説明

ピストン式減圧弁

【課題】 背圧室の容積を必要最小限として、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対する応答性、二次圧安定性に優れたピストン式減圧弁を提供すること。
【解決手段】 ハウジング2内で軸線方向に摺動し、一次ポート3の弁座口10を閉鎖するシート部21を有するピストン20と、ピストン20によって仕切られた一次圧室6及び二次圧室8と、一次圧室6及び二次圧室8と連通するよう形成された弁室7と、二次圧室側からピストン20に嵌入されるロッド12とを備え、ピストン20は、ロッド12が嵌入される嵌入孔30と、嵌入孔30と一次圧室6とを連通させるように形成される連通孔32とを有し、嵌入孔30は、嵌入されるロッド12に面する部分に形成される凹状のシール溝36を有し、シール溝36に設けられるシール部材37によりロッド12とピストン20との間をシールすることによってピストン20内に形成される背圧室31を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス等の気体を減圧する減圧弁に関し、詳しくは一次圧力補償型のピストン式減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧ガス等の高圧気体(酸素、水素ガス等、以下、単に「ガス」という)を所望の圧力に減圧する減圧弁として、ピストン式の減圧弁がある。このピストン式減圧弁は、例えば、高圧容器に一次圧(例えば、35メガパスカル)で貯蔵された高圧ガスを低圧の二次圧(例えば、1.5メガパスカル以下)に減圧するような、圧力差が大きい場合に採用され、ピストンに加わる一次圧と、この一次圧で軸方向に移動するピストンによってガスを所望圧力の二次圧に減圧している。この減圧弁は、例えば、高圧容器のガス取出口や、配管途中に取り付けて使用される。
【0003】
この種の先行技術として、図3,4に示すような圧力調整器(減圧弁)がある(例えば、特許文献1参照)。この圧力調整器100では、本体101の内部に軸線方向に変位する減圧部材(ピストン)102を設け、この減圧部材102を介して一次圧室103内における一次圧P1の高圧ガスを二次圧室104に導き、この二次側に導いたガスの圧力でスプリング105に抗して減圧部材102を一次側に移動させて本体101の弁座口106をシート部107で閉鎖するようにしている。これにより、減圧部材102の一次側に作用する一次圧P1と、これに抗するように二次側に作用する二次圧P2との圧力バランスで減圧部材102を軸方向に移動させ、これによって弁座口106とシート部107との間の減圧絞りから流入する一次圧P1のガスを所望の二次圧P2のガスとして排出している。
【0004】
そして、この圧力調整器100では、減圧部材102の第1ピストン108の軸線方向に設けられた嵌入孔109に嵌入する嵌入部110を本体101の第3ピストン111に設け、この嵌入部110を嵌入孔109に嵌入した状態で減圧部材102内に一次圧P1を導く背圧室112を形成している。この背圧室112導いた一次圧P1により、減圧部材102に一次圧室103側から作用する力を減殺し、一次圧変動によって二次圧設定値に与える減圧部材の影響を抑制している。
【0005】
なお、この種の減圧弁として、一次ポートと二次ポートがハウジングの軸線方向両端部に形成されたハウジング内で軸線方向にピストンが摺動するようにした減圧弁において、ハウジングの軸線方向にロッドを設け、ピストンの軸線上に嵌入孔を設け、ロッドの一端部の外周部に嵌入孔の内周部との間をシールするシール部材を設け、このロッドを嵌入孔内に挿入する、という簡単な構成によって、ピストンとロッドとの間に背圧室を形成するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−146875号公報
【特許文献2】特許第3594925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記図3,4に示す圧力調整器100では、図3に示す待機状態から図4に示す動作状態に変化すると、減圧部材102の変位によって背圧室112と、この背圧室112を形成するためのシール部材収容部113の容積が、減圧部材102が待機状態(絞り全開状態)から変位した分だけ大きくなる。図示する二点鎖線の斜線部分が容積変化部分Vであり、嵌入孔109の容積と、第3ピストン111と第1ピストン108との間のシール部材収容部113の容積が変化する。しかも、圧力調整器100は、大半の稼動状態では減圧絞りの小さい図4に示す動作状態であるため、上記嵌入孔109とシール部材収容部113の容積が大きい状態で使用される。したがって、一次圧が変化した際に、背圧室112に給排するガス量が多く必要となり、急激な一次圧変動に対する応答性、二次圧安定性が悪化するおそれがある。
