説明

ヒートポンプ式給湯機の熱交換器

【課題】 水冷媒熱交換器13で高温高圧冷媒と熱交換して水を加熱するヒートポンプ式給湯機の熱交換器であって、圧縮機12に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器13から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器17を冷媒回路11に設けたヒートポンプ式給湯機の配管の簡素化、組立作業性の向上を図るとともに、冷媒熱交換器17の収容スペースを不要とし、機器の小型化を可能とする。
【解決手段】 水冷媒熱交換器13を筒状に形成し、その筒内空間に柱状に形成した冷媒熱交換器17を挿通した状態とし、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17を一体に組み立てたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高温高圧冷媒(CO2冷媒)を熱源とするヒートポンプ式給湯機の熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒を熱源とするヒートポンプ式給湯機は、水冷媒熱交換器で高温高圧冷媒と熱交換して水を加熱するもので、より高温の給湯を得るために、圧縮機に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器が冷媒回路に設けられる(特許文献1参照)。これは、水冷媒熱交換器を経た冷媒中の潜熱で圧縮機に供給される冷媒を予熱し、水冷媒熱交換器へ流入する冷媒をより高温とすることで、給湯温度の高温化を図るものである。
【0003】
図7に、こうしたヒートポンプ式給湯機の構成を示す。図に示すように、ヒートポンプ式給湯機は、CO2冷媒が循環する冷媒回路11を備えた室外ユニット10と、貯湯タンク21を備えた貯湯ユニット20とを接続して全体が構成される。冷媒回路11に、圧縮機12、凝縮器としての水冷媒熱交換器13、膨張弁14、蒸発器としての冷媒空気熱交換器15が環状に配管され、圧縮機12に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器13から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器17が設けられている。
【0004】
貯湯タンク21と水冷媒熱交換器12との間を循環水が流通する循環路22にポンプ23が設けられ、水冷媒熱交換器12で加熱された高温水が貯湯タンク21に貯湯される。貯湯タンク21の上部に給湯管24が配管され、風呂、台所等の給湯栓25の開閉操作で出湯し、貯湯タンク21の下部に給水管26が配管され、貯湯タンク21へ所要量給水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3316444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、冷媒熱交換器17を設けて冷媒回路11を構成すると、冷媒回路11の配管が長尺化、複雑化するとともに、冷媒熱交換器17の収容スペースが必要とされ、機器の小型化が困難であった。また、配管作業が煩雑となって組立作業性、生産性が劣り、製作コストが高価であった。
【0007】
この発明は、こうした課題を解決することを目的とするもので、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17を一体に組み立て、配管の簡素化、組立作業性の向上を図るとともに、冷媒熱交換器17の収容スペースを不要とし、機器の小型化を可能としたヒートポンプ式給湯機の熱交換器を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、この発明は、水冷媒熱交換器13で高温高圧冷媒と熱交換して水を加熱するヒートポンプ式給湯機の熱交換器であって、圧縮機12に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器13から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器17を冷媒回路11に設け、水冷媒熱交換器13を筒状に形成し、その筒内空間に柱状に形成した冷媒熱交換器17を挿通した状態とし、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17を一体に組み立てたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明のヒートポンプ式給湯機の熱交換器は、水冷媒熱交換器13を筒状に形成し、その筒内空間に柱状に形成した冷媒熱交換器17を挿通した状態とし、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17を一体に組み立てたので、冷媒熱交換器17の収容スペースが不要となり、機器の小型化が可能である。また、配管が短縮化、簡素化されて配管作業性が向上され、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17が予め一体に組み立てられるので、組立作業性、生産性に優れ、製作コストの低廉化を図ることができる。
【0010】
また、水冷媒熱交換器13の筒内空間の雰囲気温度は高温であり、冷媒熱交換器17が水冷媒熱交換器13の筒内空間に挿通した状態であるから、圧縮機12に供給される冷媒の予熱の作用が高められ、給湯温度のさらなる高温化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の第1実施例で、一部を切り欠いて筒内を透過した状態の正面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】冷媒熱交換器の正面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】第2実施例の冷媒熱交換器の正面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】ヒートポンプ式給湯機の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、この発明の具体的な実施形態を図面の実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1から4に示す熱交換器はこの発明の最初の実施例で、圧縮機12に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器13から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器17を冷媒回路11に設けたヒートポンプ式給湯機の熱交換器ある。図に示すように、水冷媒熱交換器13は、高温高圧冷媒が流通する細管131と、被加熱流体である水が流通する管体132とを螺旋コイル形状に成形し、この2本のコイル管を交互に配して互いに当接させて積層し、筒状に形成されている。冷媒は入口131aから出口131bへ、水は入口132aから出口132bへと交差して流通し、高温高圧冷媒により水が加熱される。
【0014】
冷媒熱交換器17は、圧縮機12に供給される低圧冷媒が流通する管体171と、水冷媒熱交換器13から流出する高圧冷媒が流通する細管172とをサーペンタイン状の蛇行形状に成形し、互いに当接させて筒状すなわち外形形状が柱状に形成され、その外径が水冷媒熱交換器13の内径より小さく設定されている。低圧冷媒は入口171aから出口171bへ、高圧冷媒は入口172aから出口172bへと交差して流通し、圧縮機12に供給される低圧冷媒が予熱される。
【0015】
水冷媒熱交換器13の筒内空間に冷媒熱交換器17が挿通され、固定金具175を基台135に固定して水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17が組み立てられ、両熱交換器を一体とした筐体に形成されている。この熱交換器を室外ユニット10に組み込み、各流体の出入口を接続し、冷媒回路11に配管される。
【実施例2】
【0016】
図5,6は、冷媒熱交換器17の他の実施例である。この冷媒熱交換器17は、圧縮機12に供給される低圧冷媒が流通する管体171と、水冷媒熱交換器13から流出する高圧冷媒が流通する細管172とを螺旋コイル形状に成形し、この2本のコイル管を交互に配して互いに当接させて積層し、筒状に形成したものである。前例と同様に、水冷媒熱交換器13の筒内空間に冷媒熱交換器17が挿通され、固定金具175を基台135に固定して水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17が組み立てられ、両熱交換器を一体とした筐体に形成される。
【符号の説明】
【0017】
11 冷媒回路
12 圧縮機
13 水冷媒熱交換器
17 冷媒熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷媒熱交換器13で高温高圧冷媒と熱交換して水を加熱するヒートポンプ式給湯機の熱交換器であって、
圧縮機12に供給される冷媒と、水冷媒熱交換器13から流出する冷媒とが熱交換する冷媒熱交換器17を冷媒回路11に設け、
水冷媒熱交換器13を筒状に形成し、その筒内空間に柱状に形成した冷媒熱交換器17を挿通した状態とし、水冷媒熱交換器13と冷媒熱交換器17を一体に組み立てたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−21868(P2011−21868A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183849(P2009−183849)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000126632)株式会社アタゴ製作所 (31)
【Fターム(参考)】