説明

ピストン・シリンダユニット

【課題】僅かの構造スペースしか必要とせず、僅かな数の単純な構造部品からなり、電磁弁が働いていない時に手動の位置調整を可能にするピストン・シリンダユニットを提供する。
【解決手段】圧力下にある流体で満たされたクローズドシリンダ1を具備し、第1動作室3から第2動作室4に通じる通路が、電気的に起動制御できる電磁弁の通電により開放でき、また、この通路と電磁弁がピストン2内に形作られていて、通路が、閉位置と開位置の間で移動自在に駆動できるバルブ閉動作エレメントにより閉鎖できる構造にする。バルブ通路が閉じられている時、ピストンロッドに外から力を加えることにより、第1動作室と第2動作室の間に圧力落差を生じさせることができ、これにより、ピストン内のバルブが開き、ピストンロッド移動が両移動方向において可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力下にある流体で満たされた閉じたシリンダを備え、このシリンダの中を軸方向に摺動できるピストンによりシリンダ内の空間が第1動作室と第2動作室とに分割されており、ピストンの片側に配置されたピストンロッドが第2動作室を貫通すると共にシリンダの正面側で密封されて外向きに延びており、第1動作室から第2動作室に通じる通路又はバルブ通路が電気的に起動制御できる電磁弁の通電により開放可能であり、また、この通路と電磁弁がピストン内に形成されていて、閉位置と開位置の間で移動自在に駆動できるバルブ閉動作エレメントにより通路を閉鎖可能である、ピストン・シリンダユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のピストン・シリンダユニットは、特に自動車のハッチに、とりわけ、ハッチの定置構造部品にシリンダが係着される一方、ハッチの自由端にピストンロッドの自由端が係着される形式のテールゲートを開放するために利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、僅かな構造スペースしか必要とせず、僅かな数の単純な構造部品からなると共に、電磁弁が働いていない時には手動で位置調整可能な、冒頭に挙げた種類のピストン・シリンダユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、電磁弁が無通電状態で、第2動作室から第1動作室に向かってある一定の圧力差を超える圧力落差が存在する時、第1動作室と第2動作室の間の第1バルブの第1バルブ通路が開放可能であり、また、電磁弁が無通電状態で、第1動作室から第2動作室に向かって或る一定の更なる圧力差を超える圧力落差が存在する時、第1動作室と第2動作室の間の第2バルブの第2バルブ通路が開放可能である、本発明によって解決される。
【発明の効果】
【0005】
これにより、電磁弁への給電が止まった場合でも、ピストン・シリンダユニットを両方の移動方向に手動で位置調整することが可能である。
【0006】
第2バルブが、第2動作室から第1動作室への流れを阻止する逆止弁であることにより、単純な構造が達成される。
【0007】
ここで、ピストンがその円筒形外被面に半径方向で一周するリング溝を有し、リング溝の中にシールリングが軸方向に移動自在に配置されていて、シールリングの外側の半径方向で一周する周面がプリテンションを付与されてシリンダの内壁に接していて、シールリングの内側の半径方向で一周する周面の下を溝底の範囲内で流体が流動できるようになっている。ここで、第1動作室に面した第1溝側壁が閉じられていて、第2動作室に面した第2溝側壁が溝底の範囲内に第2動作室に通じる流体流連絡路を有する。これによりシールリングは、一方の位置でバルブエレメントとして働き、他方の位置で両動作室を密封分離するよう働き、二重の機能を果たす。
【0008】
しかしながら、別の単純な構造において、第2バルブは一方の押圧方向でのみ作用し、反対の押圧方向では作用しないシールから形成されてもよい。
【0009】
電磁弁が、ピストン内に固定的に配置された電流付勢可能な第1コイルを備え、第1コイルの中にコイル芯が電機子の移動方向に対して軸方向に配置されていると、コンパクトな構造を達成することができる。
【0010】
コイル芯は、ピストン内に固定的に配置されたスリーブ状の外側極芯と、この外側極芯により包囲された円筒形の内側極芯と、からなるものであってよい。ここで、内側極芯がその外被面に雄ねじを設けており、これにより内側極芯が外側極芯の内被面に付けられた雌ねじにねじ込まれてもよい。
【0011】
この構成により、電機子がある一定のトルクをもって弁座に接するまで内側極芯を外側極芯にねじ込むことで、電磁弁の切り換えギャップを、構造部品公差に関係なく再生可能な形で整定できることになる。その後、切り換え間隔を整定するために、内側極芯をある角度だけ回し戻す。次の内側極芯の固定は、例えば接着または圧着によって行うことができる。
【0012】
ここで、電機子が第2の電流付勢可能なコイルから形成されており、第1コイルと第2コイルにより互いに引き寄せ合う磁界が発生できるようになっていると、電磁弁の開動作力を強めることができる。
【0013】
その場合、第1コイルの電機子と反対の側の端に、第1コイルの磁界を強める第1永久磁石が配置されていてよい。
【0014】
更に力を高めるために、第2コイルの、第1コイルと反対の側の端に、第2コイルの磁界を強める第2永久磁石が配置されていてよい。
【0015】
また、ピストンの電機子側円筒形部域内に半径方向外向きに通路が通じると共に、その円筒形部域がリング状に形成された閉動作エレメントにより包囲され、閉動作エレメントが、通路の出口を覆う閉位置と、出口を解放する開位置と、の間を軸方向に移動でき、また、閉動作エレメントがばね押し式電機子により閉位置に押し留められている別の形態がある。
