説明

ビニルフェノール重合体の製造方法

【課題】本発明は、精製工程等の前処理・後処理工程をできるだけ簡略化した方法であって、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を得る製造方法、及び、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮性流体(A)中でビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を重合し、重合体を得る工程を含むビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニルフェノール重合体及びビニルナフトール重合体は、マイクロフォトレジスト、積層板用レジスト、金属防錆剤、エポキシ系接着剤等広範囲の用途に使用されている。
ビニルフェノール重合体及びビニルナフトール重合体の製造方法としては、p−ビニルフェノールの単量体をラジカル重合またはカチオン重合する方法(特許文献1、2)やp−ビニルフェノールの水酸基をアセチル基等で保護した単量体を重合後、脱保護する方法(特許文献3)等が知られている。
【0003】
上記単量体をラジカル重合またはカチオン重合する方法には直接ビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体が得られるという利点があるが、公知の方法ではビニルフェノール単量体はビニルナフトール単量体の純品を得るのは難しく、通常は不純物等を含んでいる混合物を用いることが多い。その不純物等の存在により、通常入手できる上記単量体は着色していることが多いため、そのような単量体から得られるビニルフェノール重合体にも着色が生じ、また透明性にも劣るという問題がある。従って、着色がなく、かつ透明性の高い重合体を得るためには、重合前に原料のビニルフェノール単量体又はビニルナフトール単量体を精製する必要がある。
【0004】
しかし、ビニルフェノール単量体及びビニルナフトール単量体は熱的に不安定であり、加熱によって分解や重合等の副反応が生じやすい。従って、加熱を伴う通常の蒸留操作によって純度の高い上記単量体を得ることは困難である。
【0005】
また、加熱を伴わずにp−ビニルフェノール単量体を精製する方法として、ヘキサン系の溶媒により再結晶する方法(特許文献1)や、多量のフェノール化合物及び水と共に減圧蒸留する方法(特許文献2)等の方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、重合前の前処理に係る工程数が増えるという欠点がある。
【0006】
一方、上記特許文献3の方法においては、原料のp−ビニルフェノール単量体の水酸基が保護基によってされており、単量体の蒸留による精製が可能である。従って、蒸留を経た高純度の単量体を用いて重合できるという利点がある。しかしながら、重合後、脱保護反応をする工程が必要となり、工程数が増加するという欠点と共に、脱保護反応中に重合体が着色してしまうという欠点もある。
【0007】
また、マイクロフォトレジスト等として半導体製造用に使用する際には、不純物の金属含有量の低減が必要である、という課題もある。一般的に金属は濾過等により除去されるが、工程数が増えるという欠点があり、また、金属の除去も十分ではない。
【0008】
さらに、ビニルフェノール重合体及びビニルナフトール重合体には耐熱性が要求される。そのため、高分子量化する、再結晶操作により不純物を除去するといった方法によって耐熱性を高めることが行われるが、工程数が増えるという欠点がある。
【特許文献1】特開昭51−39788号公報
【特許文献2】国際公開第99/40132号パンフレット
【特許文献3】特開2002−241429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、精製工程等の前処理・後処理工程をできるだけ簡略化した方法であって、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を得る製造方法を提供することにある。また、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、圧縮性流体(A)中でビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を重合し、重合体を得る工程を含むビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法に関する。
【0011】
さらに本発明は、核磁気共鳴法における化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に、多重線である特性吸収を有する化合物(X)を1000ppm以下含有するビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)にも関する。
【0012】
さらに本発明は、チタン、クローム、鉄、亜鉛、パラジウム、ナトリウム、カリウム、及びニッケルの合計含有量(以下、金属含有量(y)とも記載する)が100ppb以下であるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)にも関する。
【0013】
さらに本発明は、上記ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を含有する半導体用フォトレジストにも関する。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
<第1の本発明(製造方法に係る発明)について>
本発明は、圧縮性流体(A)中でビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を重合し、重合体を得る工程(以下、「重合工程」という)を含むビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法である。なお、本発明において、「重合体」には、単独重合体及び共重合体の両方が含まれる。
【0015】
また上記重合工程に加え、さらに、不純物を圧縮性流体(A)中に抽出することにより、上記重合体から不純物を除去する工程(以下、「抽出・除去工程」という)を行うのが好ましい。
【0016】
(本発明で使用される各原料成分について)
本発明におけるビニルフェノール単量体(B)としては、p−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、o−ビニルフェノール等が挙げられる。これらのうち好ましいものはp−ビニルフェノールである。上記ビニルフェノール単量体(B)は、例えば「ビニルフェノール基礎と応用」丸善石油化学(株)研究所編、1991年5月25日発行に記載の方法等の、公知の方法により製造することができる。具体例としては、例えば、エチルフェノールの脱水素反応等により所望のビニルフェノールを製造する方法が挙げられる。
【0017】
ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)としては、ベンゼン環に1つのビニル基、1つのヒドロキシル基以外の他の置換基を有するもの等があげられる。
具体的には、ベンゼン環に、ハロゲンや1価の炭化水素基等の置換基を有するビニルフェノール類[2−ブロモ−4−ビニルフェノール、2−メチル−4−ビニルフェノール等]、ベンゼン環にフェノール性水酸基を2個以上有するビニルフェノール類[4−ビニルカテコール、2−ビニルハイドロキノン等]等が挙げられる。
【0018】
ビニルナフトール単量体(B2)としては、2−ビニル−6−ナフトール等のビニルナフトール類が挙げられる。
【0019】
