説明

ピッキング方法及びピッキング装置

【課題】本発明の課題は、物品を出荷するに際し、出荷総数の割当てと物品の先入れ/先出しを同時に解決することにある。
【解決手段】パレット単位保管区分と、ケース単位保管区分とを有し、ケース単位保管区分の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、制御コンピュータが不足数(O−P)をパレットの層単位数に切上げ算出し、切上げ算出した層数F=(O−P)/C(但しCはパレットの1層分のケース数)分のFC個のケースを、前記パレット単位保管区分からコンベヤライン又はフォークリフトトラックにより前記デパレタイズ装置に搬入してデパレタイズしてS=P+FC−Oのケースをケース単位保管区分に入荷し、該不足数(O−P)のケースを出荷し、ケース単位保管区分の在庫数Pのケースを出荷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品のピッキング方法及びピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、市場の成熟化とともに、物品の多品種化と注文単位数の減少化、発注の多頻度化等を生じ、物品の保管単位、ピッキング単位は多様化、小粒化の傾向にある。即ち、パレット単位の注文は層単位やケース単位へと変わり、ケース単位の注文は中箱単位(ダース単位)やバラ単位(1個単位)へと変わり、従来の自動倉庫等の保管庫を用いた物品のピッキングは複雑且つ不効率になっている。
【0003】
そして、従来のピッキング方法としては、特公平3−14721号公報に記載の如く、下記(a)、(b)の方法がある。
【0004】
(a)パレット上に多層に積層されて保管された物品を一層単位でデパレタイズし、必要数量の物品を荷揃えする方法において、必要数量のうち、一層単位の物品についてはデパレタイズされたものを直接搬出して荷揃えし、一層分に満たない端数の物品については、一層単位で予めデパレタイズされ一時保管設備に保管されている物品のうち、必要な端数の物品を一時保管設備から取出して荷揃えする方法。
【0005】
(b)パレット上に多層に積載されて保管された物品を一層単位でデパレタイズし、必要数量の物品を荷揃えする方法において、必要数量のうち、一層単位の物品についてはデパレタイズされたものを直接搬出して荷揃えし、一層分に満たない端数の物品については、一層分の物品をデパレタイズし、この物品のうち必要な端数の物品は直接搬出して荷揃えし、上記一層分の物品の数量から必要な端数の物品数量を差し引いた残りの物品については一時保管設備に保管する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術には以下の問題点がある。
【0007】
従来方法(a)では、必要な端数の物品を一時保管設備から取出すものであるから、一時保管設備に十分な在庫を確保する必要がある。
【0008】
従来方法(a)、(b)とも、先行パレットからデパレタイズした物品を一時保管設備に保管してある状態下で、後続パレットからデパレタイズした一層単位の物品を直接出荷し(従来方法(a)、(b))、後続パレットからデパレタイズした物品のうち、一層分に満たない必要な端数の物品を直接出荷する(従来方法(b))ものであるため、物品の先入れ/先出しができない。
【0009】
本発明の課題は、物品を出荷するに際し、必要数の物品をスムースに出荷し、しかも物品を先入れ/先出しすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明によれば、複数の物品を収容したケースを複数層に段積みしたパレット単位で保管するとともに,該ケースをデパレタイズ装置を用いてパレットの層単位で取出し可能とするパレット単位保管区分と,複数の物品を収容したケースをケース単位で保管するとともに,該ケースをケース単位で取出し可能な保管区分としてパレット単位保管区分とは別に設けられるケース単位保管区分とを有し,パレット単位保管区分とケース単位保管区分から,それらに保管されているケースをバッチオーダーの出荷総数Oにして荷揃えするピッキング方法において,同一品種物品のケースについて、ケース単位保管区分の在庫数Pの方がバッチオーダーの出荷総数Oより多いときには、制御コンピュータはケース単位保管区分の在庫数Pから出荷総数Oを作り出し、バッチオーダーに応じて荷揃えするよう制御し、ケース単位保管区分の在庫数Pの方がバッチオーダーの出荷総数Oより少ないときには,バッチオーダーの出荷総数Oを作り出すために、制御コンピュータは,デパレタイズ装置を用いてパレット