【0016】
電機子がリング状に形成されていると共に円筒形に形成されたコイル芯の上に軸方向に摺動自在に配置されていると、コンパクトな構造が達成される。
【0017】
電機子をばね押しするために、電機子は、コイル芯に支えられた圧力ばねによりバルブ閉動作エレメントの閉動作方向に押し留められていてよい。ここで、二分割されたコイル芯の場合は、圧力ばねに面した外側極芯のリング状正面側で、圧力ばねが支持されていてよい。
【0018】
シリンダ内のピストンを正確に案内するために、ピストンが、ピストンをシリンダ内で軸方向に摺動自在に案内できる1つ以上のガイドリングを備えていてもよい。これは、電気絶縁材からなるものが好ましいが、強磁性材からなるものであってもよく、または、電気絶縁外被により包囲された強磁性の芯を持つものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るピストン・シリンダユニットの縦断面図である。
【図2】図1に示したピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図3】第2実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図4】第3実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図5】第4実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図6】第5実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図7】第6実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図8】第7実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図9】第8実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図10】第9実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図11】第10実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図12】第11実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【図13】第12実施例のピストン・シリンダユニットのピストン部域の切り取った一部分を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に則して詳細に説明する。
【0021】
図示されたピストン・シリンダユニットは、圧力下にある流体、特に気体で満たされたシリンダ1を備える。これが磁界案内管を形成し、シリンダ内の空間は、シリンダ1の中を軸方向に摺動できるピストン2により第1動作室3と第2動作室4と、に分割されている。
【0022】
ピストン2の片側にはピストンロッド5が締着されている。ピストンロッド5は第2動作室4を貫通し、シリンダ1の正面側で密封/案内パッケージ6により密封されて外向きに延びている。
【0023】
図1および図2の実施例において、ピストン2は、第2動作室4に面した端に、第2動作室4に向かって開いた基礎穴8が設けられた回転対称の保持部品7を備える。基礎穴8の中には、シリンダ1の中に突き入るピストンロッド5の端が突き入り、締着されている。基礎穴8の壁には半径方向で一周する溝9が形成されており、溝9の中にはピストンロッド5を密に包囲するシールリング10が嵌め込まれている。基礎穴8のテーパ状に形成された底部域からは連絡穴11が、保持部品7の円筒形外被面に形成された半径方向で一周するリング溝12の中へと通じている。リング溝12の中にシールリング13が軸方向に移動自在に配置されている。シールリング13の外側の半径方向で一周する周面はプリテンションを付与されてシリンダ1の内壁に接しており、シールリング13の内側の半径方向で一周する周面の下では、リング溝12の溝底14の範囲内で流体が流動できるようになっている。
【0024】
ここで、第1動作室3に面した第1溝側壁15は閉じられており、第2動作室4に面した第2溝側壁16は、溝底14の範囲内に第2動作室4に通じる流体流連絡路17を有する。第2溝側壁16は、第2動作室4に面した保持部品7の端部域に固定的に配置されたスリーブ18の正面壁により形成されており、そのスリーブが保持部品7と同様に常磁性材からなると好ましい。
【0025】
リング溝12とシールリング13によって、第2バルブ35が形成されている。第1動作室3の内圧の方が高いと、第2バルブは第2動作室4の内圧に抗して開き、第1動作室3と第2動作室4の両方を結合させる。
【0026】
保持部品7の中心にはバルブ通路19が形成されており、バルブ通路19によって、基礎穴8が、保持部品7の第1動作室3に面した側と結合される。保持部品7の、第1動作室3に面した側には、シリンダ1内を同心で第1動作室3に向かって突き入る管20が締着されている。保持部品7に締着された管20の締着部域において、管端21と管端21を包囲する保持部品端22、また保持部品端を包囲するピストンリング23には、半径方向外向きに延びるチャンネル24が形成されている。第1動作室3の方に向けられたバルブ通路19の出口部域は、チャンネル24によって第1動作室3と結合している。
【0027】
管20の、第1動作室3の方を向く端部域には、管20と同様に強磁性材からなるコイル芯25が固定的に配置されている。
【0028】
管20の第1動作室3に面した端にはリング状の第1鋼ディスク26が配置され、管20の第2動作室4に面した端部域にはリング状の第2鋼ディスク27が配置されている。