公知の方法により製造されたビニルフェノール単量体(B)等には、通常、不純物としてフェノール、エチルフェノール、クレゾール等のビニル基を有しないフェノール化合物が含まれる。しかし、本発明の製造方法によれば、重合後に圧縮性流体(A)中に不純物を抽出し、除去できるため、不純物を含有する混合物を単量体成分としてそのまま用いて重合しても最終的に純度の高いビニルフェノール重合体、例えば未反応モノマー及びフェノール化合物等の不純物の含有量が0.1重量%以下であるような重合体を得ることができる。
【0020】
具体的には、(B)、(B1)及び(B2)の合計重量100重量%に対して10重量%以下の不純物を原料の単量体中に含有していても、純度の高い上記ビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を得ることができる。ここで不純物とは、所望のビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)以外の全物質をいう。より多くは30重量%以下、さらに多くは60重量%以下、特に多くは80重量%以下の不純物を含有していても純度の高いビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を得ることができる。上記不純物量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって測定することができる。
【0021】
上記単量体成分は、(B)、(B1)及び(B2)以外の、その他のビニル化合物(b)を含有していてもよい。ビニル化合物(b)を、用いることにより、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体との共重合体を得ることができる。その他のビニル化合物(b)としては、特に制限はなく、公知のビニル化合物{特開2002−284881号公報、国際公開第99/40132号パンフレット、特開平10−251315号公報、高分子合成の化学(大津隆行著、1979年1月10日、(株)化学同人発行)等に記載)等に記載のビニル化合物が使用できる。例えば、スチレン系化合物(スチレン、p−ビニルトルエン等)、アクリル酸、アクリル酸エステル(アクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチル等)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル等)、マレイン酸及びその誘導体(マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸メチル、マレイミド、フェニルマレイミド等)、フマル酸及びその誘導体(フマル酸、フマル酸エチル等)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
【0022】
これらのうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレンからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
【0023】
本発明においては、重合工程、及び、必要に応じて行われる抽出・除去工程において圧縮性流体(A)を用いる。本発明においては、圧縮性流体(A)として超臨界流体を使用するのが好ましい。超臨界流体は、物質に固有の気液臨界温度及び圧力を超えた状態にある非凝縮性流体と定義される。臨界温度を超えているために分子の熱運動が激しいことが特徴である。また圧力を変えることによって、密度を理想気体に近い希薄な状態から液体に対応するような高密度な状態にまで連続的に変化させることができる。
【0024】
上記圧縮性流体(A)の種類としては、特に限定されないが、、例えば、二酸化炭素(31.0,7.4:カッコ内は順に臨界温度(℃),臨界圧力(MPa)を表す。以下同じ。)、メタン(−82.5,4.6)、エタン(31.1,4.9)、プロパン(96.7,4.2)、ヘキサン(234.2,3.0)、メタノール(239.4,8.2)、エタノール(240.7,6.1)、水(374.2,22.1)等の、臨界点以上の温度及び圧力における流体(すなわち超臨界流体)が挙げられる。これらのうち取扱い易さの観点等から、二酸化炭素、メタン、エタンの超臨界流体が好ましく、二酸化炭素の超臨界流体がさらに好ましい。
【0025】
重合反応中における圧縮性流体(A)の使用量は、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分の合計重量100重量部に対して10〜1000重量部が好ましく、30〜800重量部がより好ましく,50〜500重量部が特に好ましい。
【0026】
本発明の製造方法においては、カチオン重合触媒(C1)又はラジカル重合触媒(C2)の存在下、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を重合するのが好ましい。
【0027】
本発明において、カチオン重合触媒(C1)としては特に制限はないが、ルイス酸、プロトン酸等を用いるのが好ましい。
好ましいルイス酸の例には、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素錯体及びフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のフッ素含有触媒、並びに、塩化アルミニウム、四塩化錫、四塩化チタン、ヨード等が含まれる。
好ましいプロトン酸の例には、硫酸、リン酸、過塩素酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、マレイン酸等が含まれる。
これらの触媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、重合体からの除去が容易であるという観点から、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素錯体及びフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のフッ素含有触媒、並びに、トリフロロメタンスルホン酸がより好ましく、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素錯体及びフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体がさらに好ましい。
【0028】
(C1)の使用量は、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)、ビニルナフトール単量体(B2)に、さらに他の単量体、特に上記ビニル化合物(b)を加えた全単量体成分の合計重量100重量%に対し、0.01〜2重量%が好ましく、0.05〜1重量%がさらに好ましく、0.1〜0.7重量%が特に好ましい。
【0029】
ラジカル重合触媒(C2)としては、特に制限はないが、過酸化物、アゾ化合物等を用いるのが好ましい。
好ましい過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル及びt−ブチルヒドロパーオキシド等、並びに、ヘプタフルオロブチルパーオキシヘプタフルオロブチレート、トリフルオロメチルパーオキシトリフルオロメチレート及びパーフルオロペンチルパーオキシパーフルオロペンチレート等のフッ素含有触媒であるフッ素含有過酸化物が挙げられる。
好ましいアゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)又はジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
これらのうち、重合反応の開始効率の観点から、フッ素含有触媒であるフッ素含有過酸化物、及びアゾ化合物が好ましく、アゾ化合物がさらに好ましく、アゾビスイソブチロニトリルが特に好ましい。
【0030】
(C2)の使用量の好ましい範囲は、上述した(C1)の使用量のものと同様である。
【0031】
重合工程においては、圧縮性流体(A)中に公知の溶剤(例えば、特開2002−284881号公報に記載)等を添加することもできる。例えば、エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール等)等が挙げられる。
