説明

ビス−へテロ環式イミダゾリル化合物

この特許出願は、一般式(I)(式中、R、R、R、R、およびnは、明細書において、より詳細に明らかにされている定義を有する)の新しいヘテロ環式化合物、これらの調製方法、および薬剤、特にアルドステロンシンターゼ阻害剤としてのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいへテロ環式化合物、これらの化合物の調製方法、これらを含んでいる医薬品、および活性製薬成分としての、特にアルドステロンシンターゼ阻害剤としてのこれらの使用に関する。
【0002】
本発明はまず、一般式
【0003】
【化3】

【0004】
(式中、
Rは、a)重水素、ハロゲン、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、アリール−C−C−アルキルまたは不飽和ヘテロシクリル−C−C−アルキルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、アリール−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、または不飽和ヘテロシクリル−C−C−アルキルであり、これらの基は、非置換であるか、または1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルによって置換されており;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
nは、数0、1、または2である)
の化合物、およびこれの塩、好ましくは薬学的に有用なこれらの塩
(ここで、
が水素であるならば、Rはカルバゾリル、フルオレニル、またはナフチルではなく;
Rが水素であり、そしてRがヒドロキシルであるならば、RはC−C−アルコキシ−またはハロベンゾチオフェン−2−イル、非アルキル化もしくはN−モノまたはN,N−ジ−C−C−アルキル化カルバモイルナフチル、非置換もしくは置換ビフェニル、または4−ブロモフェニルではない)を提供する。
【0005】
本発明は更に、一般式(I)(式中、
(A)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが0であるならば、フェニルまたはピリジルであり、それによって、フェニルまたはピリジルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル環系に対して)「パラ」位に位置するか;または
(B)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが1であるならば、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルは、3〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されているか;または
(C)Rは、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、C−C−アルキルスルファニル、ヒドロキシル、ニトロ、またはオキシドであるか;または
(D)Rは、RおよびRの両方が同時に重水素または水素でないならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されているか;または
(E)Rは、RがヒドロキシルまたはC−C−アルコキシであるならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており;
Rは、a)重水素、ハロゲン、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、または水素であるか;または
b)C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、アリール−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、または不飽和ヘテロシクリル−C−C−アルキルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
nは、数0、1、または2である)
の化合物、およびこれの塩、好ましくは薬学的に有用なこれらの塩
(ここで、
が水素であるならば、Rはカルバゾリル、フルオレニル、またはナフチルではなく;
Rが水素であり、そしてRがヒドロキシルであるならば、RはC−C−アルコキシ−またはハロベンゾチオフェン−2−イル、非置換もしくは置換ビフェニル、または4−ブロモフェニルではない)も提供する。
【0006】
アリールという用語は、一般に5〜14、好ましくは6〜10炭素原子を含有する芳香族炭化水素を表わし、例えばフェニル、またはナフチル、例えば1−または2−ナフチルである。好ましいとされるのは、6〜10炭素原子を有するアリール、特にフェニルである。好ましくは、ヒュッケル則に合致するアリールである。提示された基は、非置換であってもよく、または1回もしくはそれ以上の回数、例えば1回もしくは2回置換されていてもよく、各々の場合に、この置換基は、フェニル基のo、m、もしくはp位、または1−または2−ナフチル基の3もしくは4位といったどの位にあってもよく、2またはそれ以上の同一または異なる置換基であってもよい。アリール基または好ましいフェニルまたはナフチル基上の置換基の例は、次のとおりである:C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチル。
【0007】
アリール−C−C−アルキルは、例えばフェニル、ナフチル、またはベンジルである。
ヘテロシクリルという用語は、飽和、一部飽和、または不飽和4〜8員、より好ましくは5員、単環式環系を表わし、飽和、一部飽和、または不飽和7〜12員、より好ましくは9〜10員、二環式環系を表わし、N、O、またはS原子をこれらの環の少なくとも1つに含有する一部飽和もしくは不飽和7〜12員三環式環系も表わし、追加のN、O、またはS原子が1つの環中に存在することも可能である。提示された基は、非置換であってもよく、または1回またはそれ以上の回数、例えば1回または2回置換されていてもよく、2またはそれ以上の同一または異なる置換基が存在してもよい。ヘテロシクリル基上の置換基の例は、次のとおりである:C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチル。
【0008】
飽和ヘテロシクリル−C−C−アルキルは、例えばアゼパニル、アゼチジニル、アジリジニル、3,4−ジヒドロキシルピロリジニル、2,6−ジメチルモルホリニル、3,5−ジメチルモルホリニル、ジオキサニル、[1,4]ジオキセパニル、ジオキソラニル、4,4−ジオキソチオモルホリニル、ジチアニル、ジチオラニル、2−ヒドロキシルメチル−ピロリジニル、4−ヒドロキシルピペリジニル、3−ヒドロキシルピロリジニル、4−メチルピペラジニル、1−メチル−ピペリジニル、1−メチルピロリジニル、モルホリニル、オキサチアニル、オキセパニル、2−オキソアゼパニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソオキサゾリジニル、2−オキソピペリジニル、4−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソテトラヒドロピリミジニル、4−オキソチオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、チエパニル、またはチオモルホリニルである。
【0009】
一部飽和二環式ヘテロシクリル−C−C−アルキルは、例えば3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−[1,4]オキサジニル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラニル、または4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルである。
【0010】
不飽和二環式ヘテロシクリル−C−C−アルキルは、例えばベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾ[d]イソチアゾリル、ベンゾ[d]イソキサゾリル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イミダゾ[1,5−a]ピリジニル、インダゾリル、インドリル、またはイソキノリニルである。
【0011】
不飽和単環式ヘテロシクリル−C−C−アルキルは、例えばイミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピロリル、テトラゾリル、チアゾリル、またはチオフェニルである。
【0012】
−C−アルケニルは、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、第二ブテニル、第三ブテニル、またはペンテニル、ヘキセニル、またはヘプテニル基である。
【0013】
−C−アルキニルは、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、またはペンチニル、ヘキシニル、またはヘプチニル基である。
【0014】
−C−アルコキシは、例えばC−C−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、またはペンチルオキシであるが、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ基であってもよい。
【0015】
−C−アルコキシカルボニルは好ましくは、C−C−アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、第二ブチルオキシカルボニル、または第三ブチルオキシカルボニルである。
【0016】
−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキルは、例えばメトキシカルボニル−またはエトキシカルボニル−メチル、2−メトキシカルボニル−または2−エトキシカルボニル−エチル、3−メトキシカルボニル−または3−エトキシカルボニル−プロピル、または4−エトキシカルボニルブチルである。
【0017】
−C−アルキルは、線状であるか、または枝分かれおよび/または架橋されていてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、またはペンチル、ヘキシル、またはヘプチル基である。
【0018】
−C−アルキルカルボニルは、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、第二ブチルカルボニル、または第三ブチルカルボニルである。