単位保管区分から取出されるパレットの層数を、バッチオーダーの出荷総数Oからケース単位保管区分の在庫数Pを除いた不足数(O−P)をパレットの層単位数に切上げ算出することにより算出した層数F=(O−P)/C(但しCはパレットの1層分のケース数)とし,F層のFC個のケースのうちバッチオーダーの出荷総数Oを作り出すのに用いないケース数をS=P+FC−Oとし,バッチオーダーの出荷総数Oを作り出すために用いるケース数を不足数(O−P)とし、バッチオーダーに応じてケース単位保管区分の在庫数Pのケースと不足数(O−P)とを荷揃えするよう制御することを特徴とするピッキング方法を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば同一品種物品のケースについて、ケース単位保管区分の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、ケース単位保管区分とパレット単位保管区分の両区分から出荷されるが、ケース単位保管区分の在庫数Pが必ず全数出荷されるから、物品の先入れ/先出しが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はピッキング装置を示す模式図である。
【図2】図2はピッキング装置によるケースオーダーピッキング方法を示す模式図である。
【図3】図3はピッキング装置によるバラオーダーピッキング方法を示す模式図である。
【図4】図4はパレットの荷姿を示す模式図である。
【図5】図5は保管庫を示す断面図である。
【図6】図6は保管庫を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はピッキング装置を示す模式図、図2はピッキング装置によるケースオーダーピッキング方法を示す模式図、図3はピッキング装置によるバラオーダーピッキング方法を示す模式図、図4はパレットの荷姿を示す模式図、図5は保管庫を示す断面図、図6は保管庫を示す正面図である。
【0014】
図1に示す如く、ピッキング装置10は、制御コンピュータ11から転送されてくる出荷計画データに基づく、同一配送方面に入る複数の店分を1つにまとめたバッチオーダーを処理するように、パレット単位保管区分20と、ケース単位保管区分30を制御し、バッチオーダーに応じたケース単位、バラ単位(1個単位)で物品を仕分け搬送ライン50へと出荷する。そして、仕分け搬送ライン50では、配送方面を同一とするケースオーダーとバラオーダーの各バッチオーダー毎に分岐したケースオーダー用の分岐荷揃えライン60Aとバラオーダー用の分岐荷揃えライン60Bへとそれらケース単位、バラ単位の物品を仕分ける。更に、分岐荷揃えライン60A、60Bでは、それらケース単位、バラ単位の物品を店別に仕分けして払い出し、配送車に積込み可能とする。
【0015】
このとき、ピッキング装置10では、図2に示す如く、広幅サイズ(例えば1100mm×1100mm)の標準パレット101と、狭幅サイズ(例えば1320mm×550mm、又は1100mm×660mm)の狭幅パレット102を併用する。本実施形態では、標準パレット101に多層状に積層してあったケースのうちの、1層分のケース1を狭幅サイズ102に積み込み可能とする。尚、狭幅パレット102のパレット荷は、複数の物品を収容した上述のケース1に加え、物品を1個単位で収容するトレー、コンテナ、開封したケース等のバラ搬送容器2を混載可能としている。
【0016】
パレット単位保管区分20は、複数の物品を収容したケースを標準パレット101に複数層に段積みしたパレット単位で保管するとともに、デパレタイズ装置21により該ケースをパレットの層単位で取出し可能とする。
【0017】
ケース単位保管区分30は、複数の物品を収容したケースを狭幅パレット102にケース単位で積載して保管するとともに、該ケースをケース単位で取出し可能とする。
【0018】
尚、ケース単位保管区分30では、狭幅パレット102に、ケースを上述の如くにケース単位で積載するとともに、物品を1個単位で収容した前述のバラ搬送容器にも混載できる。
【0019】
従って、ケース単位保管区分30では、狭幅パレット102に、複数の物品を収容したケース1をケース単位で積載したケース単位保管部30Aを形成するとともに、物品を1個単位で収容したバラ搬送容器2も混載したバラ単位保管部40Aを併せ形成するものとなる。
【0020】
しかるに、ピッキング装置10によるケースオーダーピッキング方法とバラオーダーピッキング方法はそれぞれ以下の如く実行される。
【0021】
(ケースオーダーピッキング方法)(図1、図2)
