説明

ピペリジン誘導体

本発明は、式(I)の化合物および薬学的に許容できるそれらの酸付加塩(式中、、X、X、R5A、R5B、R、R、およびRは、本明細書に定義されている通りである)、医薬組成物、治療用組合せ、医薬品の製造における用途、ならびに疾患および障害を治療する方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、医薬組成物、治療用組合せ、用途、および治療的処置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シナプス間隙からニューロン内へのモノアミン神経伝達物質ノルエピネフリン(ノルアドレナリンとしても知られている)またはセロトニンの再取り込みを阻害する薬物は、再取り込みにより媒介される疾患および障害を治療するのに有用である。これらの疾患および障害は、うつ病、全般性不安障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、線維筋痛、神経障害性疼痛、尿失禁、および統合失調症を包含する。アトモキセチンは、米国で認可されているADHDを治療するためのノルエピネフリン再取り込み阻害薬である。アミトリプチリン、ベンラファキシン、デュロキセチン、およびミルナシプランは、リウマチ診療においてなされる最も一般的な診断の1つである線維筋痛を治療するための臨床試験で成功裡に使用されているデュアルノルエピネフリン・セロトニン再取り込み阻害薬である。再取り込み阻害薬はまた、神経障害性疼痛、尿失禁、全般性不安障害、うつ病、および統合失調症を治療するのに有効であることがヒトの臨床試験で明らかにされている。そのような疾患および障害を治療する新たな化合物が薬学的および獣医学的技術において必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物
【0004】
【化1】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、
式中、
は、第1のキラル炭素原子を示し、
5AおよびR5Bは、独立して、H、(C〜C)アルキル、フェニル、またはピリジルであり、
は、NまたはC−Rであり、
は、Hまたはハロであり、
は、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、
およびRは、独立して、HまたはFであり、
は、
【0005】
【化2】

であり、
2A、R2B、R3A、R3B、およびRは、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、−CN、もしくは−O(C〜C)アルキルであるか、またはR2AおよびR3A、もしくはR3AおよびRは、それらが接続している炭素と一緒になって、1,2−シクロペンテニレンまたは1,2−シクロヘキセニレンを形成してもよく、
7AおよびR7Bは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、もしくは−(C〜C)アルキレン−フェニルであるか、またはR7AおよびR7Bは、場合により、それらが接続している炭素と一緒になって、(C〜C)シクロアルキルを形成してもよく、
7Cは、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、または−(C〜C)アルキレン−フェニルであり、
1,2−シクロペンテニレン、1,2−シクロヘキセニレン、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、および−O(C〜C)アルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1〜5個の置換基Rで置換されており、
各フェニルは、独立して、置換されていないか、または1〜5個の置換基Rで置換されており、
各ピリジルは、置換されていないか、または1〜4個の置換基Rで置換されており、
各Rは、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHであり、
各Rは、独立して、F、Cl、−CH、−CF、−CN、−OCH、−OCHCH、−NH、または−N(H)CHであり、
、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、Hではなく、Xは、−CHではない。
【0006】
一部の実施形態において、Xは、
【0007】
【化3】

であり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの1つは、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りは、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルである。
【0008】
一部の実施形態において、Xは、
【0009】
【化4】

であり、R7A、R7B、およびR7Cは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、または−(C〜C)アルキレン−フェニルであり、Xは、−CHではない。
【0010】
一部の実施形態において、Xは、
【0011】
【化5】

であり、R7AおよびR7Bは、それらが接続している炭素と一緒になって、(C〜C)シクロアルキルを形成し、R7Cは、Hである。
【0012】
一部の実施形態において、Xは、Nであり、Rは、Hまたは−CHである。
【0013】
一部の実施形態において、Xは、C−Rであり、Rは、HまたはFであり、Rは、H、F、Cl、−CH、−CF、−OCF、または−OCHである。
【0014】
一部の実施形態において、R5AおよびR5Bは、各々Hである。
【0015】
一部の実施形態において、R5Aは、置換されていない(C〜C)アルキル、置換されていないフェニル、または置換されていないピリジルであり、R5Bは、Hであり、R5AおよびR5Bが接続している炭素は、第2のキラル炭素原子である。
【0016】
一部の実施形態において、立体化学は、第1のキラル炭素原子において(S)である。
【0017】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
(S)−2−(2−メトキシ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−2−p−トリルオキシ−ピリジン;
(S)−2−(4−エチル−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−ピペリジン;および
(S)−3−[4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
または薬学的に許容できるその酸付加塩からなる群から選択される。
【0018】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
(S)−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3−クロロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S,S)−2−フェノキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
(S)−2−エトキシ−3−(フェニル−ピペリジン−3−イル−メトキシ)−ピリジン、立体異性体A;
(S)−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−6−メチル−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−3−(2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−ベンジルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−イソブトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−シクロブチルメトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−フルオロ−6−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[3−フルオロ−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
2−[{(R)−2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ}−(S)−ピペリジン−3−イル−メチル]−ピリジン;および
2−[(S)−ピペリジン−3−イル−{(R)−2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ}−メチル]−ピリジン;
または薬学的に許容できるその酸付加塩からなる群から選択される。
【0019】
別の実施形態は、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物である。
【0020】
別の実施形態は、線維筋痛、変形性関節症もしくは関節リウマチ、または注意欠陥多動性障害、神経障害性疼痛、不安症、うつ病、および統合失調症からなる群から選択される疾患もしくは障害を治療するための医薬品の製造における式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物、および薬学的に許容できるそれらの酸付加塩、医薬組成物、ならびに疾患および障害を治療する方法を包含する。式(I)において、R5AおよびR5Bが接続している炭素は、R5AおよびR5Bが異なる場合、第2のキラル炭素原子である。R5AおよびR5Bが同一の場合、R5AおよびR5Bが接続している炭素は、アキラル炭素である。
【0022】
構造断片の図において、記号
【0023】
【化6】

は、断片の接続点を示す。
【0024】
「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。一部の実施形態において、ハロは、FまたはClである。一部の実施形態において、ハロは、Fである。
【0025】
「(C〜C)アルキル」という用語は、1〜4個の炭素の直線または分岐の炭化水素鎖ラジカルを意味する。各(C〜C)アルキルは、独立して、置換されていなくても、または1〜5個の置換基で置換されていてもよい。各置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。置換されていない(C〜C)アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルである。置換されている(C〜C)アルキルの例は、−CF、−CHOCH、−CFCF、イソペンチル、および−CHCH(NH)CHである。一部の実施形態において、(C〜C)アルキルは、−CH、−CF、または−CHCHである。
【0026】
「1,2−シクロペンテニレン」および「1,2−シクロヘキセニレン」という用語は、それぞれ式
【0027】
【化7】

