説明

ビスイミド化合物、ビスアミド酸化合物およびそれらの製造方法

【課題】透明性の良好な樹脂の原料となる新規なビスイミド化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるビスイミド化合物。


(X、Xは、式(2−1)または(2−2)を表す。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスイミド化合物およびビスアミド酸化合物、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、N,N'-ジフェニルメタンビスマレイミドに代表されるビスマレイミドをモノマーとするポリマレイミド樹脂は、耐熱性に優れていることが知られている(特許文献1および2を参照)。ビスマレイミド化合物の単独重合体であるポリマレイミド系樹脂、およびビスマレイミド化合物をアミン類とともに共重合させるポリマレイミド/ポリアミン系樹脂は、含浸ワニス、積層板、成形品などに広く用いられている。また、ビスマレイミドを硬化剤とするポリイミド樹脂も知られている(特許文献3などを参照)。
【0003】
しかしながら、従来のビスマレイミドのほとんどが、イミド基がベンゼン環に結合した構造を有している。そのため、このようなビスマレイミドを樹脂成分とする樹脂(ポリマレイミド樹脂や、ポリマレイミド/ポリアミン系樹脂や、ポリイミド樹脂など)の耐熱性と透明性とを高次元で両立させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭47-8644号公報
【特許文献2】特開昭47−11500号公報
【特許文献3】特開2004−209962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規なビスイミド化合物を提供することであり;そのビスイミド化合物を樹脂成分として用いることで樹脂に透明性を付与する。好ましくは、樹脂成分として用いることで、樹脂の耐熱性を損なうことなく、透明性を付与するビスイミド化合物を提供する。例えば、元来、優れた耐熱性を有するポリイミド樹脂の樹脂成分とすることで、その優れた耐熱性を損なうことなく、ポリイミド樹脂に透明性を付与するビスイミド化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記したような課題を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第一は以下に示すビスイミド化合物などに関する。
【0007】
[1]下記一般式(1)で表されることを特徴とするビスイミド化合物。
【化1】

式(1)において、−R−部分はあってもなくてもよく、−R−部分がある場合、−R−は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−から選ばれる。nは0〜3の整数を表す。また、X、Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、下記一般式(2−1)または(2−2)を表す。
【化2】

一般式(2−1)および(2−2)において、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3のアルキル基から選ばれる。Rは−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−から選ばれる。
【0008】
[2]一般式(1)おける−R−が−CH−であり、かつn=1である下記一般式(2)で表されるビスイミド化合物である、[1]に記載のビスイミド化合物。
【化3】

一般式(2)におけるX、Xは、前記一般式(1)における定義と同じである。
【0009】
[3]一般式(1)における−R−部分がなく、かつn=1である下記一般式(3)で表されるビスイミド化合物である、[1]に記載のビスイミド化合物。
【化4】

一般式(3)におけるX、Xは、前記一般式(1)における定義と同じである。
【0010】
[4]一般式(1)における−R−部分がなく、かつn=0である下記一般式(4)で表されるビスイミド化合物である、[1]に記載のビスイミド化合物。
【化5】

一般式(4)におけるX、Xは前記一般式(1)における定義と同じである。
【0011】
[5]一般式(1)におけるXおよびXが、下記式(2−3)または(2−4)で表されるビスイミド化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のビスイミド化合物。
【化6】

【0012】
[6]一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物を脱水閉環反応させる工程を含む、[1]に記載のビスイミド化合物の製造方法。
【化7】

一般式(5)における、R、n、XおよびXは前記一般式(1)における定義と同じである。
【0013】
本発明の第二は、以下に示すビスアミド酸化合物などに関する。
【0014】
[7]一般式(5)で表されることを特徴とするビスアミド酸化合物。
【化8】

一般式(5)において、−R−部分はあってもなくてもよく、−R−部分がある場合、−R−は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれる。nは、それぞれ独立して0〜3の整数を表す。X、Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、下記一般式(2−1)または(2−2)を表す。
【化9】