(A)同一品種物品のケースについて、バッチオーダーの出荷総数(必要数)Oを作り出すための計算式を以下の通りとする。但し、Pはケース単位保管区分30(ケース単位保管部30A)の在庫数、Fはパレット単位保管区分20から取出されるパレットの層数、Cはパレット単位保管区分20におけるパレットの1層分のケース数、Sはパレット単位保管区分20から取出したケースを仕分け搬送ライン50に出荷した後の余剰ケース数とする。
O=P+FC−S …式1
F=(O−P)/C …式2
S=P+FC−O …式3
【0022】
(B)制御コンピュータ11は、式1〜式3を用いて、以下の如く制御する。
(1)O−Pにより、O<Pのとき、即ち、ケース単位保管区分30の在庫数Pの方が出荷総数Oより多いときには、ケース単位保管区分30の中から必要数Oのケースを仕分け搬送ライン50からケースオーダー用の各分岐荷揃えライン60Aへ出荷する。このとき、(a)ケース単位保管区分30から必要数Oだけを取出し各分岐荷揃えライン60Aへ出荷する方法と、(b)ケース単位保管区分30から在庫数Pの全数を取出し、この中から必要数Oを各分岐荷揃えライン60Aへ出荷し、この出荷後の余剰ケースを下記(3)によりケース単位保管区分30へ返却する方法とがある。
【0023】
(2)O−Pにより、O≧Pのとき、即ちケース単位保管区分30の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、ケース単位保管区分30の在庫数Pの全数のケースを仕分け搬送ライン50から各分岐荷揃えライン60Aへ出荷し、不足数(O−P)を式2によりパレットの層単位数に切上げ算出し、この算出値をデパレタイズ装置21のピッキングデータとする。デパレタイズ装置21は算出した層数F分のケース(FC個)をパレット単位保管区分20から取出し、該不足数(O−P)のケースを仕分け搬送ライン50から各分岐荷揃えライン60Aへ出荷する。
【0024】
(3)仕分け搬送ライン50は、パレット単位保管区分20、ケース単位保管区分30から取出されたケースのうちの不足数(O−P)のケースを各分岐荷揃えライン60Aに分配出荷し、この出荷後の余剰ケースS=P+FC−Oをケース単位保管区分30へ返却又は入荷する。
【0025】
(4)上述(2)で、ケース単位保管区分30の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときに、ケース単位保管区分30からの在庫数Pの全数の出荷と、パレット単位保管区分20からの不足数(O−P)の出荷とは、ケース単位保管区分30からの出荷を優先する。これにより、上述(3)の余剰返却分はパレット単位保管区分20から取出されたものになり、物品の先入れ/先出しを保証できる。物品の品種等により先入れ/先出しの必要がなければ、ケース単位保管区分30からの出荷の優先を取下げれば良い。
【0026】
尚、ピッキング装置10は、パレット単位保管区分20、ケース単位保管区分30から払い出されるケースに表示されている物品品種を読取る品種読取り用バーコードリーダ22、31をパレット単位保管区分20、ケース単位保管区分30の搬出口に設け、仕分け搬送ライン50から各分岐荷揃えライン60Aへの分岐口に仕分け確認用バーコードリーダ51Aを設け、仕分け搬送ライン50からケース単位保管区分30への搬入口に返却/入荷確認用バーコードリーダ52を設けてある。これにより、制御コンピュータ11は、バーコードリーダ22、31の読取り結果により仕分け搬送ライン50に取出されるケースに表示されている品種を認識し、各分岐荷揃えライン60Aに出荷すべき当該品種のケースを必要数だけ仕分け搬送ラインから当該荷揃えライン60Aに分岐させるべく、仕分け確認用バーコードリーダ51Aによってその分岐の実行を管理する。また、制御コンピュータ11は、各荷揃えライン60Aで生じた余剰ケースに添付される後述の返却ラベルを返却/入荷確認用バーコードリーダ52によって読取り、その余剰ケースを仕分け搬送ライン50からケース単位保管区分30へ返却する。
【0027】
(バラオーダーピッキング方法)(図1、図3)
(A)同一品種物品について、バッチオーダーの出荷総数(必要数)Oを作り出すための計算式を以下の通りとする。但し、Pはケース単位保管区分30にあるバラ搬送容器2(バラ単位保管部40A)の在庫数、Fはケース単位保管区分30(ケース単位保管部30A)から取出されるケース数、Cは1ケース分の物品数、Sはケース単位保管区分30から取出したケース内の物品を仕分け搬送ライン50に出荷した後の余剰物品数とする。
=P+F−S …式1
=(O−P)/C …式2
