説明

ビン検査装置、並びにビン入り飲食品の製造方法及びビン入り飲食品

【課題】検査対象のビンの中に、正常品のビン(充填時に設定した形状のビン)とは異なるビン(異種ビン:設定外の形状のビン)が含まれているときに、異種ビンが存在することを簡単に検知することに適したビン検査装置を提供する。
【解決手段】立設されているビンに対して上側から装着される検査ヘッドと、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに対して上側から装着されている状態の前記検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えており、前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記検査ヘッドが装着されたビンが正常品のビンであるか否かを把握するビン検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビンの検査装置に関し、特に、検査対象になっている複数のビンの中に、飲食品の充填前や充填時に設定した形状のビンとは異なるビンが混入しているときに、これを簡単に検知することのできるビン検査装置に関する。
【0002】
また、ビンに飲食品を充填(封入)して、ビン入り飲食品を生産するライン(製造工程)における洗浄工程や検品工程に、このようなビン検査装置が組み込まれているビン入り飲食品の製造方法と、これにより製造されたビン入り飲食品に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス瓶などのビンを検査、選別する方法、装置に関しては、以前から種々の技術が提案されており、例えば、特許文献1には、ガラス瓶を検査、選別する方法、装置が提案されている。
【0004】
ところで、今日では省資源の観点もあって、ガラス瓶などをリターナブルビンとして使用する機会が従来に増して多くなっている。また、様々な消費者の需要に対応するために、形状や容量の異なるリターナブルビンを複数種で保有することが一般的になっている。その際に、既存のビン充填装置を活用するためや、商品の見栄え及び生産効率を向上するために、飲み口の「口径」や「高さ」が同一であるビンを採用することが有効である。
【0005】
しかしながら、飲み口の「口径」や「高さ」が同一であるがゆえに、ビンの形状や容量を基準にして分別(仕分け)していても、飲食品の充填前や充填時に予め設定した形状のビン(以下、本明細書において「正常品のビン」ということがある)の中に、設定外の形状のビン(以下、本明細書において「異種ビン」ということがある)が入る可能性を否定できない。特に単位時間あたり大量に処理する充填装置の場合、異種ビンの混入により、不良品の排出、充填工程の中断などに伴い、製造自体が停止することとなり、生産効率が低下することがある。正常品のビンと飲み口の「口径」や「高さ」が同一で、類似性の高い異種ビンを充填装置で扱う(処理する)前に、効率的に検出して排出できれば、異種ビンの混入の問題は回避されるが、これまでの技術では十分には解決できなかった。
【0006】
リターナブルビンを使用した商品として、日本では宅配の牛乳や乳飲料など(宅配製品)が挙げられるが、複数のメーカーがそれぞれのリターナブルビンに飲食品を封入して市場に供給している。消費者は各人の好みに応じて、複数のメーカーから自由に宅配製品の契約を締結することができ、自宅に居ながら、複数のメーカーからリターナブルビンに飲食品を封入した宅配製品を入手することができる。それぞれのメーカー(会社)に、リターナブルビンの回収システムは存在するが、形状や容量が類似している場合、誤って他のメーカーのリターナブルビンが回収されることもあり、結果的に、異種ビンが混入することとなる。これら他のメーカーのビンの混入においても、異種ビンを充填装置で扱う前に、効率的に検出して排出できれば、異種ビンの混入の問題は回避されるが、これまでの技術では解決できなかった。
【0007】
つまり、正常品のビン(飲食品の充填前や充填時に予め設定した形状のビン)以外の異種ビン(設定外の形状のビン、例えば、正常品のビンに形状が類似している異種ビン)を洗浄工程や検品工程などの際に排出する(取り除く)ことが必要になるが、このような場合に適用できるビン検査装置は、これまで提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−148469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、検査対象のビンの中に、正常品のビン(飲食品の充填前や充填時に予め設定した形状のビン)とは異なるビン(異種ビン:設定外の形状のビン)が含まれているときに、異種ビンが存在することを簡単に検知することに適したビン検査装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
飲食品の充填前や充填時に設定した形状のビンである正常品のビンの中に、設定外の形状のビンである異種ビンが混入していて、この異種ビンに対して検査用の治具、例えば、検査ヘッドを上から装着した場合、当該検査用治具の上端側の高さの位置が正常品のビンに検査ヘッドを上から装着した場合とは異なったものになる。本願の発明者等は、この点に着目して本願発明を完成させたものである。
【0011】
本願の請求項1記載の発明は、
立設されているビンに対して上側から装着される検査ヘッドと、
予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに対して上側から装着されている状態の前記検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えており、
前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記検査ヘッドが装着されたビンが予め設定した形状のビンであるか否かを把握することを特徴とする
ビン検査装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、
同一の水平面に並べて立設されている複数本のビンのそれぞれに対して上側から装着される複数個の検査ヘッドと、
予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記複数本のビンに対して上側から装着されている状態の前記検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えており、
前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記複数個の検査ヘッドの中のいずれかの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記複数個の検査ヘッドが装着された複数本のビンの中に予め設定した形状のビンとは異なる形状のビンが含まれていることを把握することを特徴とする