【0029】
更に、第1鋼ディスク26から第2動作室4に向かう方には、強磁性材からなるガイドリング28も第1鋼ディスク26と並んで配置されている。これによりピストン2は、シリンダ1の中を摺動自在に案内される。
【0030】
ガイドリング28と第2鋼ディスク27との間で、管20はすべり接点30を介してシリンダ1の内壁と導電結合した第1コイル29により包囲されている。ここで、シリンダ1は給電管路を形成する。
【0031】
プリテンションを付与された螺旋状圧力ばね31は、管20の中に配置されている。螺旋状圧力ばね31は、その一端でコイル芯25に支持されており、その他端で、管20の中を摺動自在に案内される電機子32を保持部品7に押し付ける。電機子32は、回転対称の構造部品として形成されている。
【0032】
電機子32は、バルブ通路19の出口に面した正面側にシール33を備える。シール33はバルブ閉動作エレメント36を形成し、これによりバルブ通路19が閉鎖可能である。
【0033】
第1コイル29が無通電状態の時、電機子32は螺旋状圧力ばね31によりバルブ閉動作エレメント36に押し付けられる。これによりバルブ閉動作エレメントは、バルブ通路19を閉じるようにその出口に押し付けられる。
【0034】
ピストン2の作用面は、第2動作室4に面した側と比べて第1動作室3に面した側の方が大きい。この大きい作用面により引き出し運動が行われることによって、第2バルブ35は閉じられる。
【0035】
これにより、ピストン2はこの位置でロックされる。
【0036】
外側の負荷によりある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、第1動作室3と第2動作室4との間の連絡路が開かれる。
【0037】
ここで、第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度低いと、シールリング13が第1溝側壁15に接した位置から第2溝側壁16へと移動することにより、第2バルブ35が開く。
【0038】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、バルブ閉動作エレメント36がバルブ通路19の出口から浮き上がり、バルブ通路19が開く。
【0039】
図3の実施例では、シリンダ1に突き入るピストンロッド5の端に、同軸の穴34が設けられている。この穴34の中にコイル芯25の一端が固定的に嵌め込まれていることにより、ピン状に形成されたコイル芯25がピストンロッド5の軸方向延長部を形成する。
【0040】
コイル芯25の段の上にはリング状の保持部品7が配置されている。保持部品7はシールリング90によりコイル芯25に対して密封されている。シールリング90は、保持部品7の通り穴の内壁に沿って半径方向で一周する溝91に嵌め込まれている。
【0041】
保持部品7の円筒形外被面には、図2の第2バルブ35に相当する第2バルブ35が形成されている。
【0042】
保持部品7には、軸方向に貫通するバルブ通路19が形成されている。バルブ通路19の第1動作室3に面した端は、球形のバルブ閉動作エレメント36を受け止める略円錐形の弁座へと通じている。
【0043】
コイル芯25の上では、リング状の電機子32が摺動自在に案内される。バルブ閉動作エレメント36は、電機子32によって弁座へと押し付けられるようになっている。
【0044】
電機子32はまた、プリテンションを付与された螺旋状圧力ばね31の一端により、バルブ閉動作エレメント36に強制的に押し付けられている。螺旋状圧力ばね31は、コイル芯25を遊びをもって包囲している。
【0045】
螺旋状圧力ばね31の他端は、スリーブ状のコイルサポート38のフランジ37に支持されている。コイルサポート38のスリーブ状部分は、螺旋状圧力ばね31を遊びをもって包囲しており、その一端は電機子32に対して軸方向のギャップ39の中まで突き入り、第1動作室3に面した方の端はフランジ37を介してコイル芯25に締着されている。
【0046】
フランジ37とコイル芯25の、第1動作室3に面したトラス頭の端40(六角形であってよい)の間には、溝41が設けられている。溝41の中には、シリンダ1の中でピストン2を軸方向に案内するガイドリング28が配置されている。
【0047】
コイルサポート38には、絶縁材からなるコイルスリーブ42が、第2動作室4の方向に突き出て電機子32の一部を包囲するように配置されている。コイルスリーブ42の、第2動作室4に面した端には、半径方向外向きの拡張部43を有する。
【0048】
コイルサポート38とコイルスリーブ42は、フランジ状の拡張部43とフランジ37の間で、すべり接点30を介してシリンダ1の内壁と導電結合した第1コイル29により包囲されている。ここで、シリンダ1は給電管路を形成する。
【0049】
第1コイル29が無通電状態の時、電機子32は螺旋状圧力ばね31によりバルブ閉動作エレメント36に押し付けられる。これによりバルブ閉動作エレメントは、バルブ通路19を閉じるようにその出口に押し付けられる。
【0050】
ピストン2の作用面は、第2動作室4に面した側と比べて第1動作室3に面した側の方が大きい。この大きい作用面により引き出し運動が行われることによって、第2バルブ35が閉じられる。
【0051】
これにより、ピストン2はこの位置でロックされる。
【0052】
外側の負荷によりある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、第1動作室3と第2動作室4との間の連絡路が開かれる。
【0053】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定の程度低いと、シールリング13が第1溝側壁15に接した位置から第2溝側壁16へと移動することにより、第2バルブ35が開く。