一般式(2−1)および(2−2)において、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれる。Rは−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれる。
【0015】
[8]一般式(5)における−R−が−CH−であり、かつn=1である下記一般式(6)で表されるビスアミド酸化合物である、[7]に記載のビスアミド酸化合物。
【化10】

一般式(6)におけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【0016】
[9]一般式(5)における−R−部分がなく、かつn=1である下記一般式(7)で表されるビスアミド酸化合物である、[7]に記載のビスアミド酸化合物。
【化11】

一般式(7)におけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【0017】
[10]一般式(5)における−R−部分がなく、かつn=0である下記一般式(8)で表されるビスアミド酸化合物である、[7]に記載のビスアミド酸化合物。
【化12】

一般式(8)におけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【0018】
[11]一般式(5)におけるXおよびXが、下記式(2−3)または(2−4)で表されるビスアミド酸化合物である、[7]〜[10]のいずれか一項に記載のビスアミド酸化合物。
【化13】

【0019】
[12]一般式(9)で表される脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)で表される酸無水物を付加反応させる工程を含む、[7]に記載のビスアミド酸化合物の製造方法。
【化14】

一般式(9)におけるRおよびnは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【化15】

一般式(10)におけるYは、下記一般式(2−1)または(2−2)で表される。
【化16】

上記式(2−1)および(2−2)におけるR〜Rは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【発明の効果】
【0020】
特定の脂環式ジアミン構造を含む本発明のビスイミド化合物は、樹脂成分として用いられることで、従来の芳香族ビスマレイミドに比べて、樹脂に優れた透明性を付与することができる。しかも、本発明のビスイミド化合物は、従来の芳香族ビスマレイミドに比べても、樹脂の耐熱性を低下させにくい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.ビスイミド化合物
本発明のビスイミド化合物は下記一般式(1)で表される。
【化17】

一般式(1)中、−R−部分はあってもなくてもよい。−R−部分がない場合には、シクロヘキサン骨格に架橋基が導入されず、非架橋シクロヘキサン構造となる。−R−部分がある場合、−R−は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−から選ばれる。Rが−CH−であるか(ノルボルナン構造)、または−R−部分を有さない構造(非架橋シクロヘキサン構造)であることが好ましい。
【0022】
一般式(1)で示されるように、Xを含むイミド含有基は、シクロヘキサン環の任意の部位に結合していればよいが、好ましくは下記式(1’)および(1’’)に示されるように結合している。
【化18】

【0023】
一般式(1)におけるnは、0〜3の整数を表し、好ましくは0又は1である。
【0024】
一般式(1)におけるXおよびXは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、下記一般式(2−1)または(2−2)を表す。
【化19】

【0025】
一般式(2−1)および(2−2)におけるR〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3のアルキル基から選ばれる。R〜Rが示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。R〜Rが示す炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を挙げることができる。
【0026】
一般式(2−1)および(2−2)におけるRは、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−から選ばれ、−CH−が好ましい。
【0027】
一般式(1)におけるXおよびXは、下記式(2−3)または(2−4)で表される基であることが特に好ましい。
【化20】

