ヒートパイプ型放熱装置
【課題】 発熱源の大きさに関係なく、放熱面積を確保すると共に無騒音あるいは低騒音で放熱できるようにした、流体動圧(FDP:Fluid Dynamic Pressure)を用いたヒートパイプ型放熱装置を提供する。
【解決手段】本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、吸熱パイプ部に連通し、吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部とを含み、吸熱パイプ部及び放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、複数の単位ヒートパイプループは発熱源を中心として放射状に配置され、各単位ヒートパイプループの長さは放射状の最短直線距離よりも長いことを特徴とする。
【解決手段】本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、吸熱パイプ部に連通し、吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部とを含み、吸熱パイプ部及び放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、複数の単位ヒートパイプループは発熱源を中心として放射状に配置され、各単位ヒートパイプループの長さは放射状の最短直線距離よりも長いことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱装置に関するもので、より詳細にはヒートパイプ型放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータの中央処理処置(Central Processing Unit:以下CPUという)、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、発光ダイオード(Light−Emitting Diode:以下、LEDという)などの電子部品は作動時に熱を発生する。上記電子部品が過熱されると、誤作動や損傷が生じることがあるため、過熱を防止するための放熱装置が必要となる。
【0003】
通常、放熱装置は上記電子部品などの発熱源から発生した熱を外部に放熱して発熱源の過熱を防止する。
【0004】
上記電子部品に適用される放熱装置の一例として従来にはヒートシンク型放熱装置が開示されている。
【0005】
このヒートシンク型放熱装置は吸熱部及び放熱部を含む。吸熱部は発熱源に隣接して配置され、熱伝導により発熱源から放出された熱を吸収する。放熱部は吸熱部と一体をなしており、吸熱された熱を熱交換により外部に排出する防熱ピンから構成される。
【0006】
このように構成されたヒートシンク型放熱装置は、上記吸熱部と上記放熱部との間の距離、上記防熱ピンの放熱面積、及び素材の熱伝導度により放熱効率が決定される。
【0007】
一方、上記ヒートシンク型放熱装置は、電子部品の集積化及び小型化傾向によりヒートシンクのサイズも次第に小さくなる傾向にあり、防熱ピンの表面積を広げると吸熱部と放熱部との間の距離が遠くなって、放熱効率を向上させるには限界がある。
【0008】
また、従来の放熱装置は、高速回転する防熱ファンをさらに含む。これにより、防熱ファンを駆動するために電力を消耗するので、防熱ファンの駆動時に騒音が発生する問題がある。
【0009】
さらに、上記従来の放熱装置は構造的安定性の確保や熱伝導度から、防熱ピンの厚さを薄くするには限界があるので、製造原価が高くなるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、 ヒートパイプ型熱交換構造を採用して放熱効率を高め、吸熱部と放熱部との間の距離に関係なく放熱面積を確保でき、無騒音あるいは低騒音で放熱でき、薄い厚さで高い構造的安定性を確保できるヒートパイプ型放熱装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、上記吸熱パイプ部に連通し、上記吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部とを含み、上記吸熱パイプ部及び放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、上記複数の単位ヒートパイプループは上記発熱源を中心として放射状に配置されることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記各単位ヒートパイプループの長さは、放射状の最短直線距離よりも長く形成されてもよい。
【0013】
上記放熱パイプ部は、上記吸熱パイプ部に連通し、放射状の最短直線距離よりも長い長さを有するように放射状に配置された第1放熱部と、上記第1放熱部に連通し、上記単位ヒートパイプループの外周壁を形成する第2放熱部とを含む。
【0014】
上記放熱パイプ部は、上記第1放熱部と上記第2放熱部との間に少なくとも一つの突出放熱部をさらに含むことができる。
【0015】
上記単位ヒートパイプループのうち少なくとも一部は、隣り合う単位ヒートパイプループに連通することができる。
【0016】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記隣り合う単位ヒートパイプループ間に配置されて放熱を補助する補助ヒートパイプループをさらに含むことができる。
【0017】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記複数の単位ヒートパイプループに結合された放熱部材をさらに含むことができる。この放熱部材は、放出された熱の流れをガイドするガイド部を含むことができる。
【0018】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記発熱源に隣接して設けられ、上記複数の単位ヒートパイプループが設けられるマウントをさらに含むことができ、上記複数の単位ヒートパイプループを隔てて上記マウントに結合するホルダをさらに含むことができる。
【0019】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は上記放熱パイプ部に隣接して設けられる防熱ファンをさらに含むことができる。
【0020】
上記各単位ヒートパイプループは、それぞれ第1、第2端部を有する第1パイプ部材及び第2パイプ部材を含み、上記第1パイプ部材の第1端部は上記第2パイプ部材の第1端部に結合され、上記第1パイプ部材の第2端部は隣り合う単位パイプループの第2パイプ部材の第2端部に結合されることができる。
【0021】
互いに結合される上記第1及び第2パイプ部材の端部のうち何れか一つを拡管することができ、互いに結合される上記第1及び第2パイプ部材の端部は半田付けにより結合されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は放熱効率のよいヒートパイプを用いるため、発熱源の周辺空間に適した様々な大きさや形状に設計することができる。
【0023】
また、ヒートパイプは中空細管構造を有するため、従来の防熱ピンより厚さを薄くしても堅固性を維持することができる。したがって、本発明に係る放熱装置は従来の放熱装置に比べて、原材料の消耗量が少ないため、材料節減の効果がある。