【0054】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定の程度高いと、バルブ閉動作エレメント36がバルブ通路19の出口から浮き上がり、バルブ通路19が開く。
【0055】
図4に示す実施例では、ピン状に形成されたコイル芯25が、図3と同様にピストンロッド5に締着されている。
【0056】
スリーブ状のコイルサポート38は、コイル芯25を遊びをもって包囲すると共に、その第2動作室4に面した端にフランジ37を備える。コイルサポート38は、フランジ37によって固定的にコイル芯25の上に配置されている。
【0057】
ピストンロッド5のシリンダ1の中へと突き入る端と、フランジ37との間には、ピストン2をシリンダ1内で摺動自在に案内するガイドリング28が配置されている。
【0058】
コイルサポート38には、絶縁材からなるコイルスリーブ42が、第1動作室3の方向に突き出るように配置されている。コイルスリーブ42の第1動作室3に面した端には、半径方向外向きに突き出るフランジ状拡張部43が設けられる。
【0059】
コイルサポート38とコイルスリーブ42は、フランジ状拡張部43とフランジ37との間で、すべり接点30を介してシリンダ1の内壁と導電結合した第1コイル29により包囲されている。ここで、シリンダは給電管路を形成する。
【0060】
コイル芯25は螺旋状圧力ばね31により遊びをもって包囲されている。螺旋状圧力ばねもまた、コイルサポート38のスリーブ状部分により遊びをもって包囲されている。
【0061】
螺旋状圧力ばね31は、その一端でフランジ37に支持されており、他端ではプリテンションを付与されてリング状電機子32の正面側に接している。電機子は、通り穴91を用いてコイル芯25の上にギャップ39の距離だけ軸方向に摺動できるように配置されている。
【0062】
電機子32の通り穴91は、第1動作室3に面した端部域に拡張段44を有する。
【0063】
拡張段44には、2つの単動式ロッドシール45が配置されている。2つのロッドシール45は、互いに向き合ってプリテンションを付与されると共に、軸方向に並んでコイル芯25を包囲している。
【0064】
ロッドシール45で覆われた領域内には、コイル芯25の外被面に沿って半径方向穴46が外向きに通じている。半径方向穴46は、第1動作室3へと通じるコイル芯25の同軸穴47につながっている。
【0065】
バルブ通路19は、同軸穴47と半径方向穴46とにより形成される。
【0066】
コイル芯25は、その第1動作室3に面した端に半径方向拡張部48を有する。半径方向拡張部48の半径方向で一周する外被面には周方向溝49が形成されており、周方向溝49の中にはOリング50が配置されている。
【0067】
Oリング50は、プリテンションを付与されてシリンダ1の内壁と溝49の溝底に接し、第1動作室3および第2動作室4を互いに密封している。
【0068】
半径方向拡張部48においては、第1動作室3と第2動作室4の間の連絡路52の中にばね押し式逆止弁51が更に配置されている。ばね押し式逆止弁51により、第2動作室4から第1動作室3への流れが阻止される。
【0069】
第1コイル29が無通電状態の時、電機子32は螺旋状圧力ばね31により半径方向拡張部48に接した位置に保持される。この位置において、半径方向穴46はロッドシール45で覆われ、バルブ通路19は閉じられる。
【0070】
ここでは、ピストン・シリンダユニットに大きな負荷がかかることなく、逆止弁51も閉じられる。
【0071】
これにより、ピストン2はこの位置でロックされる。
【0072】
外側の負荷により、ある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、第1動作室3と第2動作室4との間の連絡路が開かれる。
【0073】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度低いと、両方のロッドシール45にバルブ通路19を介して圧力が加わることによって両方のロッドシール45が浮き上がり、第1動作室3から第2動作室4に気体が流入できるようになる。
【0074】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、逆止弁51が開き、第2動作室4から第1動作室3に気体が流入できるようになる。
【0075】
図5の実施例は、ピン状のコイル芯25をピストンロッド5に締着する態様において、図4にと一致する。
【0076】
コイル芯25の上には、ピストンロッド5に続いて第1永久磁石円板53が配置されている。第1永久磁石円板53の第2動作室4と反対の側には、第1永久磁石円板53と並んで、第1コイル29がコイル芯25を同軸で包囲するように定置式に配置されている。
【0077】
第1コイル29を支持するコイルサポート38には、コイル芯25を遊びをもって包囲する螺旋状圧力ばね31の一端が支持されている。
【0078】
他端でプリテンションを付与された螺旋状圧力ばね31は、コイル芯25を包囲するようにコイル芯上に軸方向に摺動自在に配置されたリング状のコイル本体54に接している。このコイル本体に、電機子32を形成する電流付勢可能な第2コイル55が巻き付けられている。
【0079】
コイル本体54の、第1コイル29と反対の側には、閉位置にとってのストッパとしても役立つ第2永久磁石円板56が同軸で配置されている。
【0080】
コイル芯25には、第1動作室3の中に通じる同軸穴47からなるバルブ通路19が形成されている。バルブ通路19は半径方向穴46からコイル芯25の外被面につながり、そこから外へとつながる。
【0081】
コイル本体54が図示した閉位置にある時、半径方向穴46の出口はコイル本体により覆われて閉じられている。
【0082】