の炭素環式ジラジカルを意味する。各1,2−シクロペンテニレンおよび1,2−シクロヘキセニレンは、置換されていなくても、または1〜5個の置換基で置換されていてもよい。各置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。置換されている1,2−シクロペンテニレンの例は、3−オキソ−1,2−シクロペンテニレン、4−トリフルオロメチル−1,2−シクロペンテニレン、および3−メトキシ−1,2−シクロペンテニレンである。置換されている1,2−シクロヘキセニレンの例は、3,3−ジフルオロ−1,2−シクロヘキセニレン、4−メチル−1,2−シクロヘキセニレン、および4−アミノ−4−メチル−1,2−シクロヘキセニレンである。
【0028】
「(C〜C)シクロアルキル」という用語は、3〜6個の炭素の炭素環式ラジカルを意味する。各(C〜C)シクロアルキルは、独立して、置換されていなくても、または1〜5個の置換基で置換されていてもよい。各置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。置換されていない(C〜C)シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。置換されている(C〜C)シクロアルキルの例は、2−メチル−シクロプロピル、シクロブタノン−3−イル(すなわち、3−オキソ−シクロブチル)、2,2,5,5−テトラフルオロ−シクロペンチル、および3−シアノ−4−アミノ−シクロヘキシルである。
【0029】
「−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル」という用語は、(C〜C)シクロアルキルが、上記で定義されている通りであり、(C〜C)アルキレンに結合しているラジカルを意味する。(C〜C)アルキレンは、1〜4個の炭素の直線または分岐の炭化水素鎖ジラジカルであり、(C〜C)アルキレンの2つのラジカルは、鎖の同一または異なる炭素にあってよい。(C〜C)アルキレンおよび(C〜C)シクロアルキルは、独立して、置換されていないか、または各々1〜5個の置換基で置換されている。各置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。置換されていない−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキルの例は、シクロプロピルメチル、1−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルプロピル、およびシクロヘキシルメチルである。置換されている−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキルの例は、2−メチル−シクロプロピルメチル、2−シクロブタノン−3−イルエチル(すなわち、2−(3−オキソ−シクロブチル)−エチル)、および4−アミノ−シクロヘキシルメチルである。
【0030】
「−(C〜C)アルキレン−フェニル」という用語は、フェニルが、(C〜C)アルキレンに結合しており、(C〜C)アルキレンが、上記で定義されている通りであるラジカルを意味する。(C〜C)アルキレンおよびフェニルは、独立して、置換されていないか、または各々1〜5個の置換基で置換されている。各(C〜C)アルキレン置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。各フェニル置換基は、独立して、F、Cl、−CH、−CF、−CN、−OCH、−OCHCH、−NH、−N(H)CH、または−N(CHである。置換されていない−(C〜C)アルキレン−フェニルの例は、ベンジル、1−および2−フェネチル、3−フェニルプロピル、および4−フェニルブチルである。置換されている−(C〜C)アルキレン−フェニルの例は、−CFCH−(2,6−ジフルオロフェニル)、4−クロロ−ベンゾイル、および−CH(NH)−(4−メトキシフェニル)である。
【0031】
「−O(C〜C)アルキル」という用語は、1〜4個の炭素の直線または分岐の炭化水素鎖である(C〜C)アルキルが酸素に結合している(C〜C)アルコキシラジカルを意味する。各−O(C〜C)アルキルは、独立して、置換されていなくても、または1〜5個の置換基で炭化水素鎖上で置換されていてもよい。各置換基は、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHであり、−OCH、−NH、−N(H)CH、および−N(CH置換基は、酸素ラジカルに結合している炭素には結合していない。置換されていない−O(C〜C)アルキルの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシである。置換されている−O(C〜C)アルキルの例は、−OCF、−O(C=O)CH、−OCHOCH、−OCFCF、イソペントキシ、および−OCHCH(NH)CHである。一部の実施形態において、−O(C〜C)アルキルは、メトキシ、−OCF、またはエトキシである。一部の実施形態において、−O(C〜C)アルキル上の各置換基は、独立して、F、−CH、または−CFである。
【0032】
一部の実施形態において、フェニルは、置換されていない。他の実施形態において、フェニルは、F、Cl、−CH、−CF、−OCH、および−OCHCHからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている。置換されているフェニルの例は、4−クロロフェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−メチルフェニル、および2−エトキシフェニルである。
【0033】
「ピリジル」は、ピリジン−2−、−3−、および−4−イルを包含する。一部の実施形態において、ピリジルは、置換されていないピリジン−2−イルである。他の実施形態において、ピリジルは、−CH、−CF、−OCH、および−OCHCHからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されているピリジン−2−イルである。
【0034】
一部の実施形態において、基ハロ、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−フェニル、(C〜C)アルキル、フェニル、ピリジル、および−O(C〜C)アルキルのメンバーは、実施例の化合物により例示されるそれらの基の特定のメンバーから選択される。
【0035】
本発明の化合物およびそれらの塩の一部は、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何異性体を包含する立体異性体として存在することがある。(R)エナンチオマー、(S)エナンチオマー、エピマー、ジアステレオマー、シス、トランス、シン、アンチならびにラセミ(すなわち、50:50)混合物および非ラセミ(すなわち、100:0と50:50の間)混合物を包含するそれらの混合物を包含するすべての立体異性体は、本発明の一部である。化合物中のキラル炭素原子の立体化学が明示されていない場合、そのキラル炭素原子における立体化学は、(R)、(S)、またはそれらの混合物であってよい。
【0036】
「キラル炭素原子」という用語は、それに結合している4つの異なる原子または原子の群を有する炭素原子を意味する。
【0037】
式(I)の化合物中の任意のキラル炭素原子における特定の立体化学が(S)であると指定されている場合、意味するものは、キラル炭素における(S)立体化学対(R)立体化学の比が>95:5ということである。任意のキラル炭素原子における特定の立体化学が(R)であると本明細書で指定されている場合、意味するものは、キラル炭素における(R)立体化学対(S)立体化学の比が>95:5ということである。
【0038】
本発明の化合物およびそれらの塩は、水和物を包含する溶媒和物、およびそれらの混合物として投与することができる。
【0039】
本発明は、式(I)の同位体標識化合物、および薬学的に許容できるそれらの酸付加塩を包含する。式(I)の同位体標識化合物、または薬学的に許容できるそれらの酸付加塩は、1個または複数の原子が、天然において通常見いだされる原子質量または質量数と異なる(すなわち、天然に豊富に存在する原子質量または質量数と異なる)原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているという事実を除いて、非標識化合物、またはその塩と同一である。企図されている同位体の例は、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体を包含する。式(I)の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み入れられている同位体標識化合物、およびそれらの塩は、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出能のため特に好ましい。さらに、重水素、例えば、Hなどのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加または用量所要量の低減によりもたらされる一部の治療上の利点を提供することがあり、したがって、本発明の方法に従って疾患または障害を治療する際に使用するための一部の環境において好ましいことがある。同位体標識化合物は、一般的に、化合物を調製する従来の方法において、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を用いることにより調製することができる。
【0040】
式(I)の化合物は、例えば、2つの塩基性官能基を有する式(I)の化合物を、1モル当量を超える一酸または2分の1モル当量を超える二酸と接触させることにより形成することができる二塩を包含する「薬学的に許容できる酸付加塩」を形成することができる。一部の実施形態において、二塩は、1.9〜2.1モル当量の一酸または0.95〜1.05モル当量の二酸を含有する。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するのに有用な適当な酸の例は、例えば、StahlおよびWermuth、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、Wiley−VCH、Weinheim、Germany(2002);およびBerge他、「Pharmaceutical Salts」、J.of Pharmaceutical Science、1977;66:1〜19中に見いだすことができる。
【0041】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる酸付加塩の例は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどの無機酸から誘導される塩、ならびに脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸から誘導される塩を包含する。そのような塩は、陰イオン酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩(ベンゼンスルホン酸塩)、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、カプリル酸塩、カンシル酸塩(カンファースルホン酸塩)、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩(1,2−エタンジスルホン酸塩)、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、エシル酸塩(エタンスルホン酸塩)、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素塩/臭化物、ヨウ化水素塩/ヨウ化物、イソ酪酸塩、リン酸一水素塩、イセチオン酸塩、D−乳酸塩、L−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩(メタンスルホン酸塩)、メタリン酸塩、メチル安息香酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩(2−ナフタレンスルホン酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸(plamoate)、フェニル酢酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、糖酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、D−酒石酸塩、L−酒石酸塩、トシル酸塩(トルエンスルホン酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩などを包含する。アルギン酸(arginate)などの陰イオンを包含するアミノ酸の塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩なども本発明の一部である。
【0042】
式(I)の化合物の酸付加塩は、化合物の遊離塩基形態を十分量の望ましい酸と接触させて塩を製造することにより、従来の方法を用いて調製することができる。遊離塩基形態は、塩を塩基と接触させ、遊離塩基形態を単離することにより再生することができる。
【0043】
酸性プロトンを有する式(I)の化合物は、ナトリウム塩の場合には水酸化ナトリウムなどの塩基で薬学的に許容できる塩基付加塩を形成することができる。そのような塩を形成するのに適している塩基の例は、例えば、StahlおよびWermuth、前掲書およびBerge他、前掲書中に見いだされる。
【0044】
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、予防的治療および姑息的治療、急性治療(3カ月以下の期間)および慢性治療(3カ月を超える期間)、対症治療および疾患修飾治療を包含する。
【0045】
「患者」という用語は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、霊長類を包含する哺乳動物、および他の哺乳動物を意味する。一部の実施形態において、患者は、ヒトである。一部の実施形態において、患者は、イヌまたはネコである。
【0046】
「治療を必要としている患者」という語句は、疾患もしくは障害を発症する危険がある哺乳動物、または疼痛などのその少なくとも1つの症状を有する、狭窄した関節腔もしくは異常なバイオマーカーなどのその少なくとも1つの徴候を有する、もしくは神経損傷などのその病理学的な特徴を有する哺乳動物を指す。
【0047】
「投与すること」という用語は、一般的に、医薬活性成分を患者と接触させる方法を指す。式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩は、注射により、すなわち、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、非経口的に、または腹腔内に;吸入により、例えば、鼻腔内に;経皮的に、局所的に、および埋め込みを介して患者に投与することができる。一部の実施形態において、化合物またはその塩は、経口的に投与される。投与することは、直腸に、口腔に、膣内に、眼に、または吹送(insufflation)によるものであってもよい。投与することは、静脈内注入を介する、経口的に、局所的に、腹腔内に、膀胱内に、または髄腔内にであってもよい。投与することは、持続または延長放出製剤を包含する。活性成分は、対象のボディマス(例えば、体重または体表面積)および健康に鑑みて、活性成分の薬物動態学的プロフィール、患者に存在している禁忌薬物、および様々な濃度における活性成分の副作用を包含するがそれらに限定されない要素により決定される速度で患者に投与することができる。
【0048】
単一の治療有効投与量を投与することと複数の治療有効投与量を投与することは共に、本発明の一部である。任意の治療有効投与量は、同時にまたは順次に投与することができる複数の治療有効投与量以下に分割することができる。複数の治療有効投与量以下の順次投与は、投与されている活性成分の治療有効レベル(例えば、血液濃度)が、治療されている患者で最終的に達成されるように行われる。投与の適当な経路および速度の決定は、医学的技術者および獣医学的技術者のレベル内にある。
【0049】
治療は、従来の患者評価ツールおよび診断法を用いて評価することができる。これらのツールの例は、Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQ)、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)、Lequesne’s機能指標、Patient Global Impression of Change(PGIC)質問票、Likert疼痛スケール、および疼痛のVisual Analog Scale(VAS)である。診断法の例は、変形性関節症患者における関節腔狭窄のx線測定および関節リウマチ患者におけるリウマチ因子についての血液検査である。特定の治療が有効であるか否か、およびどの程度有効であるかを決定することは、医師または獣医師の範囲内である。
【0050】
「線維筋痛」という用語は、線維筋痛症候群としても知られている。線維筋痛についてのAmerican College of Rheumatology(ACR)1990分類基準は、3カ月を超える慢性的な広範囲の疼痛の経歴、および身体的検査の際の18のうちの11(またはそれ以上)の圧痛点(圧痛点は、ウエストの上と下の両方および身体の両側に存在する)における疼痛の存在を包含する(例えば、Wolfe他、Arthritis Rheum.、1990;33:160〜172を参照)。線維筋痛患者は、一般的に、アロディニア(通常は無痛性の刺激による疼痛)と痛覚過敏(有痛性刺激に対する感受性増加)の両方の形態で疼痛知覚異常を示す。ヒト患者における線維筋痛の影響は、ACR基準、FIQトータルスコア、疼痛重症度(例えば、VASまたはLikert疼痛スケール)および障害の指標、圧痛点の数、または疼痛閾値評価を用いて評価することができる。
【0051】
慢性的な広範囲の疼痛は、線維筋痛の特徴的症状であるが、患者は、典型的には、以下の疲労、睡眠障害、片頭痛または緊張性頭痛、過敏性腸症候群(IBS)、尿意頻数の変化、朝硬直、しびれおよび刺痛、月経困難症、多種化学物質過敏症、集中力の欠如、ならびに皮膚の微小血管に影響を及ぼす循環障害(レイノー現象)のうちの1つまたは複数を包含する他の症状も示す。慢性疼痛を引き起こす多くの疾患および障害と同様に、線維筋痛患者は、線維筋痛誘発性不安症、うつ病、または両方を経験することもある。一部の線維筋痛患者は、冷たく湿った天候、情動ストレス、過度の努力、および他の要因がそれらの症状を悪化させることに気付く。
【0052】
線維筋痛を治療することは、疼痛などの線維筋痛に伴う少なくとも1つの症状および前に述べた線維筋痛の他の症状を治療することを包含する。線維筋痛に伴う疼痛は、線維筋痛の特徴である慢性的な広範囲の疼痛および線維筋痛の他の症状に伴う疼痛を包含する。線維筋痛の他の症状に伴う疼痛の例は、片頭痛、緊張性頭痛、月経困難症、およびIDSに伴う内臓痛である。一部の実施形態において、線維筋痛を治療することは、線維筋痛の特徴である慢性的な広範囲の疼痛を軽減することを意味する。
【0053】
関節の炎症性関節炎である関節リウマチ(RA)を治療することは、RAの少なくとも1つの症状を治療することまたは関節の軟骨の病理学的破壊を阻害することを包含する。RAの症状の例は、関節痛および関節の腫脹である。ヒト患者におけるRAの診断は、例えば、ACR−20基準を用いて医師が行うことができる。特定の実施形態において、RAを治療することは、関節リウマチに伴う疼痛を軽減することを意味し、RA関節痛および関連RA痛のうちの少なくとも1つを軽減することを包含する。
【0054】
変形性関節症(OA)を治療することは、疼痛などのOAの少なくとも1つの症状を治療することまたはOA関節の軟骨の病理学的破壊を阻害することを包含する。OAは、関節運動の低下、関節における圧痛きしみ感、および関節痛を進行性にもたらす患部関節に近い関節軟骨の病理学的喪失および骨の肥大を特徴とする関節炎の形態である。ヒト患者におけるOAの診断は、例えば、WOMAC基準および関節炎の他の形態を除外するための血液検査を用いて医師が行うことができる。特定の実施形態において、OAを治療することは、OAに伴う疼痛を軽減することを意味し、OA関節痛および関連OA痛のうちの少なくとも1つを軽減することを包含する。
【0055】
関連痛は、疼痛の起始部から遠位である患者の身体における部位において患者により知覚される疼痛である。
【0056】
「治療有効量」という用語は、予防的治療において少なくとも1つの症状の発現までの時間を増大させ、姑息的治療において少なくとも1つの症状の重症度を軽減し、または本発明の方法に従って患者において疾患または障害の疾患修飾治療における病理学的影響の進行を阻害するのに十分である式(I)の化合物などの医薬活性成分の量を指す。ヒトまたは他の哺乳動物については、治療有効量は、特定の疾患もしくは障害または治療されている患者を踏まえて、臨床状況において医師または獣医師が決定することができる。量は、用いられる特定の活性成分の有効性および患者の疾患または障害、ならびに治療すべき患者の体重または体表面積により決定されるであろう。投与量のサイズも、特定の患者への特定の化合物の投与に伴う任意の有害作用の存在、性質、および程度により決定されるであろう。活性成分の治療有効量を決定する際、医師または獣医師は、活性成分の循環血漿レベル、関連毒性、疾患または障害の進行および重症度などの要素を評価することができる。治療有効量の決定は、医学的および獣医学的技術者のレベル内にある。
【0057】
「医薬活性成分」は、活性成分(ingredient)、活性構成成分(component)、活性化合物、薬物などと呼ばれることがある。医薬活性成分の例は、式(I)の化合物、薬学的に許容できるそれらの酸付加塩、ならびにα−2−δリガンドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの式(I)の化合物ではない医薬活性化合物である。
【0058】
一般に、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の治療有効量は、体重70kgの患者について、患者の体重1kg当たり化合物または塩約0.01ミリグラム(mg/kg)〜約30mg/kgである。一部の実施形態において、1日投与量範囲は、約0.1mg/kg〜約10mg/kgである。しかしながら、1日用量は、患者の要件、治療されている疾患または障害の重症度、および用いられている特定の活性成分に応じて変わることがある。
【0059】
治療は、最適投与量未満であってよく、治療投与量以下であってよいより小用量で開始してもよい。例えば、開始1日用量は、約0.001mg/kg〜約10mg/kgであってよい。その後、用量は、その環境下での最適効果に達するまで、小増分ずつ増加され、通常は、体重70kgの患者について約0.01mg/kg〜約30mg/kgに達する。便宜のため、全1日用量は、望ましい場合、分割され、1日の間に少しずつ投与されることがある。
【0060】
「医薬組成物」という用語は、本発明の治療法に従って医学的または獣医学的使用で患者に投与するのに適している組成物を指す。一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む。医薬組成物は、均一な混合物および不均一な混合物を包含する。医薬組成物は、賦形剤としてのカプセル化材料(例えば、カプセルシェル)を使った本発明の化合物またはその塩の製剤を包含し、それによって、化合物またはその塩が、賦形剤の有無にかかわらず、カプセル化材料により取り囲まれ、カプセル化材料に結合しているカプセルを提供する。
【0061】
本発明の医薬組成物は、固体形態または液体形態の調製物であってよく、1つまたは2以上の薬学的に許容できる賦形剤を含むことがある。固体形態の調製物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、散剤、坐剤、および分散性顆粒剤を包含する。液体形態の調製物は、液剤、懸濁剤、および乳剤を包含する。医薬組成物は、持続または延長放出製剤を包含する。医薬組成物は、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エマルジョン、パッチなどの形態であってよい。したがって、本発明の医薬組成物の様々な適当な製剤が存在する。一部の実施形態において、医薬組成物は、錠剤またはカプセルである。一部の実施形態において、医薬組成物は、局所投与に適している。本発明の医薬組成物を調製することは、当業者の範囲内にある。
【0062】
「薬学的に許容できる賦形剤」という用語は、本発明の化合物、もしくはその塩ではなく、または本発明の組合せの場合に、医薬共組成物(co−composition)の別の医薬活性構成成分ではない、医薬組成物の任意の構成成分を指す。各賦形剤は、独立して選択される。賦形剤の例は、薬学的に許容できる希釈剤、担体、安定化剤、およびカプセルシェル、例えば、ゼラチンカプセルシェルなどの他の構成成分を包含する。
【0063】
薬学的に許容できる賦形剤は、例えば、固体または液体の担体、希釈剤、矯味剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、着色剤、香料、味覚マスキング剤、安定化剤、粘稠剤、またはゼラチンカプセルなどのカプセル化材料であってよい。薬学的に許容できる賦形剤の選択は、部分的に、特定の活性成分および投与の経路により、ならびに活性成分を投与するために使用される特定の方法により決定される。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Gennaro他編、Lippincott Williams and Wilkins、2000を参照)。
【0064】
本発明の医薬組成物の粉末形態の調製物において、賦形剤は、微粉化した活性構成成分との混合物中にある微粉化した固体であってよい。錠剤において、活性構成成分は、適当な比率で必要な結合特性を有する賦形剤と混合され、望ましい形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、典型的には、活性成分1%〜95%重量/重量(w/w)を含有する。一部の実施形態において、活性成分は、5%〜70%(w/w)の範囲である。適当な賦形剤の例は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、およびカカオ脂である。
【0065】
坐剤を調製する場合、脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物などの低融点ワックスをまず融解し、攪拌することなどにより活性成分をその中へ均一に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を、好都合な大きさの鋳型に注ぎ、冷却し凝固させる。
【0066】
本発明の医薬組成物の液体形態の調製物は、賦形剤が、水または水およびプロピレングリコールである水または水−プロピレングリコール液剤を包含する。非経口注射の場合、液体形態の調製物は、水性プロピレングリコール中の液剤として製剤化することができる。経口使用に適している水性液剤は、活性成分を水に溶かし、望ましい場合に、着色剤、香料、味覚マスキング剤、安定化剤、および粘稠剤などの適当な賦形剤を加えることにより調製することができる。経口使用に適している水性懸濁剤は、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の懸濁化剤などの粘稠な賦形剤と一緒に、微粉化した活性成分を水に分散させることにより製造することができる。
【0067】
例えば、静脈内、筋肉内、皮内、および皮下経路によるなどの非経口投与に適している医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および対象とするレシピエントの血液と製剤を等張性にする溶質を含有することができる水性および非水性の等張性無菌注射液剤を包含する液剤として、または懸濁化剤、可溶化剤、粘稠剤、安定化剤、および保存剤を包含することができる水性および非水性の無菌懸濁剤として調製することができる。これらの製剤は、アンプル剤およびバイアル剤などのユニットドーズまたはマルチドーズの密閉容器で提供することができる。注射用の液剤および懸濁剤は、例えば、無菌の散剤、顆粒剤、または錠剤から調製することができる。
【0068】
使用直前に経口または非経口投与のための液体形態の調製物に変換することを意図した固体形態の調製物も本発明の医薬組成物に包含される。そのような液体形態は、液剤、懸濁剤、および乳剤を包含する。これらの調製物は、活性成分の他に、着色剤、香料、安定化剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、および可溶化剤などの1種または複数の賦形剤を含有することができる。
【0069】
他の実施形態は、吸入を介する投与に適しているエアゾール製剤である医薬組成物を包含する。医薬活性成分は、単独でまたは賦形剤もしくは他の医薬活性成分などの他の適当な構成成分との組合せで、従来の手順を用いてエアゾール製剤にすることができる(すなわち、それらを「噴霧する」ことができる)。エアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧した許容できる噴射剤中に入れることができる。
【0070】
獣医学的使用において、イヌまたはネコ用の組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、逆相エマルジョン、エリキシル、抽出物、チンキ、または濃縮物などの摂取可能な液体経口剤形を含むことができる。これらの液体剤形のいずれかを、イヌまたはネコに直接的に(例えば、注射または経口胃管により)投与するように製剤化するか、または間接的に、例えば、イヌまたはネコの餌または飲用水に添加することができる。濃縮物液体形態は、所定量の水に溶かすために製剤化することができ、得られる溶液から測定アリコート量を、イヌまたはネコに直接的または間接的に投与するために引き抜くことができる。
【0071】
本発明の医薬組成物は、単位剤形中にあることが好ましい。単位剤形において、組成物は、適切な量の1種または複数の活性成分を含有するユニットドーズに細分される。単位剤形は、バイアル剤またはアンプル剤中のパック入りの錠剤、カプセル剤、および散剤などの個別量の組成物を含有するパッケージである包装した調製物であってよい。また、単位剤形は、例えば、カプセル、錠剤、丸剤、カシェ、またはロゼンジ自体であってよいか、または、単位製剤は、包装した形態中の適切な数のそれらのいずれかであってよい。
【0072】
ユニットドーズ組成物中の活性成分の量は、企図されている特定の用途および活性成分の効力に従って変動するかまたは調整されることがある。一部の実施形態において、量は、0.1mg〜1000mgである。組成物は、望ましい場合、本発明の組合せについて本明細書に記載されているような他の適合する活性成分を含有することもできる。
【0073】
医薬組成物は、当業者に知られている方法に従って調製することができる。医薬錠剤製剤を調製するための方法を、錠剤製剤例1で示す。
【0074】
【表1】

式(I)の化合物(または、薬学的に許容できるその酸付加塩)をラクトースおよびコーンスターチ(ミックス用)と混ぜ、均一にブレンドして混合粉末とする。コーンスターチ(ペースト用)を水6mLに懸濁し、攪拌しながら加熱してペーストを作成する。ペーストを混合粉末に加え、得られる混合物を顆粒化する。湿った顆粒を8番ハンドスクリーンに通し、50℃にて乾燥する。混合物を1%ステアリン酸マグネシウムで滑沢化し、次いで、錠剤に圧縮する。そのような錠剤は、本発明の方法に従って疾患または障害を治療するために1日当たり1〜4回の割合で患者に投与することができる。
【0075】
別の実施形態は、式(Ia)の化合物
【0076】
【化8】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R2A、R2B、R3A、R3B、R、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0077】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物
【0078】
【化9】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0079】
別の実施形態は、式(Ic)の化合物
【0080】
【化10】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R、R7A、R7B、およびR7Cは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0081】
別の実施形態は、式(Id)の化合物
【0082】
【化11】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R、R、R7A、R7B、R7C、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0083】
別の実施形態は、式(Ie)の化合物
【0084】
【化12】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R5A、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0085】
別の実施形態は、式(If)の化合物
【0086】
【化13】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R5A、R、R、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0087】
別の実施形態は、式(Ig)の化合物
【0088】
【化14】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R5A、R、R7A、R7B、およびR7Cは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0089】
別の実施形態は、式(Ih)の化合物
【0090】
【化15】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R5A、R、R、R7A、R7B、R7C、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0091】
別の実施形態は、式(Ii)の化合物
【0092】
【化16】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R5A、R5B、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0093】
別の実施形態は、式(Ij)の化合物
【0094】
【化17】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R5A、R5B、R、R、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0095】
別の実施形態は、式(Ik)の化合物
【0096】
【化18】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R5A、R5B、R、R7A、R7B、およびR7Cは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0097】
別の実施形態は、式(IL)の化合物
【0098】
【化19】

