説明

ヒール効果によって引き起こされるアーチファクトの補正

本発明により、ヒール効果によって引き起こされるコーンビーム角度に依存するX線スペクトルの変化を考慮して、3Dルックアップテーブル及び3Dルックアップテーブルを生成する方法が提供される。3Dルックアップテーブルは、コーンビーム角度に依存して、各X線スペクトルごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む。有利には、より少ない画像アーチファクト、例えばより少ないカッピングアーチファクトが、再構成された画像において達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医用アプリケーションにおける画像処理の分野に関する。特に、本発明は、多色減衰値を処理する方法と、多色減衰値のビームハードニング効果を補正するためのルックアップテーブルを生成する方法と、データ処理装置と、個々のコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば多色X線源のような多色放射線源を有するCTスキャナにおいて、多色X線コーンビームが、2次元検出器アレイ上に投影される。関心のあるオブジェクトを通過するとき、ビームは、徐々に硬化し、すなわち、その平均エネルギーが増加する。これは、例えば検出器から読み取られる減衰値から生成される画像内のカッピングのような、ビームハードニングアーチファクトを生じさせることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、多色減衰データの改善された処理を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明の例示の実施形態によれば、上述の目的は、多色減衰値を処理する方法であって、多色データが、多色減衰値に単色値を割り当てることによって補正される、方法によって解決されることができる。本発明のこの例示の実施形態によれば、単色減衰値が、多色減衰値に割り当てられる。多色減衰値は、2次元検出器から読み出されるとともに、2次元検出器の列方向に依存し、すなわち検出器アレイのライン方向に垂直な方向に依存する。
【0005】
多色X線スペクトルは、コーン角度に依存し、従って、各検出器行ごとにさまざまな強度分布がある。単色放射線は、コーン角度から独立しており、従って、検査オブジェクトなしの場合、各検出器行又は素子ごとに同じ強度がある。
【0006】
有利には、これは、非常に効果的な軟組織補正、すなわちビームハードニング効果及び/又はヒール効果によって引き起こされる(画像)アーチファクトの補正を可能にすることができる。
【0007】
請求項2に記載の本発明の別の例示の実施形態によれば、3次元ルックアップテーブルが、単色減衰値を多色減衰値に割り当てるために使用され、これにより、個々の単色減衰値を個々の多色減衰値に非常に簡単に割り当てることを可能にしうる。更に、これは、高速且つ単純な処理を可能にしうる。
【0008】
請求項3に記載の本発明の別の例示の実施形態によれば、ルックアップテーブルが、多色X線ビームを受ける較正オブジェクトの投影データと、単色X線ビームを考慮する同じ較正オブジェクトの投影データと、に基づいて生成される。
【0009】
有利には、このような3次元ルックアップテーブルは、コーンビームのコーン角度又は検出器アレイの行の座標を考慮することによって、ビームハードニング又はヒール効果によって引き起こされるアーチファクトのない改善された画像品質を可能にしうる。
【0010】
請求項4に記載の本発明の別の例示の実施形態によれば、多色減衰値におけるビームハードニング効果を補正するためのルックアップテーブルを生成する方法が提供される。方法は、3次元ルックアップテーブルの単純な生成を可能にし、方法の適用は、例えばコーンビームCTスキャナにおけるヒール効果を考慮することによって、より良好な画像品質を可能にしうる。
【0011】
本発明によるルックアップテーブルを生成する方法の別の例示の実施形態が、請求項5に与えられている。
【0012】
請求項6乃至請求項9は、例えばコーンビームCTスキャナにおけるヒール効果を考慮することによって、2次元検出器アレイから読み取られる多色減衰値から生成される画像の改善された画像品質を可能にしうるデータ処理装置の例示の実施形態に関する。
【0013】