=P+F−O …式3
【0028】
(B)制御コンピュータ11は、式1〜式3を用いて、以下の如く制御する。
(1)O−Pにより、O<Pのとき、即ち、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより多いときには、バラ単位保管部40Aの中から必要数Oの物品を仕分け搬送ライン50からバラオーダー用の各分岐荷揃えライン60Bへ出荷する。このとき、(a)バラ単位保管部40Aから必要数Oだけを取出し各分岐荷揃えライン60Bへ出荷する方法と、(b)バラ単位保管部40Aから在庫数Pの全数を取出し、この中から必要数Oを各分岐荷揃えライン60Bへ出荷し、この出荷後の余剰物品を下記(3)によりバラ単位保管部40Aへ返却する方法とがある。
【0029】
(2)O−Pにより、O≧Pのとき、即ちバラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの全数の物品を仕分け搬送ライン50から各分岐荷揃えライン60Bへ出荷し、不足数(O−P)を式2によりケース単位数に切上げ算出し、この算出値をケース単位保管区分30からのピッキングデータとする。算出したケース数Fの物品(F個)をケース単位保管区分30から取出し、該不足数(O−P)の物品を仕分け搬送ライン50から各分岐荷揃えライン60Bへ出荷する。
【0030】
(3)仕分け搬送ライン50は、ケース単位保管区分30、バラ単位保管部40Aから取出された物品のうちの必要数(O−P)の物品を各分岐荷揃えライン60Bに分配出荷し、この出荷後の余剰物品S=P+F−Oをバラ単位保管部40Aへ返却又は入荷する。
【0031】
(4)上述(2)で、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときに、バラ単位保管部40Aからの在庫数Pの全数の出荷と、ケース単位保管区分30からの不足数(O−P)の出荷とは、バラ単位保管部40Aからの出荷を優先する。これにより、上述(3)の余剰返却分はケース単位保管区分30のケース単位保管部30Aから取出されたものになり、物品の先入れ/先出しを保証できる。物品の品種等により先入れ/先出しの必要がなければ、バラ単位保管部40Aからの出荷の優先を取下げれば良い。
【0032】
尚、ピッキング装置10は、バラ単位保管部40Aから払い出される物品又は、後述する搬送容器に表示されている物品品種を読取る品種読取り用バーコードリーダとしてケース単位保管区分30の搬出口に設けてある前述のバーコードリーダ31を用い、仕分け搬送ライン50から分岐荷揃えライン60Bへの分岐口に仕分け確認用バーコードリーダ51Bを設け、仕分け搬送ライン50からバラ単位保管部40Aへの返却/入荷確認用バーコードリーダとして前述のバーコードリーダ52を用いる。これにより、制御コンピュータ11は、品種読取り用バーコードリーダ31により仕分け搬送ライン50に取出される物品又はその搬送容器2に表示されている品種を認識し、各荷揃えライン60Bに出荷すべき当該品種の物品を必要数だけ仕分け搬送ライン50から当該荷揃えライン60Bに分岐させるべく、仕分け確認用バーコードリーダ51Bによってその分岐の実行を管理する。また、制御コンピュータ11は、各荷揃えライン60Bで生じた余剰物品又はその搬送容器2に貼付される後述の返却ラベルを返却/入荷確認用バーコードリーダ52によって読取り、その余剰物品を仕分け搬送ライン50からバラ単位保管部40Aへ返却する。
【0033】
ピッキング装置10は、バラオーダーピッキング方法の実行に際し、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないとき、不足数O−Pをケース単位数に切上げ算出したケース数Fのケースのピッキングは、前述のケース単位保管区分30によることに限定されず、パレット単位保管区分20やデパレタイズ装置21を利用しても良いし、その他ロールボックスパレット単位で保管しておいた物品を取出して出荷しても良い。
【0034】
以下、ピッキング装置10の具体的構成について説明する。
(パレット単位保管区分20)パレット単位保管区分20は、自動倉庫を用いることができ、標準パレット101のパレット荷(図4(A))を保管する。
【0035】
但し、パレット単位保管区分20は、出荷総数Oを満たすに足る単品標準パレット101(1パレットの全層が同一品種物品)又は層単位組合せ標準パレット101(1パレットの各層で異品種物品)を、コンベヤライン又はフォークリフトトラックによりデパレタイズ装置21に持ち込むものでも良い。
【0036】
