【0423】
したがって、ヒータ装置87は、第一、第二の各ヒータ3、4の発熱に伴う劣化の進行を抑制した通電制御により、第一、第二の各ヒータ3、4の長寿命化をはかっているため、長期に亘り高い信頼性が発揮でき、恒温装置80の安定した温度管理と信頼性を高めることができる。また、第一、第二の各ヒータ3、4への連続通電を、予め設定した所定時間としているため、恒温装置の安全性をさらに高めることができる。
【0424】
さらに、第一、第二の各ヒータ3、4への通電前に、該通電回路の異常の有無検出を行うため、恒温装置80および熱源装置83の安全性を確保することができ、機器の信頼性を高めることができる。
【0425】
なお、本実施の形態4においては、実施の形態1、2で説明したヒータ装置87を、熱源装置83に採用した場合について説明したが、実施の形態3で説明したヒータ装置を採用する構成としても、同様の作用効果が期待できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0426】
本発明にかかるヒータ装置は、印加される電圧値に対応して複数のヒータへの通電回路を直列接続系統あるいは並列接続系統に変更することにより、特定のヒータが突出して電力消費することを抑制するもので、長期間に亘り極力メンテナンスの回数、部品交換作業を少なくすることが望ましい機器に適応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0427】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒータ装置の機能構成を示すブロック回路図
【図2】同実施の形態1におけるヒータ装置の動作内容を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2におけるヒータ装置の回路構成図
【図4】同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャート
【図5】同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャート
【図6】同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャート
【図7】同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャート
【図8】本発明の実施の形態3におけるヒータ装置の回路構成図
【図9】同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャート
【図10】同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの直列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャート
【図11】同実施の形態3におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路の場合の異常検出動作内容を示すフローチャート
【図12】同実施の形態2におけるヒータ装置の各ヒータの並列接続系統回路を構成する関係部位の動作状態を示すタイムチャート
【図13】本発明の実施の形態4における恒温装置の構成を示す模式図
【符号の説明】
【0428】
1 電源
2 電圧検出手段
3 第一ヒータ
4 第二ヒータ
5 回路形成手段
6 温度検出手段
7 通電制御手段
8 切換え手段
9 時差出力手段
10 タイマー手段
11 異常検出手段
12 出力手段
13 制御用電源
15 制御手段
17 第一FET(駆動側スイッチ手段、一次側スイッチ)
18 第二FET(基準側スイッチ手段、一次側スイッチ)
19 第三FET(駆動側スイッチ手段、一次側スイッチ)
20 第四FET(基準側スイッチ手段、一次側スイッチ)
25 第五FET(基準側スイッチ手段、一次側スイッチ)
26 第一フォトカプラ(駆動側スイッチ手段、二次側スイッチ)
27 第二フォトカプラ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
28 第三フォトカプラ(駆動側スイッチ手段、二次側スイッチ)
29 第四フォトカプラ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
30 第五フォトカプラ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
35 第一トランジスタ(駆動側スイッチ手段、二次側スイッチ)
36 第二トランジスタ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
37 第三トランジスタ(駆動側スイッチ手段、二次側スイッチ)
38 第四トランジスタ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
39 第五トランジスタ(基準側スイッチ手段、二次側スイッチ)
58 第六フォトカプラ(第一検出フォトカプラ)
60 短絡ライン(短絡回路、短絡スイッチ回路)
62 第七フォトカプラ(第二検出フォトカプラ)
70 リレー(短絡スイッチ手段)
80 恒温装置
81 本体
83 熱源装置
87 ヒータ装置
88 送風機(送風手段)
89 収納物(制御機器等)
+ 駆動極
− 基準極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の電圧値を検出する電圧検出手段と、直流電圧が印加される複数のヒータと、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定の範囲内の場合に前記複数のヒータへの通電を可能とする制御手段を具備し、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータにおける前記電源の駆動極側および基準極側に接続された切換え手段と、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定値以上の場合に前記複数のヒータを直列接続系統とし、前記検出された電圧値が所定値以下の場合に前記複数のヒータを並列接続系統とするように前記各切換え手段を動作させ、かつ前記複数のヒータへの通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータにおける通電経路を形成する切換え手段の異常の有無を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続された切換え手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記切換え手段の異常動作の有無を検出するようにしたヒータ装置。
【請求項2】