コイル本体54がこの閉位置にある時、コイル芯25は軸方向両側でシールリングにより包囲されている。シールリングは、コイル本体54の半径方向で一周する溝57の中にそれぞれ配置されている。
【0083】
第1コイル29に近い方のシールリングは複動式シールリング58であり、第1コイル29から遠い方のシールリングは単動式シールリング59である。単動式シールリング59は第2動作室4から第1動作室3への方向の流れのみを封じ、他方、複動式シールリング58は両方向の流れを封じる。
【0084】
第1動作室3の方に向けられたコイル芯25の自由端には、常磁性材からなる回転対称の弁体60が配置されており、コイル芯25のねじが設けられた端に螺着されたナット61により保持されている。
【0085】
弁体60は、その円筒形外被面に半径方向で一周するリング溝12を有し、リング溝12の中にシールリング13が軸方向に移動自在に配置されている。シールリング13の外側の半径方向で一周する周面はプリテンションを付与されてシリンダ1の内壁に接しており、シールリング13の内側の半径方向で一周する周面の下は、溝底14の範囲内で流体が流動できるようになっている。第1動作室3に面した第1溝側壁15が閉じられており、第2動作室4に面した第2溝側壁16は、溝底14の範囲内に第2動作室4に通じる流体流連絡路17を有する。
【0086】
リング溝12とシールリング13とにより、第2バルブ35が形成される。
【0087】
第1コイル29及び第2コイル55が無通電状態の時、螺旋状圧力ばね31により電機子32が第2永久磁石円板56に押し付けられることによって、バルブ通路19がコイル本体54により閉じられる。
【0088】
ピストン2の作用面は、第2動作室4に面した側と比べて第1動作室3に面した側の方が大きい。この大きい作用面により引き出し運動が行われることによって、第2バルブ35が閉じられる。
【0089】
これにより、ピストン2はこの位置でロックされる。
【0090】
外側の負荷により、ある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、第1動作室3と第2動作室4との間の連絡路が開かれる。
【0091】
ここで、第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度低いと、シールリング13が第1溝側壁15に接した位置から第2溝側壁16へと移動することにより、第2バルブ35が開く。
【0092】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、単動式シールリング59はバルブ通路19の中の気体によって過圧をかけられてコイル芯25から浮き上がる結果、バルブ通路19が開く。
【0093】
第1コイル29と第2コイル55の両方が通電されると、強磁性部品であるコイル芯25、第1永久磁石円板53及び第2永久磁石円板56、ならびにシリンダ1により、磁束線が閉じられた磁界が生じる。互いに引き寄せ合う第1永久磁石円板53と第2永久磁石円板56は、この磁界を強めるのに役立つ。
【0094】
この磁界により、電機子32として働く第2コイル55は、コイル本体54と共に第1コイル29に引き寄せられる。これにより半径方向穴46の出口が解放される結果、一方の動作室から他方の動作室へと期待が流れることができる。
【0095】
図6に示す実施例は、図4の実施例とおおむね対応する。
【0096】
但し、電機子32は、ロッドシール45を有する代わりに、図5の実施例に対応するように溝57を有する。溝57の中にシールリング58およびシールリング59が配置されている。
【0097】
更に、コイル芯25は、その第1動作室3に面した端部域に、図5の第2バルブ35に相当する第2バルブ35を有する。
【0098】
図7に示す実施例は、図6の実施例と対応する。
【0099】
加えて、電機子32の、第1動作室3に面した正面側には、第1コイル29により形成された磁界を強めるための第2永久磁石円板56が配置されている。
【0100】
図8に示す実施例は、図6に示す実施例にほぼ対応する。
【0101】
図8に示す実施例においては、磁束線がピストンロッド5を介して磁気的に短絡することを阻止するために、ピストンロッド5の直径より小さい直径の延長部62が設けられている。延長部62は、コイルサポート38と電機子32の範囲内で、常磁性材からなるガイドスリーブ63により包囲されている。
【0102】
さらに、この短絡は、コイルサポート38において常磁性材からなるスペーサブシュ64により阻止される。コイルサポート38は、延長部62から本来のピストンロッド5への移行部に設けられた段66に、スペーサブシュ64を介して軸方向で支えられている。
【0103】
電機子32もまた、常磁性材のガイドブシュ65を介してガイドスリーブ63の上に軸方向に摺動自在に配置されている。
【0104】
ガイドスリーブ63は、同時に、一端で段66に支えられるスペーサスリーブを形成する。
【0105】
延長部62の第1動作室3に面した端にはねじが設けられている。この延長部62のねじが設けられた端に螺着されたナット61によって、弁体60が弁体67を介してガイドスリーブ63の他端に張着される。
【0106】
弁体60は、図7の第2バルブ35に相当する第2バルブ35を外被面に備えている。
【0107】
更に、弁体60の中には、延長部62の縦軸に対して軸方向に、第1動作室3を第2動作室4と結合させるバルブ通路19が形成されている。電機子32に面したバルブ通路19の出口は、突出した弁座68として形成されている。
【0108】
常磁性材からなる弁体60と向き合う電機子32の正面側には円板状シール69が配置されている。第1コイル29が無通電状態の時、このシールは螺旋状圧力ばね31により電機子32を介して弁座68に押し付けられ、バルブ通路19を閉じる。