または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、式中、、R5A、R5B、R、R、R7A、R7B、R7C、およびRは、式(I)について本明細書に定義されている通りである。
【0099】
一部の実施形態において、Xは、C−R(Rは、HまたはFである)であり、Rは、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルである。一部の実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、Fである。一部の実施形態において、Rは、Hであり、他の実施形態において、Rは、Fである。
【0100】
他の実施形態において、Xは、Nであり、Rは、独立して、Hまたは(C〜C)アルキルである。他の実施形態において、Xは、Nであり、Rは、独立して、Hである。他の実施形態において、Xは、Nであり、Rは、独立して、−CHである。他の実施形態において、Xは、Nであり、Rは、独立して、−O(C〜C)アルキルである。
【0101】
一部の実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、ハロである。他の実施形態において、Rは、FまたはClである。他の実施形態において、Rは、(C〜C)アルキルである。他の実施形態において、Rは、−CHである。他の実施形態において、Rは、−CFである。他の実施形態において、Rは、−O(C〜C)アルキルである。他の実施形態において、Rは、−OCHである。他の実施形態において、Rは、−OCFである。
【0102】
他の実施形態において、R5AおよびR5Bは、各々Hである。一部の実施形態において、R5AおよびR5Bは、各々−CHまたは−CHCHである。一部の実施形態において、R5Aは、(C〜C)アルキルであり、R5Bは、Hである。一部の実施形態において、R5Aは、フェニルであり、R5Bは、Hである。一部の実施形態において、R5Aは、ピリジルであり、R5Bは、Hである。
【0103】
他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、Hではない。他の実施形態において、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、Hではない。他の実施形態において、Rは、Hではない。一部の実施形態において、R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、Hではなく、R5Aは、Hではない。
【0104】
一部の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの1つは、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りは、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルである。
【0105】
一部の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの1つだけは、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りは、各々Hである。一部の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの2つは、独立して、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りは、Hである。一部の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの3つは、独立して、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りは、各々Hである。
【0106】
一部の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、ハロである。他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、FまたはClである。他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、(C〜C)アルキルである。他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、−CHまたは−CFである。他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、−O(C〜C)アルキルである。他の実施形態において、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの少なくとも1つは、独立して、−OCH、−OCF、または−OCHCHである。
【0107】
一部の実施形態において、R2AおよびR2Bのどちらかは、各々Hであり、R2Aは、−CHであり、R2Bは、H、F、Cl、−CH、−OCH、もしくは−OCHCHであり、R2Aは、−OCHもしくは−OCHCHであり、R2Bは、H、F、もしくはClであり、R2Aは、Clであり、R2Bは、H、F、もしくはClであり、R2Aは、Fであり、R2Bは、HもしくはFであり、R3AおよびR3Bは、独立して、H、F、もしくはClであり、または、Rは、H、F、Cl、−CH、−OCH、もしくは−OCHCHである。
【0108】
一部の実施形態において、R7Aは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、またはフェニルであり、R7Bは、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、またはフェニルであり、R7Cは、Hである。一部の実施形態において、R7Aは、(C〜C)アルキルであり、R7BおよびR7Cは、各々Hである。一部の実施形態において、R7Aは、(C〜C)シクロアルキルであり、R7BおよびR7Cは、各々Hである。一部の実施形態において、R7AおよびR7Bは、一緒になって、(C〜C)シクロアルキルを形成し、R7Cは、Hである。一部の実施形態において、R7A、R7B、およびR7Cのうちの1つは、Fであり、R7A、R7B、およびR7Cの残りは、独立して、各々HまたはFである。
【0109】
一部の実施形態において、少なくとも1つの置換されていない−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−フェニル、(C〜C)アルキル、フェニル、ピリジル、または−O(C〜C)アルキルが、式(I)の化合物中に存在する。
【0110】
一部の実施形態において、少なくとも1つの置換されている−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−フェニル、(C〜C)アルキル、フェニル、ピリジル、または−O(C〜C)アルキルが、式(I)の化合物中に存在する。
【0111】
一部の実施形態において、各Rは、独立して、F、−CH、−CF、−OCH、=O、または−N(CHである。一部の実施形態において、各Rは、独立して、F、−CH、−CF、または−OCHである。
【0112】
一部の実施形態において、各Rは、独立して、F、Cl、−CH、−CF、−OCH、または−OCHCHである。
【0113】
一部の実施形態において、第1のキラル炭素は、(S)立体化学を有する。一部の実施形態において、第1のキラル炭素は、(R)立体化学を有する。一部の実施形態において、第1および第2のキラル炭素の立体化学は、(S,R)であり、それぞれ、他の実施形態において(R,S)であり、さらに他の実施形態において(S,S)であり、さらに他の実施形態において(R,R)である。
【0114】
(S)および(R)立体化学の相対的な量は、ユーロピウムトリス[3−(ヘプタフルオロプロピルヒドロキシメチレン)−(+)−カンフォレートなどのキラルシフト試薬を用いるH−核磁気共鳴、紫外(UV)検出器を用いるエナンチオ選択的高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、UV分光法を併せた旋光分析、および紫外分光法を併せた円偏光二色性分光法などの従来の手段により決定することができる。一部の実施形態において、相対的な量は、Ohman,D.他、Journal of Chromatography A、2002;947(2):247〜254;Ficarra,R.他、Chromatographia、2001;53(5/6):261〜265;またはWalters,R.他、Journal of Chromatography A、1998;828(1/2):167〜176に記載されているようなレボキセチンのエナンチオマーを分離するための手順を適合させることによりHPLCにより決定される。
【0115】
別の実施形態は、(i)式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物、ならびに(ii)そのような治療を必要としている患者において疾患または障害を本発明の方法に従って治療するために医薬組成物を使用するための説明書を含有するパッケージである。
【0116】
別の実施形態は、ノルエピネフリン媒介性、セロトニン媒介性、またはノルエピネフリン・セロトニン媒介性の疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、治療有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩を投与することを含む方法である。しかしながら、本発明は、式(I)の化合物、またはその塩が、いかにして患者において望ましい治療効果を実際に達成するかについての生物学的機構のいかなる理論にも束縛されるものではない。
【0117】
別の実施形態は、線維筋痛を治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、治療有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩を投与することを含む方法である。
【0118】
別の実施形態は、変形性関節症または関節リウマチを治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、治療有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩を投与することを含む方法である。
【0119】
別の実施形態は、注意欠陥多動性障害、神経障害性疼痛、不安症、うつ病、および統合失調症からなる群から選択される疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要としている患者に、治療有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩を投与することを含む方法である。
【0120】
別の実施形態は、患者においてノルエピネフリン媒介性、セロトニン媒介性、またはノルエピネフリン・セロトニン媒介性の疾患または障害を治療するための医薬品の製造における式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の使用である。
【0121】
ノルエピネフリン媒介性、セロトニン媒介性、またはノルエピネフリン・セロトニン媒介性の疾患または障害の例は、線維筋痛である。他の治療可能な疾患および障害は、単一エピソードまたは反復性の大うつ病性障害、気分変調性障害、抑うつ性神経症および神経症性うつ病、拒食症、体重減少、不眠症、早朝覚醒または精神運動遅滞を包含する憂うつ型うつ病;食欲増加、過眠症、精神運動性激越またはいらいら感、季節性感情障害および小児うつ病を包含する非定型うつ病(または反応性うつ病)を包含する。他の治療可能な疾患および障害は、大うつ病、単一エピソードうつ病、反復性うつ病、児童虐待誘発性うつ病、および産後うつ病を包含する。
【0122】
他の治療可能な疾患および障害は、双極性障害すなわち躁うつ病、例えば、双極性I型障害、双極性II型障害、および気分循環性障害を包含する。
【0123】
他の治療可能な疾患および障害は、行為障害、ADHD、破壊的行動障害、精神遅滞に伴う行動障害、自閉性障害、および行為障害を包含する。
【0124】
他の治療可能な疾患および障害は、広場恐怖症を伴うまたは伴わないパニック障害、パニック障害の経歴のない広場恐怖症、特定恐怖症、例えば、特定動物恐怖症、社会不安、社会恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害および急性ストレス障害を包含するストレス障害、ならびに全般性不安障害を包含する。
【0125】
他の治療可能な疾患および障害は、境界性人格障害、統合失調症および統合失調症様障害などの他の精神病性障害を包含する。他の治療可能な疾患および障害は、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、妄想または幻覚を伴う精神病性障害、不安症の精神病性エピソード、精神病に伴う不安症、一般医学的状態に起因する精神病性障害、重度大うつ病性障害などの精神病性気分障害、双極性障害に伴う急性躁病およびうつ病などの精神病性障害に伴う気分障害、ならびに統合失調症に伴う気分障害を包含する。
【0126】
他の治療可能な疾患および障害は、気分変調症および気分循環症を包含する。
【0127】
他の治療可能な疾患および障害は、せん妄、認知症、および健忘症、ならびにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型の認知症、記憶障害、実行機能の喪失、血管性認知症などの他の認知または神経変性障害、ならびに、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病に起因する、または複数の病因に起因する他の認知症を包含する。
【0128】
他の治療可能な疾患および障害は、アキネジア、家族性発作性ジスキネジアを包含するジスキネジア、痙縮、トゥーレット症候群、スコット症候群、麻痺(例えば、ベル麻痺、脳性麻痺、分娩麻痺、上腕麻痺、消耗性(wasting)麻痺、虚血性麻痺、進行性球麻痺および他の麻痺)および無動硬直性(akinetic−rigid)症候群などの運動障害を包含する。他の治療可能な疾患および障害は、投薬誘発性運動障害、例えば、神経遮断薬誘発性パーキンソン症、神経遮断薬性悪性症候群、神経遮断薬誘発性急性ジストニア、神経遮断薬誘発性急性アカシジア、神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジア、および投薬誘発性姿勢振戦などの錐体外路性運動障害を包含する。
【0129】
他の治療可能な疾患および障害は、薬物依存および薬物中毒(例えば、アルコール、ヘロイン、コカイン、ベンゾジアゼピン、ニコチン、またはフェノバルビトール(phenobarbitol)への依存、またはそれらへの中毒)ならびにギャンブル中毒などの行動中毒を包含する。
【0130】
他の治療可能な疾患および障害は、緑内障および虚血性網膜症などの眼障害を包含する。
【0131】
他の治療可能な疾患および障害は、自閉症および広汎性発達障害を包含する。
【0132】
別の治療可能な疾患または障害は、疼痛である。疼痛は、急性疼痛ならびに慢性疼痛を指す。急性疼痛は、通常、長続きせず、交感神経系の活動亢進を伴う。急性疼痛の例は、術後疼痛およびアロディニアである。慢性疼痛は、3カ月を超えて持続する疼痛と定義することができ、体因性疼痛および心因性疼痛を包含する。治療可能な疼痛の他の例は、侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛を包含する。
【0133】
治療可能な疼痛の他の例は、急性外傷などの軟組織または末梢の損傷によりもたらされる疼痛を包含する。別の例は、外傷後に経験する疼痛などの筋骨格系疼痛である。
【0134】
治療可能な疼痛の他の例は、非神経障害性関節痛および神経障害性関節痛を包含する、変形性関節症または関節リウマチに伴う疼痛を包含する関節炎に伴う疼痛を包含する。他の例は、強直性脊椎炎または痛風によりもたらされる疼痛を包含する。
【0135】
治療可能な疼痛の他の例は、非神経障害性線維筋痛性疼痛および神経障害性線維筋痛性疼痛を包含する、線維筋痛に伴う疼痛を包含する。
【0136】
治療可能な疼痛の他の例は、HIV、関節痛、筋痛、捻挫、挫傷、または骨折などの外傷に伴う疼痛などの慢性非神経障害性疼痛、および慢性術後疼痛を包含する。
【0137】
治療可能な疼痛の他の例は、脊椎痛、歯痛、筋筋膜疼痛症候群、会陰切開疼痛、および火傷によりもたらされる疼痛を包含する。
【0138】
治療可能な疼痛の他の例は、心臓痛、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛、例えば、歯痛、腹痛、婦人科疼痛、例えば、月経困難症、陣痛、および子宮内膜症に伴う疼痛などの深部痛および内臓痛を包含する。
【0139】
治療可能な疼痛の他の例は、末梢神経障害、例えば、神経絞扼および腕神経叢裂離、切断術に伴う疼痛、末梢性ニューロパシー、疼痛性チック、非定型顔面痛、神経根損傷、三叉神経痛、神経障害性腰痛、HIV関連神経障害性疼痛、癌関連神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、およびくも膜炎などの神経損傷および根損傷に伴う疼痛(例えば、神経障害性疼痛)を包含する。
【0140】
治療可能な疼痛の他の例は、癌性疼痛と呼ばれることが多い癌腫に伴う神経障害性および非神経障害性疼痛、脊髄損傷または脳幹損傷に起因する疼痛などの中枢神経系疼痛、腰痛、坐骨神経痛、および幻肢痛を包含する。他の例は、片頭痛および他の血管性頭痛、急性または慢性緊張性頭痛、群発性頭痛、顎関節痛、ならびに上顎洞痛を包含する頭痛を包含する。治療可能な疼痛の他の例は、膀胱収縮の増加により引き起こされる疼痛および瘢痕痛である。
【0141】
治療可能な疼痛の他の例は、末梢知覚神経の損傷または感染により引き起こされる疼痛を包含する。例は、神経障害性疼痛および末梢神経外傷、ヘルペスウイルス感染、糖尿病、線維筋痛、カウザルギー、神経叢裂離、神経腫、手足切断、または血管炎由来の疼痛を包含する。神経障害性疼痛は、慢性アルコール依存症、HIV感染、甲状腺機能低下症、尿毒症、またはビタミン欠乏症由来の神経損傷によっても引き起こされる。神経障害性疼痛は、例えば、糖尿病性神経障害などの神経損傷により引き起こされる疼痛を包含するが、これに限定されるものではない。
【0142】
治療可能な疼痛の別の例は、器質性起源なしに起こる心因性疼痛であり、腰痛、非定型顔面痛、および慢性頭痛を包含する。
【0143】
治療可能な疼痛の他の例は、炎症性疼痛、レストレスレッグ症候群に伴う疼痛、急性ヘルペス性神経痛、ヘルペス後神経痛、後頭神経痛、および神経痛の他の形態、神経障害性疼痛症候群、ならびに特発性疼痛症候群である。
【0144】
一部の実施形態において、線維筋痛に伴う疼痛が治療される。一部の実施形態において、変形性関節症に伴う疼痛が治療される。他の実施形態において、関節リウマチに伴う疼痛が治療される。
【0145】
一部の実施形態において、注意欠陥多動性障害が治療される。他の実施形態において、神経障害性疼痛が治療される。他の実施形態において、不安症が治療される。他の実施形態において、うつ病が治療される。他の実施形態において、統合失調症が治療される。
【0146】
別の実施形態は、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、および行動修正療法を含む組合せである。組合せで使用することができる行動修正療法の例は、うつ病、不安症、恐怖症、またはADHDを治療するための行動修正療法である。
【0147】
一部の実施形態において、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩は、別の医薬活性化合物(例えば、上記の疾患および障害を治療するのに有用な化合物)、または薬学的に許容できるその酸付加塩と同時にまたは順次に「共投与」される。同時に共投与することは、(i)式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、(ii)式(I)の化合物ではない医薬活性成分、または薬学的に許容できるその成分の塩、および(iii)薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬共組成物を投与することを包含する。構成成分(i)および(ii)は、共組成物中でお互いと物理的に直接接触していてもしていなくてもよく、同一または異なる1種または複数の賦形剤と共に製剤化することができる。同時に投与することは、各共投与を互いに約1時間以内に開始することなどのほぼ同時に2つ以上の別々の医薬組成物を投与することも包含する。順次に共投与することは、2つ以上の別々の医薬組成物を順次に投与する(すなわち、共投与を1時間超あけて開始することなどの異なる時間に)ことを包含する。一部の実施形態において、共投与することは、同時であり、活性成分は、医薬組成物中に一緒に見いだされる。
【0148】
式(I)の化合物ではない医薬活性化合物の例は、ピロキシカムなどのNSAID;ロキソプロフェン;ジクロフェナク;ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェンなどのプロピオン酸;ケトロラク;ニメスリド;アセトミノフェン;メフェナム酸などのフェナメート;インドメタシン;スリンダク;アパゾン;フェニルブタゾンなどのピラゾロン;アスピリンなどのサリチレート;セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、およびエトリコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬;ステロイド;コルチゾン;プレドニゾン;シクロベンザプリンおよびチザニジンを包含する筋弛緩薬;ヒドロコドン;デキストロプロポキシフェン;リドカイン;モルヒネ、フェンタニル、トラマドール、およびコデインなどのオピオイド;パロキセチン;ジアゼパム;フェモキセチン;カルバマゼピン;ミルナシプラン;レボキセチン;ベンラファキシン;デュロキセチン;トピセトロン(topisetron);インターフェロンα;シクロベンザプリン;CPE−215;オキシベート(oxbate)ナトリウム;シタロプラムHBr;セルトラリンHCl;抗うつ薬、三環系抗うつ薬、アミトリプチリン、フルオキセチン;トピラメート;エスシタロプラム;ジアゼパム、ブロマゼパムおよびテトラゼパムを包含するベンゾジアゼピン(benzodiazepenes);ミアンセリン;クロミプラミン;イミプラミン;トピラメート;およびノルトリプチリンを包含する。他の例は、米国特許第(United States Patent Number)(U.S.Patent No.またはU.S.)4,024,175号(特に、ガバペンチン);米国特許第6,197,819号(特に、プレガバリン);米国特許第5,563,175号;第6,020,370号;第6,103,932号;および第5,929,088号;米国特許第6,596,900号(特に、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル]酢酸);米国特許第6,518,289号、米国特許第6,545,022号、および米国特許第6,521,650号(特に、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オンおよびC−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン);米国特許第6,635,673号および米国特許第6,921,835号(特に、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸);米国特許出願公開第2005−059735号;米国特許第6,689,906号および米国特許第6,835,751号(特に、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−酢酸);米国特許第6,153,650号;米国特許第6,642,398号(特に、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸);米国特許出願公開第2005−272783号(特に、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、および(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸);米国特許第6,703,522号;米国特許第6,846,843号;米国特許第6,818,787号、米国特許第6,833,140号、米国特許第6,972,341号、米国特許第6,824,228号、および米国特許出願公開第2003−203945号、第2004−171682号、第2003−229145号、および第2003−225084号に一般的または特別に開示されている化合物などのα−2−δ(A2D)リガンド、ならびに薬学的に許容できるそれらの酸付加塩および溶媒和物を包含する。
【0149】
うつ病または不安症を治療する場合、本発明の化合物は、1種または複数の他の抗うつ薬または抗不安薬と組み合わせて使用することができる。使用することができる抗うつ薬のクラスの例は、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルエピネフリン・セロトニン再取り込み阻害薬(NSRI)、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ニューロキニン−1(NK−1)受容体拮抗薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害薬(RIMA)、コルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬、A2Dリガンド、および非定型抗うつ薬を包含する。適当なノルエピネフリン再取り込み阻害薬は、三級アミン三環系および二級アミン三環系(例えば、三環系抗うつ薬)を包含する。適当な三級アミン三環系および二級アミン三環系は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、ドチエピン、ブトリプチリン(butripyline)、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、デシプラミンおよびマプロチリンを包含する。適当な選択的セロトニン再取り込み阻害薬は、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、およびセルトラリンを包含する。モノアミンオキシダーゼ阻害薬の例は、イソカルボキサジド、フェネルジン、およびトラニルシクロプラミン(tranylcyclopramine)を包含する。適当なモノアミンオキシダーゼの可逆的阻害薬は、モクロベミドを包含する。適当なセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬は、ベンラファキシンおよびデュロキセチンを包含する。適当なCRF拮抗薬は、米国特許第6,448,265号;米国特許第5,668,145号;米国特許第5,705,646号;米国特許第6,765,008号;および米国特許第6,218,397号に記載されている化合物を包含する。適当な非定型抗うつ薬は、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジンを包含する。適当なNK−1受容体拮抗薬は、米国特許出願公開第2003−087925号中で言及されている拮抗薬を包含する。適当なA2Dリガンドは、ガバペンチンおよびプレガバリンを包含する上記で参照されているリガンドを包含する。
【0150】
本発明の活性化合物と組み合わせて使用することができる抗不安薬の適当なクラスは、ベンゾジアゼピン、CRF拮抗薬、およびセロトニン−1A(すなわち、5−ヒドロキシトリプタミン−1A(5−HT1A))の作動薬または拮抗薬、特に、5−HT1A部分作動薬を包含する。適当なベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、およびプラゼパムを包含する。適当な5−HT1A受容体の作動薬または拮抗薬は、ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロンを包含する。
【0151】
統合失調症を治療する場合、本発明の化合物は、1種または複数の他の抗精神病薬と組み合わせて使用することができる。適当な抗精神病薬は、従来の抗精神病薬と非定型の抗精神病薬の両方を包含する。従来の抗精神病薬は、別のモノアミン神経伝達物質のドーパミン、特に、ドーパミン−2(D)受容体の拮抗薬である。非定型の抗精神病薬も、D拮抗特性を有するが、これらの受容体に対する異なる結合キネティクスおよび他の受容体、特に、5−HT2A、5−HT2Cおよび5−HT2Dにおける活性を有する。非定型の抗精神病薬のクラスは、クロザピン、8−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン(米国特許第3,539,573号);リスペリドン、3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)ピペリジノ]エチル]−2−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド−[1,2−a]ピリミジン−4−オン(米国特許第4,804,663号);オランザピン、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピン(米国特許第5,229,382号);クエチアピン、5−[2−(4−ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン−11−イル−1−ピペラジニル)エトキシ]エタノール(米国特許第4,879,288号);アリピプラゾール、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルおよび7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン(米国特許第4,734,416号および第5,006,528号);セルチンドール、1−[2−[4−[5−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−1−ピペリジニル]エチル]イミダゾリジン−2−オン(米国特許第4,710,500号);アミスルプリド(米国特許第4,410,822号);およびジプラシドン、5−[2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジン−3−イル]エチル]−6−クロロインドリン−2−オン塩酸塩水和物(米国特許第4,831,031号)を包含する。
【0152】
式(I)の化合物、ならびにその合成における中間体および出発材料は、従来の合成化学の方法を用いて当業者により調製することができる。一部の出発材料は、Sigma−Aldrich Company、St.Louis、Missouriなどの商業供給業者から入手することもできる。
【0153】
式(I)の化合物の一部の合成は、2個以上の反応性官能基を含有する出発材料、中間体、または反応生成物を利用してもよい。化学反応中、反応性官能基は、用いられる反応条件に対して反応性官能基を実質的に不活性にする保護基により、望ましくない副反応から保護することができる。保護基は、保護基が必要とされる反応ステップを行う前に、出発材料上に選択的に導入される。一旦、保護基がもはや必要とされなくなったら、保護基を除去することができる。式(I)の化合物の合成中に保護基を導入し、その後、それらを除去することは当業者の十分範囲内にある。保護基を導入および除去するための手順は、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Greene T.W.およびWuts P.G.、Wiley−Interscience、New York、1999で知られている。
【0154】
以下の部分は、アミノ、ヒドロキシル、または他の官能基を保護するために利用することができる保護基の例である:例えば、ホルミル、アセチル、およびトリフルオロアセチルなどのカルボン酸アシル基;例えば、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、β,β,β−トリクロロエトキシカルボニル(TCEC)、およびβ−ヨードエトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基;例えば、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)などのアラルキルオキシカルボニル基;例えば、トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)などのトリアルキルシリル基;および、例えば、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロピラニル、ビニルオキシカルボニル、o−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィニル、p−トルエンスルホニル(Ts)、メシル、トリフルオロメタンスルホニル、およびベンジルなどの他の基。保護基を除去するための手順の例は、例えば、10%炭素上パラジウムなどの水素化触媒の存在下で約3.4気圧にて水素ガスを用いるCBZ基の水素化分解、例えば、ジクロロメタン中の塩化水素、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸(TFA)などを用いるBOC基の酸分解、シリル基のフッ化物イオンとの反応、および亜鉛金属によるTCEC基の還元開裂を包含する。
【0155】
式(I)の化合物の例示的合成を、スキーム(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)で概説する。
【0156】
【化20】