ビン検査装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、
前記検査ヘッドは、外側検査ヘッドと、外側検査ヘッドの内側に配備される内側検査ヘッドとからなり、
前記外側検査ヘッドは、径方向外側に向けて突出する外側検査ヘッドの鍔部を上端に備えていると共に、上下方向に内部を貫通する内部空間部を備えていて、当該内部空間部の下端側が外側検査ヘッドの下端開口を形成し、
前記内側検査ヘッドは、前記外側検査ヘッドの内部空間部を上下方向にスライド可能な筒状部の上端側に形成されていて前記内部空間部を挿通できない寸法(大きさ)の内側検査ヘッドの鍔部と、当該筒状部の下端側に形成されている内側検査ヘッドの下端開口とを備えていて、
前記検査ヘッドの上端側による前記複数本の検査光の遮光は、前記外側検査ヘッドの鍔部及び/又は内側検査ヘッドの鍔部によって行われることを特徴とする
請求項1又は2記載のビン検査装置である。
【0014】
請求項4記載の発明は、
前記内側検査ヘッドの鍔部が鉛直方向の上側に向けて突出したことを検知する近接スイッチを更に備えていることを特徴とする
請求項3記載のビン検査装置である。
【0015】
請求項5記載の発明は、
予め設定した形状のビンと飲み口の口径及び/又は高さが同一で、形状が当該予め設定した形状のビンとは異なるビンが検査対象のビンの中に含まれているときに、当該形状が異なるビンを検出することを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一項に記載のビン検査装置である。
【0016】
請求項6記載の発明は、
上下が逆転して立設されているビンが検査対象のビンの中に含まれているときに、当該上下が逆転して立設されているビンを検出することを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一項に記載のビン検査装置である。
【0017】
請求項7記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか一項記載のビン検査装置で検査が終了した後の予め設定した形状のビンに対して、飲食品を封入して製造するビン入り飲食品の製造方法である。
【0018】
請求項8記載の発明は、
請求項7の製造方法により製造されたビン入り飲食品である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、検査対象のビンの中に、正常品のビン(飲食品の充填前や充填時に予め設定した形状量のビン)以外のビン(異種ビン=設定外の形状のビン)が含まれているときに、異種ビンが存在することを簡単に検知することに適したビン検査装置を提供することができる。
【0020】
そして、予め設定した形状のビンと飲み口の口径及び/又は高さが同一で、形状が異なるビンが検査対象のビンの中に含まれている場合であっても、当該形状が異なるビンを検出することに適したビン検査装置を提供することができる。
【0021】
このとき、特に予め設定した形状のビンと飲み口の口径及び高さが同一で、形状が異なるビンが検査対象のビンの中に含まれている場合であっても、当該形状が異なるビンを検出することに適したビン検査装置を提供することができる。
【0022】
これによって、正常品のビン以外の類似の異種ビンを洗浄工程や検品工程などの際に、効率的に排出する(取り除く)ことが可能になり、ビンに飲食品を封入して、ビン入り飲食品を製造する際に生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のビン検査装置が複数本を並列に設置しているビンの検査に適用されている状態を説明する一部を省略した正面図。
【図2】本発明のビン検査装置が複数本を並列に設置しているビンの検査に適用されている状態を説明する一部を省略した平面図。
【図3】本発明のビン検査装置に採用される検査ヘッドの一例を説明する図であって、(a)は、外側検査ヘッドの構造を説明する一部を断面した側面図及び、底面図、(b)は、内側検査ヘッドの構造を説明する一部を断面した側面図及び、底面図、(c)は、外側検査ヘッド内に内側検査ヘッドが内装されて構成された検査ヘッドの一部を断面した側面図及び、底面図。
【図4】本発明のビン検査装置による検査原理の一例を説明する図であって、(a)は、正常品のビンに上側から検査ヘッドが装着されて検査されている状態を説明する正面図、(b)、(c)は、正常品とは形状が異なるビン(異種ビン)に上側から検査ヘッドが装着されて検査されている状態を説明する正面図。
【図5】本発明のビン検査装置による検査原理の他の例を説明する図であって、(a)は、正常品のビンに上側から検査ヘッドが装着されて検査されている状態を説明する正面図、(b)、(c)は、正常品とは形状が異なるビン(異種ビン)に上側から検査ヘッドが装着されて検査されている状態を説明する正面図。
【図6】本発明のビン検査装置で検査を行う際の、外側検査ヘッドの鍔部、内側検査ヘッドの鍔部の高さを説明する側面図。
【図7】(a)、(b)は、検査対象のビンの中に、上端開口側が細く、高さの大きい異種ビンが存在することを検知する状態を説明する正面図。
【図8】検査対象のビンの中に、逆さになっているビンが存在することを検知する状態を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のビン検査装置は、立設されているビンに対して、上側から装着される検査ヘッドと、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに上側から装着されている状態の検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えている。
【0025】
本発明のビン検査装置は、前記の複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記検査ヘッドが装着されたビンが予め設定した形状のビンであるか否かを把握するものである。
【0026】
ここで、鉛直方向や水平方向などとは、ほぼ鉛直方向や水平方向であるが、完璧に鉛直方向や水平方向ではない、いわゆる「略鉛直方向」や「略水平方向」の状態も含まれることを意味する。
【0027】
すなわち、ビンの形状が異なる場合、立設されているビンに対して、上側から装着される検査ヘッドの上端側の高さの位置は、当該ビンの形状に応じて異なるものになる。
【0028】
そこで、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されている複数個の光電センサから、ビンに上側から装着されている状態の検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に発射された検査光は、ビンの形状に応じて異なる高さ位置になっている検査ヘッドの上端側で遮光されたり、あるいは遮光されずに直進することになる。