【0109】
弁体60の、延長部62を受け止める通り穴70の端には、単動式シールリング72を受け止めるリング溝71が形成されている。
【0110】
ピストン2の作用面は、第2動作室4に面した側と比べて第1動作室3に面した側の方が大きい。この大きい作用面により引き出し運動が行われることによって、第2バルブ35が閉じられる。
【0111】
これにより、ピストン2はこの位置でロックされる。
【0112】
外側の負荷によりある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、第1動作室3と第2動作室4の間の連絡路が開かれる。
【0113】
ここで、第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度低いと、シールリング13が第1溝側壁15に接した位置から第2溝側壁16へと移動することにより、第2バルブ35が開く。
【0114】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、単動式シールリング72は過圧をかけられ、第1動作室3からシールリング72を経由して弁体60のチャンネル73の中を通り第2動作室4へと気体が流れていくことができる。逆方向の流れは、シールリング72により阻止される。
【0115】
図9に示す実施例は、図8の実施例とおおむね対応するが、図9に示す実施例においては、図8に示した球形のバルブ閉動作エレメント36の代わりに円板状シール69が設けられている。円板状シール69は、常磁性材からなる保持部品7において、バルブ通路19の出口にある弁座68に嵌着できる。
【0116】
第1コイル29が無通電状態の時、外側の負荷により第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、第2動作室4の内圧により円板状シール69が弁座68から浮き上がり、バルブ通路19が開く。
【0117】
図10に示す実施例は、図9の実施例と対応する。
【0118】
図10に示す実施例においては、コイル芯25を受け止める保持部品7の通り穴74の、第2動作室4に面した端には、リング溝75が形成されている。リング溝75の中には単動式シールリング76が配置されている。
【0119】
第1コイル29が無通電状態の時、外側の負荷により第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、気体はシールリング76を迂回して流れ、第2動作室4から通り穴74を越えて第1動作室3に達する。
【0120】
逆方向の流れは、シールリング72により阻止される。
【0121】
図11及び図12の実施例では、常磁性材からなるピン状のコイル芯25の両端にそれぞれねじが設けられている。コイル芯25は、ピストンロッド側に設けられたねじによって、ピストンロッドの同軸のねじ穴にねじ込まれるようになっている。
【0122】
ピストンロッド側に設けられたねじの、ピストンロッドと反対側の端においては、強磁性材からなる第1円板77がコイル芯25の上に配置されている。強磁性材からなるスリーブ状コイルサポート38は、その一端で第1円板77により軸方向に支持されている。
【0123】
コイルサポート38は、その両方の軸方向端に半径方向外向きに延びるフランジ78およびフランジ79を有する。これらはそれぞれ常磁性材からなるリング80により包囲されている。
【0124】
コイルサポート38には、フランジ78とフランジ79との間で、すべり接点30を介してシリンダ1の内壁と導電結合した第1コイル29が巻き付けられている。ここで、シリンダ1は給電管路を形成する。
【0125】
図11では、回転対称形の構造部品としてコイル芯25の上に密封配置された常磁性材からなる弁体60が、スペーサリング82を介して軸方向でコイルサポート38に支持されている。コイル芯25の、第1動作室3に面した端にはねじが設けられている。弁体60は、コイル芯25のねじが設けられた端に螺着されたナット61により、コイルサポート38に対して張着されている。
【0126】
図12では、コイル芯25は、半径方向に突き出て一周するリングカラー81を有する。また、図11の弁体60に相当するが常磁性材からなる弁体60は、ナット61により軸方向に張着されている。
【0127】
逆止弁51を形成する、コイル芯25の上に配置された第1ばね板84は、第1ばね板84上に閉動作エレメントとして配置されたエラストマベローズ85と共に、第1動作室3と第2動作室4の間の連絡路52の出口で軸方向に突き出た弁座88にナット61により押し付けられている。
【0128】
第1動作室3から第2動作室4への流れは、逆止弁51により阻止される。
【0129】
コイルサポート38と弁体60との間において、コイル芯25の上またはコイル芯25を包囲するスペーサリング82の上に、リング形の電機子32が軸方向に摺動自在に配置されている。スペーサリングは、コイルサポート38に支えられた波形ばね83によりプリテンションを付与されて電機子32を軸方向に押し、電機子32と、電機子32の上に配置されたエラストマベローズ87とを一緒に、バルブ通路19の出口で軸方向に突き出た弁座68に押し付ける。
【0130】
バルブ通路19は、第1動作室3を第2動作室4と結合させる。
【0131】
図12において、電機子の部域は、半径方向の通り穴86が中に形成された常磁性材からなるスリーブ89により包囲されている。
【0132】
弁体60の円筒形外被面には、図5の第2バルブ35に相当する第2バルブ35が形成されている。
【0133】
第1コイル29が通電されると、強磁性部品およびシリンダ1により磁束線が閉じられた磁界が生じる。
【0134】
ここで、強磁性部品とは、コイルサポート38、電機子32、円板77、およびシリンダ1のことである。