【0157】
【化21】

【0158】
【化22】

【0159】
【化23】

【0160】
【化24】

【0161】
スキーム(A)において、(±)−ニペコチン酸(a)(Aldrich Chemical Company Catalog No.211672)の窒素を、保護基PG(PGは、BOCまたはCBZのようなアミン保護基である)により、Protective Groups in Organic Synthesis(前掲書)に記載されている化学反応などの従来のアミノ酸保護基化学反応を用いて保護すると、N−保護−(±)−ニペコチン酸が得られる。N−保護−(±)−ニペコチン酸の個々のエナンチオマーを、キラルアミンによる従来のエナンチオ選択的分別結晶またはN−保護−(±)−ニペコチン酸のキラルエステル誘導体の従来のエナンチオ選択的クロマトグラフィーを用いて分離すると、(S)−または(R)−N−保護−ニペコチン酸(b)が得られる。適当なキラルアミンの例は、l−tert−ロイシノール、(+)−シンコニン、L−プロリン、L−フェニルグリシンメチルエステル、L−バリノール、(1R,2R)−(−)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(S)−(−)−α−メチル−ベンジルアミン、(1R,2S)−(−)−エフェドリン、L−フェニルアラニノール、(1S,2R)−(+)−ノルエフェドリン、(R)−(+)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン、(−)−シンコニジン、(+)−シンコニン、および(−)−キニーネである。
【0162】
(S)−または(R)−N−保護−ニペコチン酸(b)を、−20℃〜50℃の温度にて、テトラヒドロフラン(THF)中のボラン、THF中の水素化リチウムアルミニウムなどの適当な水素化物還元条件を用いて還元すると、(S)−または(R)−N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール(c)が得られる。
【0163】
スキーム(B)および(C)に例示されているようにも使用される(S)−または(R)−N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール(c)を、−20℃〜100℃の温度にて、ジクロロメタン、THF、または酢酸エチルなどの非プロトン性溶媒中の2−ヨードキシ安息香酸またはジメチルスルホキシド(DMSO)/塩化オキサリル/トリメチルアミンなどの酸化剤を用いて対応するアルデヒド(d)に酸化する。
【0164】
アルデヒド(d)を、−50℃〜室温の温度にて、エチルエーテル、THFなどの非プロトン性溶媒中の(1R)−トランス−N,N’−1,2−シクロヘキサンジイルビス(1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド)などのキラル補助剤およびチタンイソプロポキシドなどの任意選択のルイス酸の存在下で有機金属剤R5A−M(式中、R5Aは、本明細書に定義されている通りであり、好ましくは、(C〜C)アルキルであり、Mは、Li、1/2Zn+2、または1/2Mg+2カチオン、好ましくは、1/2Zn+2である)と反応させると、二級アルコール(e)が得られる。例えば、N−BOC−(S)−アルデヒド(d)を、エチルエーテル中の(1R)−トランス−N,N’−1,2−シクロヘキサンジイルビス(1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド)およびチタンイソプロポキシドの存在下でジエチル亜鉛と反応させる場合、(R)−1−[(S)−N−BOC−ピペリジン−3−イル]−プロパノールが得られる。
【0165】
二級アルコール(e)における記号^で示されている第2のキラル炭素の立体化学は、化合物を、0℃〜100℃、好ましくは、室温〜65℃の温度にて1,2−ジメトキシエタン(DME)中、トリフェニルホスフィン、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)を用いることなどの反転につながる条件下で安息香酸などのカルボン酸とカップリングさせてエステル(f)を得ることにより反転させることができ、次いで、0℃〜ほぼ還流の温度にてTHFまたはメタノールおよび場合により水中の水酸化ナトリウムなどの従来の条件を用いてケン化して二級アルコール(g)を得ることができ、二級アルコール(g)における第2のキラル炭素における立体化学は、二級アルコール(e)における第2のキラル炭素における立体化学とエピマーの関係にある。二級アルコール(e)および(g)は、スキーム(B)、(C)、および(D)に例示されているように、本発明の化合物またはその塩の合成で使用することができる。
【0166】
スキーム(B)において、2−置換−ピリジン−3−オール(a)(式中、LGは、ブロモまたはヨードなどの脱離基である)を、適当なカップリング条件下で、N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール(b)(式中、PGは、BOCまたはCBZであり、N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール(b)は、スキーム(A)について記載されているように調製される)と反応させると、エーテル(c)が得られる。適当なカップリング条件の例は、酸性−OHをアルコール性−OHとカップリングさせるのに有用なカップリング剤の存在下、約5℃〜約100℃、好ましくは、室温〜65℃の温度にて、THF、ジオキサン、または1,2−ジメトキシエタンなどの非プロトン性溶媒である。そのようなカップリング剤は、DIADと一緒のトリフェニルホスフィン;1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、EDCI、またはEDAC)、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、またはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、各々は、場合により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と一緒;または(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを包含する。
【0167】
代替方法として、N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール(b)を、約5℃〜約100℃、好ましくは、室温〜80℃の温度にて、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF)などの非プロトン性極性溶媒中の過剰の炭酸カリウムまたは過剰の水素化ナトリウムなどの適当な非求核性塩基の存在下で塩化メタンスルホニルまたは塩化トシルなどの適当な塩化スルホニルと反応させ、in situで対応するスルホネートを形成し、次いで、2−置換−ピリジン−3−オール(a)と反応させると、エーテル(c)が得られる。
【0168】
次いで、エーテル(c)を、適当な条件下でフェノール(d)とカップリングさせると、ビス−エーテル(e)が得られる。適当な条件の例は、カリウムtert−ブトキシド(KTBU)、水素化カリウム(KH)、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)などの非求核性塩基および芳香族臭化物またはヨウ化物のフェノールとのカップリングを触媒するのに有用なカップリング触媒の存在下、約25℃〜約150℃の温度にてTHF、ジオキサン、または1,2−ジメトキシエタンなどの非プロトン性溶媒である。これらのカップリング触媒は、銅(I)トリフレート−ベンゼン錯体または銅(I)トリフレート−トルエン錯体および芳香族臭化物またはヨウ化物によりin situで生成させることができる銅(I)トリフレートおよびヨウ化銅(I)を包含する。
【0169】
次いで、ビス−エーテル(e)を、適当な条件下で脱保護すると、XがNである式(I)の化合物である式(Ia)の化合物が得られる。適当な脱保護条件の例は、約5℃〜約50℃の温度、好ましくは、ほぼ室温にて、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中の塩化水素またはトリフルオロ酢酸などの強酸である。
【0170】
スキーム(C)において、フェノール(a)を、適当なカップリング条件下で2−フルオロベンズアルデヒド(b)と反応させると、アルデヒド(c)が得られる。適当なカップリング条件の例は、炭酸セシウム、水素化ナトリウムなどの非求核性塩基の存在下、約5℃〜約100℃の温度におけるN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒である。
【0171】
次いで、アルデヒド(c)を、適当な条件下で酸化的に開裂すると、フェノール(d)が得られる。適当な開裂条件の例は、3−クロロ−ペルオキシ安息香酸などの過酸化物の存在下で約25℃〜約100℃の温度におけるジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどの非プロトン性溶媒およびKHPO、KHSOなどの弱酸である。
【0172】
次いで、フェノール(d)を、適当なカップリング条件下で、N−保護−ピペリジン−3−イルメタノール誘導体(e)(式中、PGは、BOCまたはCBZなどのアミン保護基であり、LGは、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、トシレート、臭化物などの脱離基である)と反応させると、ビス−エーテル(f)が得られる。適当なカップリング条件の例は、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウムなどの非求核性塩基の存在下、約5℃〜約100℃の温度におけるTHF、アセトニトリル、DMAなどの非プロトン性極性溶媒である。
【0173】
次いで、ビス−エーテル(f)を、適当な条件下で脱保護すると、XがC−Rである式(I)の化合物である式(Ib)の化合物が得られる。適当な脱保護条件の例は、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中の塩化水素またはトリフルオロ酢酸などの強酸である。
【0174】
スキーム(D)において、スキーム(A)における化合物(b)に対応する(S)−または(R)−N−保護−ニペコチン酸(a)を、クロロギ酸エチル、塩化チオニル、または塩化オキサリルなどの活性化剤と反応させ、次いで、−78℃〜室温の温度にて、ジクロロメタン、アセトニトリル、またはエチルエーテルなどの非プロトン性溶媒中でN−メチル−ピペリジンなどの三級アミン塩基の存在下、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンとカップリングさせると、対応するN,O−ジメチル−(S)−または(R)−N−保護−ニペコチン酸アミドが得られ、単離し、次いで、−20℃〜室温の温度、好ましくは0℃にて、THF、エチルエーテル、またはDMEなどの適当な溶媒中、有機金属剤R5A−M(式中、R5Aは、本明細書に定義されている通りであり、好ましくはフェニルであり、Mは、Li、1/2Zn+2、または1/2Mg+2カチオン、好ましくは、1/2Mg+2である)と反応させると、ケトン(b)が得られる。
【0175】
ケトン(b)を、−20℃〜50℃の温度、好ましくは、室温にてTHF、メタノール、またはエタノールなどの溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化リチウムアルミニウムなどの水素化物還元剤で還元すると、記号^により示される第2のキラル炭素におけるエピマーの混合物であるアルコール(c)のジアステレオマーの混合物が得られる。代替方法として、アルコール(c)における第2のキラル炭素における2種の可能なエピマーのうちの1種を優先的に提供するであろうキラルな水素化物還元剤を使用することができるかもしれない。
【0176】
第1のキラル炭素における立体化学が、(S)−N−保護−ニペコチン酸か(R)−N−保護−ニペコチン酸(a)のどちらが使用されたかに従って予め決定されているアルコール(c)の2種のジアステレオマーの混合物を、場合により、単一溶媒または溶媒の混合物で溶出することによるシリカゲル上のクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーにより分離し、単離されたエピマーの関係にあるアルコール(d)−1および(d)−2を独立して得ることができる。各々の単離されたエピマーの関係にあるアルコール(d)−1および(d)−2を、独立して、0℃〜100℃、好ましくは室温〜65℃の温度にて、フェノールまたはピリジノールをアルコールとカップリングさせるための本明細書に記載されている条件などのカップリング条件(例えば、トルエンまたはDME中のトリフェニルホスフィンおよびDIAD)下、ピリンジン−3−オール(pyrindin−3−ol)(e)(式中、LGは、ブロモまたはヨードなどの脱離基であり、Rは、本明細書に定義されている通りである)をカップリングさせ、それぞれエピマーの関係にあるエーテル(g)−1および(g)−2を独立して得ることができる。
【0177】
代替方法として、アルコール(c)の2種のジアステレオマーの混合物を、場合により、フェノールまたはピリジノールをアルコールとカップリングさせるための本明細書に記載されている条件などのカップリング条件下でピリンジン−3−オール(e)とカップリングさせ、記号^により示される第2のキラル炭素におけるエピマーの混合物であるエーテル(f)のジアステレオマーの混合物を得ることができる。エーテル(f)のジアステレオマーの混合物を、単一溶媒または溶媒の混合物で溶出することによるシリカゲル上のクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーにより分離し、単離されたエピマーの関係にあるエーテル(g)−1および(g)−2を独立して得ることができる。
【0178】
スキーム(D)には示さないが、各々のエピマーの関係にあるエーテル(g)−1および(g)−2を、スキーム(B)について上記に概説されている条件を用いてスキーム(B)のフェノール(d)とカップリングさせ、式(Ic)の化合物を得ることができる。
【0179】
代替方法として、各々のエピマーの関係にあるエーテル(g)−1および(g)−2を、DMEまたはトルエンなどの非プロトン性溶媒中、室温〜約150℃の温度、好ましくは約100℃にて、場合により、芳香族臭化物またはヨウ化物のアルコールとのカップリングを触媒するのに有用なカップリング触媒の存在下、水素化ナトリウムなどの非求核性塩基を用い、式(A)のアルコール
【0180】
【化25】