【0024】
また、本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に対して放射状に配置されたヒートパイプを採用するため、全方向に熱を放出することができるようになり、騒音なしで放熱効率を高めることができる。また、防熱ファンをさらに含む場合にも、低騒音で高い放熱効率を確保することができる。
【0025】
また、本発明の実施形態では、単位ヒートパイプループを形成するのに、互いに分離された第1及び第2パイプ部材を接合するので、放熱装置の生産性を高めることができる。
【0026】
また、本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、螺旋形、蛇行形などの様々な形状に単位ヒートパイプループを構成することで、ヒートパイプの有効放熱面積を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプループを示す部分斜視図である。
【図3】図2の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプループを示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す部分正面図である。
【図6】図5のVI−VI線による断面図である。
【図7】本発明の第4実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図8】本発明の第5実施例による放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図9】本発明の第5実施例による放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図10】本発明の第6実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図12】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置における複数の単位ヒートパイプループを示す平面図である。
【図13】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループを示す部分分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明によるヒートパイプ型放熱装置の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0029】
図1は本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図であり、図2は本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプを示す部分斜視図であり、図3は図2の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプを示す平面図である。
【0030】
図1から3を参照すると、本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、放射状に隣接して配置された複数の単位ヒートパイプループ20を含む。具体的に、それぞれの単位ヒートパイプループ20が発熱源1を中心として放射状に隣接して配置される。したがって、上記発熱源1から発生した熱を放射状に全方向に放熱することができるようになり、放熱効率を高めることができる。
【0031】
ここで、上記発熱源1の例としてはCPU、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、LEDなどの電子部品があり、上記発熱源1の種類や形状に応じて、上記ヒートパイプ型放熱装置は様々な大きさや形状を有することができる。
【0032】
図3に示すように、上記各単位ヒートパイプループ20は、吸熱パイプ部21及び放熱パイプ部23を含む。吸熱パイプ部21及び放熱パイプ部23の内部には、図2に示すように、気泡13と共に作動流体15が注入されている。上記吸熱パイプ部21は、上記発熱源1に隣接して配置されて上記発熱源1から発生した熱を吸収する。そして、上記放熱パイプ部23は上記吸熱パイプ部21から放射状構造の外側に連通しており、上記吸熱パイプ部21から伝達された熱を外部に放出する。上記各単位ヒートパイプループ20は、熱伝導度の高い銅、アルミニウムなどの金属素材で構成されることが好ましい。これは、上記発熱源1から発生した熱が上記単位ヒートパイプループ20に素早く伝達され、かつその内部に注入された気泡の体積を素早く変化させるためである。
【0033】
上記それぞれの単位ヒートパイプループ20は、開ループ(open loop)形状を有し、隣り合う単位ヒートパイプループ20に連通されるか、分離されることができる。すなわち、上記複数の単位ヒートパイプループ20の全部あるいは一部は、隣り合う単位ヒートパイプループ20に連通することができる。
【0034】
全てが互いに連通されている複数の単位ヒートパイプループ20は、設計上の必要に応じて全体的に開ループまたは閉ループ形状を有することができる。開ループの場合、単位ヒートパイプループ20の両端部は密閉される。
【0035】
また、複数の単位ヒートパイプループ20が、独立的に放熱機能を行う二つ以上のグループに分けられ、各グループに属する複数の単位ヒートパイプループ20が相互連通された構造を有するように構成することも可能である。
【0036】
また、隣り合う単位ヒートパイプループ20間には、発熱源1から離隔して配置された補助ヒートパイプループ25が配置されてもよい。図2は、隣り合う単位ヒートパイプループ20間に、長さの異なる三つの補助ヒートパイプループ25が配置された例を示している。補助ヒートパイプループ25は、単位ヒートパイプループ20間に位置して放熱を補助することにより、放熱効率を高める。補助ヒートパイプループ25の数及び長さは、設計上の必要に応じて多様に変更可能である。
【0037】
上記各ヒートパイプループは、流体動圧(FDP:Fluid Dynamic Pressure)を用いたヒートパイプ、例えば振動細管型ヒートパイプを含む。以下、流体動圧型ヒートパイプの一例として振動細管型ヒートパイプの基本的な動作原理を図2に基づいて説明する。
【0038】
振動細管型ヒートパイプは、図2に示すように、細管11内部に気泡13が所定体積の比率で発生するように作動流体を注入した後に細管11内部を外部から密閉した構造を有する。このヒートパイプは気泡13及び作動流体15の体積膨張及び凝縮により、熱を潜熱状態で大量輸送する熱伝達メカニズムを有する。
【0039】
基本的な原理を説明すると、上記吸熱パイプ部21においては、吸収した熱量だけ核沸騰(Nucleate Boiling)が生じ、上記吸熱パイプ部21に位置している気泡の体積が膨張する。このとき、上記細管11は内部体積を一定に維持するため、上記吸熱パイプ部21に位置している気泡が体積膨張しただけ上記放熱パイプ部23に位置している気泡が収縮することになる。したがって、細管11内の圧力平衡状態が崩れ、ヒートパイプには上記作動流体15及び気泡13の振動を含む流動が生じ、これにより気泡13の体積変化による温度昇降により潜熱輸送することで、放熱機能を行う。
