説明

ピペリジン誘導体

例えば、NR2Bサブユニットを含むN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体(NR2B/NMDA受容体)拮抗作用等を有する下記一般式(I)(式中、−C(=O)−Zは−C(=O)−CH−、−C(=O)−C(CH−、−C(=O)−NH−、−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−C(=O)−CHCH−、−C(=O)−CH=CH−、−C(=O)−CHO−、−C(=O)−CHS−、−C(=O)−CHCHCH−または−C(=O)−NRCH−を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、Rは水素原子またはヒドロキシを表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ等を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、Rは水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、nおよびkはそれぞれ独立して0から2の整数を表し、−−−−は単結合を表すか、Rと一緒になって二重結合を表し、−−−−が単結合であるとき、Rは水素原子、ヒドロキシ等を表す)で表されるピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)拮抗作用等を有するピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であるが、神経細胞の変性や傷害を誘発する内在性興奮毒としての機能も有している。グルタミン酸はNMDA受容体等のグルタミン酸受容体を介して細胞内へとシグナルを伝達する。しかし、脳内でグルタミン酸が過剰に放出されるとNMDA受容体が過剰に反応し、神経細胞の変性や傷害による疾患(例えばてんかん、発作、不安、脳虚血、筋肉痙攣、アルツハイマー病、痴呆症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞等)等が引き起こされることが知られており、NMDA受容体拮抗作用を有する化合物は、これらの治療に有用であると考えられる[ドラッグ・デベロップメント・リサーチ(Drug Dev.Res.)、1989年、第17巻、p.299、クリニカル・サイエンス(Clinical Sci.)、1985年、第68巻、p.113]。
【0003】
また、グルタミン酸はグルタミン酸受容体を介して疼痛(例えば慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛等)で重要な役割を果たしており、特にNMDA受容体が神経因性疼痛の進展やその持続に関与していることが知られている。例えばケタミン、デキストロメトロファン、CPP(3−(2−カルボキシピペラジン−4−イル)プロピル−1−リン酸)等の非選択的NMDA受容体拮抗作用を有する化合物は、慢性疼痛、帯状疱疹後の痛み、脊髄傷害後の中枢痛や幻肢痛等の多くの神経因性疼痛の症状を緩和する[特許第308135号公報、ペイン(Pain)、1992年、第51巻、P249−253、ペイン(Pain)、1995年、第61巻、p.221−228、インテンシブ・ケアー(Intensive Care)、1995年、第23巻、p.620−622、クリニカル・ニューロファーマコロジー(Clinical Neuropharmacology)、1995年、第18巻、p.360−368等]。しかし、これらの化合物は鎮痛活性を示す投与量で、例えばめまい、頭痛、幻覚、不快感、認識機能や運動機能の障害等の副作用を引き起こすため、あまり臨床で使用されていない。また、脳循環代謝改善剤として市販されているイフェンプロジルが、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体(NR2B/NMDA受容体)に対する選択的拮抗作用(選択的NR2B/NMDA受容体拮抗作用)を有することにより、これらの非選択的NMDA受容体拮抗作用による副作用を改善した薬物として知られているが、イフェンプロジルはアドレナリンα受容体拮抗作用も有しているため、副作用として血圧低下を引き起こす(非特許文献1、非特許文献2参照)。つまり、副作用の少ないNR2B/NMDA受容体の選択的拮抗剤(選択的NR2B/NMDA受容体拮抗剤)の開発が望まれている。
【0004】
また、イフェンプロジルおよびその類似化合物は鎮痛活性を有することが知られている(非特許文献3、非特許文献4参照)。
一方、4位に芳香環基を有するピペリジン誘導体としては、NMDA受容体拮抗作用もしくは選択的NR2B/NMDA受容体拮抗作用を有するアリールピペリジン誘導体およびアラルキルピペリジン誘導体が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)。
【特許文献1】国際公開第91/17156号パンフレット
【特許文献2】国際公開第94/10166号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/91241号パンフレット
【特許文献4】米国特許第5710168号明細書
【特許文献5】特開2002−322092号公報
【特許文献6】国際公開第97/07098号パンフレット
【特許文献7】国際公開第90/14087号パンフレット
【特許文献8】国際公開第90/14088号パンフレット
【非特許文献1】「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティックス(Journal of Pharmaceutical and Experimental Therapeutics)」、1988年、第247巻、p.1211−1221
【非特許文献2】「モレキュラー・ファーマコロジー(Molecular Pharmacology)」、1993年、第44巻、p.851−859
【非特許文献3】「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)」、1997年、第122巻、p.809−812
【非特許文献4】「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)」、1996年、第298巻、p.51−55
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、例えばNR2B/NMDA受容体拮抗作用等を有するピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の(1)〜(37)に関する。
(1)一般式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
{式中、
−C(=O)−Z−は
−C(=O)−CH−、
−C(=O)−C(CH−、
−C(=O)−NH−、
−C(=O)−O−、
−C(=O)−S−、
−C(=O)−CHCH−、
−C(=O)−CH=CH−、
−C(=O)−CHO−、
−C(=O)−CHS−、
−C(=O)−CHCHCH−または
−C(=O)−NRCH−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)
を表し、

水素原子、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子または
ヒドロキシ
を表し、

水素原子、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子、
ヒドロキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニル、
置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルコキシ
を表し、

水素原子、
ヒドロキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子、
ハロゲン、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニル、
置換もしくは非置換の低級アルキニル、
置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは
−(CHY[式中、mは1から4の整数を表し、Yは−NR10(式中、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と一緒になって複素環基を形成する)または置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す]を表し、
nおよびkはそれぞれ独立して0から2の整数を表し、
−−−−は単結合を表すか、Rと一緒になって二重結合を表し、
−−−−が単結合であるとき、Rは水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンを表す}
で表されるピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(2)一般式(IA)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、R、R、nおよびkはそれぞれ前記と同義である)で表されるピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(3)−C(=O)−Z−が−C(=O)−S−である上記(1)または(2)記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(4)−C(=O)−Z−が−C(=O)−CH−である上記(1)または(2)記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(5)−C(=O)−Z−が−C(=O)−CHCH−である上記(1)または(2)記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(6)−C(=O)−Z−が−C(=O)−CHCHCH−である上記(1)または(2)記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(7)−−−−が単結合である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(8)Rがヒドロキシである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(9)Rが水素原子またはヒドロキシである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(10)Rが水素原子である上記(1)〜(9)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(11)Rの結合位置がモルホリン環の3位であり、かつRがヒドロキシである上記(1)〜(9)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(12)Rが水素原子またはヒドロキシである上記(1)〜(11)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(13)Rがヒドロキシである上記(1)〜(11)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(14)Rが水素原子または低級アルキルである上記(1)〜(13)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(15)Rが水素原子である上記(1)〜(13)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩
(16)nが0である上記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(17)kが0である上記(1)〜(16)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(18)Rが水素原子である上記(1)〜(17)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(19)Rが水素原子である上記(1)〜(18)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(20)ピペリジン誘導体がラセミ体である上記(1)〜(19)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(21)ピペリジン誘導体が光学活性体である上記(1)〜(19)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(22)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(23)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNR2Bサブユニットを含むN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体(NR2B/NMDA受容体)拮抗剤。
(24)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNR2B/NMDA受容体の選択的拮抗剤(選択的NR2B/NMDA受容体拮抗剤)。
(25)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療剤。
(26)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛治療剤。
(27)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤。
(28)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNR2B/NMDA受容体の阻害方法。
(29)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNR2B/NMDA受容体の選択的阻害方法。
(30)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療方法。
(31)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする疼痛の治療方法。
(32)上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする神経因性疼痛の治療方法。
(33)NR2B/NMDA受容体拮抗剤の製造のための上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(34)選択的NR2B/NMDA受容体拮抗剤の製造のための上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(35)NMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療剤の製造のための上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(36)疼痛治療剤の製造のための上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(37)神経因性疼痛治療剤の製造のための上記(1)〜(21)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、例えばNR2B/NMDA受容体拮抗作用等を有するピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、ピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患(例えばてんかん、発作、不安、脳虚血、筋肉痙攣、アルツハイマー病、痴呆症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞等の神経細胞の変性や傷害による疾患、慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛等の疼痛等)の治療剤等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】絞扼性神経損傷ラットにおける化合物6によるアロデニアの改善効果を示したものである。縦軸は痛覚閾値(g)、横軸は化合物6または溶媒投与後の経過時間(時間)を表す。
【図2】絞扼性神経損傷ラットにおける化合物10によるアロデニアの改善効果を示したものである。縦軸は痛覚閾値(g)、横軸は化合物10または溶媒投与後の経過時間(時間)を表す。
【符号の説明】
【0013】
図1
−●−:化合物6投与群(3mg/kg)
−▲−:化合物6投与群(10mg/kg)
−◆−:化合物6投与群(30mg/kg)
−〇−:溶媒投与群
−□−:正常ラット群
図2
−●−:化合物10投与群(0.3mg/kg)
−▲−:化合物10投与群(1mg/kg)
−◆−:化合物10投与群(3mg/kg)
−〇−:溶媒投与群
−□−:正常ラット群
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
一般式(I)および(IA)の各基の定義において、
低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等があげられる。
【0015】
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニルがあげられ、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルアリル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルキニルがあげられ、具体的にはエチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル等があげられる。
【0016】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アラルキルとしては、例えば炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的にはベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
複素環アルキルのアルキレン部分は、前記低級アルキルから水素原子を1つ除いたものと同義である。
【0017】
複素環アルキルの複素環基部分としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられる。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソオキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、オキソピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キノリル、イソキノリル、プリニル、ジベンゾフラニル等があげられる。
【0018】
脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子計含む5〜9員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、具体的にはピラニル、チオピラニル、ピロリジニル、オキソピロリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、ペルヒドロアゼピニル、オキシラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、オキソピペラジニル、ホモピペラジニル、オキサゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、モルホリノ、モルホリニル、チアゾリジニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、テトラヒドロピリジニル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、オキサゾリニル、オキサジアゾリニル、ジオキソラニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロキノキサリニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾピラニル、ペルヒドロジアゼピニル、ペルヒドロジアゾシニル、ペルヒドロジアゾニニル等があげられる。
【0019】
隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員または7員の単環性複素環基、6員と6員とからなる縮合二環性複素環基等があげられ、具体的にはピロリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ペルヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピラジニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、インドリル、イソインドリル、ジヒドロインドリル等があげられる。
【0020】
置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニルおよび置換低級アルコキシにおける置換基(A)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的にはヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、ハロゲン、低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル等があげられる。
【0021】
置換基(A)で例示したハロゲンおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と同義であり、低級アルカノイルおよび低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義であり、シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
【0022】
置換アラルキル、置換複素環アルキルおよび隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基(B)としては、前記置換基(A)で例示した基に加え、例えば低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル等があげられる。
置換基(B)で例示した低級アルキル、低級アルケニルおよび低級アルキニルはそれぞれ前記と同義であり、置換低級アルキルにおける置換基(a)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的にはハロゲン等があげられる。置換基(a)で例示したハロゲンは前記と同義である。
【0023】
以下、一般式(I)および(IA)で表される化合物をそれぞれ化合物(I)および(IA)という。他の式番号についても同じである。
化合物(I)および(IA)の中には、例えば幾何異性体、光学異性体、互変異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
【0024】
光学異性体としては、例えば鏡像異性体(エナンチオマー)、ジアステレオ異性体(ジアステレオマー)等の光学活性体、これらの混合物、ラセミ体等があげられる。具体的には化合物(I)または(IA)の−CHR−CHR−(式中、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)における立体配置が、トレオまたはエリトロであるもの、(S,S)または(S,R)の相対配置を有するもの、(S,S)、(R,R)、(S,R)または(R,S)の絶対配置を有するもの、これらの混合物等、化合物(I)または(IA)のRが水素原子である場合の−CHR−(式中、Rは前記と同義である)における立体配置が、(R)または(S)であるもの、これらの混合物等があげられる。
【0025】
化合物(I)および(IA)の薬理学的に許容される塩としては、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
【0026】
化合物(I)もしくは(IA)またはその薬理学的に許容される塩は、例えばNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療に用いることができる。NMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患としては、例えばNMDA受容体の機能亢進に由来する疾患であればいずれでもよいが、具体的にはてんかん、発作、不安、脳虚血、筋肉痙攣、アルツハイマー病、痴呆症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞等の神経細胞の変性や傷害による疾患、慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛等の疼痛等があげられる。
【0027】
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。
なお、以下に示した製造法において、定義した基が反応条件下変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される方法、例えば官能基の保護、脱保護等[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第三版(Protective Groups in Organic Synthesis,third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & SonsInc.)(1999年)]の手段に付すことにより容易に製造を実施することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
【0028】
化合物(I)は、例えば以下に示す製造法によって得ることができる。
製造法1:
【0029】
【化3】