【0028】
本発明のビスイミド化合物は、用途に応じて、必ずしも単離されていなくてもよい。例えば、位置異性体の混合物であってもよく、立体異性体の混合物であってもよい。
【0029】
本発明のビスイミド化合物は、種々の用途に用いられうるが、例えば樹脂成分として用いることができる。樹脂成分として用いるとは、モノマー成分として用いたり、硬化剤として用いたりすることを含む。例えば、本発明のビスイミド化合物は、ポリイミド樹脂の硬化剤として用いられうる。
【0030】
本発明のビスイミド化合物は、溶液での紫外可視吸収スペクトルによるカットオフ波長が、従来の芳香族ビスマレイミドに比べ20〜40nm低い。例えば、芳香族ビスイミド化合物として代表的なN,N'-ジフェニルメタンビスマレイミドと比較して、本発明の化合物である1,4−ビスマレイミドシクロヘキサンなどのカットオフ波長が低い。つまり、本発明のビスイミド化合物は、従来の従来の芳香族ビスマレイミドと比較して、低い波長の光(紫外可視領域)を透過させ、可視領域全体の光をより透過させることができる。このため、本発明のビスイミド化合物を樹脂成分とする樹脂組成物、およびその硬化物に、脂環式特有の透明性を付与することができる。
【0031】
また、本発明のビスイミド化合物の光透過特性(カットオフ波長)は、主に一般式(1)におけるXおよびXの構造を調整することで制御されうる。
【0032】
さらに、本発明のビスイミド化合物は脂環式ジアミン構造を含むにも関わらず、従来の芳香族ビスマレイミドと同様の熱安定性を有しうる。そのため、本発明のビスイミド化合物を樹脂成分とする樹脂組成物、およびその硬化物に、耐熱性を損なうことなく、脂環式特有の透明性を付与することができる。
【0033】
2.ビスイミド化合物の製造方法
前記一般式(1)で表される本発明のビスイミド化合物は、例えば、一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物を脱水閉環反応させることにより製造することができる。
【化21】

一般式(5)におけるR、n、XおよびXは、前記一般式(1)における定義と同じである。
【0034】
前記一般式(5)のビスアミド酸化合物は、一般式(9)で表される脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)で表される酸無水物を付加反応させることにより、製造されうる。
【化22】