【0032】
溶剤を使用する場合の使用量は、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)、ビニルナフトール単量体(B2)に、さらに他の単量体、特に上記ビニル化合物(b)を加えた全単量体成分の合計重量100重量%に対して、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜20重量%がさらに好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。
【0033】
本発明の製造法において、圧縮性流体(A)中に、さらに界面活性剤(D)を添加して重合することもできる。上記界面活性剤(D)としては、公知の界面活性剤(D)(例えば、特表2001−504752号公報、特開平10−102088号公報、特開2004−315675号公報、特表平10−504602号公報等に記載の界面活性剤)を用いることができる。具体例としては、例えば、フッ素基含有化合物(D1)[フルオロ基を有するアクリルポリマー、ポリパーフルオロエーテル(商品名:KRYTOX157FSL、デュポン(株)製)、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー(商品名:フタージェント300、フタージェント(株)製)、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー(商品名:フタージェント251、フタージェント(株)製)等]、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)と共重合可能な化合物(D2)[パーフルオロプロピルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、パーペンタフルオロオクチルエチルアクリレート等]、アセチレンアルコール、アセチレンジオール、ポリシロキサン基を有するアクリルポリマー、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
これらのうち、(D1)のフッ素基含有化合物、及び(D2)の上記共重合可能な化合物が特に好ましい。
【0034】
(D)を使用する場合の使用量は、生産性の観点からビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)、ビニルナフトール単量体(B2)及び他のビニル化合物(b)の合計重量100重量%に対して、0.01〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜30重量%,特に好ましくは0.1〜20重量%である。
【0035】
<本発明の製造方法について>
本発明は、上記重合工程を含むビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法である。
【0036】
重合工程において実施される、圧縮性流体(A)中で製造されるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の重合法としては、特に限定されないが、例えば(1)カチオン重合法、(2)ラジカル重合法等が挙げられる。
【0037】
カチオン重合法(1)の例について以下に詳細に説明する。
カチオン重合法(1)としては、例えば、公知の方法により製造したp−ビニルフェノール等の単量体を含有する単量体成分を、耐圧容器内で、上記圧縮性流体(A)中にて上記カチオン重合触媒(C1)の存在下、カチオン重合を行う方法が挙げられる。
【0038】
具体的には以下のような方法が挙げられる。例えば、撹拌装置及び測温装置を有し、槽内圧力70MPa、槽内温度290℃まで設定可能な反応槽500mlに所定量のビニルフェノール単量体(B)(例えばp−ビニルフェノール)等を含有する単量体成分を仕込み、温度35℃、圧力8MPaに調整する。次に所定量の二酸化炭素を仕込む。その後、撹拌下、温度35℃、圧力8MPaの状態を保ちながら、所定量のフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(カチオン重合触媒)を溶解させた温度35℃、圧力8MPaの超臨界二酸化炭素を反応溶液中に滴下する。滴下後、0.5〜5時間重合反応を行う。反応終了後、60〜80℃に昇温し、二酸化炭素の超臨界流体を投入する。1〜2時間、未反応単量体、不純物等の抽出を行った後、二酸化炭素の超臨界流体を除去する。このような方法等によって、所望のビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を得ることができる。
【0039】
ビニルフェノール単量体(B)等を含有する単量体成分の投入方法としては、連続的に滴下する方法、所定量を数回に分割して投入する方法、所定量を一括して投入する方法等が挙げられる。なかでも、生産性の観点から所定量を一括して単量体成分を投入する方法が好ましい。
【0040】
また重合触媒の投入方法としても、同様に、連続的に滴下する方法、所定量を数回に分割して投入する方法、所定量を一括して投入する方法等が挙げられる。なかでも、分子量制御の観点から連続的に滴下する方法によって重合触媒を投入する方法が好ましい。
【0041】
重合反応時の温度は、上記圧縮性流体(A)の超臨界領域温度の範囲であり、分子量制御の観点から、圧縮性流体(A)が二酸化炭素の場合、31〜150℃が好ましく、31〜80℃がさらに好ましく、31〜50℃が特に好ましい。
【0042】
反応時の圧力は、上記圧縮性流体(A)の超臨界領域圧力の範囲であり、分子量制御の観点から二酸化炭素の場合7〜70MPaが好ましく、7〜50MPaがさらに好ましく、7〜30MPaが特に好ましい。
【0043】
重合反応時間は、上記重合反応時の温度に応じて調整すればよいが、生産性の観点から0.1〜10時間が好ましく、0.3〜8時間がさらに好ましく、0.5〜5時間が特に好ましい。
【0044】
上記反応条件の中で、上記圧縮性流体(A)が二酸化炭素であり、重合反応が圧力7〜30MPa、温度31〜50℃で行われるのが、より透明性の高い重合体を得られるという理由から好ましい。
【0045】
次に、ラジカル重合法(2)の例について詳細に説明する。
ラジカル重合法(2)としては、例えば、上記の方法により製造したビニルフェノール単量体(B)等を含有する上記単量体成分を、耐圧容器内で、圧縮性流体(A)中で、上記ラジカル重合触媒(C2)の存在下、ラジカル重合を行う方法が挙げられる。
【0046】
上記単量体成分及びラジカル重合触媒(C2)の仕込み方法及びその好ましい例、反応時の条件(温度、圧力、時間)およびその好ましい範囲、溶剤及び界面活性剤の種類とその好ましい例、等については、上記の方法(1)と同様である。
【0047】
上記重合工程における重合方法は、所望の重合体の種類等に基づき適宜選択される。例えば、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される1種の単量体のみを重合して得られる単独重合体を製造する際には、上記方法(1)、(2)のどちらの方法でもよい。一方、共重合体を製造する際には反応性の観点から方法(2)を適用するのが好ましい。例えば上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体を得たい場合には、重合工程において方法(2)により重合を行うのが好ましい。
【0048】
本発明においては、さらに、抽出・除去工程によって不純物が除去されるのが好ましい。抽出・除去工程においては、まず得られた重合体から反応に使用した圧縮性流体(A)を除去し、その後新たに(A)を供給する。この操作により、重合体中に含まれる未反応モノマー及びフェノール化合物等の不純物を(A)中に抽出し、重合体から除去することにより、純度の高い目的の重合体を得ることが出来る。