【0030】
[式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、R、R、nおよびkはそれぞれ前記と同義であり、Xはハロゲン(該ハロゲンは前記と同義である)を表す]
[工程1]
化合物(IV)は、化合物(II)と化合物(III)とを溶媒中、化合物(II)に対して1〜10当量、好ましくは1〜5当量の塩基存在下、反応させることにより得ることができる。また、化合物(IV)は、化合物(II)を溶媒中、過剰量の化合物(III)と反応させることによっても得ることができる。これらの反応は、必要に応じて水の存在下、またはヨウ化ナトリウムの存在下で行ってもよい。
【0031】
反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは室温で、1〜96時間、好ましくは3〜50時間行われる。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基が用いられる。中でもトリエチルアミンが好ましい。
【0032】
溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)等があげられ、それらは単独でまたは組み合わせて用いられる。中でもDMFまたはHMPAが好ましい。
【0033】
なお、化合物(II)は、例えば特開昭52−118465号公報、特表平6−504293号公報、特開昭51−118770号公報、特開昭56−156263号公報、特開平2−72173号公報等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることができる。化合物(III)は、例えば特開昭48−56687号公報等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることができる。
[工程2]
化合物(I)のうちRがヒドロキシである化合物(Ia)は、化合物(IV)を溶媒中、化合物(IV)に対して1〜10当量の金属水素化物を用いて還元することにより得ることができる。
【0034】
反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは室温で、5分間〜48時間、好ましくは5〜10時間行われる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類が用いられる。
金属水素化物としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等が用いられる。
【0035】
また、化合物(Ia)は、化合物(IV)を溶媒中、水素雰囲気下、例えば触媒量のPd触媒等の接触水素添加触媒を用いて還元することによっても得ることができる。
反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは30℃〜50℃の間の温度で、1時間〜1週間、好ましくは13〜20時間行われる。この反応は、必要に応じて例えば塩酸、硫酸等の酸の存在下で行ってもよい。
【0036】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸等が用いられる。
化合物(I)のうちRが水素原子である化合物(Ib)は、化合物(Ia)または化合物(IV)を溶媒中、水素雰囲気下、例えば触媒量のPd触媒等の接触水素添加触媒を用いて還元することにより得ることができる。この反応は、必要に応じて例えば塩酸、硫酸等の酸の存在下で行ってもよい。
【0037】
また、化合物(Ib)は、化合物(Ia)を例えばトリフルオロ酢酸等の酸性溶媒中、例えばトリエチルシラン等で還元することによっても得ることができる。
化合物(Ia)からの反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは30℃〜50℃の間の温度で、1時間〜1週間、好ましくは13〜20時間行われる。化合物(IV)からの反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは30℃〜50℃の間の温度で、1時間〜2週間、好ましくは13〜72時間行われる。
【0038】
接触水素添加触媒を用いた還元における溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類が用いられる。
化合物(I)のうちnが1である化合物(Ic)は、例えば以下に示す製造法によっても得ることができる。
製造法2:
【0039】
【化4】

【0040】
(式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、R、Rおよびkはそれぞれ前記と同義である)
[工程3]
化合物(IVa)は、化合物(V)を溶媒中、化合物(V)に対して1〜2当量の化合物(III)と1〜5当量の例えばパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒドの前駆体またはホルマリン水溶液と、化合物(II)に対して触媒量〜5当量の酸の存在下、反応させることにより得ることができる。この反応は、必要に応じて水の存在下で行ってもよい。
【0041】
反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは室温で、1〜48時間、好ましくは1〜24時間行われる。
酸としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸等が用いられる。中でも塩酸が好ましい。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、DMF等があげられ、それらは単独でまたは組み合わせて用いられる。中でもDMFが好ましい。
【0042】
化合物(V)は、例えば特開昭51−115480号公報等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることができる。
[工程4]
化合物(Ic)は、化合物(IVa)から製造法1の工程2に記載の方法に準じて得ることができる。
【0043】
化合物(I)の光学活性体は、上記製造法1または2で得られる化合物(I)のラセミ体またはエナンチオマー混合物を一般的な分離方法(光学分割)に付すことにより得ることができる(季刊化学総説6「光学異性体の分離」、日本化学会編、1989年)。光学分割としては、例えば光学活性な固定相を用いた高速液体クロマトグラフィーによる分離、優先晶析法、ジアステレオマー法等による結晶化による分離、酵素を用いた光学分割等があげられ、これらは必要に応じて組み合わせて行われる。
【0044】
また、化合物(I)の光学活性体は、例えば酵素による不斉合成、不斉還元、不斉加水分解等のエナンチオ選択的またはジアステレオ選択的な不斉合成により得ることもできる(例えば季刊化学総説6「光学異性体の分離」、日本化学会編、1989年、WO97/20789等)。
例えば、化合物(Ia)のうちRが水素原子である化合物(Id)の光学活性体である(R)体および(S)体は、それぞれ以下に示す製造法によっても得ることができる。
製造法3:
【0045】
【化5】

【0046】
【化6】

【0047】
(式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、kおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Aは例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等の水酸基の保護基を表す)
[工程5]
化合物(II)のうちRが水素原子である化合物(IIa)を、不活性溶媒中または無溶媒で、対応する不斉遷移金属錯体および水素供与体の存在下、塩基の存在下または非存在下、還元することにより目的とする化合物(VI)の(R)体および(S)体をそれぞれ選択的に得ることができる。
【0048】
反応は、通常−50℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは10℃〜50℃の間の温度で、5分間〜100時間行われる。
不斉遷移金属錯体としては、例えば
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)ルテニウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)ルテニウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)ルテニウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)ルテニウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
クロロ[(1S,2S)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
クロロ[(1R,2R)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
ヒドリド[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
ヒドリド[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)ロジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)ロジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)ロジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)ロジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
ヒドリド[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
ヒドリド[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)イリジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](メシチレン)イリジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)イリジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](p−シメン)イリジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム、
クロロ[(1S,2S)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム、
クロロ[(1R,2R)−N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム、
ヒドリド[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム、
ヒドリド[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム
等があげられる。
【0049】
不斉遷移金属錯体は、市販で入手できる場合、市販品をそのまま、または精製して用いればよい。また、市販で入手できない場合、例えば特開平11−335385号公報、国際公開第97/20789号パンフレット等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることができる。不斉遷移金属錯体の使用量に特に制限はないが、通常化合物(IIa)に対して、遷移金属原子として0.00001〜1.0当量、好ましくは0.001〜0.2当量用いられる。
【0050】
水素供与体としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール等の水素原子をα位に有するアルコール類、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム等のギ酸塩類、テトラヒドロナフタレン等の部分的に飽和炭素結合を有する不飽和炭化水素類、ヒドロキノン等があげられる。水素供与体の使用量に特に制限はないが、通常化合物(IIa)に対して0.5〜100当量、好ましくは1.0〜10当量用いられる。
【0051】
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、ジエチルアニリン、ピリジン、ルチジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物等があげられる。塩基の使用量に特に制限はないが、通常遷移金属原子に対して0.5〜10000当量、好ましくは1.0〜500当量、より好ましくは1.0〜50当量用いられる。
【0052】
不活性溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド等の非芳香族系有機溶剤、ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル、水等があげられ、それらは単独でまたは組み合わせて用いられる。
[工程6]
化合物(VII)の(R)体および(S)体は、それぞれ化合物(VI)の(R)体または(S)体を、不活性溶媒中、塩基の存在下または非存在下、1.0〜10当量、好ましくは1.0〜3.0当量のA−Cl(式中、Aは前記と同義である)と反応させることにより得ることができる。
【0053】
反応は通常0℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは室温で、1〜48時間、好ましくは3〜10時間行われる。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、ジエチルアニリン、ピリジン、ルチジン、N−メチルモルホリン、イミダゾール等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物等があげられる。塩基の使用量に特に制限はないが、通常化合物(VI)の(R)体または(S)体に対して1.0〜50当量、好ましくは1.0〜10当量用いられる。
【0054】
不活性溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド等の非芳香族系有機溶剤、ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル、水等があげられ、それらは単独でまたは組み合わせて用いられる。
[工程7]
化合物(VIII)の(R)体および(S)体は、それぞれ化合物(VII)の(R)体または(S)体から製造法1の工程1に記載の方法に準じて得ることができる。
[工程8]
化合物(Id)の(R)体および(S)体は、それぞれ化合物(VIII)の(R)体または(S)体を、不活性溶媒中、酸またはテトラブチルアンモニルムフロリド(TBAF)で処理することにより得ることができる。また、この反応は必要に応じてモレキュラーシーブスの存在下で行われる。
【0055】
反応は、通常−10℃から用いられる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは10℃〜50℃の間の温度で、5分間〜100時間、好ましくは15分間〜24時間行われる。
不活性溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、例えばジオキサン、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、水等があげられ、それらは単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0056】
酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸性の水溶液等があげられる。酸またはTBAFの使用量に特に制限はないが、通常化合物(VIII)の(R)体または(S)体に対して1.0〜50当量、好ましくは1.0〜10当量用いられる。
また、化合物(Id)の(R)体および(S)体は、それぞれ以下に示す製造法によっても得ることができる。
製造法4:
【0057】
【化7】

【0058】
(式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、nおよびkはそれぞれ前記と同義である)
[工程9]
化合物(Id)の(R)体および(S)体は、製造法1の工程1で得られる化合物(IV)のうちRが水素原子である化合物(IVa)から、製造法3の工程5に記載の方法に準じて得ることができる。
【0059】
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)または(IA)の塩を取得したいとき、化合物(I)または(IA)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また遊離の形で得られるときは、化合物(I)または(IA)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
【0060】
また、化合物(I)および(IA)ならびにそれらの薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明に包含される。
本発明によって得られる化合物(I)の具体例を表1〜表5に示す。なお、基の前に表示した数字は置換位置を示す。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
表3における化合物30および31の−CHOH−CHCH−における立体配置はトレオであり、化合物26と27、化合物28と29、化合物30と31および化合物32と33は、それぞれエンチオマーの関係にある。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
次に、代表的な化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:ラットNMDA受容体NR2Bサブユニット拮抗作用
SD系雄性ラットの前脳膜標品(終濃度250μg・protein/mL)、[H]−イフェンプロジル(ifenprodil)[ヘペス緩衝液(20mmol/L HEPES−KOH、100μmol/Lトリフルオロペラジン(trifluoroperazine)(pH=7.4))で終濃度4nmol/Lに希釈]および試験化合物(ヘペス緩衝液でそれぞれ終濃度0.1nmol/L〜1μmol/Lに希釈)を混合し、遮光下25℃で90分間インキュベートした。セルハーベスター(Brandel、M−24)を用いて、上記でインキュベートした膜をG/F−Bフィルターに回収し、反応を停止させた。さらに得られた謨をヘペス緩衝液で3回洗浄した後、フィルターの放射活性を測定した(Beckman LS6500)。試験化合物のNMDA受容体NR2Bサブユニット拮抗作用は、NMDA受容体のNR2Bサブユニットへの[H]ifenprodilの結合を阻害する率として、以下の式により算出した。その結果を、NMDA受容体NR2Bサブユニットへの[H]ifenprodilの結合を50%阻害する試験化合物の濃度(IC50値)として、表6に示す。
【0068】
【数1】

【0069】
非特異的結合量:10μmol/L ifenprodil存在下での[H]ifenprodilの結合量
総結合量:試験化合物非存在下での[H]ifenprodilの結合量
試験化合物存在下での結合量:各濃度での試験化合物存在下での[H]ifenprodilの結合量
【0070】
【表6】