(式中、R7A、R7B、およびR7Cは、本明細書に定義されている通りである)とカップリングさせ、式(Ie)の化合物を得ることができる。これらのカップリング触媒は、銅(I)トリフレート−ベンゼン錯体または銅(I)トリフレート−トルエン錯体およびエピマーの関係にあるエーテル(g)−1または(g)−2によりin situで生成させることができる銅(I)トリフレートおよびヨウ化銅(I)を包含する。
【0181】
代替方法として、スキーム(A)の二級アルコール(e)もしくは(g)またはスキーム(D)のエピマーの関係にあるアルコール(d)−1および(d)−2を、スキーム(C)について上記に概説されている条件を用いてスキーム(C)のフェノールとカップリングさせ、式(Id)の化合物を得ることができる。
【0182】
スキーム(E)において、式(b)のアルコールを、0℃〜約100℃の温度にて非プロトン性溶媒中でトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルジアゾジカルボキシレート(diisopropyldiazodicarboxylate)などの従来のカップリング条件またはジシクロヘキシルジカルボキシレート(dicyclohexyldicarboxylate)などの一部の他のカップリング試薬を用いて式(a)のフェノールとカップリングさせると、式(c)のエーテルが得られる。
【0183】
式(I)の化合物は、ラセミ形態または任意の非ラセミ混合物を意味するキラル形態で合成することができる。ラセミ混合物は、典型的には、ラセミ出発材料から調製される。キラル形態は、キラル出発材料から調製することができる。代替方法として、キラル形態は、式(I)の化合物のラセミ形態、またはそれらの合成におけるラセミ中間体のキラル構成成分を分離する従来のエナンチオ選択的分離法を用いてそれらのそれぞれのラセミ形態から調製することができる。
【0184】
従来のエナンチオ選択的分離法の例は、エナンチオ選択的分別結晶およびエナンチオ選択的マルチカラムクロマトグラフィーを包含するエナンチオ選択的クロマトグラフィーである。一般的に、エナンチオ選択的マルチカラムクロマトグラフィーの例示的な医薬産業用途は、米国特許第5,928,515号;第5,939,552号;第6,107,492号;第6,130,353号;第6,455,736号;および第6,458,955号に記載されている。式(I)の化合物のラセミ形態のエナンチオ選択的分別結晶は、L−(+)−酒石酸などのキラルカルボン酸または(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸か(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸のどちらかなどのキラルスルホン酸との塩を結晶化し、次いで、式(I)の化合物の分離した立体異性体の塩を従来の方法でそれらの元の遊離塩基形態に変換することにより行うことができる。
【0185】
式(I)の化合物の合成は、(S)−および(R)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルなどのキラル中間体を使用することができる。(S)−および(R)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルは、従来の方法を用い、対応する(S)−または(R)−ニペコチン酸エチルエステルから調製することができる。(S)−または(R)−ニペコチン酸エチルエステルは、各々ABCR GmbH & Co.KG、Im Schlehert 10、D−76187 Karlsruhe、Germany(ABCR)から市販されている。これらのエステルには、それぞれChemical Abstracts Service Registry Numbers(CAS Reg.Nos.)[37675−18−6]および[25137−01−3]が割り当てられている。また、(S)−N−t−ブチルオキシカルボニル−ニペコチン酸は、Product Number AB156118/BAA1203の下でABCRから市販されている。(S)−および(R)−ニペコチン酸も、ABCRおよびYamakawa Chemical Industry Co.,Limited、Tanaka Building、3−1−10、Nihonbashi−Muromachi、Chuo−ku Tokyo103−0022、Japanから市販されている。これらの酸には、それぞれCAS Reg.Nos.[59045−82−8]および[25137−00−2]が割り当てられている。
【0186】
調製1
(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(±)−ニペコチン酸(Aldrich Chemical Company Catalog No.211672)から従来の方法を用いて調製することができる(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.27g、15.2mmol)、2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−オール(4.03g、17.2mmol)、およびトリフェニルホスフィン(4.8g、18mmol)を、100mLのフラスコに装填した。次いで、1,2−ジメトキシエタン(15mL)と、続いて、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.7g、18mmol)を加えた。得られた溶液を5時間にわたって50℃にて攪拌した。真空中の回転蒸発後、残渣を、シリカゲル上でクロマトグラフにかけ、0〜65%の(酢酸エチル11部およびジクロロメタン60部)および100〜35%ジクロロメタンの直線グラジエントで溶出した。残渣をエチルエーテル(120mL)に溶かし、15%水酸化ナトリウム水溶液(10〜15mL)で2回洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で回転蒸発させると、油として表題化合物(6.15g)が得られ、放置すると固化した。
【0187】
調製2
(S)−3−[2−(4−フルオロ−2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
調製1からの(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.349g、0.807mmol)、4−フルオロ−2−メチル−フェノール(0.15g、1.2mmol)、および1,2−ジメトキシエタン(2.5mL)を8mLのセプタムキャップ付きバイアルに装填した。得られた混合物を攪拌し、カリウムtert−ブトキシド(0.14g、1.2mmol)と、続いて、銅(I)トリフレートベンゼン錯体約10mgを加えた。バイアルを、18〜24時間にわたり、スターラー/ホットプレート上で100℃にて加熱されたドライブロックに入れた。反応混合物を、シリカゲル上でクロマトグラフにかけ、0〜45%酢酸エチルおよび100〜55%ヘキサンの直線グラジエントで溶出すると、黄色の油として表題化合物(272mg)が得られた。
【0188】
調製3
4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−ベンズアルデヒドの合成
DMA(25mL)中の4−クロロ−2−フルオロ−ベンズアルデヒド(3.58g、25.23mmol)および2−フルオロ−6−メトキシフェノール(4.0g、25mmol)の攪拌した溶液を、炭酸セシウム(8.22g、25.23mmol)で処理した。混合物を、合計48時間にわたって室温にて攪拌した。反応混合物を氷水約150mLに注加し、6時間にわたって攪拌した。得られた固体を濾過により採取し、水で洗浄し、18時間にわたって真空オーブン中で45℃にて乾燥すると、表題化合物6.8g(97%)が得られた。
【0189】
調製4
4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノールの合成
CHCl(100mL)中の調製3からの4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−ベンズアルデヒド(6.8g、24mmol)の溶液を、固体KHPO(4.9g、36mmol)と、続いて固体の工業用(純度57〜86%)3−クロロペルオキシ安息香酸(6.3g、36mmol)で処理した。混合物を20時間にわたって55℃にて攪拌した。溶液を、追加の3−クロロペルオキシ安息香酸(1.5g、8.6mmol)、固体KHPO(1.0g、7.3mmol)で処理し、攪拌をさらに6時間にわたって続けた。混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO水溶液、ブラインで抽出し、MgSOで乾燥した。混合物を濾過し、減圧下で回転蒸発させた。残渣をメタノール150mLに溶かし、濃HCl3滴で処理し、18時間にわたって加熱還流した。冷却した溶液を減圧下で回転蒸発させた。残渣をエチルエーテル−ヘキサンから結晶化すると、表題化合物1.6g(25%)が得られた。
【0190】
調製5
(S)−2−[4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
アセトニトリル(5mL)中の調製4からの4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノール(0.30g、1.0mmol)、(S)−3−メタンスルホニルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.41g、1.5mmol)(調製22の手順に従って調製した)、および固体炭酸セシウム(0.60g、1.8mmol)を、合計48時間にわたって攪拌しながら加熱還流することができる。反応物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去することができる。残渣を酢酸エチルに溶かし、1N NaOH、ブラインで抽出し、MgSOで乾燥することができる。混合物を濾過し、減圧下で回転蒸発させることができる。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル移動相を用いてシリカゲルカラム上で精製することができる。適切な分画を混ぜ合わせ、溶媒を減圧下で除去して表題化合物を得ることができる。
【0191】
(S)−2−[4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのピペリジン窒素は、実施例1の手順を適合させて当業者が脱保護することができる。
【0192】
調製6
(S)−3−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
トルエン35mL中の(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(7.32g、34.0mmol)、2−ブロモ−3−ピリジノール(7.40g、42.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(11.15g、42.5mmol)の室温にて攪拌した混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(8.4mL、42.7mmol)を滴加した。添加は発熱的であり、その後、すべての固体は溶液中にあった。溶液を24時間にわたってN下で65℃にて加熱し、回転蒸発させてトルエンの大部分を除去し、次いで、(約1:1)ヘキサン:ジエチルエーテル混合物200mL中に懸濁した。生成した固体を濾過により除去した。濾液を回転蒸発させ、残渣をジエチルエーテル中に再懸濁し、次いで、1N NaOHで2回、次いで、飽和KHPO水溶液、およびブライン溶液で洗浄した。有機抽出液を乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、残渣が得られ、クロマトグラフにかけると(中圧液体クロマトグラフィーすなわちMPLC、シリカゲル、CHCl中5%EtOAc)、灰色がかった白色の固体として(S)−3−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル9.36g(74%)が得られた、mp79〜81℃。元素分析:C1623BrN(371.282)としての計算値:C、51.76;H、6.24;N、7.55。実測値:C、51.83;H、6.21;N、7.52。
【0193】
調製7
(S)−3−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
カリウムtert−ブトキシド(229mg、2.04mmol)および1,2−ジメトキシエタン(DME、5mL)の攪拌した懸濁液に、室温にてフェノール(192mg、2.04mmol)を加えた。わずかな温度上昇が観察され、懸濁液は、澄明な溶液に変化した。次いで、1,2−ジメトキシエタン4mL中の(S)−3−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(631mg、1.70mmol、調製6)の溶液を反応混合物に加えた。触媒量の銅(I)トリフルオロメチルスルホネート(約20mg)を混合物に加え、バイアルに蓋をし、16時間にわたって100℃まで加熱した。混合物を回転蒸発させて1,2−ジメトキシエタンの大部分を除去し、水(10mL)およびジエチルエーテル(10mL)に再懸濁した。この二相混合物を、珪藻土のパッドに通して濾過した。層を分離し、水層をジエチルエーテル(2回50mL)で抽出した。合わせた有機層を2N NaOH(2回50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機抽出液を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、残渣が得られ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、CHCl中3%EtOAc)、黄色の油として(S)−3−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル475mg(73%)が得られた。MS(APCI+)m/z385.2[M+1、100%]、329.2[M−55、56%]、および285.1[M−99、97%]。
【0194】
調製8
(S)−3−(2−ベンジルオキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステルの合成
DME5mL中の水素化ナトリウム(0.29g、7.25mmol、鉱油中60%分散液)のN下で0℃にて攪拌した懸濁液に、ベンジルアルコール(0.75mL、7.25mmol)を滴加した。氷浴を取り外し、サンプルを1時間にわたって攪拌した。DME5mL中の(S)−3−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.80g、4.85mmol、調製6)の溶液と、続いて、触媒量(約50mg)の銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼンまたはトルエン錯体(2:1)を加えた。サンプルを24時間にわたって100℃にて加熱し、室温まで冷却し、次いで、酢酸エチルと飽和KHPO溶液(各々約50mL)の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させて残渣とし、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、淡黄色の油として(S)−3−(2−ベンジルオキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル1.30g(68%)が得られた。MS(APCI+)m/z399.2[M+1、12%]、343.2[M−55、3%]、および299.2[M−99、100%]。
【0195】
調製9
(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
1,2−ジメトキシエタン15mL中の(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(3.25g、15.1mmol)、6−ヨード−2−ピコリン−5−オール(4.00g、17.0mmol)およびトリフェニルホスフィン(4.75g、18.1mmol)の室温にて攪拌した混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.57mL、18.1mmol)を滴加した。添加は発熱的であり、その後、すべての固体は溶液中にあった。溶液を24時間にわたってN下で40℃にて加熱し、回転蒸発させて1,2−ジメトキシエタンの大部分を除去し、次いで、ジエチルエーテル200mL中に懸濁した。生成した固体を濾過により除去した。濾液を回転蒸発させ、得られた残渣をクロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、CHCl中4%EtOAc)、黄色の固体として(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル6.36g(97%)が得られた。MS(APCI+)m/z433.0[M+1、2%]、377.0[M−55、100%]、および333.0[M−99、23%]。
【0196】
調製10
(S)−3−(6−メチル−2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
1,2−ジメトキシエタン(5mL)中の(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(714mg、1.65mmol、調製9)、フェノール(192mg、2.04mmol)の攪拌した懸濁液に、室温にてカリウムtert−ブトキシド(229mg、2.04mmol)を加えた。わずかな温度上昇が観察された。触媒量の銅(I)トリフルオロメチルスルホネートベンゼン錯体(約20mg)を混合物に加え、バイアルに蓋をし、16時間にわたって100℃まで加熱した。混合物を回転蒸発させて1,2−ジメトキシエタンの大部分を除去し、水(10mL)およびジエチルエーテル(10mL)中に再懸濁した。この二相混合物を、珪藻土のパッドに通して濾過した。層を分離し、水層をジエチルエーテル(2回50mL)で抽出した。合わせた有機層を2N NaOH(2回50mL)およびブライン(25mL)で洗浄した。有機抽出液を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させて残渣とし、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、黄色の油として(S)−3−(6−メチル−2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル564mg(86%)が得られた。MS(APCI+)m/z399.2[M+1、79%]、343.2[M−55、15%]、および299.1[M−99、100%]。
【0197】
調製11
(S)−3−ホルミル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
FinneyおよびMore(Org.Lett.、2002;4:3001)による手順に従い、(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(5.00g、23.2mmol)および酢酸エチル(160mL)の激しく攪拌した溶液に、o−ヨードキシ安息香酸(IBX、19.5g、69.7mmol)を加えた。反応混合物を加熱して3時間にわたって還流し、次いで、室温まで冷却した。白色の固体を濾過により除去し、濾液を回転蒸発させると、無色の液体として(S)−3−ホルミル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル4.95g(100%)が得られた。これを次のステップへ直ちに続けた。
【0198】
調製12
(S)−3−[(S)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
Knochel他(Tetrahedron、1998、54、6385)により公表された手順に従い、(1R)−トランス−N,N’−1,2−シクロヘキサンジイルビス(1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド)(702mg、1.86mmol)および無水ジエチルエーテル(30mL)のN下で攪拌した溶液に、シリンジを介してチタン(IV)イソプロポキシド(8.16mL、27.9mmol)を加えた。反応混合物を氷/NaCl浴で−15℃まで冷却した。冷たい混合物に、ジエチル亜鉛(5.71mL、55.7mmol)を加えると、明るい黄色の溶液が生成し、45分にわたって攪拌した。(S)−3−ホルミル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.95g、23.2mmol、調製11)を無水ジエチルエーテル20mLに溶かし、5分かけて反応混合物に滴加(カニューレを介して)した。次いで、反応物を16時間にわたって−20℃のフリーザーに入れ、次いで、ジエチルエーテル(50mL)で希釈し、飽和NHCl溶液で注意深くクエンチした。次いで、1N HCl(100mL)を加えて固体を溶かし、次いで、混合物をジエチルエーテル(3回50mL)で抽出した。合わせた有機物を2N NaOH(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させた。残渣を、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、CHCl中10%EtOAc)、無色の油として(S)−3−[(S)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル4.34g(79%)が得られた。MS(APCI+)m/z244.1[M+1、10%]、188.1[M−55、100%]および144.0[M−99、38%]。
【0199】
調製13
(S)−3−[(R)−1−ベンゾイルオキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(S)−3−[(S)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.55g、14.6mmol、調製12)、トリフェニルホスフィン(15.0g、58.0mmol)、安息香酸(7.1g、58mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(10.2mL、58.4mmol)および1,2−ジメトキシエタン(100mL)の0℃における溶液に、シリンジを介してアゾジカルボン酸ジイソプロピル(11.5mL、58.4mmol)を滴加した。反応物を16時間にわたって45℃にて加熱し、回転蒸発させて約1/2の容積とし、ヘキサン:ジエチルエーテル混合物(5:1)120mLで希釈した。生成した沈殿を濾過により除去し、濾液をジエチルエーテル300mLで希釈した。これを1N HCl(200mL)、水(100mL)、飽和NaHCO(100mL)およびブライン溶液(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させて残渣とし、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中10%EtOAc)、わずかに黄色の油として(S)−3−[(R)−1−ベンゾイルオキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル3.35g(66%)が得られた。この油を、最小量のペンタンに取り、−20℃にて結晶化させると、無色の針状晶2.83gが得られた。MS(APCI+)m/z348.2[M+1、5%]、292.2[M−55、51%]および248.2[M−99、100%]。
【0200】
調製14
(S)−3−[(R)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
水酸化ナトリウム(1.30g、32.6mmol)およびメタノール(165mL)の攪拌した溶液に、(S)−3−[(R)−1−ベンゾイルオキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.83g、8.15、調製13)を加えた。混合物を1時間にわたって加熱還流し、室温まで冷却し、回転蒸発させ、水(100mL)で希釈した。水性混合物をエチルエーテル(2回100mL)で抽出し、飽和NaHCO(100mL)溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、無色の油として(S)−3−[(R)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル1.98g(100%)が得られた。MS(APCI+)m/z244.1[M+1、15%]、188.1[M−55、100%]および144.0[M−99、23%]。
【0201】
調製15
(S,S)−3−[1−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
調製6に類似した方法に従い、(S)−3−[(R)−1−ヒドロキシ−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、黄色の油として(S,S)−3−[1−(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.50g(77%)へ変換した。MS(APCI+)m/z401.0[M+1、96%]、344.9[M−55、100%]および299.0[M−99、70%](すべて、ブロモ官能基の存在に由来する二重線として存在する)。
【0202】
調製16
(S,S)−3−[1−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
この化合物を、調製7に類似した方法を用いて合成すると、黄色の油として(S,S)−3−[1−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル486mg(82%)が得られた。MS(APCI+)m/z413.2[M+1、78%]、357.1[M−55、47%]および313.2[M−99、100%]。
【0203】
調製17
(S)−3−(メトキシ−メチル−カルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステルの合成
CHCl500mL中のピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(N−BOC−(S)−ニペコチン酸、15.0g、65.6mmol)および1−メチルピペリジン(9.6mL、79.0mmol)のN下で−78℃にて攪拌した溶液に、クロロギ酸エチル(6.9mL、72.2mmol)を急いで加えた(シリンジを介して)。混合物(固体が生成した)を15分にわたって攪拌し、次いで、固体のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(7.0g、71.8mmol)と、続いて、別部分の1−メチルピペリジン(9.6mL、79.0mmol)を加えた。サンプルを室温までゆっくりと温め(約4時間)、回転蒸発させ、次いで、EtOAcと飽和NaHCO溶液の間で分配した。有機抽出液を飽和KHPOおよびブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、無色の油として(S)−3−(メトキシ−メチル−カルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル18.2g(>100%)が得られた。MS(APCI+)m/z173.1[M−99、100%]。この材料をさらに精製することなく調製18で使用した。
【0204】
調製18
(S)−3−ベンゾイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
ジエチルエーテル溶液中の3M臭化フェニルマグネシウムの溶液(30.6mL、91.8mmol)を、THF300mL中の(S)−3−(メトキシ−メチル−カルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(18.2g、調製17からの全サンプルは65.5mmolと仮定する)のN下で0℃にて攪拌した溶液に滴加した。溶液を1時間にわたって攪拌し、次いで、飽和KHPO溶液250mLの滴加によりクエンチした。反応物を室温まで温め(約4時間)、回転蒸発させてTHFの大部分を除去し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、淡黄色の油状固体として(S)−3−ベンゾイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル15.3g(81%)が得られた。一部をヘキサンから結晶化すると、白色の固体が得られた、mp75〜79℃。元素分析:C1723NO(289.378)としての計算値:C、70.56;H、8.01;N、4.84。実測値:C、70.48;H、8.08;N、4.78。
【0205】
調製19
(S)−3−[(R,S)−ヒドロキシ−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
MeOH100mL中の(S)−3−ベンゾイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8.0g、27.6mmol、調製18)の溶液を、1N NaOH溶液10mLを含有するメタノール100mL中の水素化ホウ素ナトリウム(5.2g、137.7mmol)のN下で0℃にて攪拌した懸濁液に滴下した。サンプルを一夜にわたって室温までゆっくりと温め、回転蒸発させてMeOHの大部分を除去し、次いで、酢酸エチルと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液を飽和KHPOおよびブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、無色の油として(S)−3−[(R,S)−ヒドロキシ−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのジアステレオマーの混合物(H−NMRにより約1:1)8.2g(>100%)が得られた。MS(APCI+)m/z192.1[M−99、100%]。このサンプルは、溶媒を含有しており、さらに精製することなく調製20で使用した。
【0206】
調製20
3−[(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル−メチル]−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、立体異性体Aおよび立体異性体Bの合成
DME50mL中の(S)−3−[(R,S)−ヒドロキシ−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8.2g、28.1mmol、調製19)、2−ブロモ−3−ピリジノール(6.1g、35.1mmol)およびトリフェニルホスフィン(9.2g、35.1mmol)のN下で室温にて攪拌した溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(6.9mL、35.0mmol)を滴加した。反応物を24時間にわたって室温にて攪拌し、回転蒸発させ、ジエチルエーテル中に再溶解した。溶液を1N NaOH(2×)、飽和KHPOおよびブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させて濃黄色の油とした。サンプルを、まずクロマトグラフにかけて(MPLC、シリカゲル、CHCl中10%EtOAc)光延反応副成物を除去し、次いで、再びクロマトグラフにかけると(MPLC(2×)、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、3−[(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル−メチル]−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの個々のジアステレオマーが得られた。
【0207】
立体異性体A:淡黄色の泡状固体として3.7g(29%)。R=0.26(シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)。MS(APCI+)m/z347/349[M−99、93/100%]。
【0208】
立体異性体B:淡黄色の泡状吸湿性固体として2.9g(23%)。R=0.22(シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)。MS(APCI+)m/z347/349[M−99、93/100%]。
【0209】
調製21
3−{[2−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルオキシ]−フェニル−メチル}−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、立体異性体Aの合成
バイアル中のDME5mL中の4−フルオロフェノール(0.47g、4.2mmol)の室温溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.47g、4.2mmol)を加えた。サンプルを30分にわたって攪拌し、次いで、DME5mL中の3−[(2−ブロモ−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル−メチル]−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、立体異性体A(1.25g、2.8mmol、調製20)の溶液と、続いて、触媒量(約50mg)の銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼン錯体(2:1)を加えた。サンプルバイアルを密封し、24時間にわたって100℃にて(ブロックヒーターを介して)、次いで、室温にて加熱した。サンプルを酢酸エチルと1N NaOH溶液の間で分配した。有機抽出液を別部分の1N NaOH、飽和KHPOおよびブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させた。クロマトグラフィー(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)により、泡状の白色の固体として3−{[2−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルオキシ]−フェニル−メチル}−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、立体異性体A1.13g(84%)が得られた。MS(APCI+)m/z379.1[M−99、100%]。
【0210】
調製22
(S)−3−メタンスルホニルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.2g、0.047mol)をジクロロメタン500mLに溶かし、溶液を氷浴中、N下で攪拌した。トリエチルアミン(6.2g、0.061mol)および塩化メタンスルホニル(6.5g、0.057mol)を順次加えた。約0.5時間後、氷浴を取り外した。約3時間の総反応時間後、反応混合物を水性酸、水性塩基、およびブラインで洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムに通して濾過し、真空中で回転蒸発させて油とし、放置すると固化し、表題化合物14gが得られた。
【0211】
調製23