【0008】
また、上記圧力調整器100では、動作状態においては上記減圧部材102の変位による背圧室112の容積変化が大きく、第1ピストン108を変位させる際(例えば、流量を増加させるために絞り開度を大きくする場合など)に背圧室112に給排するガス量が多く必要となり、急激なピストン変位に対する応答性、二次圧安定性が悪化するおそれがある。つまり、上記圧力調整器100では、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対して応答性や二次圧安定性を保つことに課題がある。
【0009】
そこで、本発明は、背圧室の容積を必要最小限として、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対する応答性、二次圧安定性に優れたピストン式減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のピストン式減圧弁は、一次ポートと二次ポートを有するハウジングと、前記ハウジング内で軸線方向に摺動し、前記一次ポートの弁座口を閉鎖するシート部を有するピストンと、前記ピストンによって仕切られ、前記一次ポートと連通する一次圧室と、前記ピストンによって仕切られ、前記二次ポートと連通する二次圧室と、前記一次圧室及び前記二次圧室と連通するよう形成された弁室と、前記ピストンを前記弁座口から離間させる方向に付勢する付勢部材と、前記二次圧室側から前記ピストンに嵌入されるロッドと、を備え、前記ピストンは、前記弁室内に収納する第1ピストン部と、前記第1ピストン部よりも大径であって、前記二次圧室内に収納する第2ピストン部と、前記弁室と二次圧室とを連通させる流路と、前記ロッドが嵌入される嵌入部と、前記嵌入部と前記一次圧室とを連通させるように形成される連通部と、を有し、前記嵌入部は、嵌入される前記ロッドに面する部分に形成される凹状のシール溝を有し、前記シール溝に設けられるシール部材により前記ロッドと前記ピストンとの間をシールすることによって前記ピストン内に形成される背圧室を備えることを特徴とする。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「軸線」は、ピストンの「中心軸線」をいう。
【0011】
この構成により、ピストンの嵌入部の凹状のシール溝に設けられたシール部材によってロッドとの間のシール性を保ち、このシール部材は凹状のシール溝に設けられているためピストンと一体的に軸線方向に摺動することができる。これにより、シール部材の移動に伴う背圧室の容積(ボリューム)増加を低減することができる。また、シール溝をピストン側に設けたことにより、ロッドの更なる小径化によって背圧室の容積を低減することができる。従って、一次圧によってピストンに加わる力を減殺するための背圧室の容積を非常に小さくし、且つピストンの変位による背圧室の容積変化を小さくできるので、ピストン変位時のガス給排量が小さくなって背圧室内圧力の昇降時間を短くでき、一次圧及び流量の過渡的な変化に対する応答性、二次圧安定性に優れた減圧弁を構成することができる。
【0012】
また、前記連通部は前記嵌入部よりも小径であって、前記ロッドが嵌入されないように構成され、前記背圧室は前記ピストンに一次圧室方向に向けて背圧を作用させる背受圧面を有するように構成されていてもよい。このように構成すれば、ロッドの径に関係なく連通部を小径にすることができるため、背圧室の容積の更なる低減が可能となる。また、ピストンに作用する一次圧と背圧室に作用する反対方向の背圧とによってピストンに作用する一次圧を相殺させることができるので、一次圧が変化しても二次圧値を安定して維持することができる。
【0013】
また、前記ピストンは、前記流路を複数本有していてもよい。このように構成すれば、流路を通って一次圧室から二次圧室にガスが効率良く流れ、安定してピストンを動作させる減圧弁を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、背圧室の容積を非常に小さくできるので、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対する応答性、二次圧安定性に優れたピストン式減圧弁を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るピストン式減圧弁の縦断面図である。
【図2】図1に示すピストン式減圧弁の動作状態を示す縦断面図である。
【図3】従来の圧力調整器(減圧弁)の縦断面図である。