【0019】
カルボキシ−C−C−アルキルは、例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−または3−カルボキシプロピル、2−カルボキシ−2−メチルプロピル、2−カルボキシ−2−エチルブチル、または4−カルボキシブチル、特にカルボキシメチルである。
【0020】
−C−シクロアルキルは好ましくは、3−、5−、6−員シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
【0021】
ハロゲンは、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0022】
下に特定された化合物群は、限定されていると考えるべきではない。そうではなく、これらの化合物群の一部は、互いに、または上に示された定義によって置き換えられてもよく、または意味のある方法で、例えばより具体的な定義によって一般的な定義と置き換えるために省かれてもよい。記載されている定義は、一般的な化学原則、例えば慣習的な原子価の範囲内で適用される。
【0023】
式(I)の化合物に好ましい群は、式中、
(A)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが0であるならば、フェニルまたはピリジルであり、それによって、フェニルまたはピリジルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル環系に対して)「パラ」位に位置する
化合物である。
【0024】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
(B)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが1であるならば、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルは、3〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されている
化合物である。
【0025】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
(C)Rは、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、C−C−アルキルスルファニル、ヒドロキシル、ニトロ、またはオキシドである
化合物である。
【0026】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
(D)Rは、RおよびRの両方が同時に重水素または水素でないならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されている
化合物である。
【0027】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
(E)Rは、RがヒドロキシルまたはC−C−アルコキシであるならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されている
化合物である。
【0028】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
は、(A)について特定された条件下でピリジルであるか;または(A)または(B)について特定された条件下でフェニルであるか;またはアリールまたは非置換ヘテロシクリルであり、(C)、(D)、または(E)下に特定されているように置換され、ヘテロシクリルは、特に好ましくはベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾ[d]イソチアゾリル、ベンゾ[d]イソキサゾリル、ベンゾチオフェニル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、オキサゾリル、ピリジル、ピロリル、チアゾリル、またはチオフェニルから選択される
化合物、およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0029】
式(I)の化合物の更に好ましい群は、式中、
は、(A)、(B)、(C)、(D)、または(E)について特定されているような定義、より好ましくは(A)、(B)、または(C)について特定されているような定義を有し;
Rは、C−C−アルキル、重水素、トリ−C−C−アルキルシリル、または水素であり;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシ、またはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、または水素であるか;または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
nは、数0、または1である)
の化合物、およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0030】
これに加えて好ましくは、式(I)(式中、Rは好ましくは、C−C−アルキル、重水素、トリ−C−C−アルキルシリル、または水素、特に好ましくは重水素または水素である)の化合物;およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0031】
これに加えて好ましくは、式(I)(式中、Rは好ましくは、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、重水素、ヒドロキシル、または水素、特に好ましくはC−C−アルキル、重水素、ヒドロキシル、または水素である)の化合物;およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0032】
これに加えて好ましくは、式(I)(式中、Rは好ましくは、C−C−アルキル、重水素、ハロゲン、または水素である)の化合物;およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0033】
これに加えて好ましくは、式(I)(式中、Rは好ましくは、C−C−アルキル、重水素、ハロゲン、または水素である)の化合物;およびこれらの塩、好ましくはこれらの薬学的に有用な塩である。
【0034】
nは好ましくは、数0または1である。
【0035】
アリールまたは不飽和ヘテロシクリルに好ましい置換基は、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、オキシド、非置換もしくは置換アリール、特に非置換もしくは置換フェニル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリル、特に非置換もしくは置換テトラゾリル、非置換もしくは置換チアゾリル、または非置換もしくは置換チオフェニルである。アリールまたは不飽和ヘテロシクリルに特に好ましい置換基は、アセチル、塩素、シアノ、フッ素、メタンスルホニル、ニトロ、またはオキシドである。
【0036】
好ましくはRは、非置換もしくは置換4−アセチルフェニル、非置換もしくは置換4−シアノフェニル、非置換もしくは置換4−フルオロフェニル、非置換もしくは置換4−メタンスルホニルフェニル、または非置換もしくは置換4−ニトロフェニルである。
【0037】
同様に好ましくは、Rは、一、二、または三置換不飽和ヘテロシクリル置換基であり、これらの置換基は好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0038】
特に好ましくは、Rは、ベンゾフラン−3−イル、1H−ベンゾイミダゾール−1−イル、ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル、ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル、ベンゾ[b]チオフェン−3−イル、イミダゾール−1−イル、インドリル、オキサゾール−4−イル、ピリジン−4−イル、チアゾール−4−イル、またはチオフェン−3−イルであり、これらの基は置換されており、これらの置換基は好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、ハロゲン、シアノ、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0039】
また非常に特に好ましくはRは、1H−ベンゾイミダゾール−1−イル、ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル、ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル、イミダゾール−1−イル、またはピリジン−4−イルであり、これらの基は置換されており、これらの置換基は好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、ハロゲン、シアノ、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0040】
これに加えて特に好ましくは、Rは、少なくとも1つの置換基、好ましくはシアノ、フルオロ、アセチル、メタンスルホニル、ニトロ、または非置換もしくは置換へテロシクリルを有する、一、二、または三置換フェニル基であり、このへテロシクリルは好ましくは、4位に少なくとも1つの窒素原子を含有する。
【0041】
特に好ましいとされるのは、Rが、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはC−C−アルキルであり、そしてRが、水素、重水素、またはC−C−アルキルであり;Rが、少なくとも1つの置換基、好ましくはアセチル、メタンスルホニル、ニトロ、または非置換もしくは置換へテロシクリルを有する、一、二、または三置換フェニル基であり、このへテロシクリルが好ましくは、4位に少なくとも1つの窒素原子を含有する化合物である。
【0042】
同様に特に好ましくは、Rが、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはC−C−アルキルであり、および/またはRが、重水素またはC−C−アルキルであり、Rが、非置換、または一もしくは二置換4−シアノフェニル基、または4−フルオロフェニル基である化合物である。
【0043】
同様に特に好ましくは、Rが、4−シアノ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノ−3−メトキシフェニル、4−シアノ−3−トリフルオロメトキシフェニル、3−ブロモ−4−シアノフェニル、または3−クロロ−4−シアノフェニル、3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニルであり、これは、所望であれば、フェニル基上のさらなる置換基によって置換されていてもよく、RおよびRが水素である化合物である。