本発明は、更に、例えば画像プロセッサのようなプロセッサ上で実行されることができるコンピュータプログラムに関する。このようなコンピュータプログラムは、例えばCTスキャナシステムの一部でありうる。本発明の例示の実施形態によるコンピュータプログラムは、請求項10及び請求項11に示されている。これらのコンピュータプログラムは、好適には、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。従って、データプロセッサは、本発明の方法の例示の実施形態を実行する能力を具える。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提供されることもでき、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることができる。
【0014】
ヒール効果により、X線スペクトルがコーン角度とともに変化することを考慮して、3Dルックアップテーブルが生成されることが、本発明の例示の実施形態の要旨とみなされることができる。このルックアップテーブルは、コーン角度すなわち2次元検出器アレイの列方向に依存して、各X線スペクトルごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む3次元データセットで構成されることができる。これは、コーンビームCTスキャナにおけるヒール効果を考慮することによって、より良好な画像品質を提供することができる。
【0015】
本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される実施例から明らかになり、それらを参照して説明される。本発明の例示的な実施例が、添付の図面を参照して以下に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明によるCT(コンピュータトモグラフィ)スキャナの例示的な実施例を示している。この例示的な実施例に関して、本発明は、医用イメージングのアプリケーションについて説明される。しかしながら、本発明は、医用イメージングの分野のアプリケーションに限定されるものではなく、手荷物のアイテムの中の例えば爆発物のような危険物を検出するための手荷物検査のようなアプリケーション又は例えば材料テストのような他の産業アプリケーションにおいて、使用されることもできる。
【0017】
図1に示されるスキャナは、コーンビームCTスキャナである。図1に示されるCTスキャナは、回転軸2のまわりを回転可能なガントリ1を有する。ガントリは、モータ3によって駆動される。参照数字4は、例えばX線源のような放射線源を示し、放射線源4は、本発明の1つの見地により、多色放射線を放出する。
【0018】
参照符号5は、アパーチャシステムを示し、アパーチャシステム5は、放射線源から放出される放射線ビームを、コーン形状の放射線ビーム6に形成する。
【0019】
コーンビーム6は、ガントリ1の中央に、すなわちCTスキャナの検査領域に配置される関心のあるオブジェクト7を通り抜け、検出器8に当たるように、方向付けられる。図1から分かるように、検出器8は、検出器8の表面がコーンビーム6によってカバーされるように、放射線源4の反対側のガントリ1に配置される。図1に示される検出器8は、7つの検出器ライン15を有し、各々の検出器ライン15は、複数の検出器素子を含んでいる。
【0020】
図1から分かるように、検出器ライン又は行15は、ガントリ1の回転軸2に平行な方向に沿ってスタックされて、互いに平行に配置される。複数の検出器ライン15は、軸2に平行な方向において、互いに隣り合って配置されており、すなわち図1において矢印zによって示される方向に沿って配置されている。言い換えると、検出器8の列は、z方向に平行であり、検出器ライン15(又は検出器行15)は、z方向に垂直に延在する。
【0021】
図1から分かるように、検出器8の検出器セルは、行及び列に配置されており、列は、回転軸2に平行であり、ライン(検出器ライン又は行15)は、回転軸2に垂直な面内に配置されていると述べることができる。
【0022】
上述したように、アパーチャシステム5は、検出器全体、すなわち検出器8のすべてのライン及び列が、コーンビーム6によってカバーされるように調整されることが好ましい。検出器8の個々の検出器ライン15のz位置(回転軸2に平行な位置)は、更に、コーンビーム角度によって、すなわち、検出器の中心線32すなわちここでは検出器8の第4の行及び放射線源4からの第1のラインと、検出器ライン又は行15の個々の他の1つ及び放射線源4からの第2のラインと、の間の角度によって、示されることができる。
【0023】
関心のあるオブジェクト7のスキャンの間、放射線源4、アパーチャシステム5及び検出器8は、ガントリ1に沿って、矢印16によって示される方向に回転されることができる。放射線源4、アパーチャシステム5及び検出器8を有するガントリ1の回転のために、モータ3が、モータ制御ユニット17に接続されており、モータ制御ユニット17が、計算ユニット18に接続されている。
【0024】