【0029】
本発明のビン検査装置は、これを利用して、検査対象のビンが充填前や充填時に設定した形状のビン(正常品のビン)であるか、あるいは、正常品のビンとは異なるビン(異種ビン:設定外の容量のビン)であるかを把握するものである。
【0030】
正常品のビンであると認識したいビンに上側から検査ヘッドを装着し、前述したように予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されている複数個の光電センサから検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に発射した検査光の中のうち、どの高さの位置のものが遮光され、どの高さの位置のものが直進するかを予め確認しておく。そして、これとは異なる結果になったときに、検査ヘッドの上端の高さの位置が相違している、すなわち、実際に検査したビンの形状が、正常品のビンとは異なっていると判定するものである。
【0031】
また、本発明の他のビン検査装置は、同一の水平面に並べて立設されている複数本のビンのそれぞれに対して、上側から装着される複数個の検査ヘッドと、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに上側から装着されている状態の検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えている構成にすることができる。
【0032】
このビン検査装置は、前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記複数個の検査ヘッドの中のいずれかの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記複数個の検査ヘッドが装着された複数本のビンの中に予め設定した形状のビンとは異なるビンが含まれていることを把握するもので、複数本のビンが並列設置されているときの検査に利用することができる。
【0033】
なお、ビンに飲食品(例えば、牛乳、乳飲料、発酵乳など)を充填(封入)して、ビン入り飲食品を製造する連続的な製造工程(生産ライン)における洗浄工程や検品工程に、本検査装置を組み込むことができ、この場合、単位時間あたりの検査本数は特に制限されないが、1時間あたり24000本の検査が可能であることは実証済みである。
【0034】
前記いずれの本発明のビン検査装置においても、前記検査ヘッドは、外側検査ヘッドと外側検査ヘッドの内側に配備される内側検査ヘッドとからで構成することができる。
【0035】
この場合、前記外側検査ヘッドは、径方向外側に向けて突出する外側検査ヘッドの鍔部を上端に備えていると共に、上下方向に内部を貫通する内部空間部を備えていて、当該内部空間部の下端側が外側検査ヘッドの下端開口を形成している構造にすることができる。
【0036】
一方、前記内側検査ヘッドは、前記外側検査ヘッドの内部空間部を上下方向にスライド可能な筒状部の上端側に形成されていて、径方向外側に向けて突出し、前記内部空間部を挿通できない寸法(大きさ)の内側検査ヘッドの鍔部と、当該筒状部の下端側に形成されている内側検査ヘッドの下端開口とを備えている構成にすることができる。
【0037】
そして、この場合、前記検査ヘッドの上端側による前記複数本の検査光の遮光は、前記外側検査ヘッドの鍔部及び/又は内側検査ヘッドの鍔部によって行われるようにすることができる。
【0038】
すなわち、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに上側から装着されている状態の検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサから発射される検査光が、大径部である外側検査ヘッドの鍔部の外周側、内側検査ヘッドの鍔部の外周側を通る位置になるように、複数個の光電センサを設置するものである。
【0039】
上述したように、内側検査ヘッドは、外側検査ヘッドの内側に上下方向に移動可能に配備されている。そこで、内側検査ヘッドの下端開口の寸法(大きさ)は、外側検査ヘッドの下端開口の寸法(大きさ)より小さい。立設されているビンに対して、上側から検査ヘッドを装着した際に、外側検査ヘッドの下端開口の下端がビンの外周壁に接して止まる高さの位置及び、内側検査ヘッドの下端開口の下端がビンの外周壁に接して止まる高さの位置は、ビンの形状に応じて異なる。
【0040】
この際、内側検査ヘッドは、外側検査ヘッドの内側に上下方向にスライド可能に配備されていることから、検査ヘッドがビンに上側から装着された際に、外側検査ヘッドの鍔部と、内側検査ヘッドの鍔部とは、外側検査ヘッドの下端開口及び、内側検査ヘッドの下端開口の下端がそれぞれビンの形状の相違に応じて、ビンの外周壁に接して止まる高さの位置に応じて、それぞれ独自に正常品のビンであると認定したビンに装着した場合とは異なる高さの位置をとるようになる。
【0041】
そこで、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されている複数個の光電センサから、ビンに上側から装着されている状態の検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に発射された検査光は、ビンの形状に応じて異なる高さの位置になっている検査ヘッドの上端側(外側検査ヘッドの鍔部、内側検査ヘッドの鍔部)で遮光されたり、あるいは遮光されずに直進する(透過する)ことになる。
【0042】
本発明のビン検査装置は、これを利用して、検査対象のビンが充填前や充填時に設定した形状のビン(正常品のビン)であるか、あるいは、正常品のビンとは異なるビン(異種ビン:設定外の容量のビン)であるかを把握するものである。正常品のビンであると認識したいビンに上側から検査ヘッドを装着し、前述したように予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されている複数個の光電センサから検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に発射した検査光の中のうち、どの高さの位置のものが遮光され、どの高さの位置のものが直進するかを予め確認しておく。そして、これとは異なる結果になったときに、検査ヘッドの上端の高さの位置が相違している、すなわち、実際に検査したビンの形状が、正常品のビンとは異なっていると判定するものである。
【0043】