【0071】
表6に示すように、化合物(I)はラットNMDA受容体のNR2Bサブユニットへの[H]ifenprodilの結合を阻害した。このことから、化合物(I)はNMDA受容体NR2Bサブユニット拮抗作用を有することが示された。
以上のことから、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、NMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患(例えばてんかん、発作、不安、脳虚血、筋肉痙攣、アルツハイマー病、痴呆症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞等の神経細胞の変性や傷害による疾患、慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛等の疼痛等)の治療剤として有用であると考えられる。
試験例2:絞扼性神経損傷ラットにおける化合物の神経因性疼痛抑制作用
試験は、T.Mosconi、L.Krugerらの方法[ペイン(Pain)、1996年、第64巻、p.37−57]を改良したG.M.Pitcherらの方法[ペイン(Pain)、1999年、第83巻、p.37−46]に準じて行った。
【0072】
雄性SD系ラット(Sprague−Dawley rat)を用い、ペントバルビタール麻酔下で、坐骨神経を剥離し、剥離部分に長さ2mmのPE−60ポリエチレンチューブ(商品名:Intramedic、サイズ:PE−60、Becton Dickinson社製)を覆い被せ、絞扼性神経損傷ラットを作製した。作製後14〜21日目に以下の試験を実施した。なお下記の方法により痛覚閾値(g)を算出し、50%痛覚閾値が4g未満を示すラット(絞扼性神経損傷ラット)を、1群6匹で試験に用いた。
【0073】
絞扼性神経損傷ラットをステンレス製のケージ(幅750×奥行き210×高さ170mm)に入れ、少なくとも20分間環境に慣らした後、試験化合物の投与前(0時間とする)、投与の1時間後、3時間後および5時間後にそれぞれ痛覚閾値(g)を測定した。
試験化合物は0.5%メチルセルロース(0.5%MC)水溶液に懸濁させて、絞扼性神経損傷ラットに5mL/kgの容量で経口投与した(試験化合物投与群)。別途、絞扼性神経損傷ラットに、それぞれ0.5%MC水溶液のみを5mL/kgの容量で経口投与した(溶媒投与群)。
【0074】
神経因性疼痛で特徴的に認められるアロデニアの測定には、von Frey filament(商品名:touch test sensory evaluator、型番:model 58011)を用い、結果を痛覚閾値(g)として示した。痛覚閾値(g)はW.J.Dixonのup down法[アニュアル・レビュー・オブ・ファーマコロジー・アンド・トキシコロジー(Annual Review of Pharmacology and Toxicology)、1980年、第20巻、p.441−462]にて算出した。その結果を図1および図2に示す。
【0075】
なお、正常ラットの痛覚閾値は12g前後であり、絞扼性神経損傷ラットではアロデニアと認められる痛覚閾値(g)の低下が確認された。
上記の結果、以下のことが判明した。
溶媒のみを反復投与した溶媒投与群では、アロデニアと認められる痛覚閾値(g)の大きな低下が確認された。一方、化合物6または10を経口投与した試験化合物投与群(5および10mg/kg)において、溶媒投与群と比較して、絞扼性神経損傷ラットで認められる痛覚閾値が大きく増加した。つまり、化合物6または10の投与によりアロデニアが著しく改善された。
【0076】
以上のことから、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩が、神経因性疼痛の治療に有効であることが示された。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
【0077】
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、または任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それらの医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
【0078】
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内等の非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、注射剤等があげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤等は、乳糖等の賦形剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤等を用いて製造できる。
【0079】
非経口投与に適当な、例えば注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合液等を用いて製造できる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度等により異なるが、通常経口の場合、成人1人当たり0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当たり0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【0080】
以下に、実施例および参考例によって本発明の様態を説明する。
【実施例1】
【0081】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(化合物1)および
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(化合物2)
工程1:
参考例1で得られる6−(2−ブロモプロピオニル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(5.00g,17.5mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(3.20g,17.5mmol)およびトリエチルアミン(2.45mL,17.5mmol)をDMF(35mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(1.43g)を黄色油状物として得た。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(494mg,1.27mmol)をエタノール(30mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(430mg)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、化合物1(176mg,35.5%)および化合物2(210mg,42.4%)をそれぞれ得た。
化合物1
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
1.09(3H,d,J=6.8Hz),1.98−2.09(2H,m),2.12−2.26(2H,m),3.02−3.37(5H,m),5.13(1H,d,J=3.4Hz),6.96(1H,dd,J=3.5,5.1Hz),7.01(1H,dd,J=1.2,3.5Hz),7.05(1H,d,J=8.1Hz),7.18−7.21(1H,m),7.26−7.28(1H,m),7.28(1H,d,J=1.2Hz).
化合物2
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.94(3H,d,J=6.8Hz),1.66−1.88(4H,m),2.43−2.56(1H,m),2.58−2.87(4H,m),4.69(1H,d,J=4.9Hz),5.17(1H,brs),6.89(1H,dd,J=1.2,3.5Hz),6.93(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),7.04(1H,d,J=8.2Hz),7.21(1H,dd,J=1.6,8.2Hz),7.31(1H,dd,J=1.2,5.0Hz),7.47(1H,d,J=1.6Hz),11.70(1H,brs).
【実施例2】
【0082】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]ブチル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(化合物3)および
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]ブチル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(化合物4)
実施例1に記載の方法と同様にして、参考例2で得られる6−(2−ブロモブチリル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オンおよび4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物3と化合物4の粗生成物の混合物を得た。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=15/1)により精製し、化合物3(5%)と化合物4(1%)をそれぞれ得た。
化合物3
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.67(3H,d,J=7.5Hz),1.01−1.14(1H,m),1.39−1.54(1H,m),1.74−2.03(4H,m),2.38−2.47(1H,m),2.56−2.73(2H,m),2.80−2.91(1H,m),3.03−3.14(1H,m),4.30(1H,d,J=8.8Hz),5.26(1H,s),6.94−7.00(2H,m),7.05(1H,d,J=8.1Hz),7.24(1H,dd,J=1.5,8.1Hz),7.33(1H,dd,J=1.5,4.9Hz),7.53(1H,d,J=1.5Hz),11.78(1H,brs).
化合物4
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.80(3H,d,J=7.3Hz),1.31−1.45(1H,m),1.49−1.64(1H,m),1.65−1.93(4H,m),2.34−2.71(3H,m),2.77−2.95(2H,m),4.81(1H,brs),5.10(1H,brs),5.18(1H,brs),6.87−6.95(2H,m),7.04(1H,d,J=8.2Hz),7.20(1H,dd,J=1.2,8.2Hz),7.32(1H,dd,J=1.2,3.9Hz),7.48(1H,brs),11.77(1H,brs).
【実施例3】
【0083】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(化合物5)
実施例1に記載の方法と同様にして、参考例1に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オンと4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物5の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、さらにエタノールから結晶化することにより化合物5(9.44%)を得た。
化合物5
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.69−1.83(2H,m),1.85−2.01(2H,m),2.36−2.60(4H,m),2.61−2.76(2H,m),4.65−4.75(1H,m),5.23(1H,brs),6.90−6.98(2H,m),7.05(1H,d,J=8.3Hz),7.25(1H,dd,J=1.7,8.3Hz),7.30−7.35(1H,m),7.52(1H,d,J=1.5Hz),11.78(1H,brs).
【実施例4】
【0084】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物6)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(2−ブロモプロピオニル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(4.0g,14.2mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(2.60g,14.2mmol)およびトリエチルアミン(2.00mL,14.2mmol)をDMF(40mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。水層に析出した結晶を濾取し、水で洗浄して6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(2.35g)を得た。また、有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、さらにメタノールから結晶化することにより6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(2.01g)を得た。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(1.01g,2.63mmol)をエタノール(26mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(497mg,13.1mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えた。析出した結晶を濾取し、水で洗浄して、化合物6(492mg)を得た。また濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=25/1)により精製し、化合物6(172mg)および副生成物として化合物7(126mg)をそれぞれ得た。
化合物6
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.70(3H,d,J=6.8Hz),1.72−2.18(4H,m),2.37−2.70(6H,m,),2.80−2.97(3H,m),4.19(1H,d,J=9.3Hz),4.93(1H,brs),5.28(1H,s),6.79(1H,d,J=8.1Hz),6.96(1H,dd,J=3.5,5.1Hz),6.99(1H,dd,J=1.3,3.5Hz),7.08(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.14(1H,brs),7.33(1H,dd,J=1.3,5.1Hz),10.01(1H,s).
【実施例5】
【0085】
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物7)
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(2.67g,6.91mmol)をメタノール(250mL)に溶解した。冷却下で得られた溶液にHCl(6.91mmol)のメタノール溶液を添加し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をエタノール(200mL)に溶解し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(1.42g,37.5mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=25/1〜クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン混合物=4/1/0.1)により精製し、化合物7(1.12g)を得た。
化合物7
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):1.02(3H,d,J=6.8Hz),1.86−1.98(2H,m),2.00−2.14(2H,m),2.51−2.62(2H,m),2.68−3.01(7H,m),4.89(1H,d,J=3.9Hz),6.82(1H,d,J=7.8Hz),6.90−7.00(2H,m),7.12−7.20(2H,m),7.23(1H,dd,J=5.0,1.3Hz).
【実施例6】
【0086】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]ブチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物8)および
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]ブチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物9)
実施例4に記載の方法と同様にして、特表平6−504293号公報または特開昭51−118770号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(2−ブロモブチリル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンおよび4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物8と化合物9の粗生成物の混合物を得た。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=15/1)により精製し、化合物8(46.6%)および化合物9(24.1%)をそれぞれ得た。
化合物8
H NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
0.71(3H,d,J=7.6Hz),1.12−1.17(1H,m),1.55−1.70(1H,m),1.94−2.25(4H,m),2.48−2.61(3H,m),2.67−2.83(2H,m),2.85−3.02(3H,m),3.21−3.32(1H,m),4.23(1H,d,J=9.3Hz),6.83(1H,d,J=8.1Hz),6.95(1H,dd,J=3.6,5.0Hz),7.02(1H,dd,J=1.2,3.6Hz),7.18(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.19−7.23(1H,m),7.25(1H,dd,J=1.2,5.0Hz).
化合物9
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.80(3H,d,J=7.3Hz),1.29−1.42(1H,m),1.48−1.63(1H,m),1.68−1.93(4H,m),2.34−2.47(H,m),2.56−2.68(1H,m),2.77−2.98(4H,m),4.75(1H,brs),4.89(1H,brs),5.14(1H,s),6.77(1H,d,J=8.1Hz),6.90−6.95(2H,m),7.05(1H,dd,J=1.6,8.1Hz),7.09(1H,d,J=1.6Hz),7.31(1H,dd,J=1.3,4.8Hz).
【実施例7】
【0087】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物10)
実施例4に記載の方法と同様にして、特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンおよび4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物10の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、さらに酢酸エチルから結晶化することにより化合物10(47.1%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.76(2H,brd,J=12.7Hz),1.97(2H,dd,J=3.9,12.7Hz),2.32−2.57(4H,m),2.43(2H,t,J=7.5Hz),2.62−2.72(2H,m),2.85(2H,t,J=7.5Hz),4.57−4.63(1H,m),4.79(1H,d,J=3.4Hz),5.23(1H,s),6.78(1H,d,J=8.1Hz),6.93−6.96(2H,m),7.09(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.14(1H,brs),7.33(1H,dd,J=2.4,3.7Hz),9.99(1H,s).
【実施例8】
【0088】
6−{1−ヒドロキシ−3−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物11)
実施例4に記載の方法と同様にして、特表平6−504293号公報または特開昭51−118770号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(3−クロロプロピオニル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンおよび4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物11の粗生成物を得た。粗生成物をメタノールから結晶化することにより化合物11(72.5%)を得た。
化合物11
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.64−1.84(4H,m),1.85−1.96(2H,m),2.27−2.49(6H,m),2.53−2.68(2H,m),2.81−2.89(2H,m),4.54(1H,dd,J=4.8,7.8Hz),5.38(1H,s),5.42(1H,brs),6.78(1H,d,J=8.1Hz),6.92−6.98(2H,m),7.07(1H,dd,J=1.6,8.1Hz),7.12(1H,d,J=1.6Hz),7.32(1H,dd,J=1.9,4.3Hz),9.99(1H,brs).
【実施例9】
【0089】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−3−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]−2−メチルプロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物12)および
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−3−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]−2−メチルプロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物13)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−プロピオニル−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(609mg,3.00mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(605mg,3.30mmol)、パラホルムアルデヒド(99mg)、12mol/L塩酸(60μL)およびエタノール(1.5mL)の混合物を70℃で24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、6−{3−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]−2−メチルプロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(630mg,52.8%)をアモルファス粉末として得た。
工程2:
工程1で得られた6−{3−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]−2−メチルプロピオニル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(630mg,1.58mmol)をエタノール(50mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(300mg,7.93mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、ジアステレオ混合物を油状物として得た。得られた混合物をメタノールから結晶化し、得られた結晶を濾取することにより、化合物12の粗結晶(126.5mg,化合物13の含有率:35.9%)を得た。また濾液を濃縮して得られた残渣にメタノールを加えて、結晶化し、化合物13の粗結晶(107mg,化合物12の含有率:20.6%)を得た。さらにそれぞれの粗結晶をエタノールから再結晶化することにより、化合物12(18.7mg)および化合物13(27.1mg)をそれぞれ得た。
化合物12
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.57(3H,d,J=6.8Hz),1.74−2.03(5H,m),2.22−2.56(6H,m),2.56−2.67(1H,m),2.77−2.91(3H,m),4.30(1H,d,J=7.6Hz),5.30(1H,s),6.45(1H,brs),6.77(1H,d,J=8.1Hz),6.94−6.98(2H,m),7.05(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.10(1H,d,J=1.7Hz),7.34(1H,dd,J=1.5,4.9Hz),9.99(1H,brs).
化合物13
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.70(3H,d,J=6.1Hz),1.72−1.85(2H,m),1.85−2.02(3H,m),2.04−2.16(1H,m),2.25−2.49(5H,m),2.52−2.71(2H,m),2.80−2.92(2H,m),4.51−4.60(1H,m),5.18−5.27(2H,m),6.87(1H,d,J=8.1Hz),6.91−6.98(2H,m),7.04(1H,dd,J=1.5,8.1Hz),7.06(1H,d,J=1.5Hz),7.32(1H,dd,J=1.7,4.6Hz),9.97(1H,brs).
【実施例10】
【0090】
(±)−トレオ−5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}インドール−2(3H)−オン(化合物14)および
(±)エリトロ−5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}インドール−2(3H)−オン(化合物15)
工程1:
特開昭52−118465号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(2−ブロモプロピオニル)インドール−2(3H)−オン(18.3g,68.1mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(12.9g,70.4mmol)およびトリエチルアミン(10.4mL,74.3mmol)をDMF(100mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}インドール−2(3H)−オン(17.3g,68.6%)を黄色アモルファス粉末として得た。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}インドール−2(3H)−オン(1.01g,2.63mmol)をエタノール(26mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(497mg,13.1mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、化合物14(456mg)を得た。さらに濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1〜4/1)により精製し、化合物14(106mg,化合物14の総収量;562mg,55.3%)および化合物15(126mg,12.4%)をそれぞれ得た。
化合物14
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.79(3H,d,J=6.8Hz),1.94−2.33(4H,m),2.51−2.80(4H,m),3.00−3.13(1H,m),3.26−3.34(2H,m),4.29(1H,d,J=9.5Hz),6.85(1H,d,J=8.1Hz),6.95(1H,dd,J=3.6,5.1Hz),7.02(1H,dd,J=1.2,3.6Hz),7.21(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.25(1H,dd,J=1.2,5.1Hz),7.29(1H,d,J=1.7Hz).
化合物15
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.03(3H,d,J=6.6Hz),1.84−1.97(2H,m),1.98−2.14(2H,m),2.68−3.00(5H,m),3.37−3.32(2H,m),4.90(1H,d,J=4.2Hz),6.84(1H,d,J=8.1Hz),6.93(1H,dd,J=3.6,5.0Hz),6.96(1H,dd,J=1.3,3.6Hz),7.16−7.22(1H,m),7.23(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),7.25(1H,d,J=1.7Hz).
【実施例11】
【0091】
5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}インドール−2(3H)−オン(化合物16)
実施例10に記載の方法と同様にして、特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)インドール−2(3H)−オンおよび4−ヒドロキシ4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンから、化合物11の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、さらに酢酸エチルから結晶化することにより化合物16(44.3%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.71−1.83(2H,m),1.86−2.01(2H,m),2.34−2.59(4H,m),2.63−2.74(2H,m),3.44(2H,s),4.59−4.67(1H,m),4.76−4.83(1H,m),5.23(1H,s),6.74(1H,d,J=7.8Hz),6.91−6.97(2H,m),7.13(1H,dd,J=1.2,7.8Hz),7.19(1H,d,J=1.2Hz),7.31−7.33(1H,m),10.28(1H,br).
【実施例12】
【0092】
(±)−トレオ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(化合物17)および
(±)−エリトロ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(化合物18)
工程1:
特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる7−(2−クロロプロピオニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(755mg,3mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(549mg,3mmol)、ヨウ化ナトリウム(150mg,3mmol)およびトリエチルアミン(0.84mL,6mmol)をDMF(6mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2−オン(1.10g,89.0%)をアモルファス粉末として得た。
工程2:
工程1で得られた7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(800mg,1.94mmol)をエタノール(20mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(400mg,10.6mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。析出した白色結晶(544mg)を濾取した。また濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣と上記で得られた結晶を合わせて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=5/1)により精製し、化合物17(391mg,48.7%)および化合物18(95mg,11.8%)をそれぞれ得た。
化合物17
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.71(3H,d,J=6.7Hz),1.79−1.88(2H,m),1.91−2.20(6H,m),2.42−2.75(6H,m),2.85−2.94(1H,m),4.24(1H,d,J=8.2Hz),5.29(1H,s),6.90(1H,d,J=8.0Hz),6.96(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),6.99(1H,dd,J=1.2,3.5Hz),7.17(1H,dd,J=1.8,8.0Hz),7.22(1H,d,J=1.8Hz),7.34(1H,dd,J=1.2,5.0Hz),8.31(1H,s).
化合物18
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.93(3H,d,J=6.7Hz),1.65−1.90(4H,m),2.01−2.18(4H,m),2.49−2.92(7H,m),4.70(1H,brs),5.20(1H,brs),6.84−6.90(2H,m),6.92(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),7.10−7.19(2H,m),7.30(1H,dd,J=1.0,5.0Hz),9.39(1H,s).
【実施例13】
【0093】
(±)−トレオ−5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物19)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる5−(2−ブロモプロピオニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン(269mg,1mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(183mg,1mmol)およびトリエチルアミン(0.14mL,1mmol)をDMF(2mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣にメタノールを加えて、再度減圧下で濃縮した得られた残渣に飽和重曹水を加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を水で洗浄し、乾燥することにより5−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの粗結晶(365mg,98.4%)を得た。
工程2:
工程1で得られた5−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン(300mg,0.808mmol)をエタノール(10mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(200mg,5.3mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。析出した結晶を濾取した。また濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて析出した結晶を濾取した。それぞれで得られた結晶を合わせて、メタノールから再結晶化することにより化合物19(94.2mg,31.2%)を得た。
化合物19
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
0.68(3H,d,J=6.7Hz),1.78−1.90(2H,m),1.90−2.02(1H,m),2.02−2.14(1H,m),2.44−2.69(4H,m),2.85−2.96(1H,m),4.24(1H,d,J=9.3Hz),4.94(1H,s),5.29(1H,brs),6.83−6.94(3H,m),6.96(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),6.99(1H,dd,J=1.1,3.5Hz),7.33(1H,dd,J=1.1,5.0Hz),10.52(2H,brs).
【実施例14】
【0094】
(±)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(化合物20)および
(±)−エリトロ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(化合物21)
工程1:
参考例3で得られた6−(2−クロロプロピオニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(2.46g,10.9mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(2.00g,10.9mmol)およびトリエチルアミン(1.67mL,11.9mmol)をDMF(20mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=40/1)により精製し、6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(906mg,22.3%)を得た。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(457mg,1.23mmol)をエタノール(15mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(233mg,5.3mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、化合物20(156mg,34%)および化合物21(29mg,6.3%)をそれぞれ得た。
化合物20
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.81(3H,d,J=6.6Hz),1.97−2.19(3H,m),2.20−2.32(1H,m),2.55−2.67(1H,m),2.67−2.83(3H,m),3.01−3.14(1H,m),4.37(1H,d,J=9.5Hz),6.95(1H,dd,J=3.4,5.1Hz),7.00−7.03(1H,m),7.04−7.05(1H,m),7.18(1H,dd,J=1.3,7.9Hz),7.25(1H,dd,J=1.2,5.1Hz),7.27(1H,d,J=1.3Hz).
化合物21
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.09(3H,d,J=6.8Hz),1.98−2.09(2H,m),2.12−2.26(2H,m),3.02−3.37(5H,m),5.13(1H,d,J=3.4Hz),6.96(1H,dd,J=3.5,5.1Hz),7.01(1H,dd,J=1.2,3.5Hz),7.05(1H,d,J=8.1Hz),7.18−7.21(1H,m),7.26−7.28(1H,m),7.28(1H,d,J=1.2Hz).
【実施例15】
【0095】
(±)−トレオ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(化合物22)および
(±)−エリトロ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(化合物23)
工程1:
参考例4で得られた7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(2.0g,6.66mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.22g,6.66mmol)およびトリエチルアミン(0.93mL,6.66mmol)をDMF(15mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=50/1)により精製し、7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(2.47g,92.1%)を得た。
工程2:
(A法)工程1で得られた7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(1.22g,3.03mmol)をエタノール(22mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(585mg,15.1mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、化合物22(365mg,29.8%)および化合物23(38mg,3.1%)をそれぞれ得た。
(B法)化合物22および化合物23は下記の方法によっても得られた。
【0096】
工程1で得られた7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(1.23g,3.06mmol)をメタノール(200mL)に溶解した。冷却下で得られた溶液にHCl(3.06mmol)のメタノール溶液を添加し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をエタノール(200mL)に溶解し、撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(606mg,16.0mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、化合物22(232mg,18.8%)および化合物23(113mg,9.2%)をそれぞれ得た。
化合物22
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.73(3H,d,J=6.6Hz),1.78−2.15(4H,m),2.40−2.67(4H,m),2.84−2.96(1H,m),3.44(2H,s),4.23(1H,d,J=9.3Hz),5.03(1H,brs),6.90−7.03(4H,m),7.25(1H,d,J=7.8Hz),7.33(1H,dd,J=1.2,4.9Hz),10.50(1H,brs).
化合物23
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
1.53(3H,d,J=6.8Hz),2.37−2.64(4H,m),3.33−3.50(5H,m),3.89(2H,s),4.64(1H,d,J=3.9Hz),7.43(1H,dd,J=3.6,5.0Hz),7.47(1H,dd,J=1.2,3.6Hz),7.49−7.55(2H,m),7.71−7.78(2H,m).
【実施例16】
【0097】
(±)−トレオ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(化合物24)および
(±)−エリトロ−7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(化合物25)
工程1:
参考例5で得られた7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(2.0g,7.04mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.3g,7.0mmol)およびトリエチルアミン(1.08mL,7.71mmol)をDMF(15mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=50/1)により精製し、7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル}−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(2.83g)を得た。
工程2:
(A法)工程1で得られた7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル]−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(1.40g)をエタノール(25mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(700mg,18.5mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣にメタノールを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を水およびメタノールで順次洗浄することにより化合物24(324mg)を得た。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1)により精製し、化合物24(491mg)および化合物25(24mg)をそれぞれ得た。
(B法)工程1で得られた7−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピオニル]−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(1.30g)をメタノール(200mL)に溶解した。冷却下で得られた溶液にHClのメタノール溶液を添加し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をエタノール(200mL)に溶解した後、撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(660mg,17.4mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、化合物24(154mg,11.9%)および化合物25(325mg,25.0%)をそれぞれ得た。
化合物24
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.72(3H,d,J=6.6Hz),1.84(2H,brd,J=12.2Hz),1.90−2.17(2H,m),2.37−2.69(4H,m),2.91(1H,brt,J=10.5Hz),4.22(1H,brd,J=9.0Hz),4.54(2H,s),4.98(1H,brs),5.29(1H,brs),6.83−6.93(3H,m),6.94−7.03(2H,m),7.34(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),10.65(1H,brs).
化合物25
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
0.92(3H,d,J=6.6Hz),1.68−1.90(4H,m),2.43−2.84(5H,m),4.52(2H,s),4.64(1H,brs),5.02(1H,brs),5.16(1H,brs),6.79−6.88(2H,m),6.88−6.97(3H,m),7.31(1H,dd,J=1.5,4.9Hz),10.61(1H,brs).
【実施例17】
【0098】
7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(化合物32:化合物33のエナンチオマー)
工程1:
特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる7−(クロロアセチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(2.0g,8.41mmol)を酢酸エチル(80mL)に懸濁し、ギ酸(1.2mL)、トリエチルアミン(1.9mL,13.6mmol)およびクロロ[(1S,2S)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(CpRhCl[(S,S)−Tsdpen]:107mg,0.168mmol)を加えて、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)に通塔し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、さらにエタノールから再結晶化することにより、7−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.11g,55.1%)を白色固体として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
2.03−2.20(4H,m),2.67(2H,t,J=6.7Hz),3.65(1H,dd,J=7.1,11.0Hz),3.73(1H,dd,J=4.6,11.0Hz),4.67−4.76(1H,m),5.72(2H,d,J=4.6Hz),6.92(1H,d,J=8.1Hz),7.23(1H,dd,J=2.0,8.1Hz),7.27(1H,d,J=2.0Hz),9.47(1H,s).
工程2:
工程1で得られた7−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(1.07g,4.46mmol)、イミダゾール(912mg,13.4mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(1.14g,7.56mmol)を脱水DMF(4mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン〜ヘキサン/酢酸エチル混合物=1/1)により精製し、7−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.54g,97.6%)を黄色結晶として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
−0.07(3H,s),0.10(3H,s),0.89(9H,s),2.15−2.30(4H,m),2.78(2H,t,J=7.0Hz),3.56−3.63(2H,m),4.80(1H,s),4.87(1H,dd,J=5.1,6.8Hz),6.99(1H,d,J=8.5Hz),7.24−7.30(2H,m).
工程3:
工程2で得られた7−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(1.24g,3.50mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.61g,8.78mmol)、ヨウ化ナトリウム(786mg,5.25mmol)およびトリエチルアミン(732mL,5.25mol)をHMPA(8mL)に溶解し、100℃で2日間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出した有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、7−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.29g,73.7%)を薄茶色アモルファス粉末として得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
−0.07(3H,s),0.07(3H,s),0.85(9H,s),1.77(2H,brd,J=13.5Hz),1.84−1.98(2H,m),2.01−2.16(4H,m),2.35(1H,dd,J=3.8,13.1Hz),2.42−2.59(3H,m),2.61−2.72(4H,m),4.79(1H,dd,J=3.7,8.0Hz),5.22(1H,s),6.90(1H,d,J=8.0Hz),6.92(1H,dd,J=1.3,3.5Hz),6.94(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),7.16−7.22(2H,m),7.33(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),9.43(1H,s).
工程4:
工程3で得られた7−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(917mg,1.88mmol)を脱水THF(13mL)に懸濁し、アルゴン雰囲気下、室温でTBAF(5mL,1mmol/L THF溶液)を加え、2日間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。得られた残渣を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=15/1〜5/1)により精製し、酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、さらにエタノールから再結晶化することにより、化合物32(335mg,43.3%)を白色結晶として得た。
化合物32