(ケース単位保管区分30)ケース単位保管区分30は、図1、図5、図6に示す如くの保管庫110を用いることができる。
【0037】
保管庫110は、多段多列をなす複数の保管棚111を備え、複数の保管棚111のいずれかを入出庫間口112とする。入出庫間口112は、同一間口を入庫間口と出庫間口の両方に用いるものであるが、保管庫110では入庫間口と出庫間口として互いに別間口を用いても良い。保管庫110は、スタッカクレーン113を備え、入出庫間口112から入庫される狭幅パレット102のパレット荷(図4(B))をスタッカクレーン113によりいずれかの保管棚111に移動し、各保管棚111のパレット荷をスタッカクレーン113により入出庫間口112に移動する。
【0038】
保管庫110は、入出庫間口112に沿ってコンベヤ114を配置し、狭幅パレット102のパレット荷をコンベヤ114により入出庫間口112に搬入、搬出可能とする。保管庫110は、コンベヤ114の入出庫間口112に対応する部分より上流側にパレタイズ装置115を配置し、複数の物品をそれぞれ収容した複数のケース1、バラ搬送容器2を狭幅パレット102に積載したパレット荷として入庫可能とする。また、保管庫110は、コンベヤ114の入出庫間口112に対応する部分より下流側にデパレタイズ装置116を配置し、出庫した狭幅パレット102のパレット荷をケース単位にばらして搬出可能とする。
【0039】
保管庫110は、入出庫間口112の前面に、コンベヤ114の搬送レベルに対する下方待機位置と上方作業位置との間をエアチューブ等からなる昇降装置117により上下する入出庫トランスファ118(モータ118A)を備える。入出庫トランスファ118は待機位置において、パレタイズ装置115から供給される狭幅パレット102のパレット荷をコンベヤ114により入出庫間口112に搬入可能とする。入出庫トランスファ118は待機位置から作業位置に上昇してコンベヤ114上のパレット荷を預かり、このパレット荷を入出庫間口112に入庫し、又は入出庫間口112から出庫されるパレット荷を受入れる。入出庫トランスファ118は作業位置から待機位置に下降して、入出庫間口112から受入れたパレット荷をコンベヤ114に受渡す。
【0040】
保管庫110では、スタッカクレーン113により入出庫間口112に出庫した狭幅パレット102のパレット荷の全ケースを搬出するときにはデパレタイズ装置116を用い、パレット荷のケース単位保管部30Aの一部のケース1、又はバラ単位保管部40Aのバラ搬送容器2から必要数の物品を搬出するときには、オペレータが入出庫間口112で該パレット荷から必要数のケース1又は物品だけを取出し、残りのパレット荷をスタッカクレーン113により保管棚111に戻す。このとき、保管庫110は、入出庫間口112の上部にケースピッキング表示部36、バラピッキング表示部37を備え、スタッカクレーン113により入出庫間口112に出庫した狭幅パレット102のパレット荷からケースピッキング表示部36が表示する必要数のケース1をピッキングし、またバラピッキング表示部37が表示する必要数の物品をバラ搬送容器2からピッキングし、これらのピッキングしたケース1、物品をコンベヤ114にて搬出する。尚、入出庫間口112の上部には、オペレータのためのピッキング要求ランプ兼完了ボタンスイッチ38が設けられている。
【0041】
保管庫110は、入出庫間口112に出庫した狭幅パレット102のパレット荷の全ケース1をデパレタイズ装置116によりケース単位にばらして搬出し、この搬出後の余剰ケースをパレタイズ装置115の上流に戻し、同一品種物品の余剰ケースをパレタイズ装置115により狭幅パレット102に積載したパレット荷として入出庫間口112に再入庫できる。このとき、出庫した狭幅パレット102のパレット荷にバラ搬送容器2が混載されていれば、デパレタイズ装置116によりこのバラ搬送容器2も他のケース1とともに搬出し、その後パレタイズ装置115により余剰ケース1とともにパレット荷として再入庫する。
【0042】
保管庫110は、コンベヤ114に沿う最下流側と最上流側の間口に空パレットマガジン119A、119Bを設置している。空パレットマガジン119Aはデパレタイズ装置116に対応し、デパレタイズ装置116によって全ケースを排出された狭幅パレット102を集積する。空パレットマガジン119Aの空パレット102は、スタッカクレーン113により空パレットマガジン119Bに移送される。空パレットマガジン119Bはパレタイズ装置115に対応し、空パレットをパレタイズ装置115に供給する。尚、空パレットマガジン119Aから空パレットマガジン119Bへの空パレットの移送は、スタッカクレーン113によらず、コンベヤ114に併設される空パレット移送コンベヤによっても良い。
