説明

ビニル芳香族炭化水素系樹脂シート

【課題】耐折り曲げ性と透明性を維持しながら、カバーテープの剥離強度の高いキャリアテープ用樹脂シート及び、キャリアテープを提供する。
【解決手段】少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとを含み、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(a)、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックCと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックDとを含み、その共役ジエン部分の80%以上が水素添加され、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(b)、スチレン系樹脂(c)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(d)からなり、(a)、(b)、(c)、(d)の質量比(a)/(b)/(c)/(d)が20〜70/3〜20/67〜5/5〜20であるビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物から構成される層を少なくとも表面に有する樹脂シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛性と耐折り曲げ性、透明性のバランスに優れ、カバーテープの剥離強度の安定したビニル芳香族炭化水素系樹脂シート及び、キャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にスチレン系樹脂は成形加工性、剛性、透明性などに優れ、且つ安価で比重が低く経済的にも優れており、スチレン系樹脂で構成されたシートは多岐の分野で使用されている。
これまで、IC、LSI等の電子部品を電子機器に実装するためのキャリアテープは塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂等で構成されたシートで成形され、例えばスチレン系樹脂シートとしては、汎用ポリスチレン樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体とを混合したシートで形成されている。キャリアテープは、その使用形態から透明性、剛性、耐衝撃性、耐折り曲げ性及び成形性等の物性をバランスさせることが要求されており、これまで、これらの特性の向上と良好な物性バランスを得るために種々の検討がなされてきた。
【0003】
例えば、透明性、成形性、耐衝撃性に優れるキャリテープを得るため、特定のグラフト率と特定のゴム粒子径を有する耐衝撃性スチレン系樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなるエンボスキャリテープが開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
また、透明性、耐衝撃性、剛性、耐折り曲げ性、成形性に優れるキャリアテープを得るために、ポリマー構造の異なる2種類のスチレン−ブタジエン共重合体とポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンからなるキャリアテープが開示されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
また、キャリアテープは、検査用、あるいは、実装用のための穴を打ち抜き加工する必要があるが、この際、ヒゲバリと言われる樹脂の切りかすが発生する問題があり、このヒゲバリの脱落物が内容物であるIC等に付着し、絶縁されているべき個所の間のショート(短絡)や、汚染の原因になるため重大な問題となっている。
この問題を解決するため、 スチレン系樹脂を主体とする組成物にSBR系樹脂を5〜20重量部配合したキャリアテープが開示されている(例えば特許文献5参照)。
キャリアテープは、電子部品をテープのポケットに収納した後、カバーテープをヒートシールしなければならず、輸送工程で剥がれず、実装工程においては剥がしやすい適度に安定した剥離強度を有することが必要であるが、上記のような方法をとると、剥離強度の安定性が損なわれるという欠点があった。
【特許文献1】特開2003−055526号公報
【特許文献2】特開2005−023268号公報
【特許文献3】特開2005−281555号公報
【特許文献4】特開2006−232914号公報
【特許文献5】特開2006−131693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐折り曲げ性と透明性を維持しながら、ヒートシールしたカバーテープの剥離強度の安定性に優れた樹脂シート及びキャリアテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体及び、特定のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加したブロック共重合体を使用して得られたビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物を少なくとも表層に有するシートが、透明性、耐折り曲げ性を維持しながら、更にカバーテープとの剥離強度の安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとを含み、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(a)、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックCと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックDとを含み、その共役ジエン部分の80%以上が水素添加され、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(b)、スチレン系樹脂(c)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(d)からなり、(a)、(b)、(c)、(d)の質量比(a)/(b)/(c)/(d)が20〜70/3〜20/67〜5/5〜20であるビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物から構成される層を少なくとも表層に有する樹脂シート。
[2]ビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物から構成される層が、カバーテープとの接着面になるように成形されたことを特徴とする上記〔1〕に記載の樹脂シートよりなるキャリアテープ。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、透明性、耐折り曲げ性に優れ、更にヒートシールしたカバーテープの剥離強度の安定したキャリアテープの提供が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いるブロック共重合体(a)は、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBから構成されるブロック共重合体である。
ここでビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAとはビニル芳香族炭化水素含有量を50質量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックであり、共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとは共役ジエンを50質量%を越える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックをいう。
【0009】
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックA或は共役ジエンを主体とする重合体ブロックB中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存してもよい。
また、ブロック共重合体(a)が少なくとも一つの共役ジエン単独重合体ブロックBと少なくとも一つのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合体ブロックBの2種類のブロックを分子内に同時に併せ持つ構造であってもよい。このようなブロック構造を有するブロック共重合体(a)を使用した場合、透明性や剛性のバランスに優れ、更に耐折り曲げ性の経時的な低下が少ない。
【0010】
ブロック共重合体(a)が複数個の重合体ブロックA(またはB)を有する場合、それらは分子量、組成、種類等が異なっていても良い。
本発明で用いるブロック共重合体(a)は、基本的には従来公知の手法で製造することができ、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報などに記載された手法が挙げられる。上記の公知の手法はすべて、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブロック共重合する手法である。本発明で用いるブロック共重合体のポリマー構造は例えば
A−(B−A)、A−(B−A)−B、B−(A−B)n+1
〔上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。ブロックAとブロックBとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5である。〕で表される線状ブロック共重合体、あるいは
[(A−B)m+1−X、[(A−B)−A]m+1−X、[(B−A)m+1−X、
[(B−A)−B]m+1−X
〔上式において、A、Bは前記と同じであり、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。〕で表されるラジアルブロック共重合体である。また、上記のブロック共重合体を2種類以上混合して使用することもできる。
【0011】
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。代表的なビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、p−メチルスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合して使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。代表的な共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合して使用してもよい。
【0012】
1,3−ブタジエンとイソプレンを併用する場合、1,3−ブタジエンは10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。1,3−ブタジエンが10質量%以上であると、成形時等に熱分解を起こさず分子量が低下しないためスチレン系樹脂シートとして好ましく用いることができる。
炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0013】
有機リチウム化合物としては、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0014】
ブロック共重合体(a)を製造する際の重合温度は、一般的には−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃の範囲である。重合に要する時間は、条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には1〜10時間の範囲である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意することが望ましい。
【0015】
ブロック共重合体(a)のビニル芳香族炭化水素含有量の範囲は60〜90質量%であり、好ましくは65〜85質量%の範囲、より好ましくは70〜85質量%の範囲である。ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が60質量%以上90質量%以下ではスチレン系樹脂シートの剛性と透明性に優れる。
ブロック共重合体(a)中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率の範囲は40〜100%が好ましく、より好ましくは60〜98%であり、さらに好ましくは70〜95%であり、特に好ましくは80〜95%であり、最も好ましくは90〜95%である。ブロック率が40%以上の場合は、ビニル芳香族炭化水素系樹脂シートの剛性に優れるために好ましく、70%以上の場合は、剛性と耐折り曲げ性のバランスに優れるため好ましく、80%以上の場合は、非常に高い剛性と適度な耐折り曲げ性を発現するために好ましい。90%以上の場合は、より高い成形精度を発現しやすいために好ましい。ビニル芳香族炭化水素ブロックのブロック率は、ブロック共重合体の製造時において少なくとも一部のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンが共重合する工程におけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。具体的な方法としては、(イ)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は、(ロ)極性化合物或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する、等の方法が採用できる。
【0016】
尚、本発明においてブロック共重合体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は、四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を定量し、下記の式から求めた。
ブロック共重合体のビニル芳香族
炭化水素重合体ブロックの質量%
ブロック率(%)= ――――――――――――――――― ×100
ブロック共重合体の全ビニル
芳香族炭化水素の質量%