一般式(9)におけるRおよびnは、前記一般式(5)における定義と同じである。
【化23】

式(10)におけるYは、下記一般式(2−1)または(2−2)で表される。
【化24】

上記式におけるR〜Rは、前記一般式(1)における定義と同じである。
【0035】
一般式(9)の脂環式ジアミン化合物の例には、2,5-ジアミノメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアミノメチル-7-チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチル-7-チアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアミノメチル-7,7-ジメチルノルボルナン、2,6-ジアミノメチル-7,7-ジメチルノルボルナン、2,5-ジアミノメチル-7-オキソノルボルナン、2,6-ジアミノメチル-7-オキソノルボルナン、2,5-ジアミノメチルノルボルナン、2,6-ジアミノメチルノルボルナン、2,5-ジアミノノルボルナン、2,6-ジアミノノルボルナン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン等を挙げることができる。これらのジアミン化合物に、立体異性体が存在する場合は、その異性体の単離物であっても、または異性体混合物であってもよい。
【0036】
一般式(10)で表される酸無水物の例には、無水マレイン酸、3-メチル無水マレイン酸、3-エチル無水マレイン酸、3,4-ジメチル無水マレイン酸、3,4-ジエチル無水マレイン酸、3,4,5,6-テトラハイドロ無水フタル酸、3-クロル無水マレイン酸、3,4-ジクロル無水マレイン酸、無水ナジック酸、メチル-5-ノルボルネン-2,3-無水ジカルボン酸、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラハイドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-2,3-無水ジカルボン酸などが挙げられる。
【0037】
本発明のビスイミド化合物は、一般式(9)の脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)の酸無水物とを反応させて、一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物として、さらにイミド化させることで得ることができる。一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物を、一旦単離してから、さらにイミド化させてビスイミド化合物としてもよいし;一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物を単離することなく、反応系中でイミド化まで行ってもよい。
【0038】
一般式(9)の脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)の酸無水物とから、ビスイミド化合物を得る手法には、例えば以下の手法があるが、特に限定されるものではない。
【0039】
(1)120℃以下でビスアミド酸化合物を合成し、ついで100〜200℃に温度を上げてイミド化することによりイミド化合物を得る方法(熱イミド化)
(2)上記(1)と同様にビスアミド酸化合物を合成し、ついで無水酢酸などのイミド化剤を用いて化学的にイミド化を行う方法(化学イミド化)
(3)上記(1)と同様にビスアミド酸化合物を合成し、ついで触媒存在下または不存在下、共沸脱水用溶媒の存在下においてイミド化を行う方法(共沸脱水閉環法)
(4)ジアミン、ジカルボン酸無水物を混合した後、触媒及び/または共沸脱水用溶媒の存在下または不存在下、すぐに昇温することでイミド化する方法(直接熱イミド化)
【0040】
一般式(9)で表される脂環式ジアミン化合物1モルに対して、一般式(10)で表される酸無水物を、通常1.5〜3.0倍モル、より好ましくは1.8〜2.2倍モルの範囲で反応させる。
【0041】
一般式(9)で表される脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)で表される酸無水物との反応は、酸無水物と脂環式ジアミン化合物を最初から全量仕込んでもよいが、ジアミン化合物と酸無水物との反応は発熱反応であるため、どちらか一方を少量ずつ添加することで、過剰な発熱を抑制しながら反応させることが好ましい。
【0042】
より好ましくは、酸無水物を溶媒に溶解させておき、反応釜内温が100℃以下、好ましくは30〜100℃の範囲に保たれるように攪拌しながら、脂環式アミン化合物を滴下させるの。このとき、滴下する原料アミンは反応溶媒と同じ溶媒で溶解しておいてもよい。原料アミンの滴下時間は、5〜180分が好ましいが、より好ましくは、30〜120分の範囲で全量を滴下するのがよい。
【0043】
原料アミンの滴下終了後、直ちに、生成したビスアミド酸化合物の脱水閉環反応を行ってもよいが、好ましくはビスアミド酸化合物を30〜120℃で0.5〜3.0時間程度熟成させるのがよく、より好ましくは50〜100℃で1.0〜2.0時間程度熟成させてから、脱水閉環反応させる。
【0044】
一般式(9)の脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)の酸無水物との反応は、有機溶媒中にて行うことが好ましい。用いられる有機溶媒は、所望の反応に悪影響を与えない限り制限はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒロドフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、アニソールなどのエーテル類;フェノール、o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノ−ル、2,4-キシレノ−ル、2,5-キシレノ−ル、2,6-キシレノ−ル、3,4-キシレノ−ル、3,5-キシレノ−ルなどのフェノール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタムなどのラクタム類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどの含硫黄溶媒類;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0045】
さらに、一般式(9)の脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)の酸無水物との反応のための有機溶媒には、以下に示す溶媒を共存させてもよい。共存できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-クロロトルエン、m-クロロトルエン、p-クロロトルエン、o-ブロモトルエン、m-ブロモトルエン、p-ブロモトルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどが挙げられる。これらは、反応溶液に生成した水を除去する(脱水する)ための共沸溶媒として作用しうる。
【0046】
反応溶媒の使用量は、特に制限されず、その用いる溶媒種や組成によって異なるが、1重量部の原料(脂環式ジアミン化合物または酸二無水物の合計)に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは3〜100重量部である。反応溶媒は、原料を溶解して溶液とすることが好ましいが、スラリー状態で反応を行ってもよい。
【0047】
得られたビスアミド酸からビスイミドを得る脱水閉環反応については、特に制限されるものではなく、それ自体公知の方法が採用する。前記の通り、生成したビスアミド酸を単離精製してもよいし、しなくてもよい。