【0043】
保管庫110は、入出庫間口112から入庫されるパレット荷の高さを検出する荷高さ検出器120を有し、荷高さ検出器120が検出したパレット荷の高さに応じて当該荷の保管先となる保管棚111の棚高さHを調整可能とする。本実施形態では、荷高さ検出器120を構成する投受光器を入出庫間口112の両側に設置し、パレット荷が入出庫間口112に位置付けられると同時にその荷の高さを自動的に検出する。また、保管庫110は保管棚111の左右両側に左右一対をなす多数対のパレット受121を上下に小刻みのピッチで多段状に固定してあり、スタッカクレーン113により今回のパレット荷の狭幅パレット102をいずれの段のパレット受121に差し込むかの制御により棚高さが調整される。
【0044】
ピッキング装置10では、パレット単位保管区分20の標準パレット101から取出した1層分のケースを一旦仕分け搬送ライン50に払い出し、仕分け搬送ライン50から分岐荷揃えライン60Aに出荷した後の余剰ケースだけを狭幅パレット102に積み替えてケース単位保管区分30に入荷するものであるから、ケース単位保管区分30の保管量は必ずパレット単位保管区分20におけるパレット荷の1層未満に納まり、保管負担を小さくできる。
【0045】
ピッキング装置10において、ケース単位保管区分30(保管庫110)へのケースの入庫は、パレット単位保管区分20の余剰ケースによることに限らず、パレット単位保管区分20とは別ルートで搬入されてくる標準パレット101のパレット荷を狭幅パレット102に積み替えて入庫されるものであっても良い。
【0046】
ピッキング装置10への入荷品の荷姿単位が、パレット単位や層単位に揃わない品種(出荷頻度の低いC管理品、在庫稀少品、又は季節品の終了品等)については、工場等の外部保管場から層単位やケース単位で狭幅パレット102に積み替えたものをケース単位保管区分30へ入庫し、この新入庫品を同一品種の既在庫品の出荷後に出荷させることもできる。
【0047】
(バラ単位保管部40A)バラ単位保管部40Aは、前述した如く、トレー、コンテナ、開封したケース等の搬送容器2に物品を入れ、該搬送容器2に物品品種コードを記録した表示ラベルを貼付けて仕分け搬送ライン50へ払い出す。
【0048】
(仕分け搬送ライン50)仕分け搬送ライン50は、保管庫110のコンベヤ114を含んで循環路を構成し、ループ状のベルトキャリア式ソータ等を用いることができる。仕分け搬送ライン50は、パレット単位保管区分20、ケース単位保管区分30(バラ単位保管部40A)から払い出されたケース、物品を、それらに貼付の表示ラベルの仕分けデータに従って、各分岐荷揃えライン60A、60Bに分配出荷した後、余剰ケース、余剰物品を計数し、余剰ケースはケース単位保管区分30へ返却/入荷し、余剰物品はバラ単位保管部40Aへ返却/入荷する。
【0049】
そして、仕分け搬送ライン50は、各分岐荷揃えライン60A、60Bへの仕分け実績データ(品種コードや数量)と、ケース単位保管区分30(バラ単位保管部40A)への返却/入荷データ(品種コードや数量)を制御コンピュータ11に送信する。これにより、在庫数P、Pや取出数FC、Fの数量に過不足があっても、この過不足の発生、掌握、修復等の処理を施し、オーダー満足を保証できる。
【0050】
(荷揃えライン60A、60B)ケースオーダー用の荷揃えライン60A、バラオーダー用の荷揃えライン60Bはそれぞれ、仕分け搬送ライン50から分岐されてきたケース、物品を同一バッチオーダー(同一搬送方面)内の各店に割当て、店名と物品の品種と数量を印字したラベルをそれらのケース又は物品に貼付し、それらのケース又は物品を払い出し、仕分け荷揃えを終了する。
【0051】
バラオーダー用の荷揃えライン60Bについて詳述すれば、以下の通りである。荷揃えライン60Bは、流動棚71の各ゾーンを同一バッチオーダー(同一配送方面)を構成する各店に割り当て、各ゾーンに投入物品の品種と数量を表示するデジタル表示器72を備えるとともに、各ゾーンに店名と投入物品の品種と数量を印字したラベルを発行するラベル発行機73を備える。また、荷揃えライン60は、仕分け搬送ライン50から分岐したコンベヤ74を流動棚71の各ゾーンに沿って循環させた後に再び仕分け搬送ライン50に合流させるようにし、仕分け搬送ライン50からコンベヤ74に分岐されてきたケース又は物品を各店(各棚)に割当てるように、それらケース又は物品をコンベヤ74によって対応する流動棚71のゾーンに自動的に位置付ける。