そこで、例えば、鉛直方向の異なる高さの位置に、3個の光電センサを配置し、その中の1個(第一の光電センサ)は、外側検査ヘッドの鍔部によって遮光されることがある高さの位置に、残りの2個(第二の光電センサ、第三の光電センサ)は、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光されることがある高さの位置に配置することができる。あるいは、逆に、その中の1個(第一の光電センサ)は、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光されることがある高さの位置に、残りの2個(第二の光電センサ、第三の光電センサ)は、外側検査ヘッドの鍔部によって遮光されることがある高さの位置に配置することができる。
【0044】
鉛直方向の異なる高さの位置に3個の光電センサを配置し、この3個が上述したように配置されていることにより、たとえ、検出すべき異種ビンが、予め設定した形状のビン(正常品のビン)と飲み口の口径及び/又は高さが同一であったとしても、形状が正常品のビンとは異なっていることから、外側検査ヘッドの鍔部、内側検査ヘッドの鍔部のどちらか一方は、正常品のビンに検査ヘッドが装着された際の高さの位置とは異なったものになる。
【0045】
そこで、検査ヘッドを上述した構造の外側検査ヘッドと内側検査ヘッドとからで構成することにより、予め設定した形状のビン(正常品のビン)と飲み口の口径及び/又は高さが同一で、形状が異なるビン(異種ビン)が検査対象のビンの中に含まれているときに、当該形状が異なるビン(異種ビン)を検出することを一層確実に行うことが可能になる。
【0046】
例えば、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとしては、以下に述べるような3個の組み合わせを採用することができる。
【0047】
正常品のビンを検査しているときに、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光され、正常品のビンを検査しているときよりも内側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が高くなったとき、あるいは低くなったときに遮光されない高さの位置の光電センサの1個と、正常品のビンを検査しているときに、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光されないが、正常品のビンを検査しているときよりも内側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が高くなったときに遮光される高さの位置の光電センサの1個と、正常品のビンを検査しているときに、外側検査ヘッドの鍔部によって遮光されないが、正常品のビンを検査しているときよりも外側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が低くなったときに遮光される高さの位置の光電センサの1個の組み合わせ(図4)。
【0048】
正常品のビンを検査しているときに、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光されないが、正常品のビンを検査しているときよりも外側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が低くなったときに遮光される高さの位置の光電センサの1個と、正常品のビンを検査しているときに、内側検査ヘッドの鍔部によって遮光され、正常品のビンを検査しているときよりも内側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が高くなったとき、あるいは低くなったときに遮光されない高さの位置の光電センサの1個と、正常品のビンを検査しているときに、外側検査ヘッドの鍔部によって遮光されないが、正常品のビンを検査しているときよりも外側検査ヘッドの鍔部の高さの位置が低くなったときに遮光される高さの位置の光電センサの1個の組み合わせ(図5)。
【0049】
以上の本発明のビン検査装置において、前記内側検査ヘッドの鍔部が鉛直方向の上側に向けて突出したことを検知する近接スイッチを更に備えている構成にすることができる。
【0050】
検査すべきビンの上下が逆転して立設されている場合、外側検査ヘッドの内側に上下方向にスライド可能に内側検査ヘッドが配備されている検査ヘッドを上側から装着すると、内側検査ヘッドの下端開口端が逆さに立設されているビンの底に当接し、内側検査ヘッドが下方向に向けて移動できなくなるため、内側検査ヘッドの鍔部が大きく鉛直方向の上側に向けて突出することになる。あるいは、上下が逆転して立設されているビンに検査ヘッドを上側から装着すると、外側検査ヘッドの内径(R1)もビンの底部の径より小さいことにより、内側検査ヘッドの鍔部が大きく鉛直方向の上側に向けて突出するだけでなく、同時に、外側検査ヘッドの鍔部も大きく鉛直方向の上側に向けて突出することになる。
【0051】
そこで、前述した近接スイッチを備えている構成にすることによって、ビンの形状や容量の相違を検査する際に、あわせて、逆さになっているビンの存在を検知できるようにしたものである。
【0052】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は上述した実施形態及び以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【実施例1】
【0053】
図3〜図5を用いて、本発明の好ましい実施例を説明する。
【0054】
図3は、本発明のビン検査装置に採用される検査ヘッドの一例を説明するものである。
【0055】
図3に図示する検査ヘッド1(図3(c))は、外側検査ヘッド2と、外側検査ヘッド2の内側に配備される内側検査ヘッド3とからで構成されている。
【0056】
外側検査ヘッド2は、図3(a)に図示するように、径方向の外側に向けて突出する外側検査ヘッドの鍔部2aを上端に備えている。また、上下方向に内部を貫通する内部空間部2iを備えていて、内部空間部2iの下端側が外側検査ヘッドの下端開口2gを形成している。
【0057】
図3に図示する実施形態では、内部空間部2iの上端と下端との間に、内部空間部2i内に向けて突出する外側検査ヘッドの掛止部を備えている。すなわち、内部空間部2iの下端側の拡径部2cと、上端側の縮径部2bとの間に形成される段部2eが外側検査ヘッドの掛止部となっている。
【0058】
内側検査ヘッド3は、図3(b)に図示するように、外側検査ヘッド2の内部空間部2iを上下方向(矢印42、43方向)にスライド可能な筒状部3bを備えている。この筒状部3bの上端側には、径方向外側に向けて突出し、前記内部空間部2iを挿通できない寸法(大きさ)の内側検査ヘッドの鍔部3aが形成されている。また、筒状部3bの下端側には、内側検査ヘッドの下端開口3gが形成されている。
【0059】
図3に図示する実施形態では、内側検査ヘッド3は、筒状部3bから外側検査ヘッド2の方向に向けて突出し、外側検査ヘッドの掛止部と掛合する内側検査ヘッドの掛合部を備えている。すなわち、筒状部3bの下端側の拡径部3cと、上端側の縮径部との間に形成される段部3eが内側検査ヘッドの掛止部となっている。