【0048】
具体的には、脱水閉環反応は、必要に応じて有機塩基触媒、酸触媒またはイミド化剤の存在下で行ってもよい。有機塩基触媒の例には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、キノリン、イソキノリンなどが含まれるが、好ましくはピリジン、γ-ピコリンである。
【0049】
酸触媒の例には、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、無水硫酸、硝酸、りん酸、亜りん酸、りんタングステン酸、りんモリブデン酸などの無機酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸類;酢酸、しゅう酸などのカルボン酸類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化カルボン酸類;シリカ、アルミナ、活性白土などの固体酸類;カチオン型イオン交換樹脂などが含まれる。特に、硫酸、りん酸、p-トルエンスルホン酸が好適である。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらの酸触媒は、ジアミン化合物との塩であってもよい。
【0050】
これら触媒の使用量は、脱水閉環反応の反応速度が実質的に向上すれば特に制限はないが、原料のジアミン化合物に対して、0.001〜10倍モル、好ましくは0.005モル〜5倍モル、さらに好ましくは0.01〜1倍モルである。
【0051】
イミド化剤の例には特に制限はなく、無水酢酸などを脱水剤として用い、反応を塩基および触媒の存在下に有機溶媒中で行う公知の方法(特公昭46-23250、特公昭49-40231、特公昭59-52660)を用いることもできるし、ポリリン酸、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いることもできる。
【0052】
イミド化剤としての脱水剤(無水酢酸など)の使用量は、上限に関して特に制限はないが、通常原料のジアミン化合物に対して、1.0〜10倍モルであることが好ましく、より好ましくは1.8〜6.0倍モルの範囲である。
【0053】
イミド化剤の脱水剤として無水酢酸を用いる場合に、組み合わせて使用される触媒の例には、アルカリ土類金属の酸化物、鉄(IIおよびIII)、ニッケル(II)、マンガン(IIおよびIII)、銅(I及びII)またはコバルト(IIおよびIII)の炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩などがある。これらの触媒は単独でも十分な効果を発揮するが、2種類以上併用しても差し支えない。
【0054】
イミド化剤としての触媒の使用量はビスアミド酸化合物1モルに対し、5×10−4〜0.1モルの範囲である。また、イミド化剤としての塩基の例には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどがある。塩基の使用量は、ビスアミド酸化合物1モルに対し、0.05〜1.1モルの範囲である。
【0055】
脱水閉環反応における反応温度と反応時間は、使用する原料の種類、溶剤の種類、触媒の種類、共沸脱水用溶媒の種類や量、イミド化剤の種類や量などにより異なるが、目安としては、20〜180℃の範囲で、1〜24時間である。また、直接熱イミド化を行なう際は目安として、留出する水がほぼ理論量に達する(通常は全てが回収されるわけではないので、50〜90%の回収率である。)まで反応させることであり、通常数時間程度である。この場合、イミド化によって生じる水を、トルエン等の共沸剤で除去する方法が一般的で有効である。
【0056】
脱水閉環反応における反応圧力は、特に制限されるものではないが、通常、大気圧とすればよい。反応雰囲気は、特に制限されるものではないが、通常、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン雰囲気下であり、好ましくは不活性気体である窒素やアルゴン雰囲気下で反応を行う。
【0057】
ビスイミド化合物を含む反応混合物から、目的物であるビスイミド化合物を単離する方法は、特に限定されないが、目的物が反応溶媒から析出した場合には、濾取もしくは遠心分離によって単離すればよい。一方、目的物が反応溶媒に溶解している場合は、減圧下溶媒を留去したり、反応混合物中に適当な貧溶媒を加えたり、反応混合物を貧溶媒に排出するなどして析出させ、濾取もしくは遠心分離すればよい。
【0058】
単離したイミド化合物をさらに精製する必要がある場合には、常法として知られている方法を採用して精製すればよく、その方法の例には蒸留精製法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー法、スラッジ処理および活性炭処理などが含まれる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限されるものではない。
【0060】
実施例における各物性は、下記の方法で測定および評価した。
【0061】
透明性:各ビスイミド化合物の濃度0.01mol/LのDMAc溶液を用意した。測定装置として島津UV2550を用いて、この溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した。この際、透過率70%になる波長(λ@70nm)及び透過率1%になる波長(λ@1nm:カットオフ波長)を指標とした。
【0062】
熱物性:各ビスイミド化合物の溶融開始温度、融点、吸熱開始温度、吸熱ピーク温度、発熱開始温度、発熱ピーク温度を、DSC法により、測定装置として島津DCC−60Aを用い、昇温速度5℃/分で測定した。
【0063】
耐熱性:各ビスイミド化合物を、窒素雰囲気下5℃/分の速度で350℃まで昇温し、そのまま2時間保持して硬化樹脂を作製した。作製した硬化樹脂の熱重量減少を、島津TGA−50を用い、昇温速度10℃/分で測定した。この際、5wt%重量減少温度が400℃以上の場合を○、400℃未満の場合を×として評価した。
【0064】
[実施例1]
(ノルボルナン−ビスメチルマレイミド(NBDA−BMI)の製造)
攪拌機、冷却コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートを備えた1000mlのガラス製四つ口フラスコに無水マレイン酸25.6g(0.26モル)及びDMF200gを装入し、60℃に昇温しながら完全に溶解させた。この中に、2,5-ジアミノメチルノルボルナンと2,6-ジアミノメチルノルボルナンの混合物20g(0.13モル)を反応温度に注意しながら(60℃に維持しながら)1時間かけて滴下し、さらに60℃で2時間熟成を行った。続いて、攪拌下、反応温度に注意しながら(60℃に維持しながら)ポリリン酸120gを装入した。その後、ゆっくり90℃に昇温し、90〜95℃で12時間脱水閉環反応させた。
【0065】
反応終了後、室温まで冷却しメタノール200gおよび水200gを装入し、1時間攪拌後、析出物を濾別した。その後、400gの水でスラッジングを室温1時間行う操作を2回繰り返して酸成分を除去した。得られた粗NBDA−BMIに対し3倍量のDMFと2重量%の活性炭を加え、70〜75℃で活性炭処理を30分行い、熱時ろ過後して冷却した。生じた結晶をメタノールで洗浄して目的物を得た(収率:35%)。純度は>99%であった。透過率測定結果を表1に、熱物性・耐熱性試験結果を表2に示す。
【0066】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 0.50−2.25(m, 10H)、3.04−3.39(m, 4H)、7.00(m, 4H)
【化25】