【0040】
この振動細管型ヒートパイプは一般のヒートパイプとは異なって、ウィック(wick)を含まないので、作製が容易である。また、設置方向に制約がないため、必ず放熱部が吸熱部の下部に位置する構造である熱サイホン(thermosyphon)式ヒートパイプに比べて、設置上の制約が少ないという利点がある。また、ヒートシンク型放熱装置とは熱輸送方式が異なるため、ヒートパイプ自体の構造的限界による大きさの制約はない。そのため、発熱源の種類や形状に応じて様々な大きさを有することができる。
【0041】
図1を参照すると、本実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、複数の単位ヒートパイプループ20を設置するために、マウント40及びホルダ50をさらに含むことができる。上記マウント40の上面には上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む設置溝41が形成されている。したがって、上記設置溝41に合わせて上記単位ヒートパイプループ20を設置することにより、上記放熱装置の全体形状を維持しながら結合されるようにすることができる。上記発熱源1は上記マウント40の底面に結合できる。
【0042】
上記ホルダ50は、上記複数の単位ヒートパイプループ20を隔てて上記マウント40に結合され、上記単位ヒートパイプループ20を支持するものであって、底面に上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む結合溝51が形成されている。したがって、上記マウント40の設置溝41と上記ホルダ50の結合溝51に合わせて上記単位ヒートパイプループ20を設置することにより、複数の単位ヒートパイプループ20の全体形状を維持しながら堅固に設置されるようにすることができる。
【0043】
隣り合う単位ヒートパイプループ20間に補助ヒートパイプループ25が配置される場合、補助ヒートパイプループ25も上記マウント40及びホルダ50に結合されてもよい。
【0044】
図4は、本発明の第2実施例による放熱装置を示す。図4を参照すると、本実施例によるマウント140は円筒状構造を有し、外周面に上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む設置溝141が形成されている。この場合、上記発熱源1’は上記マウント140の上面または下面に結合されてもよい。図4のヒートパイプ型放熱装置は、図1の単位ヒートパイプ型放熱装置に比べて単位ヒートパイプループ20の形状及び発熱源1’の形状が異なる。すなわち、マウントの形状は単位ヒートパイプループの形状や、発熱源の種類や形状に応じて多様に変更できる。隣り合う単位ヒートパイプループ20間に補助ヒートパイプループ25が配置される場合、補助ヒートパイプループ25は上記マウント140に結合されてもよい。
【0045】
図5は本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す部分正面図であり、図6は図5のVI−VI線による断面図である。
【0046】
図5及び図6を参照すると、本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、単位ヒートパイプループ20に結合されて放熱を補助する放熱部材30をさらに含む。上記放熱部材30は上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む溝31を有することができる。単位ヒートパイプループ20と放熱部材30は公知の多様な方式により結合されることができる。放熱部材30はガイド部35を含むことができる。上記ガイド部35は上記放熱部材30の一面または両面に突出形成され、上記放熱部材30の放熱面積を拡張すると共に放熱された熱の流れをガイドする。図6は、上記ガイド部35が放熱部材30の上面に突出した構造を例示したものであって、この場合、上記放熱部材30の板面に沿って伝達される熱の流れを、矢印Bで示すように、放熱部材30の上面方向に変更することができる。したがって、本発明の一実施例による放熱装置が適用される装置の配置構造に適するように放熱方向を決定することができる。図示されていないが、放熱部材30は必要により単位ヒートパイプループ20間に設置されてもよく、補助ヒートパイプループ25に設置されてもよい。
【0047】
図7は、本発明の第4実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【0048】
図を参照すると、複数の単位ヒートパイプループ120は、それぞれ第1及び第2パイプ部材121,125を含む。上記第1パイプ部材121は、開口した両端部、すなわち、第1及び第2端部121a,121bを有し、折曲構造を有する。
【0049】
上記第2パイプ部材125は開口した両端部、すなわち、第3及び第4端部125a,125bを有し、同じく折曲構造を有する。第2パイプ部材125は上記第1パイプ部材121に結合されて開ループを形成する。
【0050】
より具体的に説明すると、第1パイプ部材121の第1端部121aは、同じ単位ヒートパイプループ120の第2パイプ部材125の第3端部125aに結合され、第1パイプ部材121の第2端部121bは、隣り合う他の単位ヒートパイプループ120の第2パイプ部材125の第4端部125bに結合される。
【0051】
ここで、上記第1端部121aと上記第3端部125aとの結合、及び上記第2端部121bと上記第4端部125bとの結合時、単位ヒートパイプループ20の内部空間を密封すると共に結合工程を容易にするために、上記第1パイプ部材121の端部はブロー(blow)加工などにより、上記第2パイプ部材125の端部を嵌め込むことができるように拡管されている。
【0052】
そして、上記第2パイプ部材125の端部の外周縁には接着部材129が取り付けられてもよい。接着部材は、例えば半田リング(solder ring)であってもよい。したがって、上記第1及び第2パイプ部材121,125の対向する端部をソルダリングにより結合することで、一つの単位ヒートパイプループを構成することになる。
【0053】
図8及び図9を参照して本発明の第5実施例による放熱装置によれば、第1パイプ部材121及び第2パイプ部材125の少なくとも一つには放熱部材130が結合できる。すなわち、上記放熱部材130は、上記第1パイプ部材121に結合される第1放熱部材131と、上記第2パイプ部材125に結合される第2放熱部材135と、を含むことができる。
【0054】
上記第1及び第2放熱部材131,135は、それぞれ上記第1及び第2パイプ部材121,125を嵌め込む溝131a,135aを有する。また、上記第1及び第2放熱部材131,135は、放熱面積を拡張し、放熱された熱の流れをガイドするガイド部137を含むことができる。
【0055】
図7から図9を参照して説明したように、単位ヒートパイプループ120を構成することにより、工程の自動化ができ、生産性を向上させることができる。
【0056】
