説明

ビデオカメラ

【課題】 被写体が明るい状態と暗い状態のいずれであっても、照明などを必要とすることなく良好に撮影できるビデオカメラを提供する。
【解決手段】 像光を電気的な撮像信号に変換する撮像手段12と、撮像手段12が出力する撮像信号を処理して所定の方式の映像信号とする処理手段14と、処理手段14での処理状態として、像光が所定以上の明るさであるときに対応した第1の処理状態と、像光が所定未満の明るさであるときに対応した第2の処理状態とを選択的に設定させる制御手段18とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車に搭載させて、その自動車の後方や側部の監視を行う用途に使用して好適なビデオカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車などの車両の後部に、ビデオカメラを取付けて、そのビデオカメラが撮影した映像を、車内の所定位置に配置されたモニタに表示させるようにした、いわゆるバックモニタと称されるものが各種実用化されている。このバックモニタは、主として車両を後退させる際に、運転席から死角となる後方がモニタで確認できるようにして、バック時の安全性を向上させるために使用される。この場合のモニタとしては、いわゆるカーナビゲーション装置として自動車に設置された、走行中の現在位置近傍の道路地図などを表示させるためのモニタが使用されることが多い。また、バックモニタ専用の表示装置が運転席の近傍に配置される場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のバックモニタとして使用されるビデオカメラは、比較的小型の通常のビデオカメラがそのまま使用されていることが多い。即ち、ビデオカメラが備える信号処理系として、自動ホワイトバランス調整(AWB)や、自動ゲイン調整(AGC)などの調整を、常時最適なレベルになるように調整動作を行うようにしてあり、ある程度以上の明るさがあるとき(即ち被写体の照度が最低照度以上であるとき)、良好な色再現が行われると共に、出力信号レベルももほぼ一定に制御されるようにしてある。最低照度未満の明るさであるときには、撮像される映像が暗くなって、撮影された物体を確認できない状態になってしまう。
【0004】ところが、自動車は夜間に走行することもあるため、夜間にバックモニタで映し出される映像が暗くなって、撮影された物体が確認できない状態になるのは好ましくない。
【0005】この問題点を解決するためには、何らかの照明手段をビデオカメラの近傍に設けて、ビデオカメラが撮影する範囲を照明して、被写体の照度が撮影できる最低照度以上とすることが考えられるが、このような照明手段を設けると、バックモニタとしての構成が複雑化してしまう。また、搭載させる車両によっては、照明手段を設けることが困難な場合もある。
【0006】ここでは、自動車などの車両に搭載させるバックモニタの場合の問題点について説明したが、監視などのために撮影する場所の明るさの変化が、昼と夜の場合のように大きい場合に使用される各種ビデオカメラに、同様の問題がある。
【0007】本発明はかかる点に鑑み、被写体が明るい状態と暗い状態のいずれであっても、照明などを必要とすることなく良好に撮影できるビデオカメラを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、像光を電気的な撮像信号に変換する撮像手段と、撮像手段が出力する撮像信号を処理して、所定の方式の映像信号とする処理手段と、処理手段での処理状態として、像光が所定以上の明るさであるときに対応した第1の処理状態と、像光が所定未満の明るさであるときに対応した第2の処理状態とを選択的に設定させる制御手段とを備えたものである。
【0009】このようにしたことで、被写体の明るさに応じて処理手段での撮像信号の処理状態が変化し、被写体の明るさがどのような状態であっても、このビデオカメラが出力する映像信号の表示装置での表示で、被写体が常時良好に確認できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0011】本例においては、道路を走行する自動車に搭載した後方を監視するいわゆるバックモニタ用のビデオカメラとしてある。図1は、ビデオカメラの全体構成を示すブロック図である。本例のビデオカメラ10は、レンズ,アイリスなどの光学系11を介して撮像部12内の撮像素子(イメージャ)の表面に、被写体の像光を結像させる。撮像素子としては、CCD型撮像素子、CMOS型撮像素子などが使用される。撮像部12は、撮像素子に入射した像光に対応した撮像信号を出力する処理が行われる。