【0060】
内側検査ヘッドの鍔部3aは外側検査ヘッド2の内部空間部2iを挿通できない寸法(大きさ)なので、図3(c)に図示するように、外側検査ヘッド2内に内側検査ヘッド3が内装されて、検査ヘッド1が構成されているときに、内側検査ヘッド3が矢印43方向に下降しても、外側検査ヘッドの鍔部2aの上端面2fと、内側検査ヘッドの鍔部3aの下端面3fとが当接した後には、内側検査ヘッド3は、それ以上には外側検査ヘッド2内を下側方向に向けて移動できなくなる。
【0061】
同様に、内側検査ヘッド3が矢印42方向に上昇しても、段部2eからなる外側検査ヘッド2の掛止部が、段部3eからなる内側検査ヘッド3の掛止部に当接した後には、内側検査ヘッド3は、それ以上には外側検査ヘッド2内を上側方向に向けて移動できなくなる。
【0062】
本発明の検査装置では、予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて立設されているビンに上側から装着されている状態の検査ヘッド1の方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサが採用されるが、鉛直方向の異なる位置に3個の光電センサが設置されている場合について、図4、図5を参照して、本発明のビン検査装置を説明する。
【0063】
図4(a)は、検査対象となっている複数のビンの中で、正常品のビンとして認識すべきビン31が立設されている状態で、上側から検査ヘッド1が装着された状態を説明するものである。
【0064】
3個の光電センサ(第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12)から水平方向に発射される検査光の中で、第一、第三の光電センサ10、12から発射された検査光は遮光されず、第二の光電センサ11から発射された検査光のみが遮光されている。
【0065】
そこで、3個の光電センサ(第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12)から水平方向に発射される検査光がこの状態であるときに、正常品のビン(予め設定した形状のビン)であると認定し、これ以外の状態になったときに、異種ビンである(予め設定した形状のビンではない)と認定することによって、ビンの形状の相違を把握することができる。
【0066】
正常品のビンとして認識すべきビン31以外のビン31a、31bが検査対象のビンの中に混入している場合、例えば、図4(b)に図示するビン31aが混入していて、これに検査ヘッド1が装着された場合には、ビン31aの外周がビン31より大きいことから、外側検査ヘッド2の下端開口端2dがビン31aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置が、図4(a)に図示するビン31の場合より高くなる。同様に、内側検査ヘッド3の下端開口端3dがビン31aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置も図4(a)に図示するビン31の場合より高くなる。
【0067】
そこで、外側検査ヘッドの鍔部2a、内側検査ヘッドの鍔部3aの鉛直方向の高さの位置は、いずれも、図4(a)に図示するビン31に検査ヘッドが上側から装着された場合より高くなる。
【0068】
この結果、第一の光電センサ10から発射された検査光は、図4(a)の場合と同様に遮光されないが、第二の光電センサ11から発射された検査光は、図4(a)の場合とは異なって遮光されず、第三の光電センサ12から発射された検査光は、図4(a)の場合とは異なって遮光されるようになってしまう。
【0069】
第一、第二、第三の光電センサ10、11、12から水平方向に発射された検査光が、このように検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かが、正常品のビン31と、これとは形状が異なるビン31aとの間で、このように相違することを利用して、ビン31aは正常品のビン31とは形状が異なるものであることを把握することができる。
【0070】
また、図4(c)に図示するビン31bの場合には、ビン31bの肩部の外周がビン31より若干大きくなっていることから、内側検査ヘッド3の下端開口端3dがビン31aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置が、図4(a)に図示するビン31の場合より若干高くなっている。これによって、内側検査ヘッドの鍔部3aの鉛直方向の高さの位置が図4(a)に図示するビン31に検査ヘッドが上側から装着された場合より若干高くなったが、変位の大きさが小さいため、依然として、図4(a)に図示する場合と同じく、第三の光電センサ12から発射された検査光は遮光されず、第二の光電センサ11から発射された検査光は遮光されている。
【0071】
しかし、ビン31bの外周がビン31より若干小さくなっていることから、外側検査ヘッド2の下端開口端2dがビン31bの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置が図4(a)に図示するビン31の場合より低くなっている。
【0072】
このため、図4(a)に図示する場合と異なり、第一の光電センサ10から発射された検査光は遮光されている。
【0073】
第一、第二、第三の光電センサ10、11、12から水平方向に発射された検査光が、このように検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かが、正常品のビン31と、これとは形状が異なるビン31bとの間で、このように相違することを利用して、ビン31bは正常品のビン31とは形状が異なるものであることを把握することができる。
【0074】
図5(a)は、検査対象となっている複数のビンの中で、正常品のビンとして認識すべきビン30が立設されている状態で、上側から検査ヘッド1が装着された状態を説明するものである。
【0075】
3個の光電センサ(第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12)から水平方向に発射される検査光の中で、第一、第二の光電センサ10、11から発射された検査光は遮光されず、第三の光電センサ12から発射された検査光のみが遮光されている。
【0076】
そこで、3個の光電センサ(第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12)から水平方向に発射される検査光が、この状態になったときに、正常品のビンであると認定し、これ以外の状態になったときに、正常品のビンではない(形状が異なるビンである)と認定することによって、ビンの形状の相違を把握することができる。
【0077】