図10を参照すると、本発明の第6実施例によるヒートパイプ型放熱装置は防熱ファン60をさらに含むことができる。上記防熱ファン60は放熱パイプ部23に隣接して配置されて放熱パイプ部23から放射された熱の拡散を促進することにより、放熱効率を向上させることができる。上記防熱ファン60はヒートシンク方式の従来の放熱装置に比べて、回転速度を減速して回転駆動される。これは上記防熱ファン60の回転時に発生する騒音を低減し、電力消耗を減らすためである。
【0057】
図11は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図であり、図12は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置における放射状に配置された複数の単位ヒートパイプループを示す平面図であり、図13は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループを示す部分分離斜視図である。
【0058】
図を参照すると、本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置は放射状に隣接して配置された複数の単位ヒートパイプループ220を含む。すなわち、それぞれの単位ヒートパイプループ220が発熱源1’’を中心として放射状に隣接して配置される。各単位ヒートパイプループ220は吸熱パイプ部221及び放熱パイプ部223を含む。放熱パイプ部223は吸熱パイプ部221に連通し、ほぼ水平に配置される第1放熱部224と、第1放熱部224に連通し、単位ヒートパイプループ220の外周壁を形成する第2放熱部225とを含む。
【0059】
図12に示すように、本実施例による単位ヒートパイプループ220は、平面図から見ると、単位ヒートパイプループ220の長さが放射状の最短直線距離に比べて相対的に長く配置されている点から、先行する実施例による単位ヒートパイプループ(図1の20参照)と異なる。すなわち、図12に示すように、単位ヒートパイプループ220を螺旋形(helical)に形成できる。また、蛇行(serpentine)形状などの他の曲線形に形成でき、最短直線距離と所定角度をなす直線にも形成でき、多様な波形に形成できる。ここで、放射状の最短直線距離よりも長く配置される単位ヒートパイプループ220の部分は放熱パイプ部223であることが好ましいが、必要により吸熱パイプ部221も含まれることができる。このように、単位ヒートパイプ部、特に放熱パイプ部223の長さを長くすることにより放熱面積を増加させることができる。
【0060】
図13に示すように、放熱パイプ部223は少なくとも一つの突出放熱部226,227をさらに含むことができる。図13に示すように、第1突出放熱部226は第1放熱部224とほぼ平行に突出され、第2突出放熱部227は第2放熱部225とほぼ平行に突出されているが、突出放熱部226,227の突出方向は設計上の必要により多様に変更できる。
【0061】
本実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、先行する実施例と同様に、マウント240、第1、第2パイプ部材220a,220b、防熱ファン260、その他図示されていない構成要素をさらに含むことができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、コンピュータの中央処理処置、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、発光ダイオードなどの電子部品の過熱を防止するのに、広く用いることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱装置に関するもので、より詳細にはヒートパイプ型放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータの中央処理処置(Central Processing Unit:以下CPUという)、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、発光ダイオード(Light−Emitting Diode:以下、LEDという)などの電子部品は作動時に熱を発生する。上記電子部品が過熱されると、誤作動や損傷が生じることがあるため、過熱を防止するための放熱装置が必要となる。
【0003】
通常、放熱装置は上記電子部品などの発熱源から発生した熱を外部に放熱して発熱源の過熱を防止する。
【0004】
上記電子部品に適用される放熱装置の一例として従来にはヒートシンク型放熱装置が開示されている。
【0005】
このヒートシンク型放熱装置は吸熱部及び放熱部を含む。吸熱部は発熱源に隣接して配置され、熱伝導により発熱源から放出された熱を吸収する。放熱部は吸熱部と一体をなしており、吸熱された熱を熱交換により外部に排出する防熱ピンから構成される。
【0006】
このように構成されたヒートシンク型放熱装置は、上記吸熱部と上記放熱部との間の距離、上記防熱ピンの放熱面積、及び素材の熱伝導度により放熱効率が決定される。
【0007】
一方、上記ヒートシンク型放熱装置は、電子部品の集積化及び小型化傾向によりヒートシンクのサイズも次第に小さくなる傾向にあり、防熱ピンの表面積を広げると吸熱部と放熱部との間の距離が遠くなって、放熱効率を向上させるには限界がある。
【0008】
また、従来の放熱装置は、高速回転する防熱ファンをさらに含む。これにより、防熱ファンを駆動するために電力を消耗するので、防熱ファンの駆動時に騒音が発生する問題がある。
【0009】
さらに、上記従来の放熱装置は構造的安定性の確保や熱伝導度から、防熱ピンの厚さを薄くするには限界があるので、製造原価が高くなるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、 ヒートパイプ型熱交換構造を採用して放熱効率を高め、吸熱部と放熱部との間の距離に関係なく放熱面積を確保でき、無騒音あるいは低騒音で放熱でき、薄い厚さで高い構造的安定性を確保できるヒートパイプ型放熱装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、上記吸熱パイプ部に連通し、上記吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部とを含み、上記吸熱パイプ部及び放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、上記複数の単位ヒートパイプループは上記発熱源を中心として放射状に配置されることを特徴とする。
【0012】
ここで、上記各単位ヒートパイプループの長さは、放射状の最短直線距離よりも長く形成されてもよい。
【0013】
上記放熱パイプ部は、上記吸熱パイプ部に連通し、放射状の最短直線距離よりも長い長さを有するように放射状に配置された第1放熱部と、上記第1放熱部に連通し、上記単位ヒートパイプループの外周壁を形成する第2放熱部とを含む。
【0014】
上記放熱パイプ部は、上記第1放熱部と上記第2放熱部との間に少なくとも一つの突出放熱部をさらに含むことができる。
【0015】
上記単位ヒートパイプループのうち少なくとも一部は、隣り合う単位ヒートパイプループに連通することができる。