図1において、関心のあるオブジェクトは、コンベアベルト19上に配置されている。関心のあるオブジェクト7のスキャン中に、ガントリ1が、手荷物アイテム7のまわりを回転する一方で、コンベアベルト19は、ガントリ1の回転軸2に平行な方向に沿って、関心のあるオブジェクト7を移動させる。これによって、関心のあるオブジェクト7は、ヘリカルスキャンパスに沿ってスキャンされる。コンベアベルト19は、スキャンの間、停止されることができ、それによってシングルスライスを測定することができる。コンベアベルト19を設ける代わりに、例えば関心のあるオブジェクト7が患者である医用アプリケーションにおいて、可動テーブルが使用される。しかしながら、記述するケースのすべてにおいて、円形スキャンを実施することも可能であり、その場合、回転軸2と平行な方向の移動はなく、回転軸2のまわりのガントリの回転のみがあることに留意すべきである。
【0025】
検出器8は、計算ユニット18に接続されている。計算ユニット18は、検出結果、すなわち検出器8の検出器素子からの読み取り値を受け取り、これらの読み取り値に基づいてスキャニング結果を決定する。検出器8の検出器素子は、関心のあるオブジェクト7によってコーンビーム6に引き起こされる減衰を測定するように構成されることができる。更に、計算ユニット18は、ガントリ1の動きをモータ3及びモータ20又はコンベヤベルト19と調和させるように、モータ制御ユニット17と通信する。
【0026】
計算ユニット18は、検出器8の読み取り値から画像を再構成するように構成されることができる。計算ユニット18によって生成される画像は、インタフェース22を介してディスプレイ(図1に示されない)に出力されることができる。
【0027】
データプロセッサによって実現されることができる計算ユニットは、更に、多色減衰値に単色減衰値を割り当てることにより、ヒール効果及び/又はビームハードニング効果によって多色値に引き起こされるアーチファクトを補正することによって、検出器8の検出器素子からの読み取り値に基づいて多色減衰値の処理を実施するように構成されることができる。本発明の1つの見地によれば、多色減衰値は、z方向に又はコーン角度に依存する。
【0028】
更に、計算ユニット18は、放射線源のスペクトルの平均エネルギーをまず決定し、多色放射線源4、検出器アレイ8及び較正オブジェクトを考慮することによって第1の投影データを決定し、単色放射線源、検出器レート8及び較正オブジェクトを考慮することによって第2の投影データを決定し(このステップは、シミュレーションによって実施されてもよい)、第1及び第2の投影データに基づいて3次元ルックアップテーブルを生成することによって、ヒール効果及び/又はビームハードニングによって多色減衰値(検出器8からの読み取り値)に引き起こされるアーチファクトを補正するためのルックアップテーブルを生成するように構成されることができる。3次元ルックアップテーブルは、検出器8の各検出器行15ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む。
【0029】
更に、図1から分かるように、計算ユニット18は、例えばアラームを自動的に出力するように、スピーカ21に接続されることもできる。
【0030】
以下、ビームハードニング及びヒール効果の理論的な背景についてより詳しく記述する。コーンビーム6のような多色X線ビームが、物質を通り抜けるとき、線減弱係数がエネルギーとともに減少するので、低エネルギー光子が吸収される。結果として、ビームは、徐々にり硬くなり、すなわち、その平均エネルギーが増加する。ビームが硬いほど、減衰は低い。従って、全体の減衰は、もはや吸収物質の厚みの線形関数ではない。
【0031】
再構成プロセスにおいてこのハードニング効果を無視することは、画像アーチファクトをもたらしうる。知られているビームハードニングアーチファクトは、例えばカッピングである。中央のピクセルを通り抜けるX線ビームは、常に、相対的に長い経路長を有し、中心を外れたピクセルを通り抜けるビームは、短い経路長及び長い経路長を有しうる。結果として、ピクセル値は、常に、オブジェクトの中心に向かって弱められる。
【0032】
図2は、直径400mmの水シリンダの再構成された画像を示している。レベル及びウィンドウは、それぞれ0及び500HU(ハウンズフィールドユニット)である。オブジェクトの中央を通ってまっすぐな水平ラインによって測定されるハウンズフィールド値が、任意のユニットでプロットされている。図2から見られることができるように、ハードニングのいかなる補正もない場合、すなわちいかなる軟組織補正もない場合、強いカッピングが、観察されることができる。
【0033】