ブロック共重合体(a)は、2種類以上の混合物であっても構わない。特にブロック率が80%以上のブロック共重合体と80%以下のブロック共重合体を併用することにより、長期保管時あるいは船の倉庫内のような高温下での輸送後でも耐折り曲げ性を損なわないためにより好ましい。更にブロック率が90%以上のブロック共重合体と80%以下のブロック共重合体を併用することにより、経時の耐折り曲げ性を損なわない上に、成形精度にも優れるためにより好ましい。
【0017】
ブロック共重合体(a)の配合量は、ビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物に対し20〜70質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜47質量%、更に好ましくは20〜45質量%、最も好ましくは30〜40質量%である。20〜70質量%では剛性、耐折り曲げ性、透明性のバランスに優れるので好ましい。20〜47質量%では長尺テープをスパイラル状に巻いたときの巻き癖が残り難くなり好ましい。20〜45質量%では耐折り曲げ性を損なわずに高剛性となり、成形精度が特に優れるので好ましい。30〜40質量%の範囲にあっては、更に耐折り曲げ性と剛性のバランスが優れるので好ましい。
【0018】
ブロック共重合体(b)は、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックCと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックDとを含み、その共役ジエン部分の80%以上が水素添加されたブロック共重合体である。
ブロック共重合体(a)と同様の手法で、得られた共重合体の共役ジエン部分を水素添加、いわゆる水添することによって得られる。
ブロック共重合体(b)を得るための水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である下記の水添触媒を用いることができる。
(1)NI、Pt、Pd、Ru等の金属をカ−ボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒(2)NI、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒(3)TI、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒、具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。
【0019】
好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
【0020】
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜7MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
本発明に使用するブロック共重合体(b)において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は80%以上とすることがカバーテープとの良好な剥離強度のために好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
【0021】
ブロック共重合体(b)中のビニル芳香族炭化水素含有量は、60〜90質量%である。この範囲にあることで透明性に優れる。好ましくは、65〜80質量%である。ブロック共重合体(b)中のビニル芳香族炭化水素重合体成分の含有量は、水添前のブロック共重合体を前述の酸化分解する方法で把握することができる。
ブロック共重合体(b)の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、前述の極性化合物等の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。 一般に、ビニル結合量は5〜90%、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜75%の範囲で設定できる。なお、ビニル結合量とは、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)である。ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により把握することができる。
【0022】
ブロック共重合体(b)の配合量は、ビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物に対し3〜20質量%、好ましくは5〜10質量%、である。3〜20質量%では、良好な剥離強度が得られるため好ましく、5〜10質量%では、優れた剥離強度と透明性に優れるため好ましい。
本発明で使用するスチレン系樹脂(c)は、スチレンもしくはこれと共重合可能なモノマーを重合して得られるものである。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、シアン化ビニル系単量体(例えばアクリロニトリルなど)、不飽和多価カルボン酸又はその無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその無水物)、イミド系単量体[(例えば、マレイミド、N−アルキルマレイミド、(例えば、N−C14アルキルマレイミド等)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−シクロヘキシルマレイミド等)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミド等))、アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−4アルキルエステル等]等が挙げられる。これらの共重合可能な単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル、スチレン−メタクリル酸メチル等が挙げられるが、特に好ましいスチレン系樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル、スチレン−メタクリル酸メチルを挙げることができる。
【0023】
スチレン系樹脂(c)の重量平均分子量(Mw)は18万以上40万以下が好ましく、分子量の選定は、シートあるいは、キャリアテープの要求特性によって、適宜選択することができる。例えば、シートあるいは、キャリアテープのクリア感を重視する場合には比較的重量平均分子量の低いMw=18〜29万程度のスチレン系樹脂を選択することが好適であり、耐折り曲げ性を重視する場合には、Mw=30万〜40万のスチレン系樹脂を選択することが好適であるが、分子量の低いスチレン系樹脂と高いスチレン系樹脂を併用しても構わない。
スチレン系樹脂(c)の配合量はビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物に対し5〜67質量%であり、好ましくは25〜50質量%である。配合量が5〜67質量%では耐折れ曲げ性と剛性のバランスに優れ、25〜50量%では、良好な成形精度を発現するために好ましい。
【0024】