正常品のビンとして認識すべきビン30以外のビン30a、30bが検査対象のビンの中に混入している場合、例えば、図5(b)に図示するビン30aが混入していて、これに検査ヘッド1が装着された場合には、外側検査ヘッド2の下端開口端2dが当接する部分のビン30aの外周径がビン30の場合よりも小さい。そこで、外側検査ヘッド2の下端開口端2dがビン30aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置は、図5(a)に図示するビン30の場合より低くなる。
【0078】
このため、外側検査ヘッドの鍔部2aの鉛直方向の高さの位置は、図5(a)に図示するビン30に検査ヘッドが上側から装着された場合より低くなるが、多少の低下であるため、第一の光電センサ10から発射された検査光は、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合と同じく遮光されない。
【0079】
一方、内側検査ヘッド3の下端開口端3dが当接する部分のビン30aの外周径もビン30の場合よりも小さいので、内側検査ヘッド3の下端開口端3dがビン30aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置も、図5(a)に図示するビン30の場合より低くなる。
【0080】
このため、内側検査ヘッドの鍔部3aの鉛直方向の高さの位置が、図5(a)に図示するビン30に検査ヘッドが上側から装着された場合より低くなり、第二の光電センサ11から発射された検査光は、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合とは異なって遮光され、第三の光電センサ12から発射された検査光も、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合とは異なり、遮光されないようになる。
【0081】
第一、第二、第三の光電センサ10、11、12から水平方向に発射された検査光が、このように検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かが、正常品のビン30と、これとは形状が異なるビン30aとの間で、このように相違することを利用して、ビン30aは正常品のビン30とは形状が異なるものであることを把握することができる。
【0082】
また、図5(c)に図示するビン30bの場合には、ビン30bの外周がビン31より小さくなっていることから、外側検査ヘッド2の下端開口端2dが当接する部分のビン30aの外周径がビン30の場合よりも小さい。そこで、外側検査ヘッド2の下端開口端2dがビン30aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置は、図5(a)に図示するビン30の場合より低くなる。
【0083】
このため、外側検査ヘッドの鍔部2aの鉛直方向の高さの位置は、図5(a)に図示するビン30に検査ヘッドが上側から装着された場合より低くなり、第一の光電センサ10から発射された検査光は、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合とは異なり、遮光される。
【0084】
一方、内側検査ヘッド3の下端開口端3dが当接する部分のビン30aの外周径もビン30の場合よりも小さいので、内側検査ヘッド3の下端開口端3dがビン30aの外周に当接して停止する鉛直方向の高さの位置も、図5(a)に図示するビン30の場合より低くなる。
【0085】
このため、内側検査ヘッドの鍔部3aの鉛直方向の高さの位置が、図5(a)に図示するビン30に検査ヘッドが上側から装着された場合より低くなり、第二の光電センサ11から発射された検査光は、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合とは異なって遮光され、第三の光電センサ12から発射された検査光も、図5(a)に図示する正常品のビン30の場合とは異なり、遮光されないようになる。
【0086】
第一、第二、第三の光電センサ10、11、12から水平方向に発射された検査光が、このように検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かが、正常品のビン30と、これとは形状が異なるビン30bとの間で、このように相違することを利用して、ビン30bは正常品のビン30とは形状が異なるものであることを把握することができる。
【実施例2】
【0087】
実施例1で説明した本発明のビン検査装置による検査方法の一例を説明する。
【0088】
検査対象のビンとして異なる飲料メーカーから市場に提供されているビン入り飲料に使用されている3種類のビン(A社の200mlビン、180mlビンと、B社の200mlビン)を用いた。
【0089】
検査ヘッド1は、外側検査ヘッド2の内径R1(図3(a))が57mm、内側検査ヘッド3の内径R2(図3(b))が51mmのものを用いた。
【0090】
3種類のビンに検査ヘッドを装着し、図6にH〜H7で示す高さを測定した。
【0091】
3種類のビンの高さ、口径、底径、ビンの肩までの高さ(ビンの口からビンの底方向に向けて次第に拡径し、底径R3に至るときの底面からの高さ)、測定結果、光電センサからの光の透過状態は表1の通りであった。
【表1】

【0092】

A社の200mlのビン、A社の180mlのビン、B社の200mlのビンにそれぞれ検査ヘッド1を上側から装着すると、内側検査ヘッド3の下端開口端3d、外側検査ヘッド2の下端開口端2dがそれぞれビンの外周面に当接して止まる高さ位置が異なることに応じて、内側検査ヘッドの鍔部3a、外側検査ヘッドの鍔部2aの止まる高さ位置(H4〜H7)がそれぞれ異なった。
【0093】
これに応じて、3種類のビンを検査した場合における第一の光電センサ〜第三の光電センサ12〜10からの光が透過、あるいは遮光される状態も、それぞれ異なっていた。
【0094】
すなわち、A社のビン200mlと180mlではビンの高さHと口径R4が同一であったが、第二光電センサ11、第三光電センサ12から発射された検査光が透過、遮光される状態がそれぞれ異なっていることから形状の相違を把握することができた。
【0095】
A社のビン200mlとB社のビン200mlでは容量が同一であったが、第一の光電センサ10、第二光電センサ11、第三光電センサ12から発射された検査光が透過、遮光される状態がそれぞれ異なっていることから形状の相違を把握することができた。
【0096】
A社のビン180mlとB社のビン200mlでは、第二光電センサ11、第三光電センサ12から発射された検査光が透過、遮光される状態はそれぞれ同一であったが、第一の光電センサ10から発射された検査光が透過、遮光される状態が異なっていたことから形状の相違を把握することができた。
【0097】