【0016】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記隣り合う単位ヒートパイプループ間に配置されて放熱を補助する補助ヒートパイプループをさらに含むことができる。
【0017】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記複数の単位ヒートパイプループに結合された放熱部材をさらに含むことができる。この放熱部材は、放出された熱の流れをガイドするガイド部を含むことができる。
【0018】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、上記発熱源に隣接して設けられ、上記複数の単位ヒートパイプループが設けられるマウントをさらに含むことができ、上記複数の単位ヒートパイプループを隔てて上記マウントに結合するホルダをさらに含むことができる。
【0019】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は上記放熱パイプ部に隣接して設けられる防熱ファンをさらに含むことができる。
【0020】
上記各単位ヒートパイプループは、それぞれ第1、第2端部を有する第1パイプ部材及び第2パイプ部材を含み、上記第1パイプ部材の第1端部は上記第2パイプ部材の第1端部に結合され、上記第1パイプ部材の第2端部は隣り合う単位パイプループの第2パイプ部材の第2端部に結合されることができる。
【0021】
互いに結合される上記第1及び第2パイプ部材の端部のうち何れか一つを拡管することができ、互いに結合される上記第1及び第2パイプ部材の端部は半田付けにより結合されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は放熱効率のよいヒートパイプを用いるため、発熱源の周辺空間に適した様々な大きさや形状に設計することができる。
【0023】
また、ヒートパイプは中空細管構造を有するため、従来の防熱ピンより厚さを薄くしても堅固性を維持することができる。したがって、本発明に係る放熱装置は従来の放熱装置に比べて、原材料の消耗量が少ないため、材料節減の効果がある。
【0024】
また、本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、発熱源に対して放射状に配置されたヒートパイプを採用するため、全方向に熱を放出することができるようになり、騒音なしで放熱効率を高めることができる。また、防熱ファンをさらに含む場合にも、低騒音で高い放熱効率を確保することができる。
【0025】
また、本発明の実施形態では、単位ヒートパイプループを形成するのに、互いに分離された第1及び第2パイプ部材を接合するので、放熱装置の生産性を高めることができる。
【0026】
また、本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、螺旋形、蛇行形などの様々な形状に単位ヒートパイプループを構成することで、ヒートパイプの有効放熱面積を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプループを示す部分斜視図である。
【図3】図2の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプループを示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す部分正面図である。
【図6】図5のVI−VI線による断面図である。
【図7】本発明の第4実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図8】本発明の第5実施例による放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図9】本発明の第5実施例による放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【図10】本発明の第6実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す斜視図である。
【図12】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置における複数の単位ヒートパイプループを示す平面図である。
【図13】本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループを示す部分分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明によるヒートパイプ型放熱装置の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0029】
図1は本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図であり、図2は本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプを示す部分斜視図であり、図3は図2の単位ヒートパイプループ及び補助ヒートパイプを示す平面図である。
【0030】
図1から3を参照すると、本発明の第1実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、放射状に隣接して配置された複数の単位ヒートパイプループ20を含む。具体的に、それぞれの単位ヒートパイプループ20が発熱源1を中心として放射状に隣接して配置される。したがって、上記発熱源1から発生した熱を放射状に全方向に放熱することができるようになり、放熱効率を高めることができる。
【0031】
ここで、上記発熱源1の例としてはCPU、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、LEDなどの電子部品があり、上記発熱源1の種類や形状に応じて、上記ヒートパイプ型放熱装置は様々な大きさや形状を有することができる。
【0032】
図3に示すように、上記各単位ヒートパイプループ20は、吸熱パイプ部21及び放熱パイプ部23を含む。吸熱パイプ部21及び放熱パイプ部23の内部には、図2に示すように、気泡13と共に作動流体15が注入されている。上記吸熱パイプ部21は、上記発熱源1に隣接して配置されて上記発熱源1から発生した熱を吸収する。そして、上記放熱パイプ部23は上記吸熱パイプ部21から放射状構造の外側に連通しており、上記吸熱パイプ部21から伝達された熱を外部に放出する。上記各単位ヒートパイプループ20は、熱伝導度の高い銅、アルミニウムなどの金属素材で構成されることが好ましい。これは、上記発熱源1から発生した熱が上記単位ヒートパイプループ20に素早く伝達され、かつその内部に注入された気泡の体積を素早く変化させるためである。
【0033】
上記それぞれの単位ヒートパイプループ20は、開ループ(open loop)形状を有し、隣り合う単位ヒートパイプループ20に連通されるか、分離されることができる。すなわち、上記複数の単位ヒートパイプループ20の全部あるいは一部は、隣り合う単位ヒートパイプループ20に連通することができる。
【0034】
全てが互いに連通されている複数の単位ヒートパイプループ20は、設計上の必要に応じて全体的に開ループまたは閉ループ形状を有することができる。開ループの場合、単位ヒートパイプループ20の両端部は密閉される。