【図4】図3に示す圧力調整器(減圧弁)の動作状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、高圧容器内の高圧ガスを減圧するピストン式減圧弁1を例に説明する。また、ピストン式減圧弁1のハウジングを矩形ブロックで示して説明する。
【0017】
図1に示すように、この実施形態のピストン式減圧弁1は、軸線方向一端部に一次圧P1の高圧ガスを供給する一次ポート3を有し、他端部に減圧した二次圧P2のガスを排出する二次ポート4を有するハウジング2を備えている。このハウジング2の内部には、一次ポート3と連通する一次圧室6と、この一次圧室6と連通する弁室7が形成された筒状空間5が設けられている。この筒状空間5にはピストン20が収納されており、このピストン20により、ハウジング2の内部に上記二次ポート4と連通する二次圧室8が形成されている。このピストン20は、筒状空間5内に収納されて軸線方向に摺動するようになっている。また、ピストン20には、上記一次ポート3の弁座口10を閉鎖するシート部21が設けられている。
【0018】
さらに、上記弁室7の外周部分には、付勢部材たるコイル状のスプリング11を収納するスプリング収納部9が設けられている。上記スプリング11は、軸線上に中心を有する円環状に形成された圧縮コイルスプリングとなっている。このコイルスプリング11は、ピストン20に設けられた後述する第2ピストン部23に形成されたスプリング受け部24に支持されている。
【0019】
また、上記ピストン20は、スプリング収納部9に収納されたスプリング11により、ハウジング2の内部で上記弁座口10から離間する方向に付勢されている。つまり、ピストン20は、スプリング11の付勢力によって二次圧室8の方向(反弁座口方向)に付勢されている。
【0020】
さらに、上記ピストン20は、上記弁室7内に収納される円筒状の第1ピストン部22と、この第1ピストン部22と一体的に形成されて、上記二次圧室8内に収納される筒状の第2ピストン部23とを有している。上記第1ピストン部22は、弁室7内を軸線方向に移動する小径に形成され、上記第2ピストン部23は、第1ピストン部22よりも大径で二次圧室8内を軸線方向に移動する径に形成されている。第1ピストン部22の外径と第2ピストン部23の二次圧室8を形成する外径、及び上記スプリング11の付勢力は、一次圧P1と減圧する二次圧P2に応じて決定される。
【0021】
第1ピストン部22と弁室7の内面との間と、第2ピストン部23とハウジング2の内面との間には、それぞれ環状シール部材25,26が設けられている。第1ピストン部22と弁室7の内面との間に設けられた環状シール部材25により、弁室7とスプリング収納部9との間がシールされ、第2ピストン部23とハウジング2の内面との間に設けられた環状シール部材26により、二次圧室8とスプリング収納部9との間がシールされている。これら環状シール部材25,26によって弁室7と二次圧室8とを気密シールしたピストン20が、前述したようにスプリング11によって弁座口10から離間する方向に付勢されている。
【0022】
また、上記ピストン20には、上記一次圧室6と連通するように上記二次圧室8側から軸線上に形成された嵌入孔30(嵌入部)と、嵌入孔30と一次圧室6とを連通させるように形成される連通孔32(連通部)が設けられている。なお、連通孔32は嵌入孔30よりも小径である。また、嵌入孔30に後述するロッド12が嵌入されることで、所定の容積(ボリューム)の背圧室31が形成される。この嵌入孔30の一次圧室6側に形成される背圧室31は、ピストン20に作用する一次圧P1を減殺するよう構成される。この背圧室31は、ピストン20のシート部21から軸線上に設けられた連通孔32によって一次圧室6と連通するようになっている。この連通孔32により、一次圧室6の圧力が背圧室31に導かれている。また、このピストン20には、上記嵌入孔30の周囲に、上記一次圧室6と二次圧室8とを連通させる流路33が複数本設けられている。
【0023】
さらに、上記ハウジング2の二次圧室8側には、上記ピストン20の嵌入孔30に向けて延びるロッド12が設けられている。このロッド12は、軸線上に設けられており、先端部分が上記嵌入孔30に嵌入されるようになっている。なお、ロッド12の上記先端部分は連通孔32には嵌入しないようになっている。
【0024】