電源と、前記電源による直流電圧が印加される複数のヒータ回路と、前記複数のヒータ回路への通電を制御する制御手段を具備し、前記複数のヒータ回路を、前記電源の駆動極側に接続された駆動側スイッチ手段と、前記直流電圧が印加されるヒータと、前記電源の基準極側に接続された基準側スイッチ手段を順次直列に接続した構成とし、これら複数のヒータ回路を、前記電源に並列となるように接続し、さらに、前記各ヒータ回路における該ヒータの基準側端と前記基準側スイッチ手段の間を相互に接続する短絡回路を設け、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータの通電経路を並列接続系統回路、あるいは前記短絡回路を介しての直列接続系統回路に形成する信号を出力する回路形成手段と、前記回路形成手段の信号に基づき前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段および基準側スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させ、かつ前記複数のヒータ回路への通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータの通電経路を形成する前記駆動側、基準側の各スイッチ手段の異常の有無を検出し、前記通電制御手段へ出力する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記電源の前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続されたスイッチ手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して、前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記各スイッチ手段の異常動作の有無を検出するようにしたヒータ装置。
【請求項3】
電源と、前記電源による直流電圧が印加される複数のヒータ回路と、前記複数のヒータ回路への通電を制御する制御手段を具備し、前記複数のヒータ回路を、前記電源の駆動極側に接続された駆動側スイッチ手段と、前記直流電圧が印加されるヒータと、前記電源の基準極側に接続された基準側スイッチ手段を順次直列に接続した構成とし、これら複数のヒータ回路を、前記電源に並列となるように接続し、さらに、導通状態および非導通状態を形成する短絡スイッチ手段を具備し、かつ前段のヒータ回路が後段のヒータ回路と直列となるように接続された短絡スイッチ回路を設け、さらに、前記制御手段を、前記複数のヒータの通電経路を並列接続系統回路、あるいは前記短絡スイッチ回路を介しての直列接続系統回路に形成する信号を出力する回路形成手段と、前記回路形成手段の信号に基づき前記複数のヒータ回路における前記駆動側スイッチ手段と基準側スイッチ手段および前記短絡スイッチ手段をON動作あるいはOFF動作させ、かつ前記複数のヒータ回路への通電を制御する通電制御手段を具備する構成とし、さらに、少なくとも前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記複数のヒータの通電経路を形成する前記駆動側、
基準側の各スイッチ手段の異常の有無を検出し、前記通電制御手段へ出力する異常検出手段と、前記異常検出手段の出力信号に応じて前記通電制御手段へ通電動作信号、あるいは停止動作信号を出力する出力手段を設け、前記電源の前記複数のヒータへの通電前において、前記電源の駆動極側に接続されたスイッチ手段を介して前記電源の駆動極を前記各ヒータに接続した状態とし、前記異常検出手段を動作して、前記複数のヒータにおける通電経路の断線の有無、または前記各スイッチ手段の異常動作の有無を検出するようにしたヒータ装置。
【請求項4】
前記電源の電圧値を検出する電圧検出手段を具備し、前記回路形成手段により、前記電圧検出手段によって検出された電圧値が所定値以上の場合に前記ヒータを直列接続系統とし、前記検出された電圧値が所定値以下の場合に前記複数のヒータを並列接続系統とする信号を前記通電制御手段へ出力し、前記駆動側スイッチ手段および前記基準側スイッチ手段を動作させる請求項2または3に記載のヒータ装置。
【請求項5】
前記複数のヒータへの連続通電が所定時間経過した場合に、前記複数のヒータへの通電を一時的に停止するタイマー手段を設けた請求項1から4のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項6】
前記異常検出手段を、前記通電制御手段により形成された通電経路の通電結果を取込む異常確認手段と、前記通電経路に対応する正常な通電結果を認識した認識手段と、前記異常確認手段の通電結果と前記認識手段の通電結果を照合した判定結果を前記出力手段へ出力する判定手段を具備する構成とした請求項1から5のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項7】
前記電圧検出手段によって前記電源電圧値の切換わりを検出したとき、前記複数のヒータへの通電を一旦遮断し、その後前記複数のヒータを、切換えられた電圧値に対応する接続系統に切換える制御を行なうようにした請求項1または4から6のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項8】
前記電源の基準極側に接続された切換え手段または基準側スイッチ手段を、前記電源の駆動極側に接続された切換え手段または駆動側スイッチ手段よりも先に動作させて基準側を通電可能な状態にし、その後に前記駆動極側に接続された切換え手段または駆動側スイッチ手段を動作させて前記複数のヒータへの通電を行うようにした請求項1から7のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項9】
少なくとも前記通電制御手段、前記異常検出手段、および前記出力手段を、マイクロコンピュータを主体とする回路より構成し、前記切換え手段または前記駆動側、基準側の各スイッチ手段を、半導体リレーより構成した請求項1から8のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項10】
前記複数のヒータに印加される電圧値の切換わりに伴い、前記複数のヒータの接続が直列接続系統あるいは並列接続系統に切換わった場合であっても、前記各ヒータに印加される電圧値が略同電圧値となるようにした請求項1から9のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項11】
前記各ヒータの定格を同一とした請求項10に記載のヒータ装置。
【請求項12】
前記ヒータへの通電用の電圧値に設定された電源と、制御用の電圧値に設定された制御用電源を具備し、さらに、前記電源の駆動極側および基準極側に設けられた半導体リレーを、前記電源側に配置接続された一次側スイッチと、前記制御用電源によって駆動し、前記一次側スイッチを動作させる二次側スイッチを具備する構成とした請求項9から11のい
ずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項13】
前記二次側スイッチを、前記一次側スイッチを動作制御するフォトカプラと、前記通電制御手段からの出力信号により前記フォトカプラを駆動制御するスイッチングトランジスタを具備する構成とした請求項12に記載のヒータ装置。
【請求項14】
前記異常検出手段を、前段のヒータ回路に接続された短絡回路または短絡スイッチ回路の電位値により発光する第一検出フォトカプラと、後段のヒータ回路の電位値により発光する第二検出フォトカプラを具備する構成とし、前記第一、第二の検出フォトカプラの受光側の電位値で異常の有無を判断するようにした請求項2から13のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項15】
制御機器等を格納する空間を具備した本体の前記空間内に、前記空間内を所定の温度に維持する温度制御装置および前記空間内の空気を循環させる送風手段を設け、前記温度制御装置の熱源に、請求項1から14のいずれか一項に記載のヒータ装置を用いた恒温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−212174(P2010−212174A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59117(P2009−59117)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】