軟組織補正を実施するための前提条件は、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む2Dルックアップテーブルの生成である。これは、例えば水シリンダのスライスの投影データを多色X線ビームを用いて測定することによって又はシミュレートすることによって行われることができる。特定のX線管電圧についてX線スペクトルが知られている場合、スペクトルの平均エネルギーが計算されることができる。水シリンダの同じスライスの別のスキャンが、X線スペクトルの平均エネルギーに等しいエネルギーを有する単色X線ビームによってシミュレートされる。
【0034】
両方の投影データセット、すなわち多色X線ビームによる投影データセット及び単色X線ビームによるデータセットから、単色減衰値と多色減衰値との間の相関関係が、計算されることができ、この相関関係は、ビームハードニング及び/又はヒール効果によって引き起こされるアーチファクトを補正するために使用されることができる。
【0035】
しかしながら、コーンビームCTスキャナにおいて、X線スペクトルは、ヒール効果のため、コーン角度とともに変化する。ヒール効果について、図3を参照して更に説明する。
【0036】
図3は、ヒール効果の影響を更に説明するための2つの図を示している。2つの図にプロットされたラインは、検出器アレイの行1(左)及び検出器アレイの行128(右)において測定されたX線スペクトルである。検出器アレイは、2次元検出器アレイである。図3の左の図と右の図との比較から分かるように、強度値及びピーク値は特に、行128(右図)と比較して、行1(左図)においてかなり低い。このように、ビームハードニング効果の他に、X線スペクトルのコーン角度への依存が、画像アーチファクトを引き起こしうる。
【0037】
これは、より多くの行を有し、従ってより大きなコーン角度を有するX線源を要求する2次元検出器と関係して、特に不利益でありえる。
【0038】
本発明の例示的な実施例によれば、X線スペクトルが、ヒール効果のため、コーン角度とともに変化することを考慮して、3次元ルックアップテーブルが生成される。ルックアップテーブルは、コーン角度に依存して、各X線スペクトルごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む3Dデータセットで構成されることができる。
【0039】
以下、図4を参照して、図1のCTスキャナシステムの計算ユニット18において実施されることができる3Dルックアップテーブルを生成する方法の例示的な実施例が説明される。図5を参照して、軟組織補正が、図4を参照して説明される方法に従って生成される3次元ルックアップテーブルを使用して説明される。図5に記述される軟組織補正は、3次元ルックアップテーブルを使用することによる測定された投影データの再計算である。
【0040】
図4は、本発明による3次元ルックアップテーブルを生成する方法の例示的な実施例のフローチャートを示している。ステップS1の開始前、X線源のスペクトルが、所与のX線管電圧について、コーン角度に依存して決定される。ステップS1の開始後、ステップS2において、X線スペクトルの平均エネルギーが計算される。
【0041】
次のステップS3において、2次元検出器、及び例えば較正オブジェクトとして直径400mmの水シリンダ(他の適切なオブジェクトが選択されてもよい)を考慮することによって、投影データの第1のセットが、円形のX線源軌道(円形取得)を介して計算される。投影データのこの第1のセットについて考慮される放射線源は、多色X線ビームを放出し、スペクトルは、ヒール効果のため、コーン角度に依存する。
【0042】
次のステップS4において、投影データの第2のセットが、計算されたX線スペクトルの平均エネルギーに等しいエネルギーを有する単色X線ビームを用いて同様の決定を実施することによって生成される。両方のステップ、すなわちステップS3及びS4は、実際の測定によって実施され又はシミュレーションによって実施されることができる。
【0043】
次のステップS5において、各検出器行又はラインごとに、従って各々のコーン角度ごとに、単色減衰値が、同じ検出器素子又は検出器ラインに関する個々の多色減衰値に割り当てられる。ここで、補間が、適用されることができる。
【0044】
次のステップS6において、各コーン角度ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む3次元ルックアップテーブルが生成される。
【0045】
次のステップS7において、方法が終了する。
【0046】
本発明のこの例示的な実施例の変更例において、3次元ルックアップテーブルは、更に、各検出器素子ごとに個々の多色減衰値及び単色減衰値の比率を含むことができる。
【0047】
3次元ルックアップテーブルが生成されると、3次元ルックアップテーブルは、図5に示すように、軟組織事前処理ステップにおいて実現されることができる。図5は、例えばヒール効果によって又はビームハードニングによって引き起こされる画像アーチファクトが、出力画像において補償されるように多色減衰値を処理する方法の例示的な実施例を示している。