【0044】
同様に特に好ましくは、Rが、非置換、または一、二、または三置換フェニル基によって3位において置換されている非置換、または一もしくは二置換4−シアノフェニル基であり、Rが、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはC−C−アルコイルであり、Rが、水素、重水素、またはC−C−アルキルである化合物である。
【0045】
式(I)の特に好ましい化合物は、一般式(Ia)
【0046】
【化4】

【0047】
(式中、R、R、R、R、R、およびnは、式(I)の化合物について上で特定された定義を有し、上記の好ましさは、同様に適用される。*は不斉炭素原子を示す)
の化合物である。
【0048】
少なくとも1つの不斉炭素原子を有する式(I)の化合物は、光学的に純粋な鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、またはラセミ化合物の形態で存在しうる。第二不斉炭素原子を有する化合物は、光学的に純粋なジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ化合物、ジアステレオマーラセミ化合物の混合物、またはメソ化合物の形態で存在しうる。本発明は、これらの形態のすべてを包含する。鏡像異性体の混合物、ラセミ化合物、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ化合物、またはジアステレオマーラセミ化合物の混合物は、従来方法、例えばラセミ化合物分割、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLCなどによって分別することができる。
【0049】
式(Ia)の化合物は、「*」と標識されている少なくとも1つの不斉炭素原子を有する。挙げられている化合物は、指定された不斉炭素原子の周りに特定の配置を有する単一化合物として理解すべきである。ラセミ化合物に導く合成方法が用いられるならば、ラセミ化合物分割は、従来の方法にしたがって、例えばキラルHPLCカラムを介して実施される。詳細は、実施例に記載されている。本発明に記載されているような式(Ia)の化合物は、顕著なアルドステロンシンターゼおよび/または11−β−ヒドロキシラーゼ阻害活性を示す。上記活性は、容易にかつ下に記載されているように、NCI−H295Rヒト副腎皮質癌細胞系に基づいた細胞アッセイを介して決定することができる。上記アッセイ系において、式(Ia)の化合物は、*標識された不斉炭素原子の周りに反対の配置をともなう式(Ia)の物質よりも少なくとも20倍良好であるが、好ましくは40倍良好な活性を有する。
【0050】
「薬学的に有用な塩」という表現は、有機または無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、蟻酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩を包含する。塩形成基を含有する化合物の塩は特に、酸付加塩、塩基との塩、あるいはまた適切であれば、2またはそれ以上の塩形成基が存在するならば、混合塩、または内部塩である。
【0051】
式(I)の化合物は、文献(図式)から公知の調製方法と同様に調製することができる。
【0052】
【化5】

【0053】
n=0、1、または2;
Ar=アリール;Het=不飽和ヘテロシクリル。
【0054】
特定の調製変形例の詳細は、実施例から見出すことができる。
【0055】
式(I)の化合物はまた、光学的に純粋な形態で調製することもできる。対掌体への分離は、好ましくは合成の初期段階において、それ自体公知の方法によって、光学的に活性な酸、例えば(+)−もしくは(−)−マンデル酸との塩形成、および分別結晶化によるジアステレオマー塩の分離によって、または好ましくはかなり遅い段階で、キラル補助成分、例えば(+)−もしくは(−)−塩化カンファニルでの誘導体化、およびクロマトグラフィーおよび/または結晶化によるジアステレオマー生成物の分離、およびキラル補助体への結合のその後の切断によって可能である。純粋なジアステレオマー塩および誘導体は、慣習的な分光方法を用いて、存在する化合物の絶対配置を決定するために分析することができる。単晶X線分光法が、1つの特に適切な方法を代表する。
【0056】
塩は主として、式(I)の化合物の薬学的に有用な塩または非毒性塩である。このような塩は、例えば酸性基、例えばカルボキシルまたはスルホ基を含有する式(I)の化合物によって形成され、例えば適切な塩基とのこれの塩、例えば、元素周期表の第Ia、Ib、IIa、およびIIb族の金属に由来する非毒性金属塩、例えばアルカリ金属塩、特にリチウム、ナトリウム、またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムまたはカルシウム塩、および同様に亜鉛塩、またはアンモニウム塩、およびこれに加えて有機アミン、例えば非置換、またはヒドロキシル置換モノ−、ジ−、またはトリアルキルアミン、特にモノ−、ジ−、またはトリ低級アルキルアミンと形成された塩、または第四アンモニウム塩基、例えばメチル−、エチル−、ジエチル−、またはトリエチルアミン、モノ−、ビス−、またはトリス(2−ヒドロキシル低級アルキル)アミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、または2−ヒドロキシル−第三ブチルアミン、N,N−ジ低級アルキル−N−(ヒドロキシル低級アルキル)アミン、例えばN,N−ジ−N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシルエチル)アミン、またはN−メチル−D−グルカミン、または第四アンモニウム水酸化物、例えばテトラブチルアンモニウム水酸化物と形成された塩である。塩基性基、例えばアミノ基を含有する式(I)の化合物は、適切な無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸、または1または両プロトンの置換を有する硫酸、1またはそれ以上のプロトンの置換を有するリン酸、例えばオルトリン酸もしくはメタリン酸、または1もしくはそれ以上のプロトンの置換を有するピロリン酸と、または有機カルボン酸、スルホン酸、またはホスホン酸、またはN置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシルマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン(embonic)酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、およびまたアミノ酸、例えば前に特定されたα−アミノ酸、およびまたメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシルエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−または3−ホスホグリセレート、グルコース6−ホスフェート、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートを形成するため)と、またはほかの酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸と、酸付加塩を形成しうる。酸性基および塩基性基を含有する式(I)の化合物はまた、内部塩も形成しうる。
【0057】
単離および精製はまた、薬学的に不適切な塩を用いて実施することができる。
【0058】
式(I)の化合物はまた、1またはそれ以上の原子が、これらの安定な非放射性アイソトープによって置換されている化合物、例えば水素原子が重水素によって置換されている化合物を含む。
【0059】
ここに記載されている化合物のプロドラッグ誘導体は、生体内で使用された時、化学的または生理的プロセスの結果としてもとの化合物を放出するこれらの誘導体である。プロドラッグは、例えば生理的pHに達した時、または酵素転化の結果として、もとの化合物に転化されうる。可能性のあるプロドラッグ誘導体の例は、自由に入手可能なカルボン酸のエステル、チオール、アルコール、またはフェノールのS−およびO−アシル誘導体を含み、アシル基は、上記のように規定されている。好ましいとされるのは、生理的培地中のソルボリシスによって、もとのカルボン酸へ転化される薬学的に有用なエステル誘導体、例えば低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、一もしくは二置換低級アルキルエステル、例えば低級ω−(アミノ、モノ−、またはジアルキルアミノ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル)−アルキルエステル、または例えば低級α−(アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、またはジアルキルアミノカルボニル)アルキルエステルであり;ピバロイルオキシメチルエステル、および同様なエステルが、従来からこの種類のエステル誘導体として用いられている。
【0060】
遊離化合物、プロドラッグ誘導体、および塩化合物の間の密接な関係のために、本発明において規定された化合物はまた、このことが可能であり、かつ適切である範囲で、そのプロドラッグ誘導体および塩形態を含む。
【0061】
アルドステロンは、酵素アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)によって、副腎皮質の球状帯細胞において合成されるステロイドホルモンである。アルドステロン生成および分泌は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アンギオテンシンII、カリウムおよびナトリウムイオンによって調節される。アルドステロンの主要な生物学的機能は、塩バランスの調節であり、アルドステロンが、腎濾過物からのナトリウムイオンの再吸収および腎濾過物中へのカリウムイオンの分泌を制御する。高アルドステロン症とも呼ばれる過剰なアルドステロンの状態は、高血圧、低カリウム症、アルカローシス、筋衰弱、多尿症、多飲症、浮腫、血管炎、コラーゲン形成の増加、繊維症、および内皮機能不全につながることがある。
【0062】