本発明で用いる耐衝撃性ポリスチレン樹脂(d)は、ブタジエ系ゴム状重合体をスチレンに溶解後、スチレンの重合を開始し、ゴム状重合体にスチレンがグラフト重合する条件下で重合を行ったものである。グラフトされたゴム状重合体が形成するゴム粒子の平均粒子径が1.0μm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは、2.0μm〜5μmの範囲であり、更に好ましくは、2.2μm〜4μmの範囲である。1.0〜2.0μmの範囲では特に透明性が重視される場合に好ましく、2.0μm〜5μmの範囲では、透明性を維持しつつ剛性と耐折り曲げ性を発現できるために好ましい。ゴム粒子径は、当業者に良く知られた方法、例えば位相差顕微鏡、電子顕微鏡、遠心沈降法、コールターカウンター法等の方法で測定できる。また、(d)成分の配合量は、ビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物に対し5〜20質量%であり、好ましくは8〜15質量%である。5〜20質量%の範囲では、透明性を維持したまま高い耐折り曲げ性を発現できる。
【0025】
更に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の金属塩、ステアリルアルコール、ステアリン酸メチル、パルミチン酸メチル等の高級アルコールや、高級脂肪酸エステル、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤,ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0026】
樹脂シートの厚みは特に制限はないが、好ましくは10μm〜2mm、より好ましくは50μm〜1mm、更に好ましくは100〜500μm程度である。シートの製造方法は特に制限はないが、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機等で調製した樹脂組成物を1軸又は2軸押出機に供給し、加熱溶融混練りしてダイ(フラット状、T状、円筒状等)から押出して成形できる。シートは、1軸延伸又は2軸延伸しても良いが、押出方向に引き取りを作用した未延伸シートが好ましい。
樹脂シートは、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分から構成される組成物を単層で用いても良いし、該組成物を表層に有する多層樹脂シートとして用いることもできる。多層樹脂シートの場合、表層以外の層に用いる樹脂は、特に制限はないが、前述のスチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、ゴム変性スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいは、これらから選ばれる樹脂の混合物1層以上用いることができる。
【0027】
この様にして得られたビニル芳香族炭化水素系樹脂シートは圧空成形(押出圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形等)、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、マッチモールド成形、熱板成形等の慣用の熱成形などで、簡便に二次成型品に成形することができる。
本発明のビニル芳香族炭化水素系樹脂シートは、カバーテープとのヒートシール性が優れる。従って、半導体や電子部品搬送用成形品、特に電子部品を収容するための凹部を有し、カバーテープで密封して電子部品を収納するキャリアテープ(エンボスキャリアテープ)等に有用である。キャリアテープでは、電子部品を収納した後にカバーテープにより蓋をしたものを含む。
【0028】
カバーテープとは、シーラント層を構成する成分として、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、スチレン−オレフィンブロック共重合体の中から選ばれる少なくとも1種の共重合体、あるいは、これらの混合物を含むことが好ましく、この条件を満たすカバーテープであれば、その層構造、外層の樹脂成分には、特に制限はない。
シーラント層を構成するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体におけるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどが上げられる。シーラント層を構成するスチレン−オレフィンブロック共重合体としては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレンジブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレンジブロック共重合体などが挙げられる。
【0029】
カバーテープに用いるフィルムは、帯電防止処理を行ったものも用いることができる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤系帯電防止剤、高分子型帯電防止剤、及び酸化アンチモンや酸化スズなどの金属酸化物微粒子を含有する導電化剤等を、グラビアロールを用いたロールコーターやスプレー等により塗布したものを用いることができる。また、帯電防止処理を行う前に、これらの帯電防止剤を均一に塗布するためにフィルムの表裏面をコロナ放電処理やオゾン処理したものが好ましい。
また、ビニル芳香族炭化水素系樹脂シートの少なくとも一方の表面に、シリコーンオイルや、シリコーンオイルに乳化剤や界面活性剤などを添加して水溶液としたものを、グラビアロールコーター方式や噴霧方式で塗布し、熱風乾燥したものを使用してもよい。このようなシリコーンオイルを含有する表面層を有するたシートは、エンボス成形機の金型との離型性が良好であるため、エンボス成形性が向上する。
【実施例】
【0030】
次に実施例によって本発明を説明する。
本願発明および実施例で用いた評価法をまず説明する。
(A)評価
(1)スチレンブロック率
四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分を定量し、下記の式から求めた。
ブロック共重合体のビニル芳香族
炭化水素重合体ブロックの質量%
ブロック率(%)= ――――――――――――――――― ×100
ブロック共重合体の全ビニル
芳香族炭化水素の質量%
(2)スチレン含有量
ブロック共重合体を約40mg精秤した後、100mlのクロロホルムに溶解し、溶解した溶液を紫外分光光度計(装置名:UV−2450;島津製作所)を用いてスチレン部の吸光度を測定する。その後、吸光度とスチレン重量の検量線からブロック共重合体中のスチレン含量を求めた。
【0031】
(3)水添率
水添率は核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ドイツ国、BRUKER社製)で測定した。
(4)耐折り曲げ性試験
JIS P8115−2001に準拠し、荷重1.0kgf、折り曲げ角度135℃の条件にて破断に至る折り曲げ回数をシートの押出し方向(MD)について測定した。
(5)引張り弾性率
ASTM D638に準拠し、ミネベア株式会社製TG−5KN型試験機を用い、試験速度5mm/minでMDについて測定した。
【0032】
(6)全光線透過率及び、ヘイズ