【0048】
ステップS10の開始後、方法は、ステップS11に続き、ステップS11において、実際の多色減衰値が、関心のあるオブジェクトについて取得される。上述したように、これは、例えば図1に示すようなCTスキャナシステムを使用することによって実施されることができる。検出器の読み取り値は、計算ユニットに送られる。次のステップS12において、多色減衰値が、計算ユニット18において、3次元ルックアップテーブルを使用することによって、各検出器素子について単色減衰値に対し再計算される。これは、例えば、実際に測定された多色減衰値に、較正オブジェクトから決定された個々の検出器素子の多色減衰値及び単色減衰値の比を乗じることによって、実施されることもできる。次のステップS13において、出力画像が生成される。ステップS14において、方法が終了する。
【0049】
上述したように、本発明によれば、例えばヒール効果又はビームハードニングによる画像アーチファクトを補償することを可能にする効率的な且つロバストな方法が、提供される。これにより、より良好な画像品質が達成されることができる。更に、ヒール効果の補償により、本発明は、増加された数のラインを有するより大きい検出器アレイを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるコンピュータトモグラフィ(CT)スキャナシステムの例示的な実施例の簡略化された概略図。
【図2】ビームハードニング効果/ヒール効果によって引き起こされうる画像アーチファクトを含む再構成された画像スライスを示す図。
【図3】ヒール効果の影響を更に説明するための2つの図を示す図。
【図4】本発明によるCTスキャナシステム又は画像プロセッサを動作させる方法の例示的な実施例のフローチャート。
【図5】本発明によるCTスキャナシステム又はデータ処理システムを動作させる方法の別の例示的な実施例のフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色減衰値を処理する方法であって、前記多色減衰値が、コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得され、前記複数の検出器行が、第2の方向に垂直な第1の方向において互いに隣り合って配置されており、前記第2の方向が、前記複数の検出器行と平行である、方法であって、
前記多色減衰値に単色減衰値を割り当てるステップを含み、前記多色減衰値が、前記第1の方向に依存する、方法。
【請求項2】
3次元ルックアップテーブルが、前記多色減衰値に前記単色減衰値を割り当てるために使用され、
前記第1の方向に依存する前記多色減衰値への前記単色減衰値の前記割り当ては、ヒール効果によって引き起こされるアーチファクトが少なくとも部分的に抑制されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルックアップテーブルが、
前記放射線源のスペクトルを決定するステップと、
前記スペクトルの平均エネルギーを決定するステップと、
前記多色放射線源、前記検出器アレイ及び較正オブジェクトを考慮することによって、第1の投影データを決定するステップと、
単色放射線源、前記検出器アレイ及び前記較正オブジェクトを考慮することによって、第2の投影データを決定するステップと、
前記第1及び前記第2の投影データに基づいて、3次元ルックアップテーブルを生成するステップと、
に従って生成され、前記3次元ルックアップテーブルは、前記複数の検出器行の各検出器行ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得される多色減衰値を補正するためのルックアップテーブルを生成する方法であって、
前記放射線源が、スペクトルを有し、前記方法が、
前記スペクトルの平均エネルギーを決定するステップと、
前記多色放射線源、前記検出器アレイ及び較正オブジェクトを考慮することによって、第1の投影データを決定するステップと、
単色放射線源、前記検出器アレイ及び前記較正オブジェクトを考慮することによって、第2の投影データを決定するステップと、
前記第1及び前記第2の投影データに基づいて、3次元ルックアップテーブルを生成するステップと、
を含み、前記3次元ルックアップテーブルが、前記複数の検出器行の各検出器行ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む、方法。
【請求項5】
前記複数の検出器行は、前記複数の検出器行に平行な第2の方向に対して垂直な第1の方向において、互いに隣り合って配置されており、
前記単色減衰値が、前記第1の方向に依存し、