本発明に記載されている化合物は、シトクロムP450酵素アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)を阻害し、したがって、アルドステロンによって誘発された状態を治療するために用いることができる。記載されている化合物は、状態、例えば低カリウム症、高血圧、鬱血性心不全、急性、および特に慢性の腎不全、心臓血管再発狭窄症、アテローム性動脈硬化症、代謝症候群(症候群X)、脂肪過多症(肥満)、血管炎、一次および二次高アルドステロン症、ネフロパシー、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病、コラーゲン形成の増加、繊維症、高血圧に二次的な血管および冠状組織変化(リモデリング)、内皮機能不全、および肝硬変、ネフローゼ、および鬱血性心不全に二次的な浮腫の予防、これの進行の遅延化、およびこれの治療のために用いることができる。
【0063】
コルチゾールは、シトクロムP450酵素11−β−ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)によって、ほぼ独占的に、副腎皮質の束状帯細胞において合成されるステロイドホルモンである。コルチゾール生成は、ACTHによって調節される。コルチゾールの主要な生物学的機能は、大脳およびほかの代謝的に活性な組織のための炭水化物の生成および供給を調節することである。コルチゾール生成および分泌の増加は、ストレスへの正常な生理的応答であり、増加する肉体的エネルギー要求をカバーするための脂肪、タンパク質、および炭水化物の絶対不可欠な動員につながる。慢性的に過剰なコルチゾール放出は、クッシング症候群の条件を説明する。クッシング症候群は、一方で、副腎皮質腫瘍によって発生させられることがあるコルチゾール高合成の結果として、他方で、ACTHによる副腎皮質の過剰な刺激の結果として発生しうる。第一形態は、一次高コルチゾール症と呼ばれ、第二形態は、二次高コルチゾール症と呼ばれる。過剰かつ持続性のコルチゾール分泌はまた、ストレス応答をともなうことがあり、これは、鬱病、および免疫系の抑制につながることがある。
【0064】
本発明に記載されている化合物は、酵素11−β−ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)を阻害し、したがってコルチゾール合成の阻害によって、クッシング症候群、およびまたストレス状態における過剰かつ持続性のコルチゾール分泌の肉体的および精神的結果を予防、これの進行の遅延、またはこれの治療のために使用されうる。
【0065】
アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)ならびに11−β−ヒドロキシラーゼ(Cyp11B1)およびアロマターゼ(Cyp19)の、本発明に記載されている化合物による阻害は、次の試験管内アッセイによって測定することができる。
【0066】
細胞系NCI−H295Rは、もともと副腎癌に由来し、その後文献において、ステロイドホルモンの誘発性分泌、およびステロイド合成に必要なキー酵素の存在によって特徴付けられた。これらは、Cyp11A(コレステロール側鎖切断)、Cyp11B1(ステロイド11β−ヒドロキシラーゼ)、Cyp11B2(アルドステロンシンターゼ)、Cyp17(ステロイド17α−ヒドロキシラーゼおよび17,20リアーゼ)、Cyp19(アロマターゼ)、Cyp21B2(ステロイド21−ヒドロキシラーゼ)、および3β−HSD(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)を含む。これらの細胞は、帯状未分化ヒト胎児副腎細胞の生理的特徴を有し、3つの表現型的に異なるゾーンの各々のステロイドホルモンを生成する能力が、大人の副腎皮質において見られる。
【0067】
NCI−295R細胞(American Type Culture Collection,ATCC,Rockville,MD,USA)を、Ultroser SF血清(Soprachem,Cergy−Saint−Christophe,France)、ならびにインスリン、トラスフェリン、セレニット(I−T−S,Becton Dickinson Biosciences,Franklin Lakes,NJ,USA)、および抗生物質が補足されたダルベッコ変法イーグル・ハムF−12培地(DME/F12)中で、75cm細胞培養フラスコにおいて、温度37℃、95%空気/5%CO湿潤化大気で培養した。これらの細胞をその後、24ウエルプレートへ移し、UltroserSF血清の代わりに0.1%ウシ血清アルブミンが補足されたDME/F12培地の存在下に播種した。実験は、これらの細胞を72時間、0.1%ウシ血清アルブミンおよびテスト化合物が補足されたDME/F12培地中で、細胞刺激剤の存在下にインキュベートすることによって開始した。テスト化合物を、0.2ナノモル〜20マイクロモルの範囲の濃度で添加した。アンギオテンシン−II(例えば10または100ナノモル濃度)、カリウムイオン(例えば16ミリモルで)、ホルスコリン(例えば10マイクロモル)、または2つの薬剤の組み合わせが、細胞刺激剤としての機能を果たしうる。細胞培養培地中へのアルドステロン、コルチゾール、コルチコステロン、およびエストラジオール/エストロンの細胞分泌は、商業的に入手しうるラジオイムノアッセイおよび特異的抗体(例えばDiagnostics Products Corporation,Los Angeles,CA,USA)で、製造業者の指示にしたがって定量的に評価することができる。
【0068】
選択的ステロイドの分泌の程度は、それぞれ酵素活性および酵素阻害の尺度として、テスト化合物の存在下または不存在下に用いられる。化合物の用量依存的酵素阻害活性は、IC50値によって特徴付けられる阻害曲線において反映されている。活性テスト化合物についてのIC50値は、データの重み付け(weighting)をともなわずに阻害曲線を確立するために、単純直線回帰分析によって生成される。阻害曲線は、最小二乗方法を用いてこれらのサンプルの生データへ4−パラメーターロジスティック関数を適合させることによって生成される。この関数は、次のように記載される:
【0069】
Y=(d−a)/((1+(x/c)-b)+a)
【0070】
a=最小
b=勾配
c=IC50
d=最大
x=阻害剤濃度
【0071】
本発明の化合物は、本明細書に記載されている試験管内テスト系において、アルドステロン合成阻害についてのIC50値が10−4〜10−10モル/l、コルチゾール合成阻害についてのIC50値が10−4〜10−10モル/lの阻害活性を示す。
【0072】
本明細書に記載されている化合物のアルドステロン−およびコルチコステロン−抑制活性は、次の生体内プロトコールで評価されてもよい。
【0073】
体重250〜350gの成熟オスウイスターラットを、温度23℃±2℃で、通常の12時間の明、12時間の暗条件下に保持する。実験の初日に、これらの動物は、テスト化合物の投与の16時間前、1.0mg/kg体重の用量でデポーACTH製品(SYNACTEN−Depot,Novartis,Basel,CH)の皮下注射を受ける。パイロット研究は、このACTH用量が、少なくとも18時間にわたって、5〜20倍で血漿アルドステロンおよびコルチコステロンレベルを有意に増加させたことを証明した。アルドステロン分泌を刺激するための代替方法は、ラットを48時間低塩食に付す工程、およびそれぞれ実験開始の16時間および2時間前に、皮下または腹腔内投与によって、10mg/kgで利尿フロセミドを適用する工程からなる。実験の第二日目に、動物を5匹ずつのテストグループに分け、テスト化合物の投与の1時間前、第一出血に付す。その後、およびACTH製品の注射の16時間後、動物は、経口強制飼養により、0.02〜20mg/kgの可変用量範囲で、ビヒクル、またはビヒクル中に溶解されたテスト化合物のどちらかを受ける。投与の2時間および6時間後、動物を、イソフルラン麻酔下に、鎖骨下静脈から更に2回出血させる。血液を、ヘパリン処理された管に収集する。血漿サンプルが、遠心分離によって得られ、これを−20℃で保存する。動物を時間依存的に出血させるための代替方法は、AccuSampler(DiLab Europe,Lund,Sweden)を用いて、血液0.2mlまでの定期的サンプリングを可能にする、慢性頚動脈カテーテル化された動物を用いることからなる。AccuSamplerでの血液サンプリングは、テスト化合物の投与の1時間前、およびその後2、4、6、8、12、16、および24時間後に行なわれてもよい。血液サンプルを、ヘパリンで抗凝固し、遠心分離する。血漿サンプルのアルドステロンおよびコルチコステロン濃度は、試験管内テスト系について上記されているように、ラジオイムノアッセイで決定することができる。
【0074】
例えばコルチコステロンと比較した、アルドステロンとしての血漿ステロイドレベルの選択的抑制は、本明細書に記載されている化合物の生体内バイオアベイラビリティーおよび薬力学的酵素阻害活性についての尺度として役立ちうる。このデータの評価は、ビヒクルの適用に対して、または曲線下面積(AUC)の決定によって定量的に行なわれてもよい。
【0075】
アルドステロンおよびコルチコステロンレベルの抑制の例:
【0076】
【表1】

【0077】
+テスト化合物の経口投与の時のそれぞれ血漿アルドステロンおよびコルチコステロンレベルにおける、結果として生じた変化は、[(化合物投与の2時間後の血漿ステロイドレベル)−(化合物投与の1時間前の血漿ステロイドレベル)]÷(化合物投与の1時間前の血漿ステロイドレベル)の比によって規定されるパーセント(%)変化として表示される。
【0078】
治療されることになる患者において所望の効果を得るために、本発明の化合物は、経口または経腸的に、例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、直腸内、皮下、あるいはまた、組織または腫瘍中への活性物質の局所的な直接注射によって投与されてもよい。患者という用語は、温血種、および哺乳類、例えばヒト、霊長類、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、マウス、ラット、およびブタを包含する。これらの化合物は、医薬品として投与されてもよく、またはこの化合物の徐放性を保証する投与器具中に組み込まれてもよい。投与されることになる物質の量は、広い範囲にわたって様々であってもよく、すべての有効用量に相当する。治療されることになる患者、または治療されることになる状態、および投与方法に応じて、毎日の有効物質の用量は、体重1kgあたり約0.005〜50ミリグラムであってもよいが、好ましくは毎日体重1kgあたり約0.05〜5ミリグラムである。
【0079】