【0035】
また、複数の単位ヒートパイプループ20が、独立的に放熱機能を行う二つ以上のグループに分けられ、各グループに属する複数の単位ヒートパイプループ20が相互連通された構造を有するように構成することも可能である。
【0036】
また、隣り合う単位ヒートパイプループ20間には、発熱源1から離隔して配置された補助ヒートパイプループ25が配置されてもよい。図2は、隣り合う単位ヒートパイプループ20間に、長さの異なる三つの補助ヒートパイプループ25が配置された例を示している。補助ヒートパイプループ25は、単位ヒートパイプループ20間に位置して放熱を補助することにより、放熱効率を高める。補助ヒートパイプループ25の数及び長さは、設計上の必要に応じて多様に変更可能である。
【0037】
上記各ヒートパイプループは、流体動圧(FDP:Fluid Dynamic Pressure)を用いたヒートパイプ、例えば振動細管型ヒートパイプを含む。以下、流体動圧型ヒートパイプの一例として振動細管型ヒートパイプの基本的な動作原理を図2に基づいて説明する。
【0038】
振動細管型ヒートパイプは、図2に示すように、細管11内部に気泡13が所定体積の比率で発生するように作動流体を注入した後に細管11内部を外部から密閉した構造を有する。このヒートパイプは気泡13及び作動流体15の体積膨張及び凝縮により、熱を潜熱状態で大量輸送する熱伝達メカニズムを有する。
【0039】
基本的な原理を説明すると、上記吸熱パイプ部21においては、吸収した熱量だけ核沸騰(Nucleate Boiling)が生じ、上記吸熱パイプ部21に位置している気泡の体積が膨張する。このとき、上記細管11は内部体積を一定に維持するため、上記吸熱パイプ部21に位置している気泡が体積膨張しただけ上記放熱パイプ部23に位置している気泡が収縮することになる。したがって、細管11内の圧力平衡状態が崩れ、ヒートパイプには上記作動流体15及び気泡13の振動を含む流動が生じ、これにより気泡13の体積変化による温度昇降により潜熱輸送することで、放熱機能を行う。
【0040】
この振動細管型ヒートパイプは一般のヒートパイプとは異なって、ウィック(wick)を含まないので、作製が容易である。また、設置方向に制約がないため、必ず放熱部が吸熱部の下部に位置する構造である熱サイホン(thermosyphon)式ヒートパイプに比べて、設置上の制約が少ないという利点がある。また、ヒートシンク型放熱装置とは熱輸送方式が異なるため、ヒートパイプ自体の構造的限界による大きさの制約はない。そのため、発熱源の種類や形状に応じて様々な大きさを有することができる。
【0041】
図1を参照すると、本実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、複数の単位ヒートパイプループ20を設置するために、マウント40及びホルダ50をさらに含むことができる。上記マウント40の上面には上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む設置溝41が形成されている。したがって、上記設置溝41に合わせて上記単位ヒートパイプループ20を設置することにより、上記放熱装置の全体形状を維持しながら結合されるようにすることができる。上記発熱源1は上記マウント40の底面に結合できる。
【0042】
上記ホルダ50は、上記複数の単位ヒートパイプループ20を隔てて上記マウント40に結合され、上記単位ヒートパイプループ20を支持するものであって、底面に上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む結合溝51が形成されている。したがって、上記マウント40の設置溝41と上記ホルダ50の結合溝51に合わせて上記単位ヒートパイプループ20を設置することにより、複数の単位ヒートパイプループ20の全体形状を維持しながら堅固に設置されるようにすることができる。
【0043】
隣り合う単位ヒートパイプループ20間に補助ヒートパイプループ25が配置される場合、補助ヒートパイプループ25も上記マウント40及びホルダ50に結合されてもよい。
【0044】
図4は、本発明の第2実施例による放熱装置を示す。図4を参照すると、本実施例によるマウント140は円筒状構造を有し、外周面に上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む設置溝141が形成されている。この場合、上記発熱源1’は上記マウント140の上面または下面に結合されてもよい。図4のヒートパイプ型放熱装置は、図1の単位ヒートパイプ型放熱装置に比べて単位ヒートパイプループ20の形状及び発熱源1’の形状が異なる。すなわち、マウントの形状は単位ヒートパイプループの形状や、発熱源の種類や形状に応じて多様に変更できる。隣り合う単位ヒートパイプループ20間に補助ヒートパイプループ25が配置される場合、補助ヒートパイプループ25は上記マウント140に結合されてもよい。
【0045】
図5は本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す部分正面図であり、図6は図5のVI−VI線による断面図である。
【0046】
図5及び図6を参照すると、本発明の第3実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、単位ヒートパイプループ20に結合されて放熱を補助する放熱部材30をさらに含む。上記放熱部材30は上記単位ヒートパイプループ20を嵌め込む溝31を有することができる。単位ヒートパイプループ20と放熱部材30は公知の多様な方式により結合されることができる。放熱部材30はガイド部35を含むことができる。上記ガイド部35は上記放熱部材30の一面または両面に突出形成され、上記放熱部材30の放熱面積を拡張すると共に放熱された熱の流れをガイドする。図6は、上記ガイド部35が放熱部材30の上面に突出した構造を例示したものであって、この場合、上記放熱部材30の板面に沿って伝達される熱の流れを、矢印Bで示すように、放熱部材30の上面方向に変更することができる。したがって、本発明の一実施例による放熱装置が適用される装置の配置構造に適するように放熱方向を決定することができる。図示されていないが、放熱部材30は必要により単位ヒートパイプループ20間に設置されてもよく、補助ヒートパイプループ25に設置されてもよい。
【0047】
図7は、本発明の第4実施例によるヒートパイプ型放熱装置の要部を示す分離斜視図である。
【0048】
図を参照すると、複数の単位ヒートパイプループ120は、それぞれ第1及び第2パイプ部材121,125を含む。上記第1パイプ部材121は、開口した両端部、すなわち、第1及び第2端部121a,121bを有し、折曲構造を有する。
【0049】
上記第2パイプ部材125は開口した両端部、すなわち、第3及び第4端部125a,125bを有し、同じく折曲構造を有する。第2パイプ部材125は上記第1パイプ部材121に結合されて開ループを形成する。
【0050】
より具体的に説明すると、第1パイプ部材121の第1端部121aは、同じ単位ヒートパイプループ120の第2パイプ部材125の第3端部125aに結合され、第1パイプ部材121の第2端部121bは、隣り合う他の単位ヒートパイプループ120の第2パイプ部材125の第4端部125bに結合される。