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.76(2H,brd,J=13.3Hz),1.87−2.01(2H,m),2.03−2.18(4H,m),2.36−2.60(4H,m),2.61−2.75(4H,m),4.64−4.70(1H,m),4.88(1H,d,J=3.5Hz),5.23(1H,s),6.90(1H,d,J=8.1Hz),6.92−6.98(2H,m),7.18(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.22(1H,d,J=1.8Hz),7.30−7.36(1H,m),9.43(1H,s).
【実施例18】
【0099】
7−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(化合物33:化合物32のエナンチオマー)
工程1:
実施例17の工程1と同様にして、CpRhCl[(S,S)−Tsdpen]の代わりにクロロ[(1R,2R)−N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン](ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(CpRhCl[(R,R)−Tsdpen])を用いて、7−(クロロアセチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(2.0g,8.41mmol)から、7−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.12g,55.6%)を白色固体として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
2.03−2.20(4H,m),2.67(2H,t,J=6.7Hz),3.65(1H,dd,J=7.1,11.0Hz),3.73(1H,dd,J=4.6,11.0Hz),4.67−4.76(1H,m),5.72(2H,d,J=4.6Hz),6.92(1H,d,J=8.1Hz),7.23(1H,dd,J=2.0,8.1Hz),7.27(1H,d,J=2.0Hz),9.47(1H,s).
工程2:
実施例17の工程2と同様にして、工程1で得られた7−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(1.07g,4.46mmol)から、7−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.56g,98.8%)を黄色結晶として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
−0.07(3H,s),0.10(3H,s),0.89(9H,s),2.15−2.30(4H,m),2.78(2H,t,J=7.0Hz),3.56−3.63(2H,m),4.80(1H,s),4.87(1H,dd,J=5.1,6.8Hz),6.99(1H,d,J=8.5Hz),7.24−7.30(2H,m).
工程3:
実施例17の工程3と同様にして、工程2で得られた7−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(1.24g,3.50mmol)および4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.61g,8.78mmol)から、7−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オンの片方のエナンチオマー(1.33g,76.0%)を薄茶色アモルファス粉末として得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
−0.07(3H,s),0.07(3H,s),0.85(9H,s),1.77(2H,brd,J=13.5Hz),1.84−1.98(2H,m),2.01−2.16(4H,m),2.35(1H,dd,J=3.8,13.1Hz),2.42−2.59(3H,m),2.61−2.72(4H,m),4.79(1H,dd,J=3.7,8.0Hz),5.22(1H,s),6.90(1H,d,J=8.0Hz),6.92(1H,dd,J=1.3,3.5Hz),6.94(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),7.16−7.22(2H,m),7.33(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),9.43(1H,s).
工程4:
工程3で得られた7−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンゾアゼピン−2−オン(1.00g,2.0mmol)を脱水THF(15mL)に懸濁し、アルゴン雰囲気下、室温でTBAF(5mL,1mmol/L THF溶液)を加え、2日間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。得られた残渣を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1〜5/1)により精製し、酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、さらにエタノールから再結晶化することにより、化合物33(129mg,16.7%)を白色結晶として得た。
化合物33
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.76(2H,brd,J=13.3Hz),1.87−2.01(2H,m),2.03−2.18(4H,m),2.36−2.60(4H,m),2.61−2.75(4H,m),4.64−4.70(1H,m),4.88(1H,d,J=3.5Hz),5.23(1H,s),6.90(1H,d,J=8.1Hz),6.92−6.98(2H,m),7.18(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.22(1H,d,J=1.8Hz),7.30−7.36(1H,m),9.43(1H,s).
実施例17に記載の方法と同様にして、不斉遷移金属錯体等の条件を、適宜変更することにより、化合物26および化合物27をそれぞれ粗精製物として得た。
【実施例19】
【0100】
(−)−5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}インドール−2(3H)−オン(化合物26:化合物27のエナンチオマー)
化合物26の粗精製物を、さらにエタノール(40mL)から再結晶化することにより、化合物26(377mg,63%)を白色結晶として得た。
化合物26
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.72−1.81(2H,m),1.86−2.00(2H,m),2.33−2.58(4H,m),2.63−2.73(2H,m),3.43(2H,s),4.60−4.67(1H,m),4.79(1H,brs),5.22(1H,s),6.74(1H,d,J=8.0Hz),6.92−6.97(2H,m),7.13(1H,d,J=8.0Hz),7.19(1H,brs),7.30−7.34(1H,m),10.10(1H,s).
比旋光度[α]25=−16.6°(c 0.210,ジメチルスルホキシド)
【実施例20】
【0101】
(+)−5−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}インドール−2(3H)−オン(化合物27:化合物26のエナンチオマー)
化合物27の粗精製物を、さらにエタノール(40mL)から再結晶化することにより、化合物27(363mg,65%)を白色結晶として得た。
化合物27
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.72−1.81(2H,m),1.86−2.00(2H,m),2.33−2.58(4H,m),2.63−2.73(2H,m),3.43(2H,s),4.60−4.67(1H,m),4.79(1H,brs),5.22(1H,s),6.74(1H,d,J=8.0Hz),6.92−6.97(2H,m),7.13(1H,d,J=8.0Hz),7.19(1H,brs),7.30−7.34(1H,m),10.10(1H,s).
比旋光度[α]25=+14.9°(c 0.220,ジメチルスルホキシド)
【実施例21】
【0102】
(−)−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物28:化合物29のエナンチオマー)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(25.0g,112mmol)を酢酸エチル(1.25L)に懸濁し、ギ酸(15.3mL)、トリエチルアミン(25.6mL,184mmol)およびCpRhCl[(S,S)−Tsdpen](900mg)を加えて、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)に通塔し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、(−)−6−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(24.2g,96%)を白色固体として得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
2.39−2.47(2H,m),2.86(2H,t,J=7.5Hz),3.62(1H,dd,J=7.7,10.9Hz),3.69(1H,dd,J=5.1,10.9Hz),4.63−4.70(1H,m),5.65(1H,d,J=4.6Hz),6.80(1H,d,J=8.1Hz),7.11−7.17(1H,m),7.19(1H,s),10.0(1H,s).
比旋光度[α]25=−34.4°(c 0.408,メタノール)
工程2:
実施例17の工程2に記載の方法と同様にして、工程1で得られる(−)−6−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(31.8g,141mmol)から、(−)−6−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(43.0g,89.6%)を白色結晶として得た。
比旋光度[α]26=−59.6°(c 0.465,クロロホルム)
工程3:
工程2で得られた(−)−6−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(26.6g,78.3mmol)、4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(35.9g,196mmol)、ヨウ化ナトリウム(17.6g,0.117mol)およびトリエチルアミン(16.4mL,117mmol)をHMPA(157mL)に溶解し、100℃で2日間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール混合物=40/1)により精製し、さらにジエチルエーテルでトリチュレーションすることにより、(−)−6−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(25.0g,65%)を白色固体として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
−0.07(3H,s),0.07(3H,s),0.85(9H,s),1.77(2H,brd,J=12.7Hz),1.86−1.98(2H,m),2.26−2.58(6H,m),2.61−2.72(2H,m),2.80−2.89(2H,m),4.75(1H,dd,J=3.7,8.1Hz),5.22(1H,s),6.78(1H,d,J=7.8Hz),6.90−6.97(2H,m),7.06−7.14(2H,m),7.33(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),10.0(1H,s).
比旋光度[α]25=−24.5°(c 0.492,メタノール)
工程4:
4Åモレキュラーシーブス(水分指示薬入り、ナカライ)であらかじめ乾燥させておいたTBAF(20mL,1mol/L THF溶液)に、モレキュラーシーブス(0.5g)を加えてアルゴン雰囲気下で撹拌し、工程3で得られた(−)−6−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(917mg,1.88mmol)を加えて、室温で2日間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルを加えて濾過した。得られた濾液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、さらにメタノールから結晶化することにより化合物28(527mg,75%)を白色固体として得た。
化合物28
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.76(2H,brd,J=12.9Hz),1.85−2.02(2H,m),2.33−2.59(6H,m),2.63−2.74(2H,m),2.85(2H,t,J=7.1Hz),4.58−4.66(1H,m),4.79(1H,d,J=3.4Hz),5.23(1H,s),6.78(1H,d,J=8.1Hz),6.92−6.98(2H,m),7.06−7.17(2H,m),7.32(1H,dd,J=2.4,3.7Hz),10.0(1H,s).
比旋光度[α]25=−24.7°(c 0.535,メタノール)
【実施例22】
【0103】
(+)−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物29:化合物28のエナンチオマー)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(22g,98.4mmol)を酢酸エチル(1.0L)に懸濁し、ギ酸(13.5mL,357mmol)、トリエチルアミン(22.4mL,160mmol)およびCpRhCl[(R,R)−Tsdpen](628mg)を加えて、アルゴン気流下、室温で14時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)に通塔し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をエーテル(500mL)でトリチュレーションし、さらにイソプロピルアルコール(400mL)から結晶化を行った。得られた結晶をさらにイソプロピルアルコール(360mL)から再結晶し、(+)−6−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(15.3g,76%)を白色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
2.56(2H,t,J=8.0Hz),2.95(2H,t,J=8.0Hz),3.58−3.71(2H,m),4.76(1H,dd,J=4.0,7.6Hz),6.85(1H,d,J=8.0Hz),7.20(1H,dd,J=2.0,8.0Hz),7.22(1H,s).
比旋光度[α]26=+33.2°(c 0.350,メタノール)
工程2:
実施例21の工程2に記載の方法と同様にして、工程1で得られた(+)−6−(2−クロロ−1−ヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(15.2g,673mmol)をDMF(75mL)に溶解し、氷冷下、イミダゾール(13.8g,202mmol)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(17.2g,0.114mol)を加えて、室温で12時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮した。残渣を結晶化させた後、ヘキサンでトリチュレーションすることにより、(+)−6−[1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(15.9g,69%)を白色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
−0.06(3H,s),0.09(3H,s),0.88(9H,s),2.64(2H,t,J=8.0Hz),2.96(2H,t,J=8.0Hz),3.48−3.58(2H,m),4.75(1H,dd,J=4.8,7.6Hz),6.77(1H,d,J=8.0Hz),7.13(1H,s),7.15(1H,d,J=8.0Hz),8.62(1H,brs).
比旋光度[α]22=+54.9°(c 0.380,メタノール)
工程3
工程2で得られる(+)−6−[(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(30g,88.3mmol)をHMPA(177mL)に溶解し、トリエチルアミン(18.4mL,0.132mol)、ヨウ化ナトリウム(19.8g,0.132mol)および4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(40.5g,0.221mol)を加えて、アルゴン気流下、100℃で48時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水および水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1〜10/1)により精製し、さらにエーテルでトリチュレーションすることにより、(+)−6−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(27.7g,64%)を白色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
−0.08(3H,s),0.07(3H,s),0.88(9H,s),1.82(1H,brs),1.87−1.97(2H,m),2.07−2.21(2H,m),2.43(1H,dd,J=4.0,12.4Hz),2.55−2.71(5H,m),2.77−2.85(1H,m),2.92(2H,t,J=8.0Hz),4.74(1H,dd,J=4.0,8.0Hz),6.65(1H,d,J=8.0Hz),6.95−7.01(2H,m),7.11−7.16(2H,m),7.23(1H,dd,J=0.8,4.4Hz),7.52(1H,brs).
比旋光度[α]25=+21.6°(c 0.335,メタノール)
工程4:
工程3で得られる(+)−6−{1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(56.5g,0.116mol)を無水THF(580mL)に溶解し、TBAF(290mL,1mol/L THF溶液,モレキュラーシーブで乾燥)を加えて、アルゴン気流下、室温で48時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水および水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルでトリチュレーションした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール混合物=5/1)により精製し、さらにエタノール(600mL)から結晶化することにより、化合物29(29.2g,68%)を白色結晶として得た。
化合物29
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.77(2H,d,J=12.0Hz),1.87−2.01(2H,m),2.33−2.59(6H,m),2.63−2.73(2H,m),2.85(2H,t,J=8.0Hz),4.62(1H,m),4.78(1H,d,J=3.6Hz),5.23(1H,s),6.77(1H,d,J=8.0Hz),6.92−6.96(2H,m),7.09(1H,dd,J=2.0,4.0Hz),7.14(1H,s),7.32(1H,dd,J=2.0,4.0Hz),9.99(1H,s).
比旋光度[α]26=+21.0°(c 0.320,メタノール)
【実施例23】
【0104】
(−)−トレオ−6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物30)および
(+)−トレオ−6−{−1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物31)
工程1:
実施例4で得られる化合物6(2.0g,5.18mmol)および塩化第一銅(512mg,5.18mmol)をDMF(30mL)に懸濁し、室温で撹拌した。反応液に(S)−(−)−1−フェニルエチルイソシアナート(0.8mL,5.70mmol)を加えて、55℃で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、(±)−トレオ−6−{1−((1S)−1−フェニルエチルアミノカルボニルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジル]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(2.48g,4.38mmol,84.5%)を黄色アモルファス粉末として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
0.52−0.95(3H,m),2.98(3H,d,J=0.5Hz),1.62−2.21(4H,m),2.46−3.10(9H,m),4.65−4.80(1H,m),5.51(1H,d,J=9.0Hz),6.75−7.06(3H,m),7.08−7.39(8H,m).
工程2:
工程1で得られた(±)−トレオ−6−{1−((1S)−1−フェニルエチルアミノカルボニルオキシ)−2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジル]プロピル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(700mg,1.24mmol)を分取用高速液体クロマトグラフィーのカラム[Inertsil ODS−3(20×250mm,GL−Science)]を用いて分取精製した(溶出:メタノール/0.1mol/L酢酸アンモニウム水溶液混合物=53/47、流速20mL/分、検出254nm)。それぞれの分取した溶液からメタノールを減圧下で留去し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて溶液を塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。それぞれの有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。分取において先に溶出された成分(残渣A:248mg,35.3%)および後から溶出された成分(残渣B:273mg,39.0%)をそれぞれ無色アモルファス粉末として得た。
工程3:
工程2で得られた残渣A(208mg,0.367mmol)を塩化メチレンに溶解し、トリエチルアミン(255μL,1.83mmol)およびトリクロロシラン(185μL,1.83mmol)を加えて、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)に通塔し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、化合物31(82.1mg,57.9%)を白色結晶として得た。
化合物31
比旋光度[α]25=+46.4°(c 0.700,メタノール)
工程4:
工程3に記載の方法と同様にして、工程2で得られた残渣B(222mg,0.415mmol)から、化合物30(86.9mg,54.2%)を白色結晶として得た。
化合物30
比旋光度[α]25=−58.3°(c 0.530,メタノール)
【実施例24】
【0105】
6−{2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジノ]−1−ヒドロキシエチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物34)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(500mg,2.24mmol)、参考例6で得られた4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン(487mg,2.24mmol)およびトリエチルアミン(343μL,2.5mmol)をDMF(6mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣にメタノールを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶をメタノールで洗浄し、6−{2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(330mg,36.4%)を薄黄色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.68−1.77(2H,m),1.85−1.94(2H,m),2.47−2.55(4H,m),2.64−2.71(2H,m),3.30(2H,t,J=7.5Hz),3.75(2H,s),5.51(1H,s),6.82(1H,d,J=4.0Hz),6.90−6.95(2H,m),7.81−7.87(2H,m),10.39(1H,s).
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(300mg,0.741mmol)をエタノール(20mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(162mg,4.05mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=10/1〜3/1)により精製し、化合物34(229mg,75.9%)を白色結晶として得た。
化合物34
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.72(2H,brd,J=12.9Hz),1.83−1.98(2H,m),2.32−2.57(6H,m),2.63−2.76(2H,m),2.85(2H,t,J=7.6Hz),4.57−4.65(1H,m),4.79(1H,d,J=2.9Hz),5.45(1H,s),6.78(1H,d,J=8.4Hz),6.79(1H,d,J=3.9Hz),6.92(1H,d,J=3.9Hz),7.09(1H,dd,J=1.8,8.4Hz),7.12−7.16(1H,m),9.99(1H,s).