JIS K7105に準拠し、日本電色株式会社製ヘイズメータ(1001DP)を用いた。測定においては、流動パラフィン塗布により行った。
(7)カバーテープの剥離強度試験
TESTER SANGYO CO.,LTD社製ヒートシールテスター(TP−701−B)を用い、圧力0.3MPa、温度150℃、時間3秒で、カバーテープと本発明のシートを熱融着し、剥離強度試験サンプルを作成した。
サンプル作成後、4時間経過後、及び65℃×96時間経過後に、ミネベア株式会社製TG−5KN型試験機を用い試験速度200mm/minにて、引張り試験を行い剥離強度を測定した。
【0033】
(B)使用した原材料
(1)ブロック共重合体(a−1)
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で
i)スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.080質量部を添加し、80℃で20分間重合した。
次にii)スチレン15質量部と1,3−ブタジエン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を60分間連続的に添加して80℃で重合した。
次にiii)スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を25分間連続的に添加して80℃で重合した後、80℃で10分間保持した。その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体100質量部に対して0.5質量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体(a−1)を得た。ブロック共重合体は、スチレン/1,3−ブタジエン=100/0質量比である重合体ブロックA、スチレン/1,3−ブタジエン=38.5/61.5質量比である重合体ブロックB、スチレン/1,3−ブタジエン=100/0質量比である重合体ブロックAよりなるA−B−A型ブロック重合体である。また、得られたブロック共重合体a−1は、数平均分子量85000、スチレン含有量は77.5質量%、スチレンブロック率は79%、また、メルトフローレートは7g/10分(ASTM D1238に準拠、200℃、荷重5kg)であった。
【0034】
(2)ブロック共重合体(a−2〜a−4)
ブロック共重合体(a−1)と同様の手法を用い、(a−1)のi)、ii)、iii)にて添加するスチレン、1,3−ブタジエンの添加量及び、n−ブチルリチウムの添加量を適宜コントロールすることで、ブロック共重合体(a−2〜a−4)を作成した。
尚、n−ブチルリチウムの添加量を少なくすると分子量は大きくなる。i)、iii)で添加するスチレン量に対し、ii)で添加するスチレン量を増やすとスチレンブロック率は低下する。
得られたブロック共重合体(a−1)〜(a−4)の性状を表1に示した。
【0035】
(3)ブロック共重合体(b−1〜b−3)
水添前のブロック共重合体として、ブロック共重合体(a−1)に示した手法と同様にC−D−C型のブロック重合体を作成したのち、水添反応を行い、(b−1)スチレン65重量%とブタジエン35重量%とからなり、ブロック率100%であるブロック共重合体の水添物及び、(b−2)スチレン80重量%とブタジエン20重量%とからなり、ブロック率100%であるブロック共重合体の水添物を得た。
水添触媒は、窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた水添触媒を使用した。
水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物を得た。
ブロック共重合体水添物の水添率は、水添率が97%になるように水素量で調整した。
また、比較例に非水添のスチレン−ブタジエンブロック共重合体として旭化成ケミカルズ株式会社製、タフプレン126(商品名)を用いた。(b−3とする。)
【0036】
(4)ポリスチレン
PSジャパン株式会社製、HF77(c−1)を用いた。
(5)ハイインパクトポリスチレン(HIPS)
PSジャパン株式会社製、475D(d−1)を用いた。
(6)カバーテープ
市販のカバーテープを入手し、剥離試験用カバーテープとして使用した。
カバーテープは、4層構造からなり、表層がポリエチレンテレフタレート、接着層を介してエチレンビニルアセテートが積層されており、さらに、キャリアテープとの接着面側は、エチレンビニルアセテートと水添スチレン−ブタジエン共重合体の混合物層とからなる。
【0037】
[実施例1〜5および比較例1〜5]
ユニオンプラスチックス株式会社製Tダイ装着押し出し機(USV型/バレル径40mmφ、L/D=28、幅400mmTダイ装着)のホッパーに表2に示す配合にて各原料ペレットを投入した。押し出し機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を各々210℃、210℃に調整し、厚さ約0.3mmのシートを押し出し成形した。
得られたシートについて、(評価)の項目で記載した手法に基づいて、耐折り曲げ性、引張り弾性率、ヘイズ、カバーテープ剥離強度を測定した。結果を表2に示した。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の樹脂シートは、透明性、耐折性を損なうことなく、カバーテープの剥離強度の安定したキャリアテープを提供しうる材料となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとを含み、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(a)、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックCと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックDとを含み、その共役ジエン部分の80%以上が水素添加され、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜90質量%である少なくとも1種のブロック共重合体(b)、スチレン系樹脂(c)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(d)からなり、(a)、(b)、(c)、(d)の質量比(a)/(b)/(c)/(d)が20〜70/3〜20/67〜5/5〜20であるビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物から構成される層を少なくとも表層に有する樹脂シート。
【請求項2】
ビニル芳香族炭化水素系樹脂組成物から構成される層が、カバーテープとの接着面になるように成形されたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートからなるキャリアテープ。

【公開番号】特開2009−191187(P2009−191187A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34178(P2008−34178)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】