(S)−3−[2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.128g、0.296mmol、調製1)および4−クロロ−2−フルオロフェノール(0.087g、0.59mmol)を、スターバーと一緒に8mLのセプタムキャップ付きバイアルに装填し、窒素でパージした。シリンジを介して1,2−ジメトキシエタン(0.6mL)およびカリウムtert−ブトキシド/テトラヒドロフラン溶液(1M、0.59mL)と、続いて、銅(I)トリフレート−トルエン錯体約10mgを加えた。バイアルを、18〜24時間にわたり、スターラー/ホットプレート上で100℃にて加熱されたドライブロックに入れた。反応混合物を、シリカゲル上でクロマトグラフにかけ、0〜40%酢酸エチルおよび100〜60%ヘキサンの直線グラジエントで溶出すると、油として(S)−3−[2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(107mg)が得られた。
【0212】
調製24
(S)−3−[2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルオキシメチル]−6−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(S)−3−(2−ヨード−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.60g、1.4mmol、調製1)、4−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノール(0.32g、19mmol)、およびピリジン(無酸素)(12mL)を、スターバーを備えた35mlの厚肉圧力管に装填した。混合物を攪拌し、炭酸セシウム(0.87g、2.57mmol)と、続いて、銅(I)トリフレートベンゼン錯体(0.07g、0.12mmol)を加えた。密封した反応容器を油浴上で120℃まで加熱した。反応混合物を、移動相としてヘキサン/酢酸エチルを用い、シリカゲル上でクロマトグラフにかけた。正しい分画を混ぜ合わせ、溶媒を減圧下で除去すると、油として表題化合物(0.185g、28%)が得られた。
【0213】
調製25
(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
1,2−ジメトキシエタン20mL中の(S)−3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(2.65g、12.31mmol)、2−(ベンジルオキシ)−フェノール(2.4mL、13.70mmol)、およびトリフェニルホスフィン(4.04g、15.40mmol)の室温にて攪拌した溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.1mL、15.74mmol)を滴加した。添加は発熱的であり、その後、すべての固体は溶液中にあった。溶液を24時間にわたってN下で50℃にて加熱し、回転蒸発させ(1,2−ジメトキシエタンの大部分を除去し)、次いで、ヘキサン75mL中に懸濁した。生成した固体を濾過により除去した。濾液を回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、100%CHCl[2L]次いで、ヘキサン中20%EtOAc[2L])、淡黄色の油として(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル3.96g(81%)が得られた。MS(APCI)m/z298.2[M−99、100%]。
【0214】
調製26
(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
CHCl27mL中の(S)−3−(4−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.91g、2.79mmol、調製27の方法に類似した方法で調製した)、フェニルボロン酸(0.68g、5.58mmol)、酢酸銅(II)(0.51g、2.81mmol)、ピリジン(1.1mL、13.97mmol)および粉末4Å活性化モレキュラーシーブ(約5g)の混合物を、24時間にわたって周囲圧力下で室温にて攪拌した。サンプルを珪藻土のパッドに通して濾過し、回転蒸発させ、次いで、EtOAcと1N NaOH溶液の間で分配した。有機抽出液を飽和KHPOおよびブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、淡黄色の油として(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.74g(66%)が得られた。MS(APCI)m/z402.1[M+1、17.4%]および302.5[M−99、100%]。
【0215】
調製27
(S)−3−(2−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
エタノール100mL中の(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製25、3.24g、8.17mmol)の溶液を、20%Pd/C0.60gで処理した。サンプルを1時間にわたって風船圧力下で室温にて水素化し、濾過し、回転蒸発させると、灰色がかった白色の固体として(S)−3−(2−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.44g(97%)が得られた、mp98〜101℃。元素分析:C1725NO(307.393)としての計算値:C、66.43;H、8.20;N、4.56。実測値:C、66.27;H、8.60;N、4.50。MS(APCI+)m/z208.1[M−99、100%]。
【0216】
調製28
(S)−3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
THF10mL中の(S)−3−(2−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製27、1.00g、3.25mmol)、シクロヘキサノール(0.51mL、4.83mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.28g、4.88mmol)の室温にて攪拌した溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.96mL、4.88mmol)を滴加した。添加は発熱的であり、その後、すべての固体は溶液中にあった。サンプルを密封し、50℃にて加熱した(ブロックヒーターを介して)。72時間後のTLCは、出発材料が存在することを依然として示した。別部分のシクロヘキサノール(0.51mL)、トリフェニルホスフィン(1.28g)およびDIAD(0.96mL)を加え、24時間にわたって50℃にて加熱した。サンプルを冷却し、回転蒸発させ、次いで、ヘキサン75mL中に懸濁した。生成した固体を濾過により除去した。濾液を回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中20%EtOAc)、無色の油として(S)−3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.75g(59%)が得られた。MS(APCI)m/z290.2[M−99、100%]。
【0217】
調製29
(S)−3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−(R,S)−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
THF10mL中の(S)−3−[(R,S)−ヒドロキシ−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.53g、5.24mmol、調製19)、2−エトキシフェノール(0.83mL、6.55mmol)、トリフェニルホスフィン(1.72g、6.56mmol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.3mL、6.60mmol)の混合物を、24時間にわたって60℃にて加熱した。サンプルを冷却し、回転蒸発させ、次いで、ヘキサン75mL中に懸濁した。生成した固体を濾過により除去した。濾液を回転蒸発させ、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、100%CHCl[2L]次いで、ヘキサン中20%EtOAc[2L])、無色の油として(S)−3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−(R,S)−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.99g(46%)が得られた。MS(APCI)m/z312.2[M−99、100%]。
【0218】
調製30
(S)−3−アセチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
テトラヒドロフラン(20mL)中のピペリジン−1,3−カルボン酸、1−tert−ブチルエステル(N−Boc−(S)−ニペコチン酸、7.20g、26.4mmol、調製17)の0℃にて攪拌した溶液に、ジエチルエーテル中の3.0M臭化メチルマグネシウム(12.5mL、37.5mmol、1.4当量)を加えた。30分にわたって0℃にて攪拌した後、塩化アンモニウムの飽和溶液(10mL)を加え、混合物を酢酸エチル(2回25mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させた。得られた油を、クロマトグラフにかけると(MPLC、シリカゲル、ヘキサン中8%EtOAc)、鏡像体過剰率が94%(HPLC、CHIRALPAK(登録商標)AD−H(Chiral Technologies,Inc.、Exton、PA)、0.1%TFAを含むヘキサン中20%エタノール)の黄色の油として(S)−3−アセチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル4.86g(81%)が得られた。
【0219】
調製31
3−(1−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
トルエン(5mL)中の1M(S)−2−メチル−CBS−オキサゾボロリジン(oxazoborolidine)(Chemical Abstracts No.112022−81−8、262L、0.262mmol、0.11当量)の攪拌した溶液を、室温の水浴に入れて内部温度を制御した。N,N−ジエチルアニリンボラン(472L、2.65mmol、1.1当量)を、攪拌した溶液にシリンジを介して滴加した。(S)−3−アセチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製30)をトルエン(2mL)に溶かし、30分かけて反応混合物にカニューレを介して滴加した。反応物を1時間にわたって攪拌した後、アリコートをクエンチし、TLCによりチェックした。完了した反応物をメタノール(5mL−警告−ガス発生)でクエンチし、1N HCl(10mL)で希釈し、5分にわたって攪拌し、次いで、ジエチルエーテル(3回20mL)で抽出した。合わせた有機層を0.5N HCl(2回10mL)、水(10mL)およびブライン溶液(20mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させた。鏡像体過剰率が88%(HPLC、CHIRALPAK(登録商標)AD−H、0.1%TFAを含むヘキサン中20%エタノール)の黄色の油として3−(1−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル531mg(94%)が単離された。
【0220】
調製32
(S)−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
0℃におけるテトラヒドロフラン(30mL)中の(S)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチル−エステル((S)−1−Boc−ニペコチン酸エチル、3.00g、11.7mmol)の攪拌した溶液に、シリンジを介してジエチルエーテル中の3.0M臭化メチルマグネシウム(9.0mL、27mmol、2.3当量)を加えた。反応物を攪拌し、一夜にわたって室温まで温めた。反応物を、塩化アンモニウムの飽和溶液(100mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2回100mL)で抽出した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、黄色の油として(S)−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.74g(96%)が得られた。MS(APCI)m/z170.0[M−73、100%]、144.0[M−99、10%]。
【0221】
調製33
tert−ブチル−(2−フルオロ−ベンジリデン)−アミンの合成
ベンゼン(50mL)中の2−フルオロベンズアルデヒド(8.5mL、80mmol)の攪拌した溶液に、tert−ブチルアミン(15mL、120mmol、1.5当量)を加えた。反応フラスコにDean−Starkトラップを取り付け、一夜にわたって加熱還流した。反応物を室温まで冷却し、次いで、回転蒸発させると、続けるのに十分純粋な薄いオレンジ色の油としてtert−ブチル−(2−フルオロ−ベンジリデン)−アミン12.24g(85%)が得られた。MS(APCI+)m/z180.1[M+1、3%]、123.9[M−55、100%]。
【0222】
調製34
(S)−3−[1−(2−ホルミル−フェノキシ)−1−メチル−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
0℃におけるジオキサン(18mL)中の(S)−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製32、6.56g、27.0mmol)の攪拌した溶液に、4回にわけて水素化ナトリウム(1.19g、29.7mmol、1.1当量)を加えた。反応物を15分にわたって攪拌し、次いで、室温まで温め、さらに1時間攪拌した。次いで、tert−ブチル−(2−フルオロ−ベンジリデン)−アミン(調製33、7.26g、40.5mmol、1.5当量)を加え、反応混合物に冷却器を取り付け、一夜にわたって還流温度まで加熱した。反応物を室温まで冷却し、リン酸二水素カリウムの飽和溶液(50mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチル(2回100mL)で抽出し、有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、褐色のゴムが得られた。生成物を酢酸(35mL)、水(100mL)およびテトラヒドロフラン(50mL)に溶かし、一夜にわたって攪拌した。混合物を酢酸エチル(2回200mL)で抽出し、合わせた有機層を水(2回100mL)およびブライン溶液(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させた。粗生成物を、クロマトグラフィーにより精製すると(MPLC、シリカゲル、ジクロロメタン中2.5%EtOAc)、白色の固体として(S)−3−[1−(2−ホルミル−フェノキシ)−1−メチル−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.48g(26%)が得られた。MS(APCI+)m/z248.0[M−99、8%]、170.0[M−177、100%]。
【0223】
調製35
(S)−3−(2−フルオロ−6−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
1−メチル−2−ピロリドン(25mL)中の(S)−3−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例103、2.70g、7.96mmol)の攪拌した溶液に、ナトリウムチオエトキシド(1.49g、15.9mmol、2.0当量)を加えた。反応に還流冷却器を取り付け、8時間にわたって100℃まで加熱し、次いで、室温まで冷却した。混合物をジエチルエーテル(2回100mL)で抽出し、合わせた有機層を水(2回100mL)およびブライン溶液(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として(S)−3−(2−フルオロ−6−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.49g(96%)が得られた。
【0224】
調製36
(S)−3−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
−78℃におけるテトラヒドロフラン(45mL)中の2−ブロモピリジン(5.06g、32.0mmol、1.3当量)の攪拌した溶液に、シリンジを介してヘキサン中の2.49M n−ブチルリチウム(13.4mL、33.3mmol、1.33当量)を滴加した。溶液は深い赤色に変わり、15分にわたって攪拌した。別のフラスコ中で、(S)−3−(2−メトキシ−プロピオニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6.71g、24.6mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶かした。次いで、この溶液を、15分かけて1滴ずつ反応フラスコ中にカニューレ導入し、−78℃にて1時間にわたって攪拌した。反応物を、リン酸二水素カリウムの飽和溶液(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(2回100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させた。粗生成物を、クロマトグラフィーにより精製すると(MPLC、シリカゲル、酢酸エチル中20%ヘキサン)、黄色の油として(S)−3−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル4.76g(67%)が得られた。MS(APCI+)m/z191.0[M−99、37%]、173.0[M−117、100%]。
【0225】
調製37
(S)−3−((S)−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
(S)−3−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製36、4.75g、16.4mmol)、炭酸カリウム(0.564g、4.1mmol、0.25当量)、ジクロロ[(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル][(2S)−(+)−1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン]ルテニウム(II)(0.036g、0.033mmol、0.002当量、Strem Chemical Co.)、イソプロパノール(80mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)を、グローブボックス内の圧力反応器に密封した。反応器を50psiのHで加圧し、16時間にわたって室温にて攪拌した。反応物を回転蒸発させ、酢酸エチルに取り、珪藻土のパッドに通して濾過した。溶媒を回転蒸発により除去すると、ジアステレオマー比が16:1の黄色の油として(S)−3−((S)−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル4.55g(95%)が得られた。粗生成物をヘキサン:ジエチルエーテル(10:1、11mL)から再結晶すると、ジアステレオマー比が25:1の結晶性の固体3.02gが得られた。MS(APCI+)m/z193.0[M−99、100%]。
【実施例】
【0226】
(実施例1)
(S)−3−[2−(4−フルオロ−2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジンフマル酸の合成
調製2からの(S)−3−[2−(4−フルオロ−2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(270mg、0.63mmol)をジクロロメタン3.6mLに溶かし、氷浴中で冷却した。トリフルオロ酢酸(2.4mL)を加え、45分後、氷浴を取り外した。3時間後、揮発成分を真空中で除去し、残渣を、ジクロロメタン(15mL)と15%水酸化ナトリウム水溶液(1mL)の間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムに通して濾過し、真空中で回転蒸発させた。残渣(200mg、0.605mmol)を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)用アセトン(4mL)に溶かし、アセトン(12mL)中のフマル酸(70mg、0.61mmol)の溶液を一度に加えた。混合物を一夜にわたって攪拌し、濾過した。固体をアセトンで十分に洗浄し、35℃にて真空中で乾燥すると、(S)−3−[2−(4−フルオロ−2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジンフマル酸230mgが得られた。
【0227】
(実施例23)
(S)−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸の合成
(S)−3−[2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(85mg、0.189mmol、調製23)をジクロロメタン3mLに溶かし、氷浴中で冷却した。トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、約30分後、氷浴を取り外した。2時間後、揮発成分を真空中で除去し、残渣を、ジクロロメタン(15mL)と15%水酸化ナトリウム水溶液(1mL)の間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムに通して濾過し、真空中で回転蒸発させた。残渣を、HPLC用アセトン(3mL)に溶かし、アセトン(2.7mL)中のフマル酸(21.8mg、0.188mmol)の溶液を一度に加えた。混合物を4日にわたって攪拌し、濾過した。固体をアセトンで十分に洗浄し、35℃にて真空中で乾燥すると、表題化合物70.1mgが得られた。
【0228】
(実施例45)
(S)2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン塩酸塩の合成
ジクロロメタン(1.0mL)中の(S)3−[2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルオキシメチル]−6−メチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.185mg、0.38mol、調製24)の攪拌した溶液を、エーテル中の塩化水素の溶液(2M、2.0mL)で処理し、20時間にわたって攪拌した。得られた固体を濾過により回収し、エーテルおよびヘキサンで洗浄すると、表題化合物(0.14g、69%)が得られた。
【0229】
(実施例46)
(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジンフマル酸の合成
CHCl50mL中の(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製26、0.74g、1.85mmol)の溶液を、CFCOH(5mL)で処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基が得られた。サンプルを、フマル酸塩に変換し、2−プロパノール(最小量)およびCHCNから沈殿させると、白色の固体として(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジンフマル酸塩0.47gが得られた。
【0230】
(実施例77)
(S)−2−ベンジルオキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸の合成
CHCl100mL中の(S)−3−(2−ベンジルオキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸、tert−ブチルエステル(1.30g、3.27mmol、調製8)の溶液を、トリフルオロ酢酸10mLで処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基0.74g(55%)が得られた。サンプルを、フマル酸塩に変換し、冷たい2−プロパノール(最小量)およびアセトニトリルから沈殿させると、白色の固体として(S)−2−ベンジルオキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸が得られた。
【0231】
(実施例84)
(S,S)−2−フェノキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジンフマル酸の合成
この化合物を実施例93に類似した方法を用いて合成すると、白色の固体として(S,S)−2−フェノキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジンフマル酸374mg(74%)が得られた。
【0232】
(実施例88)
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−[((RまたはS)−フェニル−((S)−ピペリジン−3−イル)−メトキシ]−ピリジンフマル酸、立体異性体Aの合成
CHCl100mL中の3−{[2−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルオキシ]−フェニル−メチル}−(S)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、立体異性体A(1.13g、2.36mmol、調製21)の溶液を、トリフルオロ酢酸10mLで処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClとNHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させた。得られた淡黄色の油をフマル酸塩に変換し、冷たい2−プロパノールから結晶化させると、白色の固体として表題化合物の立体異性体A1.01g(86%)が得られた。
【0233】
(実施例93)
(S)−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸の合成
CHCl10mL中の(S)−3−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(475mg、1.24mmol、調製7)の溶液を、トリフルオロ酢酸2mLで処理した。溶液を3時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基329mg(94%)が得られた。サンプルをフマル酸塩に変換し、冷たい2−プロパノール(最小量)およびアセトニトリルから沈殿させると、白色の固体として(S)−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸が得られた。
【0234】
(実施例95)
(S)−6−メチル−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸の合成
CHCl10mL中の(S)−3−(6−メチル−2−フェノキシ−ピリジン−3−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(564mg、1.42mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸2mLで処理した。溶液を3時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基392mg(93%)が得られた。サンプルをフマル酸塩に変換し、冷たい2−プロパノール(最小量)およびアセトニトリルから沈殿させると、白色の固体として(S)−6−メチル−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジンフマル酸が得られた。
【0235】
(実施例99)
(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン塩酸塩の合成
CHCl100mL中の(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製25、0.707g、1.778mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸10mLで処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基0.513g(97%)が得られた。サンプルをHCl酸塩に変換し、ジエチルエーテルから沈殿させると、白色の固体として(S)−3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン塩酸塩が得られた。
【0236】
(実施例101)
(S)−3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン塩酸塩の合成
CHCl100mL中の(S)−3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製28、0.75g、1.92mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸10mLで処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、淡黄色の油として表題化合物の遊離塩基0.52g(94%)が得られた。サンプルをHCl酸塩に変換し、ジエチルエーテルから沈殿させると、白色の固体として(S)−3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン塩酸塩が得られた。
【0237】
(実施例106)
(S)−3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−(R,S)−フェニル−メチル]−ピペリジンフマル酸の合成
CHCl100mL中の(S)−3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−(R,S)−フェニル−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(調製29、0.99g、2.42mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸10mLで処理した。溶液を2時間にわたってN下で室温にて攪拌し、回転蒸発させ、次いで、CHClと10%NHOH水溶液の間で分配した。有機抽出液をブライン溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、回転蒸発させると、黄色の油として表題化合物の遊離塩基0.79g(>100%)が得られた。サンプルをフマル酸塩に変換し、アセトニトリルから沈殿させると、白色の固体として(S)−3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−(R,S)−フェニル−メチル]−ピペリジンフマル酸塩が得られた。
【0238】
実施例2〜22および24〜31の化合物は、調製1、2および実施例1の手順を適合させることにより調製した。
【0239】
実施例23の化合物は、調製1、23および実施例23の手順を適合させることにより調製した。
【0240】
実施例32〜40の化合物は、調製3〜5および実施例1の手順を適合させることにより調製した。
【0241】
実施例41の化合物は、調製9、10、および実施例95の手順を適合させることにより調製した。
【0242】
実施例42、44、および47〜50の化合物は、調製1および24ならびに実施例45の手順を適合させることにより調製した。
【0243】
実施例51〜76、および94の化合物は、調製6、7、および実施例93の手順を適合させることにより調製した。
【0244】
実施例78〜83の化合物は、調製6、8、および実施例77の手順を適合させることにより調製した。
【0245】
実施例85〜87の化合物は、調製11〜16および実施例84の手順を適合させることにより調製した。
【0246】
実施例89〜92の化合物は、調製17〜21および実施例88の手順を適合させることにより調製した。
【0247】
実施例43および100の化合物は、調製25および実施例99の手順を適合させることにより調製した。
【0248】
実施例96および97の化合物は、調製26および実施例46の手順を適合させることにより調製した。
【0249】
実施例98の化合物は、調製25および実施例99(TFA塩を脱保護(すなわち、BOC除去)ステップから沈殿させる)の手順を適合させることにより調製した。
【0250】
実施例102、103、および105の化合物は、調製27および28ならびに実施例101の手順を適合させることにより調製した。
【0251】
実施例104の化合物は、調製35の手順を用い、調製28および実施例101の手順を適合させることにより調製した。
【0252】
実施例107の化合物は、調製30および31の手順を用い、調製25の手順を適合させることにより調製した。実施例107のHCl塩は、実施例99の手順を適合させることにより、遊離塩基から調製した。
【0253】
実施例108の化合物は、調製30、31、および25ならびに実施例99手順を適合させ、次いで、表題化合物の遊離塩基をエチルエーテルに溶かし、シュウ酸を加え、沈殿したシュウ酸塩を濾去することにより調製した。
【0254】
実施例109、110、111、112、および113の化合物は、調製30、31、および28ならびに実施例101の手順を適合させることにより調製した。
【0255】
実施例114、115、116、および117の化合物は、調製36および37の手順を用い、実施例106の手順を適合させることにより調製した。
【0256】
実施例118は、調製32〜34の手順を用い、次いで、調製4、28、および実施例101の手順を適合させることにより調製した。
【0257】
当業者は、本発明の化合物を合成するために、調製および実施例の手順を適合させることができる。調製2の適合において、例えば、適切に環置換されているフェノールを、4−フルオロ−2−メチル−フェノールの代わりに使用し、実施例2〜31の化合物の置換基R2A、R2B、R3A、R3B、およびRがフェノール環置換基に由来するであろう実施例2〜31、43、および46の望ましい化合物を得ることができるであろう。調製3の適合において、適切に環置換されている2−フルオロベンズアルデヒドを、必要に応じて4−クロロ−2−フルオロ−ベンズアルデヒドの代わりに使用し、適切に環置換されているフェノールを、必要に応じて2−フルオロ−6−メトキシフェノールの代わりに使用し、実施例32〜40の化合物の置換基R2A、R2B、R3A、R3B、およびRがフェノール環置換基に由来し、R、R、R、およびRが2−フルオロ−ベンズアルデヒド環置換基に由来するであろう実施例32〜40の望ましい化合物を得ることができるであろう。
【0258】
実施例1〜41の化合物は、式(T−1)の化合物のフマル酸塩であり、すべてが、記号により示される第1のキラル炭素原子において(S)立体化学を有する。実施例1〜41の化合物についてのX、R、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの定義を表1で下に示す。
【0259】
【表2】