そこで、検査対象のビンに検査ヘッド1を装着した際に、第一の光電センサ〜第三の光電センサ12〜10からの光が透過、あるいは遮光される状態のどれか一つでもが、正常品のビン(飲食品の充填前や充填時に設定した形状のビン)を検査した際の状態と異なっているならば、当該検査対象のビンを異種ビンであると判定できることを確認できた。
【実施例3】
【0098】
図7(a)、(b)は、検査対象の複数のビンの中に、正常品のビン31と、上端開口側が細く、高さの大きい異種ビン31dとが混入している場合の検査状況を説明するものである。
【0099】
異種ビン31dは図7(b)図示のように上端開口側が細いため、検査ヘッドを上側から装着した場合、内側検査ヘッド3の下端開口端3dが異種ビン31dの外周壁に当接する前に、異種ビン31dの開口部が内側検査ヘッド3に接触してしまう。このため、内側検査ヘッド3は、内側検査ヘッド3の段部3eが、外側検査ヘッド2の段部2eに図7(b)図示のように当接するまで、外側検査ヘッド2内を上昇する。
【0100】
図7(b)図示の実施例では、外側検査ヘッド2の下端開口端2dが異種ビン31dの外周壁に当接している状態で、異種ビン31dの開口部に下側から支持されている内側検査ヘッド3の段部3eが、外側検査ヘッド2の段部2eに当接する形状・大きさであるが、異種ビン31dが図7(b)図示のものよりも更に高さの大きな細口ビンである場合には、図7(b)図示の状態から、更に、異種ビン31dの開口部に下側から支持されて、内側検査ヘッド3、外側検査ヘッド2とも上昇し、外側検査ヘッド2の下端開口端2dは異種ビン31dの外周壁から離れるようになる。
【0101】
ともかく、このような細口の異種ビン31dの場合、少なくとも、内側検査ヘッド3の鍔部3aの高さ位置は、図7(a)の正常品のビン31に検査ヘッドが装着された場合とは異なるものになる。
【0102】
これによって、検査対象の複数のビンの中に、正常品のビン31とは形状が異なる異種ビン31dが混入していることを検知できる。
【実施例4】
【0103】
図1、図2は、実施例1で説明した本発明のビン検査装置が、複数本のビンが並列に設置されているときの検査に利用される一例を説明するものである。
【0104】
実施例1、図3〜図5で説明した部材と共通する部分には共通する符号を付けて、その説明を省略する。
【0105】
図1に図示する本発明のビン検査装置において、実施例1で説明した検査ヘッド1は、上述した外側検査ヘッドの鍔部2aの外周側の下面が図示していない掛止板27に掛止され、シリンダー装置21の駆動によって上側(矢印40方向)に引き上げられている。シリンダー装置21は下部に支持板22を備えており、支持板22に固定されているロッド26、26に掛止板27が取り付けられている。
【0106】
検査対象になっている複数のビン31は、搬送台32に乗せられ、同一の水平面に並べて立設されている状態で、本発明のビン検査装置に搬送されてくる。
【0107】
複数のビン31が、これに対応している複数の検査ヘッド1の下側にまで移動されてきたならば、シリンダー装置21が図面中の上下に退避移動するなどによって、掛止板27による外側検査ヘッドの鍔部2aの外周側の下面の掛止状態が解除される。こうして、検査ヘッド1が自重によって矢印41方向に落下し、ビン31のそれぞれに対して上側から装着される。
【0108】
引き続き、支持板22に固定的に取り付けられている3個の光電センサ(第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12)が図5(a)に示す位置になるように、シリンダー装置21は、図面中の前方への前進移動及び、矢印41方向への下方移動を行う。
【0109】
複数のビン31にそれぞれ装着されている複数の検査ヘッド1の方向に向けて、第一の光電センサ10、第二の光電センサ11、第三の光電センサ12から、それぞれ水平方向に発射される検査光10a、11a、12aは、図1に図示するように並列に複数設置されているビンが、いずれも正常品であるビン31だけであるときには、図4(a)に図示する位置を通過する。
【0110】
そこで、この場合には、正常品とは異なる形状のビンは、実際に検査した複数のビンの中に含まれていなかったことがわかる。
【0111】
一方、搬送台32に乗せられ、図1に図示するように、同一の水平面に並べて立設されている複数の検査対象のビンの中に、図4(b)、(c)で説明したビン31a、あるいはビン31bが1本でも混入されている場合には、検査光10a、11a、12aが遮光される、あるいは遮光されずに通過する状態は、図4(a)で説明した正常品のビンとは異なるものになる。
【0112】
第一、第二、第三の光電センサ10、11、12から、それぞれ水平方向に検査光10a、11a、12aを発射し、正常品のビン31に装着されている検査ヘッド1に向けて検査光を発射した図4(a)で説明した検査光の通過、遮光とは異なる状態が生じることを検知したときに、搬送台32に乗せられ、同一の水平面に並べて立設されている複数の検査対象のビンの中に、少なくとも1本は形状の異なるものが存在していると判断することができる。
【0113】
こうして検査が終了したならば、図示していない掛止板27を外側検査ヘッドの鍔部2aの外周側の下面に掛止させ、シリンダー装置21を駆動させて、上側(矢印40方向)に検査ヘッド1を引き上げた後に、前記のように形状の異なるビンが少なくとも1本でも存在していると判断された複数の検査対象のビンの全体を、再チェック工程に回す。
【0114】
引き続いて、矢印40方向に検査ヘッド1が上昇している状態で、次に検査を行う対象となる複数のビン31が、搬送台32に乗せられ、同一の水平面に並べて立設されている状態で、本発明のビン検査装置に搬送されてきて、対応する検査ヘッド1の下側に配置される。
【0115】
そして、掛止板27による外側検査ヘッドの鍔部2aの外周側の下面の掛止状態が解除され、検査ヘッド1が自重によって矢印41方向に落下し、ビン31のそれぞれに対して上側から装着され、上述した検査工程が行われる。
【0116】
図2は、以上で説明した本発明のビン検査装置が複数本を並列に設置している本発明のビン検査装置の一例を説明する一部を省略した平面図である。
【0117】
以上で説明した実施例では、図2中の一番下側の列に検査対象のビンが並列されている状態で説明したが、図2に図示するように、上記で説明した構造の検査装置が並列に5台で設置されている状態にし、より多く(図2に図示する場合には40本)のビンを1回で検査するものである。
【0118】
図2に図示する場合にも、例えば40本の検査対象ビンの中に、1本でも形状の異なるものが存在している場合、40本の全部について再チェック工程に回されるようになる。
【0119】
なお、40本を1単位とした場合、当該装置の使用により、1時間あたり600単位(計24000本)のチェックを行うことができた。
【実施例5】
【0120】
図8は、本発明のビン検査装置の他の例を説明する一部を省略した正面図である。
【0121】