【0051】
ここで、上記第1端部121aと上記第3端部125aとの結合、及び上記第2端部121bと上記第4端部125bとの結合時、単位ヒートパイプループ20の内部空間を密封すると共に結合工程を容易にするために、上記第1パイプ部材121の端部はブロー(blow)加工などにより、上記第2パイプ部材125の端部を嵌め込むことができるように拡管されている。
【0052】
そして、上記第2パイプ部材125の端部の外周縁には接着部材129が取り付けられてもよい。接着部材は、例えば半田リング(solder ring)であってもよい。したがって、上記第1及び第2パイプ部材121,125の対向する端部をソルダリングにより結合することで、一つの単位ヒートパイプループを構成することになる。
【0053】
図8及び図9を参照して本発明の第5実施例による放熱装置によれば、第1パイプ部材121及び第2パイプ部材125の少なくとも一つには放熱部材130が結合できる。すなわち、上記放熱部材130は、上記第1パイプ部材121に結合される第1放熱部材131と、上記第2パイプ部材125に結合される第2放熱部材135と、を含むことができる。
【0054】
上記第1及び第2放熱部材131,135は、それぞれ上記第1及び第2パイプ部材121,125を嵌め込む溝131a,135aを有する。また、上記第1及び第2放熱部材131,135は、放熱面積を拡張し、放熱された熱の流れをガイドするガイド部137を含むことができる。
【0055】
図7から図9を参照して説明したように、単位ヒートパイプループ120を構成することにより、工程の自動化ができ、生産性を向上させることができる。
【0056】
図10を参照すると、本発明の第6実施例によるヒートパイプ型放熱装置は防熱ファン60をさらに含むことができる。上記防熱ファン60は放熱パイプ部23に隣接して配置されて放熱パイプ部23から放射された熱の拡散を促進することにより、放熱効率を向上させることができる。上記防熱ファン60はヒートシンク方式の従来の放熱装置に比べて、回転速度を減速して回転駆動される。これは上記防熱ファン60の回転時に発生する騒音を低減し、電力消耗を減らすためである。
【0057】
図11は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置を示す分離斜視図であり、図12は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置における放射状に配置された複数の単位ヒートパイプループを示す平面図であり、図13は本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置の単位ヒートパイプループを示す部分分離斜視図である。
【0058】
図を参照すると、本発明の第7実施例によるヒートパイプ型放熱装置は放射状に隣接して配置された複数の単位ヒートパイプループ220を含む。すなわち、それぞれの単位ヒートパイプループ220が発熱源1’’を中心として放射状に隣接して配置される。各単位ヒートパイプループ220は吸熱パイプ部221及び放熱パイプ部223を含む。放熱パイプ部223は吸熱パイプ部221に連通し、ほぼ水平に配置される第1放熱部224と、第1放熱部224に連通し、単位ヒートパイプループ220の外周壁を形成する第2放熱部225とを含む。
【0059】
図12に示すように、本実施例による単位ヒートパイプループ220は、平面図から見ると、単位ヒートパイプループ220の長さが放射状の最短直線距離に比べて相対的に長く配置されている点から、先行する実施例による単位ヒートパイプループ(図1の20参照)と異なる。すなわち、図12に示すように、単位ヒートパイプループ220を螺旋形(helical)に形成できる。また、蛇行(serpentine)形状などの他の曲線形に形成でき、最短直線距離と所定角度をなす直線にも形成でき、多様な波形に形成できる。ここで、放射状の最短直線距離よりも長く配置される単位ヒートパイプループ220の部分は放熱パイプ部223であることが好ましいが、必要により吸熱パイプ部221も含まれることができる。このように、単位ヒートパイプ部、特に放熱パイプ部223の長さを長くすることにより放熱面積を増加させることができる。
【0060】
図13に示すように、放熱パイプ部223は少なくとも一つの突出放熱部226,227をさらに含むことができる。図13に示すように、第1突出放熱部226は第1放熱部224とほぼ平行に突出され、第2突出放熱部227は第2放熱部225とほぼ平行に突出されているが、突出放熱部226,227の突出方向は設計上の必要により多様に変更できる。
【0061】
本実施例によるヒートパイプ型放熱装置は、先行する実施例と同様に、マウント240、第1、第2パイプ部材220a,220b、防熱ファン260、その他図示されていない構成要素をさらに含むことができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によるヒートパイプ型放熱装置は、コンピュータの中央処理処置、ビデオカードのチップセット、パワートランジスタ、発光ダイオードなどの電子部品の過熱を防止するのに、広く用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、前記吸熱パイプ部に連通し、前記吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部と、を含み、前記吸熱パイプ部及び前記放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、
前記複数の単位ヒートパイプループは前記発熱源を中心として放射状に配置され、一つのループを形成するように互いに連結されることを特徴とするヒートパイプ型放熱装置。
【請求項2】
前記各単位ヒートパイプループの長さが、放射状の最短直線距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項3】
前記放熱パイプ部は、
前記吸熱パイプ部に連通し、放射状の最短直線距離よりも長い長さを有するように放射状に配置される第1放熱部と、
前記第1放熱部に連通し、前記単位ヒートパイプループの外周壁を形成する第2放熱部と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項4】
前記放熱パイプ部は、前記第1放熱部と前記第2放熱部との間に少なくとも一つの突出放熱部をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項5】
前記単位ヒートパイプループのうち少なくとも一部が、
隣り合う単位ヒートパイプループに連通することを特徴とする請求項4に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項6】
前記隣り合う単位ヒートパイプループ間に配置され、放熱を補助する補助ヒートパイプループをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のヒートパイプ型放熱放置。
【請求項7】
前記複数の単位ヒートパイプループに結合された放熱部材をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項8】