【0260】
実施例42、44、45および47〜50の化合物はすべて、式(T−2)の化合物の塩酸塩であり、すべてが、第1のキラル炭素原子()において(S)立体化学を有する。実施例42、44、45および47〜50の化合物についてのX、R、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの定義を表2で下に示す。
【0261】
【表3】

【0262】
実施例43および46の化合物は、下の実施例96〜98と一緒に包含されている。
【0263】
実施例51〜76の化合物はすべて、式(T−3)の化合物のフマル酸塩である。実施例51〜76の化合物についての第1のキラル炭素原子()における立体化学ならびに基R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの定義を表3で下に示す。
【0264】
【表4】

【0265】
実施例77〜83の化合物はすべて、式(T−4)の化合物のフマル酸塩である。実施例77〜83の化合物についての第1のキラル炭素原子()における立体化学およびXの定義を表4で下に示す。
【0266】
【表5】

【0267】
実施例84〜92の化合物はすべて、式(T−5)の化合物のフマル酸塩である。実施例84〜92の化合物についての第1のキラル炭素原子()における立体化学、記号^により識別される第2のキラル炭素原子における立体化学、ならびに基X、およびR5Aの定義を表5で下に示す。
【0268】
【表6】

【0269】
実施例93〜95の化合物はすべて、式(T−6)の化合物のフマル酸塩である。実施例93〜95の化合物についての第1のキラル炭素原子()における立体化学ならびに基RおよびXの定義を表6で下に示す。
【0270】
【表7】

【0271】
実施例43、46、および96〜98の化合物の第1のキラル炭素原子()における立体化学ならびに基R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R、およびRならびに塩の酸構成成分の定義を表7で下に示す。
【0272】
【表8】

【0273】
実施例99〜105の化合物の第1のキラル炭素原子()における立体化学ならびに基R、R、RおよびXならびに塩の酸構成成分の定義を表8で下に示す。
【0274】
【表9】

【0275】
実施例106〜117の化合物について、第1()および第2(^)のキラル炭素原子における立体化学ならびに基R、R5A、R、R、RおよびXの定義ならびに塩の酸構成成分を表9で下に示す。
【0276】
【表10】

【0277】
実施例118の化合物の第1()および第2(^)のキラル炭素原子における立体化学ならびに基R、R5A、R5B、R、R、RおよびXの定義ならびに塩の酸構成成分を表10で下に示す。
【0278】
【表11】

【0279】
別の実施形態は、、X、X、R、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R5A、R5B、R、R、R7A、R7B、R7C、およびRが、式(I)について定義されている通りである式(T−1)、(T−2)、(T−3)、(T−4)、(T−5)、(T−6)、(T−7)、(T−8)、(T−9)、もしくは(T−10)の化合物、または薬学的に許容できるその塩である。
【0280】
実施例1〜118の本発明の化合物または塩の名前を表11で示す。表11において、「Ex.No.」は、実施例番号を意味する。
【0281】
【表12−1】

【0282】
【表12−2】

【0283】
【表12−3】

【0284】
【表12−4】

【0285】
【表12−5】

【0286】
【表12−6】

【0287】
実施例1〜118の化合物についての物理的特性データを表12で下に示す。表12には、塩の分子量ではなく、化合物の遊離塩基形態の分子量(Mol.Wt.)を示す。
【0288】
【表13−1】