【0135】
この磁界により第1コイル29が通電されると、電機子32は波形ばね83の力に抗して第1コイル29に引き寄せられる。これによりバルブ通路19が開かれる結果、一方の動作室から他方の動作室に気体が流れることができる。
【0136】
第1コイル29が無通電状態の時、波形ばね83により電機子32はそのエラストマベローズ87と共に弁座68に押し付けられ、バルブ通路19が閉じられる。
【0137】
ピストン2の作用面は、第2動作室4に面した側と比べて第1動作室3に面した側の方が大きい。この大きい作用面により引き出し運動が行われることよって、第2バルブ35が閉じられる。
【0138】
これにより、ピストンはこの位置でロックされる。
【0139】
外側の負荷により、ある一定の値を超える圧力落差が第1動作室3と第2動作室4との間に生じると、両動作室3と4の間の連絡路が開かれる。
【0140】
ここで、第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度低いと、シールリング13が第1溝側壁15に接した位置から第2溝側壁16へと移動することにより、第2バルブ35が開く。
【0141】
第2動作室4の内圧が第1動作室3の内圧よりある一定程度高いと、第1ばね板84のエラストマベローズ85が弁座88から浮き上がり、連絡路52が開く。
【0142】
図13に示す実施例は、図2の実施例とおおむね対応する。
【0143】
図13では、図2とは異なり、コイル芯25が2つの部分で形成されている。そのうち1つは、その内被面に雌ねじ96が設けられると共に管20に圧入された、スリーブ状の外側極芯93である。もう1つは、その外被面に雄ねじ95が設けられた円筒形の内側極芯94である。内側極芯94は、電機子32との切り換え間隔が正確に整定されるように、その雄ねじにより外側極芯93の雌ねじ96にねじ込まれ、固定されている。
【0144】
ここで、螺旋状圧力ばね31は外側極芯93のリング状正面97に支持されている。
【0145】
ピストン2は、電気絶縁材からなる3個のガイドリング28によりシリンダ1の中を摺動自在に案内される。磁力を強めるために、ガイドリング28は強磁性の内リングを備えていてよく、これが短絡防止のために電気絶縁材により包囲されていてよい。
【0146】
外側極芯93と内側極芯94、電機子32、鋼スリーブ又は第1鋼ディスク26と第2鋼ディスク27及びシリンダ1は、強磁性材からなる。管20は強磁性材からなることが好ましいが、常磁性材から形成されていてもよい。
【0147】
例えば12Vの直流電圧の第1コイル29への供給は、一方でシリンダ1とすべり接点30を介して行われ、他方でピストンロッド、常磁性材からなる保持部品7及び管20を介して行われる。
【0148】
ここで、速度はパルス幅変調信号により制御できる。
【符号の説明】
【0149】
1 シリンダ
2 ピストン
3 第1動作室
4 第2動作室
5 ピストンロッド
6 密封/案内パッケージ
7 保持部品
8 基礎穴
9 溝
10 シールリング
11 連絡穴
12 リング溝
13 シールリング
14 溝底
15 第1溝側壁
16 第2溝側壁
17 流体流連絡路
18 スリーブ
19 バルブ通路
20 管
21 管端
22 保持部品端
23 ピストンリング
24 チャンネル
25 コイル芯
26 第1鋼ディスク
27 第2鋼ディスク
28 ガイドリング
29 第1コイル
30 すべり接点
31 螺旋状圧力ばね
32 電機子
33 シール
34 穴
35 第2バルブ
36 バルブ閉動作エレメント
37 フランジ
38 コイルサポート
39 ギャップ
40 端
41 溝
42 コイルスリーブ
43 拡張部
44 拡張段
45 ロッドシール
46 半径方向穴
47 同軸穴
48 半径方向拡張部
49 溝
50 Oリング
51 逆止弁
52 連絡路
53 第1永久磁石円板
54 コイル本体
55 第2コイル
56 第2永久磁石円板
57 溝
58 シールリング
59 シールリング
60 弁体
61 ナット
62 延長部
63 ガイドスリーブ
64 スペーサブシュ
65 ガイドブシュ
66 段
67 弁体
68 弁座
69 シール
70 通り穴
71 リング溝
72 シールリング
73 チャンネル
74 通り穴
75 リング溝
76 シールリング
77 円板
78 フランジ
79 フランジ
80 リング
81 リングカラー
82 スペーサリング
83 波形ばね
84 第1ばね板
85 エラストマベローズ
86 通り穴
87 エラストマベローズ
88 弁座
89 スリーブ
90 シールリング
91 通り穴
92 通り穴
93 外側極芯
94 内側極芯
95 雄ねじ
96 雌ねじ
97 正面側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下にある流体で満たされた閉じたシリンダを備え、
前記シリンダ内の空間が、前記シリンダの中を軸方向に摺動できるピストンにより第1動作室と第2動作室とに分割されており、
前記ピストンの片側に配置されるピストンロッドが、前記第2動作室を貫通して前記シリンダの正面側で密封されて外向きに延びており、
前記第1動作室から前記第2動作室に通じる通路が、電気的に起動制御できる電磁弁を通電することにより開放可能であり、
前記通路および前記電磁弁が前記ピストン内に形成されており、
前記通路が、閉位置と開位置との間で移動自在に駆動できるバルブ閉動作エレメントにより閉鎖可能である、ピストン・シリンダユニットであって、
前記電磁弁が無通電状態で、前記第2動作室(4)から前記第1動作室(3)に向かってある一定の圧力差を超える圧力落差が存在する時、前記第1動作室(3)と前記第2動作室(4)との間の第1バルブの第1バルブ通路が開放可能であり、