【0012】なお、本例の撮像部12が備える撮像素子としては、昼間に相当する明るさのとき、被写体をカラーで感度良く撮像ができるものであり、夜間に相当する暗い明るさのときには、ある程度の感度では撮像ができるが、被写体の色などを正確に再現することは困難な撮像素子を使用してある。後述する撮像素子の撮像可能な最低照度は、被写体をカラーで感度良く撮像できる最低の照度(明るさ)であり、照明がない状況での夜間の撮像では、通常は最低の照度未満で撮像をしていることになる。
【0013】撮像部12が出力する撮像信号は、フロントエンド部13に供給する。このフロントエンド部13では、供給される撮像信号(アナログ信号)のレベルを一定範囲内に安定させる自動ゲインコントロール(AGC)を行い、そのAGC処理が行われた信号(但しAGC処理を行わない場合もある)をサンプルホールドし、サンプリングされたデジタルデータをデジタルシグナルプロセッサ(以下DSPと称する)14に供給する。DSP14では、デジタル処理で撮像データを良好な特性の信号にし、またNTSC方式などの規格の映像データに変換する処理が行われる。
【0014】なお、DSP14でのデータ処理に同期して、タイミングジェネレータ17が同期信号を生成させるようにしてあり、このタイミングジェネレータ17で生成された同期信号に同期して、撮像部12で撮像処理が行われる。
【0015】DSP14で処理された映像データは、ビデオバッファ15を介して映像信号出力端子16に供給する。この出力端子16から出力される映像信号がアナログ信号である場合には、ビデオバッファ15の後段にアナログ/デジタル変換器が接続される。出力端子16には、液晶ディスプレイなどで構成される表示装置1が接続され、表示装置1にビデオカメラ10で撮像された映像が表示される。
【0016】撮像データの処理を行うDSP14では、自動ホワイトバランス調整(AWB)などの撮像処理(映像処理)を行って、信号特性を良好とするようにしてある。このDSP14での処理は、制御部18の制御により実行される。DSP14内での処理や、フロントエンド部13などの周辺回路での処理に必要なパラメータは、第1又は第2のROM21又は22に記憶されたデータを使用する。これらのROM21,22は、例えばEEPROMで構成されて、製造時などにパラメータが書き込まれるようにしてある。
【0017】2つのROM21,22の出力は、切換スイッチ23で一方が選択されて、DSP14に供給される。切換スイッチ23の切換えは、制御部18により制御される。従って、切換スイッチ23を介して接続されたROM21に記憶されたパラメータが、信号処理に使用される。
【0018】第1のROM21に記憶されたパラメータとしては、自動ホワイトバランス調整(AWB)や、自動ゲイン調整(AGC)などのDSP14及び周辺回路が備える処理機能を正常に作動させるためのパラメータである。第2のROM22に記憶されたパラメータとしては、撮像部12で正常に撮像できる最低の照度未満の照度の被写体を撮像したときに、表示装置に表示される画像から被写体が確認できるような映像とするためのパラメータである。これらの2つのROM21,22に記憶されるパラメータによる処理状態の詳細については後述する。
【0019】また本例のビデオカメラ10には明るさセンサ19が内蔵され、このビデオカメラ10で撮影を行う周囲の明るさを検出するようにしてある。センサ19で検出された明るさのデータは制御部18で判断されて、その判断に基づいて、切換スイッチ23の切換制御を行うようにしてある。
【0020】図2は、本例での明るさセンサ19の出力に基づいた信号処理状態の設定例を示したフローチャートである。図2のフローチャートに従って処理を説明すると、まず制御部18は、センサ19の出力から、ビデオカメラ10の周囲の明るさ(即ち被写体の明るさ)が、撮像部12で正常に撮像できる最低照度以上であるか否か判断する(ステップS11)。この判断で、正常に撮像できる最低の照度以上であると判断したとき、切換スイッチ23で第1のROM21を選択させて、この第1のROM21に記憶されたパラメータをDSP14などでの信号処理に使用させる(ステップS12)。そして、このROM21に記憶されたパラメータをDSP14やフロントエンド部13に設定して、撮像部12から供給される撮像信号を、良好な特性の映像信号とする処理が行われる(ステップS13)。このステップS13でROM21から読出して設定されるパラメータは、明るさが最低照度以上の場合の通常の撮像動作を行うためのパラメータである。