【0289】
【表13−2】

【0290】
【表13−3】

【0291】
【表13−4】

【0292】
【表13−5】

【0293】
【表13−6】

【0294】
【表13−7】

【0295】
【表13−8】

【0296】
【表13−9】

【0297】
【表13−10】

【0298】
【表13−11】

【0299】
【表13−12】

【0300】
したがって、別の実施形態は、
2−(4−フルオロ−2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−メトキシ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,3−ジメトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−[2−(1−メチル−エトキシ)−フェノキシ]−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−エチル−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−[4−クロロ−5−メチル−2−(1−メチル−エチル)−フェノキシ]−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルオキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)ピリジン;
6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシ)−ピリジン;
2−[4−(1−メチル−エチル)−フェノキシ]−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−4−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
6−メチル−2−(2,4,5−トリフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
3−[2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−メトキシ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−3−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−4−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
3−(2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
6−メチル−2−(2,4,6−トリフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
2−(2,6−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,6−ジクロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−2−(2,3,6−トリフルオロ−フェノキシ)−ピリジン;
2−(3−クロロ−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−メトキシ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−メチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
4−[3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル;
4−[3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン−2−イルオキシ]−フタロニトリル;
2−(3−クロロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−フルオロ−4−[3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル;
3−メトキシ−4−[3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン−2−イルオキシ]−ベンゾニトリル;
2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3,4−ジメチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−3−メチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3−メチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−メチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−イソプロポキシ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−イソプロピル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(2−クロロ−5−メチル−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−ベンジルオキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−イソブトキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−エトキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−イソプロポキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−シクロヘキシルオキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−フェネチルオキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−(3−フェニル−プロポキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−フェノキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
2−エトキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
2−イソブトキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−[(フェニル)−(ピペリジン−3−イル)−メトキシ]−ピリジン;
2−エトキシ−3−[(フェニル)−(ピペリジン−3−イル)−メトキシ]−ピリジン;
2−イソブトキシ−3−[(フェニル)−(ピペリジン−3−イル)−メトキシ]−ピリジン;
2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
6−メチル−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
3−[2−フルオロ−6−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−[3−フルオロ−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
3−(2−ベンジルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−(2−エトキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−(2−イソブトキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン
3−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−(2−フルオロ−6−イソブトキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−(2−エトキシ−6−フルオロ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
3−[(2−エトキシ−フェノキシ)−フェニル−メチル]−ピペリジン;
3−[1−(2−エトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
3−[1−(2−ベンジルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
3−[1−(2−イソブトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
3−[1−(2−シクロブチルメトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
3−[1−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
3−{1−[2−(3−メチル−ブトキシ)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン;
3−{1−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン;
2−[{2−エトキシ−フェノキシ}−ピペリジン−3−イル−メチル]−ピリジン;
2−[{2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ}−ピペリジン−3−イル−メチル]−ピリジン;
2−[ピペリジン−3−イル−{2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ}−メチル]−ピリジン;
2−[{5−フルオロ−2−メトキシ−フェノキシ}−ピペリジン−3−イル−メチル]−ピリジン;
3−{1−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−フェノキシ]−1−メチル−エチル}−ピペリジン;
からなる群から選択される化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。
【0301】
生物学的方法
本発明の化合物および塩は、例えば、従来の放射性リガンド受容体トランスポートアッセイを用いることにより、ノルエピネフリントランスポーター受容体、セロトニントランスポーター受容体、またはノルエピネフリントランスポーター受容体とセロトニントランスポーター受容体の両方を阻害するそれらの能力についてアッセイすることができる。受容体は、細胞系において非相同的に発現され、アッセイは、トランスポーター受容体体のうちの少なくとも1つを発現する細胞系由来の膜調製物について行うことができる。有用なアッセイの例を、生物学的方法1および2で示す。
【0302】
生物学的方法1
ヒトノルエピネフリン(hNET)受容体結合
ヒトノルエピネフリントランスポーターcDNAをトランスフェクトしたヒト胚性腎臓293(HEK−293)細胞の細胞ペーストを調製した。細胞ペーストを、30秒にわたって、7に設定したPolytronホモジナイザーでKrebs−N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)アッセイ緩衝液(25mM HEPES、122mM NaCl、3mM KCl、1.2mM MgSO、1.3mM CaCl、および11mMグルコース、pH7.4)400〜700mLに再懸濁した。膜のアリコート(5mg/mLタンパク質)は、使用するまで液体窒素中に保存した。
【0303】
結合アッセイは、試験化合物(濃度10−5M〜10−12M)、細胞膜、および50pM[125I]−RTI−55([125I]−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン−2β−カルボン酸メチルエステル)(Perkin Elmer、NEX−272;比放射能2200Ci/mmol)を含有する総容積250μLでBeckmanディープウェルポリプロピレンプレート中にセットアップした。反応物を、室温にて90分にわたって緩やかなかき混ぜによりインキュベートし、Brandel96ウェルプレートハーベスターを用いてWhatman GF/Cフィルタープレートに通して濾過することにより終了させた。シンチレーション液(100μL)を各ウェルに加え、結合した[125I]−RTI−55を、Wallac Trilux Beta Plate Counterを用いて決定した。試験化合物を2回ずつ実行し、特異的結合は、10μMデシプラミンの存在下と非存在下における結合の差として定義した。
【0304】
ExcelおよびGraphPad Prismソフトウェアをデータ計算および分析に使用した。IC50値は、Cheng−Prusoff式を用いてK値へ変換した。hNETについてのK値(nM)を表13で下に報告する。
【0305】
生物学的方法2
ヒトセロトニン(hSERT)受容体結合
ヒトセロトニントランスポーターcDNAをトランスフェクトしたHEK−293細胞の細胞ペーストを調製した。細胞ペーストを、30秒にわたって、7に設定したPolytronホモジナイザーでKrebs−HEPESアッセイ緩衝液(25mM HEPES、122mM NaCl、3mM KCl、1.2mM MgSO、1.3mM CaCl、および11mMグルコース、pH7.4)400〜700mlに再懸濁した。膜のアリコート(約2.5mg/mLタンパク質)は、使用するまで液体窒素中に保存した。
【0306】
アッセイは、試験化合物(濃度10−5M〜10−12M)、細胞膜、および50pM[125I]−RTI−55(Perkin Elmer、NEX−272;比放射能2200Ci/mmol)を含有する総容積250μL中で、0.1%ポリエチレンジアミン(PEI)をプレコーティングしたFlashPlates中にセットアップした。反応物を、室温にて90分にわたってインキュベートし、緩やかにかき混ぜ、アッセイ容積の除去により終了させた。プレートを覆い、結合した[125I]−RTI−55を、Wallac Trilux Beta Plate Counterを用いて決定した。試験化合物を2回ずつ実行し、特異的結合は、10μMシタロプラムの存在下と非存在下における結合の差として定義した。
【0307】
ExcelおよびGraphPad Prismソフトウェアをデータ計算および分析に使用した。IC50値は、Cheng−Prusoff式を用いてK値へ変換した。hSERTについてのK値(nM)を表13で下に報告する。
【0308】
【表14−1】

【0309】
【表14−2】

【0310】
別の実施形態は、10nM未満のhNET Ki(nM)を有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。別の実施形態は、50nM未満のhSERT Ki(nM)を有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。
【0311】
別の実施形態は、>1〜50の、hSERT Ki(nM)をhNET Ki(nM)で除した比を有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。別の実施形態は、>50の、hSERT Ki(nM)をhNET Ki(nM)で除した比を有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。別の実施形態は、0.1〜5の、hSERT Ki(nM)をhNET Ki(nM)で除した比を有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩であり、さらに別の実施形態において、比は、0.1〜<1である。
【0312】
そのようなすべての実施形態において、hSERT Kiは、生物学的方法2に従って決定され、hNET Kiは、生物学的方法1に従って決定される。実施例1〜118の化合物についてのhSERT Ki(nM)をhNET Ki(nM)で除した比は、表13で示すデータから決定することができる。
【0313】
本発明の別の実施形態は、>5,000nMのヒトドーパミン再取り込み(hDAT)結合Kiを有する式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩である。hDAT結合アッセイは、生物学的方法1および2に記載されているアッセイと同様の方法で実行される。
【0314】
本発明の化合物および塩は、ラットにおけるカプサイシン誘発性機械的アロディニアを軽減するそれらの能力についてアッセイすることができる(例えば、Sluka,KA、(2002)J of Neuroscience、22(13):5687〜5693)。例えば、カプサイシン誘発性機械的アロディニアのラットモデルは、生物学的方法3に記載されているように行った。
【0315】
生物学的方法3
カプサイシン誘発性機械的アロディニアラットモデル
0日目に、暗サイクルの雄性Sprague−Dawleyラット(各々約150g)を、吊り下げた金網底のケージに入れ、暗くした静かな部屋で0.5時間にわたって馴化させる。0日目の足逃避閾値(PWT)を、Dixonの上げ下げ法を用い、Von Freyヘア評価により左後肢で決定した。評価後、右後肢の足底筋に、カプサイシン100μL(無菌ブライン中の10%エタノール、10% Tween80中0.25%重量/容積(w/v))を注射した。
【0316】
6日目に、左後肢(注射した足から対側)のPWTを、各動物について決定した。PWTが11.7g以下の6日目の動物をアロディニアレスポンダーと見なし、各ケージ中の動物が同様の平均PWT値を有するように再編成した。
【0317】
7日目に、レスポンダーに、ビヒクル中のラット体重1kg当たり試験化合物10mgを皮下に投与するか、またはビヒクル(10mL/kg)だけを投与した。ビヒクルは、2%CREMOPHOR(登録商標)EL(BASF)を含有するリン酸緩衝溶液とした。対側(すなわち、左後肢)PWT値を、研究者が投与スキームを分からない状態で、単回投与の1時間後に決定した。各動物について、6日目PWT値を、試験化合物の10mg/kg投与についての7日目、1時間PWTから減じると、1時間薬物治療によるPWTの変化を表すΔPWT値(ΔPWT(薬物))が得られる。ビヒクル単独処置動物の場合、6日目PWT値を、ビヒクルの10mL/kg投与についての7日目、1時間PWTから減じ、値を平均する(平均ΔPWT(ビヒクル))。さらに、6日目PWT値を、0日目PWTから減じると、各動物に存在するアロディニアのベースラインレベル(ベースライン)が得られる。ビヒクル対照について正規化した各動物のアロディニアの阻害率を、以下の式を用いて計算した:
アロディニアの阻害率=100×(ΔPWT(薬物)−平均ΔPWT(ビヒクル))/(ベースライン−平均ΔPWT(ビヒクル))
【0318】
試験化合物当たりアッセイした8匹の動物についてのアロディニア値の平均阻害率を表14で示す。30%を超える阻害を示す表14中の化合物は、単回の10mg/kg皮下投与として投与した場合、アロディニアアッセイにおいて活性であると見なされる。
【0319】
【表15】

【0320】
代替方法として、動物に、試験化合物30mg/kgによることを除いて、上記のプロトコルに従って皮下投与することができる。試験化合物30mg/kgを投与した動物について、対側(すなわち、左後肢)PWT値を、単回投与の2時間後に決定する。実施例6、8、29、および44の化合物などの追加の化合物は、30mg/kgで投与した場合、このアッセイにおいて活性(すなわち、30%を超える阻害)を示すことがある。
【0321】
代替方法として、動物に、試験化合物10mg/kg(または30mg/kg)を上記のプロトコルに従って経口投与することができる。経口投与の場合、ビヒクルは、0.5%ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース(HPMC)および0.2%TWEEN(商標)80を含有するリン酸緩衝溶液とし、PWT値は、単回投与の2時間後に決定する。
【0322】
代替方法として、プロトコルのいずれかにおいて、PWT値を、当業者により決定される試験化合物の推定Cmaxにほぼ対応する時間に決定する。
【0323】
本発明の化合物および薬学的に許容できるそれらの酸付加塩は、ノルエピネフリンおよびセロトニンの結合を阻害し、線維筋痛の疼痛を包含する神経障害性疼痛のモデルであるラットにおけるカプサイシン誘発性機械的アロディニアを阻害する。
【0324】
化合物および塩は、うつ病、全般性不安障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、線維筋痛、神経障害性疼痛、尿失禁、および統合失調症などの疾患および障害を治療するのに有効である。
【0325】
本明細書で引用されているすべての刊行物、特許、特許出願、および特許出願公開は、すべての目的でそれらの全体として参照により本明細書に組み込まれるものとする。実施形態を例示するために使用される実施例は、本発明を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

または薬学的に許容できるその酸付加塩
[式中、
は、第1のキラル炭素原子を示し、
5AおよびR5Bは、独立して、H、(C〜C)アルキル、フェニル、またはピリジルであり、
は、NまたはC−Rであり、
は、Hまたはハロであり、
は、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、
およびRは、独立して、HまたはFであり、
は、
【化2】

であり、
2A、R2B、R3A、R3B、およびRは、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、−CN、もしくは−O(C〜C)アルキルであるか、またはR2AおよびR3A、もしくはR3AおよびRは、それらが接続している炭素と一緒になって、1,2−シクロペンテニレンまたは1,2−シクロヘキセニレンを形成してもよく、
7AおよびR7Bは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、もしくは−(C〜C)アルキレン−フェニルであるか、またはR7AおよびR7Bは、場合により、それらが接続している炭素と一緒になって、(C〜C)シクロアルキルを形成してもよく、
7Cは、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、または−(C〜C)アルキレン−フェニルであり、
1,2−シクロペンテニレン、1,2−シクロヘキセニレン、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、および−O(C〜C)アルキルの各々は、独立して、置換されていないか、または1〜5個の置換基Rで置換されており、
各フェニルは、独立して、置換されていないか、または1〜5個の置換基Rで置換されており、
各ピリジルは、置換されていないか、または1〜4個の置換基Rで置換されており、
各Rは、独立して、F、−CH、−CF、−CN、−OCH、=O、−NH、−N(H)CH、または−N(CHであり、
各Rは、独立して、F、Cl、−CH、−CF、−CN、−OCH、−OCHCH、−NH、または−N(H)CHであり、
、R2A、R2B、R3A、R3B、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、Hではなく、Xは、−CHではない]。
【請求項2】
が、
【化3】

であり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRのうちの1つが、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルであり、R2A、R2B、R3A、R3B、およびRの残りが、独立して、H、ハロ、(C〜C)アルキル、または−O(C〜C)アルキルである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項3】
が、
【化4】

であり、R7A、R7B、およびR7Cが、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキレン−(C〜C)シクロアルキル、フェニル、または−(C〜C)アルキレン−フェニルであり、Xが、−CHではない、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項4】
が、
【化5】

であり、R7AおよびR7Bが、それらが接続している炭素と一緒になって、(C〜C)シクロアルキルを形成し、R7Cが、Hである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項5】
が、Nであり、Rが、Hまたは−CHである、請求項1、2、3または4に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項6】
が、C−Rであり、Rが、HまたはFであり、Rが、H、F、Cl、−CH、−CF、−OCF、または−OCHである、請求項1、2、3または4に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項7】
5AおよびR5Bが、各々Hである、請求項1、2、3、4、5または6に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項8】
5Aが、置換されていない(C〜C)アルキル、置換されていないフェニル、または置換されていないピリジルであり、R5Bが、Hであり、R5AおよびR5Bが接続している炭素が、第2のキラル炭素原子である、請求項1、2、3、4、5または6に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項9】
立体化学が、第1のキラル炭素原子において(S)である、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項10】
化合物が、
(S)−2−(2−メトキシ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−メチル−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−2−p−トリルオキシ−ピリジン;
(S)−2−(4−エチル−2−メトキシ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3−クロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[4−クロロ−2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−(4−クロロ−2−メトキシ−フェノキシ)−4−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−ピペリジン;および
(S)−3−[4−クロロ−2−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項11】
化合物が、
(S)−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メチル−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3−クロロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−2−(2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S,S)−2−フェノキシ−3−(1−ピペリジン−3−イル−プロポキシ)−ピリジン;
(S)−2−エトキシ−3−(フェニル−ピペリジン−3−イル−メトキシ)−ピリジン、立体異性体A;
(S)−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−6−メチル−2−フェノキシ−3−(ピペリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン;
(S)−3−(2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
(S)−3−(4−フルオロ−2−フェノキシ−フェノキシメチル)−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−ベンジルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−イソブトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−シクロブチルメトキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[(S)−1−(2−シクロヘキシルオキシ−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−フルオロ−6−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[2−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−フルオロ−フェノキシメチル]−ピペリジン;
(S)−3−[3−フルオロ−2−(4−フルオロ−フェノキシ)−フェノキシメチル]−ピペリジン;
2−[{(R)−2−フルオロ−6−メトキシ−フェノキシ}−(S)−ピペリジン−3−イル−メチル]−ピリジン;および
2−[(S)−ピペリジン−3−イル−{(R)−2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ}−メチル]−ピリジン;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
線維筋痛を治療するための医薬品の製造における請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の使用。
【請求項14】
変形性関節症または関節リウマチを治療するための医薬品の製造における請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の使用。
【請求項15】
注意欠陥多動性障害、神経障害性疼痛、不安症、うつ病、および統合失調症からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の製造における請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の化合物、または薬学的に許容できるその酸付加塩の使用。

【公表番号】特表2010−501542(P2010−501542A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525125(P2009−525125)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002445
【国際公開番号】WO2008/023258
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】