また、荷揃えライン60は、折畳みコンテナ組立機75で組立てたコンテナを流動棚71の各ゾーンに対応する位置に搬送し得るコンテナ移動ライン76を備える。オペレータはラベル発行器73が発行したラベルを当該コンテナに貼付け、当該コンテナを流動棚71の投入ゾーンに移す。仕分け搬送ライン50から搬入せしめられた同一バッチオーダーのケース、物品がコンベヤ74により流動棚71の投入ゾーンに停止すると、オペレータがデジタル表示器72の表示を確認しながら、それらのケース、物品を対応するコンテナに投入する。更に、仕分け荷揃えを終了する。コンベヤ74が搬入したケース又は物品のうち、流動棚71に投入されなかった余剰ケース、余剰物品には返却ラベルが貼付され、コンベヤ74から仕分け搬送ライン50に返送される。
【0052】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
(1)広幅サイズの標準パレット101に積載してあった荷を狭幅サイズの狭幅パレット102に積み替えて保管庫110に入庫し、保管庫110から出庫した狭幅パレット102の荷を搬出するから、狭幅パレット102の荷姿がコンパクトになる。従って、手作業でパレタイズ、デパレタイズする場合にはパレットの手前から奥まで作業者の手が届くようになって作業性を極めて向上でき、機械作業でパレタイズ、デパレタイズする場合にはパレタイズ装置115やデパレタイズ装置116を小型簡単化でき、ピッキングの半自動化、機械化が容易になる。
【0053】
(2)ケース単位保管区分30に保管されるケースは、パレット単位保管区分20の標準パレット101から取出されたケースのうち、該標準パレット101の1層単位に満たない余剰ケースであり、この少数の余剰ケースを広幅の標準パレット101で保管するとしたら標準パレット101の積載可能スペースの極一部だけを使用するものとなり、ケース単位保管区分30の保管効率を極めて悪くする。本発明では、上述の余剰ケースを狭幅の狭幅パレット102で保管するものであるから、ケース単位保管区分30の保管効率を向上できる。
【0054】
(3)ケース単位保管区分30の在庫数Pがゼロの場合には、ケース単位保管区分30の中からのケースの出荷は当初から考慮されず、パレット単位保管区分20から出荷される。従って、ケース単位保管区分30に予め在庫を確保しておく必要がなく、取扱い性が良い。
【0055】
(4)パレット単位保管区分20から取出したケースの出荷後の余剰ケースをケース単位保管区分30へと入荷するときには、ケース単位保管区分30の在庫が全数を出荷されていて空になるから、その余剰ケースのケース単位保管区分30への受入れスペースの有無をその都度確認する必要がなく、取扱い性が良い。
【0056】
(5)ケース単位保管区分30の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないとき、ケース単位保管区分30の在庫数Pの全数を出荷するから、ケース単位保管区分30からの出荷数を計数する必要がなく、迅速簡易に出荷できる。また、パレット保管区分から層単位でケースを取出すから、この場合にもパレット単位保管区分20からの取出数を計数する必要がなく、迅速簡易に取出しできる。
【0057】
(6)パレット単位保管区分20から取出したケースのうちの余剰分をケース単位保管区分30へ入荷するものであるから、その余剰分を仮保管するオーバーフローエリア等をパレット単位保管区分20に付帯する必要がなく、またオーバーフローエリアに仮保管した余剰ケースを後処理する必要もなく、取扱い性が良い。
【0058】
(7)同一品種物品のケースについて、ケース単位保管区分30の在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、ケース単位保管区分30とパレット単位保管区分20の両区分から出荷されるが、ケース単位保管区分30の在庫数Pが必ず全数出荷されるから、物品の先入れ/先出しが保証される。
【0059】
(8)ケース単位保管区分30に保管される狭幅パレット102に、同一品種物品のケースとバラ搬送容器2とを混載したから、ケース単位保管区分30の保管効率を向上できるし、必要数の物品をケースとバラ搬送容器2の両方から取出す必要があるとき、それらの物品を同時にまとめて取出すことができ、当該物品の入出庫を迅速にできる。
【0060】
(9)バラ単位保管部40Aの在庫数Pがゼロの場合には、バラ単位保管部40Aの中からの物品の出荷は当初から考慮されず、ケース単位保管部30Aから出荷される。従って、バラ単位保管部40Aに予め在庫を確保しておく必要がなく、取扱い性が良い。