経口投与のために、これらの化合物は、固体または液体製薬形態、例えばカプセル、ピル、タブレット、コーティングされたタブレット、顆粒、粉末、溶液、縣濁液、またはエマルジョン中に配合されてもよい。固体製薬形態の用量は、活性成分、および賦形剤、例えば潤滑剤および充填剤、例えばラクトース、スクロース、およびトウモロコシデンプンが充填されてもよい、1つの通常のハードゼラチンカプセルであってもよい。別の投与形態は、本発明の活性物質のタブレット化によって代表されうる。タブレット化は、従来のタブレット化賦形剤、例えばアカシアゴム、トウモロコシデンプン、またはゼラチンからのバインダーと組み合わされたラクトース、スクロース、トウモロコシデンプン、崩壊剤、例えばポテトデンプン、または架橋ポリビニルピロリドン(PVPP)、および潤滑剤、例えばステアリン酸、またはステアリン酸マグネシウムを用いて行なうことができる。
【0080】
ソフトゼラチンカプセルに適した賦形剤の例は、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオールなどである。
【0081】
溶液およびシロップの生成に適した賦形剤の例は、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースなどである。
【0082】
直腸投与のために、これらの化合物は、固体または液体製薬形態、例えば座薬中に配合されてもよい。座薬に適した賦形剤の例は、天然油もしくは硬化油、ワックス、脂肪、半固体もしくは液体ポリオールなどである。
【0083】
非経口投与のために、これらの化合物は、液体または縣濁液中の活性成分の注射可能な調剤として配合されてもよい。これらの調製物は通常、界面活性剤およびほかの薬学的に許容しうる賦形剤をともなって、またはともなわずに、油中水エマルジョンを含んでいてもよい、生理学的に許容される滅菌溶媒を含んでいる。このような調製物に用いることができる油は、パラフィン、および植物、動物、または合成起源、例えばピーナッツ油、大豆油、および鉱油のトリグリセリドである。注射可能な溶液は一般に、液体キャリア、例えば好ましくは水、生理食塩水、デキストロースもしくは関連糖溶液、エタノールおよびグリコール、例えばプロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含んでいる。
【0084】
これらの物質は、この配合物が、活性成分の持続送達を可能にするならば、経皮パッチ系として、デポー注射もしくはインプラントとして投与されてもよい。活性物質は、顆粒として、または狭い円筒として圧縮することができ、デポー注射もしくはインプラントとして、皮下または筋肉内投与することができる。
【0085】
これらの医薬品は、またこれに加えて、防腐剤、可溶化剤、増粘物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、芳香剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、コーティング剤、または酸化防止剤を含んでいてもよい。これらはまた、ほかの治療的価値がある物質も含んでいてもよい。
【0086】
本明細書に記載されている本発明の化合物は、次の使用方法を可能にする:すなわち、
− 遊離形態におけるかまたは薬学的に有用な塩としての、本明細書に記載されている化合物からなる個々の成分、および同時にまたは連続的に用いることができる、その活性成分が、血圧降下、筋収縮性、抗糖尿病性、肥満減少、または脂質低下効果を有する少なくとも1つの製薬形態から構成された製品またはキットの形態における治療的組み合わせとして。この製品およびキットは、使用のための説明書を含んでいてもよい。
− 例えば遊離形態または薬学的に有用な塩形態における、本明細書に記載されている化合物の治療的有効量、および血圧降下、筋収縮性、抗糖尿病性、肥満減少、または脂質低下効果を有する第二活性成分の同時または逐次連続(sequential succession)における組み合わせ使用方法として。
【0087】
本明細書に記載されている化合物およびこれらの薬学的に有用な塩は、次のものと組み合わせて用いることができる:
(i)1またはそれ以上の血圧降下活性成分、例えば:
− レニン阻害剤、例えばアリスキレン;
− アンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えばカンデサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタンなど;
− ACE阻害剤、例えばキナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、リシノプリル、カプトプリル、エナラプリルなど;
− カルシウムアンタゴニスト、例えばニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、イスラジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、ニソルジピン、ジルチアゼム、フェンジリン、フルナリジン、ペルヘキシリン、ガロパミルなど;
− 利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、アセタゾールアミド、アミロリド、ブメタニド、ベンズチアジド、エタクリン酸、フロセミド、インダクリノン、メトラゾン、トリアムテレン、クロルタリドンなど;
− アルドステロン受容体ブロッカー、例えばスピロノラクトン、エプレレノン;
− エンドテリン受容体ブロッカー、例えばボセンタン;
− ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばアムリノン、シルデナフィル;
− 直接血管拡張剤、例えばジヒドララジン、ミノキシジル、ピナシジル、ジアゾキシド、ニトロプルシド、フロセキナンなど;
− α−およびβ−受容体ブロッカー、例えばフェントラミン、フェノキシベンザミン、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、カルベジロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、チモロール、カルテオロールなど;
− 中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;
− 交感神経遮断剤、例えばメチルドーパ、クロニジン、グアナベンズ、レセルピン
(ii)筋収縮活性を有する1またはそれ以上の薬剤、例えば:
− 強心配糖体、例えばジゴキシン;
− β−受容体刺激剤、例えばドブタミン
− 甲状腺ホルモン、例えばチロキシン
(iii)抗糖尿病活性を有する1またはそれ以上の薬剤、例えば:
− インスリン、例えばインスリンアスパルト、ヒトインスリン、インスリンリプロ、インスリングラルギン、および更に、迅速−、中−、および長時間−作用インスリン誘導体、および組み合わせ;
− インスリン増感剤、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン;
− スルホニルウレア、例えばグリメピリド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリドなど;
− ビグアニド、例えばメトホルミン;
− グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース、ミグリトール;
− メグリチニド、例えばレパグリニド、ナテグリニド;
(iv)1またはそれ以上の肥満減少成分、例えば:
− リパーゼ阻害剤、例えばオルリスタット;
− 食欲抑制剤、例えばシブトラミン、フェンテルミン;
(v)1またはそれ以上の脂質低下成分、例えば
− HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチンなど;
− フィブレート誘導体、例えばフェノフィブラート、ゲムフィブロジルなど;
− 胆汁酸結合活性成分、例えばコレスチポール、コレスチラミン、コレセベラム;
− コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;
− ニコチン酸、例えばナイアシン、
およびヒトおよび動物における、糖尿病および腎障害、例えば急性または慢性腎不全にともなう高血圧、心不全、または血管障害の治療に適したほかの薬剤。このような組み合わせは、別個に、または複数の成分を含んでいる製品として用いることができる。
【0088】
本明細書に記載されている化合物およびこれらの薬学的に有用な塩は、これに加えて、次のものと組み合わせて用いることができる:
(i)血漿アルドステロンレベル(PAC、血漿アルドステロン濃度)の定量的決定を可能にする診断テスト系
(ii)血漿レニンレベル(PRC、血漿レニン濃度)の定量的決定を可能にする診断テスト系
(iii)血漿レニン活性(PRA、血漿レニン活性)の定量的決定を可能にする診断テスト系
(iv)血漿アルドステロン/レニンレベル(ARC、アルドステロンレニン濃度)の定量的決定を可能にする診断テスト系
(v)血漿アルドステロン/レニン活性(ARR、アルドステロン対レニン活性比)の定量的決定を可能にする診断テスト系
(vi)血漿コルチゾールレベル(PCC、血漿コルチゾール濃度)の定量的決定を可能にする診断テスト系。
【0089】
このような診断−治療の組み合わせは、別個に、または複数の成分を含んでいる製品において用いることができる。
【0090】
次の実施例は本発明を例証する。すべての温度は、摂氏度、圧力(mbar)において記載されている。ほかに示されていなければ、反応は室温で行なわれる。省略形「Rf=xx(A)」とは、例えば、Rfが、溶媒系Aにおいて値xxを有することが見出されていることを意味する。互いに対する溶媒の割合は、常に容量フラクションで記載されている。最終生成物および中間体の化学名は、AutoNom2000(自動命名法)プログラムの助けにより生成された。
【0091】
Hypersil BDS C−18(5μm)でのHPLC勾配;カラム:4×125mm
(I)10分+2分(1ml/分)後の99%水/1%アセトニトリル対0%水/100%アセトニトリル
0.1%トリフルオロ酢酸を含有する
【0092】
用いられた省略形は、次のとおりである:
Rf 物質による移動距離対薄層クロマトグラフィーにおける出発点からの溶離液の距離の比
Rt HPLCにおける物質の保持時間(分)
m.p. 融点(温度)
【0093】
【表2】



【0094】
実施例1
4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)ベンゾニトリル
MeOH15ml中の4−(5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)ベンゾニトリル0.99ミリモルの溶液を、10%Pd/C123mgの存在下、室温で5.5時間水素化した。反応混合物を、清澄化濾過に付し、濾過物を蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、淡赤色を帯びた固体として得られた。Rf=0.22(ジクロロメタン/アンモニア(EtOH中2M)97:3)、Rt=4.43(勾配I)。
【0095】