【実施例25】
【0106】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物35)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(500mg,2.24mmol)、参考例8で得られた4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(441mg,2.24mmol)およびトリエチルアミン(343μL,2.5mmol)をDMF(6mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣にメタノールを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶をメタノールで洗浄し、6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(336mg,39.0%)を茶色油状物として得た。
工程2:
工程1で得られる6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(498mg,1.30mmol)をエタノール(20mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(212mg,5.60mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=15/1〜5/1)により精製し、化合物35(223mg,44.4%)を薄黄色結晶として得た。
化合物35
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.75(2H,brd,J=13.7Hz),1.92−2.08(2H,m),2.30(3H,s),2.32−2.55(6H,m),2.65−2.76(2H,m),2.85(2H,t,J=7.1Hz),4.59−4.66(1H,m),4.80(1H,d,J=3.2Hz),5.14(1H,s),6.76−6.82(2H,m),7.10(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.13−7.17(2H,m),9.99(1H,s).
【実施例26】
【0107】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物36)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(0.59g,2.64mmol)、参考例7で得られた4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェンー2−イル)ピペリジン(0.64mg,3.24mmol)およびトリエチルアミン(452μL,3.22mmol)をDMF(10mL)に懸濁し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=25/1)により精製し、6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(453mg,44.6%)を薄黄色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.70−1.78(2H,m),1.84−1.93(2H,m),2.38(3H,s),2.47−2.57(4H,m),2.60−2.69(2H,m),2.94(2H,t,J=7.0Hz),3.74(2H,s),5.15(1H,s),6.60(1H,d,J=3.0Hz),6.71(1H,d,J=3.0Hz),6.93(1H,d,J=8.0Hz),7.81−7.87(2H,m),10.39(1H,s).
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(190mg,0.494mmol)をエタノール(15mL)に懸濁し、室温で撹拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(100mg,2.64mmol)を加えて、さらに室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、化合物36(159mg,83%)を得た。
化合物36
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.72(2H,brd,J=12.7Hz),1.80−1.95(2H,m),2.28−2.52(6H,m),2.37(3H,s),2.58−2.70(2H,m),2.84(2H,t,J=7.6Hz),4.56−4.63(1H,m),4.76(1H,d,J=3.4Hz),5.09(1H,s),6.59(1H,dd,J=1.0,3.4Hz),6.69(1H,d,J=3.4Hz),6.76(1H,d,J=8.1Hz),7.07(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.10−7.15(1H,m),9.97(1H,s).
【実施例27】
【0108】
6−{2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物37)
参考例9で得られた6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(400mg,1.91mmol)、参考例6で得られた4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン(416mg,1.91mmol)および炭酸カリウム(290mg,2.1mmol)をDMF(5mL)に懸濁し、120℃で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、さらに酢酸エチルから結晶化することにより、化合物37(145mg,19.4%)を白色結晶として得た。
化合物37
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.74(2H,brd,J=12.4Hz),1.88(2H,dt,J=3.8,12.4Hz,),2.33−2.56(6H,m),2.59−2.74(4H,m),2.85(2H,t,J=7.6Hz),5.46(1H,s),6.75(1H,d),6.80(1H,d,J=3.8Hz),6.92(1H,d,J=3.8Hz),6.97(1H,dd,J=1.8,8.0Hz),7.00−7.03(1H,m),9.95(1H,s).
【実施例28】
【0109】
6−{2−[4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物38)
4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(500mg,2.38mmol)、参考例9で得られた6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(437mg,2.38mmol)および炭酸カリウム(362mg,2.61mmol)をDMF(6mL)に懸濁し、120℃で10時間撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、さらに酢酸エチルから結晶化することにより、化合物38(488mg,57.5%)を白色結晶として得た。
化合物38
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.78(2H,brd,J=12.0Hz),1.85−1.98(2H,m),2.35−2.55(6H,m),2.59−2.74(4H,m),2.83(2H,t,J=7.6Hz),5.23(1H,s),6.75(1H,d,J=8.1Hz),6.92−7.06(4H,m),7.29−7.36(1H,m),9.95(1H,s).
【実施例29】
【0110】
6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物39)
実施例28で得られた化合物38(300mg,0.842mmol)をトリフルオロ酢酸(10mL)に懸濁し、氷冷下でトリエチルシラン(537μL,3.36mmol)を加えて、しばらく氷冷下で撹拌した後、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、化合物39(239mg,83.3%)を得た。
化合物39
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.54−1.68(2H,m),1.92(2H,brd,J=12.4Hz),2.07(2H,brt,J=11.1Hz),2.43(2H,t,J=7.6Hz),2.45−2.56(2H,m),2.59−2.72(2H,m),2.73−2.86(3H,m),2.98(2H,brd,J=11.6Hz),6.75(1H,d,J=8.0Hz),6.88(1H,d,J=3.4Hz),6.94(1H,dd,J=3.4,5.1Hz),6.97(1H,dd,J=1.8,8.0Hz),7.01(1H,s),7.31(1H,dd,J=1.2,5.1Hz),9.96(1H,s).
【実施例30】
【0111】
6−{2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物40)
参考例9で得られた6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(206mg,0.982mmol)、参考例13で得られたtrans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(180mg,0.982mmol)、ヨウ化ナトリウム(150mmol,1.00mmol)およびトリエチルアミン(138μL,0.990mmol)をHMPA(1.5mL)に懸濁し、120℃で4.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、化合物40(163mg,60.4%)を薄黄色粉末として得た。
化合物40
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.57−1.72(1H,m),1.79−2.04(3H,m),2.45−2.71(5H,m),2.82(2H,t,J=7.5Hz),2.83(2H,dd,J=6.7,8.4Hz),2.92(1H,brd,J=11.2Hz),3.02−3.11(1H,m),3.32−3.35(1H,m),4.81(1H,d,J=6.3Hz),6.75(1H,d,J=8.1Hz),6.84−6.86(1H,m),6.94(1H,dd,J=3.4,5.0Hz),6.98(1H,dd,J=2.0,8.1Hz),7.01(1H,s),7.30(1H,dd,J=1.2,5.0Hz),9.95(1H,s).
【実施例31】
【0112】
6−{2−[cis−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物41)
工程1:
参考例9で得られた6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(160mg,0.763mmol)、参考例11で得られたcis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(200mg,0.836mmol)、ヨウ化ナトリウム(150mmol,0.763mmol)およびトリエチルアミン(106μL,0.763mmol)をHMPA(1.5mL)に懸濁し、120℃で8.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=40/1)により精製し、6−{2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(283mg,0.686mmol)を得た。
H−NMR(CDCl/500MHz)δ(ppm):
1.34(3H,s),1.47(3H,s),2.07−2.22(3H,m),2.31−2.70(11H,m),4.21−4.26(1H,m),6.74(1H,d,J=8.1Hz),6.96−7.06(3H,m),7.16(1H,dd,J=1.2,3.7Hz),7.49(1H,dd,J=1.2,5.0Hz),9.94(1H,s).
工程2:
工程1で得られた6−{2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(250mg,0.606mmol)をTHF(1mL)に懸濁し、1mol/L塩酸水溶液(1mL)を加えて、50℃で3日間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取し、化合物41(112mg,49.8%)を白色結晶として得た。
化合物41
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.77−1.92(2H,m),2.23(1H,t,J=9.9Hz),2.27−2.36(1H,m),2.39−2.46(2H,m),2.46−2.56(2H,m),2.59−2.70(3H,m),2.65(1H,dd,J=6.2,9.9Hz),2.83(2H,t,J=7.5Hz),3.63−3.72(1H,m),4.60(1H,d,J=7.3Hz),4.91(1H,s),6.75(1H,d,J=8.1Hz),6.91−7.06(4H,m),7.31(1H,dd,J=1.2,4.9Hz),9.95(1H,s).
【実施例32】
【0113】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物42)
工程1:
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(80.5mg,0.360mmol)、参考例12で得られた4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(60.3mg,0.360mmol)およびトリエチルアミン(51μL)をDMF(2mL)に懸濁し、室温で一晩撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=50/1)により精製し、6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(60.3mg,47.3%)を得た。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(57.3mg,0.162mmol)をエタノール(10mL)に懸濁し、水素化ホウ素ナトリウム(20mg,0.529mmol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=40/1)により精製し、化合物42(36.4mg,63.0%)を得た。
化合物42
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.55−1.70(2H,m),1.83−1.96(2H,m),2.06−2.24(2H,m),2.32−2.55(4H,m),2.72−2.90(3H,m),2.93−3.03(2H,m),4.59−4.63(1H,m),4.82(1H,d,J=3.0Hz),6.78(1H,d,J=8.1Hz),6.88(1H,d,J=3.4Hz),6.94(1H,dd,J=3.4,5.1Hz),7.09(1H,dd,J=1.7,8.1Hz),7.14(1H,s),7.31(1H,dd,J=1.2,5.1Hz),9.99(1H,s).
【実施例33】
【0114】
6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物43)
参考例10で得られる未精製の4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン(640mg,3.05mmol)、参考例9で得られた6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(554mg,3.35mmol)および炭酸カリウム(468mg,3.35mmol)をDMF(6mL)に懸濁し、120℃で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、さらに酢酸エチルから結晶化することにより、化合物43(192mg,18.6%)を白色結晶として得た。
化合物43
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
2.36−2.53(4H,m),2.54−2.76(6H,m),2.83(2H,t,J=7.5Hz),3.07−3.16(2H,m),6.04−6.10(1H,m),6.75(1H,d,J=8.1Hz),6.96(4H,m),7.36(1H,dd,J=1.1,5.1Hz),9.95(1H,s).
【実施例34】
【0115】
6−{1−ヒドロキシ−2−[4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物44)
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(541mg,2.42mmol)および参考例10で得られる未精製の4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン(400mg,2.42mmol)をDMF(10mL)に懸濁し、トリエチルアミン(337μL,2.42mmol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮して6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを得た。該取得物は精製せずに次の反応に使用した。
工程2:
工程1で得られた6−{2−[4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]アセチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(200mg,0.564mmol)をエタノールに懸濁し、水素化ホウ素ナトリウム(112mg,2.96mmol)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルおよび水を加えて、析出した結晶を濾取した。メタノールで結晶を洗浄し、化合物44(70.0mg,35.0%)を得た。
化合物44
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
2.37−2.63(6H,m),2.71(2H,dt,J=2.5,5.6Hz),2.85(2H,t,J=7.6Hz),3.12−3.21(2H,m),4.62−4.70(1H,m),4.91(1H,d,J=4.1Hz),6.02−6.08(1H,m),6.78(1H,d,J=8.1Hz),7.00(1H,dd,J=3.6,5.0Hz),7.04(1H,dd,J=1.0,3.6Hz),7.11(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.13−7.17(1H,m),7.35(1H,dd,J=1.0,5.0Hz),9.99(1H,s).
【実施例35】
【0116】
6−{(1S)−1−ヒドロキシ−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物45)
工程1:
実施例17の工程1と同様にして、不斉遷移金属錯体としてCpRhCl[(S,S)−Tsdpen]の代わりにCpRhCl[(R,R)−Tsdpen]を用いて、6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンから、6−[{(1S)−2−クロロ−1−ヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを白色結晶として得た。さらに実施例22の工程2と同様にして、上記で得られた6−[{(1S)−2−クロロ−1−ヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンから、6−[(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを白色結晶として得た。
工程2:
工程1で得られた6−[(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(267mg,0.786mol)、参考例13で得られたtrans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(357g,1.96mmol)、ヨウ化ナトリウム(180mg,1.20mmol)およびトリエチルアミン(164mL,1.18mmol)をHMPA(2mL)に懸濁し、100℃で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=50/1)により精製し、6−{(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(ジアステレオ混合物:337mg,45.3%)を茶色アモルファス粉末として得た。
工程3:
工程2で得られた6−{(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(311mg,0.639mmol)を脱水THF(4mL)に懸濁し、TBAF(1.6mL,1mol/L THF溶液)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=40/1)により精製し、化合物45(ジアステレオ混合物:80.7mg,33.9%)を薄黄色アモルファス粉末として得た。
化合物45
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.59−1.77(2H,m),1.82−2.20(6H,m),2.31−2.64(10H,m),2.78−3.16(8H,m),3.34−3.49(2H,m),4.55−4.71(2H,m),4.74−4.96(4H,m),6.79(2H,d,J=8.1Hz),6.90(2H,d,J=3.5Hz),6.94(2H,dd,J=3.5,5.1Hz),7.05−7.19(4H,m),7.30(2H,dd,J=1.2,5.1Hz),10.0(2H,s).
【実施例36】
【0117】
6−{(1R)−1−ヒドロキシ−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物46)
工程1:
実施例17の工程1および工程2と同様にして、6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンから、6−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを白色結晶として得た。
工程2:
実施例35の工程1に記載の方法と同様にして、工程1で得られた6−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(519mg,1.53mmol)および参考例13で得られたtrans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(0.70g,3.82mmol)から、6−{(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(ジアステレオ混合物:320mg,83.6%)を茶色アモルファス粉末として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
−0.13(3H,s),0.09(3H,s),0.88(9H,s),1.84−1.95(2H,m),2.02−2.16(2H,m),2.25(2H,t,J=7.7Hz),2.43−2.52(1H,m),2.59−2.72(4H,m),2.79−2.99(3H,m),4.85(1H,dd,J=4.2,7.8Hz),6.81(1H,d,J=8.1Hz),6.94(1H,dd,J=3.5,5.1Hz),6.97(1H,dd,J=1.3,3.5Hz),7.12−7.18(2H,m),7.23(1H,dd,J=1.3,5.1Hz).
工程3:
工程2で得られた6−{(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(306mg,0.629mmol)を脱水THF(4.2mL)に懸濁し、TBAF(1.6mL,1mol/L THF溶液)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、化合物46(ジアステレオ混合物:128mg,54.6%)を白色アモルファス粉末として得た。
化合物46
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.59−1.77(2H,m),1.82−2.20(6H,m),2.31−2.64(10H,m),2.78−3.16(8H,m),3.34−3.49(2H,m),4.55−4.71(2H,m),4.74−4.96(4H,m),6.79(2H,d,J=8.1Hz),6.90(2H,d,J=3.5Hz),6.94(2H,dd,J=3.5,5.1Hz),7.05−7.19(4H,m),7.30(2H,dd,J=1.2,5.1Hz),10.0(2H,s).
【実施例37】
【0118】
6−{(1S)−1−ヒドロキシ−2−[cis−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物47)および
6−{(1S)−1−ヒドロキシ−2−[trans−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物48)
工程1:
実施例35の工程2に記載の方法と同様にして、実施例35の工程1で得られた6−[(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(220mg,0.647mmol)および参考例11で得られたcis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(380mg,1.59mmol)から、6−{(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを茶色アモルファス粉末として得た。
工程2:
実施例36の工程3に記載の方法と同様にして、工程1で得られた6−{(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンから、化合物47と化合物48の混合物の粗精製物を得た。得られた粗精製物に酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶をエタノールから再結晶化することにより、化合物47(ジアステレオ混合物:67.4mg,26.7%、回収率61.4%)を薄桃色結晶として、化合物48(ジアステレオ混合物:20.0mg,9.8%)を茶色アモルファス粉末としてそれぞれ得た。