そして、上記ピストン20の上記嵌入孔30には、嵌入したロッド12に面する部分に、ロッド12の先端部分とピストン20との間をシールするシール部35が設けられている。シール部35は、嵌入孔30のロッド12に面する部分に設けられた凹状のシール溝36と、このシール溝36に設けられたシール部材(Oリング)37とで構成されている。そのため、このシール部材37はピストン20と一体的に軸線方向に摺動することができ、シール部材37の移動に伴う背圧室31の容積増加を低減することができる。つまり、ロッド12と嵌入孔30とが軸線方向に相対移動したとしても、シール部35における容積の変化はない。このシール部35でロッド12の周囲をシールすることにより、嵌入孔30のシール部35から一次圧室6側の空間が上記背圧室31として形成されている。このように、シール部35は、ピストン20が軸線方向に摺動しても上記背圧室31を形成した状態を保つことができるように、ピストン20の所定位置に設けられている。また、シール溝36をピストン側に設けたことにより、ロッド12の更なる小径化によって背圧室31の容積を低減することができる。
【0025】
一方、上記背圧室31には、この背圧室31内に導かれた一次圧室6内の一次圧P1の高圧ガスによって、ピストン20に一次圧室6方向に向けて背圧を作用させる背受圧面34が形成されている。この背受圧面34は、嵌入孔30の直径に対して連通孔32の直径を小さくした部分によって形成されている。この実施形態では、弁座口10の径と背受圧面34の径が略同一に設定されている。
【0026】
このような背受圧面34を有する背圧室31により、ピストン20に作用する一次圧P1を、一次圧室6内の高圧ガスから軸線方向一方X1に向けて作用する一次圧P1に対して、背圧室31内の高圧ガスから背受圧面34に軸線方向他方X2に向けて作用する背圧を逆方向に作用させ、これによってピストン20に作用する一次圧P1による外力を相殺するようにしている。つまり、一次圧P1によってピストン20に作用する外力は、背受圧面34と、弁座口10の径によって決まるようになっている。そのため、弁座口10の径と、背受圧面34の径が略同一であれば、一次圧P1によってピストン20に作用する外力は相殺され略ゼロとなる。
【0027】
そして、このように構成することで、一次側の高圧ガスが消費され、高圧容器内のガス圧が低下し、一次圧P1が低下したとしても、ピストン20で減圧された二次圧値は、一定に維持させることができる。つまり、上記構成により、ピストン20に作用する力を、二次圧によって発生する力と、スプリング11の付勢力のみとして、一次圧P1の値に関わりなく、スプリング11の弾性係数と、第1ピストン部22及び第2ピストン部23の設定によって二次圧値を設定することを可能としている。
【0028】
また、上記ピストン20の第1ピストン部22の先端面から突出するように設けられた上記シート部21は、ハウジング2に形成された隆起する円環状の弁座口10を閉鎖できる大きさで形成されている。これらシート部21と弁座口10との間が減圧絞り(オリフィス)となっており、この減圧絞りの開度に応じて一次圧P1の高圧ガスが二次圧P2に減圧される。
【0029】
なお、上記弁座口10、一次圧室6、二次圧室8、嵌入孔30、ロッド12、背圧室31は、ハウジング2の軸線上に配置されている。
【0030】
以上のように構成されたピストン式減圧弁1によれば、以下のようにして一次圧P1の高圧ガスを二次圧P2に減圧することができる。上記図1は高圧ガスが供給されていない待機状態であり、この状態のピストン20は、スプリング11の付勢力によって弁座口10から離間させる方向に付勢されてシート部21が弁座口10から離れた状態となっている。
【0031】
一方、図2に示すように、一次ポート3に一次圧P1の高圧ガスが供給されると、一次ポート3から一次圧室6に流入した高圧ガスがピストン20の流路33を介して二次圧室8に流入する。
【0032】
そして、この高圧ガスによって二次圧室8の圧力が二次圧P2に上昇すると、二次圧室8のガス圧によってピストン20がスプリング11の付勢力に抗して弁座口10の方向へ移動させられる。これにより、ピストン20のシート部21が弁座口10に接して押圧されると、一次ポート3から弁室7への高圧ガスの流入が遮断されるので、二次圧室8へのガスの供給が止まり、二次圧室8のガス圧が低下する。
【0033】
その後、二次圧室8のガス圧が低下すると、スプリング11の付勢力によってピストン20が弁座口10から離間させられて弁座口10が開放される。そして、この動作が繰り返されることにより、一次圧P1は、二次圧P2に減圧されて排出される。
【0034】
このような動作が基本的な動作であるが、通常の使用時には、上記ピストン20のシート部21が弁座口10に近接した位置で減圧絞り(オリフィス)が流量及び一次圧に応じた小さい隙間で開いた状態で使用される。すなわち、弁座口10とシート部21との間の減圧絞りの開口面積を小さくして大幅な減圧を行う状態で使用される。
【0035】