【0021】ステップS13での具体的な処理例としては、例えばフロントエンド部13に入力した撮像信号のレベルを、このフロントエンド部13内のゲイン可変増幅器を使用してほぼ一定範囲とする自動ゲインコントロール(AGC)処理や、DSP14内で、カラー映像信号を構成する3つの原色信号R,G,Bのバランスを調整する自動ホワイトバランス調整(AWB)処理などがある。これらの処理状態をROM21から読出したパラメータで設定させることで、出力映像信号のレベルが適正な範囲内になり、ホワイトバランスも正しく調整された映像信号となる。ステップS11で明るさの変化が検出されるまで、このパラメータによる処理が実行される。
【0022】そして、ステップS11で正常に撮像できる最低の照度未満であると制御部18が判断したとき、切換スイッチ23で第2のROM22を選択させて、この第2のROM22に記憶されたパラメータをDSP14などでの信号処理に使用させる(ステップS14)。そして、このROM22に記憶されたパラメータをDSP14やフロントエンド部13に設定して、撮像部12から供給される撮像信号を、良好な特性の映像信号とする処理が行われる(ステップS15)。このステップS15でROM22から読出して設定されるパラメータは、明るさが最低照度未満の場合の撮像動作を行うためのパラメータである。
【0023】ステップS15での具体的な処理例としては、例えばフロントエンド部13内のAGC処理用のゲイン可変増幅器のゲインを固定値とする。例えば比較的低いゲインを設定する。ここでの固定値としては、予め決められた1つの固定値を設定するようにするか、或いは複数段階の中からそのときの状況により選択された固定値を設定するようにしても良い。また、DSP14内でのホワイトバランス調整として、入力レベルに応じた自動ホワイトバランス調整を行わないようにして、パラメータにより指示された固定のホワイトバランス調整値とする。この固定のホワイトバランス調整値としては、例えば街灯や自動車のヘッドライトで照らされた物体の色が正しく再現できるような色温度のホワイトバランス調整値とする。
【0024】これらの処理状態をROM22から読出したパラメータで設定させることで、被写体の照度が低い暗い状況であっても、それなりに良好な映像が表示される映像信号が出力されるようになる。即ち、例えばAGC処理用のゲイン可変増幅器のゲインを抑えて、SN比を改善することで、感度を見かけ上高くすることができ、暗い状況で撮影された被写体を、表示装置での表示からそれなりに確認できるようになる。また、自動ホワイトバランス調整が行われないので、誤ったホワイトバランス調整が行われることがなく、実際の色と大きく異なった色の信号になることが防止される。ステップS11で明るさの変化が検出されるまで、このパラメータによる処理が実行される。
【0025】なお、図2のフローチャートに示すように明るさに応じて処理状態を変える場合には、例えばDSP14が実行可能な処理機能の1つである赤外線信号カットフィルタは、不動作状態としていずれのモードで撮像を行う場合でも、赤外線信号の帯域が含まれる撮像信号を処理するようにする。このようにすることで、特にステップS14,S15の処理が行われるとき(即ち夜間に相当するモードであるとき)、赤外線信号の帯域まで含まれた比較的感度の高い信号を処理するので、夜間の撮影であっても被写体が確認できる映像が表示できるようになる。
【0026】或いは、ステップS13で処理する場合とステップS15で処理する場合のいずれであっても、赤外線信号カットフィルタで赤外線信号成分を除去するようにしても良い。さらに、明るさに応じて赤外線信号カットフィルタを作動させる場合と、不動作の場合とを選択できるようにしても良い。
【0027】図3のフローチャートは、この赤外線信号カットフィルタを選択的に使用させる場合の処理例である。即ち、制御部18は、センサ19の出力から最低照度以上であるか否か判断する(ステップS21)。この判断で、正常に撮像できる最低の照度以上であると判断したとき、切換スイッチ23で第1のROM21を選択させて、この第1のROM21に記憶されたパラメータをDSP14などでの信号処理に使用さ(ステップS22)、DSP14内などに用意された赤外線信号カットフィルタを作動させる(ステップS23)。そして、ROM21に記憶されたパラメータをDSP14やフロントエンド部13に設定して、撮像部12から供給される撮像信号を、良好な特性の映像信号とする処理が行われる(ステップS25)。