【0067】
[実施例2]
(1,3-ビスマレイミドメチルシクロヘキサン(1,3BAC-BMI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンに変更し、再結晶溶媒をエタノール(30倍量/粗対、還流)に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、1,3-ビスマレイミドメチルシクロヘキサン(1,3BAC−BMI)を得た。透過率測定結果を表1に、および熱物性・耐熱性試験結果を表2に示す。
【0068】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 0.56(m, 1H)、0.78(m,2H)、0.98−1.23(m,1H)、1.35−1.77(m,6H)、3.22(d,4H)、6.97(s,4H)
【化26】

【0069】
[実施例3]
(1,4-ビスマレイミドメチルシクロヘキサン(1,4BAC-BMI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサンに変更し、再結晶溶媒をDMAc(25倍量/粗体、90℃)に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、1,4-ビスマレイミドメチルシクロヘキサン(1,4BAC−BMI)を得た。透過率測定結果を表1に、熱物性・耐熱性試験結果を表2に示す。
【0070】
H-NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 0.74−0.98(m, 4H)、1.43−1.69(m, 6H)、3.23(d, 4H)、6.92(s, 4H)
【化27】

【0071】
[実施例4]
(1,4-ビスマレイミドシクロヘキサン(CHDA-BMI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,4-ジアミノシクロヘキサンに変更し、再結晶溶媒をDMAc(50倍量/粗体、90℃)に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、1,4-ビスマレイミドシクロヘキサン(CHDA−BMI)を得た。透過率測定結果を表1に、熱物性・耐熱性試験結果を表2に示す。
【0072】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 1.65−1.83(m, 4H)、1.97−2.19(m, 4H)、3.84(m, 2H)、6.90(s, 4H)
【化28】