前記放熱部材は、
放出された熱の流れをガイドするガイド部を含むことを特徴とする請求項7に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項9】
前記発熱源に隣接して設けられ、前記複数の単位ヒートパイプループが設けられるマウントをさらに含むことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項10】
前記複数の単位ヒートパイプループを隔てて前記マウントに結合されるホルダをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項11】
前記放熱パイプ部に隣接して設けられる防熱ファンをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項12】
前記各単位ヒートパイプループは、
それぞれ第1、第2端部を有する第1パイプ部材及び第2パイプ部材を含み、
前記第1パイプ部材の第1端部は前記第2パイプ部材の第1端部に結合され、
前記第1パイプ部材の第2端部は隣り合う単位ヒートパイプループの第2パイプ部材の第2端部に結合されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項13】
互いに結合される前記第1及び第2パイプ部材の端部のうち何れか一つを拡管したことを特徴とする請求項12に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項14】
互いに結合される前記第1及び第2パイプ部材の端部が、ソルダリングにより結合されることを特徴とする請求項13に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項15】
前記複数の単位ヒートパイプループが、一つの閉ループを形成するように互いに連結されることを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項1】
発熱源に隣接して配置された吸熱パイプ部と、前記吸熱パイプ部に連通し、前記吸熱パイプ部から伝達された熱を放出する放熱パイプ部と、を含み、前記吸熱パイプ部及び前記放熱パイプ部内に作動流体が注入されるように形成された複数の単位ヒートパイプループを含み、
前記複数の単位ヒートパイプループは前記発熱源を中心として放射状に配置され、一つのループを形成するように互いに連結されることを特徴とするヒートパイプ型放熱装置。
【請求項2】
前記各単位ヒートパイプループの長さが、放射状の最短直線距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項3】
前記放熱パイプ部は、
前記吸熱パイプ部に連通し、放射状の最短直線距離よりも長い長さを有するように放射状に配置される第1放熱部と、
前記第1放熱部に連通し、前記単位ヒートパイプループの外周壁を形成する第2放熱部と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項4】
前記放熱パイプ部は、前記第1放熱部と前記第2放熱部との間に少なくとも一つの突出放熱部をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項5】
前記単位ヒートパイプループのうち少なくとも一部が、
隣り合う単位ヒートパイプループに連通することを特徴とする請求項4に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項6】
前記隣り合う単位ヒートパイプループ間に配置され、放熱を補助する補助ヒートパイプループをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のヒートパイプ型放熱放置。
【請求項7】
前記複数の単位ヒートパイプループに結合された放熱部材をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項8】
前記放熱部材は、
放出された熱の流れをガイドするガイド部を含むことを特徴とする請求項7に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項9】
前記発熱源に隣接して設けられ、前記複数の単位ヒートパイプループが設けられるマウントをさらに含むことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項10】
前記複数の単位ヒートパイプループを隔てて前記マウントに結合されるホルダをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項11】
前記放熱パイプ部に隣接して設けられる防熱ファンをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項12】
前記各単位ヒートパイプループは、
それぞれ第1、第2端部を有する第1パイプ部材及び第2パイプ部材を含み、
前記第1パイプ部材の第1端部は前記第2パイプ部材の第1端部に結合され、
前記第1パイプ部材の第2端部は隣り合う単位ヒートパイプループの第2パイプ部材の第2端部に結合されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項13】
互いに結合される前記第1及び第2パイプ部材の端部のうち何れか一つを拡管したことを特徴とする請求項12に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項14】
互いに結合される前記第1及び第2パイプ部材の端部が、ソルダリングにより結合されることを特徴とする請求項13に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【請求項15】
前記複数の単位ヒートパイプループが、一つの閉ループを形成するように互いに連結されることを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ型放熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−516996(P2010−516996A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548175(P2009−548175)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003629
【国際公開番号】WO2009/048218
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(509216131)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003629
【国際公開番号】WO2009/048218
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(509216131)
【Fターム(参考)】
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