【0028】また、ステップS21で正常に撮像できる最低の照度未満であると制御部18が判断したとき、切換スイッチ23で第2のROM22を選択させて、この第2のROM22に記憶されたパラメータをDSP14などでの信号処理に使用させ(ステップS25)、DSP14内などに用意された赤外線信号カットフィルタを不動作状態とし、撮像信号に含まれる赤外線信号成分をカットしない(ステップS26)。そして、ROM22に記憶されたパラメータをDSP14やフロントエンド部13に設定して、撮像部12から供給される撮像信号を、良好な特性の映像信号とする処理が行われる(ステップS27)。
【0029】この図3のフローチャートに示すように処理されることで、明るい状況での撮像時には、撮像信号に含まれる赤外線信号の帯域の信号成分が除去されて、画質の良い良好な映像を表示できるようになる。また、暗い状況での撮像時には、赤外線信号成分を使用することで感度の高い撮像が行えることになり、明るい照明がない状況でも、それなりに感度の高い映像を表示できるようになる。
【0030】次に、本例のビデオカメラの設置例について説明する。図4は、本例のビデオカメラ10を自動車用のバックモニタとして使用したときの、自動車mへの装着例を示した図である。ビデオカメラ10は、自動車mの後端部に配置されて、この自動車の後方を撮像する。ビデオカメラ10と接続された表示装置1は、自動車mの運転席の前方で、なおかつ運転者の前方の視界を妨げない位置に配置される。なお、表示装置1に表示される映像は、通常は左右を反転させた鏡像として、インサイドミラー(いわゆるルームミラー)などに表示される像と方向を一致させてある。
【0031】また、表示装置1は、ナビゲーション装置用の表示装置を兼用する場合もある。即ち、例えば図5に示すように、ビデオカメラ10が撮像して出力する映像信号を、ナビゲーション装置2の外部映像入力端子に供給し、このナビゲーション装置2が出力する映像信号を表示装置1に供給するように構成する。そして、このナビゲーション装置2の後退信号入力端子3に得られる後退信号に基づいて、ナビゲーション装置2から表示装置1に供給する映像を自動的に選択させる。具体的には、例えば入力端子3に後退信号が得られるとき、ビデオカメラ10からの映像信号を表示装置1に供給し、その他のときにはナビゲーション装置2で生成された道路地図などの映像信号を表示装置1に供給する。
【0032】後退信号入力端子3には、自動車mのシフトレバーなどによるギャチェンジ操作で、後退させるポジションにレバーを設定したとき、後退信号が発生されるものである。なお、自動車m側の制御回路(図示せず)で生成される後退信号を、フォトカプラを介して入力端子3に供給させるようにして、ナビゲーション装置2と自動車m側の制御回路とを電気的に切り離すようにしても良い。
【0033】この図5に示すように構成したことで、自動車mを後退させるときだけ、ナビゲーション装置2に接続された表示装置1で、ビデオカメラ10が撮像した後方の映像が表示されるようになり、バックモニタ用の表示装置をナビゲーション装置用の表示装置と兼用させることができる。なお、この図3に示すようなシステム構成とした場合に、後退信号による自動的な切換えではなく、例えばナビゲーション装置の操作キーの操作で、ビデオカメラ10が撮像した映像が表示装置1に表示されるように切換わるようにしても良い。
【0034】この図4或いは図5に示すような自動車用のバックモニタとして使用されるビデオカメラに、本例のビデオカメラ10を使用することで、昼間と夜間のいずれであっても、表示装置1に表示される映像で、後方の確認を良好に行えるようになる。即ち、昼間の走行時で、周囲が比較的明るい状況の場合には、その昼間の明るさに適した撮像処理が行われて、画質の良い良好な映像が表示装置1に表示されるようになる。また、夜間の走行時で、周囲が暗い場合には、夜間に適した撮像処理が行われて、多少画質の低下があっても、見かけ上の感度が高くなるような処理が行われて、被写体を確認できる映像が表示装置1に表示されるようになる。