前記補正は、ビームハードニング効果及びヒール効果のうちの1つに関連するアーチファクトが少なくとも部分的に抑制されるようなものである、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
多色減衰値を記憶するメモリと、
前記多色減衰値を処理するデータプロセッサと、
を有し、前記データプロセッサが、
コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得される前記多色減衰値をロードする処理であって、前記複数の検出器行が、前記複数の検出器行に平行な第2の方向に対して垂直な第1の方向において互いに隣り合って配置されている、処理と、
前記第1の方向に依存する前記多色減衰値を単色減衰値に割り当てる処理と、
を実施するように構成されるデータ処理装置。
【請求項7】
前記データ処理装置が、CTスキャナシステムの一部であり、
前記第1の方向に依存する前記多色減衰値への前記単色減衰値の割り当ては、ビームハードニング及びヒール効果のうちの1つによって引き起こされるアーチファクトが少なくとも部分的に抑制されるようなものである、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
多色減衰データを記憶するメモリと、
コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得される多色減衰値を補正するためのルックアップテーブルを生成するデータプロセッサと、
を有し、前記放射線源が、スペクトルを有し、前記データプロセッサが、
前記スペクトルの平均エネルギーを決定する処理と、
前記多色放射線源、前記検出器アレイ及び較正オブジェクトを考慮することによって、第1の投影データを決定する処理と、
単色放射線源、前記検出器アレイ及び前記較正オブジェクトを考慮することによって、第2の投影データを決定する処理と、
前記第1及び前記第2の投影データに基づいて、3次元ルックアップテーブルを生成する処理と、
を実施するように構成され、前記3次元ルックアップテーブルが、前記複数の検出器行の各検出器行ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む、データ処理装置。
【請求項9】
前記データ処理装置が、CTスキャナシステムの一部であり、
前記補正は、ヒール効果に関連するアーチファクトが少なくとも部分的に抑制されるようなものである、
請求項8に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
多色減衰値を処理するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるとき、
コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得される多色減衰値をロードする処理であって、前記複数の検出器行が、前記検出器行に平行な第2の方向に対して垂直な第1の方向において、互いに隣り合って配置されている、処理と、
前記第1の方向に依存する前記多色減衰値に単色減衰値を割り当てる処理と、
を前記プロセッサに実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
コーンビームを生成する多色放射線源及び複数の検出器行を有する放射線検出器アレイによって取得される多色減衰値を補正するためのルックアップテーブルを生成するコンピュータプログラムであって、
前記放射線源は、スペクトルを有し、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるとき、
前記スペクトルの平均エネルギーを決定する処理と、
前記多色放射線源、前記検出器アレイ及び較正オブジェクトを考慮することによって、第1の投影データを決定する処理と、
単色放射線源、前記検出器アレイ及び前記較正オブジェクトを考慮することによって、第2の投影データを決定する処理と、
前記第1及び前記第2の投影データに基づいて、3次元ルックアップテーブルを生成する処理と、
を前記プロセッサに実施させ、前記3次元ルックアップテーブルが、前記複数の検出器行の各検出器行ごとに、すべての対応する多色減衰値について単色減衰値を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513725(P2007−513725A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544630(P2006−544630)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052673
【国際公開番号】WO2005/059592
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】