出発原料を、次のように調製した:
a)4−(5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)−ベンゾニトリル
テトラヒドロフラン5ml中の4−(7−ヒドロキシル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)ベンゾニトリル2.35ミリモルと4N HCl 10mlとの混合物を、50℃で12時間撹拌した。反応混合物を室温へ冷却し、氷/4N NaOH上に注ぎ、酢酸エチルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、明るい褐色固体として得られた。Rt=4.55(勾配I)。
【0096】
あるいはまた、表題化合物はまた、次のようにも調製することができた:
クロロホルム30ml中の4−(7−ヒドロキシル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)ベンゾニトリル4ミリモルおよび塩化チオニル8ミリモルの溶液を、還流下、15時間加熱した。反応混合物を室温へ冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に注ぎ入れた。これらの相を分離し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって得られた。
【0097】
b)4−(7−ヒドロキシル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)−ベンゾニトリル
−20℃におけるテトラヒドロフラン20ml中の4−ヨードベンゾニトリル[3058−39−7]8.18ミリモルの溶液を、イソプロピルマグネシウムクロライド8.18ミリモル(テトラヒドロフラン中2M)と一滴ずつ混合し、そして反応混合物を、その後15分間撹拌した。テトラヒドロフラン5ml中の5,6−ジヒドロピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−オン[426219−43−4]4.09ミリモルの混合物を添加した。1時間後、反応混合物を、1:1 1N HCl/ジクロロメタン中に注ぎ入れ、これらの相を分離した。水相を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性にし、十分撹拌し、第三ブチルメチルエーテルで(未反応ケトンを分離するために)抽出し、ついでジクロロメタンで抽出した(3×)。組み合わされたジクロロメタン相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、白色フォームとして得られた。Rf=0.20(ジクロロメタン/アンモニア(EtOH中2M)95:5)、Rt=3.81(勾配I)。
【0098】
実施例1に記載された方法によって、次の化合物を同様に調製した:
2 1,2−ジフルオロ−4−ヨードベンゼン[64248−58−4]から出発する7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール
【0099】
4 1−フルオロ−3−ヨードベンゼン[1121−86−4]から出発する7−(3−フルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール
【0100】
5 2−フルオロ−4−ヨードベンゾニトリル[137553−42−5]から出発する4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)−2−フルオロベンゾニトリル
【0101】
6 2,6−ジフルオロ−4−ヨードベンゾニトリル[141743−50−2]から出発する4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)−2,6−ジフルオロベンゾニトリル
【0102】
7 4−ヨードフタロニトリル[69518−17−8]から出発する4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)フタロニトリル
【0103】
8 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および2,6−ジフルオロ−4−ヨードベンゾニトリル[141743−50−2]から出発する2,6−ジフルオロ−4−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル
【0104】
9 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および4−ヨード−2,6−ジメチルベンゾニトリル[160682−00−8]から出発する2,6−ジメチル−4−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル
【0105】
10 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および5,7−ジクロロ−3−ヨード−2−メチルベンゾフランから出発する8−(5,7−ジクロロ−2−メチルベンゾフラン−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
【0106】
出発原料を、次のように調製した:
a)5,7−ジクロロ−3−ヨード−2−メチルベンゾフラン
氷酢酸10ml中の微粉ヨウ素1.7ミリモルの縣濁液を、5,7−ジクロロ−2−メチルベンゾフラン[42969−85−7]3ミリモルおよび硝酸ナトリウム0.3ミリモルと混合した。混合物を、85℃で6時間撹拌した。必要であれば、さらなる硝酸ナトリウムを、1時間後に添加した。反応混合物を室温へ冷却し、10%硫化水素ナトリウム溶液で急冷し、そして第三ブチルメチルエーテルを添加した。これらの相を分離し、水相を、第三ブチルメチルエーテルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、Rf値に基づいて同定した。
【0107】
11 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および1−ヨード−4−ニトロベンゼン[636−98−6]から出発する8−(4−ニトロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
【0108】
19 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および4−ヨード−ベンゾニトリル[3058−39−7]から出発する4−(8−ヒドロキシル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル
【0109】
実施例3
1−[4−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル)フェニル]エタノン
実施例1および1aと同様に、8−[4−(1,1−ジメトキシエチル)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オールを反応させた。表題化合物が、褐色がかった油として得られた。Rf=0.28(ジクロロメタン/メタノール95:5)、Rt=4.73(勾配I)。
【0110】
出発原料を、次のように調製した:
a)8−[4−(1,1−ジメトキシエチル)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
テトラヒドロフラン5.5ml中の1−ブロモ−4−(1,1−ジメトキシエチル)ベンゼン[53578−00−0]3.68ミリモルおよびマグネシウム14.72ミリモルから調製されたグリニャール試薬を、テトラヒドロフラン10ml中の6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]1.84ミリモルの溶液へ、アルゴン下ゆっくりと一滴ずつ添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、ついで0.5N HClで急冷した。これを、ジクロロメタンで抽出し、これらの相を分離した。水相を炭酸水素ナトリウムで塩基性にし、沈殿した固体を濾過によって単離し、40℃で乾燥した。表題化合物が、灰色がかった固体として得られた。Rt=3.42(勾配I)。実施例3に記載されている方法によって、次の化合物を同様に調製した。
【0111】
21 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および3−ブロモ−5,7−ジクロロベンゾフラン[99660−98−7]から出発する8−(5,7−ジクロロベンゾフラン−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
【0112】
22 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および3−ブロモ−ベンゾフラン−7−カルボニトリル[215801−96−0]から出発する3−(8−ヒドロキシル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾフラン−7−カルボニトリル
【0113】
23 6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]および3−ブロモ−7−フルオロベンゾフラン[1288851−92−3]から出発する8−(7−フルオロベンゾフラン−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
【0114】
実施例12
8−(4−メチルスルファニルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
水素化ホウ素ナトリウム12.6ミリモルを、テトラヒドロフラン6ml中に縣濁した。ホウ素トリフルオライドエチルエテレート19.1ミリモルを、0℃で一滴ずつ添加し、反応混合物を10分間十分に撹拌した。テトラヒドロフラン6ml中の8−(4−メチルスルファニルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール1.27ミリモルの縣濁液を添加し、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、その後飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液中に注ぎ入れ、ジクロロメタンで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、白色固体として得られた。Rf=0.63(ジクロロメタン/メタノール9:1)、Rt=5.73(勾配I)。
【0115】