【0049】
重合工程、及び、必要に応じて行われる抽出・除去工程を含む、本発明の製造方法に含まれる全工程は、同一反応容器内、すなわちワンポット(One−pot)で全て行うことができる。従って移液等の時間を要する操作を伴わないで済み、再結晶法や蒸留法等の公知の精製方法と比べ、工程を簡略化できる点で有利である。
【0050】
<本発明の製造方法により得られるビニルフェノール重合体(P1)及びビニルナフトール重合体(P2)について>
上述の成分を使用し、上述の方法によって重合体又は共重合体を製造することにより、不純物の少ないビニルフェノール重合体(P1)及びビニルナフトール重合体(P2)を得ることができる。
【0051】
得られたビニルフェノール重合体(P1)及びビニルナフトール重合体(P2)中の未反応モノマー及びフェノール化合物等の不純物の含有量(p)は、好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
【0052】
不純物の含有量(p)の測定は、例えば以下のように行うことができる。まず、ソックスレー抽出器を使用して、重合物10gを試料として、ヘキサン中で78℃、2時間抽出を行うことで抽出物重量を測定する。その後求めた抽出物重量から下式:
[不純物の含有量(p)]=[抽出物重量(g)]/[重合物の重量(10g)]
によって不純物の含有量(p)を計算することができる。
【0053】
本発明の製造方法により得られる、上記ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は、単一の単量体単位からなる単独重合体、2種以上の単量体単位を含む共重合体のいずれであってもよい。中でも、本発明においては、
ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)若しくはビニルナフトール単量体(B2)の単独重合体、又は、
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体
のいずれかであるのが好ましい。本発明の製造法により、透明性の高いビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を得ることができる。
【0054】
また、共重合体の場合においては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等のいずれの共重合体であってもよい。
【0055】
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体を製造する場合、原料の各単量体成分の組成比は、得られるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の使用目的により適宜選択できる。特に限定されないが、上記(B)、(B1)及び(B2)のいずれかに属する単量体成分の合計重量が、全単量体成分100重量%に対し、30〜100重量%であるのが好ましく、40〜100 重量%であるのがより好ましく、50〜100重量%であるのがさらに好ましい。一方、上記他のビニル化合物(b)の量は、特に限定されないが、全単量体成分100重量%に対し、0〜70重量%であるのが好ましく、0〜60重量%であるのがより好ましく、0〜50重量%であるのがさらに好ましい。
【0056】
本発明の製造法で得られたビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の分子量は、特に限定されないが、数平均分子量(以下、「Mn」と記載する。)1,000〜30,000、重量平均分子量(以下「Mw」と記載する。)2,000〜60,000であるものが好ましい。本発明において分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する。)で測定した、ポリスチレン換算の分子量である。具体的には、例えばGPC機種:HLC−8120GPC、東ソー(株)製、カラム:TSKgelGMHXL2本 + TSKgel Multipore HXL−M(東ソー(株)製)を用いて測定することができる。
【0057】
本発明の製造法で得られたビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は不純物含量が少ないので透明性に優れている。重合体の濃度0.1g/Lエタノール溶液のJIS K0115に準拠して測定した光透過率は、特に限定されないが、波長248nmで通常70%以上、好ましくは72%以上である。また特に限定されないが、波長450nmで通常90%以上、好ましくは92%以上である。
【0058】
本発明の製造法で得られるビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体は、核磁気共鳴法(以下NMRと記載。)による分析で、化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に多重線である特性吸収を有する化合物(X)の含有量(x)が少ない。不純物の含有量(x)が少ないことから、本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は透明性に優れている。本発明の製造法で得られるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)中に含有される化合物(X)の含有量(x)は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。なお、本発明においては、上記化学シフトδの値(ppm)は、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として以下の式により求めたものである。
δ(ppm)=[ピークの(CHSiからの距離(Hz)]/[分光計の振動数(MHz)]
【0059】
化合物(X)の含有量(x)は、以下のように測定することができる。まず、測定すべき重合物を重メタノール中に溶解させて0.05mg/lの濃度の試料を調製し、その試料のH−NMRを測定する。測定により得られたNMRチャートにおけるビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体のピークと基線(ベースライン)とに囲まれた部分の面積と、7.4〜7.6ppmの化学シフトδの範囲内にある多重線と基線とに囲まれた部分の面積を比較することによって、定量的に重合体中の化合物(X)の含有量を算出することができる。本測定方法による測定値の検出限界値(最小値)は100ppm程度である。
【0060】
本発明の製造法においては、圧縮性流体による抽出操作を行うため、得られたビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体は金属の含有量が少ない。具体的には、チタン、クローム、鉄、亜鉛、パラジウム、ナトリウム、カリウム、及びニッケルの合計含有量(以下、金属含有量(y)と記載する。)が、好ましくは100ppb以下、さらに好ましくは30ppb以下、より好ましくは10ppb以下である。
【0061】
上記金属含有量(y)の測定方法は、サンプル3gを内径33mm高さ5mmの塩化ビニルのリング中でプレスして測定試料を作成し、蛍光エックス線分光法により測定することができる。測定機器としては、例えばスペクトリス社製Axiousを使用することができる。
【0062】
<第2の本発明(重合体に係る発明)について>
本発明は、核磁気共鳴法における化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に、多重線である特性吸収を有する化合物(X)を1000ppm以下含有するビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)に関する。なお、本発明において、「重合体」には、単独重合体及び共重合体の両方が含まれる。
【0063】
ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の原料となる単量体としては、特に限定されないが、上述のビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を用いるのが好ましい。またビニル化合物(b)を含んでいてもよい。
【0064】
ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)、ビニル化合物(b)の例としては、第1の本発明の項にて例示したものが挙げられる。また好ましい例についても同様である。
【0065】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は、単一の単量体単位からなる単独重合体、2種以上の単量体単位を含む共重合体のいずれであってもよい。中でも、本発明においては、
ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)若しくはビニルナフトール単量体(B2)の単独重合体、又は、
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体
のいずれかであるのが好ましい。
【0066】
また、共重合体の場合においては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等のいずれの共重合体であってもよい。
【0067】
上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、上記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体を製造する場合、原料の各単量体成分の組成比は、得られるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の使用目的により適宜選択できる。特に限定されないが、上記(B)、(B1)及び(B2)のいずれかに属する単量体成分の合計重量が、全単量体成分100重量%に対し、30〜100重量%であるのが好ましく、40〜100重量%であるのがより好ましく、50〜100重量%であるのがさらに好ましい。一方、上記他のビニル化合物(b)の量は、特に限定されないが、全単量体成分100重量%に対し、0〜70重量%であるのが好ましく、0〜60重量%であるのがより好ましく、0〜50重量%であるのがさらに好ましい。
【0068】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は、核磁気共鳴法(以下NMRと記載。)による分析で、化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に、多重線である特性吸収を有する化合物(X)の含有量(x)が1000ppm以下であることを特徴とする。このような化合物等の不純物の含有量が少ないことから、本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は透明性に優れている。上記含有量(x)は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。本発明においては、上記化学シフトδの値(ppm)は、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として以下の式により求めたものである。
δ(ppm)=ピークの(CHSiからの距離(Hz)/分光計の振動数(MHz)
【0069】
上記化合物(X)の含有量(x)は、以下のように測定することができる。まず、測定すべき重合物を重メタノール中に溶解させて0.05mg/lの濃度の試料を調製し、その試料の1H−NMRを測定する。測定により得られたNMRチャートにおけるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)のピークと基線(ベースライン)とに囲まれた部分の面積と、化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に多重線と基線とに囲まれた部分の面積を比較することによって、定量的に重合体中の化合物(X)の含有量を算出することができる。本測定方法による測定値の検出限界値(最小値)は100ppm程度である。
【0070】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の分子量は、特に限定されないが、数平均分子量(以下、「Mn」と記載する。)1,000〜30,000、重量平均分子量(以下Mwと記載する。)2,000〜60,000であるものが好ましい。本発明においても分子量はGPCで測定した、ポリスチレン換算の分子量である。具体的には上述の装置・カラムを用いることにより測定することができる。
【0071】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は、不純物含量が少ないので透明性に優れている。重合体の濃度0.1g/Lエタノール溶液のJIS K0115に準拠して測定した光透過率は、特に限定されないが、波長248nmで通常70%以上、好ましくは72%以上である。また特に限定されないが、波長450nmで通常90%以上、好ましくは92%以上である。
【0072】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)は、金属の含有量が少ないものが好ましい。具体的には、上述の金属含有量(y)が、100ppb以下であるのが好ましく、30ppb以下であるのがさより好ましくは、10ppb以下であるのがさらに好ましい。
【0073】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法は、特に限定されないが、第1の本発明に係る製造方法、すなわち、上記重合工程を含む製造方法であるのが好ましい。
【0074】
本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の重合方法は特に限定されず、カチオン重合法、ラジカル重合法等の公知の重合方法を適用することができる。(P1)又は(P2)が共重合体である場合には、反応性の観点からカチオン重合法を適用するのが好ましい。カチオン重合法、ラジカル重合法としては、第1の本発明において述べた、上記カチオン重合法(1)、又はラジカル重合法(2)を適用するのが好ましい。
【0075】
また、本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)については、上記抽出・除去工程を経て得られるものが好ましい。すなわち、重合工程において得られた重合体から反応に使用した圧縮性流体(A)を除去し、その後新たに(A)を供給する。この操作により、重合体中に含まれる化合物(X)を(A)中に抽出し、重合体から除去することができる。その結果、重合体中の化合物(X)の含有量をさらに低減でき、より純度の高い目的の重合体を得ることが出来る。
【0076】
<第3の本発明(重合体に係る発明)について>
本発明は、チタン、クローム、鉄、亜鉛、パラジウム、ナトリウム、カリウム、及びニッケルの合計含有量(上記金属含有量(y))が100ppb以下であるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)に関する。上記金属含有量(y)は、好ましくは30ppb以下、より好ましくは10ppb以下である。なお、本発明においても、「重合体」には、単独重合体及び共重合体の両方が含まれる。
【0077】
金属含有量(y)の測定方法は、上述の測定方法によって測定することができる。
【0078】
原料となる単量体、重合体の構造(単独重合体、共重合体)、分子量、光透過率については、特に限定されないが、第2の本発明である重合体と同様のものが好ましい。
【0079】
上記化合物(X)の含有量(x)は、特に限定されないが、1000ppm以下であるのが好ましく、500ppm以下であるのがより好ましく、200ppm以下であるのがより好ましい。