化合物47
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.75−1.96(4H,m),2.22−2.56(12H,m),2.58−2.70(2H,m),2.74−2.84(2H,m),2.86(4H,t,J=7.5Hz),3.64−3.77(2H,m),4.56−4.67(2H,m),4.59(2H,d,J=7.3Hz),4.84(2H,t,J=3.3Hz),4.89(2H,s),6.78(2H,s),6.86−7.00(4H,m),7.10(2H,brd,J=8.1Hz),7.14(2H,brs),7.31(2H,dd,J=1.3,5.0Hz),9.99(2H,s).
化合物48
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.60−1.71(2H,m),2.24−2.47(10H,m),2.53−2.92(12H,m),3.34−3.43(2H,m),4.48−4.67(2H,m),4.80−4.96(2H,m),5.37−5.42(2H,m),6.79(2H,d,J=8.1Hz),6.91(4H,m),7.06−7.16(4H,m),7.30−7.35(2H,m),9.99(2H,s).
【実施例38】
【0119】
6−{(1R)−1−ヒドロキシ−2−[cis−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物49)および
6−{(1R)−1−ヒドロキシ−2−[trans−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物50)
工程1:
実施例35の工程2に記載の方法と同様にして、実施例36の工程1で得られた6−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−クロロエチル]−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(340mg,1.00mmol)および参考例11で得られたcis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(598mg,2.50mmol)から、6−{(1S)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンを茶色アモルファス粉末として得た。
工程2:
実施例35の工程2に記載の方法と同様にして、工程1で得られた6−{(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−[cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジノ]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オンから、化合物49と化合物50の混合物の粗精製物を得た。得られた粗精製物に酢酸エチルを加えて析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄することにより、化合物49(ジアステレオ混合物:115.1mg,27.9%)を赤茶色結晶として、化合物50(ジアステレオ混合物:74.2mg,18.0%)を茶色結晶としてそれぞれ得た。
化合物49
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.75−1.96(4H,m),2.22−2.56(12H,m),2.58−2.70(2H,m),2.74−2.84(2H,m),2.86(4H,t,J=7.5Hz),3.64−3.77(2H,m),4.56−4.67(2H,m),4.59(2H,d,J=7.3Hz),4.84(2H,t,J=3.3Hz),4.89(2H,s),6.78(2H,s),6.86−7.00(4H,m),7.10(2H,brd,J=8.1Hz),7.14(2H,brs),7.31(2H,dd,J=1.3,5.0Hz),9.99(2H,s).
化合物50
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.60−1.71(2H,m),2.24−2.47(10H,m),2.53−2.92(12H,m),3.34−3.43(2H,m),4.48−4.67(2H,m),4.80−4.96(2H,m),5.37−5.42(2H,m),6.79(2H,d,J=8.1Hz),6.91(4H,m),7.06−7.16(4H,m),7.30−7.35(2H,m),9.99(2H,s).
【0120】
[参考例1]
6−(2−ブロモプロピオニル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
塩化アルミニウム(7.20g,54.0mmol)および2−ベンゾチアゾロン(3.0g,19.8mmol)を塩化メチレン(50mL)に懸濁し、氷冷下で攪拌しながら、α−ブロモプロピオニルブロマイド(4.20mL,40.0mmol)を滴下した。反応混合物を加熱還流下で7時間攪拌した後、反応液を氷水に注いだ。析出した白色結晶を濾取し、6−(2−ブロモプロピオニル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(1.15g,20.3%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.78(3H,d,J=6.6Hz),5.78(1H,q,J=6.6Hz),7.24(1H,d,J=8.5Hz),7.97(1H,dd,J=1.8,8.5Hz),8.33(1H,d,J=1.8Hz),12.32(1H,brs).
[参考例2]
6−(2−ブロモブチリル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オン
塩化アルミニウム(7.00g,49.5mmol)および2−ベンゾチアゾロン(2.5g,16.5mmol)を塩化メチレン(65mL)に懸濁し、氷冷下で攪拌しながら、α−ブロモブチリルブロマイド(4.00mL,33.1mmol)を滴下した。反応混合物を加熱還流下で37時間攪拌した後、反応液を氷水に注いだ。析出した白色結晶を濾取し、6−(2−ブロモブチリル)ベンゾチアゾール−2(3H)−オン(3.13g,63.0%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.01(3H,t,J=7.3Hz),1.93−2.19(2H,m),5.61(1H,d,J=7.9Hz),7.24(1H,d,J=8.5Hz),7.99(1H,dd,J=1.8,8.5Hz),8.34(1H,d,J=1.8Hz),12.34(1H,brs).
【0121】
[参考例3]
6−(2−クロロプロピオニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン
2−ベンゾオキサゾロン(15.0g,111mmol)、α−クロロプロピオン酸(17.0mL,185mmol)およびポリリン酸(50g)を135℃で7.5時間攪拌した。反応液を氷水に注いだ後、飽和重曹水を用いて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン混合物=2/5)により精製し、6−(2−クロロプロピオニル)ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(10.6g,42.8%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.61(3H,d,J=6.6Hz),5.77(1H,q,J=6.6Hz),7.24(1H,d,J=8.8Hz),7.90−7.93(2H,m),12.12(1H,brs).
[参考例4]
7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン
塩化アルミニウム(7.30g,54.7mmol)および2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(3.0g,18.2mmol)を塩化メチレン(50mL)に懸濁し、室温でα−ブロモプロピオニルブロマイド(3.80mL,36.3mmol)を滴下した。反応混合物を加熱還流下で4時間攪拌した後、反応液を氷水に注いだ。析出した黄色結晶を濾取し、7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾチアジン−3(4H)−オン(4.10g,75.3%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.78(3H,d,J=6.5Hz),3.56(2H,s),5.68(1H,q,J=6.5Hz),7.50(1H,d,J=8.1Hz),7.59(1H,d,J=1.9Hz),7.66(1H,dd,J=1.9,8.1Hz),10.84(1H,brs).
【0122】
[参考例5]
7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン
塩化アルミニウム(7.00g,52.5mmol)および2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(3.0g,20.1mmol)を塩化メチレン(50mL)に懸濁し、室温でα−ブロモプロピオニルブロマイド(4.21mL,40.2mmol)を滴下した。反応混合物を加熱還流下で4時間攪拌した後、反応液を氷水に注ぎ、得られた混合液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を加えて、析出した白色結晶を濾取し、7−(2−ブロモプロピオニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(5.04g,88.1%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.76(3H,d,J=6.5Hz),4.70(2H,s),5.68(1H,q,J=6.5Hz),7.07(1H,d,J=8.5Hz),7.54(1H,d,J=2.2Hz),7.69(1H,dd,J=2.2,8.5Hz),10.89(1H,brs).
[参考例6]
4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン
工程1:
2−ブロモ−5−クロロチオフェン(12.0g,60.8mmol)および粒状マグネシウム(1.48g,60.9mmol)を脱水THF(30mL)に懸濁し、室温で撹拌した後、氷冷下で攪拌した。反応液に1−エトキシカルボニル−4−ピペリドン(6.95g,40.6mmol)を滴下し、脱水THF(20mL)加えて、さらに撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(186mL)を加えて、セライトを通して濾過した。濾液を濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(6.54g,37.1%)を薄黄色結晶として得た。
工程2:
工程1で得られた4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(3.0g,10.4mmol)および水酸化カリウム(2.4g,42.8mmol)をイソプロピルアルコール(25mL)に溶解し、加熱還流下、終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン(1.50g,66.6%)を薄黄色結晶として得た。
【0123】
[参考例7]
4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン
工程1:
2−ブロモ−5−メチルチオフェン(4.5g,25.4mmol)および粒状マグネシウム(617mg,2.53mmol)を脱水THF(10mL)に懸濁し、室温で撹拌した後、氷冷下で攪拌した。反応液に1−エトキシカルボニル−4−ピペリドン(3.5mL,22.9mmol)を滴下し、脱水THF(10mL)加えて、さらに撹拌した。反応液に少量ずつ水を加えて、セライトを通して濾過した。濾液を濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に水およびメタノールを加えて、析出した物質を濾取し、1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(4.49g,65.6%)を茶色油状物として得た。
工程2:
工程1で得られる1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(4.91g,18.2mmol)および水酸化カリウム(4.10g,73.1mmol)をイソプロピルアルコール(60mL)に溶解し、加熱還流下、終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、4−ヒドロキシ−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(3.96g,100%)を茶色油状液として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.18(3H,t,J=7.1Hz),1.71−1.80(4H,m),2.38(3H,d,J=1.2Hz),3.07−3.25(2H,m),3.79(2H,d),4.03(2H,brq,J=12.7Hz),5.42(1H,s),6.59−6.62(1H,m),6.72(1H,d,J=3.4Hz).
【0124】
[参考例8]
4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン
工程1:
参考例7の工程1に記載の方法と同様にして、2−ブロモ−3−メチルチオフェン(4.5g,25.4mmol)および1−エトキシカルボニル−4−ピペリドン(3.5mL,22.9mmol)から、1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(2.69g,39.3%)を薄黄色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.18(3H,t,J=7.0Hz),1.65−1.90(4H,m),2.67(3H,s),3.00−3.25(2H,m),3.75−3.95(2H,m),4.04(2H,q,J=9.1Hz),5.51(1H,s),6.79(1H,d,J=5.1Hz),7.18(1H,d,J=5.1Hz).
工程2:
工程1で得られた1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(2.69g,9.98mmol)および水酸化カリウム(2.24g,39.9mmol)をイソプロピルアルコール(30mL)に溶解し、還流下で21時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、4−ヒドロキシ−4−(3−メチルチオフェン−2−イル)ピペリジン(1.59g,80.7%)を薄黄色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.64−1.73(2H,m),1.84(2H,dt,J=4.6,12.5Hz),2.29(3H,s),2.67−2.76(2H,m),2.82−2.93(2H,m),5.14(1H,brs),6.77(1H,d,J=5.1Hz),7.13(1H,d,J=5.1Hz).
【0125】
[参考例9]
6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン
特表平6−504293号公報または特開平2−72173号公報に記載の方法と同様にして得られる6−(クロロアセチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(6.0g,26.8mmol)をトリフルオロ酢酸(50mL)に懸濁し、氷冷下でトリエチルシラン(17.4mL,0.107mol)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、6−(2−クロロエチル)−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(4.98g,88.8%)を黄色結晶として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
2.60−2.68(2H,m),2.92−3.05(4H,m),3.69(2H,t,J=7.2Hz),6.70(1H,d,J=8.3Hz),6.99−7.07(2H,m),7.97(1H,brs).
[参考例10]
4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
特開昭48−56687号公報に記載の方法と同様にして得られる4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(3.0mg,16.4mmol)をメタノール(2mL)に懸濁し、室温で塩酸のメタノール溶液(30mL)を加えて、50〜60℃で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを茶色油状物として得た(副生成物として4−メトキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジンが含まれていた)。該取得物は精製せずに次の反応に使用した。
【0126】
[参考例11]
cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン
工程1:
特開昭48−56687号に記載の方法と同様にして得られる1−エトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(7.0g,27.4mmol)を塩酸のメタノール溶液に懸濁し、60℃で4時間半撹拌した。氷冷下で反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を少量ずつ加えて塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、1−エトキシカルボニル−4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン(6.49g,99.5%)を桃色油状物として得た。
工程2:
工程1で得られた1−エトキシカルボニル−4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン(2.0g,8.43mmol)およびN−メチルモルホリン(1.97g,16.8mmol)をアセトン(40mL)に懸濁し、氷冷下で1%四酸化オスミウム水溶液(1mL)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、1−エトキシカルボニル−cis−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.41g,61.6%)を得た。
H−NMR(DMSO−d/500MHz)δ(ppm):
1.19(3H,t,J=7.1Hz),1.74−1.87(2H,m),2.83−3.15(2H,m),3.56−3.64(1H,m),3.70−3.94(2H,m),4.04(2H,q,J=7.1Hz),4.97(1H,d,J=6.5Hz),5.26(1H,s),6.95(1H,dd,J=3.5,5.0Hz),6.99(1H,dd,J=1.2,3.5Hz),7.33(1H,dd,J=1.2,5.0Hz).
工程3:
工程2で得られた1−エトキシカルボニル−cis−3,4−ジヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.1g,4.05mmol)を2,2−ジメトキシプロパンに懸濁し、室温でパラトルエンスルホン酸・1水和物(250mg,1.45mmol)を加えて終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル混合物=3/1)により精製し、1−エトキシカルボニル−cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.0g,79.3%)を無色油状液体として得た。
H−NMR(DMSO−d/400MHz)δ(ppm):
1.27(3H,t,J=7.1Hz),1.33(3H,s),1.47(3H,d,J=0.5Hz),2.02−2.08(2H,m),3.30−3.46(2H,m),3.57−3.69(1H,m),4.09−4.19(1H,m),4.22(1H,dd,J=2.7,14.9Hz),4.44−4.56(1H,m),4.80(1H,s),6.99(1H,dd,J=3.5,5.1Hz),7.05(1H,brd,J=3.5Hz),7.32(1H,dd,J=1.2,5.1Hz).
工程4:
工程3で得られた1−エトキシカルボニル−cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.0g,3.21mmol)をイソプロピルアルコール(20mL)に懸濁し、水酸化カリウム(920mg,16.4mmol)を加えて、90℃で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール混合物=20/1)により精製し、cis−3,4−イソプロピリデンジオキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(598mg,77.8%)を無色油状液体として得た。
H−NMR(CDCl/500MHz)δ(ppm):
1.48(3H,d,J=0.4Hz),1.59(3H,d,J=0.4Hz),2.03(1H,ddd,J=4.8,12.9,13.9Hz),2.25(1H,dt,J=2.8,13.9Hz),2.73(1H,ddd,J=2.8,12.9,13.9Hz),2.97(1H,dd,J=2.5,15.1Hz),3.09−3.16(1H,m),3.41(1H,dt,J=1.6,15.1Hz),4.03−4.07(1H,m),6.98(1H,dd,J=3.6,5.1Hz),7.08(1H,dd,J=1.1,3.6Hz),7.27(1H,dd,J=1.1,5.1Hz).
【0127】
[参考例12]
4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン
特開昭48−56687号に記載の方法と同様にして得られる4−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(500mg,2.73mmol)をトリフルオロ酢酸(10mL)に懸濁し、氷冷下でトリエチルシラン(1.75mL,11.0mmol)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(富士シリシア化学 NH、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル混合物=3/1〜クロロホルム/メタノール混合物=30/1)により精製し、4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(60.3mg,13.2%)を得た。
[参考例13]
trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン
工程1:
アルゴン気流下、参考例11の工程1で得られる1−エトキシカルボニル−4−(チオフェン−2−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン(2.34g,9.86mmol)を脱水THF(80mL)に懸濁し、氷冷した。得られた懸濁液に1mol/Lボランテトラヒドロフラン錯体のTHF溶液(20mL)を加えて、室温で終夜撹拌した。反応液に氷冷下でメタノール(140mL)、3mol/L水酸化ナトリウム水溶液(3.6mL)および30%過酸化水素水(1.6mL)を順次加えて、65℃で2時間半撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル混合物=3/1)により精製し、1−エトキシカルボニル−trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.50g,59.6%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
1.26(3H,t,J=7.1Hz),1.62−1.76(1H,m),1.95−2.04(1H,m),2.61−2.76(1H,m),2.82−2.95(2H,m),3.43−3.53(1H,m),4.08−4.18(1H,m),4.13(2H,q,J=7.1Hz),4.22−4.32(1H,m),6.90−6.96(2H,m),7.22(1H,dd,J=1.6,4.5Hz).
工程2:
工程1で得られた1−エトキシカルボニル−trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(1.50g,5.87mmol)をイソプロピルアルコール(30mL)に溶解し、室温で水酸化カリウム(1.65g,29.4mmol)を加えて、95℃で終夜で撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して減圧下で濃縮し、trans−3−ヒドロキシ−4−(チオフェン−2−イル)ピペリジン(0.70g,65.1%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDOD/400MHz)δ(ppm):
1.75−1.80(1H,m),1.95−2.04(1H,m),2.44(1H,dd,J=10.1,12.2Hz),2.60(1H,ddd,J=2.9,12.5,12.5Hz),2.76−2.86(1H,m),2.97−3.05(1H,m),3.14−3.22(1H,m),3.53(1H,ddd,J=4.6,10.0,10.1Hz),6.89−6.98(2H,m),7.20(1H,dd,J=1.3,4.7Hz).
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明により、例えばNR2B/NMDA受容体拮抗作用等を有するピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、ピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患(例えばてんかん、発作、不安、脳虚血、筋肉痙攣、アルツハイマー病、痴呆症、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞等の神経細胞の変性や傷害による疾患、慢性疼痛、神経因性疼痛、頭痛、偏頭痛等の疼痛等)の治療剤等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化8】