出発原料を、次のように調製した:
a)8−(4−メチルスルファニルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
実施例3aと同様に、4−チオアニソールマグネシウムブロマイドを反応させた。表題化合物が、白色固体として得られた。Rt=5.04(勾配I)。
【0116】
実施例13
8−(2−ニトロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
硫酸0.055mlを、0℃で硝酸0.046mlへゆっくりと一滴ずつ添加した。硝化酸を、その後0℃で8−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン0.69ミリモルへゆっくりと一滴ずつ添加した。反応混合物を、その後0℃で5分間撹拌し、ついで氷水中に注ぎ入れた。水相を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で中性にし、ジクロロメタンで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、褐色ワックスとして得られた。Rf=0.25(ジクロロメタン/アンモニア(EtOH中2M)97:3)、Rt=5.10(勾配I)。
【0117】
出発原料を、次のように調製した:
a)8−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
実施例3と同様に、8−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オールを反応させた。表題化合物が、ベージュ色の固体として得られた。Rf=0.40(トルエン/メタノール85:15)、Rt=5.03(勾配I)。
【0118】
b)8−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
実施例3aと同様に、6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]とフェニルマグネシウムブロマイド溶液[100−58−3](テトラヒドロフラン中1M)とを反応させた。表題化合物が、ベージュ色の固体として得られた。Rt=4.10(勾配I)。
【0119】
実施例14
8−(1−オキシピリジン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
室温における酢酸5ml中の8−ピリジン−4−イル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン0.53ミリモルの溶液を、過酸化水素0.53ミリモル(水中30%)と混合し、80℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温へ冷却し、亜硫酸ナトリウムと混合し、ついで蒸発させた。残渣をアセトンとともに熱間で十分に撹拌し、混合物を濾過し、再び蒸発させた。残渣から、表題化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、Rf値に基づいて同定した。
【0120】
出発原料を、次のように調製した:
a)8−ピリジン−4−イル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
実施例1と同様に、6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]と4−ヨードピリジン[15854−87−2]とを反応させた。表題化合物が、明るい褐色のフォームとして得られた。Rt=2.26(勾配I)。
【0121】
実施例16
4−(7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル
トリフルオロメタンスルホン酸4−(7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)フェニルエステル1.03ミリモルおよび亜鉛(II)シアナイド2.06ミリモルを、アルゴン下、無水(absolute)N,N−ジメチルホルムアミド10ml中に導入した。反応混合物を、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム0.05ミリモルと混合し、120℃で20時間撹拌した。反応混合物を氷水中に注ぎ入れ、第三ブチルメチルエーテルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、薄いピンク色の固体として得られた。Rf=0.17(ジクロロメタン/アンモニア(EtOH中2M)97:3)、Rt=5.40(勾配I)。
【0122】
出発原料を、次のように調製した:
a)トリフルオロメタンスルホン酸4−(7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)フェニルエステル
4−(7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)フェノール1.30ミリモルを、アルゴン下、無水N,N−ジメチルホルムアミド10ml中に取った。反応混合物を0〜5℃へ冷却し、水素化ナトリウム2.90ミリモル(パラフィン中60%分散液)と混合した。反応混合物を、その後0℃で30分間撹拌し、ついで無水N,N−ジメチルホルムアミド5ml中のN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド2.53ミリモルの溶液を、一滴ずつ添加した。反応混合物を、その後室温で2時間撹拌し、水中に注ぎ入れ、第三ブチルメチルエーテルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、ベージュ色の固体として得られた。Rf=0.22(ジクロロメタン/アンモニア(EtOH中2M)97:3)、Rt=7.00(勾配I)。
【0123】
b)4−(7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)フェノール
ジクロロメタン50ml中の8−(4−メトキシフェニル)−7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン3.30ミリモルの溶液を、0〜5℃でホウ素トリブロマイド8.25ミリモル(ジクロロメタン中1M溶液)と一滴ずつ混合した。反応溶液を、その後0℃で1時間撹拌し、ついで飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液と混合し、ジクロロメタンで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣を0.5N NaOH中に取り、混合物を酢酸エチルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。表題化合物が、ベージュ色の固体として得られ、さらなる精製を行なわずに、次の段階のために用いた。Rt=4.91(勾配I)。
【0124】
c)8−(4−メトキシフェニル)−7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン
エタノール10ml中の8−(4−メトキシフェニル)−7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール3.50ミリモルの溶液を、濃硫酸3.5ミリモルおよび10%Pd/C0.70ミリモルと混合し、そして反応混合物を、オートクレーブにおいて4バール、60℃で4〜8時間水素化した。反応混合物を、Hyflo上で濾過し、そして濾過物を濃縮した。表題化合物は、さらなる精製を行なわずに次の段階のために用いた。Rt=5.89(勾配I)。
【0125】
d)8−(4−メトキシフェニル)−7,7−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オール
テトラヒドロフラン50ml中の7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン7.90ミリモルの溶液を、0〜5℃で4−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド(テトラヒドロフラン中の0.5M溶液)15.8ミリモルと混合した。反応溶液を、その後0℃で1時間、ついで室温で16時間撹拌した。反応溶液を、0.5N HClで加水分解し、第三ブチルメチルエーテルで抽出した。水相を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性にし、そして沈殿固体を、濾過により単離し、乾燥した。表題化合物が灰色固体として得られ、さらなる精製を行なわずに次の段階のために用いた。Rt=5.42(勾配I)。
【0126】
e)7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン
水素化カリウム(油中35%分散液)21.4ミリモルを、ヘキサンで洗浄し(2×)、ついでアルゴン下、無水テトラヒドロフラン10ml中に取った。テトラヒドロフラン5ml中の6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]7.12ミリモルの溶液を、0℃で添加した。テトラヒドロフラン5ml中のヨウ化メチル15.7ミリモルの溶液を、1時間にわたって一滴ずつ添加し、反応混合物を、その後室温で16時間撹拌した。これを水で急冷し、そして混合物をジクロロメタンで抽出した。組み合わされた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物が、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、黄色がかった固体として得られた。Rt=3.42(勾配I)。
【0127】
実施例16に記載されている方法によって、次の化合物を同様に調製した:
17 4−ヨードベンゾニトリル[3058−39−7]および(R,S)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オンから出発する4−((7.8トランス)−7−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル。これらのジアステレオマーを、最終段階で分離した。表題化合物を、Rf値に基づいて同定した。
【0128】
出発原料を、次のように調製した:
a)(R,S)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン
テトラヒドロフラン5ml中の6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[426219−51−4]1.5ミリモルの溶液を、0℃へ冷却し、ポーションに分けて、水素化カリウム1.5ミリモル(油中35%分散液)と混合した。混合物を、その後0℃で1時間撹拌し、そしてヨウ化メチル1.5ミリモルを0℃で添加した。反応混合物を室温へゆっくりと加温した。これを飽和塩化アンモニア溶液で急冷した。これらの相を分離し、そして水相をジエチルエーテルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣から、表題化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって、Rf値に基づいて同定した。
【0129】
18 4−ヨードベンゾニトリル[3058−39−7]および(R,S)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン(実施例17a)から出発する4−((7.8シス)−7−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル。これらのジアステレオマーを、最終段階で分離した。表題化合物を、Rf値に基づいて同定した。
【0130】
実施例20
4−(8−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル
テトラヒドロフラン2ml中の4−(8−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)ベンゾニトリル(実施例19)0.63ミリモルの縣濁液を、0℃でテトラヒドロフラン1ml中の水素化ナトリウム0.76ミリモル(パラフィン中の60%分散液)の縣濁液へ添加した。反応混合物を、その後20℃で30分間撹拌し、ついで再び0℃へ冷却した。N,N−ジメチルホルムアミド3ml中のヨウ化メチル0.63mlの溶液を一滴ずつ添加し、そして反応混合物を、その後室温で16時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ入れ、第三ブチルメチルエーテルで抽出した(3×)。組み合わされた有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。残渣を、ジエチルエーテルで蒸解し、固体を濾過により単離し、乾燥した。表題化合物が、白色固体として得られた。Rf=0.14(トルエン/メタノール85:15)、Rt=4.92(勾配I)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】


(式中、
(A)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが0であるならば、フェニルまたはピリジルであり、それによって、フェニルまたはピリジルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾール−7−イル環系に対して)「パラ」位に位置するか;または
(B)Rは、R、R、R、およびRが水素であり、そしてnが1であるならば、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、フェニルまたは不飽和ヘテロシクリルは、3〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されているか;または
(C)Rは、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており、少なくとも1つの置換基は、C−C−アルキルスルファニル、ヒドロキシル、ニトロ、またはオキシドであるか;または
(D)Rは、RおよびRの両方が同時に重水素または水素でないならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されているか;または
(E)Rは、RがヒドロキシルまたはC−C−アルコキシであるならば、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、それによって、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルは、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されており;
Rは、a)重水素、ハロゲン、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、アリール−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、または不飽和ヘテロシクリル−C−C−アルキルであり、これらの基は、1〜4C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、またはトリフルオロメチルによって置換されていてもよく;
は、a)重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
は、a)重水素、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または水素であるか;
または
b)C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルであり;
nは、数0、1、または2である)
の化合物、およびこれの塩、好ましくは薬学的に有用なこれらの塩
(ここで、
が水素であるならば、Rはカルバゾリル、フルオレニル、またはナフチルではなく;
Rが水素であり、そしてRがヒドロキシルであるならば、RはC−C−アルコキシ−またはハロベンゾチオフェン−2−イル、非置換もしくは置換ビフェニル、または4−ブロモフェニルではない)。
【請求項2】
一般式
【化2】


(式中、置換基R、R、R、R、R、およびnの定義は、請求項1に記載の式(I)の化合物について特定されているものと同じであり、*は、不斉炭素原子を示す)
に合致することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、C−C−アルキル、重水素、トリ−C−C−アルキルシリル、または水素、好ましくは重水素または水素である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、非置換もしくは置換4−アセチルフェニル、4−メタンスルホニルフェニル、4−ニトロフェニル、または4−ヘテロシクリルフェニルであり、該ヘテロシクリルは好ましくは、少なくとも1つの窒素原子を含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
が、置換4−シアノフェニルまたは置換4−フルオロフェニルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
が、ベンゾフラン−3−イル、1H−ベンゾイミダゾール−1−イル、ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル、ベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル、ベンゾ[b]チオフェン−3−イル、イミダゾール−1−イル、インドリル、オキサゾール−4−イル、ピリジン−4−イル、チアゾール−4−イル、またはチオフェン−3−イルであり、これらの基は、各々の場合、置換されており、これらの置換基は好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アリール、アリール−C−C−アルコキシカルボニル、ハロゲン、シアノ、非置換もしくは置換ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、オキシド、オキソ、トリ−C−C−アルキルシリル、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
が、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはC−C−アルコキシであり、Rは、水素、重水素、またはC−C−アルキルであり、Rは、4位に少なくとも1つの置換基を有する、一、二、または三置換フェニル基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
薬剤の製造のための、請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
全部または一部が高アルドステロン症によって引起こされた病的状態の防止、これの進行の遅延、またはこれの治療のためのヒトの薬剤を製造するための、請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
全部または一部が過剰なコルチゾール放出によって引起こされた病的状態の防止、これの進行の遅延、またはこれの治療のためのヒトの薬剤を製造するための、請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
全部または一部が高アルドステロン症によって引起こされた病的状態の防止、これの進行の遅延、またはこれの治療方法であって、請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物の治療的有効量が用いられる方法。
【請求項12】
全部または一部が過剰なコルチゾール放出によって引起こされた病的状態の防止、これの進行の遅延、またはこれの治療方法であって、請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物の治療的有効量が用いられる方法。
【請求項13】
請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物および従来の賦形剤を含んでいる医薬品。
【請求項14】
a)請求項1〜7に記載の一般式(I)の化合物、およびb)血圧降下、筋収縮性、代謝、または脂質低下作用を有する活性成分を有する少なくとも1つの製薬形態からなる個々の成分から構成された製品またはキットの形態にある医薬的組み合わせ。

【公表番号】特表2009−518365(P2009−518365A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543841(P2008−543841)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069462
【国際公開番号】WO2007/065942
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506250206)シュペーデル・エクスペリメンタ・アーゲー (36)
【氏名又は名称原語表記】SPEEDEL EXPERIMENTA AG
【Fターム(参考)】