【0073】
[比較例1]
N,N'-ジフェニルメタンビスマレイミド(MDA−BMI)の透過率測定結果を表1に、熱物性・耐熱性試験結果を表2に示す。
【化29】

【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
[実施例5]
(ノルボルナン−ビスメチルナジックイミド(NBDA-BNI)の製造)
攪拌機、ディーンスターク、冷却コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートを備えた500mlのガラス製四つ口フラスコに、2,5-ジアミノメチルノルボルナンと2,6-ジアミノメチルノルボルナンの混合物15.4g(0.1モル)及びDMAc200gを装入し溶解した。攪拌されている反応溶液に、無水ナジック酸無水物36.1g(0.22モル)を室温で一括装入した。室温で1時間攪拌後、60℃に昇温してさらに2時間熟成を行った。
【0077】
続いて、得られた溶液にp-トルエンスルホン酸一水和物3.8g(0.02モル)およびトルエン200gを装入した。130〜140℃に加熱しながら、反応溶液に生じた水をディーンスタークにて留去しながら、8時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物からトルエン及びDMAcを減圧留去した。析出物を3重量%水酸化ナトリウム水溶液500mlで洗浄後、ろ別乾燥して組成生物を得た。得られた粗NBDA−BMIに対して2重量%の活性炭を加え、アセトンあるいはメタノールを装入して、加熱還流下、活性炭処理を30分行い、その後熱時ろ過して冷却した。生じる結晶をろ別乾燥して目的物を得た(収率:50%)。純度は>99%であった。透過率測定結果を表3に、熱物性・耐熱性試験結果を表4に示す。
【0078】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(CDCl):δ= 0.53−2.20(m, 14H)3.00−3.46(m, 12H)、6.02−6.16(m, 4H)
【化30】

【0079】
[実施例6]
(1,3-ビスナジックイミドメチルシクロヘキサン(1,3BAC-BNI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンに変更し、再結晶溶媒を2-プロパノール(7.5倍量/粗体、還流)に変更した以外は、実施例5と同様の手順にて、1,3-ビスナジックイミドメチルシクロヘキサン(1,3BAC−BNI)を得た。透過率測定結果を表3に、熱物性・耐熱性試験結果を表4に示す。
【0080】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 0.44(q, 1H)、0.58−0.81(m, 2H)、0.93−1.16(m, 1H)、1.26−1.72(m, 10H)、3.01(d,4H)、3.24(s,4H)、3.31(s,4H)、6.04(q,4H)
【化31】

【0081】
[実施例7]
(1,4-ビスナジックイミドメチルシクロヘキサン(1,4BAC-BNI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサンに変更した以外は、実施例5と同様の手順にて反応を行った。反応終了後、室温まで冷却することで結晶が析出し、これをろ別乾燥して1,4-ビスナジックイミドメチルシクロヘキサン(1,4BAC−BNI)を得た。透過率測定結果を表3に、熱物性・耐熱性試験結果を表4に示す。
【0082】
1H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 0.76(m, 4H)、1.37(m, 2H)、1.45−1.66(m,8H)、3.02(d,4H)、3.23(s,4H)、3.29(s,4H)6.02(q, 4H)
【化32】

【0083】
[実施例8]
(1,4-ビスナジックイミドシクロヘキサン(CHDA-BNI)の製造)
脂環式ジアミン化合物を1,4-ジアミノシクロヘキサンに変更し、反応溶媒をNMPに変更し、また再結晶溶媒をNMP(20倍量/粗体、100℃)に変更した以外は実施例5と同様に反応を実施し、1,4-ビスナジックイミドシクロヘキサン(CHDA−BNI)を得た。透過率測定結果を表3に、熱物性・耐熱性試験結果を表4に示す。
【0084】
H−NMRの結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d6):δ= 1.37−1.59(m, 8H)、1.88−2.11(m, 4H)、3.22(s, 8H)、3.65(m,2H)6.02(q,4H)
【化33】

【0085】
[比較例2]
1,3-ビス(3-ナジックイミドフェノキシ)ベンゼン(APB−BNI)の透過率測定結果を表3に、熱物性・耐熱性試験結果を表4に示す。
【化34】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
表4に示されるように、吸熱反応と発熱反応とが生じていることがわかる。吸熱反応は、ノルボルネン環の逆Diels-Alder反応に由来するものであり、発熱反応はビスイミド化合物の架橋反応に由来するものであると推察される。
【0089】
表1および表3の透過率測定結果が示すように、本発明の化合物(実施例)は、比較例の化合物に比べて、λ@70%およびλ@1%が短波長側にある。つまり、紫外可視領域を含む可視光領域全体の光を透過させる。よって、本発明の化合物をモノマー原料や架橋剤などとして原料とする高分子量体に、透明性を付与することができる。
【0090】
また、表2および表4の耐熱性試験結果が示すように、本発明の化合物(実施例)の硬化樹脂の熱重量減少温度は、比較例の硬化樹脂の熱重量減少温度と同等に高く保たれている。よって、本発明の化合物を原料とする高分子量体の耐熱性も優れる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のイミド化合物は、熱硬化性樹脂用原料として有用であるほか、電子分野用途などの耐熱性接着剤、あるいは熱可塑性樹脂への添加剤として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とするビスイミド化合物。
【化1】