【0061】
(10)ケース単位保管部30Aから取出した物品の出荷後の余剰物品をバラ単位保管部40Aへと入荷するときには、バラ単位保管部40Aの在庫が全数を出荷されていて空になるから、その余剰物品のバラ単位保管部40Aへの受入れスペースの有無をその都度確認する必要がなく、取扱い性が良い。
【0062】
(11)バラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないとき、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの全数を出荷するから、バラ単位保管部40Aからの出荷数を計数する必要がなく、迅速簡易に出荷できる。また、ケース単位保管部30Aからケース単位でケースを取出すから、この場合にもケース単位保管部30Aからの取出数を計数する必要がなく、迅速簡易に取出しできる。
【0063】
(12)ケース単位保管部30Aから取出したケース内の物品のうちの余剰分をバラ単位保管部40Aへ入荷するものであるから、その余剰分を仮保管するオーバーフローエリア等をケース単位保管部30Aに付帯する必要がなく、またオーバーフローエリアに仮保管した余剰物品を後処理する必要もなく、取扱い性が良い。
【0064】
(13)同一品種物品について、バラ単位保管部40Aの在庫数Pの方が出荷総数Oより少ないときには、バラ単位保管部40Aとケース単位保管部30Aの両方から出荷されるが、バラ単位保管部40Aの在庫数Pが必ず全数出荷されるから、物品の先入れ/先出しが保証される。
【0065】
以上のように本発明によれば、必要数の物品をスムースに出荷し、しかも物品を先入れ/先出しすることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 ピッキング装置
11 制御コンピュータ
20 パレット単位保管区分
30A ケース単位保管区分
40A バラ単位保管区分
50 仕分け搬送ライン
101 標準パレット
102 狭幅パレット
110 保管庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収容したケースを複数層に段積みしたパレット単位で保管するとともに、該ケースをデパレタイズ装置を用いてパレットの層単位で取出し可能とするパレット単位保管区分と、
複数の物品を収容したケースをケース単位で保管するとともに、該ケースをケース単位で取出し可能な保管区分として前記パレット単位保管区分とは別に設けられるケース単位保管区分とを有し、
前記パレット単位保管区分と前記ケース単位保管区分から、それらに保管されているケースをバッチオーダーの出荷総数Oにして荷揃えするピッキング方法において、
同一品種物品のケースについて、前記ケース単位保管区分の在庫数Pの方が前記バッチオーダーの出荷総数Oより多いときには、制御コンピュータは前記ケース単位保管区分の前記在庫数Pから出荷総数Oを作り出し、前記バッチオーダーに応じて荷揃えするよう制御し、
前記ケース単位保管区分の在庫数Pの方が前記バッチオーダーの出荷総数Oより少ないときには、前記バッチオーダーの出荷総数Oを作り出すために、
前記制御コンピュータは、
前記デパレタイズ装置を用いてパレット単位保管区分から取出されるパレットの層数を、前記バッチオーダーの出荷総数Oから前記ケース単位保管区分の前記在庫数Pを除いた不足数(O−P)をパレットの層単位数に切上げ算出することにより算出した層数F=(O−P)/C(但しCはパレットの1層分のケース数)とし、
前記F層のFC個のケースのうち前記バッチオーダーの出荷総数Oを作り出すのに用いないケース数をS=P+FC−Oとし、
前記バッチオーダーの出荷総数Oを作り出すために用いるケース数を不足数(O−P)とし、
前記バッチオーダーに応じて前記ケース単位保管区分の前記在庫数Pのケースと前記不足数(O−P)とを荷揃えするよう制御することを特徴とするピッキング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−6763(P2012−6763A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195035(P2011−195035)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2009−191756(P2009−191756)の分割
【原出願日】平成13年1月10日(2001.1.10)
【出願人】(500575086)有限会社中央ロジスティクス・エンジニアリング (5)
【Fターム(参考)】