【0080】
また、本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法は、特に限定されないが、第1の本発明に係る製造方法、すなわち、上記重合工程を含む製造方法であるのが好ましい。
【0081】
<第4の本発明(半導体用フォトレジストに係る発明)について>
本発明は、上記ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を含有する半導体用フォトレジストに関する。本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を使用した半導体フォトレジストは透明性が高く、不純物、金属元素の含有量が少ないため、半導体製造時の製造効率を高くすることができる。
【0082】
本発明の半導体用フォトレジストは、本発明のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を、光酸発生剤と共に有機溶媒中に溶解させることにより得ることができる。
ここで、光酸発生剤としては、特に制限はないが、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨード塩ヘキサフルオロアルセネート等が挙げられる。
【0083】
上記光酸発生剤の含有量としては、ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)100重量%に対して、0.5〜15重量%であるのが好ましく、1〜10重量%であるのがさらに好ましい。
【0084】
上記有機溶媒としては、特に制限はないが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等が挙げられる。光酸発生剤の含有量としては、ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)100重量%に対して、500〜6000重量%が好ましく、700〜4000重量%であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0085】
本発明のビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体の製造方法によれば、圧縮性流体(A)中で重合し、生成したビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体中の着色成分等不純物を圧縮性流体(A)に抽出することにより除去できる。その結果、本発明の製造方法を用いると、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を効率よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り「部」は重量部、「%」は重量%を意味する。
【0087】
<製造例1>
「ビニルフェノール基礎と応用」(丸善石油化学(株)研究所編、1991年5月25日発行)の28〜31頁)に記載の方法に準拠して、Cr−ZnO触媒を充填した石英製反応管(内径20mm)を水を供給しながら550℃に昇温し、10ml/時間の速度でp−エチルフェノールを供給し、5時間反応させた。得られた淡黄褐色の混合物をエバポレーターにより減圧脱水(40℃、10mmHg、1時間)し、p−ビニルフェノール単量体混合物(1)を得た。GPC及びガスクロマトグラフィー(GC)で分析した結果、上記単量体混合物(1)は、p−ビニルフェノール46%、p−エチルフェノール48%、フェノール2%、クレゾール4%からなる混合物であった。
【0088】
<製造例2>
製造例1のp−エチルフェノールを2−エチル−6−ナフトールに変更する以外は製造例1と同様にして、2−ビニル−6−ナフトール単量体混合物(2)を得た。GPC及びGCで分析した結果、上記単量体混合物(2)は、2−ビニル−ナフトール52%、2−エチル−6−ナフトール45%、ナフトール3%からなる混合物であった。
【0089】
<実施例1>
撹拌装置及び測温装置を有し、槽内圧力70MPa、槽内温度290℃まで設定可能な反応槽500mlに製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部仕込み、温度35℃、圧力8MPaに調整した。二酸化炭素を200部仕込み、撹拌下、温度35℃、圧力8MPaを保ちながらフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(カチオン重合触媒、和光純薬工業(株)製)0.1部を溶解させた温度35℃、圧力8MPaの超臨界二酸化炭素流体10部を30分かけて滴下した。滴下後、30分間重合反応を行った。
反応終了後、80℃に昇温し、超臨界二酸化炭素流体を50部/分の流量で連続供給し、1時間攪拌し未反応単量体や不純物の抽出を行い、超臨界二酸化炭素流体を除去し、重量平均分子量13,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が8ppb、不純物の含有量(p)が0.045%である、白色の重合体(1)を得た。
【0090】
<実施例2>
重合時の温度を70℃に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が7ppb、不純物の含有量(p)が0.04%である、白色の重合体(2)を得た。
【0091】
<実施例3>
重合時の温度を100℃に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量7,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が8ppb、不純物の含有量(p)が0.043%である、白色の重合体(3)を得た。
【0092】
<実施例4>
重合時の圧力を20MPaに変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量13,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が8ppb、不純物の含有量(p)が0.043%である、白色の重合体(4)を得た。
【0093】
<実施例5>
重合時の圧力を50MPaに変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量13,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が7ppb、不純物の含有量(p)が0.04%である、白色の重合体(5)を得た。
【0094】
<実施例6>
フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル(ラジカル重合触媒)0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量11,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が7ppb、不純物の含有量(p)が0.039%である、白色の重合体(6)を得た。
【0095】
<実施例7>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を単量体混合物(1)80部と無水マレイン酸20部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が9ppb、不純物の含有量(p)が0.04%である、白色の重合体(7)を得た。
【0096】
<実施例8>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を、単量体混合物(1)90部とスチレン10部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が8ppb、不純物の含有量(p)が0.042%である、白色の重合体(8)を得た。