しかも、上記ピストン式減圧弁1によれば、ピストン20が軸線方向に移動した時に変化する背圧室31の容積(ボリューム)はロッド12の断面積にのみ依存する値となり、その容積変化量を非常に小さくできる。図示する二点鎖線の斜線部分が容積変化部分Vである。これにより、ピストン20の変位による背圧室31の容積変化を非常に小さくして、ピストン変位時のガス給排量減少による背圧室内圧力の昇降時間を短くでき、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対する応答性、二次圧安定性に優れたピストン式減圧弁1を構成することが可能となる。
【0036】
つまり、上記したようにシール部35を嵌入孔30側に設けているため、嵌入孔30、ロッド12及びシール部35で形成される背圧室31を必要最小容積にすることができ、さらにピストン20変位時の背圧室31の容積変化量も最小限に抑えることができる。これによって、一次圧及び流量などの過渡的な変動に対する応答性、二次圧安定性に優れたピストン式減圧弁1を可能としている。
【0037】
なお、上記実施形態では、ピストン20の嵌入孔30の径及びロッド12の径を弁座口10の径と略同一としているが、これらの径は減圧条件等に応じて適した径を採用すればよく、上記実施形態に限定されるものではなく、必ずしも同一とする必要はない。
【0038】
また、上記実施形態では、一次ポート3と二次ポート4を軸線方向に配置しているが、二次ポート4を弁室7から軸線方向垂直に配置しても同じ作用効果を有する。
【0039】
また、上記実施形態におけるシール部35の構成も一例であり、シール部材の移動に伴って背圧室の容積(ボリューム)が変化しない構成であれば他の構成であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0040】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るピストン式減圧弁は、高圧水素などの高圧ガスを一次圧から大幅に減圧した二次圧としたい減圧弁に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ピストン式減圧弁
2 ハウジング
3 一次ポート
4 二次ポート
5 筒状空間
6 一次圧室
7 弁室
8 二次圧室
9 スプリング収納部
10 弁座口
11 スプリング(付勢部材)
12 ロッド
20 ピストン
21 シート部
22 第1ピストン部
23 第2ピストン部
24 スプリング受け部
25 環状シール部材
26 環状シール部材
30 嵌入孔(嵌入部)
31 背圧室
32 連通孔(連通部)
33 流路
34 背受圧面
35 シール部
36 シール溝
37 シール部材
P1 一次圧
P2 二次圧
V 容積変化部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次ポートと二次ポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内で軸線方向に摺動し、前記一次ポートの弁座口を閉鎖するシート部を有するピストンと、
前記ピストンによって仕切られ、前記一次ポートと連通する一次圧室と、
前記ピストンによって仕切られ、前記二次ポートと連通する二次圧室と、
前記一次圧室及び前記二次圧室と連通するよう形成された弁室と、
前記ピストンを前記弁座口から離間させる方向に付勢する付勢部材と、
前記二次圧室側から前記ピストンに嵌入されるロッドと、を備え、
前記ピストンは、前記弁室内に収納する第1ピストン部と、前記第1ピストン部よりも大径であって、前記二次圧室内に収納する第2ピストン部と、前記弁室と二次圧室とを連通させる流路と、前記ロッドが嵌入される嵌入部と、前記嵌入部と前記一次圧室とを連通させるように形成される連通部と、を有し、
前記嵌入部は、嵌入される前記ロッドに面する部分に形成される凹状のシール溝を有し、 前記シール溝に設けられるシール部材により前記ロッドと前記ピストンとの間をシールすることによって前記ピストン内に形成される背圧室を備えることを特徴とするピストン式減圧弁。
【請求項2】
前記連通部は前記嵌入部よりも小径であって、前記ロッドが嵌入されないように構成され、
前記背圧室は前記ピストンに一次圧室方向に向けて背圧を作用させる背受圧面を有するように構成されている請求項1に記載のピストン式減圧弁。
【請求項3】
前記ピストンは、前記流路を複数本有している請求項1又は2に記載のピストン式減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41375(P2013−41375A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177029(P2011−177029)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】