〔一般式(1)において、
−R−部分はあってもなくてもよく、−R−部分がある場合、−R−は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれ;
nは、それぞれ独立して0〜3の整数を表し;
、Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、下記一般式(2−1)または(2−2)を表す。
【化2】

(一般式(2−1)および(2−2)において、
〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれ;
は−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれる。)〕
【請求項2】
一般式(1)における−R−が−CH−であり、かつn=1である下記一般式(2)で表されるビスイミド化合物である、請求項1に記載のビスイミド化合物。
【化3】

(一般式(2)におけるX、Xは、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【請求項3】
一般式(1)における−R−部分がなく、かつn=1である下記一般式(3)で表されるビスイミド化合物である、請求項1に記載のビスイミド化合物。
【化4】

(一般式(3)におけるX、Xは、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【請求項4】
一般式(1)における−R−部分がなく、かつn=0である下記一般式(4)で表されるビスイミド化合物である、請求項1に記載のビスイミド化合物。
【化5】

(一般式(4)におけるX、Xは、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【請求項5】
一般式(1)におけるXおよびXが、下記式(2−3)または(2−4)で表されるビスイミド化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビスイミド化合物。
【化6】

【請求項6】
一般式(5)で表されるビスアミド酸化合物を脱水閉環反応させる工程を含む、請求項1に記載のビスイミド化合物の製造方法。
【化7】

(一般式(5)におけるR、n、XおよびXは、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【請求項7】
一般式(5)で表されることを特徴とするビスアミド酸化合物。
【化8】

〔一般式(5)において、
−R−部分はあってもなくてもよく、−R−部分がある場合、−R−は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれ;
nは、それぞれ独立して0〜3の整数を表し;
、Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、下記一般式(2−1)または(2−2)を表す。
【化9】

(一般式(2−1)および(2−2)において、
〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれ;
は−O−、−S−、−CH−、−C(CH−及び−CO−からなる群から選ばれる。)〕
【請求項8】
一般式(5)におけるRが−CH−であり、かつn=1である下記一般式(6)で表されるビスアミド酸化合物である、請求項7に記載のビスアミド酸化合物。
【化10】

(一般式(6)にけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。)
【請求項9】
一般式(5)における−R−部分がなく、かつn=1である下記一般式(7)で表されるビスアミド酸化合物である、請求項7に記載のビスアミド酸化合物。
【化11】

(一般式(7)におけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。)
【請求項10】
一般式(5)における−R−部分がなく、かつn=0である下記一般式(8)で表されるビスアミド酸化合物である、請求項7に記載のビスアミド酸化合物。
【化12】

(一般式(8)におけるXおよびXは、前記一般式(5)における定義と同じである。)
【請求項11】
一般式(5)におけるXおよびXが下記式(2−3)または(2−4)で表されるビスアミド酸化合物である、請求項7〜10のいずれか一項に記載のビスアミド酸化合物。
【化13】

【請求項12】
一般式(9)で表される脂環式ジアミン化合物と、一般式(10)で表される酸無水物とを付加反応させる工程を含む、請求項7に記載のビスアミド酸化合物の製造方法。
【化14】

(一般式(9)におけるRおよびnは、前記一般式(5)における定義と同じである。)
【化15】

〔式(10)におけるYは、下記一般式(2−1)または(2−2)
【化16】

(上記式(2−1)および(2−2)におけるR〜Rは、前記一般式(5)における定義と同じである。)で表される。〕

【公開番号】特開2011−219539(P2011−219539A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87256(P2010−87256)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】