【0097】
<実施例9>
超臨界二酸化炭素を超臨界流体(二酸化炭素95%、アセトン5%)に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量12,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が8ppb、不純物の含有量(p)が0.041%である、白色の重合体(9)を得た。
【0098】
<実施例10>
反応時に界面活性剤としてポリパーフルオロエーテル(商品名:KRYTOX157FSL、デュポン(株)製)5部を追加する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量20,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が10ppb、不純物の含有量(p)が0.04%である、白色の重合体(10)を得た。
【0099】
<実施例11>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を、単量体混合物(1)70部とメタクリル酸メチル10部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量11,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が11ppb、不純物の含有量(p)が0.04%である、白色の重合体(15)を得た。
【0100】
<実施例12>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を、単量体混合物(1)70部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル30部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が10ppb、不純物の含有量(p)が0.042%である、白色の重合体(16)を得た。
【0101】
<実施例13>
反応時に界面活性剤としてパーフルオロオクチルエチルアクリレート5部を追加する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量18,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が9ppb、不純物の含有量(p)が0.041%である、 白色の重合体(17)を得た。
【0102】
<実施例14>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を、2−ビニル−6−ナフトール単量体混合物(2)100部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルーテル錯体0.1部をフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.5部に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量8,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が10ppb、不純物の含有量(p)が0.020%である、白色の重合体(18)を得た。
【0103】
<実施例15>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を、p−ビニルフェノール単量体混合物(1)50部と2−ビニル−6−ナフトール単量体混合物(2)50部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が13ppb、不純物の含有量(p)が0.035%である、白色の重合体(19)を得た。
【0104】
<実施例16>
フッ素化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部を使用しないことと、反応時間を10時間に変更する以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量8,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が11ppb、不純物の含有量(p)が0.025%である、白色の重合体(20)を得た。
【0105】
<実施例17>
撹拌装置及び測温装置を有し、槽内圧力70MPa、槽内温度290℃まで設定可能な反応槽500mlに製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部仕込み、温度35℃、圧力8MPaに調整した。二酸化炭素を200部仕込み、撹拌下、温度35℃、圧力8MPaを保ちながらフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(和光純薬工業(株)製)0.1部を溶解させた温度35℃、圧力8MPaの超臨界二酸化炭素流体10部を30分かけて滴下した。滴下後、30分間重合反応を行った。
反応終了後、析出物を分離し、白色の重合体(21)を得た。重合体(21)は重量平均分子量13,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が40ppb、不純物の含有量(p)が0.08%であった。
【0106】
<実施例18>
フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は実施例17と同様にして、重量平均分子量11,000、化合物(X)の含有量(x)が100ppm以下、金属含有量(y)が35ppb、不純物の含有量(p)が0.09%である、白色の重合体(22)を得た。
【0107】
<比較例1>
撹拌装置及び測温装置を有する反応槽500mlに製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部、アセトニトリル200部を仕込み、撹拌下、温度35℃に保ちながらフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部を溶解させたアセトニトリル10部を滴下した。滴下後、30分間重合反応を行った。
反応終了後、反応生成物を1,000mlのトルエンに投入、生成した沈殿を回収した。回収した沈殿を100mlのアセトンに溶解し、500mlのトルエンに投入、生成した沈殿を回収した。回収した沈殿を減圧乾燥することで、重量平均分子量12,000、化合物(X)の含有量(x)が1200ppm、金属含有量(y)が150ppb、不純物の含有量(p)が0.12%である、黄褐色の重合体(11)を得た。
【0108】
<比較例2>
フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は比較例1と同様にして、重量平均分子量11000、化合物(X)の含有量(x)が1100ppm、金属含有量(y)が150ppb、不純物の含有量(p)が0.15%である、黄褐色の重合体(12)を得た。
【0109】
<比較例3>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を混合物(1)80部と無水マレイン酸20部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は比較例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が1500ppm、金属含有量(y)が200ppb、不純物の含有量(p)が0.15%である、黄褐色の重合体(13)を得た。
【0110】
<比較例4>