前記電磁弁が無通電状態で、前記第1動作室(3)から前記第2動作室(4)に向かってある一定の更なる圧力差を超える圧力落差が存在する時、前記第1動作室(3)と前記第2動作室(4)との間の第2バルブ(35)の第2バルブ通路が開放可能であることを特徴とするピストン・シリンダユニット。
【請求項2】
前記第2バルブ(35)が、前記第2動作室(4)から前記第1動作室(3)への流れを阻止する逆止弁であることを特徴とする請求項1に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項3】
前記ピストン(2)が、前記ピストン(2)の円筒形外周面にリング溝(12)を有し、
前記リング溝(12)内に、シールリング(13)が軸方向に移動自在に配置されており、
前記シールリング(13)の外周面がプリテンションを付与されて前記シリンダ(1)の内壁に接しており、
前記シールリング(13)の内周面の下を、溝底(14)の範囲内で流体が流動可能であり、
前記第1動作室(3)に面した第1溝側壁(15)が閉じられており、
前記第2動作室(4)に面した第2溝側壁(16)が、前記第2動作室(4)に通じる流体流連絡路(17)を、前記溝底(14)の範囲内に有することを特徴とする請求項2に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項4】
前記第2バルブが、一方の押圧方向で作用すると共にその反対の押圧方向では作用しないシールから形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項5】
前記電磁弁が、前記ピストン(2)内に固定的に配置された電流付勢可能な第1コイル(29)を備え、
コイル芯(25)が、電機子(32)の移動方向に対して軸方向に前記第1コイル(29)の中に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項6】
前記コイル芯が、前記ピストン(2)内に固定的に配置されたスリーブ状の外側極芯(93)と、前記外側極芯(93)により包囲された円筒形の内側極芯(94)と、を有し、
前記内側極芯(94)の外被面に雄ねじ(95)が設けられており、前記雄ねじ(95)によって前記内側極芯(94)が前記外側極芯(93)の内被面に設けられた雌ねじ(96)にねじ込まれていることを特徴とする請求項5に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項7】
前記電機子(32)が電流付勢可能な第2コイル(55)から形成されており、
前記第1コイル(29)および前記第2コイル(55)によって、互いに引き寄せ合う磁界が発生可能であることを特徴とする請求項5または6に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項8】
前記第1コイル(29)の前記電機子(32)と反対側の端に、前記第1コイル(29)の磁界を強める第1永久磁石(53)が配置されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項9】
前記第2コイル(55)の前記第1コイル(29)と反対側の端に、前記第2コイル(55)の磁界を強める第2永久磁石(56)が配置されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項10】
前記通路(19)が、前記ピストン(2)の電機子側の円筒形部域内において径方向外向きに通じ、
前記円筒形部域がリング状に形成された閉動作エレメントにより包囲され、
前記閉動作エレメントは、前記通路(19)の出口を覆う閉位置と、前記出口を開放する開位置と、の間を軸方向に移動でき、
前記閉動作エレメントが、ばね押しによって前記電機子(32)により閉動作方向に押し留められていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項11】
前記電機子(32)が、リング状に形成されると共に、円筒形状に形成された前記コイル芯(25)の上を軸方向に摺動自在に配置されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項12】
前記コイル芯(32)に支持された圧力ばねにより、前記電機子(32)がバルブ閉動作エレメントの閉動作方向に押し留められており、前記圧力ばねが、前記圧力ばねに面する前記外側極芯(93)のリング状正面(97)に支持されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。
【請求項13】
前記ピストン(2)が、前記ピストン(2)を前記シリンダ(1)内で軸方向に摺動自在に案内可能な1つ以上のガイドリング(28)を備え、
前記ガイドリング(28)が、電気絶縁材又は強磁性材からなるか、電気絶縁外被により包囲された強磁性の芯を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のピストン・シリンダユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−203614(P2010−203614A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46708(P2010−46708)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(593136649)スタビルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【氏名又は名称原語表記】Stabilus GmbH
【住所又は居所原語表記】Wallersheimer Weg 100, D−56070 Koblenz Germany
【Fターム(参考)】