【0035】なお、図1に示した構成のビデオカメラ10では、DSPなどでの処理状態を設定するパラメータを記憶した複数のメモリの出力を、切換スイッチで切換えてDSPに供給する構成としたが、この切換スイッチを省略して、DSPなどでの内部処理で複数のパラメータの中から必要なパラメータを選択するようにしても良い。例えば、図6に示したビデオカメラ10′のように、2つのROM21,22に記憶されたデータが直接DSP14に供給されるようにして、DSP14内に仮想的に構成されるスイッチ14aの切換えで、いずれか一方のROMに記憶されたパラメータだけを使用して処理するように、制御部18′が制御する構成としても良い。なお、ROM21,22は、1つのメモリの記憶エリアを複数に分けることで、2つのメモリとして機能するようにしても良い。図6に示したビデオカメラ10′のその他の部分は、図1に示したビデオカメラ10と同様に構成する。
【0036】また、図1に示した構成のビデオカメラ10では、明るさセンサの出力に基づいて、昼間の処理と夜間の処理を自動的に切換えるようにしたが、ユーザの操作などで2つの処理の切換えを行うようにしても良い。例えば、図7に示したビデオカメラ10″のように、このビデオカメラ10″に操作キー24を設けて、その操作キー24の操作で、昼用の処理モードと、夜用の処理モードを選択できるようにして、制御部18″がそのキー操作を判断して、切換スイッチ23の切換えなどによりDSP14に供給するパラメータを対応したモードのものとするようにしても良い。図7に示したビデオカメラ10″のその他の部分は、図1に示したビデオカメラ10と同様に構成する。
【0037】また、上述した実施の形態では、昼用の処理と夜用の処理とで変える処理として、自動ホワイトバランス調整(AWB)と自動ゲイン調整(AGC)について説明したが、その他の信号処理状態を変えるようにしても良い。また、オートアイリスなどの光学系での処理状態を、昼用の処理と夜用の処理とで変えるようにしても良い。
【0038】また、上述した実施の形態では、ビデオカメラを自動車のバックモニタ用のカメラとして適用した例について説明したが、その他の用途に使用されるビデオカメラで、同様の処理を行うようにしても良い。
【0039】
【発明の効果】本発明によると、被写体の明るさに応じて処理手段での撮像信号の処理状態が変化し、被写体の明るさがどのような状態であっても、このビデオカメラが出力する映像信号の表示装置での表示で、被写体が常時良好に確認できるようになる。従って、例えば車両用のバックモニタ用のビデオカメラとして使用することで、昼夜いずれも場合でも、車両の後部の監視が可能になる。
【0040】この場合、処理手段での撮像信号の処理として、撮像信号に含まれる赤外線信号をカットする処理を行わず、第1又は第2の処理状態として、赤外線信号の帯域が含まれた撮像信号を処理する状態としたことで、赤外線の帯域の信号成分が含まれた信号を使用して出力映像信号が得られ、被写体の明るさが暗い場合でも被写体を良好に認識できる映像が表示されるようになる。
【0041】また、処理手段は、撮像信号に含まれる赤外線信号をカットする赤外線除去フィルタを備えて、第1の処理状態のとき、赤外線除去フィルタで赤外線信号を除去した撮像信号に対して処理を行って出力映像信号を得、第2の処理状態のとき、赤外線除去フィルタを通過させない撮像信号に対して処理を行って出力映像信号を得るようにしたことで、被写体が明るい場合には、赤外線を除去した信号を使用して特性が良好な映像信号を生成させることができ、被写体が暗い場合には、赤外線の帯域の成分を含んだ信号から被写体の認識が可能な良好な映像信号を生成させることができる。
【0042】また、ビデオカメラの周囲の明るさ検出手段を設け、この明るさ検出手段の検出出力に応じて、制御手段が第1の処理状態と第2の処理状態の選択を制御することで、被写体が明るい場合の処理と、被写体が暗い場合の処理とが自動的に切換わるようになる。
【0043】また、第1の処理状態のとき、処理手段が備える増幅部の利得を入力レベルに応じて可変設定させ、第2の処理状態のとき、処理手段が備える増幅部の利得を所定値に設定させることで、被写体が明るい場合には、レベルが一定に制御された良好な特性の映像信号を生成させることができ、被写体が暗い場合には、例えば増幅部の利得を高く設定して、被写体を認識できる映像信号を生成させることが可能になる。