実施例1、図3〜図5、実施例4、図1、2で説明した部材と共通する部分には共通する符号を付けて、その説明を省略する。
【0122】
図1に図示するように、シリンダー装置21の下部に備えられている支持板22には、固定的に近接スイッチ23が備えられている。
【0123】
近接スイッチ23は支持板22から下側に(検査対象のビンに上部から装着される検査ヘッドが存在している側に)向かって延びるロッド24の先端に接触板25を備えている。
【0124】
検査対象のビン30が図6中の右側に示したように、搬送台32の上に逆転しておかれている場合、図1において矢印41方向に検査ヘッド1が落下されると、内側検査ヘッドの下端開口端3dが逆転しているビン30の底面に当接する。これによって内側検査ヘッド3は、それ以上には下側方向に落下できず、内側検査ヘッドの鍔部3aが検査ヘッド1から矢印44方向に向けて突出するようになる。
【0125】
この突出した内側検査ヘッドの鍔部3aが接触板25に接触したときに、検査対象となっていたビン30が逆転して配置されていたことを検知するものである。
【0126】
なお、図6の左側に配置されている正常な状態で置かれているビン30に、検査ヘッド1が装着されている状態と区別するため、接触板25は、図1に図示するように、光電センサ10〜12が予め定められている鉛直方向の所定の高さの位置に配置されて検査される際に、少なくとも、最も高い位置に配置される光電センサ(図1に図示する状態では、第三の光電センサ12)よりも鉛直方向の高い位置に配置される必要がある。
【0127】
近接スイッチ23によって、逆さに配置されていると認められたビンが、検査対象のビンの中に1本でも存在している場合には、検査対象のビンの全体を再チェック工程に回すようになる。
【符号の説明】
【0128】
1 検査ヘッド
2 外側検査ヘッド
2a 外側検査ヘッドの鍔部
2i 内部空間部
2b 内部空間部の上端側の縮径部
2c 内部空間部の下端側の拡径部
2d 下端開口端
2g 外側検査ヘッドの下端開口
2e 外側検査ヘッドの掛止部(段部)
3 内側検査ヘッド
3a 内側検査ヘッドの鍔部
3b 筒状部
3c 筒状部の下端側の拡径部
3d 下端開口端
3g 内側検査ヘッドの下端開口
3e 内側検査ヘッドの掛合部(段部)
3f 内側検査ヘッドの鍔部の下端面
31、31a、31b ビン
30、30a、30b ビン
21 シリンダー装置
22 支持板
27 掛止板
32 搬送台
10 第一の光電センサ
11 第二の光電センサ
12 第三の光電センサ
10a 第一の光電センサから発射される検査光
11a 第二の光電センサから発射される検査光
12a 第三の光電センサから発射される検査光
23 近接スイッチ
24 ロッド
25 接触板
26 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設されているビンに対して上側から装着される検査ヘッドと、
予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記ビンに対して上側から装着されている状態の前記検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えており、
前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記検査ヘッドの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記検査ヘッドが装着されたビンが予め設定した形状のビンであるか否かを把握することを特徴とする
ビン検査装置。
【請求項2】
同一の水平面に並べて立設されている複数本のビンのそれぞれに対して上側から装着される複数個の検査ヘッドと、
予め定められている鉛直方向の異なる位置に設置されていて、前記複数本のビンに対して上側から装着されている状態の前記検査ヘッドの方向に向けて、それぞれ水平方向に検査光を発射する複数個の光電センサとを備えており、
前記複数個の光電センサから鉛直方向の異なる位置で、水平方向に発射される複数本の検査光が前記複数個の検査ヘッドの中のいずれかの上端側で遮光されるか否かを利用して、前記複数個の検査ヘッドが装着された複数本のビンの中に予め設定した形状のビンとは異なるビンが含まれていることを把握することを特徴とする
ビン検査装置。
【請求項3】
前記検査ヘッドは、外側検査ヘッドと、外側検査ヘッドの内側に配備される内側検査ヘッドとからなり、
前記外側検査ヘッドは、径方向外側に向けて突出する外側検査ヘッドの鍔部を上端に備えていると共に、上下方向に内部を貫通する内部空間部を備えていて、当該内部空間部の下端側が外側検査ヘッドの下端開口を形成し、
前記内側検査ヘッドは、前記外側検査ヘッドの内部空間部を上下方向にスライド可能な筒状部の上端側に形成されていて、前記内部空間部を挿通できない寸法の内側検査ヘッドの鍔部と、当該筒状部の下端側に形成されている内側検査ヘッドの下端開口とを備えていて、
前記検査ヘッドの上端側による前記複数本の検査光の遮光は、前記外側検査ヘッドの鍔部及び/又は内側検査ヘッドの鍔部によって行われることを特徴とする
請求項1又は2記載のビン検査装置。
【請求項4】
前記内側検査ヘッドの鍔部が鉛直方向上側に向けて突出したことを検知する近接スイッチを更に備えていることを特徴とする
請求項3記載のビン検査装置。
【請求項5】
予め設定した形状のビンと飲み口の口径及び/又は高さが同一で、形状が当該予め設定した形状のビンとは異なるビンが検査対象のビンの中に含まれているときに、当該形状が異なるビンを検出することを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一項に記載のビン検査装置。
【請求項6】
上下が逆転して立設されているビンが検査対象のビンの中に含まれているときに、当該上下が逆転して立設されているビンを検出することを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一項に記載のビン検査装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載のビン検査装置で検査が終了した後の予め設定した形状のビンに対して、飲食品を封入して製造するビン入り飲食品の製造方法。
【請求項8】
請求項7の製造方法により製造されたビン入り飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−50899(P2012−50899A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193126(P2010−193126)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(591002289)株式会社明治テクノサービス (4)
【出願人】(000006138)株式会社明治 (265)
【Fターム(参考)】