{式中、
−C(=O)−Z−は
−C(=O)−CH−、
−C(=O)−C(CH−、
−C(=O)−NH−、
−C(=O)−O−、
−C(=O)−S−、
−C(=O)−CHCH−、
−C(=O)−CH=CH−、
−C(=O)−CHO−、
−C(=O)−CHS−、
−C(=O)−CHCHCH−または
−C(=O)−NRCH−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)
を表し、

水素原子、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子または
ヒドロキシ
を表し、

水素原子、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子、
ヒドロキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニル、
置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルコキシ
を表し、

水素原子、
ヒドロキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは
置換もしくは非置換の低級アルキニル
を表し、

水素原子、
ハロゲン、
置換もしくは非置換の低級アルキル、
置換もしくは非置換の低級アルケニル、
置換もしくは非置換の低級アルキニル、
置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは
−(CHY[式中、mは1から4の整数を表し、Yは−NR10(式中、RおよびR10はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、またはRとR10が隣接する窒素原子と一緒になって複素環基を形成する)または置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す]を表し、
nおよびkはそれぞれ独立して0から2の整数を表し、
−−−−は単結合を表すか、Rと一緒になって二重結合を表し、
−−−−が単結合であるとき、Rは水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンを表す}
で表されるピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
一般式(IA)
【化9】

(式中、−−−−、−C(=O)−Z−、R、R、R、R、R、R、R、nおよびkはそれぞれ前記と同義である)で表されるピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
−C(=O)−Z−が−C(=O)−S−である請求項[1]または[2]記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
−C(=O)−Z−が−C(=O)−CH−である請求項[1]または[2]記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
−C(=O)−Z−が−C(=O)−CHCH−である請求項[1]または[2]記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
−C(=O)−Z−が−C(=O)−CHCHCH−である請求項[1]または[2]記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
−−−−が単結合である請求項[1]〜[6]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
がヒドロキシである請求項[1]〜[6]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
が水素原子またはヒドロキシである請求項[1]〜[6]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
が水素原子である請求項[1]〜[9]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
の結合位置がモルホリン環の3位であり、かつRがヒドロキシである請求項[1]〜[9]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
が水素原子またはヒドロキシである請求項[1]〜[11]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
がヒドロキシである請求項[1]〜[11]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
が水素原子または低級アルキルである請求項[1]〜[13]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
が水素原子である請求項[1]〜[13]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩
【請求項16】
nが0である請求項[1]〜[15]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
kが0である請求項[1]〜[16]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
が水素原子である請求項[1]〜[17]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
が水素原子である請求項[1]〜[18]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
ピペリジン誘導体がラセミ体である請求項[1]〜[19]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
ピペリジン誘導体が光学活性体である請求項[1]〜[19]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項23】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNR2Bサブユニットを含むN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体(NR2B/NMDA受容体)拮抗剤。
【請求項24】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNR2B/NMDA受容体の選択的拮抗剤(選択的NR2B/NMDA受容体拮抗剤)。
【請求項25】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療剤。
【請求項26】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する疼痛治療剤。
【請求項27】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤。
【請求項28】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNR2B/NMDA受容体の阻害方法。
【請求項29】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNR2B/NMDA受容体の選択的阻害方法。
【請求項30】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするNMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療方法。
【請求項31】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする疼痛の治療方法。
【請求項32】
請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする神経因性疼痛の治療方法。
【請求項33】
NR2B/NMDA受容体拮抗剤の製造のための請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項34】
選択的NR2B/NMDA受容体拮抗剤の製造のための請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項35】
NMDA受容体のNR2Bサブユニットが関与する疾患の治療剤の製造のための請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項36】
疼痛治療剤の製造のための請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項37】
神経因性疼痛治療剤の製造のための請求項[1]〜[21]のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/097782
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−512118(P2006−512118)
【国際出願番号】PCT/JP2005/006859
【国際出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】