【0044】また、第1の処理状態のとき、処理手段が備えるホワイトバランス調整部で自動ホワイトバランス調整を行い、第2の処理状態のとき、処理手段が備えるホワイトバランス調整部での自動ホワイトバランス調整を行わないようにしたことで、被写体が明るい場合には、ホワイトバランス調整が自動的に行われた良好な特性の映像信号を生成させることができ、被写体が暗い場合には、レベルの低い信号によるホワイトバランス調整の誤動作を防止して、実際の色と表示される色とが大きく変化することが防止されて、良好な映像信号を生成させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による明るさに基づいた処理例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態による明るさに基づいた処理例(赤外線カットフィルタを選択的に使用した例)を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態によるシステムの設置例を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるカメラをナビゲーション装置と接続させた例を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態による構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…表示装置、2…ナビゲーション装置、3…後退信号入力端子、10,10′,10″…ビデオカメラ、11…光学系、12…撮像部、13…フロントエンド部、14…デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、14a…切換部、15…ビデオバッファ、16…映像信号出力端子、17…タイミングジェネレータ、18…制御部、19…明るさセンサ、21,22…ROM、23…切換スイッチ、24…操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 像光を電気的な撮像信号に変換する撮像手段と、上記撮像手段が出力する撮像信号を処理して、所定の方式の映像信号とする処理手段と、上記処理手段での処理状態として、上記像光が所定以上の明るさであるときに対応した第1の処理状態と、上記像光が所定未満の明るさであるときに対応した第2の処理状態とを選択的に設定させる制御手段とを備えたビデオカメラ。
【請求項2】 請求項1記載のビデオカメラにおいて、上記処理手段での撮像信号の処理として、撮像信号に含まれる赤外線信号をカットする処理を行わず、上記第1又は第2の処理状態として、赤外線信号の帯域が含まれた撮像信号を処理する状態としたビデオカメラ。
【請求項3】 請求項1記載のビデオカメラにおいて、上記処理手段は、撮像信号に含まれる赤外線信号をカットする赤外線除去フィルタを備え、上記第1の処理状態のとき、上記赤外線除去フィルタで赤外線信号を除去した撮像信号に対して処理を行って出力映像信号を得、上記第2の処理状態のとき、上記赤外線除去フィルタを通過させない撮像信号に対して処理を行って出力映像信号を得るようにしたビデオカメラ。
【請求項4】 請求項1記載のビデオカメラにおいて、ビデオカメラの周囲の明るさ検出手段を設け、この明るさ検出手段の検出出力に応じて、上記制御手段が第1の処理状態と第2の処理状態の選択を制御するビデオカメラ。
【請求項5】 請求項1記載のビデオカメラにおいて、上記第1の処理状態のとき、上記処理手段が備える増幅部の利得を入力レベルに応じて可変設定させ、上記第2の処理状態のとき、上記処理手段が備える増幅部の利得を所定値に設定させるビデオカメラ。
【請求項6】 請求項1記載のビデオカメラにおいて、上記第1の処理状態のとき、上記処理手段が備えるホワイトバランス調整部で入力レベルに応じた自動ホワイトバランス調整を行い、上記第2の処理状態のとき、上記処理手段が備えるホワイトバランス調整部での自動ホワイトバランス調整を行わないビデオカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−247589(P2002−247589A)
【公開日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−37425(P2001−37425)
【出願日】平成13年2月14日(2001.2.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】