製造例1で得られたp−ビニルフェノール単量体混合物(1)100部を混合物(1)90部とスチレン10部に変更し、フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.1部をアゾビスイソブチロニトリル0.1部に変更し、反応温度を100℃、反応時間を3時間に変更する以外は比較例1と同様にして、重量平均分子量10,000、化合物(X)の含有量(x)が1100ppm、金属含有量(y)が120ppb、不純物の含有量(p)が0.13%である、黄褐色の重合体(14)を得た。
【0111】
<透明性評価>
重合体(1)〜(22)をJIS K0115に準拠して、それぞれ濃度0.1g/Lでエタノールに溶解させ、セルの長さ1cmの条件で波長248nm、450nmにおける光透過率を測定した。結果を表1に示した。
【0112】
<ウエハ表面の金属残存量の評価>
重合体(1)〜(22)を7g及び光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリプレート0.05gを有機溶媒のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート130gに溶かした後、0.20μmフィルタで濾過し、得られたフォトレジスト組成物を公知の方法に準拠し、シリコンウェーハ上にスピンコーティングした後、130℃の温度で90秒間ベークした。ベーク後、ASML社のKrF露光装置を用いて露光させ、130℃の温度で90秒間再びベークした。ベーク完了後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に40秒間現像した。得られたウエハを、市販のウエハ表面検査装置(全反射蛍光X線分析装置)を用いてウエハ表面に付着した金属含量の測定を行った。結果を表1に示した。
【0113】
<耐熱性評価>
重合体(1)〜(22)それぞれ5mg秤り取り、DSC(示差走査熱量測定)(測定装置:RDC220、エスアイアイナノテクノロジー(株)製)により、昇温速度毎分10℃でガラス転移温度を測定した。結果を表1に示した。
【0114】
<分子量測定法>
重合体(1)〜(22)をそれぞれ濃度2.5g/Lでジメチルホルムアミドに溶解させ、ポリスチレンを標準物質として、GPCにより測定した。
GPC機種:HLC−8120GPC、東ソー(株)製
カラム :TSKgel GMHXL2本 + TSKgelMultipore HXL−M(東ソー(株)製)
【0115】
【表1】

【0116】
以上の評価結果から、本発明の製造方法によりビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を製造することで、比較例の重合体に比較して、透明性が高く、かつ耐熱性に優れ、かつ金属含有量の少ないポリビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の製造方法は不純物の少ない、透明性の高いビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体を効率的且つ経済的に製造することができる。
本発明により製造されたビニルフェノール重合体又はビニルナフトール重合体は感光性樹脂、熱硬化性樹脂、コーティング材料、防錆剤原料、固体電解質、フォトクロミック材料、光ディスク材料、光電池バインダー、感熱・感圧記録体用発色剤、マイクロカプセル、液晶配向剤、液晶高分子、非線型光学材料、抗菌剤、透過膜、イオン交換膜、高分子電解質、高分子触媒、難燃剤等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性流体(A)中でビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含有する単量体成分を重合し、重合体を得る工程を含むビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)の製造方法。
【請求項2】
さらに、不純物を圧縮性流体(A)中に抽出することにより、前記重合体から不純物を除去する工程を含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
カチオン重合触媒(C1)又はラジカル重合触媒(C2)の存在下、前記単量体成分を重合する請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記圧縮性流体(A)が二酸化炭素の超臨界流体である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記ビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)が、
ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)からなる群から選択される1種の単量体のみを重合して得られる単独重合体、又は、
前記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも2種の単量体の共重合体、又は、
前記(B)、(B1)及び(B2)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体と、(B)、(B1)及び(B2)以外の他のビニル化合物(b)との共重合体
のいずれかである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
他のビニル化合物(b)が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記カチオン重合触媒(C1)又はラジカル重合触媒(C2)がフッ素含有触媒である請求項3〜6のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】
さらに、界面活性剤(D)を添加して重合する請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項9】
前記界面活性剤(D)がフッ素基含有化合物である請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記界面活性剤(D)が、ビニルフェノール単量体(B)、ビニルフェノール単量体の誘導体(B1)及びビニルナフトール単量体(B2)と共重合可能な化合物である請求項8又は9記載の製造方法。
【請求項11】
ビニルフェノール単量体(B)及び/又はビニルフェノール単量体の誘導体(B1)が、(B)及び(B1)以外の不純物を(B)及び(B1)の合計重量に対して80重量%以下含有するものである請求項1〜10のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
重合反応が圧力7〜70MPa、温度31〜150℃で行われる請求項1〜11のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項13】
前記圧縮性流体(A)が二酸化炭素であり、重合反応が圧力7〜30MPa、温度31〜50℃で行われる請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
核磁気共鳴法における化学シフトδの値が7.4〜7.6ppmの範囲内に、多重線である特性吸収を有する化合物(X)を1000ppm以下含有するビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)。
【請求項15】
チタン、クローム、鉄、亜鉛、パラジウム、ナトリウム、カリウム、及びニッケルの合計含有量が100ppb以下であるビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のビニルフェノール重合体(P1)又はビニルナフトール重合体(P2)を含有する半導体用フォトレジスト。

【公開番号】特開2006−257412(P2006−257412A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37027(P2006−37027)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】